説明

ベルト式光学選別機

【課題】 光学検出手段を簡素化するとともに、油脂分を含んだ濡れたピーナッツ等の豆類を原料としても選別性能が低下することのないベルト式の光学選別機を提供する。
【解決手段】
本発明のベルト式光学選別機1は、ギヤモータ25によって常時回転するようにしたバックグラウンド部13(透明円筒体14)の表面を、その回転方向に沿って順次配設した噴水ノズル29及びワイパブレード30からなる筒体清掃部28により、高圧水洗浄した後に水滴等の拭き取り清掃が行われるので、前記透明円筒体14における、CCDカメラ12にバックグラウンド光を放つ上面部14bは、常にきれいな状態に保たれるため、良好なバックグラウンド光をCCDカメラ12に対して放つことができ、選別精度を良好に保つことができる。また、バックグラウンド部13の構成を、蛍光灯15を透明円筒体14の内部に配設したものとしたので、光学検出手段10の構成が簡素化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料粒状物に混入した不良品を光学的に判別して選別するベルト式の光学選別機に係り、特に、濡(ぬ)れた原料粒状物(例えば、ピーナッツ等の各種豆類)を選別するいわゆるウエットタイプの光学選別機の光学検出手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のベルト式の光学選別機は、例えば特許文献1に開示されているように、原料粒状物(角切り野菜)をベルトコンベヤで搬送して光学検出手段に放出し、該光学検出手段において、前記角切り野菜に光を照射してその反射光を受光し、この検出光に基づいて不良品を判別して噴風選別するものとして知られている。前記光学検出手段は、前記角切り野菜が放出される落下軌跡上の光学検出位置を中心として、この光学検出位置に対して上下方向から光を照射する各照射装置を対設し、かつ、前記光学検出位置における角切り野菜からの反射光をその上下方向から受光する各受光センサを対設してなる。
【0003】
ところで、前記光学検出位置における下方側の照射装置は蛍光灯を内部に配設した透明円筒体からなるが、該透明円筒体表面には、当該光学検出手段において前記原料粒状物中の不良品を噴風選別した際に発生する薄片(フレーク)が落下して付着する。このため、この薄片を清掃する構造が設けてある。この清掃構造は、透明円筒体の下部を水槽に浸けた状態で前記透明円筒体を回転させるようにして、前記水槽(水)に漬かる前後位置において透明円筒体の表面に付着した薄片を清掃体(スクレーパ)によって除去し、これにより、透明円筒体の表面を清掃するものであった。
【特許文献1】特開平10−202206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ベルト式光学選別機においては、例えば、ピーナッツを加工する際に、温水浸漬後に脱皮処理して濡れたピーナッツを原料とし、この濡れたピーナッツ原料中に混入した、薄い皮が表面に残ったピーナッツ(不良品)を選別する際には、以下の問題点があった。すなわち、前記濡れたピーナッツを原料とした場合には、濡れたピーナッツをベルトコンベヤで搬送する際にピーナッツの表面に残留していた前記皮が剥離してベルトコンベヤの端部から放出され、前記光学検出位置の下方側の照射装置(透明円筒体)の表面に落下して付着することになる。その際、前記清掃構造によれば、前記透明円筒体表面に付着した皮を前記清掃体(スクレーパ)によって拭(ふ)き取ると、この拭き取りの際に、ピーナッツの皮に含まれた油脂分が透明円筒体の表面に付着し、この付着した油脂分は、この後に水槽(水中)を通過して別のスクレーパで拭き取っても、連続運転中において、前記水槽の水は前記油脂分や拭き残しの皮等によってすぐに汚れてしまい、これらが原因となって透明円筒体の表面を完全に清掃除去することができない。また、前記透明円筒体の表面に油脂分が付着した状態で選別運転していると、透明円筒体の表面が油脂分で曇ってバックグラウンド光の色が変化等して良好な照射光を原料に照射することができず、選別性能に影響を及ぼす懸念がある。このため、前記懸念を避けるために、選別作業を定期的に停止して透明円筒体の表面に付着した油脂分を拭き取る掃除作業を行う必要性があった。
