説明

プロセスユニットおよび画像形成装置

【課題】像担持体上の紙粉を回収する回収手段によって、残トナーが回収されても、残トナーが像担持体上に逆戻りするのを低減することができるプロセスユニットを提供する。
【解決手段】プロセスユニットは、感光ドラム61と、現像カートリッジ7と、転写ローラ63と、感光ドラム61を帯電させる帯電器62と、を備えている。現像カートリッジ7は、用紙に転写されなかった感光ドラム61上のトナーを回収するように構成されている。そして、プロセスユニットは、感光ドラム61上のトナーは通過させるとともに、帯電器62と同極性のバイアスが印加されて感光ドラム61上の紙粉を回収する1次クリーニングローラ110と、感光ドラム61の回転方向において、1次クリーニングローラ110より下流側に配置され、感光ドラム61上のトナーは通過させるとともに、バイアスが印加されずに感光ドラム61上の紙粉を回収する押当部材150と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体と現像手段とを備えたプロセスユニットおよび当該プロセスユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電潜像を担持する感光ドラム(像担持体)と、感光ドラムの静電潜像に現像剤を供給する現像カートリッジ(現像手段)と、感光ドラムとの間で挟んだ用紙に感光ドラム上の現像剤を転写する転写ローラ(転写手段)とを備えたプロセスユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このプロセスユニットにおいては、用紙に転写されずに感光ドラム上に残った現像剤(以下、「残トナー」という。)を、現像カートリッジで回収して、回収した現像剤を再利用する、いわゆるクリーナレス方式を採用している。
【0003】
ところで、転写ローラとの間で用紙を挟んだ感光ドラム上には、紙粉が付着する。この紙粉が現像剤とともに現像カートリッジに回収されてしまうと、現像剤が劣化する等の不具合が生じてしまう。そのため、特許文献1に記載のプロセスユニットには、主として繊維状の紙粉を除去する第1の紙粉除去手段と、主として粉状の紙粉を除去する第2の紙粉除去手段とが設けられている。
【0004】
具体的に、第1の紙粉除去手段は、ブラシ部材から構成され、感光ドラムの回転方向において、転写ローラよりも下流側に配置されている。そして、第2の紙粉除去手段は、不織布シート等から構成され、感光ドラムの回転方向において、第1の紙粉除去手段よりも下流側に配置されている。このように構成されることにより、特許文献1に記載のプロセスユニットは、第1の紙粉除去手段により、繊維状の大きな紙粉を回収し、第2の紙粉除去手段により、第1の紙粉除去手段では回収しきれない粉状の小さな紙粉を回収するため、紙粉全体を確実に回収することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3852222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した構成では、感光ドラム上の紙粉を確実に回収できるものの、第1の紙粉除去手段が残トナーを堰き止めてしまうことがあり、この堰き止められた現像剤が、感光ドラム上の静電潜像に載ってしまうことがあった。そして、この現像剤の逆戻りが、印字の不具合の原因となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、像担持体上の紙粉を回収する回収手段によって、残トナーが回収されても、残トナーが像担持体上に逆戻りするのを低減することができるプロセスユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明のプロセスユニットは、表面に静電潜像が形成される像担持体と、像担持体上の静電潜像に現像剤を供給する現像手段と、像担持体上の現像剤を転写媒体に転写する転写手段と、像担持体の回転方向において、転写手段より下流側でかつ現像手段より上流側に配置され、像担持体を帯電させる帯電手段と、を備え、現像手段は、転写媒体に転写されなかった像担持体上の現像剤を回収するように構成されているプロセスユニットであって、第1回収手段と、第2回収手段と、を備えている。
第1回収手段は、前記回転方向において、転写手段より下流側でかつ帯電手段より上流側に配置され、像担持体上の現像剤は通過させるとともに、帯電手段と同極性のバイアスが印加されて像担持体上の紙粉を回収する。
第2回収手段は、前記回転方向において、第1回収手段より下流側でかつ帯電手段より上流側に配置され、像担持体上の現像剤は通過させるとともに、バイアスが印加されずに像担持体上の紙粉を回収する。
【0009】
このように構成されたプロセスユニットによれば、第1回収手段によって、像担持体の表面電位が帯電手段の帯電バイアスと同極性側に傾くので、像担持体上に静電潜像が形成されていても、現像剤が載りにくい状態になる。これにより、もし第2回収手段が残トナーを回収していても、当該残トナーが像担持体上に逆戻りするのを低減することができる。
【0010】
