説明

プロピレン系重合体の包装体及びプロピレン系重合体組成物の製造方法

【課題】プロピレン系重合体材料を他の熱可塑性樹脂と混練加工する際に、フィルムを剥がさずに直接溶融混練機に投入することもできる包装体およびこれを用いたプロピレン系重合体組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】プロピレン系重合体の包装体は、プロピレン由来の構成単位と、必要に応じてプロピレンを除く少なくとも一種の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを有し、かつ示差走査熱量計で観測される融点が70℃未満または融点が観測されない軟質プロピレン系共重合体(A)からなる被包装体を、示差走査熱量計で観測される融点が70〜180℃の範囲に存在する炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋で包んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン系重合体の包装体、およびプロピレン系重合体組成物の製造方法に関し、より詳しくは、異物、フィッシュアイなどが少ない組成物、および成形体を得ることができる、プロピレン系重合体の包装体、および該包装体を用いたプロピレン系重合体組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エチレン系重合体からなるエラストマーに代わって、プロピレン系重合体からなるエラストマー(プロピレン系重合体)が注目されている。プロピレン系重合体は、透明性、耐衝撃性、柔軟性、耐熱性、耐傷つき性、ゴム弾性に優れていることから、フィルム、シート、射出成形体などの種々の用途に使用することができる(特許文献1参照)。
【0003】
一方、工業的にエラストマーの混練物を製造する場合、例えばエラストマーと他の熱可塑性樹脂との混練物を製造する場合には、得られた混練物(組成物)はこれから成形体を成形したときにフィッシュアイや異物が少ないことが、生産性の点からは好ましい。
【0004】
しかしながら本発明者らの検討によれば、プロピレン系重合体を、例えばベールの状態でそのまま混練に供すると、得られた組成物がフィッシュアイや、異物を含む場合があることがわかった。
【特許文献1】国際公開2004−106430号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような課題を解決しようとするものであって、プロピレン系重合体を、例えば混練などして組成物や成形体を製造するにあたり、異物やフィッシュアイなどが発現することが少なく、また、異物やフィッシュアイを避けるために混練機等を掃除する回数が少なくてよいような、プロピレン系重合体材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプロピレン系重合体の包装体は、プロピレン由来の構成単位と、必要に応じてプロピレンを除く少なくとも一種の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを有し、かつ示差走査熱量計で観測される融点が70℃未満または融点が観測されないプロピレン系重合体(A)からなる被包装体を、示差走査熱量計で観測される融点が70〜180℃の範囲に存在する炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋で包んでなることを特徴としている。
【0007】
本発明では前記被包装体の形状が、ベールであることも好ましい態様の一つであり、前記炭化水素重合体がプロピレン系重合体であることも好ましい態様の一つである。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法は、前記プロピレン系重合体の包装体を、混練機に投入して混練する工程を含む事を特徴としており、前記プロピレン系重合体の包装体のフィルムまたは袋を、剥離することなく、プロピレン系重合体の包装体を混練機に投入することが好ましい態様の一つである。
【0008】
本発明では、前記プロピレン系重合体の包装体と、前記プロピレン系重合体(A)以外の熱可塑性樹脂とを混練機に投入して混練することも好ましい態様の一つであり、前記プロピレン系重合体組成物の形状がペレットであることも好ましい態様の一つであり、前記混練機がバンバリーミキサーであることも好ましい態様の一つである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るプロピレン系重合体の包装体は、例えば混練などして組成物や成形体を製造するにあたり、異物やフィッシュアイなどが発現することが少なく、また、異物やフィッシュアイを避けるために混練機等を掃除する回数が少なくて良い。
【0010】
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法は、成形体を製造したときに異物やフィッシュアイなどが発現することが少ない組成物が得られ、また、異物やフィッシュアイを避けるために混練機等を掃除する回数が少なくて良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るプロピレン系重合体の包装体およびプロピレン系重合体組成物の製造方法について具体的に説明する。
本発明に係るプロピレン系重合体の包装体は、プロピレン系重合体(A)からなる被包装体を、炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋で包んでなる。
【0012】
プロピレン系重合体(A)
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと、プロピレンを除く少なくとも一種の炭素原子数2〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、示差走査熱量計DSCで観測される融点が70℃未満、好ましくは60℃未満、または融点が観測されないものである。融点が観測されないとは、−150〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。測定条件は、実施例記載のとおりである。
【0013】
本発明においては好ましくはプロピレン系重合体のショアーA硬度が20〜80、好ましくは25〜70である。
