説明

ベアリング

【課題】外周側と内周側の部材をボルトにより軸線方向に対象物に取り付けた場合に、締結による変形が抑制されて剛性、トルク、寿命に関する信頼性の低下が抑制されるベアリングを提供する。
【解決手段】ベアリング1は、外輪10と、内輪20と、外輪10と内輪20の間に形成される2列以上の軌道空間30に転動自在に配設されるローラ40とを備えるベアリング1であって、外輪10、内輪20に形成されるボルト穴15、25は、座ぐり面18、28から対象物W1、W2との取付面10T、20Tまでの距離をL1とし、取付面に最も近接して配設されるローラ40の中心から取付面10T、20Tまでの距離をL2とした場合に、L1≦L2とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸線周りに相対的に回転可能とされるとともに内周側と外周側に配置される部材のうち少なくともいずれか一方が対象物にボルトにより締結されるベアリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように回転する対象物を支持するために、内周側と外周側に配置された部材が軸線周りに相対的に回転するように構成された転がり軸受(以下、ベアリングという)が広く一般に使用されている。
【0003】
ベアリングは、例えば、転動体の種類により玉軸受、ころ軸受に分類されるとともに、それぞれラジアル力、スラスト力を受けるための構成により種々の設定がされている。
また、ラジアル力とスラスト力との合成力を受けるためのベアリングとして、例えば、特許文献1に示されるような内周側に配置される部材と外周側に配置される部材の間に形成された軌道空間にベアリングの回転軸線の一方側に向かって径方向内方に45°傾斜させた転動体と、径方向外方に45°傾斜させた転動体が交互に配置されたクロスローラベアリングやアンギュラベアリングがある。
また、アンギュラベアリングやクロスローラベアリングには、複数(例えば、2列の軌道空間を形成することにより配設する転動体の数を増加させて支持可能な荷重を増加させたものがある。
【0004】
図10に示したのは、2列の軌道空間を有するアンギュラベアリングの例であるが、アンギュラベアリング(ベアリング)100は、外輪110と内輪120と、外輪110と内輪120の間に周方向に形成される軌道空間130に配設されるローラ(転動体)140とを備えている。
軌道空間130は、軸線O方向に並列配置される2列の軌道空間からなり、軌道空間130にはそれぞれローラ140が配設されていて、ローラ140はベアリング100の軸線O方向における中央側が、軸線Oに近づく方向にそれぞれ軸線Oに対して45°傾斜して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4906113号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図10に示すように、ボルトB11、B12を用いてベアリング100を対象物W1、W2に取付けると、例えば、ボルトB11の締め付けにより矢印S1、S2方向の歪変形が発生し、ボルトB12の締め付けにより矢印S3、S4方向の歪変形が発生する。その結果、軌道空間130に変形が生じてラジアル隙間が小さくなりローラ140のスムースな回転が妨げられてベアリング100の剛性、トルク、寿命に関する信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、ベアリングを構成する外周側と内周側の部材をボルトにより軸線方向に対象物に取り付けた場合に、締結による変形が抑制されてベアリングの剛性、トルク、寿命に関する信頼性の低下が抑制されるベアリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明に係るベアリングは、外周側に配置される外輪と、該外輪の内周側に配置され、前記外輪との間に周方向に形成される少なくとも2列以上の軌道空間を形成する内輪と、前記軌道空間に転動自在に配設される複数個の転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより前記外輪と前記内輪とが軸線周りに相対的に回転可能とされるベアリングであって、前記外輪と前記内輪の少なくともいずれか一方には座ぐり部を有するボルト穴が前記軸線方向に形成され、前記座ぐり部は、座ぐり面から前記ボルト穴を介して締結される対象物との取付面までの前記軸線方向の距離をL1とし、前記取付面に最も近接して配設される転動体の前記軸線方向の中心から前記取付面までの前記軸線方向の距離をL2とした場合に、L1≦L2とされることを特徴とする。
