説明

プロジェクタ用台座

【課題】支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制することが可能なプロジェクタ用台座を提供する。
【解決手段】このプロジェクタ用台座1は、1つの角度規制用突出部22を含むとともに、プロジェクタ2を支持する支持部材20と、支持部材20が移動可能に配置される凹部12と、角度規制用突出部22と当接することにより、支持部材20の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制するための1つの角度規制用溝部13とを含む台座部材10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクタ用台座に関し、特に、プロジェクタを支持する支持部材を備えたプロジェクタ用台座に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタなどを支持する支持部材を備えた支持機構(プロジェクタ用台座)が知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記特許文献1には、テレビジョンカメラを支持する回転台(支持部材)と、回転台が移動可能に取り付けられた固定台(台座部材)とを備えた取付金具(支持機構)が開示されている。この回転台は、半円筒形状を有するとともに、円周方向に沿ってスリットが形成されている。また、回転台は、固定ネジがスリットを介して固定台に取り付けられていることにより、固定台に取り付けられている。したがって、上記特許文献1に開示された取付金具では、回転台をスリットに沿って移動させることにより、テレビジョンカメラを水平面に対して傾斜(チルト)可能であるとともに、回転台を固定ネジを中心にして回転させることにより、テレビジョンカメラを水平面内において回転可能である。
【0004】
また、上記特許文献2には、カメラ本体を収納するキャビネット(支持部材)と、キャビネットが移動可能に取り付けられたスタンドベース(台座部材)とを備えた支持機構が開示されている。このスタンドベースには、支柱を有する円弧状凹部が形成されているとともに、キャビネットには、長孔を有する円弧状摺接部が形成されている。また、長孔に支柱が挿入された状態で、円弧状摺接部が円弧状凹部上に配置されることにより、キャビネットは、スタンドベースに移動可能に取り付けられている。したがって、上記特許文献2に開示された支持機構では、キャビネットを長孔に沿って移動させることにより、カメラ本体を水平面に対して傾斜(チルト)可能であるとともに、キャビネットを支柱を中心にして回転させることにより、カメラ本体を水平面内において回転可能である。
【0005】
また、上記特許文献3には、固定台(台座部材)と、固定台上に配置されるスイーベル可動台と、スイーベル可動台上に配置されるとともに、電子機器を支持するチルト可動台(支持部材)とを備えた支持機構が開示されている。このスイーベル可動台は、突起部を有するとともに、固定台に対して回転可能に設けられている。また、チルト可動台は、突起部が挿入される凹部が形成されているとともに、凹部の延びる方向に移動可能に設けられている。また、チルト可動台は、スイーベル可動台が回転する場合に、凹部と突起部とが係合することにより、スイーベル可動台と共に回転するように構成されている。したがって、上記特許文献3に開示された支持機構では、電子機器を水平面に対して傾斜(チルト)可能であるとともに、電子機器を水平面内において回転可能である。
【0006】
【特許文献1】実開平4−59682号公報
【特許文献2】特開平8−316647号公報
【特許文献3】特開平10−224045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示された従来の支持機構では、支持部材の角度調節を行う場合に、支持部材の水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制することが困難であるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制することが可能なプロジェクタ用台座を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の第1の局面におけるプロジェクタ用台座は、プロジェクタを支持する支持部材と、支持部材が移動可能に配置される凹部を含む台座部材とを備えたプロジェクタ用台座において、支持部材を台座部材の凹部に移動可能に取り付けるための取付部材をさらに備え、取付部材は、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔を含み、支持部材は、1つの第1角度規制部を含み、台座部材は、1つの第2角度規制部と、第2角度規制部を挟むように配置されるとともに、取付部材の係合孔と係合する一対の係合部と、上方に突出するように設けられるとともに、先端部に係合部が形成される連結部とを含み、支持部材には、第1角度規制部を挟むように、台座部材の連結部が挿入される一対の長孔部が形成され、台座部材の第2角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有する角度規制用孔部を含み、支持部材の第1角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有するとともに、台座部材の角度規制用孔部に挿入され、かつ、角度規制用孔部の内面に当接することにより支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する角度規制用突出部を含む。
