説明

プログラマブルコントローラ及びプラント制御システム

【課題】プログラマブルコントローラのリフレッシュ時間、リフレッシュタイミングなどに影響されることなく、パルスジェネレータからの検知結果に対応させて、遅滞無く電動機の起動、停止、回転数などを制御させることにより、高速性を要求される制御においても、高速にかつ精度よく制御対象を制御させる。
【解決手段】 CPU装置12のリフレッシュタイミングに関係無く、入出力装置11のパルスカウンタユニット114に設けられたインテリジェント機能部113によって、特定の処理、例えば特定のパルスジェネレータなどから出力されるパルス信号を直接、処理させて、インターロック、ドライブ伝送データを生成させるとともに、伝送ループ40を介して、ドライブ装置20にインターロック、ドライブ伝送データなどを伝送して、ドライブ装置20を介して鉄鋼プラントに設けられた電動機などを制御して鉄鋼の圧延処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼設備などの各種プラントに設置されるプラント制御システムに係わり、特にプラントを構成する各電動機などの制御遅れを無くすようにしたプラント制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼プラントなどを制御する制御システムとして、従来、図6に示すプラント制御システムが知られている。
【0003】
この図に示すプラント制御システム81は、入出力装置(IO装置)82及びCPU装置83によって構成されるプログラマブルコントローラ(PLC)84と、ドライブ装置85と、MCC装置86とを備えている。
【0004】
入出力装置82は、入出力伝送ユニット87と、入力ユニット(DI)88と、出力(DO)ユニット89と、パルスカウンタユニット(PI)90とを備えている。また、CPU装置83は、電源ユニット91と、CPU92と、入出力伝送ユニット93と、ドライブ伝送ユニット94と、MCC伝送ユニット95とを備えている。そして、入力ユニット(DI)88やパルスカウンタユニット(PI)90を介して、鉄鋼プラントの各部に設けられた各センサ、各パルスジェネレータなどの検知結果を取り込んで、カウント処理等、必要な処理を実行する。その後、入出力装置82側の入出力伝送ユニット87→CPU装置83側の入出力伝送ユニット93→CPU92なる経路で、CPU92に検知結果、処理結果などを供給する。CPU92はシーケンスプログラム、フィードバックプログラムなどに対応した演算を行う。
【0005】
この後、CPU92の演算動作によって新たな制御信号が得られたとき、CPU92→CPU装置83側の入出力伝送ユニット93→入出力装置82側の入出力伝送ユニット87→出力ユニット(DO)89なる経路で、出力ユニット89に制御信号を供給する。出力ユニット(DO)89から操作出力を鉄鋼プラントの各部に設けられた各電磁弁等に供給して開閉制御、開度制御など、鉄鋼の圧延処理を実行する。
【0006】
同様に、CPU92の演算動作によって、新たなドライブ伝送信号が得られたとき、CPU92→CPU装置83側のドライブ伝送ユニット94→ドライブ装置85なる経路で、ドライブ装置85にドライブ伝送信号を供給して、駆動電圧に変換し、鉄鋼プラントの各部に設けられた各電動機の起動/停止、回転速度などを制御して、鉄鋼の圧延処理を実行する。
【0007】
さらに、CPU92の演算動作によって、新たなMCC伝送信号が得られたとき、CPU92→MCC伝送ユニット95→MCC装置86なる経路で、MCC装置86にMCC伝送信号を供給する。MCC装置86から各モータ毎の駆動電圧、操作出力などを鉄鋼プラントの各部に設けられた各モータに供給し、起動/停止、回転速度などを制御し、鉄鋼の圧延処理を実行する。
【0008】
また、近年のハードウェア技術の発展に伴い、これらプログラマブルコントローラ、ドライブ装置、MCC装置、伝送装置などに関しても、CPU性能、伝送性能などが向上し、高速化、大容量化などが進んだことや、省配線/オープン化を指向するフィールドバスシステムの台頭もあり、最近では、プログラマブルコントローラと、ドライブ装置、MCC装置との間を伝送ループで接続し、シンプルでありながら高速、大規模な制御が可能なプラント制御システムが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−241570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このような従来のプラント制御システムでも、当然のことながら、殆どの制御対象に対して、必要十分なプラント制御を実現できる。
