説明

ペグ化されたL−アスパラギナーゼ

実質的なL−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質と、ポリエチレングリコールとのコンジュゲートである。特に、該ポリエチレングリコールは約5000Da以下の分子量を有し、該タンパク質はエルウィニアからのL−アスパラギナーゼを開示する。本発明のコンジュゲートは、高レベルのin vitro活性の維持及びin vivoでの半減期における予想外の増加などの優れた特性を示す。さらには、該コンジュゲートを作製する方法及び療法における該コンジュゲートの使用を開示する。特に、癌、特に、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療における該コンジュゲートの使用のための方法を開示する。より詳細には、1つの方法は、他のL−アスパラギナーゼ製剤での治療後に過敏性を発達させたか又は疾患の再発を有した患者のためのセカンドライン療法としての該コンジュゲートの使用のための方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
[0001]本発明は、実質的なL−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質と、ポリエチレングリコールとのコンジュゲートであって、特に、該ポリエチレングリコールが約5000Da以下の分子量を有し、特に、該タンパク質がエルウィニア(Erwinia)からのL−アスパラギナーゼである、コンジュゲート、及び療法におけるその使用に関する。
【0002】
[背景]
[0002]L−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質は、一般的には、L−アスパラギナーゼとして知られており、長年にわたって小児における急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に成功して使用されてきた。ALLは、最も一般的な小児期の悪性腫瘍である(Avramis及びPanosyan、Clin.Pharmacokinet.(2005)44:367〜393)。
【0003】
[0003]L−アスパラギナーゼは、ホジキン病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、慢性リンパ性白血病、リンパ肉腫、細網肉腫、及び黒色肉腫を治療するためにも使用されてきた(Kotzia及びLabrou、J.Biotechnol.127(2007)657〜669)。L−アスパラギナーゼの抗腫瘍活性は、特定の悪性細胞がL−アスパラギンを合成できないこと又はその合成能力の低下によるものであると考えられている(Kotzia及びLabrou、J.Biotechnol.127(2007)657〜669)。これらの悪性細胞は、細胞外でのL−アスパラギンの供給に依存している。しかし、L−アスパラギナーゼ酵素は、L−アスパラギンのアスパラギン酸及びアンモニアへの加水分解を触媒し、それによってL−アスパラギンの循環プールを枯渇させて、L−アスパラギンなしではタンパク質合成を行うことができない腫瘍細胞を死滅させる(Kotzia及びLabrou、J.Biotechnol.127(2007)657〜669)。
【0004】
[0004]大腸菌(E.coli)からのL−アスパラギナーゼは、ALL療法において使用された最初の酵素薬剤であって、米国ではエルスパー(Elspar)(登録商標)として又はヨーロッパではキドロラーゼ(Kidrolase)(登録商標)及びL−アスパラギナーゼ メダック(Medac)(登録商標)として市販されてきた。L−アスパラギナーゼは、他の微生物からも単離されており、例えば、クリサンタスパーゼと命名され、エルウィナーゼ(Erwinase)(登録商標)として市販されてきた、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)からのL−アスパラギナーゼタンパク質などである(Wriston Jr.、J.C.(1985)“L−asparaginase”Meth.Enzymol.113、608〜618;Goward,C.R.ら(1992)“Rapid large scale preparation of recombinant Erwinia chrysanthemi L−asparaginase”、Bioseparation 2、335〜341)。他の種のエルウィニアからのL−アスパラギナーゼも同定されており、例えば、エルウィニア・クリサンテミ3937(Genbankアクセッション#AAS67028)、エルウィニア・クリサンテミNCPPB1125(Genbankアクセッション#CAA31239)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora)(Genbankアクセッション#AAP92666)、及びエルウィニア・カロトボラ・アストロセプティカ(Astroseptica)亜種(Genbankアクセッション#AAS67027)などが挙げられる。これらのエルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼは、互いに約91〜98%のアミノ酸配列同一性を有するのに対して、エルウィニア・カロトボラのL−アスパラギナーゼは、エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼと約75〜77%のアミノ酸配列同一性を有する(Kotzia及びLabrou、J.Biotechnol.127(2007)657〜669)。
【0005】
[0005]細菌由来のL−アスパラギナーゼは、高い免疫原性及び抗原性の潜在能力を有し、感作された患者における軽度のアレルギー反応からアナフィラキシーショックに及ぶ有害反応を引き起こすことが多い(Wang,B.ら(2003)“Evaluation of immunologic cross reaction of anti−asparaginase antibodies in acute lymphoblastic leukemia(ALL and lymphoma patients)、Leukemia 17、1583〜1588)。大腸菌のL−アスパラギナーゼは、特に免疫原性であり、i.v.又はi.m.投与後に、成人では78%、小児では70%と同じくらいの高さに達する、大腸菌のL−アスパラギナーゼに対する抗アスパラギナーゼ抗体の存在の報告がある(Wang,B.ら(2003)Leukemia 17、1583〜1588)。
【0006】
[0006]大腸菌(Escherichia coli)及びエルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼは、それらの薬物動態学的特性において異なり、それぞれ、異なる免疫原性プロファイルを有する(Klug Albertsen,B.ら(2001)“Comparison of intramuscular therapy with Erwinia asparaginase and asparaginase Medac:pharmacokinetics,pharmacodynamics,formation of antibodies and influence on the coagulation system”Brit.J.Haematol.115、983〜990)。さらに、大腸菌からのL−アスパラギナーゼでの治療後に獲得された抗体は、エルウィニアからのL−アスパラギナーゼと交差反応しないことが示されている(Wang,B.ら、Leukemia 17(2003)1583〜1588)。したがって、エルウィニアからのL−アスパラギナーゼ(クリサンタスパーゼ)は、大腸菌のL−アスパラギナーゼに反応する患者におけるALLのセカンドライン治療として使用されてきた(Duval,M.ら(2002)“Comparison of Escherichia coli−asparaginase with Erwinia−asparaginase in the treatment of childhood lymphoid malignancies:results of a randomized European Organisation for Research and Treatment of Cancer,Children’s Leukemia Group phase 3 trial”Blood 15、2734〜2739;Avramis及びPanosyan、Clin.Pharmacokinet.(2005)44:367〜393)。
【0007】
[0007]微生物のL−アスパラギナーゼの投与に関連する免疫原性を低下させるもう1つの試みでは、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)で修飾された大腸菌のL−アスパラギナーゼが開発された。この方法は、一般的には、「ペグ化」として知られ、タンパク質の免疫学的特性を変更することが示されている(Abuchowski,A.ら(1977)“Alteration of Immunological Properties of Bovine Serum Albumin by Covalent Attachment of Polyethylene Glycol”、J.Biol.Chem.252(11)、3578〜3581)。オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標)(Enzon社、USA)として市販される、このいわゆるmPEG−L−アスパラギナーゼ、又はペグアスパルガーゼは、1994年に米国で最初にALLのセカンドライン治療用に承認され、2006年から小児及び成人におけるALLのファーストライン療法用に承認された。オンキャスパー(登録商標)は、in vivoでの長い半減期及び低下した免疫原性/抗原性を有する。
【0008】
[0008]オンキャスパー(登録商標)は、複数のリシン残基において、5kDa mPEG−スクシンイミジルスクシナート(SS−PEG)を使用して修飾されている、大腸菌のL−アスパラギナーゼである(米国特許第4,179,337号)。SS−PEGは、酵素による加水分解に又は僅かにアルカリ性のpH値で感受性がある不安定なエステル結合による連結を含む第一世代のPEG試薬である(米国特許第4,670,417号;Makromol.Chem.1986、187、1131〜1144)。これらの特性は、in vitro及びin vivoの双方での安定性を低下させ、薬物安全性を損なう恐れがある。
【0009】
[0009]さらに、大腸菌からのL−アスパラギナーゼに対して産生された抗体は、オンキャスパー(登録商標)と交差反応することになることが実証されている(Wang,B.ら(2003)“Evaluation of immunologic cross−reaction of anti−asparaginase antibodies in acute lymphoblastic leukemia(ALL and lymphoma patients)”、Leukemia 17、1583〜1588)。たとえこれらの抗体が中和していなかったとしても、この発見は、in vivoでの交差過敏性又は交差不活性化の高い可能性を明らかに実証するものであった。実際に、1つの報告では、ペグアスパルガーゼを投与された小児の30〜41%はアレルギー反応を有した(Wang,B.ら(2003)Leukemia 17、1583〜1588)。
【0010】
[0010]表立ったアレルギー反応に加えて、「無症状の過敏性」の問題が近年報告されており、それによって、患者は、臨床的ないかなる過敏性反応の証拠も示すことなく、抗アスパラギナーゼ抗体を産生する(Wang,B.ら(2003)Leukemia 17、1583〜1588)。この反応は、大腸菌のL−アスパラギナーゼ及びペグアスパルガーゼに対する中和抗体の形成の原因となり得る;しかし、これらの患者は、過敏性の表立った徴候がないので、エルウィニアのL−アスパラギナーゼに切り替えられることなく、したがって、有効な治療を受ける期間が短くなる(Holcenberg,J.、J.Pediatr.Hematol.Oncol.26(2004)273〜274)。
【0011】
[0011]エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼの治療は、大腸菌由来のL−アスパラギナーゼに対する過敏性の事象において使用されることが多い。しかし、エルウィニアのL−アスパラギナーゼを投与されている患者の30〜50%もが抗体陽性であることが認められている(Avramis及びPanosyan、Clin.Pharmacokinet.(2005)44:367〜393)。さらに、エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼは、大腸菌のL−アスパラギナーゼよりも有意に短い排出半減期を有するので、より頻繁に投与する必要がある(Avramis及びPanosyan、Clin.Pharmacokinet.(2005)44:367〜393)。Avramisらによる試験では、エルウィニアのアスパラギナーゼは、より劣った薬物動態学的プロファイルを伴った(Avramisら、J.Pediatr.Hematol.Oncol.29(2007)239〜247)。したがって、大腸菌のL−アスパラギナーゼ及びペグアスパルガーゼは、エルウィニアのL−アスパラギナーゼよりも好ましい、ALLのファーストライン療法であった。
【0012】
[0012]多数の生物製剤は、長年にわたって成功のうちにペグ化されて市販されてきた。PEGをタンパク質にカップリングさせるために、PEGは、そのOH末端で活性化されなければならない。この活性化される基は、ペグ化されることになるタンパク質上の利用可能な反応基に基づいて選択される。タンパク質の場合、最も重要なアミノ酸は、リシン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、C末端カルボン酸及びN末端アミノ基である。タンパク質中の広範な反応基から見て、PEG部分を活性化するためにほぼ全てのペプチドの化学的性質が適用されてきた。この活性化されたPEG−試薬の例は、活性化されたカーボネート、例えば、p−ニトロフェニルカーボネート、スクシンイミジルカーボネート;活性なエステル、例えば、スクシンイミジルエステルであり、部位特異的カップリングには、アルデヒド及びマレイミドが開発されている(Harris,M.、Adv.Drug Del.Rev.54(2002)、459〜476)。PEG修飾のための多様な化学的方法の利用可能性は、ペグ化されたタンパク質のそれぞれの新しい開発がケースバイケースの研究になることを示している。化学的性質に加えて、タンパク質に結合されるPEGの分子量は、ペグ化されたタンパク質の医薬特性に強い影響力を有する。多くの場合、PEGの分子量が大きくなればなるほど、医薬特性がさらに改良されることが予想される(Sherman,M.R.、Adv.Drug Del.Rev.60(2008)、59〜68;Holtsberg,F.W.、Journal of Controlled Release 80(2002)、259〜271)。例えば、Holtsbergらは、微生物の供給源から単離されたもう1つのアミノ酸分解酵素であるアルギニンデアミナーゼにPEGをコンジュゲートさせたときに、PEGの結合物のサイズを5000Daの分子量から20,000Daまで増大させるにつれてその酵素の薬物動態学的機能及び薬力学的機能が増大することを発見した(Holtsberg,F.W.、Journal of Controlled Release 80(2002)、259〜271)。
【0013】
[0013]しかし、多くの場合、ペグ化された生物製剤は、非修飾のその生物製剤と比較して、有意に低下した活性を示す(Fishburn,C.S.(2008)総説“The Pharmacology of PEGylation:Balancing PD with PK to Generate Novel Therapeutics”J.Pharm.Sci.、1〜17)。エルウィニア・カロトボラからのL−アスパラギナーゼの場合、ペグ化によってそのin vitro活性が約57%に低下したことが認められている(Kuchumova,A.V.ら(2007)“Modification of Recombinant asparaginase from Erwinia carotovora with Polyethylene Glycol 5000”Biochemistry(Moscow)Supplement Series B:Biomedical Chemistry、1、230〜232)。エルウィニア・カロトボラからのL−アスパラギナーゼは、エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼ(クリサンタスパーゼ)と約75%のみの相同性を有する。オンキャスパー(登録商標)の場合、そのin vitro活性は、非修飾の大腸菌のL−アスパラギナーゼと比較して、約50%であることも知られている。
【0014】
[0014]現在利用可能なL−アスパラギナーゼ製剤は、高い触媒活性、有意に改良された薬理学的特性及び薬物動態学的特性、並びに低下した免疫原性を特徴とする、代替の又は相補的な療法−−特に、ALLを治療するための療法−−を提供しない。
【0015】
[発明の簡単な概要]
[0015]本発明は、実質的なL−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質と、ポリエチレングリコールとのコンジュゲートであって、該ポリエチレングリコールが約5000Da以下の分子量を有するコンジュゲート、特に、該タンパク質がエルウィニアからのL−アスパラギナーゼであるコンジュゲートを対象とする。一実施形態において、該コンジュゲートは、配列番号1のアミノ酸と少なくとも80%の同一性を有する、エルウィニアからのL−アスパラギナーゼと、ポリエチレングリコール(PEG)とを含み、該PEGは約5000Da以下の分子量を有する。一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、配列番号1のアミノ酸と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、該PEGは、約5000Da、4000Da、3000Da、2500Da、又は2000Daの分子量を有する。一実施形態において、該コンジュゲートは、PEGにコンジュゲートされていないときのL−アスパラギナーゼと比較して、少なくとも60%、65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のin vitro活性を有する。他の一実施形態において、該コンジュゲートは、PEGにコンジュゲートされていないときのL−アスパラギナーゼよりも、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100倍強力なL−アスパラギン枯渇活性を有する。他の一実施形態において、該コンジュゲートは、少なくとも約12、24、48、96、108、又は120時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを検出不可能なレベルまで枯渇させる。
