説明

プロトンポンプインヒビターに基づく経口薬

本発明は、胃腸疾患を予防及び治療において特に有用なプロトンポンプインヒビター(PPI)の調節された放出を有する経口薬に関する。本発明の目的は、理想的には、以下の特徴:a)医薬の経口投与後に胃のpHを増大することによって患者に緩和を即時に提供する;b)医薬の経口投与後の可能な限り長く、特に夜の間に亘って、胃のpHにおける増大を維持しながら、患者の回復を促進する;c)1日1回の医薬の摂取によって患者の治療の遵守及び患者の快適さを改善する、の全て又は幾つかを有するPPIに基づく新規の経口薬を提供することである。この目的のために、本発明のマイクロカプセルは、好ましくは非腸溶性であり、エチルセルロース、アンモニオメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RL 100)、ポリビニルピロリドン、ヒマシ油、及びポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油(40)でコーティングされたPPIマイクロカプセルからなる。この医薬は、1日1回の投与について摂取した後に、同じ条件下で参照即時放出型腸溶経口薬によって得られる0から24hの間の平均の胃のpH以上の0から24hの間の平均の胃のpHを、治療の1日目から維持することを可能にする。本発明は、これらのマイクロカプセル自体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、胃腸疾患の予防及び治療に特に使用され得る医薬の分野である。
【0002】
本発明は、少なくとも1つのプロトンポンプインヒビター(PPI)に基づく経口薬に関し、PPIの放出の調節を可能にする。
【0003】
慣例により、本願明細書において単数で使用される略語「PPI」は、ランソポラゾール及び/又はランソプラゾール代謝産物の少なくとも1つを除く、1つ以上のPPIを区別すること無く意味する。
【0004】
さらに具体的には、本発明に係る経口薬は大量のPPIのマイクロカプセルを好適に含み、前記PPIの各々は、胃腸管又はそれに対応するin vitroの条件下においてPPIの放出の調節のためのコーティングで覆われたマイクロ粒子に含有される。
【0005】
本発明は、そのように摂取されるPPIマイクロカプセルにも関する。
【0006】
本明細書では、「PPI」活性成分は、1つ以上のPPI自体、及び/又は1つ以上のPPI代謝産物、及び/又は1つ以上のPPI誘導体、及び/又はこれらの活性剤の任意の混合物を区別すること無く意味する。
【背景技術】
【0007】
PPIは、胃壁細胞の分泌表面のH+、K+-ATPアーゼ(プロトンポンプ)酵素システムの特異的な阻害による胃酸分泌のインヒビターである。PPIは、Helicobacter pylori感染又は他の胃疾患に関連するか又は関連しない潰瘍の治療において完全に有効であるわけではなく、且つ、多数の副作用を引き起こすヒスタミンH2受容体アンタゴニスト(胃酸分泌を阻害する)又は制酸剤の有効な代替物である。
【0008】
本発明がとりわけ関連するPPIは、ベンズイミダゾール誘導体である。
【0009】
本明細書において、「ベンズイミダゾール誘導体」は、ランソプラゾールを除く任意の置換又は非置換のベンズイミダゾールPPI、これらベンズイミダゾールPPIの1つ以上の塩、これらベンズイミダゾールPPIの任意の鏡像異性体、鏡像異性体の1つ以上の塩、これらベンズイミダゾールPPIの任意の異性体、任意のベンズイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾールPPIの任意の遊離塩基、又はこれらの活性剤の任意の混合物を区別すること無く意味する。慣例により、本明細書において単数で使用する用語「PPI」又は「ベンズイミダゾール誘導体」は、1つ以上のPPIを区別すること無く意味するであろう。
【0010】
例えば、本発明に関連する活性成分は、特にWO-A-97/25066の7頁から11頁に記載されたPPIであり、この一節を参照することによって本明細書に組み込む。WO-A-2004/035020:35-48頁、式I'は、ベンズイミダゾールに分類されるPPIの一般式を与える。
【0011】
WO-A-2004/035020のこの一節を参照によって、本明細書に組み込む。PPIの制限することない例として、以下の生産物:エソメプラゾール、レミノプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、及びラベプラゾールが挙げられる。例えば、チモプラゾール、ピコプラゾール、テナトプラゾール、及びイラプラゾールも挙げられる。
【0012】
PPIは、産生条件下で急速に分解するが、一方で中性又は塩基性のpHで比較的安定である親油性弱塩基である。
【0013】
理想的には、PPIに基づく経口薬は、以下の特性:
a)医薬の経口投与後に胃のpHの増大によって患者に効能を即時に提供する;
b)医薬の経口投与後に可能な限り長く、特に夜の間に、例えばpH 4.0を超える胃のpHにおける増大を維持して、患者の回復を促進する;
c)1日に1回の医薬の摂取による患者の治療及び緩和の遵守を改善する
を有するべきである。
【0014】
そのため、PPIに基づく経口薬は、まず、胃の下流において吸収される前に、胃内部の酸性条件からPPIを十分に保護するべきであり、次に、PPIの作用期間を最大化し、それによりその治療効果を最大化するために、可能な限り長い間に亘って効果的な治療濃度より高い濃度を維持する血漿プロフィールが得られることを可能にすることである。この目的は、血液の画分におけるPPIの限られた貯留時間により生じる。例えば、オメプラゾールの血漿半減期は、0.5から1時間である。
【0015】
これを克服するために、PPIの生体吸収時間は、胃腸管の上部において、生体吸収窓(bioabsorption window)の前における放出の賢明な調節によって延長されるべきである。
【0016】
これまで、ベンズイミダゾール誘導体のようなPPIは、酸性条件(胃)では不安定であり、胃に耐性を有するようにカプセル化、すなわち腸溶コーティングされるべきであることが一般的に受け入れられている。しかしながら、これら既知の腸溶形態は、腸に浸入した際にPPIを急速に放出し、24時間又はそれ以上、特に夜の間に亘って胃のpHの十分な増大を確実にすることが不可能である。さらに、これら腸溶形態は、患者の緩和を即時に提供することが不可能である。
【0017】
さらに、酸からPPIを保護するために、緩衝液と共にPPIを製剤化することは、既知の方法である。しかしながら、これらの製剤はPPIを保護するが、非常に長い期間に亘って胃のpHの増大を維持することは不可能である。
【0018】
PPIに基づく医薬製剤の第一の種類は、胃の酸性pH条件下における分解からPPIを保護する腸溶層によって活性成分がコーティングされている、固体のモノリシック形態に関する。
【0019】
かくして、例えば、WO-A-97/25066は、少なくとも1つの分離層(ヒドロキシプロピルメチルセルロース/タルク/マグネシウムステアレート)、少なくとも1つの腸溶層(メタクリル酸/モノ及びジグリセリド/トリエチルシトレート/ポリソルベート)、及び外層(ヒドロキシプロピルメチルセルロース/マグネシウムステアレート)によって各々が連続的にコーティングされている、(糖の中性の核にスプレーした)オメプラゾールのマイクロ顆粒を含有する錠剤を提案している。前記錠剤を製造するために、制酸剤(水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム)又はアルギネートと混合した後に、これらのマイクロ顆粒を圧縮して固める。
【0020】
このタイプの腸溶製剤は、幾つかの欠点を有する。
【0021】
腸溶コーティングの溶解はpH依存性であり、胃腸のpHは、個人間及び個人内における非常に大きな変化を示すため、その薬理動態は、in vivoにおいて大きな変化を生じ得る。
【0022】
その変化は、モノリシック経口形態の胃の貯留時間の個人間及び個人内の変化によってさらに増大される。
【0023】
さらに、腸溶コーティングはその吸収を遅延させ得るため、PPIの治療作用の開始を遅延させ得る。
【0024】
加えて、WO-A-97/25066に係るPPI及び制酸剤の腸溶マイクロカプセルに基づく錠剤は、胃のpHがpH 4.0の値を超えるべきである時間の量の所望の増大の問題に対応するものでも、これを解決するものでもない。
【0025】
簡潔には、この文献WO-A-97/25066は、上述の所望の特性a)、b)、及びc)を完全に満足するものではない。
【0026】
PPIに基づく医薬製剤の第二の種類は、緩衝剤として作用する他の活性化合物の添加によって、酸性媒体におけるPPIの分解が阻害される非腸溶形態に関する。
【0027】
かくして、PCT特許出願WO-A-02/053097は、腸溶コーティングを除き、且つ、IA属の金属の重炭酸塩及びIA族の金属の炭酸塩を組み合わせた緩衝剤と、即時に放出するPPIとを組み合わせることによって、個人間及び個人内の変化を低減することを提案している。
【0028】
このPCT出願は、腸溶製剤よりも急速な作用を可能にするランソプラゾールの安定な非腸溶製剤を提案することを目的とする。この製剤は、ランソプラゾールの作用時間を増大させ得ない。
【0029】
プロトンポンプインヒビターに基づく製剤の第三の種類は、浸透性非腸溶系(osmotic nonenteric system)に関する。
【0030】
PCT出願WO-A-00/78293は、エチルセルロース及びタルクのみからなる半透膜で皮膜コーティングされた、アルカリ剤及び1つ以上の膨潤剤(架橋されたポリビニルピロリドン)と混合したオメプラゾールを各々が含有するマイクロ顆粒を含む経口薬形態を開示している。架橋したポリビニルピロリドンの膨潤効果の下で、エチルセルロース膜が断裂し、オメプラゾールが放出され得る。出願WO-A-00/78293は、胃の環境における貯留時間をシミュレートする酸性媒体における2時間曝露の後の、2時間における活性成分の60%の放出を開示している。したがって、このPCT出願は、胃において開始する任意の放出を開示するのではなく、むしろ膨潤剤の膨潤の時間依存的な機構によって引き起こされる非腸溶放出(nonenteric release)を開示する。
【0031】
PPI製剤の第四の種類は、持続放出製剤に関する。
【0032】
PCT出願WO-A-2004/035020は、活性成分の放出が調節され、ゲル化ポリマーも含有する、特にPPIの製剤を提案する。腸溶層、又は外側への活性成分の拡散の動態を調節するポリマーの層で活性成分を含有する核をコーティングすることによって、あるいは活性成分を拡散する不溶性ポリマーマトリックスにおける活性成分の分散によって、調節された放出が得られる。WO-A-2004/035020に係る製剤に含有されるゲル化剤の役割は、胃腸管における活性成分を含有する粒子の貯留時間を増大し、かくして、吸収窓の前において、より長期間放出させ得ることである。
【0033】
例えば、前記顆粒は、メタクリルコポリマー Eudragit(登録商標)LD(腸溶)/タルク/TiO2/ポリソルベート/マクロゴールからなる腸溶性皮膜でコーティングされている。このPPIマイクロ粒子に堆積した腸溶コーティング自体が、Eudragit(登録商標)S(ゲル化ポリマー)/Eudragit (登録商標)L(ゲル化ポリマー)/タルク/トリエチルシトレートに基づく層でコーティングされて良い。
【0034】
この発明は、胃のpHが超える必要がある目的の値、及びそれを高い状態で維持する手段に関しては教示していない。さらに具体的には、この文献WO-A-2004/035020は、上述の所望の特性a)、b)、及びc)を完全に満足するものではない。
【0035】
特許US-B-6,274,173は、Helicobacterによって生じる症状の治療のための抗菌剤と組み合わせた、特定のベンズイミダゾール誘導体であるパントプラゾールの遅延型放出型経口医薬組成物を開示している。パントプラゾールの遅延型放出型錠剤又は顆粒の医薬形態は、パントプラゾール、炭酸ナトリウム、マンニトール、HPMC 2910-3、HPMC 2910-15、及びカルシウムステアレートに基づく核、エチルセルロース、ラクトース、プロピレングリコール、及びアンモニア水に基づく持続放出型不溶性中間層、並びにEudragit(登録商標)L及びトリエチルシトレートに基づく外側の腸溶コーティングを含む。
【0036】
この特許は、HPMC、プロピレングリコール、及び水酸化ナトリウムでコーティングされた糖の粒子に基づく核からなるマイクロカプセルも開示している。次いで、この核は、パントプラゾール、HPMC、プロピレングリコール、及び水酸化ナトリウムを含む活性層でコーティングされる。Eudragit(登録商標)L及びトリエチルシトレートに基づく腸溶コーティングが、次いでゼラチンカプセルに封入されるマイクロカプセル又は「ペレット」を形成するために、活性層に適用される。持続放出層を、活性層及び腸溶層の間に介在させて良い。実施例は、パントプラゾールに関するものであるが、この特許の特許請求の範囲は、パントプラゾールを除いており、PPI、特にオメプラゾール及びランソプラゾールに関する。また、パントプラゾール以外のPPI遅延型及び調節型放出の形態を、前記PPIの即時放出型の形態と組み合わせて特許請求の範囲に記載している。この特許によって開示されている医薬形態は、腸溶層を含む調節型及び遅延型放出の全ての形態であって、これは胃においてPPIを放出されることが不可能である。
【0037】
