プレパラート用グリッパーヘッド
【課題】 プレパラート周縁を水平把持可能で、顕微鏡ステージ上の狭い空間内に効率的に搬送できる程度に充分に軽量小型、薄型化してなる新たなロボットハンド技術を提供する。
【解決手段】 凹状装着部21に薄型コイル30を装着し、該凹状装着部21を挟む左右端がわ夫々に左右ガイドレール部24,24を形成したベース2を設けると共に、進退枠60から薄型マグネット32を有するヨーク61を突設し左右端がわから左右スライドピン64,64を延伸した可動体6を形成し、該薄型マグネット32を薄型コイル30に対峙可能とするよう、左右スライドピン64,64夫々を左右ガイドレール部24,24に前後進退自在に組み込んだ上、ベース2の後辺寄り下面適所、および、可動体6進退枠60の下面適所夫々に、三点クランプピン9を垂下、突設してなるプレパラートP用グリッパーヘッド1である。
【解決手段】 凹状装着部21に薄型コイル30を装着し、該凹状装着部21を挟む左右端がわ夫々に左右ガイドレール部24,24を形成したベース2を設けると共に、進退枠60から薄型マグネット32を有するヨーク61を突設し左右端がわから左右スライドピン64,64を延伸した可動体6を形成し、該薄型マグネット32を薄型コイル30に対峙可能とするよう、左右スライドピン64,64夫々を左右ガイドレール部24,24に前後進退自在に組み込んだ上、ベース2の後辺寄り下面適所、および、可動体6進退枠60の下面適所夫々に、三点クランプピン9を垂下、突設してなるプレパラートP用グリッパーヘッド1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄型小平板状物体を水平姿勢で運搬可能に把持、解放可能とするロボットハンド、ロボットフィンガー、チャックおよびグリッパー類に関連するものであり、特に顕微鏡観察用の標本などを効率的に取り扱うことができるグリッパーヘッドを製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
地域医療および遠隔医療の発展に伴い、近年はテーラーメード医療へのニーズが高まり、国内外の課題となっている病理医の不足を補う新たな診断ツールとして、患者から得られた臓器、組織、血液、細胞、分子、遺伝子などから顕微鏡標本を作製し、光学顕微鏡や電子顕微鏡に供給しながらデジタル映像化するバーチャルスライド作製装置(バーチャルスライド:登録商標)の導入が進められているが、多くの顕微鏡標本をデジタル映像化する作業は、検体1枚当りに費やす時間が、検体の大きさや意図とする精査に対応する倍率により異なるが概ね数分〜数十分必要で、多大な時間と労力負担とを強いられる上、撮影処理の間オペレーターが常時機器の前で待機している必要があり、大変非効率的なものとなっていた。
【0003】
こうした従来型のバーチャルスライド作製装置(バーチャルスライド:登録商標)については、プレパラート上に載置した組織や血液などを顕微鏡の撮像ステージ上に水平且つ安全に移送するのが不可能で、データ化作業の無人化ができないという致命的な欠点を有し、こうしたプレパラートの移送技術を実現化できれば、昼夜を問わず無人でデジタル映像データを作成できる上、そのデータを保存したパーソナルコンピュータで検査データの作成と同時に補助的な診断ができるシステムを実現化できる可能性がある。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、撮像部に対し、搭載した試料(プレパラート)を水平方向および垂直方向に移動させるステージ移動部を設け、画像処理部および記録・再生部を有する顕微鏡システムをはじめ、特許文献1(2)に示されているように、プレパラート収納マガジンから、試料の入ったプレパラートを負圧により吸着保持して取り出し、顕微鏡の対物レンズの直下に移動させるプレパラート保持ハンドを有したプレパラート自動交換装置、または特許文献1(3)に見られるような、装置本体に収容された多数枚のガラス板の最下位のガラス板と接触するローラを駆動し、ガラス板とローラとの摩擦力によってガラス板を送出するようにしたプレパラート用ガラス板自動操出装置、さらにまた特許文献1(4)のような、グリッパー上部の駆動機構を薄型化し、搬送作業空間を効率的に活用できるようにした移送ロボット用ハンド装置などが散見される。
【0005】
しかし、上記の中の特許文献1(1)に示されているような顕微鏡システムなどは、画面上に表示された試料の観察箇所や倍率を指定すると、所望する部位を画面中央に移動し、所望倍率で表示することができ、診断作業の効率を大幅に改善できるものとなっているが、顕微鏡ステージ上にプレパラートを搬送する技術については、従来型のものとなっていて、多数の試料を効率的にデジタル画像化することが難しいという課題を残すものであり、また特許文献1(2)のプレパラート自動交換装置のように、多数枚のプレパラートを顕微鏡のステージ上に、順次、自動的に搬送および搬出可能としたものなどは、そのプレパラート保持ハンドに設けた一対のフィンガ部上面に吸引孔を開口してあり、プレパラートを搬送する場合には、プレパラートの両端部を、夫々下方から水平に支持すると共に、吸引孔を負圧にして吸引、仮固定するものとなっているが、プレパラートの下がわにフィンガ部を潜り込ませなければならず、フィンガ部を挿入可能なプレパラート専用収容ケースや、専用の顕微鏡ステージなどが不可欠なものとなってしまう上、負圧を発生する真空ポンプなどの負圧源が不可欠で装置が大型化してしまうという難点を有することとなる。
【0006】
そして、特許文献1(3)に取り上げたプレパラート用ガラス板自動操出装置などのように、ローラの摩擦力で搬送するものは、送出効率に秀れているが、プレパラートを積層状に収納しなければならず、標本の搬送には利用不可能である上、収納箱のスリットを通じて送出するだけでは、顕微鏡ステージ上の適切な位置にプレパラートを供給することができないという課題を残すものであり、また特許文献1(4)に代表する移送ロボット用ハンド装置などにあっては、左右のグリッパー上部夫々にリンク機構を配し、それらリンク機構の支点を中心に回動状に開閉動作し、搬送対象物を把持、離脱するものとしてあることから、必ず左右グリッパーの上部に、その開閉距離に応じた半径寸法分の空間を確保しなければならず、ハンド装置自体の大型化を招いてしまい、顕微鏡の対物レンズへの緩衝などの問題を生じてしまうという欠点があるだけではなく、さらに、リンク機構を採用した左右グリッパーは、形状やサイズの異なるプレパラートを把持できなくなる可能性があるという致命的な問題もあった。
【特許文献1】(1)特開平5−241075号公報 (2)特開2005−292725号公報 (3)実開平5−61143号公報 (4)特開2000−225590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種顕微鏡システム、および各種プレパラート自動交換装置やプレパラート用ガラス自動操出装置類などは、何れも無人で効率的に、多数枚のプレパラートを顕微鏡ステージ上に順次供給、送出しながら、無人でデジタル画像データ化することは非常に困難であり、特に、プレパラートを把持、搬送するハンド装置類は、真空ポンプなどが不可欠で大型化してしまったり、構造の複雑なリンク機構を駆使したものでは、搬送の対象が略一定形状、寸法のプレパラートに制限されてしまったりと様々な欠点を残すものであり、永年、様々な利用者に対し、画像処理装置の開発、提供に携わり、顕微鏡画像のデジタル映像化技術を提供し続けてきている中、それらから得られた様々な知見やユーザーからの情報などを契機に、顕微鏡ステージ上の狭いスペースにプレパラートを水平姿勢のまま周囲に干渉することなく搬送し、各部の摩耗を避ける目的からステージ上でプレパラートを滑らせることなく安全に把持、移送するという機能上の課題を解決するのは勿論のこと、装置の大型化を阻止し、スペース効率を高めたものとすると共に、デジタル画像化作業工程上からも、正確且つ効率的なデータ化を実現可能とするための構成につき、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、プレパラートの周縁端面の複数箇所を同時把持且つ水平保持可能とする上、顕微鏡ステージ上と対物レンズとの極狭い空間内に効率的にプレパラートを搬送できる程度に充分に軽量・小型・薄型化してなる新たなロボットハンド技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のプレパラート用グリッパーヘッドを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとした、構成を要旨とするプレパラート用グリッパーヘッドである。
【0010】
この基本的な構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドは、その表現を変えて示すならば、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成し、当該駆動モータが可動体をベースに対して前進駆動した場合に三点クランプピンを開放し、当該駆動モータが可動体をベースに対して後退駆動した場合に、三点クランプピン間に水平姿勢のプレパラート外周縁の三点を挟持可能としてなるものとした構成を要旨とするプレパラート用グリッパーヘッドである。
【0011】
より具体的には、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込んだ上、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとした構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドとなる。
【0012】
また、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込んだ上、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベース凹状装着部の左右がわ後辺寄りとなる下面左右対称箇所夫々に左右後クランプピン、および、可動体進退枠の左右間中央となる下面適所に中前クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとした構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドとすることができる。
【0013】
さらに、表現を変えて示すと、矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方を装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか一方を装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のベースを設けると共に、該ベース前辺に表凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠の左右間中央から、表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を有する表ヨークを突設し、該表進退枠の表ヨークを挟む左右端がわから表左右スライドピンを互いに平行に延伸した表可動体を形成し、該表可動体表進退枠の表ヨーク薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を当該ベース表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、該ベース後辺に裏凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠の左右間中央から、裏凹状装着部薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を有する裏ヨークを突設し、該裏進退枠の裏ヨークを挟む左右端がわから裏左右スライドピンを互いに平行に延伸した裏可動体を形成し、該裏可動体裏進退枠の裏ヨーク薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型裏コイル薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設けた上、当該ベースを水平姿勢とした場合の表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか一方の下面左右端寄りとなる左右対称箇所に左右クランプピン、および、表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか他方の左右間中央となる下面適所に中央クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとした構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドとなる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、充分に軽量・小型・薄型化し、プレパラートの周縁端面の複数箇所を同時把持且つ水平保持可能とする上、顕微鏡ステージ上と対物レンズとの極狭い空間内に干渉せずに移動可能で、しかも顕微鏡ステージ上を滑らせる必要が無いので、プレパラートやステージを摩耗させないという効果を発揮し、水平姿勢のプレパラートを効率的且つ迅速、静粛に高精度で搬送できるものとなり、従前までは全く不可能とされていた多数枚のプレパラートを無人で連続供給、排出しながら顕微鏡画像をデジタル映像データ化する技術を実現化できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0015】
