説明

ベッド

【課題】使用者の転落を防止しながら、使用者が介護を必要とする場合でも、その介護作業を容易に行うことのできる軽便なベッドを提供する。
【解決手段】下部フレーム1上に使用者が横臥可能な床板フレーム2を設けたベッドであり、床板フレーム2は使用者の上半身を支持する起伏可能な上体レスト22を含んで構成される。上体レスト22は、その左右両側がサイドガード22Aとして幅方向中央の主面部22Dに対し使用者側に屈曲可能とされる。又、下部フレーム1と上体レスト22との間には、上体レスト22の主面部22Dに対して両サイドガード22Aを使用者側に屈曲せしめる作動部8が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の転落を防止することのできる安全性の高いベッドに係わり、特に身体機能が衰えた高齢者や身障者がベッドから転落するのを防止しながら、そのような要介護者の介護を容易に行えるようにしたベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横臥した使用者が就寝中に転落するのを防止するために左右両側に安全柵を設けたベッドが一般に広く賞用されているが、これに加えて使用者の上半身を支持する部分が起伏するようにした可動床式のベッドが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
ここに、特許文献1では、下部フレーム(枠体)の左右両側に安全柵としてのベッド枠を設けると共に、下部フレーム上に床板フレームとしてフレームを内蔵した折り曲げ自在なマット体を配置し、その背凭れ部分(上体レスト)が下部フレームに設けたリクライニング機構によって起伏されるようにしている。
【0004】
一方、特許文献2では、起伏する上体レスト(背ボトム)の左右両側に支柱を介して側柵を固設すると共に、その両側柵に補助柵を連結し、係る補助柵がベッドの長手方向に回転もしくはスライドするようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−128796号公報
【0006】
【特許文献2】特開2002−263145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、下部フレーム(枠体)の左右両側に安全柵としてのベッド枠を設けていることから、マット体の背凭れ部分を起立させたとき、使用者の両側にベッド枠が位置しなくなる。このため、背中を起した姿勢では安心感が得られず、身体の自由が利かない身障者などでは、介護者が付き添っていないと横転して椅子形となったベッド上から転落してしまう危険性がある。又、背凭れ部分を倒伏した状態では、ベッド枠が左右両側に位置して使用者を防護するものの、ベッド枠が横臥した使用者の両側に常置されたままでは、使用者が要介護者である場合、係るベッド枠がオムツの交換や衣服の着替えといった介護作業の障害になるという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2は、起伏する上体レスト(背ボトム)の左右両側に側柵を固設していることから、上体レストを起立させたときでも側柵が使用者の両側に位置して使用者の横転、転落を防護することができる。しかし、係る側柵も上体レストを倒伏した状態において使用者の両側に立ちはだかるようになるので、介護者による介護作業に支障を来たすという欠点がある。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は使用者の転落を防止しながら、使用者が介護を必要とする場合でも、その介護作業を容易に行うことのできる軽便なベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るベッドは、
使用者の上半身を支持する部分であって左右両側が幅方向中央の主面部に対し前記使用者側に屈曲可能なサイドガードとされる上体レストと、その両サイドガードを前記主面部に対して屈曲せしめる作動部と、を有することを特徴とする。
【0011】
又、下部フレーム上に使用者が横臥可能な床板フレームを設けたベッドにおいて、
前記床板フレームは使用者の上半身を支持する起伏可能な上体レストを含み、当該上体レストは、その左右両側がサイドガードとして幅方向中央の主面部に対し使用者側に屈曲可能とされ、
前記下部フレームと上体レストとの間には、前記上体レストの主面部に対して前記両サイドガードを使用者側に屈曲せしめる作動部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
