説明

プロジェクター

【課題】少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、光学素子36の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置4を備える。冷却装置4は、光学素子36とは別体で構成され、光学素子36に取り付けられた状態で光学素子36に向けて冷却流体を吐出する2つの吐出部材52,62と、光学素子36に一体形成され、吐出部材52,62から吐出される冷却流体の一部を整流する2つの整流部材53,63とを備える。2つの整流部材53,63は、光学素子36に入射する光束の光軸Axに沿う方向から見て、光学素子36を、光軸Axが通る位置を含む中心側領域ArOと中心側領域ArOを除く外周側領域ArEとに仮想的に分割した場合に、吐出部材52,62から吐出される冷却流体の一部を中心側領域ArOに向けてそれぞれ整流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、液晶パネルや偏光板等の光学素子の表面に沿って空気を流通させ、当該光学素子を冷却する冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の冷却装置は、光学素子の表面上で第1の方向に沿って空気を流す第1の空冷部と、光学素子の表面上で第1の方向に交差する第2の方向に沿って空気を流す第2の空冷部とを備える。
そして、第1の方向に沿って流れる空気と第2の方向に沿って流れる空気とを衝突させ、当該衝突によって、光学素子の表面に沿って乱流の状態で空気を流通させている。
すなわち、乱流による冷却を利用することで、光学素子の表面に存在する速度境界層(空気の流速の変化が激しい薄い層の領域(表面で流速がゼロ))を薄くして、流通する空気と光学素子との間で熱交換を良好に行わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却装置では、空気の衝突によって生じる乱流を利用して光学素子を冷却しているため、光学素子の表面全体の広範囲を冷却するためには、空気を高速で、かつ光学素子の表面全体の広範囲に流通させる必要がある。すなわち、多くの流量が必要となる、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、光学素子の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置を備えたプロジェクターであって、前記冷却装置は、前記光学素子とは別体で構成され、前記光学素子に取り付けられた状態で前記光学素子に向けて前記冷却流体を吐出する吐出部材と、前記光学素子に一体形成され、前記吐出部材から吐出される冷却流体の一部を整流する少なくとも2つの整流部材とを備え、前記少なくとも2つの整流部材は、前記光学素子に入射する光束の光軸に沿う方向から見て、前記光学素子を、前記光軸が通る位置を含む中心側領域と前記中心側領域を除く外周側領域とに仮想的に分割した場合に、前記吐出部材から吐出される冷却流体の一部を前記中心側領域に向けてそれぞれ整流することを特徴とする。
【0007】
ところで、プロジェクターでは、光学素子に光束を照射する場合、光学素子の表面全体を均一に照射することはできず、光学素子の表面に照度分布が生じるものである。すなわち、光学素子の表面には、高い照度の領域の温度が高く、低い照度の領域の温度が低くなり、照度分布に応じて温度分布が生じることとなる。
そして、光学素子の表面における照度分布としては、通常、光軸が通る位置の照度が高く、光軸から離れるにしたがって照度が低くなるものである。すなわち、光学素子の表面における温度分布も照度分布に対応し、光軸が通る位置の温度が高く、光軸から離れるにしたがって温度が低くなるものである。
【0008】
本発明では、冷却装置は、上述した吐出部材と、吐出部材から吐出される冷却流体の一部を中心側領域に向けて整流する少なくとも2つの整流部材とを備える。
このことにより、少なくとも2つの整流部材にて整流された冷却流体を衝突させ、当該衝突により生じる乱流を利用して、中心側領域を冷却できる。すなわち、冷却効率の高い乱流を利用することで、外周側領域に対して温度の高い中心側領域を効果的に冷却できる。
また、中心側領域の冷却のみに乱流を利用するので、光学素子の表面全体の冷却に乱流を利用する場合と比較して、流量を少なくすることができる。
【0009】
さらに、吐出部材から吐出される冷却流体のうち、一部のみが整流部材にて整流されるため、当該一部を除く他の冷却流体を外周側領域に沿って層流(乱れを含まない流れ)の状態で流通させることができる。
すなわち、外周側領域は中心側領域に比較して温度が低いため、乱流を利用する場合と比較して冷却効率の低い層流を利用しても、十分に外周側領域を冷却できる。
また、層流を利用した冷却では、乱流を利用した冷却に比較して、冷却流体の流速を小さく、かつ流量を少なくすることができる。
以上のように、中心側領域の冷却に乱流を利用し、外周側領域の冷却に層流を利用することで、少ない流量で光学素子の表面全体を効率的に冷却できる。
【0010】
また、吐出部材は、光学素子とは別体で構成されている。そして、整流部材は、光学素子に一体形成されている。
このことにより、光学素子に吐出部材を取り付けた際に、光学素子に対する設計上の位置から吐出部材がずれた場合であっても、整流部材は、光学素子に一体形成されているため、光学素子に対して位置ずれを起こすことがない。
すなわち、上述した場合であっても、光学素子に対する整流部材の位置ずれを回避できるため、吐出部材から吐出される冷却流体の一部を中心側領域に向けて確実に整流させることができる。