加えて、ベース下面左右対称箇所夫々に左右後クランプピン、および、可動体進退枠の左右間中央となる下面適所に中前クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものは、可動体進退枠に左右後クランプピンを設けた場合よりも、該可動体進退枠を軽量化し、その開閉速度を高めると共に、開閉時の振動や衝撃を抑えることができ、駆動モータや左右ガイドレール部および左右スライドピンへの負担を大幅に軽減し、搬送速度、耐久強度および静粛性を一段と高めたものとすることができる。
【0016】
さらに、ベースを水平姿勢とした場合の前辺に表進退枠、後辺に裏進退枠を組み込んでなるものは、三点クランプピンの左右クランプピンおよび中央クランプピンが互いに進退移動して開閉動作するものとなるから、各表裏進退枠の進退移動距離を半減し、格段に高速の開閉動作を実現化することができる上、プレパラートへの衝撃を大幅に軽減し、一段と静粛で高精度、迅速且つ安定な自動搬送を実現化することができ、しかも、ベース表・裏凹状装着部の夫々に薄型表・裏マグネットを装着し、表・裏ヨークに薄型表・裏コイルを夫々設けたものの場合には、薄型表・裏コイル同士双方間で磁気の干渉を生じるのを一段と確実に防止し、誤作動の発生を一層確実に防止可能なものとすることができるという秀れた効果を奏するものとなる。
【0017】
そして、ベース適所にロボットアームの先端などに着脱可能となる取付部を形成し、また、三点クランプピンの夫々にクッションパイプを装着してなるものは、ロボットアームへの脱着が容易で様々なロボットアームへの装着、利用を可能とし、しかもクッションパイプが、プレパラート周縁端面への接触摩擦力および緩衝性能を格段に高め、一段と確実な把持性能を実現化出来ると共に、プレパラートおよび三点クランプピンの摩耗を大幅に低減可能なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ベースは、グリッパーヘッドをロボットアームやスライドレールなどの移動装置がわに着脱不能か、または、着脱可能かの何れかにて装着可能とすると共に、駆動モータの薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方、および可動体を組込み可能、且つ、夫々動作可能とする機能を果たすものであり、矩形状平板前後辺の少なくとも何れか一方に、可動体の進退枠を進退自在に設けることができるものとし、しかも軽量、薄型のものとしなければならず、後述する実施例に示すように、必要に応じて駆動モータなど内部構造を保護可能な外カバー類を装着してなるものとすることができ、また、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したものとするのが望ましい。
【0019】
また、ベースは、矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表マグネットを装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏マグネットを装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のものとすることが可能である外、後述する実施例に示すように、矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表コイルおよびそれ用の電力供給部を配線装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏コイルおよびそれ用の電力供給部を配線装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のものとすることが可能である。
【0020】
ベースの凹状装着部は、ベースの適所に、可動体進退駆動用となる駆動モータ用の薄型マグネットかまたは薄型コイルかの何れか一方を配線装着可能とする機能を担い、少なくとも1つの凹状装着部は、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ベースの前後辺がわに表裏進退枠を夫々配したものの場合に、矩形状平板表裏面壁の中、表面壁には、前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部、また、同裏面壁には、後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部を夫々形成してなるり、しかもそれら表裏凹状装着部は、互いに前後反転配置としたものとすることができる。
【0021】
ベースの左右ガイドレール部は、可動体の左右スライドピンを互いに平行に案内し、可動体をベースに対し、進退自在に組み込み可能とする機能を担い、ベースの凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、同ベース前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行に形成したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ベース矩形状平板の肉厚寸法範囲内であって表面壁寄りとなる位置か、または、同表面壁に露出する位置かの何れかに表左右ガイドレール部を形成し、ベース矩形状平板の肉厚寸法範囲内であって表面壁とは反対がわの裏面壁寄りとなる位置か、または、同裏面壁に露出する位置かの何れかに裏左右ガイドレール部を形成してなるものとすることができる外、適所に左右スライドピンの進退動作を低摩擦化、および衝撃吸収して円滑化可能とする弾性素材製の軸受けを装着してなるものとするのが望ましい。
【0022】
ベースの取付部は、当該グリッパーヘッド自体を移動可能なロボットアームやスライドレールなどに、ベースを組込み可能とする機能を担うものであり、チャック装置、フランジ、ボルト・ナット、治具、その他の着脱機能を果たすもの、または、それらとの組合わせからなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、貫通孔、ネジ孔またはそれ以外の嵌合形状部分などとすることができる。
【0023】
可動体は、三点クランプピンの左右後クランプピンか、中前クランプピンかの何れか少なくとも一方をベースに対して進退自在に支持可能とすると共に、駆動モータの駆動力を受けて進退駆動可能とする機能を担い、ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸してなり、該ベース左右ガイドレール部にスライド自在に組込み可能としてなるものとしなければならない。
【0024】
そして可動体は、後述する実施例に示すように、ベース前辺に表凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠の左右間中央から、表凹状装着部薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を有する表ヨークを突設し、該表進退枠の表ヨークを挟む左右端がわから表左右スライドピンを互いに平行に延伸した表可動体とし、該表可動体表進退枠の表ヨーク薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方に対峙可能とするよう、該表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、ベース後辺に裏凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠の左右間中央から、裏凹状装着部薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を有する裏ヨークを突設し、該裏進退枠の裏ヨークを挟む左右端がわから裏左右スライドピンを互いに平行に延伸した裏可動体とし、該裏可動体裏進退枠の裏ヨーク薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設け、表裏可動体が互いに前後一対をなし、上下二層配置構造からなるものとすることができる。
【0025】
可動体の進退枠は、ヨーク、左右スライドピン、および、三点クランプピンの左右後クランプピンか、中前クランプピンかの何れか少なくとも一方の夫々を可動体の適所に一体化する機能を担い、ベースの前辺かまたは後辺かの少なくとも何れか一方に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な姿勢に組込み可能であって、左右間中央から、凹状装着部薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込んだ上、左右スライドピン各適所に進退枠の前進(または表裏二重構造の場合の後向き突出)量を規制可能とするストッパを設けてなるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、表可動体の表進退枠、および、裏可動体の裏進退枠としてベース前辺がわおよび後辺がわの夫々に表裏二重構造となすよう組込み可能なものとすることができる。
【0026】
可動体のヨークは、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方をベース凹状装着部の薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能とするよう可動体に一体化する機能を担い、可動体進退枠の左右間中央から凹状装着部がわに向けて延伸してなるものとし、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方をベース凹状装着部の薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に非接触で接近対峙可能に支持し、駆動モータを形成可能なものとしなければならず、ベース表裏面から外がわに突出しない寸法、形状に留めるべきであり、後述する実施例に示すように、薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方をその表裏がわから非接触で挟み込み状配置可能なU字断面形状のものとするのが望ましい。
【0027】
可動体の左右スライドピンは、ベース左右ガイドレール部に夫々進退自在に組込み可能であり、可動体進退枠をベースに対して進退自在に組合せ可能とする機能を担い、ベースの表裏面壁に露出するよう形成した蟻溝型の左右ガイドレール部に、摺動自在に組込み可能なものとすることができる外、ベースの前辺端面から後辺端面に貫通した左右ガイドレール部に摺動自在に組込み可能な、円形、矩形、多角形、L字型、V型、H型、M型、などの各種異形などの様々な断面形の柱状、パイプ状、板状などの棒状体からなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設けてなるものとすることが可能である。
【0028】
可動体左右スライドピンのストッパは、可動体進退枠のベースからの突出量をプレパラートが効率的に把持、離脱できる範囲に規制可能とすると共に、進退枠の突出動作によって可動体が、ベースから離脱、脱落してしまうのを確実に阻止可能とする機能を担うものであり、左右スライドピンの適所にあってベースの適所に係合可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、左右スライドピンの進退枠とは反対がわとなる各端部に、左右ガイドレール部夫々よりも大きな形状、寸法のものとして一体化したものとすることができ、さらに、各ストッパ、左右スライドピンおよび/または進退枠と、ベースとの間となる適所に緩衝材を装着し、開閉時の衝撃や振動、摩耗、変形などを軽減可能なものとすることができる。
【0029】
駆動モータは、外部からの電力供給を受けて、ベースに対して可動体進退枠を進退駆動し、三点クランプピン間に水平姿勢のプレパラートを把持および離脱動作可能とする機能を担うものであり、電力供給部を有する薄型コイルと、これに対峙する薄型マグネットとからなるものとしなければならず、より具体的には、ベースの前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、可動体進退枠のヨークに設けた薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を対峙可能に組み合わせてなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、ベースに対して表裏二重構造とするよう組込み、表可動体表進退枠および裏可動体裏進退枠の夫々を水平方向の相反する方向に進退駆動可能としてなるものとすることができる。
【0030】
