説明

ペイロード制御用の機械間通信システム

ペイロード制御を高める方法が開示されている。この方法は、複数の作業サイクル中に、少なくとも1つの荷役作業機(10)によって物質を除去すること、および荷役作業機を少なくとも1つの運搬機(40)に対して関連させることを含む。この方法はまた、荷役作業機と運搬機との相対的な位置を決定すること、および、複数の作業サイクル中に、除去された物質を荷役作業機によって運搬機に積み込むことを含む。この方法はまた、複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルの前に、運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断すること、および、所望のペイロードおよびペイロード分散のために、複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルに望まれる運搬機における追加のペイロードの量および位置を、機械間通信システム(34)を介して荷役作業機に通信することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械間通信システムに関し、より詳しくは、ペイロード制御のための機械間通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある場所から他の場所へ土類、岩石類、および他の物質を移動するために機械類を使用し得る。掘削現場から物質を、例えば掘削現場から十分に離れた別の場所へ移動させることが望まれる場合があり、その場合、物質を廃棄前に、ある程度の距離運搬する必要が生じる。例えば、1台の機械、例えばホイールローダによって、別の機械、例えばオフハイウェイトラックに土類、岩石類、および/または他の物質を積載し、その後、オフハイウェイトラックによって廃棄場所までその物質を運搬することができる。
【0003】
物質を運搬する機械のペイロードが所定の荷重範囲内であること、および機械の荷台内でバランスを取ることが重要であり得る。オフハイウェイトラックにおいてペイロードが重すぎるおよび/または最適にバランスが取られていないかまたは分散されていない場合には、タイヤの摩耗が増大し、燃料節約に悪影響を及ぼし、かつ機械部品に損傷を与え得る。そのうえ、オフハイウェイトラックに大幅に荷を積み過ぎると機械の設計限界を超え得る。これは制動性能および/または操舵性能に悪影響を及ぼし得る。過剰なおよび/またはバランスの取れていない特定のペイロードによって機械部品がすぐに損傷を受けない場合でも、機械は過度に応力を受ける可能性があり、その結果部品が過剰に摩耗され得る。ペイロードが最適に分散されていない場合には、ライドコントロールが乏しくなり、かつ操作者にストレスを生じ得る。しかも、ペイロードが軽すぎる場合には生産性が低下し得る。積み込みを行う機械と、積み込まれる機械との間で効率的にかつ効果的に通信して、適切なペイロード制御を保証することが望まれている。
【0004】
1996年8月13日にGudatらに発行された(特許文献1)には、作業現場で、一方の機械から別の機械への積み込みを支援するナビゲーション信号を提供するシステムおよび方法が開示されている。(特許文献1)では、荷役作業機の現在の位置に基づいて運搬機の望ましい場所を決定するのに、全地球測位システム(GPS)などのナビゲーションシステムを使用することが開示されている。荷役作業機は、連続的な作業サイクル間において異なる位置で運搬機に物質を廃棄して、運搬機に物質を均等に分散できるようにし得る。運搬機は、ペイロードを監視するシステムを装備し、および荷役作業機は、運搬機が積載可能量まで一杯になると、それを知らされることができる。
【0005】
(特許文献1)のシステムは、荷役作業機と運搬機との間のある程度の通信およびある程度のペイロード制御を提供し得るが、(特許文献1)のシステムはさらに改良することができる。(特許文献1)のシステムでは、物質を均等に分散することについて遠まわしに言及されてはいるものの、異なるサイズの物質間では分散特性が異なることは説明されていない。また、(特許文献1)のシステムは、荷役作業機が積載物をどこへ降ろすか、または所与の積載物のうちどれだけの物質を降ろすかを判断し得るように荷役作業機へデータを通信しない。そのうえ、(特許文献1)のシステムでは、運搬機を積載可能量まで一杯にすることに言及されてはいるものの、荷役作業機からもう一回積み込むことによって運搬機の最適な積載可能量を超えてしまうかもしれない状況については説明されていない。