説明

プロセスユニットおよび画像形成装置

【課題】ワイヤ収容空間を確実に閉塞することができる、プロセスユニットおよびこれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電ワイヤ31を収容するワイヤ収容空間35は、帯電フレーム33に設けられるカバー部材34により開閉される。また、ドラムフレーム20には、現像カートリッジ7が着脱可能に装着される。現像カートリッジ7は、ドラムフレーム20に装着された状態で、ドラムフレーム20に対して着脱可能な第1姿勢と、第1姿勢から前側に傾倒した第2姿勢とに変位可能に設けられている。そして、現像カートリッジ7の第1姿勢から第2姿勢への変位により、カバー部材34がワイヤ収容空間35を開放する開位置からワイヤ収容空間35を閉塞する閉位置へと変位される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスユニットおよびこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラープリンタにおいて、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応した4つの感光ドラムを並列に配置した、いわゆるタンデム型のものが知られている。
【0003】
このタンデム型のカラープリンタには、各感光ドラムに対応して、スコロトロン型帯電器および現像カートリッジが設けられている。
【0004】
スコロトロン型帯電器は、感光ドラムの並び方向において、各感光ドラムの一方側に配置されている。スコロトロン型帯電器は、帯電ワイヤ(放電線)および帯電ワイヤを清掃するワイヤクリーナを収容する枠体を備えている。枠体は、感光ドラム側と反対側の側面が開放されており、枠体には、その開放された側面を閉塞するための平板状の開閉蓋部が取り付けられている。開閉蓋部の内側には、仕切片が設けられている。
【0005】
開閉蓋部が閉められた状態で、スコロトロン型帯電器内の空間は、仕切片により、帯電ワイヤおよびワイヤクリーナが配置される空間と帯電ワイヤに空気を供給するための送風空間とに区画される。送風空間から帯電ワイヤに空気を送られることにより、帯電ワイヤへの異物の付着を抑制することができる。
【0006】
また、開閉蓋部が開放されることにより、帯電ワイヤおよびワイヤクリーナが露出する。この状態で、ワイヤクリーナを帯電ワイヤの架設方向に沿ってスライド移動させることにより、帯電ワイヤを清掃することができる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような構成では、帯電ワイヤの清掃後、開閉蓋部が開放されたままの状態にされることがある。開閉蓋部が開放されたままの状態で画像形成動作が行われると、スコロトロン型帯電器内の送風に乱れが生じ、感光ドラムの良好な帯電ができないおそれがある。感光ドラムが良好に帯電されないと、用紙に形成される画像に乱れが生じるおそれがある。
【0009】
また、開閉蓋部が開放されたままの状態では、送風空間から帯電ワイヤに空気を良好に供給することができず、帯電ワイヤへの異物の付着を良好に抑制することができなくなるおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、ワイヤ収容空間を確実に閉塞することができる、プロセスユニットおよびこれを備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、プロセスユニットであって、筺体と、前記筺体に保持された感光ドラムと、前記筺体に保持され、前記感光ドラムの軸線方向に延び、前記感光ドラムの表面を帯電させるための帯電ワイヤと、前記筺体に着脱可能に装着され、前記感光ドラムに現像剤を供給するための現像カートリッジと、前記筺体に設けられ、前記帯電ワイヤを収容するワイヤ収容空間を開閉する開閉部材とを備え、前記現像カートリッジは、前記筺体に装着された状態で、前記筺体に対して着脱可能な第1姿勢と、前記第1姿勢から前記開閉部材側に傾倒した第2姿勢とに変位可能に設けられ、前記開閉部材は、前記現像カートリッジの前記第1姿勢から前記第2姿勢への変位により、前記現像カートリッジに押圧されて、前記ワイヤ収容空間を開放する開位置から前記ワイヤ収容空間を閉塞する閉位置へと変位することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、感光ドラムおよび帯電ワイヤは、筐体に保持されている。感光ドラムの表面は、感光ドラムの軸線方向に延びる帯電ワイヤにより帯電される。帯電ワイヤは、ワイヤ収容空間に収容される。ワイヤ収容空間は、筐体に設けられる開閉部材により開閉される。
【0013】