したがって、上述した場合であっても、各整流部材にて整流された冷却流体の衝突位置が所望の位置からずれてしまうことを防止でき、中心側領域を効果的に冷却できる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、前記吐出部材は、前記光学素子に向けて前記冷却流体を吐出するための吐出用流路を有し、前記整流部材は、前記光学素子に前記吐出部材が取り付けられた状態で前記吐出用流路内に位置し、前記吐出用流路を辿る冷却流体の一部を取り込んで前記中心側領域に向けて整流する整流用流路を有し、前記整流用流路を辿って前記光学素子に向けて吐出された冷却流体の流速は、前記吐出用流路における前記整流用流路を除く他の流路を辿って前記光学素子に向けて吐出された冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0012】
ところで、整流用流路を介して吐出された冷却流体の流速が吐出用流路における整流用流路を除く他の流路を介して吐出された冷却流体の流速よりも小さい場合には、以下の問題が生じる恐れがある。
すなわち、整流用流路を介して吐出された冷却流体が他の流路を介して吐出された冷却流体に引き寄せられ、各整流部材にて整流された冷却流体の衝突位置が所望の位置(例えば、光学素子の表面における光軸が通る位置)からずれてしまう恐れがある。
本発明では、整流用流路を介して吐出された冷却流体の流速が他の流路を介して吐出された冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されている。
このことにより、整流用流路を介して吐出された冷却流体が他の流路を介して吐出された冷却流体に引き寄せられることを防止でき、各整流部材にて整流された冷却流体の衝突位置が所望の位置からずれてしまうことを防止できる。
【0013】
本発明のプロジェクターでは、前記吐出部材は、前記光学素子に向けて前記冷却流体を吐出するための吐出用流路を有し、前記整流部材は、前記光学素子に前記吐出部材が取り付けられた状態で前記吐出用流路内に位置し、前記吐出用流路を辿る冷却流体の一部を取り込んで前記中心側領域に向けて整流する整流用流路を有し、前記吐出用流路の一部には、前記冷却流体の流通方向を曲げる曲部を備えた方向変更流路が設けられ、前記吐出用流路は、前記光学素子に前記吐出部材が取り付けられた状態で、前記整流部材により、前記整流用流路と、前記整流用流路を除く他の第1流路及び第2流路とに分岐され、前記第1流路は、前記曲部の外側に沿った流路であり、前記第2流路は、前記曲部の内側に沿った流路であり、前記第1流路の流路断面積は、前記第2流路の流路断面積よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
【0014】
ところで、吐出用流路の一部に上述した方向変更流路が設けられている場合には、吐出用流路を辿った冷却流体は、曲部の外側に沿った第1流路に導入されやすく、逆に、曲部の内側に沿った第2流路に導入されにくいものとなる。
すなわち、第1流路を介して吐出された冷却流体の流速が第2流路を介して吐出された冷却流体の流速よりも大きくなりやすい。
このため、光学素子の表面において、第1流路を介して吐出された冷却流体にて冷却される領域(外周側領域)と第2流路を介して吐出された冷却流体にて冷却される領域(外周側領域)とで、冷却効率にばらつきが生じてしまう。
【0015】
本発明では、第1流路の流路断面積は、第2流路の流路断面積よりも小さくなるように形成されている。
このことにより、吐出用流路の一部に方向変更流路が設けられている場合であっても、第1,第2流路を介して吐出された冷却流体の各流速を略同等にすることができる。
このため、光学素子の表面において、第1,第2流路を介して吐出された冷却流体にて冷却される各領域での冷却効率を略同等にし、当該表面全体を効率的に冷却できる。
【0016】
本発明のプロジェクターでは、前記吐出部材は、前記整流部材に対応させて前記整流部材と同じ数設けられていることが好ましい。
ところで、1つの吐出部材に対応させて複数の整流部材を設けた場合には、当該1つの吐出部材から吐出される冷却流体の一部を複数の整流部材にて中心側領域に向けてそれぞれ整流させることとなるため、整流後の冷却流体の流速を十分に確保することが難しい。
すなわち、各整流部材にて整流された冷却流体を所望の位置で良好に衝突させることが難しい。
【0017】
本発明では、1つの吐出部材に対応させて1つの整流部材が設けられている。
すなわち、1つの吐出部材から吐出される冷却流体の一部を1つのみの整流部材にて中心側領域に向けて整流させることとなるため、整流後の冷却流体の流速を十分に確保することができる。
したがって、各整流部材にて整流された冷却流体の流速を十分に確保し、各整流部材にて整流された冷却流体を所望の位置で良好に衝突させることができる。
また、1つの吐出部材に対応させて1つの整流部材を設けることで、各整流部材にて整流された冷却流体の流通方向同士のなす角度を比較的に大きく設定でき、当該冷却流体を中心側領域にて衝突させやすい構造となる。
【0018】
本発明のプロジェクターでは、前記光学素子は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記冷却装置は、前記吐出部材及び前記整流部材を有し、前記光学素子の前記第1面に沿って前記冷却流体を流通させる第1面冷却手段と、前記吐出部材及び前記整流部材を有し、前記光学素子の前記第2面に沿って前記冷却流体を流通させる第2面冷却手段とを備え、前記第1面冷却手段及び前記第2面冷却手段は、前記光軸に沿う方向から見て、互いに対向する側から前記冷却流体を流通させることが好ましい。
