ヘッドランプのバンパガイド部構造
【課題】簡単な構成でゴミ等の堆積物がレンズを通して見えにくくすることによって車両の外観品質を高めることができるヘッドランプのバンパガイド部構造を提供すること。
【解決手段】バンパ7の上端から車両後方に延びるフランジ7aを支持するバンパガイド部8をレンズ3の下部に形成して成るヘッドランプ1のバンパガイド部構造であって、前記バンパガイド部8の上面に、前記バンパ7のフランジ7aの下面に当接して該フランジ7aを支持するリブ8aを立設し、該バンパガイド部8の上面と前記バンパ7のフランジ7aの下面との間に隙間を設ける。又、前記ヘッドランプ1のレンズ3とこれに形成された前記バンパガイド部8とで前記バンパ7のフランジ7aを受け入れる溝部3Bを形成し、該溝部3Bの奥壁と前記リブ8aとの間に車両前後方向の隙間δを形成する。更に、バンパガイド部8に上下方向に貫通する排出孔8bを形成する。
【解決手段】バンパ7の上端から車両後方に延びるフランジ7aを支持するバンパガイド部8をレンズ3の下部に形成して成るヘッドランプ1のバンパガイド部構造であって、前記バンパガイド部8の上面に、前記バンパ7のフランジ7aの下面に当接して該フランジ7aを支持するリブ8aを立設し、該バンパガイド部8の上面と前記バンパ7のフランジ7aの下面との間に隙間を設ける。又、前記ヘッドランプ1のレンズ3とこれに形成された前記バンパガイド部8とで前記バンパ7のフランジ7aを受け入れる溝部3Bを形成し、該溝部3Bの奥壁と前記リブ8aとの間に車両前後方向の隙間δを形成する。更に、バンパガイド部8に上下方向に貫通する排出孔8bを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバンパ上端から車両後方に延びるフランジを支持するバンパガイド部をレンズの下部に形成して成るヘッドランプのバンパガイド部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両前部の左右に配置されるヘッドランプは、ハウジングとその前面開口部を覆うレンズによって画成された灯室内に光源とこれを支持するリフレクタ等を収容して構成されているが、灯室内には光軸調整によりリフレクタが傾動するための空間や防水のための構造が設けられており、実際のレンズは見掛けよりも大きくその一部はバンパ等に隠れている。
【0003】
ここで、ヘッドランプのレンズとこれに形成されたバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を図6〜図8に示す。
【0004】
即ち、図6はヘッドランプのレンズの斜視図、図7は図6のE部(バンパガイド部)拡大詳細図、図8はレンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図であり、図8に示すヘッドランプ101のレンズ103のバンパ107によって隠れる下端部には車両前方に向かって膨出する袋状のバンパガイド部108が形成されている。そして、図8に示すように、バンパ107の上端から車両後方に延びるフランジ107aは、レンズ103の下面103bとバンパガイド部108の上面との間に形成される溝部103Bに差し込まれ、バンパガイド部108によって支持され、これによってレンズ103のバンパ107に隠れている部分においてヘッドランプ101とバンパ107の相対位置が安定化し、車両前部の外観性が高められている。
【0005】
ところで、特許文献1には、車両用ランプグリルへの雪、水、ゴミ等の堆積を防ぐ構造が提案され、特許文献2には車両用バンパの取付構造、特許文献3には車両用灯具の車体取付構造がそれぞれ提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3019738号公報
【特許文献2】特開2003−212070号公報
【特許文献3】特開2009−083681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図8に示す従来のバンパガイド部構造によれば、バンパ107のフランジ107aが差し込まれて支持されるレンズ103の下面103bとバンパガイド部108の間の溝部103Bの奥に土やゴミ等の堆積物Tが堆積し、これの堆積物Tがレンズ103を通して見えるために車両の外観品質が損なわれる他、堆積したゴミ等の堆積物Tがバンパ107のフランジ107aとレンズ103のバンパガイド部108の間に入り込み、車両走行時の振動等によってバンパ107やレンズ103が摩耗したり、異音が発生するという問題がある。
【0008】
