説明

ベータ−トリプターゼ阻害剤としてのトロピノンベンジルアミン類

本発明は、式(I)の一連の置換トロピノンベンジルアミン類を開示し、そして特許請求する。より詳細には、本発明の化合物はβ−トリプターゼの阻害剤であり、従って、薬剤として有用である。さらに、本発明はまた、置換トロピノンベンジルアミン類の製造方法を開示する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連の置換トロピノンベンジルアミン類に関する。本発明の化合物はβ−トリプターゼの阻害剤であり、従って薬剤として有用である。さらに、本発明はまた、置換トロピノンベンジルアミン類及びそれらのための中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の説明
マスト細胞媒介炎症性状態、特に喘息は、増大しつつある公衆衛生上の懸念である。喘息はしばしば、免疫特異性アレルゲン及び一般的な化学的又は物理的刺激の両方に対する気管及び気管支の反応性亢進の進行性の発生を特徴とし、これらは慢性炎症の開始をもたらす。IgE受容体を含む白血球、特にマスト細胞及び好塩基球は、気管支の上皮及び下にある平滑筋に存在する。これらの白血球は、特定の吸入された抗原のIgE受容体への結合により最初に活性化されて、次いで多数の化学伝達物質を放出する。例えば、マスト細胞の脱顆粒は、プロテオグリカン、ペルオキシダーゼ、アリールスルファターゼB、キマーゼ、及びトリプターゼの放出をもたらし、これが細気管支収縮を生じる。
【0003】
トリプターゼはマスト細胞の分泌顆粒に貯蔵され、そしてヒトマスト細胞の主要な分泌プロテアーゼである。トリプターゼは様々な生物学的プロセスに関与しており、これらとしては、血管拡張及び気管支拡張性神経ペプチドの分解(非特許文献1;非特許文献2;及び非特許文献3)並びにヒスタミンに対する気管支の反応性の調節(非特許文献4)が挙げられる。
【0004】
結果としてトリプターゼ阻害剤は、抗炎症剤として(非特許文献5)、特に慢性喘息の処置において(非特許文献6)有用であり得、そしてまた、アレルギー性鼻炎(非特許文献7)、炎症性腸疾患(非特許文献8)、乾癬(非特許文献9)、結膜炎(非特許文献10)、アトピー性皮膚炎(非特許文献11)、関節リウマチ(非特許文献12)、変形性関節症(非特許文献13)、痛風関節炎、リウマチ様脊椎炎、及び関節軟骨破壊の疾患の処置又は予防においても有用であり得る。
【0005】
さらに、トリプターゼは、線維芽細胞の強力なマイトジェンであることが示されており、喘息及び間質性肺疾患における肺線維症へのその関与が示唆された(非特許文献14)。
【0006】
従って、トリプターゼ阻害剤は、線維性状態(非特許文献15)、例えば、線維症、強皮症(sceleroderma)、肺線維症、肝硬変、心筋線維症、神経線維腫及び過形成性瘢痕の処置又は予防において有用であり得る。
【0007】
さらに、トリプターゼ阻害剤は、心筋梗塞、脳卒中、アンギナ及び他の動脈硬化プラークの破綻の結果の処置又は予防において有用であり得る(非特許文献16)。
【0008】
トリプターゼはまた、プロストロメリシン(prostromelysin)を活性化することも発見されており、これが今度はコラゲナーゼを活性化し、それによりそれぞれ軟骨及び歯周結合組織の破壊を開始させる。
【0009】
従って、トリプターゼ阻害剤は、関節炎、歯周病、糖尿病性網膜症、及び腫瘍増殖の処置又は予防において有用であり得る(非特許文献17)。また、トリプターゼ阻害剤は、アナフィラキシー(非特許文献18)、多発性硬化症(非特許文献19)、消化性潰瘍及び合胞体ウイルス感染の処置において有用であり得る。
【0010】
このような化合物は、トリプターゼの阻害剤の投与により寛解され得、そしてセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)代謝の減少した傾向を有する状態、例えばマスト細胞媒介炎症状態、炎症、及び血管拡張性及び気管支拡張性神経ペプチドの分解に関連する疾患又は障害に罹患している患者の処置において容易に有用性を有するはずである。
【0011】
β−トリプターゼは、マスト細胞顆粒のみに最も豊富なセリンプロテアーゼとして位置し、そしてアレルゲンによるIgE受容体の刺激後に放出される。実験動物において、β−トリプターゼ放出はヒト喘息の炎症及び気管支収縮特徴を誘発する。線維芽細胞活性化を引き起こし、そしてそれ故、気道リモデリングにおいて役割を有するとも考えられている。β−トリプターゼのレベルは、喘息患者由来の気管支肺胞洗浄液(BALF)において上昇する。吸入β−トリプターゼ阻害剤(APC−366 − 気管支刺激のために終了されたので)を用いた、喘息についての臨床的な実証実験(気管支アレルゲンチャレンジ)が報告されている。β−トリプターゼ阻害剤は、多数の炎症促進性の適応症、特に喘息及び潜在的にはCOPDの症状及び病因に影響を及ぼす可能性を有する。
【0012】
セリンプロテアーゼ阻害剤の1つの一般的なクラスとしてベンジルアミン含有トリプターゼ阻害剤はまた、アミンオキシダーゼ、特にSSAOの基質として認識される。
【0013】
本明細書において記載される参考文献は全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Caughey、et al.、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1988、244、pages 133−137
【非特許文献2】Franconi、et al.、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1988、248、pages 947−951
【非特許文献3】Tam、et al.、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.、1990、3、pages 27−32
【非特許文献4】Sekizawa、et al.、J.Clin.Invest.、1989、83、pages 175−179
【非特許文献5】K Rice、P.A.Sprengler、Current Opinion in Drug Discovery and Development、1999、2(5)、pages 463−474
【非特許文献6】M.Q.Zhang、H.Timmerman、Mediators Inflamm.、1997、112、pages 311−317
【非特許文献7】S.J.Wilson et al、Clin.Exp.Allergy、1998、28、pages 220−227
【非特許文献8】S.C.Bischoff et al、Histopathology、1996、28、pages 1−13
【非特許文献9】A.Naukkarinen et al、Arch.Dermatol.Res.、1993、285、pages 341−346
【非特許文献10】A.A.Irani et al、J.Allergy Clin.Immunol.、1990、86、pages 34−40
【非特許文献11】A.Jarvikallio et al、Br.J.Dermatol.、1997、136、pages 871−877
【非特許文献12】L.C Tetlow et al、Ann.Rheum.Dis.、1998、54、pages 549−555
【非特許文献13】M.G.Buckley et al、J.Pathol.、1998、186、pages 67−74
【非特許文献14】Ruoss et al.、J.Clin.Invest.、1991、88、pages 493−499
【非特許文献15】J.A.Cairns and A.F.Walls、J.Clin.Invest.、1997、99、pages 1313−1321
【非特許文献16】M.Jeziorska et al、J.Pathol.、1997、182、pages 115−122
【非特許文献17】W.J.Beil et al、Exp.Hematol.、(1998) 26、pages 158−169
【非特許文献18】L.B.Schwarz et al、J.Clin.Invest.、1995、96、pages 2702−2710
【非特許文献19】M.Steinhoff et al、Nat.Med.(N.Y.)、2000、6(2)、pages 151−158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、β−トリプターゼの阻害剤である一連の置換トロピノンベンジルアミン類を提供することが本発明の目的である。
【0016】
本明細書に開示される置換トロピノンベンジルアミン類の製造のための方法を提供することも本発明の目的である。
【0017】
本発明の他の目的及び適用性のさらなる範囲は以下の詳細な説明から明らかとなるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要旨
本発明は、βトリプターゼの阻害剤としての、式Iの置換トロピノンベンジルアミン類、並びに上記化合物の立体異性体、鏡像異性体、ラセミ化合物及び互変異性体、並びにその薬学的に許容しうる塩、並びに疾患及び障害の処置のための薬剤として式Iの化合物を使用する方法を提供する。
【0019】
従って、本発明の実施に従って、式(I):
【化1】

