説明

ヘテロダイヤモンドイド

本発明は、ダイヤモンドイド核炭素の一つ以上が非炭素で実質的に置換されたダイヤモンド核を有する化合物であるヘテロ原子含有ダイヤモンドイド(即ち、ヘテロダイヤモンドイド)に関する。これらのヘテロ原子置換基は、ダイヤモンドイドに希望の性質を与える。更に、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化し、それに共有結合で懸垂した一つ以上の官能基を有する化合物を与える。本発明は、更に、重合可能な官能性化ヘテロダイヤモンドイドにも関する。本発明の好ましい態様として、ダイヤモンドイド核はトリアマンタン以上の高級ダイヤモンドイド核である。別の好ましい態様として、ヘテロ原子を、光学的に活性な材料として働くことができる電気装置でn−及びp−型材料として働くことができるダイヤモンドイドを与えることになるように選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドイド核炭素の一つ以上が、第IIIB族、非炭素第IVB族、第VB族、又は第VIB族原子のような非炭素で実質的に置換されているダイヤモンドイド核を有する化合物であるヘテロ原子含有ダイヤモンドイド(即ち、ヘテロダイヤモンドイド)に関する。(族は、2001年ウィレイ・アンド・サンズ社(Wiley & Sons, Inc.,)出版、ホーレイの縮小版化学辞典(Hawley's Condensed Chemical Dictionary)、第14版に言及されている従来のIUPAC周期表の族に基づいている)。これらのヘテロ原子置換は、ダイヤモンドイドに希望の性質を与える。更に、ヘテロダイヤモンドイドは官能性化し、共有結合で懸垂した一つ以上の官能性化基を有する化合物を与えることができる。重合可能な官能基を有する官能性化ヘテロダイヤモンドイドは、ヘテロダイヤモンドイドを含有する重合体を形成することができる。
【0002】
好ましい態様として、ダイヤモンドイド核はトリアマンタン及び高級ダイヤモンドイド核である。別の態様として、ヘテロ原子は、電気装置でn−及びp−型材料として働くことができるダイヤモンドイド材料を与えるように選択される。
【背景技術】
【0003】
ダイヤモンドイドは、ダイヤモンド結晶格子の小さな断片である堅い構造を有する籠型炭化水素分子である。アダマンタンは、ダイヤモンドイド系列の最も小さなものであり、ダイヤモンド結晶格子の単一の籠型構造からなる。ジアマンタン(diamantane)は、互いに面融合した二つのアダマンタン構成単位(subunit)を含み、トリアマンタン(triamantane)は三つ、テトラマンタン(tetramantane)は四つの構成単位を含む、等々である。アダマンタン、ジアマンタン、及びトリアマンタンには唯一つの異性体形が存在するが、テトラマンタンには四つの異なった異性体がある(即ち、四つのアダマンタン構成単位を有する四つの異なった形)。異性体テトラマンタンの二つは鏡像異性体である。可能な異性体の数は、ダイヤモンドイド系列の序列数が大きくなるに従って急速に増大する。
【0004】
市販されているアダマンタンは、官能性化されている。例えば、米国特許第3,832,332号明細書は、アルキルアダマンタンジアミンから形成したポリアミド重合体を記述している。米国特許第5,017,734号明細書は、エチニルアダマンタン誘導体から熱安定性樹脂を形成することを論じている。米国特許第6,235,851号明細書は、種々のアダマンタン誘導体の合成及び重合を報告している。
【0005】
次の参考文献は、アダマンタン及びアダマンタンから形成された誘導体に関する。
【0006】
カパルジ(Capaldi)その他、1969年7月22日発行、米国特許第3,457,318号明細書「アルケニルアダマンタン」(Alkenyl Adamantanes)。
【0007】
トンプソン(Thompson)、1974年8月27日発行、米国特許第3,832,332号明細書「ジアミノメチルアダマンタン及びジカルボン酸のポリアミド重合体」(Polyamide Polymer of Diamino Methyl Adamantane and Dicarboxylic Acid)。
【0008】
バオム(Baum)その他、1991年5月21日発行、米国特許第5,017,734号明細書「エチニルアダマンタン誘導体及びその重合方法」(Ethynyl Adamantane Derivatives and Methods of Polymerization Thereof)。
【0009】
イシイ(Ishii)その他、2001年5月22日発行、米国特許第6,235,851号明細書「重合可能なアダマンタン誘導体及びその製造方法」(Polymerizable Adamantane Derivatives and Process of Producing Same)。
【0010】
マッカーベイ(McKervey)その他、「大きなダイヤモンドイド炭化水素合成の研究」(Synthetic Approaches to Large Diamondoid Hydrocarbons)、Tetrahedron 36, 971-992 (1980)。
【0011】
リン(Lin)その他、「深い石油貯槽内のテトラマンタン(C2228)、ペンタマンタン(C2632)、及びヘキサマンタン(C3036)の自然産出」(Natural Occurrence of Tetramantane (C22H28), Pentamantane (C26H32), and Hexamantane (C30H36) in a Deep Petroleum Reservoir)、Fuel 74:10, 1512-1521 (1995)。
【0012】
チェン(Chen)その他、1995年5月9日発行、米国特許第5,414,189号明細書「高純度ダイヤモンドイド留分及び成分の分離」(Isolation of High Purity Diamondoid Fractions and Components)。
【0013】
バラバン(Balaban)その他、「ダイヤモンド炭化水素の系統的分類及び命名法−I」(Systematic Classification and Nomenclature of Diamond Hydrocarbons - I)、Tetrahedron 34, 3599-3606 (1978)。
【0014】
ゲルゾン(Gerzon)その他、「医薬中のアダマンチル基、1.ハイポグリンセミックN−アーリルスルホニル−N−アダマンタンチル尿素」(The Adamantyl Group in Medicinal Agents, 1. Hypoglycemic N-Arylsulfonyl-N-adamantylureas)、Journal of Medicinal Chemistry 6(6), 760-763 (November 1963)。
【0015】
マーシャル(Marshall)その他、「N−アリールスルホニル−N−アキル尿素についての研究続報」(Further Studies on N-Arylsulfonyl-N-alkylureas)、Journal of Medicinal Chemistry 6, 60-63 (January 1963)。
【0016】
マーシャル(Marshall)その他、「N−アリールスルホニル−N−アキル尿素」(N-Arylsulfonyl-N-alkylureas)、Journal of Organic Chemistry 23, 927-929 (June 1958)。
【0017】
ラインハルト(Reinhardt)、「バイアダマンタン及び幾つかのその誘導体」(Biadamantane and Some of its Derivatives)、Journal of Organic Chemistry 27, 3258-3261 (September 1962)。
【0018】
ササキ(Sasaki)その他、「アダマンタン誘導体の合成、II.アダマンチル酢酸からの幾つかの誘導体の製造」(Synthesis of Adamantane Derivatives, II. Preparation of Some Derivatives from Adamantylacetic Acid)、Bulletin of the Chemical Society of Japan 41:1, 238-240 (June 1968)。
【0019】
ステッター(Stetter)その他、「橋頭カルボニウムイオン反応性問題についての寄稿」(Ein Beitrag zur Frage der Reaktivitat von Bruckenkopf-Carboniumionen)、Uber Verbindungen mit Urotropin-Struktur, XXVI, Chem. Ber. 96, 550-555 (1963)。
【0020】
ハス(Hass)その他、「アダマンチルオキシカルボニル、新規なブロッキング基、1−アダマンチルクロロホルメートの製造」(Adamantyloxycarbony, a New Blocking Group. Preparation of 1-Adamantyl Chloroformate)、Journal of the American Chemical Society 88:9, 1988-1992 (May 5, 1966)。
【0021】
ステッター(Stetter)その他、「アダマンタン直接置換の新規な可能性」(Neue Moglichkeiten der Direktsubstitution am Adamantan)、Uber Verbindungen mit Urotropin-Struktur, XLIII, Chem. Ber. 102(10), 3357-3363 (1969)。
【0022】
フォンH.U.デニカー(von H. U. Daeniker)、「206.1−ヒドラジノアダマンタン」(206. 1-Hydrazinoadamantan)、Helvetica Chimica Acta 50, 2008-2010 (1967)。
【0023】
ステッター(Stetter)その他、「アダマンタン−ホスホン酸−(1)−ジクロリドについて」(Uber Adamantan-phosphonsaure-(1)-dichlorid)、Uber Verbindungen mit Urotropin-Struktur, XLIV, Chem. Ber. 102(10), 3364-3366 (1969)。
【0024】
ランスベリー(Lansbury)その他、「α−金属化エーテルの幾つかの反応」(Some Reactions of α-Metalated Ethers)、The Journal of Organic Chemistry 27:6, 1933-1939 (June 12, 1962)。
【0025】
ステッター(Stetter)その他、「1−フェニル−アダマンタン誘導体の製造」(Herstellung von Derivaten des 1-Phenyl-adamantans)、Uber Verbindungen mit Urotropin-Struktur, XXXI, Chem. Ber. 97(12), 3488-3492 (1964)。
【0026】
ノルドランダー(Nordlander)その他、「1−アダマンチルカルビニル及び3−ホモアダマンチル誘導体のソルボルシス、ネオペンチル陽イオン再配列の機構」(Solvolysis of 1-Adamantylcarbinyl and 3-Homoadamantyl Derivatives, Mechanism of the Neopentyl Cation Rearrangement)、Journal of the American Chemical Society 88:19 (October 5, 1966)。
【0027】
ササキ(Sasaki)その他、「ジメチルスルホキシド中の1−ブロモアダマンタンの置換反応:1−アジドアダマンタンの簡単な合成」(Substitution Reaction of 1-Bromoadamantane in Dimethyl Sulfoxide: Simple Synthesis of 1-Azidoadamantane)、Journal of the American Chemical Society 92:24 (December 2, 1970)。
【0028】
チャクラバルチ(Chakrabarti)その他、「アダマンタンの化学、第II部、1−アダマンチルオキシアルキルアミンの合成」(Chemistry of Adamantane. Part II. Synthesis of 1-Adamantyloxyalkylamines)、Tetrahedron Letters 60, 6249-6252 (1968)。
【0029】
ステッター(Stetter)その他、「1− アミノ−アダマンタン誘導体」(Derivate des 1-Amino-adamantans)、Uber Verbindungen mit Urotropin-Struktur, XXIV, Chem. Ber. 95, 2302-2304 (1962)。
【0030】
ステッター(Stetter)その他、「アダマンタン−カルボン酸の知識」(Zur Kenntnis der Adamantan-carbonsaure)、Uber Verbindungen mit Urotropin-Struktur, XVII, Chem. Ber. 93, 1161-1166 (1960)。
【0031】
マカローバ(Makarova)その他、「アダマンタン群に属する或るアミノケトンの向精神性活性」(Psychotrpic Activity of Some Aminoketones Belonging to the Adamantane Group)、Pharmaceutical Chemistry Journal, 34:6 (2000)。
【0032】
上で述べたように、ヘテロダイヤモンドイドは、少なくとも一つの籠型炭素原子がヘテロ原子によって置き換えられたダイヤモンドイドである。次の文献はヘテロアダマンタン及びヘテロジアマンタンについて一層詳細に記述している。
【0033】
ミユーウィッセン(Meeuwissen)その他、「1−ホスフアアダマンタンの合成」(Synthesis of 1-Phosphaadamantane)、Tetrahedron Letters, 39:24, 4225-4228 (1983)。
【0034】
ボジォゥク(Boudjouk)その他、「シス−1,3,5−トリス(ブロモメチル)シクロヘキサンとマグネシウムとの反応、可溶性トリ−グリニャールについての証拠」(The Reaction of Magnesium with cis-1,3,5-Tris(bromomethyl)cyclohexane、Evidence For a Soluble Tri-grignard)、Journal of Organometallic Chemistry 281, C21-C23 (1985)。
【0035】
ボジォゥク(Boudjouk)その他、「1−シラアダマンチル系の合成及び反応性」(Synthesis and Reactivity of 1-Silaadamantyl Systems)、Journal of Organometallic Chemistry 2, 336-343 (1983)。
【0036】
クリシュナマルシー(Krishnamurthy)その他、「ヘテロアダマンタン、2.3−ヘテロジアダマンタンの合成」(Heteroadamantanes. 2. Synthesis of 3-Heterodiadamantanes)、Journal of Organometallic Chemistry 46:7, 1389-1390 (1981)。
【0037】
アディング(Udding)その他、「アアダマンタン系の開環反応及び幾つかのそれへの環化。β−ブロモケトンの擬ファボルスキー反応」(A Ring-opening Reaction of and Some Cyclisations to the Adamantane System. A Quasi-favorsky Reaction of a β-bromoketone)、Tetrahedron Letters, 55, 5719-5722 (1968)。
【0038】
ブラニー(Blaney)その他、「ジアマンタンの化学、第II部、3,5−ジ置換誘導体の合成」(Chemistry of Diamantane, Part II. Synthesis of 3,5-disubstituted Derivatives)、Synthetic Communication 3:6, 435-439 (1973)。
【0039】
ヘンケル(Henkel)その他、「β−ハロアミンの近隣基効果。アンチ(anti;逆)−4−置換2−アザアダマンチル系の合成及びソルボルシス反応性」(Neighboring Group Effects in the β-halo Amines. Synthesis and Solvolytic Reactivity of the anti-4-Substituted 2-Azaadamantyl System)、Journal of Organometallic Chemistry 46, 4953-4959 (1981)。
【0040】
ベッカー(Becker)その他、「1−アザアダマンタン−4−オン及び4−アミノ−1−アザアダマンタンの4r及び4s異性体の短合成」(A Short Synthese of 1-azaadamantan-4-one and the 4r and 4s Isomers of 4-Amino-1-azaadamantane)、Synthesis, (11), 1080-1082 (1992)。
【0041】
エグチ(Eguchi)その他、「エボキシ4−アザホモアダマンタンの光化学環縮小による2−アザ−アダマンチル系への新規な経路」(A Novel Route to the 2-Aza-adamantyl System via Photochemical Ring Contraction of Epoxy 4-Azahomoadamantanes)、Journal of Organometallic Chemistry, Commun., 1147-1148 (1984)。
【0042】
ガニュ(Gagneux)その他、「1−置換2−ヘテロアアダマンタン」(1-Substituted 2-Heteroadamantanes)、Tetrahedron Letters, 17, 1365-1368 (1969)。
【0043】
バブノフ(Bubnov)その他、「1−ボラアダマンタンから1−アザアダマンタンの新規な合成法」(A Novel Method of Synthesis of 1-azaadamantane from 1-boraadamantane)、Journal of Organometallic Chemistry 412, 1-8 (1991)。
【0044】
ササキ(Sasaki)その他、「アダマンタン誘導体の合成、39.2−アジドアダマンタンの合成及びアシドリシス。4−アザホモアダマント−4−エンへの手軽な経路」(Synthesis of Adamantane Derivatives. 39. Synthesis and Acidolysis of 2-Azidoadamantanes. A Facile Route to 4-Azahomoadamant-4-enes)、Heterocycles 7:1 315-320 (1977)。
【0045】
ササキ(Sasaki)その他、「アダマンタン誘導体の合成、47.4−アザホモアダマント−4−エンの光化学合成及び幾つかの環付加におけるそれらの反応性についての研究続報」(Synthesis of Adamantane Derivatives. 47. Photochemical Synthesis of 4-Azahomoadamant-4-enes and Further Studies on Their Reactivity in Some Cycloadditions)、Journal of Organometallic Chemistry 44:21, 3711-3712 (1979)。
【0046】
1979年4月発行ドイツ特許No.DE2,545,292号明細書。
【0047】
