ヘッドレスト装置及び医科歯科用診療台
【課題】ヘッドレストの自然な傾動と、傾動に伴う術者の負担を軽減しうるヘッドレスト装置を提供する。
【解決手段】ヘッドレストの支持板211と、支持板211を背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられる、支持部と、を備えた、ヘッドレスト装置2であり、支持板211は、支持部に対して、前後方向に対して直角な第1水平軸44の回りに回動可能となるように、且つ、前後方向に移動可能となるように、第1アーム4を介して支持部に連結されており、更に、支持板211は、支持部に対して、前後方向に対して直角な第2水平軸55の回りに回動しながら、前方に向けて低くなっている傾斜方向に沿って前後方向に移動可能となるように、第2アーム5を介して支持部に連結されている。
【解決手段】ヘッドレストの支持板211と、支持板211を背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられる、支持部と、を備えた、ヘッドレスト装置2であり、支持板211は、支持部に対して、前後方向に対して直角な第1水平軸44の回りに回動可能となるように、且つ、前後方向に移動可能となるように、第1アーム4を介して支持部に連結されており、更に、支持板211は、支持部に対して、前後方向に対して直角な第2水平軸55の回りに回動しながら、前方に向けて低くなっている傾斜方向に沿って前後方向に移動可能となるように、第2アーム5を介して支持部に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医科歯科用診療台で使用されるヘッドレスト装置、及び、該ヘッドレスト装置を備えた医科歯科用診療台、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医科歯科用診療台で使用されるヘッドレスト装置としては、例えば特許文献1〜5に示される装置が知られている。特許文献1には、敷条4aに沿って可動ブロック4が移動自在に案内される、ヘッドレストの角度付与装置が、示されている。特許文献2には、連結揺動作動する2本のリンク部材5、6を備えたヘッドレストが、示されている。特許文献3、5には、ヘッドレストを円弧状に案内する機構を有する装置が、示されており、具体的には、特許文献3では、安頭台2を支持する円弧状支持角筒3が円弧状支持角軸5に摺動自在に嵌着されており、また、特許文献5では、ヘッドレスト15を押し上げるピン75が略円弧状のガイド溝72内を移動するようになっている。特許文献4には、回動リンク12、13や並動リンク14を有する平行四辺形リンク10によって調節される、医療用ベッドが、示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−98913号公報
【特許文献2】特開2003−310674号公報
【特許文献3】特開平7−96012号公報
【特許文献4】実開平6−80424号
【特許文献5】特開2005−124796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ヘッドレストの自然な傾動(傾きながら動くこと)を実現するために摺動と回転とを組み合せたヘッドレスト2aが提案されているが、このヘッドレスト2aでは、頭部回動に伴う頚椎の複雑な動きの再現性が乏しいので、回動の際に看部が移動して看部と術者との相対的距離を保持できず、したがって、術者に対する負担が大きい。特許文献2の装置では、リンク部材の厚み及び複雑な構成によって、装置が高価となる。特許文献3、5の装置では、ヘッドレストを円弧状に案内する機構が、術者の足元に張り出して、術者の邪魔になる。特許文献4の装置では、リンク機構の厚みが大きいため、リンク機構が術者の邪魔になる。
【0005】
更に、ヘッドレスト装置においては、従来から、次のような課題が提示されている。
(1)ヘッドレストを傾動させる際における、患者の負担を、極力軽減するために、自然な傾動を実現すること。また、該傾動に伴う術者の負担を、極力軽減するために、看部の位置ズレが少ない傾動を実現すること。
(2)術者による様々な診療形態に対応した位置に、ヘッドレストを傾動できること。
(3)傾動機構がコンパクトであり、術者の邪魔にならないこと。
(4)傾動機構の駆動方式として、手動方式でも電動方式でも採用できること。
(5)部品点数や機構を大幅に増やすことなく、安価な装置を提供できること。
【0006】
本発明は、ヘッドレストの自然な傾動を実現できるとともに、上述のような種々の課題を解決できる、ヘッドレスト装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、医科歯科用診療台の長手方向における背板の後端にて患者頭部を支持可能なように、背板内部に取り付けて使用される、ヘッドレスト装置において、
患者の頭部を支えるためのヘッドレストと、
ヘッドレストを背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられる、支持部と、
を備えており、
ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第1水平軸の回りに回動可能となるように、且つ、前後方向に移動可能となるように、第1アームを介して支持部に連結されており、
更に、ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第2水平軸の回りに回動しながら、前方に向けて低くなっている傾斜方向に沿って前後方向に移動可能となるように、第2アームを介して支持部に連結されている、
ことを特徴としている。
【0008】
具体的には、次の(1)又は(2)の構成を採用できる。
(1)第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に回動可能に連結されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されており、第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている。
【0009】
(2)第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に固定されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されるとともに、支持部に前後方向に形成された前後ガイド部に、摺動可能に設けられており、第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、ヘッドレストは、第1アームを介して支持部に連結されていることにより、支持部に対して、第1水平軸回りに回動しながら前後方向に移動する。また、ヘッドレストは、第2アームを介して支持部に連結されていることにより、支持部に対して、第2水平軸回りに回動しながら傾斜ガイド部に沿って前後方向に移動する。これにより、ヘッドレストは、全体が前後方向へ移動しながら、前後方向において傾斜していく。このような動きの組合せは、人間が頸部を前後方向へ傾倒させる際の頚椎の動きを、充分に再現することができる。したがって、本発明によれば、患者への負担を低減できる、ヘッドレストの自然な傾動を、実現できる。更に、ヘッドレストの調整に伴う看部の位置ズレを抑えながら対象部位の角度のみ変えることができる、ヘッドレストの傾動動作が、可能となる。したがって、術者は、不要な姿勢調整を行うことなく、一定ポジションからでも、様々な診療形態に対処できる。
【0011】
また、本発明においては、ヘッドレストは、第1アーム及び第2アームを介して支持部に連結されているだけである。したがって、本発明によれば、連結機構すなわち傾動機構を簡素化でき、それ故、傾動機構をコンパクト化でき、傾動機構が術者の足元付近に張り出すなどして邪魔になるのを防止できる。
【0012】