[式中、
R1は、F、Cl、Br、OCH2CO2CH3、CH2OH、並びに他のアルキル、ハロアルキル及びアルコキシ、ハロアルコキシ基であり;
R2はアリール又はヘテロアリールである]
の化合物が提供される。
【0020】
本発明はさらに、式(I)の化合物の種々の鏡像異性体又はジアステレオマーをを含む式(I)の化合物の種々の塩を含む。
【0021】
本発明のさらなる実施態様は、患者においてβ−トリプターゼ活性を阻害するための方法に関し、該方法は、該患者に治療有効量のβ−トリプターゼの阻害剤を投与することを含む。
【0022】
本発明の別の実施態様は、患者においてβ−トリプターゼ活性を阻害するための方法に関し、該方法は、該患者に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0023】
本発明の別の実施態様は、β−トリプターゼの阻害により寛解される疾患又は障害に罹患している患者を処置するための方法に関し、該方法は、治療有効量の式Iの化合物を該患者に投与することを含む。
【0024】
本発明の他の局面において、1つ又はそれ以上の式(I)の化合物を含む種々の医薬組成物、さらにはβ−トリプターゼの阻害により寛解される種々の疾患の軽減におけるそれらの治療上の使用も提供される。
【0025】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される用語は以下の意味を有する:
本明細書で使用される表現「(C1−C4)アルキル」は、メチル及びエチル基、並びに直鎖又は分子鎖のプロピル及びブチル基を含む。特定のアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びtert−ブチルである。「(C1−C4)アルコキシ」、「(C1−C4)アルコキシ(C1−C4)アルキル」、又は「ヒドロキシ(C1−C4)アルキル」のような派生表現はそれに合わせて解釈されるべきである。
【0026】
本明細書で使用される表現「(C1−C6)ペルフルオロアルキル」は、そのアルキル基における全ての水素原子がフッ素原子で置き換えられていることを意味する。説明のための例としては、トリフルオロメチル及びペンタフルオロエチル、並びに直鎖又は分子鎖のヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル及びトリデカフルオロヘキシル基が挙げられる。派生表現「(C1−C6)ペルフルオロアルコキシ」は、それに合わせて解釈されるべきである。
【0027】
「ハロゲン」又は「ハロ」はクロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
【0028】
本明細書で使用される「患者」は、例えばラット、マウス、イヌ、ネコ、モルモット、及び霊長目、例えばヒトのような温血動物を意味する。
【0029】
本明細書で使用される表現「薬学的に許容しうる担体」は、非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント、又は医薬組成物、すなわち患者への投与が可能な投薬形態の形成を可能にするために本発明の化合物と混合される他の材料を意味する。このような担体の一例はまた、滅菌水、又は石油、動物、植物若しくは合成起源のものを含む薬学的に許容しうる油脂、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などであり得る。医薬組成物が静脈内投与される場合、水は好ましい担体である。食塩水,並びにデキストロース水溶液及びグリセロール水溶液も液状担体として、特に非経口投与のために使用され得る。
【0030】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容しうる塩」は、本発明の化合物の塩が医薬製剤において使用され得ることを意味する。しかし、他の塩は、本発明の化合物又はそれらの薬学的に許容しうる塩の製造において有用であるかもしれない。本発明の化合物の適切な薬学的に許容しうる塩としては、酸付加塩が挙げられ、これらは例えば本発明の化合物を、薬学的に許容しうる酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルファミン酸、硫酸、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、桂皮酸、2−フェノキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、炭酸又はリン酸の溶液と混合することにより形成され得る。酸金属塩、例えばオルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムも形成され得る。また、このようにして形成された塩は、一酸塩又は二酸塩のいずれかとして現れてもよく、そして実質的に無水で存在していても水和されていてもよい。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その適切な薬学的に許容しうる塩としては、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩、及び適切な有機リガンドと形成された塩、例えば第四級アンモニウム塩が挙げられ得る。
【0031】
「立体異性体」という表現は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体に対して使用される全般的な用語である。典型的には、少なくとも1つの不斉中心に起因して通常形成される鏡像異性体(エナンチオマー)がこれに含まれる。本発明の化合物が2つ又はそれ以上の不斉中心を有する場合、それらはさらにジアステレオマーとして存在し得、また特定の個々の分子は幾何異性体(cis/trans)として存在し得る。同様に、本発明の特定の化合物は、速い平衡にある2つ又はそれ以上の構造的に異なる形態(一般的に互変異性体として知られる)の混合物で存在し得る。互変異性体の代表例としては、ケト−エノール互変異性体、フェノール−ケト互変異性体、ニトロソ−オキシム互変異性体、イミン−エナミン互変異性体などが挙げられる。当然のことながら、全てのこのような異性体及びいずれかの比率のそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0032】
本明細書で使用される「R」及び「S」は、キラル中心の特定の配置を示すために有機化学において一般的に使用される用語として使用される。用語「R」(右(rectus))は、キラル中心の配置が、もっと低い優先度の基に向かって結合に沿って見た場合に基の優先順位が(最も高いものから二番目に低いものへ)時計回りの関係にあるということを指す。用語「S」(左(sinister))は、キラル中心の配置が、もっと低い優先度の基に向かって結合に沿って見た場合に基の優先順位が(最も高いものから二番目に低いものへ)反時計回りの関係にあるということを指す。基の優先順位は、優先順位付けが第一に原子番号に基づく(減少する原子番号順)順序づけ規則に基づく。優先順位のリスト及び考察は、Stereochemistry of Organic Compounds、Ernest L.Eliel、Samuel H.Wilen and Lewis N.Mander、editors、Wiley−Interscience、John Wiley & Sons、Inc.、New York、1994に含まれる。
【0033】
(R)−(S)系に加えて、より古いD−L系も、特にアミノ酸を参照して、絶対配置を示すために本明細書において使用され得る。この系において、フィッシャー投影式は、主鎖の番号1の炭素が一番上になるような向きにされる。接頭辞「D」は、官能(決定)基がキラル中心の炭素の右側にある異性体の絶対配置を表すために使用され、そして「L」はそれが左側にある異性体の絶対配置を表すために使用される。
【0034】
広い意味で、用語「置換される」は、有機化合物の全ての容認される置換基を含むことを企図される。本明細書において開示される特定の実施態様の少数において、用語「置換される」は、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C1−C6)ペルフルオロアルキル、フェニル、ヒドロキシ、−CO2H、エステル、アミド、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)チオアルキル、(C1−C6)ペルフルオロアルコキシ、−NH2、Cl、Br、I、F、−NH−低級アルキル、−N(低級アルキル)2からなる群より独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換されていることを意味する。しかし、当業者に公知の他の適切な置換基のいずれもこれらの実施態様において使用することができる。
【0035】
「治療有効量」は、指定された疾患、障害又は状態の処置において有効である化合物の量を意味する。
【0036】
用語「処置すること」は以下を指す:
(i) 疾患、障害及び/又は状態にかかる素因があり得るがそれを有するとはまだ診断されていない患者においてその疾患、障害又は状態が発生するのを予防すること;
(ii) 疾患、障害又は状態を抑制すること、すなわちその進行を停止させること;並びに
(iii) 疾患、障害又は状態を軽減すること、すなわち、疾患、障害及び/又は状態の後退を引き起こすこと。
【0037】
従って、本発明の実施によれば、式I:
【化2】