出願WO-A-99/32091は、腸溶膜で皮膜コーティングした経口薬形態、特にPPIの持続放出型の錠剤を開示している。WO-A-99/32091は、とりわけ、70%のオメプラゾールが10時間で放出されるようなin vitro放出速度を開示している。前記PPIの持続放出は、親水性及び/又は疎水性ポリマーマトリックスにおける活性成分の分散によって提供される、マトリックに基づく放出である。このポリマーマトリックスは、7以上のpHにPPIの環境を維持する制酸剤も含有して良い。オメプラゾール及び制酸剤を含有するマトリックスの核は、酸性の胃の環境から活性成分を保護する腸溶性皮膜、及び任意に腸溶層からマトリックスの核を分離するヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性ポリマーに基づく中間層で皮膜コーティングされる。前記PCT出願は、胃を離れた際にのみ持続型放出が開始するPPIの医薬形態を提案している。
【0038】
出願WO-A-2004/035090は、
・腸溶層、腸溶層とPPI核の間の(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース/タルク/マグネシウムステアレートからなる)中間分離層、及び任意に水溶性の外層(ヒドロキシプロピルメチルセルロース/マグネシウムステアレート)でコーティングされた、特に(上述のPCT出願WO/A-97/25066に記載されているような)ランソプラゾール又はオメプラゾールの、放出が調節されたマイクロ顆粒の形態におけるPPI、並びに
・即時放出型のH2受容体アンタゴニスト(シメチジン又はファモチジン)、
を含む、圧縮製剤;
・活性成分の放出を遅延させるエチルセルロース又はポリ酢酸ビニルに基づく不溶性ポリマーのコーティング層、及び腸溶層でコーティングされた、特に(例えば、上述の特許US-B-6,274,173に記載のような)ランソプラゾール又はオメプラゾールの、放出が調節されたマイクロ顆粒形態のPPI、並びに
・即時放出型のH2受容体アンタゴニスト(シメチジン又はファモチジン)
を含む圧縮製剤
を開示している。
【0039】
出願WO-A-2004/035090は、胃潰瘍及び胃痛並びにそれらに関連する疾患の治療におけるこれらの製剤のパフォーマンスレベル(performance level)に関しては全く教示しておらず、特に上述の特徴a)、b)、及びc)を満足する能力に関しては全く教示していない。
【0040】
さらに、これらの製剤は、胃におけるPPIの放出を可能にしない。
【0041】
特許EP-A-1 086 694は、可溶性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)及び/又は不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロース及びメタクリル酸アンモニウムのコポリマー)の混合物からなる少なくとも1つのコーティング層、及び腸溶外層で皮膜コーティングされたPPIのマイクロ顆粒を提示している。この皮膜コーティングは、オメプラゾールの放出速度を遅延させることが可能であり、腸溶層の存在によって、製剤が胃を離れた際にのみ放出を開始することを可能にする。
【0042】
欧州特許EP-B-0 709 087は、抗潰瘍剤として使用されるPPIのような活性成分(例えば、オメプラゾール)を含む核を有するマイクロカプセルを開示しており、核をコーティングする皮膜の組成は、60%から80%のエチルセルロース、5%から10%のポリビニルピロリドン、5%から10%のヒマシ油、及び2%から8%のマグネシウムステアレートを含む。これらのマイクロカプセルは、50から1000ミクロンの粒径を有し、5から24時間の間に亘って、すなわち自然な通過時間より2から12時間長く小腸に保持され得るように設計されている。この結果は、特に有利である。しかしながら、前記欧州特許EP-B-0 709 087は、胃潰瘍及び胃痛並びにそれらに関連する疾患の治療におけるこれらの製剤のパフォーマンスレベルを全く教示しておらず、特に上述の特徴a)、b)、及びc)を満足する能力に関しては全く教示していない。
【0043】
この様な背景において、上述の規格、特に特徴a)、b)、及びc)を完全に満たす経口薬又は製剤は存在しないことは注目すべきである。
【特許文献1】WO-A-97/25066
【特許文献2】WO-A-2004/035020
【特許文献3】WO-A-02/053097
【特許文献4】WO-A-00/78293
【特許文献5】US-B-6,274,173
【特許文献6】WO-A-99/32091
【特許文献7】WO-A-2004/035090
【特許文献8】EP-A-1 086 694
【特許文献9】EP-B-0 709 087
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
これまで提示されているPPIに基づく医学的な解決法は、したがって、胃痛(炎症)又はそれに関連する疾患(出血)に即時且つ長期の緩和について患者の期待を完全に満足するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0045】
かくして、本発明の主題の1つは、胃潰瘍及び胃痛並びにそれらに関連する疾患の治療のための改善された経口薬、さらに具体的にはPPIの放出を調節した経口医薬品を提供することである。
【0046】
本発明の他の主題は、少なくとも24時間、特に一晩の間に亘って増大された値に胃のpHを維持するように、従来の腸溶形態と比較して生体吸収時間を延長するPPIの放出を調節した経口薬を提供することである。
【0047】
本発明の他の主題は、特に以下の特徴:
a)医薬の経口投与後に胃のpHを増大することによって、患者に緩和を即時に提供する;
b)医薬の経口投与後に可能な限り長く、特に夜の間に、胃のpHにおける増大を維持しながら、患者の回復を促進する;
c)医薬を1日1回摂取することによって、患者の治療の遵守及び快適さを改善する
を満足することによって、胃痛(炎症)又は上胃部の痛み(逆流)並びにそれらに関連する疾患(出血)について患者に長期持続する緩和を即時に提供する、PPIの放出を調節した経口薬を提供することである。
【0048】
本発明の他の主題は、既知のPPIに基づく製剤を使用して得られるものよりも、長期に亘って、且つ、十分にpHの増大を患者にもたらす、PPIの放出を調節した非腸溶経口薬を提供することである。
【0049】
本発明の他の主題は、既知のPPIに基づく製剤を使用して得られるものよりも、長期に亘って、且つ、十分なpHにおける増大を患者にもたらす、マトリックス又はリザーバシステム型の、PPIの放出を調節した非腸溶経口薬を提供することである。
【0050】
本発明の他の主題は、投与用量から独立したin vitro放出プロフィールを有する、多数の放出を調節したPPIの非腸溶マイクロカプセルを含有する多層マルチマイクロカプセル経口薬を提供することである。
【0051】
本発明の他の主題は、賦形剤及び/又は緩衝剤との混合物として投与し得る、多数の放出を調節したPPIの非腸溶ミクロカプセルを提供することである。
【0052】
これらの主題は、とりわけ、1日1回の用量として摂取した後に、治療の1日目から、0から24時間の間に亘って、平均の胃のpHを、同一の条件下で参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる0から24時間の間の平均の胃のpH以上に、維持するように設計されていることを特徴とする、PPIの放出の調節を可能にするPPIに基づく経口薬に関する本発明によって達成される。
【0053】
本発明の他の薬力学的な定義によれば、本発明に係る医薬は、摂取した後に胃においてPPIの放出を開始し、朝に1日1回の用量として投与される際には治療の5日目から、摂取した後16時間から20時間の間の平均の胃のpHを、同じ条件下で投与された参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる投与後16時間から20時間の間の平均の胃のpHより大きい、好ましくは少なくとも0.5pH単位大きい、より好ましくは少なくとも1pH単位大きいpHに維持し得るように設計されている。
【0054】
この全段落で挙げた定義を満足するか又はしなくて良い医薬は、1日1回の用量として摂取した後に、治療の1日目から、同じ条件下で投与した参照即時放出型の腸溶経口薬を使用して得られる胃のpH以上の胃のpHを、投与期間(すなわち、1日1回の用量として投与される医薬のための24時間)内において少なくとも16時間、好ましくは少なくとも20時間、さらに好ましくは少なくとも22時間に亘って維持することを可能にするようにも設計されている。胃のpHが上記の条件に相当する期間は、連続又は不連続であって良い。前記期間は、投与期間に累積すると解される。
【0055】
上記の段落に挙げた定義を満足するか又はしなくて良い本発明の医薬は、1日1回の用量として摂取した後に、治療の5日目から、同じ条件下で投与した参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる胃のpH以上の胃のpHに、治療期間(すなわち、1日1回の用量として投与される医薬のための24時間)内において少なくとも13時間、好ましくは少なくとも16時間、より好ましくは少なくとも20時間に亘って維持するように設計されても良い。胃のpHが上記の条件に相当する期間は、連続又は不連続であって良い。前記期間は、投与期間に累積すると解される。
【0056】
「参照即時放出型腸溶経口薬」という表現は、本明細書において、本発明に係る医薬と同じPPIを放出し、in vitro溶解試験においてSINK条件下、pH6.8で、含有する殆どのPPIを短期間に放出する、例えば45分間、好ましくは30分間に少なくとも70%を放出する腸溶薬を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明に係る医薬と参照即時放出型腸溶経口薬との間の比較は、胃のpHにおける増大に関して、参照臨床T1試験によって実施して良い。T1試験の実験条件は、例えば、以下:クロストライアル(crosstrial)試験の過程で30の正常なヒトのボランティアに5日間に渡って1日1回の投与であって良い。胃のpHは、Digitrapper(登録商標) pH100プローブによって、1日目及び5日目に投与後の24時間に亘って4秒ごとに測定する。非生理的な異常なpHの値は、測定されないと解される。次いで、平均の胃のpHが、収集された値から計算される。
【0058】
本発明に係る医薬が、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる胃のpH以上の胃のpHに維持させることを可能にする期間は、以下の方法において予測される。
【0059】
本発明に係る医薬のT1試験において測定される胃のpHのプロフィールと、参照製剤のT1試験において測定される胃のpHのプロフィールとは、まず第1に、t-15分;t+15分の期間に亘って得られた平均値によって、各瞬間tにおけるpHの値を置き換えることによって洗練される。本発明に係る製剤が参照製剤によって与えられるpHよりも大きいpHを与える期間が、次いで、洗練されたプロフィールに対して測定される。
【0060】
この臨床試験は、T1試験の条件下で特異的に得られる薬力学的特性によって本発明を規定する。それにもかかわらず、本発明は、このT1試験の条件下における具現化に制限されない。
【0061】
本発明に係る放出調節医薬は、例えば、リザーバ型又はマトリックス型のシステムである。
【0062】
本発明のために、用語「リザーバ型のシステム」は、PPIを含有する物質の容量が、皮膜を通じてPPIを拡散することによってPPIの放出速度を調節し、いずれのPPIも含有しない、少なくとも1つの皮膜で完全にコーティングされていることを意味することを意図する。システムが胃腸管の流動体に接触した後に続いて、この放出が生じる。PPIを含有する物質は、例えば、PPI自体、又は製薬学的な賦形剤及びPPIの混合物である。リザーバシステムは、例えば、多数の個々にコーティングされたマイクロカプセル又はモノリシックのシステム、例えば、1つ(以上)のコーティングされた錠剤、又は代替的には多数のコーティングされたマイクロカプセルを含有する錠剤若しくは任意の他の医薬品としての形態を含む。
【0063】
本発明のために、用語「マトリックスシステム」は、PPIの放出速度を調節するマトリックスとして既知のポリマー相に、PPIが分散しているシステムを意味することを意図する。このマトリックスは侵食性又は非侵食性であって良い。
【0064】
前記マトリックスは、当業者に既知の製薬学的な賦形剤からなる。マトリックスシステムは、例えば、少なくとも1つの皮膜でコーティングされていないか又は完全にはコーティングされていない、PPIを含有する多数のマトリックスマイクロ顆粒(マトリックス成分)を含む。マトリックスシステムは、例えば、リザーバシステムを含有しない、少なくとも1つの連続的な皮膜で完全にはコーティングされていない1つ(以上)の錠剤のようなモノリシックなシステム(マトリックス成分)であっても良い。かくして、マトリックスシステムは、例えば、ポリマーマトリックスに分散されている即時及び持続放出型のPPI顆粒を含む錠剤であって良い。
【0065】
好ましくは、本発明に係るPPIに基づく経口薬は、PPIの放出を調節した多数のマイクロカプセル(リザーバ成分)を含み、前記マイクロカプセルの個々が、PPIを含有し、PPIの放出の調節を可能にする少なくとも1つのコーティングで覆われている少なくとも1つのマイクロ粒子を含む、リザーバ型のシステムである。
【0066】
本発明の開示において、表現「参照即時放出型腸溶経口薬」は、本発明に係る医薬と同じPPIを放出し、in vitro溶解試験においてSINK条件下、pH6.8で、含有する殆どのPPIを比較的短期間に放出する、例えば45分間、好ましくは30分間に少なくとも70%のPPIを放出する腸溶コーティングを含む。