【0011】
しかしながら、図6に示すプラント制御システム81では、ドライブ装置85、MCC装置86の数が増えるにしたがって、これら各ドライブ装置85、各MCC装置86と、プログラマブルコントローラ84とを接続する信号線の数が増えてしまうとともに、プログラマブルコントローラ84のドライブ伝送ユニット94、MCC伝送ユニット95に設けられる端子数が増えてしまうことから、ドライブ装置85、MCC装置86の数を大幅に増やすことが難しく、大規模なプラントの制御を行うことができないという問題があった。
【0012】
また、プログラマブルコントローラと、ドライブ装置、MCC装置との間を伝送ループで接続した従来例では、各センサ、各パルスジェネレータから新たな検知結果、新たなパルス信号などが出力されてから、ドライブ装置、MCC装置に新たなドライブ伝送データ、MCC伝送データが供給されるまでに時間がかかりすぎるとともに、各センサ、各パルスジェネレータから新たな検知結果、新たなパルス信号などが出力されたタイミングと、リフレッシュタイミングとのずれに応じて、各パルスジェネレータから新たな検知結果、新たなパルス信号などが出力されてから、ドライブ装置、MCC装置に新たなドライブ伝送データ、MCC伝送データが供給されるまでの時間がばらついてしまい、制御精度が低下してしまうという問題があった。
【0013】
本発明は上記の事情に鑑み、請求項1では、リフレッシュ時間、リフレッシュタイミングなどに影響されることなく、センサ、パルスジェネレータなどからの検知結果に対応させて、遅滞無く電磁弁の開閉、開度などを制御することができるとともに、電動機、モータなどの起動、停止、回転数などを制御することができ、これによって高速性を要求される制御においても、高速にかつ精度よく制御対象を制御することができるプログラマブルコントローラ及びプラント制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために本発明に係るプログラマブルコントローラの第1の態様は、CPU装置と入出力装置とを備え、常時は、前記入出力装置を介して制御対象となるプラント側から出力されるセンサ出力を取り込むとともに、前記CPU装置内のプログラムに基づき、前記センサ出力を処理して、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データのうち、少なくともいずれかを生成して伝送ループに送出し、当該伝送ループに接続された前記制御対象となるプラント側の駆動装置を制御するプログラマブルコントローラであって、前記入出力装置内に配置され、前記プラント側から出力されるセンサ出力が予め高速処理指定された所定の条件を満たすものであるとき、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データのうち、少なくともいずれかを生成するインテリジェント入力ユニットと、前記入出力装置内に配置され、前記インテリジェント入力ユニットによって生成された制御データ、ドライブ伝送データ、またはMCC伝送データを前記伝送ループ上に送出する入出力伝送ユニットと、を備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係るプログラマブルコントローラの第2の態様は、前記インテリジェント入力ユニットは、プラント側に設けられたパルスジェネレータから出力されるパルス信号をカウントし、カウント結果が予めプログラムされた条件を満たすとき、ドライブ伝送データを生成し、前記伝送ループ上に送出することを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係るプラント制御システムは、前記第1または第2の態様によるプログラマブルコントローラと、前記入出力ユニットから前記伝送ループ上に前記制御データ、前記ドライブ伝送データ、前記MCC伝送データのうち、少なくともいずれかが送出されたとき、前記制御データ、前記ドライブ伝送データ、前記MCC伝送データのうち、予め指定された種類のデータを取り込むとともに、取り込んだデータに基づき、前記プラント側の前記制御対象機器を駆動する駆動装置と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プログラマブルコントローラのリフレッシュ時間、リフレッシュタイミングなどに影響されることなく、センサ、パルスジェネレータなどからの検知結果に対応して、遅滞無く電磁弁の開閉、開度などを制御することができるとともに、電動機、モータなどの起動、停止、回転数などを制御することができ、これによって高速性を要求される制御においても、高速にかつ精度よく制御対象を制御させることができる。