【0016】
[0016]一実施形態において、該コンジュゲートは、PEGにコンジュゲートされていないときのL−アスパラギナーゼと比較して、より長いin vivoでの循環半減期を有する。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、(例えば、μg/kgで測定される)等価なタンパク質用量で投与されるペグアスパルガーゼ(すなわち、PEGにコンジュゲートされた、大腸菌からのL−アスパラギナーゼ)よりも長いt1/2を有する。より特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、マウスにおけるiv投与後、タンパク質含有量に基づいて約50μg/kgの用量で、少なくとも約58〜約65時間のt1/2を有し、タンパク質含有量に基づいて約10μg/kgの用量で、少なくとも約34〜約40時間のt1/2を有する。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲の用量で、少なくとも約100〜約200時間のt1/2を有する。一実施形態において、該コンジュゲートは、PEGにコンジュゲートされていないときのL−アスパラギナーゼと比較して、より大きい曲線下面積(AUC)を有する。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、等価なタンパク質用量でペグアスパルガーゼよりも少なくとも約3倍大きい平均AUCを有する。
【0017】
[0017]一実施形態において、PEGは、L−アスパラギナーゼの1個又は複数のアミノ基(ここで、「アミノ基」は、リシン残基及び/又はN末端を含む)に共有結合で連結している。より特定の一実施形態において、PEGは、1個又は複数の該アミノ基にアミド結合によって共有結合で連結している。他の特定の一実施形態において、PEGは、アクセス可能な該アミノ基(例えば、該タンパク質のリシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%又は全アミノ基(例えば、該タンパク質のリシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約90%に共有結合で連結している。一実施形態において、該コンジュゲートは、以下の式
Asp−[NH−CO−(CH2)x−CO−NH−PEG]n
[式中、Aspは、L−アスパラギナーゼであり、NHは、Aspのリシン残基及び/又はN末端の1個又は複数のNH基であり、PEGは、ポリエチレングリコール部分であり、nは、Asp中のアクセス可能な該アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の少なくとも約40%〜約100%を表す数字であり、且つxは、約1〜約8、より詳細には、約2〜約5の範囲の整数である]
を有する。特定の一実施形態において、該PEGは、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。
【0018】
[0018]他の一態様において、本発明は、コンジュゲートを作製する方法であって、緩衝液中で、ある量のPEGをある量のL−アスパラギナーゼと、該PEGを該L−アスパラギナーゼに共有結合で連結させるのに十分な時間で組み合わせるステップを含む方法を目的としている。
【0019】
[0019]他の一態様において、本発明は、本発明のコンジュゲートを含む医薬組成物を対象とする。
【0020】
[0020]他の一態様において、本発明は、患者においてL−アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患を治療する方法であって、有効量の本発明のコンジュゲートを投与するステップを含む方法を対象とする。一実施形態において、該疾患は癌である。特定の一実施形態において、該癌はALLである。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5U/kg体重〜約50U/kg体重の量で投与される。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態において、該投与は、静脈内又は筋肉内であってもよく、且つ週1回未満(例えば、月1回又は隔週1回)、週1回、週2回、又は週3回であってもよい。他の特定の実施形態において、該コンジュゲートは、単独療法として投与され、より詳細には、アスパラギンシンテターゼ阻害剤なしで投与される。他の実施形態において、該コンジュゲートは、併用療法の一部として投与される(しかし、いくつかの実施形態では、該併用療法は、アスパラギンシンテターゼ阻害剤を含まない)。特定の一実施形態において、治療を受けている患者は、大腸菌のアスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態に対する又はエルウィニアのアスパラギナーゼに対する予めの過敏性を有している。他の特定の一実施形態において、治療を受けている患者は、疾患再発、特に、大腸菌のアスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態での治療後に起こる再発を有している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】[0021] 精製した組換えエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を示した図である。精製した組換えエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼ(r−クリサンタスパーゼ)をSDS−PAGE上で分析した。タンパク質バンドを硝酸銀で染色した。レーン1:分子量マーカー(116、66.2、45、35、25、18.4、及び14.4kDa)、レーン2:精製した組換えエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼ(r−クリサンタスパーゼ)。
【図2】[0022] mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートのSDS−PAGE分析を示した図である。
【図3】[0023] エルウィナーゼ(登録商標)(5U/kg、25U/kg、125U/kg及び250U/kg体重)の単回静脈内投与後の血漿中L−アスパラギンレベルを示した図である。
【図4】[0024] マウスにおける、エルウィナーゼ(登録商標)と比較した、mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの単回静脈内注射後の血漿中L−アスパラギンレベルを示した図である。数字「40%」及び「100%」はそれぞれ、アクセス可能なアミノ基の(部分的にペグ化された)約40〜55%及び(最大限にペグ化された)約100%のペグ化のおよその程度を示す。
【図5】[0025] マウスにおけるmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの単回静脈内注射後のL−アスパラギナーゼプロファイルから算出した曲線下面積(AUC)(残留酵素活性)を示した図である。
【図6A】[0026] マウスにおける2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg、25U/kg及び50U/kg体重)(図6A)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg、25U/kg及び50U/kg体重)(図6B)、又は2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、及びペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))(1U/kg)(図6C)の単回静脈内投与後の血漿中のL−アスパラギンレベルを示した図である。2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標)、1U/kg)のいずれかの等価な量のタンパク質(10μg/kg)の投与の結果として、72時間にわたる同様なL−アスパラギン枯渇となった。
【図6B】[0026] マウスにおける2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg、25U/kg及び50U/kg体重)(図6A)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg、25U/kg及び50U/kg体重)(図6B)、又は2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、及びペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))(1U/kg)(図6C)の単回静脈内投与後の血漿中のL−アスパラギンレベルを示した図である。2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標)、1U/kg)のいずれかの等価な量のタンパク質(10μg/kg)の投与の結果として、72時間にわたる同様なL−アスパラギン枯渇となった。
【図6C】[0026] マウスにおける2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg、25U/kg及び50U/kg体重)(図6A)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg、25U/kg及び50U/kg体重)(図6B)、又は2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、及びペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))(1U/kg)(図6C)の単回静脈内投与後の血漿中のL−アスパラギンレベルを示した図である。2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ(5U/kg)、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標)、1U/kg)のいずれかの等価な量のタンパク質(10μg/kg)の投与の結果として、72時間にわたる同様なL−アスパラギン枯渇となった。
【図7A】[0027] 5kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼと比較した、2kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの用量−効果の関係を示した図である。図7Aは、5U/kg(タンパク質含有量に基づいて10μg/kg)、25U/kg、及び50U/kgでの2kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの単回静脈内投与後の血漿中の残留酵素活性を示す。図7Bは、5U/kg(タンパク質含有量に基づいて10μg/kg)、25U/kg、及び50U/kgでの5kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの単回静脈内投与後の血漿中の残留酵素活性を示す。
【図7B】[0027] 5kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼと比較した、2kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの用量−効果の関係を示した図である。図7Aは、5U/kg(タンパク質含有量に基づいて10μg/kg)、25U/kg、及び50U/kgでの2kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの単回静脈内投与後の血漿中の残留酵素活性を示す。図7Bは、5U/kg(タンパク質含有量に基づいて10μg/kg)、25U/kg、及び50U/kgでの5kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの単回静脈内投与後の血漿中の残留酵素活性を示す。
【図8】[0028] 5kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼと比較した、2kDa−100%ペグ化r−クリサンタスパーゼの用量−効果の関係を示した図である。2kDa−100%mPEG−コンジュゲート又は5kDa−100%mPEG−コンジュゲートの単回静脈内投与後にマウスにおいて測定された残留酵素活性のAUC。全体的に、同じ用量レベルで比較したときに、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼで測定されたAUCは、2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼで認められたものよりも大きかった。5、25、及び50U/kgの用量で、それぞれ、31、37、及び14%の相違が認められた。
【図9A】[0029] マウスにおける、mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲート対ペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))の薬物動態を示した図である。図9Aは、2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))の単回静脈内投与後にマウスにおいて測定された残留酵素活性を示している。図9Bは、2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))の単回静脈内投与後にマウスにおいて測定された残留酵素活性のAUCを示している。
【図9B】[0029] マウスにおける、mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲート対ペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))の薬物動態を示した図である。図9Aは、2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))の単回静脈内投与後にマウスにおいて測定された残留酵素活性を示している。図9Bは、2kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、5kDa−100%mPEG−r−クリサンタスパーゼ、又はペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))の単回静脈内投与後にマウスにおいて測定された残留酵素活性のAUCを示している。
【図10】[0030] mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲート又はエルウィナーゼ(登録商標)での治療後の抗クリサンタスパーゼ特異的抗体の血清中レベルを示した図である。抗体は、クリサンタスパーゼに対して誘導される。データを、平均±SD(N=8)として表している。
【図11】[0031] 最大限に(100%)ペグ化されたmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートでの治療後の抗コンジュゲート特異的抗体の血清中レベルを示した図である。図11A:結果を、平均±SD(n=8)として示している;図11B:結果を、抗コンジュゲートELISAにおいて吸光度値>0.5を有する動物の百分率として示している。
【0022】
[発明の詳細な説明]
[0032]一態様において、本発明によって解決される課題は、以下を有するL−アスパラギナーゼ製剤を提供することである:
in vitroでの高い生理活性;
PEGとタンパク質の安定な連結;
in vivoでの長い半減期;
例えば、反復投与後のL−アスパラギナーゼ製剤に対する抗体反応の低下又は排出によって立証されるような、有意に低下した免疫原性;及び
例えば大腸菌由来のL−アスパラギナーゼを使用したファーストライン療法に対する敏感性が高まっている患者のためのセカンドライン療法としての有用性。
【0023】
[0033]この課題は、修飾されたL−アスパラギナーゼ製剤と有意な交差反応性を有するか(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Wang,B.ら(2003)Leukemia 17、1583〜1588)、又はin vitroでのかなり低下した活性を有するか(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Kuchumova,A.V.ら(2007)Biochemistry(Moscow)Supplement Series B:Biomedical Chemistry、1、230〜232)のいずれかである、既知のL−アスパラギナーゼコンジュゲートによって解決されていない。この課題は、親水性ポリマーを、より詳細には、5000Da以下の分子量を有するポリエチレングリコールを有するエルウィニアのL−アスパラギナーゼのコンジュゲート、こうしたコンジュゲートを調製する方法及び該コンジュゲートの使用を提供することによって、本発明に従って解決される。
【0024】
[0034]本明細書に記載しているのは、非修飾のL−アスパラギナーゼタンパク質と比較して、並びに大腸菌からのペグアスパルガーゼ製剤と比較して、改良された薬理学的特性を有する、エルウィニアからのペグ化されたL−アスパラギナーゼである。本明細書に記載しているペグ化されたL−アスパラギナーゼコンジュゲート、例えば、5000Daの分子量のPEGでペグ化されたエルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼは、大腸菌からのL−アスパラギナーゼ若しくはペグ化されたL−アスパラギナーゼ、又はエルウィニアからの非修飾のL−アスパラギナーゼを用いた治療に対する過敏性(例えば、アレルギー反応又は無症状の過敏性)を示す患者において特に使用される、治療剤としての役割を果たす。本明細書に記載のペグ化されたL−アスパラギナーゼコンジュゲートは、疾患再発、例えば、ALLの再発を有しており、別の形態のアスパラギナーゼ、例えば、大腸菌からのL−アスパラギナーゼ又はペグ化されたL−アスパラギナーゼで以前に治療されている患者において使用される治療剤としても有用である。
【0025】