[式中、
R1は、F、Cl、Br、OCH2CO2CH3、CH2OH、並びに他のアルキル、ハロアルキル及びアルコキシ、ハロアルコキシ基であり;そして
R2は、場合により置換されるアリール又はヘテロアリールである]
の化合物が提供される。
【0038】
本発明はさらに、式(I)の化合物の種々の鏡像異性体又はジアステレオマーを含めて、式(I)の化合物の種々の塩を含む。本明細書の上で示したように、そして本明細書の以後で具体例として示されるように、薬学的に許容しうる塩を含めて形成され得る全ての塩は本発明の一部である。本明細書の上で、及び以後でも示すように、式(I)の化合物の考えられる全ての鏡像異性体及びジアステレオマーの形態は本発明の一部である。
【0039】
実施態様の1つにおいて、R1がF、Cl、Br、OCH2CO2CH3又はCH2OHである式(I)の化合物提供される。
【0040】
本発明の別の実施態様において、式中、
【化3】

であり、ここで
R3はアルキル、又はヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、複素環、アリール、場合により置換されるアリール、ヘテロアリール若しくは場合により置換されるヘテロアリールより選択される1つ若しくはそれ以上の基で場合により置換されるアルキルであり;
R4及びR5はそれぞれ独立して、H、ハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキル、アミド、ウレイル、カルボキシル、スルホニルアミド、スルホニルウレア;ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールより選択される1つ又はそれ以上の基で場合により置換されるアルキルであり;そして
1、W2、W3又はW4はN、CH、CR4又はCR5である、式(I)の化合物も提供される。
【0041】
本発明のさらに別の実施態様において、R2が場合により置換されるインドリル又はチオフェニルである式(I)の化合物も提供される。
【0042】
本発明のさらなる局面において、いかなる限定もなく本発明の範囲内に包含される以下の化合物が列挙され得る:
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;及び
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−イル)−メタノン塩酸塩。
【0043】
上記の化合物は全て、その薬学的に許容しうる塩を含めて、可能であれば対応する塩も含み得る。
【0044】
本発明は、ベータトリプターゼ阻害活性を有する一連の化合物を生成するために使用することができる新規な代替の骨格を記載する。ピペリジニルベンジルアミン類の構造活性相関(SAR)に基づいて、このコンホメーションの制限された骨格が、ベータトリプターゼのようなセリンプロテアーゼの阻害剤としての有用性を有するようにP4及びP1(ベンジルアミン)基を配向させるかどうかを決定するために、いくつかのP4基を選択した。
【0045】
本発明の化合物は、当業者に公知の手順のいずれかにより合成することができる。詳細には、本発明の化合物の製造において使用されるいくつかの出発物質は公知であるか、又はそれ自体市販されている。本発明の化合物及びいくつかの前駆体化合物もまた、文献に報告され、さらに本明細書に記載されるように、類似した化合物を製造するために使用される方法により製造され得る。例えば、R.C.Larock、「Comprehensive Organic Transformations」,VCH publishers、1989を参照のこと。
【0046】
種々の有機反応において、例えばアミノ基のような反応性官能基を、望ましくない反応にそれらが参加することを避けるために保護することが必要であるかもしれないということもまた周知である。従来の保護基を標準的な技法に従って使用し得、そしてこれらは当業者に公知であり、例えばT.W.Greene and P.G.M.Wuts in 「Protective Groups in Organic Chemistry」 John Wiley and Sons、Inc.、1991を参照のこと。例えば、適切なアミン保護基としては、いかなる限定もなく、スルホニル(例えば、トシル)、アシル(例えば、ベンジルオキシカルボニル又はt−ブトキシカルボニル)及びアリールアルキル(例えば、ベンジル)が挙げられ、これらはそれぞれに見合った加水分解又は水素添加により後で除去され得る。他の適切なアミン保護基としては、トリフルオロアセチル[−C(=O)CF3](これは塩基触媒加水分解により除去され得る)、又は固相樹脂結合ベンジル基、例えばMerrifield樹脂結合2,6−ジメトキシベンジル基(Ellmanリンカー)若しくは2,6−ジメトキシ−4−[2−(ポリスチリルメトキシ)エトキシ]ベンジル(これらは酸触媒加水分解、例えばTFAにより除去され得る)が挙げられる。
【0047】
この実施態様の別の局面において、本発明の化合物を用いて予防及び/又は処置され得る特定の疾患、障害又は状態としては、いかなる限定もなく、以下が挙げられる:
炎症性疾患、例えば、関節炎、関節リウマチ、及び他の関節炎状態、例えばリウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症若しくは他の慢性炎症性関節疾患を含む関節の炎症、又は関節軟骨破壊の疾患、眼の結膜炎、春季結膜炎、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、間質性肺疾患、線維症、強皮症(sceleroderma)、肺線維症、肝硬変、心筋線維症、神経線維腫、過形成性瘢痕、種々の皮膚科学的状態(例えばアトピー性皮膚炎及び乾癬)、心筋梗塞、脳卒中、アンギナ、又は他の動脈硬化プラークの破綻の結果、さらには歯周病、糖尿病性網膜症、黄斑変性、急性黄斑変性、滲出型黄斑変性、腫瘍増殖、アナフィラキシー、多発性硬化症、消化性潰瘍、又は合胞体ウイルス感染。
【0048】
トリプターゼはマスト細胞の分泌顆粒に貯蔵され、そしてヒトマスト細胞の主要な分泌プロテアーゼである。ベータ−トリプターゼは様々な生物学的プロセスに関与しており、これらとしては、血管拡張性及び気管支弛緩神経ペプチドの分解(Caughey、et al.、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1988、244、pages 133−137;Franconi、et al.、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1988,248、pages 947−951;及びTam、et al.、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.、1990、3、pages 27−32)並びにヒスタミンに対する気管支の反応性の調節(Sekizawa、et al.、J.Clin.Invest.、1989、83、pages 175−179)が挙げられる。結果としてトリプターゼ阻害剤は、抗炎症剤として(K Rice、P.A.Sprengler、Current Opinion in Drug Discovery and Development、1999、2(5)、pages 463−474)、特に慢性喘息の処置において(M.Q.Zhang、H.Timrnerman、Mediators Inflarnm.、1997、112、pages 311−317)有用であり得、そしてまた、アレルギー性鼻炎(S.J.Wilson et al、Clin.Exp.Allergy、1998,28、pages 220−227)、炎症性腸疾患(S.C.Bischoff et al、Histopathology、1996,28、pages 1−13)、乾癬(A.Naukkarinen et al、Arch.Dermatol.Res.、1993,285、pages 341−346)、結膜炎(A.A.Irani et al、J.Allergy Clin.Immunol.、1990、86、pages 34−40)、アトピー性皮膚炎(A.Jarvikallio et al、Br.J.Dermatol.、1997、136、pages 871−877)、関節リウマチ(L.C Tetlow et al、Ann.Rheum.Dis.、1998,54、pages 549−555)、変形性関節症(M.G.Buckley et al、J.Pathol.、1998、186、pages 67−74)、痛風関節炎、リウマチ様脊椎炎、及び関節軟骨破壊の疾患の処置又は予防においても有用であり得る。さらに、トリプターゼは、線維芽細胞の強力なマイトジェンであることが示されており、喘息及び間質性肺疾患における肺線維症へのその関与が示唆された(Ruoss et al.、J.Clin.Invest.、1991,88、pages 493−499)。従って、トリプターゼ阻害剤は、線維性状態(J.A.Cairns and A.F.Walls、J.Clin.Invest.、1997、99、pages 1313−1321)、例えば、線維症、強皮症(sceleroderma)、肺線維症、肝硬変、心筋線維症、神経線維腫及び過形成性瘢痕の処置又は予防において有用であり得る。