【0018】
また、プログラマブルコントローラのリフレッシュ時間、リフレッシュタイミングなどの影響されることなく、プラントに設けられたパルスジェネレータから出力されるパルス信号の数が所定の条件を満たすとき、遅滞無く電動機の起動、停止、回転数などを制御させることができ、これによって高速性を要求される制御においても、高速に、かつ精度よく制御対象を制御させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるプラント制御システムの実施形態1を示すブロック図である。
【図2】図1に示すプラント制御システムにおける通常処理時の信号ルートを示す模式図である。
【図3】図1に示すプラント制御システムにおける高速処理時の制御フロー、信号ルートを示す模式図である。
【図4】図1に示すプラント制御システムにおける高速処理時の詳細な信号ルートを示す模式図である。
【図5】図1に示すプラント制御システムが適用された実施例に係るフライングシャーの切断制御装置の構成図である。
【図6】従来のプラント制御システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《実施形態1》
図1は本発明によるプラント制御システムの実施形態1を示すブロック図である。
【0021】
この図に示すプラント制御システム1は、プログラマブルコントローラ(PLC)10と、ドライブ装置20と、MCC装置30とが伝送ループ40によって相互に接続されて構成されている。
【0022】
プログラマブルコントローラ(PLC)10は、鉄鋼プラントの各部に設けられた各センサの検知結果、各パルスジェネレータから出力されるパルス信号などを取り込む処理、操作出力を生成して鉄鋼プラントの各部に設けられた各電磁弁などを制御する処理などを行う入出力装置11と、入出力装置11によって取り込まれた検知結果、予め登録されているシーケンスプログラム、フィードバックプログラムなどに基づき、鉄鋼プラントを制御するのに必要なインターロック、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データ(モータコントロールセンタ伝送データ)などを生成する処理などを行うCPU装置12によって構成される。
【0023】
ドライブ装置20は、プログラマブルコントローラ10から出力されるドライブ伝送データに基づき、駆動電圧を生成して、鉄鋼プラントに設けられた電動機などを駆動する。
【0024】
MCC装置30は、プログラマブルコントローラ10から出力されるMCC伝送データに基づき、各駆動電圧、各操作出力を生成して、各モータなどを駆動する。
【0025】
伝送ループ40は、プログラマブルコントローラ10とドライブ装置20、MCC装置30との間のデータ伝送をサポートする。
【0026】
そして、このプラント制御システム1は、プログラマブルコントローラ10によって、各センサから出力される検知結果、各パルスジェネレータから出力されるパルス信号などを取り込み、予め登録されているシーケンスプログラム、フィードバックプログラムなどに基づき、検知結果、パルス信号などを処理して、インターロック、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データなどを生成し、鉄鋼プラントの各部に設けられた各電磁弁などを直接制御するとともに、伝送ループ40を介して、ドライブ装置20、MCC装置30にインターロック、ドライブ伝送データ、MCC伝送データなどを伝送し、ドライブ装置20、MCC装置30によって、鉄鋼プラントの各部に設けられた各電動機、各モータなどを制御し、鉄鋼の圧延処理などを制御する。また、この動作と並行し、プログラマブルコントローラ10によって、特定の処理、例えば特定のパルスジェネレータなどから出力されるパルス信号をリフレッシュタイミングに関係なく処理して、インターロック、ドライブ伝送データを生成させるとともに、伝送ループ40を介して、ドライブ装置20にインターロック、ドライブ伝送データなどを伝送する。これによって、特定のパルスジェネレータなどから出力されるパルス信号が所定の条件を満たすとき、直ちにドライブ装置20に鉄鋼プラントの各部に設けられた各電動機などの運転内容を変更し、鉄鋼の圧延処理精度が低下しないようにする。