【0010】
この第1の局面によるプロジェクタ用台座では、上記のように、第1角度規制部を含む支持部材と、第1角度規制部と当接することにより、支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制するための第2角度規制部を含む台座部材とを設けることによって、支持部材を台座部材に対して移動させる場合に、支持部材の第1角度規制部を台座部材の第2角度規制部に当接させて、支持部材の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を所定の角度範囲内に規制することができる。これにより、支持部材の角度調節を行う場合に、ユーザは、支持部材の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を容易に所望の角度に調節することができるので、支持部材に支持されたプロジェクタの投影角度を容易に調節することができる。また、支持部材に第1角度規制部を1つ設けるとともに、台座部材に第2角度規制部を1つ設けることによって、一対の第1角度規制部および第2角度規制部により、支持部材の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を所定の角度範囲内に規制することができるので、支持部材の水平面に対する傾斜角度を所定の角度範囲内に規制する傾斜角度規制機構と、支持部材の水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する回動角度規制機構とを別個に設ける場合などと異なり、支持部材および台座部材の構造が複雑化するのを抑制することができる。また、台座部材の第2角度規制部が、平面的に見て実質的に矩形状を有する角度規制用孔部を含むとともに、支持部材の第1角度規制部が、平面的に見て実質的に矩形状を有するとともに、台座部材の角度規制用孔部に挿入され、かつ、角度規制用孔部の内面に当接することにより支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する角度規制用突出部を含むように構成することによって、実質的に矩形状を有する角度規制用突出部および角度規制用孔部の各辺の長さを設定することによって、支持部材の移動可能な水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を設定することができる。
【0011】
また、第1の局面では、支持部材を台座部材の凹部に移動可能に取り付けるための取付部材を設けることによって、取付部材により、容易に、支持部材を台座部材に取り付けることができる。また、取付部材が、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔を含むとともに、台座部材が、第2角度規制部を挟むように配置されるとともに、取付部材の係合孔と係合する一対の係合部を含むように構成することによって、台座部材の一対の係合部を取付部材の係合孔に係合させることにより、より容易に、支持部材を台座部材に取り付けることができる。また、台座部材が、上方に突出するように設けられるとともに、先端部に係合部が形成される連結部を含むとともに、第1角度規制部を挟むように、台座部材の連結部が挿入される一対の長孔部を支持部材に形成するように構成することによって、台座部材の連結部を長孔部に挿入するとともに、連結部の先端部に形成された係合部を取付部材の係合孔に係合させることにより、台座部材と取付部材との間に支持部材を配置することができるので、取付部材により、より容易に、支持部材を台座部材に取り付けることができる。
【0012】
この発明の第2の局面によるプロジェクタ用台座は、1つの第1角度規制部を含むとともに、プロジェクタを支持する支持部材と、支持部材が移動可能に配置される凹部と、第1角度規制部と当接することにより、支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制するための1つの第2角度規制部とを含む台座部材とを備える。
【0013】