そこで、レンズ103に形成されるバンパガイド部108を図9に示すように複数のリブ108aで構成することが考えられるが、このような構成を採用しても、各リブ108aの付け根部分はレンズ103の一部分として連続して繋がっているため、図10に示すように、各リブ108aの付け根部分にゴミ等の堆積物Tが堆積してしまう。この堆積物Tは狭くて奥まった箇所に堆積するため、洗車等によって容易に落とすことができない。この場合、図10に示すように、レンズ103の周縁を覆うベゼル(エクステンション)110が灯室104内に設置されていれば、このベゼル110によってゴミ等の堆積物Tが覆い隠されて外部から見えないが、図11に示すようにベゼル110が設置されていないヘッドランプ101にあっては、堆積したゴミ等の堆積物Tがレンズ103を通して見えてしまう。このような場合、レンズ103の下面103bの裏側で灯室104側の面の図示Rの範囲にローレット等の凹凸形状を形成することが考えられるが、レンズ103の凹凸形状が形成されたこの面部分と堆積物Tの距離が近いために堆積物Tがレンズ103を通して見えてしまい、美観が損なわれてしまう。
【0009】
上記問題を解決するためには、図12に示すように、バンパガイド部108をレンズ103の下面から遠ざけ、堆積したゴミ等がレンズ103を通して見えないようにすれば良いが、このような構成を採用するとバンパ107側に新たな部材107bを追加する必要があり、この部材107bを形成するには金型にスライド機構が必要になるために金型構造が複雑化し、コストアップを免れないという問題が発生する。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成でゴミ等の堆積物がレンズを通して見えにくくすることによって車両の外観品質を高めることができるヘッドランプのバンパガイド部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、バンパ上端から車両後方に延びるフランジを支持するバンパガイド部をレンズの下部に形成して成るヘッドランプのバンパガイド部構造であって、前記バンパガイド部の上面に、前記バンパのフランジの下面に当接して該フランジを支持するリブを立設し、該バンパガイド部の上面と前記バンパのフランジの下面との間に隙間を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ヘッドランプのレンズとこれに形成された前記バンパガイド部とで前記バンパのフランジを受け入れる溝部を形成し、該溝部の奥壁と前記リブとの間に車両前後方向の隙間を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記バンパガイド部に上下方向に貫通する排出孔を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、バンパガイド部の上面にリブを立設することによって、バンパガイド部の上面とバンパのフランジの下面との間に隙間を設けたため、リブの奥のゴミ等の堆積物をレンズの下面から遠ざけることができ、レンズを通して堆積物が見えにくくなるために車両の外観品質が高められる。そして、ゴミ等の堆積物を隠すためのベゼルやローレット等の凹凸形状を設ける必要がなくなるため、ヘッドランプの構造が単純化し、その製造が容易となって製造コストを下げることができる。
【0015】
又、バンパガイド部の上面とバンパのフランジの下面との間に隙間を設けたため、バンパガイド部の上面に堆積した土やゴミ等を容易に洗い流すことができる。そして、土やゴミ等の堆積を心配することなく幅の広いバンパガイド部を設けることができるため、該バンパガイド部の剛性が高められ、剛性の高いバンパガイド部によってバンパを確実に支持することができる。この結果、ヘッドランプとバンパとの見切りが安定して車両の外観品質が高められる。
【0016】
更に、バンパガイド部に形成されたリブの高さを変更することによってヘッドランプとバンパとの見切りの隙間を容易に調整することができるため、ヘッドランプとバンパとの見切りの隙間を小さく抑えることが可能となり、これによっても車両の外観品質を高めることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、ヘッドランプのレンズとこれに形成されたバンパガイド部によって形成された溝部の奥壁とリブとの間に車両前後方向の隙間を形成したため、土やゴミ等が堆積し易いレンズに近い箇所(奥側の箇所)の数を減らすことができ、レンズを通してゴミ等の堆積物が見えにくくなって車両の外観品質が高められる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、レンズのバンパガイド部に上下方向に貫通する排出孔を形成したため、土やゴミ等の堆積場所の面積が排出孔によって減るとともに、バンパガイド部の上面の僅かな堆積場所に堆積した土やゴミ等を洗車時等に水によって洗い流し、土やゴミ等を水と共に排出孔から落下させて排出することができるため、レンズを通してゴミ等の堆積物が見えにくくなって車両の外観品質が一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るバンパガイド部構造を備えたヘッドランプのレンズの斜視図である。