【0009】
この発明に係るベアリングによれば、取付面に対するボルト穴の座ぐり面の距離L1が、取付面に最も近接して配列される転動体の軸線方向の中心までの距離L2以下とされているので、ボルト穴に挿入したボルトを締結した場合に座ぐり面周辺の軸線方向の変形やボルト穴周辺の横弾性変形等が発生しても、取付面から座ぐり面以上に離間した位置に中心を有する転動体が配設される軌道空間に変形の影響が及ぶのが抑制され、その結果ラジアル隙間の変化が抑制される。
すなわち、上記構成において軸線方向の変形や横弾性変形等の影響により最もラジアル隙間が変化しやすい位置にある取付面に最も近接して形成された軌道空間に対しても横弾性変形の影響が抑制されるため、転動体が配設される軌道空間が複数形成されている場合であっても、取付面からの距離がより大きい軌道空間には変形の影響がさらに及び難くラジアル隙間の変化が抑制される。
その結果、ボルト締結によるベアリングの回転に対する影響を抑制して安定した回転を確保することができる。
【0010】
また、前記外輪に形成されたボルト穴と前記内輪に形成されたボルト穴とは、相反する方向に向けて形成され、それぞれのボルト穴の座ぐり部が、L1≦L2とされていてもよい。
【0011】
また、前記ボルト穴は、下穴長さL3≧下穴直径Dに形成されていてもよい。
ボルト穴の下穴の長さL3が下穴直径D以上に形成されている場合、座ぐり部周辺に軸方向に十分な耐力を確保することが可能とされ、ボルト締結により座ぐり部が座屈することが抑制される。
その結果、座ぐり面周辺の軸線方向の変形を抑制するとともに座ぐり面と取付面の間の変形を抑制しベアリングの安定した回転を確保することができる。
【0012】
また、前記取付面に当接する取付部は、前記ボルト穴の中心を挟んで前記軸線を中心とする径方向の内周側と外周側の幅が同一に形成されていてもよい。
【0013】
対象物の取付受面と当接するベアリングの取付面が、ボルト穴の中心を挟んでベアリングの径方向に同じ幅に形成されている場合、ボルト締結によりボルト穴周辺に作用する力がベアリングの径方向の内周側と外周側において同等となりで主として圧縮力として作用するため、ボルト締結によってボルト穴周辺にベアリングの径方向への変形が生じることが抑制されてベアリングの安定した回転を確保することができる。
【0014】
また、前記取付部は、前記軸線を中心とする径方向の内周側と外周側のいずれか一方に前記幅を同一とするための逃し形状が形成されていてもよい。
取付面に逃げ部を形成することにより幅を同一とするので、外輪、内輪と対象物との取付性の低下が抑制されるとともに、容易に同一幅を形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ボルト締結によるラジアル隙間の変化を抑制することによりベアリングの回転を安定させ、剛性、トルク、寿命に関する信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るベアリングの一部を断面とした斜視図である。
【図2】図1の断面部分を詳細に示した斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るベアリングの軸線を含む縦断面図であり、(A)は、概略図であり、(B)は詳細を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係るベアリングの別の実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係るベアリングの別の実施形態を示す図である。
【図6】内輪の座ぐり部周辺の変形を評価した結果であり、(A)は従来形式を、(B)は取付面を同幅とした場合を、(C)は座ぐり面を深くした場合を示している。
【図7】外輪の座ぐり部周辺の変形を評価した結果であり、(A)は従来形式を、(B)は取付面を同幅とした場合を、(C)は座ぐり面を深くした場合を示している。
【図8】ボルト締め付けによるベアリングの軸線方向の変形を示す図であり、(A)は従来形式を、(B)は座ぐり面を深くした場合を示している。
【図9】ボルト締め付けによるベアリングの径方向の変形を示す図であり、(A)は従来形式を、(B)は座ぐり面を深くした場合を示している。
【図10】従来のアンギュラベアリングの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の第1の実施形態であるベアリングについて、図1〜図9を参照して説明する。