スギノメ(Suginome)その他、「光誘導転移、73.5−(及び6−)員環 環式アルコールから5−(及び6−)員環 環式エーテルへの転移、ヒドロキシステロイドのオキサステロイドへの新規な2工程転移法」(Photoinduced Transformations. 73. Transformations of Five-(and Six-) Membered Cyclic Alcohols into Five-(and Six-) Membered Cyclic Ethers - A New Method of a Two-Step Transformation of Hydroxy Steroids into Oxasteroids)、Journal of Organometallic Chemistry 49, 3753-3762 (1984)。
【0048】
アダマンタン及び置換アダマンタンは、唯一の容易に入手できるダイアモンドイドである。ジアマンタン及びトリアマンタン及び置換ジアマンタンが研究されて来ており、単一のテトラアマンタンだけが合成されてきた。残りのダイアモンドイドは、発明者ダール(Dahl)おりカールソン(Carlson)によって初めて与えられ、例えば、2001年1月19日に出願された米国特許出願Serial No.60/262,842及び2002年1月17日に出願されたPCT US02/00505に記載されている。
【0049】
本発明は、ヘテロトリアマンタン及びヘテロ高級ダイヤモンドイドを与える。ヘテロ原子は、B又はAlのような第IIIB族元素;Siのような第IVB族非炭素元素;N、P、又はAsのような第VB族元素、特にN又はP;及びO、S、又はSeのような第VIB族元素;の原子から選択される。第VB族元素は一般に電子供与性(ホール受容性)又は「陽電性(electropositive)」原子として分類されており、第IIIB族元素は一般に電子受容性(ホール供与性)又は「陰電性(electronegative)」原子として分類されていることは認められるであろう。
【0050】
本発明のこれらヘテロダイヤモンドイドは、トリアマンタン又は一層高級のダイヤモンドイド核で、その籠型炭素の一つ以上(例えば、1〜20個、特に1〜6個)がヘテロ原子によって置換されたものである。ヘテロダイヤモンドイドは、ダイヤモンドイド単位当たり6個までのアルキル基で置換することもできる。
【0051】
本発明は、更に、官能性化ヘテロダイヤモンドイドに関する。この態様では、ヘテロトリアマンタン及び一層高級のヘテロダイヤモンドイドは、籠型炭素に共有結合した少なくとも一つ、好ましくは1〜6個の官能基(単数又は複数)を有し、次の式Iとして表される:
【0052】
【化1】

【0053】
式中、Gは、上に記載したような一つ以上のヘテロ原子を有するヘテロトリアマンタン又は高級ヘテロダイヤモンドイド核であり、R、R、R、R、R、及びRは、夫々独立に、水素及び共有結合した官能基からなる群から選択され、但し少なくとも一つの官能基が存在するものとする。一層好ましくは、官能性化ヘテロダイヤモンドイドは、一つ又は二つの官能基及び1〜6個のヘテロ原子を有する。
【0054】
これらのヘテロダイヤモンドイド及び官能性化ヘテロダイヤモンドイドは、明確な個々の分子として存在することができる。それらは結晶質凝集体として存在することもできる。これらの結晶質構造体は、純粋なヘテロダイヤモンドイド又は純粋な官能性化ヘテロダイヤモンドイドであるか、意図的に又は自然的に、官能性化された又はされていない二種類以上のダイヤモンドイドと、ヘテロダイヤモンドイド及び(又は)官能性化ヘテロダイヤモンドイドとの混合物にすることができる。
【0055】
これらの官能性化ヘテロダイヤモンドイドの或ものは、単一反応工程でヘテロダイヤモンドイドから製造することができる。これらの物質は、ここでは「一次官能性化ヘテロダイヤモンドイド(primary functionalized heterodiamondoid)」と呼び、例えば、式Iにおいて、官能性化基がハロゲン(例えば、−ブロモ及び−クロロ)、−チオ、−オキシド、−ヒドロキシル、及び−ニトロである場合のヘテロダイヤモンドイドのみならず、ヘテロトリアマンタン又は高級ヘテロダイヤモンドイドから一反応で形成された他の誘導体が含まれる。
【0056】
これらの官能性化ヘテロダイヤモンドイドの他のものは、一次官能性化ヘテロダイヤモンドイドから、一つ以上の続く反応工程により製造される物質である。これらの物質は、ここでは「二次(secondary)官能性化ヘテロダイヤモンドイド」と呼ぶ。或る場合には、一つの一次官能性化ヘテロダイヤモンドイドを、別の「一次」物質の転化により簡単に形成することができることは認められるであろう。例えば、ポリ−ブロモ物質は、単一のブロム化工程、又は幾つかの反復ブロム化により形成することができる。同様に、ヒドロキシヘテロダイヤモンドイドは、ヘテロダイヤモンドイドから一工程で直接形成することができ、或はブロモ−ヘテロダイヤモンドイド、ダイヤモンドイド−オキシド、等の反応により製造することができる。それにも拘わらず、混同を避けるため、「一次物質」は、ここでは代表的二次物質には含まれないものとする。しかし、それらは、一次及び二次物質を形成するための反応を示す、それらへの両方の経路を描く種々の図で描かれるであろう。
【0057】
代表的「第二級官能性化ヘテロダイヤモンドイド」官能基には、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアリール、アルキルチオ、アルコキシ、アミノアルキル、アミノアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシ、及びヘテロアリールオキシが含まれる。
【0058】
第二級官能性化ヘテロダイヤモンドイド中に存在することができる他の官能基は、式、−C(O)Z(式中、Zは、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環である);式、−COZ(式中、Zは、前に定義した通りである);式、−RCOZ、及び−RCOZ(式中、Rは、アルケニル、アミノアルケニル、又はハロアルケニルであり、Zは、前に定義した通りである);式、−NH;−NHR′、−NR′R″、−NR′R″R″′(式中、R′、R″、及びR″′は、独立に、アルキル、アミノ、チオ、チオアルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである);式、−RNHCOR(式中、Rは、−CH−、−OCH−、−NHCH−、−CHCH−、−OCHCH−であり、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルである);及び式、−R10CONHR11(式中、R10は、−CH−、−OCH−、−NHCH−、−CHCH−、及び−OCHCH−から選択され、R11は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、及びヘテロアラルキルから選択される)によって表される。
【0059】
更に別の態様として、官能性化ヘテロダイヤモンドイドの官能基は:−COOR16(式中、R16は、アルキル、アリール、又はアラルキルである);−COR17(式中、R17は、アルキル、アリール、又はヘテロアルキルである);−NHNH;−R18NHCOR19〔式中、R18は、存在しないか、又はアルキレン、アリーレン、又はアラルキレンから選択され、R19は、水素、アルキル、−N、アリール、アミノ、又は−NHR20(ここで、R20は、水素、−SO−アリール、−SO−アルキル、−SO−アラルキルである)、又は−CONHR21(ここで、R21は、水素、アルキル、アラルキルである)、又は−CSNHR21(ここで、R21は、前に定義した通りである)である〕;及び−NR22−(CH−NR2324(式中、R22、R23、R24は、独立に、水素、アルキル、及びアリールから選択され、nは1〜20である);である。
【0060】
更に別の態様として、官能性化ヘテロダイヤモンドイドの官能基は、独立に、−N=C=S;−N=C=O;−R−N=C=O;−R−N=C=S;−N=S=O;R−N=S=O(式中、Rはアルキルである);−PH;−POX(式中、Xはハロである);−PO(OH);ハロ;−OSOH;−SOH;−SOX(式中、Xはハロである);−SOR(式中、Rはアルキルである);−SOOR(式中、Rはアルキルである);−SONR2627(式中、R26及びR27は、独立に、水素又はアルキルである);−N;−OC(O)Cl;又は−OC(O)SClでもよい。
【0061】
更に別の態様として、官能性化ヘテロダイヤモンドイドの官能基の一つ以上は、次の式を有するものでもよい:
【0062】
【化2】

【0063】
式中、nは、2又は3であり;Xは、酸素、硫黄、又はカルボニルであり;Yは、酸素又は硫黄であり;Rは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールでからなる群から選択される。
【0064】
更に別の態様として、官能性化基は、これらのヘテロダイヤモンドイドの二つ以上に共有結合を形成し、それによってそれら二つ以上のヘテロダイヤモンドイドの間の結合基又は重合可能基として働いてもよい。これは、次の式IIの官能性化ヘテロダイヤモンドイドを与える:
G−L-(G)、又はG−L-(D)、又はG-(L−G)、又はG-(L−D)
又は(G−L)等。
II
式中、Dは、ダイヤモンドイド核であり、Gは、ヘテロトリアマンタン又は高級ヘテロダイヤモンドイド核であり、Lは、結合基であり、nは、1以上、例えば、2〜1000、特に2〜500である。
【0065】
この態様では、結合基Lは、例えば、アリール、アルケニル、アルキニル、エステル、アミド、−N=C−N−;
【0066】
【化3】

【0067】
(式中、R28、R29、R30、R31、R32、R33は、独立に、水素又はアルキルであり、n及びmは、独立に、2〜20である。);
【0068】
【化4】

【0069】
(式中、R28、R29、R30、R31、R32、及びR33は、水素又はアルキルであり;R34、R35、R36、及びR37は、独立に、存在しないか、又は水素、又はアルキルであり、但しR34、R35、R36、及びR37の少なくとも一つは存在し、n及びmは、独立に、2〜20等である。)
等にすることができる。
【0070】
更に別の態様として、本発明は、式III:
(R′)n−G−G′-(R″)m
III
(式中、G及びG′は、夫々独立に、ヘテロダイヤモンドイド核であり、R′及びR″は、ヘテロダイヤモンドイド核の置換基であり、独立に、水素又は官能性化基であり、n及びmは、1以上、例えば、1〜10、好ましくは1〜6である。)の官能性化ヘテロダイヤモンドイドに関する。この物質は、1又は2個の官能基を有するのが一層好ましい。好ましいR′及びR″は、ハロ;シアノ;アリール;アリールアルコキシ;アミノアルキル;又は−COOR40(式中、R40は、水素又はアルキルである)である。
【0071】
本発明のヘテロダイヤモンドイド及び官能性化ヘテロダイヤモンドイドは、例えば、ナノテクノロジー、薬、薬担体、医薬組成物、生物学的活性化合物を合成するための前駆物質、遠UVリトグラフのためのホトレジスト材料及び(又は)ホトレジスト組成物、合成潤滑剤、耐熱性材料、及び耐溶媒性樹脂等々で有用である。例えば、これらのヘテロダイヤモンドイド誘導体は、それに結合した医薬活性基の生物適合性を改良することができる望ましい親油性を持っていてもよい。これらのヘテロダイヤモンドイド及び誘導体は、種々の有用な物質を形成するために更に官能性化されたヘテロダイヤモンドイドを合成するための化学的中間体としても有用になることがある。そのような物質には、複合体マトリックス樹脂、構造接着剤、及び航空宇宙構造用途に用いられる表面ファイル(file)が含まれる。更に、優れた光学的、電気的又は電子的、及び機械的性質を有する被覆層又は成形物が、光学繊維、ホトレジスト組成物、伝導材料、ペイント組成物、及び印刷インクで使用するために製造される。更に、これらのヘテロダイヤモンドイド誘導体含有材料は、例えば、半導体のような装置、耐火性槽のための被覆、又は他の高温用途を含めた、そのような安定性を必要とする環境中でそれらを用いるのに適したものにする大きな熱安定性を有するであろう。
【0072】
特に重要な用途として、トリアマンタン又は高級ダイヤモンドイド核へ導入されるヘテロ原子は、電子供与性であるか又は電子受容性である。得られる半導性ヘテロダイヤモンドイドは、種々のトランジスタ及び他の電子及びマイクロエレクトロニック装置での用途を有する。
【0073】
更に、ヘテロダイヤモンドイドのヘテロ原子が電子供与性で、特に窒素である場合、これは、供与された電子が通常の価電子帯から禁制帯幅を越えて伝導帯へ励起される可能性を与える。励起された電子がそれらの基底状態へ落ちて戻ると、特に空孔が電子供与性ヘテロ原子に隣接していると、ホトン(photon)が発生する。これは、これらのヘテロダイヤモンドイドが、分子の大きさ及び結晶子の大きさの蛍光物質、レーザー物質、及び光検出性物質を与える性質を持つことができるであろうことを示唆している〔クルチーフェル(Kurtsiefer)C.その他、「単一ホトンの安定な固相源」(Stable Solid-State Source of Single Photons)、Physical Review Letters 85, 2, 290-293 (2000)参照〕。
【0074】
本発明を、更に図面を参照して記述する。
【0075】
本発明の詳細な記述
この詳細な記述は、次の小節として与える:
定義
ヘテロダイヤモンドイドの合成
ヘテロダイヤモンドイド及びその誘導体の官能性化
ヘテロダイヤモンドイド含有重合体
【0076】
定義
ここで用いられる次の用語は、次のような意味を有する。
【0077】
用語「ダイヤモンドイド」には特別な意味が与えられている。それは、トリアマンタンから始まるアダマンタン系の置換及び非置換籠型化合物を指し、更に、テトラマンタン(tetramantane)、ペンタマンタン(pentamantane)、ヘキサマンタン(hexamantane)、ヘプタマンタン(peptamantane)、オクタマンタン(octamantane)、ノナマンタン(nonamantane)、デカマンタン(decamantane)、ウンデカマンタン(undecamantane)、及びドデカマンタン(dodecamantane)等が含まれる。高級ダイヤモンドイドとは、テトラマンタン以上のものである。置換ダイヤモンドイドは、線状(即ち、直鎖)アルキル、分岐鎖アルキル、又はシクロアルキル基を含めたアルキル基からなる群から独立に選択された、好ましくは1〜10個、一層好ましくは1〜4個の置換基を含む。
【0078】
用語「ヘテロ原子」とは、元素周期表第IIIB族、非C第IVB族、第VB族、及び第VIB族元素、例えば、B、Al、Si、N、P、As、O、S、等から選択された原子を指す。
【0079】
用語「ヘテロダイヤモンドイド」及び「ヘテロ ダイヤモンドイド」とは、少なくとも一つの籠型炭素が、ヘテロ原子により置換されている(特別に定義されている)ダイヤモンドイドを指す。ヘテロダイヤモンドイドには、ヘテロトリアマンタン、ヘテロテトラマンタン、ヘテロペンタマンタン、ヘテロヘキサマンタン、ヘテロヘプタマンタン、ヘテロオクタマンタン、ヘテロノナマンタン、ヘテロデカマンタン、ヘテロウンデカマンタン、及びヘテロドデカマンタンが含まれる。置換ヘテロダイヤモンドイドは、線状(即ち、直鎖)アルキル、分岐鎖アルキル、又はシクロアルキル基を含めたアルキル基からなる群から独立に選択された、好ましくは1〜10個、一層好ましくは1〜4個の置換基を含む。
【0080】
用語「官能性化ヘテロダイヤモンドイド」及び「誘導体化ヘテロダイヤモンドイド」とは、少なくとも一つの共有結合した官能基を有するヘテロダイヤモンドイドを指す。
【0081】
「アルキル」とは、1〜40個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、一層好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖飽和一価炭化水素基;又は、3〜40個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子、一層好ましくは3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖飽和一価炭化水素基を指す。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシル等のような基によって例示される。
【0082】
用語「官能基」とは、ハロ、ヒドロキシル、オキシド、ニトロ、アミノ、チオ、ハロゲン化スルホニル、スルホネート、ホスフィン等のみならず、アルキル、アルケニル、アルカリール、及びアリールのような、置換された又は置換されていない、ヒドロカルビル物質に結合したそのような基を指す。
【0083】
ヘテロダイヤモンドイドの合成
実際の合成を試みる前に、希望の分子の性質を予測し、合成経路の設計をし易くするため、分子模型作製方法及びコンピューター化学を利用するのがしばしば有利である。これらの方法は、成分原子間の相互作用力を考慮にいれて分子のポテンシャル表面エネルギーを計算する。
【0084】
分子構造を最適にし、最小エネルギーを計算した後、生成熱を計算した。ヘテロ−イソ−テトラマンタンについての計算例の結果を図2に示した表に与えてある。図2で、「X」は、ダイヤモンド格子中へ置換して挿入されたヘテロ原子を表している。表の第2欄は、ヘテロ原子がホスト炭素原子と置換された位置を示し、これらの位置は第二級位置については「C−2」、又は第三級位置については「C−3」として示されている。第二級及び第三級位置の同定は、図1及び図2に、4つの代表的ダイヤモンドイドで示されている。表の第3欄は、kcal/モル単位での生成熱である。
【0085】
本計算は、そのような化合物の製造が合成的に可能であることを示すのに役立つ。
【0086】
同様な一組の計算をヘテロ−[121212121]デカマンタンについて行なった。その結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
上の例と同様に、これらの計算は、ヘテロダイヤモンドイドの合成が可能であることを示している。
【0089】
計算の最後の例を、ヘテロ−[1212121212]ウンデカマンタンについて与える。この特定の異性体について、計算の結果を表2に示す。この例では、置換は、位置25の所の第二級C−2原子、又は位置26の所のC−3原子の所で行われている。計算の結果を表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
この場合も、計算は、合成が可能であることを示している。
【0092】
このように、硼素、窒素、燐、砒素、酸素、又は硫黄ヘテロ原子をダイヤモンドイドのダイヤモンド格子中に置換配置することができることを実証している。
【0093】
ダイヤモンドイドから出発して、オキサ及びチアダイヤモンドイドのようなヘテロダイヤモンドイドを合成するのに幾つかの方法論が存在する。例えば、図3〜5は、オキサダイヤモンドイドへの3つの異なった合成経路を例示している。図6は、チアダイヤモンドイドへの2つの異なった合成経路を示している。別の例として、図7及び8は、アザダイヤモンドイドを製造する異なった経路を示している。図3〜8には、出発ダイヤモンドイドとしてイソ−テトラマンタンだけを示しているが、トリアマンタン及び他の高級ダイヤモンドイドも用いることができることは分かる。
【0094】
窒素ヘテロダイヤモンドイドは、T.ササキ(Sasaki)その他による、「アダマンタン誘導体の合成、39.2−アジドアダマンタンの合成及びアシドリシス。4−アザホモアダマント−4−エンへの手軽な経路」(Synthesis of adamantane derivatives. 39. Synthesis and acidolysis of 2-azidoadamantanes. A facile route to 4-azahomoadamant-4-enes)、Heterocycles, Vol. 7, No. 1, p. 315 (1977)の方法により合成することができる。その手順は、ヒドロキシ基をカルボカチオンの形成を経てアジド官能基で置換し、次にアジド生成物のアシドリシスを行うことからなっている。
【0095】