加えて、前記作動部は、前記上体レストの主面部に沿って回転自在に支持される回転軸と、前記上体レストの起伏動作に連動して上下方向に旋回する旋回アームとを有し、
前記回転軸には、前記サイドガードに対応する第1クランクアームと、前記旋回アームの先端部に連接する第2クランクアームとが固設され、
前記回転軸は、前記上体レストの起立時に前記第1クランクアームの先端部が前記主面部の移動位置を越えて前記サイドガードの裏面を押圧するよう、前記第2クランクアームが前記旋回アームの先端部に連接されることを特徴とし、好ましくは、前記旋回アームとして、伸縮アクチュエータが用いられることを特徴とする。
【0013】
又、前記作動部は、前記上体レストの倒伏時において両サイドガードの直下となる位置で下部フレームに直立状に設けられる伸縮アクチュエータであることを特徴とする。
【0014】
更に、前記作動部は、前記上体レストの起伏動作に連動して上下方向に旋回する旋回アームを有し、当該旋回アームの先端部が前記上体レストの起立時に前記主面部の移動位置を越えて前記サイドガードの裏面を押圧する構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るベッドによれば、使用者の上半身を支持する上体レストの左右両側が使用者側に屈曲可能なサイドガードとされると共に、その両サイドガードを使用者側に屈曲せしめる作動部を有していることから、サイドガードを曲げ起こして使用者の転落を防止でき、使用者のオムツ交換や衣服を着替えさせる場合にはサイドガードを展開して介護作業を容易に行うことができる。
【0016】
又、上体レストが起伏可能とされていることから、上体レストの起立によって身体の自由が利かない使用者の背中を起こした場合でも、サイドガードを曲げ起こして使用者の横転、転落を防止することができる。
【0017】
加えて、作動部が上体レストの起伏動作に連動して上下方向に旋回する旋回アームを有し、その旋回動作により上体レストの起立時においてサイドガードが屈曲されて使用者の両側に曲げ起こされるようにしてあることから、上体レストの起立時にサイドガードを確実に屈曲せしめて使用者を防護することができ、しかも旋回アームに伸縮アクチュエータを用いることにより、上体レストの倒伏時においてもサイドガードを屈曲させて横臥した使用者の就寝中の転落を防止することが可能となる。
【0018】
又、上体レストの倒伏時において両サイドガードの直下となる位置に伸縮アクチュエータを設ける構成では、伸縮アクチュエータの伸張によりサイドガードを屈曲させて横臥した使用者が就寝中にベッドから転落することを防止でき、必要に応じて伸縮アクチュエータを縮小してサイドガードを展開すれば、介護作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明に係るベッドの構成を詳しく説明する。図1は係るベッドの構成例を示した側面概略図である。図1において、1は下部フレームであり、この下部フレーム1上には使用者Mが横臥できるように展開する床板フレーム2が設けられる。本例において、床板フレーム2は、使用者Mの頭部を支持するヘッドレスト21、使用者Mの頭部を除く上半身(背部)を支持する上体レスト22、使用者Mの臀部及び大腿部を支持する座部レスト23、並びに使用者Mの下腿部を支持する下腿部レスト24に区分されている。その各レスト21〜24は金属板などから成る硬質の板材で、それらにより構成される床板フレーム2上にはマットレス3が着脱自在に配置される。
【0020】
マットレス3は、ヘッドレスト21上に配置されるマット31、上体レスト22上に配置されるマット32、座部レスト23及び下腿部レスト24上に配置されるマット33に切り分けられ、マット33は下腿部レスト24に対してその長さ方向(図1の左右方向)に摺動可能に配置されている。
【0021】
ここに、ヘッドレスト21は下部フレーム1に立てられる支柱11,12の上端に水平状にして固着され、上体レスト22はヘッドレスト21とは連結されず上下方向に旋回して起伏可能とされており、当該上体レスト22と座部レスト23はそれらの底面側境界部分に配される伸縮自在なパンタグラフ状の伸縮リンク機構4により屈曲自在に連結されている。尚、伸縮リンク機構4は、床板フレーム2の幅方向両側に設けられている。
【0022】