【0067】
本明細書において参照する全ての溶解プロフィールは、「Dissolution test for solid oral forms」という表題のEuropean Parmacopoeia第4版の説明に従って実施し、タイプII溶解試験は、10、40、又は80 mgの試験用量のPPIで37℃においてSINK条件下で実施し、他に示さない限り100rpmで攪拌する。
【0068】
本発明の開示において、用語「マイクロカプセル」は、PPIを含み、PPIの放出の調節を可能にする少なくとも1つのコーティングで皮膜コーティングされているマイクロ粒子を意味する。非皮膜コーティングPPIマイクロ粒子は、例えば、PPIを含有する少なくとも1つの層でコーティングされた中性の核であるか、又はPPIを含む担体賦形剤のマトリックスによって形成される純粋なPPIのマイクロ粒子若しくは顆粒であって良い。
【0069】
有利には、皮膜コーティング(又はコーティング)の被覆は、活性成分の放出が終わるまで生体内において破れ及び/又は破壊することを防止するために十分な機械的強度を有する。
【0070】
これらのリザーバマイクロカプセルは、胃及び小腸における、PPI、及び任意に1つ以上の他の活性成分の移行及び調節された放出を可能にする担体として比較されて良い。
【0071】
本発明の特筆すべき実施態様によれば、本発明の医薬は、摂取後に、PPIの放出が胃において開始し、1日1回の用量として投与される際に、治療の5日目又は治療の1日目から、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用して4.0以上の値にpHが維持される期間D*以上の期間D(期間Dは、期間D*よりも、少なくとも5%(Dに対する%)、さらに好ましくは少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%以上である)に亘って、4以上の値に胃のpHを維持することを可能にする様に設計される。
【0072】
本発明の特筆すべき実施態様によれば、本発明の医薬は非腸溶であることを特徴とする。
【0073】
第二の実施態様の好ましい形態によれば、前記医薬はPPIの放出を調節したマイクロカプセルを含み、PPIマイクロカプセルのコーティングが非腸溶であることを特徴とする。
【0074】
本発明のために、「腸溶薬又はコーティング」という表現は、胃の条件下で放出せず、小腸で放出する胃耐性(gastroresistance)薬又はコーティングを意味することを意図する。特に上述のものを含む、多数の公開されている特許出願は、腸溶薬又はコーティングを開示している。US Pharmacopeia: "USP 28 NF 23 EDITION 2005"は、腸溶薬又はコーティングの定義も与える。
【0075】
特に、本発明のための非腸溶薬又はコーティングは、腸溶ポリマーを十分な量、すなわち薬化学的観点から特に有効であるのに十分な量で含有しない医薬又はコーティングであって良い。用語「腸溶」ポリマーは、ポリマーの性質に依存して、5、5.5、6、又は7の各々以下のpHでは不溶であり、このpHより高いpHで可溶性のポリマーを意味する。
【0076】
本発明に係る医薬、好ましくは多層マイクロカプセル医薬の患者又は個人への投与は、少なくとも24時間及び特に一晩に亘って、胃のpHにおける増大をもたらす。この胃のpHにおける増大は、胃用のプローブ(gastric probe)によって胃のpHをin situで測定することによって観察され得る。
【0077】
本発明に係る医薬は、N人(好ましくはN≧20又は30人)のヒトのサンプルに医薬を経口投与する参照T2臨床試験において得られる血漿濃度プロフィールによって特徴付けられても良い。各患者の個々の血漿濃度プロフィールを次いで測定し、これから血漿濃度が最大値に達した後の時間Tmax及び最大の濃度の値Cmaxのような薬動力学的パラメータの各々を出す。これらの個々のパラメータに基づいて、当業者は、従来これらのパラメータの平均値及びそれらの標準偏差を計算している。これらのパラメータの議論についての更なる詳細は、文献:Pharmacokinetics and Pharmacodynamic Data Analysis, 3rd ed., J. Gabrelsson et al., Kristianstads Bocktryckeri AB, Sweden, 2000において確認されるであろう。
【0078】
T2臨床試験の実験条件は、例えば、以下:クロストライアル試験の経過において、20の正常なヒトのボランティアに対する、朝食前の1日1回の形態(ゼラチンカプセル、錠剤、サッシェ、又は懸濁剤)の投与のようなものである。PPIの血漿濃度は、投与後0-0.25-0.5-0.75-1-1.5-2-3-4-6-8-10-12-16-18-20-24-36-48時間という時間で測定する。このT2臨床試験は、試験の条件下で特異的に得られる薬動力学的特性によって本発明を規定する。それにもかかわらず、本発明は、このT2臨床試験の条件下での実施に限らない。
【0079】
かくして、このT2試験に関して、本発明に係る医薬は、1日1回の用量で投与する際に、その用量を摂取した後に以下:
Cmax/C12h≦Cmax*/C12h*
好ましくは、1.5×Cmax/C12h≦Cmax*/C12h
及びさらに好ましくは、2.0×Cmax/C12h≦Cmax*/C12h
[-C12hは、前記用量摂取後12時間のPPIの平均血漿濃度を表わす、
-C12h*は、同じ用量の同じPPIを含有する参照即時放出型腸溶経口薬を使用して、C12hと同じ条件下で得られたPPIの平均血漿濃度を表わす、
-Cmaxは、前記用量摂取後のPPIの平均最大血漿濃度を表わす、
-Cmax*は、同じ用量の同じPPIを含有する参照即時放出型腸溶経口薬を使用して、Cmaxと同じ条件下で得られた同じPPIの平均最大血漿濃度をあらわす]
に規定する血漿プロフィールを得ることを可能にするように設計されていることを特徴とする。
【0080】
本明細書において、用語「調節した放出」は、45分以上の時間で、pH6.8におけるin vitro溶解試験において、70%のPPIが放出される経口薬によるPPIの放出を意味することを意図する。
【0081】
放出調節医薬は、例えば、即時放出相及び遅延放出相を含んで良い。
【0082】
放出調節医薬は当該技術分野において良く知られており、例えば、The science and practice of pharmacy, 19th edition, Mack Publishing Co. Pennsylvania, USAを参照のこと。
【0083】
調節された放出は、特に、持続放出型及び/又は遅延放出型であって良い。
【0084】
本発明に係る多相マイクロカプセル医薬は、PPIマイクロカプセルが、
-70%のPPIが、1から10時間の間、好ましくは2から8時間の間、及びさらに好ましくは2から6時間の時間で放出され、且つ
-40%のPPIが、0.5から5時間の間、好ましくは1から4時間の間、及びさらに好ましくは1から3時間の間の時間で放出される
ように、pH6.8でリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有することも特徴として良い。
【0085】
マイクロカプセルがPPIとしてオメプラゾールを含有する場合における具体的な定義よれば、オメプラゾールマイクロカプセルは、
-70%のオメプラゾールが、2時間から8時間の間、好ましくは2時間から5時間の間の時間にで放出される、
-40%のオメプラゾールが、1時間から4時間の間、好ましくは1時間から3時間の間の時間にで放出される、
-少なくとも70%のオメプラゾール、好ましくは少なくとも90%のオメプラゾールが、10時間で放出される
ように、pH6.8でリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有する。
【0086】
本発明に係る医薬の他の定義によれば、PPIマイクロカプセルは、2時間からt(70%)の間の時間tの任意の値に関して、好ましくは1時間からt(70%)の間の時間tの任意の値に関して、溶解した(放出した)PPIの%は、35t/t(70%)以上であり;すなわち、2時間からt(70%)の間の任意の時点に、好ましくは1時間からt(70%)の間の任意の時点においても、t(70%)と称される時間で70%のPPIを放出する本発明に係るプロフィールが、同じ時間t(70%)において半分のPPI(すなわち、35%)を放出する直線的プロフィールより上のままであるように、pH6.8でリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有する。
【0087】
有利には、前記医薬は、少なくとも1つの外側の緩衝剤を含む。
【0088】
本発明のために、用語「外側の緩衝剤」は、単数並びに複数において、単一の化合物又は化合物の混合物を意味するであろう。PPIの調節された放出を有する、マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)を使用して製剤化及び/又は投与される、この外側の緩衝剤は、PPIの酸分解を妨げ、且つ、そのバイオアベイラビリティーを維持する効果を有する。
【0089】
本発明のために、「外側」という記述は、緩衝剤がマトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)の外側であることを示す。マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)に含有される緩衝剤は、そのため、本発明のための外側の緩衝剤としては記載され得ない。外側の緩衝剤は、マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)から分離した1つ以上の独立した構造の形態において本発明に係る医薬に存在する。
【0090】
好ましくは、本発明に係る医薬は、まず、マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)、及び次に、外側の緩衝剤を各々が含有する1つ以上の同じ医薬単位(例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、又はサッシェ)からなる。
【0091】
しかしながら、他の変形例によれば、本発明に係る医薬は、まず、マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)を各々が含有する1つ以上の医薬単位(例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、又はサッシェ)からなり、及び、次に、外側の緩衝剤を各々が含有する1つ以上の医薬単位(例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、又はサッシェ)からなって良い。
【0092】
他の変形例によれば、本発明に係る医薬は、
-まずマトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)、及び次に外側の緩衝剤を各々が含有する、1つ以上の同じ医薬単位(例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、又はサッシェ);
-並びに、マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)を各々が含有する1つ以上の医薬単位(例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、又はサッシェ) 、並びに/あるいは外側の緩衝剤を各々が含有する1つ以上の医薬単位(例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、又はサッシェ)
を含む。
【0093】
1つの変形例によれば、前記医薬は、外側の緩衝剤無しで少なくとも1つのマトリックス成分を含む。
【0094】
本発明に係る医薬は、投与前に粉末及び水から再構成される複数用量の経口懸濁剤の形態であっても良い。
【0095】
本発明の必要のために、外側の緩衝剤は、有利には、少なくとも1つの弱塩基又は強塩基の医薬品として許容される化合物を含む。
【0096】
例えば、前記外側の緩衝剤は、以下のリスト:
アミノ酸およびそれらの塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、以下の塩:水酸化物、酸化物、乳酸塩、グルコン酸塩、炭酸塩、セスキ炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、又は塩化物から好適に選択されるこれらの塩、
から選択されて良いが、これらに限らない。緩衝剤は、当然ながら、これらの化合物の全て又は幾つかの混合物であって良い。
【0097】
外側の緩衝剤又は外側の緩衝剤の一部は、好ましくは、非常に高い、例えば10mEq/g(ミリ当量/g)以上、好ましくは20mEq/g以上、さらに好ましくは40mEq/g以上の緩衝能を有する。その様な緩衝剤は、飲み込むことに関して許容されることにより、服用遵守を改善し、治療を成功させる合理的なサイズの医薬単位を調製することを可能にする。
【0098】
外側の緩衝剤は、好ましくは、任意に酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムと組み合わせた炭酸カルシウムである。
【0099】
本発明の特筆すべき特徴によれば、前記医薬は、0から100mEq、好ましくは2から40mEqの外側の緩衝剤を含有する。
【0100】
第一の好ましい実施態様によれば、外側の緩衝剤は炭酸カルシウムを含む。
【0101】