別の合成経路が、T.ササキその他による、「アダマンタン誘導体の合成。XII。アダマンタン−2−オンのシュミット反応」(Synthesis of Adamantane Derivatives. XII. The Schmidt Reaction of Adamantane-2-one)、J. Org. Chem., Vol. 35, No. 12, p. 4109 (1970)により与えられている。
【0096】
別法として、1,3−ジブロモアダマンタンから、1−ヒドロキシ−2−アザアダマンタンを合成することができ、A.ガニョ(Gagneux)その他により「1−置換2−ヘテロアダマンタン」(1-Substituted 2-heteoadamantanes)、Tetrahedron Letters No. 17, pp. 1365-1368 (1969)に報告されている。これは多段階法であり、この場合、先ずジブロモ出発材料を加熱してメチルケトンにし、それを次にオゾン化してジケトンにする。そのジケトンを4当量のヒドロキシルアミンと共に加熱して、シス−及びトランス−ジオキシムの1:1混合物を生成させ、この混合物を水素化して化合物、1−アミノ−2−アザアダマンタン二塩酸塩にしている。最後に、亜硝酸でその二塩酸塩をヘテロアダマンタン、1−ヒドロキシ−2−アザアダマンタンへ転化している。
【0097】
別法として、2−アザアダマンタン化合物を、ビシクロ[3.3.1]ノナン−3,7−ジオンから合成することができ、J.G.ヘンケル(Henkel)及びW.C.フェイス(Faith)により、「β−ハロアミンにおける近隣基効果。アンチ−4−置換2−アザアダマチル系の合成及びソルボリシス反応性」(Neighboring group effects in the β-halo amines. Synthesis and solvolytic reactivity of the anti-4-substituted 2-azaadamantyl system)、J. Org. Chem., Vol. 46, No. 24, pp. 4953-4959 (1981)に報告されている。このジオンは、還元性アミン化により(酢酸アンモニウム及びシアノ硼水素化ナトリウムを使用すると一層よい収率を与えるが)中間体へ転化することができ、それは、塩化チオニルを用いて別の中間体へ転化することができる。この第二中間体の2−アザアダマンタンへの脱ハロゲン化は、DME中でLiAlHを用いて良好な収率で達成されている。
【0098】
原理的に本発明で有用な合成経路に関連した合成経路が、S.エグチ(Eguchi)その他により、「エポキシ4−アザホモアダマンタンの光化学環縮小により2−アザ−アダマンチル系への新規経路」(A novel route to the 2-aza-adamantyl system via photochemical ring contraction of epoxy 4-azahomoadamantanes)、J. Chem. Soc. Chem. Commun., p. 1147 (1984)に報告されている。この方法では、2−ヒドロキシアダマンタンをNaNに基づく試薬系と反応させ、アザホモアダマンタンを形成し、次にそれをm−クロロ過安息香酸(m−CPBA)により酸化し、エポキシ−4−アザホモアダマンタンを与えている。そのエポキシを次に光化学環縮小反応で照射し、N−アシル−2−アザアダマンタンを生成させる。
【0099】
窒素含有ヘテロイソ−テトラマンタンを合成する反応経路の例を図7に例示する。図7に描かれた経路の反応条件は、アダマンタンに対しテトラマンタンの大きさ、溶解度、及び反応性が異なるため、エグチのものとは実質的に異なるものになることは当業者に分かるであろう。窒素含有ヘテロダイヤモンドイドを合成するのに利用できる第二経路を図8に例示する。
【0100】
燐含有ヘテロダイヤモンドイドを、J.J.ミューウィッセン(Meeuwissen)その他により「1−ホスファアダマンタンの合成」(Synthesis of 1-phosphaadamantane)、Tetrahedron Vol. 39, No. 24, pp. 4225-4228 (1983)に概説されている経路を採用することにより合成することができる。そのような経路は、ダイヤモンドイド構造中に置換して配置された窒素と燐の両方の原子を含むヘテロダイヤモンドイドを合成することができるものと考えられ、同じ構造中に二つの異なった種類の電子供与ヘテロ原子を有する利点を有する。
【0101】
ヘテロダイヤモンドイドを製造した後、それらを、少なくとも一つの官能基で官能性化することができる。代表的な経路は、実施例で与えられている。誘導体化法の一層の開示は、下に与えられており、図9〜23に与えられている。
【0102】
ヘテロダイヤモンドイド及びそれからの誘導体の官能性化
表3は、代表的ヘテロダイヤモンドイド誘導体のリストを与えている。
【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
【表6】

【0107】
ヘテロダイアモンドイド含有ポリマー
重合可能なヘテロダイヤモンドイド誘導体を重合してヘテロダイヤモンドイド含有重合体を形成することは、ここに参考のためここに入れてある、2002年1月16日に出願された「重合可能な高級ダイヤモンドイド誘導体」(polymerizable higher diamondoid derivatives)と題する米国特許出願No.10/046,486で我々が既に開示したことと同じである。図24〜33は、幾つかのヘテロダイヤモンドイド含有重合体の例及びそれらを与える重合反応を示している。
【0108】
(実施例)
例1は、ここで用いられる全ての供給原料に適用することができる高級ダイヤモンドイド成分を分離する最も汎用的な経路を記述している。この方法は、最終分離工程としてHPLCを用いている。
【0109】
例2は、ダイヤモンドイド含有供給原料からオキサダイヤモンドイドを製造するのに用いることができる方法を記述している。
【0110】
例3は、ダイヤモンドイド含有供給原料からアザダイヤモンドイドを製造するのに用いることができる方法を記述している。
【0111】
例4〜10は、ダイヤモンドイドからヘテロダイヤモンドイド(例えば、オキサ−、チア−、アザ−ダイヤモンドイド等)を製造するのに用いることができる方法を記述している。
【0112】
例11〜46は、ヘテロダイヤモンドイド誘導体を製造するのに用いることができる方法を記述している。
【0113】
例47〜64は、ヘテロダイヤモンドイド含有重合体を製造するのに用いることができる方法を記述している。
【0114】
例1
この例は、7つの工程を有する。
工程1. 供給原料の選択
工程2. GCMC検定の開発
工程3. 供給原料大気圧蒸留
工程4. 大気圧蒸留残油の真空精留
工程5. 分離した留分の熱分解
工程6. 芳香族及び極性非ダイヤモンドイド成分の除去
工程7. 高級ダイヤモンドイドの多段式カラムHPLC分離
a) 第一カラムは、特定の高級ダイヤモンドイドに富むフラクションを与える第一選択性を持つ。
b) 第二カラムは、分離した高級ダイヤモンドイドを与える異なった選択性を持つ。
【0115】
この例は、幾つかのヘキサマンタンを分離することに関連して記述するが、他の高級ダイヤモンドイドを、それを用いて同様に分離することができる。
【0116】
工程1−供給原料の選択
適当な出発材料を得た。これらの材料には、ガス凝縮物である供給原料A、及び石油成分含有ガス凝縮物である供給原料Bが含まれていた。他の凝縮物、石油、又は製油所留分及び生成物を用いることができたであろうが、これら二種類の材料を、それらがGC及びGC/MSにより決定して、高級ダイヤモンドイドが約0.3重量%である大きなダイヤモンドイド濃度を有するため選択した。両方の供給原料共わずかに着色しており、19〜20°APIのAPI比重を持っていた。
【0117】
工程2−GC/MS検定開発
供給原料Aを、ガスクロマトグラフィー/質量分光分析法を用いて分析し、目的の高級ダイヤモンドイドの存在を確認し、これらの目標物質のためのガスクロマトグラフィー保持時間を与えた。この情報を用いて、続く分離手順により個々の高級ダイヤモンドイドを追跡した。
【0118】
工程3−供給原料大気圧蒸留
供給原料Bの試料を沸点に基づき多数の留分に蒸留し、低い沸点の成分(非ダイヤモンドイド及び低級ダイヤモンドイド)を分離し、種々の留分中の特定の高級ダイヤモンドイドを更に濃縮し、それらに富むものにした。
【0119】
工程4−真空蒸留による大気圧蒸留残油の精留
工程3から得られた供給原料B大気圧残油(元の供給原料の2〜4重量%を占める)を、高級ダイヤモンドイドを含有する留分へ蒸留した。
【0120】
工程5−分離された留分の熱分解
高温反応器を用いて、工程4で得られた種々の蒸留留分中の非ダイヤモンドイド成分の一部分を熱分解により分解し、それにより残油中のダイヤモンドイド含有量を増大した。熱分解工程は、450℃で19.5時間行なった。
【0121】
工程6−芳香族及び極性非ダイヤモンドイド成分の除去
工程5で生成した熱分解物を、重力式シリカゲルクロマトグラフィーカラム(シクロヘキサン溶離溶媒使用)に通し、極性化合物及びアスファルテンを除去した。
【0122】
工程7−高級ダイヤモンドイドの多重カラムHPLC分離
高純度高級ダイヤモンドイドを分離するための優れた方法は、異なった選択性を持つ二つ以上のHPLCカラムを順次用いる方法である。
【0123】
第一HPLC装置は、5.00ml/分の移動相としてアセトンを用い、直列に操作した二つのワットマン(Whatman)M20 10/50 ODSカラムからなっていた。一連のHPLCフラクションを取った。
【0124】
このHPLCフラクションの一層の精製は、上で述べたODSカラムよりも種々のヘキサマンタンを分離するのに異なった選択性を有するハイパーカーブ(Hypercarb)静止相HPLCカラムを用いて達成した。
【0125】
例2
テトラマンタン含有供給原料からオキサテトラマンタン(図3)
幾らかのアルキルテトラマンタン及び炭化水素不純物を含む、全てのテトラマンタンを含有する例1に記載した留分を得た。
【0126】
上記テトラマンタン含有供給原料200mgを、塩化メチレン6.1g中に入れた溶液を、1.03g(13.5mM)の過酢酸を酢酸エチル中に入れた溶液4.22gと混合した。激しく撹拌しながら、溶液を100wの高強度UV光で照射した。最初からガスの発生が明白であった。約21時間の照射時間中、温度を40〜45℃に維持した。次に溶液を乾固近くまで濃縮し、連続して10mlずつのトルエンで2回処理し、再び蒸発乾固し、次にCHCl(15ml×2)で抽出した。一緒にした有機抽出物を、次にNaSOで乾燥し、溶媒を殆ど乾固するまで濃縮し、生成物を得、それをGC/MSにかけて特徴を求め、図3に示したように、ヒドロキシル化テトラマンタン混合物が存在することを示していた。ヒドロキシル化テトラマンタンが存在することを例示するクロマトグラム及び質量スペクトルを図35〜38に与える。
【0127】
無水ベンゼン(10ml)中に入れたヒドロキシル化テトラマンタンの一部分に、酸化水銀(II)(100mg)及び沃素(170mg)を添加した。添加後、反応混合物をスギノメ(Suginome)その他[J. Org. Chem. 49, 3753 (1984)]により報告されている手順により窒素雰囲気中で約7時間照射した。その処理により生成混合物が得られ、それをGC/MSにかけて特徴を求め、図3のオキサテトラマンタン生成物3の存在を示していた。クロマトグラム及び質量スペクトルを図39〜41に与える。
【0128】
例3
テトラマンタン異性体混合物含有供給原料からのアザテトラマンタン
次の工程では、上記ヒドロキシル化テトラマンタン、又は光酸化テトラマンタンから、アザホモテトラマンタン−エンを製造することができる。98%のメタンスルホン酸(1.5ml)及びジクロロメタン(3.5ml)の撹拌した氷冷混合物に、固体アジ化ナトリウム(1.52g、8.0mM)を添加した。その混合物に、上の例2で製造したヒドロキシル化テトラマンタン(2)を添加した。この得られた混合物に、アジ化ナトリウム(1.04g、16mM)を少しずつ約0.5時間に亙って添加した。20〜25℃で約8時間撹拌を続け、次に混合物を氷水(約10ml)中へ注入した。水性層を分離し、CHCl(3ml)で洗浄し、50%KOH水溶液・氷で塩基性にし、CHCl(10ml×4)で抽出した。一緒にした抽出物をNaSOで乾燥し、溶媒を除去して褐色を帯びた油生成物を与えた。生成物をGC/MSにより特徴を決定し、アザホモテトラマンタン−エン異性体(14)が存在することを示していた。アザホモ分子を示すクロマトグラム及び質量スペクトルを図42〜46に示す。
【0129】
次の工程では、エポキシアザホモテトラマンタンを、アザホモテトラマンタン−エンから製造した。上記混合物を、CHCl−NaHCO中でm−CPBA(1.1当量)で、約20℃の温度で約12時間処理し、次に反応混合物をCHCl抽出により処理し、粗製生成物を与え、それはGC/MSにより特徴を決定し(図47〜51)、エポキシアザホモテトラマンタンが存在することを示していた。
【0130】
次の工程で、エポキシアザホモテトラマンタン混合物から、そのエポキシアザテトラマンタン混合物をシクロヘキサン中で高強度Hgランプを用いて約0.5時間照射することによりN−ホルミルアザテトラマンタン混合物を製造した。反応はアルゴン雰囲気中で行なった。一般的に言って、もし反応を短時間だけ進行させるならば、一層簡単な反応生成物が得られ、時間が長くなると複雑な混合物を与えた。初期生成物は、GC/MSにより、N−ホルミルアザテトラマンタンの混合物としての特徴を持っていた(図52〜56)。
【0131】
最終工程では、上記N−ホルミルアザテトラマンタンから、次のようにしてアザテトラマンタンを製造した。前記N−ホルミルアザテトラマンタンを10mlの15%塩酸と混合する。得られた混合物を沸騰するまで約24時間加熱した。冷却した後、混合物を典型的な処理にかけて生成物を与え、それはGC/MSにより特徴を決定し(図57〜63)、アザテトラマンタンが存在することを示していた。
【0132】
例4
ヒドロキシル化化合物2からケト化合物1への酸化
例2に記載したように、C−2及びC−3ヒドロキシル化イソ−テトラマンタンの混合物を含む光ヒドロキシル化イソ−テトラマンタンをアセトン中に溶解したものを調製する。酸素化成分が溶液中に移行するが、未反応イソ−テトラマンタンの全てがそうなる訳ではない。クロム酸・硫酸溶液を、過剰の酸が存在するようになるまで溶液に滴下し、反応混合物を一晩撹拌する。沈澱した硫酸第二クロム及び未反応イソ−テトラマンタンからアセトン溶液を傾瀉し、硫酸ナトリウムで乾燥する。未反応イソ−テトラマンタンを、クロム塩を水中に溶解し、次に濾過することにより回収する。アセトン溶液の蒸発により白色固体を与える。この粗製固体を標準的手順を用いてアルミナによるクロマトグラフにかけ、1:1(v/v)ベンゼン/軽質石油エーテルで最初溶離し、次にエチルエーテルか又はエチルエーテルとメタノールとの混合物(95:5v/v)により溶離し、未反応イソ−テトラマンタン及びケト化合物1(図3)を、夫々収集する。更にシクロヘキサンを用いて再結晶化することにより精製し、純粋な生成物1を与える。
【0133】
別法として、マクカーベイ(McKervey)その他による手順(J Chem, Soc., Perkin Trans. 1, 1972, 2691)に従い、イソ−テトラマンタンをケト化合物1へ直接酸化する。
【0134】
ケト化合物1からC−2ヒドロキシル化イソ−テトラマンタン2aへの還元
図3に示したように、ケト化合物1をエチルエーテル中で水素化アルミニウムリチウム(少し過剰)で低温で還元し、C−2ヒドロキシル化イソ−テトラマンタン2aを製造する。反応が完了した後、反応混合物を飽和NaSO水溶液を低温で添加することにより処理し、過剰の水素化物を分解する。沈澱した塩から傾瀉により無水エーテル溶液を与え、それを蒸発すると第二級炭素のところで置換された粗製モノヒドロキシル化イソ−テトラマンタン、即ち、C−2テトラマンタン−オールを与え、それを、シクロヘキサンによる再結晶化により精製する。
【0135】
ケト化合物1からC−2メチルヒドロキシルイソ−テトラマンタン2b
別法として、図3に示したように、ケト化合物1(2mM)を無水THF(20ml)中へ入れた撹拌溶液へ、−78℃(ドライアイス/メタノール)で、エーテル中にメチルリチウムを入れた0.8モル溶液(2.8ml、2.24mM)を滴下する。撹拌は−78℃で約2時間継続し、室温で更に1時間継続する。次に飽和塩化アンモニウム溶液(1ml)を添加し、混合物をエーテル(2×30ml)で抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して生成物2bを与え、それを更にクロマトグラフィー又は再結晶化により精製する。
【0136】
C−2ヒドロキシル化イソ−テトラマンタン2aからオキサイソ−テトラマンタン3
酸化水銀(II)(850mg)及び沃素(1.006g)を含有する、無水ベンゼン(60ml)中に入れたC−2ヒドロキシル化イソ−テトラマンタン2a(1.32mM)の溶液を、スギノメ(Suginome)その他[J. Org. Chem. 49, 3753 (1984)]により報告されている手順により、窒素雰囲気中で約7時間照射する。報告されているように処理することにより生成物が得られ、それをシリカゲルによる分取TLCにかけ、ベンゼン/エーテルで溶離して生成物3のみならず、幾らかの量のラクトン4及び出発材料2aを与える。
【0137】
C−2メチルヒドロキシル化イソ−テトラマンタン2bからオキサイソ−テトラマンタン3
酸化水銀(II)(392mg)及び沃素(459mg)を含有する、無水ベンゼン(30ml)中に入れたC−2メチルヒドロキシルイソ−テトラマンタン2b(0.6mM)の溶液を、上記手順により窒素雰囲気中で約3時間照射する。溶液の処理により生成物が得られ、それをシリカゲルによる分取TLCにかけ、ベンゼン/エーテルで溶離して生成物3を与える。
【0138】
C−2メチルヒドロキシルイソ−テトラマンタン2bからオキサイソ−テトラマンタン3
TFAA(トリフルオロ酢酸)(13g、48.5mM)の中にTFPAA(トリフルオロ過酢酸)を入れた溶液に、C−2メチルヒドロキシイソ−テトラマンタン2b(6.02mM)を、0℃で添加する。0℃で約15分間撹拌した後、反応混合物を室温へ温め、約1時間撹拌し、次に15%のNaOH溶液(50ml)と氷の中へ注入する。混合物をCHCl(3×15ml)で抽出する。一緒にした抽出物を、次に水及び5%NaSO水溶液で洗浄する。有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させる。残渣をシリカカラムにより、ヘキサン・エーテル混合物で溶離して分離し、生成物オキサイソ−テトラマンタン3を与える。
【0139】
例5
ラクトン4の製造
アディング(Udding)その他、Tetrahedron Lett., 5719 (1968)の一般的手順に従い、図4のラクトン4を製造する。
【0140】
化合物4から化合物5aの製造
−78℃(ドライアイス/メタノールにより冷却)の、無水トルエン(80ml)に入れたラクトン4(4.5mM)の溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中20%、5ml)を20分に亙り滴下する。溶液を−78℃で2時間撹拌し、次に氷水中に注入する。沈澱物を除去した後、溶液を水(1×50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発し、粗製ラクトール5aを与え、それをヘキサンにより再結晶化し、更に精製する。
【0141】
化合物4から化合物5bの製造
−78℃(ドライアイス/メタノール)の、無水テトラヒドロフラン(THF)(20ml)に入れたラクトン4(2mM)の撹拌溶液に、エーテル中に入れたメチルリチウムの0.8M溶液(2.8ml、2.24mM)を滴下する。撹拌を−78℃で約2時間、室温で約1時間継続する。次に飽和塩化アンモニウム溶液(1ml)を添加し、混合物をエーテル(2×30ml)で抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して結晶質生成物5bを与え、それを石油エーテルにより再結晶化し、更に精製する。
【0142】
5aの照射による化合物6aの製造
