説明

プロジェクタを内蔵する電子機器および投射ユニット

【課題】プロジェクタの光源から発生される熱を効率よく放熱することができるプロジェクタを内蔵する電子機器および投射ユニットを提供する。
【解決手段】本発明は、プロジェクタ200を内蔵する電子機器1に適用され、LED光源51と、LED光源51から出射した光により投射される像を形成する液晶パネル41と、形成された像を投射面に向けて投射する投射光学系32と、プロジェクタ200の使用時は機器本体外部にLED光源51を突出させ、プロジェクタ200の非使用時はLED光源51を機器本体内部に収納する光源移動機構とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタを内蔵する電子機器および投射機能を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタが組み込まれた電子機器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−250392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロジェクタの光源は、多量の熱を発生する。特許文献に記載されているような従来の電子機器では、プロジェクタの光源から発生される熱の放熱性が悪いという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明は、光源と、光源から出射した光により投射される像を形成する像形成手段と、形成された像を投射面に向けて投射する投射光学系と、プロジェクタの使用時は機器本体外部に光源を突出させ、プロジェクタの非使用時は光源を機器本体内部に収納する光源移動機構とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の電子機器において、光源、像形成手段、および投射光学系は、投射ユニットを構成し、光源移動機構は投射ユニットを機器本体からスライドさせて、光源を機器本体外部に突出させることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1に記載の電子機器において、光源、像形成手段、および投射光学系は、光源が投射光学系に対して回転する投射ユニットとして構成され、光源移動機構は光源を回動させて、光源を機器本体外部に突出させることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の電子機器において、機器本体の前面カバーの一部は開閉カバーであり、光源はケースに保持され、ケースの一側面は開閉カバーで構成され、光源移動機構は、開閉カバーの開放操作に連動して光源を機器本体外部に突出させるように構成されていることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の電子機器において、開閉カバーは、機器本体の前面から側面にかけて設けられるとともに、開閉カバーの機器本体後端側に押動部材が設けられ、光源移動機構は、開閉カバーの開放操作に連動して押動部材が光源を回動して機器本体の外部に突出させるように構成されていることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の電子機器において、投射光学系は機器本体に固定され、光源移動機構は、機器本体に固定した投射光学系に対して光源を回動可能に吊持する軸受部材を備えていることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の電子機器において、光源を機器本体内部に収納したとき、投射ユニットは、機器本体内部の底部との間に隙間を有することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器において、光源を収納するケースの少なくとも一部は通気性を有する部材で構成されていることを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項8に記載の電子機器において、通気性を有する部材は金属であることを特徴とする。
(10)請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器において、
被写体を撮像する撮像素子と、撮像素子に被写体からの光束を結像させる結像光学系とをさらに備えることを特徴とする。
(11)請求項11の発明の投射ユニットは、光源と、光源から出射した光により投射される像を形成する像形成手段と、形成された像を投射面に向けて投射する投射光学系と、投射される像の光軸を中心に光源と投射光学系とを互いに回転可能に連結する軸受部材とを備えることを特徴とする。
(12)請求項12の発明は、請求項11に記載の投射ユニットにおいて、光源を収納するケースの少なくとも一部は通気性を有する部材で構成されていることを特徴とする。