その結果、物質が均一に分散されず、実際には、運搬機が積み過ぎとなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,546,093号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、既存の技術の1つ以上の改良形態に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、ペイロード制御を高める方法に関する。この方法は、複数の作業サイクル中、少なくとも1つの荷役作業機によって物質を除去することを含む。この方法はまた、少なくとも1つの荷役作業機を少なくとも1つの運搬機に対して関連させることを含む。この方法はまた、少なくとも1つの荷役作業機と少なくとも1つの運搬機との相対的な位置を決定することを含む。この方法は、複数の作業サイクル中、除去された物質を少なくとも1つの荷役作業機によって少なくとも1つの運搬機に積み込むことを含む。この方法はまた、複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルの前に、少なくとも1つの運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断することを含む。この方法はまた、少なくとも1つの運搬機内で所望のペイロードおよびペイロード分散を得るために、複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルで望まれる、少なくとも1つの運搬機における追加のペイロードの量および位置を、機械間通信システムを介して少なくとも1つの荷役作業機に通信することを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、運搬機のペイロードを高めるシステムに関する。このシステムは、少なくとも1つの運搬機および少なくとも1つの荷役作業機を含む一連の機械類を含み、その機械類は、少なくとも1つの荷役作業機が物質を除去して、複数の作業サイクル中に、少なくとも1つの運搬機に物質を積み込むように構成される。このシステムはまた、少なくとも1つの運搬機と少なくとも1つの荷役作業機との間で通信できるように構成された機械間通信システムを含む。このシステムは、少なくとも1つの運搬機に関連する制御装置を含み、かつこの制御装置は、複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルの前に、少なくとも1つの運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断するように構成されている。このシステムはまた、少なくとも1つの運搬機内で所望のペイロードおよびペイロード分散を得るために、複数の作業サイクルの最後の作業サイクルで必要な、少なくとも1つの運搬機における追加のペイロードの量および位置を示す少なくとも1つの運搬機からの信号を、機械間通信システムを介して受信するように構成された少なくとも1つの荷役作業機に関連した制御装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的な実施形態による荷役作業機の概略図である。
【図2】例示的な実施形態による運搬機の概略図である。
【図3】例示的な実施形態による運搬機の収容コンテナの視覚表示を表示する表示装置の概略図である。
【図4】例示的な実施形態による方法の態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、例えば、ホイールローダとし得る荷役作業機10の例示的な一実施形態を概略的に示す。荷役作業機10は地面係合装置12で推進されかつ移送されるため、機械は移動式設備として機能することができる。地面係合装置12を車輪として示すが、荷役作業機10を他のタイプの地面係合装置、例えば無限軌道によって推進かつ移送できることを理解されたい。好適な動力源14、例えばディーゼル機関が荷役作業機10に配置され、かつ地面係合装置、および荷役作業機10の他の構成部品の1つ以上を駆動する働きをなし得る。
【0012】