[0035]本明細書に詳細に記載しているように、本発明のコンジュゲートは、予想外なことに、ペグアスパルガーゼのような既知のL−アスパラギナーゼ製剤と比較して優れた特性を示す。例えば、エルウィニア・クリサンテミからの非修飾のL−アスパラギナーゼ(クリサンタスパーゼ)は、大腸菌からの非修飾のL−アスパラギナーゼよりも有意に短い半減期を有する(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Avramis及びPanosyan、Clin.Pharmacokinet.(2005)44:367〜393)。本発明のペグ化されたコンジュゲートは、等価なタンパク質用量で、ペグ化された大腸菌からのL−アスパラギナーゼよりも長い半減期を有する。
【0026】
定義
[0036]他に特に定めがない限り、本明細書中で使用される用語は、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って理解されることになる。
【0027】
[0037]本明細書中で使用される場合、「含む(including)」という用語は、「限定されることなく、含む(including,without limitation)」ことを意味し、他に文脈による指示がない限り、単数で使用される用語は複数を含むものとし、その逆もまた同様である。
【0028】
[0038]本明細書中で使用される場合、「アスパラギンの枯渇によって治療可能な疾患」という用語は、その病気又は障害に関連する又はその原因となる細胞がL−アスパラギンを合成する能力を欠いているか又はその低下した能力を有する、ある病気又は障害を指す。L−アスパラギンの枯渇又は欠乏は、部分的であってもよく、又は実質的に完全(例えば、当技術分野において知られている方法及び装置を使用して検出不可能なレベルまで)であってもよい。
【0029】
[0039]本明細書中で使用される場合、「治療有効量」という用語は、望ましい治療効果を生じるのに必要とされるタンパク質(例えば、アスパラギナーゼ又はそのコンジュゲート)の量を指す。
【0030】
L−アスパラギナーゼタンパク質
[0040]本発明によるタンパク質は、L−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有する酵素、すなわち、L−アスパラギナーゼである。
【0031】
[0041]多くのL−アスパラギナーゼタンパク質が当技術分野で同定され、既知の方法によって微生物から単離されてきた(例えば、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Savitri及びAzmi、Indian J.Biotechnol 2(2003)184〜194を参照されたい)。最も広く使用され且つ市販されているL−アスパラギナーゼは、大腸菌からのもの又はエルウィニア・クリサンテミからのものであり、その双方が、50%以下の構造的な相同性を共有している。エルウィニア種の中で、エルウィニア・クリサンテミ由来の酵素とエルウィニア・カロトボラ由来の酵素との間で、典型的には、75〜77%の配列同一性が報告されており、エルウィニア・クリサンテミの異なる亜種間では、約90%の配列同一性が見出されている(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Kotzia GA、Labrou E、Journal of Biotechnology(2007)127:657〜669)。いくつかの代表的なエルウィニアのL−アスパラギナーゼとしては、例えば、以下の表1に示すものなどが挙げられる:
【0032】
【表1】

【0033】
[0042]表1のエルウィニアのL−アスパラギナーゼの配列及びGenBankの登録事項は、参照により本明細書に組み込まれている。治療において使用される好ましいL−アスパラギナーゼは、大腸菌から及びエルウィニア、特に、エルウィニア・クリサンテミから単離されたL−アスパラギナーゼである。
【0034】
[0043]該L−アスパラギナーゼは、該微生物から単離される天然の酵素であってもよい。これらは、大腸菌のような生産菌における組換え酵素技術によって作製することもできる。例として、本発明のコンジュゲートにおいて使用されるタンパク質は、エルウィニア種からのタンパク質の組換え大腸菌生産株において作製された大腸菌からのタンパク質、特に、組換え大腸菌生産株において作製された、エルウィニア・クリサンテミからのタンパク質であってもよい。
【0035】
[0044]酵素は、その特有の活性によって識別することができる。したがって、この定義には、他の生物にも、より詳細には、他の微生物にも存在する、定義された特有の活性を有する全てのポリペプチドが含まれる。同様な活性を有する酵素は、それらを、PFAM又はCOGとして定義される特定のファミリーに分類することによって識別できることが多い。PFAM(アライメント及び隠れマルコフモデルのタンパク質ファミリーデータベース;http://pfam.sanger.ac.uk/)は、タンパク質配列アライメントの大規模なコレクションを代表するものである。それぞれのPFAMは、複数のアライメントを可視化し、タンパク質ドメインを認知し、生物間の分布を評価し、他のデータベースにアクセスして、既知のタンパク質構造を可視化することを可能にする。COG(タンパク質のオーソログの群のクラスター;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/COG/)は、30種の主な系統学的系統を代表する、完全に配列決定された43ゲノムからのタンパク質配列を比較することによって得られる。それぞれのCOGは、少なくとも3種の系統から定義され、これにより、前者の保存されたドメインの同定が可能となる。
【0036】
[0045]相同配列並びにそれらの相同性及び/又は同一性の百分率を特定する手段は、当業者によく知られており、特に、BLASTプログラムなどが挙げられ、これは、ウェブサイトhttp://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiから、そのウェブサイト上に示された初期設定パラメータを用いて使用することができる。得られた配列を、次いで、例えば、CLUSTALW(http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.html)又はMULTALIN(http://bioinfo.genotoul.fr/multalin/multalin.html)プログラムを使用して、これらのウェブサイト上に示された初期設定パラメータを用いて、(例えば、アライメントして)利用することができる。当業者は、GenBank上に提供される既知の遺伝子のレファレンスを使用して、他の生物、細菌株、酵母、菌類、哺乳動物、植物などにおける同等な遺伝子を決定することができる。このルーチン的な作業は、便宜上、他の微生物に由来する遺伝子と配列アライメントを行い、別の生物にある対応する遺伝子をクローニングするための縮重プローブを設計することによって決定することができるコンセンサス配列を使用して行われる。これらのルーチン的な分子生物学の方法は、当業者によく知られており、例えば、Sambrookら(1989 MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版 Cold Spring Harbor Lab.、Cold Spring Harbor、New York)に、記載されている。
【0037】
[0046]実際に、当業者は、L−アスパラギナーゼ活性を実質的に維持している相同なタンパク質を選択及び設計する方法を理解するであろう。典型的には、L−アスパラギナーゼ活性の決定のために、Mashburn及びWristonによって記載されている方法(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Mashburn,L.,及びWriston,J.(1963)“Tumor Inhibitory Effect of L−Asparaginase”、Biochem Biophys Res Commun 12、50)に従って、ネスラーアッセイが使用される。
【0038】
[0047]特定の一実施形態において、本発明のコンジュゲートのうち、該L−アスパラギナーゼタンパク質は、配列番号1の配列を含むタンパク質と少なくとも約80%の相同性又は同一性を有し、より詳細には、配列番号1の配列を含むタンパク質と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の相同性又は同一性を有する。配列番号1は、以下の通りである:
ADKLPNIVILATGGTIAGSAATGTQTTGYKAGALGVDTLINAVPEVKKLANVKGEQFSNMASENMTGDVVLKLSQRVNELLARDDVDGVVITHGTDTVEESAYFLHLTVKSDKPVVFVAAMRPATAISADGPMNLLEAVRVAGDKQSRGRGVMVVLNDRIGSARYITKTNASTLDTFKANEEGYLGVIIGNRIYYQNRIDKLHTTRSVFDVRGLTSLPKVDILYGYQDDPEYLYDAAIQHGVKGIVYAGMGAGSVSVRGIAGMRKAMEKGVVVI
RSTRTGNGIVPPDEELPGLVSDSLNPAHARILLMLALTRTSDPKVIQEYFHTY(配列番号1)
【0039】
[0048]「配列番号1の配列を含む」という用語は、該タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1に厳密に限定されてはいけないが、さらなるアミノ酸が含まれていてもよいことを意味する。
【0040】
[0049]特定の一実施形態において、該タンパク質は、配列番号1の配列を有する、エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼである。他の一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、シグナルペプチド及び/又はリーダー配列を有するか又は有さないかのいずれかである、エルウィニア・クリサンテミNCPPB1066(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Genbankアクセッション番号CAA32884)からのものである。
【0041】
[0050]配列番号1のタンパク質の断片も、本発明のコンジュゲートにおいて使用されるタンパク質の定義の範囲内に含まれる。「配列番号1の断片」という用語は、ポリペプチドの配列が、配列番号1よりも少ないアミノ酸であるがL−アミノヒドロラーゼ活性を与えるのに依然として十分なアミノ酸を含み得ることを意味する。
【0042】
[0051]ポリペプチドを、その酵素活性を維持したまま、1個又は複数のアミノ酸の置換、挿入、欠失及び/又は付加によって改変できることは、当技術分野においてよく知られている。例えば、タンパク質の機能特性に影響を及ぼすことのない、所与の部位における1個のアミノ酸の、化学的に等価なアミノ酸による置換は、一般的である。置換は、以下の群のうちの1つの中での交換として定義することもできる:
無極性又は僅かに極性である小さい脂肪族残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly
負に荷電した極性残基及びそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln
正に荷電した極性残基:His、Arg、Lys
大きい脂肪族無極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys
大きい芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
【0043】
[0052]したがって、1個の負に荷電した残基の別の残基との(例えば、グルタミン酸のアスパラギン酸との)置換又は1個の正に荷電した残基の別の残基との(例えば、リシンのアルギニンとの)置換という結果になる変化は、機能的に等価な産物を生じると予想され得る。
【0044】
[0053]アミノ酸が改変される部位及びアミノ酸配列中の改変されるアミノ酸の数は、特に限定されない。当業者は、タンパク質の活性に影響を及ぼすことなく導入できる改変を認識することができる。例えば、タンパク質のN末端又はC末端の部分における改変は、特定の状況下でタンパク質の活性を変えることがないと予想され得る。特に、アスパラギナーゼに関して、特に、活性のある触媒部位を形成する配列、構造、及び残基に関する、多くの特徴付けが行われてきた。これは、酵素の活性に影響を及ぼすことなく改変できる残基に関する指針を提供する。細菌の供給源からの全ての既知のL−アスパラギナーゼは、一般的な構造的特徴を有する。それらは全て、2個の隣接したモノマーのN末端ドメインとC末端ドメインとの間の4個の活性部位を有するホモ四量体である(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Aghaipourら、Biochemistry 40(2001)5655〜5664)。それらは全て、その三次構造及び四次構造において、高度な類似性を有する(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Papageorgiouら、FEBS J.275(2008)4306〜4316)。L−アスパラギナーゼの触媒部位の配列は、エルウィニア・クリサンテミ、エルウィニア・カロトボラ、及び大腸菌のL−アスパラギナーゼIIの間で高度に保存されている(Papageorgiouら、FEBS J.275(2008)4306〜4316)。活性部位のフレキシブルループは、アミノ酸残基14〜33を含み、構造解析により、Thr15、Thr95、Ser62、Glu63、Asp96、及びAla120は、リガンドと接触することが示されている(Papageorgiouら、FEBS J.275(2008)4306〜4316)。Aghaipourらは、基質と複合した酵素の高分解能結晶構造を調べることによって、エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼの4個の活性部位の詳細な解析を行った(Aghaipourら、Biochemistry 40(2001)5655〜5664)。Kotziaらは、いくつかの種及びエルウィニアの亜種からのL−アスパラギナーゼの配列を提供しており、これらのタンパク質は、エルウィニア・クリサンテミとエルウィニア・カロトボラとの間で約75〜77%のみの同一性を有するにもかかわらず、いずれもL−アスパラギナーゼ活性を依然として有する(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Kotziaら、J.Biotechnol.127(2007)657〜669)。Moolaらは、エルウィニア・クリサンテミ3937のL−アスパラギナーゼのエピトープマッピングの研究を行い、アスパラギナーゼの免疫原性を低下させる試みにおいて多様な抗原性配列を変異させた後であっても酵素活性を維持することができた(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Moolaら、Biochem.J.302(1994)921〜927)。上記に引用した各論文は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている。L−アスパラギナーゼについて行われた広範囲にわたる特徴付けから見て、当業者は、酵素活性を依然として維持したまま、断片及び/又は配列置換を作製する方法を決定することができるであろう。
【0045】
コンジュゲートにおいて使用されるポリマー
[0054]ポリマーは、例えば、多糖類、例えば、ヒドロキシエチルデンプン、ポリアミノ酸、例えば、ポリリシン、ポリエステル、例えば、ポリ乳酸、及びポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などの毒性のない水溶性ポリマーの群から選択される。
【0046】
[0055]ポリエチレングリコール(PEG)又はモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)は、当技術分野においてよく知られており、直鎖状ポリマー及び分枝状ポリマーを含む。いくつかのポリマー、特にPEGの例は、以下で示されており、それぞれ、参照により本明細書にその全体が組み込まれている:米国特許第5,672,662号;米国特許第4,179,337号;米国特許第5,252,714号;米国特許出願公開第2003/0114647号;米国特許第6,113,906号;米国特許第7,419,600号;及び国際公開第2004/083258号。
【0047】
[0056]こうしたポリマーの品質は、多分散指数(PDI)によって特徴付けられる。PDIは、所与のポリマー試料中の分子量の分布を反映するものであり、数平均分子量で除算した重量平均分子量から算出する。PDIは、ポリマーのバッチ中の個々の分子量の分布を示す。PDIは、常に1を超える値を有するが、ポリマー鎖が典型的なガウス分布(=単分散度)に近づくにつれて、PDIは1に近づく。
【0048】
[0057]該ポリエチレングリコールは、約500Da〜約9,000Daの範囲内に含まれる分子量を有すると有利である。より詳細には、該ポリエチレングリコール(例えば、mPEG)は、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da,及び5000Daのポリエチレングリコールからなる群から選択される分子量を有する。特定の一実施形態において、該ポリエチレングリコール(例えば、mPEG)は、5000Daの分子量を有する。
【0049】
コンジュゲートを調製する方法
[0058]該ポリマーをL−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質にその後カップリングさせるために、該ポリマー部分は、該タンパク質中のアミノ基と反応することが好ましい活性化された官能性を含む。一態様において、本発明は、コンジュゲートを作製する方法であって、緩衝液中で、ある量のポリエチレングリコール(PEG)をある量のL−アスパラギナーゼと、該PEGを該L−アスパラギナーゼに共有結合で連結させるのに十分な時間、組み合わせるステップを含む方法を対象とする。特定の一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのものであり、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼである。一実施形態において、該PEGは、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。
【0050】
[0059]一実施形態において、該ポリエチレングリコールとL−アスパラギナーゼとの間の反応は、緩衝液中で行われる。いくつかの特定の実施形態において、該緩衝液のpH値は、約7.0〜約9.0の範囲である。最も好ましいpH値は、約7.5〜約8.5の範囲であり、例えば、約7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、又は8.5のpH値である。特定の一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのものであり、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼである。