ピリジン(0.5ml)を含有する無水ベンゼン(60ml)中に入れたラクトール5a(1.2mM)の溶液に、酸化水銀(II)(520mg)及び沃素(610mg)を添加する。その溶液をパイレックス(登録商標)容器の中に入れ、窒素でフラッシュし、100W高圧水銀アークにより照射する。照射は、約2時間後に停止する。次にその溶液をチオ硫酸ナトリウム5%水溶液(30ml)、水(50ml)、及び飽和塩化ナトリウム溶液(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発し、粗製生成6aを与える。この生成物のベンゼンを用いた分取TLCにより、易動度(mobility)減少の順に二つのフラクションA及びBを与える。フラクションAは生成物6aであるが、フラクションBはラクトン4である。
【0143】
5bから化合物6bの製造
ピリジン(1ml)を含有する無水ベンゼン(55ml)中に入れたラクトール5b(1.2mM)の溶液に、酸化水銀(II)(477mg)及び沃素(588mg)を添加する。その溶液をラクトール5aの場合には光分解し、粗製生成物を与える。この生成物をベンゼンを用いた分取TLCにかけ、生成物6bを与える。
【0144】
例6
ケト化合物1から図5の不飽和カルボン酸9へのフラグメンテイション(fragmentation)
上で製造したイソ−テトラマントン1の、特異シュミット反応による、不飽和カルボン酸9へのフラグメンテイションは、同様にマクカーベイその他〔Synth. Commun., 3, 435 (1973)〕に従い、アダマンタン及びジアマンタンについて報告されている挙動と類似している〔ササキその他、J. Org. Chem., 35, 4109 (1970);フォート・ジュニアー(Fort, Jr.)その他、J. Org. Chem., 46(7), 1388 (1981)〕。
【0145】
酸9から化合物10(エキソ−及びエンド−)の製造
4.6mMのカルボン酸9に、12mlの氷酢酸及び3.67g(4.48mM)の無水酢酸ナトリウムを添加する。混合物を撹拌し、約70℃へ加熱する。酢酸鉛(IV)(3.0g、6.0mM、純度90%、4%酢酸)を、三つの部分に分けて30分間に亙り添加する。70℃で45分間撹拌を継続する。次にその混合物を室温へ冷却し、20mlの水で希釈する。得られた懸濁物を20mlのエーテルと共に撹拌し、数滴のヒドラジン水和物を添加して沈澱二酸化鉛を溶解する。次にエーテル層を分離し、数回水で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウムで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。エーテルを除去することにより油状物質を与え、それから化合物10の二種類の異性体(エキソ−及びエンド−)の混合物が得られる。更に、立体化学的異性体(エキソ−及びエンド−)の精製及び分離を、真空蒸留により達成することができる。
【0146】
化合物10(エキソ−又はエンド−)から化合物11(エキソ−又はエンド−)の製造
化合物10(0.862mM)を5mlの無水エーテル中に入れた溶液に、0.13g(3.4mM)の水素化アルミニウムリチウムを添加し、混合物を撹拌しながら約24時間還流する。水を滴下することにより過剰の水素化アルミニウムリチウムを分解し、沈澱したリチウムとアルミニウムの水酸化物を過剰の10%塩酸で溶解する。エーテル層を分離し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して化合物11(もしエキソ−10とエンド−10との混合物を用いれば、エキソ−11とエンド−11異性体の混合物)を与える。メタノール・水により再結晶化することにより、更に精製を達成することができる。
【0147】
化合物11(エキソ−及びエンド−混合物)から化合物12の製造
アルコール11(1.05mM)の混合物を5mlのアセトン中に入れた溶液をエルレンマイヤーフラスコ中で25℃で撹拌する。この溶液に8Nのクロム酸をオレンジ色が消えなくなるまで滴下し、温度は25℃に維持する。次にオレンジ色の溶液を更に約3時間25℃で撹拌する。殆どのアセトンを除去し、5mlの水を残留物に添加する。水性混合物をエーテルで2回抽出し、一緒にした抽出物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して粗製物12を与える。水蒸気浴上での昇華により純粋な12を与える。
【0148】
エキソ−11から化合物12の製造
エルレンマイヤーフラスコ中で5mlのアセトン中にエキソ−11(1.05mM)を入れた溶液を25℃で撹拌する。この溶液に、オレンジ色が消えなくなるまで8Nクロム酸を滴下し、温度は25℃に維持する。次にオレンジ色の溶液を更に約3時間25℃で撹拌する。殆どのアセトンを除去し、5mlの水を残留物に添加する。水性混合物をエーテルで2回抽出し、一緒にした抽出物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して粗製物12を与える。水蒸気浴上での昇華により純粋な12を与える。
【0149】
酸9から化合物12の製造
無水THF15mlの中にカルボン酸9(4.59mM)を入れた溶液を、乾燥アルゴン中で撹拌し、0℃へ冷却する。25mlの無水THF中に1.5g(13.76mM)のリチウムジイソプロピルアミドを入れた溶液をアルゴン中で注射器により9の溶液へ、温度が約10℃より高く上昇しないような速度で添加する。9のジアニオンの得られた溶液を、0℃で約3時間撹拌する。次にそれを、ドライアイス・アセトン浴で−78℃へ冷却し、乾燥酸素を気泡として溶液にゆっくり約3時間以上通す。約10mlのTHFと1mlの水との混合物を、反応混合物へ添加し、次にそれを室温まで暖め、一晩撹拌する。その溶液を水流ポンプ圧力で約10mlまで濃縮し、過剰の10%HCl中へ注ぎ、エーテルで抽出する。エーテル層を5%NaOHで洗浄し、未反応9を除去し、それを塩基性洗浄物の酸性化により回収する。エーテル層を無水硫酸で乾燥し、ストリップして粗製物9を生成させる。3〜5トール(torr)で、水蒸気浴上での昇華により純粋な生成物を与える。
【0150】
化合物12からエンド−11の製造
ケトン12(0.9mM)を5mlの無水エーテル中に入れた溶液に、0.13g(3.4mM)の水素化アルミニウムリチウムを添加し、混合物を撹拌し、約24時間還流する。水を滴下することにより過剰の水素化アルミニウムリチウムを分解し、沈澱したリチウムとアルミニウムの水酸化物を過剰の10%HClに溶解する。エーテル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を除去して粗製物であるが、立体化学的に純粋なエンド−11が得られ、それを水流ポンプ圧力で水蒸気浴上での昇華により更に精製する。
【0151】
エンド−11からオキサイソ−テトラマンタン3
エンド−11(1.58mM)に、50%硫酸25mlを添加し、その溶液を室温で約24時間激しく撹拌する。次に反応混合物を100gの氷上に注ぎ、その混合物をエーテルで2回抽出する。エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発する。粗製生成物を水流ポンプ圧力で水蒸気浴上での昇華により精製する。
【0152】
例7
図4に示したようにメチルリチウムによる6a又は6bからオキサイソ−テトラマンタン3
無水THF(5ml)に化合物6a(0.19mM)を入れた撹拌溶液に、エーテル中にメチルリチウムを入れた0.8モル溶液(0.52ml、0.424mM)を−78℃で滴下する。撹拌を−78℃で約1時間、室温で更に約1時間継続する。次に水(10ml)を添加し、混合物をエーテル(2×20ml)で抽出する。有機層を水(20ml)及び飽和塩化ナトリウム溶液(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発して結晶を与える。その生成物をシリカゲルによる分取TLCにより、ベンゼン及びエーテルの混合物用いて更に精製する。
【0153】
シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによる6aからオキサイソ−テトラマンタン3
ジクロロメタン(1ml)中に入れた化合物6a(0.09mM)を、シリカゲルのカラムに約24時間吸着させる。そのカラムのジクロロメタンによる溶離により、生成物3及び幾らかの出発化合物6aを与える。
【0154】
6aから熱処理によるオキサイソ−テトラマンタン3
化合物6a(0.09mM)を60℃で約30分間加熱し、次にベンゼン/エーテルを用いて分取TLCにかけ、生成物3及び出発材料6aを生ずる。
【0155】
例8
図6のイソ−テトラマンタン6bから出発してチア−イソ−テトラマンタンの製造
【0156】
6bから化合物7の製造
化合物6bを、前の例に記載したように製造する。無水四塩化炭素(4ml)中に化合物6b(0.78mM)を入れた溶液に、ヨードトリメチルシラン(312mg、1.56mM)を室温で添加し、混合物を約4時間撹拌する。次に水(20ml)を添加し、混合物をエーテル(2×30ml)で抽出する。有機抽出物を5%チア硫酸ナトリウム(20ml)、水、及び飽和塩化ナトリウム溶液(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発して結晶質生成物7を与え、それを約90℃より高く加熱して分解する。
【0157】
化合物7からチア−イソ−テトラマンタン8の製造
化合物7(1mM)を、エタノール(10ml)中に加温して溶解する。硫化ナトリウム(NaS・9HO、950mg、3.96mM)を添加し、混合物を約10時間還流する。次に水(30ml)を添加し、混合物をエーテル(2×30ml)で抽出する。有機抽出物を水(40ml)及び飽和塩化ナトリウム溶液(40ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発して結晶質チア−イソ−テトラマンタン8を与え、それをシリカゲルによる分取TLC(ヘキサン/ベンゼン)により更に精製する。
【0158】
例9
化合物12から化合物13の製造(図6)
化合物12をイソ−テトラマンタン1から出発して、前の例に記載したようにして製造する。15mlの無水エタノール中に化合物12(1.06mM)を入れた溶液に、硫化水素を2日間連続的に通す。12時間おきに塩化水素を通すことにより溶液を酸性に保つ。反応混合物をガスを通す間、0℃に維持する。得られたオレンジ色の溶液を50mlのエーテルで少しずつ抽出する。エーテル抽出物を水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ストリップして有機半固体を生成する。更に精製する必要なく、その材料を次の反応に直接用いる。
【0159】
化合物13からチアイソ−テトラマンタン8
粗製化合物13を100mlの無水エーテル中に溶解し、500mg(13.16mM)の水素化アルミニウムリチウムを添加する。混合物を約2日間還流しながら撹拌する。過剰の水素化アルミニウムリチウムを水で分解し、沈澱したリチウムとアルミニウムの水酸化物を過剰の10%HClに溶解する。層を分離し、水性層を50mlのエーテルで抽出する。一緒にしたエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ストリップする。その残渣を水流ポンプ圧力で水蒸気浴上で昇華することにより、少量のエンド−11で汚染された生成物8を与える。この混合物を中性アルミナによるクロマトグラフィーにかける。ヘキサンで溶離すると純粋な8を与える。次にエーテルで溶離するとエンド−11を与える。水流ポンプ圧力で水蒸気浴上で昇華することにより、8を更に精製する。
【0160】
例10
イソ−テトラマンタンからアザイソ−テトラマンタンの製造(図7及び8)
この例では、単一のテトラマンタン異性体、イソ−テトラマンタンから、図7及び8に示すように、アザイソ−テトラマンタンを製造する。例2で示したテトラマンタン混合物を用いた反応によるので、この合成経路は、例2の方法を用いてイソ−テトラマンタンの光ヒドロキシル化から始めるか、又は図7に示したヒドロキシル化化合物2aへの化学的酸化/還元から始める。
【0161】
C−2及びC−3ヒドロキシル化イソ−テトラマンタンの混合物を含む光ヒドロキシル化イソ−テトラマンタンを、例4に記載した方法によりケト化合物1へ転化する。
【0162】
次の工程で、例3に記載した一般的方法を用いてヒドロキシル化化合物2から、アザホモイソ−テトラマンタン−エン14を製造する。
【0163】
次の工程で、同じく例3に記載したようにして、エポキシアザホモイソ−テトラマンタン15を製造する。
【0164】
次の工程で、エポキシアザホモイソ−テトラマンタン15bから、エポキシアザホモイソ−テトラマンタン15bをシクロヘキサン中でUVランプで約0.5時間照射することにより、N−アシルアザイソ−テトラマンタン16bを製造する。放射線は石英フィルターを通過し、反応はアルゴン雰囲気中で行なわれる。一般的に言って、もし反応を短時間だけ進行させるならば、簡単な生成物が形成され、時間が長くなると生成物の複雑な混合物を与える。生成物は、クロマトグラフ法により分離することができる。
【0165】
N−ホルミルアザイソ−テトラマンタン16aは、同様にエポキシアザホモイソ−テトラマンタン15aから製造することができる。
【0166】
次の工程では、アザイソ−テトラマンタン17を、次のようにしてN−アシルアザイソ−テトラマンタン16bから製造する。N−アシルアザイソ−テトラマンタン16b(5mM)を、20mlのジエチレングリコール中に2gの粉末水酸化ナトリウムを入れた溶液と共に加熱して約5時間還流させる。冷却後、混合物を50mlの水中に注ぎ、エチルエーテルで抽出する。エーテル抽出物を水酸化カリウムで乾燥する。エーテルを蒸留除去して生成物のアザイソ−テトラマンタン17を与える。分析のため一般に塩酸塩を調製する。即ち、乾燥塩化水素をアミンのエーテル溶液中へ通し、それにより結晶化合物として塩を析出させる。その塩をエタノールに溶解し、無水エーテルで沈澱させることにより精製することができる。典型的には、溶液を数日間静かに放置し、完全な結晶化を行わせる。
【0167】
別法として、例3に示したようにして、N−ホルミルアザイソ−テトラマンタン16a(2.3mM)を、10mlの15%塩酸と混合することにより、N−ホルミルアザイソ−テトラマンタン16aからアザイソ−テトラマンタン17を製造することができる。
【0168】
例11
ケト化合物1のフラグメンテイションによるアザイソ−テトラマンタン17の製造(図8)
ピリジンと95%エーテルとの(1:1)混合物中に化合物12(図5)(1.6mM)を入れた溶液に、250mg(3.6mM)のヒドロキシルアミン塩酸塩を添加し、混合物を還流しながら約3日間撹拌する。溶媒の殆どを空気流中で蒸発させ、残渣を25mlの水中に取り込む。水溶液のエーテル抽出物を10%HClで洗浄し、オキシム18を抽出する。酸洗浄物を10%水酸化ナトリウムで中和することによりオキシム18を沈澱させ、それを濾過し、エタノール・水により再結晶化する。
【0169】
最終工程で、化合物18から次のようにしてアザイソ−テトラマンタン17を製造する。25mlの無水エーテル中に化合物18(0.98mM)を入れた溶液を、25mlの無水エーテル中に250mg(6.58mM)の水素化アルミニウムリチウムを入れた撹拌懸濁物へ滴下する。混合物を還流しながら約2日間撹拌する。過剰の水素化アルミニウムリチウムを水で分解し、沈澱したリチウム及びアルミニウムの水酸化物を過剰の25%水酸化ナトリウム中に溶解する。得られた塩基性溶液をエーテルで2回抽出し、一緒にした抽出物を次に10%HClで洗浄する。酸性洗浄物を10%水酸化ナトリウムで中和することにより生成物6を沈澱し、それを新しいエーテル中へ抽出し直す。エーテル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ストリップする。粗製生成物を、真空中で水蒸気浴上での昇華を繰り返すことにより精製する。
【0170】
例12
ヘテロダイヤモンドイドの一臭素化
図13に示したように、ヘテロダイヤモンドイド(7.4mM)を、150mlの丸底フラスコ中で無水臭素(74mM)と混合する。撹拌しながら、混合物を油浴中で約4.5時間加熱し、それにより温度を最初の30℃から105℃まで徐々に上昇させる。冷却後、過剰の臭素中に溶解した生成物の一臭素化ヘテロダイヤモンドイドを100mlの四塩化炭素に取り込み、300mlの氷水中に注ぐ。次に、氷水で冷却しながら、硫化水素ナトリウムで過剰の臭素を除去する。有機層を分離した後、水溶液を四塩化炭素でもう一度抽出する。一緒にした抽出物を水で3回洗浄する。有機相を塩化カルシウムで乾燥した後、溶媒を蒸留除去し、最後の残渣を真空中で取り出す。その残渣を少量のメタノールに溶解し、冷浴中で結晶化する。真空中での昇華により、結晶の一層の精製を行う。
【0171】
例13
触媒を用いないヘテロダイヤモンドイドの二臭素化
図13に示したように、ヘテロダイヤモンドイド(37mM)を、加圧容器中で無水臭素(0.37M)と共に約22時間150℃に加熱する。通常の処理及びメタノールによる反応生成物の再結晶化を、上で述べたように行う。結晶を真空中で昇華する。昇華物を非常に少量のn−ヘキサンを用いて数回再結晶化し、二臭素化誘導体を与える。
【0172】
例14
ヒドロキシル化化合物から臭素化ヘテロダイヤモンドイド(図13)
適当なヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイドと、過剰の48%臭化水素酸との混合物を、数時間還流するまで加熱し(これはGC分析により簡単に監視することができる)、冷却し、そしてエチルエーテルで抽出する。抽出物を一緒にし、5%水酸化ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、乾燥する。蒸発及びアルミナによる通常のカラムクロマトグラフィーで、軽質石油エーテル、ヘキサン、又はシクロヘキサン、又はそれらのエチルエーテルとの混合物で溶離することにより、合理的な収率で臭素化物を与える。
【0173】
例15
G−BrからG−CHCH−Br
撹拌器、ガス導入管、及びバブルカウンター(bubble counter)を有するガス排出管を具えた150ml三口フラスコ中で、15mlのn−ヘキサン中に適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイドG−Br(0.046M)を入れた溶液を、冷却用浴中で−20〜−25℃へ冷却する。撹拌しながら4.0gの新しく粉砕した高純度臭化アルミニウム粉末を導入し、バブルカウンターによってガスの導入を制御することができるようなやり方でエチレンを導入する。反応が開始されて色が僅かに暗化し、約1時間後に完了する。反応溶液を傾瀉して触媒からエーテルと水との混合物中へ移した。エーテル層を分離除去し、水性相をエーテルでもう一度抽出する。一緒にしたエーテル抽出物を水及び希釈炭酸ナトリウム水溶液で洗浄する。それらを塩化カルシウムにより乾燥した後、溶媒を蒸留除去する。メタノールによる再結晶化により、純粋な臭化エチルヘテロダイヤモンドイド、G−CHCH−Brを与える。
【0174】
例16
G−BrからG−CH=CH−Br
工程1:撹拌器及び乾燥用管を有する150ml二口フラスコ中で、0.069モルの適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイドG−Brと、20mlの臭化ビニルとの混合物を冷却用浴中で−65℃に冷却する。撹拌しながら、4.5gの臭化アルミニウム粉末を少しずつ添加し、混合物を同じ温度で更に約3時間撹拌する。次に反応混合物を30mlの水と30mlのエチルエーテルとの混合物中へ注入する。激しく撹拌した後、エーテル層を分離し、水性層をエーテルでもう一度抽出する。一緒にしたエーテル抽出物を、水及び希釈炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。それを塩化カルシウムで乾燥し、溶媒を蒸留除去した後、残渣を真空中で蒸留する。
【0175】
工程2:0.7gの微粉砕水酸化カリウム及び上記化合物(0.012M)を10mlのジエチレングリコール中に入れた溶液を油浴中で220℃へ6時間加熱する。冷却後、混合物を30mlの水で希釈し、エチルエーテルで抽出する。エーテル抽出物を水で2回洗浄し、塩化カルシウムで乾燥する。エーテルを蒸留除去した後に残った残渣を真空中で昇華し、もし必要ならばその化合物をメタノールにより再結晶化することができる。