一方、上記ベルト式の光学選別機における光学検出手段については、バックグラウンド板の明るさ調整用の蛍光灯を必要とするため、これを必要としない簡素化した光学検出手段の開発も望まれている。
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、光学検出手段を簡素化するとともに、油脂分を含んだ濡れたピーナッツ等の豆類を原料としても選別性能が低下することのないベルト式の光学選別機を提供することを技術的課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1により、
原料粒状物を搬送するベルトコンベヤと、
該ベルトコンベヤによって搬送・放出した原料粒状物の落下軌跡上における光学検出位置に対して光を照射する照射部、前記光学検出位置における原料粒状物からの反射光を受光する受光センサ部及び該受光センサ部の光学検出位置におけるバックグラウンド部からなる光学検出手段と、
前記受光センサ部が受光した受光データに基づいて選別されるべき粒状物を判別する判別手段と、
前記落下軌跡における光学検出手段を設けた位置よりも下流側に配設するとともに前記判別手段からの選別信号に基づいて選別されるべき粒状物を選別する不良品選別手段と、
を備えたベルト式光学選別機において、
前記バックグラウンド部は、蛍光灯を内部に設けた透明円筒体と該透明円筒体を回転させる回転駆動部材とを有してなる一方、該透明円筒体の外周には、該透明円筒体に対して水を噴き付ける噴水ノズルと前記透明円筒体の表面と接して該透明円筒体の表面を清掃する清掃体とを有してなる筒体清掃部を配設するという技術的手段を講じる。
【0006】
また、請求項2により、
前記回転駆動部材は透明円筒体を前記落下軌跡の落下方向側に回転させる一方、前記筒体清掃部における前記噴水ノズル及び清掃体は、前記透明円筒体の上面部から該透明円筒体の回転方向側に沿って順次配設するとよい。
【0007】
さらに、請求項3により、
前記バックグラウンド部は、前記透明円筒体内にエアーを通風するエアー通風部を設けるとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のベルト式光学選別機によれば、回転駆動部材(ギヤモータ)によって常時回転するようにしたバックグラウンド部(透明円筒体)の表面を、その回転方向に沿って順次配設した噴水ノズル及び清掃体(ワイパブレード)からなる筒体清掃部により、高圧水洗浄した後に水滴等の拭き取り清掃が行われるので、前記透明円筒体における、受光センサ部(CCDカメラ)にバックグラウンド光を放つ上面部は、常に、油脂分を含んだ豆類原料の皮や洗浄後の水滴等が付着してないきれいな状態に保たれるため、良好なバックグラウンド光をCCDカメラに放つことができる。このため、前記受光センサ部及び判別手段が、前記皮や水滴を光学検出して選別されるべき粒状物(例えば不良品)を誤判別することがなく、選別精度を良好に保つことができる。また、選別運転を停止しての透明円筒体表面の拭き取り作業等も不要である。さらに、前記バックグラウンド部は、前記透明円筒体内にエアーを通風するようにしてあるので、前記透明円筒体内における結露の発生が防止され、これによっても良好なバックグラウンド光を放つことができる。
【0009】
なお、本発明の光学検出手段は、バックグラウンド部の構成を、蛍光灯を透明円筒体の内部に配設したものとしたので、従来のようなバックグラウンド板の明るさ調整用の蛍光灯を別途必要とすることがなく、簡素化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のベルト式光学選別機1については、図1に、その前面側の全体斜視図を示し、図2に、同後面側の全体斜視図を示す。また、図3は、図1におけるA−A.断面図を示す。