【0051】
[0060]さらに、L−アスパラギナーゼのペグ化は、約0.5〜約25mg/mLの間、より詳細には、約2〜約20mg/mLの間、最も詳細には、約3〜約15mg/mLの間のタンパク質濃度で行われる。例えば、該タンパク質濃度は、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20mg/mLである。特定の一実施形態において、これらのタンパク質濃度でのL−アスパラギナーゼのペグ化は、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミのものであり、より詳細には、該L−アスパラギナーゼは配列番号1の配列を含む。
【0052】
[0061]2mg/mLを超える高いタンパク質濃度において、このペグ化反応は、2時間未満の範囲内で、急速に進行する。さらに、約20:1未満の、L−アスパラギナーゼ中のアミノ基に対するポリマーのモル過剰比が適用される。例えば、モル過剰比は、約20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7.5:1、7:1、6.5:1、6:1、5.5:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、又は1:1未満である。特定の一実施形態において、モル過剰比は約10:1未満であり、より特定の実施形態において、モル過剰比は約8:1未満である。特定の一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのものであり、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼである。
【0053】
[0062]該タンパク質にカップリングさせることができるPEG部分の数は、遊離のアミノ基の数に、さらにそれよりも、ペグ化反応のためにアクセス可能なアミノ基に従うことになる。特定の一実施形態において、ペグ化の程度(すなわち、L−アスパラギナーゼ上のアミノ基にカップリングされるPEG部分の数)は、遊離のアミノ基及び/又はアクセス可能なアミノ基のうちの約10%〜約100%の範囲内(例えば、約10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)である。アクセス可能なアミノ基(例えば、該タンパク質のリシン残基及び/又はN末端)の100%のペグ化は、本明細書中では「最大限にペグ化された」とも称する。mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲート中の修飾されたアミノ基(ペグ化の程度)を決定する1つの方法は、Habeeb(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、A.F.S.A. Habeeb、“Determination of free amino groups in proteins by trinitrobenzensulfonic acid”、Anal.Biochem.14(1966)、328頁)によって記載されている方法である。一実施形態において、該PEG部分は、該L−アスパラギナーゼの1個又は複数のアミノ基(ここで、アミノ基は、リシン残基及び/又はN末端を含む)にカップリングしている。特定の一実施形態において、ペグ化の程度は、全アミノ基又はアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの約10%〜約100%の範囲内、例えば、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%である。特定の一実施形態において、全ての該アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%は、PEG部分にカップリングしている。他の特定の一実施形態において、アクセス可能な該アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%は、PEG部分にカップリングしている。特定の一実施形態において、アクセス可能な該アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの40〜55%又は100%は、PEG部分にカップリングしている。いくつかの実施形態において、該PEG部分は、共有結合による連結によって該L−アスパラギナーゼにカップリングしている。特定の一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのものであり、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼである。
【0054】
[0063]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、以下の式
Asp−[NH−CO−(CH2)x−CO−NH−PEG]n
[式中、Aspは、L−アスパラギナーゼタンパク質であり、NHは、タンパク質鎖のリシン残基及び/又はN末端のNH基であり、PEGは、ポリエチレングリコール部分であり、且つnは、該タンパク質中のアクセス可能な該アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の少なくとも40%〜約100%の数字であり、全て上記及び実施例において以下で定義しており、xは、1〜8の範囲の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8)、好ましくは、2〜5の範囲の整数(例えば、2、3、4、5)である]
によって表すことができる。特定の一実施形態において、該L−アスパラギナーゼは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのものであり、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼである。
【0055】
[0064]本発明のコンジュゲートを形成するために使用することができる他のペグ化の方法は、例えば、参照により本明細書にそれぞれその全体が組み込まれている、米国特許第4,179,337号、米国特許第5,766,897号、米国特許出願公開第US2002/0065397A1号、及び米国特許出願公開第US2009/0054590A1号に、提供されている。
【0056】
[0065]特定の実施形態は、以下のようなコンジュゲートの群から選択される、実質的なL−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質とポリエチレングリコールとを含む:
(A)
該タンパク質は、配列番号1に開示のエルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼと少なくとも90%の構造の相同性を有し、
該ポリエチレングリコールは、約5000Daの分子量を有し、
該タンパク質及びポリエチレングリコール部分は、該タンパク質にアミド結合によって共有結合で連結しており、且つ
アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約100%又は全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約80〜90%、特に、約84%がポリエチレングリコール部分に連結している。
(B)
該タンパク質は、配列番号1に開示のエルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼと少なくとも90%の相同性を有し、
該ポリエチレングリコールは、約5000Daの分子量を有し、
該タンパク質及びポリエチレングリコール部分は、該タンパク質にアミド結合によって共有結合で連結しており、且つ
アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約40%〜約45%、特に、約43%、又は全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約36%がポリエチレングリコール部分に連結している。
(C)
該タンパク質は、配列番号1に開示のエルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼと少なくとも90%の相同性を有し、
該ポリエチレングリコールは、約2000Daの分子量を有し、
該タンパク質及びポリエチレングリコール部分は、該タンパク質にアミド結合によって共有結合で連結しており、且つ
アクセス可能なアミノ基(例えば、1個又は複数のリシン残基及び/又はN末端)の約100%又は全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約80〜90%、特に、約84%がポリエチレングリコール部分に連結している。
(D)
該タンパク質は、配列番号1に開示のエルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼと少なくとも90%の相同性を有し、
該ポリエチレングリコールは、約2000Daの分子量を有し、
該タンパク質及びポリエチレングリコール部分は、該タンパク質にアミド結合によって共有結合で連結しており、且つ
アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約50%〜約60%、特に、約55%又は全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約47%がポリエチレングリコール部分に連結している。
【0057】
L−アスパラギナーゼ−PEGコンジュゲート
[0066]本発明のコンジュゲートは、非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して、特に、非修飾のエルウィニアL−アスパラギナーゼと比較して、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからの非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して、より詳細には、配列番号1の配列を有する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して、固有の有利な且つ予想外の特性を有する。
【0058】
[0067]いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲートは、5U/kg体重(bw)又は(タンパク質含有量に基づいて)10μg/kgの用量で投与したときに、少なくとも約12、24、48、72、96、又は120時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを低下させる。他の実施形態において、本発明のコンジュゲートは、25U/kg bw又は(タンパク質含有量に基づいて)50μg/kgの用量で投与したときに、少なくとも約12、24、48、72、96、120、又は144時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを検出不可能なレベルまで低下させる。他の実施形態において、本発明のコンジュゲートは、50U/kg bw又は(タンパク質含有量に基づいて)100μg/kgの用量で投与したときに、少なくとも約12、24、48、72、96、120、144、168、192、216、又は240時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを低下させる。他の一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲の用量で投与したときに、少なくとも約12、24、48、72、96、120、144、168、192、216、又は240時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを検出不可能なレベルまで低下させる。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化される。
【0059】
[0068]一実施形態において、該コンジュゲートは、約4.5〜約8.5、特に約6.5のmol PEG/molモノマーの比;約450〜約550U/mg、特に約501U/mgの特有の活性;及び対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して約75%〜約85%、特に約81%の相対活性を含む。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、約40〜55%のアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)を5000DaのmPEGでペグ化された、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。
【0060】
[0069]一実施形態において、該コンジュゲートは、約12.0〜約18.0、特に約15.1のmol PEG/molモノマーの比;約450〜約550U/mg、特に約483U/mgの特有の活性;及び対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して約75〜約85%、特に約78%の相対活性を含む。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、約100%のアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)を5000DaのmPEGでペグ化された、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。
【0061】
[0070]一実施形態において、該コンジュゲートは、約5.0〜約9.0、特に約7.0のmol PEG/molモノマーの比;約450〜約550U/mg、特に約501U/mgの特有の活性;及び対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して約80〜約90%、特に約87%の相対活性を含む。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、約40〜55%のアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)を10,000DaのmPEGでペグ化された、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。
【0062】
[0071]一実施形態において、該コンジュゲートは、約11.0〜約17.0、特に約14.1のmol PEG/molモノマーの比;約450〜約550U/mg、特に約541U/mgの特有の活性;及び対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して約80〜約90%、特に約87%の相対活性を含む。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、約100%のアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)を10,000DaのmPEGでペグ化された、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。
【0063】
[0072]一実施形態において、該コンジュゲートは、約6.5〜約10.5、特に約8.5のmol PEG/molモノマーの比;約450〜約550U/mg、特に約524U/mgの特有の活性;及び対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して約80〜約90%、特に約84%の相対活性を含む。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、約40〜55%のアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)を2,000DaのmPEGでペグ化された、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。
【0064】
[0073]一実施形態において、該コンジュゲートは、約12.5〜約18.5、特に約15.5のmol PEG/molモノマーの比;約450〜約550U/mg、特に約515U/mgの特有の活性;及び対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して約80〜約90%、特に約83%の相対活性を含む。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、約100%のアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)を2,000DaのmPEGでペグ化された、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。
【0065】
[0074]他の実施形態において、本発明のコンジュゲートは、対応する非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して、単回注射後に、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍の増大された効力を有する。特定の一実施形態において、これらの特性を有する該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化される。
【0066】
[0075]一態様において、本発明のコンジュゲートは、以下のパラメータによる薬物動態学的プロファイルを有する:
【0067】
【表2】

【0068】
血漿中での残留酵素活性の半減期の時間は、以下の式から導かれる:
平均:
【数1】


式中、t1/2は半減期であり、tは時点であり、cはその時点で残留した血漿中の活性であり、cは最初の残留した血漿中の活性である。曲線下面積(AUC)は、薬物動態のソフトウェアプログラム、例えば、シグマプロット(SigmaPlot)バージョン11、を使用して算出する。
【0069】
[0076]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、以下に記載の単回投与薬物動態学的プロファイルを有し、特に、このとき、該コンジュゲートは、2000Da以下の分子量でmPEGと、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼとを含む:
max:約150U/L〜約250U/L;
Amax:約4時間〜約8時間、特に、約6時間;