また、筐体には、現像カートリッジが着脱可能に装着される。現像カートリッジは、筐体に装着された状態で、筐体に対して着脱可能な第1姿勢と、第1姿勢から開閉部材側に傾倒した第2姿勢とに変位可能に設けられている。そして、現像カートリッジの第1姿勢から第2姿勢への変位により、開閉部材は、現像カートリッジに押圧されて、ワイヤ収容空間を開放する開位置からワイヤ収容空間を閉塞する閉位置へと変位される。
【0014】
これにより、筐体に現像カートリッジが装着され、現像カートリッジが第2姿勢へと変位されるのに伴って、開閉部材がワイヤ収容空間を閉塞する閉位置へと変位されるので、ワイヤ収容空間を開閉部材によって確実に閉塞することができる。現像カートリッジが筐体に装着されていない状態では、画像形成動作が行われないので、ワイヤ収容空間が開放されたまま画像形成動作が行われ、画像に乱れが生じるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンタの側断面図である。
【図2】図2は、図1に示すドラムユニットの左前側上方から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すドラムユニットの左後側上方から見た斜視図である。
【図4】図4は、リヤビームおよび突起部を示す斜視図である。
【図5A】図5Aは、前側3つのスコロトロン型帯電器において、カバー部材を閉位置に変位させる手順を説明するための側面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの次の状態を示す側面図である。
【図5C】図5Cは、図5Bの次の状態を示す側面図である。
【図5D】図5Dは、図5Cの次の状態を示す側面図である。
【図5E】図5Eは、図5Dの次の状態を示す側面図である。
【図6A】図6Aは、最も後側のスコロトロン型帯電器において、カバー部材を閉位置に変位させる手順を説明するための側面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの次の状態を示す側面図である。
【図6C】図6Cは、図6Bの次の状態を示す側面図である。
【図6D】図6Dは、図6Cの次の状態を示す側面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第2の実施形態に係るスコロトロン型帯電器において、カバー部材を閉位置に変位させる手順を説明するための側面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aの次の状態を示す側面図である。
【図7C】図7Cは、図7Bの次の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
1.プリンタの全体構成
画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。図1に示すように、プリンタ1の装置本体の一例としての本体ケーシング2内には、プロセスユニットの一例としてのドラムユニット3が装着されている。このドラムユニット3は、本体ケーシング2の一方側壁に設けられたフロントカバー4を開けて、本体ケーシング2に対して着脱可能となっている。
【0017】
なお、以下の説明において、フロントカバー4が設けられる側(図1における左側)を前側(正面側)とし、その反対側(図1における右側)を後側(背面側)とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。
【0018】
ドラムユニット3には、4つの感光ドラム5が備えられている。4つの感光ドラム5は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられ、前後方向に沿って、前側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に等間隔に並列に配置されている。
【0019】
また、ドラムユニット3には、各感光ドラム5に対応して、帯電器の一例としてのスコロトロン型帯電器6と、現像カートリッジ7とが備えられている。現像カートリッジ7は、感光ドラム5にトナー(現像剤)を供給するための現像ローラ8と、内部にトナーを収容するボックス形状をなし、下端部に現像ローラ8をその周面の一部が露出する状態で保持する現像フレーム9とを含む構成である。各現像カートリッジ7は、ドラムユニット3に対して着脱可能に装着されている。
【0020】
ドラムユニット3の上方には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器10が配置されている。
【0021】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、スコロトロン型帯電器6からの放電によって一様に帯電された後、露光器10からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム5の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。静電潜像が現像ローラ8に対向すると、現像ローラ8から静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。