又、図1において、5は上体レスト22を起伏させるための起伏装置であり、この起伏装置5は上下方向に旋回可能とされる起伏アーム51と、この起伏アーム51を旋回駆動するアクチュエータ52とにより構成される。起伏アーム51は長辺部51Aと短辺部51Bとを有するL形で、その長辺部51A側が上体レスト22に固着されており、短辺部51B側の一端は下部フレーム1に固設したブラケット13に枢軸51Cにて結合されている。又、起伏アーム51は、左右一対の伸縮リンク機構4の内側で上体レスト22の幅方向両側に2つ並列状に設けられ、その両者51,51間には連結軸51Dが架設されている。これにより、2つの起伏アーム51が枢軸51Cを中心にして上下方向に同調して旋回するようになっている。
【0023】
一方、アクチュエータ52は、本体部52Aと伸縮ロッド部52Bとにより構成される伸縮形(流体圧シリンダのほか、モータ駆動によって伸縮するものを含む)であり、その本体部52Aは下部フレーム1に揺動自在に取り付けられ、伸縮ロッド部52Bの先端は上記連結軸51Dの中央部分に接続されている。しかして、伸縮ロッド部52Bを伸縮駆動すると左右一対の起伏アーム51が枢軸51Cを中心に旋回し、これにより上体レスト22の起伏動作が行われる構成とされている。
【0024】
尚、図1に示されるように、上体レスト22の倒伏時において、起伏アーム51は下部フレーム1との間に伸縮ロッド部52Bを縮小させた状態で介在するアクチュエータ52により図1の時計回りの旋回を規制され、上体レスト22は旋回規制された状態の起伏アーム51と上記支柱12とにより水平状に支持される。
【0025】
又、図1で明らかなように、座部レスト23及び下腿部レスト24は、上記伸縮リンク機構4と同様の構成を有する伸縮リンク機構6により屈曲自在に連結されている。このうち、下腿部レスト24は、支点軸7を中心に上下方向に旋回可能に設けられている。支点軸7は、下部フレーム1に固設される左右一対のブラケット14に架設されており、下腿部レスト24の底面には、支点軸7に連結する左右一対のアーム部24Aが固着されている。尚、伸縮リンク機構6は、左右一対のブラケット14の外側で床板フレーム2の幅方向両側に設けられている。
【0026】
そして、係るベッドによれば、アクチュエータ52の伸縮ロッド部52Bを伸長せしめると、起伏アーム51が枢軸51Cを中心にして上方に90度旋回し、これにより上体レスト22が座部レスト23側に旋回しながら起立し、このとき座部レスト23が上体レスト22に押されて下腿部レスト24側に移動されるために、伸縮リンク機構6を介して座部レスト23と連結される下腿部レスト24が支点軸7を中心に図1の反時計回りに旋回し、当該下腿部レスト24が座部レスト23に対し下向きに鋭角状に折れ曲がって図2のような椅子形になる。
【0027】
尚、上体レスト22の起立により、当該上体レスト22、座部レスト23、及び下腿部レスト24が図2に示すよう椅子形に折れ曲がるとき、上体レスト22側の伸縮リンク機構4は伸長し、下腿部レスト24側の伸縮リンク機構6は逆に縮小する。又、上体レスト22の倒伏時には、図1のように、伸縮リンク機構4が縮小する一方、伸縮リンク機構6が伸長し、下腿部レスト24が座部レスト23の一端側で水平状に展開しながら、各レスト21〜24が水平方向に縦列状に配列して使用者Mを横臥状態に支持するベッド面が形成される。但し、本例では、上体レスト22の倒伏時において、座部レスト23は上体レスト22側よりも下腿部レスト24側が若干高くなる傾斜状となり、これにより上体レスト22の起立動作が行われている最中に使用者の臀部が下腿部レスト24側に滑り動くことが防止されているほか、下腿部レスト24が確実に下向きに折れ曲がるよう配慮されている。又、下腿部レスト24が水平状に展開すると、伸縮リンク機構6の伸長により座部レスト23との間に幅広の隙間を生ずるが、ブラケット14にはアーム15を介して上記隙間に収まる受座16が取り付けられ、その受座16により座部レスト23と下腿部レスト24との間の隙間でマットレス3(マット33の中間部分)が支持されるようになっている。
【0028】
特に、図3から明らかなように、座部レスト23はその中央部分が降下口23Aとして凹字形に切り欠かれ、その降下口23Aに使用者の臀部を支持するフラップ板23Bが設けられている。フラップ板23Bは、その一端縁が図示せぬヒンジにより座部レスト23に枢着されて上体レスト22側が昇降するようになっている。尚、図3において、23Cはフラップ板23Bの降下量を制限するストッパである。
【0029】