【0019】
本発明では、冷却装置は、光学素子の表面を構成する第1面(例えば、光入射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第1面冷却手段と、光学素子の表面を構成する第2面(例えば、光出射面)に沿って冷却流体を流通させる上述した第2面冷却手段とを備える。
このことにより、光学素子の第1,第2面の双方を冷却でき、光学素子を効果的に冷却できる。
【0020】
ところで、光学素子の表面上を層流の状態で冷却流体を流通させた場合には、下流側に向うにしたがって冷却流体の流速は小さくなるものである。
すなわち、光学素子の表面において、吐出部材から吐出される冷却流体のうち、整流部材にて整流される冷却流体を除く他の冷却流体にて冷却される領域(外周側領域)は、吐出部材から離間するにしたがって冷却効率が低くなる。
【0021】
本発明では、第1,第2面冷却手段は、光軸に沿う方向から見て、互いに対向する側から冷却流体を流通させる。
すなわち、光学素子の第1面における外周側領域では、第1面冷却手段から離間する側は、第1面冷却手段に近接する側に対して、冷却効率が低いものとなっている。しかしながら、光学素子の第2面における外周側領域において、第1面での冷却効率が低い領域に対向する領域は、第2面冷却手段に近接する側に相当するため、当該第2面冷却手段から離間する側に対して、冷却効率が高いものとなっている。
このため、光軸に沿う方向から見て、光学素子の第1面で冷却効率が低い領域については第2面で冷却効率が高い領域とし、逆に、第2面で冷却効率が低い領域については第1面で冷却効率が高い領域とすることができ、光学素子の全体を効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1実施形態における冷却装置の構成を模式的に示す図。
【図3】第1実施形態における冷却装置による空気の流路を説明するための模式図。
【図4】第1実施形態の効果を説明するための図。
【図5】第2実施形態における冷却装置の構成を模式的に示す図。
【図6】第3実施形態における冷却装置の構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を示す図である。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
そして、このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2内部に収納される光学ユニット3及び冷却装置4(図2参照)を備える。
【0024】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、図1に示すように、発光管311及びリフレクター312を有する光源装置31と、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、及び重畳レンズ324を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、及び反射ミラー333を有する色分離光学装置33と、入射側レンズ341、リレーレンズ343、及び反射ミラー342,344を有するリレー光学装置34と、3つの入射側偏光板35と、光学素子としての3つの光変調装置36と、3つの出射側偏光板37と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム38と、投射光学装置としての投射レンズ39とを備える。
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、光源装置31から出射され照明光学装置32を介した光束は、色分離光学装置33にて赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各光変調装置36にてそれぞれ変調される。変調された各色光は、プリズム38にて合成されて画像となり、投射レンズ39にてスクリーンに投射される。
なお、光変調装置36は、透過型の液晶パネル361と、矩形枠形状を有し、液晶パネル361が収納される保持枠362とを備えるものである(図2参照)。
【0025】
〔冷却装置の構成〕
図2は、冷却装置4の構成を模式的に示す図である。具体的に、図2は、光変調装置36に対して冷却装置4を取り付けた状態を光入射側から見た図である。
なお、図2では、説明の便宜上、後述する左,下側ダクト52,62の一部(光入射側の端面)を破断している。
また、図2では、保持枠362に対して左,下側ダクト52,62が設計上の位置に位置付けられた状態を示している。
冷却装置4は、冷却流体を光変調装置36の表面に沿って流通させ、光変調装置36を冷却する。
本実施形態では、冷却流体として、空気を利用している。
なお、冷却装置4は、R,G,B色光側に配設された各光変調装置36に対応させて3つ設けられているものである。そして、3つの冷却装置4は、同様の構成を有しているため、以下では、1つの冷却装置4のみを説明する。
【0026】
冷却装置4は、図2に示すように、左側冷却装置5と、下側冷却装置6とを備える。
左側冷却装置5は、光入射側から見て、光変調装置36の左側から空気を送風する。
この左側冷却装置5は、図2に示すように、左側冷却ファン51と、吐出部材としての左側ダクト52と、左側整流部材53とを備える。
左側ダクト52は、保持枠362とは別体で構成されたものであり、断面矩形枠形状を有し、直線状に延びる筒体で構成されている。
そして、左側ダクト52は、一端が左側冷却ファン51に接続し、他端側が保持枠362における光入射側から見て左側縁に接続し、左側冷却ファン51からの空気を光変調装置36の左側から吐出する。
