説明

プログラム、コントローラ装置

【課題】自由度の高い印刷の設定を効率的に行う。
【解決手段】連結可能な複数の画像形成装置を用いた印刷の設定を行うユーザ端末の制御部は、画像形成装置の連結の設定画面を表示部に表示させ(ステップS1)、連結の設定画面において画像形成装置の連結有りと設定されると(ステップS2;Y)、印刷条件の設定画面を表示部に表示させ、印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを合わせて表示させる(ステップS5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、コントローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピーや印刷を行う画像形成装置は一般に広く普及し、特に顧客の要望に応じて印刷を行うオンデマンド印刷に活用されている。
一般に、ユーザ端末から印刷指示を行うには印刷ドライバが用いられ、ユーザにとって使い勝手の良い印刷ドライバの開発が行われている。
【0003】
例えば、印刷に用いる給紙トレイとして、1台の画像形成装置が備える給紙トレイを同時に複数指定することが可能な印刷ドライバが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この印刷ドライバによれば、本文の印刷用に普通紙がセットされた給紙トレイを指定し、表紙の印刷用にOHPシートがセットされた給紙トレイを指定することができる。
また、給紙トレイの設定画面において、限られた表示領域の中で複数ある給紙トレイを全部表示するのではなく、一部の給紙トレイの表示を共通化することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
近年では、複数台の画像形成装置を直列に連結し、高速処理が可能なタンデム仕様の画像形成システムも利用され始めている。タンデム仕様の画像形成システムでは、例えば一方の画像形成装置により偶数ページの印刷を行い、他方の画像形成装置により奇数ページの印刷を行うことができる。このように、1つのジョブの実行を複数の画像形成装置によって分担することにより、1台で処理するより高速な処理が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−175605号公報
【特許文献2】特開昭62−105159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タンデム仕様の画像形成装置に対し、従来の印刷ドライバは、印刷に用いる給紙トレイの設定画面として、各画像形成装置に共通の設定画面を表示していた。この設定画面上には使用可能な給紙トレイの選択肢として、画像形成装置1台分の給紙トレイが表示される。このうちユーザにより選択された給紙トレイが、連結された全ての画像形成装置に共通して設定される。そのため、画像形成装置が複数台あるにも拘わらず、ユーザは何れの画像形成装置に対しても同一の給紙トレイしか設定できず、印刷設定の自由度が損なわれていた。
【0007】
また、タンデム仕様であっても、複数の画像形成装置が連結されてジョブを分担する場合もあれば、そのうちの何台かが省電力のために電源OFFされたり、故障によって作動しなくなったりして、ジョブの分担を行わない場合もある。このように、画像形成装置がジョブの分担を行う場合も行わない場合も同じ印刷ドライバによって印刷設定ができると、ユーザにとっては印刷の設定を効率的に行うことができ、使い勝手が良い。
【0008】
本発明の課題は、自由度の高い印刷の設定を効率的に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、
連結可能な複数の画像形成装置の連結の設定画面を表示部に表示させ、
前記連結の設定画面において前記画像形成装置の連結有りと設定されると、印刷条件の設定画面を前記表示部に表示させ、
前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを合わせて表示させる制御部として、連結可能な複数の画像形成装置を用いた印刷の設定を行うコンピュータを、機能させるためのプログラムが提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを画像形成装置毎に表示させる請求項1に記載のプログラムが提供される。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に選択肢として表示された給紙トレイのうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイの選択を禁止する請求項2に記載のプログラムが提供される。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記連結の設定画面において、前記画像形成装置の連結有りと設定されると、前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を合わせて表示させる請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラムが提供される。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を画像形成装置毎に表示させる請求項4に記載のプログラムが提供される。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に選択肢として表示された用紙の名称のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイにセットされた用紙の名称の選択を禁止する請求項5に記載のプログラムが提供される。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、
連結可能な複数の画像形成装置を用いた印刷の設定画面であって、ユーザ端末に表示する設定画面を作成する制御部を備え、
前記制御部は、
前記画像形成装置の連結の設定画面を作成し、ユーザ端末により前記連結の設定画面において前記画像形成装置の連結有りと設定されると、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを合わせて表示する印刷条件の設定画面を作成するコントローラ装置が提供される。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを画像形成装置毎に表示する印刷条件の設定画面を作成する請求項7に記載のコントローラ装置が提供される。
【0017】
請求項9に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、選択肢として表示された給紙トレイのうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイの選択を禁止する印刷条件の設定画面を作成する請求項8に記載のコントローラ装置が提供される。
【0018】