荷役作業機10には好適なリンク機構18によってバケット16が取り付けられ、バケット16は、好適なアクチュエータ20、22によってリンク機構18を介して操作され得る。バケット16のタイプおよびサイズならびにリンク機構18の特定の構成は、荷役作業機10のモデルおよびサイズによって変わり得ることを理解されたい。荷役作業機10は、バケット16を地面係合装置12および動力源14を介して、積載される物質に係合させ、かつ一連の連続的な作業サイクルによって、ある場所から物質を除去して別の場所にその物質を降ろし得る。例えば、鉱区、採石場、または掘削現場では、バケット16は、物質の塊または堆積中に入れられて一杯にされ得る。リンク機構18を用いてバケットを持ち上げ、地面係合装置12を用いて機械を好適な場所に移動させ、かつ物質を山積させてまたは好適なコンテナに積み込み得る。
【0013】
荷役作業機10はさらにオペレータステーション24を含み得る。オペレータステーション24は、閉鎖されたまたは部分的に閉鎖された運転台を含み、かつ操作者席26、好適な操作者制御装置28および表示装置30を含み得る。表示装置30は、例えば、情報、画像などを表示する専用の表示装置としてもよいし、または操作者が制御機能を行うおよび/または情報を入力することができる対話型のタッチスクリーンディスプレイとしてもよい。表示装置30に加えて、荷役作業機10は聴覚システムを含み、それは、操作者によってオンポジションとオフポジションとの間で制御され、かつ操作者に可聴式の指示、データなどを与えるように構成され得る。荷役作業機10はまた、制御装置32、種々の検出器またはセンサを含む好適な制御システム、および機械に関連したいくつかの構成部品を操作するための種々のアクチュエータを含み得る。さらに、機械10は、全体的に34で示す機械間通信システムの構成部品を含み得る。
【0014】
図1では、機械間通信システム34をオペレータステーション24と関連したものとして示す。しかしながら、実際には機械間通信システム34を、機械10が一連の機械類の他の機械類と通信できるようにする構成部品のシステムとし得ることを理解されたい。図1に図示するように、機械間通信システム34は、例えば機械10が信号を送受信できるようにしかつ制御装置32および/または表示装置30と通信する通信システムの構成部品を含み得る。例示的な実施形態では、制御装置32および/または表示装置30は、機械間通信システム34の構成部品であるとされ得る。
【0015】
荷役作業機を1つ以上の運搬機と関連させることが好都合である場合がある。例えば、荷役作業機10を、ある場所から物質を除去するように操作してから、別の場所で物質を山積させて廃棄するように操縦し得る場合、除去された物質を離れた場所に運搬することが必要とされかつ望まれることが多い。そのような状況では、荷役作業機は、除去された物質を1つ以上の運搬機に積み込み得る。
【0016】
図2に、例えば、オフハイウェイトラックとし得る運搬機40の例示的な一実施形態を概略的に示す。運搬機40は、例えば地面係合装置42および44で推進かつ移送され得る。運搬機40は、機械40に配置されかつ地面係合装置および機械40の他の構成部品の1つ以上を駆動する働きをする好適な動力源46、例えば、ディーゼル機関を含み得る。運搬機40には好適な収容コンテナ48が配置され、ペイロードを収容する。収容コンテナ48は例えばアクチュエータ50を介して廃棄ポジションに操作され得る。
【0017】
運搬機40は好適なオペレータステーション52を含み得る。オペレータステーション52は、閉鎖されたまたは部分的に閉鎖された運転台を含み、かつ操作者席54、好適な操作者制御装置(図示せず)、および表示装置56を含み得る。運搬機40はまた、制御装置58、種々の検出器および/またはセンサを含む好適な制御システム、ならびに機械に関連したいくつかの構成部品を操作するための種々のアクチュエータを含み得る。さらに、機械40は、荷役作業機10と関連して説明しかつ図2においても全体的に34で示す機械間通信システムの構成部品を含み得る。収容コンテナ48には可視表示部60が設けられ、観察者、例えば荷役作業機の操作者に、収容コンテナ48内でペイロードを分散させるために、中心点の位置を視覚的に知らせる。
【0018】