図1、図2から明らかなように、フラップ板23Bの底部には凸部23D(例えばローラ)が設けられ、下部フレーム1には凸部23Dに対応して所定の位置に受座17が固設されている。そして、図1のように、上体レスト22の倒伏時においては、凸部23Dが受座17で支持されることによりフラップ板23Bが座部レスト23と同一平面状となる位置まで突き上げられる一方、図2のように上体レスト22が起立されたときには、フラップ板23Bが受座17による支持を失って(受座17上の位置から離間して)ストッパ23Cにより規制される下限位置まで下がり、これによって使用者の臀部がマット33を変形させながら沈下するようになっている。従って、上体レスト22の起立時には使用者の臀部が図3に示した降下口23Aに嵌まり込んで姿勢が安定するようになるために、使用者が身体のバランスを崩して横転してしまうことを防止できる。尚、上記のフラップ板23Bを省略して上体レスト22の倒伏時に受座17でマット33が支持されるようにしてもよく、この場合でも上体レスト22の起立時には使用者の臀部を降下口23A内に沈み込ませて姿勢を安全させることができる。
【0030】
又、本発明に係るベッドによれば、上体レスト22の左右両側が使用者側(マットレス3が敷かれる表面側)に屈曲可能なサイドガード22Aとされ、その両サイドガード22A,22Aが上体レスト22の起立時に屈曲して、図2のように使用者Mを左右両側から抱きかかえるようになっている。
【0031】
図1、図2において、8はサイドガード22Aを屈曲させるべく下部フレーム1と上体レスト22との間に介在せしめた作動部であり、本例において係る作動部8は、起伏アーム51で回転自在に支持される回転軸81と、上体レスト22の起伏動作に連動して同方向に上下旋回する旋回アーム82とで構成される。
【0032】
図1、図2から明らかなように、回転軸81は、サイドガード22Aに対応する第1クランクアーム81Aと、この第1クランクアーム81Aとは異なる方向に突出する第2クランクアーム81Bとを有するクランク形で、第1クランクアームの先端にはサイドガード22Aの裏面を押圧するための加圧ローラ81Cが設けられ、第2クランクアーム81Bには旋回アーム82の先端(移動端)が連接される。
【0033】
一方、旋回アーム82は回転軸81に回転モーメントを作用させるもので、その一端は旋回支点として下部フレーム1に固設したブラケット18にピン82Aにて接合され、先端が上述の如く回転軸81の第2クランクアーム81Bに連接されている。
【0034】
しかして、上体レスト22を起伏させるべく起伏アーム51を上下旋回させると、回転軸81も起伏アーム51に同期してその支点(枢軸51C)を中心に旋回し、その回転軸81に連接される旋回アーム82がその一端部(ピン82A)を中心に上下旋回するが、旋回アーム82はその支点位置が起伏アーム51の支点より後方の下腿部レスト24側にあって、その長さが回転軸81の旋回半径よりも大きく設定され、その相違により上体レスト22の起伏動作に際して旋回アーム82から回転軸81に回転モーメントが作用し、上体レスト22の起立時においては回転軸81が図1の反時計回りの回転角変位を与えられ、サイドガード22Aの裏面に接触した状態に維持される加圧ローラ81Cにより、サイドガード22Aが裏面側から押圧されて使用者の両側に曲げ起こされるようになっている。
【0035】
図4は、上体レスト22を起立させたときの状態を上方からみた図である。この図で明らかなように、上体レスト22は平板状の受板22B上にヒンジ22Cで結合された3枚の板材を配した構成で、その中間の板材が受板22Bに固定される主面部22Dとされ、その左右両側の板材が主面部22Dに対して使用者側に屈曲可能な上記のサイドガード22Aとされている。尚、ヒンジ22Cは受板22B上にあって両サイドガード22A,22Aが使用者Mとは反対の裏面側(受板22B側)に屈曲するのを規制している。
【0036】
そして、上体レスト22の起立時には、図4のように上記第1クランクアームの先端部(加圧ローラ81C)が主面部22Dの移動位置を越えてサイドガード22Aの裏面を押圧し、これによってサイドガード22Aがヒンジ22Cを中心に使用者M側に屈曲して使用者を両側から支えるようになるのであり、このため身体の自由が利かない要介護者が背中を起こされたとき横転、転落してしまうことを防止することができる。
【0037】
尚、図4及び図5のように、上体レスト22に対応するマット32は、サイドガード22Aの屈曲動作を阻害せぬよう、両サイドガード22Aに対応するマット部材32Aと、主面部22Dに対応するマット部材32Bとに区分されるが、それらを屈曲容易な柔軟材から形成して一体構造とすることもできる。
【0038】