【0027】
プログラマブルコントローラ10の入出力装置11は、鉄鋼プラントの各部に設けられた各センサなどから出力される検知結果を取り込んで一時記憶する入力ユニット(DI)111と、入力されたインターロックをチェックし、安全性を確認した後、制御データに基づいて操作出力を生成し、鉄鋼プラントの各部に設けられた各電磁弁などの開閉制御、開度制御を実行する出力ユニット(DO)112と、演算などを行うCPUの機能、データの入出力を行うIO機能などを実行するインテリジェント機能部113を持ち、鉄鋼プラントの各部に設けられた各パルスジェネレータなどから出力されるパルス信号を取り込んでカウントするとともに、インテリジェント機能部113によって、カウント結果の処理、ドライブ伝送データの送信処理などを行うパルスカウンタユニット(PI)114と、入力ユニット111、パルスカウンタユニット114から検知結果、処理結果などを取り込んで、伝送ループ40上に送出する処理、伝送ループ40上にインターロック、制御データなどが送出されたとき、これらインターロック、制御データを取り込んで、出力ユニット112に供給する処理などを行う入出力伝送ユニット115とを備えている。
【0028】
また、プログラマブルコントローラ10のCPU装置12は、伝送ループ40を介して、入出力装置11側の入出力伝送ユニット115から検知結果などを取り込んで、内部に配置された伝送メモリの入力側に書き込む処理、リフレッシュ処理によって、伝送メモリの出力側に一括して書き込まれたインターロック、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データなどを読み出し、所定の伝送フォーマットのデータに変換した後、伝送ループ40上に送出して、入出力装置11、ドライブ装置20、MCC装置30などに受信させる処理などを行う入出力伝送ユニット115と、入出力伝送ユニット121内にある伝送メモリの入力側に書き込まれている検知結果などを一括して読み出すとともに、予め登録されているシーケンスプログラム、フィードバックプログラムなどに基づき、検知結果などをデータ処理してインターロック、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データなどを生成し、内部メモリに書き込む処理、内部メモリに書き込まれているデータを入出力伝送ユニット121内にある伝送メモリの入力側に一括して書き込む処理(リフレッシュ処理)などを行うCPU122と、商用電源から供給される電源電圧を取り込み、予め指定された値の電源電圧を生成して、入出力伝送ユニット121、CPU122、入出力装置11などに供給する電源ユニット123とを備えている。
【0029】
また、ドライブ装置20は、入出力装置11の入出力伝送ユニット115、CPU装置12の入出力伝送ユニット121から伝送ループ40上にインターロック、ドライブ伝送データが送出されたとき、これを取り込むとともに、インターロックチェックを行い、安全が確認された後、ドライブ伝送データを一時記憶する入出力機能部201と、入出力機能部201に記憶されているドライブ伝送データに対応した駆動電圧などを生成して、制御対象となっている電動機に供給し、これを起動、停止させる処理、回転数を制御させる処理などを行うドライブ部202とを備えている。
【0030】
また、MCC装置30は、CPU装置12の入出力伝送ユニット121から伝送ループ40上にインターロック、MCC伝送データが送出されたとき、これを取り込むとともに、インターロックチェックを行い、安全が確認された後、MCC伝送データを一時記憶する入出力機能部301と、入出力機能部301に記憶されているドライブ伝送データに対応した駆動電圧、操作出力などを生成して、制御対象となっている各モータに供給し、これらを起動、停止させる処理、回転数を制御させる処理などを行うMCC部302とを備えている。
【0031】
次に、図1に示すブロック図、図2〜図4に示す各模式図を参照しながら、プラント制御システム1の動作を説明する。
【0032】