【0011】
前記ベルト式光学選別機1は、油脂分を有する各種豆類原料(ピーナッツ、アーモンド、大豆、小豆、大手亡、金時など)の選別に適する。例えば、ピーナッツを加工する際に、ピーナッツ表面の薄い皮(以下、「皮」という。)を脱皮する脱皮工程において温水浸漬後に脱皮処理した濡れたピーナッツを原料とし、この濡れたピーナッツ原料中に混入した、前記皮が表面に残留しているピーナッツを光学的に判別して選別する際に前記ベルト式光学選別機1を用いるとよい。以下の実施例では、前述の濡れたピーナッツを原料とした例について説明し、選別されるべき粒状物は、前記皮が表面に残留しているピーナッツ(以下、「不良品」という。)とし、良品は前記皮が表面に残留してないピーナッツとする。
【0012】
前記ベルト式光学選別機1は、前記濡れたピーナッツ原料を脱水しながら搬送する振動コンベヤ2と、ピーナッツ原料中の不良品を光学選別する光学選別本体部3とから構成する。
【0013】
振動コンベヤ2:
前記振動コンベヤ2は、多数の水切り孔を設けた水切多孔板4aを内部に略水平配置した水切槽4を構成するするとともに、該水切槽4に振動を与えて原料を水切りしながら搬送する振動モータ5及び前記水切槽4の下面を支持する支持部材5aを構成する。前記振動コンベヤ2の側面には、該振動コンベヤ2の運転操作盤6を構成する。また、前記水切多孔板4aは、水洗い等による清掃時に取り外しができるように、複数のクランプ7及び押え角材8によって水切槽4内に固定してある。なお、水切槽4の底面4bは一方に向って傾斜状にし、その傾斜下部には、排水口4cが設けてある。
【0014】
光学選別本体部3:
前記光学選別本体部3は、原料ピーナッツを搬送するベルトコンベヤ9を略水平状に配設し、該ベルトコンベヤ9の搬送上流側は、前記水切槽4の排出部4dと接続させてある。ベルトコンベヤ9の搬送下流側の端部の近傍には、光学検出手段10を配設する。
【0015】
前記ベルトコンベヤ9は、表面が平らで任意幅からなる無端ベルト9aを左右に配設した一対の回転ローラ9b,9bに架け渡してなり、前記回転ローラ9b,9bのいずれか一方側は、図示しないモータ駆動部と接続して回転駆動側としてある。前述のように、ベルトコンベヤ9の搬送上流側は、前記水切槽4の排出部4dの下方に配置する。
【0016】
また、前記ベルトコンベヤ9の搬送上流端近傍における上面位置には、供給されたピーナッツ原料の原料安定化ローラ9cを配設する。該原料安定化ローラ9cは、クッション性を有する軟質材からなる回転ローラ部材9dを構成してなる。該回転ローラ部材9dは、前記無端ベルト9aの幅と略同等の幅に構成し、無端ベルト9aとの間に任意間隔を有するように配設する。該任意間隔については、少なくともピーナッツの厚みよりも大きい間隔とする。前記回転ローラ部材9dは、図示しないモータ駆動部と接続して、回転方向が無端ベルト9aの進行方向となるようにしてあり、また、回転速度についても無端ベルト9aの搬送速度と同等にしてある。この構成により、前記排出部4dから無端ベルト9a上に供給されて無端ベルト9a上で飛び跳ねるピーナッツ原料は、前記回転ローラ部材9dの下を通過する際に飛び跳ねが防止されて、無端ベルト9a上に安定させた状態で前記光学検出手段10に搬送される。これにより、前記ベルトコンベヤ9の端部9eからピーナッツ原料が放出された際に、各ピーナッツの落下軌跡が安定して光学検出が良好になる。
【0017】
前記光学検出手段10は、図4に示すように、前記搬送下流側の端部9eからの原料の落下軌跡L上における光学検出位置Pを中心に、この光学検出位置Pの上方側に照射部11と受光センサ部12とを配設し、また、光学検出位置Pの下方側にバックグラウンド部13を配設してなる。
【0018】