プロピレン系重合体(A)は、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4〜20、好ましくは4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とを共重合したものであり、構成する全てのモノマー単位に対してプロピレン単位を50mol%以上、好ましくは60mol%以上有している。
【0014】
ここで、プロピレンを除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0015】
プロピレン系重合体(A)は、プロピレン由来の構成単位を、通常40〜100モル%、好ましくは40〜99モル%、より好ましくは40〜98モル%、さらに好ましくは50〜97モル%含み、コモノマーとして用いられる炭素数2〜20のα-オレフィン(た
だしプロピレンを除く。)由来の構成単位を、通常0〜60モル%、好ましくは1〜60モル%、より好ましくは2〜60モル%、さらに好ましくは3〜50モル%含む(ここで、プロピレンと炭素数2〜20のα-オレフィンとの合計は100モル%である)。
【0016】
プロピレン系重合体(A)の具体的な例としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと、エチレン、1−ブテンおよび1−ヘキセンから選ばれる少なくとも1種とのランダム共重合体を挙げることができ、好ましくはプロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体であり、このような共重合体は本発明に用いるラッピングフィルムとの相溶性が優れるため好ましく使用できる。プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体の場合、プロピレンを
40〜98モル%、好ましくは40〜90モル%、エチレンを1〜59モル%、好ましくは5〜30モル%、1−ブテンを1〜59モル%、好ましくは5〜30モル%含む共重合
体を例示できる。
【0017】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)の製造方法としては、上記要件を満たすプロピレン系重合体が得られる方法であれば特に制限は無いが、オレフィンをアイソタクチックまたはシンジオタクチック構造で立体規則性重合することのできる公知の触媒、例えば固体状チタン成分と有機金属化合物を主成分とする触媒、またはメタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン触媒(例えば国際公開2004/87775号パンフレットに記載の触媒)の存在下で、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合させることによって製造することができる。またプロピレン単独重合を行ったときにアタクティックポリプロピレンを与える触媒を用いることもできる。
【0018】
プロピレン系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンを分子量標準物質として測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子(Mn)の比(分子量分布:Mw/Mn)は好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5〜2.5の範囲にある。分子量分布がこの範囲にあるものはプロピレン系重合体(A)のべた付きが低くなるためより好適である。
【0019】
本発明のプロピレン系重合体(A)、例えばプロピレン・α-オレフィン共重合体は、13C−NMRで測定されるトリアドタクティシティ(mm分率)は特には制限はない。し
かし好ましくは85%以上、より好ましくは85〜97.5%以下、さらに好ましくは87〜97%、特に好ましくは90〜97%の範囲にある。mm分率が上記範囲にあると、特に柔軟性および機械強度のバランスに優れるため、好適である。mm分率は、国際公開第2004−087775号パンフレットの21頁7行目〜26頁6行目に記載された方法を用いて測定できる。
【0020】
また、プロピレン系重合体(A)の形状は特に限定されず、ペレット状、ベール状などを挙げることが出来るが、ベール状であることが好ましい態様の1つである。ベールとする際の方法についても特に制限はなく、例えば特開平11−090926号公報に記載の方法や、特開2003−285325号公報に記載の方法などを使用することが出来、特に制限はない。
【0021】
フィルムまたは袋
本発明の炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋は、前記プロピレン系重合体(A)を包装するものである。さらには、プロピレン系共重合体(A)とともに加工機に投入した場合であっても、加熱混練を行う際に容易に溶融して、プロピレン系重合体(A)およびこれとともに混練する他の熱可塑性樹脂と良好に混練できるものであり、また、粘着性の高いプロピレン系重合体(A)を混練加工する際に、混練に使用する成形機の高温部(混練部以外の領域)にプロピレン系重合体(A)付着することを防止する効果もある。
【0022】
炭化水素重合体は、示差走査熱量計で観測される融点が70〜180℃、好ましくは80℃〜165℃の範囲に存在するものである。
このようなフィルムまたは袋は、公知のポリエチレンやポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンやその他の炭化水素重合体を原料とするものであれば特に問題なく使用でき、これらの材料単独または複数のブレンドとして用いることができる。また本発明の目的を損なわない限り、他の公知の熱可塑性樹脂とブレンドして用いることもできる。
【0023】
ここで、炭化水素重合体としては、アルケニル基を含有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体ゴム、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプロピレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリルもしくはスチレン等との共