更に、本発明のヘッドレスト装置は、第2アームが連結されている第2水平軸を前後に移動させるだけで、作動する。そして、第2水平軸の移動は、手動でも電動でも可能である。したがって、本発明のヘッドレスト装置は、傾動機構の駆動方式として、手動方式でも電動方式でも採用できる構成であるので、多彩な器種にも安価且つ容易に設けることができ、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の医科歯科用診療台を備えた診療ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1の診療台の長手方向に沿った断面略図である。
【図3】第1実施形態のヘッドレスト装置の斜視図である。
【図4】カバー体を取り外したヘッドレスト装置の斜視図である。
【図5】図4のヘッドレスト装置の平面図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】図5のVII矢視図である。
【図8】図5のVIII矢視図である。
【図9】図5のIX矢視図である。
【図10】図6のX−X断面略図である。
【図11】ヘッドレスト装置の作動の変遷を示す斜視図である。
【図12】ヘッドレスト装置の作動の変遷を示す要部正面図である。
【図13】図12の作動における支持板などの移動軌跡を示す図である。
【図14】第2実施形態のヘッドレスト装置の要部正面図である。
【図15】図14の(A)のXV−XV断面略図である。
【図16】第2実施形態の変形構成の一例を示す、図15に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1は、医科歯科用診療ユニット100を示している。このユニット100は、本発明の診療台101と、治療台102と、術者用椅子103と、を有している。診療台101は、椅子本体11と、椅子本体11を支持する基台12と、からなっている。基台12には、椅子本体11の昇降作動を操作するフートスイッチ13が、接続されている。治療台102は、各種の治療用ハンドピース104を備えている。
【0015】
椅子本体11は、脚板14と座板15と背板16と本実施形態のヘッドレスト装置2とからなっている。ヘッドレスト装置2は、椅子本体11の長手方向(矢印X方向)における背板16の後端にて患者頭部を支持可能なように、背板16内部に取り付けられている。なお、長手方向とは、脚板14、座板15、及び背板16の連設方向に沿った方向のことであり、脚板14側が「前」であり、背板16側が「後」であり、この方向性は、背板16が寝ていても起きていても変わらないものとする。
【0016】
図2は、図1の椅子本体11を長手方向すなわち前後方向に沿って切断して示す断面略図である。ヘッドレスト装置2は、患者の頭部を支えるためのヘッドレスト21と、支持部3と、からなっている。支持部3は、ヘッドレスト21を背板16の後方に支持するよう、背板16に取り付けられている。ヘッドレスト21は、レスト部材210が支持板211の表面に取り付けられて構成されている。
【0017】
以下に、ヘッドレスト装置2の各部の具体的構成を示す。図3は、ヘッドレスト装置2の斜視図である。支持板211は、1本の第1アーム4及び2本の第2アーム5を介して、支持部3に連結されている。なお、支持部3は、基板301と、基板301を覆うカバー体302と、基板301及びカバー体302に組み付けられる壁部30と、を備えている。
【0018】
図4は、カバー体302を取り外したヘッドレスト装置2の斜視図である。図5は、図4のヘッドレスト装置2の平面図である。図6は、図5のVI矢視図である。図7は、図5のVII矢視図である。図8は、図5のVIII矢視図である。図9は、図5のIX矢視図である。図10は、図6のX−X断面略図である。
【0019】
本実施形態では、第1アーム4は、ヘッドレスト装置2における前後方向に対する直角方向(すなわち幅方向(矢印Y方向))の、中央に、設けられている。第1アーム4の一端41は、支持板211の裏面の前部の軸受部212に固定された水平軸42に、回動可能に連結されている。水平軸42は、幅方向に延びている。一方、支持部3は、後部の幅方向両側に、壁部30を有している。第1アーム4の他端43は、図8及び図10に示されるように、水平軸(第1水平軸)44に、回動可能に連結されている。水平軸44の両端は、支持部3の両壁部30に固定されており、第1アーム4の他端43は、水平軸44の幅方向中央部に、連結されている。水平軸44も幅方向に延びている。第1アーム4は、前方へ向けて少しだけ凸状となるよう、湾曲している。このように、支持板211は、第1アーム4を介して、支持部3に、前述のとおり連結されていることにより、支持部3に対して、水平軸44回りに回動可能であり、且つ、前後方向に移動可能である。
【0020】
第2アーム5は、ヘッドレスト装置2における幅方向の両側に設けられている。第2アーム5の一端51は、支持板211の裏面の軸受部213に固定された水平軸52に、回動可能に連結されている。軸受部213は、第1アーム4の軸受部212より後方に設けられている。水平軸52は、幅方向に延びている。第2アーム5の他端53は、支持部3の壁部30に設けられた傾斜ガイド部54に、摺動可能に設けられている。第2アーム5の他端53は、図10に示されるように、水平軸(第2水平軸)55を介して、傾斜ガイド部54内を摺動可能なベアリング56に支持されている。水平軸55は、幅方向に延びている。具体的には、水平軸55を構成するシャフトの一端551は、第2アーム5の他端53に固着されており、他端552は、ベアリング56のインナーレース561に固着されている。ベアリング56は、アウターレース562が傾斜ガイド部54内で回転することにより、傾斜ガイド部54内を摺動可能となっている。傾斜ガイド部54は、前方に向けて低くなっている長溝541からなっている。この長溝541は、背板16の、患者の背中に当接する表面側に(図6及び図7では上方に)向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲している。
【0021】
第2アーム5は、更に、前方へ延びた延在部58を有している。延在部58の先端部581は、移動ブロック57に固定された水平軸571に、回動可能に連結されている。水平軸571は、幅方向に延びている。移動ブロック57は、支持部3内に、前後方向に移動可能に、設けられている。
【0022】
このように、支持板211は、第2アーム5を介して、支持部3に、前述のとおり連結されていることにより、支持部3に対して、水平軸55回りに回動しながら、傾斜ガイド部54に沿って前後方向に移動可能である。
【0023】
支持部3には、移動ブロック57すなわち第2アーム5を、前後方向の所定位置に固定するためのロック機構6が、設けられている。ロック機構6は、ロック操作部60とレバー61と爪部62とストッパ部63とを備えている。ロック操作部60は、支持板211の側面に設けられており、前方部分がレバー61に一体に連結されている。レバー61は、前後方向に延びて、一方の第2アーム5の幅方向外側に位置している。爪部62は、レバー61の基端部611に且つ移動ブロック57と一体に、設けられており、ロック操作部60を幅方向に押したり離したりする操作に伴って、ロック操作部60と一体のレバー61の先端部612が幅方向の内外に少し移動することによって、全体として幅方向に対する可撓性を有する構造となっている。この構造では、ロック操作部60を幅方向へ操作すると、レバー61の基端部611が、連動して、(操作方向とは逆の)幅方向へ作用できるので、基端部611に一体に設けられた爪部62とストッパ部63との嵌合状態を操作できる。ストッパ部63は、支持部3に固定された、前後方向に延びた、フレーム体であり、前進した爪部62が嵌合する凹部631を、前後方向に多数個有している。凹部631に嵌合した爪部62は、後方方向への力を加えると後方へ外れるが、前方方向への力を加えても前方へ外れない、形態を、有している。
【0024】
