説明

プロジェクタ

【課題】投影領域内における検出対象物の認識精度を向上させることが可能なプロジェクタを提供する。
【解決手段】このプロジェクタ100は、レーザ光を照射する赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aから照射されるレーザ光を走査させることにより、テーブル1に画像を投影するMEMSミラー69aと、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aから照射されるレーザ光のうちテーブル1およびユーザの指により反射されたレーザ光を検出して検出したレーザ光に対応する検出信号を出力する光検出器10aとを備える。また、光検出器10aから出力される検出信号は、光検出器10aにより検出されるテーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクタに関し、特に、レーザ光を照射するレーザ光照射部を備えるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を照射するレーザ光照射部を備えるプロジェクタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、赤色、緑色および青色の3色のレーザ光をそれぞれ発生させる3つのレーザ光源(レーザ光照射部)と、レーザ光源から照射されるレーザ光を走査する走査部とを備えるプロジェクタが開示されている。このプロジェクタでは、レーザ光源から照射される赤色、緑色および青色の3色のレーザ光が走査部によって走査されることにより、プロジェクタの上方に設けられたレンズを介して、テーブルや壁面などの投影領域に画像が投影されるように構成されている。また、ユーザの把持するタッチペン(検出対象物)がテーブル上に投影された画像に近づいた場合には、レーザ光源から照射されるレーザ光がタッチペンにより反射され、反射したレーザ光がプロジェクタに設けられている受光センサにより受光されることによって、ユーザの把持するタッチペンの投影領域の面内(表面)における座標が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−123006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のプロジェクタでは、投影領域の表面が凹凸形状を有する場合や投影領域の表面の光に対する反射率が比較的高い場合には、レーザ光照射部から照射されたレーザ光が投影領域の表面において乱反射してしまい、乱反射した反射光が受光センサに入射してしまうと考えられる。このため、投影領域内にユーザの指やタッチペンなどの検出対象物が存在しない場合でも、乱反射した反射光が受光センサに入射することに起因して、投影領域内に検出対象物が存在すると誤認識されるという不都合がある。これにより、投影領域内における検出対象物の認識精度を向上させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、投影領域内における検出対象物の認識精度を向上させることが可能なプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面によるプロジェクタは、レーザ光を照射するレーザ光照射部と、レーザ光照射部から照射されるレーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に画像を投影する投影部と、レーザ光照射部から照射されるレーザ光のうち投影領域および検出対象物により反射されたレーザ光を検出して検出したレーザ光に対応する検出信号を出力する検出部とを備え、検出部から出力される検出信号は、検出部により検出される投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正されるように構成されている。
【0008】
この一の局面によるプロジェクタでは、上記のように、検出部から出力される検出信号を、検出部により検出される投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正することによって、たとえば、投影領域内にユーザの指やタッチペンなどの検出対象物が存在しないにも関わらず、検出部がレーザ光を検出した場合でも、検出信号が基準信号に基づいて補正されるので、投影領域内に検出対象物が存在すると誤認識するのを抑制することができる。これにより、投影領域内における検出対象物の認識精度を向上させることができる。
【0009】
上記一の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、検出部から出力される検出信号から、投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づく補正値を差分することにより検出信号の補正を行う制御部をさらに備える。このように構成すれば、検出対象物が存在しない投影領域により反射されたレーザ光に基づいて検出部から検出される検出信号の大きさを、基準信号に基づく補正値分小さくすることができるので、その分、投影領域内に検出対象物が存在すると誤認識するのを抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づく補正値を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、検出部から出力される検出信号から、記憶部に記憶された基準信号に基づく補正値を差分することにより前記検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、記憶部に記憶された基準信号に基づく補正値を用いて、容易に、投影領域および検出対象物により反射されたレーザ光の認識精度を向上させることができる。
【0011】
上記制御部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、検出部から出力される検出信号から、投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号の平均値を補正値として差分することにより検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号の平均値を用いて、容易に、検出信号を補正することができる。
【0012】
上記制御部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、投影部により走査される投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づく補正値を用いて、容易に、投影領域および検出対象物により反射されたレーザ光の認識精度を向上させることができる。
【0013】