請求項10に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記連結の設定画面において、前記画像形成装置の連結有りとユーザ端末により設定されると、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を合わせて表示する印刷条件の設定画面を作成する請求項7〜9の何れか一項に記載のコントローラ装置が提供される。
【0019】
請求項11に記載の発明によれば、
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を画像形成装置毎に表示する印刷条件の設定画面を作成する請求項10に記載のコントローラ装置が提供される。
【0020】
請求項12に記載の発明によれば、
前記制御部は、前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、選択肢として表示された用紙の名称のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイにセットされた用紙の名称の選択を禁止する印刷条件の設定画面を作成する請求項11に記載のコントローラ装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、連結有りの設定により、連結された各画像形成装置の給紙トレイが全て使用可能となり、ユーザが使用できる給紙トレイが増えて自由度の高い印刷設定が可能となる。また、連結された各画像形成装置の給紙トレイの中からユーザは任意の給紙トレイを容易に設定することができ、効率的な印刷の設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成システムの機能ブロック図である。
【図2】図1に示す2つの画像形成装置の内部透視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る給紙トレイの設定処理のフローチャートである。
【図4】連結の設定画面例である。
【図5】画像形成装置の連結有りの設定によって表示される印刷条件の設定画面例である。
【図6】画像形成装置のタンデム印刷を実行する設定によって表示される印刷条件の設定画面例である。
【図7】第2の実施の形態に係る画像形成システムの機能ブロック図である。
【図8】図7に示す2つの画像形成装置の内部透視図である。
【図9】第2の実施の形態に係る給紙トレイの設定処理のフローチャートである。
【図10】画像形成装置のタンデム印刷及び両面印刷を実行する設定によって表示される印刷条件の設定画面である。
【図11】用紙の名称が表示された印刷条件の設定画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
〈第1実施形態〉
本発明の第1の実施の形態として、コントローラ装置に直列に連結された2台の画像形成装置を用いた印刷の設定を行う印刷ドライバのプログラムの例を示す。
【0025】
〈画像形成システムの構成〉
図1は、ユーザ端末1、コントローラ装置2、画像形成装置3A、3Bを備えた画像形成システム10の機能ブロック図である。画像形成システム10は、ユーザ端末1からの印刷指示に応じて、連結された2台の画像形成装置3A、3Bにより画像データを印刷することができる。なお、2台の画像形成装置3A、3Bが連結された例を示したが、本発明において連結できる画像形成装置の台数は限定されない。また、画像形成装置3A、3Bの下流に、後処理装置を連結してもよい。
【0026】
ユーザ端末1には印刷ドライバのプログラムがインストールされ、印刷の設定、指示が可能である。
ユーザ端末1は、図1に示すように、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15を備えて構成される。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される。制御部11は記憶部12に記憶されている各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、ユーザ端末1の各部を制御する。
【0028】
例えば、制御部11は記憶部12から印刷ドライバプログラムを読み込んで処理を実行し、制御部11はワープロ、表計算等のアプリケーションによって作成されたアプリケーションファイル形式のデータを、PDL(Page Description Language)形式のデータに変換する。また、制御部11は印刷部数、両面印刷、印刷に用いる給紙トレイ等の印刷条件の設定画面を表示部14に表示し、設定画面におけるユーザの選択操作に応じて印刷条件の設定データを生成する。
【0029】
記憶部12は、制御部11により用いられる印刷ドライバプログラム等の各種プログラム、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。
操作部13はマウスやキーボードを備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。
表示部14はディスプレイを備え、制御部11の表示制御に従って設定画面や制御部11による処理結果を表示する。
【0030】
通信部15はネットワークI/F等の通信用のインターフェイスを備え、コントローラ装置2とイントラネット等のネットワークを介して通信する。例えば、通信部15はコントローラ装置2から印刷設定に必要なオプション情報を受信する。通信部15は印刷対象のPDLデータとともに印刷条件の設定データをコントローラ装置2に送信する。
【0031】
コントローラ装置2は、ユーザ端末1から送信されたPDLデータをラスタライズ処理し、画像データを生成する。また、コントローラ装置2は画像形成装置3A、3Bに印刷作業を割り当てる。
【0032】
コントローラ装置2は、図1に示すように、制御部21、通信部22、記憶部23、画像処理部24、プリンタI/F25を備える。
なお、図1において、独立したコントローラ装置2を示したが、コントローラ装置2はマスタである画像形成装置3Aに備えてもよい。
【0033】
制御部21はCPU、RAM等から構成され、記憶部23に記憶された各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、コントローラ装置2の各部を集中制御する。
【0034】
例えば、制御部21は印刷条件の設定データを解析して、画像形成装置3A、3Bに対するジョブチケットを作成し、通信部22を介して画像形成装置3Aに送信する。ジョブチケットとは画像形成装置3A、3Bが実行すべきジョブの指示情報をいい、ジョブとは画像形成装置3A、3Bが行うべき印刷作業をいう。ジョブチケットには、例えば印刷部数、印刷に用いる給紙トレイ、両面/片面印刷、カラー/モノクロ印刷等の印刷条件の指示情報が含まれる。
【0035】
制御部21は、画像処理部24によって生成された画像データと、ユーザ端末1により指示された印刷条件の設定データとを、過去のジョブ情報として記憶部23に保存する。
【0036】
通信部22はネットワークI/Fのような通信用のインターフェイスを備え、ユーザ端末1と通信する。