【0049】
さらに、トリプターゼ阻害剤は、心筋梗塞、脳卒中、アンギナ及び他の動脈硬化プラークの破綻の結果の処置又は予防において有用であり得る(M.Jeziorska et al、J.Pathol.、1997、182、pages 115−122)。
【0050】
トリプターゼはまた、プロストロメリシン(prostromelysin)を活性化することも発見されており、これが今度はコラゲナーゼを活性化し、それによりそれぞれ軟骨及び歯周結合組織の破壊を開始させる。
【0051】
従って、トリプターゼ阻害剤は、関節炎、歯周病、糖尿病性網膜症、及び腫瘍増殖の処置又は予防において有用であり得る(W.J.Beil et al、Exp.Hematol.、(1998) 26、pages 158−169)。また、トリプターゼ阻害剤は、アナフィラキシー(L.B.Schwarz et al、J.Clin.Invest.、1995,96、pages 2702−2710)、多発性硬化症(M.Steinhoff et al、Nat.Med.(N.Y.)、2000、6(2)、pages 151−158)、消化性潰瘍及び合胞体ウイルス感染の処置において有用であり得る。
【0052】
従って、本発明の化合物は、β−トリプターゼの阻害により寛解され得る疾患又は状態の処置において有用性を有し得る。
【0053】
従って本発明の一局面において、患者において疾患を処置する方法が提供され、該疾患は、炎症性疾患、例えば、関節炎、関節リウマチ、及び他の関節炎状態、例えばリウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症若しくは他の慢性炎症性関節疾患を含む関節の炎症、又は関節軟骨破壊の疾患、眼の結膜炎、春季結膜炎、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、間質性肺疾患、線維症、強皮症(sceleroderma)、肺線維症、肝硬変、心筋線維症、神経線維腫、過形成性瘢痕、種々の皮膚科学的状態(例えばアトピー性皮膚炎及び乾癬)、心筋梗塞、脳卒中、アンギナ、又は他の動脈硬化プラークの破綻の結果、さらには歯周病、糖尿病性網膜症、黄斑変性、急性黄斑変性、滲出型黄斑変性、腫瘍増殖、アナフィラキシー、多発性硬化症、消化性潰瘍、又は合胞体ウイルス感染からなる群より選択され、該方法は、該患者に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。
【0054】
当業者は、本明細書において明確に述べられている病理及び疾患状態は限定を意図されるのではなく、本発明の化合物の有効性を説明することを意図されるということを容易に理解する。従って、当然のことながら、本発明の化合物は、β−トリプターゼの効果により引き起こされるいずれかの疾患を処置するために使用され得る。すなわち、上記のように、本発明の化合物はβ−トリプターゼの阻害剤であり、そしてβ−トリプターゼにより全部又は一部媒介されるいずれかの疾患状態を寛解させるために効果的に投与され得る。
【0055】
本明細書において開示される本発明の化合物の種々の実施態様は全て、本明細書に記載される種々の疾患状態を処置する方法において使用され得る。本明細書に記載されるように、本発明の方法において使用される化合物は、β−トリプターゼの効果を阻害し、そしてそれにより、β−トリプターゼの活性に起因して引き起こされる効果及び/又は状態を軽減することができる。
【0056】
本発明の方法の別の実施態様において、本発明の化合物は、当該分野で公知の方法のいずれかにより投与され得る。詳細には、本発明の化合物は、経口、非経口、筋内、皮下、直腸、気管内、鼻腔内、腹腔内又は局所の経路で投与され得る。
【0057】
最後に、本発明のさらに別の実施態様において、薬学的に許容しうる担体、並びに式(I)の化合物(該化合物の鏡像異性体、立体異性体、及び互変異性体並びにその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物、又は誘導体を含む)を含む医薬組成物も提供され、該化合物は本明細書において記載される式Iで示される一般構造を有する。
【0058】
本明細書において記載されるように、本発明の医薬組成物はβ−トリプターゼ阻害活性を特徴とし、それ故、患者においてβ−トリプターゼの効果に起因して引き起こされるいずれかの疾患、状態又は障害の処置において有用である。さらに、上記のように、本明細書において開示される本発明の化合物の好ましい実施態様は全て、本明細書に記載される医薬組成物の製造において使用され得る。
【0059】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与のため、又は吸入若しくはガス注入による投与のための;錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤若しくは懸濁剤、定量エアロゾル若しくは液体スプレー剤、点滴剤、アンプル剤、自動注入装置又は坐剤のような単位投薬形態である。あるいは、組成物は、週に一回又は月に一回の投与に適した形態;例えば、活性化合物の不溶性塩、例えばデカン酸塩で提示され得、筋内注射のためのデポー製剤を提供するように適合され得る。活性成分を含有する侵食性ポリマーが構想され得る。錠剤のような固形組成物を製造するために、主要活性成分を医薬担体、例えば従来の錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はゴム、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩の均一な混合物を含有する固形予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均一と言及する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセル剤のような均等に効果的な単位投薬形態へと容易に細分され得るように、組成物全体にわたってその活性成分が一様に分散されていることを意味する。次いでこの固形予備処方組成物を、本発明の活性成分0.1〜約500mgを含有する上記の種類の単位投薬形態に細分する。香味付けされた単位投薬形態は、活性成分を1〜100mg、例えば1、2、5、10、25、50又は100mg含有する。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、長期の作用の利点を提供する投薬形態を提供するためにコーティングされるか又は他の方法で混合され(compounded)得る。例えば、錠剤又は丸剤は、内部投薬成分及び外部投薬成分とを含み得、後者は前者を覆う包膜の形態である。2つの成分を腸溶層で分離してもよく、この腸溶層は胃での崩壊に耐えるために役立ち、そして内部成分が十二指腸までインタクトなまま通過するか遅れて放出されることを可能にする。このような腸溶性の層又はコーティングのために種々の材料を使用することができ、このような材料としては、多数のポリマー酸及びシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料とのポリマー酸の混合物が挙げられる。
【0060】