駆動モータの薄型コイルは、電流を流すと薄型マグネットとの間にフレミングの左手の法則に従って駆動力を発生可能とするものとしなければならず、例えば、治工具などを用いてエナメル線、ホルマン線などの細い電線を薄型且つ平坦形状に捲回成型した上、該治工具から取り外し、長時間に亘るプレパラート挟持動作中に発生するジュール熱に充分に耐え得る、耐熱性に秀れた接着剤を用いて成型、接着してなるものとするのが望ましく、駆動モータの薄型マグネットは、薄型コイルに非接触で対峙可能であり、薄型コイルとの間にフレミングの左手の法則に従って可動体進退枠の進退駆動力を発生可能とする機能を担うものであり、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石などの永久磁石とするのが望ましいが、大型化、複雑化を招かない範囲で電磁石に置き換えることが可能であり、さらに前述したとおり、薄型コイルと薄型マグネットとの配置関係を逆転して組み込んでなるものとすることが可能である。
【0031】
駆動モータの電力供給部は、薄型コイルに電圧を制御された電流を供給可能とする機能を担い、直流電流、交流電流、三層交流電流などを供給可能なものとすることが可能であり、部品点数を削減し、小型・軽量・薄型化するには、直流電流を供給可能なものとするのが望ましく、電流のプラス・マイナス方向を逆転可能なスイッチ装置を組込み、可動体進退枠の進退操作を可能とし、該スイッチ装置の操作に応じて進退枠の閉鎖、開放動作制御可能なものとすることが可能である外、後述する実施例に示すように、外部制御装置によって電力供給の切換え制御が可能な電源ハーネスを接続可能とする電源コネクタとすることができる。
【0032】
三点クランプピンは、ベースの直下付近に、水平姿勢のプレパラートを三点把持可能且つ解放可能とする機能を担うものであり、垂下姿勢に突設した左右後クランプピンおよび中前クランプピンからなるものとしなければならず、左右後クランプピンか、または、中前クランプピンかの何れか一方をベース下面適所から垂下、突設し、何れか他方を可動体進退枠の下面適所から垂下、突設したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、ベースの水平方向の相反する方向に進退駆動可能とした表可動体表進退枠か、または、裏可動体裏進退枠かの何れか一方に、左右後クランプピンか、または、中前クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、表可動体表進退枠か、または、裏可動体裏進退枠かの何れか他方に、左右後クランプピンか、または、中前クランプピンかの何れか他方を垂下、突設してなるものとすることができ、さらにまた、三点クランプピンの夫々に、塗装、被着などによる弾性、高摩擦性の弾性被膜を形成したものとするのが望ましく、例えば、軟質合成樹脂製、天然ゴム製、皮革製、布製、紙製、木製、軟質金属製などのクッションパイプを装着してなるものとすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面は、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】プレパラート用グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図2】プレパラート用グリッパーヘッドを示す正面図である。
【図3】プレパラートを解放したグリッパーヘッドを示す底面図である。
【図4】プレパラートを挟持したグリッパーヘッドを示す底面図である。
【図5】改良型グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図6】改良型グリッパーヘッドを示す断面図である。
【図7】改良型グリッパーヘッドを示す正面図である。
【図8】改良型グリッパーヘッドを示す側面図である。
【図9】プレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図10】プレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドを示す断面図である。
【図11】プレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図12】プレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドを示す断面図である。
【実施例1】
【0034】
図1のプレパラート用グリッパーヘッドの底面図、図2のプレパラート用グリッパーヘッドの正面図、図3のプレパラートを解放したグリッパーヘッドの底面図、および、図4のプレパラートを挟持したグリッパーヘッドの底面図に示す事例は、凹状装着部21に薄型コイル30を装着し、該凹状装着部21を挟む左右端がわ夫々に左右ガイドレール部24,24を形成したベース2を設けると共に、進退枠60から薄型マグネット32を有するヨーク61を突設し左右端がわから左右スライドピン64,64を延伸した可動体6を形成し、該薄型マグネット32を薄型コイル30に対峙可能とするよう、左右スライドピン64,64夫々を左右ガイドレール部24,24に前後進退自在に組み込んだ上、ベース2の後辺寄り下面適所、および、可動体6進退枠60の下面適所夫々に、三点クランプピン9を垂下、突設してなるものとした、この発明のプレパラートP用グリッパーヘッドにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明のプレパラートP用グリッパーヘッド1は、そのベース2が、前後巾27mm、左右巾60mm、厚さ8mmのステンレス製矩形状平板の前辺左右間中央から、天面壁がわに左右巾20mm、奥行き25mmのヨーク61用収容溝20、および、下面壁がわに該ヨーク61用収容溝20に繋がる左右巾35mm、奥行き25mmの凹状装着部21を形成し、該凹状装着部21の天面壁とヨーク61用収容溝20との間に形成した片がわ7.5mmの左右段差部間に、エナメル線を左右に長い厚さ2mmの長円状に捲回した薄型コイル30,30が前後2連をなすよう配し、ワニス処理(耐熱性の接着剤に置き換え可能)にて固着し、その両端を凹状装着部21開口縁から下面壁、側面壁へと導出し、電力供給部31としての(図示しない外部制御装置によって電力供給の切換え制御が可能な電源ハーネスを着脱自在に接続可能とする)電源コネクタ31に接続し、該電源コネクタ31を通じて薄型コイル30,30に外部からの電流を供給可能なものとしてあり、また、該凹状装着部21を挟む左右端がわ寄りとなる上下肉厚寸法の中央付近には夫々、該前辺および後辺の夫々に直交する前後方向に平行、且つ互いに平行な水平貫通孔からなる左右ガイドレール部24,24を穿設したものとしてある。
【0036】
当該ベース2の前辺がわからは、可動体6を前後進退自在に装着してあり、同可動体6は、前後巾7mm、左右巾60mm、厚さ7.2mmのステンレス製角棒形状体であって当該ベース2前辺に配した場合に、凹状装着部21を左右跨ぎに対峙可能な進退枠60を有し、該進退枠60の左右間中央から、凹状装着部21薄型コイル30,30に非接触対峙可能であって、当該凹状装着部21内および収容溝20内に収容可能な天板部62および下板部63を有する側面形状横転U字形のヨーク61を突設し、該ヨーク61下板部63の薄型コイル30,30に対峙する上面には、薄型コイル30,30に干渉しない薄さの永久磁石からなる薄型マグネット32を積層状に一体化し、当該薄型コイル30,30と薄型マグネット32とで駆動モータ3となすものとしてあり、同進退枠60の左右端がわであってベース2の左右ガイドレール部24,24に対峙する箇所の夫々からは、互いに平行な直線棒状の左右スライドピン64,64を延伸、突設すると共に、当該ベース2前辺がわから左右ガイドレール部24,24に前後摺動自在に貫通した上、それら左右ガイドレール部24,24の後端がわから突出状に露出させた後端夫々に、それら左右ガイドレール部24,24よりも大きな直径に設定した同心短柱状のストッパ65,65を一体化し、それら左右スライドピン64,64夫々の進退枠60からストッパ65,65までの前後長を36mmとし、進退枠60の前後進退移動距離を9ないし8mmに設定したものとしてある。
【0037】
そして、水平姿勢とした場合の当該ベース2凹状装着部21の左右がわ後辺寄りとなる下面左右対称箇所夫々に、直径2mm、高さ5mmのステンレス製円柱状の左右後クランプピン90,90、および、可動体6進退枠60の左右間中央となる下面適所にも同一形状、寸法の中前クランプピン91を夫々垂下、突設し、三点クランプピン9を形成した上、それら三点クランプピン9には夫々、外径4mmの軟質合成樹脂製クッションパイプ92,92,92を被着してなり、図1および図2に示すように、当該プレパラートP用グリッパーヘッド1の左右全巾寸法Aは68mm、前後全巾寸法Bが47mm、全厚さ(高さ)寸法Cを13mmに設定してなるものである。
【0038】
さらに、ベース2の凹状装着部21と左右ガイドレール部24,24との間であって、それらと干渉せず、しかも左右後クランプピン90,90よりも前寄りの略均衡する前後左右の4箇所夫々には、上下鉛直方向となる肉厚寸法方向に貫通し、図示しないロボットアーム類用の直径2mmの装着孔となる取付部27,27,……を穿設してなるものとしてある。
【実施例2】
【0039】
図5の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの底面図、図6の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの縦断面図、図7の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの正面図、図8の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの側面図、図9のプレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドの底面図、図10のプレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドの縦断面図、図11のプレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドの底面図、および、図12のプレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドの縦断面図に示す事例は、ベース2の前後辺の双方に、三点クランプピン9を配した表裏(前後)可動体7,8を上下積層状且つ前後進退自在に組込み、表裏可動体7,8を互いに接近駆動させてプレパラートPを挟持し、離反駆動してプレパラートPを解放可能なものとしてなる、この発明のプレパラートP用グリッパーヘッドにおける代表的な他の実施例を示すものである。
【0040】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の改良型グリッパーヘッド1は、そのベース2が、金属製矩形状平板の表面壁前辺の左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部22に、表駆動モータ4用の薄型表コイル40を配線装着し、同ベース2の表面壁後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部23に、裏駆動モータ5用の薄型裏コイル50を配線装着し、それら薄型表・裏コイル40,50の各端部は、各表・裏凹状装着部22,23から同ベース2の左右何れか一方の外側壁がわに導出すると共に、共通の電力供給部31としての電源コネクタ31に接続し、外部電力を供給可能なものとしてある。
【0041】
該ベース2は、表凹状装着部22を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部25,25を形成し、且つ、該裏凹状装着部23を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部26,26を形成し、中層隔壁28を境に表裏二重構造のものとし、表・裏凹状装着部22,23には夫々、カバーパネル29,29を被着してなるものとしてある。
【0042】
表可動体7は、当該ベース2前辺に表凹状装着部22を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠70の左右間中央から、表凹状装着部22薄型表コイル40に対峙可能であって、薄型表マグネット33を有する表ヨーク71を突設し、該表進退枠70の表ヨーク71を挟む左右端がわから表左右スライドピン72,72を互いに平行に延伸してなるものとし、該表可動体7表進退枠70の表ヨーク71薄型表マグネット33を当該ベース2薄型表コイル40に対峙可能とするよう、該表進退枠70表左右スライドピン72,72夫々を当該ベース2表左右ガイドレール部25,25に、合成樹脂製スリーブ状の軸受けb,b,……を介して前後進退自在に組み込み、ベース2後辺に露出させた表左右スライドピン72,72の各後端にストッパ65,65を装着したものとしてある。
【0043】
また、裏可動体8は、当該ベース2後辺に裏凹状装着部23を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠80の左右間中央から、裏凹状装着部23薄型裏コイル50に対峙可能であって、薄型裏マグネット34を有する裏ヨーク81を突設し、該裏進退枠80の裏ヨーク81を挟む左右端がわから裏左右スライドピン82,82を互いに平行に延伸してなるものとし、該裏可動体8裏進退枠80の裏ヨーク81薄型裏マグネット34を当該ベース2薄型裏コイル50に対峙可能とするよう、該裏進退枠80裏左右スライドピン82,82夫々を当該ベース2裏左右ガイドレール部26,26に、合成樹脂製スリーブ状の軸受けb,b,……を介して前後進退自在に組み込み、ベース2前辺に露出させた裏左右スライドピン82,82の各後端にストッパ65,65を装着したものとする。