記憶部23は制御部21により用いられるプログラム、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、記憶部23は過去に実行されたジョブ情報を記憶する。記憶部23としてはハードディスクを用いることができる。
【0037】
画像処理部24は、ユーザ端末1から送信されるPDLデータをラスタライズ処理する。ラスタライズ処理によって生成されたビットマップ形式の画像データは、ジョブチケットとともにプリンタI/F25を介して画像形成装置3Aに送信される。
【0038】
プリンタI/F25は、マスタである画像形成装置3Aに接続するための専用インターフェイスである。プリンタI/F25は、画像データ、ジョブチケット等を画像形成装置3Aに送信する。
なお、画像形成装置3Aがネットワークに接続できる構成であれば、通信部22を介して画像形成装置3Aに画像データ、ジョブチケットを送信してもよい。
【0039】
画像形成装置3A、3Bは、画像データの印刷を行う。
図1に示すように、コントローラ装置2には画像形成装置3A、画像形成装置3Bの順に直列に連結され、画像形成装置3Aがコントローラ装置2から印刷対象の画像データ及びジョブチケットを受信し、画像形成装置3Bに転送する。つまり、画像形成装置3Aがマスタ、画像形成装置3Bがスレーブとして位置付けられている。
【0040】
図2は、USB(Universal Serial Bus)接続された画像形成装置3A、3Bの内部透視図である。
各画像形成装置3A、3Bは、複数部数の印刷を行う場合は印刷部数単位で印刷作業を分担することができるし、印刷部数が1部数であってもページ数が多い場合には、ページ単位で印刷作業を分担することもできる。
【0041】
画像形成装置3A、3Bの基本的な構成は同じであり、図2において、同一の構成部には同一の符号が付されている。
図2に示すように、画像形成装置3A、3Bは、本体の上部にADF(Auto Document Feeder)351、スキャナ352、タッチパネル331が設けられている。本体には印刷部37が設けられ、Y(イエロー)、M(マジェンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色のトナーを用いて印刷を行うことができる。
【0042】
印刷部37の下部には用紙を収容する3つの給紙トレイT1〜T3が設けられている。この本体に備えられた給紙トレイT1〜T3とは別に、画像形成装置3A、3Bは大容量の給紙トレイを有する給紙ユニットを備えることができる。図2は、画像形成装置3Aに給紙ユニット4を設けた例を示す。給紙ユニット4は大容量の3つの給紙トレイT4〜T6を備える。
【0043】
印刷部37は、図2に示すように、画像形成部371y、371m、371c、372k、中間ベルト373、2次転写ローラ374、定着部375等を備える。画像形成部371yはY色のトナー、画像形成部371mはM色のトナー、画像形成部371cはC色のトナー、画像形成部371kはK色のトナーをそれぞれ用いて、中間ベルト373上にトナー画像を形成する。
【0044】
画像形成部371y、371m、371c、372kは、それぞれ露光部、現像部、感光ドラム、1次転写ローラを備える。印刷時、画像データがPWM(Pulse Width Modulation)変換されたPWM信号に従って、露光部が感光ドラム上にレーザ光を照射し静電潜像を形成する。これを現像部が現像処理し、感光ドラム上にトナー画像を形成する。感光ドラム上のトナー画像は、1次転写ローラにより中間ベルト373上に転写される。
【0045】
画像形成部371y、371m、371c、372kによって形成された各色のトナー画像は、回動する中間ベルト373上の同じ位置に重ねて転写され、中間ベルト373上には4色のトナーからなるカラー画像が形成される。中間ベルト373上のカラー画像が2次転写ローラ374の位置に到達するタイミングに合わせて、給紙トレイT1〜T6(画像形成装置3Bの場合は給紙トレイT1〜T3)の何れかから用紙が給紙される。2次転写ローラ374によってカラー画像が用紙上に転写され、印刷されると、印刷された用紙は定着部375に搬送され、定着処理される。
【0046】
画像形成装置3A、3Bは、用紙の表裏を反転させて再度用紙を給紙する反転部376を備える。両面印刷の際、表面の印刷後、定着部375から排紙された用紙は反転部376に搬送される。反転部376を通過することにより、表裏が反転された用紙は裏面の印刷のため、再度2次転写ローラ374の位置まで搬送される。
【0047】
次に、図1に示した画像形成装置3A、3Bの機能構成を説明する。
画像形成装置3A、3Bは基本的に同じ機能構成を持ち、図1において同一の構成部には同一の符号が付されている。以下、画像形成装置3Aを代表として各構成部の詳細を説明する。
画像形成装置3Aは、図1に示すように制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、画像読取部35、画像処理部36、印刷部37、コントローラI/F38、USBI/F39を備えている。
【0048】
制御部31はCPU、RAM等を備える。制御部31は、記憶部32に記憶されている各種プログラムを読み出して各種処理を実行し、画像形成装置3Aの各部を制御する。
例えば、制御部31はコントローラ装置2から送信されたジョブチケットを解析し、印刷条件の指示情報を取得する。制御部31は指示された印刷条件により印刷部37による印刷処理を実行させる。また、制御部31は印刷時の用紙の搬送を制御する。印刷後、制御部31は印刷済みの画像データとその印刷条件とを過去のジョブ情報として記憶部32に保存する。
【0049】
記憶部32は、制御部31により用いられるプログラムやプログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、記憶部32は過去に実行されたジョブ情報を記憶する。記憶部32としてはハードディスクを用いることができる。
【0050】
操作部33はタッチパネル331や操作キーを備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部31に送信する。
表示部34は、制御部31の表示制御に従って、タッチパネル331に設定画面を表示する。
【0051】
画像読取部35は、ADF351によって搬送された原稿をスキャナ352により光走査し、画像信号(アナログ信号)として読み取る。
【0052】
画像処理部36は、画像読取部35によって読み取られた画像信号をA/D変換し、画像データ(デジタルデータ)を得る。また、画像処理部36は画像データに画像処理を施す。画像処理は、例えば圧縮/伸張処理、拡大/縮小処理、階調補正処理、スクリーン処理である。画像処理部36は、画像処理後、画像データをPWM変換し、印刷部37に出力する。
【0053】
印刷部37は、図2に示した画像形成部371y、371m、371c、371k、定着部375等を備え、画像データの印刷処理を実行する。印刷処理の詳細は上述した通りである。
【0054】
コントローラI/F38はコントローラ装置2に接続するための専用インターフェイスであり、コントローラ装置2と画像形成装置3A間でデータをやりとりする。