Amax:約220時間〜約250時間、特に、約238.5時間(ゼロを超える、約90分〜約240時間);
AUC:約12000〜約30000;及び
1/2:約50時間〜約90時間。
【0070】
[0077]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、以下に記載の単回投与薬物動態学的プロファイルを有し、特に、このとき、該コンジュゲートは、5000Da以下の分子量でmPEGと、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼとを含む:
max:約18U/L〜約250U/L;
Amax:約1時間〜約50時間;
Amax:約90時間〜約250時間、特に、約238.5時間(ゼロを超える、約90分〜約240時間);
AUC:約500〜約35000;及び
1/2:約30時間〜約120時間。
【0071】
[0078]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、等価なタンパク質の量のペグアスパルガーゼと比較して、単回投与後に、ある期間(例えば、24、48、又は72時間)にわたる同様なレベルのL−アスパラギン枯渇という結果になる。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含む該L−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化され、より詳細には、約40〜55%又は100%はペグ化される。
【0072】
[0079]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、等価なタンパク質用量で投与されるペグアスパルガーゼよりも長いt1/2を有する。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約50μg/kg(タンパク質含量基準)の用量で、少なくとも約50、52、54、56、58、59、60、61、62、63、64、又は65時間のt1/2を有する。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約10μg/kg(タンパク質含量基準)の用量で、少なくとも約30、32、34、36、37、38、39、又は40時間のt1/2を有する。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲の用量で、少なくとも約100〜約200時間のt1/2を有する。
【0073】
[0080]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、等価なタンパク質用量でペグアスパルガーゼよりも少なくとも約2、3、4又は5倍大きい平均AUCを有する。
【0074】
[0081]一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、例えば、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間などより長い、単回用量の投与後の特定の期間、いかなる有意な抗体反応も引き起こさない。特定の一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、少なくとも8週間、いかなる有意な抗体反応も引き起こさない。一例において、「いかなる有意な抗体反応も引き起こさない」ということは、該コンジュゲートを投与されている対象者が「抗体−陰性」として当技術分野で認識されているパラメータの範囲内に区別されることを意味する。抗体レベルは、当技術分野において知られている方法、例えば、ELISA又は表面プラズモン共鳴(SPR−Biacore)アッセイ(参照により本明細書にそれぞれその全体が組み込まれている、Zalewska−Szewczykら、Clin.Exp.Med.(2009)9:113〜116;Avramisら、Anticancer Research 29(2009)299〜302)によって決定することができる。本発明のコンジュゲートは、これらの特性の任意の組合せを有し得る。
【0075】
治療の方法及びコンジュゲートの使用
[0082]本発明のコンジュゲートは、アスパラギンの枯渇によって治療可能な疾患の治療において使用することができる。例えば、該コンジュゲートは、成人及び小児の双方における急性リンパ芽球性白血病(ALL)、並びにアスパラギン枯渇が有用な効果を有すると予想される他の病気の治療において、又はその治療において使用される医薬品の製造において有用である。こうした状態としては、以下のものなどが挙げられるが、これらに限定されない:血液学的悪性腫瘍、非ホジキンリンパ腫、NKリンパ腫、膵臓癌、ホジキン病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、慢性リンパ性白血病、リンパ肉腫、細網肉腫、及び黒色肉腫を含むが、これらに限定されない、悪性腫瘍、又は癌。アスパラギン枯渇に反応性を示す代表的な非悪性血液疾患としては、免疫系を介した血液疾患、例えば、HIV感染(すなわち、AIDS)によって惹起されるような感染症などが挙げられる。アスパラギン依存性に関連した非血液疾患としては、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、SLE、自己免疫、膠原病性脈管疾患、AIDSなどが挙げられる。他の自己免疫疾患としては、骨関節炎、アイザック症候群、乾癬、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、硬化性全脳炎、全身性紅斑性狼瘡、リウマチ熱、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、糸球体腎炎、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、及びグレーブス病などが挙げられる。疾患を引き起こすと考えられる細胞を、任意の好適なin vitro又はin vivoでのアッセイ、例えば、増殖培地がアスパラギンを欠いているin vitroでのアッセイにおいて、アスパラギン依存性について試験することができる。したがって、一態様において、本発明は、患者において治療可能な疾患を治療する方法を目的とし、該方法は、有効量の本発明のコンジュゲートを該患者に投与するステップを含む。特定の一実施形態において、該疾患はALLである。特定の一実施形態において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患の治療において使用される該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含む該L−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化され、より詳細には、約40〜55%又は100%はペグ化される。
【0076】
[0083]一実施形態において、本発明のコンジュゲートを用いた治療は、ファーストライン療法として行われることになる。他の一実施形態において、本発明のコンジュゲートを用いた治療は、患者において、特に、他のアスパラギナーゼ製剤、特に、天然の大腸菌由来のL−アスパラギナーゼ又はペグ化されたその異型(ペグアスパルガーゼ)に対する、「無症状の過敏性」を含む、アレルギー又は過敏性の客観的徴候が生じている、ALLを有する患者において、セカンドライン療法として行われることになる。アレルギー又は過敏性の客観的徴候の非限定的な例としては、アスパラギナーゼ酵素についての「抗体陽性」を試験することなどが挙げられる。特定の一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、ペグアスパルガーゼでの治療後のセカンドライン療法において使用される。より特定の一実施形態において、セカンドライン療法において使用される該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含む該L−アスパラギナーゼを含む。より特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下、より詳細には、約5000Daの分子量を有するPEG(例えば、mPEG)をさらに含む。さらにより特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化され、より詳細には、約40〜55%又は100%はペグ化される。
【0077】
[0084]他の一態様において、本発明は、急性リンパ芽球性白血病を治療する方法であって、治療有効量の本発明のコンジュゲートを、該治療を必要としている患者に投与するステップを含む方法を目的としている。特定の一実施形態において、治療は、単剤(例えば、単独療法)として、或いはグルココルチコイド、コルチコステロイド、又は、メトトレキサート、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びアントラサイクリンを含むが、これらに限定されない、抗癌性化合物若しくは他の作用剤を含むが、これらに限定されない、化学療法剤の組合せの一部として、約1500IU/m〜約15,000IU/m、典型的には、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲の用量で、週約2回〜月約1回の範囲、典型的には、週1回又は隔週1回のスケジュールで行われることになる。一例として、ALLを有する患者に、本発明のコンジュゲートを、誘導、固定又は強化、及び維持を含む化学療法の3段階の間に多剤化学療法の構成要素として投与することになる。特定の一実施例では、該コンジュゲートは、アスパラギンシンテターゼ阻害剤と共に投与されない(例えば、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、国際公開第2007/103290号に記載のものなど)。他の特定の一実施例において、該コンジュゲートは、アスパラギンシンテターゼ阻害剤と共に投与されるのではなく、他の化学療法剤と共に投与される。該コンジュゲートは、多剤化学療法レジメンの一部として、他の化合物の前、後、又は同時に投与することができる。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含む該L−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化され、より詳細には、約40〜55%又は100%はペグ化される。
【0078】
[0085]特定の一実施形態において、該方法は、本発明のコンジュゲートを約1U/kg〜約25U/kg(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25U/kg)の量又は(例えば、タンパク質含有量に基づいて)これらと等価な量で投与するステップを含む。より特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5、約10、及び約25U/kgからなる群から選択される量で投与される。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約1,000IU/m〜約20,000IU/m(例えば、1,000IU/m、2,000IU/m、3,000IU/m、4,000IU/m、5,000IU/m、6,000IU/m、7,000IU/m、8,000IU/m、9,000IU/m、10,000IU/m、11,000IU/m、12,000IU/m、13,000IU/m、14,000IU/m、15,000IU/m、16,000IU/m、17,000IU/m、18,000IU/m、19,000IU/m、又は20,000IU/m)の範囲の用量で投与される。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、当技術分野において知られている方法及び装置を使用して、単回投与で約3日〜約10日間(例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間)にわたってL−アスパラギンを検出不可能なレベルまで枯渇させる用量で投与される。他の一実施形態において、該方法は、患者において、コンジュゲートされていないL−アスパラギナーゼと比較して、より弱い免疫原性反応を誘発する本発明のコンジュゲートを投与するステップを含む。他の一実施形態において、該方法は、コンジュゲートされていないL−アスパラギナーゼと比較して、単回投与後により長いin vivoでの循環半減期を有する本発明のコンジュゲートを投与するステップを含む。一実施形態において、該方法は、等価なタンパク質用量で投与されるペグアスパルガーゼよりも長いt1/2を有するコンジュゲートを投与するステップを含む。特定の一実施形態において、該方法は、約50μg/kg(タンパク質含量基準)の用量で少なくとも約50、52、54、56、58、59、60、61、62、63、64、又は65時間のt1/2を有するコンジュゲートを投与するステップを含む。他の特定の一実施形態において、該方法は、約10μg/kg(タンパク質含量基準)の用量で少なくとも約30、32、34、36、37、38、39、又は40時間のt1/2を有するコンジュゲートを投与するステップを含む。他の特定の一実施形態において、該方法は、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲の用量で少なくとも約100〜約200時間のt1/2を有するコンジュゲートを投与するステップを含む。一実施形態において、該方法は、等価なタンパク質用量でペグアスパルガーゼよりも少なくとも約2、3、4又は5倍大きい平均AUCを有するコンジュゲートを投与するステップを含む。他の一実施形態において、該方法は、コンジュゲートされていないL−アスパラギナーゼと比較して、単回投与後により大きいAUC値を有する本発明のコンジュゲートを投与するステップを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)のうちの少なくとも約40%〜約100%はペグ化され、より詳細には、約40〜55%又は100%はペグ化される。
【0079】
[0086]L−アスパラギナーゼでの治療後のALL患者における再発の発生率は高いままであり、小児ALL患者の約10〜25%は(例えば、いくらかは、導入後30〜36ヶ月における維持段階の間に)早期の再発を有する(Avramis及びPanosyan、Clin.Pharmacokinet.(2005)44:367〜393)。大腸菌由来のL−アスパラギナーゼで治療した患者が再発を有する場合には、大腸菌製剤を用いたその後の治療が「予防接種」効果を導くこともあり、それにより、その大腸菌製剤がその後の投与時の免疫原性を増大させている。一実施形態において、本発明のコンジュゲートは、他のアスパラギナーゼ製剤で事前に治療した、特に、大腸菌由来のアスパラギナーゼで事前に治療した、再発したALLを有する患者を治療する方法において使用することもできる。
【0080】
[0087]いくつかの実施形態において、本発明の治療の使用及び方法は、本明細書で上記(例えば、「L−アスパラギナーゼPEGコンジュゲート」という表題の節の中)又は本明細書で下記に記載の特性又は特性の組合せを有するL−アスパラギナーゼコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0081】
組成物、製剤、及び投与の経路
[0088]本発明は、本発明のコンジュゲートを含む医薬組成物も含む。特定の一実施形態において、該医薬組成物は、その作製に使用した細菌の供給源が何であれ、現在利用可能な天然のL−アスパラギナーゼのように、溶媒で再構成される凍結乾燥粉末としてバイアル中に入れられている(キドロラーゼ(登録商標)、エルスパー(登録商標)、エルウィナーゼ(登録商標)...)。他の一実施形態において、該医薬組成物は、ペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))のように、適切な取扱い、例えば筋肉内、静脈内(点滴及び/又はボーラス)、脳室内(icv)、皮下の経路を通しての投与をさらに可能にする、「すぐに使える」溶液である。
【0082】
[0089]本発明のコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)を含む、本発明のコンジュゲートは、標準的な技術を使用して患者に投与することができる。技術及び製剤は、一般に、(参照により本明細書に組み込まれている)Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1990において見出すことができる。
【0083】
[0090]好適な剤形は、部分的には、使用又は導入経路によって、例えば、経口、経皮、経粘膜、又は注射(非経口)によって、異なる。こうした剤形は、治療剤が標的細胞に到達すること又はその他の場合には望ましい治療効果を有することを可能にするはずである。例えば、血流に注入する医薬組成物は、好ましくは、可溶性である。
【0084】
[0091]本発明によるコンジュゲート及び/又は医薬組成物は、薬学的に許容される塩及びそれらの錯体として製剤化することができる。薬学的に許容される塩は、投与される量及び濃度で存在する毒性のない塩である。こうした塩の製剤は、該化合物がその生理学的な効果を発揮するのを妨げることなく該化合物の物理的特性を変更することによって医薬的使用を容易にし得る。物理的特性における有用な変化としては、融点を低下させて経粘膜投与を容易にすること、及び溶解性を増大させてより高濃度の薬剤を投与するのを容易にすることなどが挙げられる。薬学的に許容されるアスパラギナーゼの塩は、当業者が認めるであろうように、錯体として存在していてもよい。
【0085】
[0092]薬学的に許容される塩としては、例えば硫酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、及びキナ酸塩を含むもののような酸付加塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマル酸、及びキナ酸を含む、酸から得ることができる。
【0086】
[0093]また、例えばカルボン酸又はフェノールのような酸性官能基が存在するときには、薬学的に許容される塩として、例えばベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、及び亜鉛を含むもののような塩基付加塩なども挙げられる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、前掲を参照されたい。こうした塩は、適切な対応する塩基を使用して調製することができる。
【0087】
[0094]特定のアスパラギナーゼの投与を容易にするために、本発明による医薬組成物に、薬学的に許容される担体及び/又は添加剤も組み込まれていてもよい。本発明の実施において使用されるのに好適な担体の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、例えば、ラクトース、グルコース、若しくはスクロース、又はデンプン類などの多様な糖、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、及び生理学的に適合する溶媒などが挙げられる。生理学的に適合する溶媒の例としては、注射用の水(WFI)の無菌溶液、食塩溶液及びブドウ糖などが挙げられる。