【0044】
そして、当該ベース2を水平姿勢とした場合の表可動体7表進退枠70か、裏可動体8裏進退枠80かの何れか一方の下面左右端寄りとなる左右対称箇所から左右クランプピン90,90、および、表可動体7表進退枠70か、裏可動体8裏進退枠80かの何れか他方の左右間中央となる下面適所から中央クランプピン91が、各下端を夫々同一水平面上で一致する長さ寸法とするよう垂下、突設し、三点クランプピン9を形成し、それら三点クランプピン9夫々にはクッションパイプ92,92,92を被着してあり、また、該ベース2の左右前後に均衡する対象配置となる複数適所には夫々、大小の鉛直貫通孔からなる取付部27,27,……を穿設したものとしてある。
【0045】
図5、図7および図8に示すように、当該改良型のグリッパーヘッド1の具体的な各部寸法は、以下のとおりであって当該ベース2の前後巾寸法Dが22mm、閉鎖した表進退枠70裏進退枠80までの前後端間巾寸法Eが36mm、表進退枠70裏進退枠80夫々の左右巾寸法Fが60mm、表裏左右スライドピン72,72,82,82夫々の左右軸心間距離Gが50mm、ベース2の上下厚み寸法Hが15mm、ベース2下面からの三点クランプピン9の垂下、突出寸法Jが5mm、左右後クランプピン90,90の左右中心間距離Kが40mm、側面視における左右後クランプピン90から中前クランプピン91までの最小挟持中心間距離Lが30mm、側面視における左右後クランプピン90から中前クランプピン91までの最大挟持中心間距離Mを36mmに夫々設定してなるものである。
【0046】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のプレパラートP用グリッパーヘッド1は、図1および図2中に示すように、その外郭寸法を前後巾27mm、左右巾60mm、厚さ8mmに抑え、総重量を47.5gに削減してあるから、従来型(例えば前後巾123mm、左右巾155mm、厚さ60mm、重量1.11kg)のものに比較して体積比で2.2%(約1/45)、重量比では4.5%(約1/22)と、遙かに小型・薄型化、軽量化したものとなり、顕微鏡ステージ上と対物レンズとの間の極狭いスペースにも干渉せずに効率的且つ安全に移動可能なものとなり、しかも挟持動作の耐久寿命を10倍前後(従来型では10万回程度のものであったが、100万回の耐久試験を実施し合格済み)まで延命化することができた。
【0047】
さらに、当該グリッパーヘッド1は、例えば図示しないロボットアームの先端に、図1および図3に示すように、各取付部27,27,……を介してボルト・ナット結合し、電源コネクタ31を通じて駆動モータ3に直流電流を供給し、進退枠60がベース2から離れるよう可動体6を前進(開放)させた上、図2および図3中に二点鎖線で示すように、水平姿勢としたベース2の中央直下であって三点クランプピン9間となる箇所に、供給元ボックス(図示せず)内に水平姿勢に収容してある1枚のプレパラートPを配するよう移動してから、該駆動モータ3に逆向きの直流電流を供給し、図4に示すように、ベース2に進退枠60を近づけるよう可動体6を後退(閉鎖)し、三点クランプピン9左右後クランプピン90と中前クランプピン91との間にプレパラートPの周縁を挟持し、5gないし20g程度までのプレパラートPを搬送可能とするものとなり、しかも供給電流を可変制御可能なものとすれば、プレパラートPに過不足無い挟持力を加えることが可能なものとすることができ、図示しないロボットアームの動作で、図示しない顕微鏡ステージ上まで搬送した後、駆動モータ3に電流を供給し、図3に示すよう、可動体6を前進(解放)させ、プレパラートPを顕微鏡ステージ上の所定位置に位置決め載置可能なものとなる。
【0048】
ロボットアーム(図示せず)が顕微鏡ステージ(図示せず)上から外れる位置にグリッパーヘッド1を移動した後、標本のデジタル画像を撮影・記録し、撮影工程を終了した後に再度、ロボットアームが当該グリッパーヘッド1をプレパラートP直上まで移動し、前述とは逆の動作でプレパラートPを水平姿勢のまま把持し、供給先ボックス(図示せず)内に搬送可能なものとなり、こうした搬送動作に伴い各三点クランプピン9に被着したクッションパイプ92,92,92が、プレパラートP挟持の摩擦力を格段に高め、挟持移送の安全性および安定性を大幅に高めるものとなり、しかも挟持によるプレパラートPの摩耗を軽減し、さらに、顕微鏡ステージ上でプレパラートPを滑らせて位置決めする操作を無くすことが可能となり、プレパラートPおよび顕微鏡ステージ回りの摩耗、破損なども格段に軽減するものとなる。
【0049】
(実施例2の作用・効果)
この発明のプレパラートP用の改良型グリッパーヘッド1は、図9ないし図12に示すように、ベース2の前後辺がわ夫々に表可動体7表進退枠70および裏可動体8裏進退枠80を合計8個の軸受けb,b,……を介してより一段と低摩擦且つ高速で円脱に進退駆動可能とするよう組み込んでなるものとしてあるから、表裏進退枠70,80夫々の進退移動距離を前記実施例1のものに比較して約1/2に短縮し、しかも各表可動体7および裏可動体8を同時に進退動作可能で、把持動作に伴うプレパラートPの水平方向の滑動を最小限度に抑え、プレパラートPや顕微鏡ステージなどの摩耗を一段と軽減することができると共に、プレパラートPの1回の挟持・解放毎に要する動作時間を半減することができ、しかも開閉に伴う振動や衝撃を互いの動きで相殺可能となり、一段と静粛且つ安全、迅速にプレパラートPを水平把持、搬送することができるものになる。
【0050】
(結 び)
叙述の如く、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からのロボットハンド技術に比較して部品点数を大幅に削減して格段に小型・軽量・薄型化することができ、しかも耐久強度を高め、低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、大量のプレパラート上の標本を24時間、無人でデジタル画像データ化することが可能となり、標本管理や病理検査、画像解析、遠隔医療など様々な分野の作業効率を格段に高め、人件費を大幅に削減することが可能となり、病理医不足に起因する診断の遅れなどを解消できることとなるから、従前までは必ずオペレーターが立ち会いデジタルデータ化作業を行わざるを得なかった医療業界、およびデジタル映像化技術を提供する医療機器業界はもとより、より低価格で早期診断が可能な医療を希望する一般家庭や、新薬の研究開発経費を削減したい医薬品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0051】
1 グリッパーヘッド
2 ベース
20 同 ヨーク用収容溝
21 同 凹状装着部
22 同 表凹状装着部
23 同 裏凹状装着部
24 同 左右ガイドレール部
25 同 表左右ガイドレール部
26 同 裏左右ガイドレール部
27 同 取付部
28 同 中層隔壁
29 同 カバーパネル
3 駆動モータ
30 同 薄型コイル
31 同 電源コネクタ(電力供給部)
32 同 薄型マグネット
33 同 薄型表マグネット
34 同 薄型裏マグネット
4 表駆動モータ
40 同 薄型表コイル
5 裏駆動モータ
50 同 薄型裏コイル
6 可動体
60 同 進退枠
61 同 ヨーク
62 同 天板部
63 同 下板部
64 同 左右スライドピン
65 同 ストッパ
7 表可動体
70 同 表進退枠
71 同 表ヨーク
72 同 表左右スライドピン
8 裏可動体
80 同 裏進退枠
81 同 裏ヨーク
82 同 裏左右スライドピン
9 三点クランプピン
90 同 左右後クランプピン
91 同 中前クランプピン
92 同 クッションパイプ
b 軸受け
P プレパラート
A グリッパーヘッドの左右全巾寸法
B 可動体6の前後全巾寸法
C ベースの全厚さ寸法
D ベースの前後巾寸法
E 表裏進退枠までの前後巾寸法
F 表裏進退枠夫々の左右巾寸法
G 表裏左右スライドピン夫々の左右軸心間距離
H ベースの上下厚み寸法
J ベース下面から三点クランプピンの垂下、突出寸法
K 左右後クランプピンの左右中心間距離
L 三点クランプピンの側面視最小挟持中心間距離
M 三点クランプピンの側面視最大挟持中心間距離
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄型小平板状物体を水平姿勢で運搬可能に把持、解放可能とするロボットハンド、ロボットフィンガー、チャックおよびグリッパー類に関連するものであり、特に顕微鏡観察用の標本などを効率的に取り扱うことができるグリッパーヘッドを製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
地域医療および遠隔医療の発展に伴い、近年はテーラーメード医療へのニーズが高まり、国内外の課題となっている病理医の不足を補う新たな診断ツールとして、患者から得られた臓器、組織、血液、細胞、分子、遺伝子などから顕微鏡標本を作製し、光学顕微鏡や電子顕微鏡に供給しながらデジタル映像化するバーチャルスライド作製装置(バーチャルスライド:登録商標)の導入が進められているが、多くの顕微鏡標本をデジタル映像化する作業は、検体1枚当りに費やす時間が、検体の大きさや意図とする精査に対応する倍率により異なるが概ね数分〜数十分必要で、多大な時間と労力負担とを強いられる上、撮影処理の間オペレーターが常時機器の前で待機している必要があり、大変非効率的なものとなっていた。
【0003】
こうした従来型のバーチャルスライド作製装置(バーチャルスライド:登録商標)については、プレパラート上に載置した組織や血液などを顕微鏡の撮像ステージ上に水平且つ安全に移送するのが不可能で、データ化作業の無人化ができないという致命的な欠点を有し、こうしたプレパラートの移送技術を実現化できれば、昼夜を問わず無人でデジタル映像データを作成できる上、そのデータを保存したパーソナルコンピュータで検査データの作成と同時に補助的な診断ができるシステムを実現化できる可能性がある。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、撮像部に対し、搭載した試料(プレパラート)を水平方向および垂直方向に移動させるステージ移動部を設け、画像処理部および記録・再生部を有する顕微鏡システムをはじめ、特許文献1(2)に示されているように、プレパラート収納マガジンから、試料の入ったプレパラートを負圧により吸着保持して取り出し、顕微鏡の対物レンズの直下に移動させるプレパラート保持ハンドを有したプレパラート自動交換装置、または特許文献1(3)に見られるような、装置本体に収容された多数枚のガラス板の最下位のガラス板と接触するローラを駆動し、ガラス板とローラとの摩擦力によってガラス板を送出するようにしたプレパラート用ガラス板自動操出装置、さらにまた特許文献1(4)のような、グリッパー上部の駆動機構を薄型化し、搬送作業空間を効率的に活用できるようにした移送ロボット用ハンド装置などが散見される。
【0005】
しかし、上記の中の特許文献1(1)に示されているような顕微鏡システムなどは、画面上に表示された試料の観察箇所や倍率を指定すると、所望する部位を画面中央に移動し、所望倍率で表示することができ、診断作業の効率を大幅に改善できるものとなっているが、顕微鏡ステージ上にプレパラートを搬送する技術については、従来型のものとなっていて、多数の試料を効率的にデジタル画像化することが難しいという課題を残すものであり、また特許文献1(2)のプレパラート自動交換装置のように、多数枚のプレパラートを顕微鏡のステージ上に、順次、自動的に搬送および搬出可能としたものなどは、そのプレパラート保持ハンドに設けた一対のフィンガ部上面に吸引孔を開口してあり、プレパラートを搬送する場合には、プレパラートの両端部を、夫々下方から水平に支持すると共に、吸引孔を負圧にして吸引、仮固定するものとなっているが、プレパラートの下がわにフィンガ部を潜り込ませなければならず、フィンガ部を挿入可能なプレパラート専用収容ケースや、専用の顕微鏡ステージなどが不可欠なものとなってしまう上、負圧を発生する真空ポンプなどの負圧源が不可欠で装置が大型化してしまうという難点を有することとなる。
【0006】
そして、特許文献1(3)に取り上げたプレパラート用ガラス板自動操出装置などのように、ローラの摩擦力で搬送するものは、送出効率に秀れているが、プレパラートを積層状に収納しなければならず、標本の搬送には利用不可能である上、収納箱のスリットを通じて送出するだけでは、顕微鏡ステージ上の適切な位置にプレパラートを供給することができないという課題を残すものであり、また特許文献1(4)に代表する移送ロボット用ハンド装置などにあっては、左右のグリッパー上部夫々にリンク機構を配し、それらリンク機構の支点を中心に回動状に開閉動作し、搬送対象物を把持、離脱するものとしてあることから、必ず左右グリッパーの上部に、その開閉距離に応じた半径寸法分の空間を確保しなければならず、ハンド装置自体の大型化を招いてしまい、顕微鏡の対物レンズへの緩衝などの問題を生じてしまうという欠点があるだけではなく、さらに、リンク機構を採用した左右グリッパーは、形状やサイズの異なるプレパラートを把持できなくなる可能性があるという致命的な問題もあった。
