説明

プロセスカートリッジ

【課題】プロセスカートリッジの組立て工程において、部品間の固定手段に溶剤を用いた際の検査工程の効率を大幅に向上させ、部品間の間に確実に溶剤が浸透している(接合されている)ことを容易に検査可能なプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】第1のスチレン系樹脂組成物から成る第1の部品と、第2のスチレン系樹脂組成物から成る第2の部品とを少なくとも有するカートリッジにおいて、溶剤の注入部である注入口から連通する凹部を接合面に設けてあり、該凹部を設けてない側の部品に該凹部が目視できるような開口部を設けていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に着脱可能なカ−トリッジ、特にプロセスカートリッジに関する。電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成する装置である。電子写真画像形成装置の例としては、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタ)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が挙げられる。プロセスカートリッジとは、電子写真画像形成プロセスの手段(以下、「プロセス手段」と言う)である帯電手段、現像手段、クリーニング手段等と電子写真感光体ドラムとを画像形成装置本体に対して着脱可能なカートリッジに一体化したものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム)と感光体ドラムに作用するプロセス手段とをプロセスカートリッジに一体化して、このプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能に装着する「プロセスカートリッジ方式」が採用されている。プロセスカートリッジとしては、感光体ドラムと帯電手段、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも1つとを一体化したものが挙げられ、少なくとも現像手段を含み構成されるものが特に挙げられる。
【0003】
プロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザー自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。それ故、プロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0004】
一般的なプロセスカートリッジの例を、図14を用いて説明する。
【0005】
図14に示されるプロセスカートリッジは、感光体ドラムユニット107及び3つの枠体:帯電ローラ(不図示)及びクリーニングブレード(不図示)を一体的に支持しているクリーニング枠体113;現像ローラ(不図示)及び現像ブレード(不図示)を一体的に支持している現像枠体(不図示);そして、トナーを収納している現像剤収納枠体(以下、トナー枠体と言う)111により構成されている。同プロセスカートリッジは、更に現像枠体及びトナー枠体の若しくははその何れかの枠体の側面にて駆動ギア列(不図示)等を覆っているサイドカバー190、191を含み構成されている。
【0006】
それら枠体や部品の固定手段としては、ビス留め(図14のX)や熱かしめ、樹脂接合(溶融樹脂の注入による固定)、ホットメルト、超音波溶着の他、接着剤や接合材料と相溶性のある溶剤による接合が、一般的に用いられている(特許文献1参照)。
【0007】
従来、前記固定手段の検査工程では、ビス留めや、熱カシメ等の接合状態が外観から判断し易い接合においては検査者による目視検査が行われているが、接着剤、超音波溶着や溶剤による接合においては容易に検査する手段が無く、抜き取りによる破壊検査のみであった。このような抜き取りによる破壊検査方法の場合、前記検査に使用したプロセスカートリッジは、製品価値を失うため、廃棄処分となり、検査した台数分だけ、コストの無駄となってしまう。又、製造した製品全てを調べることができないことから接合不良の恐れがあることは避けられない。
【0008】
以上のような点から、近年においては、前記のような接合部位の簡易的な検査方法が求められていた。
【0009】
このような要望があることから、ホットメルトや、接着剤においては、接合部に多めに塗布し、一部接合部からはみ出した部分を撮影装置にて撮影、解析し検査する方法等が考えられている(特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】特開平10−20744号公報