上記投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、投影部により走査される投影領域の全ての座標に対応する点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、少なくとも補正値が取得されたフレームに対応する検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、投影領域のうちの一部分の座標に対応する点から補正値を取得する場合と異なり、投影領域の全ての座標に対応する点から補正値が取得されるので、投影領域全域にわたって正確に検出信号を補正することができる。
【0014】
上記投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、投影部により走査される投影領域のうちの1行分の走査範囲に対応する領域内の複数の座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、少なくとも補正値が取得されたフレームに対応する検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、投影領域の全ての行分の走査範囲に対応する領域内の座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する場合と比べて、補正値を取得する座標点の数が少なくなる分、制御部の処理負担を軽減することができる。
【0015】
上記投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、投影部により走査される投影領域のうちの複数行分の走査範囲に対応する領域内の複数の座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、少なくとも補正値が取得されたフレームに対応する検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、投影領域のうちの一部分の走査範囲に対応する領域内の座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する場合と比べて、補正値を取得する座標点の数が多くなる分、より正確に、検出信号を補正することができる。
【0016】
上記投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、投影部により走査される投影領域により反射された複数フレーム分のレーザ光に対応する基準信号から複数フレーム分の補正値を取得するとともに、取得した複数フレーム分の補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、1つのフレーム分の補正値を取得する場合と比べて、複数フレーム分の補正値を取得する分、補正値の精度をより向上させることができる。
【0017】
上記制御部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、検出部から出力される検出信号が投影領域内に検出対象物が存在するか否かを判定するためのしきい値を超えていると判断した場合には、しきい値を超えていると判断したフレーム以外のフレームのレーザ光に対応する基準信号から取得した補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、しきい値を超えていると判断したフレームのレーザ光に対応する基準信号を検出信号の補正に用いないことにより、補正値の精度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0018】
上記検出部から出力される検出信号が投影領域内に検出対象物が存在するか否かを判定するプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、検出部から出力される検出信号が投影領域内に検出対象物が存在するか否かを判定するためのしきい値を超えていると判断した場合に、レーザ光に対応する検出信号の大きさが複数フレームにわたって所定の範囲内であると判断した場合には、しきい値を超えていると判断したフレームのレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、複数フレームにおいてしきい値を超えていると判断した場合には、たとえば、検出対象物ではなく固定的な障害物が存在すると判別することができるので、障害物が存在することを考慮した補正値を用いて検出信号を補正することができる。
【0019】
上記制御部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、検出部から出力される検出信号の補正を、レーザ光の照射開始時、1フレーム毎または数フレーム毎に行うように構成されている。このように構成すれば、補正値がレーザ光の照射開始時、1フレーム毎または数フレーム毎に更新されるので、より正確に検出信号を補正することができる。
【0020】
上記制御部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、投影部は、補正値を取得する際に基準画像を投影領域に投影するように構成され、制御部は、投影部により投影された基準画像のうちの投影領域および検出対象物により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、基準画像を投影領域全域にわたって投影することができるので、投影領域全域にわたって基準画像に基づく補正値を取得することができる。
【0021】
上記基準画像を投影するプロジェクタにおいて、好ましくは、投影部は、補正値を取得する際に基準画像としての単色の画像を投影領域に投影するように構成され、制御部は、投影部により投影された基準画像としての単色の画像のうちの投影領域および検出対象物により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。ここで、補正値を取得する際に複数の色を含む画像が投影領域内の複数の領域の各々に投影される場合には、投影領域および検出対象物に対するレーザ光の反射のし易さが投影領域内の複数の領域の各々に投影された画像の色毎に異なることに起因して投影領域全域にわたって補正値を精度よく取得することが困難である。その一方で、本発明のように、投影部により投影された基準画像としての単色の画像が投影領域の全域にわたって投影される場合には、投影領域および検出対象物に対するレーザ光の反射のし易さが投影領域の全域にわたってばらつくのを抑制することができるので、投影領域全域にわたって補正値を精度よく取得することができる。
【0022】