プログラマブルコントローラ10にシーケンスプログラム、フィードバックプログラムなどが登録されるとき、CPU装置12によって、高速処理を必要とする処理かどうかが判定される。高速処理が必要でない通常の処理については、リフレッシュ処理を使用した通常処理が割り当てられて、プログラムメモリエリアに記憶される。高速処理を必要とする処理、例えば特定のパルスジェネレータから出力されるパルス信号の処理については、リフレッシュ処理に無関係に高速で処理する高速処理が割り当てられる。割り当てられた処理は、入出力装置11内に設けられたパルスカウンタユニット114のインテリジェント機能部113に記憶されるとともに、伝送ループを介して、ドライブ装置20の入出力機能部15に記憶される。
【0033】
この後、プログラマブルコントローラ10が操作されて、制御開始指示が入力されると、図2の模式図に示す如く入出力装置11を構成している入力ユニット111などによって、鉄鋼プラントの各部に設けられた各センサなどの検知結果が取り込まれる。その検知結果は、入出力装置11の入出力伝送ユニット115→伝送ループ40→CPU装置12の入出力伝送ユニット121なる経路で、CPU装置12の入出力伝送ユニット121に供給され、伝送メモリの入力側に一時記憶される。一方、リフレッシュタイミングに対応したタイミングで、伝送メモリの入力側に一時記憶されていた検知結果がCPU122の内部メモリに一括転送された後、CPU122によって、シーケンスプログラム、フィードバックプログラムなどに対応した通常の演算で処理されて、インターロック、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データなどが生成され、内部メモリに記憶される。
【0034】
次いで、一連の通常演算処理が終了し、リフレッシュタイミングに対応したタイミングになったとき、CPU122によって、内部メモリに記憶されている処理結果が入出力伝送ユニット121に設けられた伝送メモリの出力側に一括して書き込まれる。
【0035】
この後、入出力伝送ユニット121によって、伝送メモリの出力側に書き込まれているインターロック、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データなどが読み出されて、予め決められた伝送フォーマットの伝送データに変換され、入出力伝送ユニット121→伝送ループ40→入出力装置11の入出力伝送ユニット115なる経路で、入出力伝送ユニット115にインターロック、制御データが供給されるとともに、入出力伝送ユニット121→伝送ループ40→ドライブ装置20の入出力機能部201、MCC装置30の入出力機能部301なる経路で、これらドライブ装置20の入出力機能部201、MCC装置30の入出力機能部301に、インターロック、ドライブ伝送データ、MCC伝送データが各々、供給される。
【0036】
そして、入出力装置11の入出力伝送ユニット115に新たなインターロック、制御データが取り込まれたとき、入出力装置11の出力ユニット112によって、入出力伝送ユニット115に取り込まれたインターロックがチェックされて、安全性が確認されるとともに、インターロックチェック済みの制御データに対応した操作指示などが生成されて、鉄鋼プラントの各部に設けられた各電磁弁の開閉、開度調整などが行われ、鉄鋼の圧延処理などが制御される。
【0037】
また、ドライブ装置20の入出力機能部201に新たなインターロック、ドライブ伝送データが取り込まれたとき、入出力機能部201によって、インターロックがチェックされ、安全が確認されるとともに、ドライブ部202によって、インターロックチェック済みのドライブ伝送データに対応した駆動電圧などが生成されて、鉄鋼プラントに設けられた電動機の起動/停止、回転速度などが制御され、鉄鋼の圧延処理などが制御される。
【0038】
また、MCC装置30の入出力機能部301に新たなインターロック、MCC伝送データが取り込まれたとき、入出力機能部301によって、インターロックがチェックされ、安全が確認されるとともに、MCC部302によって、インターロックチェック済みのMCC伝送データに対応した駆動電圧、操作出力などが生成されて、鉄鋼プラントの各部に設けられた各モータの起動/停止、回転速度などが制御され、鉄鋼の圧延処理などが制御される。
【0039】
また、上述した動作と並行し、高速処理が割り当てられたパルスジェネレータからパルス信号が出力される毎に、図3に示す如く、パルスカウンタユニット114によって、これが取り込まれてカウントされるとともに、インテリジェント機能部113によって、予め登録されている高速処理手順で、カウント結果が指定された条件を満たしているかどうか演算処理される(S1)。