【特許文献2】特開2003−185586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、溶剤において、同様の検査をしようとすると、接着剤と異なり、粘度が低く、それ自体に厚みが無いことから、接合部からはみ出すように塗布することが難易であることや、プロセスカートリッジに用いた場合はユーザー自身がメンテナンスを行うので、はみ出した部分が外観面等に付着し、ユーザーが直接触れてしまう恐れや、プロセスカートリッジ自体の美観を損ねてしまう恐れがあることから、このような手段は好ましくない。
【0012】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、上記プロセスカートリッジの組立て工程において、部品間の固定手段に溶剤を用いた際の検査工程の効率を大幅に向上させ、部品間の間に確実に溶剤が浸透している(接合されている)ことを容易に検査可能なプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、カートリッジに関したものであり、第1のスチレン系樹脂組成物から成る第1の部品と、第2のスチレン系樹脂組成物から成る第2の部品とを少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記第1の部品と第2の部品はスチレン系樹脂組成物を溶かす性質のある溶剤により接合されており、前記溶剤の接合部への供給が毛細管現象を利用しているものにおいて、前記溶剤の注入部である注入口から連通する凹部を接合面に設けてあり、該凹部を設けてない側の部品に該凹部が目視できるような開口部を設けていることを特徴とする。
【0014】
又、本発明は、カートリッジに関したものであり、第1のスチレン系樹脂組成物からナル第1の部品と、第2のスチレン系樹脂組成物から成る第2の部品とを少なくとも有するピロセスカートリッジにおいて、前記第1の部品と第2の部品はスチレン系樹脂組成物を溶かす性質のある溶剤により接合されており、前記溶剤の接合部への供給が毛細管現象を利用しているものにおいて、前記接合面の一部に切り欠き部を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、枠体及び部品間の固定手段に溶剤を用いた際の接合の確認を容易にすることができ、且つ、非破壊による全数検査により、生産効率の向上を計ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
【0017】
以下の説明においては、電子写真感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」と言う)等の像担持体の長手方向及びプロセスカートリッジの長手方向は、記録媒体の搬送方向と直交する。
【0018】
<実施の形態1>
(プロセスカートリッジ及び装置本体の説明)
図1は本発明に係るプロセスカートリッジの斜視図、図2は本発明に係るプロセスカートリッジの主断面図、図3は本発明に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と言う)の主断面図である。これらの図に示した本発明のプロセスカートリッジの一例は、像担持体と、像担持体に作用するプロセス手段とを備えたものである。そのプロセス手段の例としては、像担持体の表面を帯電させる帯電手段、像担持体にトナー像を形成する現像装置、そして、像担持体表面に残留したトナーを除去するためのクリーニング手段がある。
【0019】
プロセスカートリッジBは、図2に示すように、感光体ドラム7と、その周囲に配された、帯電手段である帯電ローラ8、クリーニング手段であるクリーニングブレード10a及びそれらを収納したクリーニング枠体13を含み構成されるクリーニングユニットCと、現像ローラ9c及び現像ブレード9dから成る現像装置及び同装置を収納する現像枠体12及びトナーを収納した現像剤収納枠体(以下、「トナー枠体」と言う)11を含み構成される現像ユニットDとによって構成されている。その他、現像枠体12とトナー枠体11、若しくはその何れかの枠体の側面で、駆動ギア列(不図示)等を覆っているサイドカバー90、91を含み構成されている(図1参照)。
【0020】
このプロセスカートリッジBは、図3に示すような画像形成装置本体Aに装着されて画像形成に用いられる。記録媒体2を、装置下部に装着された給紙カセット3aからピックアップローラ3bで送り出し、搬送ローラ3cによって搬送し、レジストローラ3eで待機させる。この記録媒体の移動と同期させながら感光体ドラム7に露光装置1から選択的な露光をして、潜像を形成する。
【0021】
その後、トナー枠体11に収納したトナーを現像ブレード9dにより現像ローラ9c表面に薄層担持し、現像ローラ9cに現像バイアスを印加すことによって、潜像に応じて感光体ドラム7にトナーを供給し、トナー像を形成する。感光体ドラム7上のトナー像の形成とタイミングを合せて、レジストローラ3eから転写ローラ4と感光体ドラム7が対向している対向部へと記録媒体2を送り出す。