(13)請求項13の発明は、請求項12に記載の投射ユニットにおいて、通気性を有する部材は金属であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、本体に内蔵しているプロジェクタの光源を本体の外部に移動できるようにした。これにより、プロジェクタの光源から発生される熱を効率よく放熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態における投射機能付きカメラ1Aについて説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施形態による投射機能付きカメラ1Aを前方から見た斜視図である。図1(a)に示すように、投射機能付きカメラ1Aの筐体(カバー)10Aの正面には、結像光学系121(図2参照)を構成する撮影レンズ121Aと、投影光学系部221(図2参照)を構成する屈曲プリズム31と、照明光窓106Aとが設けられている。投射機能付きカメラ1Aは、机上などに載置された状態、または不図示のクレードル上に載置された状態で、前方のスクリーンなどに向けて、内蔵する投射ユニット200(プロジェクタ)(図2参照)によって画像などの投影情報を投影する。投射機能付きカメラ1Aの上面には、レリーズスイッチ103Aが設けられている。
【0007】
筐体10Aの正面の一部11Aが開閉可能になっている。この筐体10Aの一部を構成する開閉可能部分11Aを以下、開閉カバーと呼ぶ。投射ユニット200を使用するとき、図1(b)に示すように開閉カバー11Aを開くと、開閉カバー11Aに固定されているLED光源部223が筐体10Aの外部に移動する。つまり、開閉カバー11Aの開放操作に連動して、投射機能付きカメラ1Aの本体内部に収納されていたLED光源部223が本体外部に突出する。LED光源部223には、プロジェクタ用のLED光源が内蔵されている。
【0008】
図2は、投射機能付きカメラ1の構成を説明するブロック図である。図2において投射機能付きカメラ1は、投射ユニット200と、撮像ユニット100と、制御回路101と、メモリ102と、操作部材103と、液晶モニタ105と、外部インターフェイス(I/F)回路104と、照明装置106と、測光装置107とを備え、着脱可能なメモリカード150が実装される。
【0009】
制御回路101は、制御プログラムに基づいて、カメラ内各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、カメラ内各部に対する制御信号を送出することにより、投射機能付きカメラ1Aの撮影動作および投影動作をそれぞれ制御する。なお、制御プログラムは制御回路101内の不図示のROMに格納される。
【0010】
メモリ102は制御回路101の作業用メモリとして使用される。操作部材103はレリーズスイッチ103Aを含み、操作されたボタンやスイッチに対応する操作信号を制御回路101へ送出する。メモリカード150は、制御回路101の指示によりデータの書き込み、保存および読み出しが可能である。
【0011】
液晶モニタ105は、制御回路101からの指示により画像やテキストなどの情報を表示する。外部インターフェイス回路104は、制御回路101からの指示により不図示のケーブルまたは無線通信ユニットを介して外部機器(パーソナルコンピュータ、プリンタ、アクセスポイントなど)との間でコマンドおよびデータを送受信する。
【0012】
撮像ユニット100は結像光学系121、撮像素子122および撮像制御回路123を有し、制御回路101からの指示に応じて被写体の撮像を行う。結像光学系121は、撮像素子122の撮像面上に被写体像を結像させる。撮像素子122としては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。撮像制御回路123は、制御回路101からの指示により撮像素子122を駆動制御するとともに、撮像素子122から出力される画像信号に対して所定の信号処理を行う。信号処理後の画像のデータは、所定形式の画像ファイルとしてメモリカード150に記録される。
【0013】
照明装置106は、撮影時に制御回路101から発光指示された場合に所定光量で、たとえば閃光発光し、被写体を照明する。照明光は照明光窓106Aを介してカメラ前方へ射出される。
【0014】
測光装置107は、測光センサによる検出信号を用いて被写体の輝度を算出し、輝度情報を制御回路101へ送出する。制御回路101は輝度情報に基づき、撮影時には露出演算を行い、露出値を算出する。
【0015】
投射ユニット200は、投影光学系部221、液晶パネル部222およびLED光源部223を含むものであり、それらを一体にしたものである。投射ユニット200は、投射制御回路224と接続している。LED光源部223は、供給電流に応じた明るさで光を発生し、その光を液晶パネル部222に供給する。液晶パネル部222は、投射制御回路224からの駆動信号に応じて画像を生成し、その画像とLED光源部223から出射された光とにより投射像を形成し、形成した投射像を投影光学系部221に射出する。投影光学系部221は、液晶パネル部222から射出された投射像を投射面に向けて投射する。投射制御回路224は、制御回路101からの指示により、LED光源部223および液晶パネル部222へ制御信号を送出する。
