説明

プログラム、情報処理装置、及び情報処理システム

【課題】 複数のポインティングデバイスを用いた入力の操作性を向上させること。
【解決手段】 情報処理装置(10)に対し、複数のポインティングデバイス(20A、20B)のそれぞれに対応する複数の仮ポインタを表示手段(30)上に表示するステップと、複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存するステップであって、所定のボタンがオンとなった際に入力データの保存を開始し、所定のボタンがオフとなった際に入力データの保存を終了するステップと、保存が終了した入力データに基づく処理を実行するステップと、を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポインティングデバイスによる入力が可能な情報処理システム、情報処理装置、及びその入力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置への入力手段として、表示画面上に現れるポインタにより画面上の座標位置を入力可能なポインティングデバイス(例えば、マウスなど)が知られている。近年、1つの情報処理装置に複数のポインティングデバイスを接続し、入力を行うことのできる情報処理システムが開発されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−63279号公報
【特許文献2】特開2001−34411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の情報処理システムでは、情報処理装置に複数のポインティングデバイスを接続することができるものの、一のポインティングデバイスによるデータの入力が終了するまでは、他のポインティングデバイスによるデータの入力を行うことが実質的にできなかった。すなわち、複数のポインティングデバイスを用いてデータの入力を同時に行うことが難しかった(例えば、特許文献1に記載の発明では、複数のポインティングデバイスから同時に入力が行われた場合に、優先順位の最も高いポインティングデバイスによる入力データのみが残され、残りの入力データは破棄されてしまう)。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数のポインティングデバイスを用いた入力の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、情報処理装置に対し、複数のポインティングデバイスのそれぞれに対応する複数の仮ポインタを表示手段上に表示するステップと、前記複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存するステップであって、前記所定のボタンがオンとなった際に前記入力データの保存を開始し、前記所定のボタンがオフとなった際に前記入力データの保存を終了するステップと、保存が終了した前記入力データに基づく処理を実行するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【0007】
本構成によれば、入力データの保存の開始及び終了を、ポインティングデバイスにおける所定のボタンがオン状態にあるか否かにより制御するため、複数のポインティングデバイス用いた並列的なデータ入力(例えば、複数の人間による入力)を行うことが容易となる。また、一度入力データを保存してから入力データに基づく処理の実行を行うため、複数のポインティングデバイスから同時入力が行われた場合でも、いずれの入力データも破棄することなく、全ての入力操作に対応する処理を実行することができる。以上のように、本発明によれば、複数のポインティングデバイスを用いた入力操作の操作性を向上させることができる。
【0008】
上記構成において、前記入力データに基づく処理を実行するステップは、前記入力データが複数ある場合に、前記入力データを保存するステップにおいて前記入力データの保存が終了した順に、前記入力データに基づく処理を実行するものである構成とすることができる。本構成によれば、入力データを全て一度保存した上で、入力の終了したものから順次実行することにより、いずれの入力データも破棄することなく、全ての入力操作に対応する処理を確実に実行することができる。
【0009】
上記構成において、前記情報処理装置に対し、保存された前記入力データに基づき1つの実ポインタを前記表示手段上に表示するステップをさらに実行させる構成とすることができる。本構成によれば、ユーザが実ポインタの動きを見ることにより、自らの入力操作に基づく情報処理が適切に行われたか否かを知ることができるため、操作性を更に向上させることができる。