【0040】
そして、カウント結果が高速処理手順で指定されたドライブ伝送データなどの生成条件を満たしているとき、インテリジェント機能部113によって、インターロック、制御データが生成されて、入出力伝送ユニット115に渡され、図4に示す如く入出力装置11の入出力伝送ユニット115→伝送ループ40→ドライブ装置20の入出力機能部201なる経路で、入出力機能部201に供給され、インターロックがチェックされるとともに、ドライブ部202によって、インターロックチェック済みのドライブ伝送データに対応した駆動電圧などが生成されて、鉄鋼プラントに設けられた電動機の起動/停止、回転速度などが制御され、鉄鋼の圧延処理などが制御される(図3S2,S3)。
【0041】
このように、この実施形態1によれば、高速性を要求される特定の処理、例えば鉄鋼プラントに設けられたパルスジェネレータから出力されるパルス信号のカウント数が所定の値を超えたとき、プログラマブルコントローラ10のリフレッシュ時間、リフレッシュタイミングなどに影響されることなく、パルスジェネレータからの検知結果に対応させて、遅滞無く電動機の起動、停止、回転数などを制御することができ、これによって高速性を要求される制御においても、高速にかつ精度よく制御対象を制御することができる。
【0042】
《他の実施形態》
また、上述した実施形態では、パルスカウンタユニット114にインテリジェント機能部113を設けるようにしているが、入力ユニット111にインテリジェント機能部を設け、各センサから出力される検知結果を高速処理手順で演算処理させ、演算処理で得られたインターロック、ドライブ伝送データ、MCC伝送データを伝送ループ40上に送出させて、ドライブ装置20、MCC装置30に転送させるようにしても良い。
【0043】
また、上述した実施形態では、ドライブ装置20の入出力機能部201によって、CPU装置12の入出力伝送ユニット115から送出されるインターロック、ドライブ伝送データと、入出力装置11の入出力伝送ユニット115から送出されるインターロック、ドライブ伝送データとを受信できるようにしているが、MCC装置30の入出力機能部301に、このような機能を持たせるようにしても良い。
【実施例】
【0044】
次に、本発明によるプラント制御システムの具体的実施例について説明する。
【0045】
図5はプラント制御システムが適用される実施例を示すフライングシャーの切断制御装置の構成図である。このフライングシャーの切断制御装置は、圧延スタンド51から圧延・搬送されてくる被切断材52を切断タイミングが到来する毎にクロップシャー本体53によって所定の長さに切断する装置である。
【0046】
クロップシャー本体53は、圧延ラインを挟んで上下に配置された各ドラムの外周面にシャーブレード54を備えている。このクロップシャー本体53のドラム回転軸は減速機を介して電動機55と連結されており、圧延スタンド51から圧延されてくる被切断材52を設定された切断長さで切断すべく切断タイミング毎に電動機55を起動しシャーブレード54を回転させ、所定の長さで材料を切断する。
【0047】
圧延スタンド51には、圧延ローラの回転数を計数するパルスジェネレータ(PG)が設置され、計数された圧延ローラの回転数データはパルスカウンタユニット114に供給されている。また、圧延ラインにおける圧延スタンド51の出側には、搬送されてくる被切断材52を検出する2台の材料検出器(HMD:Hot Metal Detector)57,58が所定箇所に設置されており、それぞれの検出信号はパルスカウンタユニット114に出力される。
【0048】
パルスカウンタユニット114内のインテリジェント機能部113は、材料検出器57,58からの検出信号を入力したタイミングからスタンド駆動軸に取り付けたパルスジェネレータ56のパルス信号をカウントして材料の走行距離をトラッキングする。すなわち、圧延スタンド51に近い側の材料検出器57が搬送されてきた被切断材52の先端を検出した時点でパルスカウントを初期化して計数を開始し、シャーブレード54による切断地点から所定距離Lだけ離間して設置された材料検出器58が搬送されてきた被切断材52の先端を検出した時点までのパルスカウント値によって1パルスの重みが分かる。シャーブレード54のシャー起動から切断までに要する時間/材料走行距離は予め演算で求められており、これらのデータからシャー駆動モータの起動タイミング信号を生成する。生成した起動タイミング信号は、入出力伝送ユニット115→伝送ループ40→ドライブ装置20の入出力機能部201→ドライブ部201に出力される。そして、ドライブ部202からモータ制御出力が電動機55に供給され、これにより、クロップシャー本体53内のシャーブレード54が回転して、被切断材52を所定の長さに切断する。