そして、前記したプロセスユニットにおいて、第1回収手段は、クーロン力により粉状の紙粉を回収する1次クリーニングローラであり、第2回収手段は、毛を有し、その毛が像担持体の表面に当てられる部材であることが望ましい。
【0011】
このように構成されたプロセスユニットによれば、径が小さい粉状の紙粉は静電的に回収し、粉状の紙粉より大きい繊維状の紙粉は、毛の先端で堰き止めて回収されるので、紙粉をより確実に回収することができる。
【0012】
また、前記した第1回収手段として1次クリーニングローラを備えるプロセスユニットは、1次クリーニングローラから紙粉を回収する2次クリーニングローラと、2次クリーニングローラに回収された紙粉を掻き取る掻取部材と、掻取部材によって掻き取られた紙粉を貯留する貯留部と、を備えていることが望ましい。
【0013】
このように構成されたプロセスユニットによれば、貯留部を有さず、毛の先端付近に回収した紙粉が溜まっていく第2回収手段よりも先に、貯留部を有し、第2回収手段よりも多くの紙粉を貯留することができる第1回収手段で紙粉を回収することで、長期間にわたって紙粉を確実に回収することができる。
【0014】
そして、前記した第2回収手段が毛を有する部材である場合のプロセスユニットにおいて、第2回収手段は、基布とその基布の表面に前記毛が植毛されてなる植毛群とを有する植毛布を備えていてもよい。
この場合、毛の直径は、5〜10μmである。そして、毛の長さは、0.5〜0.7mmである。また、植毛布の毛の配列密度は、1500〜15000本/mmである。
【0015】
また、前記した第1回収手段に帯電器と同極性のバイアスが印加されるプロセスユニットにおいて、第1回収手段は、少なくとも画像形成時に前記バイアスが印加されていることが望ましい。
【0016】
このように構成されたプロセスユニットによれば、第2回収手段がもし現像剤を回収してしまっても、少なくとも画像形成中は回収してしまった現像剤の逆戻りを防ぐことができるので、印字不良を抑制することができる。
【0017】
そして、前記した目的を達成するための本発明は、前記したプロセスユニットを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第2回収手段よりも像担持体の回転方向上流側に、帯電手段と同極性のバイアスが印加された第1回収手段を設けているので、第1回収手段によって、像担持体の表面電位が帯電手段の帯電バイアスと同極性側に傾くので、像担持体上に静電潜像が形成されていても、現像剤が載りにくい状態になる。これにより、もし第2回収手段が残トナーを回収していても、当該残トナーが像担持体上に逆戻りするのを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロセスユニットを備えたレーザプリンタの側断面図である。
【図2】感光ドラム周辺の概略構成を示す図(a)と、植毛布の拡大図(b)である。
【図3】画像形成中において、感光ドラム上に静電潜像が形成された状態を示す図(a)と、感光ドラム上の静電潜像にトナーが供給された状態を示す図(b)である。
【図4】用紙に感光ドラム上のトナーが転写された状態を示す図(a)と、1次クリーニングローラが感光ドラム上の粉状の紙粉を回収した状態を示す図(b)である。
【図5】押当部材が感光ドラム上の繊維状の紙粉を回収した状態を示す図(a)と、現像ローラが感光ドラム上のトナーを回収した状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について説明する。
【0021】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0022】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体2内に転写媒体の一例としての用紙Sを供給するための給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像を転写するプロセスユニット5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0023】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスユニット5(感光ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0024】
露光装置4は、装置本体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光ドラム61の表面で高速走査されることで、感光ドラム61の表面を露光する。
【0025】
プロセスユニット5は、露光装置4の下方に配置され、装置本体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から装置本体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスユニット5は、ドラムカートリッジ6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
【0026】
