説明

プロジェクションレンズ

【課題】本発明は、良質のプロジェクション画面を提供し且つさらに小型化がしたプロジェクションレンズを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクションレンズは、投影面側から光源側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、絞り及び空間光変調器表面とが順に配列され、以下の条件式を満たす。
3.478<BFL/F<3.528
ここで、BFLは前記プロジェクションレンズの背面焦点距離であり、Fは前記プロジェクションレンズの有効焦点距離である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術に関するものであって、特にプロジェクションレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の発展に伴い、例えば、DLPプロジェクター、LCDプロジェクター、LCOSプロジェクター等も、高解像度化及び小型化している。
【0003】
そのため、該プロジェクターに用いられるプロジェクションレンズにも、さらなる小型化の実現、及び良質のプロジェクション画面の提供が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、良質のプロジェクション画面を提供でき且つさらに小型化したプロジェクションレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明に係るプロジェクションレンズは、投影面側から光源側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、絞り及び空間光変調器表面とが順に配列され、且つ以下の条件式を満たす。
3.478<BFL/F<3.528
ここで、BFLは前記プロジェクションレンズの背面焦点距離であり、Fは前記プロジェクションレンズの有効焦点距離である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のプロジェクションレンズにおいて、前記の条件式を満たすと、さらにサイズの小型化が実現でき且つ良質のプロジェクション画面を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクションレンズの構造を示す図である。
【図2】図1に示す本発明の実施形態に係るプロジェクションレンズの球面収差図である。
【図3】図1に示す本発明の実施形態に係るプロジェクションレンズの像面湾曲図である。
【図4】図1に示す本発明の実施形態に係るプロジェクションレンズの歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0009】
本発明の実施形態に係るプロジェクションレンズ100は、DLPプロジェクターに応用でき、該DLPプロジェクターは、空間光変調器であるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)を備える。図1に示すように、前記プロジェクションレンズ100は、投影面側から光源側(空間光変調器に近い一端)に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ群10と、正の屈折力を有する第2レンズ群20と、絞り30と、保護ガラス40及び空間光変調器表面50とが、順に配列されている。
【0010】
前記第1レンズ群10には、投影面側から光源側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ11と、負の屈折力を有する第2レンズ12と、負の屈折力を有する第3レンズ13と、正の屈折力を有する第4レンズ14と、負の屈折力を有する第5レンズ15と、正の屈折力を有する第6レンズ16と、正の屈折力を有する第7レンズ17と、が順に配列されている。前記第1レンズ11は、投影面側に対向する第一表面S1及び光源側に対向する第二表面S2を備える。前記第2レンズ12は、投影面側に対向する第三表面S3及び光源側に対向する第四表面S4を備える。前記第3レンズ13は、投影面側に対向する第五表面S5及び光源側に対向する第六表面S6を備える。前記第4レンズ14は、投影面側に対向する第七表面S7及び光源側に対向する第八表面S8を備える。前記第5レンズ15は、投影面側に対向する第九表面S9及び光源側に対向する第十表面S10を備える。前記第6レンズ16は、投影面側に対向する第十一表面S11及び光源側に対向する第十二表面S12を備える。前記第7レンズ17は、投影面側に対向する第十三表面S13及び光源側に対向する第十四表面S14を備える。前記第三表面S3、前記第四表面S4、前記第五表面S5、前記第六表面S6、前記第九表面S9、前記第十表面S10、前記第十一表面S11及び前記第十二表面S12は、球面である。球面レンズは、高温の環境下でも、画面の品質に対して影響を与えにくい。従って、少なくとも球面レンズを使用することで、画面の品質を保証することができる。また、前記第一表面S1、前記第二表面S2、前記第七表面S7及び前記第八表面S8は、非球面である。