USBI/F39は、USB接続された画像形成装置3Aと画像形成装置3B間でデータをやりとりする。
【0055】
〈印刷プロセス〉
以下、画像形成システム10における印刷プロセスの概要を説明する。
ユーザ端末1にインストールされているアプリケーション、例えばワープロや表計算のアプリケーションによって作成されたデータの印刷がユーザによって指示されると、ユーザ端末1は印刷ドライバを起動し、印刷条件の設定画面を表示する。印刷条件の設定が終了すると、ユーザ端末1はアプリケーションファイル形式のデータを、PDLファイル形式のデータに変換する。ユーザ端末1は変換されたPDLデータと、印刷条件の設定データを、コントローラ装置2に送信する。
【0056】
コントローラ装置2は、ユーザ端末1から送信されたPDLデータをビットマップ形式の画像データに変換する。また、コントローラ装置2は印刷条件の設定データを解析し、画像形成装置3A、3Bに対するジョブチケットを作成する。コントローラ装置2は、画像データとともに、画像形成装置3A、3Bに対するジョブチケットを、マスタである画像形成装置3Aに送信する。
【0057】
画像形成装置3Aは、コントローラ装置2から送信されたジョブチケットに、画像形成装置3Bに対する印刷指示が含まれている場合、当該ジョブチケットを画像データとともにスレーブである画像形成装置3Bに転送する。
画像形成装置3A、3Bは、ジョブチケットにより指示された印刷条件に従って、画像データの印刷を実行する。
【0058】
〈給紙トレイの設定〉
上記印刷プロセスにおいて、ユーザ端末1において起動された印刷ドライバにより、印刷条件の1つとして、印刷に用いる給紙トレイをユーザが設定することができる。
図3は、ユーザ端末1の制御部11により実行される給紙トレイの設定処理のフローチャートである。
【0059】
ユーザにより印刷のオプション設定のメニューが選択されると、図3に示すように、制御部11は連結の設定画面を表示する(ステップS1)。
図4は、連結の設定画面例を示す。
連結の設定画面には、画像形成装置3A、3Bの連結の有無を設定できるチェックボックスk1が表示される。ユーザはこのチェックボックスk1にチェックマークを入力する操作により、画像形成装置3A、3Bの連結有りの設定を手動で行うことができる。
【0060】
一方、画像形成装置3A、3Bの連結状態を自動で認識し、連結の有無の設定をユーザ端末1により自動で行うことも可能である。連結の設定画面には、図4に示すようにオプション情報取得の指示ボタンk2が設けられている。指示ボタンk2が操作されると、制御部11はコントローラ装置2に画像形成装置3A、3Bに関するオプション情報を要求する。オプション情報として、画像形成装置3A、3Bから取得された画像形成装置3A、3Bの連結状態、動作状態の情報が、コントローラ装置2から送信されるので、制御部11はこのオプション情報から画像形成装置3A、3Bの連結の有無を判定する。連結されていれば、制御部11は連結の設定画面においてチェックボックスk1にチェックマークを入力し、連結有りに設定する。
【0061】
連結の設定画面において、チェックボックスk1にチェックマークが入力されず、画像形成装置3A、3Bの連結無しが設定された場合(ステップS2;N)、制御部11は本処理を終了する。
一方、チェックボックスk1にチェックマークが入力され、画像形成装置3A、3Bの連結有りが設定された場合(ステップS2;Y)、制御部11は印刷条件の設定画面を表示部14に表示する(ステップS3)。
【0062】
図5は、印刷条件の設定画面例を示す。
印刷条件の設定画面には、原稿のサイズ、向きの設定項目の他、タンデム印刷の実行の有無を設定できるチェックボックスk3が設けられている。タンデム印刷とは、連結された複数の画像形成装置により印刷作業を分担する印刷方法をいう。また、印刷に用いる給紙トレイを設定できるプルダウンメニューk4が表示され、印刷に使用可能な給紙トレイの選択肢がプルダウン表示される。
【0063】
印刷条件の設定画面において、タンデム印刷のチェックボックスk3にチェックマークが入力されず、タンデム印刷を実行しないと設定された場合(ステップS4;N)、制御部11は印刷に使用可能な給紙トレイの選択肢として、画像形成装置3Aの給紙トレイT1〜T6と、画像形成装置3Bの給紙トレイT1〜T3とを合わせた合計9つの給紙トレイを全て表示する(ステップS5)。例えば、制御部11は、画像形成装置3Aの給紙トレイT1〜T6をトレイ1〜6に割り当て、画像形成装置3Bの給紙トレイT1〜T3をトレイ7〜9に割り当てて、図5に示すように、プルダウンメニューk4においてトレイ1〜9をプルダウン表示する。なお、プルダウンメニューk4中の自動選択は、画像データのサイズによって自動的に設定される給紙トレイの選択肢である。
【0064】
画像形成装置3A、3Bは連結されているが、タンデム印刷を行わない場合、何れかの画像形成装置3A又は3Bが単独で印刷を行うことになる。そこで、各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイ全てを選択肢として表示することにより、画像形成装置3A、3Bのうち任意の給紙トレイをユーザが選択可能とする。
【0065】
ユーザによりプルダウンメニューk4から何れかの給紙トレイが選択されると、選択された給紙トレイが印刷に用いる給紙トレイとして設定され、印刷時には当該給紙トレイから用紙が給紙される。例えば、プルダウンメニューk4においてトレイ7が選択された場合、選択されたトレイ7に対応する画像形成装置3Bの給紙トレイT1が印刷に用いる給紙トレイとして設定される。この設定により、連結された画像形成装置3A、3Bのうち、画像形成装置3Bのみ印刷に用いられ、画像形成装置3Bは給紙トレイT1から用紙を給紙して印刷を実行する。
【0066】
一方、印刷条件の設定画面において、タンデム印刷のチェックボックスk3にチェックマークが入力され、タンデム印刷を実行すると設定された場合(ステップS4;Y)、制御部11は印刷に使用可能な給紙トレイとして、画像形成装置3Aの給紙トレイT1〜T6と画像形成装置3Bの給紙トレイT1〜T3を、画像形成装置毎に表示する(ステップS6)。
【0067】
図6は、画像形成装置毎に給紙トレイが表示された印刷条件の設定画面例を示す。
図6に示すように、制御部11は、画像形成装置3Aの給紙トレイT1〜T6をトレイ1〜6に割り当てたプルダウンメニューk51と、画像形成装置3Bの給紙トレイT1〜T6をトレイ1〜3に割り当てたプルダウンメニューk52とを並べて表示する。
【0068】
連結された画像形成装置3A、3Bを用いてタンデム印刷を行う場合、各画像形成装置3A、3Bについて給紙トレイを選択する必要がある。よって、給紙トレイの選択肢を画像形成装置毎に表示することにより、ユーザに各画像形成装置について確実に給紙トレイを設定させることができる。
【0069】