この発明の第2の局面によるプロジェクタ用台座では、上記のように、第1角度規制部を含む支持部材と、第1角度規制部と当接することにより、支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制するための第2角度規制部を含む台座部材とを設けることによって、支持部材を台座部材に対して移動させる場合に、支持部材の第1角度規制部を台座部材の第2角度規制部に当接させて、支持部材の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を所定の角度範囲内に規制することができる。これにより、支持部材の角度調節を行う場合に、ユーザは、支持部材の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を容易に所望の角度に調節することができるので、支持部材に支持されたプロジェクタの投影角度を容易に調節することができる。また、支持部材に第1角度規制部を1つ設けるとともに、台座部材に第2角度規制部を1つ設けることによって、一対の第1角度規制部および第2角度規制部により、支持部材の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を所定の角度範囲内に規制することができるので、支持部材の水平面に対する傾斜角度を所定の角度範囲内に規制する傾斜角度規制機構と、支持部材の水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する回動角度規制機構とを別個に設ける場合などと異なり、支持部材および台座部材の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0014】
上記第2の局面によるプロジェクタ用台座において、好ましくは、台座部材の第2角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有する角度規制用孔部を含み、支持部材の第1角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有するとともに、台座部材の角度規制用孔部に挿入され、かつ、角度規制用孔部の内面に当接することにより支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する角度規制用突出部を含む。このように構成すれば、実質的に矩形状を有する角度規制用突出部および角度規制用孔部の各辺の長さを設定することによって、支持部材の移動可能な水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を設定することができる。
【0015】
上記第2の局面によるプロジェクタ用台座において、好ましくは、支持部材を台座部材の凹部に移動可能に取り付けるための取付部材をさらに備える。このように構成すれば、取付部材により、容易に、支持部材を台座部材に取り付けることができる。
【0016】
上記取付部材を備えるプロジェクタ用台座において、好ましくは、取付部材は、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔を含み、台座部材は、第2角度規制部を挟むように配置されるとともに、取付部材の係合孔と係合する一対の係合部を含む。このように構成すれば、台座部材の一対の係合部を取付部材の係合孔に係合させることにより、より容易に、支持部材を台座部材に取り付けることができる。
【0017】
この場合において、好ましくは、台座部材は、上方に突出するように設けられるとともに、先端部に係合部が形成される連結部を含み、支持部材には、第1角度規制部を挟むように、台座部材の連結部が挿入される一対の長孔部が形成されている。このように構成すれば、台座部材の連結部を長孔部に挿入するとともに、連結部の先端部に形成された係合部を取付部材の係合孔に係合させることにより、台座部材と取付部材との間に支持部材を配置することができるので、取付部材により、より容易に、支持部材を台座部材に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるプロジェクタ用台座にプロジェクタを取り付けた状態を示した側面図である。図2は、本発明の一実施形態によるプロジェクタ用台座の構造を示した斜視図である。図3〜図10は、図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の構造を説明するための図である。まず、図1〜図10を参照して、本実施形態によるプロジェクタ用台座1の構造について説明する。
【0020】
本実施形態によるプロジェクタ用台座1は、図1に示すように、プロジェクタ2を支持することが可能なように構成されている。また、プロジェクタ用台座1は、図2〜図4に示すように、台座部材10と、支持部材20と、取付部材30とによって構成されている。また、台座部材10、支持部材20および取付部材30は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)などの樹脂からなる。
【0021】
ここで、本実施形態では、台座部材10は、図2および図4に示すように、平面的に見て実質的に円形状を有するとともに、支持部材20を移動可能に支持するために設けられている。また、台座部材10は、図3に示すように、外周部から内部側に向かって上方に突出するように形成された凸形状部11と、凸形状部11と連続するように形成された凹部12とを含んでいる。この凹部12は、台座部材10の中心に配置されているとともに、実質的に球面状に形成されている。