重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレンもしくはアクリロニトリル等との共重合体、さらにはポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレン、ブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られる共重合体などが挙げられる。
【0024】
本発明で用いられるフィルムまたは袋として、特に好ましいのはポリオレフィンを用いたものであり、特に好ましいのは下記に示した特徴を有するプロピレン系重合体(B)を用いたものである。このようなフィルムまたは袋は、プロピレン系共重合体(A)との密着に優れ、フィルムの破損が少なく本発明に好適である。
【0025】
本発明において好ましく使用できるプロピレン系重合体(B)は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、これらは単独または併用して用いることができる。ここで、プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、エチレンまたは炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。
【0026】
これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。
これらのα−オレフィンから導かれる構成単位は、ポリプロピレン中に35モル%以下、好ましくは30モル%以下の割合で含んでいてもよい。プロピレン系重合体は、ASTM D 1238 に準拠して230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0027】
上記のような特徴を有するプロピレン系重合体(B)からなるフィルムまたは袋は、バンバリーやロールまたはこれらと組み合わせて用いる押出機等を用いて混練する際に、機内で容易に溶融可塑化するとともにプロピレン系重合体(A)との相溶性が非常に良好であることから、プロピレン系重合体(A)を包装したまま同時に混練加工することが可能となる。
【0028】
このようなプロピレン系重合体は、従来公知の製造方法、例えばマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物および電子供与体からなるチーグラー触媒系、またはメタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン触媒系でプロピレンを重合あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとを共重合することにより製造することができる。
【0029】
以上のような材料からなるフィルムまたは袋は、通常20〜100μm、好ましくは30〜80μmの厚さであり、公知のTダイ成形成形機(キャスト成形機)やインフレーション成形機等により成形することができる。フィルムは単層構成でも多層構成でもよく、各層に必要に応じて酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤、顔料、塩酸吸収剤、銅害防止剤の添加物や無機フィラーを配合することも可能である。
【0030】
包装体の製造方法についても特に制限はなく、例えば特定の厚さ、幅に成形されたフィルムを巻取り、自動ラッピングマシーンに装着し、あるいは手動により、例えばベール状のプロピレン系重合体(A)をラッピングすることができる。
【0031】
組成物および製造方法
本発明のプロピレン系重合体の包装体は、プロピレン系重合体(A)を炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋で包装した形態のものであり、本発明のプロピレン系重合体組成物の製造方法は、このような包装体のフィルムまたは袋を剥がさずに直接溶融混練機に投入し、混練・加工してペレットでの取扱いが可能な樹脂組成物を得ることもできる。
【0032】
プロピレン系重合体の包装体におけるプロピレン系重合体(A)は、通常5kg〜200kgの単位に分けら、炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋で一部分または全体が覆われるように包装されている。このような包装体をバンバリーミキサーや二本ロールその他公知の混練機へ直接投入し、他の例えば結晶性を有する熱可塑性樹脂とともに溶融混練を行って、組成物を得ることができる。
【0033】
このようにして得られた組成物の形状は、ペレットであることが好ましい。プロピレン系重合体組成物のペレットは特に形状の指定はないが、好ましくは0.2〜1.5g/30粒の重量および300〜900kg/m3の嵩密度の範囲にあることが望ましい。
【0034】
また、ペレット同士のくっつき(ブロッキング)を防止するためにペレット表面にパウダー状の微細な粉(タルク等の無機フィラー、ステアリン酸カルシウム等の有機フィラー、ポリプロピレンパウダー)やシリコンオイル等が塗されていても良い。
【0035】
このようなペレットは、内径7.5cm、深さ2cmの円筒にペレットを充満させ、室温(23℃)で50g/cm2の圧力を12時間与えてもブロッキングが発生しない(ペ
レット一粒一粒が容易に分離できる状態)ものが望ましい。
【0036】
本発明において、結晶性を有する他の熱可塑性樹脂として特に好ましいのは前記で述べたプロピレン系重合体(B)である。すなわち、本発明のプロピレン系重合体の包装体(軟質プロピレン系共重合体(A)と、炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋)と、結晶性を有する他の熱可塑性樹脂としてのプロピレン系重合体(B)を混練して得られるプロピレン系重合体組成物は、これらの成分の相容性が良好であるとともに異物の混入を防ぐことができるため、透明性や機械物性に優れフィッシュアイやブツの発生が起こらない樹脂組成物が得られる。
【0037】
また本発明においては、プロピレン系重合体(A)と他の熱可塑性樹脂のMFR(230℃)の差が20g/10min以内、好ましくは10g/10min以内であることが好ましい。MFR(230℃)の差がこの範囲にないと、混練不良が発生しやすくなる。
【0038】
[実施例]
以下、実施例をもとに本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
《評価方法》
実施例および比較例において行った物性評価方法は、下記の通りである。