【図2】図1のA部(バンパガイド部)の拡大詳細図である。
【図3】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図(図5のB−B線断面図)である。
【図4】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図(図5のC−C線断面図)である。
【図5】図3のD−D線断面図である。
【図6】従来のバンパガイド部構造を備えたヘッドランプのレンズの斜視図である。
【図7】図6のE部(バンパガイド部)拡大詳細図である。
【図8】図6のE部(バンパガイド部)によるバンパの支持構造を示す部分側断面図である。
【図9】バンパガイド部の従来例を示すレンズの部分斜視図である。
【図10】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を示す部分側断面図である。
【図11】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を示す部分側断面図である。
【図12】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を示す部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係るバンパガイド部構造を備えたヘッドランプのレンズの斜視図、図2は図1のA部(バンパガイド部)の拡大詳細図、図3はレンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図(図5のB−B線断面図)、図4は同部分側断面図(図5のC−C線断面図)、図5は図3のD−D線断面図である。
【0022】
車両前部の左右に配置されるヘッドランプ1の一部を図3及び図4に示すが、該ヘッドランプ1は、ハウジング2とその前面開口部を覆う透明なレンズ3によって画成される灯室4内にリフレクタ5とこれに保持された光源である不図示のバルブ等を収容して構成されている。ここで、ハウジング2の前面開口部の周縁には車両前方に向かって開く嵌合部2aが形成されており、この嵌合部2aにレンズ3の周縁に車両後方に向かって突設されたリブ3aを嵌め込んで両者をホットメルト6によって接着することによって、ハウジング2とレンズ3が水密状態に結合されて灯室4が画成されている。
【0023】
ところで、ヘッドランプ1の一部は後述するバンパ7の上端に形成されたフランジ7aの後方にまで下方に延設配置されており、レンズ3の下部のバンパ7によって隠れる部分は、図3及び図4に示すように、レンズ3の下面3bとその奥の縦壁3cによって階段状の凹部が形成されており、レンズ3の縦壁3cの前面には図1、図2及び図5に示すようなバンパガイド部8が一体に突設され、このバンパガイド部8はレンズ3の凹部3Aに収容されてレンズ3の下面3bとの間に溝部3Bを形成している。このバンパガイド部8は、下方が開口した矩形ボックス状に成形されており、その上面には高さhの3つのリブ8aが車幅方向に適当な間隔を設けて一体に立設されている。ここで、図2〜図5に示すように、各リブ8aは縦壁3cまで延びておらず、その奥側の端面と縦壁3cとの間には図示のように車両前後方向の隙間δ(図3及び図4参照)が形成されている。
【0024】
又、図3及び図5に示すように、レンズ3のバンパガイド部8のリブ8aと縦壁3cとの間に形成された前記隙間δ部分には、上下方向に貫通する矩形の2つの排出孔8bがバンパガイド部8の上面に車幅方向に長く形成されている。
【0025】
他方、図3及び図4に示すように、車両の前面下部に車幅方向に配される前記バンパ7の上端には車両後方(図3及び図4の右方)に向かって略水平に延びるフランジ7aが一体に形成されており、このフランジ7aはレンズ3の下面3bとバンパガイド部8との間に形成された前記溝部3Bに車両前方から差し込まれてバンパガイド部8のリブ8aによって下方から支持されている。このようにバンパ7のフランジ7aがレンズ3のバンパガイド部8のリブ8aによって受けられることによって、バンパ7の上端部がレンズ3によって支持されている。即ち、バンパ7のフランジ7aの下面はレンズ3のバンパガイド部8の上面に立設されたリブ8aの上面に当接しており、該バンパ7のフランジ7aの下面とバンパガイド部8の上面(リブ8aが形成されていない部位)との間にはリブ8aの高さhの隙間が形成されている。尚、バンパ7は、左右のヘッドランプ1の下側に配置された部分はレンズ3に設けられたバンパガイド部8によってそれぞれ支持され、バンパ7の左右両端は車両のフェンダーパネルに取り付けられたバンパホルダに係合し、フェンダーパネルと位置決めされて保持固定されている。