【0022】
また、本実施形態では、凹部12には、1つの角度規制用溝部13と、取付部材30を取り付けるための一対の連結部14および係合部15と、連結部14が弾性変形する場合に、連結部14の変形量を規制するための一対の規制部16とが一体的に形成されている。なお、角度規制用溝部13は、本発明の「第2角度規制部」および「角度規制用孔部」の一例である。また、凸形状部11と凹部12との境界部近傍には、3つのねじ取付用孔部17が凹部12の中心から半径方向に所定の間隔を隔てて120度間隔で形成されている。また、台座部材10の裏面側には、台座部材10全体の機械的強度を増大させるための補強リブ18(図6参照)が形成されている。
【0023】
また、本実施形態では、角度規制用溝部13は、凹部12の中心部近傍に、球面状の凹部12の頂点41(図5および図6参照)と対応する領域と重なるように形成されている。これにより、角度規制用溝部13は、支持部材20が水平面内において回動する場合の回動軸50(図5および図6参照)と交差する位置に形成されている。また、角度規制用溝部13は、図4に示すように、平面的に見て実質的に矩形状(本実施形態では、長方形状)を有するとともに、長手方向に沿って延びる内側面13aと短手方向に沿って延びる内側面13bとを有する。
【0024】
また、本実施形態では、連結部14は、図3に示すように、板形状を有するとともに、凹部12の表面から上方に突出するように形成されている。また、一対の連結部14は、角度規制用溝部13を挟んで角度規制用溝部13の内側面13a近傍に形成されているとともに、角度規制用溝部13の長手方向と実質的に平行に形成されている。また、係合部15は、連結部14の先端部に角度規制用溝部13側とは反対側の外側に突出するように形成されているとともに、上端部に面取り部が形成されている。また、規制部16は、角度規制用溝部13と連結部14および係合部15との間に形成されている。また、規制部16は、凹部12の表面から上方に突出するように形成されているとともに、連結部14および係合部15側(外側)に突出する側面部を有する。
【0025】
また、本実施形態では、支持部材20は、図1に示すように、プロジェクタ2を支持するために設けられている。また、支持部材20は、図5および図6に示すように、台座部材10の凹部12に移動可能に配置されている。具体的には、支持部材20は、下方に突出するような球面状の下面21を有する。この支持部材20の球面状の下面21は、台座部材10の凹部12の曲率と実質的に同じ曲率に形成されている。また、支持部材20の球面状の下面21が台座部材10の凹部12に嵌め込まれている。これらによって、支持部材20は、台座部材10の凹部12の表面に沿って移動可能に構成されている。
【0026】
また、本実施形態では、支持部材20の下面21には、図3に示すように、1つのリブ状の角度規制用突出部22と、2つの長孔部23とが形成されている。なお、角度規制用突出部22は、本発明の「第1角度規制部」の一例である。また、支持部材20には、3つのねじ挿入孔24が中心から半径方向に所定の間隔を隔てて120度間隔で形成されている。また、支持部材20の上面側には、支持部材20全体の機械的強度を増大させるための補強リブ25が形成されている。
【0027】
また、本実施形態では、角度規制用突出部22は、台座部材10側(下方)に突出するように形成されているとともに、球面状の下面21の頂点42(図5および図6参照)と対応する領域と重なるように形成されている。これにより、角度規制用突出部22は、支持部材20が水平面内において回動する場合の回動軸50(図5および図6参照)と交差する位置に形成されている。また、角度規制用突出部22は、図4に示すように、平面的に見て実質的に矩形状(本実施形態では、長方形状)を有するとともに、長手方向に沿って延びる側面22aと短手方向に沿って延びる側面22bとを有する。また、角度規制用突出部22は、図5および図6に示すように、支持部材20を台座部材10の凹部12に配置した場合に、台座部材10の角度規制用溝部13に挿入されるように構成されている。
【0028】
また、本実施形態では、長孔部23は、図4に示すように、平面的に見て角度規制突出部22を挟むように形成されているとともに、角度規制突出部22の長手方向に沿って延びるように形成されている。また、長孔部23には、図4および図5に示すように、支持部材20を台座部材10の凹部12(図5参照)に配置した場合に、台座部材10の連結部14および規制部16が挿入されるように配置されている。
【0029】