【0022】
なお、露光器10に代えて、4つのLEDアレイが各感光ドラム5に対応して設けられてもよい。
【0023】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット11が配置されている。給紙カセット11に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト12上に搬送される。搬送ベルト12は、4つの感光ドラム5に下方から対向して配置されている。感光ドラム5に対して搬送ベルト12の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ13が配置されている。搬送ベルト12上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト12の走行により、搬送ベルト12と各感光ドラム5との間を順次に通過する。そして、感光ドラム5の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したときに、転写ローラ13に印加された転写バイアスによって、用紙Pに転写される。
【0024】
搬送ベルト12に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器14が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器14に搬送される。定着器14では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ15に排出される。
2.ドラムユニット
図2,3に示すように、ドラムユニット3は、筐体の一例としてのドラムフレーム20を備えている。ドラムフレーム20は、左右方向に間隔を空けて対向配置される1対の側板21と、両側板21の前端部間に架設されるフロントビーム22と、両側板21の後端部間に架設されるリヤビーム23とを備えている。
【0025】
4つの感光ドラム5は、フロントビーム22とリヤビーム23との間において、等間隔で並列に配置され、その両端部が側板21に回転自在に保持されている。
【0026】
スコロトロン型帯電器6は、各感光ドラム5の後側に配置され、両側板21に左右方向両側から挟持されている。
【0027】
また、各感光ドラム5の前側には、現像カートリッジ7(図1参照)が着脱可能に装着される装着位置24が設定されている。
【0028】
フロントビーム22は、樹脂からなる。フロントビーム22の左右方向中央部には、前側把持部25が一体的に形成されている。前側把持部25は、上面視略U字状をなし、その各端部がフロントビーム22に連結され、フロントビーム22から前方に突出するように設けられている。
【0029】
リヤビーム23は、樹脂からなる。リヤビーム23の左右方向中央部には、後側把持部26が一体的に形成されている。後側把持部26は、背面視略U字状をなし、その各端部がリヤビーム23に連結され、後側下方から前側上方に傾斜して、リヤビーム23から斜め上方に突出するように設けられている。
【0030】
また、図4に示すように、リヤビーム23の左端部には、正面視略矩形状の貫通口28がリヤビーム23を前後方向に貫通して形成されている。
【0031】
図2,3に示すように、フロントカバー4(図1参照)が開かれた状態で、前側把持部25を把持して、ドラムユニット3を本体ケーシング2(図1参照)に対して前後方向にスライドさせることができる。そして、後側把持部26が本体ケーシング2の前端部に位置するまでドラムユニット3が引き出された状態で、前側把持部25および後側把持部26の両方を把持して、ドラムユニット3を本体ケーシング2から離脱させることができる。
【0032】
各側板21の左右方向内側の面(左側の側板21の右側面、右側の側板21の左側面)には、両側板21間に対する現像カートリッジ7の着脱を案内するための4つのカートリッジ案内部27が前後方向に互いに一定間隔を空けて形成されている。カートリッジ案内部27は、側板21の内側面を外側に向かって切り欠いた形状に形成され、側板21の上端部から後側下方に向けて一定勾配で傾斜し、その下端部が感光ドラム5に向けられている。各カートリッジ案内部27は、現像カートリッジ7が装着される装着位置24に左右方向外側から対向している。
【0033】
また、左側の側板21には、4つの位置決め突起29が形成されている。位置決め突起29は、左側の側板21の外側面から外方に向けて突出する四角錘形状に形成されている。各位置決め突起29は、側面視で各感光ドラム5の前側下方の位置に配置されるように、互いに前後方向に等間隔を空けて配置されている。