(1)MFR
ASTM D1238に従い、230℃、2.16kg重の条件で測定した
(2)融点(Tm)
DSCの発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度をTmとした。測定は、試料をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温して200℃で5分間保持したのち、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで20℃/分で昇温する際の発熱・吸熱曲線より求めた。
【0039】
(3)密度
ASTM D1505に準拠して測定した。
(4)フィルム透明性
実施例および比較例にて説明する方法で得られたシートのヘイズ(全ヘイズ)を測定した。
(5)フィルム機械物性
実施例および比較例にて説明する方法で得られた各シートにつき、JIS K 7113−2に準拠して実施した引張試験から破断点強度(TS)、破断伸び(EL)、ヤング率(YM)を測定した。
(6)フィッシュアイの確認
各シートの中央部から切り出したシートサンプル(28×20cm各)に存在するフィッシュアイ(フィルム外観を損ねるスポット)の数を評価した。
A: 0〜5個/560cm2
B: 6〜20個/560cm2
C:21〜50個/560cm2
D:51個〜/560cm2
【0040】
(7)耐ブロッキング性
内径7.5cm、深さ4cmの円筒内に得られたペレットを3cm充満させ、これに5kgの重りをのせて(圧力約113g/cm2)耐ブロッキング性を評価した。測定環境
は23℃×12時間とした。
A:ブロッキング(ペレットのくっつき)がない
B:ややペレットのくっつきがある(手でほぐして崩れる)
C:ブロッキング有り(手でほぐして崩れない)
【0041】
(8)連続運転性
実施例および比較例に記載の方法で混練・ペレット加工を行う際に、同一条件で10回運転を繰り返した後のバンバリーミキサーにおける原料輸送部分(原料投入口から原料混練部分までの領域)の汚れを目視評価した。
A:原料の付着がほとんどない
B:原料付着が確認されるが清掃不要
C:原料の付着が目立ち清掃が必要
【実施例1】
【0042】
エチレン含量=14.0モル%、1−ブテン含量=19モル%、MFR=7g/10min、融点=観測されず(ΔH:0.5J/g未満)、分子量分布(Mw/Mn)=2.0、mm=92%、ショアーA硬度=45であるプロピレン系重合体2kgを国際公開2004/87775号パンフレットに記載の方法で製造した直後に、炭化水素重合体からなるフィルムとしてポリプロピレン1(Tm=140℃、MFR(230℃)=7g/10min)からなる50μmの単層フィルムで一重にラッピングした包装体1を作製した。この包装体1(2kg×15)とポリプロピレン2(Tm=160℃、MFR(230℃)=7g/10min)7.5kgをバンバリーミキサー(容積75リットル)に同時に投入して一斉に混練を開始した。混練後の原料を、フィーダールーダー(L/D=6、設定温度190℃)を用いてストランド(径4mm)を作成し、水槽で冷却後カッターを用いてペレットを作成した。
【0043】
得られた組成物を、押出しシート成形機(押出し温度170℃)を用いて500μmの単層シートを作成し、物性評価を行った。
[比較例1]
ポリプロピレン1からなるフィルムを用いずに、実施例1と同様の方法で樹脂組成物を作成し、評価を行った。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の軟質プロピレン系共重合体を炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋でラッピングしてなる包装体は、これを原料に用いた樹脂組成物を製造する際に好適な形態として使用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン由来の構成単位と、必要に応じてプロピレンを除く少なくとも一種の炭素原子数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを有し、示差走査熱量計で観測される融点が70℃未満または融点が観測されないプロピレン系重合体(A)からなる被包装体を、示差走査熱量計で観測される融点が70〜180℃の範囲に存在する炭化水素重合体からなるフィルムまたは袋で包んでなることを特徴とするプロピレン系重合体の包装体。
【請求項2】
前記被包装体の形状が、ベールであることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系重合体の包装体。
【請求項3】
前記炭化水素重合体がプロピレン系重合体(B)であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレン系重合体の包装体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系重合体の包装体を、混練機に投入して混練する工程を含む事を特徴とするプロピレン系重合体組成物の製造方法。
【請求項5】
前記プロピレン系重合体の包装体のフィルムまたは袋を、剥離することなく、プロピレン系重合体の包装体を混練機に投入することを特徴とする請求項4に記載のプロピレン系重合体組成物の製造方法。
【請求項6】
前記プロピレン系重合体の包装体と、前記プロピレン系共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂とを混練機に投入して混練することを特徴とする請求項4または5に記載のプロピレン系重合体組成物の製造方法。
【請求項7】
前記プロピレン系重合体組成物の形状が、ペレットであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のプロピレン系重合体組成物の製造方法。
【請求項8】
前記混練機がバンバリーミキサーであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のプロピレン系重合体組成物の製造方法。

【公開番号】特開2007−177151(P2007−177151A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379371(P2005−379371)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】