【0010】
上記構成において、前記仮ポインタを前記表示手段上に表示するステップは、前記入力データを保存するステップが実行中である場合に、入力が行われている前記ポインティングデバイスに対応する前記仮ポインタと共に、当該ポインティングデバイスの入力データを保存中である旨を表示するものである構成とすることができる。本構成によれば、ユーザは入力データの保存が行われているか否かを容易に知ることができるため、より確実に入力操作を行うことができる。
【0011】
上記構成において、前記仮ポインタを前記表示手段上に表示するステップは、前記入力データを保存するステップが実行中である場合に、入力が行われている前記ポインティングデバイスに対応する前記仮ポインタと共に、当該仮ポインタの軌跡を表示するものである構成とすることができる。本構成によれば、ユーザは入力データの保存が行われているか否か及びその内容(入力データに対応するポインタの軌跡)を容易に知ることができるため、より確実に入力操作を行うことができる。
【0012】
本発明は、複数のポインティングデバイスのそれぞれに対応する複数の仮ポインタを表示手段上に表示する仮ポインタ操作部と、前記複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存する入力データ保存部と、前記入力データ保存部に保存された前記入力データに基づく処理を実行する制御部と、を備え、前記入力データ保存部は、前記ポインティングデバイスにおける前記所定のボタンがオンとなった際に前記入力データの保存を開始し、前記所定のボタンがオフとなった際に前記入力データの保存を終了することを特徴とする情報処理装置である。本発明によれば、複数のポインティングデバイスを用いた入力操作の操作性を向上させることができる。
【0013】
本発明は、情報処理装置と、前記情報処理装置に接続された複数のポインティングデバイスと、前記情報処理装置に接続された表示手段と、を備え、前記情報処理装置は、前記複数のポインティングデバイスのそれぞれに対応する複数の仮ポインタを前記表示手段上に表示する仮ポインタ操作部と、前記複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存する入力データ保存部と、前記入力データ保存部に保存された前記入力データに基づく処理を実行する制御部と、を有し、前記入力データ保存部は、前記ポインティングデバイスにおける前記所定のボタンがオンとなった際に前記入力データの保存を開始し、前記所定のボタンがオフとなった際に前記入力データの保存を終了することを特徴とする情報処理システムである。本発明によれば、複数のポインティングデバイスを用いた入力操作の操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のポインティングデバイスを用いた入力操作の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例1に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、入力処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図3】図3は、入力処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図4】図4は、入力処理時における表示画面の態様を示す図(その1)である。
【図5】図5は、入力処理時における表示画面の態様を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用い、実施例に係る情報処理システムについて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る情報処理システムの構成を示す図である。PC(Personal Computer)10に、2つのマウス20A及び20Bと、1つのディスプレイ30が接続されている。PC10は情報処理装置の一例であり、ディスプレイ30は表示手段の一例である。マウス20A及び20Bは、ディスプレイ30上に現れる位置指定手段としてのポインタ(カーソル)を操作するための入力手段(ポインティングデバイス)の一例である。ユーザはマウス20A(20B)によりポインタを操作することで、ディスプレイ30上の任意の座標位置を指定することができる。また、マウス20A(20B)には1つまたは複数のボタンが設けられており、ユーザはこれらのボタンを押す(オン状態とする)ことにより、画面上に表示されたオブジェクト(アイコンやウィンドウ等)の選択や、命令の入力(ウィンドウを開く、閉じる等の処理)を行うことができる。マウス20A(20B)以外にも、トラックボールやタッチパッド等をポインティングデバイスとして使用することができる。
