説明

プレス装置システム

【課題】スリップ事故の発生を防止しまた成形製品の厚みのバラツキを抑えることが可能であり、且つ仕組み工程を止めることなく被加工物の成形を行うことが可能なプレス装置システムを提供する。
【解決手段】プレス装置システムが、熱盤間211,212,213に被加工物Pを挟んで加熱プレスする複数の加熱プレス装置200A〜Cと、複数の加熱プレス装置200A〜Cに対して被加工物Pの搬入及び搬出を行うローダと、複数の加熱プレス装置200A〜C及び前記ローダの制御を行う制御手段とを有し、制御手段は、複数の加熱プレス装置200A〜Cの1つで被加工物Pの加熱プレスを行っている間に、他の加熱プレス装置及び前記ローダを制御して、他の加熱プレス装置に対して被加工物の搬入及び搬出を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバ内で被加工物を真空下で加熱プレスする加熱プレス装置を備えたプレス装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路基板の製造方法として、プリプレグシート等の樹脂シートと銅箔とを交互に重ね合わせて形成された被加工物を熱盤間でプレスする加熱プレス装置を用いる方法がある。ここで、加熱プレスを行う際に必要な時間は、積層による被加工物の形成(仕組み)時間の数倍以上であるため、加熱プレス装置は、特許文献1に記載されているもののような、多数の熱盤を垂直方向に並べた多段プレス装置を用いて、一度に多数の被加工物をプレスできるようにし、仕組み工程を止めることなく被加工物を効率よく成形できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−316296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱プレス装置を用いて、上流工程である仕組み工程を止めることなく被加工物の成形を行おうとすると、加熱プレス装置に必要な熱盤の枚数が多くなり、また、加熱プレスを行う際の熱盤の移動量も大きなものとなる。これにより、スリップ事故の発生や製品の厚みのバラツキが大きなものとなる等の問題が発生し得る。また、上記構成においては熱盤の移動量が大きいため、熱盤内に設けられた流路に加熱された熱媒を循環させることによって熱盤を加熱させる構成の場合、熱盤内の流路と、外部の加熱手段及び熱媒循環用ポンプとを接続する配管の長さも大きなものとなり、配管からの熱のロスも大きなものとなる。
【0005】
また、加熱プレスを行って電子回路基板を製造する場合は、特許文献1に示される構成のように、樹脂シートと銅箔との密着性の向上や、樹脂シート内の気泡の除去のために、真空下でプレスすることが一般的である。加熱プレスを行う加熱プレス装置は、真空下で加熱プレスを行うために、多数の熱盤全てを真空チャンバで覆う必要がある。この真空チャンバは、多数の熱盤を覆うことのできる大型のものとなるため、真空チャンバ内を真空引きするための真空ポンプも、大型のものとなる。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、スリップ事故の発生を防止しまた成形製品の厚みのバラツキを抑えることが可能であり、且つ仕組み工程を止めることなく被加工物の成形を行うことが可能なプレス装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のプレス装置システムは、熱盤間に被加工物を挟んで加熱プレスする複数の加熱プレス装置と、複数の加熱プレス装置に対して被加工物の搬入及び搬出を行うローダと、複数の加熱プレス装置及びローダの制御を行う制御手段とを有し、制御手段は、複数の加熱プレス装置の1つで被加工物の加熱プレスを行っている間に、他の加熱プレス装置及びローダを制御して、他の加熱プレス装置に対して被加工物の搬入及び搬出を行うことを特徴とする。
【0008】
このような構成とすると、各加熱プレス装置の熱盤の枚数は少量であっても、短時間に多数の被加工物をプレス可能となる。すなわち、本発明によれば、仕組み工程を止めることなく被加工物の成形を行うために必要な、加熱プレス装置一台あたりの熱盤枚数を少なくすることができるため、スリップ事故の発生を防止し、成形製品の厚みのバラツキを抑えることが可能となる。また、加熱プレス装置一台あたりの真空チャンバの容積は小さなものとなるため、真空チャンバの真空引きに必要な真空ポンプの小型化及び低出力化が可能となる。さらに、複数の加熱プレス装置の1つで被加工物の加熱プレスを行っている間に他の加熱プレス装置に対して被加工物の搬入及び搬出を行うものであるため、ローダによって一度に搬送する被加工物の数は少量でよく、ローダを小型化することができる。また、加熱プレス前の被加工物を一時的に保管するスタッカにて保管する被加工物の数も少量でよい。
【0009】
また、複数の加熱プレス装置が上下方向に並べて配置されている構成とすることが好ましい。
【0010】
このような構成とすると、プレス装置システムの接地面積を大きくすることなく、多数の被加工物を加熱プレスすることが可能となる。
【0011】
また、複数の加熱プレス装置のそれぞれは、上下方向に並べられ熱板が固定される一対の定盤を有し、複数の熱盤は、一対の定盤の夫々に固定されている熱盤の間に配置された少なくとも1枚の中間熱盤を含む構成としてもよい。
【0012】
また、中間熱盤の枚数が1枚であり、真空チャンバは、中間熱盤を保持する中間熱盤保持プレートを挟み込むように閉じて内部を外部から密閉する上下一対の升形容器を有する構成としてもよい。
【0013】