【0176】
G−BrからG−C≡C−Brを、この方法及び適当な出発材料を用いて形成することもできる。
【0177】
例17
G−BrからG−C−Br
1.1gの昇華した塩化鉄(III)及び高純度CBr(過剰)を、撹拌器、還流凝縮器、及び滴下漏斗を具えた150mlの三口フラスコ中へ入れる。水蒸気浴中で撹拌及び加熱しながら、適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイドG−Br(0.018モル)を上記フラスコへ約30分間に亙りゆっくり添加する。反応混合物を、臭化水素の生成が停止するまで更に約3時間加熱する。混合物を一晩放置し、氷と塩酸との混合物に注ぐ。有機相を分離除去し、水溶液をベンゼンで2回抽出する。一緒にしたベンゼン抽出物を水で数回洗浄し、塩化カルシウムで乾燥する。残留物は冷却により固化し、真空中で溶媒を完全に除去する。CO/トリクロロエチレンで冷却しながら、少量のメタノールにより再結晶化し、更に真空中で昇華することにより純粋な生成物を与える。
【0178】
例18
ヘテロダイヤモンドイドの一塩素化
温度計、撹拌器、及び水中に沈めた気泡発生器に通じたガス排出管を具えた0.1リットルの三口丸底フラスコ中で、40mlの無水シクロヘキサン中に0.074モルのヘテロダイヤモンドイド及び10ml(8.5g、0.092モル)の塩化t−ブチルを入れた溶液を調製する。触媒、塩化アルミニウム(合計0.46g、0.006モル)を、約8時間に亙り規則的な間隔で0.05gずつのバッチとして添加する。反応の進行は、イソブタンガスの放散速度により追跡するのが便利である。反応が完了した時、10mlの1.0N塩酸溶液を激しく撹拌しながら添加し、次に50mlのエチルエーテルを添加する。有機層を分離し、10mlの冷水及び10mlの5%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水塩化カルシウムで乾燥する。減圧下で溶媒を除去した後、粗製生成物が得られる。この物質のGC分析は、主に一塩素化ヘテロダイヤモンドイドと、少量の未反応ヘテロダイヤモンドイドからなる組成物を表している。もし必要ならば、この物質の試料をエタノールにより−50℃で再結晶化することにより、純粋な一塩素化ヘテロダイヤモンドイドを与える。
【0179】
例19
ヘテロダイヤモンドイドの一ヒドロキシル化
18.7gの塩化メチレン中に11.0mMのヘテロダイヤモンドイドを入れた溶液を、酢酸エチル中に1.03g(13.5mM)の過酢酸を入れた溶液4.22gと混合する。激しく撹拌しながら、その溶液を、溶液中心部に充分浸漬して配置した100ワットUV光で照射する。開始からガスの発生が明らかである。約21時間の照射期間中、温度を40〜45℃に維持する。この時間が終わった時、約95%の過酸が消費されていた。溶液を乾燥近くまで濃縮し、トルエン100mlずつで連続的に2回処理し、乾燥するまで再び蒸発させた。デシケーター中での最終的乾燥により、白色の固体を与える。上記物質の一部分を最低限の量のベンゼン・軽質石油エーテル中に溶解する。この溶液を、次に新しい1:1ベンゼン/軽質石油エーテルで溶離する通常のやり方でアルミナによるクロマトグラフィーにかけ、次にメタノールとエチルエーテルとの混合物により溶離し、未反応ヘテロダイヤモンドイド及びヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイド異性体を夫々収集する。それら異性体の一層の分離は、HPLC法を用いて達成することができる。
【0180】
例20
ヘテロダイヤモンドイドのポリヒドロキシル化
低温凝縮器(−20℃)、良く密封された空気駆動機械的撹拌器、固体滴下漏斗、及び熱電対を具えた、冷却用浴中に沈められた四口フラスコ中へ、0.037モルのヘテロダイヤモンドイド、150mlの塩化メチレン、200mlの2度蒸留した水、192gの炭酸水素ナトリウム、及び300mlのt−ブタノールを入れた。混合物を撹拌し、0℃へ冷却し、200gの1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノン(TFP)を添加する。混合物を撹拌し、−8℃へ冷却する。200gのオキソン(oxone)を固体滴下漏斗により3時間に亙って添加する。反応混合物を0℃で一晩(16時間)撹拌する。TFPは、蒸留する(ポットを40℃に加熱し、ドライアイス/アセトン中に沈めた受容器中でTFPを凝集する)ことにより回収する。残りの混合物は吸引濾過し、透明な溶液を得る。その溶液をロータバップして(rotavapped)乾固し、ポリヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイドの混合物を与え、それをクロマトグラフィー及び(又は)再結晶化により精製する。
【0181】
例21
一臭素化化合物からの一ヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイド(図15)
適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイド(0.066モル)を、撹拌器及び還流凝縮器を具えた丸底フラスコ中で、撹拌し、35mlの水、3.5mlのテトラヒドロフラン、2.0gの炭酸カリウム、及び1.3gの硝酸銀を添加しながら、約1時間還流するまで加熱する。冷却した後、結晶化した反応生成物を分離し、テトラヒドロフランで抽出する。抽出物を水で希釈し、沈澱物を吸引して取り出し、乾燥し、真空中で昇華することにより精製する。
【0182】
例22
G−CHCHBrからG−CHCH−OH(図15)
適当なG−CHCH−Br(0.066モル)を、撹拌器及び還流凝縮器を具えた丸底フラスコ中で、撹拌し、35mlの水、3.5mlのテトラヒドロフラン、2.0gの炭酸カリウム、及び1.3gの硝酸銀を添加しながら、約1時間還流するまで加熱する。冷却した後、反応生成物を分離して取り出し、クロロホルムで抽出する。溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、生成物を与える。
【0183】
例23
G=OからC−2 G−OH(図15)
適当なヘテロダイヤモンドイドオンG=Oを、低い温度でエチルエーテル中で水素化アルミニウムリチウム(少し過剰)により還元する。反応が完了した後、反応混合物を飽和NaSO水溶液を添加して処理することにより過剰の水素化物を低温で分解する。沈澱した塩から傾瀉して、無水エーテル溶液を与え、それを蒸発することにより第二級炭素の所で置換した粗製C−2 一ヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイド、即ち、C−2 G−OHを与える。更にシクロヘキサンによる再結晶化により分析的に純粋な試料を与える。
【0184】
例24
二ヒドロキシル化化合物からの二エステル化ヘテロダイヤモンドイド
2mlのジオキサンに、50℃の温度で二ヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイド(1.0mM)及びトリエチルアミン(2.2mM)を添加する。得られた混合物を、ジオキサン(2ml)中にアクリル酸塩化物(2.2mM)を入れた溶液へ滴下する。混合物を50℃で約1時間保持する。生成物をGCにより分析する。分析により希望のジアクリレートの形成が確認された時、標準的方法を用いて化合物を分離する。
【0185】
例25
ヘテロダイヤモンドイドのヘテロダイヤモンドイドオンへの酸化
18.7gの塩化メチレン中に11.0mMの適当なヘテロダイヤモンドイドを入れた溶液を、酢酸エチル中に1.03g(13.5mM)の過酢酸を入れた溶液4.22gと混合する。激しく撹拌しながら、その溶液を、溶液中心部に充分浸漬して配置した100ワットUV光で照射する。開始からガスの発生が明らかである。約21時間の照射期間中、温度を40〜45℃に維持する。この時間が終わった時、約95%の過酸が消費されている。溶液を乾燥近くまで濃縮し、トルエン100mlずつで連続的に2回処理し、乾燥するまで再び蒸発させる。デシケーター中での最終的乾燥により、粗製白色固体を与える。
【0186】
粗製ヒドロキシル化ヘテロダイヤモンドイド混合物を、次にアセトン中に部分的に溶解する。酸素化成分が溶液中へ入るが、全ての未反応ヘテロダイヤモンドイドがそうなるわけではない。クロム酸・硫酸溶液を、過剰が存在するようになるまで滴下し、反応混合物を一晩撹拌する。アセトン溶液を、沈澱した硫酸第二クロム及び未反応ヘテロダイヤモンドイドから傾瀉し、硫酸ナトリウムで乾燥する。クロム塩を水中に溶解し、濾過することにより未反応ヘテロダイヤモンドイドを回収する。アセトン溶液を蒸発し、白色固体を与える。この粗製固体を標準的手順を用いてアルミナによるクロマトグラフィーにかけ、1:1(v/v)ベンゼン/軽質石油エーテルで先ず溶離し、次にエチルエーテル、又はエチルエーテルとメタノールとの(95:5v/v)混合物により溶離し、未反応ヘテロダイヤモンドイド及びヘテロダイヤモンドイドオンを夫々収集する。シクロヘキサンによる再結晶化により更に精製し、純粋なヘテロダイヤモンドイドオンを与える。
【0187】
例26
ケト化合物から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘテロダイヤモンドイド
フラスコに、ヘテロダイヤモンドイドオン(0.026モル)、フェノール(16.4g、0.17モル)、及びブタンチオール(0.15ml)の混合物を入れる。熱を加え、反応混合物が約58℃で液体になった時、無水塩化水素を、溶液に飽和するまで導入する。約60℃で数時間撹拌を続け、その期間中に赤みがかったオレンジ色の反応混合物から白色の固体が分離し始める。得られた固体を濾過して取り出し、ジクロロメタンで洗浄し、乾燥してビスフェノールヘテロダイヤモンドイド生成物を与える。トルエンによる再結晶化の後、昇華によりそれを精製する。
【0188】
例27
ケト化合物から2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘテロダイヤモンドイド 撹拌器を具えた100mlのオートクレーブ中で、35%HCl水溶液15ml中にヘテロダイヤモンドイドオン(0.041モル)を入れた溶液に、過剰のアニリン(15.7g、0.17モル)を添加し、混合物を約120℃で約20時間撹拌する。冷却後、溶液をNaOH水溶液でpH10まで塩基性にし、油状層を分離し、蒸留して未反応過剰アニリンを除去する。残留粗製生成物をベンゼンにより再結晶化する。
【0189】
例28
ビスフェノールヘテロダイヤモンドイドから2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイド
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘテロダイヤモンドイド(0.01モル)、p−フルオロニトロベンゼン(3.1g、0.022モル)、炭酸カリウム(3.31g、0.024モル)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、10ml)の混合物を、約8時間還流する。次にその混合物を冷却し、エタノール/水混合物(1:1、体積比)中へ注入する。粗製生成物をDMFにより結晶化し、2,2−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイドの黄色針状結晶を与える。
【0190】
ヒドラジン一水和物(20ml)を、上記生成物(0.002モル)、エタノール(60ml)、及び触媒として有効な量の活性炭上10%パラジウム(Pd/C、0.05g)の混合物へ、沸騰温度で滴下する。反応混合物を約24時間還流し、生成物の2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイドがこの期間中に沈澱する。次にその混合物を充分なエタノールへ添加して生成物を溶解し、濾過してPd/Cを除去する。冷却後、沈澱した結晶を濾過により分離し、1,2−ジクロロベンゼンにより再結晶化する。
【0191】
例29
ヘテロダイヤモンドイドの一ニトロ化
窒素で500psigaの全圧力まで加圧した撹拌ステンレス100mlオートクレーブに、0.05モルのヘテロダイヤモンドイドと、50mlの氷酢酸の混合物を入れる。次に混合物を140℃へ加熱した後、9.0g(0.1モル)の濃硝酸を反応領域中へ供給ポンプにより1〜2ml/分の速度で導入する。酸の供給が完了したならば、反応温度を140℃に15分間維持し、然る後、反応混合物を室温へ冷却し、過剰の水で希釈して生成物を沈澱させる。濾過した固体を、10mlのメタノール、15mlの水、及び1.7gの水酸化カリウムの混合物で18時間室温でスラリーにする。水で希釈した後、軽質石油エーテルによりアルカリ不溶性物質を抽出する。石油エーテル抽出物を、水により洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥する。この溶液を濃縮して白色固体を与える。アルカリ不溶性物質を抽出した残りのアルカリ水溶液を0〜3℃へ冷却し、酢酸・尿素混合水溶液を滴下することにより中和し、更に幾らかの生成物を再生させる。GC分析は、アルカリ不溶性試料が、主にモノニトロヘテロダイヤモンドイドであることを示している。
【0192】
例30
ヘテロダイヤモンドイドの一カルボキシル化
29.6g(0.4モル)のt−ブタノールと、55g(1.2モル)の99%蟻酸との混合物を、470gの96%硫酸と、100mlのシクロヘキサンに溶解した0.1モルのヘテロダイヤモンドイドとの混合物に、室温で激しく撹拌しながら約3時間に亙り滴下する。氷で分解した後、酸を分離し、メタノール/水による再結晶化により精製し、一カルボキシル化ヘテロダイヤモンドイドを与える。
【0193】
例31
G−BrからG−CHClCOOH
適当な一臭化ヘテロダイヤモンドイドG−Br(0.012モル)と、9.0gのトリクロロエチレンCHCl=CClとの混合物を、約4時間に亙り24mlの90%硫酸中へ103〜106℃で激しく撹拌しながら滴下する。添加が完了した後、混合物を更に約2時間特定の温度で撹拌し、次に冷却し、粉砕氷を用いて加水分解する。沈殿した生成物を、希釈水酸化ナトリウム溶液中に溶解し、エチルエーテルで抽出することにより、中性留分から分離することができる。希釈塩酸溶液で酸性化すると、アルカリ性溶液からカルボン酸が沈澱する。
【0194】
例32
G−BrからG−NHCOCH
適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイドG−Br(0.093モル)を、150mlのアセトニトリル中へ溶解する。その溶液へ30mlの濃硫酸を撹拌しながらゆっくり添加し、それにより混合物は加熱される。それを約12時間放置した後、溶液を500mlの氷水中へ注入し、それによりモノアセトアミノヘテロダイヤモンドイドが高純度で分離する。
【0195】
例33
G−COOHからG−NHCHO
100mlの100%硫酸に、8.16g(0.17モル)のシアン化ナトリウム及び適当な一カルボキシル化ヘテロダイヤモンドイドG−COOH(0.028モル)を、激しく撹拌しながら7分以内で添加した。1/2時間後、250gの破砕氷上に反応混合物を注ぐことにより分解を行い、次にそれを充分な量の水酸化ナトリウム溶液を添加することにより塩基性にし、ベンゼン/エーテルで5回抽出する。一緒にした抽出物から溶媒を真空除去し、残渣をベンゼン/ヘキサンにより再結晶化する。
【0196】
例34
G−COClを経由するG−COOHからのG−COCHCH
撹拌器及び還流凝縮器を具えた50mlのフラスコ中で、0.017モルの適当な一カルボキシル化ヘテロダイヤモンドイドG−COOHを、4.2gのPClと混合する。反応混合物の液化により反応は30〜60秒後に開始する。水蒸気浴上で撹拌しながら、混合物を更に約1時間加熱する。形成されたPOClを真空蒸留して除去する。残留物として後に残った酸塩化物を氷水で冷却し、6.0mlの無水エタノールを滴下する。混合物を水蒸気浴上で更に約1時間加熱し、次にそれを冷却した後、50mlの水中に注入する。エチルエーテルでエステルを取り込み、次に炭酸カリウム水溶液及び水で洗浄する。乾燥後、塩化カルシウム上で真空中で分別を行う。
【0197】
例35
G−BrからG−CH=CH
工程1:撹拌器、ガス導入管、及びバブルカウンターを有するガス排出管を具えた150mlの三口フラスコ中で、15mlのn−ヘキサン中に適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイドG−Br(0.046モル)を入れた溶液を、冷却用浴中で−20〜−25℃へ冷却する。撹拌しながら4.0gの新しく粉砕した高純度臭化アルミニウム粉末を導入し、バブルカウンターによってガスの導入を制御することができるようなやり方でエチレンを導入する。反応は約1時間後に完了する。反応溶液を触媒から傾瀉してエーテルと水との混合物中へ入れる。エーテル層を分離除去し、水性相をエーテルでもう一度抽出する。一緒にしたエーテル抽出物を水及び希釈炭酸ナトリウム水溶液で洗浄する。それらを塩化カルシウムにより乾燥した後、エーテルを蒸留除去する。残留物を真空蒸留により分離する。メタノールによる再結晶化により、臭化ヘテロダイヤモンドイドイルエチルG−CHCHBrを与える。
【0198】
工程2:0.7gの微粉砕水酸化カリウム及び上記臭化ヘテロダイヤモンドイドイルエチルG−CHCHBr(0.012モル)を10mlのジエチレングリコール中に入れた溶液を、油浴中で220℃へ6時間加熱する。冷却後、混合物を30mlの水で希釈し、エチルエーテルで抽出する。エーテル抽出物を水で2回洗浄し、塩化カルシウムにより乾燥する。エーテルを蒸留除去した後に残った残渣を真空中で昇華し、もし必要ならばその化合物をメタノールにより再結晶化することができる。
【0199】
例36
G−BrからG−C≡CH
工程1:撹拌器及び乾燥用管を有する150mlの二口フラスコ中で、0.069モルの適当な一臭素化ヘテロダイヤモンドイドと、20mlの臭化ビニルとの混合物を、冷却用浴中で−65℃に冷却する。撹拌しながら、4.5gの臭化アルミニウム粉末を少しずつ添加し、混合物を同じ温度で更に約3時間撹拌する。次に反応混合物を30mlの水と30mlのエチルエーテルとの混合物中へ注入する。激しく撹拌した後、エーテル層を分離し、水性層をエーテルでもう一度抽出する。一緒にしたエーテル抽出物を、水及び希釈炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。それを塩化カルシウムで乾燥し、溶媒を蒸留除去した後、残留物を真空中で蒸留する。
【0200】
工程2:15gの粉砕水酸化カリウムを30mlのジエチレングリコール中に入れたものを、油浴中で0.046モルの上記生成物と共に約9時間還流するまで加熱する。形成される化合物一エチニル化ヘテロダイヤモンドイドを、次に凝縮器中で昇華し、時々反応混合物へ戻さなければならない。反応時間が終わった後、反応混合物を、もはや固体粒子が消費されなくなるまで蒸留する。蒸留物をエチルエーテルで抽出し、エーテル相を水で洗浄し、塩化カルシウムにより乾燥する。エーテルを蒸留除去すると、短時間で残留物は固化する。それを真空中で昇華し、もし必要ならばメタノールにより再結晶化する。
【0201】
例37
G−BrからG−O−CH−C
0.03モルのナトリウムベンジレートを含むベンジルアルコールC−CH−OH(0.28M)の溶液に、0.01モルのG−Brを添加し、得られた混合物を約4時間加熱し、その間に多量の沈澱物NaBrが形成される。冷却後、反応混合物を水中へ注入し、水性相をエチルエーテルで抽出し、それを硫酸ナトリウムで乾燥し、次に蒸発する。ベンジルアルコールの殆どを蒸留により除去し、約4mlの油が残り、それをアルミナによるクロマトグラフィーにかける。石油エーテルによる溶離により生成物を与える。
【0202】
例38
例29で示したように、ヘテロダイヤモンドイドイル酢酸、例えば、G−COOHを製造する。対応する酸塩化物G−COClは、その酸と、石油エーテルで希釈した塩化チオニルとの混合物を室温で約50時間撹拌することにより得られる。酸塩化物G−COClを過剰の量のエーテル性ジアゾメタンで処理することにより、ヘテロダイヤモンドイドイルアセチルジアゾメタンG−COCHNを与える。酸塩化物G−COClと、アンモニア及びアニリンのようなアミンとの反応により対応するアミドを与え、それらの場合、G−CONH及びG−CONHCが夫々得られる。