【0034】
また、図示しないが、右側の側板21には、4つの空気孔が左右方向に貫通して形成されている。空気孔は、各スコロトロン型帯電器6(図2参照)と左右方向に対向する位置に設けられている。これにより、スコロトロン型帯電器6の内部は、空気孔を介して側板21の外側(右側)と連通している。よって、スコロトロン型帯電器6の内部には、側板21の外側から空気孔を通して空気が供給される。
3.スコロトロン型帯電器
図5Aに示すように、スコロトロン型帯電器6は、帯電ワイヤ31と、帯電グリッド32と、図示しない紙粉取りローラと、これらを一括して保持する帯電フレーム33と、帯電フレーム33に取り付けられる開閉部材の一例としてのカバー部材34とを備えている。
【0035】
帯電フレーム33は、左右方向に延び、その両端部が側板21(図2参照)の内面に固定されている。帯電フレーム33内には、帯電ワイヤ31および帯電グリッド32が配置されるワイヤ収容空間35と、ワイヤ収容空間35に対して下側に隣接し、図5Aに破線で示される感光ドラム5に対して後側に配置される下側空間36とが提供されている。
【0036】
ワイヤ収容空間35は、後斜め上方に向けて開放されている。言い換えれば、帯電フレーム33には、後斜め上方に向かって開放された開口37が形成されており、ワイヤ収容空間35は、その開口37に臨んでいる。
【0037】
また、帯電フレーム33において、ワイヤ収容空間35の前側上方の位置には、被係止部38が形成されている。被係止部38は、帯電フレーム33と一体的に形成され、略上下方向に延びる板状に形成されている。また、被係止部38の下端部には、後側下方から前側上方に向けて延びる傾斜面39が形成されている。
【0038】
そして、図5Aに破線で示すように、帯電フレーム33の右側面には、後述する送風空間51と左右方向に対向する位置に、帯電フレーム33を左右方向に貫通する略三角形状の空気供給口40が形成されている。空気供給口40は、右側の側板21に形成された空気孔(図示せず)と左右方向に対向している。これにより、側板21(図3参照)の外側から空気孔を通して供給される空気は、空気供給口40を通して送風空間51(ワイヤ収容空間35)に流入し、送風空間51内を左側に向かって流れる。
【0039】
カバー部材34は、左右方向に延びる回動軸の一例としての支持軸45を介して、帯電フレーム33に揺動可能に支持されている。カバー部材34は、本体部46、支持部47、係止部48および流量調整板49を一体的に備えている。
【0040】
本体部46は、帯電フレーム33とほぼ同じ左右方向の幅を有し、帯電フレーム33の開口37を覆い尽くす大きさの板状に形成されている。
【0041】
支持部47は、本体部46の一端部から連続して形成されている。支持部47は、帯電フレーム33の一部と左右方向に対向している。そして、支持部47および帯電フレーム33には、支持軸45が挿通されている。これにより、カバー部材34が支持軸45を介して、帯電フレーム33に揺動可能に支持されている。
【0042】
係止部48は、本体部46の遊端部(支持部47が形成されている側とは反対側の端部)に連続して形成され、側面視において、本体部46に対してほぼ垂直に延びている。係止部48の先端には、爪部50が形成されている。爪部50は、カバー部材34の外表面から外側に突出する角部50Aを有し、先端に向けて先細りとなる三角形状に形成されている。カバー部材34の外表面と角部50Aとの間には、段差が形成されている。
【0043】
流量調整板49は、本体部46の内面(カバー部材34がワイヤ収容空間35を閉塞する閉位置にある状態(図5E参照)で、ワイヤ収容空間35に臨む面)から、本体部46に対してほぼ垂直方向に突出して形成され、本体部46とほぼ同じ幅を有する略矩形板状に形成されている。流量調整板49には、その突出方向に延びる矩形状の送風孔(図示せず)が、左右方向にわたって等間隔に複数形成されている。これにより、流量調整板49は、本体部46から垂直方向に延び、その先端部が閉塞された櫛歯形状をなしている。
【0044】
図5Eに示すように、カバー部材34が帯電フレーム33に取り付けられた状態で、流量調整板49は、ワイヤ収容空間35内に配置される。これにより、ワイヤ収容空間35は、空気供給口40(図5A参照)と左右方向に対向する送風空間51と、送風空間51に対して後側下方に隣接し、帯電ワイヤ31および帯電グリッド32が配置される帯電空間52とに区画される。
【0045】
側板21(図3参照)の外側の空気は、側板21に形成された空気孔(図示せず)および空気供給口40を通して送風空間51に流入し、送風空間51内を右側から左側に向けて流れる。そして、送風空間51を流れる空気は、流量調整板49の送風孔(図示せず)を介して帯電空間52に流入する。
4.カバー部材の開閉動作