上記構成のヘッドレスト装置2の作動は、次のとおりである。なお、図11は、ヘッドレスト装置2の作動の変遷を示す斜視図であり、図12は、ヘッドレスト装置2の作動の変遷を示す要部正面図である。両図において、(A)は、ヘッドレスト21の支持板211が最も水平に近い状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の伸長時の状態を示し、(C)は、支持板211が最も傾斜している状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の短縮時の状態を示し、(B)は、(A)と(C)との略中間の状態を示している。(A)の状態では、移動ブロック57が支持部3内の可動領域の後端に位置しており、第2アーム5の他端53が傾斜ガイド部54の後端に位置している。
【0025】
(A)の状態において、ロック操作部60を操作して、レバー61の先端部612を内側に移動させて爪部62を後退させ、それによって爪部62を凹部631から外し、移動ブロック57を前方に移動させると、第2アーム5は、延在部58によって前方へ引かれ、他端53が傾斜ガイド部54に沿って前方へ移動する。このとき、第1アーム4は、一端41が水平軸42回りに矢印R1方向に回動しながら、他端43(図8、図10参照)が水平軸44回りに矢印R1方向に回動し、また、第2アーム5は、一端51が水平軸52回りに矢印R1方向に回動する。これにより、図12において、第1アーム4の一端41は、斜め上方へ且つ前方へ、移動し、第2アーム5の一端51は、斜め下方へ且つ前方へ、移動する。したがって、支持板211は、全体が前方へ移動しながら、水平軸52を支点として、前部211Aの前方側が矢印R2方向へ起きあがるように傾斜すると共に後部211Bの後方側が矢印R2方向へ寝ていくように傾倒する。しかも、長溝541が、背板16の、患者の背中に当接する表面側に(図12では上方に)向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲しているので、第2アーム5の他端53は、図12において、上に向いて少しだけ凸状の円弧を描きながら、前方へ移動する。これにより、第1アーム4の一端41の斜め上方への移動、及び、第2アーム5の一端51の斜め下方への移動は、上に向いて少しだけ凸状の円弧を描く。図13は、上記作動における、支持板211、水平軸42、及び水平軸52の移動軌跡を、示している。
【0026】
移動ブロック57を前端まで移動させると、(C)の状態となり、移動ブロック57を途中まで移動させると、(B)の状態となる。なお、ロック機構6を作動させることにより、第2アーム5を(A)〜(C)に至るどの位置においても、固定できる。すなわち、レバー61の先端部612を外側に移動させると、爪部62が前進して凹部631に嵌合し、移動ブロック57がストッパ部63に固定され、これによって、第2アーム5が所定位置に固定される。
【0027】
図13からわかるように、支持板211すなわちヘッドレスト21の移動軌跡は、第1アーム4及び第2アーム5がそれぞれ有する各水平軸の動きと連動して、極めて自然な傾動を示している。したがって、上記構成のヘッドレスト装置2によれば、ヘッドレスト21の自然な傾動を実現できる。なお、自然な傾動によれば、ヘッドレスト調整時に患者の頚椎への負担を最小限に抑えた、患者の頭部回転を、実現できる。本実施形態では、患者頭部が回転するとき、支持板211の前後方向への移動及び回転角度が、患者頚椎の自然な動きを再現するように、第1アーム4、第2アーム5、水平軸42、長溝541が、相互に動きを連関させて、各部材の動作及び可動域を決定しながら、患者にとって自然な傾動を実現するよう、構成されている。また、自然な傾動によれば、ヘッドレスト調整時に、看部(歯牙の咬合面などの口腔)の位置を移動させることなく角度のみを変位させることによって、患者の頭部が回転しても、看部と術者との相対的距離を一定に維持でき、それ故、術者が不要な姿勢の再調整をしなくて済む、ヘッドレストの動きを、実現できる。本実施形態においては、支持板211に載せた患者頭部が、移動軌跡Kに沿って、どの位置まで回転しても、顎関節Jの位置が一定となるように、支持板211裏面の水平軸42及び水平軸52と、第2アームの水平軸55と、移動ブロック57に固定された水平軸571と、の可動領域が、調整されているので、患者だけでなく術者にとっても、自然な傾動を実現できる。
【0028】
なお、ヘッドレスト装置2において、第1アーム4は、幅方向の中央に位置しており、第2アーム5は、幅方向の両側に位置しているので、上記作動の際に、第1アーム4と第2アーム5とは、相互に移動の妨げにはならない。
【0029】
[第2実施形態]
図14は、本実施形態のヘッドレスト装置2の要部正面図であり、(A)は、支持板211が水平に近い状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の伸長時の状態を示し、(B)は、支持板211が傾斜している状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の短縮時の状態を示している。図15は、図14の(A)のXV−XV断面略図である。
【0030】
本実施形態のヘッドレスト装置2は、第1実施形態のヘッドレスト装置2に比して、第1アーム4の連結構造が異なっているだけである。すなわち、本実施形態においては、第1アーム4の一端41は、支持板211の裏面の前部に固着されている。また、第1アーム4の他端43は、支持部3の壁部30の水平軸44に回動可能に連結されているが、水平軸44は、壁部30に形成された前後ガイド部46に、摺動可能に設けられている。具体的には、図15に示されるように、第1アーム4の他端43には、水平軸44が貫通しており、水平軸44は、例えば六角穴付きボルト等の固定部材431によって、他端43に固定されている。水平軸44は、幅方向に延びている。一方、前後ガイド部46は、両壁部30に形成された、前後方向に延びた長孔461からなっている。水平軸44は、その両端441が両壁部30の長孔461に挿通されており、これにより、前後ガイド部46に沿って前後方向に摺動可能となっている。長孔461は、背板16の、患者の背中に当接する表面側に(図14では上方に)向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲している。
【0031】
本実施形態のヘッドレスト装置2においても、移動ブロック57を前方に移動させると、第2アーム5は、延在部58によって前方へ引かれ、他端53が傾斜ガイド部54に沿って前方へ移動する。このとき、第1アーム4は、一端41が前方へ移動しながら、他端43が水平軸44回りに矢印R2方向に回動し、また、第2アーム5は、一端51が水平軸52回りに矢印R1方向に回動する。これにより、第1アーム4の一端41は、斜め上方へ且つ前方へ、移動し、第2アーム5の一端51は、斜め下方へ且つ前方へ、移動する。したがって、支持板211は、全体が前方へ移動しながら、水平軸52を支点として、前部211Aの前方側が矢印R2方向へ起きあがるように傾斜すると共に後部211Bの後方側が矢印R2方向へ寝ていくように傾倒する。しかも、長溝541が、背板16の、患者の背中に当接する表面側に向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲しており、また、長孔461も、背板16の表面側に向かって少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲しているので、第2アーム5の他端53は、図14において、上方に向いて少しだけ凸状の円弧を描きながら、前方へ移動する。これにより、第1アーム4の一端41の斜め上方への移動、及び、第2アーム5の一端51の斜め下方への移動は、上方に向いて少しだけ凸状の円弧を描く。したがって、本実施形態のヘッドレスト装置2においても、支持板211、水平軸44、及び水平軸52の移動軌跡は、図13に示されるようになる。なお、図13の水平軸42の移動軌跡が、本実施形態における水平軸44の移動軌跡である。
【0032】
したがって、本実施形態のヘッドレスト装置2によっても、第1実施形態と同様に、ヘッドレスト21(図2にて図示)の自然な傾動を実現できる。