ここに、上体レスト22の倒伏時には、回転軸81が上体レスト22の起立時とは逆方向に回転され、これにより加圧ローラ81Cが図6の実線で示されるよう主面部22Dと同一平面内に戻され、しかしてサイドガード22Aが自重で主面部22Dの位置まで降下して平面状に展開するのであり、そのためにサイドガード22Aが介護作業の障害とならず、横臥した使用者(要介護者)のオムツ交換や身体の汗拭きなどを容易に行うことが可能となる。
【0039】
しかし、上体レスト22の倒伏時において、これが平面状に展開したままであると、横臥した使用者が就寝中に床板フレーム上から転落してしまう危険性がある。そこで、本例のベッドでは、上体レスト22が倒伏した状態において、サイドガード22Aを必要に応じて屈曲させ得るようにしている。これには、上記の旋回アーム82に伸縮アクチュエータを用いればよい。
【0040】
図6において、旋回アーム82は伸縮アクチュエータとしての単動型の流体圧シリンダであり、その伸縮ロッド部82Bが回転軸81の第2クランクアーム81Bに連接され、その伸縮ロッド部82Bを伸長させることによりサイドガード22Aの屈曲、曲げ起こしが行われるようにしてある。
【0041】
図7は、上体レスト22の倒伏時においてサイドガード22Aが屈曲されて使用者Mの左右両側に曲げ起こされた状態を示す。図7のように、上体レスト22の倒伏時にサイドガード22Aが屈曲すれば、横臥した使用者Mは就寝中に床板フレーム2上から転落してしまうことはなく、サイドガード22Aを図7の実線位置に退けて上体レスト22を平面状に展開すれば、介護作業を容易に行うことができる。特に、上体レスト22の倒伏時において、サイドガード22Aを屈曲させ得る構成では、自ら寝返りすることのできない使用者Mを上体レスト22の片側に寄せ、その状態でサイドガード22Aを屈曲させることにより使用者Mに寝返りをさせることが可能となり、介護者にかかる負担を大幅に軽減することができる。
【0042】
尚、図7から明らかなように、回転軸81は起伏アーム51に設けた軸受51Eにより上体レスト22の主面部22Dに沿って回転自在に支持されるが、この回転軸81を上体レスト22の受板22Bで支持するようにしてもよい。
【0043】
又、図7および図8から明らかなように、伸縮アクチュエータから成る旋回アーム82は、起伏装置を構成するアクチュエータ52を挟んで2つ並列に設けられ、その各先端に左右のサイドガード22A,22Aに対応して回転軸81が個別に連接されている。これによれば、2つの旋回アーム82を個別に伸縮駆動して左右のサイドガード22Aを別々に屈曲されることが可能となるが、2つの回転軸81を一本化し、その中央に第2クランクアーム81Bを固設して単一の旋回アーム82の伸縮動作で両サイドガード22A,22Aの屈曲が同時に行われる構成としてもよい。但し、この場合には、旋回アーム82と起伏装置を構成するアクチュエータ52とが干渉せぬように、旋回アーム82を挟んで2つのアクチュエータ52が並列に設けられる構成とされる。
【0044】
次に、図9は作動部の変更例を示す。図9において、旋回アーム82は「く」の字形に折れ曲がった部材から成る。特に、本例では旋回アーム82が上体レスト22の左右両側に位置して2つ並列に設けられ、その各先端に両サイドガード22A,22Aに対応する加圧ローラ81C(図9には片側の一方のみが示される)が設けられる。
【0045】
それら旋回アーム82の各一端も上記例と同じく下部フレーム1の部位にピン82Aにて接合されるが、旋回アーム82の中間部分はリンク83を介して起伏アーム51に連接され、起伏アーム51の支点(枢軸C)、旋回アーム82の支点(ピン82A)、ならびに起伏アーム51と旋回アーム82に対するリンク83の結節点51D,83Aが平行四辺形を形成するような接続形態とされる。そして、このような作動部8でも、旋回アーム82が上体レスト22の起伏動作に連動して上下方向に旋回し、上体レスト22の起立時においては旋回アーム82の先端部(加圧ローラ81C)が上体レスト22の主面部22Dの移動位置を越えて両サイドガード22Aの裏面を押圧するのであり、このため両サイドガード22Aを使用者側に屈曲せしめて背中を起こされた使用者の横転、転落を防止することができる。
【0046】
尚、図9に示されるような作動部8では、上体レスト22を倒伏させた状態でサイドガード22Aを屈曲させることはできないが、旋回アーム82とは別に図示せぬ伸縮アクチュエータを付加し、これを上体レスト22の倒伏時において両サイドガード22Aの直下となる位置で下部フレーム1に直立状に設ければ、上記例と同じく上体レスト22の倒伏時においてもサイドガード22Aを屈曲させて横臥した使用者の転落を防止することが可能となる。