運搬機40は、任意の所与の時点での運搬機40の収容コンテナ48内のペイロードの量および分散を判断するための機器を含み得る。例えば、運搬機40は、運搬機40のフレーム用の支持ストラットに関連した圧力センサを備え得る。いくつかのストラット内の圧力は、収容コンテナ48内に蓄積されたペイロードの量を示すデータを生成し、およびいくつかの支持ストラット内における圧力の変化は、ペイロード分散を示すデータを生成する。戦略的に配置されたカメラ、GPS技術などの他の手段を用いて、ペイロードの量およびペイロード分散の双方を確認し得る。運搬機制御装置58は、ペイロードおよびペイロード分散を示すデータを受信し、かつペイロードおよびペイロード分散、ならびに適切なペイロードおよび/またはペイロード分散を達成するために、荷役作業機により続いて渡される際に必要な物質の位置および量の双方を示す信号を送信する。
【0019】
種々の技術を用いて、機械類10および40に関連したパラメータおよび条件、または一連の機械類の他の機械類に関連した条件を感知または検出し得る。例えば積み込み作業中の荷役作業機10と運搬機40のような2つの機械間の相対的な位置の精度を確認することが望ましいであろう。そのために、GPS、レーダ、および/または衛星による視覚技術の1つ以上を用いて、機械類10および40、ならびに一連の機械類の他の機械類の位置を監視し得る。
【0020】
制御装置32および58はそれぞれ、中央処理装置、好適なメモリ要素、種々の入出力周辺機器、および一般に機械制御装置に関連した他の構成部品を含み得る。制御装置32および58は、機械類10および40の動作に関連したプログラム、アルゴリズム、データマップなどを含み得る。制御装置32および58は、複数のソース、例えば、1つ以上の機械アクチュエータ、種々のセンサまたは検出器からの(例えば、機械の走行方向、対地速度、エンジン動作などに関する)情報、ならびに機械の操作者からの、例えば機械10の制御装置28および機械40の好適な制御装置を介した入力を受信するように構成され得る。制御装置32および58は、適切な信号を、機械類10および40に関連した種々のセンサ、アクチュエータなどに対して送受信するように好適に配置され得る。
【0021】
図3に、例えば荷役作業機10のオペレータステーション24に関連した表示装置30の例示的な一実施形態を概略的に示す。表示装置30を、キャラクタ、シンボル、および画像などのデータのみを表示するように構成された専用の表示装置としてもよいし、または表示装置30は、データの表示および操作者入力の受信の双方を行うように構成されるタッチスクリーンディスプレイの構成部品であってもよい。表示装置30を、機械間通信システム34、荷役作業機10の制御装置32、および/または運搬機40の制御装置58に関連した種々の情報およびデータを受信しかつ表示するように構成し得るが、図3に、運搬機40の収容コンテナ48の表示装置30に視覚表示80を形成する、1つの例示的な画像を示す。
【0022】
図3の例示的な視覚表示80を参照すると、画像は、運搬機40の収容コンテナ48の周囲のアウトラインに対応するアウトライン82を含み得る。荷役作業機10の操作者は視覚表示80を介して、収容コンテナ48のパラメータ、および適切なペイロード分散を保証するために次の積載物を降ろす収容コンテナ48内の位置を知らされ得る。例えば、積載物が運搬機40に降ろされた、荷役作業機10の1つ以上作業サイクルの後、適切なペイロード分散のために次に降ろすべき積載物の場所、および/または次に降ろすべき積載物の量を示す、運搬機40の制御装置58からの信号が受信され得る。図3のポイント84(プラス(+)のサインで示す)は、荷役作業機40から受信された信号が荷役作業機10からの次の積載物をそのポイントに降ろすべきであると示す、例示的な状況を示すものである。
【0023】
図3の例示的な実施形態に示すように、前後の中心線86および/または左右の中心線88が視覚表示80に示され得る。図3に示す中心点90は、運搬機40の収容コンテナ48の前側と後ろ側との間の負荷分割が均一である状況を例示する。種々の運搬機40は、支えられるペイロードを適切に分散するための負荷分割が異なり得る。例えば、一部の機械は、機械の前車軸で支えられる積載物が1/3、および機械の後ろ車軸で運搬される積載物が2/3の負荷分割を有し得る。他の機械は、後ろ車軸よりも前車軸で支えられる負荷が多い負荷分割を有し得る。従って、視覚表示80は、荷役作業機10の所与の複数の作業サイクル中に、荷役作業機10に関連する運搬機40の負荷分割を含む特定の機械サイズパラメータに従って変わり得る。
【0024】
図3の例示的な視覚表示80は、収容コンテナ48を象限に分割する状況を示す。特定の運搬機パラメータに依存して他の分割も考えられる。視覚表示80は、積み込まれる運搬機40の向きに対応するように、例えば、右側92、左側94、機械の前方96および機械の後方98の向きを決定され得る。