カバー部材34は、支持軸45を中心として揺動することにより、ワイヤ収容空間35を開放する開位置とワイヤ収容空間35を閉塞する閉位置とに変位可能に設けられている。
【0046】
カバー部材34が開位置に配置されると、帯電ワイヤ31が開口37から上方に露出する。この状態で、図示しないクリーナーにより帯電ワイヤ31を清掃することができる。
【0047】
また、帯電ワイヤ31の清掃後は、ユーザがカバー部材34を回動させることにより、カバー部材34が閉位置へと変位される。
【0048】
カバー部材34には、角部50Aを有する爪部50が形成されている。そのため、ユーザがカバー部材34を押圧する押圧力が小さいと、爪部50が係止部38を乗り越えず、カバー部材34が閉位置への変位を完了していない状態で、カバー部材34の回動が中断される場合がある。
【0049】
このような場合に、以下の2つの方法により、カバー部材34を閉位置へと確実に変位させることができる。
(1)前側3つのスコロトロン型帯電器
図2,3に示すように、前後方向に並列に配置された4つのスコロトロン型帯電器6のうち、前側3つのスコロトロン型帯電器6の後側には、現像カートリッジ7(図1参照)が装着される装着位置24が設けられている。
【0050】
前側3つのスコロトロン型帯電器6のカバー部材34は、図1に示すように、ドラムユニット3に対する現像カートリッジ7の装着に伴って、開位置から閉位置へと変位される。
【0051】
以下では、図5A〜5Eを主に参照して、カバー部材34の開閉動作について説明する。
【0052】
なお、図5A〜5Eの各図においては、スコロトロン型帯電器6および現像カートリッジ7以外の図示を省略している。
【0053】
図5Aに示すように、カバー部材34が開位置にある状態では、カバー部材34の係止部48が帯電フレーム33から大きく離間している。この状態で、カバー部材34の重心は、支持軸45の軸線方向および鉛直方向に延びる仮想面60よりも後側に配置されている。
【0054】
この状態から、本体部46が前側に傾倒するようにカバー部材34を回動させると、カバー部材34の重心が前方に移動する。そして、カバー部材34の重心が仮想面60よりも前側に配置されると、カバー部材34は、その自重によって前側に傾倒する。図5Bに示すように、カバー部材34が自重により傾倒した状態では、係止部48の爪部50が、帯電フレーム33の被係止部38に前側から当接する。
【0055】
その後、図5Cに示すように、スコロトロン型帯電器6の後側の装着位置24(図2,3参照)に現像カートリッジ7が装着される。具体的には、現像カートリッジ7の下端部には、左右方向外側に向けて突出するカラー部材61が設けられている。そして、現像カートリッジ7は、カラー部材61が図2,3に示すカートリッジ案内部27に沿って案内されることにより、装着位置24に装着される。
【0056】
この状態で、現像カートリッジ7は、ドラムユニット3のドラムフレーム20(図2,3参照)に対して着脱可能な第1姿勢をなす。
【0057】
次に、図5Dに示すように、現像カートリッジ7が前側(カバー部材34側)に傾倒され、現像カートリッジ7の現像フレーム9の前側部分がカバー部材34に対して後側上方から当接する。現像カートリッジ7が前側にさらに傾倒されると、カバー部材34が現像フレーム9に押圧される。そして、カバー部材34の係止部48が弾性変形しつつ、爪部50が被係止部38を乗り越えることにより、被係止部38に係止部48が係止される。
【0058】
また、この状態で、現像カートリッジ7は、カバー部材34側に傾倒した第2姿勢をなす。現像カートリッジ7は、第2姿勢にある状態で、図示しないロック機構により、ドラムユニット3(図2,3参照)に対する着脱が規制される。
【0059】
その後、図5Eに示すように、カバー部材34の自重により、爪部50の角部50Aが被係止部38の傾斜面39から離間する方向に移動する。これにより、カバー部材34が現像カートリッジ7の現像フレーム9から離間し、互いに非接触な状態となるとともに、現像カートリッジ7のドラムユニット3(図2,3参照)への装着が完了し、前側3つのカバー部材34が閉位置に配置される。
(2)最も後側のスコロトロン型帯電器
最も後側のスコロトロン型帯電器6のカバー部材34は、図1に示すように、本体ケーシング2に対するドラムユニット3の装着に伴って、開位置から閉位置へと変位される。
【0060】
図2に破線で示すように、本体ケーシング2内には、位置決め部の一例としての1対の本体側板30が左右方向に間隔を空けて対向配置されている。また、図1,4に示すように、本体ケーシング2の後端部には、前方に向けて突出する突起65が設けられている。突起65は、ドラムユニット3が本体ケーシング2内の収容位置に装着された状態で、リヤビーム23(ドラムフレーム20)に形成された貫通口28に対応する位置に設けられている。
【0061】
以下では、図6A〜6Dを主に参照して、カバー部材34の開閉動作について説明する。
【0062】