ユーザによりプルダウンメニューk51、k52からそれぞれ給紙トレイが選択されると、選択された給紙トレイが各画像形成装置3A、3Bで印刷に用いる給紙トレイとして設定される。例えば、プルダウンメニューk51において自動選択、プルダウンメニューk52においてトレイ7が選択された場合、画像形成装置3Aについては画像データのサイズに対応する用紙がセットされた給紙トレイ、画像形成装置3Bについては選択されたトレイ7に対応する給紙トレイT1が印刷に用いる給紙トレイとして設定される。この設定により、画像形成装置3Aは、画像データのサイズがA4であればA4サイズの用紙がセットされている給紙トレイT2から用紙を給紙し、画像形成装置3Bは給紙トレイT1から用紙を給紙してそれぞれ印刷を実行する。
【0070】
以上のように、第1の実施の形態によれば、連結可能な複数の画像形成装置3A、3Bを用いた印刷の設定を行うユーザ端末1の制御部11は、画像形成装置3A、3Bの連結の設定画面を表示部14に表示させ、連結の設定画面において画像形成装置3A、3Bの連結有りと設定されると、印刷条件の設定画面を表示部14に表示させ、印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイを合わせて表示させる。
【0071】
これにより、複数の画像形成装置が連結された場合、連結された各画像形成装置の給紙トレイが全て使用可能となり、ユーザが使用できる給紙トレイが増え、自由度の高い印刷設定が可能となる。従来は、各画像形成装置において同じ給紙トレイを設定せざるを得ず、設定した給紙トレイに用紙をセットしなければならなかった。しかし、第1の実施形態によれば、ユーザは連結された各画像形成装置の給紙トレイの中から、任意の給紙トレイを容易に設定することができ、効率的な印刷の設定が可能となる。
【0072】
また、制御部11は、印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置3A、3Bを印刷に用いるタンデム印刷の実行が設定された場合、印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイを画像形成装置毎に表示させる。
これにより、各画像形成装置に対する給紙トレイの設定をユーザに確実に行わせることができ、誤設定を防止することができる。
【0073】
画像形成装置の連結の有無、タンデム印刷の実行の有無に応じて、使用可能な給紙トレイの選択肢を切り替えて表示するので、1つの印刷ドライバによって、連結可能な複数の画像形成装置の印刷設定を一度に行うことができ、ユーザは印刷の設定を効率的に行うことができる。
【0074】
〈第2の実施の形態〉
第1の実施の形態では、用紙の搬送経路は接続されず、それぞれ独立して印刷を行う画像形成装置3A、3Bの例を挙げた。第2の実施の形態では、用紙の搬送経路が接続され、印刷を協働して行うことができる画像形成装置3A、3Bに対し、印刷の設定を行う印刷ドライバのプログラムの例を示す。
【0075】
〈画像形成システムの構成〉
図7は、第2の実施の形態に係る画像形成システム20の機能ブロック図である。図8は、図7に示す画像形成装置3A、3Bの内部透視図である。
第2の実施の形態において、画像形成システム20が備える構成は、第1の実施の形態で示した画像形成システム10と同じである。図7及び図8において、同一の構成部には同一の符号が付されている。
【0076】
図7に示すように、第2の実施の形態において、画像形成装置3A、3Bはそれぞれが備えるコントローラI/F38を介して、コントローラ装置2のプリンタI/F25と接続される。すなわち、画像形成装置3A、3Bは並列的にコントローラ装置2に連結され、第1の実施の形態で示したようなマスタとスレーブの関係は解消される。印刷対象の画像データは、コントローラ装置2から画像形成装置3A、3Bのそれぞれに送信され、直接的に振り分けられる。なお、画像形成装置3A、3BにネットワークI/Fのような通信部を備え、当該通信部によりネットワークを介してコントローラ装置2から画像データ等を受信する構成としてもよい。
【0077】
画像形成装置3A、3Bは用紙の搬送経路が連続するように連結され、上流の画像形成装置3Aから排紙された用紙が、下流の画像形成装置3Bの用紙の搬送経路に搬送される。画像形成装置3A、3Bの搬送経路は直接接続されてもよいが、図8に示すように、画像形成装置3A、3B間に中間ユニット5を設け、中間ユニット5の搬送経路を介して接続されるようにしてもよい。中間ユニット5は、切り替え可能な2つの搬送経路51、52を備え、用紙の表裏反転が可能である。表裏反転を行わない場合、用紙は搬送経路51を介して画像形成装置3Bに搬送され、表裏反転を行う場合、用紙は搬送経路52を介して画像形成装置に搬送される。
【0078】
〈印刷プロセス〉
ユーザ端末1にインストールされているアプリケーション、例えばワープロや表計算のアプリケーションによって作成されたデータの印刷がユーザによって指示されると、ユーザ端末1は印刷ドライバを起動し、印刷条件の設定画面を表示する。各種印刷条件の設定が終了すると、ユーザ端末1はアプリケーションファイル形式のデータを、PDLファイル形式のデータに変換する。ユーザ端末1は変換されたPDLデータと、印刷条件の設定データを、コントローラ装置2に送信する。
【0079】
コントローラ装置2は、ユーザ端末1から送信されたPDLデータをビットマップ形式の画像データに変換する。また、コントローラ装置2は印刷条件の設定データを解析し、画像形成装置3A、3Bに対するジョブチケットをそれぞれ作成する。第1の実施の形態と同様に、画像形成装置3A、3Bにそれぞれ独立して印刷を行わせることができ、印刷部数、印刷ページ単位の作業分担が可能である。加えて、第2の実施の形態では、画像形成装置3A、3Bの搬送経路が連続していることから、画像形成装置3Aに表面の印刷、画像形成装置3Bに裏面の印刷を割り当てて、両面印刷の作業を分担させることも可能である。
【0080】
両面印刷の作業を分担させる場合、コントローラ装置2は画像データを表面毎、裏面毎に分割する。コントローラ装置2は分割した表面の画像データの印刷と、用紙の反転を指示するジョブチケットを、画像形成装置3Aに対して作成する。また、コントローラ装置2は裏面の画像データの印刷を指示するジョブチケットを作成し、作成したジョブチケットと分割した画像データをそれぞれ対応する画像形成装置3A、3Bに送信する。
【0081】
画像形成装置3A、3Bは、コントローラ装置2から送信されたそれぞれのジョブチケットを解析し、ジョブチケットとともに送信された画像データの印刷条件を取得する。次いで、画像形成装置3A、3Bは取得した印刷条件に従って画像データの印刷を行う。画像形成装置3Aはジョブチケットに従って表面の画像データの印刷を行い、印刷された用紙を反転部376により反転させて中間ユニット5に搬送する。中間ユニット5は搬送経路51を介して用紙を画像形成装置3Bに搬送する。画像形成装置3Bは中間ユニット5から搬送される用紙に対し、裏面の画像データの印刷を行う。
【0082】
なお、用紙の反転を中間ユニット5により行うことも可能である。この場合、コントローラ装置2は画像形成装置3Aに対し、中間ユニット5による反転の指示を含むジョブチケットを作成する。画像形成装置3Aは、コントローラ装置2から送信されたジョブチケットを解析し、中間ユニット5による反転の指示が含まれている場合は、画像形成装置3Aは表面の画像データの印刷を行い、印刷された用紙を反転せずに中間ユニット5に搬送する。中間ユニット5は画像形成装置3Aから搬送された用紙を搬送経路52を介して画像形成装置3Bに搬送する。
