説明

プロジェクタ装置

【課題】 オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタの両方を使用する時、スペースや操作性、電力消費量等を改善する。
【解決手段】 光源10と、光源10の光を導いて原稿11に照射する原稿照射光学系12と、光を照射された原稿11の光像をスクリーン上に結像する原稿投影レンズ系13と、光源10の光を組み合わせミラーで反射して液晶パネル31,32,33に導くミラー光学系20と、液晶パネルを透過して得られた光像をスクリーン上に結像する液晶投影レンズ系34と、光源の光を原稿照射光学系12とミラー光学系20のいずれか一方へ導くように切り換える、光源切り換え装置40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタの機能をもったプロジェクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
営業情報や技術情報の紹介や各種の会議では、プレゼンテーションのために、必ずといっていいほど、オーバーヘッドプロジェクタや液晶プロジェクタが使用されるようになった。特に、液晶プロジェクタの進歩はめざましく、各種の改良がなされている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−264875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
液晶プロジェクタの利用度はますます高まっているものの、なお、オーバーヘッドプロジェクタの利用は無くならない。特に、比較的簡単な手書きメモ等の紹介にはオーバーヘッドプロジェクタのほうが便利なことがある。しかしながら、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタの両方を設備するのはスペース的な問題がある。さらに、立ち上げに時間がかかるので、両方をスタンバイ状態にしておくと、無駄な電力を消費する。本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、光源を共用したオーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタの機能を持つプロジェクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉光源と、この光源の光を導いて原稿に照射する原稿照射光学系と、上記光を照射された原稿の光像をスクリーン上に結像する原稿投影レンズ系と、上記光源の光を組み合わせミラーで反射して液晶パネルに導くミラー光学系と、上記液晶パネルを透過して得られた光像を上記スクリーン上に結像する液晶投影レンズ系と、上記光源の光を上記原稿照射光学系と上記ミラー光学系のいずれか一方へ導くように切り換える、光源切り換え装置とを備えたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【0005】
光源を共通にして、光源切り換え装置を使って、例えば、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタの両方を使い分けることができる。また、プレゼンテーション用の設備全体を小型化できる。
【0006】
〈構成2〉構成1に記載のプロジェクタ装置において、上記切り換え装置と上記ミラー光学系との間に、光強度調整フィルタを配置したことを特徴とするプロジェクタ装置。
【0007】
液晶パネルのミラー光学系用光源は、オーバーヘッドプロジェクタ等の原稿照射光学系用のものに比べて光量が少なくてよい。故に、光強度調整フィルタを組み込んで、光量の調整をする。これにより、ミラー光学系と原稿照射光学系の光源の共用が可能になる。また、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタとを自由に即座に切り換えて使用できるようになる。
【0008】
〈構成3〉構成1に記載のプロジェクタ装置において、上記切り換え装置を動作させて上記光源の光ビームを上記原稿照射光学系側から上記ミラー光学系側に向けた時、上記光源の発光光量をレベルダウンさせる電源装置を設けたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【0009】
液晶パネル用の光源は光量が少なくてよいので、液晶プロジェクタ専用で使用する時は、光ビームの向きの切り換えと同時に光源の光量を落として、消費電力を低減することができる。
【0010】