【特許文献1】(1)特開平5−241075号公報 (2)特開2005−292725号公報 (3)実開平5−61143号公報 (4)特開2000−225590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種顕微鏡システム、および各種プレパラート自動交換装置やプレパラート用ガラス自動操出装置類などは、何れも無人で効率的に、多数枚のプレパラートを顕微鏡ステージ上に順次供給、送出しながら、無人でデジタル画像データ化することは非常に困難であり、特に、プレパラートを把持、搬送するハンド装置類は、真空ポンプなどが不可欠で大型化してしまったり、構造の複雑なリンク機構を駆使したものでは、搬送の対象が略一定形状、寸法のプレパラートに制限されてしまったりと様々な欠点を残すものであり、永年、様々な利用者に対し、画像処理装置の開発、提供に携わり、顕微鏡画像のデジタル映像化技術を提供し続けてきている中、それらから得られた様々な知見やユーザーからの情報などを契機に、顕微鏡ステージ上の狭いスペースにプレパラートを水平姿勢のまま周囲に干渉することなく搬送し、各部の摩耗を避ける目的からステージ上でプレパラートを滑らせることなく安全に把持、移送するという機能上の課題を解決するのは勿論のこと、装置の大型化を阻止し、スペース効率を高めたものとすると共に、デジタル画像化作業工程上からも、正確且つ効率的なデータ化を実現可能とするための構成につき、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、プレパラートの周縁端面の複数箇所を同時把持且つ水平保持可能とする上、顕微鏡ステージ上と対物レンズとの極狭い空間内に効率的にプレパラートを搬送できる程度に充分に軽量・小型・薄型化してなる新たなロボットハンド技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のプレパラート用グリッパーヘッドを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとした、構成を要旨とするプレパラート用グリッパーヘッドである。
【0010】
この基本的な構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドは、その表現を変えて示すならば、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成し、当該駆動モータが可動体をベースに対して前進駆動した場合に三点クランプピンを開放し、当該駆動モータが可動体をベースに対して後退駆動した場合に、三点クランプピン間に水平姿勢のプレパラート外周縁の三点を挟持可能としてなるものとした構成を要旨とするプレパラート用グリッパーヘッドである。
【0011】
より具体的には、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込んだ上、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとした構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドとなる。
【0012】
また、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込んだ上、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベース凹状装着部の左右がわ後辺寄りとなる下面左右対称箇所夫々に左右後クランプピン、および、可動体進退枠の左右間中央となる下面適所に中前クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとした構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドとすることができる。
【0013】
さらに、表現を変えて示すと、矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方を装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか一方を装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のベースを設けると共に、該ベース前辺に表凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠の左右間中央から、表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を有する表ヨークを突設し、該表進退枠の表ヨークを挟む左右端がわから表左右スライドピンを互いに平行に延伸した表可動体を形成し、該表可動体表進退枠の表ヨーク薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を当該ベース表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、該ベース後辺に裏凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠の左右間中央から、裏凹状装着部薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を有する裏ヨークを突設し、該裏進退枠の裏ヨークを挟む左右端がわから裏左右スライドピンを互いに平行に延伸した裏可動体を形成し、該裏可動体裏進退枠の裏ヨーク薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型裏コイル薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設けた上、当該ベースを水平姿勢とした場合の表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか一方の下面左右端寄りとなる左右対称箇所に左右クランプピン、および、表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか他方の左右間中央となる下面適所に中央クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとした構成からなるプレパラート用グリッパーヘッドとなる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、充分に軽量・小型・薄型化し、プレパラートの周縁端面の複数箇所を同時把持且つ水平保持可能とする上、顕微鏡ステージ上と対物レンズとの極狭い空間内に干渉せずに移動可能で、しかも顕微鏡ステージ上を滑らせる必要が無いので、プレパラートやステージを摩耗させないという効果を発揮し、水平姿勢のプレパラートを効率的且つ迅速、静粛に高精度で搬送できるものとなり、従前までは全く不可能とされていた多数枚のプレパラートを無人で連続供給、排出しながら顕微鏡画像をデジタル映像データ化する技術を実現化できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0015】
加えて、ベース下面左右対称箇所夫々に左右後クランプピン、および、可動体進退枠の左右間中央となる下面適所に中前クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものは、可動体進退枠に左右後クランプピンを設けた場合よりも、該可動体進退枠を軽量化し、その開閉速度を高めると共に、開閉時の振動や衝撃を抑えることができ、駆動モータや左右ガイドレール部および左右スライドピンへの負担を大幅に軽減し、搬送速度、耐久強度および静粛性を一段と高めたものとすることができる。
【0016】
さらに、ベースを水平姿勢とした場合の前辺に表進退枠、後辺に裏進退枠を組み込んでなるものは、三点クランプピンの左右クランプピンおよび中央クランプピンが互いに進退移動して開閉動作するものとなるから、各表裏進退枠の進退移動距離を半減し、格段に高速の開閉動作を実現化することができる上、プレパラートへの衝撃を大幅に軽減し、一段と静粛で高精度、迅速且つ安定な自動搬送を実現化することができ、しかも、ベース表・裏凹状装着部の夫々に薄型表・裏マグネットを装着し、表・裏ヨークに薄型表・裏コイルを夫々設けたものの場合には、薄型表・裏コイル同士双方間で磁気の干渉を生じるのを一段と確実に防止し、誤作動の発生を一層確実に防止可能なものとすることができるという秀れた効果を奏するものとなる。
【0017】
そして、ベース適所にロボットアームの先端などに着脱可能となる取付部を形成し、また、三点クランプピンの夫々にクッションパイプを装着してなるものは、ロボットアームへの脱着が容易で様々なロボットアームへの装着、利用を可能とし、しかもクッションパイプが、プレパラート周縁端面への接触摩擦力および緩衝性能を格段に高め、一段と確実な把持性能を実現化出来ると共に、プレパラートおよび三点クランプピンの摩耗を大幅に低減可能なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ベースは、グリッパーヘッドをロボットアームやスライドレールなどの移動装置がわに着脱不能か、または、着脱可能かの何れかにて装着可能とすると共に、駆動モータの薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方、および可動体を組込み可能、且つ、夫々動作可能とする機能を果たすものであり、矩形状平板前後辺の少なくとも何れか一方に、可動体の進退枠を進退自在に設けることができるものとし、しかも軽量、薄型のものとしなければならず、後述する実施例に示すように、必要に応じて駆動モータなど内部構造を保護可能な外カバー類を装着してなるものとすることができ、また、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したものとするのが望ましい。
【0019】
また、ベースは、矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表マグネットを装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏マグネットを装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のものとすることが可能である外、後述する実施例に示すように、矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表コイルおよびそれ用の電力供給部を配線装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏コイルおよびそれ用の電力供給部を配線装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のものとすることが可能である。
【0020】
ベースの凹状装着部は、ベースの適所に、可動体進退駆動用となる駆動モータ用の薄型マグネットかまたは薄型コイルかの何れか一方を配線装着可能とする機能を担い、少なくとも1つの凹状装着部は、矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ベースの前後辺がわに表裏進退枠を夫々配したものの場合に、矩形状平板表裏面壁の中、表面壁には、前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部、また、同裏面壁には、後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部を夫々形成してなるり、しかもそれら表裏凹状装着部は、互いに前後反転配置としたものとすることができる。
【0021】
ベースの左右ガイドレール部は、可動体の左右スライドピンを互いに平行に案内し、可動体をベースに対し、進退自在に組み込み可能とする機能を担い、ベースの凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、同ベース前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行に形成したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ベース矩形状平板の肉厚寸法範囲内であって表面壁寄りとなる位置か、または、同表面壁に露出する位置かの何れかに表左右ガイドレール部を形成し、ベース矩形状平板の肉厚寸法範囲内であって表面壁とは反対がわの裏面壁寄りとなる位置か、または、同裏面壁に露出する位置かの何れかに裏左右ガイドレール部を形成してなるものとすることができる外、適所に左右スライドピンの進退動作を低摩擦化、および衝撃吸収して円滑化可能とする弾性素材製の軸受けを装着してなるものとするのが望ましい。
【0022】
ベースの取付部は、当該グリッパーヘッド自体を移動可能なロボットアームやスライドレールなどに、ベースを組込み可能とする機能を担うものであり、チャック装置、フランジ、ボルト・ナット、治具、その他の着脱機能を果たすもの、または、それらとの組合わせからなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、貫通孔、ネジ孔またはそれ以外の嵌合形状部分などとすることができる。
【0023】
可動体は、三点クランプピンの左右後クランプピンか、中前クランプピンかの何れか少なくとも一方をベースに対して進退自在に支持可能とすると共に、駆動モータの駆動力を受けて進退駆動可能とする機能を担い、ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸してなり、該ベース左右ガイドレール部にスライド自在に組込み可能としてなるものとしなければならない。