【0016】
図3を参照して、投射ユニット200について詳細に説明する。図3(a)は、投射機能付きカメラ1Aを前方から見たときの投射ユニット200を説明するための図である。図3(b)は、投射機能付きカメラ1Aを右側の側面から見たときの投射ユニット200を説明するための図である。図3(a)に示すように、投射ユニット200は、略L字形状のモジュールであり、液晶パネル部222の上部に投影光学系部221が設けられ、液晶パネル部222の側部にLED光源部223が設けられている。
【0017】
投射ユニット200の投影光学系部221は、屈曲プリズム31と投影レンズ32と投影光学系ケース33とを有する。投影レンズ32は、投影画像の焦点を調整したり、投影画像の倍率を調整したりするレンズであり、投射機能付きカメラ1Aの上方を光軸とする。屈曲プリズム31は、投影レンズ32の上部に設けられ、投影レンズ32から入射される上方の投影光を、投射機能付きカメラ1Aの前方へ屈折させる。投影光学系ケース33は、屈曲プリズム31と投影レンズ32とを収納するケースである。
【0018】
液晶パネル部222は、液晶パネル41とPBS(偏光ビームスプリッタ)ブロック42と液晶パネルケース43とを有する。液晶パネル41は反射型液晶パネルで、赤、緑、青のフィルターが形成された複数の画素から構成され、カラーの画像を生成するように駆動されている。PBSブロック42は、LED光源部223から入射した光を透過し、液晶パネル41を反射した光を上方の投影光学系部221へ折り曲げる。液晶パネルケース43は、液晶パネル41とPBSブロック42とを収納するケースであり、液晶パネルケース43の一部は開閉カバー11Aで構成される。
【0019】
液晶パネルケース43の上面には、円筒状の接続部44がある。この円筒状の接続部44は、投影光学系ケース33の下端面の凹部と回転可能に嵌合し、光源移動機構を構成する。接続部44の外周面には溝が形成され、投影光学系ケース33における不図示の貫通孔を通して抜け落ち防止ピン34が挿入される。これにより、液晶パネルケース43が投影光学系ケース33より抜け落ちするのを防止することができる。
【0020】
LED光源部223は、LED光源51と集光光学系52と放熱板53とLED光源ケース54とを有する。LED光源は、電流を流すと発光する半導体素子である。集光光学系52は、LED光源51が発光した光を略平行光にして液晶パネル部222へ入射させる。放熱板53は、LED光源51の底面に設けられ、LED光源51が発生した熱を放熱する。LED光源ケース54は、LED光源51と集光光学系52と放熱板53とを収納するケースである。LED光源ケース54の形状は、1面が開放している直方体であり、LED光源ケース54を構成する5面の部材のうちの4面がメッシュ板で構成され、1面が開閉カバー11Aで構成される。メッシュ板とは、網目構造を有する金属メッシュから構成された、通気性を有する板である。LED光源ケース54は、液晶パネルケース43に固定されている。
【0021】
図3(a)に示すように、液晶パネルケース43の下面およびLED光源ケース54の下面と、本体内部の底面部12Aとの間には隙間が形成されている。また、投影光学系ケース33は投射機能付きカメラ本体に直接固定されているが、液晶パネルケース43およびLED光源ケース54は投射機能付きカメラ本体に直接固定されていない。つまり、液晶パネル部222およびLED光源部223は、接続部44および投影光学系ケース33の下端面の凹部の嵌合により構成される軸受け部材を介して、光学系部221に吊持している状態(吊り下がっている状態)である。
【0022】
図3(a)を参照して、上記構成の投射ユニット200による投射機能について説明する。上記構成の投射ユニット200において、不図示のハーネスおよびパターンを介してLED光源51に駆動電流が供給される。LED光源51は、駆動電流に応じた明るさの光を集光光学系52へ向けて出射する。集光光学系52はLED光を略平行光にしてPBSブロック42へ入射させる。
【0023】
PBSブロック42へ入射された光束は、PBSブロック42を透過して液晶パネル41を照明する。液晶パネル41の液晶層を透過する光は液晶パネル41の反射面で反射された後、液晶パネル41から射出され、PBSブロック42へ再度入射される。PBSブロック42は、再入射された光束を偏光分離部42aで反射(折り曲げる)し、上方の投影光学系部221へ向けて投影光として射出する。投影光学系部221に入射した光束は、投影レンズ32を通過して屈曲プリズム31で折り曲げられ、投射機能付きカメラ1Aの前方へ放射される。
【0024】
上述のように、投射ユニット200のLED光源部223は、投影光学系部221に対して(投影レンズ32の光軸を中心に)回転可能である。図4を参照して、LED光源部223を回転させるための可能投射ユニット200の回動動作について説明する。