また、本実施形態では、図7に示すように、台座部材10および支持部材20は、支持部材20の水平面内における回動角度(パン角度)がA方向に変化するように支持部材20を回動させた場合に、支持部材20の角度規制用突出部22の側面22aの一方が台座部材10の角度規制用溝部13の内側面13aの一方に前方(矢印X1方向)側で当接するとともに、角度規制用突出部22の側面22aの他方が角度規制用溝部13の内側面13aの他方に後方(矢印X2方向)側で当接するように構成されている。これにより、角度規制用突出部22と角度規制用溝部13とは、支持部材20が水平面内において所定の回動角度になるまで支持部材20をA方向に回動させることが可能なように構成されている。
【0030】
また、本実施形態では、図8に示すように、台座部材10および支持部材20は、支持部材20の水平面内における回動角度(パン角度)がB方向に変化するように支持部材20を回動させた場合に、支持部材20の角度規制用突出部22の側面22aの一方が台座部材10の角度規制用溝部13の内側面13aの一方に後方(矢印X2方向)側で当接するとともに、角度規制用突出部22の側面22aの他方が角度規制用溝部13の内側面13aの他方に前方(矢印X1方向)側で当接するように構成されている。これにより、角度規制用突出部22と角度規制用溝部13とは、支持部材20が水平面内において所定の回動角度になるまで支持部材20をB方向に回動させることが可能なように構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、図9に示すように、台座部材10および支持部材20は、支持部材20の台座部材10(水平面)に対する傾斜角度(チルト角度)が上方向に変化するように、支持部材20を角度規制用溝部13に沿ってC方向に移動させた場合に、支持部材20の角度規制用突出部22の前方(矢印X1方向)側の側面22bが台座部材10の角度規制用溝部13の前方(矢印X1方向)側の内側面13bに当接するように構成されている。これにより、角度規制用突出部22と角度規制用溝部13とは、支持部材20が台座部材10(水平面)に対して所定の傾斜角度になるまで支持部材20をC方向に移動させることが可能なように構成されている。
【0032】
また、本実施形態では、図10に示すように、台座部材10および支持部材20は、支持部材20の台座部材10(水平面)に対する傾斜角度(チルト角度)が下方向に変化するように、支持部材20を角度規制用溝部13に沿ってD方向に移動させた場合に、支持部材20の角度規制用突出部22の後方(矢印X2方向)側の側面22bが台座部材10の角度規制用溝部13の後方(矢印X2方向)側の内側面13bに当接するように構成されている。これにより、角度規制用突出部22と角度規制用溝部13とは、支持部材20が台座部材10(水平面)に対して所定の傾斜角度になるまで支持部材20をD方向に移動させることが可能なように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、取付部材30は、図2に示すように、支持部材20を台座部材10の凹部12に移動可能に配置するために設けられている。また、取付部材30は、図3に示すように、下面31と、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔32とを含んでいる。また、下面31は、支持部材20側(下方)に突出するような球面状に形成されている。
【0034】
また、プロジェクタ2は、図3に示すように、3つのねじ取付部2aを含んでいる。このプロジェクタ2は、ねじ取付用孔部17を通過したねじ3がねじ挿入孔24を介してねじ取付部2aに取り付けられることにより、支持部材20に取り付けられている。
【0035】
次に、図1および図7〜図10を参照して、本実施形態によるプロジェクタ用台座1の支持部材20の回動角度および傾斜角度を変化させる際の動作について説明する。
【0036】
まず、支持部材20の水平面内における回動角度をA方向に変化させる場合には、図7に示すように、支持部材20をA方向に回動させる。このとき、支持部材20は、角度規制用突出部22の側面22aの一方が角度規制用溝部13の内側面13aの一方に前方(矢印X1方向)側で当接するとともに、角度規制用突出部22の側面22aの他方が角度規制用溝部13の内側面13aの他方に後方(矢印X2方向)側で当接するまで回動する。その一方、支持部材20の水平面内における回動角度をB方向に変化させる場合には、図8に示すように、支持部材20をB方向に回動させる。このとき、支持部材20は、角度規制用突出部22の側面22aの一方が角度規制用溝部13の内側面13aの一方に後方(矢印X2方向)側で当接するとともに、角度規制用突出部22の側面22aの他方が角度規制用溝部13の内側面13aの他方に前方(矢印X1方向)側で当接するまで回動する。これらによって、支持部材20および支持部材20に支持されたプロジェクタ2(図1参照)を、水平面内において所定の回動角度までA方向(B方向)に回動させることが可能である。
【0037】