〈構成4〉光源と、この光源の光を導いて原稿に照射する原稿照射光学系と、上記光を照射された原稿の光像をスクリーン上に結像する原稿投影レンズ系と、上記光源の光を組み合わせミラーで反射して液晶パネルに導くミラー光学系と、上記液晶パネルを透過して得られた光像を上記スクリーン上に結像する液晶投影レンズ系と、上記光源の光を上記原稿照射光学系と上記ミラー光学系の双方へ、所定の分配比で光を導くように光源の光を分配する光分配装置とを備えたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【0011】
光源の光を分配することにより、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタとを同時に使用してプレゼンテーションをすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明では、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタとが一つの光源を共用する。光源と光学系とは、そのつど、オーバーヘッドプロジェクタ、あるいは、液晶プロジェクタの操作に適する状態にセットする。オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタとを並行して使用することもできる。以下、本発明の実施の形態を実施例ごとに詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1のプロジェクタ装置主要部を示す斜視図である。
図に示すように、このプロジェクタ装置は、右上の部分にオーバーヘッドプロジェクタを配置し、左下の部分に液晶プロジェクタ装置を配置している。光源10の発した光ビームは、ガラス板等からなる原稿照射光学系12の上に乗せられた透明フィルム状の原稿11に照射される。この原稿11を通過した光ビームは、原稿投影レンズ系13によって図示しないスクリーンに向けて発射される。これによりそのスクリーンに光像14が映し出される。なお、原稿照射光学系12には、光源10の光を導くためのレンズや反射板その他の機構を設けてよいが、ここでは直接光を導くように例示した。また、光を照射された原稿11の光像14は、原稿投影レンズ系13によってスクリーン上に結像するが、原稿投影レンズ系13は既知のレンズ系などから構成されるので、その詳細な図面は示していない。以上により、このプロジェクタ装置はオーバーヘッドプロジェクタとしての機能を持つ。
【0014】
一方、図の光源10から発射されたビームは、光源切り換え装置40に設けられたミラー43によって反射され、光学フィルタ28を通過してミラー光学系20に導かれる。サーボモータ41は、回転軸42を回転させて、ミラー43を光源10が発射する光ビーム上に導き、その光をミラー光学系20方向に反射させる機能を持つ。なお、光源10の発する光ビーム上にミラー43を配置した時には、全ての光ビームはミラー光学系20の方向に反射される。従って、オーバーヘッドプロジェクタとしての動作は停止する。サーボモータ41を駆動して、ミラー43を光源10が発射する光ビーム上から退けると、全ての光ビームが原稿11を照射し、オーバーヘッドプロジェクタとして動作する。
【0015】
ミラー光学系20に導かれた光ビームは、ミラー21〜ミラー25によって反射され、液晶パネル31、液晶パネル32、液晶パネル33に導かれる。この光学フィルタ28は、光源10のビームをミラー光学系20に導く時、光強度調整をするための光強度調整フィルタである。液晶パネル31〜33を動作させるには、比較的光量の少ない光源を使用すればよい。光源10の光量が大きい場合には、光学フィルタ28でその光強度を調整する。これにより、光源10を点燈したままの状態で、原稿投影レンズ系13又はミラー光学系20に光ビームを切り換えて供給し、プレゼンテーションを続行することができる。
【0016】
ミラー21は、ハーフミラーである。光学フィルタ28を通じて導かれた光ビームを、ミラー22とミラー23の方向に分配する。ミラー22は反射ミラーで、ここで反射された光ビームは、液晶パネル31に導かれる。ミラー23は、ハーフミラーである。ミラー21から導かれた光ビームを液晶パネル32の方向とミラー24の方向に分配する。ミラー24とミラー25は、反射ミラーである。ミラー23から導かれた光を反射し、液晶パネル33に導く。液晶パネル31、液晶パネル32、液晶パネル33を設け、中央にプリズム30を配置した液晶プロジェクタは、既に特許文献1等で紹介された通りのものである。プリズム30から出力される光は、液晶投影レンズ系34を通じて図示しないスクリーンに導かれる。スクリーン上には光像35が結像する。この液晶プロジェクタ装置の構成は、特許文献1で示したものと同様で既存のものと変わる所はない。