【0025】
図4(a)に示すように、液晶パネル部222の上面には円筒状の接続部44が形成され、液晶パネル部222の側面およびLED光源部223の側面は、開閉カバー11Aで構成されている。図4(b)に示すように、接続部44に投影光学系部221を嵌め込み、抜け落ち防止のために抜け落ち防止ピン34を差し込む。上述したように、液晶パネル部222およびLED光源部223は、投影光学系部221に吊持している状態であるので、図4(c)に示すように、投影光学系部221に対して、投射ユニット200の液晶パネル部222およびLED光源部223を回動することができる。これにより、図1(b)に示すように、開閉カバー11Aを開くと、LED光源部223は回転し、LED光源部223を筐体10Aの外部に突出させることができる。
【0026】
LED光源部223が筐体10Aの外部に突出させたとき、LED光源部223と投射制御回路224との間の接続が問題になる。本発明の第1の実施形態では、図5(a)に示すように、フレキシビリティ配線55を用いてLED光源部223と不図示の投射制御回路224とを接続する。フレキシビリティ配線55にたるみ55Aを持たせることにより、図5(b)に示すように、LED光源部223が筐体10Aの外部に移動したときも、LED光源部223と投射制御回路224との間で接続を維持することができる。フレキシビリティ配線55の長さは、図5(b)に示すようにLED光源部223が筐体10Aの外部に移動したときもたるみ55Aが残る程度にする。これにより、図5(b)の状態から図5(a)の状態に戻すとき、たるみ55Aを元に戻すことができる。
【0027】
投射ユニット200は、メモリカード150内に保存されている画像データの他、外部インターフェイス回路104を介して外部機器から供給される画像データによる再生画像を投影可能に構成され、制御回路101から指示された画像を投影する。
【0028】
投射機能付きカメラ1Aは、撮像ユニット100で撮影を行う撮影モードと、撮影した画像を液晶モニタ105で再生する再生モードと、撮影した画像を投射ユニット200で投影するプロジェクタモードとを有する。
【0029】
以上説明した第1の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)投射機能付きカメラ1Aに内蔵しているプロジェクタ用のLED光源51を本体の外部に突出できるようにした。したがって、外気によってLED光源51から発生される熱を効率よく放熱することができる。また、撮像ユニット100など、他の回路が、LED光源51から発生される熱により影響を受けるのを軽減することができる。
【0030】
(2)液晶パネル部222の上部に投影光学系部221を設け、液晶パネル部222の側部にLED光源部223を設けることにより、投射ユニット200をL字形状とした。そして、投影光学系部221に対して、液晶パネル部222およびLED光源部223を回転可能にすることによって、投影光学系部221に対してLED光源部223を回転可能とし、LED光源51を投射機能付きカメラ本体の外部に突出させるようにした。したがって、簡単な機構でLED光源51を投射機能付きカメラ本体の外部に突出させることができる。
【0031】
(3)LED光源51と集光光学系52と放熱板53とを収納するLED光源ケース54をメッシュ板で構成するようにした。メッシュ板は通気性を有するので、空冷によってLED光源51から発生される熱を効率よく放熱することができる。
【0032】
(4)LED光源部223を投射機能付きカメラ本体に直接固定されている投影光学系部221に吊り下がっている状態とした。これにより、LED光源部223をスムーズに回動することができる。
【0033】
(5)LED光源部223の下面と、本体内部の底面部12Aとの間には隙間を形成するようにした。これにより、LED光源部223の下面と、本体内部の底面部12Aとの間に摩擦が発生しないので、LED光源部223をスムーズに回動することができる。
【0034】
(6)LED光源51を収納するLED光源ケース54の一部を、筐体10Aの正面の一部を構成し、かつ開閉可能になっている開閉カバー11Aで構成するようにした。これにより、筐体10Aの正面に設けられた扉11Aを開くという簡単でわかりやすい操作によって、投射機能付きカメラ1Aに内蔵しているプロジェクタ用のLED光源51を本体外部に突出させることができる。
【0035】
−第2の実施形態−
以下、図6を参照して本発明の第2の実施形態における投射機能付きカメラ1Bについて説明する。第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。第2の実施形態における投射機能付きカメラ1Bでは、投射機能付きカメラ1Bの筐体10Bの正面から側面にかけて開閉カバー11Bが設けられ、開閉カバー11Bを開くと、LED光源部223が筐体10Bの外部へ突出する。ユーザは、突出したLED光源部223をさらに公転して、LED光源部223を筐体10Bの外部に移動する。
