説明

ベルトコンベヤのリターンローラ

【課題】リターンローラの取り替えを極めて容易に行うことができるようにする。
【解決手段】ベルトコンベヤにおけるリターン側ベルト1の下側で、上記ベルトの走行方向に対し直角に横切るように設けたガイドレール3と、このガイドレールをガイドとして上記ベルトの幅方向にスライドするように設けたスライダ4と、このスライダの両端部から起立させて設けたリターンスタンド8と、この両リターンスタンドの上端に支軸10の両端を係合させて横架したリターンローラ7と、上記ガイドレールの一端に押し戻し終了時の上記スライダの一端が係合関係になるように設けた保持手段Cと、上記スライダの他端側に押し戻した前記スライダの引き出しを阻止するように設けた拘束手段Dとからなる構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトコンベヤにおけるリターンローラに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤは、周知のように、ヘッドプーリとテールプーリとに無端状のベルトをかけ渡し、ベルトのキャリア側裏面は、キャリアローラで支承され、ベルトのリターン側表面は、リターンローラで支承されている。
【0003】
そして、キャリアローラ及びリターンローラは、スムーズな回転を阻害する故障の発生にともないその都度取り替えを行うことになる。
【0004】
そこで、容易に取り替えができるようにした方式として、キャリア側にあっては、例えば特許文献1、2及び3が提案されているが、リターン側にあっては、特許文献4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平06−049412号公報
【特許文献2】実開平06−080726号公報
【特許文献3】特開平08−151114号公報
【特許文献4】特開平09−278150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2及び3の方式は、キャリア側ローラの構成であって、リターン側ローラに応用することができない。
【0007】
特許文献4の構成は、上下に二本のリターンローラを配置し、上下のリターンローラを入れ替える方式である。
【0008】
しかしながら、(故障などによる)入れ替える迄の下側のリターンローラは、待機状態にあるので、待機中にベルトの表面に付着している粉粒体の落下物がリターンローラの表面に落下して付着する。
【0009】
この落下付着物は、リターンローラの上周面のみになるので、リターンローラの周面一部のみに固着した付着物により走行するベルトが波動し、この波動にともないリターンローラの支軸の軸承部に衝撃が発生して、軸承部に故障が発生する。
そこで、この発明は、上述の問題を解消したリターンローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、ベルトコンベヤにおけるリターン側ベルトの下側で、上記ベルトの走行方向に対し直角に横切るように設けたガイドレールと、このガイドレールをガイドとして上記ベルトの幅方向にスライドするように設けたスライダと、このスライダの両端部から起立させて設けたリターンスタンドと、この両リターンスタンドの上端に支軸の両端を係合させて横架したリターンローラと、上記ガイドレールの一端に押し戻し終了時の上記スライダの一端が係合関係になるように設けた保持手段と、上記スライダの他端側に押し戻した前記スライダの引き出しを阻止するように設けた拘束手段とからなる構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明のベルトコンベヤのリターンローラによれば、拘束手段による拘束を解除してスライダを引き出すことによりリターンローラも共に引き出すことができるので、リターンローラの取り替え作業が極めて容易に行うことができ、リターンローラの取り替え後にスライダを押し戻して、拘束手段による拘束によりスライダの引き出しを阻止した際、保持手段とスライダの一端とが係合関係になるので、ガイドレールの上に安定よくスライダを静止させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同一部切欠正面図である。
【図4】同一部切欠側面図である。
【図5】同縦断側面図である。
【図6】引き出した状態を示す一部切欠正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1から図5に示すAは、ベルトコンベヤである。
【0014】
上記のベルトコンベヤAは、周知のようにヘッドプーリとテールプーリ(図示省略)とに無端状のベルト1をかけ渡して構成され、ベルト1のキャリア側裏面(図示下側面)は、前後に並列するように配置したキャリアローラ2で支承されている。
【0015】
また、ベルト1のリターン側表面(図示下側面)には、ベルト1の走行方向に対し直角に横切ると共に、前後に所定の間隔を存して並列するガイドレール3が設けてある。
【0016】
さらに、ガイドレール3をガイドとしてベルト1の幅方向にスライドするスライダ4を設ける。
【0017】