ドラムカートリッジ6は、像担持体の一例としての感光ドラム61と、帯電手段の一例としての帯電器62と、転写手段の一例としての転写ローラ63と、を主に備えている。また、現像カートリッジ7は、現像手段の一例であり、ドラムカートリッジ6に対して着脱可能に装着される構成となっている。現像カートリッジ7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0027】
このプロセスユニット5では、感光ドラム61の表面が、帯電器62により一様に正帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、このとき、供給ローラ72と現像ローラ71の間で正に摩擦帯電される。現像ローラ71上に供給されたトナーは、現像ローラ71の回転に伴って、層厚規制ブレード73の間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定の厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0028】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0029】
定着装置8は、プロセスユニット5の後方に配置され、符号を省略して示すハロゲンヒータ、定着ベルト、ニップ板などを有する加熱ユニット81と、加熱ユニット81のニップ板との間で定着ベルトを挟持する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ユニット81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
【0030】
また、このレーザプリンタ1では、用紙Sに転写されずに感光ドラム61上に残った残トナーを、現像カートリッジ7によって回収して再利用する、いわゆるクリーナレス方式を採用している。具体的には、残トナーを回収するときに、帯電器62で感光ドラム61の表面を一度帯電させ、感光ドラム61の表面電位を現像ローラ71の電位よりも高くする。これにより、感光ドラム61上に載っている正帯電している残トナーが、現像ローラ71へ移動し、トナー収容部74へ戻される。
【0031】
<プロセスユニットの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分であるプロセスユニット5の詳細構成について説明する。
【0032】
プロセスユニット5は、図2に示すように、感光ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63と、現像ローラ71と、クリーニングユニット100とを備えている。
【0033】
現像ローラ71は、上述したように、感光ドラム61上の静電潜像にトナーTを供給するローラであり、感光ドラム61の回転方向において、感光ドラム61の露光装置4から出射されるレーザ光が当たる露光位置よりも下流側で、感光ドラム61の周面に接触して回転するようになっている。
【0034】
転写ローラ63は、感光ドラム61の回転方向において、現像ローラ71よりも下流側に配置されている。
【0035】
帯電器62は、帯電バイアスが印加され、感光ドラム61の表面を正帯電させるように構成されている。この帯電器62は、感光ドラム61の回転方向において、転写ローラ63よりも下流側でかつ現像ローラ71よりも上流側に配置されている。
【0036】
クリーニングユニット100は、感光ドラム61の回転方向において、転写ローラ63よりも下流側でかつ帯電器62よりも上流側に配置されている。クリーニングユニット100は、第1回収手段の一例としての1次クリーニングローラ110と、2次クリーニングローラ120と、掻取部材130と、ケース140と、第2回収手段の一例としての押当部材150とを主に備えて構成されている。
【0037】
1次クリーニングローラ110は、表面にスポンジが被覆されたローラであり、感光ドラム61の周面に接触して回転し、感光ドラム61上のトナーは通過させながら、感光ドラム61上に付着する粉状の紙粉を一時的に回収するようになっている。具体的に、1次クリーニングローラ110は、画像形成時において、帯電器62と同極性の正の電圧(バイアス)が印加され、表面が感光ドラム61の露光された部分よりも電位が高くなっている。
【0038】
これにより、1次クリーニングローラ110は、感光ドラム61上に付着している負に帯電した粉状の紙粉を引き寄せながら、スポンジ表面に形成されている凹部を利用して回収するようになっている。
【0039】
2次クリーニングローラ120は、1次クリーニングローラ110の周面に接触して回転し、1次クリーニングローラ110が保持している粉状の紙粉を吸着するようになっている。
【0040】
具体的に、2次クリーニングローラ120は、1次クリーニングローラ110の後斜め上側において、1次クリーニングローラ110に対向して配置されている。そして、2次クリーニングローラ120は、1次クリーニングローラに印加されている電圧よりも絶対値が大きい正の電圧が印加され、1次クリーニングローラ110が保持している粉状の紙粉を、引き寄せて保持するようになっている。
【0041】