【0026】
以上のように、本実施の形態では、バンパガイド部8の上面にリブ8aを立設することによって、バンパガイド部8aの上面とバンパ7のフランジ7aの下面との間にリブ8aの高さh分の隙間を設けたため、リブ8aの奥の土やゴミ等の堆積物Tをレンズ3の下面3bから遠ざけることができ、レンズ3を通して堆積物Tが見えにくくなるために車両の外観品質が高められる。この結果、ゴミ等の堆積物Tを隠すためのベゼルやローレット等の凹凸形状を設ける必要がなくなるため、ヘッドランプ1の構造が単純化し、その製造が容易となって製造コストを下げることができる。
【0027】
又、上述のようにバンパガイド部8の上面とバンパ7のフランジ7aの下面との間にリブ8aの高さh分の隙間を設けたため、バンパガイド部8の上面に堆積した土やゴミ等の堆積物Tを容易に洗い流すことができる。因みに、図4に示すように、土やゴミ等の堆積物Tはレンズ3のパンパガイド部8の上面の排出孔8bが形成されていない箇所(レンズ3と繋がっている箇所))のみに堆積する。従って、土やゴミ等の堆積を心配することなく幅の広いバンパガイド部8を設けることができるため、該バンパガイド部8の剛性が高められ、剛性の高いバンパガイド部8によってバンパ7の上端を確実に支持することができる。この結果、ヘッドランプ1とバンパ7との見切りが安定して車両の外観品質が高められる。
【0028】
更に、バンパガイド部8に形成されたリブ8aの高さhを変更することによってヘッドランプ1とバンパ7との見切りの隙間を容易に調整することができるため、ヘッドランプ1とバンパ7との見切りの隙間を小さく抑えることが可能となり、これによっても車両の外観品質を高めることができる。
【0029】
又、本実施の形態によれば、ヘッドランプ1のレンズ3とこれに形成されたバンパガイド部8によって形成された溝部3Bの奥の縦壁3cとリブ8aとの間に車両前後方向の隙間δを形成したため、土やゴミ等が堆積し易いレンズ3に近い箇所(奥側の箇所)の数を減らすことができ、レンズ3を通してゴミ等の堆積物Tが見えにくくなって車両の外観品質が高められる。そして、本実施の形態では、レンズ3のバンパガイド部8に上下方向に貫通する排出孔8bを形成したため、土やゴミ等の堆積場所の面積が排出孔8bによって減るとともに、図3に示すように、バンパガイド部8の上面の僅かな堆積場所に堆積した土やゴミ等の堆積物Tを洗車時等に水によって洗い流し、堆積物Tを水と共に排出孔8bから落下させて排出することができるため、レンズ3を通してゴミ等の堆積物Tが見えにくくなって車両の外観品質が一層高められる。
【0030】
尚、以上の実施の形態では、リブ8aが形成されたバンパガイド部8について説明したが、リブ8aを設けないでバンパガイド部8の上面に上下方向に貫通する排出孔8bのみを設けても良い。つまり、バンパガイド部8の上面と縦壁3cとの接続部である隅角部に排出孔8bを設け、堆積物Tを排出孔8bから落下させて排出するとともに、洗車時等に水によって堆積物Tを排出孔8bから洗い流すことが可能とする。このとき、排出孔8bの前端縁をバンパ7のフランジ7aの下方に配置して排出孔8bを拡大形成すると、フランジ7aの後端の後ろに堆積物Tが溜まることを防止することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ヘッドランプ
2 ハウジング
2a ハウジングの嵌合部
3 レンズ
3A レンズの凹部
3B レンズの溝部
3a レンズのリブ
3b レンズの下面
3c レンズの縦壁
4 灯室
5 リフレクタ
6 ホットメルト
7 バンパ
7a バンパのフランジ
8 レンズのバンパガイド部
8a バンパガイド部のリブ
8b バンパガイド部の排出孔
h バンパガイド部のリブの高さ
T 堆積物
δ 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバンパ上端から車両後方に延びるフランジを支持するバンパガイド部をレンズの下部に形成して成るヘッドランプのバンパガイド部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両前部の左右に配置されるヘッドランプは、ハウジングとその前面開口部を覆うレンズによって画成された灯室内に光源とこれを支持するリフレクタ等を収容して構成されているが、灯室内には光軸調整によりリフレクタが傾動するための空間や防水のための構造が設けられており、実際のレンズは見掛けよりも大きくその一部はバンパ等に隠れている。