【0022】
転写ローラ4へのバイアス電圧の印加によって、感光体ドラム7上のトナー像を、搬送されてきた記録媒体2上に転写する。転写後、クリーニング手段10によって感光体ドラム7上の残留トナーを除去する。詳細には、クリーニングブレード10aによって感光体ドラム7に残留したトナーを掻き落とすと共に、スクイシート(不図示)によってすくい取り、掻き落とされたトナーを廃トナー溜め10bへ集める。トナー像が転写された記録媒体2は、定着装置5へ搬送され、画像定着され、排紙ローラ3g、3h、3iによって装置上部の排出トレイ6に排出される。
(ドラムの駆動伝達機構)
次に、画像形成装置本体AからプロセスカートリッジBへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構であるカップリング手段の構成について説明する。
【0023】
図4は感光体ドラム7をプロセスカートリッジBに取り付けるためのカップリング部の縦断面図である。同図では、感光体ドラム7がその長手方向の一方の端部にてドラム側カップリング及びカートリッジ側カップリングを介してプロセスカートリッジBに取り付けられている状態が示されている。
【0024】
ドラム側カップリングは、感光体ドラム7の一方の端部に取り付けられたドラムフランジ36にカップリング凸軸37(円柱形状)を設けたものであり、凸軸37の先端面には凸部37aが形成されている。本実施の形態では、ドラムフランジ36とカップリング凸軸37及び凸部37aは一体に成形されている。尚、凸部37aの端面は凸軸37の端面と平行である。
【0025】
図4では、凸部37aはモータ等の駆動力源により近い部品に設けられた凹部39aと嵌合して、感光体ドラム7に駆動力を伝達する役割を担っている。凸軸37は、後述するカートリッジ側カップリング38の突出部38aの内周部38b1に嵌合して、ドラム回転軸として機能する。ドラムフランジ36には、プロセスカートリッジB内部の現像ローラ9cに同軸に固定された現像ローラギア(不図示)と噛み合うはす歯のドラムギア37bが、駆動力を伝達する機能を有する駆動力伝達部品として働くように一体に設けてある。
【0026】
カートリッジ側カップリング38は、図4及び図5に示すように、大径で管状の突出部38a、それと同心で小径の外周部38b2を有する突出部38b及び両突出部を繋ぐ円板部38cが一体に構成されている。両突出部及び円板部の中心軸の方向は感光体ドラムの長手方向と一致している。突出部38aの内周部38b1は、上述したように、ドラム側カップリングの凸軸37と嵌合して、その軸受けとして機能する。このように、カートリッジ側カップリング38は、感光体ドラムの軸受けとして機能するので、以後「ドラム軸受け38」とも称する。
(クリーニング枠体とドラム軸受けの取り付け)
図5はドラム軸受け38とクリーニング枠体13の取り付け関係を詳細に示す斜視図である。この図を用いて、ドラム軸受け38のクリーニング枠体13への取り付け及びユニット化された感光体ドラム7のクリーニング枠体13への取り付けについて具体的に説明する。
【0027】
図5に示すように、クリーニング枠体13の側壁13dには、ドラム軸受け38の小径突出部38bの外周部38b2が挿入される取り付け穴13hが設けられる。又、取り付け穴部は欠円部13h1を有しており、この間隔はカップリング凸軸37の直径よりも大きい。クリーニング枠体13の側面13dに一体に形成して設けた位置決めピン13h2は、ドラム軸受け38のフランジ部に設けた穴38eに密に嵌合するようになっている。又、ドラム軸受け38とクリーニング枠体13の長手の位置は突き当て面(基準)80で決めている。
【0028】
以上の構造により、ユニット化された感光体ドラム7を軸方向即ち長手方向に交叉方向からクリーニング枠体13へ取り付け可能となると共に、長手方向からドラム軸受け38をクリーニング枠体13へ取り付ける際の、ドラム軸受け38のクリーニング枠体13に対する位置関係が定まる。
【0029】
ユニット化された感光体ドラム7をクリーニング枠体13へ取り付けるには、図5に示すように、感光体ドラム7を長手方向に対して交又する方向に移動し、ドラムギア37bがクリーニング枠体13内にあるようにしてカップリング凸軸37を欠円部13h1を通過させて、軸受け取り付け穴13hに挿入する。この状態で、カップリング凸軸37が軸受け部38bに嵌入するようにドラム軸受け38を軸方向に移動し、更に軸方向に移動して、軸受け部38bをクリーニング枠体13の軸受け取り付け穴13hに嵌合し、ビス留めを行う。ユニット化された感光体ドラム7をクリーニング枠体13へビス留めにより固定した後、テルペン系溶剤q(詳細は後述)を注入部から供給し、クリーニング枠体13とドラム軸受け38を接合する。ここで、前記テルペン系溶剤を用いた接合箇所としては以下に述べる2箇所が挙げられる。