上記制御部を備えるプロジェクタにおいて、好ましくは、検出部により、投影領域により反射されたレーザ光に加えて、外光も検出される場合において、制御部は、投影領域により反射されたレーザ光と外光との合成光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、検出部から出力される検出信号の補正を行うように構成されている。このように構成すれば、検出部に対する外光の影響を抑制することができるので、レーザ光による投影領域内における検出対象物の認識精度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの使用状態を示した模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの投影領域を上面から見た図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるプロジェクタからレーザ光を照射した状態を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるプロジェクタから照射されたレーザ光のうち投影領域により反射されたレーザ光が検出された場合を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態による投影領域のうちの1行分の走査範囲に対応する領域内の8つの座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する場合を示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施形態による投影領域内に検出対象物が存在することにより検出信号が判定閾値を超える場合を示すグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態による投影領域により反射されたレーザ光に対応する検出信号を補正する制御フローを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態による投影領域により反射されたレーザ光に対応する検出信号を補正する制御フローを示す図である。
【図10】本発明の第1および第2実施形態の第1変形例を示す図である。
【図11】本発明の第1および第2実施形態の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100の構成を説明する。
【0026】
本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100は、図1に示すように、テーブル1上に配置して使用されるように構成されている。そして、プロジェクタ100は、スクリーン2などの投影領域に向けてプレゼンテーション用(表示用)の画像2aが投影されるように構成されている。なお、テーブル1およびスクリーン2は、本発明の「投影領域」の一例である。また、プロジェクタ100は、テーブル1などの投影領域の上面に対して、プレゼンテーション用の画像2aと同様の画像1aが投影されるように構成されている。なお、テーブル1上に投影される画像1aの大きさは、スクリーン2に投影される画像2aの大きさよりも小さくなるように投影される。また、テーブル1上に投影された画像1aは、ユーザの指を使用して操作することが可能に構成されている。
【0027】
また、プロジェクタ100の画像1aが投影される側(矢印Y1方向側)の側面には、赤色、緑色および青色のレーザ光を検出するための光検出器10aが設けられている。なお、光検出器10aは、本発明の「検出部」の一例である。この光検出器10aは、フォトダイオードなどからなる。また、光検出器10aは、ユーザの指により反射される赤色、緑色および青色のレーザ光を検出することが可能なように構成されている。
【0028】
また、プロジェクタ100の光検出器10aの上方には、赤色、緑色および青色の可視光のレーザ光が照射されるレーザ投影口10bが設けられている。
【0029】
また、図2に示すように、プロジェクタ100は、操作パネル20と、制御処理ブロック30と、データ処理ブロック40と、デジタル信号プロセッサ(DSP)50と、レーザ光源60と、Video RAM(SD RAM)71と、ビームスプリッタ80と、2つの拡大レンズ90および91とを含んでいる。
【0030】
また、制御処理ブロック30は、プロジェクタ100全体の制御を司る制御部31と、外部ビデオ信号を受信するためのインターフェース(I/F)であるVideo I/F32と、各種データを記憶するSD−RAM33と、外部I/F34とを含んでいる。
【0031】
また、データ処理ブロック40は、データ/階調変換器41と、ビットデータ変換器42と、タイミングコントローラ43と、データコントローラ44とを含んでいる。また、デジタル信号プロセッサ50は、ミラーサーボブロック51と、変換器52とを含んでいる。
【0032】
また、レーザ光源60は、赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とを含んでいる。また、赤色レーザ制御回路61には、赤色(可視光)のレーザ光を照射する赤色LD(レーザダイオード)61aが接続されている。また、緑色レーザ制御回路62には、緑色(可視光)のレーザ光を照射する緑色LD62aが接続されている。また、青色レーザ制御回路63と、青色(可視光)のレーザ光を照射する青色LD63aが接続されている。なお、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aは、本発明の「レーザ光照射部」の一例である。
【0033】
また、レーザ光源60は、3つのコリメートレンズ65と、3つの偏光ビームスプリッタ66a、66bおよび66cと、光検出器67と、レンズ68と、レーザ光を水平方向および垂直方向に走査するためのMEMSミラー69aと、MEMSミラー69aを水平方向および垂直方向に駆動させるためのアクチュエータ70とを含んでいる。なお、MEMSミラー69aは、本発明の「投影部」の一例である。
【0034】
また、赤色LD61aと、緑色LD62aと、青色LD63aとがそれぞれ照射するレーザ光は、共通のMEMSミラー69aに入射されるように構成されている。また、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aからそれぞれ照射される赤色、緑色および青色のレーザ光がMEMSミラー69aに走査されることにより、テーブル1およびスクリーン2にそれぞれ画像1aおよび2aが投影される。
【0035】
また、操作パネル20は、プロジェクタ100の筐体の表面または側面に設けられている。操作パネル20は、たとえば、操作内容を表示するためのディスプレイ装置(図示せず)や、プロジェクタ100に対する操作入力を受け付けるスイッチなどを含む。操作パネル20は、使用者からの操作を受け付けると、操作内容に応じた信号を制御処理ブロック30の制御部31に送信するように構成されている。
【0036】
また、プロジェクタ100の外部から与えられた外部ビデオ信号は、Video I/F32に入力されるように構成されている。また、外部I/F34は、たとえば、SDカード92などのメモリを装着することが可能に構成されている。なお、外部I/F34には、SDカード92以外にUSBメモリなどの可搬型メモリを装着することが可能である。また、外部I/F34には、ケーブルなどを介してPCなどが接続可能であり、ユーザの指の位置情報などをPCに送信可能な出力部として機能するように構成されている。そして、制御部31は、SDカード92からデータを読み出し、読み出されたデータは、Video RAM71に格納されるように構成されている。
【0037】
また、制御部31は、データ処理ブロック40のタイミングコントローラ43と相互に通信することにより、Video RAM71に一時的に保持されている画像データに基づく映像の表示を制御するように構成されている。