【0018】
PC10は、データ保存/判定部12A及び12Bを備えている。データ保存/判定部12A及び12Bには、それぞれマウス20A及び20Bからの信号が入力される。データ保存/判定部12Aは、マウス20Aから入力されたデータ(以下、「入力データ」と称する。)を保存するか否かを判定し、必要である場合には入力データの保存を行う。データ保存/判定部12Bも同様である。データ保存/判定部12A及び12Bに入力されたデータは、それぞれ実ポインタ操作部14、仮ポインタ操作部16、及び制御部18へと出力される。
【0019】
実ポインタ操作部14は、データ保存/判定部12A(12B)に保存されたデータに基づき、ディスプレイ30上に実ポインタ(後段で詳述)を表示し、その操作を行う。仮ポインタ操作部16は、データ保存/判定部12A(12B)を介してマウス20A及び20Bから入力されたデータに基づき、ディスプレイ上に仮ポインタ(後段で詳述)を表示し、その操作を行う。制御部18は、ユーザにより入力された命令を実行するための情報処理機構であり、データ保存/判定部12A(12B)から入力されたデータに基づく処理(演算、図形描画、アイコンやウィンドウの移動・開閉等)を実行すると共に、必要に応じてその結果をディスプレイ30上に表示する。
【0020】
PC10におけるこれらの機能は、例えばハードディスク等の記憶手段に記憶されたポインタ制御に関するプログラムを、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置に実行させることにより実現することができる。
【0021】
本実施例のように、複数のポインティングデバイスにより情報入力を行う情報処理システムでは、複数のポインティングデバイスから同時に信号が入力された場合の処理が問題となる。例えば、複数のポインティングデバイスに優先順位を付し、同時に複数の信号が入力された場合には、最も優先順位の高いポインティングデバイスからの入力信号に基づく処理のみを実行し、その他の入力信号を破棄することが考えられる。しかし、この方法では優先順位の低いポインティングデバイスを使用するユーザが不便を感じる場合がある。
【0022】
本実施例では、複数のポインティングデバイスの同時入力時における操作性を高めた情報処理システムについて説明する。
【0023】
図2は、データ入力処理の前半部分の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1のポインティングデバイスであるマウス20Aから入力が行われる場合について説明する。最初に、仮ポインタ操作部16が、マウス20Aに対応する仮ポインタをディスプレイ30上に表示する(ステップS10)。次に、データ保存/判定部12Aが、マウス20Aにおける所定のボタン(例えば、マウス20Aの上面に設けられクリック操作に使用されるボタン)が、オン状態にあるか否かを判定する(ステップS12)。ボタンがオン状態である場合には、データ保存/判定部12Aが、マウス20Aからの入力データの保存を開始する(ステップS14)。
【0024】
入力データの保存が開始されると、仮ポインタ操作部16は、ディスプレイ30上におけるマウス20Aの仮ポインタ付近に、データの保存中である旨の表示を行うと共に、仮ポインタの移動に伴う軌跡をディスプレイ30上に表示する(ステップS16)。これにより、ユーザは入力データの保存が行われているか否か、及び保存される入力データの内容を容易に把握することができる。
【0025】
次に、データ保存/判定部12Aは、ステップS12でオン状態にあると判定された所定のボタンが、引き続きオン状態にあるか否かを判定する(ステップS18)。ボタンがオン状態にある場合、データ保存/判定部12Aは、入力データの保存を継続する(ステップS19)。ボタンがオン状態でない場合(ボタンがオフとなった場合)、データ保存/判定部12Aが、マウス20Aからの入力データの保存を終了する(ステップS20)。仮ポインタ操作部16は、データの保存中である旨の表示及び仮ポインタの軌跡の表示を消去する(ステップS22)。以上のステップにより、マウス20Aからの入力データの保存が完了する。データの保存が終了したら、データ保存/判定部12Aは、図3の処理に従い保存されたマウス20Aの入力データを実ポインタ操作部14及び制御部18へと出力する。
【0026】