また、支持部材20の台座部材10(水平面)に対する傾斜角度を上方向に変化させる場合には、図9に示すように、支持部材20をC方向に移動させる。このとき、支持部材20は、角度規制用突出部22の前方(矢印X1方向)側の側面22bが角度規制用溝部13の前方(矢印X1方向)側の内側面13bに当接するまで移動する。その一方、支持部材20の台座部材10(水平面)に対する傾斜角度を下方向に変化させる場合には、図10に示すように、支持部材20をD方向に移動させる。このとき、支持部材20は、角度規制用突出部22の後方(矢印X2方向)側の側面22bが角度規制用溝部13の後方(矢印X2方向)側の内側面13bに当接するまで移動する。これらによって、支持部材20および支持部材20に支持されたプロジェクタ2(図1参照)を、台座部材10(水平面)に対して所定の傾斜角度までC方向(D方向)に移動させることが可能である。
【0038】
本実施形態では、上記のように、角度規制用突出部22を含む支持部材20と、角度規制用突出部22と当接することにより、支持部材20の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制するための角度規制用溝部13を含む台座部材10とを設けることによって、支持部材20を台座部材10に対して移動させる場合に、支持部材20の角度規制用突出部22を台座部材10の角度規制用溝部13に当接させて、支持部材20の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を所定の角度範囲内に規制することができる。これにより、支持部材20の角度調節を行う場合に、ユーザは、支持部材20の水平面に対する傾斜角度(チルト角度)および水平面内における回動角度(パン角度)を容易に所望の角度に調節することができるので、支持部材20に支持されたプロジェクタ2の投影角度を容易に調節することができる。また、支持部材20に角度規制用突出部22を1つ設けるとともに、台座部材10に角度規制用溝部13を1つ設けることによって、一対の角度規制用溝部13および角度規制用突出部22により、支持部材20の傾斜角度(チルト角度)および回動角度(パン角度)を所定の角度範囲内に規制することができるので、支持部材の水平面に対する傾斜角度を所定の角度範囲内に規制する傾斜角度規制機構と、支持部材の水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する回動角度規制機構とを別個に設ける場合などと異なり、支持部材20および台座部材10の構造が複雑化するのを抑制することができる。これにより、支持部材20の長孔部23や台座部材10の連結部14および係合部15を形成する領域の自由度を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、角度規制用溝部13を、支持部材20が水平面内において回動する場合の回動軸と交差する位置に1つ形成するとともに、角度規制用突出部22を、支持部材20が水平面内において回動する場合の回動軸と交差する位置に1つ形成することによって、図11に示した本実施形態の比較例によるプロジェクタ用台座101のように、台座部材102に角度規制用溝部102aを2つ形成するとともに、支持部材103に角度規制用突出部103aを2つ形成する場合に比べて、角度規制用突出部22が角度規制用溝部13に当接するまで支持部材20をA方向(B方向)に回動させた状態(図7または図8の状態)においても、支持部材20を矢印X1方向(矢印X2方向)に容易に移動させることができる。具体的には、図11および図12に示すように、支持部材20(103)の回動角度が同じ場合において、比較例によるプロジェクタ用台座101の回動中心Oから角度規制用溝部102aと角度規制用突出部103aとが当接する位置P1までの半径r1に比べて、本実施形態によるプロジェクタ用台座1の回動中心Oから角度規制用溝部13と角度規制用突出部22とが当接する位置P2までの半径r2を容易に小さくすることができる。なお、図11および図12では、簡略化のため、支持部材20(103)の角度規制用突出部22(103a)と台座部材10(102)の角度規制用溝部13(102a)との平面的な位置関係のみを示した。
【0040】
これにより、支持部材20および103の水平面内における回動角度(パン角度)を調節する際に、支持部材20および103に加わる回動中心Oの回りのモーメントMが同じ大きさである場合には、支持部材103により位置P1において角度規制用溝部102aの内側面に加わる力F1(=M/r1)に比べて、支持部材20により位置P2において角度規制用溝部13の内側面13aに加わる力F2(=M/r2)を容易に小さくすることができる。このため、位置P1において角度規制用溝部102aの内側面に加わる矢印X1方向(矢印X2方向)と垂直な方向の力F3に比べて、位置P2において角度規制用溝部13の内側面13aに加わる矢印X1方向(矢印X2方向)と垂直な方向の力F4を容易に小さくすることができる。したがって、図11に示した比較例によるプロジェクタ用台座101において、角度規制用突出部103aを角度規制用溝部102aの内側面に当接させた状態で、支持部材103を矢印X1方向に移動させる際の摩擦力F5(=μ(摩擦係数)×F3)に比べて、図12に示した本実施形態によるプロジェクタ用台座1において、角度規制用突出部22を角度規制用溝部13の内側面13aに当接させた状態で、支持部材20を矢印X1方向に移動させる際の摩擦力F6(=μ×F4)を小さくすることができる。なお、支持部材20(103)を矢印X2方向に移動させる場合についても同様である。