前記照射部11は、前記落下軌跡Lの落下方向に対して光学検出位置Pと直行する上方位置に、透明円筒体11aを水平配設して、該透明円筒体11aの内部に白色の蛍光灯11bを構成してなり、前記光学検出位置Pに対し光を照射するように配設してある。なお、前記照射部11は一対を並設してなり、両者は、後述する受光センサ部12の検出光路(光軸)12aを通すだけの間隔11cを空けて配設する。
【0019】
前記バックグラウンド部13は、前記光学検出位置Pの下方位置に配設する。前記バックグラウンド部13は、前記照射部11と略同じ構成でなり、光学検出位置Pと直行する下方位置に、透明円筒体14を水平配設し、該透明円筒体14の内部に白色の蛍光灯15を構成してなり、前記光学検出位置Pに対してバックグラウンド光を照射するように配設してある。
【0020】
前記前記照射部11及びバックグラウンド部13は、図1に示すように、それぞれ透明円筒体11aと透明円筒体14の各端部カバー16,17の貫通穴を通って電源コード18が各蛍光灯11b,15における電源部に接続してある(図5のバックグラウンド部13の側縦断面図を参照)。また、前記透明円筒体11a,14は、該透明円筒体11a,14の内部にエアーを常時通風させて内部結露を防止するように、前記各端部カバー16,17に通気孔19を設け、該通気孔19にエアー供給管20が接続されている(図1及び図5参照)。該エアー供給管20から透明円筒体11a,14の内部に供給したエアーは、後述する固定部材の間隙を介して後述の筒体14aの内面側を通風し、他方側の各端部カバー21,22に設けた排気孔23から排気されるようにしてある(図2及び図5参照)。
【0021】
ところで、前記バックグラウンド部13における透明円筒体14は、回転駆動部材によって回転可能にしてある。詳細に説明すると、前記透明円筒体14については、透明な筒体14aと、該筒体14aを両端部で支持する前記端部カバー21及び支持環23とを一体的に構成するとともに、前記透明円筒体14の内部における固定部材(蛍光灯15及び蛍光灯保持部材15a,15bからなる)の両端にベアリング24,24を配設して回転可能な構成とする。一方、前記回転駆動部材として、減速ギヤボックス25aとモータ部25bとからなるギヤモータ25を、前記端部カバー21の側方位置に配設する。前記減速ギヤボックス25aから突出した回転出力軸25cは、前記端部カバー21の側面に設けた嵌合凹部26に嵌入して、モータ部25bからの回転出力が前記透明円筒体14に伝達されるようにしてある。
【0022】
前記ギヤモータ25による透明円筒体14の回転方向は、図5に示した矢印方向のように、前記落下軌跡Lの落下方向側とする。この回転方向にした理由は、ピーナッツ原料に混入して落下軌跡Lに沿って落下するピーナッツの皮やピーナッツの砕粒等は、前記透明円筒体14における、CCDカメラ12にバックグラウンド光を放つ上面部14bよりも落下方向側(エアノズル31側)に落下して付着するので、前記ピーナッツの皮等が前記上面部の方向に搬送されず後述の噴射ノズル29等によって清掃するためである。なお、前記バックグラウンド部13は、左右の端部及びその近傍において機枠27に装着してある(図5参照)。
【0023】
さらに、前記バックグラウンド部13における透明円筒体14の側面位置には、透明円筒体14の表面を清掃する筒体清掃部28が配設してある。該筒体清掃部28は、噴水ノズル29とワイパブレード(清掃体)30とから構成する。前記噴水ノズル29は、前記筒体14aの表面に対して高圧の水を噴き付けるように長手方向に沿って複数配設され、前記噴水によって筒体14aの表面に付着したピーナッツの皮Kを洗い落とすようにしてある。また、前記ワイパブレード30は、前記筒体14aの長手方向に沿ってその表面に圧接するように配設され、前記噴水ノズル29からの噴水で筒体14a表面に付着した水を拭き落とすように構成されている。前記噴水ノズル29及びワイパブレード30を設ける位置については、筒体14a表面における、前記透明円筒体14の回転方向(前記落下軌跡Lの落下方向側)に沿って順次配設するようにするとよい。なお、前記噴水ノズル29及びワイパブレード30の下方には、洗い落として落下した前記皮や洗浄水の機外排出口28aが配設してある。