【0030】
各々の接合箇所について以下に説明する。
(テルペン系溶剤の注入1(面接合部の場合))
最初に、第一のテルペン系溶剤接合箇所であるクリーニング枠体13とドラム軸受け38の長手方向基準面80の一部で且つドラム中心に対し弧状に広がる面状の接合部e(詳細は図4太線部及び図6の斜線部参照)の接合について、図5、図6及び図7を用いて以下に述べる。
【0031】
ドラム軸受け38に形成されたテルペン系溶剤注入口38fから、クリーニング枠体13とドラム軸受け38との接合域にテルペン系溶剤qを供給する。供給された溶剤は、該注入口と連通し、且つ、テルペン系溶剤を接合面に供給するための流路であるクリーニング枠体13の接合面に形成された凹部(スリット)13pを通り、接合部eにゆき渡る。
【0032】
テルペン系溶剤の接合部eへの供給は、毛細管現象により行われることが好ましく、テルペン系溶剤注入口38fと連通し、且つ、接合部eまでの流路である該凹部13pは、幅0.1〜2mm、深さ0.1〜2mmであることが好ましく、該凹部によって形成される流路は、断面積が4mm以下であることが好ましい。4mmより大きい断面積の流路では、毛細管現象が生じにくく、接合面へのテルペン系溶剤の供給が困難となる傾向がある。
【0033】
第1流路の凹部13pを通り、接合部近傍に供給されたテルペン系溶剤は、更に、図8及び図9のZやMで示されるような第2流路Z若しくは微小な凹凸部Mを毛細管現象によって、流路から接合面全体へと広がり、接合面全体に供給される(図6及び図7中の流れを示す矢印を参照)。
【0034】
第1流路を通ってきたテルペン系溶剤を第2流路によって接合面全体に広げる場合、図8にZにて示されたような接合部品間の隙間が大きいと、毛細管現象を利用した接合部eへの供給が難しい。逆に、接合する面同士が強く加圧されていて接触強度が強い場合にも毛細管現象が生じにくく、テルペン系溶剤の供給が困難となる。従って、接合したい部位同士は、近接或いは軽く接触している程度が好ましく、接合面の少なくとも一方に図9にMにて示されたような微少な凹凸を設けることで、接触部に毛細管現象でテルペン系溶剤が広がるように空間を設けることも好ましい形態である。そのような凹凸とは、例えばシボであり、その深さは平均(Rz)で20〜40μmが望ましい。深さが40μmを超えると、シボ谷部は相手部品との接合が不十分となるため、全体として接合強度が低下する傾向にある。
(テルペン系溶剤の注入2(嵌合部の場合))
次に、第2のテルペン系溶剤による接合箇所であるクリーニング枠体13とドラム軸受け38の位置決め基準となっている嵌合部である接合部f(詳細は図4太点線部及び図10ハッチング部参照のこと)の接合について図10及び図11を用いて以下に述べる。
【0035】
クリーニング枠体13に形成されたテルペン系溶剤注入口13kから、クリーニング枠体13とドラム軸受け38の接合部fにテルペン系溶剤qを供給する。供給された溶剤は、該注入口と連通しているクリーニング枠体13の内周部13iとドラム軸受け38の外周部38b2から成る嵌合部である接合部fにゆき渡る(図11の流れを示す矢印を参照)。
【0036】
この部位においても、テルペン系溶剤の供給は毛細管現象により行われることが好ましく、テルペン系溶剤注入口13kと連通し、且つ、クリーニング枠体13の内周部13iとドラム軸受け38の外周部38b2から成る嵌合部の嵌合状態は、軽く接触若しくは微少な隙間があることが好ましいため、本実施の形態においても、内周部13iと外周部38b2の嵌合はH9/g9となっている。
(テルペン系溶剤の注入検知方法)
前述の手段にて注入されたテルペン系溶剤の検査方法について、接合箇所ごとに以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
・面接合に用いた場合
図12に示すように、ドラム軸受け38側の接合面の一部には、開口部38gを形成している。この開口部38gは、ドラム軸受け38とクリーニング枠体13とを取り付けた際に、クリーニング枠体13に設けられた凹部13pが一部見えるような位置に設けてある。ここで、前記開口部38gから確認することができる凹部13pの領域を13p1とする。注入されたテルペン系溶剤は前述の通り毛細管現象により注入口38fから第1流路である該凹部13pを通り、接合面に浸透していくため、その過程の中で、凹部13p1を通過するのを外部から確認することができる。又、テルペン系溶剤が通過する瞬間を確認しなくとも、テルペン系溶剤が通過した後は、該凹部13p1の表面光沢が変化するため、一定時間が経過してからも確認することができる。