【0083】
〈給紙トレイの設定〉
図9は、第2の実施の形態に係る給紙トレイの設定処理のフローチャートである。図9において、図3に示した第1の実施の形態に係る給紙トレイの設定処理と同じ処理ステップには同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0084】
図9に示すように、ユーザによりオプションの設定が指示されると、制御部11は図4に示すような連結の設定画面を表示部14に表示する(ステップS1)。連結の設定画面において、画像形成装置3A、3Bの連結無しと設定された場合(ステップS2;N)、本処理を終了する。
一方、画像形成装置3A、3Bの連結有りと設定された場合(ステップS2;Y)、制御部11は図5に示すような印刷条件の設定画面を表示部14に表示する(ステップS3)。
【0085】
印刷条件の設定画面において、タンデム印刷のチェックボックスk3にチェックマークが入力されず、タンデム印刷を実行しないと設定された場合(ステップS4;N)、図5に示すように、制御部11は印刷に使用可能な給紙トレイの選択肢として、画像形成装置3Aの給紙トレイT1〜T6と画像形成装置3Bの給紙トレイT1〜T3を合わせてプルダウンメニューk4に表示する(ステップS5)。
【0086】
印刷条件の設定画面において、タンデム印刷のチェックボックスk3にチェックマークが入力され、タンデム印刷を実行すると設定された場合(ステップS4;Y)、制御部11は印刷に使用可能な給紙トレイの選択肢として、画像形成装置3Aの給紙トレイT1〜T6、画像形成装置3Bの給紙トレイT1〜T3を、図6に示すように画像形成装置毎に表示する(ステップS6)。
【0087】
図5及び図6には図示していないが、第2の実施の形態において、印刷条件の設定画面にはタンデム印刷のチェックボックスk3の他に、両面印刷の実行の有無を設定できるチェックボックスが設けられている。この両面印刷のチェックボックスにチェックマークが入力されず、両面印刷を実行しない設定であれば(ステップS7;N)、本処理を終了する。
【0088】
印刷条件の設定画面において、両面印刷のチェックボックスにチェックマークが入力され、両面印刷を実行すると設定された場合(ステップS7;Y)、制御部11は連結された複数の画像形成装置のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイの選択を禁止する(ステップS8)。
【0089】
両面印刷の場合、両面の印刷に同じ用紙が用いられるため、表面、裏面ともに同じ給紙トレイが設定されなければならない。表面の印刷には、ユーザにより設定された給紙トレイを持つ画像形成装置が用いられ、裏面の印刷には当該画像形成装置より下流に位置する任意の画像形成装置が用いられる。つまり、裏面の印刷用に、用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置を少なくとも確保しなければならない。そのため、表面の印刷に用いる給紙トレイとして、最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイの選択を禁止する必要がある。
【0090】
図8に示すように、画像形成装置3A、3Bのうち、用紙の搬送経路の最下流に位置するのは画像形成装置3Bである。よって、制御部11は印刷条件の設定画面において画像形成装置3Bの給紙トレイの選択を禁止する。例えば、図10に示すように、印刷条件の設定画面において、両面印刷のチェックボックスk6にチェックマークが入力されれば、制御部11は画像形成装置3Bに対応する給紙トレイのプルダウンメニューk52を網掛けして打ち消し、当該給紙トレイの選択を禁止する。
【0091】
以上のように、第2の実施の形態によれば、ユーザ端末1の制御部11は、印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行が設定された場合、印刷条件の設定画面上に選択肢として表示された給紙トレイのうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置3Bの給紙トレイの選択を禁止する。
これにより、第1の実施の形態による効果が得られるのはもちろんのこと、少なくとも最下流に位置する画像形成装置を裏面の印刷用に確保することができる。よって、両面印刷時の給紙トレイの誤設定を防止することができる。
【0092】
〈他の実施の形態〉
上記第1又は第2の実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、給紙トレイの設定を、用紙に付与された名称を選択することによって自動設定する場合があるが、このような場合にも本発明を適用することができる。
顧客の要望に応じてその都度印刷を行う、いわゆるオンデマンド印刷のような使用形態の下では、顧客毎に使用する用紙が固定されていることが多い。そのような使用形態に応じて、用紙の名称による給紙トレイの設定が可能な構成を持つ画像形成装置3A、3Bがある。用紙の名称とその用紙がセットされた給紙トレイを予め画像形成装置3A、3Bに設定しておくことにより、ユーザは用紙の名称によって所望の用紙がセットされている給紙トレイを容易に設定することが可能である。
【0093】
用紙の名称と給紙トレイの設定は、画像形成装置3A、3Bのそれぞれに対して行われる。
ユーザによって用紙の名称と、当該用紙をセットする給紙トレイとが設定されると、画像形成装置3A、3Bの制御部31は用紙の名称及び給紙トレイの設定データを記憶部32に保存する。
【0094】
印刷に用いる給紙トレイの設定時、ユーザ端末1はコントローラ装置2にオプション情報を要求する。コントローラ装置2は各画像形成装置3A、3Bに保存されている用紙の名称の設定データを、画像形成装置3A、3Bから取得し、オプション情報としてユーザ端末1に送信する。ユーザ端末1の制御部11はコントローラ装置2から送信された設定データにより、印刷条件の設定画面に各画像形成装置3A、3Bに設定されている用紙の名称を選択的に表示する。ユーザにより印刷に用いる用紙の名称が選択されると、制御部31は選択された名称の用紙がセットされた給紙トレイを設定データにより判断し、当該給紙トレイを印刷に用いる給紙トレイとして設定する。
【0095】
このように、用紙の名称が選択的に表示される場合にも本発明を適用し、第1又は第2の実施の形態で説明したように、画像形成装置3A、3Bの連結の設定、タンデム印刷又は両面印刷の設定によって、制御部11が用紙の名称の表示を切り替える。
【0096】
すなわち、制御部11は、連結の設定画面において、画像形成装置3A、3Bの連結有りと設定されると、印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイT1〜T6にセットされている用紙の名称を合わせて表示させる。
【0097】