本発明の新規な組成物が経口投与又は注射による投与のために組み込まれ得る液状形態としては、水性液剤、適切に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性の懸濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又は落花生油のような食用油を用いた香味付け乳剤、さらにはエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルが挙げられる。水性懸濁剤のための適切な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然のゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0061】
本発明の医薬組成物は、当外分野で公知の方法のいずれかにより投与され得る。一般に、本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋内、皮下、直腸、気管内、鼻腔内、腹腔内又は局所の経路で投与され得る。本発明の医薬組成物の好ましい投与は、経口及び鼻腔内経路によるものである。経口又は鼻腔内経路により医薬組成物を投与するための公知の方法のいずれかが本発明の組成物を投与するために使用され得る。
【0062】
本明細書に記載される種々の疾患状態の処置において、適切な投薬レベルは1日当たり約0.01〜250mg/kg、好ましくは1日あたり約0.05〜100mg/kg、そして特に1日あたり約0.05〜20mg/kgである。化合物を1日あたり1〜4回の投与計画で投与してもよい。
【0063】
本発明はさらに以下の実施例により説明され、これらの実施例は説明の目的のために提供されるのであり、本発明の範囲を決して限定しない。
【0064】
実施例(一般)
以下の実施例及び製造において使用されるように、そこで使用される用語は示される意味を有するものとする:「kg」はキログラムを指し、「g」はグラムを指し、「mg」はミリグラムを指し、「μg」はマイクログラムを指し、「pg」はピコグラムを指し、「lb」はポンドを指し、「oz」はオンスを指し、「mol」はモルを指し、「mmol」はミリモルを指し、「μmole」はマイクロモルを指し、「nmole」はナノモルを指し、「L」はリットルを指し、「mL」又は「ml」はミリリットルを指し、「μL」はマイクロリットルを指し、「gal」はガロンを指し、「℃」は摂氏温度を指し、「Rf」は保持因子を指し、「mp」又は「m.p.」は融点を指し、「dec」は分解を指し、「bp」又は「b.p.」は沸点を指し、「mmHg」はミリメートル水銀柱での圧力を指し、「cm」はセンチメートルを指し、「nm」はナノメートルを指し、「abs.」は無水を指し、「conc.」は濃縮(された)を指し、「c」はg/mLでの濃度を指し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを指し、「CDI」は1,1'−カルボニルジイミダゾールを指し、「DCM」又は「CH2Cl2」はジクロロメタンを指し、「DCE」は1,2−ジクロロエタンを指し、「HCl」は塩酸を指し、「EtOAc」は酢酸エチルを指し、「PBS」はリン酸緩衝化生理食塩水を指し、「IBMX」は3−イソブチル−1−メチルキサンチンを指し、「PEG」はポリエチレングリコールを指し、「MeOH」はメタノールを指し、「MeNH2」はメチルアミンを指し、「N2」は窒素ガスを指し、「iPrOH」はイソプロピルアルコールを指し、「Et2O」はエチルエーテルを指し、「LAH」は水素化リチウムアルミニウムを指し、「ヘプタン」はn−ヘプタンを指し、「HMBA−AM」樹脂は4−ヒドロキシメチル安息香酸アミノメチル樹脂を指し、「PdCl2(dppf)2」は1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドDCM錯体を指し、「HBTU」は2−(1H−ベンゾトリアゾール−1イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「DIEA」はジイソプロピルエチルアミンを指し、「CsF」はフッ化セシウムを指し、「MeI」はヨウ化メチルを指し、「AcN」、「MeCN」又は「CH3CN」はアセトニトリルを指し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を指し、「THF」はテトラヒドロフランを指し、「NMP」は1−メチル−2−ピロリジノンを指し、「H2O」は水を指し、「BOC」はt−ブチルオキシカルボニルを指し、「ブライン」は飽和塩化ナトリウム水溶液を指し、「M」はモル濃度を指し、「mM」はミリモル濃度を指し、「μM」はマイクロモル濃度を指し、「nM」はナノモル濃度を指し、「N」は規定を指し、「TLC」は薄層クロマトグラフィーを指し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指し、「HRMS」は高分解能質量スペクトルを指し、「L.O.D.」は乾燥減量を指し、「μCi」はマイクロキュリーを指し、「i.p.」は腹腔内を指し、「i.v.」は静脈内を指し、anhyd=無水;aq=水性;min=分;hr=時間;d=日;sat.=飽和;s=一重線、d=二重線;t=三重線;q=四重線;m=多重線;dd=二重二重線;br=幅広;r.t.=室温;LC=液体クロマトグラフ;MS=質量分析器;ESI/MS=エレクトロスプレーイオン化/質量分析器;RT=保持時間;M=分子イオン、「〜」=約である。
【0065】
反応は一般的に窒素雰囲気下で行った。溶媒は硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして真空下でロータリーエバポレーターでエバポレートした。TLC分析はEM Science silica gel 60 F254プレートを用いてUV照射により可視化して行った。フラッシュクロマトグラフィーをAlltechプレパックシリカゲルカートリッジを使用して行った。1H NMRスペクトルを300MHzにてGemini 300又はVarian Mercury 300分光計でASW 5mmプローブを用いて行い、そして別の指示がなければ、通常は周囲温度で重水素溶媒、例えばD2O、DMSO−D6又はCDCl3中で記録した。化学シフト値(δ)をテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として参照して百万分の一(ppm)で示す。
【0066】
保持時間(RT)及び関連した質量イオンを決定するための高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)実験を以下の方法のうち1つを使用して行った:
質量スペクトル(MS)をMicromass質量分析計を使用して記録した。一般に、使用される方法は、ポジティブエレクトロスプレーイオン化、走査質量m/z 100〜1000であった。液体クロマトグラフィーをHewlett Packard 1100シリーズバイナリポンプ及びデガッサー;使用した補助検出器は以下であった:Hewlett Packard 1100シリーズUV検出器、波長=220nm及びSedere SEDEX 75蒸発光散乱(ELS)検出器温度=46℃、N2圧=4bar。
LCT:グラジエント(AcN+0.05% TFA):(H2O+0.05% TFA)=5:95(0min)〜95:5(2.5min)〜95:5(3min)。カラム: YMC Jsphere 33x2 4μM、1ml/min
MUX: カラム:YMC Jsphere 33x2、1ml/min
グラジエント(AcN+0.05% TFA):(H2O+0.05% TFA)=5:95(0 min)〜95:5(3.4 min)〜95:5(4.4min)。
LCT2: YMC Jsphere 33x2 4μM、(AcN+0.05%TFA):(H2O+0.05%TFA)=5:95(0 min)〜95:5(3.4min)〜95:5(4.4min)
QU: YMC Jsphere 33x2 1ml/min、(AcN+0.08%ギ酸):(H2O+0.1%ギ酸)=5:95(0min)〜95:5(2.5min)〜95:5(3.0min)
【0067】
以下の実施例は、本発明の化合物のうちいくつかの製造のために使用された手順を記載する。
【実施例】
【0068】
実施例1
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩
【化4】