【0203】
例39
G−COClからG−CONH
氷水で冷却しながら、4.0mlの無水THF中に5.5mMのG−COOHを入れて調製したG−COClの撹拌した溶液中へ、濃アンモニア水溶液(11.0ml)を、30分間に亙り一滴ずつ撹拌しながら添加する。撹拌を約6時間継続し、次に沈澱物を濾過する。濾液に水を添加しで第二濾滓を与える。一緒にした沈澱物を水で洗浄し、乾燥して表題の化合物を与える。
【0204】
例40
G−CONHのホフマン反応
1.0gの臭素、1.0gの水酸化ナトリウム、及び10mlの水から新しく調製した、氷冷臭素・アルカリ反応物へ、0.5gのG−CONHを添加し、撹拌する。次に温度を3.5時間に亙り約80℃へゆっくり上昇し、約10分間そこに維持する。冷却後、分離した固体を濾過し、水で洗浄する。クロロホルム・石油エーテルによる再結晶化により、純粋な生成物G−NHCONHC(O)−Gを与える。
【0205】
例41
G−BrからG−N
無水ジメチルスルホキシド(DMF、20ml)中に入れたG−Br(2mM)と、アジ化ナトリウム(1.3g)との混合物を、約2日間100℃に撹拌しながら加熱する。混合物を氷水上へ注ぎ、沈澱物を与え、それをメタノール水溶液により再結晶化して精製し、純粋な生成物を与える。
【0206】
例42
G−OHからG−OCOCl
無水ベンゼン(100ml)中に液体ホスゲン(COCl、30g)を入れた溶液に、G−OH(53mM)及びピリジン(7g)をベンゼン(200ml)中に入れた溶液を、反応温度を約4℃に維持しながら、1時間に亙り撹拌しながら滴下し、固体が沈澱した時、更にベンゼンを添加する。
【0207】
反応混合物を濾過し、濾液を氷水中へ注ぎ、分離漏斗中で振盪する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、室温で減圧下でその最初の体積の約1/5まで濃縮し、濃縮溶液を冷凍機中に貯蔵する。収率は、溶液の合成使用の目的から本質的に定量的であると考えてもよい。
【0208】
濃縮物の試料を室温で蒸発乾固させると、固体が得られる。無水石油エーテルにより低温、例えば、−20℃で再結晶化し、生成物の結晶を与えることができる。
【0209】
例43
G−OCOCl及びHNNHからG−OCONHNH
無水ベンゼン(150ml)中にG−OCOCl(9.3mM)を入れた溶液を、t−ブチルアルコール(20ml)中へ無水ヒドラジン(2.5g)を入れた撹拌溶液へゆっくり添加する。約2時間撹拌した後、溶媒を真空除去する。残留物をエーテル(150ml)と水(10ml)との混合物に溶解する。エーテル層を35mlずつの水、5mlの1%炭酸ナトリウム溶液、及び5mlの水で洗浄し、乾燥する。無水ヘキサン(10ml)を添加し、溶液を約10mlへ濃縮する。溶液を約−10℃に冷却し、生成物G−OCONHNHを与える。
【0210】
例44
G−OCOCl及びアミノ酸からヘテロダイヤモンドイドイルオキシカルボニルアミノ酸
適当なアミノ酸(5mM)を水(約20ml)中に懸濁する。混合物を撹拌し、氷浴中で冷却する。水酸化ナトリウム(1N、5ml)を添加し、それによりアミノ酸が通常溶解する。この混合物に0.8gの炭酸ナトリウム(7.5mM)を添加する。G−OCOClの溶液から、約30℃の浴温度でフラッシュ蒸発器により溶媒を真空除去する(ベンゼン溶液中のクロロホルメートの濃度は、約30℃の試料から真空中で溶媒を除去し、残渣を秤量することにより決定する)。油状又は半固体になることがある残留物に、無水石油エーテルを添加し、真空除去する。これをもう1回繰り返し、クロロホルメートの製造中に残っていた可能性のある微量のホスゲンを除去する。残渣を無水ジオキサン(5ml)に溶解し、連続的に撹拌及び冷却しながらアミノ酸の溶液へ約1時間に亙りほぼ四つの部分に分けて添加する。固体が沈澱するならば、クロロホルメートの最初及び最後の添加後、エーテルを添加する(5ml)。クロロホルメートの添加後、クロロホルメートの容器を少量のジオキサンで2回洗浄する。氷中で約2時間撹拌した後、溶液をエーテル又は酢酸エチルにより3回抽出し、撹拌及び冷却しながら85%の燐酸又は10%の硫酸で約2のpHへ酸性化する。沈澱した生成物を有機層へ抽出し、水性相を新しい有機溶媒の更に二つの部分により抽出する。一緒にした抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空除去する。適当な溶媒、例えば、エーテル・石油エーテル、酢酸エチル、又は酢酸エチル・石油エーテルにより残渣を再結晶化する。
【0211】
例45
G−BrからG−POCl(図21)
0.1モルのG−Br、40g(0.15M)のAlBr、及び200mlのPClを、撹拌しながら約5時間還流加熱する。冷却し、濾過した後、濾滓を100mlのベンゼンで洗浄し、300mlのCClに懸濁し、氷で冷却しながら、水で注意深く分解する。有機相を分離して取り出し、水で洗浄し、CaClで乾燥し、真空中で濃縮する。生成物、G−POClの分離及び精製を、残留物の蒸留及びアセトンによる再結晶化により行うことができる。G−POClは、ピリジル中でのエタノール又はベンゼン中でのピペリジンとは反応しないことに注意されたい。従って、0.05モルのG−POClを、9.2g(0.2モル)エタノール及び7.9g(0.1M)のピリジンと一緒に、約3時間還流加熱する。次に反応混合物を、希釈塩酸を添加しながら氷上に注ぐ。生成物を濾過し、アセトンにより再結晶化すると、未反応G−POClを与える。更に、0.05モルのG−POCl、及び17g(0.2M)のピペリジンを、200mlの無水ベンゼンに溶解し、次に撹拌しながら約48時間還流加熱する。濾過後、濾液を乾固するまで濃縮し、未反応G−POClを与える。
【0212】
20mMのG−POClを、100mlの水と共に約6時間還流させながら加熱する。冷却後水溶液を濾過し、濾滓を氷酢酸により再結晶化し、生成物、G−PO(OH)を与える。
【0213】
150mlの無水エーテル中に0.1モルのG−POClを入れた溶液を、窒素中で、400mlの無水エーテル中に7gのLiAlHを入れた懸濁物に、約2時間に亙って滴下する。添加後、混合物を更に1時間還流しながら撹拌する。約200mlの希釈塩酸を添加することにより、過剰のLiAlHを分解する。有機相を分離し、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、窒素中で濃縮する。残留物を窒素中で真空精留し、生成物、G−PHを与える。
【0214】
約50mMのG−PHを、50mlの30%過酸化水素(H)と共に、約50℃で反応が開始するまで注意深く加熱する。次に反応混合物を水で1/2に希釈し、少し沸騰させ、熱いうちに濾過する。冷却すると、幾らかの生成物G−P(OH)を分離することができる。残留物をCHClで抽出し、次に氷酢酸により再結晶化し、幾らかの量の生成物を更に与える。
【0215】
0.05モルのG−P(OH)を、75mlのPClに10分以内で少しずつ添加する。添加後、反応混合物を更に5分間撹拌する。生成した燐酸を分離除去し、残留物を真空中で濃縮し、蒸留して生成物、G−PClを与える。数回昇華することにより精製を行い、分析するための純粋な試料を与えることができる。
【0216】
0.01モルのG−PClを、50mlの水中に入れて、室温で約10時間強く撹拌する。次に混合物を濾過し、濾滓をアセトニトリルにより数回再結晶化し、生成物、G−P(OH)を与える。
【0217】
例46
GからのG−SOCl及び続く反応(図22)
40g(0.3M)のAlCl及び200mlのSOClを、0.3モルのヘテロダイヤモンドイドと、約−15℃で約2時間反応させる。混合物をこの温度で更に1時間撹拌する。次に透明溶液を室温へ暖め、過剰のSOClを真空中で除去する。残留物を300mlのCCl中に取り込み、水で注意深く分解する。有機相を分離し、水で洗浄し、CaClで乾燥し、真空中で濃縮する。残留物を蒸留し、生成物、G−SOClを与える。G−Clが主な副生成物として生ずることに注意されたい。
【0218】
0.1モルのG−SOClを、200mlの無水メタノールと共に約6時間還流させながら加熱する。次に、溶媒を真空中で除去し、残留物を蒸留して生成物を与える。真空中での昇華により更に精製を行うことができる。
【0219】
0.1モルLiAlHを、100mlの無水エーテル中に懸濁し、約1時間還流させながら加熱する。次に100mlの無水エーテル中に0.02モルのG−SOCHを入れた溶液を、約2時間に亙り滴下する。還流しながら更に約17時間撹拌した後、過剰のLiAlHを飽和NaSO溶液で分解し、100mlの濃塩酸を添加した後、エーテル相を分離する。水性相をエーテルで更に2回洗浄する。抽出物を一緒にし、CaClで乾燥し、真空中で濃縮する。残渣を昇華してG−SHを与える。
【0220】
650mlの5%水酸化ナトリウム溶液に、約0.25モルのG−SOCl(粗生成物)を室温で添加する。約5時間強く撹拌した後、温度をゆっくり約50℃へ上昇させ、次に濾過する。約12%の塩素化生成物が濾滓として残る。濾液を氷で冷却しながら濃塩酸で酸性化し、エーテルで数回抽出する。一緒にした抽出物を水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して乾燥生成物を与える。アセトニトリルによる再結晶化により純粋生成物、G−SOHを与える。
【0221】
5mMのG−SOHを、1mlの30%過酸化水素を添加しながら、25mlの水中に懸濁する。次に、混合物を水浴上で撹拌しながら加熱し、さらに3mlの30%過酸化水素を30分以内で滴下する。溶液を少し沸騰させ、濾過し、約30℃で真空中で濃縮乾固し、ヘテロダイヤモンドイドイルスルホン酸一水和物、G−SOH・HOを与える。
【0222】
100mlのエタノール中に0.1モルのG−SHを溶解したものを、200mlの水中に8g(0.2モル)のNaOHを入れた溶液中へ撹拌しながら添加し、15.4g(0.1モル)の硫酸ジエチルで約1時間50℃で処理する。更に1時間還流しながら撹拌した後、反応混合物を冷却し、エーテルで数回抽出する。一緒にした抽出物を真空中で濃縮し、残留物をCaClで蒸留し、生成物、G−SCを与える。
【0223】
100mlの氷酢酸中に0.05モルのG−SCを入れたものを、17.5g(0.15モル)の30%過酸化水素と共に還流するまで加熱する。還流しながら約1時間撹拌した後、反応混合物を氷上に注ぎ、濾過する。エタノール/水による再結晶化により、生成物、G−SOを与える。
【0224】
0.02モルのG−SO及び12gのKOHを、3〜5滴の水と共に250℃へ加熱する。次に、温度を、約45分の時間をかけて275℃へ上昇させ、それにより強いガスの発生が行われる。冷却した後、混合物を僅かな水に溶解し、氷で冷却しながら濃塩酸で酸性化し、エーテルで数回抽出する。エーテル抽出物からの蒸留残渣は、アセトニトリルによる再結晶化後、G−SOHの純粋生成物を与える。
【0225】
0.05モルのG−SOHを、100mlの新しく蒸留したSOClと共に室温で一晩放置する。過剰のSOClを真空中で注意深く除去し、残留物を蒸留し、それにより受容器の中で生成物G−SOClが固化する。
【0226】
0.1モルのG−SOClを、200〜300mlの無水アルコール及び7.9g(0.1モル)のピリジンと一緒に、8〜12時間還流しながら加熱する。次に過剰のアルコールを真空中で除去し、残留物をエーテルと混合する。エーテル溶液を、希釈塩酸及び水で2回洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮する。残渣を蒸留して対応するエステルを与える。
【0227】
45mMのG−SOClを、300mlの25%アンモニア水又は150mlの40%ジメチルアミン水と一緒に、撹拌しながら約2時間還流加熱する。次に、反応混合物を真空中で濃縮乾固し、残渣をエーテルで抽出する。エーテル抽出物からの蒸留残渣をシクロヘキサンにより再結晶化し、対応するアミドを与える。
【0228】
200mlの水中に0.05モルのG−SOH及び2g(0.05モル)のNaOHを入れた透明溶液に、約5℃の温度上昇速度で45分以内で強い塩素ガス流を導入する。濾過後、残留物をエーテルで抽出する。エーテル溶液をNaHSO溶液で塩素を含まなくなるまで洗浄し、MgSOで乾燥し、室温で真空濃縮して乾固させる。エタノールによる再結晶化により生成物、G−SOClを与える。更に石油エーテルにより数回再結晶することにより、分析のための純粋試料を与えることができる。
【0229】
100mlの無水エーテル中に0.01モルのG−SOClを入れたものを、100mlの無水エーテル中に3gのLiAlHを入れた懸濁物に1時間以内で滴下する。添加後、反応混合物を約3時間還流しながら撹拌し、次に過剰のLiAlHを希釈塩酸で分解する。有機相を分離し、MgSOで乾燥し、濃縮する。残渣を数回昇華してG−SHを与える。
【0230】
10mMのG−SOCl及び100mlの10%水酸化ナトリウム溶液を、1gのピリジルを添加しながら、約4時間水浴上で加熱する。冷却し、濾過した後、濾液を濃塩酸で酸性化し、エーテルで一晩浸出する。エーテル抽出物をMgSOで乾燥し、濃縮してG−SOHを与える。
【0231】
20mMのG−SOClを、30mlの無水メタノール及び3gのピリジンと一緒にし、50℃で約4時間激しく撹拌しながら加熱する。次に、反応混合物を氷上に注ぎ、エーテルで抽出する。エーテル溶液を希釈塩酸で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮する。残渣を昇華するとG−Clを与える。
【0232】
10mMのG−SOCl及び100mlの25%アンモニア水を、水浴上で撹拌しながら約3時間加熱する、溶液を真空中で濃縮乾固し、残渣を昇華してG−OHを与える。
【0233】
0.02モルの対応するヘテロダイヤモンドイドイルスルフィン酸エステル又はアミドを、アセトン中にKMnOを入れた飽和溶液と共に、150〜400mlのアセトン中で紫色が消えなくなるまで還流しながら処理する。更に30分還流しながら撹拌した後、反応混合物をMnOから濾過し、残留物をアセトンで数回抽出する。一緒にした濾液を、次に真空中で濃縮し、対応するヘテロダイヤモンドイドイルスルホン酸エステル又はアミドを与える。
【0234】
例47
G−BrからG−G
温度計、窒素導入口、撹拌器、及び還流凝縮器を具えた三口フラスコ中で、窒素をゆっくり流しながら、一臭素化ヘテロダイヤモンドイドG−Br(50mM)を、30mlのキシレンに溶解し、還流するまで加熱する。次に、合計1.15gのナトリウム金属小片を撹拌反応混合物へ約4時間に亙り添加する。全てのナトリウムを添加した後、混合物を更に約1時間還流し、次に熱い状態で濾過する。室温へ冷却すると、濾液から生成物、G−Gが結晶化する。このG−G生成物自身は二臭素化することができ、然る後、希望に応じ、ジシアノ、ジカルボキシルジアミノ、及びジアセトアミド誘導体へ転化することができる。
【0235】
例48
Br−G−G−BrからCHOC−G−G−COCH
Br−G−G−Br(11.5mM)に、25mlのアニソールを添加し、混合物を約5時間還流するまで加熱する(約155℃のポット温度)。約15分間還流した後、臭化水素が発生する。約1時間後、臭化水素の発生が止まる。反応生成物を熱いうちに濾過し、室温へ冷却して粗生成物を収集し、それを、次にキシレンにより再結晶化し、純粋な生成物、CHOC−G−G−COCHを与える。
【0236】
例49
NC−G−G−CNからHClHNCH−G−G−CHNHHCl及びHNCH−G−G−CHNH
温度計、窒素導入口、滴下漏斗、及び還流凝縮器を取付けた三口フラスコ中へ粉末水素化アルミニウムリチウム(0.6g)を、15mlの無水THFと一緒に入れる。20mlの無水THF中にNC−G−G−CN(7.8mM)を入れた溶液を、約20分間に亙り添加する。反応生成物を、室温へ冷却した後、希釈塩酸を含む氷上に注ぐ。希釈塩酸による再結晶化により二塩酸塩生成物、HClHNCH−G−G−CHNHHClを与える。アンモニアとの反応により二塩酸塩から遊離ジアミンHNCH−G−G−CHNHが得られる。
【0237】
ヘテロダイヤモンドイド含有重合体又は共重合体の設計
可溶性で、機械的に強く、熱的に安定な容易に処理されるポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネートのような重合体は、マイクロエレクトロニクス工業のような広い範囲の工業で非常に重要な材料である。重合体主鎖に沿ってヘテロダイヤモンドイド基のような種々の懸垂基を導入することは、一層大きな可溶性を与え、堅さを増大するのみならず、得られる重合体の機械的及び熱的性質を一層よくすることができる。そのようなヘテロ原子含有籠型炭化水素を重合体鎖中へ導入することは特に重要である。なぜなら、そのようなカルド(cardo)基は、大きなカルド/水素比、大きな熱及び酸化安定性、剛性、疎水性、及び透明性のような重要な特性を示すからである。それらは、重合体に希望の電気的及び光学的性質も与えることができる。
【0238】
例50
二アクリル化ヘテロダイヤモンドイドの重合
次の組成物を重合にかける:二アクリル化ヘテロダイヤモンドイド;一アクリル化ヘテロダイヤモンドイド;一アクリル化ヘテロダイヤモンドイドとメチルメタクリレートとの50:50(重量)混合物;及び一アクリル化ヘテロダイヤモンドイドと、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートとの50:50(重量)混合物。それら種々の組成物に、0.1重量部の光重合開始剤(ベンゾフェノン)を添加する。混合物をガラス板に適用し、紫外線で照射することにより光重合する。
【0239】
例51
二エチニル化ヘテロダイヤモンドイドの重合
二エチニル化ヘテロダイヤモンドイド(275mg)の試料を、ガラス管中に密封し、200℃で14時間、250℃で48時間加熱する。管を室温へ冷却し、開けて重合体樹脂を与える。
【0240】
例52
溶液重縮合による2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘテロダイヤモンドイドから誘導されるポリエステル
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘテロダイヤモンドイド(0.005モル)を、ピリジン(2ml)と、室温で約20分間混合する。ニトロベンゼン(20ml)中に塩化テレフタロイル(1.015g、0.005モル)を、上記溶液に室温で約5分間に亙り添加し、次に混合物を約150℃に約10時間加熱する。得られた重合体溶液をメタノール中へ注ぎ、重合体を沈澱させる。重合体を熱メタノールで洗浄し、フィルター上に収集し、約60℃で約24時間真空乾燥する。
【0241】
例53
溶液重縮合による2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイドから誘導されるポリアミド
フラスコに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイド(0.9mM)、テレフタル酸(0.149g、0.9mM)、亜燐酸トリフェニル(0.7ml)、ピリジン(0.6ml)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、2ml)、及び塩化カルシウム(0.25g)の混合物を入れる。それをアルゴン中で約3時間還流する。冷却後、反応混合物を多量のメタノール中へ一定に撹拌しながら注入し、沈澱物を生成させ、それをメタノール及び熱水で完全に洗浄し、フィルターの上に収集し、乾燥して重合体鎖に沿ってヘテロダイヤモンドイド成分を含有するポリアミドを与える。
【0242】
例54
化学的イミド化(imidization)による2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイドから誘導されるポリイミド