この実施形態のベアリング1は、図1、図2に示すように、2列のローラが配設された複列アンギュラローラベアリングであり、外周側に配置される外輪10と、外輪10の内周側に配置される内輪20と、外輪10と内輪20との間に周方向に形成される2列の軌道空間30に転動自在に配設される複数個のローラ(転動体)40とを備え、ローラ40が転動することにより外輪10と内輪20とがベアリング1の軸線O1周りに相対的に回転可能とされている。
軌道空間30は、第1の軌道空間31と第2の軌道空間32とを備えており、第1の軌道空間31と第2の軌道空間32は軸線O1方向に並んで配置されている。
【0018】
ローラ40は、第1の軌道空間31に配設されるローラ41と、第2の軌道空間32に配設されるローラ42とを備えており、ローラ41、42は、それぞれの軸線O2、O3周りに回転自在とされており、軸線O2、O3は、軸線O1方向のベアリング1の中央側が軸線O1に近接するように配置されている。
なお、転動体の軸線O1方向の中心とは、このローラ40では、軸線O1方向におけるローラ41、42の軸線O2、O3方向の中央の位置を指している。
【0019】
外輪10は、両端面が平坦な環状に形成され軸線O1を含む断面が略矩形とされ内周側の面には第1の軌道空間31と第2の軌道空間32の外周部分を構成する軌道溝31A、32Aが形成されている。
軌道溝31A、32Aは、それぞれ軸線O1を含む断面が外輪10の内周面11を底辺とし底辺の中央に向かって45°の傾斜で拡径する直角二等辺三角形に形成されていて、軌道溝31A、32Aの軸線O1方向中央側において外輪10に形成される面はローラ40の周面と接触するように構成されている。
【0020】
内輪20は、外輪10の内周側に配置可能とされる外形を有し、両端面が平坦な環状に形成され軸線O1を含む断面が略矩形とされ外周側の面には第1の軌道空間31と第2の軌道空間32の内周部分を構成する軌道溝31B、32Bが形成されている。
軌道溝31B、32Bは、それぞれ軸線O1を含む断面が内輪20の外周面21を底辺とし底辺の中央に向かって45°の傾斜で縮径する直角二等辺三角形に形成されていて、軌道溝31B、32Bの軸線O1方向中央側において内輪20に形成される面はローラ40の周面と接触するように構成されている。
【0021】
また、外輪10には、軸線O1方向に形成されたボルト穴15が外輪10の軸線O1を中心とする円周上に複数配置されており、内輪20には、軸線O1方向に形成されたボルト穴25が内輪20の軸線O1を中心とする円周上に複数配置されている。
ボルト穴15、25は、図3に示すように、下穴16、26に座ぐり部17、27が形成された構成とされており、座ぐり部17、27の下穴16、26側は座ぐり面18、28とされている。
【0022】
また、外輪10を対象物W1に取り付ける場合に対象物W1の取付受面W11と当接する取付面10Tは径方向の幅がX(=X1+X2)とされ、ボルト穴15の中心を基準とした場合に、軸線O1を中心とする径方向の外周側の幅X1と内周側の幅X2が同一になるように取付面10Tの内周側に逃げ部10Eが形成されている。
【0023】
また、内輪20を対象物W2に取り付ける場合に取付受面W21と当接する取付面20Tは径方向の幅がY(=Y1+Y2)とされ、ボルト穴25の中心を基準とした場合に、軸線O1を中心とする径方向の外周側の幅Y1と内周側の幅Y2が同一になるように取付面20Tの外周側に逃げ部20Eが形成されている。
【0024】
また、ボルト穴15、25は、座ぐり面18、28から対象物W1、W2の取付面10T、20Tまでの軸線O1方向の距離をL1とし、取付面10T、20Tに最も近接して配設される第2の軌道空間32に配設されるローラ42の軸線O1方向の中心から取付面10T、20Tまでの軸線O1方向の距離をL2とした場合に、L1≦L2と、されている。
【0025】
ボルト穴15、25の座ぐり面18、28の位置は、それぞれ取付面10T、20Tから異なる距離としてもよいが、この実施形態においては、ボルト穴15、25の座ぐり面18、28の位置は、取付面10T、20Tから同一の距離L1に形成されている。
また、この実施形態では、ボルト穴15、25の周囲が取付面10T、20Tとされていて取付受面W11、W21と当接可能とされているので、下穴16、26の長さL3は、座ぐり面18、28から取付面10T、20Tまでの距離L1と同一とされており、下穴長さL3と下穴直径Dとの関係は、下穴長さL3≧下穴直径Dに形成されている。
【0026】
その結果、ボルト穴15、25にボルトを挿入して、対象物W1、W2に締結した場合に、座ぐり部17、27の周辺に軸線O1方向に十分な耐力が確保可能とされ、ボルト締結による座ぐり部17、27に座屈が発生するのが抑制されるようになっている。