【0033】
なお、ヘッドレスト装置2において、第1アーム4は、幅方向の中央に位置しており、第2アーム5は、幅方向の両側に位置しているので、上記作動の際に、第1アーム4と第2アーム5とは、相互に移動の妨げにはならない。
【0034】
[実施形態の変形構成]
上記第1及び第2実施形態においては、次のような変形構成を採用できる。
(a)支持板211が、2本の第1アーム4及び1本の第2アーム5を介して、支持部3に連結されている。この場合、第1アーム4は、ヘッドレスト装置2における幅方向の両側に設けられ、第2アーム5は、ヘッドレスト装置2における幅方向の中央に設けられている。例えば、図16は、第2実施形態の変形構成を示している。図16に示されるように、2本の第1アーム4は、それぞれ、支持部3(図16では図示せず)の壁部30の幅方向外側に位置している。水平軸44は、第1アーム4の他端43に固定された状態で、壁部30の長孔461内に摺動可能に位置している。第2アーム5は、両壁部30の間に位置している。傾斜ガイド部54は、2つ形成されており、それぞれ、両壁部30の対向する内面に形成されている。水平軸55の両端552は、それぞれ、傾斜ガイド部54内を摺動可能なベアリング56に支持されている。
【0035】
(b)傾斜ガイド部54が、長孔からなっている。この場合においては、例えば、図16における第1アーム4の連結構造を、第1及び第2実施形態における第2アーム5の連結構造として採用する。
【0036】
(c)前後ガイド部46が、長溝からなっている。この場合においては、例えば、図16における第2アーム5の連結構造を、第2実施形態における第1アーム4の連結構造として採用する。
【0037】
(d)移動ブロックを前後方向に移動させる駆動機構が、設けられている。この駆動機構が設けられた場合は、ロック機構6は不要である。駆動機構としては、例えば、図14に示されるような、モータMと駆動ネジ軸Nとからなる機構を、使用できる。駆動ネジ軸Nの一端は、モータMの出力軸Pに、接続用カップリング部材Cを介して、固定されており、これにより、駆動ネジ軸Nは、モータMの回転と連動回転するようになっている。この機構では、移動ブロック57Aが、駆動ネジ軸Nに対して、前後方向に移動可能なように、螺合している。具体的には、駆動ネジ軸Nの前部は、細い円柱棒状体であり、後部は、太いネジ部であり、前端は、支持部3に設けられた駆動ネジ軸受Wを貫通して、接続用カップリング部材Cにピン固定されており、後端は、支持部3の後端部に回転可能に連結されている。そして、駆動ネジ軸Nのネジ部が、移動ブロック57Aを前後方向に貫通しており、移動ブロック57Aは、ネジ部に螺合している。この機構では、モータMが回転して、接続用カップリング部材Cとともに駆動ネジ軸Nが回転すると、移動ブロック57Aが、駆動ネジ軸Nに沿って前後方向に移動するようになっている。このとき、移動ブロック57Aの動きは、移動ブロック57Aの側面に延在部58の先端部581を介して回動自在に連結された第2アーム5によって、規制されるため、駆動ネジ軸Nが回転しても、移動ブロック57Aは、回転することなく、前後方向に移動する。この機構では、駆動ネジ軸Nは、支持部3に設けられた駆動ネジ軸受Wに挿通されており、また、駆動ネジ軸Nのネジ部の外径が、駆動ネジ軸受Wの挿通孔の内径より大きいので、支持板211にヘッドレスト21(図2参照)及び患者頭部(図示せず)等の重量がかかっても、駆動ネジ軸受Wが駆動ネジ軸Nのネジ部の前端面を支えることにより、駆動ネジ軸Nに連設された接続用カップリング部材C及びモータMに、負荷はかからない。それ故、この構成によれば、ヘッドレスト装置の強度を保つことができる。この変形構成によれば、移動ブロック57Aの前後方向の位置を細かく設定できるので、ヘッドレスト21の傾斜具合を細かく設定できる。なお、このような駆動機構の操作は、従来の一般的な医科歯科用診療ユニットのように、ユニットを構成する診療台や治療台の、一部に設けられた、操作用スイッチやフートスイッチによって、電気的に行うことができる。言うまでもないが、このような駆動機構は、実施形態1にも適用できる。
【0038】
なお、本発明のヘッドレスト装置においては、(i)各アームの長さ、(ii)アームに設けられた作動中心である軸の位置、(iii)軸の動作及び可動域を案内する、長溝又は長孔の、長さや周縁の形状、(iv)移動ブロックの可動範囲、などを変更することによって、ヘッドレストの、移動量、回動範囲、傾斜角度などを、調整・変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のヘッドレスト装置は、ヘッドレストの自然な傾動を実現できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0040】
101 診療台 16 背板 21 ヘッドレスト 3 支持部 4 第1アーム 41 一端 43 他端 44 第1水平軸 46 前後ガイド部 461 長孔 5 第2アーム 51 一端 53 他端 54 傾斜ガイド部 541 長溝 55 第2水平軸 6 ロック機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、医科歯科用診療台で使用されるヘッドレスト装置、及び、該ヘッドレスト装置を備えた医科歯科用診療台、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医科歯科用診療台で使用されるヘッドレスト装置としては、例えば特許文献1〜5に示される装置が知られている。特許文献1には、敷条4aに沿って可動ブロック4が移動自在に案内される、ヘッドレストの角度付与装置が、示されている。特許文献2には、連結揺動作動する2本のリンク部材5、6を備えたヘッドレストが、示されている。特許文献3、5には、ヘッドレストを円弧状に案内する機構を有する装置が、示されており、具体的には、特許文献3では、安頭台2を支持する円弧状支持角筒3が円弧状支持角軸5に摺動自在に嵌着されており、また、特許文献5では、ヘッドレスト15を押し上げるピン75が略円弧状のガイド溝72内を移動するようになっている。特許文献4には、回動リンク12、13や並動リンク14を有する平行四辺形リンク10によって調節される、医療用ベッドが、示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−98913号公報
【特許文献2】特開2003−310674号公報
【特許文献3】特開平7−96012号公報
【特許文献4】実開平6−80424号
【特許文献5】特開2005−124796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ヘッドレストの自然な傾動(傾きながら動くこと)を実現するために摺動と回転とを組み合せたヘッドレスト2aが提案されているが、このヘッドレスト2aでは、頭部回動に伴う頚椎の複雑な動きの再現性が乏しいので、回動の際に看部が移動して看部と術者との相対的距離を保持できず、したがって、術者に対する負担が大きい。特許文献2の装置では、リンク部材の厚み及び複雑な構成によって、装置が高価となる。特許文献3、5の装置では、ヘッドレストを円弧状に案内する機構が、術者の足元に張り出して、術者の邪魔になる。特許文献4の装置では、リンク機構の厚みが大きいため、リンク機構が術者の邪魔になる。
【0005】
更に、ヘッドレスト装置においては、従来から、次のような課題が提示されている。
(1)ヘッドレストを傾動させる際における、患者の負担を、極力軽減するために、自然な傾動を実現すること。また、該傾動に伴う術者の負担を、極力軽減するために、看部の位置ズレが少ない傾動を実現すること。
(2)術者による様々な診療形態に対応した位置に、ヘッドレストを傾動できること。
(3)傾動機構がコンパクトであり、術者の邪魔にならないこと。
(4)傾動機構の駆動方式として、手動方式でも電動方式でも採用できること。
(5)部品点数や機構を大幅に増やすことなく、安価な装置を提供できること。
【0006】