DMAc(7ml)中に2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイド(1.2mM)を入れた撹拌溶液に、ピロメリト酸二無水物(0.262g、1.2mM)を徐々に添加する。混合物をアルゴン雰囲気中室温で2〜4時間撹拌し、ポリ〔アミックアシッド(amic acid)〕を形成する。DMAc及び無水酢酸とピリジンとの等モル混合物を、上記ポリ(アミックアシッド)溶液に、室温で約1時間撹拌しながら添加し、次に更に約3時間約100℃に加熱することによりイミド化を行う。次に反応生成物をメタノール中へ注入し、沈澱物を濾過し、メタノール及び熱水で洗浄し、乾燥して、重合体鎖に沿ってヘテロダイヤモンドイド成分を含有するポリイミドを与える。
【0243】
例55
化学的イミド化による2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘテロダイヤモンドイドから誘導されるポリイミド
17.9mlのNMP中に2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘテロダイヤモンドイド(5mM)を入れた溶液に、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA、98.6%、1.61g、5mM)を添加し、固体含有量を15重量%にする。溶液を室温で約24時間撹拌し続ける。反応混合物に1.5mlの無水酢酸及び2.0mlのピリジンを添加し、温度を約120℃へ上昇させ、この温度に約3時間保つ。得られた溶液を過剰のメタノール中へ注ぎ、濾過する。沈澱した重合体を水及びメタノールで数回洗浄し、次に重合体を、約100℃で約12時間真空乾燥する。
【0244】
例56
溶液重合による2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘテロダイヤモンドイドから誘導されるポリイミド
19mlの新しく蒸留したm−クレゾール中に2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘテロダイヤモンドイド(5mM)を入れた溶液に、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(98.6%、1.61g、5mM)及び触媒としてイソキノリン(0.95ml)を窒素雰囲気中室温で添加する。反応混合物を約70〜80℃へ2時間に亙り加熱し、この温度に約2時間維持する。然る後、溶液の温度を2時間に亙り約200℃へゆっくり上昇させ、6時間還流する。窒素を穏やかに流しながら重合を行い、イミド化中に生成した水を除去する。得られた溶液を過剰のメタノール中へ注入し、濾過することにより処理する。沈澱した重合体を水及びメタノールで数回洗浄し、次に重合体を、約100℃で約12時間真空乾燥する。
【0245】
例57
ミカエル付加反応による2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイドから誘導される線状ポリアスパルチミド
磁気撹拌器、還流凝縮器、温度計、及び窒素導入口を具えた100mlの三口フラスコ中で、0.553g(1.25mM)のビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BEMM)を、3.5mlのm−クレゾールへ添加する。全てのBEMMを溶解した後、1.25mMのジアミン2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘテロダイヤモンドイドを添加する。次に触媒として用いられる0.1mlの氷酢酸を前記混合物中へ添加し、上記ジアミンを完全に溶解する。次に反応混合物を、100〜110℃に維持した油浴中に約100時間浸漬し、重合する。得られた重合体を、その粘稠な反応混合物を過剰のエタノール中へ激しく撹拌しながら注入することにより分離する。重合体沈澱物を濾過により収集し、エタノールで完全に洗浄し、ソックスレー抽出器を用いて熱エタノールで抽出し、次に70℃の真空炉中で約24時間乾燥する。
【0246】
例58
臭素化化合物からの4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ベンゼンジオール及び続く反応
窒素導入口、苛性洗浄器を取付けた凝縮器、及び撹拌器を具えた反応フラスコ中で、適当な臭素化ヘテロダイヤモンドイド(0.046モル)、レゾルシノール(5.51g、0.05モル)、及びベンゼン(50ml)を一緒にする。この混合物を還流するまで約72時間加熱し、形成されたHBrの除去を促進するため窒素で一定にパージしながら反応を行わせる。反応混合物を周囲温度へ冷却し、溶液からヘテロダイヤモンドイドイル置換レゾルシノールを結晶化させる。メタノールに入れた生成物の溶液を温水中へ入れて沈澱させ、次に濾過し、水で洗浄することにより残留レゾルシノールを除去する。高品質単量体重合に続く精製を、真空乾燥して残留水を除去し、トルエンにより再結晶化し、最後に昇華することにより達成し、次の反応で用いる生成物を与える。
【0247】
4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ベンゼンジオール(13mM)、p−クロロニトロベンゼン(4.53g、28.8mM)、炭酸カリウム(4.3g、31.2mM)、及び乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、30ml)の混合物を、約8時間還流する。次に混合物を冷却し、メタノール・水(1:1体積)溶液中へ注ぐ。粗生成物を氷酢酸により再結晶化する。
【0248】
上記生成物〔4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン、12.3mM〕、エタノール(25ml)、触媒として有効な量の活性炭上10%パラジウム(Pd/C、0.05g)の混合物へ、沸騰温度でヒドラジン一水和物(10ml)を滴下する。反応混合物を約24時間還流し、この期間中にジアミン生成物が沈澱する。次に混合物を、前記ジアミン生成物を溶解するのに充分な量のエタノールへ添加し、濾過してPd/Cを除去する。冷却後、沈澱した結晶を濾過により分離し、1,2−ジクロロベンゼンにより再結晶化し、純粋なジアミン生成物を与える。
【0249】
フラスコに、1.73mMの4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、0.68g(3.54mM)のトリメリト酸無水物、及び5mlのDMAcを入れる。その混合物をアルゴン雰囲気中で室温で約5時間撹拌する。撹拌及び室温を維持し続けながら、2.4mlの無水酢酸及び1.5mlのピリジンを添加し、約1時間配合する。然る後、混合物を100℃で約4時間加熱し、次に冷却し、メタノール中へ注入する。沈澱物を濾過し、ソックスレー抽出器を用いて熱エタノールで抽出することにより精製し、次に70℃の真空炉中で24時間乾燥し、ジイミド−ジカルボン酸:4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ビス(4−トリメリトイミドフェノキシ)ベンゼン;を与える。
【0250】
ジイミド−ジカルボン酸〔4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ビス(4−トリメリトイミドフェノキシ)ベンゼン、0.7mM〕、0.362gのジアミン〔2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、0.7mM〕、0.25gの塩化カルシウム、0.6mlの亜硫酸トリフェニル、0.6mlのピリジン、及び3.0mlのNMPの混合物を、アルゴン流中で100℃で約2時間撹拌しながら加熱する。冷却後、反応混合物を一定に撹拌しながら多量のメタノール中へ注入し、沈澱物を形成し、それを熱水及びメタノールで完全に洗浄し、フィルター上に収集し、真空中で100℃で24時間乾燥し、重合体主鎖にヘテロダイヤモンドイド成分を含む純粋なポリアミド−イミドを与える。
【0251】
窒素ブランケット、機械的撹拌器、及びディーン・スターク・トラップを取付けた反応フラスコ中で、4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ベンゼンジオール(20.5mM)と4,4′−ジフルオロベンゾフェノン(4.468g、20.5mM)との混合物を、35mlのDMAc及び10mlのトルエン中に溶解する。この混合物にKCO(2.969g、21.48mM)を撹拌しながら添加し、還流するまで加熱する。還流は約130℃で約1時間維持し、次にフラスコの温度が約160℃に達するまで(約2時間)反応フラスコからトルエンを徐々に除去する。反応混合物を160℃で10時間維持し、次に周囲温度へ冷却する。重合体溶液をクロロホルムで希釈し、濾過して無機塩を除去し、酸性化し、次にメタノール中へ入れて沈澱させる。生成物を濾過し、約120℃で真空中で乾燥し、ホモポリマーを与える。
【0252】
例59
求核芳香族置換による4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ベンゼンジオール及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンからの共重合
溶媒としてDMAc又はテトラメチレンスルホン(スルホラン)を用いて、異なったモル比のコモノマー〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ベンゼンジオール〕を用いて共重合を行う。例えば、4−(1−ヘテロダイヤモンドイドイル)−1,3−ベンゼンジオール(10.25mM)及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(10.25mM)、及び4,4′−ジフルオロベンゾフェノン(4.468g、20.5mM)を、窒素ブランケット、機械的撹拌器、及びディーン・スターク・トラップを取付けた反応フラスコ中で35mlのDMAc及び10mlのトルエン中に溶解することができる。この混合物にKCO(2.969g、21.48mM)を、撹拌及び還流するまで加熱しながら添加する。還流を約130℃で約1時間維持した後、反応フラスコからトルエンを、フラスコの温度が約160℃に達するまで(約2時間)徐々に除去する。反応混合物を160℃で10時間維持し、次に周囲温度へ冷却する。重合体溶液をクロロホルムで希釈し、濾過して無機塩を除去し、酸性化し、次にメタノール中へ入れて沈澱させる。生成物を濾過し、真空中約120℃で乾燥し、共重合体を与える。もしスルホランを溶媒として用いれば、共重合体はメタノールでソックスレー抽出し、溶媒及び塩を不溶性重合体から除去する。
【0253】
例60
陰イオン性開環共重合による3−ベンジルオキシプロピルマロラクトネート及びエチルヘテロダイヤモンドイドイルマロラクトネートからポリ(リンゴ酸3−ベンジルオキシプロピル−co−リンゴ酸エチルヘテロダイヤモンドイドイル)(85/15)
フラスコに、窒素中、3−ベンジルオキシプロピルマロラクトネート(85モル%)、エチルヘテロダイヤモンドイドイルマロラクトネート(15モル%)、及び安息香酸テトラエチルアンモニウム(コモノマーの全モル数の1モル当たり10−3当量、陰イオン性開環共重合の開始剤として働く)の混合物を入れる。次に混合物を充分撹拌し、窒素雰囲気中37℃へ暖め、この温度に15日間維持する。共重合反応が完了した後、共重合体を収集し、少量の水、エタノールで洗浄し、真空中で約24時間乾燥する。
【0254】
例61
ヘテロダイヤモンドイドイルフェノールのアルコレートからフェニルヘテロダイヤモンドイド変性PEG[ポリ(エチレングリコール)]
15mlのジクロロメタン中にポリ(エチレングリコール)(PEG、1mM)を入れた撹拌溶液に、1mlのトリエチルアミンを添加する。この溶液を窒素雰囲気中氷浴中で冷却する。次に1gの塩化4−トルエンスルホニル(5.2mM)を添加する。反応を0℃で2時間継続し、次に混合物を室温で一晩撹拌する。生成物をジエチルエーテル中で沈澱させる。エタノールにより更に再結晶化を行い、反応中に形成された塩化トリエチルアンモニウムを除去し、純粋なPEGトシレートを与える。
【0255】
窒素雰囲気中で、70mlの新しく蒸留したジクロロメタン中にヘテロダイヤモンドイドイルフェノール(4mM)を溶解したものを、30mlの蒸留ジクロロメタン中に0.24gの水素化ナトリウムを懸濁したものへ滴下する。溶液を室温で2時間撹拌した後、50mlのジクロロメタン中にPEGトシレート(僅かに過剰)を溶解したものを添加する。反応混合物を40℃で24時間保持する。得られた重合体をエチルエーテル中で沈澱させ、エタノールにより再結晶化し、4℃で保存する。
【0256】
例62
可能な薬剤送出目的のためのヘテロダイヤモンドイド含有水溶性ポリ(エチレングリコール)(PEG)
人間生物学では、ホスト・ゲスト相互作用は非常に重要な過程である。医薬の水溶性は、生きた組織中でのそれらの医学的効果を決定するのに重要な因子である。医薬効果を向上させるために、ポリ(エチレングリコール)(PEG)を、それらのOH末端基(単数又は複数)の所をヘテロダイヤモンドイド炭化水素化合物により変性することができる。これらの疎水性基は、PEG重合体鎖中に形成された「空洞(cavities)」中の他の基とのそれらの潜在的に強い相互作用に基づいて選択することができ、それにより水に対する溶解度が低い医薬の送出を助けることができる。その例が図28に示されている。
【0257】
例63
ナノリトグラフのための炭素に富む重合体
マイクロエレクトロニクス装置の小型化が急速に進み、193nmのマイクロリトグラフのための新しい影像可能な重合体材料を開発することが必要になっている〔半導体のための国内技術分布地図(The National Technology Roadmap for Semiconductors)、Semiconductor Industry Association (SIA), San Jose, Ca, 1997〕。193nmレジスト材料のための設計課題は、プラズマ・エッチング抵抗(重合体構造中の大きな炭素/水素比を必要とする)と、リトグラフ性能のための光学的性質との妥協である。
【0258】
図29は、化学的増幅のための影像可能な官能基(t−ブチルエステル)と、高エッチング抵抗性部分(テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン等に基づくヘテロダイヤモンドイド)との両方を配合した炭素に富むシクロポリマーの構図を示している。湿潤性及び接着性のような重合体の物理的性質を調節するため、広い範囲の共重合体を製造することができる。これは、D.パシニ(Pasini)、E.ロー(Low)、及びJ.M.J.フレッチェ(Frechet)によりアダマンタン含有シクロポリマー及び共重合体については可能であることが示されており〔Advanced Materials, 12, 347-351 (2000)〕、これらの材料は優れた影像性を示していた。更に、合成経路には遊離ラジカル重合法が含まれているので、ノルボルネンに基づく重合体の場合のように、下にある半導体基板の金属汚染は問題にならない〔Chemical of Materials, 10, 3319 (1998); 10, 3328 (1998)〕。更に、アダマンタン含有重合体は、高いガラス転移温度(Tg)、高い蒸着温度(Td)、及び良好なフイルム形成性を示す。ヘテロダイヤモンドイドに基づく重合体は、更に一層良好な性質を持つと予想されるであろう。
【0259】
例64
ヘテロダイヤモンドイドビスフェノールに基づく可溶性ヘテロダイヤモンドイド含有ポリエステル
ビスフェノールと、イソ/テレフタル酸とから誘導されたポリアクリレートは、高度に熱安定性の材料として充分許容されている。しかし、ポリアクリレートは、それらが堅い構造を持つため、それらの有機溶媒に対する溶解度が低く、高い溶融温度又は高いTgを持つため、一般に処理しにくい。アダマンチル基のような嵩張った懸垂カルド基を重合体主鎖中に組込むと、芳香族ビスフェノールを含む重合体と比較して、重合体の熱的性質を向上させる結果になることが報告されている。この種の重合体の一例として図26はそのようなポリエステルの設計を示している。
【0260】
例65
ヘテロダイヤモンドイドジアミンに基づく可溶性ヘテロダイヤモンドイド含有ポリアミド
芳香族ポリアミドは、それらの温度抵抗及び機械的強度が高いため、多くの関心を集めている。しかし、それらは有機溶媒に対する溶解度が低く、ガラス転移温度又は溶融温度が高いことから生ずる処理の困難性のため、ポリアミドの適用は限定されている。ポリアミドの溶解度及び処理性を、それらの熱安定性を犠牲にすることなく増大する数多くの成功した方法は、重合体主鎖中に可撓性又は非対称性結合基を導入するか、懸垂基のような嵩張った置換基を重合体主鎖中に組込むことを用いている。重合体の鎖間の相互作用は、嵩張った懸垂基を導入することにより減少し、重合体の溶解度を改良する結果を与えることができる。一般に、懸垂基を組込むと、一般的有機溶媒に対する溶解度は増大した無定形材料を与える結果になる。
【0261】
図27は、ポリアミド主鎖中にヘテロダイヤモンドイド基を組込んだこの設計の一例を与えている。
【0262】
例66
ヘテロダイヤモンドイドジアミンに基づく可溶性ヘテロダイヤモンドイド含有ポリイミド
優れた熱・酸化安定性及び優れた化学的耐久性のような芳香族ポリイミドの優れた性質により、エレクトロニクスのための絶縁材料、ガス分離のための半透膜、及び高温接着剤及び被覆のような多くの用途でポリイミドが用いられるようになってきている〔J.M.ソネット(Sonnett)、T.P.ガネット(Gannett)、「ポリイミド:基礎及び応用」(Polyimides: Fundamental and Applications)、M.K.ゴーシュ(Ghosh)及びK.L.ミッタル(Mittal)編集、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、1996〕。しかし、一般に、芳香族ポリイミドは不溶性で扱いにくく、極端な条件でしか処理することができない。これらの処理問題を解決するため、ヘテロダイヤモンドイド基を、ポリイミド重合体主鎖中に入れ(図28)、またポリアルパルトイミド中に入れる(図29)ことができる。
【0263】
例67
ヘテロダイヤモンドイドジアミド−ジカルボン酸及びジアミンに基づく可溶性ヘテロダイヤモンドイド含有ポリアミド−イミド
芳香族ポリイミドは、長い操作期間中でも、それらの顕著な熱的及び酸化安定性及びそれらの優れた電気的及び機械的性質のため、高性能の材料の部類のものとして認識されている。残念ながら、ポリイミド鎖とそれらの堅い構造との間の強い相互作用は、それらを扱いにくくしている。熱可塑的流動性及び溶解性が良くないことが、ポリイミドの広い用途にとって主要な問題である。一方、ポリアミドは、ポリエーテルイミドのように、良好な溶解性及び処理性の利点を有する。従って、ポリアミド−イミド又はポリエーテルイミドは、ポリイミドの利点(例えば、高温安定性)及びポリアミドの利点(例えば、良好な処理性)の両方を一緒にした最も有用な材料になるかも知れない。ダイヤモンドイド炭化水素の利点と組合せて、我々は、重合体鎖中にヘテロダイヤモンドイド基を含むポリアミド−イミドの設計例を与える(図30)。重合反応で含有させたジアミンは、図29に示したように、ヘテロダイヤモンドイドジアミンになるか、又は他の芳香族ジアミンになることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0264】
【図1】図1は、4つのテトラマンタンの番号付けを示し、代表的第二級、第三級、及び第四級炭素原子を指示している。
【図2】図2は、ヘテロダイヤモンドイドの合成が可能であることを例示するコンピューターモデル作成計算例を示す表及び図である。
【図3】図3は、酸素ヘテロ原子をダイヤモンドイド中へ組込むための反応経路を例示する図である。
【図4】図4は、酸素ヘテロ原子をダイヤモンドイド中へ組込むための反応経路を例示する図である。
【図5】図5は、酸素ヘテロ原子をダイヤモンドイド中へ組込むための反応経路を例示する図である。
【図6】図6は、硫黄ヘテロ原子をダイヤモンドイド中へ導入するための経路を例示する図である。
【図7】図7は、窒素ヘテロ原子をダイヤモンドイド中へ導入するための経路を例示する図である。
【図8】図8は、窒素ヘテロ原子をダイヤモンドイド中へ導入するための経路を例示する図である。