【0027】
なお、この実施形態において、ボルト穴15、16は取り付けられる対象物W1、W2がベアリング1の同じ側に配置される場合について形成されているが、図4に示すように対象物W1、W2がベアリング1を挟んで反対側となるように、内輪20のボルト穴25Aを形成してもよい。
【0028】
軌道空間及び転動体については、上記実施形態のほか、例えば、図5(A)から(C)に示すような形態としてもよい。
図5(A)は、外輪10Bと内輪20Bの間に形成された2列の軌道空間30Bにクロスローラ40Bが配列されている。この場合の、ボルト穴15B、25Bの座ぐり面及びクロスローラ40Bから取付面までの距離とは、図5(A)に示すとおりである。
【0029】
また、図5(B)は、外輪10Cと内輪20Cの間に形成された2列の軌道空間30Cボール40Cが配設されている。この場合の、ボルト穴15C、25Cの座ぐり面及びボール40Cから取付面までの距離とは、図5(B)に示すとおりである。
【0030】
図5(C)は、外輪10Dの軸線O1方向の中央部に径方向内周側に伸びる小径部12Dが形成され、小径部12Dの内周面に軸線O1と平行な軸線O4周りに回転するローラ43Dが配置され小径部12Dの軸線O1方向の両端面に軸線O1と直交し軸線O1方向に伸びる軸線O5、O6周り回転するローラ41D、42Dが配置され、ローラ41D、42D、43Dを挟んで内輪20Dが配置されている。
この場合の、取付面に最も近接するローラとは、ボルト穴15Dに関しては42Dが、ボルト穴25Dに関しては41Dが該当し、その場合のローラ41D、42Dの軸線O1方向の距離L2とは、それぞれ軸線O5、O6を基準として構成される。
【0031】
上記実施の形態に係るベアリング1によれば、座ぐり面18、28から取付面10T、20Tまでの距離L1が、軸線O1方向のローラ40の中心までの距離L2以下とされているので、ボルトを締結した場合に座ぐり面18、28周辺の変形等が発生しても、軌道空間30に変形の影響が及ぶのが抑制されてラジアル隙間の変化が抑制される。
その結果、ボルト締結によるベアリングの回転に対する影響を抑制して安定した回転を確保することができる。
【0032】
また、取付面10T、20Tがボルト穴の中心を基準として軸線O1を中心とする径方向の外周側と内周側において同一の幅に形成されているので、ボルト締結によりボルト穴15、25周辺に作用する力が内周側と外周側で同等となって主として圧縮力として作用するため、ボルト締結によってボルト穴15、25周辺に径方向の変形が生じることが抑制される。
【0033】
以上説明したように、ベアリング1によれば、ボルト締結によるラジアル隙間の変化が抑制されるので、ベアリング1の回転を安定させることができ、その結果、ベアリング1の剛性、トルク、寿命に関する信頼性を確保することができる。
【0034】
以下、この発明の効果の検証結果について説明する。
図6は外輪について、図7は内輪についての、ボルト締め付けによる座ぐり部周辺の変形を有限要素法により評価した結果であり、(A)、(B)、(C)は、それぞれ従来形式、取付面の内周側と外周側を同幅とした場合、座ぐり面を深くした場合を示している。
【0035】
図6によると、外輪のボルト締め付けによる座ぐり部周辺の軸線方向の変形は、(A)の従来形式と(B)の取付面を同幅とした場合ではあまり差異は見られないが、(C)の座ぐり面を深くした場合には座ぐり部の内外周側において変形がほとんど発生しないことが確認された。
【0036】
また、図7によると、内輪のボルト締め付けによる座ぐり部周辺の軸線方向の変形は、(A)の従来形式を100とした場合に、(B)の取付面を同幅とした場合が約80、(C)の座ぐり面を深くした場合が約40であり、内輪における軸線方向の変形が大幅に改善されることが確認された。したがって、ベアリングの小径側においてより効果が大きいことがわかる。
【0037】
図8は、ボルト締め付けによるベアリングの軸線方向の変形をベアリングの平面度により示す図であり、(A)は従来形式を、(B)は座ぐり面を深くした場合を示している。
図8によると、(A)の従来形式では周方向において多くの凹凸が発生しているのが(B)の座ぐり面を深くした場合には形成される山が2つまで減少しており、平面度に関しても(A)の従来形式では0.0039であったのが(B)座ぐり面を深くした場合には0.0028と、28%改善することが確認された。
【0038】
図9は、ボルト締め付けによるベアリングの径方向の変形をベアリングの真円度により示す図であり、(A)は従来形式を、(B)は座ぐり面を深くした場合を示している。