また、複数の加熱プレス装置から空気を除去する真空ポンプと、制御手段に制御され、複数の加熱プレス装置の真空チャンバのいずれから空気を除去するかを切り換える切替弁とを有する構成とすることが好ましい。
【0014】
このような構成とすると、一台の真空ポンプで複数の加熱プレス装置の真空チャンバの真空引きを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、スリップ事故の発生を防止しまた成形製品の厚みのバラツキを抑えることが可能であり、且つ仕組み工程を止めることなく被加工物の成形を行うことが可能なプレス装置システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態のプレス装置システムの全体を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態のスタッカ100の正面図である。
【図3】図3は、図2のA−A断面図である。
【図4】図4(a)〜(d)の夫々は、図2のB−B断面図である。
【図5】図5は、本実施形態のローダ600の側面図である。
【図6】図6は、図5のC−C断面図である。
【図7】図7(a)〜(d)は、夫々本実施形態のスタッカ又はローダの断面図である。
【図8】図8は、本実施形態の加熱プレス部の正面図である。
【図9】図9は、本実施形態のキュアプレス装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のプレス装置システム1の全体を示すブロック図である。本実施形態のプレス装置システム1は、成形前の被加工物が一時的に保管されるスタッカ100と、被加工物を加熱プレスする加熱プレス部200と、加熱プレスされた被加工物のキュアプレスを行うキュアプレス装置300と、キュアプレスが終わった後の被加工物を冷却する冷却プレス装置400と、冷却プレスが完了した被加工物を一時的に保管するアンスタッカ500と、スタッカ100、加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400及びアンスタッカ500の間で被加工物の運搬を行うローダ600を有する。また、スタッカ100の上流には、プリプレグシートと銅箔とを複数枚交互に重ね合わせて形成された被加工物を作成する仕組み部(図示せず)が配置されており、仕組み部によって作成される被加工物は、固定コンベア712、可動コンベア711を介して、スタッカ100に搬入されるようになっている。また、アンスタッカ500に保管された被加工物は、可動コンベア721、固定コンベア722を介して搬出される。加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400、スタッカ100側の固定コンベア712及び可動コンベア711、並びにアンスタッカ500側の固定コンベア722及び可動コンベア721は、プレス装置システム1のコントローラ800によって制御される。
【0018】
スタッカ100について以下に説明する。図2は、スタッカ100の正面図であり、図3は、図2のA−A断面図である。図2に示されるように、スタッカ100には、被加工物Pを2枚、鉛直方向に載置可能である。各被加工物Pはそれぞれ金属製のプレートM(以下、「金属プレートM」と称する)上に載置される。金属プレートMのそれぞれはその四隅で4本の支持アーム111〜114によって支持されている。支持アーム111、112は、図2、3中右側から左側に延びて金属プレートMを支持しており、また、支持アーム113、114は、図2、3中左側から右側に延びて金属プレートMを支持している。図3に示されるように、支持アーム111と113は図2、3中左右方向に並んで配置されている。同様に、支持アーム112と114は図2、3中左右方向に並んで配置されている。また、図2に示されているように、支持アーム111〜114のそれぞれは、鉛直方向に2組設けられており、水平方向に配置された支持アーム111〜114の1つの組上に、1枚の金属プレートMが載置されるようになっている。
【0019】
被加工物Pが載置されている金属プレートMは、図3中上側からスタッカ100に搬入される。被加工物Pのスタッカ100への搬入には、可動コンベア711が用いられる。可動コンベア711は、鉛直方向に移動可能である。また、可動コンベア711は、その上に載置されたプレートを図3中上から下へ搬送可能に駆動される。可動コンベア711のこれらの駆動は、図示しない駆動機構により実施される。
【0020】
図3に示されるように、可動コンベア711の図3中左右方向(以下、「幅方向」と称す)の寸法は、支持アーム111と113の幅方向間隔、支持アーム112と114の幅方向間隔よりも狭く形成されている。従って、可動コンベア711の各支持アーム111〜114の間にある部分に金属プレートMが無い時は、支持アーム111〜114と干渉することなく自在に上下動することが出来る。
【0021】
スタッカ100の支持アーム111〜114上に金属プレートMおよび被加工物Pを載置する手順につき、以下説明する。図4(a)〜(d)のそれぞれは、図2のB−B断面図である。なお、図中に示されているように、支持アーム111、113のそれぞれは、鉛直上方に延びるフック111h、113hを有している。支持アーム112、114もまた、同様の形状のフック112h、114hを有している(図3参照)。
【0022】
図4(a)はスタッカ100内に金属プレートMが搬送される前の状態を示したものである。図4(a)に示されているように、可動コンベア711の上面711aは、上側の支持アーム111〜114のフック111h〜114hの上端によって定義される水平面TS1よりも高い位置にある。なお、図4(a)の状態に先立って、可動コンベア711は、一旦固定コンベア712(図1)と同じ高さに移動し、固定コンベア712から金属プレートMに乗った被加工物Pの組を2組得ている。