【0024】
そして可動体は、後述する実施例に示すように、ベース前辺に表凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠の左右間中央から、表凹状装着部薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を有する表ヨークを突設し、該表進退枠の表ヨークを挟む左右端がわから表左右スライドピンを互いに平行に延伸した表可動体とし、該表可動体表進退枠の表ヨーク薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方に対峙可能とするよう、該表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、ベース後辺に裏凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠の左右間中央から、裏凹状装着部薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を有する裏ヨークを突設し、該裏進退枠の裏ヨークを挟む左右端がわから裏左右スライドピンを互いに平行に延伸した裏可動体とし、該裏可動体裏進退枠の裏ヨーク薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設け、表裏可動体が互いに前後一対をなし、上下二層配置構造からなるものとすることができる。
【0025】
可動体の進退枠は、ヨーク、左右スライドピン、および、三点クランプピンの左右後クランプピンか、中前クランプピンかの何れか少なくとも一方の夫々を可動体の適所に一体化する機能を担い、ベースの前辺かまたは後辺かの少なくとも何れか一方に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な姿勢に組込み可能であって、左右間中央から、凹状装着部薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込んだ上、左右スライドピン各適所に進退枠の前進(または表裏二重構造の場合の後向き突出)量を規制可能とするストッパを設けてなるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、表可動体の表進退枠、および、裏可動体の裏進退枠としてベース前辺がわおよび後辺がわの夫々に表裏二重構造となすよう組込み可能なものとすることができる。
【0026】
可動体のヨークは、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方をベース凹状装着部の薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能とするよう可動体に一体化する機能を担い、可動体進退枠の左右間中央から凹状装着部がわに向けて延伸してなるものとし、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方をベース凹状装着部の薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に非接触で接近対峙可能に支持し、駆動モータを形成可能なものとしなければならず、ベース表裏面から外がわに突出しない寸法、形状に留めるべきであり、後述する実施例に示すように、薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方をその表裏がわから非接触で挟み込み状配置可能なU字断面形状のものとするのが望ましい。
【0027】
可動体の左右スライドピンは、ベース左右ガイドレール部に夫々進退自在に組込み可能であり、可動体進退枠をベースに対して進退自在に組合せ可能とする機能を担い、ベースの表裏面壁に露出するよう形成した蟻溝型の左右ガイドレール部に、摺動自在に組込み可能なものとすることができる外、ベースの前辺端面から後辺端面に貫通した左右ガイドレール部に摺動自在に組込み可能な、円形、矩形、多角形、L字型、V型、H型、M型、などの各種異形などの様々な断面形の柱状、パイプ状、板状などの棒状体からなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設けてなるものとすることが可能である。
【0028】
可動体左右スライドピンのストッパは、可動体進退枠のベースからの突出量をプレパラートが効率的に把持、離脱できる範囲に規制可能とすると共に、進退枠の突出動作によって可動体が、ベースから離脱、脱落してしまうのを確実に阻止可能とする機能を担うものであり、左右スライドピンの適所にあってベースの適所に係合可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、左右スライドピンの進退枠とは反対がわとなる各端部に、左右ガイドレール部夫々よりも大きな形状、寸法のものとして一体化したものとすることができ、さらに、各ストッパ、左右スライドピンおよび/または進退枠と、ベースとの間となる適所に緩衝材を装着し、開閉時の衝撃や振動、摩耗、変形などを軽減可能なものとすることができる。
【0029】
駆動モータは、外部からの電力供給を受けて、ベースに対して可動体進退枠を進退駆動し、三点クランプピン間に水平姿勢のプレパラートを把持および離脱動作可能とする機能を担うものであり、電力供給部を有する薄型コイルと、これに対峙する薄型マグネットとからなるものとしなければならず、より具体的には、ベースの前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、可動体進退枠のヨークに設けた薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を対峙可能に組み合わせてなるものとすることができ、後述する実施例に示すように、ベースに対して表裏二重構造とするよう組込み、表可動体表進退枠および裏可動体裏進退枠の夫々を水平方向の相反する方向に進退駆動可能としてなるものとすることができる。
【0030】
駆動モータの薄型コイルは、電流を流すと薄型マグネットとの間にフレミングの左手の法則に従って駆動力を発生可能とするものとしなければならず、例えば、治工具などを用いてエナメル線、ホルマン線などの細い電線を薄型且つ平坦形状に捲回成型した上、該治工具から取り外し、長時間に亘るプレパラート挟持動作中に発生するジュール熱に充分に耐え得る、耐熱性に秀れた接着剤を用いて成型、接着してなるものとするのが望ましく、駆動モータの薄型マグネットは、薄型コイルに非接触で対峙可能であり、薄型コイルとの間にフレミングの左手の法則に従って可動体進退枠の進退駆動力を発生可能とする機能を担うものであり、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石などの永久磁石とするのが望ましいが、大型化、複雑化を招かない範囲で電磁石に置き換えることが可能であり、さらに前述したとおり、薄型コイルと薄型マグネットとの配置関係を逆転して組み込んでなるものとすることが可能である。
【0031】
駆動モータの電力供給部は、薄型コイルに電圧を制御された電流を供給可能とする機能を担い、直流電流、交流電流、三層交流電流などを供給可能なものとすることが可能であり、部品点数を削減し、小型・軽量・薄型化するには、直流電流を供給可能なものとするのが望ましく、電流のプラス・マイナス方向を逆転可能なスイッチ装置を組込み、可動体進退枠の進退操作を可能とし、該スイッチ装置の操作に応じて進退枠の閉鎖、開放動作制御可能なものとすることが可能である外、後述する実施例に示すように、外部制御装置によって電力供給の切換え制御が可能な電源ハーネスを接続可能とする電源コネクタとすることができる。
【0032】
三点クランプピンは、ベースの直下付近に、水平姿勢のプレパラートを三点把持可能且つ解放可能とする機能を担うものであり、垂下姿勢に突設した左右後クランプピンおよび中前クランプピンからなるものとしなければならず、左右後クランプピンか、または、中前クランプピンかの何れか一方をベース下面適所から垂下、突設し、何れか他方を可動体進退枠の下面適所から垂下、突設したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、ベースの水平方向の相反する方向に進退駆動可能とした表可動体表進退枠か、または、裏可動体裏進退枠かの何れか一方に、左右後クランプピンか、または、中前クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、表可動体表進退枠か、または、裏可動体裏進退枠かの何れか他方に、左右後クランプピンか、または、中前クランプピンかの何れか他方を垂下、突設してなるものとすることができ、さらにまた、三点クランプピンの夫々に、塗装、被着などによる弾性、高摩擦性の弾性被膜を形成したものとするのが望ましく、例えば、軟質合成樹脂製、天然ゴム製、皮革製、布製、紙製、木製、軟質金属製などのクッションパイプを装着してなるものとすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面は、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】プレパラート用グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図2】プレパラート用グリッパーヘッドを示す正面図である。
【図3】プレパラートを解放したグリッパーヘッドを示す底面図である。
【図4】プレパラートを挟持したグリッパーヘッドを示す底面図である。
【図5】改良型グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図6】改良型グリッパーヘッドを示す断面図である。
【図7】改良型グリッパーヘッドを示す正面図である。
【図8】改良型グリッパーヘッドを示す側面図である。
【図9】プレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図10】プレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドを示す断面図である。
【図11】プレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドを示す底面図である。
【図12】プレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドを示す断面図である。
【実施例1】
【0034】
図1のプレパラート用グリッパーヘッドの底面図、図2のプレパラート用グリッパーヘッドの正面図、図3のプレパラートを解放したグリッパーヘッドの底面図、および、図4のプレパラートを挟持したグリッパーヘッドの底面図に示す事例は、凹状装着部21に薄型コイル30を装着し、該凹状装着部21を挟む左右端がわ夫々に左右ガイドレール部24,24を形成したベース2を設けると共に、進退枠60から薄型マグネット32を有するヨーク61を突設し左右端がわから左右スライドピン64,64を延伸した可動体6を形成し、該薄型マグネット32を薄型コイル30に対峙可能とするよう、左右スライドピン64,64夫々を左右ガイドレール部24,24に前後進退自在に組み込んだ上、ベース2の後辺寄り下面適所、および、可動体6進退枠60の下面適所夫々に、三点クランプピン9を垂下、突設してなるものとした、この発明のプレパラートP用グリッパーヘッドにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明のプレパラートP用グリッパーヘッド1は、そのベース2が、前後巾27mm、左右巾60mm、厚さ8mmのステンレス製矩形状平板の前辺左右間中央から、天面壁がわに左右巾20mm、奥行き25mmのヨーク61用収容溝20、および、下面壁がわに該ヨーク61用収容溝20に繋がる左右巾35mm、奥行き25mmの凹状装着部21を形成し、該凹状装着部21の天面壁とヨーク61用収容溝20との間に形成した片がわ7.5mmの左右段差部間に、エナメル線を左右に長い厚さ2mmの長円状に捲回した薄型コイル30,30が前後2連をなすよう配し、ワニス処理(耐熱性の接着剤に置き換え可能)にて固着し、その両端を凹状装着部21開口縁から下面壁、側面壁へと導出し、電力供給部31としての(図示しない外部制御装置によって電力供給の切換え制御が可能な電源ハーネスを着脱自在に接続可能とする)電源コネクタ31に接続し、該電源コネクタ31を通じて薄型コイル30,30に外部からの電流を供給可能なものとしてあり、また、該凹状装着部21を挟む左右端がわ寄りとなる上下肉厚寸法の中央付近には夫々、該前辺および後辺の夫々に直交する前後方向に平行、且つ互いに平行な水平貫通孔からなる左右ガイドレール部24,24を穿設したものとしてある。
【0036】