この第一の好ましい実施態様の有利な変形例によれば、炭酸カルシウムは、2から15mEq、好ましくは5から10mEqの割合で存在する。
【0102】
第二の好ましい実施態様によれば、外側の緩衝剤は酸化マグネシウムを含む。
【0103】
有利には、前記外側の緩衝剤は、5から35mEqの間、好ましくは5から25mEqの酸化マグネシウムを含む。
【0104】
第三の実施態様によれば、外側の緩衝剤は、3から7mEqの炭酸カルシウム、及び酸化マグネシウム/カルボン酸カルシウムのミリ当量における比率が1.5から5の間であるような多量の酸化マグネシウムを含む。
【0105】
制限されない例によれば、外側の緩衝剤は、約5mEqの炭酸カルシウム及び約12.5mEqの酸化マグネシウムを含む。
【0106】
第四の実施態様によれば、選択される外側の緩衝剤は、水酸化マグネシウムを含む。
【0107】
有利には、前記選択される外側の緩衝剤は、5mEqから30mEqの間、好ましくは5mEqから20mEqの間の水酸化マグネシウムを含む。
【0108】
第五の実施態様によれば、選択される外側の緩衝剤は、3から7mEqの炭酸カルシウム、及び水酸化マグネシウム/炭酸カルシウムのミリ当量における比率が1.5から5の間であるような多量の水酸化マグネシウムを含む。
【0109】
制限されない例によれば、前記選択される外側の緩衝剤は、約5mEqの炭酸カルシウム及び約8.5mEqの水酸化マグネシウムを含む。
【0110】
実際には、前記緩衝剤は、例えば即時放出型である。
【0111】
有利には、PPIのマトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)は、少なくとも1つの内側の緩衝剤を含有して良い。外側の緩衝剤とは異なり、内側の緩衝剤はマトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)の内部に存在する。
【0112】
前記内部の緩衝剤は、弱塩基又は強塩基の医薬品として許容される化合物から選択されて良く、例えば、いかに記載する緩衝剤のリスト:
アミノ酸及びそれらの塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、以下の塩:水酸化物、酸化物、乳酸塩、グルコン酸塩、炭酸塩、セスキ炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、又は塩化物から好適に選択されるこれらの塩、
から選択される。緩衝剤は、当然ながら、これらの化合物の全て又は幾つかの混合物であって良い。
【0113】
この内側の緩衝剤は、好ましくは、水酸化マグネシウムを含む。
【0114】
PPIと直接接触するこの内側の緩衝剤は、マトリックス又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)の内側で生じる可能性があるPPIの任意の酸分解を妨げる効果を有する。
【0115】
好ましくは、リザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)のコーティングは、PPIの調節された放出を制御する少なくとも1つの層を含み、その組成は、以下:
A.胃腸管の流動体に不溶性の少なくとも1つの皮膜形成(コ)ポリマー(A);
B.任意に、胃腸管の流動体に不溶性であり、胃腸管の流動体中でイオン化する基を有する、少なくとも1つの親水性皮膜形成(コ)ポリマー(B);
C.胃腸管の流動体に可溶性の少なくとも1つの(コ)ポリマー(C);
D.少なくとも1つの可塑剤(D);
E.任意に少なくとも1つの界面活性剤及び/又は潤滑剤(E)
である。
【0116】
本発明の好ましい実施態様によれば:
(A)は、以下の生成物:
-セルロース、好ましくはエチルセルロース及び/又はセルロースアセテートの非水溶性誘導体、
-ポリ酢酸ビニル、
-及びそれらの混合物
の群から選択される;
(B)は、非水溶性の荷電したアクリルポリマー、好ましくは少なくとも1つの四級アンモニウム基を有するアクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステルの(コ)ポリマーから選択され;(B)は、さらに好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドの少なくとも1つのコポリマー、さらに具体的にはEudragit(登録商標)RS及び/又はEudragit(登録商標)RL[アクリル酸エステル(エチルアクリレート)と、(メタ)アクリル酸エステル(メチル(メタ)クリレート)と、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドとのコポリマー]という商標で市販されている製品、例えば、粉末状のEudragit(登録商標)RL PO、及び/又はEudragit(登録商標)RS PO、及び/又は顆粒状のEudragit(登録商標)RL 100、及び/又はEudragit(登録商標)RS 100、及び/又はこれらのEudragit(登録商標)RL及びEudragit(登録商標)RSの懸濁物及び/又は溶液、すなわちEudragit(登録商標)RL 30D、及び/又はEudragit(登録商標)RS 30D、及び/又はEudragit(登録商標)RL 12.5、及び/又はEudragit(登録商標)RS 12.5を含む;
(C)は、
-好ましくは、ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリ-N-ビニルラクタムを含む群から選択される、窒素(コ)ポリマー;
-セルロースの水溶性の誘導体、
-ポリビニルアルコール(PVA)、
-ポリオキシエチレン(POE)、
-ポリエチレングリコール(PEG)、
-親水コロイド、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、イナゴマメガム、カラギーナン、ゼラチン、寒天、変性若しくは未変性デンプン、デキストリン、又はアルギネート、
-及びそれらの混合物
から選択される、
ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、及びヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい;
(D)は、
-セチルアルコールエステル、
-グリセロール及びそのエステル、好ましくは、以下の亜群:アセチルグリセリド、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリアセテート(トリアセチン)、グリセリルトリブチレートから選択される、
-フタレート、好ましくは、以下の亜群:ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートから選択される、
-シトレート、好ましくは、以下の亜群:アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレートから選択される、
-セバケート、好ましくは、以下の亜群:ジエチルセバケート、ジブチルセバケートから選択される、
-アジペート、
-アゼレート、
-ベンゾエート、
-植物油、
-フマレート、好ましくはジエチルフマレート、
-マレート、好ましくはジエチルマレート。
-オキサレート、好ましくはジエチルオキサレート、
-スクシネート、好ましくはジブチルスクシネート、
-ブチレート、
-サリチル酸、
-マロネート、好ましくはジエチルマロネート、
-ヒマシ油(後者が特に好ましい)
-及びそれらの混合物
を含む群から選択される、
(E)は、
-アニオン性界面活性剤、好ましくは、脂肪酸、ステアリン酸、及び/又は好ましくはオレイン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の亜群から選択される、
-及び/又は非イオン性界面活性剤、好ましくは、以下の亜群:
・ポリオキシエチレン化油、好ましくはポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油、
・ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー、
・ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、
・ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体、
・ステアレート、好ましくはカルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、アルミニウムステアレート、又は亜鉛ステアレート、
・ステアリルフマレート、好ましくはナトリウムステアリルフマレート、
・グリセリルベヘネート、
・及びそれらの混合物
から選択される、
を含む群から選択される。
【0117】
特に有利な実施態様によれば、放出を調節する層の組成は、以下
A.皮膜形成ポリマー(A)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで10重量%から90重量%、好ましくは20重量%から40重量%の割合で存在する;
B.非水溶性親水性皮膜形成ポリマー(B)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで10重量%から90重量%、好ましくは20重量%から40重量%の割合で存在する;
C.胃腸管の流動体に可溶性のポリマー(C)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで2重量%から25重量%、好ましくは5重量%から15重量%の割合で存在する;
D.可塑剤(D)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで2重量%から20重量%、好ましくは4重量%から15重量%の割合で存在する;
E.任意に界面活性剤及び/又は潤滑剤(E)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで2重量%から20重量%、好ましくは4重量%から15重量%の割合で存在する、
である。
【0118】
したがって、PPIとしてオメプラゾールを含有するリザーバミクロカプセルの場合では、この特定のPPIに限定するものではないが、放出を調節する層が、好ましくは、以下:
A.皮膜形成ポリマー(A)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで40重量%から55重量%、好ましくは45重量%から55重量%の割合で存在する;
C.可溶性ポリマー(C)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで15重量%から30重量%、好ましくは20重量%から30重量%の割合で存在する;
D.少なくとも1つの可塑剤(D)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで、3重量%から10重量%、好ましくは3重量%から7重量%の割合で存在する;
E.任意に界面活性剤及び/又は潤滑剤(E)が、コーティング組成物の総重量に対して、乾燥ベースで10重量%から30重量%、好ましくは15重量%から25重量%の割合で存在する、
の量の組成を有する。
【0119】
好ましくは、意図されるオメプラゾールである本発明の1つの実施態様では、この特定のPPIに限定するものではないが、リザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)のコーティングは、少なくとも1つのオメプラゾールの放出を調節する層を含む。この層の組成は、以下:
(A)は、以下の生成物:セルロースの非水溶性の誘導体、好ましくはエチルセルロース、及び/又はセルロースアセテートの群から選択される;
(C)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びセルロースの水溶性の誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース;PVPが好ましい;
(D)はヒマシ油である;
(E)は、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー、好ましくは、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックターポリマーから選択される、
である。
【0120】
さらに詳細には、特に質及び量の詳細については、このコーティング組成物の少なくとも幾つかの成分について、参照によってその内容を本明細書に取り込む欧州特許EP-B-0 709 087又はPCT出願WO-A-2004/010983及びWO-A-2004/010984を参照する。
【0121】
単層又は多層コーティングは、コーティングの分野で従来使用されている他の更なる各種の補助剤を含んで良い。例えば、顔料、染料、フィラー、消泡剤などであって良い。
【0122】
本発明の特定の実施態様によれば、PPIの放出の調節を制御するマイクロカプセルのコーティングは、単層又は単一の皮膜コーティングからなる。このことは製造を単純化し、コーティングの程度を限定する。
【0123】
さらに、本発明に係る医薬は、「リザーバ」成分(例えば、マイクロカプセル)のコーティングは非腸溶性であり、pHにかかわりなく、特に5.0以上のpHで崩壊しない。
【0124】
マトリックス成分のマトリックスは、いかなる医薬品として許容される賦形剤を含んでも良く、リザーバ成分の組成として特に上述したものを含んで良い。
【0125】
有利には、これらのマトリックスシステムを製造するために使用する主要な機能性物質は、以下の群;