掻取部材130は、2次クリーニングローラ120の表面に吸着した紙粉を掻き取る部材であり、2次クリーニングローラ120の表面に摺接するように、2次クリーニングローラ120の上側に設けられている。この掻取部材130は、スポンジから形成されており、2次クリーニングローラ120に押圧されている。
【0042】
ケース140は、1次クリーニングローラ110および2次クリーニングローラ120を収容している。そして、ケース140は、2次クリーニングローラ120の下方に、掻取部材130によって掻き取られた紙粉を受けるための有底の貯留部141を有している。
【0043】
押当部材150は、支持部材151と植毛布152とから構成され、ケース140に支持されている。この押当部材150は、植毛布152が感光ドラム61上に押し当てられることで、感光ドラム61上のトナーは通過させながら、感光ドラム61上の繊維状の紙粉を回収する部材である。
【0044】
支持部材151は、可撓性を有し、ケース140に固定される基端部から感光ドラム61に向けて延びている。なお、支持部材151は、後述する植毛布152が安定して感光ドラム61の周面と接触するように、ドラムカートリッジ6の筐体等に設けられた図示しないリブなどによって、先端に近い部分がケース140に向けて押し付けられている。
【0045】
植毛布152は、図2(b)に示すように、基布152Aと、基布152Aの表面に毛が植毛されてなる植毛群152Bとを有している。具体的に、植毛群152Bの毛は、繊維状の紙粉を確実に回収するために、直径が5〜10μm、長さが0.5〜0.7mmの毛を複数本有する毛束であり、基布152Aに配列密度が1500〜15000本/mmとなるように植毛されているのが望ましい。
【0046】
植毛布152は、支持部材151の先端に取り付けられ、感光ドラム61の回転方向において、1次クリーニングローラ110よりも下流側でかつ帯電器62よりも上流側で、感光ドラム61の周面に毛が当てられるように配置されている。
【0047】
次に、以上のように構成されたプロセスユニット5の作用および効果について説明する。
画像形成時において、プロセスユニット5では、まず、感光ドラム61の表面が、帯電器62により正に帯電され、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光される。これにより、図3(a)に示すように、感光ドラム61上の露光された部分の電位が下がる。この露光された部分が現像ローラ71と対向する位置まで達すると、図3(b)に示すように、現像ローラ71が担持している正帯電したトナーTが、感光ドラム61の露光された部分に供給される。
【0048】
さらに感光ドラム61が回転していくと、図4(a)に示すように、感光ドラム61と転写ローラ63の間を搬送される用紙Sに、感光ドラム61上のトナーTが転写される。このとき、負に帯電している粉状の紙粉D1および粉状の紙粉D1よりも大きい繊維状の紙粉D2が、用紙Sから感光ドラム61上に付着する。また、感光ドラム61上には、用紙Sに転写されずに残った残トナーTも付着している。
【0049】
そして、感光ドラム61上に付着した粉状の紙粉D1および繊維状の紙粉D2は、1次クリーニングローラ110および押当部材150によって回収される。
【0050】
具体的に、図4(b)に示すように、粉状の紙粉D1は、クーロン力により1次クリーニングローラ110に引き寄せられ、1次クリーニングローラ110のスポンジ表面の凹部で回収される。繊維状の紙粉D2は、1次クリーニングローラ110のスポンジ表面の凹部に収容されず、1次クリーニングローラ110を通過するが、図5(a)に示すように、押当部材150の植毛布152の毛に絡め取られ、回収される。
【0051】
このように、径が小さい粉状の紙粉D1は、クーロン力を利用して1次クリーニングローラ110で回収し、粉状の紙粉より大きい繊維状の紙粉D2は、植毛布152の毛の先端で堰き止めて回収することで、感光ドラム61上に付着した紙粉をより確実に回収することができる。
【0052】
また、押当部材150よりも先に、貯留部141に紙粉が貯留される1次クリーニングローラ110で粉状の紙粉を回収することで、押当部材150に回収される紙粉の量が減少し、長期間にわたって紙粉を確実に回収することができる。
【0053】
ところで、感光ドラム61上のほとんどの残トナーTは、1次クリーニングローラ110と押当部材150には回収されずに通過していくが、押当部材150に堰き止められる場合がある。この場合、感光ドラム61表面の露光されて電位が下がっている部分に、押当部材150に堰き止められた残トナーTが逆戻りする可能性がある。ところが、正のバイアスが印加されている1次クリーニングローラ110が押当部材150よりも感光ドラム61の回転方向上流側で感光ドラム61に接触しているので、感光ドラム61表面の露光されている部分の電位が高くなっており、押当部材150に堰き止められた残トナーTが感光ドラム61に載りにくくなっている。これにより、押当部材150が仮に残トナーTを回収してしまった場合でも、残トナーTの逆戻りを低減し、印字不良を防止することができる。
【0054】