ここで、マウス20Aからの入力データは、マウス20Aの移動に伴うポインタの位置情報(及びその変化)と、マウス20Aに備えられたボタンのオン/オフ状態とを含む。これにより、ユーザは所定のボタンを押しながらのマウス操作(例えば、ドラッグ&ドロップや図形の描画等)をPC10に記憶させることができる。マウス20Bからの入力操作の際も、データ保存/判定部12B及び仮ポインタ操作部16Bにおいて、マウス20Aの場合と同様の処理が行われる。これにより、2つのポインティングデバイス(マウス20A及びマウス20B)からの入力データは、その入力が同時であるか否かに関わらず、PC10内のデータ保存部(12A及び12B)に独立に保存される。
【0027】
図3は、データの出力処理の後半部分の流れを示すフローチャートである。最初に、制御部18及び実ポインタ操作部14は、マウス20A及びマウス20Bからデータが入力中であるか否かを判定する(ステップS30)。データの入力が行われている間は、後段の処理は行われない。データの入力がない場合、制御部18及び実ポインタ操作部14は、2つのデータ保存/判定部12A及び12Bに入力の終了した保存データがあるか否かを判定する(ステップS32)。保存データがある場合には、データ保存/判定部12Aまたは12Bから、制御部18及び実ポインタ操作部14へと保存データの出力が行われる(ステップS34)。保存データが複数ある場合には、保存が早く終了したデータから順に出力が行われる。ここでは、図2のステップS14及びS19においてマウス20Aからデータ保存/判定部12Aに入力・保存されたデータが、制御部18及び実ポインタ操作部14へと出力される。
【0028】
次に、実ポインタ操作部14は、データ保存/判定部12Aから入力されたデータに基づいて、ディスプレイ30上に表示された実ポインタ24を操作する(ステップS36)。これにより、ユーザが仮ポインタにより入力したマウス操作を後追いするように、実ポインタ24が画面上を移動する。また、制御部18は、同じくデータ保存/判定部12Aから入力されたデータに基づいて、所定の処理(演算、図形描画、アイコンやウィンドウの移動・開閉等)を実行し、必要であればその結果をディスプレイ30上に表示する(ステップS38)。制御部18及び実ポインタ操作部14は、2つのデータ保存/判定部12A及び12Bに出力の終わっていない保存データがあるか否かを判定し(ステップS40)、保存データがある場合には、ステップS34の前段へと戻る。全ての保存データの出力が完了したら、図2のステップS10から始まる一連の入力処理が終了する。
【0029】
次に、ディスプレイ30に表示される画面に基づいて、実際の処理の様子を説明する。
【0030】
図4(a)〜図5(e)は、図2及び図3で説明した入力処理に伴う画面表示の変化を示した図である。ここでは、最初にマウス20Aからアイコンの移動命令が入力され、続いてマウス20Bからアイコンの移動命令が入力される場合について説明する。図4(a)に示すように、ディスプレイ30の画面上には、仮ポインタ22A(斜線矢印)及び22B(網掛け矢印)、実ポインタ24(白抜き矢印)、並びにアイコン40A及び40Bが表示されている。また、図中における左側のマウスはマウス20Aを、右側のマウスはマウス20Bをそれぞれ示しており、それぞれのマウスにおける所定のボタン(ここでは左側のボタン)の状態も併せて示している。
【0031】
ここで、仮ポインタ22A及び22Bとは、それぞれマウス20A及び20Bに対応して設定されたポインタである。仮ポインタは、ユーザによるマウスの移動操作に伴い画面上を移動する。このとき、マウスにおける所定のボタンが押されているか否か(オン状態であるかオフ状態であるか)は関係ない。すなわち、仮ポインタ操作部16は、マウス20A及び20Bにおける所定のボタンの状態に関わらず、ユーザのマウス操作による位置入力命令を画面上の仮ポインタ22A及び22Bに即座に反映させる。
【0032】
これに対し、実ポインタ24とは、PC10による処理内容をユーザに通知するために、仮ポインタ22A及び22Bとは別に設定されたポインタである。実ポインタ24は、図3の説明にあるように全てのデータ入力が完了した後に移動を開始し、ユーザは実ポインタ24を直接操作することができない。実ポインタの動きは、マウス20A及び20Bの所定のボタンがオン状態にある間にPC10に入力されたデータの内容を反映する。すなわち、実ポインタ24は、データ入力(保存)中における仮ポインタ22A及び22Bの動きと同じ動きをする。
【0033】
最初に、第1のユーザが、マウス20Aを操作することにより、アイコン40Aを移動させる命令を入力する。このとき第1のユーザは、仮ポインタ22Aをアイコン40A上に移動させ(図4(b))、マウス20Aのボタンをクリックする(オン状態とする)。これにより、図2のステップS14に相当する入力処理が開始される。
【0034】