【0023】
次いで、可動コンベア711の上面711aが前進(図3中で上から下に向かう方向)するように可動コンベア711が駆動され、被加工物Pを乗せた金属プレートMが可動コンベア711の各支持アーム111〜114の間にある部分(領域711b:図3)上に移動する。この状態を示したものが図4(b)である。この状態では、金属プレートMの底面は上側の支持アーム111〜114のフック111h〜114hの上端によって定義される水平面TS1よりも高い位置にある。従って、金属プレートMと支持アームのフック111h〜114hとが干渉することなく、金属プレートMおよび被加工物Pはスタッカ100内に搬送される。
【0024】
次いで、可動コンベア711は図4(c)に示される位置に降下する。この結果、金属プレートMは上側の支持アーム111〜114のフック111h〜114h上に載置される。
【0025】
次いで、可動コンベア711の上面711aが前進するように可動コンベア711が駆動され、もう一方の被加工物Pを乗せた金属プレートMが可動コンベア711の各支持アーム111〜114の間にある部分(領域711b:図3)上に移動する。この状態を示したものが図4(d)である。この状態では、金属プレートMの底面は下の支持アーム111〜114のフック111h〜114hの上端によって定義される水平面TS2よりも高い位置にあり、且つ金属プレートMの上端は最上端の支持アーム111〜114の下端によって定義される水平面BS1よりも低い位置にある。さらに、被加工物Pの幅方向の寸法は支持アーム111と113との間の間隙の幅方向寸法および支持アーム111と113との間の間隙の幅方向寸法よりも短く、また被加工物Pの最上端の高さは最上端の支持アーム111〜114のフック111h〜114hの上端によって定義される水平面TS1(すなわち、上段の金属プレートMの底面の位置)よりも低い位置にある。従って、下段の金属プレートMおよび被加工物Pは、上段の支持アーム111〜114のフック111h〜114hおよび上段の金属プレートMと干渉することなくスタッカ100内に搬送される。
【0026】
このように、図4(a)〜(d)の手順で可動コンベア711が駆動されることにより、上側の支持アーム111〜114の上と下側の支持アーム111〜114の上の夫々に、被加工物Pを乗せた金属プレートMが配置される。
【0027】
なお、アンスタッカ500並びに、アンスタッカ500側の可動コンベア721及び固定コンベア722は、夫々スタッカ100並びにスタッカ100側の可動コンベア711及び固定コンベア712と同一の構造となっている。アンスタッカ500から被加工物P及び金属プレートMを固定コンベア722に搬送する場合は、スタッカ100とは逆の操作(すなわち、図4(d)の状態から図4(a)の状態にする操作)を行う。
【0028】
次に、ローダ600の構成について説明する。図5は、ローダ600の側面図である。また、図6は図5のC−C断面図である。ローダ600は、スタッカ100、加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400及びアンスタッカ500との間で被加工物Pの搬入若しくは搬出を行うための第1移動機構640と、スタッカ100の手前からアンスタッカ500の手前まで移動するための第2移動機構630と、ローダ600が保持する被加工物Pの高さ方向の位置を変化させるための第3移動機構670とを備えている。また、図6に示されるように、ローダ600は、一対のアーム610、620によって、金属プレートMの幅方向(図1中左右方向、図6中上下方向)両端を支持することによって、金属プレートM及びその上の被加工物Pを保持するものである。
【0029】
図5に示されるように、第1移動機構640は、搬送方向かつ水平方向に渡された一対のボールねじ641、642と、このボールねじ641、642にそれぞれ係合するナット643、644と、ボールねじ641、642をそれぞれ回転駆動する第1モータ645とを有する。ナット643、644にはそれぞれアームガイド611、621が吊り下げられている。また、アームガイド611、621の夫々には、ローダアーム610、620が取りつけられている。従って、第1モータ645によってボールねじ641を回転駆動すると、ナット643、644と共にアームガイド611、621、およびローダアーム610、620が、スタッカ100、加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400及びアンスタッカ500に対して進退する方向(図5中左右方向)に移動する。ボールねじ641、642はローダ600の天井板650からつり下げられており、また第1モータ645は天井板650の上面に固定されている。第1モータ645の回転軸のトルクは、モータ645の回転軸に取り付けられた駆動プーリ646と、ボールねじ641、642の末端(図中右側)に設けられた従動プーリ641a、642aに渡された無端ベルト647を介して、ボールねじ641、642に伝達される。
【0030】
