説明

ヘスペリジン含有飲料

【課題】 水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)を抑制した、風味が良好なヘスペリジン含有飲料を提供する。
【解決手段】 水溶性ヘスペリジン及びリンゴ酸を含むことを特徴とし、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)が低減されたヘスペリジン含有飲料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘスペリジンを含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
へスペリジンは、温州みかんなどの柑橘類に多く含まれるフラボノイドの一種であり、ビタミンに近い働きをするビタミン様物質である。ヘスペリジンは、毛細血管の強化、抗酸化作用、血圧降下作用、中性脂肪低下作用などの多数の生理作用を有し、食品に添加する強化剤として期待されている。しかしながらこのヘスペリジンは、水への溶解性が低いために使用用途が限られていた。そこで、ヘスペリジンの水溶性を高めた水溶性ヘスペリジンが開発された。水溶性ヘスペリジンは、水への溶解性が高く、かつヘスペリジンの生理活性を保持しているため、食品への利用に優れ、広く利用されている。
【0003】
しかしながら、水溶性ヘスペリジンは特有の不快味(苦味)を有するために、食品に添加して用いるのに適していない。特に飲料などの嗜好品への添加は、嗜好性の観点から適さないという問題がある。
【0004】
例えば特許文献1には、クエン酸、又はクエン酸含有素材を配合することにより、柑橘類由来のフラボノイド類の不快味(苦味)を軽減した飲食料が開示されている。しかしながら、クエン酸を添加してフラボノイド類の不快味を抑制しようとすると、クエン酸特有の苦味までも付与されてしまうという問題がある。
【0005】
また、例えば特許文献2には、シクロデキストリン及び/又はペプチドを配合することにより、茶の抽出液の苦味を抑制することが開示されている。しかしながら、シクロデキストリンやペプチド等を添加すると、カロリーが増加してしまうという問題がある。近年では健康志向の高まりにより低カロリーの飲食料が望まれているため、カロリーの増加は好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-204425号公報
【特許文献2】特開平3-168046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、水溶性ヘスペリジンに特有の不快味(苦味)が抑制された、風味が良好であり且つ低カロリーのヘスペリジン含有飲料、及び、該飲料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、水溶性ヘスペリジン及びリンゴ酸を含むことを特徴とするヘスペリジン含有飲料が提供される。
【0009】
また、本発明の他の側面から、水溶性ヘスペリジン及びリンゴ酸を、前記水溶性ヘスペリジンの濃度A(重量%)と前記リンゴ酸の濃度B(重量%)の比A/Bが0.1〜2.5の範囲となるように添加することにより、ヘスペリジンに由来する不快味を抑制することを特徴とする、ヘスペリジン含有飲料の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水溶性ヘスペリジンと共にリンゴ酸を含有させることによって、水溶性ヘスペリジンに特有の不快味(苦味)が低減された、風味良好なヘスペリジン飲料を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水溶性ヘスペリジンを含有する飲料に、リンゴ酸を添加することにより、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)が顕著に改善され、嗜好的に優れたヘスペリジン含有飲料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明のヘスペリジン含有飲料は、水溶性ヘスペリジンを含有する飲料に、さらにリンゴ酸を含む飲料である。