【0038】
また、データ処理ブロック40では、タイミングコントローラ43は、制御部31から出力される信号に基づいて、データコントローラ44を介してVideo RAM71に保持されているデータを読み出すように構成されている。データコントローラ44は、読み出したデータをビットデータ変換器42に送信するように構成されている。ビットデータ変換器42は、タイミングコントローラ43からの信号に基づいて、データをデータ/階調変換器41に送信するように構成されている。ビットデータ変換器42は、外部から与えられた画像データをレーザ光により投影可能な形式に適合したデータに変換する機能を有する。
【0039】
また、データ/階調変換器41は、ビットデータ変換器42から出力されたデータを赤色(R:Red)、緑色(G:Green)および青色(B:Blue)の3色の階調に変換し、変換後のデータを赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とにそれぞれ送信するように構成されている。
【0040】
また、赤色レーザ制御回路61は、データ/階調変換器41からのデータを赤色LD61aに送信するように構成されている。また、緑色レーザ制御回路62は、データ/階調変換器41からのデータを緑色LD62aに送信するように構成されている。また、青色レーザ制御回路63は、データ/階調変換器41からのデータを青色LD63aに送信するように構成されている。
【0041】
また、プロジェクタ100の画像1aが投影される側の側面に設けられる光検出器10aにより受信された信号は、変換器52を介して、制御部31に入力されるように構成されている。また、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aからそれぞれ照射されるレーザ光は、同じ走査経路を走査されるように構成されている。
【0042】
また、図3に示すように、テーブル1に投影される画像1aは、矩形形状を有している。また、画像1aは、X方向にX0〜Xmaxの座標を有するとともに、Y方向にY0〜Ymaxの座標を有している。
【0043】
また、赤色、緑色および青色のレーザ光の走査は、水平方向(矢印X2方向側から矢印X1方向側、または、矢印X1方向側から矢印X2方向側)および垂直方向(矢印Y2方向側から矢印Y1方向側)に連続的に交互に行われるように構成されている。具体的には、MEMSミラー69aは、水平方向(矢印X2方向側から矢印X1方向側)に赤色、緑色および青色のレーザ光を走査した後に、垂直方向(矢印Y2方向側から矢印Y1方向側)に1座標分走査する。その後、MEMSミラー69aは、水平方向(矢印X1方向側から矢印X2方向側)に赤色、緑色および青色のレーザ光を走査した後に、垂直方向(矢印Y2方向側から矢印Y1方向側)に1座標分走査する。そして、MEMSミラー69aは、座標(Xmax、Ymax)に到達するまで上記の走査を繰り返すように構成されている。
【0044】
また、第1実施形態では、図4に示すように、テーブル1にユーザの指が存在しない場合において、プロジェクタ100の赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aから照射されたレーザ光は、テーブル1に照射され、テーブル1に照射されたレーザ光の一部は、光検出器10aに入射されるものとする。たとえば、テーブル1の表面の座標Y0近傍が凹凸形状である場合には、図5に示すように、光検出器10aは、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aから照射されるレーザ光(照射光)のうちテーブル1の座標Y0近傍により反射されたレーザ光(反射光)を検出するとともに、検出したレーザ光に対応する検出信号および基準信号を制御部31に出力するように構成されている。
【0045】
また、第1実施形態では、図3に示すように、制御部31は、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの垂直方向(Y方向)の1行分の走査範囲に対応する領域内のX方向に8等分された8つの座標点(座標点1、座標点2、座標点3、座標点4、座標点5、座標点6、座標点7および座標点8)により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するように構成されている。また、制御部31は、基準信号に基づいて取得した補正値に基づいて、補正値が取得されたフレームに対応する検出信号の補正を行うように構成されている。
【0046】
具体的には、図6に示すように、テーブル1内にユーザの指が存在していない一方、テーブル1の表面の凹凸形状により反射光が光検出器10aに検出された場合には、テーブル1のうちの垂直方向(Y方向)の1行分の走査範囲により反射されたレーザ光が補正前の検出信号および基準信号(実線)として光検出器10aにより検出されるように構成されている。また、光検出器10aにより検出されたレーザ光は、光量データとしてSD−RAM33(図2参照)に記憶されるように構成されている。なお、検出信号および基準信号は、信号の大きさが比較的小さいほどテーブル1による反射率が小さいことを示しており、信号の大きさが比較的大きいほどテーブル1による反射率が大きいことを示している。
【0047】
また、制御部31は、光検出器10aにより検出されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正値を取得するように構成されている。具体的には、制御部31は、図6(a)に示す検出された検出信号(実線)および基準信号(実線)のうちの基準信号(実線)の座標点1〜座標点8の各々に対応する点を線で接続するようにして、図6(b)に示す補正値(点線)を取得するように構成されている。
【0048】
また、制御部31は、検出信号(実線)から、基準信号に基づいて取得された補正値(点線)を差分することにより、図6(c)に示す補正後の信号(一点鎖線)を取得するように構成されている。これにより、図6(d)の補正前の検出信号と補正後の信号との比較に示すように、検出信号の大きさが座標点1〜座標点8の全域にわたって小さくなるように補正される。
【0049】
また、第1実施形態形態では、図7(a)に示すように、テーブル1内にユーザの指が存在している(座標点3と座標点4との間の信号)とともに、テーブル1の凹凸形状により反射光が検出される場合には、光検出器10aは、テーブル1の座標点3と座標点4との間の領域および座標点5と座標点6との間の領域において、比較的大きい検出信号を検出するように構成されている。また、制御部31は、光検出器10aから出力される検出信号がテーブル1内にユーザの指が存在するか否かを判定するための判定しきい値を超えていると判断した場合には、判定しきい値を超えていると判断したフレームからは、補正値を取得しないように構成されている。そして、制御部31は、図7(b)に示すように、判定しきい値を超えていると判断したフレーム以外のフレーム(前回補正値を取得したフレーム)のレーザ光に対応する基準信号から取得した補正値に基づいて、光検出器10aから出力される検出信号の補正を行うように構成されている。