【0027】
具体的に、左側ダクト52において、光出射側の端面には、図2に示すように、他端から一端側にかけて切り欠かれた切欠部521が形成されている。
そして、左側ダクト52は、切欠部521が保持枠362の光入射側の端面にて閉塞されるように保持枠362に取り付けられ、水平方向に沿うように位置付けられる。
上述したように取り付けられた状態では、左側ダクト52の他端は、保持枠362における光を透過させる(液晶パネル361を露出させる)ための開口部362A(図2)に近接した位置に位置付けられる。
そして、上述したように取り付けられることで、左側ダクト52には、左側冷却ファン51からの空気を、左側から右側に向けて(水平方向に沿って)流通させ、開口部362A近傍まで導く第1吐出用流路P1(図2)が形成される。
【0028】
左側整流部材53は、図2に示すように、保持枠362における光入射側の端面に一体形成されたものであり、鉛直方向に沿って並設された上側整流板531及び下側整流板532で構成されている。
上側整流板531は、保持枠362における光入射側の端面において、光入射側から見て、左側縁から右側縁に向けて水平方向に沿って延び、さらに、下側に傾斜して開口部362A近傍まで延びるように形成されている。
一方、下側整流板532は、図2に示すように、光入射側から見て、液晶パネル361の光軸Axを通り水平方向に沿って延びる第1仮想線V1を基準として、上側整流板531に対称となるように形成されている。
【0029】
そして、左側整流部材53は、保持枠362に対して左側ダクト52が上述したように取り付けられた状態で、左側ダクト52の他端側にて覆われ、各整流板531,532における光入射側の先端部分が左側ダクト52における光入射側の内面に当接することとなる。
すなわち、左側整流部材53は、第1吐出用流路P1内に位置付けられることとなる。
なお、各整流板531,532における水平方向に沿って延びる各部分531A,532Aの離間寸法D2は、図2に示すように、左側ダクト52の幅寸法D1(鉛直方向に沿う長さ寸法)よりも小さいものである。
【0030】
上述したように保持枠362に対して左側ダクト52が取り付けられた状態では、左側整流部材53には、第1吐出用流路P1を辿る空気の一部を取り込んで液晶パネル361の光軸Axが通る位置に向けて整流する第1整流用流路P11が形成される。
なお、第1整流用流路P11は、各整流板531,532が上述したような形状を有しているため、流路上流側から流路下流側に向うにしたがって流路断面積が小さくなるように設定されている。
そして、第1吐出用流路P1は、左側整流部材53により、第1整流用流路P11の他、左側整流部材53の上側に位置する流路P12、及び下側に位置する流路P13の3つの流路P11〜P13に分岐されることとなる。
【0031】
下側冷却装置6は、光変調装置36の下側から空気を送風する。
この下側冷却装置6は、図2に示すように、左側冷却装置5と同様に、下側冷却ファン61と、吐出部材としての下側ダクト62と、下側整流部材63とを備える。
下側ダクト62は、図2に示すように、左側ダクト52と略同様に構成され、他端から一端側にかけて切り欠かれた切欠部621が保持枠362の光入射側の端面にて閉塞されるように保持枠362に取り付けられ、鉛直方向に沿うように位置付けられる。
そして、上述したように取り付けられることで、下側ダクト62には、一端に接続した下側冷却ファン61からの空気を、下側から上側に向けて(鉛直方向に沿って)流通させ、開口部362A近傍まで導く第2吐出用流路P2(図2)が形成される。
【0032】
下側整流部材63は、図2に示すように、保持枠362における光入射側の端面の下側に一体形成されたものであり、水平方向に沿って並設された左側整流板631及び右側整流板632で構成されている。
各整流板631,632は、光入射側から見て、光軸Axを通り鉛直方向に沿って延びる第2仮想線V2(図2)を基準として、対称となるように形成されている。
具体的に、各整流板631,632は、保持枠362における光入射側の端面において、下側縁から上側縁に向けて鉛直方向に沿って延び、さらに、互いに近接する方向に傾斜して開口部362A近傍まで延びるように形成されている。
そして、整流板631,632は、左側整流部材53と同様に、保持枠362に対して下側ダクト62が取り付けられた状態で、第2吐出用流路P2内に位置付けられ、第2吐出用流路P2を辿る空気の一部を光軸Axが通る位置に向けて整流する第2整流用流路P21を形成する。
第2吐出用流路P2は、第1吐出用流路P1と同様に、下側整流部材63により、第2整流用流路P21の他、下側整流部材63の左側に位置する流路P22、右側に位置する流路P23の3つの流路P21〜P23に分岐される。
【0033】
〔空気の流路〕
図3は、冷却装置4による空気の流路を説明するための模式図である。具体的に、図3は、図2に対応した図である。
次に、上述した冷却装置4による空気の流路について説明する。
なお、図3では、説明の便宜上、空気の流れを矢印Fで示している。
また、図3では、開口部362A(液晶パネル361)を光軸Axに沿う方向から見て、光軸Axが通る位置を含む矩形状の中心側領域ArOと、中心側領域ArOを除くその他の外周側領域ArEとに仮想的に分割している。
【0034】
左側冷却ファン51が駆動すると、左側冷却ファン51からの空気は、光入射側から見て、第1吐出用流路P1を辿って、左側から右側に向けて流通する。
また、第1吐出用流路P1を辿る空気は、左側ダクト52の他端において、3つの流路P11〜P13に分岐される。