本発明で用いられる水溶性ヘスペリジンには、主に柑橘類から抽出精製したヘスペリジンを酵素処理することにより水溶性を著しく高めたヘスペリジンを用いることができる。酵素処理は、糖転位酵素によるグルコースの付加などであってよい。柑橘類は、これに限定されないが、温州みかん等が好適に用いられる。このような水溶性ヘスペリジンとして、例えば、株式会社林原商事から販売されている商品名ヘスペリジンSを使用することができる。本発明で用いられる水溶性ヘスペリジンは、水溶性が高いため、グルコシルヘスペリジンであることが好ましく、モノグルコシルへスペリジンであることがより好ましい。
【0014】
本発明で用いられるリンゴ酸は、食品に添加可能なリンゴ酸であれば何れのリンゴ酸であってよく、また、リンゴ酸の塩であってよい。例えばDL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウムなどを用いることができる。
【0015】
本発明に従って、飲料に水溶性ヘスペリジンと共にリンゴ酸を含むことにより、水溶性ヘスペリジンが有する特有の不快味(苦味)が低減され、飲料の風味を顕著に改善することが可能である。また、リンゴ酸は、添加してもカロリーの増加が少ないため、風味を向上させるのみでなく、低カロリーのヘスペリジン含有飲料を提供することを可能とするという利点も有する。さらに、リンゴ酸による水溶性ヘスペリジン由来の不快味(苦味)を抑制する効果が著しく高いことにより、水溶性ヘスペリジンを高濃度で含む飲料を提供することが可能となる。高濃度水溶性ヘスペリジン含有飲料は、通常であれば風味が優れず、飲料として提供することができないが、本発明に従ってリンゴ酸を含有させることにより、優れた風味を有しながらも水溶性ヘスペリジンを高濃度で含む水溶性ヘスペリジン含有飲料を提供することができる。このような高濃度水溶性ヘスペリジン含有飲料は、ヘスペリジンによる毛細血管の強化、抗酸化作用、血圧降下作用、中性脂肪低下作用などの多数の生理作用を期待することができ、機能性食品として提供することも可能である。
【0016】
本発明のヘスペリジン含有飲料において、水溶性ヘスペリジンの濃度A(重量%)とリンゴ酸の濃度B(重量%)の比A/Bが0.1〜2.5の範囲であることが好ましい。水溶性ヘスペリジンの濃度とリンゴ酸の濃度の比が上記範囲内であることにより、水溶性ヘスペリジン由来の不快味(苦味)を抑制し、且つ、飲料の風味を良好にすることが可能である。好ましくは、比A/Bは、0.1〜2.5の範囲であり、より好ましくは比A/Bは0.146〜2.2の範囲である。
【0017】
またさらに、本発明のヘスペリジン含有飲料において、水溶性ヘスペリジンの濃度Aが飲料の総重量に対して0.015〜0.36重量%の範囲であることが好ましい。水溶性ヘスペリジンの濃度Aを0.015重量%以上とすることにより、ヘスペリジンによる生理作用を十分に発揮することができる。また。水溶性ヘスペリジンの濃度Aが0.36重量%以下であると、リンゴ酸による水溶性ヘスペリジン由来の不快味(苦味)の抑制効果が発揮され、風味を良好にすることができる。
【0018】
またさらに、本発明のヘスペリジン含有飲料において、リンゴ酸の濃度Bが飲料の総重量に対して0.04〜0.7重量%の範囲であることが好ましい。リンゴ酸の濃度Bを0.04重量%以上とすることにより、水溶性ヘスペリジンの不快味(苦味)を軽減する効果を得ることができる。また、リンゴ酸の濃度Bを0.7重量%以下とすることにより、リンゴ酸に由来する酸味を適切な範囲にすることができる。リンゴ酸の濃度Bは、0.05〜0.5重量%の範囲であることがより好ましい。
【0019】
さらに、本発明におけるヘスペリジン含有飲料は、通常飲料に使用される他の配合物を添加することもできる。例えば、糖類、高甘味度甘味料、果汁、野菜汁、リンゴ酸以外の酸味料、香料、ビタミン類、ミネラル類、薬効成分、ハーブ成分等を配合することができる。
【0020】
本発明のヘスペリジン含有飲料は、例えば、茶系飲料、野菜飲料、果汁飲料、コーヒー飲料、水飲料、炭酸飲料、各種機能性飲料、スポーツドリンク、ニアウォーター、乳酸飲料など飲料として提供することができるが、風味や製品安定性などの観点から、水飲料、炭酸飲料、各種機能性飲料、スポーツドリンク、ニアウォーターの形態が特に好ましい。
【0021】
以下に、水溶性ヘスペリジンとしてモノグルコシルヘスペリジンを用いた場合の濃度A(重量%)の測定方法を説明する。
【0022】
モノグルコシルヘスペリジンの濃度は、食品添加物公定書に記載された方法で測定することができる。具体的には、試料をX g(適当量)正確に量り、水/アセトニトリル/酢酸混液(80:20:0.01)で正確にY g(適当量)に希釈し試料溶液とする。
【0023】