また、1次クリーニングローラ110は、画像形成時にバイアスが印加されるようになっているので、画像形成中に押当部材150が回収してしまった残トナーTが、感光ドラム61上に逆戻りするのをより確実に防ぐことができる。
【0055】
そして、感光ドラム61上の残トナーTは、図5(b)に示すように、現像ローラ71によって回収される。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0057】
前記実施形態では、第2回収手段の一例として、植毛布152を有する押当部材150を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2回収手段として、先端が感光ドラム61の表面に当てられるブラシを採用してもよい。
【0058】
そして、前記実施形態では、1次クリーニングローラ110には、画像形成時にバイアスが印加されるようになっていたが、本発明はこれに限定されず、レーザプリンタ1を稼働しているときは、常に、1次クリーニングローラ110にバイアスを印加するように構成してもよい。
【0059】
前記実施形態では、転写媒体の一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、転写媒体として、中間転写ベルトを採用してもよい。
【0060】
前記実施形態では、像担持体として感光ドラム61を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【0061】
前記実施形態では、プロセスユニット5を備える画像形成装置の一例として、レーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 レーザプリンタ
5 プロセスユニット
7 現像カートリッジ
61 感光ドラム
62 帯電器
63 転写ローラ
71 現像ローラ
110 1次クリーニングローラ
120 2次クリーニングローラ
130 掻取部材
141 貯留部
150 押当部材
152 植毛布
152A 基布
152B 植毛群
D1 粉状の紙粉
D2 繊維状の紙粉
S 用紙
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上の静電潜像に現像剤を供給する現像手段と、
前記像担持体上の現像剤を転写媒体に転写する転写手段と、
前記像担持体の回転方向において、前記転写手段より下流側でかつ前記現像手段より上流側に配置され、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、を備え、
前記現像手段は、前記転写媒体に転写されなかった前記像担持体上の現像剤を回収するように構成されているプロセスユニットであって、
前記回転方向において、前記転写手段より下流側でかつ前記帯電手段より上流側に配置され、前記像担持体上の現像剤は通過させるとともに、前記帯電手段と同極性のバイアスが印加されて前記像担持体上の紙粉を回収する第1回収手段と、
前記回転方向において、前記第1回収手段より下流側でかつ前記帯電手段より上流側に配置され、前記像担持体上の現像剤は通過させるとともに、バイアスが印加されずに前記像担持体上の紙粉を回収する第2回収手段と、を備えていることを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記第1回収手段は、クーロン力により粉状の紙粉を回収する1次クリーニングローラであり、
前記第2回収手段は、毛を有し、その毛が前記像担持体の表面に当てられる部材であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記1次クリーニングローラから紙粉を回収する2次クリーニングローラと、
前記2次クリーニングローラに回収された紙粉を掻き取る掻取部材と、
前記掻取部材によって掻き取られた紙粉を貯留する貯留部と、をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記第2回収手段は、基布とその基布の表面に前記毛が植毛されてなる植毛群とを有する植毛布を備え、
前記毛の直径が5〜10μmであることを特徴とする請求項2または3に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記毛の長さが0.5〜0.7mmであることを特徴とする請求項4に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記植毛布の前記毛の配列密度が1500〜15000本/mmであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
前記第1回収手段は、少なくとも画像形成時に前記バイアスが印加されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−97151(P2013−97151A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239349(P2011−239349)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】