第1整流用流路P11に導入された空気は、各整流板531,532にて整流され、光軸Axが通る位置に向けて液晶パネル361の光入射面上を流通する。
ここで、左側ダクト52の幅寸法D1(図3)は、開口部362Aにおける鉛直方向の長さ寸法(矩形状の短辺の長さ寸法)と略同一に設定されている。
このため、各流路P12,P13に導入された空気は、液晶パネル361の光入射面上を外周側領域ArEに沿って流通する。
【0035】
なお、各流路P11〜P13において、空気が導入される位置での各流路断面積は、保持枠362に左側ダクト52が設計上の位置に取り付けられた状態で、以下に示す関係となるように設定されている。
すなわち、第1整流用流路P11の上記流路断面積は、各流路P12,P13の上記流路断面積よりも大きくなるように設定されている。また、各流路P12,P13の上記流路断面積は、同一となるように設定されている。
そして、各流路P11〜P13の上記流路断面積が上述した関係を有し、各整流板531,532が上述したような形状を有しているため、第1整流用流路P11を介して吐出された空気の流速は、各流路P12,P13を介して吐出された空気の流速よりも大きい。
なお、各流路P21〜P23においても、空気を導入する位置での各流路断面積は、上記同様の関係に設定されている。このため、第2整流用流路P21を介して吐出された空気の流速も、各流路P22,P23を介して吐出された空気の流速よりも大きい。
【0036】
一方、下側冷却ファン61が駆動すると、下側冷却ファン61からの空気は、光入射側から見て、第2吐出用流路P2を辿って、下側から上側に向けて流通する。
また、第2吐出用流路P2を辿る空気は、下側ダクト62の他端において、3つの流路P21〜P23に分岐される。
第2整流用流路P21に導入された空気は、各整流板631,632にて整流され、光軸Axが通る位置に向けて液晶パネル361の光入射面上を流通する。
すなわち、第1,第2整流用流路P11,P21を辿った後の空気は、光軸Axが通る位置(光軸Ax上)にて衝突することとなる。
ここで、下側ダクト62の幅寸法(水平方向に沿う長さ寸法)は、開口部362Aにおける水平方向の長さ寸法(矩形状の長辺の長さ寸法)と略同一に設定されている。
このため、各流路P22,P23に導入された空気は、液晶パネル361の光入射面上を外周側領域ArEに沿って流通する。
【0037】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、冷却装置4は、2つの左,下側ダクト52,62と、左,下側ダクト52,62から吐出される空気の一部を中心側領域ArOに向けて整流する2つの左,下側整流部材53,63とを備える。
このことにより、左,下側整流部材53,63にて整流された空気を衝突させ、当該衝突により生じる乱流を利用して、中心側領域ArOを冷却できる。すなわち、冷却効率の高い乱流を利用することで、外周側領域ArEに対して温度の高い中心側領域ArOを効果的に冷却できる。
また、中心側領域ArOの冷却のみに乱流を利用するので、液晶パネル361の光入射面全体の冷却に乱流を利用する場合と比較して、流量を少なくすることができる。
【0038】
さらに、左,下側ダクト52,62から吐出される空気のうち、一部のみが左,下側整流部材53,63にて整流されるため、当該一部を除く他の空気(流路P12,P13,P22,P23を辿る空気)を外周側領域ArEに沿って層流の状態で流通させることができる。
すなわち、外周側領域ArEは中心側領域ArOに比較して温度が低いため、乱流を利用する場合と比較して冷却効率の低い層流を利用しても、十分に外周側領域ArEを冷却できる。
また、層流を利用した冷却では、乱流を利用した冷却に比較して、空気の流速を小さく、かつ流量を少なくすることができる。
以上のように、中心側領域ArOの冷却に乱流を利用し、外周側領域ArEの冷却に層流を利用することで、少ない流量で液晶パネル361の光入射面全体を効率的に冷却できる。
【0039】
図4は、第1実施形態の効果を説明するための図である。
また、左,下側ダクト52,62は、光変調装置36とは別体で構成されている。そして、左,下側整流部材53,63は、保持枠362に一体形成されている。
このことにより、例えば、図4に示すように、光変調装置36に左,下側ダクト52,62を取り付けた際に、保持枠362に対する設計上の位置から左,下側ダクト52,62がずれた場合であっても、左,下側整流部材53,63は、保持枠362に一体形成されているため、保持枠362に対して位置ずれを起こすことがない。
すなわち、上述した場合であっても、保持枠362に対する左,下側整流部材53,63の位置ずれを回避できるため、図4に示すように、左,下側ダクト52,62から吐出される空気の一部を光軸Axが通る位置に向けて確実に整流させることができる。
したがって、上述した場合であっても、左,下側整流部材53,63にて整流された空気の衝突位置が光軸Ax上からずれてしまうことを防止でき、中心側領域ArOを効果的に冷却できる。
【0040】
さらに、第1整流用流路P11を介して吐出された空気の流速は、各流路P12,P13を介して吐出された空気の流速よりも大きい。なお、第2整流用流路P21を介して吐出された空気の流速も各流路P22,P23を介して吐出された空気の流速よりも大きい。
このことにより、第1整流用流路P11を介して吐出された空気が各流路P12,P13を介して吐出された空気に引き寄せられることを防止できる。また、第2整流用流路P21を介して吐出された空気も同様に、各流路P22,P23を介して吐出された空気に引き寄せられることを防止できる。
したがって、第1,第2整流用流路P11,P21にて整流された空気の衝突位置が光軸Ax上からずれてしまうことを防止できる。