【0036】
図6(a)は、本発明の第2の実施形態による投射機能付きカメラ1Bを前方から見た斜視図である。投射機能付きカメラ1Bの筐体10Bの正面から側面にかけて筐体10Bの一部11Bが開閉可能になっている。この筐体10Bの一部を構成する開閉可能部分11Bを以下、開閉カバーと呼ぶ。開閉カバー11Bは、ヒンジ12B,13Bにより開閉可能となる。また、開閉カバー11Bにおける本体後端側に突起部14Bが形成されている。以下、この突起部を押動部材14Bと呼ぶ。開閉カバー11Bを開くと、開閉カバー11Bの押動部材14Bが筐体10Bの内部のLED光源部223を押動し、液晶パネル部222およびLED光源部223が回転する。その結果、LED光源部223が筐体10Bの外部へ少し突出する。ユーザは、LED光源部223の突出した部分を引き出して、液晶パネル部222およびLED光源部223を回動し、図6(b)に示すように、LED光源部223を筐体10Bの外部に完全に突出させる。
【0037】
LED光源部223のLED光源ケース54の形状は、第1の実施形態と同様に、1面が開放している直方体であるが、LED光源ケース54を構成する5面の部材のうちの全ての面がメッシュ板で構成される。
【0038】
以上説明した第2の実施形態によれば、上述の第1の実施形態による作用効果のほかに次の作用効果が得られる。
(1)投射機能付きカメラ1Bの筐体10Bの正面から側面にかけて筐体10Bの一部(開閉カバー)11Bを開閉可能とし、開閉カバー11Bにおける投射機能付きカメラ1Bの本体後端側に押動部材14Bを形成するようにした。これにより、開閉カバー11Bを開くと、開放操作に連動してLED光源部223が筐体10Bの外部へ突出する。したがって、ユーザは、LED光源部223の突出した部分を引き出して、筐体10Bの外部にLED光源部223を容易に移動することができる。一方、押動部材14Bを設けないと、開閉カバー11Bを開いても、LED光源部223は筐体10Bの内部に収納されている状態であるので、筐体10Bの外部にLED光源部223を容易に移動することができない。
【0039】
(2)LED光源51を収納するLED光源ケース54の一部を、開閉カバー11Bで構成する必要がないので、LED光源ケース54を構成する5面の部材のうちの全ての面をメッシュ板で構成することができる。したがって、第1の実施形態に比べて、LED光源51を放熱する効率を上げることができる。
【0040】
−第3の実施形態−
以下、図7を参照して本発明の第3の実施形態における投射機能付きカメラ1Cについて説明する。第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。図7(a)は、本発明の第3の実施形態による投射機能付きカメラ1Cを前方から見た斜視図である。投射機能付きカメラ1Cは、正面に露出する屈曲プリズム31を覆うプリズムカバー11Cと、筐体10Cの内部に格納された液晶パネル部222およびLED光源部223を覆う投射部カバー12Cとを備える。
【0041】
投射機能付きカメラ1Cに設けられた不図示のスイッチを操作すると、図7(b)に示すように、プリズムカバー11Cは下降し、投射部カバー12Cは上昇する。そして、図7(c)に示すように、最後に、屈曲プリズム31と、筐体10Cの内部に格納された液晶パネル部222およびLED光源部223とが露出する。ユーザは、露出したLED光源部223を引き出して、LED光源部223を投影光学系部221に対して公転し、LED光源部223を筐体10Bの外部に移動することができる。
【0042】
図8を参照して、プリズムカバー11Cおよび投射部カバー12Cの移動機構を説明する。プリズムカバー11Cには、プリズムカバー11Cを上下移動可能にするプリズムカバー用ラック13Cが設けられており、投射部カバー12Cには、投射部カバー12Cを上下移動可能にする投射部カバー用ラック14Cが設けられている。プリズムカバー用ラック13Cと投射部カバー用ラック14Cとは、ラック面を内側にして相互に平行になるように設けられている。プリズムカバー用ラック13Cと投射部カバー用ラック14Cとの間には、プリズムカバー用ラック13Cと投射部カバー用ラック14Cとを上下方向に駆動するピニオン15Cが設けられている。図8(a)において、ピニオン15Cが反時計回り方向に回転すると、プリズムカバー11Cは下降し、投射部カバー12Cは上昇する。一方、ピニオン15Cが時計回り方向に回転すると、プリズムカバー11Cは上昇し、投射部カバー12Cは下降する。
【0043】
図8(b)に示すように、プリズムカバー11Cは、投射部カバー12Cに対して後方に設けられている。したがって、プリズムカバー11Cが下降し、投射部カバー12Cが上昇すると、プリズムカバー11Cは、投射部カバー12Cと重なるので、投射部カバー12Cと衝突することはない。
【0044】