【0050】
そして、制御部31は、検出信号(実線)から、前回補正値を取得したフレームの補正値(点線)を差分することにより、図7(c)に示す補正後の信号(一点鎖線)を取得するように構成されている。これにより、図7(d)の補正前の検出信号と補正後の信号との比較に示すように、検出信号(実線)の大きさが座標点1〜座標点8の全域にわたって小さくなるように補正される。なお、検出信号のうちの比較的大きい検出信号(座標点3と座標点4との間の検出信号)は、比較的小さい信号へと補正される一方、信号の大きさが判定しきい値を超えることにより、座標点3と座標点4との間の検出信号をユーザの指であると制御部31により判別される。また、検出信号のうちの比較的大きい検出信号(座標点5と座標点6との間の検出信号)は、比較的小さい信号へと補正されるとともに、信号の大きさが判定しきい値を超えないことにより、座標点5と座標点6との間の信号がユーザの指ではないと制御部31により判別される。
【0051】
次に、図6〜図8を参照して、テーブル1により反射されたレーザ光に対応する検出信号を補正する制御動作について説明する。
【0052】
まず、図8のステップS1において、プロジェクタ100の電源がONされるとともに、テーブル1に画像1aが投影される。次に、ステップS2において、プロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態(テーブル1の表面の状態)に関するデータがクリアされる。
【0053】
次に、ステップS3において、補正値の作成が開始されるとともに、テーブル1に赤色、緑色および青色のレーザ光がMEMSミラー69aにより走査される。次に、ステップS4において、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの垂直方向(Y方向)の1行分の走査範囲に対応する領域により反射されたレーザ光が光検出器10aにより検出される。このとき、図6に示すように、検出信号および基準信号(実線)が取得される。なお、検出信号(実線)が判定しきい値よりも大きい場合(超えている場合)には、このフレームからは補正値を取得しないように制御部31により制御される。そして、前回取得された補正値を用いて、検出信号の補正が行われる。
【0054】
次に、図8のステップS5において、テーブル1のうちの垂直方向(Y方向)の1行分の走査範囲に対応する領域内の座標点1〜座標点8により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値が取得される。このとき、図6に示すように、基準信号(実線)に基づいた補正値(点線)が取得される。
【0055】
次に、第1実施形態では、図8のステップS6において、光検出器10aから出力される検出信号(実線)から、テーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づく補正値(点線)を差分することにより検出信号の補正が行われる。
【0056】
たとえば、テーブル1内にユーザの指が存在していない場合、テーブル1の表面の凹凸形状により反射光が光検出器10aに検出され、図6(a)に示す検出信号(実線)から、基準信号に基づいて取得された図6(b)に示す補正値(点線)を差分することにより、図6(c)に示す補正後の信号(一点鎖線)が取得される。これにより、図6(d)に示すように、補正後の信号の大きさは、座標点1〜座標点8の全域にわたって小さくなるように補正される。
【0057】
また、テーブル1内にユーザの指が存在している(座標点3と座標点4との間の信号)とともに、テーブル1の凹凸形状により反射光が検出される(座標点5と座標点6との間の信号)場合には、図7(a)に示す検出信号(実線)から、図7(b)に示す前回補正値を取得したフレームの補正値(点線)を差分することにより、図7(c)に示す補正後の信号(一点鎖線)が取得される。これにより、図7(d)に示すように、補正後の信号(実線)の大きさは、座標点1〜座標点8の全域にわたって小さくなるように補正される。
【0058】
次に、図8のステップS7において、テーブル1内にユーザの指が存在するか否かが判断される。すなわち、ステップS7では、補正後の信号(一点鎖線)が判定しきい値よりも大きい(超えている)か否かが判断される。また、ステップS7において、テーブル1内にユーザの指が存在すると判断された場合(補正後の信号が判定しきい値よりも大きい場合)(図7参照)には、ステップS8に進み、プロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態に関するデータおよびフレームのカウンタがクリアされる。その後、ステップS3に戻る。
【0059】
また、ステップS7において、テーブル1内にユーザの指が存在しないと判断された場合(補正後の信号が判定しきい値よりも小さい場合)(図6参照)には、ステップS9に進む。そして、ステップS9において、所定の数のフレーム内にユーザの指が存在していない(未検出)と判断された場合には、ステップS10に進む。そして、ステップS10において、プロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態に関するデータを更新するとともに、所定の数のフレームから取得された補正値を平均化してSD−RAM33に記憶させる。その後、ステップS3に戻る。
【0060】
また、ステップS9において、所定の数のフレーム内にユーザの指が存在している(検出あり)と判断された場合には、ステップS11において、プロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態に関するデータおよびフレームのカウンタがクリアされる。その後、ステップS3に戻る。
【0061】
第1実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号を、光検出器10aにより検出されるテーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正することによって、テーブル1内にユーザの指が存在しないにも関わらず、光検出器10aがレーザ光を検出した場合でも、検出信号が基準信号に基づいて補正されるので、テーブル1内にユーザの指が存在すると誤認識するのを抑制することができる。