【0017】
なお、上記の光源10は、少なくとも、原稿11の光像をスクリーン上に結像して見ることができる光パワーがあればよい。原稿照射光学系12やミラー光学系20は、ミラーやフィルタあるいはレンズ等の任意の光学装置により構成されてよい。原稿投影レンズ系13や液晶投影レンズ系34も、任意の組み合わせレンズ等により構成されてよい。原稿11の光像と液晶パネル31,32,33を透過して得られた光像とは、スクリーンの同一位置に投影される必要はない。それぞれ物理的に分離したスクリーンに投影されても構わない。光源切り換え装置40は、光源10の向きを機械的に切り換える機構や、光源10の発する光の方向をミラー等で切り換える機構のいずれを採用しても構わない。
【0018】
図2は、実施例1のプロジェクタ装置を示す斜視図である。
図2において、本体ケース18の内部に、液晶プロジェクタ部分とオーバーヘッドプロジェクタの一部分が格納されている。本体ケース18の上部には原稿11が配置され、その上方に原稿投影レンズ系13が配置されている。これにより液晶プロジェクタの出力する光像とオーバーヘッドプロジェクタの出力する光像のいずれか、あるいは、双方をスクリーン15上に結像させることができる。
【0019】
以上のプロジェクタ装置は、次のように動作する。まず、液晶プロジェクタのみを使用したい時は、図1のサーボモータ41を駆動して、ミラー43を待避させる。これによって光源10の発する光ビームを原稿投影レンズ系13にのみ達するようにする。従って、光源10により照射された原稿11の光像14がスクリーン15(図2)上に結像する。一方、液晶プロジェクタ装置のみを使用したい場合には、サーボモータ41を駆動してミラー43により光源10の光ビームを遮る。そして、ミラー43でその光ビームを反射させて、光学フィルタ28を通じてミラー21に導く。これによって光学フィルタ28で適当な光量に調整された光ビームが、ミラー光学系20に導かれる。
【0020】
液晶プロジェクタ装置は、液晶パネル31、液晶パネル32、液晶パネル33に光を照射し、液晶によるカラー画像をスクリーンに結像させることができる。また、例えば液晶プロジェクタ装置を使用中に、オーバーヘッドプロジェクタ装置の使用に切り換えたり、逆に、オーバーヘッドプロジェクタの使用中に、液晶プロジェクタの使用に切り換えることがある。この時は、サーボモータ41を駆動し、ミラー43を進退させればよい。また、ミラー43をハーフミラーにしておくと、オーバーヘッドプロジェクタの動作に必要な強度の光ビームがミラー43を通過して原稿11を照射する。また、液晶プロジェクタに必要な強度の光ビームがミラー43で反射されてミラー21に導かれる。こうすれば、液晶プロジェクタとオーバーヘッドプロジェクタとを同時に動作させて、例えば、スクリーンに2つの画像を結像させたり、2つの画像を重ね合せて結像させることができる。光学フィルタによって、予め所定の分配比で光を導くように、光源10の光を分配すれば、液晶プロジェクタもオーバーヘッドプロジェクタも最適の光量で動作する。
【0021】
なお、ミラー光学系20を構成するミラー21〜ミラー25が、適度に光を減衰させる機能を持っていれば、光学フィルタ28を設ける必要はない。以上のように、液晶プロジェクタとオーバーヘッドプロジェクタとが一体化されるため、十分にスペース的なメリットが得られる。また、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタとを交互に並行使用する場合に、2つの光源をオンし、スタンバイ状態にさせておくよりも、電力消費を少なくできる。また、オーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタのいずれか一方のみを使用するような場合に、予め光源10の発光強度を使用状態に合せて切り換えるようにできれば、消費電力を抑制できる。
【実施例2】
【0022】
図3は、実施例2のプロジェクタ装置の回路ブロック図である。
図に示すように、光源10を駆動するために電源装置45が設けられている。また、図1に示したサーボモータ41などを含む光源切り換え装置44に対し、切り換えのための信号を入力する操作スイッチ46が設けられている。操作スイッチ46を例えば、オンにすると、オーバーヘッドプロジェクタ装置を使用する状態になり、オフにすると、液晶プロジェクタ装置を使用する状態になる。操作スイッチ46によってオーバーヘッドプロジェクタを動作させる場合には、その制御信号が光源切り換え装置44に入力する。
【0023】