図8に示すように、筐体10Cの内部に格納された液晶パネル部222およびLED光源部223とが完全に露出する位置まで投射部カバー12Cが上昇すると、投射部カバー用ラック14Cの上端が押圧する位置に押圧スイッチ16Cが設けられている。これにより、屈曲プリズム31が完全に露出する位置までプリズムカバー11Cが下降し、筐体10Cの内部に格納された液晶パネル部222およびLED光源部223とが完全に露出する位置まで投射部カバー12Cが上昇したことを検出することができる。
【0045】
以上説明した第3の実施形態によれば、上述の第1の実施形態による作用効果のほかに次の作用効果が得られる。
LED光源部223を筐体10Cの内部に格納しているときは、液晶パネル部222およびLED光源部223を覆い、LED光源部223を筐体10Bの外部に移動するときは、液晶パネル部222およびLED光源部223を露出させる、上下移動可能な投射部カバー12Cを備えるようにした。これにより、LED光源部223を筐体10Cの内部に格納しているときは、液晶パネル部222およびLED光源部223を保護し、LED光源部223を筐体10Bの外部に移動するときは、LED光源部223を引き出して液晶パネル部222およびLED光源部223を回動させることができる。また、第1および第2の実施形態における開閉カバー11A,11Bを開いたときに比べて、本体から突出する部分を小さくすることができる。
【0046】
以上の実施形態を次のように変形することができる。
(1)以上の実施形態では、LED光源ケース54を構成する5面の部材のうちの4〜5面がメッシュ板で構成するようにした。しかし、LED光源ケース54を構成する面の少なくとも一部がメッシュ板で構成されていれば、以上の実施形態に限定されない。この場合もLED光源ケース54は通気性を有するので、外気によってLED光源51から発生される熱を効率よく放熱することができるからである。たとえば、図9(a)に示すように、LED光源ケース54を構成する5面の部材のうちの1面(上面)をメッシュ板で構成するようにしてもよい。
【0047】
(2)以上の実施形態では、LED光源ケース54の少なくとも一部をメッシュ板で構成するようにした。しかし、通気性を有する部材であれば、LED光源ケース54の少なくとも一部を構成する部材はメッシュ板に限定されない。メッシュ板でなくても通気性を有する部材であれば、LED光源ケース54は通気性を有するので、外気によってLED光源51から発生される熱を効率よく放熱することができるからである。たとえば、図9(b)に示すように、LED光源ケース54の一部を、小さい穴が多数開いている金属板(パンチングメタル)で構成するようにしてもよい。通気性を有すれば、LED光源ケース54の材質は樹脂でもよいが、金属などの熱伝導性の高い物質であることがより好ましい。LED光源ケース自体からLED光源51が発生する熱を放熱できるからである。
【0048】
(3)以上の第1および第3の実施形態では、投射機能付きカメラ1A,1Cを前方から見たとき、投射機能付きカメラ1A,1Cの右側に投射ユニット200を設けた。しかし、第1および第3の実施形態における投射ユニット200を設ける位置は、実施形態に限定されない。たとえば、図10(a)に示すように、投射機能付きカメラ1Dを前方から見たとき、投射機能付きカメラ1Dの真ん中付近に投射ユニット200を設けるようにしてもよい。
【0049】
(4)以上の実施形態では、液晶パネル部222におけるLED光源部223と対向する位置に液晶パネル41を設けた。しかし、図10(b)に示す投射機能付きカメラ1Eのように、液晶パネル部222における投影光学系部221と対向する位置に液晶パネル41を設けるようにしてもよい。
【0050】
(5)以上の第1および第2の実施形態において、開閉カバー11A,11Bの開を検出する開検出スイッチを設け、開検出スイッチが開閉カバー11A,11Bの開を検出すると、投射機能付きカメラ1A,1Bの投影機能が起動するようにしてもよい。ユーザは投影を開始するとき、開閉カバー11A,11Bを開く操作以外に、投射機能付きカメラ1A,1Bの電源をオン状態にする操作を別途行わなくてもよいので、便利である。たとえば、図11に示すように、第1の実施形態における投射機能付きカメラ1Aの内部に、LED光源部223を格納したときLED光源部223により押圧される位置に押圧スイッチ13Aを設ける。LED光源部223を放熱するために開閉カバー11Aを開くと、押圧スイッチ13Aに作用していた押圧は解除される。これにより、押圧スイッチ13Aから開閉カバー11Aの開を検出することができる。そして、投射機能付きカメラ1Aが起動し、そのまま投射が開始される。
【0051】
次に、投射機能付きカメラ1Aの投影機能起動処理について図12のフローチャートを参照して説明する。図12の処理は、制御回路101において実行される。投射機能付きカメラ1Aには、投射機能付きカメラ1Aの電源をオン状態にする不図示の電源スイッチが設けられているものとして説明する。
【0052】