本発明は、ヘッドレストの自然な傾動を実現できるとともに、上述のような種々の課題を解決できる、ヘッドレスト装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、医科歯科用診療台の長手方向における背板の後端にて患者頭部を支持可能なように、背板内部に取り付けて使用される、ヘッドレスト装置において、
患者の頭部を支えるためのヘッドレストと、
ヘッドレストを背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられる、支持部と、
を備えており、
ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第1水平軸の回りに回動可能となるように、且つ、前後方向に移動可能となるように、第1アームを介して支持部に連結されており、
更に、ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第2水平軸の回りに回動しながら、前方に向けて低くなっている傾斜方向に沿って前後方向に移動可能となるように、第2アームを介して支持部に連結されている、
ことを特徴としている。
【0008】
具体的には、次の(1)又は(2)の構成を採用できる。
(1)第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に回動可能に連結されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されており、第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている。
【0009】
(2)第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に固定されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されるとともに、支持部に前後方向に形成された前後ガイド部に、摺動可能に設けられており、第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、ヘッドレストは、第1アームを介して支持部に連結されていることにより、支持部に対して、第1水平軸回りに回動しながら前後方向に移動する。また、ヘッドレストは、第2アームを介して支持部に連結されていることにより、支持部に対して、第2水平軸回りに回動しながら傾斜ガイド部に沿って前後方向に移動する。これにより、ヘッドレストは、全体が前後方向へ移動しながら、前後方向において傾斜していく。このような動きの組合せは、人間が頸部を前後方向へ傾倒させる際の頚椎の動きを、充分に再現することができる。したがって、本発明によれば、患者への負担を低減できる、ヘッドレストの自然な傾動を、実現できる。更に、ヘッドレストの調整に伴う看部の位置ズレを抑えながら対象部位の角度のみ変えることができる、ヘッドレストの傾動動作が、可能となる。したがって、術者は、不要な姿勢調整を行うことなく、一定ポジションからでも、様々な診療形態に対処できる。
【0011】
また、本発明においては、ヘッドレストは、第1アーム及び第2アームを介して支持部に連結されているだけである。したがって、本発明によれば、連結機構すなわち傾動機構を簡素化でき、それ故、傾動機構をコンパクト化でき、傾動機構が術者の足元付近に張り出すなどして邪魔になるのを防止できる。
【0012】
更に、本発明のヘッドレスト装置は、第2アームが連結されている第2水平軸を前後に移動させるだけで、作動する。そして、第2水平軸の移動は、手動でも電動でも可能である。したがって、本発明のヘッドレスト装置は、傾動機構の駆動方式として、手動方式でも電動方式でも採用できる構成であるので、多彩な器種にも安価且つ容易に設けることができ、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の医科歯科用診療台を備えた診療ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1の診療台の長手方向に沿った断面略図である。
【図3】第1実施形態のヘッドレスト装置の斜視図である。
【図4】カバー体を取り外したヘッドレスト装置の斜視図である。
【図5】図4のヘッドレスト装置の平面図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】図5のVII矢視図である。
【図8】図5のVIII矢視図である。
【図9】図5のIX矢視図である。
【図10】図6のX−X断面略図である。
【図11】ヘッドレスト装置の作動の変遷を示す斜視図である。
【図12】ヘッドレスト装置の作動の変遷を示す要部正面図である。
【図13】図12の作動における支持板などの移動軌跡を示す図である。
【図14】第2実施形態のヘッドレスト装置の要部正面図である。
【図15】図14の(A)のXV−XV断面略図である。
【図16】第2実施形態の変形構成の一例を示す、図15に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1は、医科歯科用診療ユニット100を示している。このユニット100は、本発明の診療台101と、治療台102と、術者用椅子103と、を有している。診療台101は、椅子本体11と、椅子本体11を支持する基台12と、からなっている。基台12には、椅子本体11の昇降作動を操作するフートスイッチ13が、接続されている。治療台102は、各種の治療用ハンドピース104を備えている。
【0015】
椅子本体11は、脚板14と座板15と背板16と本実施形態のヘッドレスト装置2とからなっている。ヘッドレスト装置2は、椅子本体11の長手方向(矢印X方向)における背板16の後端にて患者頭部を支持可能なように、背板16内部に取り付けられている。なお、長手方向とは、脚板14、座板15、及び背板16の連設方向に沿った方向のことであり、脚板14側が「前」であり、背板16側が「後」であり、この方向性は、背板16が寝ていても起きていても変わらないものとする。
【0016】
図2は、図1の椅子本体11を長手方向すなわち前後方向に沿って切断して示す断面略図である。ヘッドレスト装置2は、患者の頭部を支えるためのヘッドレスト21と、支持部3と、からなっている。支持部3は、ヘッドレスト21を背板16の後方に支持するよう、背板16に取り付けられている。ヘッドレスト21は、レスト部材210が支持板211の表面に取り付けられて構成されている。
【0017】
以下に、ヘッドレスト装置2の各部の具体的構成を示す。図3は、ヘッドレスト装置2の斜視図である。支持板211は、1本の第1アーム4及び2本の第2アーム5を介して、支持部3に連結されている。なお、支持部3は、基板301と、基板301を覆うカバー体302と、基板301及びカバー体302に組み付けられる壁部30と、を備えている。
【0018】
図4は、カバー体302を取り外したヘッドレスト装置2の斜視図である。図5は、図4のヘッドレスト装置2の平面図である。図6は、図5のVI矢視図である。図7は、図5のVII矢視図である。図8は、図5のVIII矢視図である。図9は、図5のIX矢視図である。図10は、図6のX−X断面略図である。
【0019】
本実施形態では、第1アーム4は、ヘッドレスト装置2における前後方向に対する直角方向(すなわち幅方向(矢印Y方向))の、中央に、設けられている。第1アーム4の一端41は、支持板211の裏面の前部の軸受部212に固定された水平軸42に、回動可能に連結されている。水平軸42は、幅方向に延びている。一方、支持部3は、後部の幅方向両側に、壁部30を有している。第1アーム4の他端43は、図8及び図10に示されるように、水平軸(第1水平軸)44に、回動可能に連結されている。水平軸44の両端は、支持部3の両壁部30に固定されており、第1アーム4の他端43は、水平軸44の幅方向中央部に、連結されている。水平軸44も幅方向に延びている。第1アーム4は、前方へ向けて少しだけ凸状となるよう、湾曲している。このように、支持板211は、第1アーム4を介して、支持部3に、前述のとおり連結されていることにより、支持部3に対して、水平軸44回りに回動可能であり、且つ、前後方向に移動可能である。