【0041】
また、本実施形態では、1つの左側ダクト52に対応させて1つの左側整流部材53が設けられている。
すなわち、1つの左側ダクト52から吐出される空気の一部を1つのみの左側整流部材53にて光軸Axが通る位置に向けて整流させることとなるため、整流後の空気の流速を十分に確保することができる。なお、下側ダクト62でも同様である。
したがって、左,下側整流部材53,63にて整流された空気の流速を十分に確保し、左,下側整流部材53,63にて整流された空気を光軸Ax上で良好に衝突させることができる。
また、1つの左,下側ダクト52,62に対応させて1つの左,下側整流部材53,63を設けることで、左,下側整流部材53,63にて整流された空気の流通方向同士のなす角度を比較的に大きく設定でき(本実施形態では90°)、当該空気を光軸Ax上にて衝突させやすい構造となる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構成及び同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図5は、第2実施形態における冷却装置4の構成を模式的に示す図である。具体的に、図5は、図2に対応した図である。
本実施形態では、前記第1実施形態に対して、図5に示すように、下側ダクト62及び下側整流部材63の形状が異なるのみである。
その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0043】
第2実施形態における下側ダクト62は、図5に示すように、一端から他端にかけて、一度、折れ曲がった形状を有する。
すなわち、第2吐出用流路P2の一部には、空気の流通方向を曲げる方向変更流路P2´(図5)が設けられている。
具体的に、第2吐出用流路P2は、光入射側から見て、左側から右側に直線状に延びるとともに、90°折れ曲がって、下側から上側に直線状に延びるL字形状を有する。
そして、第2吐出用流路P2におけるL字角部分が方向変更流路P2´に相当する。
また、第2実施形態における下側整流部材63(各整流板631,632)は、前記第1実施形態とは異なり、第2仮想線V2を基準として非対称となるように形成されている。
【0044】
具体的に、左側整流板631における鉛直方向に沿って延びる部分631A(図5)と第2仮想線V2との離間寸法D3は、右側整流板632における鉛直方向に沿って延びる部分632A(図5)と第2仮想線V2との離間寸法D4よりも小さくなるように形成されている。
すなわち、各流路P21〜P23において、空気が導入される位置での各流路断面積は、保持枠362に下側ダクト62が設計上の位置に取り付けられた状態で、以下の関係を有するように設定されている。
第2整流用流路P21の上記流路断面積が最も大きく、流路P23の上記流路断面積が最も小さくなるように設定されている。
なお、流路P22は、方向変更流路P2´における曲部64の内側に沿った流路であるため、本発明に係る第2流路に相当する。また、流路P23は、方向変更流路P2´における曲部64の外側に沿った流路であるため、本発明に係る第1流路に相当する。
【0045】
上述したように設定された場合であっても、第2整流用流路P21を介して吐出された空気の流速は、前記第1実施形態と同様に、各流路P22,P23を介して吐出された空気の流速よりも大きいものである。
また、第2実施形態における下側整流部材63は、上述したように形成されていても、前記第1実施形態と同様に、第2吐出用流路P2を辿る空気の一部を光軸Axが通る位置に向けて整流する機能を有するものである。
【0046】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、方向変更流路P2´における曲部64の外側に沿った流路P23の上記流路断面積は、方向変更流路P2´における曲部64の内側に沿った流路P22の上記流路断面積よりも小さくなるように形成されている。
このことにより、第2吐出用流路P2の一部に方向変更流路P2´が設けられている場合であっても、各流路P22,P23を介して吐出された空気の各流速を略同等にすることができる。
このため、液晶パネル361の光入射面において、各流路P22,P23を介して吐出された空気にて冷却される各領域での冷却効率を略同等にし、当該光入射面全体を効率的に冷却できる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構成及び同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、第3実施形態における冷却装置4の構成を模式的に示す図である。具体的に、図6は、図2及び図3に対応した図である。
前記第1実施形態では、冷却装置4は、液晶パネル361の光入射面及び光出射面のうち、光入射面のみに沿って空気を流通させていた。
これに対して第3実施形態では、冷却装置4は、液晶パネル361の光入射面(第1面)に沿って空気を流通させるとともに、光出射面(第2面)に沿って空気を流通させる。
【0048】
具体的に、第3実施形態における冷却装置4は、図6に示すように、第1面冷却手段7Aと、第2面冷却手段7Bとを備える。
第1面冷却手段7Aは、前記第1実施形態で説明した左側冷却装置5及び下側冷却装置6を備えた構成であるため、具体的な説明については省略する。
一方、第2面冷却手段7Bは、図6に示すように、右側冷却装置8と、上側冷却装置9とを備える。
右側冷却装置8は、左側冷却装置5と同様に構成され、図6に示すように、右側冷却ファン81と、吐出部材としての右側ダクト82と、右側整流部材83とを備える。