ステップS1201では、電源スイッチがオン状態であるか否かを判定する。電源スイッチがオン状態である場合はステップS1201が肯定判定され、ステップS1202へ進む。電源スイッチがオフ状態である場合はステップS1201が否定判定され、ステップS1205へ進む。ステップS1202では、開検出スイッチが開閉カバーの開を検出したか否かを判定する。開検出スイッチが開閉カバーの開を検出した場合はステップS1202が肯定判定され、ステップS1203へ進む。開検出スイッチが開閉カバーの開を検出していない場合はステップS1202が否定判定され、ステップS1204へ進む。ステップS1203では、投射機能付きカメラ1Aをプロジェクタモードにする。ステップS1204では、投射機能付きカメラ1Aを撮影モードまたは再生モードにする。
【0053】
ステップS1205では、開検出スイッチが開閉カバーの開を検出したか否かを判定する。開検出スイッチが開閉カバーの開を検出した場合はステップS1205が肯定判定され、ステップS1206へ進む。開検出スイッチが開閉カバーの開を検出していない場合はステップS1205が否定判定され、ステップS1201に戻る。ステップS1206では、投射機能付きカメラ1Aを起動し、投射機能付きカメラ1Aをプロジェクタモードにする。
【0054】
第2の実施形態の投射機能付きカメラ1Bでは、ヒンジ12B,13Bの部分に、開閉カバー11Bの開を検出する開検出スイッチを設けるようにしてもよい。
【0055】
第3の実施形態の投射機能付きカメラ1Cでは、押圧スイッチ16Cが、LED光源部223が完全に露出する位置まで投射部カバー12Cが上昇したことを検出した場合、投射機能付きカメラ1Cを自動的にプロジェクタモードにするようにしてもよい。ユーザは投影を開始するとき、投射部カバー12Cを上昇させる操作以外に、投射機能を起動する操作を別途行わなくてもよいので、便利である。
【0056】
(6)以上の実施形態では、投射ユニット200を回動して、LED光源51を本体の外部に突出させるようにした。しかし、LED光源51を本体の外部に突出させることができれば、LED光源51を本体の外部に突出させる方法は実施形態に限定されない。たとえば、図13に示す投射機能付きカメラ1Fのように、投射ユニット200が下方に移動することにより、つまり、投射ユニット200を本体に対してスライドさせることにより、LED光源51を本体の外部に突出させるようにしてもよい。
【0057】
(7)以上の実施の形態では、ユーザの判断でプロジェクタの使用時は機器本体外部にLED光源部51を本体の外部に突出させ、プロジェクタの非使用時はLED光源51を機器本体内部に収納することができる。しかし、プロジェクタの使用時は機器本体外部にLED光源部51が本体の外部に必ず突出され、プロジェクタの非使用時はLED光源51が機器本体内部に必ず収納されるようにしてもよい。つまり、LED光源部51を本体の外部に突出させないと、プロジェクタは使用できず、LED光源51を機器本体内部に収納しないと、プロジェクタ以外の機能を実行できないようにしてもよい。LED光源51を機器本体内部に収納した状態でのプロジェクタの使用を防止し、プロジェクタを使用していないのに、LED光源部51が機器本体外部に突出しているのを防止するためである。また、プロジェクタを終了してから所定時間経過後でなければ、LED光源51を機器本体内部に収納できないようにしてもよい。LED光源51の消灯後、LED光源51が冷却されるまで時間を要するからである。
【0058】
(8)本発明は、プロジェクタを内蔵する電子機器であれば、投射機能付きカメラに限定されない。たとえば、本発明は、図14に示す投射機能付き携帯電話1Gにも適用できる。電子機器の中でも手で把持して投射を行う機会の多い携帯電子機器であれば、さらに好ましい。電子機器が熱を帯びると、手で把持できない場合があるからである。
【0059】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態における投射機能付きカメラを前方から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における投射機能付きカメラの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】投射ユニットの構成を説明するための図である。
【図4】投射ユニットの回動動作を説明するための図である。
【図5】LED光源部と投射制御回路との間の接続を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における投射機能付きカメラを前方から見た斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における投射機能付きカメラを前方から見た斜視図である。
【図8】プリズムカバーおよび投射部カバーの移動機構を説明するための図である。
【図9】投射ユニットの変形例を説明するための図である。
【図10】投射機能付きカメラの変形例を説明するための図である。
【図11】投射機能付きカメラに設けられた開検出スイッチを説明するための図である。