【0088】
[0095]本発明による医薬組成物は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経口、局所(経皮)、又は経粘膜の投与を含む、種々の経路によって投与することができる。全身投与の場合、経口投与が好ましい。経口投与の場合、例えば、該化合物は、例えば、カプセル剤、錠剤、及び液体製剤、例えば、シロップ剤、エリキシル剤、及び高濃度の滴剤などのような従来の経口剤形中に製剤化され得る。
【0089】
[0096]代替的に、注射(非経口投与)、例えば、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮下の注射を使用することもできる。注射の場合、医薬組成物は、液体溶液中、好ましくは、例えば、生理食塩液、ハンクス溶液、又はリンガー溶液などの生理学的に適合する緩衝液又は溶液中に製剤化される。さらに、該化合物は、固体の形態に製剤化されて使用直前に再溶解又は懸濁されてもよい。例えば、凍結乾燥された形態のコンジュゲートを作製することもできる。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、筋肉内に投与される。他の特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、静脈内に投与される。
【0090】
[0097]全身投与は、経粘膜又は経皮の手段によっても達成され得る。経粘膜又は経皮の投与の場合、浸透させるバリアーに適切な浸透剤が製剤中に使用される。こうした浸透剤は、当技術分野においてよく知られており、例えば、経粘膜投与には、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体などが挙げられる。さらに、浸透を容易にするために界面活性剤を使用することもできる。経粘膜投与は、例えば、鼻スプレー剤、(肺送達用の)吸入器、肛門坐剤、又は膣坐剤を通してもよい。局所投与のために、化合物を、当技術分野においてよく知られているように、軟膏、塗剤、ゲル、又はクリーム中に製剤化することができる。
【0091】
[0098]送達されるコンジュゲートの量は、多くの因子、例えば、IC50、EC50、化合物の生体半減期、患者の年齢、身長、体重、及び体調、並びに治療する疾患又は障害などに依存することになる。これらの因子及び考慮されるべき他の因子の重要性は、当業者によく知られている。一般に、投与されるコンジュゲートの量は、患者の体表面積の1平方メートルあたり約10国際単位(IU/m)から50,000IU/mまでに及び、悪性血液疾患、例えば、白血病を治療するために、約1,000IU/m〜約15,000IU/mの用量範囲が好ましく、約6,000IU/m〜約15,000IU/mの範囲がより好ましく、約10,000〜約15,000IU/m(約20〜30mgタンパク質/m)の範囲が特に好ましい。典型的には、これらの用量は、筋肉内又は静脈内の注射によって、療法の期間中、週約3回〜月約1回、典型的には、週1回又は隔週1回の間隔で投与される。当然、主治医の決定に従って、他の用量及び/又は治療法を採用することもできる。
【0092】
[0099]特定の実施形態において、本明細書に記載のように投与される該コンジュゲート及び/又は医薬組成物若しくは製剤は、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、エルウィニア種、より詳細には、エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼ、より詳細には、配列番号1の配列を含むL−アスパラギナーゼを含む。特定の一実施形態において、該コンジュゲートは、約5000Da以下の分子量を有するPEG(例えば、mPEG)を含む。より特定の一実施形態において、アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の少なくとも約40%〜約100%はペグ化される。
【実施例】
【0093】
実施例1:組換えクリサンタスパーゼの調製
[0100](本明細書では「r−クリサンタスパーゼ」とも称する)裸の組換えエルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼタンパク質の製造に使用した組換え細菌株は、ansB遺伝子(内因性の大腸菌II型L−アスパラギナーゼをコードしている遺伝子)を欠失させて組換えエルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼにこの酵素が混入する可能性を回避した大腸菌BL21株であった。ansB遺伝子の欠失は、以下の3つのステップに従って行われる相同組換え法及びファージ形質導入に基づく:1)細菌細胞内にエレクトロポレーションされた線状DNA基質を保護して組み換える機能を提供する、欠陥のあるラムダファージを発現している細菌株(NM1100)を、FLP認識標的配列(FRT)の側面に位置したカナマイシン遺伝子を含む線状プラスミド(カナマイシンカセット)で形質転換させた。細菌ゲノム内でカナマイシンカセットによってansB遺伝子を置き換えるための組換えが生じ、結果としてΔansB株になる;2)ファージ形質導入を使用して、組み込まれたカナマイシンカセット領域を、ΔansB NM1100株からBL21株のansB部位に組み込んだ。この結果として、ansB遺伝子を欠失し且つカナマイシンに耐性の大腸菌BL21株になる;3)この株を、FLP−ヘルパープラスミドで形質転換して、FRT配列における相同組換えによってカナマイシン遺伝子を除去する。最終的な株(BL21ΔansB株)のゲノムを配列決定して、内因性ansB遺伝子の完全な欠失を確認した。
【0094】
[0101]枯草菌(Bacillus subtilis)からのENXシグナルペプチドと融合された成熟したエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼをコードする、大腸菌に最適化なDNA配列を、発現ベクター中に挿入した。このベクターは、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘導されるT5/lacハイブリッドプロモーターの制御下での組換えエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼの発現を可能にし、且つカナマイシンに対する耐性を与える。
【0095】
[0102]BL21ΔansB株を、この発現ベクターで形質転換させた。形質転換した細胞を、ライゼンバーグ培地中でのフィードバッチグルコース発酵によるr−クリサンタスパーゼの作製に使用した。細胞の誘導は、誘導物質としてIPTGを用いて23℃で16時間行った。細胞の回収、及び10mMのリン酸ナトリウム緩衝液pH6 5mMのEDTA(緩衝液A)中でのホモジナイゼーションによる溶解の後に、このタンパク質溶液を、15000gで2回遠心分離することによって透明にし、その後、0.45μm及び0.22μmの濾過ステップを行った。次に、該組換えエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼを、一連のクロマトグラフィー及び濃縮のステップを使用して精製した。簡単に説明すると、エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼの理論等電点(7.23)は、組換え酵素がpH6で陽イオン交換樹脂に吸着することを可能にする。したがって、該組換え酵素は、Capto Sカラム(陽イオン交換クロマトグラフィー)上に捕捉され、塩勾配で緩衝液A中に溶出される。該組換え酵素を含む画分をプールした。次に、このプールした溶液を、緩衝液A中、Capto MMCカラム(陽イオン交換クロマトグラフィー)上で、塩勾配で精製した。エルウィニア・クリサンテミのL−アスパラギナーゼを含む溶出画分をプールし、濃縮した後に、仕上げのステップとしてSuperdex 200pgサイズ排除クロマトグラフィー上でタンパク質を分離した。組換え酵素を含む画分をプールし、濃縮して、100mMのリン酸ナトリウム緩衝液pH8に対して透析濾過した。最終的なエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼ製剤の純度を、SDS−PAGE(図1)及びRP−HPLCによって評価し、少なくとも90%であった。該組換え酵素の完全性を、N末端シーケンシング及びLC−MSによって検証した。酵素活性を、ネスラー試薬を使用して37℃で測定した。精製した組換えエルウィニア・クリサンテミL−アスパラギナーゼの特有の活性は、約600U/mgであった。酵素活性の1ユニットは、37℃で1分あたり1μmolのアンモニアをL−アスパラギンから遊離させる酵素の量として定義される。
【0096】
実施例2:10kDa mPEG−L−アスパラギナーゼコンジュゲートの調製
[0103]エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼの溶液を、pH8.0の100mMのリン酸ナトリウム緩衝液中、150mg/mL又は36mg/mLの10kDa mPEG−NHSの存在下、2.5〜4mg/mLの間のタンパク質濃度で、22℃で2時間撹拌した。結果として生じた未精製の10kDa mPEG−L−アスパラギナーゼを、Akta精製装置UPC100システムでSuperdex200pgカラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。タンパク質を含む画分をプールし、2〜8mg/mLの間のタンパク質濃度となるように濃縮した。2種の10kDa mPEG−L−アスパラギナーゼコンジュゲートは、こうした方法で調製され、非修飾のL−アスパラギナーゼをレファレンスとしたTNBSアッセイによって決定されるように、それらのペグ化の程度において異なり、1種は完全なペグ化(全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の78%のペグ化に相当する、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)残基の100%がコンジュゲートされている)に相当した;もう1種は、部分的なペグ化(全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の39%又はアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約50%)に相当した。該コンジュゲートのSDS−PAGE分析を図2に示している。結果として生じたコンジュゲートは、基本的に均一なバンドとして出現し、且つ検出可能な非修飾のr−クリサンタスパーゼを含んでいなかった。
【0097】
実施例3:5kDa mPEG−L−アスパラギナーゼコンジュゲートの調製
[0104]エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼの溶液を、pH8.0の100mMのリン酸ナトリウム緩衝液中、150mg/mL又は22.5mg/mLの5kDa mPEG−NHSの存在下、4mg/mLのタンパク質濃度で、22℃で2時間撹拌した。結果として生じた未精製の5kDa mPEG−L−アスパラギナーゼを、Akta精製装置UPC100システムでSuperdex200pgカラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。タンパク質を含む画分をプールし、2〜8mg/mLの間のタンパク質濃度となるように濃縮した。2種の5kDa mPEG−L−アスパラギナーゼコンジュゲートは、こうした方法で調製され、非修飾のL−アスパラギナーゼをレファレンスとしたTNBSアッセイによって決定されるように、それらのペグ化の程度において異なり、1種は完全なペグ化(全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の84%のペグ化に相当する、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の100%がコンジュゲートされている)に相当した;もう1種は、部分的なペグ化(全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の36%又はアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約43%)に相当した。該コンジュゲートのSDS−PAGE分析を図2に示している。結果として生じたコンジュゲートは、基本的に均一なバンドとして出現し、且つ検出可能な非修飾のr−クリサンタスパーゼを含んでいなかった。
【0098】
実施例4:2kDa mPEG−L−アスパラギナーゼコンジュゲートの調製
[0105]エルウィニア・クリサンテミからのL−アスパラギナーゼの溶液を、100mMのリン酸ナトリウム緩衝液pH8.0中、150mg/mL又は22.5mg/mLの2kDa mPEG−NHSの存在下、4mg/mLのタンパク質濃度で、22℃で2時間撹拌した。結果として生じた未精製の2kDa mPEG−L−アスパラギナーゼを、Akta精製装置UPC100システムでSuperdex200pgカラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。タンパク質を含む画分をプールし、2〜8mg/mLの間のタンパク質濃度となるように濃縮した。2種の2kDa mPEG−L−アスパラギナーゼコンジュゲートは、こうした方法で調製され、非修飾のL−アスパラギナーゼをレファレンスとしたTNBSアッセイによって決定されるように、それらのペグ化の程度において異なり、1種は最大限のペグ化(全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の86%のペグ化に相当する、アクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の100%がコンジュゲートされている)に相当した;もう1種は、部分的なペグ化(全アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の47%又はアクセス可能なアミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の約55%)に相当した。該コンジュゲートのSDS−PAGE分析を図2に示している。結果として生じたコンジュゲートは、基本的に均一なバンドとして出現し、且つ検出可能な非修飾のr−クリサンタスパーゼを含んでいなかった。
【0099】
実施例5:mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの活性
[0106]前述の実施例に記載の各コンジュゲートのL−アスパラギナーゼアミノヒドロラーゼ活性を、酵素活性によってL−アスパラギンから遊離されたアンモニアのネスラー試験によって決定した。簡単に説明すると、50μLの酵素溶液を、50mMのホウ酸ナトリウム緩衝液pH8.6中で、20mMのL−アスパラギンと混合して、37℃で10分間インキュベートした。200μLのネスラー試薬の添加によって、この反応を停止させた。この溶液の吸光度を450nmで測定した。レファレンスとして硫酸アンモニアから得られた較正曲線から活性を算出した。この結果を下記の表2にまとめている:
【0100】
【表3】

【0101】
[0107]mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの残留活性は、483〜543ユニット/mgの間に及んだ。これは、非修飾の酵素のL−アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性の78〜87%に相当する。
【0102】
実施例6:非修飾のクリサンタスパーゼのL−アスパラギン枯渇作用
[0108]エルウィナーゼ(登録商標)の薬力学的プロファイルを、B6D2F1−ハイブリッド(免疫担当、雌)、Charles River Germanyにおいて決定した。エルウィナーゼ(登録商標)は、市販されているクリサンタスパーゼ(エルウィニア・クリサンテミ由来のL−アスパラギナーゼ)である。簡単に説明すると、1群あたり2匹の動物に、5、25、125、又は250ユニット/kg bwのエルウィナーゼ(登録商標)の単回i.v.注射を行った。投与前−1時間並びに投与後6時間、12時間、24時間、及び48時間に、眼窩静脈叢から血漿試料を採取して、L−アスパラギンの血漿中のレベルについて分析した。
【0103】
[0109]血漿中のアミノ酸レベルを、ピコ−タグ(PICO−TAG)アミノ酸分析キット(Waters)で決定した。簡単に説明すると、メタノール沈澱によって血漿試料からタンパク質を除去した。上清中の遊離アミノ酸をフェニルイソチオシアナートで誘導体化し、RP−HPLCによって定量した。
【0104】
[0110]図3に示しているように、5及び25U/kgの用量は、マウスにおいてiv投与後にL−アスパラギンレベルを枯渇させるのに効率的ではなかった。250U/kgの用量のみは、48時間にわたる完全な枯渇を誘導した。
【0105】
[0111]この結果は、非修飾のクリサンタスパーゼであって、ALLを患う患者において有痛性の注射として1週間に3回まで投与する必要があり、高用量では結果としてアレルギー反応及び免疫原性になる頻度が高い、エルウィナーゼ(登録商標)の臨床的な限界を例証するものである。
【0106】
実施例7:6種のmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの単回投与後のL−アスパラギン枯渇作用及び血漿中L−アスパラギナーゼ活性
[0112]6種の異なるmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの薬力学的プロファイル及び薬物動態学的プロファイルを、B6D2F1−ハイブリッド(免疫担当、雌)、Charles River Germanyにおいて決定した。試験した6種のコンジュゲートは、PEGの分子サイズ(2、5又は10kDa)において、且つペグ化の程度(最大限のペグ化対部分的なペグ化)において異なっていた。非修飾のクリサンタスパーゼ(エルウィナーゼ(登録商標))をレファレンスとして使用した。簡単に説明すると、1群あたり4匹の動物に、5ユニット/kg bwのコンジュゲート対250ユニット/kg bwのエルウィナーゼ(登録商標)の単回i.v.注射を行った。投与前−1時間並びに投与後6時間、24時間、48時間、96時間及び192時間に、各動物の眼窩静脈叢から血漿試料を採取して、L−アスパラギンの血漿中のレベル及び残留酵素活性についてそれぞれ分析した。
【0107】