【0003】
ここで、ヘッドランプのレンズとこれに形成されたバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を図6〜図8に示す。
【0004】
即ち、図6はヘッドランプのレンズの斜視図、図7は図6のE部(バンパガイド部)拡大詳細図、図8はレンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図であり、図8に示すヘッドランプ101のレンズ103のバンパ107によって隠れる下端部には車両前方に向かって膨出する袋状のバンパガイド部108が形成されている。そして、図8に示すように、バンパ107の上端から車両後方に延びるフランジ107aは、レンズ103の下面103bとバンパガイド部108の上面との間に形成される溝部103Bに差し込まれ、バンパガイド部108によって支持され、これによってレンズ103のバンパ107に隠れている部分においてヘッドランプ101とバンパ107の相対位置が安定化し、車両前部の外観性が高められている。
【0005】
ところで、特許文献1には、車両用ランプグリルへの雪、水、ゴミ等の堆積を防ぐ構造が提案され、特許文献2には車両用バンパの取付構造、特許文献3には車両用灯具の車体取付構造がそれぞれ提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3019738号公報
【特許文献2】特開2003−212070号公報
【特許文献3】特開2009−083681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図8に示す従来のバンパガイド部構造によれば、バンパ107のフランジ107aが差し込まれて支持されるレンズ103の下面103bとバンパガイド部108の間の溝部103Bの奥に土やゴミ等の堆積物Tが堆積し、これの堆積物Tがレンズ103を通して見えるために車両の外観品質が損なわれる他、堆積したゴミ等の堆積物Tがバンパ107のフランジ107aとレンズ103のバンパガイド部108の間に入り込み、車両走行時の振動等によってバンパ107やレンズ103が摩耗したり、異音が発生するという問題がある。
【0008】
そこで、レンズ103に形成されるバンパガイド部108を図9に示すように複数のリブ108aで構成することが考えられるが、このような構成を採用しても、各リブ108aの付け根部分はレンズ103の一部分として連続して繋がっているため、図10に示すように、各リブ108aの付け根部分にゴミ等の堆積物Tが堆積してしまう。この堆積物Tは狭くて奥まった箇所に堆積するため、洗車等によって容易に落とすことができない。この場合、図10に示すように、レンズ103の周縁を覆うベゼル(エクステンション)110が灯室104内に設置されていれば、このベゼル110によってゴミ等の堆積物Tが覆い隠されて外部から見えないが、図11に示すようにベゼル110が設置されていないヘッドランプ101にあっては、堆積したゴミ等の堆積物Tがレンズ103を通して見えてしまう。このような場合、レンズ103の下面103bの裏側で灯室104側の面の図示Rの範囲にローレット等の凹凸形状を形成することが考えられるが、レンズ103の凹凸形状が形成されたこの面部分と堆積物Tの距離が近いために堆積物Tがレンズ103を通して見えてしまい、美観が損なわれてしまう。
【0009】
上記問題を解決するためには、図12に示すように、バンパガイド部108をレンズ103の下面から遠ざけ、堆積したゴミ等がレンズ103を通して見えないようにすれば良いが、このような構成を採用するとバンパ107側に新たな部材107bを追加する必要があり、この部材107bを形成するには金型にスライド機構が必要になるために金型構造が複雑化し、コストアップを免れないという問題が発生する。