【0038】
検査の具体的な手段としては、検査者による目視判断及び各種装置、例えば、レーザ変位計により、前記凹部13p1の変位量を計測する手段や、CCDカメラを用いた撮影装置(画像処理装置)により撮影し、その画像を解析装置により解析し、判定する手段等が挙げられる。何れの手段も従来の抜き取りによる破壊検査と比較し、非常に容易、且つ、製造ライン内で全数の検査をすることが可能となる。又、廃棄するカートリッジがなくなり、生産効率を大幅に向上させることができる。
【0039】
尚、本発明の実施の形態では、確認用の開口部38gは、接合部eの途中に設けてあるが、前記開口部は接合部末端に設けても良い。又、検知をより容易にするために、図13に示すように検知用の凹部13p1内に部分的に広い箇所13p2を設けても良い。
【実施例2】
【0040】
・嵌合部接合に用いた場合
次に、実施例2として、テルペン系溶剤をクリーニング枠体13とドラム軸受け38の位置決め嵌合部の接合に用いた場合の注入検知方法について、図10及び図11を用いて以下に述べる。
【0041】
図10に示すように、クリーニング枠体13側の接合面である内周部13iの末端部に微少な切り欠き部13nが形成されている。注入口13kより注入されたテルペン系溶剤は、クリーニング枠体の内周部13iとドラム軸受け38の外周面38b2との嵌合部の隙間を流路として接合面f全域に広がる。そして、接合面末端部まで浸透すると共に、前記切り欠き部13nにもテルペン系溶剤が流れ込む。接合部fの一面を形成している内周部13iから切り欠き部13nへのテルペン系溶剤の供給も毛細管現象により行われることが好ましく、該切り欠き部13nは、幅0.1〜2.5mm、深さ0.1〜2.5mm以下であることが好ましい。前述のようにテルペン系溶剤が流れ込んだ部位は表面光沢が変化するので、検査者による目視検査及び各種検査装置を用いて確認することができる。
【0042】
本発明において接合される枠体・部品は、テルペン系溶剤によって溶解されるスチレン系樹脂組成物であれば、特に限定されないが、カートリッジの材質として好適に用いることのできるスチレン系樹脂組成物としては、ゴム変性スチレン系材料であるHIPS(ハイインパクトポリスチレン)が挙げられる。本材料は、安価で且つ流動性が良いPS(ポリスチレン)に、耐衝撃性を向上するため、ゴム状重合体又はゴム状共重合体を混合したものである。
【0043】
又、本発明の接合に用いられるテルペン系溶剤としては、例えば、d−リモネン、l−リモネン、dl−リモネン、d−α−ピネン、d−β−ピネン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、2−カレン、d−3−カレン、l−3−カレン、フェランドレンが挙げられる。中でも、d−リモネン、l−リモネン又はdl−リモネンを用いることが好ましく、d−リモネンを用いることが、特に好ましい。
【0044】
以上、本発明におけるテルペン系溶剤の注入検査方法について述べたが、前記検査工程により、正常でなかった場合、つまり、クリーニング枠体13の凹部13p1部及び切り欠き部13nにテルペン系溶剤が確認できなかったときは、注入装置の不具合により、テルペン系溶剤が吐出されていない、若しくは吐出されたものの液量が少量であることや、適正量注入されたものの、接合面同士の隙間が毛細管現象の生じない程度浮いている、若しくは逆に強く加圧されていて接触強度が強すぎるといった注入治工具の不具合が考えられる。そういった場合も全数検査を行っているため、装置や部品不良の確認等の対応を素早くとることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの主断面概略図である。
【図3】本発明の実施の形態における電子写真画像形成装置本体の主断面概略図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分断面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分構成概略を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分構成概略を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分断面図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分断面図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分構成概略を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分断面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分構成概略を示す斜視図及び部分拡大図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの部分構成概略を示す斜視図及び部分拡大図である。