以上のように、第1移動機構640によって、ローダアーム610及び620は、スタッカ100、加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400及びアンスタッカ500の中に差し込まれて被加工物P及び金属プレートMの受け渡しや受け取りを可能とする位置と、スタッカ100、加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400及びアンスタッカ500から十分離れた位置との間で移動可能となる。なお、本実施形態では、第1移動機構640はボールねじ機構によってローダアーム610及び620を移動させるものであるが、ボールねじ機構の代わりに(油圧または空圧駆動の)シリンダ機構や、ラック−ピニオン機構等を使用してもよい。
【0031】
次に、第2移動機構630について説明する。ローダアーム610、620およびアームガイド611、621は上記のごとく天井板650から吊り下げられた状態で、第2移動機構630によって天井板650ごと移動するようになっている。
【0032】
図5に示されるように、第2移動機構630は、スタッカ100、加熱プレス部200、キュアプレス装置300、冷却プレス装置400及びアンスタッカ500の並び方向に平行に渡された一対のリニアレール631、632を有する。リニアレール631、632は、プレス装置システム1の装置フレーム2に固定されている。また、リニアレール631、632の夫々と係合する直同軸受は天井板650上に固定されている。このため、天井板650及び、ローダアーム610、620は、リニアレール631、632に沿って移動可能となっている。
【0033】
また、装置フレーム2からは、リニアレール631、632に沿って延びるラック635が吊り下げられている。また、天井板650の上には、第2モータ636が固定されている。第2モータ636の回転軸には、ラック635と係合するピニオン637が取り付けられている。従って、第2モータ636を駆動することによって天井板650、ローダアーム610、620をリニアレール631、632に沿って移動させることが出来る。
【0034】
なお、本実施形態では、第2移動機構630はラック−ピニオン機構によってローダアーム610、620を移動させるものであるが、ラック−ピニオン機構の代わりに(油圧または空圧駆動の)シリンダ機構や、ボールねじ機構等を使用してもよい。
【0035】
次に、第3移動機構670について説明する。第3移動機構670は、アームガイド611及び621の夫々に取りつけられた第3モータ671、672と、アームガイド611の内部に設けられた図示しない直動変換機構を有する。直動変換機構は、第3モータ671、672の出力軸の回転運動を、上下方向の直進運動に変換する機構(ラック−ピニオン機構やボールねじ機構等)である。アームガイド611及び621の設けられた直動変換機構は、夫々ローダアーム610及び620と連結されている。そのため、第3モータ671、672を駆動することによってローダアーム610及び620を上下方向に移動させることが可能である。
【0036】
なお、本実施形態は、第3移動機構670は、回転モータである第3モータ671、672と直動変換機構の組合せによってローダアーム610及び620を上下方向に移動するものであるが、上記機構の変わりに、シリンダ機構等を用いてローダアーム610及び620を上下方向に移動させる構成としてもよい。
【0037】
以上のように、ローダ600は、金属プレートMを支持するローダアーム610及び620を、3軸方向に平行移動させることができる。
【0038】
ローダ600による、スタッカ100からの被加工物Pの取り出し手順について説明する。図7(a)は、スタッカ100をローダアーム610及び620の進退方向に垂直な平面(図3のB−B線に相当)で切断した断面図である。また、図7(b)及び(c)は、スタッカ100及びローダ600をローダアーム610及び620の進退方向に垂直な平面(図3のB−B線に相当)で切断した断面図である。また、図7(d)は、ローダ600をローダアーム610及び620の進退方向に垂直な平面(図6のD−D線に相当)で切断した断面図である。
【0039】
図7(a)は、ローダアーム610、620がスタッカ100に挿入される前の状態を示したものである。この状態では、ローダ600はスタッカ100の手前に移動している。
【0040】
次いで、ローダアーム610及び620をスタッカ100に向けて前進させる。この結果、図7(b)のように、ローダアーム610、620はそれぞれ、金属プレートMの幅方向両端(図中左右端)の底面と、支持アーム111〜114との間の間隙部に挿入される。本実施形態においては、金属プレートMの幅方向両端をクランク状に折り曲げて、金属プレートMの幅方向両端の底面と、支持アーム111〜114との間の間隙部の高さ方向寸法を大きく取り、ローダアーム610、620を挿入しやすくしている。
【0041】
次いで、ローダアーム610及び620を上昇させる。この結果、図7(c)のように、金属プレートMがローダアーム610及び620にすくい取られ、支持アーム111〜114から離れる。
【0042】
次いで、ローダアーム610及び620をスタッカ100から離れる方向に後退させる。この結果、図7(d)のように、金属プレートMはローダアーム610、620に支持されたままローダアーム610及び620と共に後退してスタッカ100から引き出される。
【0043】
なお、前述のように、アンスタッカ500は、スタッカ100と同一の構造となっている。アンスタッカ500に被加工物P及び金属プレートMを収容させる場合は、スタッカ100から被加工物Pを取り出す時とは逆の操作(すなわち、図7(d)の状態から図7(a)の状態にする操作)を行う。
【0044】
スタッカ100から取り出された被加工物Pは、ローダ600によって加熱プレス部200に運搬され、そこで加熱しながら加圧されて成形される。加熱プレス部200の構成について以下に説明する。