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成でゴミ等の堆積物がレンズを通して見えにくくすることによって車両の外観品質を高めることができるヘッドランプのバンパガイド部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、バンパ上端から車両後方に延びるフランジを支持するバンパガイド部をレンズの下部に形成して成るヘッドランプのバンパガイド部構造であって、前記バンパガイド部の上面に、前記バンパのフランジの下面に当接して該フランジを支持するリブを立設し、該バンパガイド部の上面と前記バンパのフランジの下面との間に隙間を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ヘッドランプのレンズとこれに形成された前記バンパガイド部とで前記バンパのフランジを受け入れる溝部を形成し、該溝部の奥壁と前記リブとの間に車両前後方向の隙間を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記バンパガイド部に上下方向に貫通する排出孔を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、バンパガイド部の上面にリブを立設することによって、バンパガイド部の上面とバンパのフランジの下面との間に隙間を設けたため、リブの奥のゴミ等の堆積物をレンズの下面から遠ざけることができ、レンズを通して堆積物が見えにくくなるために車両の外観品質が高められる。そして、ゴミ等の堆積物を隠すためのベゼルやローレット等の凹凸形状を設ける必要がなくなるため、ヘッドランプの構造が単純化し、その製造が容易となって製造コストを下げることができる。
【0015】
又、バンパガイド部の上面とバンパのフランジの下面との間に隙間を設けたため、バンパガイド部の上面に堆積した土やゴミ等を容易に洗い流すことができる。そして、土やゴミ等の堆積を心配することなく幅の広いバンパガイド部を設けることができるため、該バンパガイド部の剛性が高められ、剛性の高いバンパガイド部によってバンパを確実に支持することができる。この結果、ヘッドランプとバンパとの見切りが安定して車両の外観品質が高められる。
【0016】
更に、バンパガイド部に形成されたリブの高さを変更することによってヘッドランプとバンパとの見切りの隙間を容易に調整することができるため、ヘッドランプとバンパとの見切りの隙間を小さく抑えることが可能となり、これによっても車両の外観品質を高めることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、ヘッドランプのレンズとこれに形成されたバンパガイド部によって形成された溝部の奥壁とリブとの間に車両前後方向の隙間を形成したため、土やゴミ等が堆積し易いレンズに近い箇所(奥側の箇所)の数を減らすことができ、レンズを通してゴミ等の堆積物が見えにくくなって車両の外観品質が高められる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、レンズのバンパガイド部に上下方向に貫通する排出孔を形成したため、土やゴミ等の堆積場所の面積が排出孔によって減るとともに、バンパガイド部の上面の僅かな堆積場所に堆積した土やゴミ等を洗車時等に水によって洗い流し、土やゴミ等を水と共に排出孔から落下させて排出することができるため、レンズを通してゴミ等の堆積物が見えにくくなって車両の外観品質が一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るバンパガイド部構造を備えたヘッドランプのレンズの斜視図である。
【図2】図1のA部(バンパガイド部)の拡大詳細図である。
【図3】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図(図5のB−B線断面図)である。
【図4】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図(図5のC−C線断面図)である。
【図5】図3のD−D線断面図である。
【図6】従来のバンパガイド部構造を備えたヘッドランプのレンズの斜視図である。
【図7】図6のE部(バンパガイド部)拡大詳細図である。
【図8】図6のE部(バンパガイド部)によるバンパの支持構造を示す部分側断面図である。
【図9】バンパガイド部の従来例を示すレンズの部分斜視図である。
【図10】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を示す部分側断面図である。
【図11】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を示す部分側断面図である。
【図12】レンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造の従来例を示す部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係るバンパガイド部構造を備えたヘッドランプのレンズの斜視図、図2は図1のA部(バンパガイド部)の拡大詳細図、図3はレンズのバンパガイド部によるバンパの支持構造を示す部分側断面図(図5のB−B線断面図)、図4は同部分側断面図(図5のC−C線断面図)、図5は図3のD−D線断面図である。