なお、図6A〜6Dの各図においては、スコロトロン型帯電器6および突起部65以外の図示を省略している。
【0063】
図6Aに示すように、カバー部材34が開位置にある状態では、カバー部材34の係止部48が帯電フレーム33から大きく離間している。
【0064】
図1に示すように、フロントカバー4を開放した状態で、ドラムユニット3を本体ケーシング2内の収容位置に向けて進出させると、図2に示すように、ドラムユニット3の左側板21に形成されている位置決め突起29が左側の本体側板30に当接する。これにより、ドラムユニット3の左右方向の位置決めが達成される。
【0065】
ドラムユニット3がさらに後方に進出すると、図4に示すように、リヤビーム23に形成された貫通口28に、突起部65が挿入される。突起部65は、本体ケーシング2内に固定的に設けられ、前方に向けて突出している。
【0066】
貫通口28に挿入された突起部65は、カバー部材34に対して前側から当接する。ドラムユニット3の後方への進出に伴って、カバー部材34が突起部65により後方に向けて押圧され、前側に傾倒する。そして、図6Bに示すように、係止部48の爪部50が、帯電フレーム33の被係止部38に前側から当接する。
【0067】
その後、ドラムユニット3がさらに後方に進出されると、図6Cに示すように、カバー部材34が突起部65にさらに押圧される。そして、カバー部材34の係止部48が弾性変形しつつ、爪部50が被係止部38を乗り越えることにより、被係止部38に係止部48が係止される。
【0068】
その後、図6Dに示すように、カバー部材34の自重により、爪部50の角部50Aが被係止部38の傾斜面39から離間する方向に移動する。これにより、カバー部材34が突起部65から離間し、互いに非接触な状態となるとともに、ドラムユニット3の本体ケーシング2内の収容位置への装着が完了し、最も後側のカバー部材34が閉位置に配置される。
5.作用効果
以上のように、感光ドラム5および帯電ワイヤ31は、ドラムユニット3のドラムフレーム20に保持されている。感光ドラム5の表面は、感光ドラム5の軸線方向(左右方向)に延びる帯電ワイヤ31により帯電される。帯電ワイヤ31は、ワイヤ収容空間35に収容される。ワイヤ収容空間35は、帯電フレーム33に設けられるカバー部材34により開閉される。
【0069】
また、ドラムユニット3のドラムフレーム20には、現像カートリッジ7が着脱可能に装着される。現像カートリッジ7は、ドラムフレーム20に装着された状態で、ドラムフレーム20に対して着脱可能な第1姿勢と、第1姿勢から前側に傾倒した第2姿勢とに変位可能に設けられている。そして、現像カートリッジ7の第1姿勢から第2姿勢への変位により、カバー部材34は、現像カートリッジ7に押圧されて、ワイヤ収容空間35を開放する開位置からワイヤ収容空間35を閉塞する閉位置へと変位される。
【0070】
これにより、ドラムフレーム20に現像カートリッジ7が装着され、現像カートリッジ7が第2姿勢へと変位されるのに伴って、カバー部材34がワイヤ収容空間35を閉塞する閉位置へと変位されるので、ワイヤ収容空間35をカバー部材34によって確実に閉塞することができる。現像カートリッジ7がドラムフレーム20に装着されていない状態では、画像形成動作が行われないので、ワイヤ収容空間35が開放されたまま画像形成動作が行われ、画像に乱れが生じるのを確実に防止することができる。
【0071】
また、帯電フレーム33には、被係止部38が設けられている。カバー部材34は、左右方向に延びる支持軸45を中心に回動することにより、開位置と閉位置との間で変位する。また、カバー部材34には、閉位置で被係止部38に係止する係止部48が設けられている。現像カートリッジ7は、係止部48が被係止部38に接触した状態からカバー部材34が閉位置に変位するまでの間に、第2姿勢をなす。
【0072】
これにより、カバー部材34の係止部48が被係止部38に係止された後、現像カートリッジ7が第2姿勢をなすので、現像カートリッジ7の装着に伴って、カバー部材34を閉位置に確実に変位させることができる。
【0073】
また、現像カートリッジ7が第2姿勢をなす状態では、現像カートリッジ7とカバー部材34とが非接触である。よって、非画像形成動作時に、現像カートリッジ7が感光ドラム5から離間するように移動されても、現像カートリッジ7とカバー部材34とが干渉しないので、カバー部材34が現像カートリッジ7の移動の妨げとなるのを回避することができる。
6.第2実施形態
図7A〜7Cでは、図6A〜6Dに示す各部に相当する部分に同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した部分についての説明を省略する。
【0074】
図7A〜7Cに示すように、最も後側のスコロトロン型帯電器6は、帯電フレーム33から被係止部38が省略されるとともに、カバー部材34から係止部48(爪部50)が省略されている。