上記ガイドレール3は、図示の場合アングル材を用い、稜線が上側(上向き)になるようにコンベヤAの両側フレーム5に上端を取り付けた支持金具6の下端に両端を(溶接ボルト止めなどにより)固着し、スライダ4は、アングル材を用いて、ガイドレール3の上側に重なるように載置したが、限定されず、また鋼材以外に硬質合成樹脂製などを使用してもよい。要するに、ガイドレール3をガイドとしてスライダ4がスライドできるようになっている。
【0018】
なお、図4、5、6に示すようにガイドレール3とスライダ4との間に滑走性にすぐれたマットなどの介在物B(ガイドレール3かスライダ4の片方に接着材などを介して取り付ける)を設けておくと、スライダ4のスムーズなスライドを保障することができる。
【0019】
そして、上記スライダ4には、交換(取り替え)可能にリターンローラ7が設けてある。
【0020】
上記のリターンローラ7の交換可能な支持方式は、周知のようにスライダ4の両端部から起立するリターンスタンド8の上端面から下方に向く切欠き9にリターンローラ7の支軸10の両端部外周面対向位置に設けてある溝11をかみ合い状に落とし込んで係合させることで、定位置に、かつ支軸10を不回転状態に支持させるようにしてある。
【0021】
また、ガイドレール3の一端には、押し戻し終了時のスライダ4の一端が係合関係になってベルト1の長手方向や上下の移動を止める保持手段Cが設けてある。
【0022】
上記の保持手段Cは、図示の場合ガイドレール3の一端上側にアングル製や板片の抱き込み片12をスライダ4の一端側が嵌入する間隙を設けて取り付けることで構成したが、その他の方式を採用してもよい。
【0023】
さらに、スライダ4の他端側には、押し戻したスライダ4の一端と保持手段Cとの係合状況下での上記スライダ4の引き出しを阻止する拘束手段Dが設けてある。
【0024】
上記の拘束手段Dは、図示の場合、支持金具6に引き出しにともないスライダ4とリターンローラ7とが通過する窓13を設け、スライダ4の他端にスライダ4の押し戻し終了時に窓13を閉鎖する蓋14を設け、スライダ4の押し戻し終了後にビス15を介し支持金具6に蓋14を固定することで、スライダ4の引き出し方向のスライドを阻止するようにしたが、限定されず、他の構成を採用することもある。要するに、拘束手段Dによりスライダ4の引き出しを阻止する。
【0025】
なお、図示のように蓋14に把手16を設けておくと、スライダ4の引き出しと押し戻し操作が容易になる。
【0026】
また、図示の場合スライダ4に1本のリターンローラを支持させたが、例えばスライダ4に複数本並設することもできる。
【0027】
図中21はキャリアローラ2の支持スタンドで、このスタンド21は、フレーム5上に据え付けたバー材22の上に起立させてある。23はビス15をねじ込むネジである。
【0028】
上記のように構成すると、拘束手段による拘束を解除してスライダ4をガイドレール3をガイドとして引き出すと、スライダ4と共にスライダ4上のリターンローラ7もベルトコンベヤAの側方に引き出されるので、引き出されたリターンローラ7の取り外しにともなう回収、新しいリターンローラの交換が極めて容易に、かつ危険を伴うことなく安全に行うことができる。
しかも、その交換作業が少人数で短時間にスムーズに行うことができる。
【0029】
勿論、大がかりな足場などが不要になると共に、少人数での交換が可能なため、費用の低減化をはかると共に、短時間で運転の再開も可能になる以外に、交換にともなう落下事故などもなくすることができる。
【0030】
また、交換後にスライダ4と共に、リターンローラ7を押し戻し、押し戻しにともない保持手段Cとスライダ4の一端側とを係合関係にし、拘束手段Dによりスライダ4のガイドレール3に対する移動を止めるので、リターンローラ7の安定した定位置での回転を保障することもできる。
【符号の説明】
【0031】
A ベルトコンベヤ
B 介在物
C 保持手段
D 拘束手段
1 ベルト
2 キャリアローラ
3 ガイドレール
4 スライダ
5 フレーム
6 支持金具
7 リターンローラ
8 リターンスタンド
9 切欠き
10 支軸
11 溝
12 抱き込み片
13 窓
14 蓋
15 ビス
16 把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤにおけるリターン側ベルトの下側で、上記ベルトの走行方向に対し直角に横切るように設けたガイドレールと、このガイドレールをガイドとして上記ベルトの幅方向にスライドするように設けたスライダと、このスライダの両端部から起立させて設けたリターンスタンドと、この両リターンスタンドの上端に支軸の両端を係合させて横架したリターンローラと、上記ガイドレールの一端に押し戻し終了時の上記スライダの一端が係合関係になるように設けた保持手段と、上記スライダの他端側に押し戻した前記スライダの引き出しを阻止するように設けた拘束手段とからなるベルトコンベヤのリターンローラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−52987(P2013−52987A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193522(P2011−193522)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(504385982)株式会社JRC (17)
【Fターム(参考)】