また、制御部11は、印刷条件の設定画面を表示部14に表示させ、印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置3A、3Bを印刷に用いるタンデム印刷の実行が設定された場合、印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイT1〜T6にセットされている用紙の名称を画像形成装置毎に表示させる。
【0098】
また、制御部11は、印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行が設定された場合、印刷条件の設定画面上に選択肢として表示された用紙の名称のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置3Bの給紙トレイにセットされた用紙の名称の選択を禁止する。
【0099】
例えば、画像形成装置3A、3Bの連結有りと設定され、さらにタンデム印刷、両面印刷の実行が設定された場合、制御部11は図11に示すような印刷条件の設定画面を表示する。画像形成装置3A、3Bの連結有り、さらにタンデム印刷の実行が設定されているので、印刷条件の設定画面には、図11に示すように画像形成装置毎に、給紙トレイのプルダウンメニューk51、k52と、用紙の名称のプルダウンメニューk71、k72とが表示される。また、両面印刷の実行が設定されているので、用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置3Bのプルダウンメニューk52、k72は網掛けされ、給紙トレイ及び用紙の名称の選択が禁止される。
【0100】
ユーザにより何れかの用紙の名称が選択されると、制御部11は選択された用紙の名称に対応する給紙トレイを自動選択し、設定画面上に表示する。例えば、図11に示すように、画像形成装置3Aについて用紙の名称;○○会社様が選択されると、制御部11は給紙トレイのプルダウンメニューk51の表示を、選択された名称;○○会社様の用紙がセットされている給紙トレイT3を示すトレイ3に代えて表示する。
【0101】
以上より、用紙の名称によって給紙トレイを設定する際にも、ユーザは自由度の高い印刷設定が可能となる。また、ユーザは連結された各画像形成装置に設定されている用紙の名称の中から、所望の名称の用紙がセットされている給紙トレイを容易に設定することができ、効率的な印刷の設定が可能となる。
【0102】
また、第1又は第2の実施の形態では、印刷ドライバによる印刷の設定に本発明を適用した例を説明したが、一度実行され、保存されたジョブの再印刷を行うアプリケーションにより再印刷の設定を行う場合にも本発明を適用してもよい。
【0103】
保存されたジョブの再印刷の設定を行うアプリケーションの1つとして、コントローラ装置2に保存された画像データの再印刷を制御するアプリケーションが挙げられる。このアプリケーションのプログラムはユーザ端末1にインストールされ、制御部11によって実行される。
【0104】
ユーザ端末1において上記アプリケーションが起動されると、制御部11はコントローラ装置2に過去に実行したジョブの情報を要求する。コントローラ装置2は、過去にユーザ端末1から印刷指示を受けて印刷を実行したジョブ情報を記憶部23から読み出し、ユーザ端末1に送信する。
【0105】
ユーザ端末1の制御部11はジョブ情報を用いて、過去に実行したジョブの一覧を表示部14に表示する。ユーザにより一覧の中から再度印刷するジョブが選択されると、制御部11は選択されたジョブの印刷設定のため、図3又は図9に示した給紙トレイの設定処理を実行し、連結の設定画面(図4参照)や印刷条件の設定画面(図5、図6、図10、図11参照)を表示する。
【0106】
以上のように、ジョブの再印刷を行うアプリケーションにおいても、印刷ドライバの場合と同様に、制御部11が設定画面の表示制御を行うことができ、第1又は第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0107】
また、保存されたジョブの再印刷の設定を行うアプリケーションの1つとして、各画像形成装置3A、3Bに保存されている画像データを再度印刷させるアプリケーションが挙げられる。このアプリケーションのプログラムはコントローラ装置2にインストールされ、コントローラ装置2の制御部21により実行される。再印刷の設定は、コントローラ装置2がウェブサーバとして提供するウェブページに、ユーザ端末1がアクセスすることによって行われる。ユーザ端末1にはウェブブラウザがインストールされる。
【0108】
画像形成装置3A、3Bに保存されている画像データの再印刷の指示がユーザ端末1から送信されると、コントローラ装置2の制御部21は、コントローラ装置2に接続されている画像形成装置3A、3Bを検出する。制御部21は検出された全ての画像形成装置3A、3Bに対し、画像形成装置3A、3Bに保存されている過去のジョブ情報を要求する。画像形成装置3A、3Bからジョブ情報が送信されると、制御部21はジョブ情報を解析して画像形成装置3A、3Bに保存されている画像データのファイル名やサムネイル、過去の印刷時の印刷条件を一覧表示するウェブページを作成する。ウェブページは通信部22を介してユーザ端末1に送信される。
【0109】
ユーザ端末1はウェブページを表示部14に表示する。ウェブページ上でユーザにより何れかの画像データが選択され、印刷条件の変更が指示されると、コントローラ装置2の制御部21は、図3又は図9に示す給紙トレイの設定処理を実行する。制御部21は、連結の設定画面(図4参照)や印刷条件の設定画面(図5、図6、図10、図11参照)を表示するウェブページを作成し、通信部22を介してユーザ端末1に送信する。
【0110】
以上のように、コントローラ装置2は、連結可能な複数の画像形成装置3A、3Bを用いた印刷の設定画面であって、ユーザ端末2に表示する設定画面を作成する制御部21を備える。制御部21は、画像形成装置3A、3Bの連結の設定画面を作成し、連結の設定画面においてユーザ端末1により画像形成装置3A、3Bの連結有りと設定されると、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイT1〜T6を合わせて表示する印刷条件の設定画面を作成する。
【0111】
また、制御部21は、印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置3A、3Bを印刷に用いるタンデム印刷の実行がユーザ端末1により設定された場合、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイを画像形成装置毎に表示する印刷条件の設定画面を作成する。
【0112】
制御部21は、印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行がユーザ端末1により設定された場合、選択肢として表示された給紙トレイのうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置3Bの給紙トレイの選択を禁止する印刷条件の設定画面を作成し、通信部22によりユーザ端末1に送信する。
【0113】
制御部21は、連結の設定画面において、画像形成装置3A、3Bの連結有りとユーザ端末により設定されると、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイにセットされている用紙の名称を合わせて表示する印刷条件の設定画面を作成する。