【図9】図9は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図10】図10は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図11】図11は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図12】図12は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図13】図13は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図14】図14は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図15】図15は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図16】図16は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図17】図17は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図18】図18は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図19】図19は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図20】図20は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図21】図21は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図22】図22は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図23】図23は、ヘテロダイヤモンドイドを官能性化するための代表的経路を例示する図である。
【図24】図24は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図25】図25は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図26】図26は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図27】図27は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図28】図28は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図29】図29は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図30】図30は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図31】図31は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図32】図32は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図33】図33は、ヘテロダイヤモンドイドを含有する代表的重合体及びそれらを製造する経路を例示する図である。
【図34】図34は、ヒドロキシル化アルキルテトラマンタンを含むヒドロキシル化テトラマンタンを含む例2の光ヒドロキシル化混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す図である。
【図35】図35は、例2の反応混合物のTICで、一ヒドロキシル化テトラマンタンの存在を示すm/z308イオンクロマトグラムの図である。
【図36】図36は、GC/MS保持時間を19.438分にした、図35の一ヒドロキシル化テトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。このスペクトルの基礎ピークは、m/z308分子イオンである。
【図37】図37は、例2の反応生成物のTICで、一ヒドロキシル化メチルテトラマンタンの存在を示すm/z322イオンクロマトグラムの図である。
【図38】図38は、GC/MS保持時間を19.998分にした、図37の一ヒドロキシル化メチルテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図39】図39は、例2で製造されたオキサテトラマンタン含有反応混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す図である。
【図40】図40は、例2の反応混合物のTICで、オキサテトラマンタンの存在を示すm/z294イオンクロマトグラムの図である。
【図41】図41は、GC/MS保持時間を17.183分にした、図40のオキサテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図42】図42は、例3のアザホモテトラマンタン−エン−含有反応混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す図である。
【図43】図43は、例3の反応混合物のTICで、アザホモテトラマンタン−エンの存在を示すm/z305イオンクロマトグラムの図である。
【図44】図44は、GC/MS保持時間を18.062分にした、図43のアザホモテトラマンタン−エンの質量スペクトルを示す図である。
【図45】図45は、反応生成物のTICで、アザホモメチルテトラマンタン−エンの存在を示すm/z319イオンクロマトグラムの図である。
【図46】図46は、GC/MS保持時間を18.914分にした、図45のアザホモメチルテトラマンタン−エンの質量スペクトルを示す図である。
【図47】図47は、例3で製造されたエポキシアザホモテトラマンタン含有反応混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す図である。
【図48】図48は、例3の反応生成物のTICで、エポキシアザホモテトラマンタンの存在を示すm/z321イオンクロマトグラムの図である。
【図49】図49は、GC/MS保持時間を21.929にした、図48のエポキシアザホモテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図50】図50は、例3の反応生成物のTICで、エポキシアザホモメチルテトラマンタンの存在を示すm/z335イオンクロマトグラムの図である。
【図51】図51は、GC/MS保持時間を21.865分にした、図50のエポキシアザホモメチルテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図52】図52は、例3のN−ホルミルアザテトラマンタン含有反応混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す図である。
【図53】図53は、例3の反応生成物のTICで、N−ホルミルアザテトラマンタンの存在を示すm/z321イオンクロマトグラムの図である。
【図54】図54は、GC/MS保持時間を21.826分にした、図53のN−ホルミルアザテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図55】図55は、例3の反応生成物のTICで、N−ホルミルアザメチルテトラマンタンの存在を示すm/z335イオンクロマトグラムの図である。
【図56】図56は、GC/MS保持時間を21.746分にした、図55のN−ホルミルアザメチルテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図57】図57は、例3で製造されたアザテトラマンタン含有反応混合物の全イオンクロマトグラム(TIC)を示す図である。
【図58】図58は、例3で示した反応生成物のTICで、アザテトラマンタンの存在を示すm/z293イオンクロマトグラムの図である。
【図59】図59は、GC/MS保持時間を19.044分にした、アザテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図60】図60は、例3の反応生成物のTICで、アザメチルテトラマンタンの存在を示すm/z307イオンクロマトグラムの図である。
【図61】図61は、GC/MS保持時間を22.936分にした、アザメチルテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。
【図62】図62は、例3の反応生成物のTICで、アザジメチルテトラマンタンの存在を示すm/z321イオンクロマトグラムの図である。
【図63】図63は、GC/MS保持時間を22.742分にした、図62のアザジメチルテトラマンタンの質量スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアマンタン又はそれより高級のダイヤモンドイド核から選択されたダイヤモンドイド核で、その炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子により置換されたダイヤモンドイド核を含むヘテロダイヤモンドイド。
【請求項2】
ダイヤモンドイド核中の少なくとも一つの第二級炭素がヘテロ原子により置換されている、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項3】
ダイヤモンドイド核中の少なくとも一つの第三級炭素がヘテロ原子により置換されている、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項4】
一つのヘテロ原子を含む、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項5】
一つより多くのヘテロ原子を含む、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項6】
二つ以上の異なったヘテロ原子を含む、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項7】
少なくとも一つのヘテロ原子が、独立に、元素周期表の第IIIB族、非C第IVB族、第VB族、及び第VIB族原子から選択されている、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項8】
少なくとも一つのヘテロ原子が、独立に、次の原子:Se、As、B、Al、Si、N、P、O、及びS;からなる群から選択されている、請求項7に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項9】
ダイヤモンドイド核がトリアマンタン核である、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項10】
ダイヤモンドイド核が高級ダイヤモンドイド核である、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項11】
炭素原子と置換するヘテロ原子の少なくとも一つが、電子供与性ヘテロ原子である、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項12】
電子供与性ヘテロ原子が、第VB族元素である、請求項11に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項13】
電子供与性ヘテロ原子が、窒素、燐、及び砒素からなる群から選択されている、請求項11に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項14】
アザ−ダイヤモンドイドである、請求項11に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項15】
電子供与性ヘテロ原子が、ダイヤモンド格子中でsp混成されている、請求項11に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項16】
炭素原子に置換するヘテロ原子の少なくとも一つが、電子吸引性ヘテロ原子である、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項17】
電子吸引性ヘテロ原子が、第IIIB族元素である、請求項16に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項18】
電子吸引性ヘテロ原子が、硼素及びアルミニウムからなる群から選択されている、請求項17に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項19】
電子吸引性元素が硼素である、請求項18に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項20】
電子吸引性ヘテロ原子が、ダイヤモンド格子の置換位置を占める、請求項16に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項21】
電子吸引性ヘテロ原子が、ダイヤモンド格子中でsp混成されている、請求項16に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項22】
アザ−ダイヤモンドイドを合成する方法において、
a) トリアマンタン及び高級ダイヤモンドイドから選択されたダイヤモンドイドをヒドロキシ−ダイヤモンドイドへ転化すること、
b) 前記ヒドロキシ−ダイヤモンドイドからアザ−ホモダイヤモンドイド−エンを製造すること、
c) 前記アザ−ホモダイヤモンドイド−エンからエポキシアザ−ホモダイヤモンドイドを製造すること、及び
d) 前記エポキシアザ−ホモダイヤモンドイドからアザ−ダイヤモンドイドを製造すること、
を含む合成方法。
【請求項23】
アザ−ダイヤモンドイドを合成する方法において、
a) トリアマンタン及び高級ダイヤモンドイドから選択されたダイヤモンドイドをケト−ダイヤモンドイドへ酸化すること、
b) 前記ケト−ダイヤモンドイドからフラグメント化ダイヤモンドイド−エンカルボン酸を製造すること、
c) 前記フラグメント化ダイヤモンドイド−エンカルボン酸からフラグメント化酢酸ダイヤモンドイド−エンを製造すること、
d) 前記フラグメント化酢酸ダイヤモンドイド−エンを還元することによりフラグメント化ヒドロキシ−ダイヤモンドイド−エンを製造すること、
e) 前記フラグメント化ヒドロキシ−ダイヤモンドイド−エンを酸化することによりフラグメント化ケト−ダイヤモンドイド−エンを製造すること、
f) 前記フラグメント化ケト−ダイヤモンドイド−エンからフラグメント化ダイヤモンドイド=N−OH−エンを製造すること、
g) 前記フラグメント化ダイヤモンドイド=N−OH−エンからアザ−ダイヤモンドイドを製造すること、
を含む合成方法。
【請求項24】
ヘテロダイヤモンドイドを製造する方法であって、
a) 石油供給原料からトリアマンタン及び高級ダイヤモンドイドから選択されたダイヤモンドイドを分離すること、
b) 前記ダイヤモンドイドを、ダイヤモンド結晶格子点に電子供与性ヘテロ原子を置換配置することによりヘテロダイヤモンドイドへ転化すること、
を含む製造方法。
【請求項25】
ヘテロダイヤモンドイドを製造する方法であって、
a) 石油供給原料からトリアマンタン及び高級ダイヤモンドイドから選択されたダイヤモンドイドを分離すること、
b) 前記ダイヤモンドイドを、ダイヤモンド結晶格子点に電子吸引性ヘテロ原子を置換配置することによりヘテロダイヤモンドイドへ転化すること、
を含む製造方法。
【請求項26】
ヘテロダイヤモンドイド核から懸垂した一つ以上の共有結合した官能基を有する、請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイドを含む官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項27】
ヘテロダイヤモンドイド核から懸垂した一つ以上の共有結合した官能基を有する、請求項8に記載のヘテロダイヤモンドイドを含む官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項28】
ヘテロダイヤモンドイド核から懸垂した一つ以上の共有結合した官能基を有する、請求項10に記載のヘテロダイヤモンドイドを含む官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項29】
一つ以上の官能基が、ハロ、チオ、オキシド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロゲン化スルホニル、スルホネート、ホスフィン、付加アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールからなる群から選択された、置換又は置換されていない基を含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項30】
一つ以上の官能基がハロを含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項31】
一つ以上の官能基がヒドロキシドを含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項32】
一つ以上の官能基がオキシドを含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項33】
一つ以上の官能基がナイトレートを含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項34】
一つ以上の官能基が、ハロアルキル;ハロアルケニル;ハロアルキニル;ヒドロキシアルキル;ヘテロアリール;アルキルチオ;アルコキシ;アミノアルキル;アミノアルコキシ;ヘテロシクロアルコキシ;シクロアルキルオキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;−C(O)Z(式中、Zは、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールである);−COZ;−RCOZ(式中、Rは、アルケニル、アミノアルケニル、又はハロアルケニルであり);−RCOOZ;−OSOH;NH;NHR′;NR′R″;及びNR′R″R″′(式中、R′、R″、及びR″′は、独立に、アルキル、チオ、チオアルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである);RNHCOR(式中、Rは、CH、OCH、NHCH、CHCH、及びOCHCHからなる群から選択され、Rはアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、及びヘテロアラルキルからなる群から選択される);及びR10CONHR11(式中、R10は、CH、OCH、NHCH、CHCH、及びOCHCHからなる群から選択され、R11は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、及びヘテロアラルキルからなる群から選択される)からなる群から選択された基を含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項35】
一つ以上の官能基が、重合可能な官能基を含む、請求項26に記載の官能性化ヘテロダイヤモンドイド。
【請求項36】
個々の分子としての請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。
【請求項37】
結晶としての請求項1に記載のヘテロダイヤモンドイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【公表番号】特表2006−506334(P2006−506334A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523563(P2004−523563)
【出願日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/022483
【国際公開番号】WO2004/009577
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】