乾燥したモノグルコシルヘスペリジン標準品約0.05gを精密に測定し、水/アセトニトリル/酢酸混液(80:20:0.01)で正確に250mlとし標準溶液とする。
【0024】
試料溶液と標準溶液を、0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、10μlを次の条件で液体クロマトグラフィーを行う。検出器は、測定波長280 nmの紫外吸光光度計を用い、カラムは内径3.9〜4.6 mm、長さ15〜30 cmのステンレス管、例えば、Capcell pak C18UG120 4.6 mm×250 mm(資生堂製)を用い、カラム温度は40℃とする。移動相は水/アセトニトリル/酢酸混液(80:20:0.01)で、モノグルコシルヘスペリジンの保持時間が約15分となるように流量を調整する。
【0025】
試料溶液と標準溶液のピーク面積から、次式により、モノグルコシルヘスペリジン濃度を算出する。
モノグルコシルヘスペリジン濃度(重量%)=At/As×C
但し、
Atは試料溶液のモノグルコシルヘスペリジンのピーク面積であり、
Asは標準溶液のモノグルコシルヘスペリジンのピーク面積であり、
Cは標準溶液のモノグルコシルヘスペリジン濃度(重量%)である。
【0026】
次に、リンゴ酸の濃度B(重量%)の測定方法を説明する。
試料をX g(適当量)正確に量り、純水で正確にY g(適当量)に希釈し試料溶液とする。また、リンゴ酸標準品を純水に溶解し、適宜希釈し、検量線用の標準溶液を調製する。
【0027】
試料溶液と標準溶液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、次の条件で液体クロマトグラフィーを行う。検出器は、測定波長210 nmの紫外吸光光度計、カラムはUnison UK-C18 4.6 mm×250 mm(Imtakt社製)、移動相は50 mMリン酸アンモニウム(pH2.0)とする。
【0028】
試料溶液と標準溶液のピーク面積から、次式により、リンゴ酸濃度を算出する。
リンゴ酸濃度(重量%)=At/As×C
但し、
Atは試料溶液のリンゴ酸のピーク面積であり、
Asは標準溶液のリンゴ酸のピーク面積であり、
Cは標準溶液のリンゴ酸濃度(重量%)である。
【0029】
本発明のヘスペリジン含有飲料は、水溶性ヘスペリジン及びリンゴ酸を、水溶性ヘスペリジンの濃度A(重量%)とリンゴ酸の濃度B(重量%)の比A/Bが0.1〜2.5の範囲となるように添加することにより製造することができる。
【0030】
具体的には、水などの飲料原料に、水溶性ヘスペリジン、リンゴ酸及びその他の配合物を混合して溶解し、調整した後、適宜殺菌し、任意の容器に充填する。殺菌は、当該分野で通常行われている種々の方法によって行うことができ、例えば、気流式殺菌、高圧殺菌、加熱殺菌等の方法によって行うことができる。また、耐熱性の容器に充填する場合は、充填後に加熱殺菌してもよい。
【0031】
本発明の飲料が充填される容器は、缶、瓶、PETボトル、紙パック、プラスチック容器などを用いることができるが、これらに限定されず、種々の容器を用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明のヘスペリジン含有飲料に関する試験について説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0033】
[試験1]
水溶性ヘスペリジンを一定濃度で含む飲料において、リンゴ酸の濃度を変化させ、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)、リンゴ酸に由来する酸味、総合評価について試験した。
【0034】
(サンプル1〜9)
イオン交換水に、水溶性ヘスペリジンとしてヘスペリジンS(林原商事製)を用いて、モノグルコシルへスペリジン濃度が、飲料の総重量に対して0.073重量%となるように添加した。さらに、リンゴ酸(扶桑化学工業製のリンゴ酸フソウ)を添加した後、イオン交換水をさらに添加し、飲料の全量を200gにした。サンプル1〜9のリンゴ酸の濃度は表1に示したとおりである。各サンプルを95℃に達するまで加熱殺菌し、PET容器に充填し、冷却後、官能評価に供した。
【0035】
(官能評価)
水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)は1〜10点で評価し、不快味(苦味)が強いサンプルを高得点、弱いサンプルを低得点とした。リンゴ酸に由来する酸味は1〜5点で評価し、酸味が強いサンプルを高得点、弱いサンプルを低得点とした。総合評価は、各項目の評価結果から総合的に判定し4段階(×、△、○、◎)で評価した。その結果を表1に示す。