【0075】
また、カバー部材34の本体部46において、その先端部分の内面には、左右方向にわたって緩衝部材70が取り付けられている。緩衝部材70は、衝撃を吸収することができる材料からなり、たとえば、ゴム材料またはフェルトなどの布材料からなる。
【0076】
最も後側のスコロトロン型帯電器6のカバー部材34は、図1に示すように、本体ケーシング2に対するドラムユニット3の装着に伴って、開位置から閉位置へと変位される。
【0077】
以下では、図7A〜7Cを主に参照して、カバー部材34の開閉動作について説明する。
【0078】
なお、図7A〜7Cの各図においては、スコロトロン型帯電器6および突起部65以外の図示を省略している。
【0079】
図7Aに示すように、カバー部材34が開位置にある状態では、カバー部材34の先端部が帯電フレーム33から大きく離間している。この状態で、カバー部材34の重心は、支持軸45の軸線方向および鉛直方向に延びる仮想面60よりも後側に配置されている。
【0080】
ドラムユニット3が本体ケーシング2内の収容位置に向けて後方に進出すると、図4に示すように、リヤビーム23に形成された貫通口28に、突起部65が挿入される。
【0081】
貫通口28に挿入された突起部65は、図7Bに示すように、カバー部材34に対して前側から当接する。ドラムユニット3の後方への進出に伴って、カバー部材34は、その重心が仮想面60よりも前側に配置されるまで突起部65により後方に向けて押圧される。
【0082】
カバー部材34の重心が仮想面60よりも前側に配置されると、図7Cに示すように、カバー部材34がその自重によって前側に傾倒する。そして、カバー部材34の本体部46に取り付けられた緩衝部材70が帯電フレーム33に当接する。このとき、カバー部材34と帯電フレーム33との衝突による衝撃力は、緩衝部材70に吸収される。
【0083】
これにより、カバー部材34が突起部65から離間し、互いに非接触な状態となるとともに、ドラムユニット3の本体ケーシング2内の収容位置への装着が完了し、最も後側のカバー部材34が閉位置に配置される。
【符号の説明】
【0084】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
3 ドラムユニット
5 感光ドラム
6 スコロトロン型帯電器
7 現像カートリッジ
20 ドラムフレーム
28 貫通口
29 位置決め突起
30 本体側板
31 帯電ワイヤ
34 カバー部材
35 ワイヤ収容空間
38 被係止部
45 支持軸
48 係止部
60 仮想面
65 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筺体に保持された感光ドラムと、
前記筺体に保持され、前記感光ドラムの軸線方向に延び、前記感光ドラムの表面を帯電させるための帯電ワイヤと、
前記筺体に着脱可能に装着され、前記感光ドラムに現像剤を供給するための現像カートリッジと、
前記筺体に設けられ、前記帯電ワイヤを収容するワイヤ収容空間を開閉する開閉部材とを備え、
前記現像カートリッジは、前記筺体に装着された状態で、前記筺体に対して着脱可能な第1姿勢と、前記第1姿勢から前記開閉部材側に傾倒した第2姿勢とに変位可能に設けられ、
前記開閉部材は、前記現像カートリッジの前記第1姿勢から前記第2姿勢への変位により、前記現像カートリッジに押圧されて、前記ワイヤ収容空間を開放する開位置から前記ワイヤ収容空間を閉塞する閉位置へと変位する、プロセスユニット。
【請求項2】
前記筺体には、被係止部が設けられ、
前記開閉部材は、前記軸線方向に延びる回動軸を中心に回動することにより、前記開位置と前記閉位置との間で変位し、
前記開閉部材には、前記閉位置で前記被係止部に係止する係止部が設けられ、
前記現像カートリッジは、前記係止部が前記被係止部に接触した状態から前記開閉部材が前記閉位置に変位するまでの間に、前記第2姿勢をなす、請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記現像カートリッジが前記第2姿勢をなす状態で、前記現像カートリッジと前記開閉部材とが非接触である、請求項1または2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に装着される請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセスユニットとを備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2011−164218(P2011−164218A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24752(P2010−24752)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】