【産業上の利用可能性】
【0025】
図4に、一般に本明細書の例示的な実施形態に従う方法に関わる種々の態様を概略的に示す。ペイロードを最適にする際の機械間通信に関する所与の動作に、図4に示す種々の項目の全てが必要なわけではないことに留意されたい。さらに、例えば、関連の特定の作業現場、用いる機械類のタイプなどに依存して、示している種々の項目の順序は変更してもよい。
【0026】
図4を参照すると、100では、複数の作業サイクル中に荷役作業機10によって物質がある現場から除去される。作業サイクルは、例えば、除去される物質と荷役作業機10が係合し、荷役作業機のバケット16を物質で一杯にし、荷役作業機10を廃棄ポジションまで操縦し、物質を廃棄し、および再び物質との係合に戻る動作を含む。これら物質は、例えば掘削内での堆積物中または採掘面から生じ得る。物質は、粒状物質、砂利、土、岩石類、捨石、種々のサイズの物質の混合物などを含み得る。
【0027】
102では、除去されるべき物質を現場から運搬する必要がある場合、荷役作業機10は1つ以上の運搬機に関連され得る。単一の荷役作業機10および単一の運搬機40に関する動作の説明が好都合であるが、一連の機械類が、少なくとも1つの荷役作業機10、および所与の現場での生産性を最適にするのに適切であると考えられる所望の任意の数の運搬機と関連して作業していることは理解されたい。荷役作業機10と運搬機40とを関連させることは、適切な機械間通信システム34が使用でき、荷役作業機10および運搬機40が相互に情報交換できるようになること保証することを含み得る。
【0028】
104では、機械の相対的な位置を決定する。機械の相対的な位置の決定は、GPS技術、レーダ技術、カメラ、および/または他の好適な位置決定技術を用いることを伴い、それにより、少なくとも荷役作業機10と運搬機40との相対的な位置を決定し、かつ2つの機械に機械間通信システム34を介して知らせることを可能にし得る。
【0029】
物質を移動させる作業が、運搬機に積み込まれる段階に進むと、運搬機40は、荷役作業機10に密接に関連する位置に移動し得る。106では、運搬機40は、運搬機40が積み込みのために位置決めされると、荷役作業機10に信号を送信し得る。運搬機40の適切な位置の決定は、運搬機の操作者に視覚的に明白であり得る。そのような状況では、運搬機のオペレーションは、機械間通信システム34を介して、および例えばタッチスクリーンディスプレイを使用して、積み込みが始まるという信号を送信し得る。荷役作業機10は、荷役作業機10内に配置された表示装置30を介して、または例えば可聴信号を介して信号を受信し得る。
【0030】
108では、ある時点で、例えば積み込みが始まる前に、荷役作業機10は、その荷役作業機パラメータを運搬機40に通信し得る。同様に110では、運搬機40はその運搬機パラメータを荷役作業機10に通信し得る。荷役作業機10のパラメータおよび運搬機40のパラメータは、例えば機械のサイズおよびタイプによって異なる。荷役作業機および運搬機の個々のパラメータは、例えば個々の機械の表示装置30および56上の視覚画像に影響を及ぼし得る。さらに、パラメータは、荷役作業機10に対する運搬機40の初期の配置に影響を及ぼし、かつ最適なペイロードおよびペイロード分散が達成された時点を判断する機械の計算に影響を及ぼし得る。
【0031】
112では、運搬機40が積み込みのために適切に位置決めされ、かつその事象に関し荷役作業機10に対して信号を送信したら、および各機械が他の機械のパラメータを認識したら、荷役作業機10は、複数の作業サイクル中、運搬機40に積み込み得る。特定の運搬機40に特定の積載可能量、例えば適切なペイロードおよびペイロード分散で積み込むために、特定の荷役作業機10に必要な作業サイクル数は、2つの機械の個々のサイズおよび他のパラメータによって変わり得る。表示装置は、荷役作業機の操作者に指示を与え得る、例えば、物質を適切に堆積させる手引きを行う。あるいは、聴覚システムを介して可聴式に命令が与えられ得る。
【0032】