当該ベース2の前辺がわからは、可動体6を前後進退自在に装着してあり、同可動体6は、前後巾7mm、左右巾60mm、厚さ7.2mmのステンレス製角棒形状体であって当該ベース2前辺に配した場合に、凹状装着部21を左右跨ぎに対峙可能な進退枠60を有し、該進退枠60の左右間中央から、凹状装着部21薄型コイル30,30に非接触対峙可能であって、当該凹状装着部21内および収容溝20内に収容可能な天板部62および下板部63を有する側面形状横転U字形のヨーク61を突設し、該ヨーク61下板部63の薄型コイル30,30に対峙する上面には、薄型コイル30,30に干渉しない薄さの永久磁石からなる薄型マグネット32を積層状に一体化し、当該薄型コイル30,30と薄型マグネット32とで駆動モータ3となすものとしてあり、同進退枠60の左右端がわであってベース2の左右ガイドレール部24,24に対峙する箇所の夫々からは、互いに平行な直線棒状の左右スライドピン64,64を延伸、突設すると共に、当該ベース2前辺がわから左右ガイドレール部24,24に前後摺動自在に貫通した上、それら左右ガイドレール部24,24の後端がわから突出状に露出させた後端夫々に、それら左右ガイドレール部24,24よりも大きな直径に設定した同心短柱状のストッパ65,65を一体化し、それら左右スライドピン64,64夫々の進退枠60からストッパ65,65までの前後長を36mmとし、進退枠60の前後進退移動距離を9ないし8mmに設定したものとしてある。
【0037】
そして、水平姿勢とした場合の当該ベース2凹状装着部21の左右がわ後辺寄りとなる下面左右対称箇所夫々に、直径2mm、高さ5mmのステンレス製円柱状の左右後クランプピン90,90、および、可動体6進退枠60の左右間中央となる下面適所にも同一形状、寸法の中前クランプピン91を夫々垂下、突設し、三点クランプピン9を形成した上、それら三点クランプピン9には夫々、外径4mmの軟質合成樹脂製クッションパイプ92,92,92を被着してなり、図1および図2に示すように、当該プレパラートP用グリッパーヘッド1の左右全巾寸法Aは68mm、前後全巾寸法Bが47mm、全厚さ(高さ)寸法Cを13mmに設定してなるものである。
【0038】
さらに、ベース2の凹状装着部21と左右ガイドレール部24,24との間であって、それらと干渉せず、しかも左右後クランプピン90,90よりも前寄りの略均衡する前後左右の4箇所夫々には、上下鉛直方向となる肉厚寸法方向に貫通し、図示しないロボットアーム類用の直径2mmの装着孔となる取付部27,27,……を穿設してなるものとしてある。
【実施例2】
【0039】
図5の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの底面図、図6の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの縦断面図、図7の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの正面図、図8の改良型プレパラート用グリッパーヘッドの側面図、図9のプレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドの底面図、図10のプレパラートを解放した改良型グリッパーヘッドの縦断面図、図11のプレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドの底面図、および、図12のプレパラートを挟持した改良型グリッパーヘッドの縦断面図に示す事例は、ベース2の前後辺の双方に、三点クランプピン9を配した表裏(前後)可動体7,8を上下積層状且つ前後進退自在に組込み、表裏可動体7,8を互いに接近駆動させてプレパラートPを挟持し、離反駆動してプレパラートPを解放可能なものとしてなる、この発明のプレパラートP用グリッパーヘッドにおける代表的な他の実施例を示すものである。
【0040】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の改良型グリッパーヘッド1は、そのベース2が、金属製矩形状平板の表面壁前辺の左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部22に、表駆動モータ4用の薄型表コイル40を配線装着し、同ベース2の表面壁後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部23に、裏駆動モータ5用の薄型裏コイル50を配線装着し、それら薄型表・裏コイル40,50の各端部は、各表・裏凹状装着部22,23から同ベース2の左右何れか一方の外側壁がわに導出すると共に、共通の電力供給部31としての電源コネクタ31に接続し、外部電力を供給可能なものとしてある。
【0041】
該ベース2は、表凹状装着部22を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部25,25を形成し、且つ、該裏凹状装着部23を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部26,26を形成し、中層隔壁28を境に表裏二重構造のものとし、表・裏凹状装着部22,23には夫々、カバーパネル29,29を被着してなるものとしてある。
【0042】
表可動体7は、当該ベース2前辺に表凹状装着部22を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠70の左右間中央から、表凹状装着部22薄型表コイル40に対峙可能であって、薄型表マグネット33を有する表ヨーク71を突設し、該表進退枠70の表ヨーク71を挟む左右端がわから表左右スライドピン72,72を互いに平行に延伸してなるものとし、該表可動体7表進退枠70の表ヨーク71薄型表マグネット33を当該ベース2薄型表コイル40に対峙可能とするよう、該表進退枠70表左右スライドピン72,72夫々を当該ベース2表左右ガイドレール部25,25に、合成樹脂製スリーブ状の軸受けb,b,……を介して前後進退自在に組み込み、ベース2後辺に露出させた表左右スライドピン72,72の各後端にストッパ65,65を装着したものとしてある。
【0043】
また、裏可動体8は、当該ベース2後辺に裏凹状装着部23を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠80の左右間中央から、裏凹状装着部23薄型裏コイル50に対峙可能であって、薄型裏マグネット34を有する裏ヨーク81を突設し、該裏進退枠80の裏ヨーク81を挟む左右端がわから裏左右スライドピン82,82を互いに平行に延伸してなるものとし、該裏可動体8裏進退枠80の裏ヨーク81薄型裏マグネット34を当該ベース2薄型裏コイル50に対峙可能とするよう、該裏進退枠80裏左右スライドピン82,82夫々を当該ベース2裏左右ガイドレール部26,26に、合成樹脂製スリーブ状の軸受けb,b,……を介して前後進退自在に組み込み、ベース2前辺に露出させた裏左右スライドピン82,82の各後端にストッパ65,65を装着したものとする。
【0044】
そして、当該ベース2を水平姿勢とした場合の表可動体7表進退枠70か、裏可動体8裏進退枠80かの何れか一方の下面左右端寄りとなる左右対称箇所から左右クランプピン90,90、および、表可動体7表進退枠70か、裏可動体8裏進退枠80かの何れか他方の左右間中央となる下面適所から中央クランプピン91が、各下端を夫々同一水平面上で一致する長さ寸法とするよう垂下、突設し、三点クランプピン9を形成し、それら三点クランプピン9夫々にはクッションパイプ92,92,92を被着してあり、また、該ベース2の左右前後に均衡する対象配置となる複数適所には夫々、大小の鉛直貫通孔からなる取付部27,27,……を穿設したものとしてある。
【0045】
図5、図7および図8に示すように、当該改良型のグリッパーヘッド1の具体的な各部寸法は、以下のとおりであって当該ベース2の前後巾寸法Dが22mm、閉鎖した表進退枠70裏進退枠80までの前後端間巾寸法Eが36mm、表進退枠70裏進退枠80夫々の左右巾寸法Fが60mm、表裏左右スライドピン72,72,82,82夫々の左右軸心間距離Gが50mm、ベース2の上下厚み寸法Hが15mm、ベース2下面からの三点クランプピン9の垂下、突出寸法Jが5mm、左右後クランプピン90,90の左右中心間距離Kが40mm、側面視における左右後クランプピン90から中前クランプピン91までの最小挟持中心間距離Lが30mm、側面視における左右後クランプピン90から中前クランプピン91までの最大挟持中心間距離Mを36mmに夫々設定してなるものである。
【0046】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のプレパラートP用グリッパーヘッド1は、図1および図2中に示すように、その外郭寸法を前後巾27mm、左右巾60mm、厚さ8mmに抑え、総重量を47.5gに削減してあるから、従来型(例えば前後巾123mm、左右巾155mm、厚さ60mm、重量1.11kg)のものに比較して体積比で2.2%(約1/45)、重量比では4.5%(約1/22)と、遙かに小型・薄型化、軽量化したものとなり、顕微鏡ステージ上と対物レンズとの間の極狭いスペースにも干渉せずに効率的且つ安全に移動可能なものとなり、しかも挟持動作の耐久寿命を10倍前後(従来型では10万回程度のものであったが、100万回の耐久試験を実施し合格済み)まで延命化することができた。
【0047】
さらに、当該グリッパーヘッド1は、例えば図示しないロボットアームの先端に、図1および図3に示すように、各取付部27,27,……を介してボルト・ナット結合し、電源コネクタ31を通じて駆動モータ3に直流電流を供給し、進退枠60がベース2から離れるよう可動体6を前進(開放)させた上、図2および図3中に二点鎖線で示すように、水平姿勢としたベース2の中央直下であって三点クランプピン9間となる箇所に、供給元ボックス(図示せず)内に水平姿勢に収容してある1枚のプレパラートPを配するよう移動してから、該駆動モータ3に逆向きの直流電流を供給し、図4に示すように、ベース2に進退枠60を近づけるよう可動体6を後退(閉鎖)し、三点クランプピン9左右後クランプピン90と中前クランプピン91との間にプレパラートPの周縁を挟持し、5gないし20g程度までのプレパラートPを搬送可能とするものとなり、しかも供給電流を可変制御可能なものとすれば、プレパラートPに過不足無い挟持力を加えることが可能なものとすることができ、図示しないロボットアームの動作で、図示しない顕微鏡ステージ上まで搬送した後、駆動モータ3に電流を供給し、図3に示すよう、可動体6を前進(解放)させ、プレパラートPを顕微鏡ステージ上の所定位置に位置決め載置可能なものとなる。
【0048】
ロボットアーム(図示せず)が顕微鏡ステージ(図示せず)上から外れる位置にグリッパーヘッド1を移動した後、標本のデジタル画像を撮影・記録し、撮影工程を終了した後に再度、ロボットアームが当該グリッパーヘッド1をプレパラートP直上まで移動し、前述とは逆の動作でプレパラートPを水平姿勢のまま把持し、供給先ボックス(図示せず)内に搬送可能なものとなり、こうした搬送動作に伴い各三点クランプピン9に被着したクッションパイプ92,92,92が、プレパラートP挟持の摩擦力を格段に高め、挟持移送の安全性および安定性を大幅に高めるものとなり、しかも挟持によるプレパラートPの摩耗を軽減し、さらに、顕微鏡ステージ上でプレパラートPを滑らせて位置決めする操作を無くすことが可能となり、プレパラートPおよび顕微鏡ステージ回りの摩耗、破損なども格段に軽減するものとなる。
【0049】
(実施例2の作用・効果)
この発明のプレパラートP用の改良型グリッパーヘッド1は、図9ないし図12に示すように、ベース2の前後辺がわ夫々に表可動体7表進退枠70および裏可動体8裏進退枠80を合計8個の軸受けb,b,……を介してより一段と低摩擦且つ高速で円脱に進退駆動可能とするよう組み込んでなるものとしてあるから、表裏進退枠70,80夫々の進退移動距離を前記実施例1のものに比較して約1/2に短縮し、しかも各表可動体7および裏可動体8を同時に進退動作可能で、把持動作に伴うプレパラートPの水平方向の滑動を最小限度に抑え、プレパラートPや顕微鏡ステージなどの摩耗を一段と軽減することができると共に、プレパラートPの1回の挟持・解放毎に要する動作時間を半減することができ、しかも開閉に伴う振動や衝撃を互いの動きで相殺可能となり、一段と静粛且つ安全、迅速にプレパラートPを水平把持、搬送することができるものになる。
【0050】
(結 び)
叙述の如く、この発明のプレパラート用グリッパーヘッドは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からのロボットハンド技術に比較して部品点数を大幅に削減して格段に小型・軽量・薄型化することができ、しかも耐久強度を高め、低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、大量のプレパラート上の標本を24時間、無人でデジタル画像データ化することが可能となり、標本管理や病理検査、画像解析、遠隔医療など様々な分野の作業効率を格段に高め、人件費を大幅に削減することが可能となり、病理医不足に起因する診断の遅れなどを解消できることとなるから、従前までは必ずオペレーターが立ち会いデジタルデータ化作業を行わざるを得なかった医療業界、およびデジタル映像化技術を提供する医療機器業界はもとより、より低価格で早期診断が可能な医療を希望する一般家庭や、新薬の研究開発経費を削減したい医薬品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0051】
1 グリッパーヘッド
2 ベース
20 同 ヨーク用収容溝
21 同 凹状装着部
22 同 表凹状装着部
23 同 裏凹状装着部
24 同 左右ガイドレール部
25 同 表左右ガイドレール部
26 同 裏左右ガイドレール部
27 同 取付部