【0045】
図8は、加熱プレス部200の正面図である。図8に示されるように、加熱プレス部200は、第1加熱プレス装置200A、第2加熱プレス装置200B及び第3加熱プレス装置200Cが上下方向に並べられた構成となっている。第1加熱プレス装置200A、第2加熱プレス装置200B及び第3加熱プレス装置200Cは共に同一の構造を有している。以下、第3加熱プレス装置200Cについて説明するが、第1加熱プレス装置200A、第2加熱プレス装置200Bについても同様である。
【0046】
図8に示されるように、第3加熱プレス装置200Cは、上部ブロック201aと、下部ブロック201bとの間に、上部熱盤211、中間熱盤212、下部熱盤213が上下方向に並べられた構成となっている。また、中間熱盤212と下部熱盤213の上に、それぞれ金属プレートMに乗せられた被加工物Pが配置されるようになっている。
【0047】
上部熱盤211は、上部ロッド202を介して、上部ブロック201aに固定されている。また、下部ブロック201bは、油圧シリンダ機構203を内蔵している。油圧シリンダ機構203は、シリンダ203aを下部ブロック201aに対して上下動させる装置である。シリンダ203aには、下部熱盤213が固定されており、油圧シリンダ機構203を駆動することによって、下部熱盤213を上下動させることができる。
【0048】
中間熱盤212は、水平方向に広がる板状の部材である中間熱盤支持フレーム212aと一体に形成されている。図8に示されるように、加熱プレスが行われていない状態(各熱盤の間隔が十分に開いている状態)では、中間熱盤支持フレーム212aは、装置フレームの側部ブロック201cに設けられている中間熱盤支持用突出部201dの上に載っており、これによって、中間熱盤212は下部熱盤213から間隔をおいて浮上した状態を保つ。
【0049】
図8の第3加熱プレス装置200Cの状態から、油圧シリンダ機構203を駆動して下部熱盤213を上昇させると、下部熱盤213上の被加工物Pの上面が中間熱盤212の下面に当接する。そして、下部熱盤213をさらに上昇させると、中間熱盤212は、中間熱盤支持用突出部201dから浮上する。そして、さらに下部熱盤213を上昇させると、中間熱盤212上の被加工物Pの上面が上部熱盤211の下面に当接する。すなわち、図8の第1加熱プレス装置200Aや第2加熱プレス装置200Bの状態のように、2枚の被加工物Pの夫々が、上部熱盤211と中間熱盤212の間及び中間熱盤212と下部熱盤213との間に挟まれた状態となる。この状態から、さらに油圧シリンダ機構203を駆動することによって、被加工物Pが熱盤間で加圧される。
【0050】
図8に点線で示すように、熱盤211〜213の夫々には、熱媒油が通される。この熱媒油はポンプ231によって熱盤211〜213内を循環するようになっている。この熱媒油の循環系路の中途には、熱媒油の温度を調整するための温度調整手段232が設けられており、所望の温度に加熱された熱媒油を熱盤内を含む循環系路(図8中破線部)で循環させることによって、熱盤211〜213の温度を所望の温度とすることができる。
【0051】
また、図8に示されるように、上部熱盤211、中間熱盤212及び下部熱盤213、並びに熱盤間に配置された被加工物Pの外側には、互いに向かい合わせとなるよう配置された升形の上部容器221及び下部容器222を有する真空チャンバ220が配置されている。上部容器221と下部容器222の夫々は、図示しない駆動機構によって上下方向に移動可能に構成されており、上部容器221が上側に、下部容器222が下側に退避して、上部容器221と下部容器222の間から被加工物Pのローダ600による搬入及び搬出(後述)を可能とする、図8における第3加熱プレス装置200Cの状態と、上部容器221が下側に、下部容器222が上側に移動して両者が一体となり、その内部に上部熱盤211、中間熱盤212及び下部熱盤213、並びに熱盤間に配置された被加工物Pが収容される、図8における第1加熱プレス装置200A及び第2加熱プレス装置200Bの状態とを切り換えることが可能となっている。
【0052】
上部容器221の上面には上部ロッド202を通すための開口221aが形成されており、同様に、下部容器222の下面にはシリンダ203aを通すための開口222aが形成されている。また、上部ロッド202の外周面を覆うように、上部ベローズ223aが設けられている。上部ベローズ223aの上端は上部ブロック201a下面と隙間なく接合されており、また、その下端は上部容器221の開口221aの周縁部に隙間なく接合されている。同様に、シリンダ203aの外周面を覆うように、下部ベローズ223bが設けられている。下部ベローズ223bの上端は下部容器222の開口222aの周縁部に隙間なく接合されており、また、その下端は下部ブロック201bの上面と隙間なく接合されている。このように、上部容器221の開口221aと上部ロッド202との間の隙間、及び下部容器222の開口222aとシリンダ203aとの間の隙間は、夫々ベローズ223a及び223bによって隙間なくふさがれた状態となっている。そのため、図8における第1加熱プレス装置200A及び第2加熱プレス装置200Bの状態のように、上部容器221と下部容器222とが一体となった状態では、真空チャンバ220の内部は外気から密閉されることになる。
【0053】