【表1】

【0036】
表1から、モノグルコシルヘスペリジン濃度が0.073重量%である水溶性ヘスペリジン含有飲料において、リンゴ酸の濃度が上昇するに従い、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)が低減されることが示された。また、モノグルコシルヘスペリジン濃度A(重量%)とリンゴ酸の濃度B(重量%)の比A/Bが0.1〜2.5の範囲内であると、総合評価が良好であることが示された。
【0037】
また、リンゴ酸の添加量が1%を超えると、リンゴ酸由来の酸味が強くなり、総合評価が低下することが示された。よって、試験1において、添加されるリンゴ酸の濃度は、0.05〜0.5重量%の範囲が好ましいことが示された。
【0038】
[試験2]
水溶性ヘスペリジンの濃度を変化させ、また、リンゴ酸の濃度を変化させて、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)、リンゴ酸に由来する酸味、総合評価について試験した。
【0039】
(サンプル10〜16)
イオン交換水に、水溶性ヘスペリジンとしてヘスペリジンS(林原商事製)を用いて、モノグルコシルへスペリジン濃度が、飲料の総重量に対して0.015重量%(サンプル10〜12)又は0.22重量%(サンプル13〜16)となるように添加した。さらに、リンゴ酸(扶桑化学工業製のリンゴ酸フソウ)を添加した後、イオン交換水をさらに添加し、飲料の全量を200gにした。サンプル10〜16のリンゴ酸の濃度は表2に示したとおりである。各サンプルを95℃に達するまで加熱殺菌し、PET容器に充填し、冷却後、官能評価に供した。
【0040】
(官能評価)
水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)、リンゴ酸に由来する酸味、及び総合評価について、上記試験1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【表2】

【0041】
モノグルコシルヘスペリジン濃度が0.015重量%、及び0.22重量%であるヘスペリジン含有飲料においても、リンゴ酸を添加することにより、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)を低減できることが示された。特に、0.22重量%という高濃度でモノグルコシルヘスペリジンを含む飲料においても、リンゴ酸を添加することにより風味の優れたヘスペリジン含有飲料を提供できることが示された。
【0042】
[試験3]
リンゴ酸の代わりに他の酸を用いて、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)を低減する効果を試験した。
【0043】
(サンプル17〜22)
イオン交換水に、水溶性ヘスペリジンとしてヘスペリジンS(林原商事製)を用いて、モノグルコシルへスペリジン濃度が、飲料の総重量に対して0.22重量%となるように添加した。さらに、表3に示す各種の有機酸又は無機酸を、表3に示す濃度で添加し、撹拌して溶解した後、イオン交換水をさらに添加し、飲料の全量を200gにした。各サンプルを95℃に達するまで加熱殺菌し、PET容器に充填し、冷却後、官能評価に供した。酸を添加していないサンプル17以外のサンプル18〜22は、クエン酸換算酸度が同程度になるように調整した。尚、中和滴定法によるクエン酸換算酸度を表3に示した。
【0044】
リンゴ酸は扶桑化学工業製のリンゴ酸フソウを用い、クエン酸は扶桑化学工業製の精製クエン酸(無水)を用い、酒石酸はサンブライト製のL-酒石酸を用い、乳酸は武蔵野化学研究所製のムサシノ乳酸50を用い、リン酸はラサ工業株式会社製の75%乳酸を用いた。
【0045】
(官能評価)
水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)、及び総合評価について、上記試験1と同様に評価した。また、美味しさについて1〜5点で評価し、美味しさが高いサンプルを高得点、低いサンプルを低得点とした。結果を表3に示す。
【表3】

【0046】
クエン酸は、フラボノイド類の不快味を軽減する効果を有すると広く知られているものである。しかしながら、クエン酸を添加したサンプル18は、美味しさの評価が低かった。これは、クエン酸特有の苦みが付与されたためであると考えられる。