【図14】従来のプロセスカートリッジの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
A 画像形成装置
B プロセスカートリッジ
C クリーニングユニット
D 現像ユニット
M 微少な凹凸部
X ビス
Z 隙間
e 面状接合部
f 嵌合状接合部
q テルペン系溶剤
1 露光装置
2 記録媒体
3a 給紙カセット
3b ピックアップローラ
3c 搬送ローラ
3e レジストローラ
3g、3h、3i 排紙ローラ
4 転写ローラ
5 定着装置
6 排出トレイ
7 感光体ドラム
8 帯電ローラ
9c 現像ローラ
9d 現像ブレード
10 クリーニング手段
10a クリーニングブレード
10b 廃トナー溜め
11 トナー枠体
12 現像枠体
13 クリーニング枠体
13d 側壁
13h 軸受け取り付け穴
13h1 欠円部
13h2 位置決めピン
13i 軸受け取り付け穴内周部
13p 凹部
13p1 開口部から確認できる凹部
13p2 部分的に広範囲な凹部
13k 注入口
13n 検知用切り欠き部
36 ドラムフランジ
37 カップリング凸軸
37a 凸部
37b ドラムギア
38 ドラム軸受け
38a 大径の突出部
38b 小径の突出部
38b1 内周部
38b2 外周部
38c 円板部
38e 穴
38f 注入口
38g 開口部
39a 凹部
90、91 サイドカバー
107 感光体ドラムユニット
111 トナー枠体
113 クリーニング枠体
190、191 サイドカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスチレン系樹脂組成物から成る第1の部品と、第2のスチレン系樹脂組成物から成る第2の部品とを少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記第1の部品と第2の部品はスチレン系樹脂組成物を溶かす性質のある溶剤により接合されており、前記溶剤の接合部への供給が毛細管現象を利用しているものにおいて、前記溶剤の注入部である注入口から連通する凹部を接合面に設けてあり、該凹部を設けてない側の部品に該凹部が目視できるような開口部を設けていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記溶剤が、テルペン系溶剤であることを特徴とする請求項1記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記溶剤が、d−リモネンであることを特徴とする請求項1記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記凹部とは断面積が0.01〜4mm2の範囲であることを特徴とする請求項1記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
第1のスチレン系樹脂組成物から成る第1の部品と、第2のスチレン系樹脂組成物から成る第2の部品とを少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記第1の部品と第2の部品はスチレン系樹脂組成物を溶かす性質のある溶剤により接合されおり、前記溶剤の接合部への供給が毛細管現象を利用しているものにおいて、前記接合面の一部に切り欠き部を設けていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記切り欠き部が、接合面末端部に設けられていることを特徴とする請求項5記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記溶剤が、テルペン系溶剤であることを特徴とする請求項5記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記溶剤が、d−リモネンであることを特徴とする請求項5記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記切り欠き部とは断面積が0.01〜4mm2の範囲であることを特徴とする請求項5記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−145570(P2006−145570A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331435(P2004−331435)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】