【0011】
前記第2レンズ群20には、投影面側から光源側に向かって、正の屈折力を有する第8レンズ21と、負の屈折力を有する第9レンズ22と、正の屈折力を有する第10レンズ23と、負の屈折力を有する第11レンズ24と、正の屈折力を有する第12レンズ25と、正の屈折力を有する第13レンズ26とが順に配列されている。前記第8レンズ21及び前記第9レンズ22は複合レンズであり、前記第11レンズ24及び前記第12レンズ25も複合レンズである。前記第8レンズ21は、投影面側に対向する第十五表面S15及び光源側に対向する第十六表面S16を備える。前記第9レンズ22は、投影面側に対向する第十六表面S16及び光源側に対向する第十七表面S17を備える。前記第10レンズ23は、投影面側に対向する第十八表面S18及び光源側に対向する第十九表面S19を備える。前記第11レンズ24は、投影面側に対向する第二十表面S20及び光源側に対向する第二十一表面S21を備える。前記第12レンズ25は、投影面側に対向する第二十一表面S21及び光源側に対向する第二十二表面S22を備える。前記第13レンズ26は、投影面側に対向する第二十三表面S23及び光源側に対向する第二十四表面S24を備える。前記第十五表面S15、前記第十六表面S16、前記第十七表面S17、前記第十八表面S18、前記第十九表面S19、前記第二十表面S20、前記第二十一表面S21及び前記第二十二表面S22は、球面である。前記第二十三表面S23及び前記第二十四表面S24は、非球面である。
【0012】
前記絞り30は、前記第9レンズ22と前記第10レンズ23との間に位置し、前記第8レンズ22から出射した光が前記第9レンズ23に入射する際の光通過量を制限するために用いられ、更に前記第9レンズ22を通過した光円錐を対称にする。これにより、前記プロジェクションレンズ100のコマ収差が良好に補正される。本実施形態において、空間を節約するために、前記第10レンズ23の第十八表面S18に対して不透明な材料を塗布して、前記絞り30とする。
【0013】
コストを下げるために、前記第1レンズ群10は、少なくとも1つのプラスチックレンズを備える。本実施形態において、前記第1レンズ11及び前記第4レンズ14は、プラスチックレンズである。しかし、優れた結像品質を保証するために、他のレンズはガラスからなる。
【0014】
投影する際、光は順に、前記デジタル・マイクロミラー・デバイスの前記空間光変調器表面50から前記保護ガラス40、前記第2レンズ群20及び前記第1レンズ群10を通り、最後に投影面に投影される。これにより、プロジェクション画面を獲得する。前記保護ガラス40は、前記空間光変調器表面50を保護するために用いられる。
【0015】
前記プロジェクションレンズ100は、以下の条件式を満たす。
【0016】
3.478<BFL/F<3.528 ……(1)
【0017】
ここで、BFLは前記プロジェクションレンズ100の背面焦点距離であり、Fは前記プロジェクションレンズ100の有効焦点距離である。
【0018】
前記プロジェクションレンズ100は、短い距離によって大きい画面を投影するために、短い有効焦点距離が必要であると共に、他の素子に対する設置空間を保証するために、長い背面焦点距離も必要である。しかし、有効焦点距離が短すぎて背面焦点距離が長すぎると、収差が増大し易い。そこで、前記条件式(1)を満たせば、前記プロジェクションレンズ100をさらに小型化できると共に、良質のプロジェクション画面を有することができる。
【0019】
また、前記プロジェクションレンズ100は、以下の条件式を満たすことが好ましい。
【0020】
−7.3<F1/F<−6.8 ……(2)
【0021】
ここで、F1は、前記プロジェクションレンズ100の第1レンズ群10の有効焦点距離及び負値である。
【0022】
前記条件式(2)を満たすと、優れたプロジェクション画面品質を保証するとともに、背面焦点距離は有効焦点距離より長くなる。従って、他の素子の設置空間を保証し、前記プロジェクションレンズ100の小型化を実現することができる。
【0023】
本実施形態において、Lは前記プロジェクションレンズ100の全長であり、Fは前記プロジェクションレンズ100の有効焦点距離であり、F2は前記プロジェクションレンズ100の第2レンズ群20の有効焦点距離であり、FNoはFナンバーであり、2ωは前記プロジェクションレンズ100の視野角であり、Rは対応する表面の曲率半径であり、Dは対応する表面から次の表面までの軸上距離であり、Ndは対応するレンズのd光線(波長が587nmである)に対する屈折率であり、Vdは対応するレンズのアッベ数である。
【0024】
本実施形態に係る前記プロジェクションレンズ100の各光学素子は、表1、表2及び表3の条件を満たす。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