-胃腸管の流動体に可溶性である親水性ポリマー、例えば、ポビドン、セルロースの水溶性の誘導体、キサンタンガム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなど
-胃腸管の流動体に不溶性の疎水性ポリマー、例えば、セルロースの非水溶性の誘導体、非水溶性の(メタ)アクリルポリマー、ポリビニルアセテートなど
に相当する。
【0126】
他の賦形剤が、マトリックス化合物の製剤化に組み込まれても良く、例えば、崩壊剤、潤滑剤、ロウ状化合物、染料、可塑剤、フィラー、pH調整剤、pH感受性化合物、界面活性剤、香味剤などである。
【0127】
有利には、マイクロカプセルの直径は、1000μm以下、好ましくは5から800μmの間、さらに好ましくは100から600μmの間である。PPIがオメプラゾールであるマイクロカプセルの特定の場合では、マイクロカプセルの直径は、100から500μmの間、好ましくは100から400μmの間、さらに好ましくは100から300μmの間であって良い。
【0128】
本発明の開示に関連するマイクロ粒子及びマイクロカプセルの直径は、他に示さない限り、容量平均直径である。
【0129】
マイクロカプセルにおけるPPIの割合(マイクロカプセルの全重量に対して、乾燥ベースでの重量%として表わされる)は、5から95の間、好ましくは10から85の間、さらに好ましくは20から70の間である実施態様が好ましい。
【0130】
PPIの放出の調節を制御する単層又は多層コーティング(又は皮膜コーティング)に関しては、例えば、マイクロカプセルの40重量%以下、好ましくは15重量%以下を占める。マイクロカプセルがPPIとしてオメプラゾールを含有する特定の実施態様によれば、放出を調節する層は、オメプラゾールマイクロカプセルの全重量に対して、2重量%から25重量%、好ましくは5重量%から20重量%、さらに好ましくは5重量%から15重量%を占める。
【0131】
その様な限定された程度のコーティングは、飲み込むことに関して完全に許容されないサイズを超えることなく、高用量のPPIを各々が含有する医薬単位を調製することを可能にする。治療の遵守及びそのため治療の成功が、これによってのみ改善されて良い。
【0132】
本発明に係る医薬の好ましい多層マイクロカプセルの実施態様において使用するマイクロカプセルの構造に関しては、マイクロカプセルの構造の2つの好ましい実施態様を、非制限的な様式で以下に詳述する。
【0133】
第1の実施態様によれば、PPIの放出が調節されたマイクロカプセルの少なくとも一部が、各々、以下:
-下記のコーティングで覆われたPPIのマイクロ粒子、
-PPIの放出を調節することを可能にする少なくとも1つのコーティング
を含む。
【0134】
好ましくは、PPIのマイクロ粒子は、1つ以上の他の医薬品として許容される成分とともに、粗(純)PPI又はPPIのマトリックス顆粒からなる。
【0135】
第二の実施態様によれば、PPIの放出が調節されたマイクロカプセルの少なくとも一部が、各々、以下:
-中性の核、
-PPIを含み、中性の核をコーティングする少なくとも1つの活性層、及び
-PPIの放出の調節を制御する少なくとも1つのコーティング
を含む。
【0136】
第一の可能性によれば、中性の核は、スクロース及び/又はデキストロース及び/又はラクトースを含有する。
【0137】
第二の可能性によれば、中性の核は、セルロースマイクロスフェアである。
【0138】
有利には、中性の核は、800μm以下、好ましくは20から500μmの間の平均径を有する。
【0139】
前記活性層は、PPIに加えて、少なくとも1つの内側の緩衝剤、及び/又は少なくとも1つのPPI以外の活性成分、及び/又は1つ以上の医薬品として許容される賦形剤を任意に含んで良い。
【0140】
任意の内側の緩衝剤が、例えば、PPIマイクロ粒子(コーティングされた中性の核又は粒子)内に含まれて、マイクロカプセルが調製され、PPIに直接接触する。内側の緩衝剤は、例えば:
-PPIを含有し、中性の核を覆う活性層においてPPIと密接に混合され、
-又は、顆粒を形成する賦形剤のマトリックスにおいてPPIと共に含まれ、
-又は、純粋なPPIのマイクロ粒子に皮膜コーティングされ、
-又は、核に単独若しくは混合物として組み込まれて良い。
【0141】
有利には、PPIの放出を調節することを可能にするコーティングを付着させるため、又はPPIに基づく活性層を付着させるための技術は、当業者に知られた技術であり、例えば、流動空気床スプレーコーティング技術、湿式造粒、圧縮、押し出し球形化などである。
【0142】
PPIマイクロカプセルは、全て、生物によって、特に胃のレベルにおいて完全に許容される際、更には即時且つ経済的に得られ得る際にも、さらに有利である。
【0143】
本発明に係る医薬は、PPIに加えて、1つ以上の活性成分を含んで良い。この他の活性成分は、PPIを含んで良いか又は含まなくて良く、活性成分の調節された放出を有する、マトリックス成分又はリザーバ成分(例えば、マイクロカプセル)に含まれて良い。
【0144】
本発明の有利な変形例によれば、PPIに基づく経口薬は、好ましくは、以下の活性成分:シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ファモチジン、それらの医薬品として許容される塩、それらの異性体、及びそれらの異性体の塩、並びにこれらの各種の活性成分の任意の混合物を含む群から選択される、少なくとも1つのH2受容体アンタゴニストを含んでも良い。
【0145】
本発明に係る医薬は、PPIの調節された放出を有するマクロカプセルからなるマイクロ単位及び/又はマイクロカプセル以外のPPIのマイクロ単位、例えばマトリックス(マイクロ)粒子を含んで良い。それらは、例えば、PPI及び/又は他の活性成分の即時放出を有するマイクロ粒子であって良いであろう。これらの即時放出型マイクロ粒子は、上述のマイクロカプセルの調製で使用されて良いものと同じタイプのものであって良い。
【0146】
さらに、本発明に係る医薬からなるマイクロ単位(マイクロ粒子及び/又はマイクロカプセル)の集合は、各種の集合のマイクロ単位によって形成されて良く、これらの集合は、少なくとも、これらのマイクロ単位に含有されるPPI以外の活性成分の性質によって互いに異なり、及び/又はそれらが含有するPPI又は他の任意の活性成分の量によって互いに異なリ、及び/又はコーティングの組成によって互いに異なり、及び/又は放出調節型又は即時放出型であることによって互いに異なる。
【0147】
上記マイクロカプセルは、特に胃の疾患に関して最適化された治療パフォーマンスレベルを有する新規のPPIに基づく製剤又は医薬の製造のために使用されて良く、各種の医薬品の形態:崩壊錠若しくは分散錠、ゼラチンカプセル、マトリックス錠若しくは顆粒、サッシェ、又はマイクロカプセルの放出プロフィールが調節されずに再構成される複数用量懸濁剤において好ましい。
【0148】
有利には、PPIの調節された放出を有するマイクロカプセルを含有する医薬は、従来の医薬品として許容される当業者に既知の賦形剤も含み、例えば、錠剤の形態のマイクロカプセルを提供するために使用されて良い。例えば、これらの賦形剤は、特に、
-圧縮剤、例えば、ミクロクリスタリンセルロース又はマンニトール、
-染料、
-崩壊剤、例えば、クロスポビドン、又は架橋ポリビニルピロリドン、又は架橋ポビドン;クロスカルメロースナトリウム、又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース;ナトリウムデンプングリコレート;アルファ化コーンスターチ、
-フロー剤、例えばタルク、
-潤滑剤、例えば、グリセリルベヘネート、
-香味剤、
-保存剤、
-及びそれらの混合物
であって良い。
【0149】
前記医薬が錠剤の形態である際は、前記錠剤は、その保存、色、外観、味を隠すこと(taste masking)などを改善するために当業者に既知の技術及び製剤によってコーティングされて良い。
【0150】
好ましくは、前記医薬が錠剤の形態である際は、上述のようなPPIの調節された放出を有する多数のマイクロカプセルを含む。好ましい変形例では、前記錠剤は、同等性因子(similarity factor)f2に従って前記錠剤のマイクロカプセルと同様の、pH6.8でのリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有する。実際には、同等性試験は、以下のように規定される:2つの溶解プロフィールの間の同等性を、CPMP/QWP/604/96(付属書類3)と参照される文献である医薬品の評価のための欧州の機構からの文献「Quality of modified release products」に規定されるような同等性の因子であるf2によって評価する。50から100の間のf2値は、2つの溶解プロフィールが類似していることを示す。
【0151】
特に、前記錠剤は、多数のPPIの調節された放出を有するマイクロカプセルに加えて、
-5から25mEqの外側の緩衝剤、好ましくは10から20mEqの外部の緩衝剤、
-錠剤の全重量が1000mg、好ましくは800mg、更に好ましくは600mgを超えないような量の圧縮賦形剤、
を含有する。
【0152】
錠剤の形態における医薬の変形例では、外側の緩衝剤が、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、及びそれらの混合物から選択される。
【0153】
好ましくは、前記錠剤は、後のものほど好ましい順において80N、100N、120Nより大きな硬度を有する。好ましくは、前記硬度は300N未満であり、良好には200N未満である。本発明の変形例によれば、前記錠剤の硬度は、100Nから150Nの間である。
【0154】
用量に関しては、本発明に係る医薬は、これに制限されないが、1mgから500mgのPPIを含む1日1回の経口用量の形態で有利に存在して良い。
【0155】
本発明に係る新規のPPIに基づく医薬は、それらの構造、それらの提供、及びそれらの組成に関して独創的であり、特に1日1回の用量で経口投与されて良い。
【0156】
同じゼラチンカプセル、同じ錠剤、又は同じ経口懸濁剤のための粉末剤において、異なるPPI放出動態を有するが、本発明の特徴的な構成に含まれる、少なくとも2つのタイプのマイクロカプセルを混合することが有利であって良いことに注目すべきである。
【0157】
本発明に係るマイクロカプセルを、生体内で即時に利用可能な(即時放出型の)一定量のPPIと混合し得ることも想起されて良い。
【0158】
制限することを意図せずに、それにもかかわらず、本発明に係る医薬は、
-一部がPPIを含有する100から500 000マイクロ単位を含む1日1回の経口用量の形態;
-PPIの調節された放出を有する100から500 000マイクロカプセル、及び任意に少なくとも1つの他の活性成分を含む1日1回の経口用量の形態
であって良いことが特に有利であることを強調すべきである。
【0159】
さらに、本発明は、好ましくは錠剤、経口懸濁剤のための粉末剤、又はゼラチンカプセルの形態におけるマイクロ粒子の医薬品の経口剤形の調製のための、上述のマイクロ粒子の使用に関する。
【0160】
最後に、本発明は、一定の用量によって、上述のマイクロカプセル自体を含む上述の医薬を飲み込むことから本質的に構成されることを特徴とする、治療方法にも関する。
【0161】
他の態様によれば、本発明は、上述のマイクロカプセル自体にも関する。
【0162】
本発明は、説明の目的でのみ挙げる以下に記載する実施例によって、更に明確に説明され、本発明を完全に理解すること及びその調製及び/又は方法の変形例並びにその各種の利点を明らかにすることを可能にするであろう。
【実施例】
【0163】
(実施例1)
オメプラゾール顆粒
700gのオメプラゾール及び100gのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF(登録商標)Aqualon)を、3000gのイソプロパノールに分散させる。その懸濁物を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において200gの中性のマイクロスフェア(Asahi-Kasei)にスプレーする。
【0164】
得られた顆粒は、70%のオメプラゾール濃度を有する。
【0165】
(実施例2)
オメプラゾールの持続放出型マイクロカプセル
50gのエチルセルロース(Ethocel 20 Premium(登録商標)/Dow)、20gのポビドン(Plasdone K29/32(登録商標)/ISP)、20gのポロキサマー188(Lutrol F-68(登録商標)/BASF)、及び10gのヒマシ油を、60%のイソプロパノール及び40%のアセトンからなる混合物に分散させる。この溶液を、900gのオメプラゾール顆粒(実施例1で調製)にスプレーする。
【0166】
得られたマイクロカプセルを、次いで、サイズ3のゼラチンカプセルに入れる。ゼラチンカプセルごとのオメプラゾールの用量は、この試験において80mg(すなわち、127mgのマイクロカプセル)に固定した。このゼラチンカプセルは、医薬の最終形態を構成する。
【0167】
マイクロカプセルを含有するゼラチンカプセルは、37℃及び100rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。
【0168】
(実施例3)
オメプラゾールの持続放出型マイクロカプセル
100gのエチルセルロース(Ethocel 20 Premium(登録商標)/Dow)、40gのポビドン(Plasdone K29/32(登録商標)/ISP)、40gのポロキサマー188(Lutrol F-68(登録商標)/BASF)、及び20gのヒマシ油を、60%のイソプロパノール及び40%のアセトンからなる混合物に分散する。この溶液を800gのオメプラゾール顆粒(実施例1で調製)に分布させる。