これにより、テーブル1内におけるユーザの指の認識精度を向上させることができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号から、テーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づく補正値を差分することにより検出信号の補正を行う制御部31を設けることによって、ユーザの指が存在しないテーブル1により反射されたレーザ光に基づいて光検出器10aから検出される検出信号の大きさを、基準信号に基づく補正値分小さくすることができるので、その分、テーブル1内にユーザの指が存在すると誤認識するのを抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号から、SD−RAM33に記憶された基準信号に基づく補正値を差分することにより検出信号の補正を行うことによって、SD−RAM33に記憶された基準信号に基づく補正値を用いて、容易に、テーブル1およびユーザの指により反射されたレーザ光の認識精度を向上させることができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号から、テーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号の平均値を補正値として差分することにより検出信号の補正を行うことによって、テーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号の平均値を用いて、容易に、検出信号を補正することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの1行分の走査範囲に対応する領域内の8つの座標点1〜座標点8により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、少なくとも補正値が取得されたフレームに対応する光検出器10aから出力される検出信号の補正を行うことによって、テーブル1の全ての行分の走査範囲に対応する領域内の座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する場合と比べて、補正値を取得する座標点の数が少なくなる分、容易に、検出信号を補正することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号がテーブル1内にユーザの指が存在するか否かを判定するための判定しきい値を超えていると判断した場合には、判定しきい値を超えていると判断したフレーム以外のフレームのレーザ光に対応する基準信号から取得した補正値に基づいて、光検出器10aから出力される検出信号の補正を行うことによって、判定しきい値を超えていると判断したフレームのレーザ光に対応する基準信号を検出信号の補正に用いないことにより、補正値の精度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号の補正を、1フレーム毎に行うことによって、補正値が1フレーム毎に更新されるので、より正確に検出信号を補正することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、図7および図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、補正後の信号(一点鎖線)が判定しきい値よりも大きい場合(判定しきい値を超えている場合)にプロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態に関するデータおよびフレームのカウンタをクリアするように制御した上記第1実施形態とは異なり、補正後の信号(一点鎖線)が判定しきい値よりも大きい場合(判定しきい値を超えている場合)に、補正後の信号(一点鎖線)がユーザの指によるものであるのか固定的な障害物によるものであるのかを判別する場合について説明する。
【0069】
この第2実施形態では、上記第1実施形態と同様にステップS1〜S7の制御動作が行われる。そして、ステップS7において、テーブル1内にユーザの指が存在すると判断された場合(補正後の信号が判定しきい値よりも大きい場合)(図7参照)には、ステップS20において、光検出器10aにより検出される検出信号の大きさが所定の時間内(数秒間)に変化していないか否かが判断される。
【0070】
また、ステップS20において、光検出器10aにより検出される検出信号の大きさが所定の時間内(数秒間)に変化したと判断された場合には、光検出器10aにより検出される検出信号がユーザの指によるものであると判断され、ステップS21に進む。そして、ステップS21において、プロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態に関するデータおよびフレームのカウンタがクリアされる。その後、ステップS3に戻る。
【0071】
また、ステップS20において、光検出器10aにより検出される検出信号の大きさが所定の時間内(数秒間)に変化していないと判断された場合には、光検出器10aにより検出される検出信号がユーザの指ではなく固定的な障害物によるものであると判断され、ステップS22に進む。そして、ステップS22において、プロジェクタ100内のSD−RAM33に記憶されている投影面の状態に関するデータが更新されるとともに、判定しきい値よりも大きい(超えている)補正後の信号(一点鎖線)が記憶される。その後、ステップS3に戻る。
【0072】
なお、第2実施形態のその他の構成および制御動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
第2実施形態では、上記のように、光検出器10aから出力される検出信号がテーブル1内にユーザの指が存在するか否かを判定するための判定しきい値を超えていると判断した場合に、レーザ光に対応する検出信号の大きさが所定の時間内(数秒間)であると判断した場合には、判定しきい値を超えていると判断したフレームのレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、光検出器10aから出力される検出信号の補正を行う。これにより、所定の時間内(数秒間)において判定しきい値を超えていると判断した場合には、フレームにユーザの指ではなく固定的な障害物が存在すると判別することができるので、障害物が存在することを考慮したフレームのレーザ光に対応する基準信号から取得した補正値を用いて検出信号を補正することができる。
【0074】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0076】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの1行分の走査範囲に対応する領域内の座標点1〜座標点8により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図10に示す第1変形例のように、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの4行分の走査範囲に対応する領域内の4つの座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得してもよい。この場合、制御部31は、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの4行分の走査範囲に対応する領域内の4つの座標点A、B、CおよびDにより反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するように構成するのが好ましい。また、制御部31は、4つの座標点A、B、CおよびDにより囲まれた領域(斜線部分)の補正値を4つの座標点A、B、CおよびDの基準信号に基づいて取得してもよい。