【0049】
従来のように、パルスジェネレータ56や材料検出器57,58の検出値に基づいてプログラマブルコントローラ10内のCPU装置12によって切断タイミングを計算し、これによって切断指令をドライブ装置20に供給するのでは、高速で搬送されてくる被切断材52を切断するには時間が遅れてしまう。この点、本実施例では、パルスカウンタユニット114のインテリジェント機能部113から切断指令(シャー駆動モータの起動タイミング信号)がCPU装置12を介さずにドライブ装置20に供給されるので、時間遅れを生じることなく、高速にかつ精度よく材料を切断することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1:プラント制御システム
10:プログラマブルコントローラ
11:入出力装置
12:CPU装置
20:ドライブ装置(駆動装置)
30:MCC装置(駆動装置)
40:伝送ループ
111:入力ユニット
112:出力ユニット
113:インテリジェント機能部
114:パルスカウンタユニット(インテリジェント入力ユニット)
115:入出力伝送ユニット
121:入出力伝送ユニット
122:CPU
123:電源ユニット
201:入出力機能部
202:ドライブ部
301:入出力機能部
302:MCC部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU装置と入出力装置とを備え、常時は、前記入出力装置を介して制御対象となるプラント側から出力されるセンサ出力を取り込むとともに、前記CPU装置内のプログラムに基づき、前記センサ出力を処理して、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データのうち、少なくともいずれかを生成して伝送ループに送出し、当該伝送ループに接続された前記制御対象となるプラント側の駆動装置を制御するプログラマブルコントローラであって、
前記入出力装置内に配置され、前記プラント側から出力されるセンサ出力が予め高速処理指定された所定の条件を満たすものであるとき、制御データ、ドライブ伝送データ、MCC伝送データのうち、少なくともいずれかを生成するインテリジェント入力ユニットと、
前記入出力装置内に配置され、前記インテリジェント入力ユニットによって生成された制御データ、ドライブ伝送データ、またはMCC伝送データを前記伝送ループ上に送出する入出力伝送ユニットと、
を備えることを特徴とするプログラマブルコントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラマブルコントローラであって、
前記インテリジェント入力ユニットは、プラント側に設けられたパルスジェネレータから出力されるパルス信号をカウントし、カウント結果が予めプログラムされた条件を満たすとき、ドライブ伝送データを生成し、前記伝送ループ上に送出することを特徴とするプログラマブルコントローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプログラマブルコントローラと、
前記入出力ユニットから前記伝送ループ上に前記制御データ、前記ドライブ伝送データ、前記MCC伝送データのうち、少なくともいずれかが送出されたとき、前記制御データ、前記ドライブ伝送データ、前記MCC伝送データのうち、予め指定された種類のデータを取り込むとともに、取り込んだデータに基づき、前記プラント側の前記制御対象機器を駆動する駆動装置と、
を備えることを特徴とするプラント制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−92969(P2013−92969A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235866(P2011−235866)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】