28 同 中層隔壁
29 同 カバーパネル
3 駆動モータ
30 同 薄型コイル
31 同 電源コネクタ(電力供給部)
32 同 薄型マグネット
33 同 薄型表マグネット
34 同 薄型裏マグネット
4 表駆動モータ
40 同 薄型表コイル
5 裏駆動モータ
50 同 薄型裏コイル
6 可動体
60 同 進退枠
61 同 ヨーク
62 同 天板部
63 同 下板部
64 同 左右スライドピン
65 同 ストッパ
7 表可動体
70 同 表進退枠
71 同 表ヨーク
72 同 表左右スライドピン
8 裏可動体
80 同 裏進退枠
81 同 裏ヨーク
82 同 裏左右スライドピン
9 三点クランプピン
90 同 左右後クランプピン
91 同 中前クランプピン
92 同 クッションパイプ
b 軸受け
P プレパラート
A グリッパーヘッドの左右全巾寸法
B 可動体6の前後全巾寸法
C ベースの全厚さ寸法
D ベースの前後巾寸法
E 表裏進退枠までの前後巾寸法
F 表裏進退枠夫々の左右巾寸法
G 表裏左右スライドピン夫々の左右軸心間距離
H ベースの上下厚み寸法
J ベース下面から三点クランプピンの垂下、突出寸法
K 左右後クランプピンの左右中心間距離
L 三点クランプピンの側面視最小挟持中心間距離
M 三点クランプピンの側面視最大挟持中心間距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項2】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成し、当該駆動モータが可動体をベースに対して前進駆動した場合に三点クランプピンを開放し、当該駆動モータが可動体をベースに対して後退駆動した場合に、三点クランプピン間に水平姿勢のプレパラート外周縁の三点を挟持可能としてなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項3】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項4】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベース凹状装着部の左右がわ後辺寄りとなる下面左右対称箇所夫々に左右後クランプピン、および、可動体進退枠の左右間中央となる下面適所に中前クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項5】
矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方を装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方を装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のベースを設けると共に、該ベース前辺に表凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠の左右間中央から、表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を有する表ヨークを突設し、該表進退枠の表ヨークを挟む左右端がわから表左右スライドピンを互いに平行に延伸した表可動体を形成し、該表可動体表進退枠の表ヨーク薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を当該ベース表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、該ベース後辺に裏凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠の左右間中央から、裏凹状装着部薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を有する裏ヨークを突設し、該裏進退枠の裏ヨークを挟む左右端がわから裏左右スライドピンを互いに平行に延伸した裏可動体を形成し、該裏可動体裏進退枠の裏ヨーク薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型裏コイル薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設けた上、当該ベースを水平姿勢とした場合の表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか一方の下面左右端寄りとなる左右対称箇所に左右クランプピン、および、表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか他方の左右間中央となる下面適所に中央クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項6】
ベースが、その適所にロボットアームの先端などに着脱可能となる取付部を形成し、三点クランプピンの夫々にクッションパイプを装着してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載のプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項1】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項2】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか一方を装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルか薄型マグネットかの何れか一方に対峙可能であって、駆動モータ用の薄型コイルかまたは薄型マグネットかの何れか他方を装着したヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠ヨークの薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか他方をベース薄型コイルまたは薄型マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成し、当該駆動モータが可動体をベースに対して前進駆動した場合に三点クランプピンを開放し、当該駆動モータが可動体をベースに対して後退駆動した場合に、三点クランプピン間に水平姿勢のプレパラート外周縁の三点を挟持可能としてなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項3】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベースの後辺寄り下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか一方を垂下、突設し、且つ、可動体進退枠の下面適所に、左右端クランプピンか、中央クランプピンかの何れか他方を垂下、突設して三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項4】
矩形状平板の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した凹状装着部に、駆動モータ用の薄型コイルおよび電力供給部を配線装着し、該凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な左右ガイドレール部を形成したベースを設けると共に、該ベース前辺に凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能な進退枠の左右間中央から、凹状装着部薄型コイルに対峙可能であって、薄型マグネットを有するヨークを突設し、該進退枠のヨークを挟む左右端がわから左右スライドピンを互いに平行に延伸した可動体を形成し、該可動体進退枠のヨーク薄型マグネットをベース薄型コイルに対峙可能とするよう、該進退枠左右スライドピン夫々を当該ベース左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、左右スライドピン各適所に進退枠の前進量を規制可能とするストッパを設けた上、水平姿勢とした場合の当該ベース凹状装着部の左右がわ後辺寄りとなる下面左右対称箇所夫々に左右後クランプピン、および、可動体進退枠の左右間中央となる下面適所に中前クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項5】
矩形状平板表面壁の前辺左右間中央から、これとは反対がわの後辺中央付近に達するよう凹設した表凹状装着部に、表駆動モータ用の薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方を装着し、同矩形状平板裏面壁の後辺左右間中央から、これとは反対がわの前辺中央付近に達するよう凹設した裏凹状装着部に、裏駆動モータ用の薄型裏コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか一方を装着し、該表凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な表左右ガイドレール部を形成し、且つ、該裏凹状装着部を挟む左右端がわ夫々に、該前辺および後辺の夫々に直交する方向に平行、且つ互いに平行な裏左右ガイドレール部を形成した表裏二重構造のベースを設けると共に、該ベース前辺に表凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした表進退枠の左右間中央から、表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を有する表ヨークを突設し、該表進退枠の表ヨークを挟む左右端がわから表左右スライドピンを互いに平行に延伸した表可動体を形成し、該表可動体表進退枠の表ヨーク薄型表コイルかまたは薄型表マグネットかの何れか他方を当該ベース表凹状装着部薄型表コイルまたは薄型表マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該表進退枠表左右スライドピン夫々を当該ベース表左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、該ベース後辺に裏凹状装着部を左右跨ぎ対峙可能とした裏進退枠の左右間中央から、裏凹状装着部薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能であって、薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を有する裏ヨークを突設し、該裏進退枠の裏ヨークを挟む左右端がわから裏左右スライドピンを互いに平行に延伸した裏可動体を形成し、該裏可動体裏進退枠の裏ヨーク薄型裏コイルかまたは薄型裏マグネットかの何れか他方を当該ベース薄型裏コイル薄型裏コイルまたは薄型裏マグネットの何れか一方に対峙可能とするよう、該裏進退枠裏左右スライドピン夫々を当該ベース裏左右ガイドレール部に前後進退自在に組み込み、表裏各左右スライドピンの夫々適所に表裏進退枠の前後突出量を夫々規制可能とするストッパを設けた上、当該ベースを水平姿勢とした場合の表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか一方の下面左右端寄りとなる左右対称箇所に左右クランプピン、および、表可動体表進退枠か、裏可動体裏進退枠かの何れか他方の左右間中央となる下面適所に中央クランプピンを夫々垂下、突設し、三点クランプピンを形成してなるものとしたことを特徴とするプレパラート用グリッパーヘッド。
【請求項6】
ベースが、その適所にロボットアームの先端などに着脱可能となる取付部を形成し、三点クランプピンの夫々にクッションパイプを装着してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載のプレパラート用グリッパーヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−183621(P2012−183621A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49711(P2011−49711)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業による研究成果、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(511060261)株式会社 弘 前 機 械 開 発 (1)
【出願人】(511060135)株式会社 ク ラ ー ロ (1)
【出願人】(511060146)有限会社 U N O (1)
【出願人】(504076770)株式会社テクニカル (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業による研究成果、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(511060261)株式会社 弘 前 機 械 開 発 (1)
【出願人】(511060135)株式会社 ク ラ ー ロ (1)
【出願人】(511060146)有限会社 U N O (1)
【出願人】(504076770)株式会社テクニカル (2)
【Fターム(参考)】
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