114では、運搬機のペイロードおよびペイロード分散が判断され得る。荷役作業機10の最後の作業サイクルの前に、または荷役作業機10の各作業サイクルの前にペイロードおよび/またはペイロード分散を判断することが望ましい。例えば、運搬機40の収容コンテナ48が積載可能量に達するとき、および荷役作業機10からもう一度渡されると運搬機40の積載可能量に達することが明白であるとき、適切なペイロードの積載可能量に達成するためにはどの程度のペイロードが必要であるか、および適切なペイロード分散を保証するために最後の積載物を積み込む場所がどこであるかを確認することが望ましいであろう。あるいは、達成されたペイロードおよび現在のペイロード分散は、荷役作業機10の各作業サイクルの前に確認される。
【0033】
116では、現在達成されたペイロードおよびペイロード分散が判断されたら、適切なペイロードおよびペイロード分散のために必要な追加のペイロードのための、運搬機40の収容コンテナ48内の量および位置が計算されて、荷役作業機10に通信される。必要な量および位置の計算は、例えば運搬機40の制御装置58または荷役作業機10の制御装置32のいずれかによって行われ得る。
【0034】
118では、荷役作業機10内では、表示装置30は運搬機の収容コンテナ48の視覚表示80を表示し得る。110では、視覚表示80は、例えば運搬機40から受信した識別パラメータに従って収容コンテナ48の相対的なサイズを荷役作業機の操作者にグラフ式に示し得る。視覚表示80は収容コンテナ48を、コンテナの中心線、収容コンテナ用の負荷分散の中心点などで示す象限にまたはセクションに分割することを含み得る。
【0035】
120では、運搬機40への積み込み中、運搬機40の収容コンテナ48内のペイロード分散は、荷役作業機内に表示され、かつ積み込みが進むにつれ更新される。114にあるように、例えば、荷役作業機10により積載物を収容コンテナ48内に置く処理を経た後、運搬機40は、現在のペイロードおよびペイロード分散を判断し、かつ116にあるように、適切なペイロードおよびペイロード分散に必要である必要量および位置を通信する。この情報は、例えば荷役作業機10の制御装置32によって処理され、かつ荷役作業機の操作者にグラフ式に表示される。例えば、図3の視覚表示80に配置された「プラス」(+)サインは、荷役作業機の操作者に、適切なペイロード分散を達成するために、その点84に次の積載物を降ろす必要があることを示す。
【0036】
122では、運搬機40の積み込みが積載可能量に近づくと、および次の積載物が、運搬機40の積載可能量を超える前の最後の積載物となることが明白であるとき、荷役作業機10は、最後の作業サイクルの積載物を位置決めして、適切なペイロードおよびペイロード分散を保証し得る。状況により、最後の積載物を、例えば図3に示す点84に置く必要があること、および積載可能量を超えないように、積載物の量が実質的にバケット16の満載状態よりも少ないことが影響され得る。そのような状況では、荷役作業機10が運搬機40に右側92から積み込むと仮定すると、荷役作業機は、バケット16の右半分のみを埋め、かつ点84で積載物を廃棄するように荷役作業機自体を位置決めする。
【0037】
物質が異なる場合には、収容コンテナ48内で異なって分散される傾向がある。例えば、砂または砂利などの比較的均一な物質は、幾分均一に分散する傾向を有し得る。他方で、捨石、サイズが不均一な大きな石、粗石などは、程度の差はあれ不均一に分散する傾向を有し得る。状況に依存して、適切なペイロードおよび/またはペイロード分散のために次の積載物を置くべき点(図3の点84)は、収容コンテナの象限内および視覚表示80上でかなり異なり得る。視覚表示80は、機械間通信システムを介して運搬機40から受信したデータに基づいて更新され、収容コンテナ48内の現在のペイロード分散に継続的に対応し得る。
【0038】
視覚表示80は、最後の積載物が降ろされる前に、例えば、バケット16の一部のみを埋めるのかどうか、バケットの左半分または右半分のどちらを埋めるのかなどを示す、荷役作業機の操作者へ言葉による指示を表示することを含み得る。あるいは、好適な聴覚システムを用いて荷役作業機の操作者に指示を与え、荷役作業機のバケット16内のおよび収容コンテナ48への積み込み(前方、後方、左側、右側などでの)の双方において操作者が積載物を調整するのを支援する。さらに、荷役作業機10および運搬機40の各々は他方の機械のパラメータを認識しているので(108および110)、荷役作業機の制御装置32は、信号(可聴式、可視式など)を発生して、適切な点84で直接積載物を廃棄するために運搬機40に対して荷役作業機10が適切に配置される時を正確に知ることに関し、荷役作業機の操作者を支援し得る。機械間通信システム34によって、荷役作業機10と運搬機40との相対的な位置が更新されかつ任意の所与の時点において各機械によって知られることが保証される。