【0020】
第2アーム5は、ヘッドレスト装置2における幅方向の両側に設けられている。第2アーム5の一端51は、支持板211の裏面の軸受部213に固定された水平軸52に、回動可能に連結されている。軸受部213は、第1アーム4の軸受部212より後方に設けられている。水平軸52は、幅方向に延びている。第2アーム5の他端53は、支持部3の壁部30に設けられた傾斜ガイド部54に、摺動可能に設けられている。第2アーム5の他端53は、図10に示されるように、水平軸(第2水平軸)55を介して、傾斜ガイド部54内を摺動可能なベアリング56に支持されている。水平軸55は、幅方向に延びている。具体的には、水平軸55を構成するシャフトの一端551は、第2アーム5の他端53に固着されており、他端552は、ベアリング56のインナーレース561に固着されている。ベアリング56は、アウターレース562が傾斜ガイド部54内で回転することにより、傾斜ガイド部54内を摺動可能となっている。傾斜ガイド部54は、前方に向けて低くなっている長溝541からなっている。この長溝541は、背板16の、患者の背中に当接する表面側に(図6及び図7では上方に)向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲している。
【0021】
第2アーム5は、更に、前方へ延びた延在部58を有している。延在部58の先端部581は、移動ブロック57に固定された水平軸571に、回動可能に連結されている。水平軸571は、幅方向に延びている。移動ブロック57は、支持部3内に、前後方向に移動可能に、設けられている。
【0022】
このように、支持板211は、第2アーム5を介して、支持部3に、前述のとおり連結されていることにより、支持部3に対して、水平軸55回りに回動しながら、傾斜ガイド部54に沿って前後方向に移動可能である。
【0023】
支持部3には、移動ブロック57すなわち第2アーム5を、前後方向の所定位置に固定するためのロック機構6が、設けられている。ロック機構6は、ロック操作部60とレバー61と爪部62とストッパ部63とを備えている。ロック操作部60は、支持板211の側面に設けられており、前方部分がレバー61に一体に連結されている。レバー61は、前後方向に延びて、一方の第2アーム5の幅方向外側に位置している。爪部62は、レバー61の基端部611に且つ移動ブロック57と一体に、設けられており、ロック操作部60を幅方向に押したり離したりする操作に伴って、ロック操作部60と一体のレバー61の先端部612が幅方向の内外に少し移動することによって、全体として幅方向に対する可撓性を有する構造となっている。この構造では、ロック操作部60を幅方向へ操作すると、レバー61の基端部611が、連動して、(操作方向とは逆の)幅方向へ作用できるので、基端部611に一体に設けられた爪部62とストッパ部63との嵌合状態を操作できる。ストッパ部63は、支持部3に固定された、前後方向に延びた、フレーム体であり、前進した爪部62が嵌合する凹部631を、前後方向に多数個有している。凹部631に嵌合した爪部62は、後方方向への力を加えると後方へ外れるが、前方方向への力を加えても前方へ外れない、形態を、有している。
【0024】
上記構成のヘッドレスト装置2の作動は、次のとおりである。なお、図11は、ヘッドレスト装置2の作動の変遷を示す斜視図であり、図12は、ヘッドレスト装置2の作動の変遷を示す要部正面図である。両図において、(A)は、ヘッドレスト21の支持板211が最も水平に近い状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の伸長時の状態を示し、(C)は、支持板211が最も傾斜している状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の短縮時の状態を示し、(B)は、(A)と(C)との略中間の状態を示している。(A)の状態では、移動ブロック57が支持部3内の可動領域の後端に位置しており、第2アーム5の他端53が傾斜ガイド部54の後端に位置している。
【0025】
(A)の状態において、ロック操作部60を操作して、レバー61の先端部612を内側に移動させて爪部62を後退させ、それによって爪部62を凹部631から外し、移動ブロック57を前方に移動させると、第2アーム5は、延在部58によって前方へ引かれ、他端53が傾斜ガイド部54に沿って前方へ移動する。このとき、第1アーム4は、一端41が水平軸42回りに矢印R1方向に回動しながら、他端43(図8、図10参照)が水平軸44回りに矢印R1方向に回動し、また、第2アーム5は、一端51が水平軸52回りに矢印R1方向に回動する。これにより、図12において、第1アーム4の一端41は、斜め上方へ且つ前方へ、移動し、第2アーム5の一端51は、斜め下方へ且つ前方へ、移動する。したがって、支持板211は、全体が前方へ移動しながら、水平軸52を支点として、前部211Aの前方側が矢印R2方向へ起きあがるように傾斜すると共に後部211Bの後方側が矢印R2方向へ寝ていくように傾倒する。しかも、長溝541が、背板16の、患者の背中に当接する表面側に(図12では上方に)向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲しているので、第2アーム5の他端53は、図12において、上に向いて少しだけ凸状の円弧を描きながら、前方へ移動する。これにより、第1アーム4の一端41の斜め上方への移動、及び、第2アーム5の一端51の斜め下方への移動は、上に向いて少しだけ凸状の円弧を描く。図13は、上記作動における、支持板211、水平軸42、及び水平軸52の移動軌跡を、示している。
【0026】
移動ブロック57を前端まで移動させると、(C)の状態となり、移動ブロック57を途中まで移動させると、(B)の状態となる。なお、ロック機構6を作動させることにより、第2アーム5を(A)〜(C)に至るどの位置においても、固定できる。すなわち、レバー61の先端部612を外側に移動させると、爪部62が前進して凹部631に嵌合し、移動ブロック57がストッパ部63に固定され、これによって、第2アーム5が所定位置に固定される。
【0027】
図13からわかるように、支持板211すなわちヘッドレスト21の移動軌跡は、第1アーム4及び第2アーム5がそれぞれ有する各水平軸の動きと連動して、極めて自然な傾動を示している。したがって、上記構成のヘッドレスト装置2によれば、ヘッドレスト21の自然な傾動を実現できる。なお、自然な傾動によれば、ヘッドレスト調整時に患者の頚椎への負担を最小限に抑えた、患者の頭部回転を、実現できる。本実施形態では、患者頭部が回転するとき、支持板211の前後方向への移動及び回転角度が、患者頚椎の自然な動きを再現するように、第1アーム4、第2アーム5、水平軸42、長溝541が、相互に動きを連関させて、各部材の動作及び可動域を決定しながら、患者にとって自然な傾動を実現するよう、構成されている。また、自然な傾動によれば、ヘッドレスト調整時に、看部(歯牙の咬合面などの口腔)の位置を移動させることなく角度のみを変位させることによって、患者の頭部が回転しても、看部と術者との相対的距離を一定に維持でき、それ故、術者が不要な姿勢の再調整をしなくて済む、ヘッドレストの動きを、実現できる。本実施形態においては、支持板211に載せた患者頭部が、移動軌跡Kに沿って、どの位置まで回転しても、顎関節Jの位置が一定となるように、支持板211裏面の水平軸42及び水平軸52と、第2アームの水平軸55と、移動ブロック57に固定された水平軸571と、の可動領域が、調整されているので、患者だけでなく術者にとっても、自然な傾動を実現できる。
【0028】
なお、ヘッドレスト装置2において、第1アーム4は、幅方向の中央に位置しており、第2アーム5は、幅方向の両側に位置しているので、上記作動の際に、第1アーム4と第2アーム5とは、相互に移動の妨げにはならない。
【0029】