【0169】
得られたマイクロカプセルは、次いで、サイズ3のゼラチンカプセルに入れる。ゼラチンカプセルごとのオメプラゾールの用量は、この試験において40mg(すなわち、71.4mgのマイクロカプセル)に固定した。このゼラチンカプセルは、医薬の最終形態を構成する。
【0170】
マイクロカプセルを含有するゼラチンカプセルは、37℃及び100rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図2を参照のこと。
【0171】
(実施例4)
オメプラゾール顆粒
900gのオメプラゾール及び100gのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF(登録商標)/Aqualon)を、2333gの水に分散させる。その懸濁物を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において250gの中性のマイクロスフェア(Celphere SCP100F/Asahi-kasei)にスプレーする。
【0172】
得られた顆粒は、72%のオメプラゾール濃度を有する。
【0173】
(実施例5)
オメプラゾールの持続放出型マイクロカプセル
8.89gのエチルセルロース(Ethocel 20 Premium(登録商標)/Dow)、8.89gのアルキル(メタ)アクリレートとトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドとのコポリマー(Eudragit RL100(登録商標)/Degussa Rohm Pharma Polymers)、6.94gのポビドン(Plasdone K29/32(登録商標)/ISP)、1.94gの40EOを含むポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油(Cremophor RH40(登録商標)/BASF)、及び1.11gのヒマシ油を、90%のイソプロパノール及び10%の水からなる混合物に分散する。この溶液を250gのオメプラゾール顆粒(実施例4で調製)にスプレーする。
【0174】
123.4mgのマイクロカプセル、すなわち80mgのオメプラゾールを、37℃及び100rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図3を参照のこと。
【0175】
61.7mgのマイクロカプセル、すなわち40mgのオメプラゾールを、37℃及び100rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図3を参照のこと。
【0176】
15.4mgのマイクロカプセル、すなわち10mgのオメプラゾールを、37℃及び100rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図3を参照のこと。
【0177】
(実施例6)
オメプラゾール顆粒
1355.2gのオメプラゾール、140.8gのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF(登録商標)/Aqualon)、88.0gのポロキサマー188(Lutrol F-68(登録商標)/BASF)、及び内側の緩衝剤として組み込まれる176.0gの水酸化マグネシウム(Magnesia 725(登録商標)/Magnesia)を、4107.0gの水に分散させる。その懸濁物を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において440gの中性のマイクロスフェア(Asahi-kasei)にスプレーする。
【0178】
得られた顆粒は、61.6%のオメプラゾール濃度を有する。
【0179】
(実施例7)
オメプラゾールの持続放出型マイクロカプセル
35.0gのエチルセルロース(Ethocel 20 Premium(登録商標)/Dow)、17.5gのポビドン(Plasdone K29/32(登録商標)/ISP)、14.0gのポロキサマー188(Lutrol F-68(登録商標)/BASF)、及び3.5gのヒマシ油を、70%のエタノール及び30%の水からなる混合物に分散する。この溶液を630gのオメプラゾール顆粒(実施例6で調製)にスプレーする。
【0180】
得られたマイクロカプセルを、次いで、125.0mgの炭酸カルシウム及び13.9gのアルファ化デンプンに相当する138.9gのDestab Ultra 250S(登録商標)(Particle Dynamic Inc.)、125.0mgの酸化マグネシウム、3.4mgのコロイド状無水シリカ(Aerosil 200(登録商標)/Degussa)、及び1.7mgのマグネシウムステアレートを有するゼラチンカプセルに入れる。ゼラチンカプセルごとのオメプラゾールの用量は、この試験において、840mg、すなわち12472.2mgのマイクロカプセルに固定した。このゼラチンカプセルは、医薬の最終形態を構成する。
【0181】
前記マイクロカプセルを含有するゼラチンカプセルを、37℃及び120rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図4を参照のこと。
【0182】
(実施例8)
オメプラゾールの持続放出型錠剤
実施例7に従って調整され、80gのオメプラゾールに相当する144.1gの持続放出型マイクロカプセル、200gの酸化マグネシウム(Scora)、9.9gのクロスポビドン(Polyplasdone XL10(登録商標)/ISP)、34.8gのマンニトール(Pearlitol SD200(登録商標)/Roquette)、100.7gのマイクロクリスタリンセルロース(Ceolus KG-802(登録商標)/Asahi kasei)、及び7.5gのグリセリルベヘネート(Compritol 888 Ato(登録商標)/Gattefosse)をRohen wheel mixerにおいて混合する。得られた混合物を使用し、代わりの(alternate)錠剤プレス(model EK0-Korsh)を用いて、各々が80mgのオメプラゾールを含有する1000個の錠剤を調製する。得られた錠剤は、100から150Nの間の硬度を有する。
【0183】
497mgの錠剤、すなわち80mgのオメプラゾールを、37℃及び150rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図5を参照のこと。
【0184】
(実施例9)
オメプラゾールの持続放出型錠剤
実施例7に従って調製され、80gのオメプラゾールに相当する144.1gの持続放出型マイクロカプセル、300gの酸化マグネシウム(Scora)、12.2gのクロスポビドン(Polyplasdone XL10(登録商標)/ISP)、21.3gのマンニトール(Pearlitol SD200(登録商標)/Roquette)、121.5gのマイクロクリスタリンセルロース(Ceolus KG-802(登録商標)/Asahi kasei)、及び9.1gのグリセリルベヘネート(Compritol 888 Ato(登録商標)/Gattefosse)をRohen wheel mixerにおいて混合する。得られた混合物を使用し、代わりの(alternate)錠剤プレス(model EK0-Korsh)を用いて、各々が80mgのオメプラゾールを含有する1000個の錠剤を調製する。得られた錠剤は、100から150Nの間の硬度を有する。
【0185】
608.2mgの錠剤、すなわち80mgのオメプラゾールを、37℃及び150rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図6を参照のこと。
【0186】
(実施例10)
オメプラゾールの持続放出型錠剤
実施例7に従って調製され、80gのオメプラゾールに相当する144.1gの持続放出型マイクロカプセル、200gの酸化マグネシウム(Scora)、150.0mgの炭酸カルシウム及び16.7gのアルファ化デンプンに相当する166.7gのDestab Ultra 250S(登録商標)(Particle Dynamic Inc.)、11.8gのクロスポビドン(Polyplasdone XL10(登録商標)/ISP)、59.3gのマイクロクリスタリンセルロース(Ceolus KG-802(登録商標)/Asahi kasei)、及び8.9gのグリセリルベヘネート(Compritol 888 Ato(登録商標)/Gattefosse)をRohen wheel mixerにおいて混合する。得られた混合物を使用し、代わりの(alternate)錠剤プレス(model EK0-Korsh)を用いて、各々が80mgのオメプラゾールを含有する1000個の錠剤を調製する。得られた錠剤は、100から150Nの間の硬度を有する。
【0187】
590.8mgの錠剤、すなわち80mgのオメプラゾールを、37℃及び150rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図7を参照のこと。
【0188】
(実施例11)
オメプラゾールの持続放出型錠剤
実施例7に従って調製され、80gのオメプラゾールに相当する144.1gの持続放出型マイクロカプセル、250gの酸化マグネシウム(Scora)、250.0mgの炭酸カルシウム及び27.8gのアルファ化デンプンに相当する277.8gのDestab Ultra 250S(登録商標)(Particle Dynamic Inc.)、15.6gのクロスポビドン(Polyplasdone XL10(登録商標)/ISP)、80.0gのマイクロクリスタリンセルロース(Ceolus KG-802(登録商標)/Asahi kasei)、及び11.7gのグリセリルベヘネート(Compritol 888 Ato(登録商標)/Gattefosse)をRohen wheel mixerにおいて混合する。得られた混合物を使用し、代わりの(alternate)錠剤プレス(model EK0-Korsh)を用いて、各々が80mgのオメプラゾールを含有する1000個の錠剤を調製する。得られた錠剤は、100から150Nの間の硬度を有する。
【0189】
779.2mgの錠剤、すなわち80mgのオメプラゾールを、37℃及び150rpmで攪拌して、pH6.8(0.05M KH2PO4/NaOH)でPharmacopoeiaに従って、type II dissolutestにおいて試験した。図8を参照のこと。
【0190】
(実施例12)
in vivoデータ
オメプラゾールのS(-)鏡像異性体の参照即時放出型腸溶経口薬
P1:腸溶膜-Inexium(登録商標)で皮膜コーティングされたS(-)-オメプラゾールのミクロカプセル含有ゼラチンカプセル-用量40mg。
【0191】
本発明に係るラセミ体のオメプラゾールの放出調節型非腸溶経口薬
F1:実施例7のオメプラゾールの2ゼラチンカプセル-オメプラゾール用量80mg。
【0192】
試験の説明
参照腸溶医薬P1、又は本発明に係るオメプラゾールの放出調節型非腸溶経口薬F1を、クロストライアルの経過において、28の正常なボランティアに対して、5日間に亘って絶食の10時間後かつ朝食前に、1日1回投与する。オメプラゾールの血漿濃度は、LC-MS法によって、1日目及び5日目に、投与後0-0.5-0.75-1-1.5-2-3-4-6-8-10-12-14-16-20-24時間で測定する。胃のpHは、投与後24時間に亘って4秒毎にDigitrapper(登録商標)pH 100プローブによって測定する。
【0193】
薬動力学的結果
1日目及び5日目に投与摂取後の時間の関数としてオメプラゾールの薬動力学的プロフィールを図9及び図10の各々に記載する。
【0194】
参照腸溶薬P1及び本発明に係るオメプラゾールの放出調節型非腸溶経口薬についての平均薬動力学パラメータ(Cmax、Tmax、AUC0-24h、C12h、Cmax/C12h比)及びそれらの標準偏差を下表1に挙げる。
【0195】
【表1】

【0196】
本発明に係る医薬F1は、参照形態P1と比較して、1日目及び5日目に関して約12倍までCmax/C12hパラメータを改善する。
【0197】
薬力学的結果
1日目で得られた
-胃のpHが4(T>pH4)及び5(T>pH5)より大きい24時間の間の時間(時間における%)
-24時間の間の胃のpHの平均値(0-24hの平均pH)
-一晩測定した胃のpHの平均値(16-20hの一晩の平均pH)
の平均値を下表2に報告する。
【0198】
【表2】

【0199】
本発明に係る医薬F1は、参照腸溶経口薬P1と比較して、24時間の間の平均pHを明確に増大する。
【0200】
一晩の平均pHが、参照腸溶形態P1と比較して、本発明に係る製剤F1によって明確に増大することも認められる。かくして、本発明に係る製剤F1は、2.49に等しい1日目の一晩(16と20hの間)の胃のpHを得ることを可能にし、一方で参照形態P1を使用した一晩の平均pHは1.68である。
【0201】
5日目に得られた
-胃のpHが4(T>pH4)及び5(T>pH5)より大きい24時間の間の時間(時間における%)
-24時間の間の胃のpHの平均値(0-24hの平均pH)及び
-一晩測定した胃のpHの平均値(16-20hの一晩の平均pH)
の平均値を下表3に報告する。
【0202】
【表3】

【0203】
本発明に係る医薬F1は、参照腸溶経口薬P1と比較して、胃のpHが4より大きい(R>pH4)間の時間及び24時間の間の平均pHを明確に増大する。
【0204】