【0024】
前記受光センサ部12は、前述のように光学検出位置Pの上方側であって、前記照射部11,11よりも更に上方位置に配設する。前記受光センサ部12は、CCDカラーラインセンサ12bを内蔵してなるCCDカメラ12とし、前記光学検出位置Pにおけるピーナッツ原料の反射光をカラー(RGB)で受光するものとする。前記CCDカメラ(受光センサ部)12は前述の該CCDカメラ12の検出光路(光軸)12aが、前記照射部11,11間の間隙11cと前記光学検出位置Pとを通ってバックグラウンド部13に当たるように配設して、前記ピーナッツ原料の反射光とバックグラウンド光とを受光するように配設してある。なお、CCDカメラ12の内部には、前記光学検出位置Pの長手方向における任意幅からの反射光が受光できるように集光レンズ12cを内蔵する。
【0025】
不良品選別手段31:
前記落下軌跡Lにおいて、光学検出位置Pよりも落下方向側には、不良品を選別するための不良品選別手段31が配設してある。該不良品選別手段31は、高圧エアーを噴風するエアーノズル31とする。該エアーノズル31は、複数の噴風口を前記落下軌跡Lと直交する方向に並設してなり、各噴風口は、電磁式の開閉弁(以下、「電磁弁」という。)を介して高圧エア源に接続している。前記電磁弁のそれぞれは、後述するエジェクタバルブ駆動回路40と接続して、該エジェクタバルブ駆動回路40からの選別信号に基づいて開閉し、高圧エアーを噴風口から噴風するようになっている。なお、前記落下軌跡Lにおいて、不良品選別手段31を設けた位置よりも更に下流側には、不良品収容部32と良品収容部33とが順次配設してある。なお、前記不良品収容部32及び良品収容部33は、各内側面に、落下してきたピーナッツを収容する際の衝撃を吸収するネット部材32a,33aを吊り下げる。各ネット部材32a,33aの下端部はぶらつかないように任意部材で固定してある。
【0026】
次に、前記CCDカメラ12が受光したピーナッツ原料の受光データに基づいて選別されるべき粒状物(不良品)を判別する判別手段34について一例を説明する。該判別手段34は、図6に示すように、中央演算部(CPU)35を中心とし、これに読み出し専用記憶部(ROM)36、読み出し・書き込み用専用記憶部(RAM)37及び入出力回路(I/O)38,39がそれぞれ接続している。前記I/O39は、前記CCDカメラ12(CCDカラーラインセンサ12b)に接続している。一方、I/O38は、エジェクタバルブ駆動回路40に接続している。前記エジェクタバルブ駆動回路40は前記不良品選別手段31(電磁弁)に接続し、前記CPU35からの不良品の選別信号に基づいて任意の電磁弁を開閉作動させる。また、ROM36には、前記CCDカメラ12が受光したピーナッツ原料の受光データ(画素単位)について良品か不良品かを判別するための判別しきい値が予め設定してあり、CPU35は、この判別しきい値を使って良否判定するようになっている。
【0027】
なお、前記判別手段34と前記CCDカメラ12は、密閉カバー42によって囲まれて防水され、前記ベルトコンベヤ9やバックグラウンド部13等を水洗い清掃する際に水が入り込まないようにしてある。また、前記照射部11とバックグラウンド部13についても、各蛍光灯11b,11c,15に水が入り込まないように、前記透明円筒体11a,11a,14と各端部カバー16,17,21,22とによって密閉状に構成してあり、前記電源コード18についても防水カバーを付ける。なお、前記密閉カバー42における側面には開閉蓋43を配設し、該開閉蓋43の内部には、前記光学選別本体部3の操作用モニタ(表示部)41が設けてある。
【0028】
次に、前記ベルト式光学選別機1の作用を説明する。
【0029】
前記振動コンベヤ2における水切槽4の搬送上流側に、濡れたピーナッツ原料を供給すると、該濡れたピーナッツ原料は水切多孔板4a上に広がり、前記振動モータ5による振動作用を受けて水切多孔板4a上で振動されて水切りされながら搬送され、前記排出部4dから前記ベルトコンベヤ9(無端ベルト9a)の搬送上流側に供給される。