図9によると、真円度は、(A)の従来形式で0.019であったのが(B)座ぐり面を深くした場合には0.014と、26%改善することが確認された。
【0039】
以上、本発明の実施形態であるベアリングについて説明したが、上記の実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施の形態においては、ベアリング1がローラ40を配設する軌道空間30が2列形成されている場合について説明したが、軌道空間の数は任意に設定してもよい。
また、外輪10と内輪20の双方にボルト穴15、25が形成されていて、それぞれの座ぐり部17、27が深く形成される場合について説明したが、いずれか一方のボルト穴15、25の座ぐり部17、27のみを深く形成する構成としてもよい。
【0041】
また、取付受面W11、W21と当接する取付面10T、20Tがボルト穴15、25を挟んで軸線O1を中心とする径方向の内周側と外周側が同じ幅に形成されている場合について説明したが、内周側と外周側の幅を異なる寸法としてもよい。
【0042】
また、取付面10T、20Tの幅調整に関して、逃げ部10E、20Eを形成することにより取付面10T、20Tの幅を内周側と外周側を同一とする場合について説明したが、例えば、取付面10T、20Tに逃げ部10E、20Eを形成することなく外輪10、内輪20の幅方向の中央にボルト穴15、25の中心を配置する構成としてもよいし、また、取付面10T、20Tの幅が狭い側にフランジ等を形成して拡幅することにより同一幅としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
W1、W2…対象物、 W11、W21…取付受面、 1…ベアリング、 10…外輪、
20…内輪、 30…軌道空間、 40…転動体、 15、25…ボルト穴、 16、26…下穴、 17、27…座ぐり部、 18、28…座ぐり面、 10T、20T…取付面、 X1、Y1…内周側の幅、 X2、Y2…内周側の幅、 10E、20E…逃げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側に配置される外輪と、該外輪の内周側に配置され、前記外輪との間に周方向に形成される少なくとも2列以上の軌道空間を形成する内輪と、前記軌道空間に転動自在に配設される複数個の転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより前記外輪と前記内輪とが軸線周りに相対的に回転可能とされるベアリングであって、
前記外輪と前記内輪の少なくともいずれか一方には座ぐり部を有するボルト穴が前記軸線方向に形成され、
前記座ぐり部は、座ぐり面から前記ボルト穴を介して締結される対象物との取付面までの前記軸線方向の距離をL1とし、前記取付面に最も近接して配設される転動体の前記軸線方向の中心から前記取付面までの前記軸線方向の距離をL2とした場合に、L1≦L2とされることを特徴とするベアリング。
【請求項2】
前記外輪に形成されたボルト穴と前記内輪に形成されたボルト穴とは、相反する方向に向けて形成され、それぞれのボルト穴の座ぐり部が、L1≦L2とされることを特徴とするベアリング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベアリングであって、
前記ボルト穴は、
下穴長さL3≧下穴直径D
に形成されていることを特徴とするベアリング。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のベアリングであって、
前記取付面に当接する取付部は、
前記ボルト穴の中心を挟んで前記軸線を中心とする径方向の内周側と外周側の幅が同一に形成されていることを特徴とするベアリング。
【請求項5】
請求項4に記載のベアリングであって、
前記取付部は、
前記軸線を中心とする径方向の内周側と外周側のいずれか一方に前記幅を同一とするための逃し形状が形成されていることを特徴とするベアリング。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−193859(P2012−193859A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154663(P2012−154663)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【分割の表示】特願2008−171848(P2008−171848)の分割
【原出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】