【0039】
122におけるように、最後の作業サイクルの完了しかつ運搬機を適切に一杯にすると、124で、荷役作業機は運搬機に、最後の作業サイクルが完了したという信号を生成し得る。次いで、運搬機は、積載物を降ろすべき場所であると決定された場所まで積載物を運搬し得る。このプロセスは、例えば別の運搬機を用いて続けられる。
【0040】
本明細書に従ってペイロードおよびペイロード分散を制御することによって、物質除去作業、例えば掘削作業の総合的な生産性は高くなり得る。運搬機によって運ばれる各ペイロードは、最適なペイロードおよびペイロード分散により近くなり得る。さらに、最適なペイロード分散により、運搬機のライドコントロールが高くなり、かつ操作者のストレスを低減し得る。また、適切なペイロードおよび適切にバランスが取られかつ分散されたペイロードは、機械の応力も低減させ、機械の過剰な応力による保守費用を削減し、タイヤの摩耗を低減させ、かつ運搬機の全体的な構造的寿命を長くし得る。
【0041】
機械間通信を用いることによって、機械の操作者に、操作している機械に関してだけではなく、関連の機械類に関しても最新の情報をもたらすことができる。機械間通信は、運搬機または荷役作業機のいずれかの一人の操作者が両機械を確実に操作できるようにし得る。さらに、機械間通信により、例えば機械制御装置からのまたは離れた場所からのプログラム制御を介して、荷役作業機と関連の運搬機との双方を完全に独立操作することができるようになる。
【0042】
本明細書で使用される用語「最適にする」などは、理想を達成したという意味ではなく、戦略的に目指した目的に、合理的に可能な程度にできる限り到達したという意味であることに留意されたい。当業者は、ペイロードおよびペイロード分散を絶対的に最適にすることは達成困難であり得ることを理解するであろう。しかしながら、本明細書で説明した例示的な実施形態は、例えば上述の例示的な実施形態において機械間通信システムを使用して、協働する機械類の相対的な位置をいつでも確実に分かるようにすることによって、ペイロードおよびペイロード分散の双方を最適にすることに取り組んでいる。
【0043】
当業者には、本明細書で説明した方法およびシステムは、一般的にホイールローダおよびオフハイウェイトラックとして特徴づけられる機械類以外の機械類にも適用し得ることは明白であろう。例えば、荷役作業機は、一般的に油圧式採掘機として公知のタイプのものであってもよい。さらに、運搬機をオンハイウェイトラック、または荷物を積み、かつ積載物を運搬できる他の機械とし得る。
【0044】
当業者には、本明細書の範囲を逸脱することなく、機械間通信を利用してペイロード制御を高める上述の方法およびシステムに種々の修正および変形をなすことができることが明白であろう。本明細書で説明した実施形態の詳細な説明および実施を考慮すれば、当業者には他の実施形態が明白であろう。詳細な説明および実例は例示にすぎず、本明細書の真の範囲は、以下の特許請求の範囲に示すものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの荷役作業機(10)によって複数の作業サイクル中に物質を除去すること、
少なくとも1つの荷役作業機を少なくとも1つの運搬機(40)と関連させること、
少なくとも1つの荷役作業機と少なくとも1つの運搬機との相対的な位置を決定すること、
複数の作業サイクル中、除去された物質を少なくとも1つの荷役作業機によって少なくとも1つの運搬機に積み込むこと、
複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルの前に、少なくとも1つの運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断すること;および
少なくとも1つの運搬機内で所望のペイロードおよびペイロード分散を得るために、複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルで望まれる、少なくとも1つの運搬機における追加のペイロードの量および位置を、機械間通信システム(34)を介して少なくとも1つの荷役作業機に通信すること
を含む、ペイロード制御を高める方法。
【請求項2】