続いて、第1のユーザは、マウス20Aのボタンをクリックしたまま、仮ポインタ22Aを所定の位置まで移動させるドラッグ操作を行う(図4(c))。これにより、マウス20Aからの入力データがデータ保存/判定部12Aに保存され、それと同時に画面上にはデータの保存中である旨の表示(26)と、仮ポインタ22Aの軌跡(28)が表示される(図2ステップS16)。このとき、アイコン40Aは移動しない。
【0035】
続いて、第1のユーザによる入力中に、第2のユーザがマウス20Bを操作することによりアイコン40Bを移動させる命令を入力する。具体的には、第2のユーザが、仮ポインタ22Bをアイコン40B上に移動させ(図4(d))、マウス20Bのボタンをクリックする(オン状態とする)。これにより、図2のステップS14に相当する入力処理がマウス20Bの側においても開始される。第2のユーザは、マウス20Bのボタンをクリックしたまま、仮ポインタ22Bを所定の位置まで移動させるドラッグ操作を行う(図4(e))。これにより、マウス20Bからの入力データがデータ保存/判定部12Bに保存され、それと同時に画面上にはデータの保存中である旨の表示と、仮ポインタ22Bの軌跡が表示される(図2ステップS16、S18)。図4(f)は、マウス20Bによる入力中にマウス20Aによる入力が終了した状態を示し、図4(g)は、全ての入力が終了した状態を示す。一連の処理が行われている間、アイコン40Bは移動しない。
【0036】
マウス20A及びマウス20Bによる入力が終了すると、入力データに基づく処理が開始される。最初に、実ポインタ24が、マウス20Aからのデータ入力開始時における仮ポインタ22Aの位置まで移動する(図5(a))。実ポインタ24は、仮ポインタ22Aの軌跡をなぞるように、マウス20Aからのデータ入力終了時における仮ポインタ22Aの位置まで移動する(図5(b)、(c))。このとき、アイコン40Aも実ポインタ24Aと共に移動する(ユーザの目には、実ポインタ24Aがドラッグ&ドロップ操作によりアイコン40Aを所定の位置まで動かしたように見える)。なお、図中の矢印はポインタ及びアイコンの移動方向を示す。
【0037】
続いて、実ポインタ24が、マウス20Bからのデータ入力開始時における仮ポインタ22Bの位置まで移動する(図5(d))。実ポインタ24は、仮ポインタ22Bの軌跡をなぞるように、マウス20Bからのデータ入力終了時における仮ポインタ22Bの位置まで移動する(図5(e)、(f))。このとき、アイコン40Bも実ポインタ24Bと共に移動する(ユーザの目には、実ポインタ24Bがドラッグ&ドロップ操作によりアイコン40Bを所定の位置まで動かしたように見える)。以上により、マウス20A及びマウス20Bによる一連の入力処理が終了する。
【0038】
実施例1の情報処理システムによれば、複数あるマウスのうち所定のボタンがオン状態にあるマウスの入力データを保存する。データ保存のステップでは、所定のボタンがオンとなった際に入力データの保存を開始し、所定のボタンがオフとなった際に入力データの保存を終了する。その後、保存が終了した入力データに基づく処理が実行される。本構成によれば、入力データの保存の開始及び終了を、マウスにおける所定のボタンがオン状態にあるか否かにより制御するため、入力データの保存を行うか否かの判定が容易であり、複数のマウスを用いた入力に適している。また、一度入力データを保存してから入力データに基づく処理の実行を行うため、複数のマウスから同時入力が行われた場合でも、いずれの入力データも破棄することなく、全ての入力操作に対応する処理を実行することができる。
【0039】
上記の構成は、特定のボタンを押しながらマウスを動かす操作(ドラッグ&ドロップ、図形描画等)において特に有効である。例えば、2人以上のユーザが同時にこのような操作を行った場合であっても、ユーザは入力操作を再度行う必要がなく、それぞれの意図した処理をPCに確実に実行させることができる。
【0040】
特に、入力データが複数ある場合は、入力データを保存するステップにおいて入力データの保存が終了した順に、入力データに基づく処理を実行する。これにより、予めポインティングデバイスに優先順位を設定しなくても、複数の入力データに基づく処理を順次実行することができる。
【0041】
本実施例では、データの保存の際に、仮ポインタ操作部16がデータの保存中である旨及び仮ポインタの軌跡を画面上に表示する構成としたが、本構成は必須のものではない。ただし、本構成によりユーザはデータの入力(保存)が行われている旨及びその内容を容易に把握することができるため、ユーザにとっての利便性は向上する。また、実ポインタ24を表示することも必須の構成ではないが、本構成によりユーザは入力した処理の実行内容をより的確に把握することができるため、ユーザにとっての利便性は向上する。