[第2実施形態]
図14は、本実施形態のヘッドレスト装置2の要部正面図であり、(A)は、支持板211が水平に近い状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の伸長時の状態を示し、(B)は、支持板211が傾斜している状態、すなわち、ヘッドレスト装置2の短縮時の状態を示している。図15は、図14の(A)のXV−XV断面略図である。
【0030】
本実施形態のヘッドレスト装置2は、第1実施形態のヘッドレスト装置2に比して、第1アーム4の連結構造が異なっているだけである。すなわち、本実施形態においては、第1アーム4の一端41は、支持板211の裏面の前部に固着されている。また、第1アーム4の他端43は、支持部3の壁部30の水平軸44に回動可能に連結されているが、水平軸44は、壁部30に形成された前後ガイド部46に、摺動可能に設けられている。具体的には、図15に示されるように、第1アーム4の他端43には、水平軸44が貫通しており、水平軸44は、例えば六角穴付きボルト等の固定部材431によって、他端43に固定されている。水平軸44は、幅方向に延びている。一方、前後ガイド部46は、両壁部30に形成された、前後方向に延びた長孔461からなっている。水平軸44は、その両端441が両壁部30の長孔461に挿通されており、これにより、前後ガイド部46に沿って前後方向に摺動可能となっている。長孔461は、背板16の、患者の背中に当接する表面側に(図14では上方に)向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲している。
【0031】
本実施形態のヘッドレスト装置2においても、移動ブロック57を前方に移動させると、第2アーム5は、延在部58によって前方へ引かれ、他端53が傾斜ガイド部54に沿って前方へ移動する。このとき、第1アーム4は、一端41が前方へ移動しながら、他端43が水平軸44回りに矢印R2方向に回動し、また、第2アーム5は、一端51が水平軸52回りに矢印R1方向に回動する。これにより、第1アーム4の一端41は、斜め上方へ且つ前方へ、移動し、第2アーム5の一端51は、斜め下方へ且つ前方へ、移動する。したがって、支持板211は、全体が前方へ移動しながら、水平軸52を支点として、前部211Aの前方側が矢印R2方向へ起きあがるように傾斜すると共に後部211Bの後方側が矢印R2方向へ寝ていくように傾倒する。しかも、長溝541が、背板16の、患者の背中に当接する表面側に向かって、少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲しており、また、長孔461も、背板16の表面側に向かって少しだけ凸状の円弧を描くように湾曲しているので、第2アーム5の他端53は、図14において、上方に向いて少しだけ凸状の円弧を描きながら、前方へ移動する。これにより、第1アーム4の一端41の斜め上方への移動、及び、第2アーム5の一端51の斜め下方への移動は、上方に向いて少しだけ凸状の円弧を描く。したがって、本実施形態のヘッドレスト装置2においても、支持板211、水平軸44、及び水平軸52の移動軌跡は、図13に示されるようになる。なお、図13の水平軸42の移動軌跡が、本実施形態における水平軸44の移動軌跡である。
【0032】
したがって、本実施形態のヘッドレスト装置2によっても、第1実施形態と同様に、ヘッドレスト21(図2にて図示)の自然な傾動を実現できる。
【0033】
なお、ヘッドレスト装置2において、第1アーム4は、幅方向の中央に位置しており、第2アーム5は、幅方向の両側に位置しているので、上記作動の際に、第1アーム4と第2アーム5とは、相互に移動の妨げにはならない。
【0034】
[実施形態の変形構成]
上記第1及び第2実施形態においては、次のような変形構成を採用できる。
(a)支持板211が、2本の第1アーム4及び1本の第2アーム5を介して、支持部3に連結されている。この場合、第1アーム4は、ヘッドレスト装置2における幅方向の両側に設けられ、第2アーム5は、ヘッドレスト装置2における幅方向の中央に設けられている。例えば、図16は、第2実施形態の変形構成を示している。図16に示されるように、2本の第1アーム4は、それぞれ、支持部3(図16では図示せず)の壁部30の幅方向外側に位置している。水平軸44は、第1アーム4の他端43に固定された状態で、壁部30の長孔461内に摺動可能に位置している。第2アーム5は、両壁部30の間に位置している。傾斜ガイド部54は、2つ形成されており、それぞれ、両壁部30の対向する内面に形成されている。水平軸55の両端552は、それぞれ、傾斜ガイド部54内を摺動可能なベアリング56に支持されている。
【0035】
(b)傾斜ガイド部54が、長孔からなっている。この場合においては、例えば、図16における第1アーム4の連結構造を、第1及び第2実施形態における第2アーム5の連結構造として採用する。
【0036】
(c)前後ガイド部46が、長溝からなっている。この場合においては、例えば、図16における第2アーム5の連結構造を、第2実施形態における第1アーム4の連結構造として採用する。
【0037】
(d)移動ブロックを前後方向に移動させる駆動機構が、設けられている。この駆動機構が設けられた場合は、ロック機構6は不要である。駆動機構としては、例えば、図14に示されるような、モータMと駆動ネジ軸Nとからなる機構を、使用できる。駆動ネジ軸Nの一端は、モータMの出力軸Pに、接続用カップリング部材Cを介して、固定されており、これにより、駆動ネジ軸Nは、モータMの回転と連動回転するようになっている。この機構では、移動ブロック57Aが、駆動ネジ軸Nに対して、前後方向に移動可能なように、螺合している。具体的には、駆動ネジ軸Nの前部は、細い円柱棒状体であり、後部は、太いネジ部であり、前端は、支持部3に設けられた駆動ネジ軸受Wを貫通して、接続用カップリング部材Cにピン固定されており、後端は、支持部3の後端部に回転可能に連結されている。そして、駆動ネジ軸Nのネジ部が、移動ブロック57Aを前後方向に貫通しており、移動ブロック57Aは、ネジ部に螺合している。この機構では、モータMが回転して、接続用カップリング部材Cとともに駆動ネジ軸Nが回転すると、移動ブロック57Aが、駆動ネジ軸Nに沿って前後方向に移動するようになっている。このとき、移動ブロック57Aの動きは、移動ブロック57Aの側面に延在部58の先端部581を介して回動自在に連結された第2アーム5によって、規制されるため、駆動ネジ軸Nが回転しても、移動ブロック57Aは、回転することなく、前後方向に移動する。この機構では、駆動ネジ軸Nは、支持部3に設けられた駆動ネジ軸受Wに挿通されており、また、駆動ネジ軸Nのネジ部の外径が、駆動ネジ軸受Wの挿通孔の内径より大きいので、支持板211にヘッドレスト21(図2参照)及び患者頭部(図示せず)等の重量がかかっても、駆動ネジ軸受Wが駆動ネジ軸Nのネジ部の前端面を支えることにより、駆動ネジ軸Nに連設された接続用カップリング部材C及びモータMに、負荷はかからない。それ故、この構成によれば、ヘッドレスト装置の強度を保つことができる。この変形構成によれば、移動ブロック57Aの前後方向の位置を細かく設定できるので、ヘッドレスト21の傾斜具合を細かく設定できる。なお、このような駆動機構の操作は、従来の一般的な医科歯科用診療ユニットのように、ユニットを構成する診療台や治療台の、一部に設けられた、操作用スイッチやフートスイッチによって、電気的に行うことができる。言うまでもないが、このような駆動機構は、実施形態1にも適用できる。
【0038】
なお、本発明のヘッドレスト装置においては、(i)各アームの長さ、(ii)アームに設けられた作動中心である軸の位置、(iii)軸の動作及び可動域を案内する、長溝又は長孔の、長さや周縁の形状、(iv)移動ブロックの可動範囲、などを変更することによって、ヘッドレストの、移動量、回動範囲、傾斜角度などを、調整・変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のヘッドレスト装置は、ヘッドレストの自然な傾動を実現できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0040】