これにより、図1に示したサーボモータ41が駆動されて、ミラー43が待避され、光源10の光ビームが原稿11に照射される。この時、電源装置45は、光源10に対してフルパワーで電力を供給する。一方、操作スイッチ46を操作して液晶プロジェクタを動作させようとする場合、その制御信号が光源切り換え装置44に入力する。この時、サーボモータ41は、ミラー43を光源10の光ビーム中に挿入する。光源10の光ビームは、原稿照射光学系12側からミラー光学系20側に向けられる。なお、この実施例では、光学フィルタを必要としない。電源装置45に対し、操作スイッチ46の制御信号が入力すると、電源装置45は出力電圧をダウンさせる。そして、光源10の発光光量をレベルダウンさせる。これによって光学フィルタを使用することなく、低い光量のビームがミラー光学系20に供給される。
【実施例3】
【0024】
図4は、図1に示したミラー43の機能比較図である。
図4(a)に示すように、ミラー43が単なる反射ミラーであれば、既に説明した通り、光源10の光ビーム50を原稿照射光学系12の原稿11の方向、若しくは、ミラー光学系20のミラー21の方向のいずれか一方へのみ供給する。これに対して図4(b)に示すように、ミラー43がハーフミラーであれば、原稿11に対し所定の光量の光ビームを照射すると共に、ミラー21の方向に十分レベルダウンされた光ビームが照射される。即ち、ミラー43は、光源の光を原稿照射光学系とミラー光学系の双方へ、所定の分配比で光を導くように光源の光を分配する光分配装置として機能する。この分配比は、予め各光学系の特性に従って最適値に選定されるとよい。これによってオーバーヘッドプロジェクタと液晶プロジェクタとを同時に使用してプレゼンテーションをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1のプロジェクタ装置主要部を示す斜視図。
【図2】実施例1のプロジェクタ装置を示す斜視図。
【図3】実施例2のプロジェクタ装置の回路ブロック図。
【図4】ミラーの機能比較図。
【符号の説明】
【0026】
10 光源、11 原稿、12 原稿照射光学系、13 原稿投影レンズ系、15 スクリーン、20 ミラー光学系、21 ミラー、22 ミラー、23 ミラー、24 ミラー、25 ミラー、28 光学フィルタ、30 プリズム、34 液晶投影レンズ系、14 光像、31 液晶パネル、32 液晶パネル、33 液晶パネル、35 光像、40 光源切り換え装置、41 サーボモータ、42 回転軸、43 ミラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源の光を導いて原稿に照射する原稿照射光学系と、
前記光を照射された原稿の光像をスクリーン上に結像する原稿投影レンズ系と、
前記光源の光を組み合わせミラーで反射して液晶パネルに導くミラー光学系と、
前記液晶パネルを透過して得られた光像を前記スクリーン上に結像する液晶投影レンズ系と、
前記光源の光を前記原稿照射光学系と前記ミラー光学系のいずれか一方へ導くように切り換える、光源切り換え装置とを備えたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタ装置において、
前記切り換え装置と前記ミラー光学系との間に、光強度調整フィルタを配置したことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクタ装置において、
前記切り換え装置を動作させて前記光源の光ビームを前記原稿照射光学系側から前記ミラー光学系側に向けた時、前記光源の発光光量をレベルダウンさせる電源装置を設けたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項4】
光源と、
前記光源の光を導いて原稿に照射する原稿照射光学系と、
前記光を照射された原稿の光像をスクリーン上に結像する原稿投影レンズ系と、
前記光源の光を組み合わせミラーで反射して液晶パネルに導くミラー光学系と、
前記液晶パネルを透過して得られた光像を前記スクリーン上に結像する液晶投影レンズ系と、
前記光源の光を前記原稿照射光学系と前記ミラー光学系の双方へ、所定の分配比で光を導くように光源の光を分配する光分配装置とを備えたことを特徴とするプロジェクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−86415(P2007−86415A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275203(P2005−275203)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】