【0041】
また、本実施形態では、平面的に見て実質的に矩形状(長方形状)を有する角度規制用溝部13を台座部材10に設けるとともに、平面的に見て実質的に矩形状(長方形状)を有するとともに、台座部材10の角度規制用溝部13に挿入され、かつ、角度規制用溝部13の内側面13aおよび13bに当接することにより支持部材20の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制する角度規制用突出部22を支持部材20に設けることによって、実質的に矩形状を有する角度規制用突出部22の側面22a、22b、角度規制用溝部13の内側面13aおよび13bの長さを設定することによって、支持部材20の移動可能な水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を設定することができる。
【0042】
また、本実施形態では、支持部材20を台座部材10の凹部12に移動可能に取り付けるための取付部材30を設けることによって、取付部材30により、容易に、支持部材20を台座部材10に取り付けることができる。
【0043】
また、本実施形態では、取付部材30が、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔32を含むとともに、台座部材10が、角度規制用溝部13を挟むように配置されるとともに、取付部材30の係合孔32と係合する一対の係合部15を含むように構成することによって、台座部材10の一対の係合部15を取付部材30の係合孔32に係合させることにより、より容易に、支持部材20を台座部材10に取り付けることができる。
【0044】
また、本実施形態では、台座部材10が、上方に突出するように設けられるとともに、先端部に係合部15が形成される連結部14を含むとともに、角度規制用突出部22を挟むように、台座部材10の連結部14が挿入される一対の長孔部23を支持部材20に形成するように構成することによって、台座部材10の連結部14を長孔部23に挿入するとともに、連結部14の先端部に形成された係合部15を取付部材30の係合孔32に係合させることにより、台座部材10と取付部材30との間に支持部材20を配置することができるので、取付部材30により、より容易に、支持部材20を台座部材10に取り付けることができる。
【0045】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
たとえば、上記実施形態では、台座部材10に角度規制用溝部13を設けるとともに、支持部材20に角度規制用突出部22を設けるように構成したが、本発明はこれに限らず、支持部材を台座部材に対して移動させる際に、移動可能な範囲を規制することができるように構成すればよい。たとえば、台座部材に角度規制用突出部を設けるとともに、支持部材に角度規制用溝部を設けるように構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、台座部材10に角度規制用溝部13を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、台座部材に角度規制用の貫通孔を形成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、台座部材10のねじ取付用孔部17、支持部材20のねじ挿入孔24およびプロジェクタ2のねじ取付部2aをそれぞれ3つずつ形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、プロジェクタ用台座にプロジェクタを容易に脱着することが可能であれば、台座部材のねじ取付用孔部、支持部材のねじ挿入孔およびプロジェクタのねじ取付部はいくつであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態によるプロジェクタ用台座にプロジェクタを取り付けた状態を示した側面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるプロジェクタ用台座の構造を示した斜視図である。
【図3】図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の構造を示した分解斜視図である。
【図4】図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の構造を示した平面図である。
【図5】図4の100−100線に沿った断面図である。
【図6】図4の200−200線に沿った断面図である。
【図7】図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の支持部材が水平面内において回動した状態を取付部材を省略して示した平面図である。