具体的には、制御部31は、4つの座標点A、B、CおよびDにより囲まれた領域の補正値を4つの座標点A、B、CおよびDの基準信号の平均値から取得してもよい。これにより、テーブル1のうちの一部分の走査範囲に対応する領域内の座標点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する場合と比べて、補正値を取得する座標点の数が減る分、制御部31の処理負担を軽減することができる。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1のうちの1行分の走査範囲に対応する領域内の座標点1〜座標点8により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図11に示す第2変形例のように、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1の全ての座標に対応する点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得してもよい。この場合、制御部31は、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1の全ての座標に対応する点により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するのが好ましい。なお、図11では、便宜上、テーブル1の一部の領域の座標に点を記しているが、実際は、テーブル1の全ての座標に点が記されているものとする。これにより、テーブル1のうちの一部分の座標に対応する点から補正値を取得する場合と異なり、テーブル1の全ての座標に対応する点から補正値が取得されるので、テーブル1全域にわたって正確に検出信号を補正することができる。
【0078】
また、上記第1および第2実施形態では、光検出器10aにより検出されるテーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号を赤色、緑色および青色のレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、MEMSミラー69aにより投影された基準画像としての白色(単色)の画像のうちのテーブル1およびユーザの指により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、光検出器10aから出力される検出信号の補正を行ってもよい。この場合、上記第1実施形態で示した図8の制御フローのステップS3の補正値の作成を行う際に、基準画像としての白色(単色)の画像のうちのテーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号から補正値を取得すればよい。ここで、補正値を取得する際に複数の色を含む画像がテーブル1内の複数の領域の各々に投影される場合には、テーブル1およびユーザの指に対するレーザ光の反射のし易さがテーブル1内の複数の領域の各々に投影された画像の色毎に異なることに起因してテーブル1全域にわたって補正値を精度よく取得することが困難である。その一方で、上記第1および第2実施形態のように、MEMSミラー69aにより投影された白色の画像がテーブル1の全域にわたって投影される場合には、テーブル1およびユーザの指に対するレーザ光の反射のし易さがテーブル1の全域にわたってばらつくのを抑制することができるので、テーブル1全域にわたって補正値を精度よく取得することが可能である。なお、補正値を取得するための基準画像の一例として、白色(単色)の画像を示したが、補正値を取得することが可能であれば、白色(単色)の画像以外の基準画像でもよい。
【0079】
また、上記第1および第2実施形態では、光検出器10aから検出される検出信号を赤色、緑色および青色のレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、非可視光のレーザ光である赤外線のレーザ光を用いて、光検出器10aから検出される検出信号を赤外線のレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正してもよい。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、1フレーム分の補正値を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、MEMSミラー69aにより走査されるテーブル1により反射された複数フレーム分のレーザ光に対応する基準信号から複数フレーム分の補正値を取得するとともに、取得した複数フレーム分の補正値に基づいて、光検出器10aから出力される検出信号の補正を行ってもよい。これにより、1つのフレーム分の補正値を取得する場合と比べて、複数フレーム分の補正値を取得する分、補正値の精度をより向上させることが可能である。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、1フレーム毎に補正値を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、レーザ光の照射開始時(プロジェクタ100の起動時)に補正値を取得してもよい。この場合、上記第1実施形態で示した図8の制御フローのステップS3において補正値を取得して、その後、取得した補正値を用いて検出信号を補正すればよい。また、数フレーム毎に補正値を取得してもよい。この場合、2フレーム毎や3フレーム毎に上記第1実施形態で示した図8の制御フローのステップS3において補正値を取得して、補正値を上書きし続ければよい。これにより、1フレーム毎に補正値を取得する場合と比べて、補正値を取得するフレームの数が少なくなる分、制御部31の処理負担を軽減することができる。
【0082】
また、上記第1および第2実施形態では、テーブル1により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて光検出器10aにより検出される検出信号を補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、テーブル1により反射されたレーザ光と、テーブル1により反射された太陽光などの外光や光検出器10aに直接的に照射された外光との合成光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した補正値に基づいて、光検出器10aから出力される検出信号の補正を行ってもよい。これにより、光検出器10aに対する外光の影響が抑制されるので、レーザ光によるテーブル1内におけるユーザの指の認識精度をより向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 テーブル(投影領域)
1a 画像
10a 光検出器(検出部)
31 制御部
61a 赤色LD(レーザ光照射部)
62a 緑色LD(レーザ光照射部)
63a 青色LD(レーザ光照射部)
69a MEMSミラー(投影部)
100 プロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射するレーザ光照射部と、