【0047】
以上、本発明に係るベッドの構成例を説明したが、上体レスト22を起伏させる構成は上記例に限らず、種々の機構を採用することができる。又、ヘッドレスト21と上体レスト22とを一体構造とし、ヘッドレスト21が上体レスト22と一体として起伏するようにしてもよい。
【0048】
更に、上体レスト22は起伏可能とされていなくてもよく、少なくても上体レスト22の左右両側が使用者側に屈曲可能なサイドガード22Aとされ、そのサイドガード22Aを屈曲させるための作動部8を備えたベッドであればよい。例えば、起伏せずして水平状の固設される上体レストにして、その両サイドガードの直下となる位置で下部フレーム1に図示せぬ伸縮アクチュエータを直立状に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るベッドを示す側面概略図(上体レストの倒伏時)
【図2】上体レストを起立させた状態を示す側面概略図
【図3】上体レストに連結する座部レストの構成を示す斜視図
【図4】上体レストを起立させた状態を示す平面図
【図5】上体レストを含む床板フレーム全体を示す平面概略図
【図6】上体レストの倒伏時にサイドガードを屈曲させる態様を示す説明図
【図7】倒伏した上体レストを示す断面図
【図8】床板フレームを上方からみた透視図
【図9】作動部の変更例を示す概略図
【符号の説明】
【0050】
1 下部フレーム
2 床板フレーム
21 ヘッドレスト
22 上体レスト
22A サイドガード
22C ヒンジ
22D 主面部
3 マットレス
4 伸縮リンク機構
5 起伏装置
51 起伏アーム
52 アクチュエータ
6 伸縮リンク機構
8 作動部
81 回転軸
81A 第1クランクアーム
81B 第2クランクアーム
81C 加圧ローラ
82 旋回アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の上半身を支持する部分であって左右両側が幅方向中央の主面部に対し前記使用者側に屈曲可能なサイドガードとされる上体レストと、その両サイドガードを前記主面部に対して屈曲せしめる作動部と、を有することを特徴とするベッド。
【請求項2】
下部フレーム上に使用者が横臥可能な床板フレームを設けたベッドにおいて、
前記床板フレームは使用者の上半身を支持する起伏可能な上体レストを含み、当該上体レストは、その左右両側がサイドガードとして幅方向中央の主面部に対し使用者側に屈曲可能とされ、
前記下部フレームと上体レストとの間には、前記上体レストの主面部に対して前記両サイドガードを使用者側に屈曲せしめる作動部が設けられていることを特徴とするベッド。
【請求項3】
前記作動部は、前記上体レストの主面部に沿って回転自在に支持される回転軸と、前記上体レストの起伏動作に連動して上下方向に旋回する旋回アームとを有し、
前記回転軸には、前記サイドガードに対応する第1クランクアームと、前記旋回アームの先端部に連接する第2クランクアームとが固設され、
前記回転軸は、前記上体レストの起立時に前記第1クランクアームの先端部が前記主面部の移動位置を越えて前記サイドガードの裏面を押圧するよう、前記第2クランクアームが前記旋回アームの先端部に連接されることを特徴とする請求項2記載のベッド。
【請求項4】
前記旋回アームとして、伸縮アクチュエータが用いられることを特徴とする請求項3記載のベッド。
【請求項5】
前記作動部は、前記上体レストの倒伏時において両サイドガードの直下となる位置で下部フレームに直立状に設けられる伸縮アクチュエータである請求項2記載のベッド。
【請求項6】
前記作動部は、前記上体レストの起伏動作に連動して上下方向に旋回する旋回アームを有し、当該旋回アームの先端部が前記上体レストの起立時に前記主面部の移動位置を越えて前記サイドガードの裏面を押圧する構成とされていることを特徴とする請求項2記載のベッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−142348(P2009−142348A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320258(P2007−320258)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(506322732)Road Wide株式会社 (7)
【Fターム(参考)】