【0069】
工程A
N−(3−ブロモ−4−フルオロ−ベンジル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド
【化5】

3−ブロモ−4−フルオロ−ベンジルアミン塩酸塩(6.29g、26.2mmol)のEtOAc(100mL)中の混合物に0℃にてTEA(4mL、28.8mmol)を2分間かけて滴下した。10分後、TFAA(4.37mL、31.4mmol)を2分間かけて滴下した。この混合物を0℃で2時間撹拌した後、それをH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層をsat NaHCO3そしてブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルでヘプタン/EtOAc(50/50)を溶離液として用いて精製して生成物6.06 g(77%)をわずかに黄色の固体として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.51(dd、J=1.9、6.3Hz、1H)、7.30−7.20(m、2H)、7.12(t、J=12.5Hz、1H)、6.56(bs、1H)、4.49(d、J=5.9Hz、2H);
19F−NMR(CDCl3、282MHz)δ−75.32(s、3F)、−107.00(d、J=6.2Hz、1F) ;
LCMS 0.92 min m/z:[M+H]+=300。
【0070】
工程B
3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化6】

カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(60mL、30mmol、トルエン中0.5M)に−78℃で3−オキソ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル(6.1g、27.2mmol)の溶液を10分間かけて滴下した。5時間後、N−フェニルビストリフルオロメタンスルホンアミド(10.2g、28.7mmol)のTHF(10mL)溶液を加えた。5時間後、冷却浴を外し、そしてこの混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物をH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層を1M NaOHそしてブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮して生成物7.6g(78%)を透明無色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 6.10(d、J=4.2Hz、1H)、4.65−4.30(m、2H)、3.15−2.90 m、1H)、2.35−1.90(m、4H)、1.85−1.50(m、2H)、1.46(s、9H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−73.20及び−73.32(合計3F)。
【0071】
工程C
3−トリメチルスタンナニル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化7】

3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル(4.17g、11.6mmol)、1,1,1,2,2,2−ヘキサメチル−ジスタンナン(4.01g、12.2mmol)、無水LiCl(0.52g、12.3mmol)、及びテトラキスチフェニルホスフィンパラジウム(tetrakistiphenylphosphinepalladium)(0.67g、5% mol0の脱気したTHF(30mL)中の混合物を80℃で6時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、次いでH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルで溶離液としてヘプタン/EtOAc(100/0〜70/30)を用いて精製し、生成物1.66g(38%)を透明無色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 6.10−5.95(m、1H)、4.30−4.05(m、2H)、2.95−2.65(m、1H)、2.20−1.95(m、1H)、1.90−1.70(m、2H)、1.65−1.50(m、1H)、1.3
7(s、9H)、−0.07(s、9H)。
【0072】
工程D
3−{2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−メチル]−フェニル}−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化8】

3−トリメチルスタンナニル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル(1.66g、4.46mmol)、N−(3−ブロモ−4−フルオロ−ベンジル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(1.61、5.35mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.26g、5% molの脱気したトルエン(50mL)中の混合物を110℃で終夜加熱した。この混合物を室温まで冷却し、次いでH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルで溶離液としてヘプタン/EtOAc(80/20〜50/50)を用いて精製し、生成物1.33g(69%)を透明無色粘性ゴム状物質として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.20−7.10(m、2H)、7.05−6.95(m、1H)、6.63(bs、1H)、4.60−4.30(m、4H)、3.20−3.00(m、1H)、2.35−2.10(m、2H)、2.10−1.90(m、2H)、1.90−1.70(m、1H)、1.60−1.50(m、1H)、1.47(s、9H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −75.32(s、3F)、−114.02(s、1F);
LCMS 8.39 min m/z: [M+H]+=429。
【0073】
工程E
3−{2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−メチル]−フェニル}−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化9】

3−{2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−メチル]−フェニル}−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−8−カルボン酸
tert−ブチルエステル(4.87g、11.4mmol)及び10%Pd/C(1.0g)のMeOH(100mL)中の混合物を60psiで9時間水素添加した。この混合物をセライトを通してろ過し、そしてろ液を真空で濃縮した。残留物をCH2Cl2に再溶解し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮して生成物4.45g(90%)を白色泡状物質として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.15−6.90(m、3H)、6.60(bs、1H)、4.40(d、J=5.1Hz、2H)、4.40−4.15(m、2H)、3.50−3.35及び2.90−2.75(m、合計1H)、2.55−2.45(m、1H)、2.15−1.55(m、7H)、1.50(s、9H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−75.34(s、3F)、−117.06及び−118.66(合計、1F);
LCMS 1.08 min m/z: [M−H]+=429。
【0074】
工程F
N−[3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−4−フルオロ−ベンジル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド塩酸塩
【化10】

3−{2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−メチル]−フェニル}−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸 tert−ブチルエステル(4.45g、10.3mmol)のジオキサン中4M HCl(50mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物を濃縮乾固させ、そして残留物をEt2O(2x)と共蒸留して粗生成物4.15gを白色泡状物質として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 9.95−9.40(m、2H)、7.80−6.70(m、3H)、4.60−4.35(m、2H)、4.30−4.05(m、2H)、3.85−3.35(m、2H)、2.85−2.20(m、3H)、2.20−1.70(m、5H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−75.19及び−75.32(合計、3F)、−114.78及び−120.38(合計、1F);
LCMS 0.59 min m/z: [M+H]+=331。
【0075】
工程G
2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−3−{8−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−カルボニル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−ベンジル)−アセトアミド
【化11】

N−[3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−4−フルオロ−ベンジル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド塩酸塩(940mg、2.56mmol)、1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸(619mg、2.64mmol)、TEA(1.2mL、8.80mmol)、及びEDCI(540mg、3.10mmol)のCH2Cl2(50mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物をH2OとCH2Cl2との間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルでヘプタン/EtOAc(60/40〜0/100)を用いて精製して2つの生成物配座異性体を得た。
【0076】
配座異性体1:白色固体(480mg、40%)、より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(80/20)。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.80−7.60(m、1H)、7.46(s、1H)、7.20−6.95(m、5H)、6.81(bs、1H)、5.00−4.30(m、6H)、3.70(t、J=5.6Hz、2H)、3.65−3.45(m、1H)、3.29(s、3H)、2.71(s、3H)、2.25−1.40(m、8H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −75.27及び−75.29(合計、3F)、−117.00及び−118.93(合計、1F);
LCMS 1.03 min m/z: [M+H]+=546。
配座異性体2:白色固体(440mg、36%)、より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(25/75)。1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.80−7.60(m、1H)、7.46(s、1H)、7.20−6.95(m、5H)、6.82(bs、1H)、5.10−4.35(m、6H)、3.70(t、J=5.4Hz、2H)、3.30(s、3H)、3.20−3.00(m、1H)、2.71(s、3H)、2.60−2.35(m、1H)、2.25−1.40(m、7H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −75.26及び−75.30(合計、3F)、−116.98及び−118.95(合計、1F);
LCMS 1.02 min m/z: [M+H]+=546。
【0077】
工程H
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩
【化12】

2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−3−{8−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−カルボニル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−ベンジル)−アセトアミド配座異性体1(480mg、0.88mmol)及び炭酸カリウム(1.21g、8.8mmol)のMeOH/H2O(25mL/10mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、そして残留物をH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして水層をEtOAc(2x)で再抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。残留物をEt2Oに懸濁し、そしてEt2O中2M HClを加えた。懸濁液を濃縮乾固させて生成物410mg(95%)を白色粉末として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 9.35−8.75(m、3H)、8.15−7.40(m、3H)、7.25−6.80(m、4H)、4.80−3.95(m、6H)、3.80−3.30(m、3H)、3.25(s、3H)、2.56(s、3H)、2.20−1.50(m、8H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−116.82及び−118.65(合計、1F);
LCMS 0.74 min m/z: [M+H]+=450。
【0078】
実施例2
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩
【化13】