なお、図8に示されるように、中間熱盤支持フレーム212aは、上部容器221と下部容器222との間に挟み込まれた状態となる。中間熱盤支持フレーム212aが上部容器221及び下部容器222からはみ出さず、完全に真空チャンバ220内に収容されるような場合は、上部容器221の下縁と下部容器222の上縁とを突き合わせて両者を密着させる必要があり、上部容器221と下部容器222とを正確に位置決めする必要があるが、本実施形態においては、比較的面積の広い中間熱盤支持フレーム212aと、上部容器221及び下部容器222の夫々を密着させればよいため、上部容器221及び下部容器222を移動させる際に、正確な位置決めを行う必要はない。
【0054】
また、図8に示されるように、第1〜第3加熱プレス装置200A〜200Cの真空チャンバ220の内部空間は、エア配管(図8中一点鎖線)を介して真空ポンプ241が接続されている。真空チャンバ220の内部が外気から密閉された状態で真空ポンプ241を駆動することによって、真空チャンバ220の内部を真空引きすることができる。また、第1〜第3加熱プレス装置200A〜200Cと真空ポンプ241とを接続するエア配管の中途には、夫々ストップ弁242A〜242Cが配置されている。ストップ弁242A〜242Cを選択的に閉じることによって、真空引きを行いたい真空チャンバ220内のみを真空引きしたり、真空引きが終わった真空チャンバ220内を真空に保ったりすることができる。
【0055】
本実施形態においては、真空チャンバ220の圧力を200Pa以下まで真空引きした後、被加工物Pの加圧が行われるようになっている。このような構成とすると、被加工物内のボイドからの脱気が促進され、また、被加工物Pの樹脂材料の流動性を向上させることができ、0.49MPa程度の低いプレス圧で、被加工物Pの成形が可能となる。これにより、加熱プレス装置200A〜200Cのフレームの剛性は従来の高いプレス圧を必要としていたプレス装置よりも低くすることができ、加熱プレス装置200A〜200Cを小型化することができる。
【0056】
また、上記のように、本実施形態においては、一度に2組の被加工物Pを同時に真空下で加熱プレス可能な加熱プレス装置を3台使用している。このような構成は、例えば一度に6組の被加工物Pを真空下で加熱プレス可能な6段構成の(すなわち、5枚の中間熱盤212を有する)加熱プレス装置を1台のみ有する構成と比較すると、加熱プレス装置一台あたりの段数が少ないため、スリップ事故の発生を防止しまた成形製品の厚みのバラツキが抑えられる。また、加熱プレス装置一台あたりの真空チャンバ220の容積は小さなものとなるため、真空チャンバ220の真空引きに必要な真空ポンプ241は、小型で低出力のものが使用できる。
【0057】
本実施形態においては、加熱プレス装置200A〜200Cは、タンデム動作するようになっている。具体的には、コントローラ800(図1)は、加熱プレス装置200A〜200Cの夫々が加熱プレスを行うタイミングをずらすように、ローダ600を制御して被加工物Pの加熱プレス装置200A〜200Cへの搬入及び搬出を行っている。例えば、第1加熱プレス装置200Aに被加工物Pを搬入して第1加熱プレス装置200Aに加熱プレスを行わせた後、ローダ600は、第1加熱プレス装置200Aよりも先に被加工物Pが搬入されて加熱プレスの終わった第2加熱プレス装置200Bから被加工物Pを取り出して次工程であるキュアプレス装置300に搬入し、次いでスタッカ100から新しい(加熱プレス前の)被加工物Pを取り出して、被加工物Pの加熱プレスを行っていない第2加熱プレス装置200Bに搬入する。被加工物Pの移動に必要な時間は、被加工物Pの加熱プレスに必要な時間よりも十分に短いため、3組の加熱プレス装置200A〜200Cのうちの2組で加熱プレスを行っている間に、残りの1組の加熱プレス装置に対して被加工物Pの搬入及び搬出を行うことが可能となっている。このため、ローダ600によって一度に移動可能な被加工物Pの数は2組でよく、ローダ600を小型化することができる。
【0058】
また、本実施形態のプレス装置1の上流工程である、プリプレグシートと銅箔とを重ね合わせて被加工物Pを形成する仕組み工程において、一枚の被加工物Pの形成に必要な時間は、加熱プレス装置200A〜200Cによる加熱プレスに必要な時間の6分の1強であるため、一度に2組の被加工物Pを加熱プレスすることができる加熱プレス装置を3組用意することによって、仕組み工程を止めることなく被加工物の成形を行うことが可能である。また、このような構成では、スタッカ100に保管された被加工物Pは、3組の加熱プレス装置200A〜200Cのうちのいずれか一つの加熱プレス装置での加熱プレスが終了後すぐに加熱プレスが終了した加熱プレス装置に搬入されるので、スタッカ100に保管可能な被加工物の数を、各加熱プレス装置が一度に加熱プレスを行うことのできる被加工物Pの数と同数(すなわち2組)まで減らすことが可能となる。このように、本実施形態によれば、スタッカ100を小型化することができる。
【0059】
前述のように、ローダ600は、ローダアーム610及び620を上下方向、及び各加熱プレス装置200A〜200Cに対して進退させる方向に移動させることができるため、スタッカ100から被加工物Pを搬出する時と同様の手順で、加熱プレス装置200A〜200Cから被加工物Pを搬出することができるようになっている。同様に、アンスタッカ500に被加工物Pを搬入する時と同様の手順で、加熱プレス装置200A〜200Cに被加工物Pを搬入することができるようになっている。
【0060】
次にキュアプレス装置300の構成について説明する。図9は、キュアプレス装置300の正面図である。キュアプレス装置300は、熱盤間で被加工物Pを挟み込むことによって被加工物Pの形状を保持しながら、熱盤にて被加工物Pを加熱して、被加工物Pに含まれる樹脂材料を完全に反応させるキュアプレスを行う装置である。キュアプレスは、上流工程である加熱プレスと比べて、被加工物Pの内部まで完全に加熱する必要があるため処理が完了するまでに時間を要する。このため、キュアプレス装置300で一度にプレス可能な被加工物Pの数は、加熱プレス部200でプレス可能な被加工物Pの数(6組)の数倍であり、本実施形態では、24段である。