前記レーザ光照射部から照射されるレーザ光を走査させることにより、任意の投影領域に画像を投影する投影部と、
前記レーザ光照射部から照射されるレーザ光のうち前記投影領域および検出対象物により反射されたレーザ光を検出して検出したレーザ光に対応する検出信号を出力する検出部とを備え、
前記検出部から出力される検出信号は、前記検出部により検出される前記投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づいて補正されるように構成されている、プロジェクタ。
【請求項2】
前記検出部から出力される検出信号から、前記投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号に基づく補正値を差分することにより前記検出信号の補正を行う制御部をさらに備える、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記投影領域により反射された前記レーザ光に対応する前記基準信号に基づく補正値を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部から出力される前記検出信号から、前記記憶部に記憶された前記基準信号に基づく補正値を差分することにより前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部から出力される前記検出信号から、前記投影領域により反射されたレーザ光に対応する基準信号の平均値を前記補正値として差分することにより前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項2または3に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記制御部は、前記投影部により走査される前記投影領域の所定の座標に対応する点または領域により反射された前記レーザ光に対応する前記基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記制御部は、前記投影部により走査される前記投影領域の全ての座標に対応する点により反射された前記レーザ光に対応する前記基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、少なくとも前記補正値が取得されたフレームに対応する前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記制御部は、前記投影部により走査される前記投影領域のうちの1行分の走査範囲に対応する領域内の複数の座標点により反射された前記レーザ光に対応する前記基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、少なくとも前記補正値が取得されたフレームに対応する前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記制御部は、前記投影部により走査される前記投影領域のうちの複数行分の走査範囲に対応する領域内の複数の座標点により反射された前記レーザ光に対応する前記基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、少なくとも前記補正値が取得されたフレームに対応する前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記制御部は、前記投影部により走査される前記投影領域により反射された複数フレーム分のレーザ光に対応する基準信号から複数フレーム分の補正値を取得するとともに、取得した前記複数フレーム分の補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項5〜8のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記制御部は、前記検出部から出力される検出信号が前記投影領域内に検出対象物が存在するか否かを判定するためのしきい値を超えていると判断した場合には、前記しきい値を超えていると判断したフレーム以外のフレームの前記レーザ光に対応する基準信号から取得した前記補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項2〜9のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記制御部は、前記検出部から出力される検出信号が前記投影領域内に検出対象物が存在するか否かを判定するためのしきい値を超えていると判断した場合に、前記レーザ光に対応する検出信号の大きさが複数フレームにわたって所定の範囲内であると判断した場合には、前記しきい値を超えていると判断したフレームの前記レーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項10に記載のプロジェクタ。
【請求項12】
前記制御部は、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を、前記レーザ光の照射開始時、1フレーム毎または数フレーム毎に行うように構成されている、請求項2〜11のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項13】
前記投影部は、前記補正値を取得する際に基準画像を前記投影領域に投影するように構成され、
前記制御部は、前記投影部により投影された前記基準画像のうちの前記投影領域および前記検出対象物により反射された前記レーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項2〜12のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
前記投影部は、前記補正値を取得する際に前記基準画像としての単色の画像を前記投影領域に投影するように構成され、
前記制御部は、前記投影部により投影された前記基準画像としての単色の画像のうちの前記投影領域および前記検出対象物により反射された前記レーザ光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項13に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
前記検出部により、前記投影領域により反射された前記レーザ光に加えて、外光も検出される場合において、
前記制御部は、前記投影領域により反射された前記レーザ光と前記外光との合成光に対応する基準信号から補正値を取得するとともに、取得した前記補正値に基づいて、前記検出部から出力される前記検出信号の補正を行うように構成されている、請求項2〜14のいずれか1項に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−65066(P2013−65066A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201788(P2011−201788)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】