一晩の平均pHが、参照腸溶形態P1と比較して、本発明に係る製剤F1によって明確に増大することも認められる。かくして、本発明に係る製剤F1は、3.44に等しい5日目の一晩(16と20hの間)の胃のpHを得ることを可能にし、一方で参照形態P1を使用した一晩の平均pHは1.93である。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】図1は、実施例2で調製し、100rpm及び80mgの用量で試験した、持続放出型マイクロカプセルのゼラチンカプセルについてのtype II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図2】図2は、実施例3で調製し、100rpm及び40mgの用量で試験した、持続放出型マイクロカプセルのゼラチンカプセルについてのtype II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図3】図3は、実施例5で調製し、100rpm及び10mg(菱形)、40mg(四角)、及び80mg(三角)の用量で試験した、持続放出型マイクロカプセルについてのtype II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図4】図4は、実施例7で調製し、120rpm及び40mgの用量で試験した、持続放出型マイクロカプセルのゼラチンカプセルについてのtype II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図5】図5は、実施例7で調製した持続放出型マイクロカプセル(十字X)について、及び実施例8で調製したそれらを含む持続放出型錠剤(アスタリスク*)について、150rpm及び80mgの用量で試験した、type II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図6】図6は、実施例7で調製した持続放出型マイクロカプセル(白抜きの四角)について、及び実施例9で調製したそれらを含む持続放出型錠剤(黒色の四角)について、150rpm及び80mgの用量で試験した、type II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図7】図7は、実施例7で調製した持続放出型マイクロカプセル(白抜きの四角)について、及び実施例10で調製したそれらを含む持続放出型錠剤(黒色の四角)について、150rpm及び80mgの用量で試験した、type II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図8】図8は、実施例7で調製した持続放出型マイクロカプセル(白色の四角)について、及び実施例11で調製したそれらを含む持続放出型錠剤(黒色の四角)について、150rpm及び80mgの用量で試験した、type II dissolutestにおいてpH6.8及び37℃で時間に応じて放出されたオメプラゾールの量の割合を表わす。
【図9】図9は、P1(黒色の三角)及びF1(黒色の菱形)の1日1回の投与後の1日目に、摂取後の経時的な血漿におけるオメプラゾールの濃度(ng/ml)の進展を表わす。
【図10】図10は、P1(白色の三角)及びF1(白色の菱形)の1日1回の投与後の5日目に、摂取後の経時的な血漿におけるオメプラゾールの濃度(ng/ml)の進展を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PPIの放出の調節を可能にするPPIに基づく経口薬であって、1日1回の用量として摂取した後に、治療の1日目から、0から24時間の間の平均の胃のpHを、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる0から24時間の間の平均の胃のpH以上に維持することを可能にするように設計されていることを特徴とする、経口薬。
【請求項2】
その摂取後に、PPIの放出が胃において開始し、朝に1日1回の用量として投与される際に、治療の5日目から、前記用量摂取後の16時間から20時間の間の平均の胃のpHを、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる前記容量摂取後の16時間から20時間の間の平均の胃のpHより大きい、好ましくは少なくとも0.5pH単位より大きい、更に好ましくは少なくとも1pH単位より大きいpHに維持することを可能にするように設計されていることを特徴とする、任意に請求項1に記載のPPIの放出の調節を可能にするPPIに基づく経口薬。
【請求項3】
1日1回の用量として摂取した後に、少なくとも16時間、好ましくは少なくとも20時間、更に好ましくは少なくとも22時間に亘って、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる胃のpH以上の胃のpHを、治療の1日目から維持することを可能にするように設計されていることを特徴とする、任意に請求項1又は2に記載のPPIの放出の調節を可能にするPPIに基づく経口薬。
【請求項4】
1日1回の用量として摂取した後に、少なくとも13時間、好ましくは少なくとも16時間、更に好ましくは少なくとも20時間に亘って、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用して得られる胃のpH以上の胃のpHを、治療の5日目から維持することを可能にするように設計されていることを特徴とする、任意に請求項1から3のいずれか一項に記載のPPIの放出の調節を可能にするPPIに基づく経口薬。
【請求項5】
リザーバ型であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項6】
PPIを含有し、且つ、PPIの放出の調節を可能にする少なくとも1つのコーティングで覆われている、少なくとも1つのマイクロ粒子を各々が含む、PPIの多数の放出調節型マイクロカプセルを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項7】
その摂取後にPPIの放出が胃において開始し、1日1回の用量として投与される際に、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用してpHが4.0以上の値に維持される間の期間D*以上の長さの期間Dに亘って、4.0以上の値の胃のpHを治療の1日目から維持することを可能にするように設計され、Dが好ましくはD*よりも少なくとも5%(Dに対する%)、より好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも20%以上であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項8】
その摂取後にPPIの放出が胃において開始し、1日1回の用量として投与される際に、同じ条件下で投与される参照即時放出型腸溶経口薬を使用してpHが4.0以上の値に維持される間の期間D*以上の長さの期間Dに亘って、4.0以上の値の胃のpHを治療の5日目から維持することを可能にするように設計され、Dが好ましくはD*よりも少なくとも5%(Dに対する%)、より好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも20%以上であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項9】
非腸溶性であるか、又は任意に前記医薬に含まれるPPIマイクロカプセルのコーティングが非腸陽性であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
1日1回の用量として投与される際に、以下:
Cmax/C12h≦Cmax*/C12h*
好ましくは、1.5×Cmax/C12h≦Cmax*/C12h*
更に好ましくは、2.0×Cmax/C12h≦Cmax*/C12h*
-C12hは前記用量摂取後12時間の平均血漿濃度を表わし、
-C12h*は、同じ用量のPPIを含有する参照即時放出型腸溶経口薬を使用して、C12hと同じ条件下で得られるPPIの平均血漿濃度を表わし、
-Cmaxは、前記用量摂取後のPPIの平均最大血漿濃度を表わし、
-Cmax*は、同じ用量のPPIを含有する参照即時放出型腸溶経口役を使用して、Cmaxと同じ条件下で得られるPPIの平均最大血漿濃度をあらわす、
のように規定される血漿プロフィールを、前記容量摂取後に得ることを可能にするように設計されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項11】
前記PPIマイクロカプセルが、
-70%のPPIが、1から10時間の間、好ましくは2から8時間の間、及び更に好ましくは2から6時間の間の時間に放出され、且つ
-40%のPPIが、0.5から5時間の間、好ましくは1から4時間の間、更に好ましくは1から3時間の間の時間に放出される
ように、pH 6.8でリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05 M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項12】
前記PPIマイクロカプセルが、2時間からt(70%)の間の時間tの任意の値に関して、好ましくは1時間からt(70%)の間の時間tの任意の値について、溶解(放出)されるPPIの割合が35t/t(70%)以上であるように、pH 6.8でリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05 M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
好ましくは、少なくとも1つの弱塩基又は強塩基の医薬品として許容される化合物を含む、少なくとも1つの外側の緩衝剤を含有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項14】
前記外側の緩衝剤が、以下の生成物:アミノ酸及びそれらの塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩を含む群から選択され、好ましくは、これらの塩が、水酸化物、酸化物、乳酸塩、グルコン酸塩、炭酸塩、セスキ炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、塩化物、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の医薬。
【請求項15】
0から100 mEqの間、好ましくは2から40 mEqの間の外側の緩衝剤を含有することを特徴とする、請求項13又は14に記載の医薬。
【請求項16】
前記外側の緩衝剤が炭酸カルシウムを含むことを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項17】
前記炭酸カルシウムが、2から15 mEq、好ましくは5から10 mEqの割合で存在することを特徴とする、請求項16に記載の医薬。
【請求項18】
前記外側の緩衝剤が酸化マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項19】
選択される前記外側の緩衝剤が、5 mEqから35 mEq、好ましくは5 mEqから25 mEqの酸化マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項20】
前記外側の緩衝剤が、3から7 mEqの炭酸カルシウム、及び酸化マグネシウム/炭酸カルシウムの比がミリ当量において1.5から5の間であるような量の水酸化マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項13から19のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項21】
選択される前記外側の緩衝剤が、水酸化マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項13から20のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項22】
前記外側の緩衝剤が、5 mEqから30 mEqの間、好ましくは5から20 mEqの間の水酸化マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項13から21のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項23】
前記外側の緩衝剤が、3から7 mEqの炭酸カルシウム、及び水酸化マグネシウム/炭酸カルシウムの比がミリ当量において1.5から5の間であるような量の水酸化マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項13から22のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項24】
前記外側の緩衝剤が即時放出型であることを特徴とする、請求項13から23のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項25】
前記PPIマイクロカプセルが、少なくとも1つの内側の緩衝剤を含有することを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項26】
前記PPIマイクロカプセルが、水酸化マグネシウムを含む少なくとも1つの内側の緩衝剤を含有することを特徴とする、請求項25に記載の医薬。
【請求項27】
前記PPIマイクロカプセルのコーティングが、PPIの放出の調節を制御する少なくとも1つの層を含み、その組成が以下:
A.胃腸管の流動体に不溶性の少なくとも1つの皮膜形成(コ)ポリマー(A);
B.任意に、胃腸管の流動体に不溶性であり、胃腸管の流動体中でイオン化する基を有する、少なくとも1つの親水性皮膜形成(コ)ポリマー(B);