[0113]血漿中のアミノ酸レベルを、ピコ−タグアミノ酸分析キット(Waters)で決定した。簡単に説明すると、メタノール沈澱によって血漿試料からタンパク質を除去した。上清中の遊離アミノ酸をフェニルイソチオシアナートで誘導体化し、RP−HPLCによって定量した。
【0108】
[0114]血漿中の酵素活性を、発色アッセイによって決定した。L−アスパラギン酸β−ヒドロキサマート(AHA)を基質として使用した。該酵素は、AHAをL−Asp及びヒドロキシルアミンに加水分解し、これを、8−ヒドロキシキノリンでの濃縮及びインドオキシンへの酸化後に、710nmで決定した。(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Analytical Biochemistry 309(2002):117〜126)。
【0109】
[0115]図4に示しているように、5U/kgで投与した該コンジュゲートは、エルウィナーゼ(登録商標)250U/kgと少なくとも同じくらい良好にL−アスパラギンを枯渇させる効力を示し、これにより、ペグ化は該タンパク質の効力を少なくとも50倍増大することが示唆された。より長い作用期間(他のコンジュゲートの48時間=2日間と比較して96時間=4日間)を示した5kDa−100%コンジュゲートを除き、全てのコンジュゲートは同様な効力を示し、L−アスパラギンの血漿中のレベルを2日間枯渇させた。
【0110】
[0116]したがって、r−クリサンタスパーゼにコンジュゲートされたPEGのサイズを2kDa〜5kDaに増大させることにより、作用の効力及び期間が改良される結果となった。しかし、驚いたことに、PEGのサイズを10kDaに増大させることによって該コンジュゲートの作用の効力及び期間がさらに改良されることはなく、5kDaの最大限にペグ化されたコンジュゲートと比較したときに低減すらされる結果となった。
【0111】
[0117]酵素活性は、L−アスパラギン枯渇と一致した。図5に示しているように、5kDa−100%コンジュゲートは、より長い半減期を反映する、最大のAUCを示した。(最大限にペグ化された)PEG−100%コンジュゲートに対して、(部分的にペグ化された)PEG−40%コンジュゲートでは、2kDa及び5kDaの候補についてより小さいAUCが認められ、10kDaの候補については相違が認められなかった。
【0112】
[0118]L−アスパラギン枯渇データと一致して、r−クリサンタスパーゼにコンジュゲートされたPEGの分子サイズを2kDa〜5kDaに増大させることにより、循環しているL−アスパラギナーゼの活性がより長くなる結果となった。しかし、驚いたことに、PEGのサイズを10kDaに増大させることによって該コンジュゲートのin vivoでの酵素活性がさらに改良されることはなく、5kDaの最大限にペグ化されたコンジュゲートと比較したときに低減すらされる結果となった。また、特に、r−クリサンタスパーゼが高分子量(すなわち、40kDa)のmPEGでN末端にモノペグ化されたときには、in vitroでの該酵素のタンパク質分解に向けての安定性に有意な影響はなかった(データは示していない)。
【0113】
実施例8:血漿中のL−アスパラギンに対する、2種のmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの用量を変化させたときの効果
[0119]ペグアスパルガーゼ(オンキャスパー(登録商標))と比較した、2種のmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの薬力学的プロファイルを、B6D2F1−ハイブリッド(免疫担当、雌)、Charles River Germanyにおいて決定した。試験したコンジュゲートは、3用量での2kDaの最大限に(100%)ペグ化されたr−クリサンタスパーゼ及び5kDaの最大限に(100%)ペグ化されたr−クリサンタスパーゼであった。簡単に説明すると、1群あたり8匹の動物に、10、50又は100μgタンパク質/kgに相当する、5、25又は50ユニット/kg bwの該r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの単回i.v.注射を行った。比較として、オンキャスパー(登録商標)は、10μgタンパク質/kgに相当する1ユニット/kgで試験した。投与前−1時間並びに投与後90分、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、192時間及び240時間に、眼窩静脈叢から血漿試料を採取して、L−アスパラギンの血漿中のレベルについて分析した。
【0114】
[0120]血漿中のアミノ酸レベルを、ピコ−タグアミノ酸分析キット(Waters)で決定した。簡単に説明すると、メタノール沈澱によって血漿試料からタンパク質を除去した。上清中の遊離アミノ酸をフェニルイソチオシアナートで誘導体化し、RP−HPLCによって定量した。
【0115】
[0121]血漿中のL−アスパラギンレベルに対する、該コンジュゲートの用量に関連した効果を図6に示している。図6A及び6Bに示しているように、双方のコンジュゲートは、循環しているL−アスパラギンを枯渇させるのにきわめて効率的であった。2kDa 100%コンジュゲートでは、全体の枯渇は、5U、25U及び50U/kgの用量で、それぞれ3、6及び少なくとも10日間にわたって認められた。5kDa 100%コンジュゲートでは、全体の枯渇は、5U、25U及び50U/kgの用量で、それぞれ3、10及び10日間にわたって認められた。試験した双方のコンジュゲートについて、試験した5、25及び50U/kgの用量は、タンパク質含有量に基づいて10、50及び100μg/kgに相当しており、これは、他の入手可能なL−アスパラギナーゼ製剤と比較すると、きわめて少量のタンパク質である。実際に、250U/kgのエルウィナーゼ(登録商標)は(タンパク質含有量に基づいて)約520μg/kgに相当し、1U/kgのオンキャスパー(登録商標)は約10μg/kgに相当する。図6Cは、2kDa−100%コンジュゲート、5kDa−100%コンジュゲート又はオンキャスパー(登録商標)のいずれかの等価な量のタンパク質(10μg/kg)の投与の結果として、72時間にわたる同様なL−アスパラギン枯渇となったことを示すものである。
【0116】
実施例9:2種のmPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの薬物動態学的プロファイル
[0122]mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの薬物動態学的プロファイルを、B6D2F1−ハイブリッド(免疫担当、雌)、Charles River Germanyにおいて決定した。試験したコンジュゲートは、3用量での2kDaの最大限に(100%)ペグ化されたr−クリサンタスパーゼ及び5kDaの最大限に(100%)完全にペグ化されたr−クリサンタスパーゼであった。250U/kgでの非修飾のクリサンタスパーゼ(エルウィナーゼ(登録商標))及び1U/kgでのオンキャスパー(登録商標)も対照として試験した。簡単に説明すると、1群あたり8匹の動物に、エルウィナーゼ(登録商標)及びオンキャスパー(登録商標)と比較して、5、25又は50ユニット/kg bwの各mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの単回i.v.注射を行った。投与前−1時間並びに投与後90分、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、192時間及び240時間に、眼窩静脈叢から血漿試料を採取して、残留酵素活性の血漿中のレベルについて分析した。
【0117】
[0123]血漿中の酵素活性を、発色アッセイによって決定した。L−アスパラギン酸β−ヒドロキサマート(AHA)を基質として使用した。該酵素は、AHAをL−Asp及びヒドロキシルアミンに加水分解し、これを、8−ヒドロキシキノリンでの濃縮及びインドオキシンへの酸化後に、710nmで決定した(Analytical Biochemistry 309(2002):117〜126)。
【0118】
[0124]半減期の時間の計算のために、MS−excel関数ツールを使用して、それぞれの残留した血漿中の活性の指数関数的な最良適合線を導いた。負の活性値は計算から排除した。
【0119】
【表4】

【0120】
[0125]血漿中での残留酵素活性の半減期の時間を、MS−excel関数ツール及び指数関数的な最良適合線のそれぞれの式を使用して、以下の式から導いた:
平均:
【数2】


式中、t1/2は半減期であり、tは時点であり、cはその時点で残留した血漿中の活性であり、cは最初の残留した血漿中の活性である。
【0121】
[0126]曲線下面積(AUC)は、シグマプロット バージョン11を使用して算出した。薬物動態学的データを、以下の表3及び4、並びに図7〜9にまとめている。
【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
[0127]データより、r−クリサンタスパーゼのペグ化は、非修飾のクリサンタスパーゼと比較したときに、用量依存的な様式で、有意に半減期を延長することが示される(表3及び4、図7〜9)。さらに、同じ用量レベルで比較したときに、5kDa−100%で測定されたAUCは、2kDa−100%コンジュゲートで認められるものよりも大きかった。5kDa−100%コンジュゲートを支持して、5、25及び50U/kgの用量で、それぞれ21%、37%及び14%の相違が一貫して認められた(図8)。図9、及び表4に示している派生した薬物動態学的パラメータにおいて示されているように、5kDa−100%コンジュゲートは、タンパク質含有量に基づいて同用量で試験したときに、オンキャスパー(登録商標)自体よりも長い半減期を有するようにも見えた。大腸菌由来のL−アスパラギナーゼは、ヒト及び動物において、エルウィニア・クリサンテミ由来のL−アスパラギナーゼ(クリサンタスパーゼ)よりも長い半減期を有することが知られているので、エルウィニアのコンジュゲートについてのこの優れた薬物動態学的プロファイルは意外である。したがって、ペグ化された大腸菌L−アスパラギナーゼ(ペグアスパルガーゼ)について、ペグ化されたr−クリサンタスパーゼと比較して、より長い半減期が論理上予測されていたであろう。しかし、予想外且つ有利なことには、ペグ化されたr−クリサンタスパーゼは、ペグアスパルガーゼよりも長い半減期を有する。
【0125】
[0128]以下の表5に、本明細書中で実施例7〜9において説明しているものを含む、いくつかの試験から得られた薬物動態学的データ及び薬力学的データをまとめており、これにより、以下のことが示されている:1)2kDa−100%コンジュゲート及び5kDa−100%コンジュゲートの双方は、エルウィナーゼ(登録商標)と比較して認められた顕著な相違によって示されているように、クリサンタスパーゼの作用の効力及び期間を増大させることにおいて効力が高かった;2)5kDa−100%コンジュゲートは、試験した全ての用量で認められたより長い半減期によって示されているように、2kDa−100%コンジュゲート及びオンキャスパー(登録商標)の双方よりも長期作用性であった。10kDa−100%コンジュゲートで得られた驚くほど劣った結果から見て、これらのデータにより、ペグ化の利点は、5kDaまでは、クリサンタスパーゼに固定されたPEG部分のサイズと共に増大することが示唆される。より高分子量のPEGによってさらなる利点が加えられることはなく、少なくとも10kDaの場合には有害ですらある可能性があった。これは予想外であり、例えば、Holtsbergらが様々な分子量のPEGを、微生物の供給源から単離されたもう1つのアミノ酸分解酵素であるアルギニンデアミナーゼにコンジュゲートさせたときなどに、認められた結果に反する。これらの試験では、アルギニンデアミナーゼ酵素の薬物動態学的機能及び薬力学的機能は、PEGの結合物のサイズが5000Daの分子量から20,000Daまで増大されるにつれて増大した(参照により本明細書にその全体が組み込まれている、Holtsberg,F.W.、Journal of Controlled Release 80(2002)、259〜271)。
【0126】
【表7】

【0127】
[0129]加えて、以下でさらに詳細に認められるように、免疫原性のデータにより、10kDa−100%は、大腸菌L−アスパラギナーゼに対してアレルギー性であるか、又は抗L−アスパラギナーゼ抗体を産生している患者に該化合物を投与することを考慮すると大きな欠点である、許容されない免疫原性プロファイルを表したことが示された。この点において、10kDa−100%コンジュゲートは、実際には適さない。2kDa−100%及び5kDa−100%が好ましく、5kDa−100%コンジュゲートが特に好ましい。
【0128】
実施例10:免疫原性
[0130]mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートの免疫原性を、B6D2F1−ハイブリッド(免疫担当、雌)、Charles River Germanyにおいて決定した。エルウィナーゼ(登録商標)については250U/kg bwの、全てのr−クリサンタスパーゼコンジュゲートについては5U/kg bwのi.v.注射によって、動物を1、2、3、4、及び8週目に週2回処置した。投与前−1時間並びに1週間、2週間、4週間、6週間及び8週間後に、眼窩静脈叢から血清試料を採取した。血清中の抗クリサンタスパーゼ抗体又は抗mPEG−r−クリサンタスパーゼ抗体のレベルを、ELISAによって決定した。この結果を図10及び11にまとめている。
【0129】
[0131]2週目に開始したエルウィナーゼ(登録商標)では、高い力価の抗クリサンタスパーゼ抗体が認められ、全試験期間中維持された。これに対して、r−クリサンタスパーゼコンジュゲートでは、有意な抗体レベルは認められなかった(図10)。
【0130】
[0132]図11に示しているように、抗コンジュゲート抗体の産生は、2kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲート及び5kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートでは、低強度で頻度の少ないままであり、10kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートでは、より高い値及び頻度で増大された。完全にペグ化されたコンジュゲートと部分的にペグ化されたコンジュゲートとの間で明らかな相違は認められなかった(示していない)。
【0131】
[0133]したがって、これらのデータより、選択されたペグ化戦略は、非修飾のL−アスパラギナーゼと比較して、コンジュゲートの免疫原性を低下させ、抗クリサンタスパーゼ抗体反応を著しく低下させることが実証された。しかし、特に10kDaのコンジュゲートで、抗コンジュゲート抗体が検出され、2kDa及び5kDaのコンジュゲートでは低強度であった。
【0132】
[0134]結論として、非修飾のタンパク質と比較したときに、5kDaまでは、ペグ化により、免疫原性を低下させると同時に薬物動態学的プロファイル、r−クリサンタスパーゼの作用の効力及び期間を改良することに成功したようであり、作用の効力及び期間は、使用したポリマーのサイズと共に増大し、5kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートは、2kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートよりも僅かに強力であった。しかし、10kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートは、in vitroでの同様な効力にもかかわらず、in vivoでの効力が5kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートよりも低かったので、PEGのサイズを10kDaにさらに増大させることによって作用の効力及び期間をさらに改良することはできなかった。加えて、10kDa mPEG−r−クリサンタスパーゼコンジュゲートは、他のタンパク質で発表されている結果から見て予想外の結果である、許容されない免疫原性プロファイルを示した。
【0133】
[0135]本発明の実施形態及び適用例を、図及び例を挙げていくらか詳細に説明してきたが、本明細書に含まれる本発明の概念から逸脱することなく、多くのさらなる改変形態が可能となるであろうことは当業者には明らかであろう。本明細書に引用した全ての文献は、本明細書にその全体が組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸と少なくとも80%の同一性を有する、エルウィニアからのL−アスパラギナーゼと、ポリエチレングリコール(PEG)とを含むコンジュゲートであって、前記PEGが約5000Da以下の分子量を有する、コンジュゲート。
【請求項2】
前記L−アスパラギナーゼが配列番号1のアミノ酸と少なくとも90%の同一性を有する、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記L−アスパラギナーゼが配列番号1のアミノ酸と少なくとも99%の同一性を有する、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記L−アスパラギナーゼが配列番号1のアミノ酸と同一である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記PEGが約5000Daの分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記PEGが約5000Daより小さい分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記PEGが約4000Daより小さい分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記PEGが約3000Daより小さい分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
前記PEGが約2500Daより小さい分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して少なくとも60%のin vitro活性を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して少なくとも70%のin vitro活性を有する、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して少なくとも78%のin vitro活性を有する、請求項11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して少なくとも80%のin vitro活性を有する、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して少なくとも87%のin vitro活性を有する、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して少なくとも90%のin vitro活性を有する、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
PEGとコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼよりも少なくとも約50倍強力なL−アスパラギン枯渇活性を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
少なくとも48時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを検出不可能なレベルまで枯渇させる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
少なくとも96時間にわたり、血漿中のL−アスパラギンレベルを検出不可能なレベルまで枯渇させる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
PEGにコンジュゲートされていないときのL−アスパラギナーゼと比較して、より長いin vivoでの循環半減期を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
等価なタンパク質用量でペグアスパルガーゼよりも長いt1/2を有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
約50μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約58時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
約50μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約60時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
約50μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約63時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
約50μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約65時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
約10μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約34時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
約10μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約36時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
約10μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約38時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
約10μgタンパク質/kgの用量で、少なくとも約40時間のt1/2を有する、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
PEGにコンジュゲートされていないときの前記L−アスパラギナーゼと比較して、より大きいAUCを有する、請求項1〜28のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
等価なタンパク質用量でペグアスパルガーゼよりも少なくとも約3倍大きい平均AUCを有する、請求項29に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
前記PEGが、前記L−アスパラギナーゼの1個又は複数のアミノ基に共有結合で連結している、請求項1〜30のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
前記PEGが、1個又は複数の前記アミノ基にアミド結合によって共有結合で連結している、請求項31に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
前記PEGが、アクセス可能な前記アミノ基のうちの少なくとも約40%〜約100%に共有結合で連結している、請求項31又は32に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
前記PEGが、全アミノ基のうちの少なくとも約40%〜約90%に共有結合で連結している、請求項31に記載のコンジュゲート。
【請求項35】
以下の式
Asp−[NH−CO−(CH2)x−CO−NH−PEG]n
[式中、Aspは、前記L−アスパラギナーゼであり、NHは、前記Aspのリシン残基及び/又はN末端の1個又は複数のNH基であり、PEGは、ポリエチレングリコール部分であり、nは、前記Asp中のアクセス可能な前記アミノ基(例えば、リシン残基及び/又はN末端)の少なくとも40%〜約100%を表す数字であり、xは、1〜8の範囲の整数である]
を有する、請求項1〜34のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項36】
xが2〜5の範囲の整数である、請求項35に記載のコンジュゲート。
【請求項37】
nが、前記Asp中のアクセス可能な前記アミノ基の少なくとも約40%を表す数字である、請求項35に記載のコンジュゲート。
【請求項38】
nが、前記Asp中のアクセス可能な前記アミノ基の約100%を表す数字である、請求項37に記載のコンジュゲート。
【請求項39】
前記PEGがモノメトキシポリエチレングリコールである、請求項1〜38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれか一項に記載のコンジュゲートを作製する方法であって、緩衝液中で、ある量の前記PEGをある量の前記L−アスパラギナーゼと、前記PEGを前記L−アスパラギナーゼに共有結合で連結させるのに十分な時間、結合させるステップを含む、前記方法。
【請求項41】
前記緩衝液が、約7.0〜約9.0の間のpH値を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記緩衝液が、約7.5〜約8.5の間のpH値を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記L−アスパラギナーゼの量が、約0.5mg/mL〜約25mg/mLの間のタンパク質濃度である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記L−アスパラギナーゼの量が、約2mg/mL〜約20mg/mLの間のタンパク質濃度である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記L−アスパラギナーゼの量が、約3mg/mL〜約15mg/mLの間のタンパク質濃度である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記PEGの量が、約20:1未満の、前記L−アスパラギナーゼ中のアミノ基に対するポリマーのモル過剰比である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記PEGの量が、約10:1未満の、前記L−アスパラギナーゼ中のアミノ基に対するポリマーのモル過剰比である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記PEGの量が、約8:1未満の、前記L−アスパラギナーゼ中のアミノ基に対するポリマーのモル過剰比である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記PEGがモノメトキシポリエチレングリコールである、請求項40〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
患者においてL−アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患を治療する方法であって、有効量の請求項1〜39のいずれか一項に記載のコンジュゲートを前記患者に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項51】
L−アスパラギン枯渇によって治療可能な前記疾患が癌である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記癌が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫、NKリンパ腫、及び膵臓癌からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記癌がALLである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記コンジュゲートが、約5U/kg〜約25U/kgの量で投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記コンジュゲートが約25U/kgの量で投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記コンジュゲートが、約3日〜約10日間にわたってL−アスパラギンを検出不可能なレベルまで枯渇させる用量で投与される、請求項53〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記コンジュゲートが、前記患者において、コンジュゲートされていないL−アスパラギナーゼと比較して、より弱い免疫原性反応を誘発する、請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記コンジュゲートが、コンジュゲートされていないL−アスパラギナーゼと比較して、単回投与後により長いin vivoでの循環半減期を有する、請求項53〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記コンジュゲートが、コンジュゲートされていない前記L−アスパラギナーゼと比較して、単回投与後により大きいAUC値を有する、請求項53〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記コンジュゲートが静脈内に投与される、請求項50〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記コンジュゲートが筋肉内に投与される、請求項50〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記コンジュゲートが週1回投与される、請求項50〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記コンジュゲートが週2回投与される、請求項50〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記コンジュゲートが週1回未満投与される、請求項50〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記コンジュゲートが単独療法として投与される、請求項50〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記コンジュゲートがアスパラギンシンテターゼ阻害剤と共に投与されない、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記患者が、大腸菌のL−アスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態に対する予めの過敏性を有している、請求項50〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記患者が、エルウィニアのL−アスパラギナーゼに対する予めの過敏性を有している、請求項50〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記過敏性が、アレルギー反応、アナフィラキシーショック、及び無症状の過敏性からなる群から選択される、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記患者が疾患再発を有する、請求項50〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記疾患再発が、大腸菌のL−アスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態での治療後に起こる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項1〜39のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む医薬組成物。
【請求項73】
療法における使用のための、請求項1〜39のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項74】
L−アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患を治療する際の使用のための、請求項73に記載のコンジュゲート。
【請求項75】
前記疾患が癌である、請求項74に記載のコンジュゲート。
【請求項76】
前記癌がALLである、請求項75に記載のコンジュゲート。
【請求項77】
前記コンジュゲートが、患者において、コンジュゲートされていないL−アスパラギナーゼと比較して、より弱い免疫原性反応を誘発する、請求項76に記載のコンジュゲート。
【請求項78】
前記医薬品が、大腸菌のL−アスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態に対する予めの過敏性を有している患者における疾患の治療用である、請求項73〜77のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項79】
前記医薬品が、エルウィニアのL−アスパラギナーゼに対する予めの過敏性を有している患者における疾患の治療用である、請求項73〜77のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項80】
前記過敏性が、アレルギー反応、アナフィラキシーショック、及び無症状の過敏性からなる群から選択される、請求項78又は79に記載のコンジュゲート。
【請求項81】
前記医薬品が、疾患再発を有している患者における疾患の治療用である、請求項73〜80のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項82】
前記疾患再発が、大腸菌のL−アスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態での治療後に起こる、請求項81に記載のコンジュゲート。
【請求項83】
患者においてL−アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患を治療する方法であって、治療を必要としている患者で、大腸菌のL−アスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態に対する予めの過敏性、及び/又はエルウィニアのL−アスパラギナーゼに対する予めの過敏性、及び/又は疾患再発を有している前記患者を選択するステップと、有効量の請求項1〜39のいずれか一項に記載のコンジュゲートを前記患者に投与するステップとを含む、前記方法。
【請求項84】
前記過敏性が、アレルギー反応、アナフィラキシーショック、及び無症状の過敏性からなる群から選択される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記疾患再発が、大腸菌のL−アスパラギナーゼ又はそのペグ化された形態での治療後に起こる、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
L−アスパラギン枯渇によって治療可能な前記疾患が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫、NKリンパ腫、及び膵臓癌からなる群から特に選択される癌である、請求項83〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記コンジュゲートが、約5U/kg〜約25U/kgの量で、好ましくは約25U/kgの量で投与される、請求項83〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記コンジュゲートが、約3日間〜約10日間にわたってL−アスパラギンを検出不可能なレベルまで枯渇させる用量で投与される、請求項83〜87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記コンジュゲートが静脈内又は筋肉内に投与される、請求項83〜88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記コンジュゲートが週1回投与される、請求項83〜89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記コンジュゲートが週2回投与される、請求項83〜89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記コンジュゲートが週1回未満投与される、請求項83〜89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記コンジュゲートが単独療法として投与される、請求項83〜92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記コンジュゲートがアスパラギンシンテターゼ阻害剤と共に投与されない、請求項93に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−532185(P2012−532185A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518956(P2012−518956)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059599
【国際公開番号】WO2011/003886
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512000640)アリゼ ファーマ トゥー (1)
【Fターム(参考)】