【0079】
工程A
2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−3−{8−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−カルボニル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−ベンジル)−アセトアミド
【化14】

N−[3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−4−フルオロ−ベンジル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド塩酸塩(330mg、0.9mmol)、1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−カルボン酸(303mg、1.0mmol)、TEA(0.28mL、2.0mmol)、及びEDCI(230mg、1.2mmol)のCH2Cl2(10mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物をH2OとCH2Cl2との間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルでヘプタン/EtOAc(70/30〜40/60)を用いて精製し、2つの生成物配座異性体を得た。
【0080】
配座異性体1:白色固体(210mg、38%)、より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(94/6)。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.90−7.75(m、1H)、7.51(s、1H)、7.25−6.90(m、5H)、6.81(bs、1H)、5.00−4.60(m、2H)、4.55−4.35(m、4H)、3.71(t、J=5.2Hz、2H)、3.60−3.40(m、1H)、3.29(s、3H)、2.25−1.65(m、8H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−56.38(s、3F)、−75.30(s、3F)、−118.79(s、1F);
LCMS 1.10 min m/z: [M+H]+=616.
配座異性体2:白色固体(130mg、23%)、より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(35/65)。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.90−7.75(m、1H)、7.52(s、1H)、7.20−6.90(m、5H)、6.62(bs、1H)、5.00−4.35(m、6H)、3.72(t、J=5.1Hz、2H)、3.30(s、3H)、3.20−3.00(m、1H)、2.65−2.35(m、1H)、2.25−1.40(m、7H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−56.39(s、3F)、−75.30及び−75.33(合計、3F)、−116.94及び−118.76(合計、1F);LCMS 1.09 min m/z: [M+H]+=616。
【0081】
工程B
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩
【化15】

2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−3−{8−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−カルボニル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−ベンジル)−アセトアミド配座異性体1(210mg、0.34mmol)及び炭酸カリウム(0.49g、3.4mmol)のMeOH/H2O(10mL/4mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、そして残留物をH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして水層をEtOAc(2x)で再抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。残留物をEt2Oに懸濁し、そしてEt2O中2M HClを加えた。懸濁液を濃縮乾固させて生成物185mg(97%)を白色粉末として得た。
1H NMR(DMSO−d6、300MHz)δ 8.28(bs、3H)、8.00−7.85(m、2H)、7.60−7.45(m、1H)、7.40−7.30(m、1H)、7.30−7.10(m、4H)、4.69(m、2H)、4.50(t、J=5.3Hz、2H)、4.10−3.90(m、2H)、3.80−3.40(m、3H)、3.21(s、3H)、2.20−1.70(m、8H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−56.32及び−56.33(合計3F)、−118.61(s、1F);
LCMS 0.79 min m/z: [M+H]+=520。
【0082】
実施例3
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩
【化16】

【0083】
工程A
2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−3−{8−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−カルボニル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−ベンジル)−アセトアミド
【化17】

N−[3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−4−フルオロ−ベンジル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド塩酸塩(366mg、1.0mmol)、4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸(256mg、1.0mmol)、TEA(0.28mL、2.0mmol)、及びEDCI(250mg、1.3mmol)のCH2Cl2(10mL)中混合物を室温で終夜撹拌した。混合物をH2OとCH2Cl2との間で分配した。2つの層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルでヘプタン/EtOAc(50/50〜0/100)を用いて精製し、2つの生成物配座異性体を得た。反応の収量は460mg(81%)であった。より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(94/6)。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.40−7.30(m、1H)、7.25−6.80(m、6H)、5.00−4.75及び4.30−4.05(m、2H)、4.60−4.30(m、4H)、3.75−3.60(m、2H)、3.60−3.40及び3.15−2.95(m、1H)、3.29及び3.28(s、3H)、2.60(s、3H)、2.40−1.40(m、8H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −75.26及び−75.31(合計、3F)、−116.80及び−119.35(合計、1F)、−22.97及び−123.33(合計、1F);
LCMS 1.03及び1.04 min m/z: [M+H]+=564。
【0084】
工程B
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩
【化18】

2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−3−{8−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−カルボニル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−ベンジル)−アセトアミド(450mg、0.84mmol)及び炭酸カリウム(1.16g、8.4mmol)のMeOH/H2O(20mL/8mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、そして残留物をH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして水層をEtOAc(2x)で再抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。残留物をEt2Oに懸濁し、そしてEt2O中の2M HClを加えた。懸濁液を濃縮乾固させて生成物340mg(80%)を白色粉末として得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 9.20−8.50(m、3H)、8.20−6.55(m、6H)、4.90−3.85(m、6H)、3.80−3.35(m、3H)、3.30−3.00(m、3H)、2.80−2.40(m、3H)、2.30−1.40(m、8H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −116.36及び−119.63(合計1F)、−123.14及び124.07(合計、1F);
LCMS 0.72、0.74 min m/z: [M+H]+=468。
【0085】
実施例4
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−イル)−メタノン塩酸塩
【化19】

【0086】
工程A
N−{3−[8−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−4−フルオロ−ベンジル}−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド
【化20】

N−[3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−4−フルオロ−ベンジル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド塩酸塩(400mg、1.09mmol)、4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸(365mg、1.3mmol)、TEA(0.30mL、2.8mmol)、及びEDCI(272mg、1.4mmol)のCH2Cl2(20mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物をH2OとCH2Cl2との間で分割した。2つの層を分離し、そして有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。粗製物質をシリカゲルでヘプタン/EtOAc(80/20〜50/50)を用いて精製し、2つの生成物配座異性体を得た。
【0087】
配座異性体1:白色固体(203mg、31%)、より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(90/10)。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.20−6.90(m、3H)、6.53(bs、1H)、4.65−4.40(m、4H)、4.08(t、J=6.6Hz、2H)、3.60−3.35(m、1H)、2.27(s、3H)、2.20−1.65(m、10H)、1.05(t、J=7.4Hz、3H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ−76.21及び−76.25(合計、3F)、−119.47及び−119.45(合計、1F);
LCMS 1.14 min m/z: [M+H]+=591.
配座異性体2:白色固体(120mg、20%)、より高いRfの異性体/より低いRfの異性体の比(30/70)。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 7.20−6.90(m、3H)、6.51(bs、1H)、4.65−4.40(m、4H)、4.09(t、J=6.6Hz、2H)、3.10−2.90(m、1H)、2.60−2.45(m、2H)、2.31(s、3H)、2.20−1.70(m、8H)、1.06(t、J=7.3Hz、3H);
19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −76.22及び−76.25(合計、3F)、−117.64(s、1F);
LCMS 1.14 min m/z: [M+H]+=591。
【0088】
工程B
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−イル)−メタノン塩酸塩
【化21】