C.胃腸管の流動体に可溶性の少なくとも1つの(コ)ポリマー(C);
D.少なくとも1つの可塑剤(D);
E.任意に少なくとも1つの界面活性剤及び/又は潤滑剤(E)
であることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項28】
(A)が、以下の生成物:
-セルロース、好ましくはエチルセルロース及び/又はセルロースアセテートの非水溶性誘導体、
-ポリ酢酸ビニル、
-及びそれらの混合物
の群から選択される;
(B)が、非水溶性の荷電したアクリルポリマー、好ましくは少なくとも1つの四級アミンモニウム基を有するアクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステルの(コ)ポリマーから選択され;(B)は、さらに好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドの少なくとも1つのコポリマーを含む;
(C)が、
-好ましくは、ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリ-N-ビニルラクタムを含む群から選択される、窒素(コ)ポリマー;
-セルロースの水溶性の誘導体、
-ポリビニルアルコール(PVA)、
-ポリオキシエチレン(POE)、
-ポリエチレングリコール(PEG)、
-親水コロイド、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、イナゴマメガム、カラギーナン、ゼラチン、寒天、変性若しくは未変性デンプン、デキストリン、又はアルギネート、
-及びそれらの混合物
から選択される、
ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、及びヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい;
(D)が、
-セチルアルコールエステル、
-グリセロール及びそのエステル、好ましくは、以下の亜群:アセチルグリセリド、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリアセテート(トリアセチン)、グリセリルトリブチレートから選択される、
-フタレート、好ましくは、以下の亜群:ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートから選択される、
-シトレート、好ましくは、以下の亜群:アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレートから選択される、
-セバケート、好ましくは、以下の亜群:ジエチルセバケート、ジブチルセバケートから選択される、
-アジペート、
-アゼレート、
-ベンゾエート、
-植物油、
-フマレート、好ましくはジエチルフマレート、
-マレート、好ましくはジエチルマレート、
-オキサレート、好ましくはジエチルオキサレート、
-スクシネート、好ましくはジブチルスクシネート、
-ブチレート、
-サリチル酸、
-マロネート、好ましくはジエチルマロネート、
-ヒマシ油(後者が特に好ましい)
-及びそれらの混合物
を含む群から選択される、
(E)が、
-アニオン性界面活性剤、好ましくは、脂肪酸、ステアリン酸、及び/又は好ましくはオレイン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の亜群から選択される、
-及び/又は非イオン性界面活性剤、好ましくは、以下の亜群:
・ポリオキシエチレン化油、好ましくはポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油、
・ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー、
・ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、
・ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体、
・ステアレート、好ましくはカルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、アルミニウムステアレート、又は亜鉛ステアレート、
・ステアリルフマレート、好ましくはナトリウムステアリルフマレート、
・グリセリルベヘネート、
・及びそれらの混合物
から選択される、
を含む群から選択される
ことを特徴とする、請求項27に記載の医薬。
【請求項29】
前記放出調節層の組成が、以下:
A.皮膜形成ポリマー(A)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで10重量%から90重量%、好ましくは20重量%から40重量%の割合で存在する;
B.非水溶性親水性皮膜形成ポリマー(B)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで0重量%から90重量%、好ましくは0重量%から40重量%の割合で存在する;
C.可溶性のポリマー(C)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで2重量%から25重量%、好ましくは5重量%から15重量%の割合で存在する;
D.少なくとも1つの可塑剤(D)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで2重量%から20重量%、好ましくは4重量%から15重量%の割合で存在する;
E.任意に界面活性剤及び/又は潤滑剤(E)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで2重量%から20重量%、好ましくは4重量%から15重量%の割合で存在する
ことを特徴とする、請求項27又は28に記載の医薬。
【請求項30】
前記マイクロカプセルの直径が、1000μm、好ましくは5から800μmの間、更に好ましくは100から600μmの間であることを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項31】
前記マイクロカプセルのPPIの割合(前記マイクロカプセルの全重量に対して乾燥ベースで重量%として表わす)が、5から95の間、好ましくは10から85の間、更に好ましくは20から70の間であることを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項32】
前記放出調節層の組成が、以下:
A.皮膜形成ポリマー(A)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで40重量%から55重量%、好ましくは45重量%から55重量%の割合で存在する;
C.可溶性ポリマー(C)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで15重量%から30重量%、好ましくは20重量%から30重量%の割合で存在する;
D.少なくとも1つの可塑剤(D)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで3重量%から10重量%、好ましくは3重量%から7重量%の割合で存在する;
E.任意に界面活性剤及び/又は潤滑剤(E)が、コーティング組成物の全重量に対して、乾燥ベースで10重量%から30重量%、好ましくは15重量%から25重量%の割合で存在する、
であるPPIマイクロカプセルを含む、請求項27又は28に記載の医薬。
【請求項33】
(A)が、以下の生成物:セルロース、好ましくはエチルセルロース、及び/又はセルロースアセテートの非水溶性の誘導体の群から選択され;
(C)が、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びセルロースの水溶性の誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースから選択され;PVPが好ましく;
(D)がヒマシ油であり;
(E)が、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー、好ましくは、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックターポリマーから選択される、
請求項32に記載の医薬。
【請求項34】
前記PPIがオメプラゾールである、請求項32又は33に記載の医薬。
【請求項35】
前記オメプラゾールマイクロカプセルの容量平均径が、100から500μmの間、好ましくは100から400μmの間、更に好ましくは100から300μmの間であることを特徴とする、請求項34に記載の医薬。
【請求項36】
前記PPIマイクロカプセルがオメプラゾールマイクロカプセルであり、前記マイクロカプセルが、
-70%のオメプラゾールが、2時間から8時間の間、好ましくは2時間から5時間の間の時間に放出され、
-40%のオメプラゾールが、1時間から4時間の間、好ましくは1時間から3時間の間の時間に放出され、
-少なくとも70%のオメプラゾール、好ましくは少なくとも90%のオメプラゾールが、10時間で放出される
ように、pH6.8でリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有する、請求項32から35のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項37】
前記オメプラゾールマイクロカプセルにおいて、前記放出調節層が、前記オメプラゾールマイクロカプセルの全重量に対して2重量%から25重量%、好ましくは5重量%から20重量%、更に好ましくは5重量%から15重量%を占める、請求項32から36のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項38】
好ましくは、以下の活性成分:シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ファモチジン、医薬品として許容されるそれらの塩、それらの異性体、及びそれらの異性体の塩、並びにこれら各種の活性成分の任意の混合物を含む群から選択される、少なくとも1つのH2受容体アンタゴニストも含むことを特徴とする、請求項1から37のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項39】
各種の集団のマイクロ単位によって形成され、これらの集団は、少なくとも、これらのマイクロ単位に含有されるPPI以外の活性成分の性質によって互いに異なり、及び/又はそれらが含有するPPIの量又は他の任意の活性成分の量によって互いに異なリ、及び/又はコーティングの組成によって互いに異なり、及び/又は放出調節型又は即時放出型であることによって互いに異なることを特徴とする、請求項1から38のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項40】
1 mgから500 mgのPPIを含む1日1回の経口用量の形態であることを特徴とする、請求項1から39のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項41】
粉末剤のサッシェ、水及び粉末剤から再構築される複数用量の懸濁剤、錠剤、又はゲルカプセルの形態であることを特徴とする、請求項1から40のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項42】
錠剤の形態であって、前記錠剤が、同等性因子f2に従って前記錠剤のマイクロカプセルと同様のpH6.8でのリン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム(0.05M)緩衝媒体におけるin vitro放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項1から41のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項43】
前記錠剤が、PPIの多数の放出調節型マイクロカプセルに加えて、
-5から25 mEqの外側の緩衝剤、好ましくは10から20 mEqの外側の緩衝剤、
-前記錠剤の全重量が1000 mg、好ましくは800 mg、更に好ましくは600 mgを超えないような量の圧縮賦形剤
を含有する、請求項42に記載の医薬。
【請求項44】
前記外側の緩衝剤が、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、及びそれらの混合物から選択される、請求項43に記載の医薬。
【請求項45】
前記錠剤が、後のものほど好ましい順で、80N、100N、120Nより大きく、且つ、好ましくは300N未満又は良好には200N未満の硬度を有する、請求項42から44のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項46】
請求項6、9、11、12、及び25から37のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−537455(P2009−537455A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510598(P2008−510598)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062321
【国際公開番号】WO2006/122925
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(505437321)フラメル・テクノロジーズ (14)
【Fターム(参考)】