複数の作業サイクルの各作業サイクルの前に、少なくとも1つの運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの荷役作業機のオペレータステーション(24)に関連した表示装置(30)に、少なくとも1つの運搬機の収容コンテナ(48)の視覚表示(80)を表示することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの運搬機において適切なペイロードおよびペイロード分散を保証するために、複数の作業サイクルの各作業サイクル後に、少なくとも1つの運搬機において必要な追加のペイロードの量および位置を、少なくとも1つの荷役作業機に機械間通信システムを介して通信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の作業サイクルの最後の作業サイクル中、少なくとも1つの運搬機のペイロードをその適切なペイロードまで増やすのに十分な物質のみを少なくとも1つの荷役作業機によって除去することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの運搬機および少なくとも1つの荷役作業機(10)を含み、複数の作業サイクル中に、少なくとも1つの荷役作業機が物質を除去して、少なくとも1つの運搬機に物質を積み込むように構成されている、一連の機械類、
少なくとも1つの運搬機と少なくとも1つの荷役作業機との間で通信できるように構成された機械間通信システム(34)、
少なくとも1つの運搬機に関連し、かつ複数の作業サイクルの少なくとも最後の作業サイクルの前に、少なくとも1つの運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断するように構成された制御装置(58)、および
少なくとも1つの運搬機において所望のペイロードおよびペイロード分散を得るために、複数の作業サイクルの最後の作業サイクルで望まれる、少なくとも1つの運搬機における追加のペイロードの量および位置を示す少なくとも1つの運搬機からの信号を、機械間通信システムを介して受信するように構成された少なくとも1つの荷役作業機に関連した制御装置(32)
を含む、運搬機(40)のペイロードを高めるシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの運搬機と関連した制御装置が、複数の作業サイクルの各作業サイクルの前に、少なくとも1つの運搬機内のペイロードおよびペイロード分散を判断するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの運搬機に関連した制御装置が、複数の作業サイクルの最後の作業サイクル後に、少なくとも1つの運搬機内で適切なペイロードおよびペイロード分散を保証するために必要な物質の量および位置を示す信号を、機械間通信システムを介して少なくとも1つの荷役作業機に送信するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの運搬機に関連した制御装置が、複数の作業サイクルの各作業サイクル後に、少なくとも1つの運搬機内で適切なペイロードおよびペイロード分散を保証するために必要な物質の量および位置を示す信号を、機械間通信システムを介して少なくとも1つの荷役作業機に送信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの荷役作業機のオペレータステーション(24)に関連しかつ少なくとも1つの運搬機の収容コンテナの視覚表示(80)を表示するように構成された表示装置(30)を含み、表示装置がさらに、少なくとも1つの運搬機に適切なペイロードおよびペイロード分散を保証するために必要な物質の量および位置を示す視覚表示を表示するように構成されている、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505028(P2011−505028A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526962(P2010−526962)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/011168
【国際公開番号】WO2009/045329
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】