【図12】投射機能付きカメラの投影機能起動処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】LED光源を本体の外部に移動する方法の変形例を説明するための図である。
【図14】投射機能付き携帯電話を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
1A〜1F 投射機能付きカメラ
1G 投射機能付き携帯電話
10A〜10F 筐体
11A,11B 開閉カバー
11C プリズムカバー
12C 投射部カバー
14B 押動部材
51 LED光源
101 制御回路
200 投射ユニット
221 投影光学系部
222 液晶パネル部
223 LED光源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射した光により投射される像を形成する像形成手段と、
前記形成された像を投射面に向けて投射する投射光学系と、
プロジェクタの使用時は機器本体外部に前記光源を突出させ、前記プロジェクタの非使用時は前記光源を前記機器本体内部に収納する光源移動機構とを備えることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記光源、前記像形成手段、および前記投射光学系は、投射ユニットを構成し、
前記光源移動機構は前記投射ユニットを前記機器本体からスライドさせて、前記光源を前記機器本体外部に突出させることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記光源、前記像形成手段、および前記投射光学系は、前記光源が前記投射光学系に対して回転する投射ユニットとして構成され、
前記光源移動機構は前記光源を回動させて、前記光源を前記機器本体外部に突出させることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記機器本体の前面カバーの一部は開閉カバーであり、
前記光源はケースに保持され、
前記ケースの一側面は前記開閉カバーで構成され、
前記光源移動機構は、前記開閉カバーの開放操作に連動して前記光源を前記機器本体外部に突出させるように構成されていることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、
前記開閉カバーは、前記機器本体の前面から側面にかけて設けられるとともに、開閉カバーの機器本体後端側に押動部材が設けられ、
前記光源移動機構は、前記開閉カバーの開放操作に連動して前記押動部材が前記光源を回動して前記機器本体の外部に突出させるように構成されていることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記投射光学系は前記機器本体に固定され、
前記光源移動機構は、前記機器本体に固定した前記投射光学系に対して前記光源を回動可能に吊持する軸受部材を備えていることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記光源を前記機器本体内部に収納したとき、前記投射ユニットは、前記機器本体内部の底部との間に隙間を有することを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記光源を収納するケースの少なくとも一部は通気性を有する部材で構成されていることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器において、
前記通気性を有する部材は金属であることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器において、
被写体を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子に前記被写体からの光束を結像させる結像光学系とをさらに備えることを特徴とするプロジェクタを内蔵する電子機器。
【請求項11】
光源と、
前記光源から出射した光により投射される像を形成する像形成手段と、
前記形成された像を投射面に向けて投射する投射光学系と、
前記投射される像の光軸を中心に前記光源と前記投射光学系とを互いに回転可能に連結する軸受部材とを備えることを特徴とする投射ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の投射ユニットにおいて、
前記光源を収納するケースの少なくとも一部は通気性を有する部材で構成されていることを特徴とする投射ユニット。
【請求項13】
請求項12に記載の投射ユニットにおいて、
前記通気性を有する部材は金属であることを特徴とする投射ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−210679(P2009−210679A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51733(P2008−51733)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】