ここで、2ω=115.76°であり、L=105.92mmである。前記プロジェクションレンズ100の球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、図2乃至図4に示したとおりである。図2の曲線a1〜a5は、それぞれ波長が450nm、550nm、630nm、480nm、590nmである光線の球面収差曲線である。本実施形態に係る前記プロジェクションレンズ100の可視光線(波長範囲は、400nm〜700nmである)に対する球面収差値は−0.1mm〜0.1mmの範囲である。図3のt1〜t5は、それぞれ波長が450nm、550nm、630nm、480nm、590nmである光線のT(Tangential field curvature curve)特性曲線であり、s1〜s5は、それぞれ波長が450nm、550nm、630nm、480nm、590nmである光線のS(Sagittal field curvature curve)特性曲線である。図3に示したように、T及びSは、全て−0.5mm〜0.5mmの範囲内に制御される。図4のd1〜d5は、それぞれ波長が450nm、550nm、630nm、480nm、590nmである光線の歪曲収差特性曲線である。図4に示したように、歪曲収差は、−1%〜1%の範囲内に制御される。前記プロジェクションレンズ100の球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、全て、より小さい範囲内に制御(修正)される。
【0029】
本発明のプロジェクションレンズ100は、さらなるサイズの小型化を実現でき且つ良質のプロジェクション画面を提供することができる。
【0030】
以上、本発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であることは勿論であって、本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲から決まる。
【符号の説明】
【0031】
10 第1レンズ群
11 第1レンズ
12 第2レンズ
13 第3レンズ
14 第4レンズ
15 第5レンズ
16 第6レンズ
17 第7レンズ
20 第2レンズ群
21 第8レンズ
22 第9レンズ
23 第10レンズ
24 第11レンズ
25 第12レンズ
26 第13レンズ
30 絞り
40 保護ガラス
50 空間光変調器表面
S1 第一表面
S2 第二表面
S3 第三表面
S4 第四表面
S5 第五表面
S6 第六表面
S7 第七表面
S8 第八表面
S9 第九表面
S10 第十表面
S11 第十一表面
S12 第十二表面
S13 第十三表面
S14 第十四表面
S15 第十五表面
S16 第十六表面
S17 第十七表面
S18 第十八表面
S19 第十九表面
S20 第二十表面
S21 第二十一表面
S22 第二十二表面
S23 第二十三表面
S24 第二十四表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影面側から光源側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、絞り及び空間光変調器表面とが順に配列され、以下の条件式を満たすことを特徴とするプロジェクションレンズ。
3.478<BFL/F<3.528
ここで、BFLは前記プロジェクションレンズの背面焦点距離であり、Fは前記プロジェクションレンズの有効焦点距離である。
【請求項2】
前記プロジェクションレンズは、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションレンズ。
−7.3<F1/F<−6.8
ここで、F1は前記第1レンズ群の有効焦点距離である。
【請求項3】
前記第1レンズ群には、投影面側から光源側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、正の屈折力を有する第7レンズとが順に配列されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクションレンズ。
【請求項4】
前記第2レンズ群には、投影面側から光源側に向かって、正の屈折力を有する第8レンズと、負の屈折力を有する第9レンズと、正の屈折力を有する第10レンズと、負の屈折力を有する第11レンズと、正の屈折力を有する第12レンズと、正の屈折力を有する第13レンズとが順に配列されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクションレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−88804(P2013−88804A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88107(P2012−88107)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】