【0022】
車両前部の左右に配置されるヘッドランプ1の一部を図3及び図4に示すが、該ヘッドランプ1は、ハウジング2とその前面開口部を覆う透明なレンズ3によって画成される灯室4内にリフレクタ5とこれに保持された光源である不図示のバルブ等を収容して構成されている。ここで、ハウジング2の前面開口部の周縁には車両前方に向かって開く嵌合部2aが形成されており、この嵌合部2aにレンズ3の周縁に車両後方に向かって突設されたリブ3aを嵌め込んで両者をホットメルト6によって接着することによって、ハウジング2とレンズ3が水密状態に結合されて灯室4が画成されている。
【0023】
ところで、ヘッドランプ1の一部は後述するバンパ7の上端に形成されたフランジ7aの後方にまで下方に延設配置されており、レンズ3の下部のバンパ7によって隠れる部分は、図3及び図4に示すように、レンズ3の下面3bとその奥の縦壁3cによって階段状の凹部が形成されており、レンズ3の縦壁3cの前面には図1、図2及び図5に示すようなバンパガイド部8が一体に突設され、このバンパガイド部8はレンズ3の凹部3Aに収容されてレンズ3の下面3bとの間に溝部3Bを形成している。このバンパガイド部8は、下方が開口した矩形ボックス状に成形されており、その上面には高さhの3つのリブ8aが車幅方向に適当な間隔を設けて一体に立設されている。ここで、図2〜図5に示すように、各リブ8aは縦壁3cまで延びておらず、その奥側の端面と縦壁3cとの間には図示のように車両前後方向の隙間δ(図3及び図4参照)が形成されている。
【0024】
又、図3及び図5に示すように、レンズ3のバンパガイド部8のリブ8aと縦壁3cとの間に形成された前記隙間δ部分には、上下方向に貫通する矩形の2つの排出孔8bがバンパガイド部8の上面に車幅方向に長く形成されている。
【0025】
他方、図3及び図4に示すように、車両の前面下部に車幅方向に配される前記バンパ7の上端には車両後方(図3及び図4の右方)に向かって略水平に延びるフランジ7aが一体に形成されており、このフランジ7aはレンズ3の下面3bとバンパガイド部8との間に形成された前記溝部3Bに車両前方から差し込まれてバンパガイド部8のリブ8aによって下方から支持されている。このようにバンパ7のフランジ7aがレンズ3のバンパガイド部8のリブ8aによって受けられることによって、バンパ7の上端部がレンズ3によって支持されている。即ち、バンパ7のフランジ7aの下面はレンズ3のバンパガイド部8の上面に立設されたリブ8aの上面に当接しており、該バンパ7のフランジ7aの下面とバンパガイド部8の上面(リブ8aが形成されていない部位)との間にはリブ8aの高さhの隙間が形成されている。尚、バンパ7は、左右のヘッドランプ1の下側に配置された部分はレンズ3に設けられたバンパガイド部8によってそれぞれ支持され、バンパ7の左右両端は車両のフェンダーパネルに取り付けられたバンパホルダに係合し、フェンダーパネルと位置決めされて保持固定されている。
【0026】
以上のように、本実施の形態では、バンパガイド部8の上面にリブ8aを立設することによって、バンパガイド部8aの上面とバンパ7のフランジ7aの下面との間にリブ8aの高さh分の隙間を設けたため、リブ8aの奥の土やゴミ等の堆積物Tをレンズ3の下面3bから遠ざけることができ、レンズ3を通して堆積物Tが見えにくくなるために車両の外観品質が高められる。この結果、ゴミ等の堆積物Tを隠すためのベゼルやローレット等の凹凸形状を設ける必要がなくなるため、ヘッドランプ1の構造が単純化し、その製造が容易となって製造コストを下げることができる。
【0027】
又、上述のようにバンパガイド部8の上面とバンパ7のフランジ7aの下面との間にリブ8aの高さh分の隙間を設けたため、バンパガイド部8の上面に堆積した土やゴミ等の堆積物Tを容易に洗い流すことができる。因みに、図4に示すように、土やゴミ等の堆積物Tはレンズ3のパンパガイド部8の上面の排出孔8bが形成されていない箇所(レンズ3と繋がっている箇所))のみに堆積する。従って、土やゴミ等の堆積を心配することなく幅の広いバンパガイド部8を設けることができるため、該バンパガイド部8の剛性が高められ、剛性の高いバンパガイド部8によってバンパ7の上端を確実に支持することができる。この結果、ヘッドランプ1とバンパ7との見切りが安定して車両の外観品質が高められる。
【0028】
更に、バンパガイド部8に形成されたリブ8aの高さhを変更することによってヘッドランプ1とバンパ7との見切りの隙間を容易に調整することができるため、ヘッドランプ1とバンパ7との見切りの隙間を小さく抑えることが可能となり、これによっても車両の外観品質を高めることができる。