右側ダクト82は、左側ダクト52と同様の形状を有し、他端から一端側にかけて切り欠かれた切欠部821が保持枠362の光出射側の端面にて閉塞されるように保持枠362に取り付けられ、水平方向に沿うように位置付けられる。
そして、上述したように取り付けられることで、右側ダクト82には、一端に接続した右側冷却ファン81からの空気を、光入射側から見て、右側から左側に向けて(水平方向に沿って)流通させ、開口部362A近傍まで導く第3吐出用流路P3(図6)が形成される。
【0049】
右側整流部材83は、図6に示すように、光入射側から見て、保持枠362における光出射側の端面の右側に一体形成されたものであり、鉛直方向に沿って並設された上側整流板831及び下側整流板832で構成されている。
なお、各整流板831,832は、光入射側から見て、第2仮想線V2を基準として、左側整流部材53に対称となる形状を有する。
そして、各整流板831,832は、保持枠362に対して右側ダクト82が取り付けられた状態で、第3吐出用流路P3内に位置付けられ、第3吐出用流路P3を辿る空気の一部を光軸Axが通る位置に向けて整流する第3整流用流路P31を形成する。
第3吐出用流路P3は、第1吐出用流路P1と同様に、右側整流部材83により、第3整流用流路P31の他、右側整流部材83の上側に位置する流路P32、下側に位置する流路P33の3つの流路に分岐される。
【0050】
上側冷却装置9は、下側冷却装置6と同様に構成され、図6に示すように、上側冷却ファン91と、吐出部材としての上側ダクト92と、上側整流部材93とを備える。
上側ダクト92は、下側ダクト62と同様の形状を有し、他端から一端側にかけて切り欠かれた切欠部921が保持枠362の光出射側の端面にて閉塞されるように、保持枠362に取り付けられ、鉛直方向に沿うように位置付けられる。
そして、上述したように取り付けられることで、上側ダクト92には、一端に接続した上側冷却ファン91からの空気を、上側から下側に向けて(鉛直方向に沿って)流通させ、開口部362A近傍まで導く第4吐出用流路P4(図6)が形成される。
【0051】
上側整流部材93は、図6に示すように、保持枠362における光出射側の端面の上側に一体形成されたものであり、水平方向に沿って並設された左側整流板931及び右側整流板932で構成されている。
なお、各整流板931,932は、光入射側から見て、第1仮想線V1を基準として、下側整流部材63に対称となる形状を有する。
そして、各整流板931,932は、保持枠362に対して上側ダクト92が取り付けられた状態で、第4吐出用流路P4内に位置付けられ、第4吐出用流路P4を辿る空気の一部を光軸Axが通る位置に向けて整流する第4整流用流路P41を形成する。
第4吐出用流路P4は、第2吐出用流路P2と同様に、上側整流部材93により、第4整流用流路P41の他、上側整流部材93の左側に位置する流路P42、右側に位置する流路P43の3つの流路に分岐される。
【0052】
なお、上述した第2面冷却手段7Bによる空気の流路は、図6に示すように、第1面冷却手段7Aに対して、液晶パネル361の光出射面に沿って空気を流通させる点、及び光入射側から見て、第1面冷却手段7Aに対向する側から空気を流通させる点が異なるのみである。
【0053】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、冷却装置4は、液晶パネル361の光入射面に沿って空気を流通させる第1面冷却手段7Aと、液晶パネル361の光出射面に沿って空気を流通させる第2面冷却手段7Bとを備える。
このことにより、液晶パネル361の光入射面及び光出射面の双方を冷却でき、液晶パネル361を効果的に冷却できる。
【0054】
また、第1,第2面冷却手段7A,7Bは、光軸Axに沿う方向から見て、互いに対向する側から空気を流通させる。
すなわち、液晶パネル361の光入射面における外周側領域ArEでは、第1面冷却手段7Aから離間する側(光入射側から見て右側及び上側)は、第1面冷却手段7Aに近接する側(光入射側から見て左側及び下側)に対して、冷却効率が低いものとなっている。しかしながら、液晶パネル361の光出射面における外周側領域ArEにおいて、光入射面での冷却効率が低い領域に対向する領域は、第2面冷却手段7Bに近接する側(光入射側から見て右側及び上側)に相当するため、第2面冷却手段7Bから離間する側(光入射側から見て左側及び下側)に対して、冷却効率が高いものとなっている。
このため、光軸Axに沿う方向から見て、液晶パネル361の光入射面で冷却効率が低い領域については光出射面で冷却効率が高い領域とし、逆に、光出射面で冷却効率が低い領域については光入射面で冷却効率が高い領域とすることができ、液晶パネル361の全体を効率的に冷却できる。
【0055】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、冷却流体として空気を利用していたが、これに限らず、水やエチレングリコール等の液体を冷却流体として利用しても構わない。
前記各実施形態では、冷却対象として、光変調装置36(液晶パネル361)を採用していたが、これに限らず、偏光変換素子323、入射側偏光板35、あるいは、出射側偏光板37等の他の光学素子を冷却対象としても構わない。
【0056】
前記各実施形態では、冷却対象として、1つの光学素子(光変調装置36)のみを採用していたが、2つ以上の光学素子を冷却対象としても構わない。
例えば、入射側偏光板35及び光変調装置36を冷却対象とした場合には、入射側偏光板35の光出射面、及び光変調装置36の光入射面に整流部材をそれぞれ一体形成し、吐出部材(ダクト)を介して入射側偏光板35及び光変調装置36の隙間に空気を吐出すれば、入射側偏光板35の光出射面全体、及び光変調装置36の光入射面全体を簡素な構造で効率的に冷却できる。