101 診療台 16 背板 21 ヘッドレスト 3 支持部 4 第1アーム 41 一端 43 他端 44 第1水平軸 46 前後ガイド部 461 長孔 5 第2アーム 51 一端 53 他端 54 傾斜ガイド部 541 長溝 55 第2水平軸 6 ロック機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医科歯科用診療台の長手方向における背板の後端にて患者頭部を支持可能なように、背板内部に取り付けて使用される、ヘッドレスト装置において、
患者の頭部を支えるためのヘッドレストと、
ヘッドレストを背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられる、支持部と、
を備えており、
ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第1水平軸の回りに回動可能となるように、且つ、前後方向に移動可能となるように、第1アームを介して支持部に連結されており、
更に、ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第2水平軸の回りに回動しながら、前方に向けて低くなっている傾斜方向に沿って前後方向に移動可能となるように、第2アームを介して支持部に連結されている、
ことを特徴とする、ヘッドレスト装置。
【請求項2】
第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に回動可能に連結されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されており、
第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている、
請求項1記載のヘッドレスト装置。
【請求項3】
第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に固定されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されるとともに、支持部に前後方向に形成された前後ガイド部に、摺動可能に設けられており、
第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている、
請求項1記載のヘッドレスト装置。
【請求項4】
支持部が、第2アームを前後方向に移動させる駆動機構を、備えている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項5】
支持部が、第2アームを前後方向の所定位置に固定するためのロック機構を、備えている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項6】
傾斜ガイド部が、背板の表面側に向かって凸状の円弧を描くように湾曲している、
請求項2乃至5のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項7】
前後ガイド部が、背板の表面側に向かって凸状の円弧を描くように湾曲している、
請求項3乃至5のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項8】
傾斜ガイド部が、長溝又は長孔からなっている、
請求項2乃至6のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項9】
前後ガイド部が、長孔又は長溝からなっている、
請求項3、4、5、及び7のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つのヘッドレスト装置が、ヘッドレストを背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられていることを特徴とする、医科歯科用診療台。
【請求項1】
医科歯科用診療台の長手方向における背板の後端にて患者頭部を支持可能なように、背板内部に取り付けて使用される、ヘッドレスト装置において、
患者の頭部を支えるためのヘッドレストと、
ヘッドレストを背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられる、支持部と、
を備えており、
ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第1水平軸の回りに回動可能となるように、且つ、前後方向に移動可能となるように、第1アームを介して支持部に連結されており、
更に、ヘッドレストは、支持部に対して、前後方向に対して直角な第2水平軸の回りに回動しながら、前方に向けて低くなっている傾斜方向に沿って前後方向に移動可能となるように、第2アームを介して支持部に連結されている、
ことを特徴とする、ヘッドレスト装置。
【請求項2】
第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に回動可能に連結されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されており、
第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている、
請求項1記載のヘッドレスト装置。
【請求項3】
第1アームの一端は、ヘッドレストの前部に固定されており、第1アームの他端は、支持部の上記第1水平軸に回動可能に連結されるとともに、支持部に前後方向に形成された前後ガイド部に、摺動可能に設けられており、
第2アームの一端は、第1アームの上記一端より後方にてヘッドレストの裏面に回動可能に連結されており、第2アームの他端は、上記第2水平軸を介して、上記傾斜方向に沿って形成された傾斜ガイド部に、摺動可能に設けられている、
請求項1記載のヘッドレスト装置。
【請求項4】
支持部が、第2アームを前後方向に移動させる駆動機構を、備えている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項5】
支持部が、第2アームを前後方向の所定位置に固定するためのロック機構を、備えている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項6】
傾斜ガイド部が、背板の表面側に向かって凸状の円弧を描くように湾曲している、
請求項2乃至5のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項7】
前後ガイド部が、背板の表面側に向かって凸状の円弧を描くように湾曲している、
請求項3乃至5のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項8】
傾斜ガイド部が、長溝又は長孔からなっている、
請求項2乃至6のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項9】
前後ガイド部が、長孔又は長溝からなっている、
請求項3、4、5、及び7のいずれか一つに記載のヘッドレスト装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つのヘッドレスト装置が、ヘッドレストを背板の後方に支持するよう、背板に取り付けられていることを特徴とする、医科歯科用診療台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−284265(P2010−284265A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139311(P2009−139311)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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