【0061】
図9に示されているように、キュアプレス装置300は、上部熱盤311、複数の中間熱盤312及び下部熱盤313が上下方向に配列されており、各熱盤間に被加工物Pを1組ずつ配置することができる。すなわち、キュアプレス装置300は、最大で中間熱盤312の枚数+1組の被加工物Pを収容することができる。なお、図9では省略しているが、加熱プレス部200と同様、被加工物Pは金属プレートM上に乗せられた状態でキュアプレス装置300に搬入されるようになっている。下部熱盤313の下には、テーブル定盤332が配置されている。また、テーブル定盤332の下面にはモータ342が取り付けられている。モータ342の回転軸には下方に伸びるボールねじ344が同軸に固定されており、モータ342によってボールねじ344を回転させることができる。ボールねじ344の下端にはナット346が取り付けられている。ナット346はキュアプレス装置300の装置フレーム302に固定されている。従ってモータ342を駆動することによって、テーブル定盤332を上下動させることができる。キュアプレス装置300によって被加工物Pをプレスする際はテーブル定盤332を上昇させる。テーブル定盤332及びテーブル定盤332に固定されている下部熱盤313が上昇すると、下部熱盤313によって複数の中間熱盤312及び上部熱盤311が順次持ち上げられ、各熱盤間に被加工物Pが挟み込まれた状態となる。
【0062】
ここで、本実施形態においては、キュアプレスは大きなプレス圧を必要としないため、上部熱盤211の重さだけで、キュアプレスに必要な十分なプレス圧が得られるようになっている。また、本実施形態においては、上記のように、キュアプレス装置300は、数10段にも亙る多段プレス装置となっているが、キュアプレス装置300は、加熱プレス装置200A〜200Cとは異なり、既に加熱プレス部200である程度の成形が完了して形状が安定している被加工物Pをさらにプレスするものであるため、多段プレスとしても成形製品の厚みのバラツキが生じることはない。また、上記のようにキュアプレスは大きなプレス圧を必要としないため、スリップ事故が発生することもない。
【0063】
また、上部熱盤311、複数の中間熱盤312及び下部熱盤313は、各熱盤内に設けられた図示されないヒータによって加熱されるようになっている。従って、キュアプレス装置300の熱盤間に配置された被加工物Pは、熱盤間でプレスされることによって加熱される。
【0064】
次いで、キュアプレス装置300の熱盤間に被加工物Pを配置し、更に熱盤間から被加工物Pを取り出すための構成について説明する。
【0065】
本実施形態においては、ローダ600によって搬送される2組の被加工物Pを、複数の中間熱盤312及び下部熱盤313のうちの、連続する所望の2枚の熱盤の上に移動させることが出来るようになっている。この目的のため、連続する3枚の熱盤を、該3枚の熱盤の内の下の2枚の上に被加工物Pをローダ600が搬入又は搬出可能な高さに、移動させることが出来るようになっている。このため、連続する2枚の所望の熱盤(上部熱盤311及び中間熱盤312の連続する2枚)の高さを、所定高さに固定することができるようになっている。
【0066】
上部熱盤311及び中間熱盤312の高さを固定する機構について説明する。図9に示されるように、熱盤の幅方向(図中左右方向)両側には、シリンダ372とこのシリンダ372から幅方向内側に突出するロッド374とを備えた熱盤保持部材370が2段設けられている。また、上部熱盤311及び中間熱盤312の幅方向両側面には2対の穴Hが形成されており(すなわち、一つの熱盤に穴Hが4つ形成されている)、且つ連続する2枚の熱盤を間隔をおいて固定する必要があるため、熱盤保持部材370は、一段につき4つ、全体で8つ設けられている。
【0067】
熱盤保持部材370のシリンダ372は、固定支柱376によって、フレーム302に固定されている。また、ロッド374は、シリンダ372から幅方向内側に突出するよう構成されている。ロッド374は、熱盤の穴Hに差し込まれる程度にシリンダ372から突出する固定位置(図9の状態)と、熱盤の穴Hに差し込まれないよう幅方向外側に退避する退避位置との間で進退可能となっている。ロッド374は熱盤保持部材370の図示しない駆動手段によって、固定位置と退避位置との間を移動するよう駆動される。なお、駆動手段は、油圧、空圧、或いはソレノイドを用いてロッド374を駆動するようになっている。
【0068】
前述のように、熱盤保持部材のシリンダ372は移動しないよう固定されているので、テーブル定盤332を駆動して上側の段の熱盤保持部材370のロッド374と熱盤の高さを揃え、次いでロッド374を退避位置から固定位置に駆動すると、ロッド374が熱盤の穴Hに差し込まれる。この結果、ロッド374が差し込まれた熱盤、及びこの熱盤の上にある他の熱盤および被加工物Pは、熱盤保持部材370に支持される。この状態からテーブル定盤332を降下させると、ロッド374が差し込まれている熱盤から、その下の熱盤が離れ、両熱盤の間にスペースができる。次いで、上側の段の熱盤保持部材370に保持された熱盤の下の熱盤と下側の段の熱盤保持部材370のロッド374の高さを揃え、次いでロッド374を退避位置から固定位置に駆動すると、この熱盤が固定される。そして、テーブル定盤332をさらに降下させると、図9のように、熱盤保持部材370に固定された2枚の熱盤と、その下の熱盤とが、間隔をおいて配置される。この状態で、ローダ600によって、2組の被加工物Pの搬入又は搬出を行うことができる。