【0057】
前記各実施形態では、冷却装置4は、R,G,B色光側の光変調装置36に対応させてそれぞれ設けられていたが、これに限らず、いずれか1つのみに対応させて1つのみ設けてもよく、いずれか2つのみに対応させて2つのみ設けてもよい。
また、冷却ファン51,61,81,91は、1つのダクト52,62,82,92に対応させて1つずつ設けられていたが、これに限らず、2つ以上のダクトに1つの冷却ファンを共通に用いても構わない。
さらに、1つのダクト52,62,82,92に対して、1つの整流部材53,63,83,93を設けていたが、これに限らず、1つのダクトに2つ以上の整流部材を設けた構成を採用しても構わない。
【0058】
前記各実施形態では、光変調装置36は、3つ設けられていたが、その数は3つに限らず、1つ、2つ、あるいは、4つ以上であっても構わない。
前記各実施形態において、光変調装置としては、透過型または反射型の液晶パネルの他、マイクロミラーを用いたデバイス等、液晶以外の光変調装置を採用しても構わない。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターに利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・プロジェクター、4・・・冷却装置、7A・・・第1面冷却手段、7B・・・第2面冷却手段、36・・・光変調装置(光学素子)、52・・・左側ダクト(吐出部材)、53・・・左側整流部材、62・・・下側ダクト(吐出部材)、63・・・下側整流部材、82・・・右側ダクト(吐出部材)、83・・・右側整流部材、92・・・上側ダクト(吐出部材)、93・・・上側整流部材、Ax・・・光軸、ArO・・・中心側領域、ArE・・・外周側領域、O・・・中心位置、P1〜P4・・・第1〜第4吐出用流路、P2´・・・方向変更流路、P11,P21,P31,P41・・・第1〜第4整流用流路、P22・・・第2流路、P23・・・第1流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子の表面に沿って冷却流体を流通させる冷却装置を備えたプロジェクターであって、
前記冷却装置は、
前記光学素子とは別体で構成され、前記光学素子に取り付けられた状態で前記光学素子に向けて前記冷却流体を吐出する吐出部材と、
前記光学素子に一体形成され、前記吐出部材から吐出される冷却流体の一部を整流する少なくとも2つの整流部材とを備え、
前記少なくとも2つの整流部材は、
前記光学素子に入射する光束の光軸に沿う方向から見て、前記光学素子を、前記光軸が通る位置を含む中心側領域と前記中心側領域を除く外周側領域とに仮想的に分割した場合に、前記吐出部材から吐出される冷却流体の一部を前記中心側領域に向けてそれぞれ整流する
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記吐出部材は、
前記光学素子に向けて前記冷却流体を吐出するための吐出用流路を有し、
前記整流部材は、
前記光学素子に前記吐出部材が取り付けられた状態で前記吐出用流路内に位置し、前記吐出用流路を辿る冷却流体の一部を取り込んで前記中心側領域に向けて整流する整流用流路を有し、
前記整流用流路を辿って前記光学素子に向けて吐出される冷却流体の流速は、
前記吐出用流路における前記整流用流路を除く他の流路を辿って前記光学素子に向けて吐出される冷却流体の流速よりも大きくなるように設定されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記吐出部材は、
前記光学素子に向けて前記冷却流体を吐出するための吐出用流路を有し、
前記整流部材は、
前記光学素子に前記吐出部材が取り付けられた状態で前記吐出用流路内に位置し、前記吐出用流路を辿る冷却流体の一部を取り込んで前記中心側領域に向けて整流する整流用流路を有し、
前記吐出用流路の一部には、
前記冷却流体の流通方向を曲げる曲部を備えた方向変更流路が設けられ、
前記吐出用流路は、
前記光学素子に前記吐出部材が取り付けられた状態で、前記整流部材により、前記整流用流路と、前記整流用流路を除く他の第1流路及び第2流路とに分岐され、
前記第1流路は、
前記曲部の外側に沿った流路であり、
前記第2流路は、
前記曲部の内側に沿った流路であり、
前記第1流路の流路断面積は、
前記第2流路の流路断面積よりも小さくなるように設定されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記吐出部材は、
前記整流部材に対応させて前記整流部材と同じ数設けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記光学素子は、
互いに対向する第1面及び第2面を有し、
前記冷却装置は、
前記吐出部材及び前記整流部材を有し、前記光学素子の前記第1面に沿って前記冷却流体を流通させる第1面冷却手段と、
前記吐出部材及び前記整流部材を有し、前記光学素子の前記第2面に沿って前記冷却流体を流通させる第2面冷却手段とを備え、
前記第1面冷却手段及び前記第2面冷却手段は、
前記光軸に沿う方向から見て、互いに対向する側から前記冷却流体を流通させる
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97231(P2013−97231A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240925(P2011−240925)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】