【0114】
制御部21は、印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置3A、3Bを印刷に用いるタンデム印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、連結された各画像形成装置3A、3Bの給紙トレイにセットされている用紙の名称を画像形成装置毎に表示する印刷条件の設定画面を作成する。
【0115】
制御部11は、印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行がユーザ端末1により設定された場合、選択肢として表示された用紙の名称のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置3Bの給紙トレイにセットされた用紙の名称の選択を禁止する印刷条件の設定画面を作成する。
【0116】
これにより、コントローラ装置2によって提供される設定画面により再印刷の設定を行う場合も、第1又は第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0117】
なお、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としては、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【符号の説明】
【0118】
10 画像形成システム
20 画像形成システム
1 ユーザ端末
11 制御部
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 通信部
2 コントローラ装置
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
24 画像処理部
25 プリンタI/F
3A 画像形成装置
3B 画像形成装置
31 制御部
32 記憶部
37 印刷部
38 コントローラI/F
39 USBI/F
T1〜T6 給紙トレイ
4 給紙ユニット
5 中間ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結可能な複数の画像形成装置の連結の設定画面を表示部に表示させ、
前記連結の設定画面において前記画像形成装置の連結有りと設定されると、印刷条件の設定画面を前記表示部に表示させ、
前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを合わせて表示させる制御部として、連結可能な複数の画像形成装置を用いた印刷の設定を行うコンピュータを、機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを画像形成装置毎に表示させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に選択肢として表示された給紙トレイのうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイの選択を禁止する請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記連結の設定画面において、前記画像形成装置の連結有りと設定されると、前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を合わせて表示させる請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を画像形成装置毎に表示させる請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行が設定された場合、前記印刷条件の設定画面上に選択肢として表示された用紙の名称のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイにセットされた用紙の名称の選択を禁止する請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
連結可能な複数の画像形成装置を用いた印刷の設定画面であって、ユーザ端末に表示する設定画面を作成する制御部を備え、
前記制御部は、
前記画像形成装置の連結の設定画面を作成し、ユーザ端末により前記連結の設定画面において前記画像形成装置の連結有りと設定されると、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを合わせて表示する印刷条件の設定画面を作成するコントローラ装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイを画像形成装置毎に表示する印刷条件の設定画面を作成する請求項7に記載のコントローラ装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、選択肢として表示された給紙トレイのうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイの選択を禁止する印刷条件の設定画面を作成する請求項8に記載のコントローラ装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記連結の設定画面において、前記画像形成装置の連結有りとユーザ端末により設定されると、給紙トレイの選択肢として、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を合わせて表示する印刷条件の設定画面を作成する請求項7〜9の何れか一項に記載のコントローラ装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記印刷条件の設定画面において、連結された複数の画像形成装置を印刷に用いるタンデム印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、連結された各画像形成装置の給紙トレイにセットされている用紙の名称を画像形成装置毎に表示する印刷条件の設定画面を作成する請求項10に記載のコントローラ装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記印刷条件の設定画面において、タンデム印刷及び両面印刷の実行がユーザ端末により設定された場合、選択肢として表示された用紙の名称のうち、少なくとも用紙の搬送経路の最下流に位置する画像形成装置の給紙トレイにセットされた用紙の名称の選択を禁止する印刷条件の設定画面を作成する請求項11に記載のコントローラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−234457(P2012−234457A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104029(P2011−104029)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】