【図8】図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の支持部材が水平面内において回動した状態を取付部材を省略して示した平面図である。
【図9】図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の支持部材が水平面に対して傾斜した状態を示した断面図である。
【図10】図2に示した一実施形態によるプロジェクタ用台座の支持部材が水平面に対して傾斜した状態を示した断面図である。
【図11】本発明の一実施形態の比較例によるプロジェクタ用台座の角度規制用突出部と角度規制用溝部との関係を示した平面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるプロジェクタ用台座の角度規制用突出部と角度規制用溝部との関係を示した平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 プロジェクタ用台座
2 プロジェクタ
10 台座部材
12 凹部
13 角度規制用溝部(第2角度規制部、角度規制用孔部)
14 連結部
15 係合部
20 支持部材
22 角度規制用突出部(第1角度規制部)
23 長孔部
30 取付部材
32 係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタを支持する支持部材と、前記支持部材が移動可能に配置される凹部を含む台座部材とを備えたプロジェクタ用台座において、
前記支持部材を前記台座部材の凹部に移動可能に取り付けるための取付部材をさらに備え、
前記取付部材は、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔を含み、
前記支持部材は、1つの第1角度規制部を含み、
前記台座部材は、1つの第2角度規制部と、前記第2角度規制部を挟むように配置されるとともに、前記取付部材の係合孔と係合する一対の係合部と、上方に突出するように設けられるとともに、先端部に前記係合部が形成される連結部とを含み、
前記支持部材には、前記第1角度規制部を挟むように、前記台座部材の連結部が挿入される一対の長孔部が形成され、
前記台座部材の第2角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有する角度規制用孔部を含み、
前記支持部材の第1角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有するとともに、前記台座部材の角度規制用孔部に挿入され、かつ、前記角度規制用孔部の内面に当接することにより前記支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を前記所定の角度範囲内に規制する角度規制用突出部を含む、プロジェクタ用台座。
【請求項2】
1つの第1角度規制部を含むとともに、プロジェクタを支持する支持部材と、
前記支持部材が移動可能に配置される凹部と、前記第1角度規制部と当接することにより、前記支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を所定の角度範囲内に規制するための1つの第2角度規制部とを含む台座部材とを備える、プロジェクタ用台座。
【請求項3】
前記台座部材の第2角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有する角度規制用孔部を含み、
前記支持部材の第1角度規制部は、平面的に見て実質的に矩形状を有するとともに、前記台座部材の角度規制用孔部に挿入され、かつ、前記角度規制用孔部の内面に当接することにより前記支持部材の水平面に対する傾斜角度および水平面内における回動角度を前記所定の角度範囲内に規制する角度規制用突出部を含む、請求項2に記載のプロジェクタ用台座。
【請求項4】
前記支持部材を前記台座部材の凹部に移動可能に取り付けるための取付部材をさらに備える、請求項2または3に記載のプロジェクタ用台座。
【請求項5】
前記取付部材は、平面的に見て実質的に円形状を有する係合孔を含み、
前記台座部材は、前記第2角度規制部を挟むように配置されるとともに、前記取付部材の係合孔と係合する一対の係合部を含む、請求項4に記載のプロジェクタ用台座。
【請求項6】
前記台座部材は、上方に突出するように設けられるとともに、先端部に前記係合部が形成される連結部を含み、
前記支持部材には、前記第1角度規制部を挟むように、前記台座部材の連結部が挿入される一対の長孔部が形成されている、請求項5に記載のプロジェクタ用台座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−164924(P2008−164924A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354202(P2006−354202)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】