【0069】
上記の機構により、キュアプレス装置300は、任意の連続する3枚の熱盤の間隔を空けることができる。なお、この状態であっても、間隔を空けられていない熱盤間では被加工物Pのプレスが維持される。
【0070】
前述のように、キュアプレスは加熱プレスよりも時間を要するが、本実施形態においては、キュアプレス装置300で同時にプレス可能な被加工物Pの数を加熱プレス部200が同時にプレス可能な被加工物Pの数(6組)の数倍とすることにより、加熱プレス部200等の上流工程を止めることなく、加熱プレスが完了した被加工物Pをすぐにキュアプレスする事ができるようになっている。
【0071】
なお、キュアプレス装置300に対する被加工物Pの搬入及び搬出は、加熱プレス装置20A0〜200Cに対して被加工物Pを搬入及び搬出する時と同様、ローダアーム610及び620(図5、図6)を移動させることによって行われる。
【0072】
ローダ600は、キュアプレス装置300から搬出された被加工物Pを冷却プレス装置400に搬入する。冷却プレス装置400は、被加工物Pが反らないように冷却盤間で被加工物Pを挟み込んだ状態で、冷却盤の温度を低下させて被加工物Pを常温まで冷却する冷却プレスを行う装置である。冷却プレス装置400は、キュアプレス装置300と同様の構造となっており、熱盤311〜313の代わりに、温度が低く保たれた冷却盤を使用するものである。なお、冷却盤を冷却する手段としては、装置外部に設けられたクーラによって温度が低く保たれた熱媒油を、冷却盤内を含む熱媒経路内を循環させるもの等が使用される。
【0073】
そして、冷却プレスされた被加工物Pは、ローダ600によって順次搬出され、アンスタッカ500に搬入される。
【0074】
以上が本実施形態のプレス装置システム1の構成である。なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、その一部を変更した構成もまた、本発明に含まれる。例えば、本実施形態においては、加熱プレス部200は、複数の加熱プレス装置200A〜200Cが、上下方向に並べて配置されているが、複数の加熱プレス装置が水平方向に並べられた構成もまた、本発明に含まれる。ただし、本実施形態の、複数の加熱プレス装置200A〜200Cが上下方向に並べた構成は、プレス装置システム1全体の設置スペースを低減させることができるため、より好適であると言える。
【符号の説明】
【0075】
1 プレス装置システム
100 スタッカ
200 加熱プレス部
200A〜C 加熱プレス装置
201d 中間熱盤支持用突出部
202 上部ロッド
203 油圧シリンダ機構
203a シリンダ
211 上部熱盤
212 中間熱盤
212a 中間熱盤支持フレーム
213 下部熱盤
220 真空チャンバ
221 上部容器
222 下部容器
223a 上部ベローズ
223b 下部ベローズ
300 キュアプレス装置
400 冷却プレス装置
500 アンスタッカ
600 ローダ
800 コントローラ
M 金属プレート
P 被加工物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並べられた複数の熱盤と、
前記複数の熱盤の間隔を変化させて、隣接する熱盤間で被加工物のプレスを可能とする熱盤駆動機構と、
前記熱盤を加熱可能な加熱手段と
前記熱盤を覆う真空チャンバと
を備え、前記真空チャンバ内で前記熱盤間に被加工物を挟んで加熱プレスする複数の加熱プレス装置と、
前記複数の加熱プレス装置に対して被加工物の搬入及び搬出を行うローダと、
前記複数の加熱プレス装置及び前記ローダの制御を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記複数の加熱プレス装置の1つで前記被加工物の加熱プレスを行っている間に、他の加熱プレス装置及び前記ローダを制御して、他の加熱プレス装置に対して被加工物の搬入及び搬出を行う
ことを特徴とするプレス装置システム。
【請求項2】
前記複数の加熱プレス装置は、上下方向に並べて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプレス装置システム。
【請求項3】
前記複数の加熱プレス装置のそれぞれは、上下方向に並べられ前記熱板が固定される一対の定盤を有し、
前記複数の熱盤は、前記一対の定盤の夫々に固定されている熱盤の間に配置された少なくとも1枚の中間熱盤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレス装置システム。
【請求項4】
前記中間熱盤の枚数が1枚であり、
前記真空チャンバは、前記中間熱盤を保持する中間熱盤保持プレートを挟み込むように閉じて内部を外部から密閉する上下一対の升形容器を有することを特徴とする請求項3に記載のプレス装置システム。
【請求項5】
前記複数の加熱プレス装置の前記真空チャンバから空気を除去する真空ポンプと、
前記制御手段に制御され、前記複数の加熱プレス装置の真空チャンバのいずれから空気を除去するかを切り換える切替弁と
を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプレス装置システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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