N−{3−[8−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−4−フルオロ−ベンジル}−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド配座異性体1(203mg、0.34mmol)及び炭酸カリウム(0.38g、2.7mmol)のMeOH/H2O(20mL/4mL)中の混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、そして残留物をH2OとEtOAcとの間で分配した。2つの層を分離し、そして水層をEtOAc(2x)で再抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。残留物をEt2Oに懸濁し、そしてEt2O中の2M HClを加えた。懸濁液を濃縮乾固させて生成物150mg(88%)を白色粉末として得た。
1H NMR(DMSO−d6、300MHz)δ 8.22(bs、3H)、7.55−7.15(m、3H)、4.42(s、2H)、4.12(t、J=6.4Hz、2H)、4.10−3.90(m、2H)、3.55−3.35(m、1H)、2.21(s、3H)、2.10−1.60(m、10H)、0.98(t、J=7.3Hz、3H);19F NMR(CDCl3、282MHz)δ −118.76及び−119.10(合計、1F);
LCMS 0.86 min m/z: [M+H]+=495。
【0089】
生物学的活性
本発明の化合物の特性を、そのベータ−トリプターゼ阻害能力(IC50及びKi値)により実証した。
本発明の化合物は、1μM〜60nMの範囲の親和性定数(Ki)を示す。
【0090】
インビトロ試験手順
背景の項で記載したように、トリプターゼの全ての作用はその触媒活性に依存するので、その触媒活性を阻害する化合物は潜在的にトリプターゼの作用を阻害するだろう。この触媒活性の阻害は、インビトロ酵素アッセイ及び細胞アッセイにより測定され得る。
【0091】
トリプターゼ阻害活性を、単離されたヒト肺トリプターゼ又は酵母細胞で発現された組み換えヒトベータトリプターゼのいずれかを使用して確認した。本質的に同等の結果が、単離されたネイティブ酵素又は発現された酵素を使用して得られた。アッセイ手順は96ウェルマイクロプレート(Costar 3590)を使用し、L−ピログルタミル−L−プロリル−L−アルギニン−パラ−ニトロアニリド(S2366:Quadratech)を基質として使用する(本質的にMcEuen et.al.Biochem Pharm、1996、52、331−340頁により記載されるとおり)。アッセイを室温で0.5mM基質(2xKm)を使用して行い、そしてマイクロプレートはマイクロプレートリーダー(Beckman Biomekプレートリーダー)で405nmの波長で読み取った。
【0092】
トリプターゼ一次スクリーニングのための材料及び方法(発色アッセイ)
アッセイ緩衝液
50mM Tris(pH8.2)、100μM NaCl、0.05%Tween 20、50μg/mLヘパリン。
基質
S2366(2.5μMのストック溶液)。
酵素
310μg/mLの精製された組み換えベータトリプターゼストック
【0093】
プロトコル(一点測定)
・ 希釈された基質(アッセイ緩衝液中、最終濃度500μM)60μLを各ウェルに加える
・ 化合物を二つ組で加える、最終濃度20μM、体積20μL
・ 酵素を最終濃度50ng/mLで体積20μLで加える
・ 各ウェルの合計体積は100μLである
・ 短く撹拌して混合し、そして室温で暗所にて30分間インキュベートする
・ 405nMで吸光度を読み取る
各プレートは以下のコントロールを有する:
全体: 基質60μL、緩衝液20μL(DMSOの最終濃度0.2%)、
酵素20μL
非特異的: 基質60μL、緩衝液40μL(0.2%DMSOを含む)
全体: 基質60μL、緩衝液20μL(DMSO無し)、酵素20μL
非特異的: 基質60μL、緩衝液40μL(DMSO無し)
【0094】
プロトコル(IC50及びKi測定)
化合物を二つ組で以下の最終濃度で加えること以外はプロトコルは上と本質的に同じである:0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10μM(全ての希釈は手動で行った)。全てのアッセイについて、一点測定でもIC50測定でも、比較のために標準化合物を使用してIC50を導いた。IC50値から、以下の式を使用してKiを計算することができる:Ki=IC50/(1+[基質]/Km)。
【0095】
本発明を特定の前述の例により説明してきたが、それらにより限定されると解釈するべきではなく;むしろ本発明は、本明細書で前に開示した包括的な領域を包含する。種々の改変及び実施態様がその精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1はF、Cl、Br、OCH2CO2CH3、CH2OH、並びに他のアルキル、ハロアルキル及びアルコキシ、ハロアルコキシ基であり;そして
R2は、場合により置換されるアリール又はヘテロアリールである]
の化合物又は
その塩、又はその鏡像異性体若しくはジアステレオマー。
【請求項2】
R1が、F、Cl、Br、OCH2CO2CH3及びCH2OHからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、
【化2】

であり、ここで
R3は、アルキル、又はヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、複素環、アリール、場合により置換されたアリール、ヘテロアリール若しくは場合により置換されたヘテロアリールから選択される1つ若しくはそれ以上の基で場合により置換されたアルキルであり;
R4及びR5はそれぞれ独立して、H、ハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキル、アミド、ウレイル、カルボキシル、スルホニルアミド、スルホニル ウレア、又はヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される1つ若しくはそれ以上の基で場合により置換されたアルキルであり;そして
1、W2、W3又はW4はN、CH、CR4又はCR5である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R2は、場合により置換されるインドリル又はチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;及び
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−イル)−メタノン塩酸塩;
からなるより選択される、請求項1に記載の化合物、又はその塩、又はその鏡像異性体若しくはジアステレオマー。
【請求項6】
式(I):
【化3】

[式中、
R1は、F、Cl、Br、OCH2CO2CH3、CH2OH、並びに他のアルキル、ハロアルキル及びアルコキシ、ハロアルコキシ基であり;そして
R2は、場合により置換されるアリール又はヘテロアリールである]
の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩又はその鏡像異性体若しくはジアステレオマーを、少なくとも1つの薬学的に許容しうる添加剤、賦形剤又は担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項7】
化合物が:
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;及び
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−
2−イル)−メタノン塩酸塩;又は
その薬学的に許容しうる塩
からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
患者において疾患を処置する方法であって、該疾患は:関節炎、関節リウマチ、及び他の関節炎状態、例えばリウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症若しくは他の慢性炎症性関節疾患を含む関節の炎症、又は関節軟骨破壊の疾患、眼の結膜炎、春季結膜炎、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、間質性肺疾患、線維症、強皮症、肺線維症、肝硬変、心筋線維症、神経線維腫、過形成性瘢痕、種々の皮膚科学的状態(例えばアトピー性皮膚炎及び乾癬)、心筋梗塞、脳卒中、アンギナ、又は他の動脈硬化プラークの破綻の結果、さらには歯周病、糖尿病性網膜症、黄斑変性、急性黄斑変性、滲出型黄斑変性、腫瘍増殖、アナフィラキシー、多発性硬化症、消化性潰瘍、又は合胞体ウイルス感染からなる群より選択され、該方法は、該患者に治療有効量の式(I):
【化4】

[式中、
R1は、F、Cl、Br、OCH2CO2CH3、CH2OH、並びに他のアルキル、ハロアルキル及びアルコキシ、ハロアルコキシ基であり;そして
R2は、場合により置換されるアリール又はヘテロアリールである]
の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、又はその鏡像異性体若しくはジアステレオマーを、場合により1又はそれ以上の薬学的に許容しうる添加剤、賦形剤又は担体と組み合わせて投与することを含む、上記方法。
【請求項9】
化合物が:
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[1−(2−メトキシ−エチル)−7−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−フルオロ−1−(2−メトキシ−エチル)−7−メチル−1H−インドール−3−イル]−メタノン塩酸塩;及び
[3−(5−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ブロモ−3−メチル−5−プロポキシ−チオフェン−2−イル)−メタノン塩酸塩;又は
その薬学的に許容しうる塩
からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2013−515724(P2013−515724A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546018(P2012−546018)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060004
【国際公開番号】WO2011/087652
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】