【0030】
前記ベルトコンベヤ9(無端ベルト9a)の搬送上流側に供給されたピーナッツ原料は、順次、下流方向に搬送される際に、前記無端ベルト9aの搬送方向と同じ方向で、かつ、同じ搬送速度で回転する、前記回転ローラ部材9bの下方を通過する。これにより、ピーナッツ原料は、無端ベルト9a上での飛び跳ねや転がりが防止された停止状態となって、前記光学検出手段10に安定して搬送される。
【0031】
次いで、各ピーナッツ原料は、ベルトコンベヤ9の端部9eから放出され放物線状の落下軌跡Lを描きながら落下する。落下する各ピーナッツ原料は、前記光学検出位置Pにおいて前記照射部11,11からの照射光を受ける一方、前記CCDカメラ12(CCDカラーラインセンサ12b)は、前記照射光を受けたピーナッツ原料からの反射光を前記光学検出位置Pの長手方向に沿って走査・撮像(受光)する。
【0032】
前記CCDカメラ12が撮像した受光データ(画素情報)は、前記判別手段34に送られる。該判別手段34では前記受光データ(画素情報)がI/O39を介して前記CPU35に入り、前記CPU35が、前記受光データの良・不良の判定を行う。前記CPU35は、前記ROM36に記憶された判別しきい値と、前記受光データを画素単位ごとのRGB(カラー)光量とを対比し、各画素情報が不良品であるか否かを判別し、判別した不良品画素をRAM37に順次記憶する。
【0033】
前記CPU35は、RAM37に記憶した不良品画素が連続して複数あることを検出すると、前記前記I/O38を介して、前記不良品画素に対応した電磁弁を駆動させる選別信号を前記エジェクタバルブ駆動回路40に出力する。前記エジェクタバルブ駆動回路40は、前記選別信号による電磁弁を駆動させる駆動信号を、任意の遅延時間が経過した後に、当該電磁弁に出力して弁を開閉駆動し、これに対応した噴風口(エアノズル31)から高圧エアーを噴風させる。噴風された高圧エアーは落下軌跡L上の不良品に当接し、不良品Fは前記不良品収容部32に収容される。一方、良品Rについては、落下軌跡Lに沿って落下して前記良品収容部33に収容される。
【0034】
本発明における特徴的作用を説明する。
【0035】
前記ベルトコンベヤ9の端部9eから放出されるピーナッツ原料には、ベルトコンベヤ9での搬送中にピーナッツから剥離した湿った皮K(ピーナッツ表面の薄い皮)が混入している。この湿った皮Kは、落下軌跡Lに沿って落下せず、前記バックグラウンド部13における透明円筒体14上に落下して付着するので、本発明は、これを前記筒体清掃部28によって清掃除去する。すなわち、透明円筒体14は、前記ギヤモータ25の回転出力によって常時回転されており、透明円筒体14に付着した前記皮Kは、前記噴風ノズル29から常時噴出している高圧水Wによって透明円筒体14の表面から洗い落とされる。この後、前記透明円筒体14は更に回転し、該透明円筒体14の表面に付着した前記高圧水による水滴Wが前記ワイパブレード(清掃体)30によって拭き落とされる。なお、本発明における筒体清掃部28は、前記皮Kを前記ワイパブレード(清掃体)30によって拭き落とすのではなく前記高圧水で洗い落とすので、前記ワイパブレード(清掃体)30によって油脂分を含んだ前記皮Kを拭く際に油脂分が透明円筒体14に付着・残留して、CCDカメラ12に放つバックグラウンド光の質が低下することがない。
【0036】
以上のことにより、前記透明円筒体14における、CCDカメラ12にバックグラウンド光を放つ上面部14bは、常に前記皮や水滴が付着していない状態が保たれるため、前記CCDカメラ12及び判別手段34が、前記皮や水滴を光学検出して良・不良の誤判別をすることがなく、選別精度を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のベルト式光学選別機の前面側の全体斜視図を示す。
【図2】同ベルト式光学選別の後面側の全体斜視図を示す。