【0047】
一方、リンゴ酸を添加したサンプル19は、クエン酸を添加したサンプル18と比較して、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)の抑制効果が顕著に強かった。また、リンゴ酸を添加したサンプル19は、他の酸を添加したサンプルと比較しても、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)低減効果が極めて高く、水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)を抑制するためにリンゴ酸が特に優れた効果を有することが示された。
【0048】
さらに、リンゴ酸を添加したサンプル19は、美味しさの評価が高かった。このことから、リンゴ酸はクエン酸のように飲料の風味を損なうことがなく、リンゴ酸を用いることにより嗜好性の優れた飲料を提供できることが示された。
【0049】
また、酒石酸やリン酸を添加したサンプルでは、不快味(苦味)の抑制効果が低く、単に酸を添加すれば風味が改良されるものではないことも示された。
【0050】
[試験4]
加糖したヘスペリジン含有飲料について官能評価を行った。
【0051】
(サンプル23)
イオン交換水に、水溶性ヘスペリジンとしてヘスペリジンS(林原商事製)を用いて、モノグルコシルへスペリジン濃度が、飲料の総重量に対して0.073重量%となるように添加した。さらに、リンゴ酸(扶桑化学工業製のリンゴ酸フソウ)を0.1重量%、果糖ぶどう糖液糖(日本食品化工製のフジフラクト(H-100))を5.0重量%、香料(ケミ・コム・シャパン製のグレープフルーツ香料)を0.1%の濃度でそれぞれ添加した。その後、イオン交換水をさらに添加し、飲料の全量を200gにした(サンプル23)。次いで、サンプル23を95℃に達するまで加熱殺菌し、PET容器に充填し、冷却後、官能評価に供した。
【0052】
(官能評価)
水溶性ヘスペリジン特有の不快味(苦味)、及び総合評価について、上記試験1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【表4】

【0053】
表4から、加糖した場合でも、リンゴ酸を添加することにより、風味が良好なヘスペリジン含有飲料を提供できることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ヘスペリジン及びリンゴ酸を含むことを特徴とするヘスペリジン含有飲料。
【請求項2】
前記水溶性ヘスペリジンの濃度A(重量%)と前記リンゴ酸の濃度B(重量%)の比A/Bが0.1〜2.5の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のヘスペリジン含有飲料。
【請求項3】
前記水溶性ヘスペリジンの濃度Aが0.015〜0.36重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘスペリジン含有飲料。
【請求項4】
前記リンゴ酸の濃度Bが0.04〜0.7重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のスペリジン含有飲料。
【請求項5】
前記水溶性ヘスペリジンが、グルコシルヘスペリジンであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のスペリジン含有飲料。
【請求項6】
前記飲料が、水飲料、炭酸飲料、各種機能性飲料、スポーツドリンク、ニアウォーターのいずれかであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のスペリジン含有飲料。
【請求項7】
水溶性ヘスペリジン及びリンゴ酸を、前記水溶性ヘスペリジンの濃度A(重量%)と前記リンゴ酸の濃度B(重量%)の比A/Bが0.1〜2.5の範囲となるように添加することにより、ヘスペリジンに由来する不快味を抑制することを特徴とする、ヘスペリジン含有飲料の製造方法。

【公開番号】特開2011−126849(P2011−126849A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289585(P2009−289585)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】