【0042】
本実施例では、入力装置(マウス)の数を2つとしたが、本発明は3つ以上のポインティングデバイスから入力を行う場合についても同様に適用することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 PC
12 データ保存/判定部
14 実ポインタ操作部
16 仮ポインタ操作部
18 制御部
20 マウス
30 ディスプレイ
22 仮ポインタ
24 実ポインタ
40 アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に対し、
複数のポインティングデバイスのそれぞれに対応する複数の仮ポインタを表示手段上に表示するステップと、
前記複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存するステップであって、前記所定のボタンがオンとなった際に前記入力データの保存を開始し、前記所定のボタンがオフとなった際に前記入力データの保存を終了するステップと、
保存が終了した前記入力データに基づく処理を実行するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記入力データに基づく処理を実行するステップは、前記入力データが複数ある場合に、前記入力データを保存するステップにおいて前記入力データの保存が終了した順に、前記入力データに基づく処理を実行するものであることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記情報処理装置に対し、保存された前記入力データに基づき1つの実ポインタを前記表示手段上に表示するステップをさらに実行させるための請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記仮ポインタを前記表示手段上に表示するステップは、前記入力データを保存するステップが実行中である場合に、入力が行われている前記ポインティングデバイスに対応する前記仮ポインタと共に、当該ポインティングデバイスの入力データを保存中である旨を表示するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記仮ポインタを前記表示手段上に表示するステップは、前記入力データを保存するステップが実行中である場合に、入力が行われている前記ポインティングデバイスに対応する前記仮ポインタと共に、当該仮ポインタの軌跡を表示するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
複数のポインティングデバイスのそれぞれに対応する複数の仮ポインタを表示手段上に表示する仮ポインタ操作部と、
前記複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存する入力データ保存部と、
前記入力データ保存部に保存された前記入力データに基づく処理を実行する制御部と、を備え、
前記入力データ保存部は、前記ポインティングデバイスにおける前記所定のボタンがオンとなった際に前記入力データの保存を開始し、前記所定のボタンがオフとなった際に前記入力データの保存を終了することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置と、
前記情報処理装置に接続された複数のポインティングデバイスと、
前記情報処理装置に接続された表示手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記複数のポインティングデバイスのそれぞれに対応する複数の仮ポインタを前記表示手段上に表示する仮ポインタ操作部と、
前記複数のポインティングデバイスのうち所定のボタンがオン状態にあるポインティングデバイスの入力データを保存する入力データ保存部と、
前記入力データ保存部に保存された前記入力データに基づく処理を実行する制御部と、を有し、
前記入力データ保存部は、前記ポインティングデバイスにおける前記所定のボタンがオンとなった際に前記入力データの保存を開始し、前記所定のボタンがオフとなった際に前記入力データの保存を終了することを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−107911(P2011−107911A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261275(P2009−261275)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】