【図3】図1におけるA−A.断面図を示す。
【図4】図3における部分拡大図を示す。
【図5】バックグラウンド部の縦側断面図を示す。
【図6】判別手段のブロック図を示す。
【符号の説明】
【0038】
1 ベルト式光学選別機
2 振動コンベヤ
3 光学選別本体部
4 水切槽
4a 水切多孔板
4b 底面
4c 排水口
4d 排出部
5 振動モータ
5a 支持部材
6 運転操作盤
7 クランプ
8 押え角材
9 ベルトコンベヤ
9a 無端ベルト
9b 回転ローラ
9c 原料安定化ローラ
9d 回転ローラ部材
9e 端部
10 光学検出手段
11 照射部
11a 透明円筒体
11b 蛍光灯
11c 間隙
12 CCDカメラ(受光センサ部)
12a 検出光路(光軸)
12b CCDカラーラインセンサ
12c 集光レンズ
13 バックグラウンド部
14 透明円筒体
14a 筒体
14b 上面部
15 蛍光灯
15a 蛍光灯保持部材
16 端部カバー
17 端部カバー
18 電源コード
19 通気孔(エアー通風部)
20 エアー供給管(エアー通風部)
21 端部カバー
22 端部カバー
23 排気孔(エアー通風部)
24 ベアリング
25 ギヤモータ(回転駆動部材)
25a 減速ギヤボックス
25b モータ部
25c 回転出力軸
26 嵌合凹部
27 機枠
28 筒体清掃部
28a 機外排出口
29 噴水ノズル
30 ワイパブレード(清掃体)
31 エアノズル(不良品選別手段)
32 不良品収容部
32a ネット部材
33 良品収容部
33a ネット部材
34 判別手段
35 中央演算部(CPU)
36 読み出し専用記憶部(ROM)
37 読み出し・書き込み用記憶部(RAM)
38 入出力回路(I/O)
39 入出力回路(I/O)
40 エジェクタバルブ駆動回路
41 操作用モニタ(表示部)
42 密閉カバー
F 不良品
K 皮(ピーナッツ等の皮)
L 落下軌跡
P 光学検出位置
R 良品
W 水(高圧水)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粒状物を搬送するベルトコンベヤと、
該ベルトコンベヤによって搬送・放出した原料粒状物の落下軌跡上における光学検出位置に対して光を照射する照射部、前記光学検出位置における原料粒状物からの反射光を受光する受光センサ部及び該受光センサ部の光学検出位置におけるバックグラウンド部からなる光学検出手段と、
前記受光センサ部が受光した受光データに基づいて選別されるべき粒状物を判別する判別手段と、
前記落下軌跡における光学検出手段を設けた位置よりも下流側に配設するとともに前記判別手段からの選別信号に基づいて選別されるべき粒状物を選別する不良品選別手段と、
を備えたベルト式光学選別機において、
前記バックグラウンド部は、蛍光灯を内部に設けた透明円筒体と該透明円筒体を回転させる回転駆動部材とを有してなる一方、該透明円筒体の外周には、該透明円筒体に対して水を噴き付ける噴水ノズルと前記透明円筒体の表面と接して該透明円筒体の表面を清掃する清掃体とを有してなる筒体清掃部を配設したことを特徴とするベルト式光学選別機。
【請求項2】
前記回転駆動部材は透明円筒体を前記落下軌跡の落下方向側に回転させる一方、前記筒体清掃部における前記噴水ノズル及び清掃体は、前記透明円筒体の上面部から該透明円筒体の回転方向側に沿って順次配設した請求項1に記載のベルト式光学選別機
【請求項3】
前記バックグラウンド部は、前記透明円筒体内にエアーを通風するエアー通風部を設けた請求項1又は請求項2に記載のベルト式光学選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−90197(P2009−90197A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262427(P2007−262427)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】