【0029】
又、本実施の形態によれば、ヘッドランプ1のレンズ3とこれに形成されたバンパガイド部8によって形成された溝部3Bの奥の縦壁3cとリブ8aとの間に車両前後方向の隙間δを形成したため、土やゴミ等が堆積し易いレンズ3に近い箇所(奥側の箇所)の数を減らすことができ、レンズ3を通してゴミ等の堆積物Tが見えにくくなって車両の外観品質が高められる。そして、本実施の形態では、レンズ3のバンパガイド部8に上下方向に貫通する排出孔8bを形成したため、土やゴミ等の堆積場所の面積が排出孔8bによって減るとともに、図3に示すように、バンパガイド部8の上面の僅かな堆積場所に堆積した土やゴミ等の堆積物Tを洗車時等に水によって洗い流し、堆積物Tを水と共に排出孔8bから落下させて排出することができるため、レンズ3を通してゴミ等の堆積物Tが見えにくくなって車両の外観品質が一層高められる。
【0030】
尚、以上の実施の形態では、リブ8aが形成されたバンパガイド部8について説明したが、リブ8aを設けないでバンパガイド部8の上面に上下方向に貫通する排出孔8bのみを設けても良い。つまり、バンパガイド部8の上面と縦壁3cとの接続部である隅角部に排出孔8bを設け、堆積物Tを排出孔8bから落下させて排出するとともに、洗車時等に水によって堆積物Tを排出孔8bから洗い流すことが可能とする。このとき、排出孔8bの前端縁をバンパ7のフランジ7aの下方に配置して排出孔8bを拡大形成すると、フランジ7aの後端の後ろに堆積物Tが溜まることを防止することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ヘッドランプ
2 ハウジング
2a ハウジングの嵌合部
3 レンズ
3A レンズの凹部
3B レンズの溝部
3a レンズのリブ
3b レンズの下面
3c レンズの縦壁
4 灯室
5 リフレクタ
6 ホットメルト
7 バンパ
7a バンパのフランジ
8 レンズのバンパガイド部
8a バンパガイド部のリブ
8b バンパガイド部の排出孔
h バンパガイド部のリブの高さ
T 堆積物
δ 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパ上端から車両後方に延びるフランジを支持するバンパガイド部をレンズの下部に形成して成るヘッドランプのバンパガイド部構造であって、
前記バンパガイド部の上面に、前記バンパのフランジの下面に当接して該フランジを支持するリブを立設し、該バンパガイド部の上面と前記バンパのフランジの下面との間に隙間を設けたことを特徴とするヘッドランプのバンパガイド部構造。
【請求項2】
前記ヘッドランプのレンズとこれに形成された前記バンパガイド部とで前記バンパのフランジを受け入れる溝部を形成し、該溝部の奥壁と前記リブとの間に車両前後方向の隙間を形成したことを特徴とする請求項1記載のヘッドランプのバンパガイド部構造。
【請求項3】
前記バンパガイド部に上下方向に貫通する排出孔を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のヘッドランプのバンパガイド部構造。
【請求項1】
バンパ上端から車両後方に延びるフランジを支持するバンパガイド部をレンズの下部に形成して成るヘッドランプのバンパガイド部構造であって、
前記バンパガイド部の上面に、前記バンパのフランジの下面に当接して該フランジを支持するリブを立設し、該バンパガイド部の上面と前記バンパのフランジの下面との間に隙間を設けたことを特徴とするヘッドランプのバンパガイド部構造。
【請求項2】
前記ヘッドランプのレンズとこれに形成された前記バンパガイド部とで前記バンパのフランジを受け入れる溝部を形成し、該溝部の奥壁と前記リブとの間に車両前後方向の隙間を形成したことを特徴とする請求項1記載のヘッドランプのバンパガイド部構造。
【請求項3】
前記バンパガイド部に上下方向に貫通する排出孔を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のヘッドランプのバンパガイド部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−189820(P2011−189820A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57002(P2010−57002)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
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