説明

ペダル装置

【課題】 ユーザが容易にペダルの反力を調整可能なペダル装置を提供する。
【解決手段】 フレーム2と、このフレームに設けられて上下方向に回転するペダル3と、このペダル下面とフレーム底部との間に配置されてペダルを上向きに付勢するバネ4とを備えるペダル装置において、フレーム底部に上下動自在に設けられてバネの下面に当接するバネ支持部材21と、このバネ支持部材に螺合して自転することによってバネ支持部材を上下動させバネの下端位置を変更する操作ねじ部材22とより構成される付勢力調整手段6を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、付勢されたペダルを有するペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子ピアノや電子キーボードなどの電子鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、ペダル効果を付与するためのペダル装置が組み込まれたり、接続されたりする。このペダル装置は、シャーシに一つの軸によって連結されて上下方向に回転するペダルと、このペダルを上向き回転方向に付勢するバネと、を備えるものである。なお、このようなペダル装置は、例えば特許文献2に記載されるような他の楽器のペダル装置(ドラム用フットペダル装置)としても使用される他、楽器以外の分野の機械等においても用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−311682号公報
【特許文献2】特開2003−150151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ペダルを足で踏み込む力は、性別、年齢、体格などによって様々であり、例えば女性や子供には少ない力で踏み込めるペダルが理想であり、体格のよい男性にはある程度大きな踏み込み力が必要なペダルが理想である。しかし、前記従来のペダル装置は、装置を分解してバネを変更等しない限り、ペダルの反力が調整できないため、このようなユーザの個性に対応した反力の設定が困難であった。特に、鍵盤楽器は、これを演奏する年齢層が幅広く、子供から大人まで様々であり、さらに鍵盤楽器のなかでも特に主要なピアノ系のものには、複数個のペダルを備えていることが多く、改善が望まれていた。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、ユーザが容易にペダルの反力を調整可能なペダル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、フレームと、このフレームに上下方向に回転可能に設けられたペダルと、このペダルを上向きに付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力を調整する付勢力調整手段とを備えていることを特徴とするペダル装置である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、付勢力調整手段によって付勢手段の付勢力を調整することができるから、ペダル装置を分解しなくても、ユーザの性別、年齢、体格などに応じてユーザが容易にペダルの反力を調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明を適用したペダル装置の第1実施形態を示した平面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A断面図であり、(b)は(a)におけるB断面図であり、(c)はバネ支持部材の平面図であり、(d)はバネ支持部材の側断面図である。
【図3】この発明を適用したペダル装置の第2実施形態を示した平面図である。
【図4】(a)は図3におけるC−C断面図であり、(b)は(a)におけるD断面図である。
【図5】(a)はバネ支持部材の平面図であり、(b)はバネ支持部材の側断面図であり、(c)は(a)におけるE−E断面図である。
【図6】(a)はこの発明を適用したペダル装置の第3実施形態を示した平面図であり、(b)は(a)におけるF−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1〜図2を参照して、この発明の第1実施形態であるペダル装置1について説明する。なお以下では、図1における下方を右方とし、図1における上方を左方とする。また、図1における左方を前方とし、図1における右側を後方とする。
ペダル装置1は、例えば電子ピアノや電子キーボードなどの電子鍵盤楽器で使用されるペダル装置であり、電子鍵盤楽器に予め組み込まれていてもよいし、オプション品として後付けで接続されて使用されるものでもよい。このペダル装置1は、図1及び図2(a)に示すように、フレーム2と、このフレーム2に上下方向に回転可能に設けられたペダル3と、このペダル3を上向きに付勢する付勢手段であるコイルバネ4と、ペダル3が踏み込まれたことを検出するスイッチ5と、コイルバネ4の付勢力を調整する付勢力調整手段6と、を備えている。
【0010】
本実施形態の場合、ペダル3は、左右方向に3個並列に配列された状態で設けられている。これら3個のペダル3は、例えばグランドピアノやアップライトピアノなどのアコースティックピアノのペダルと同様の機能を実現するために使用される。例えば、右側に位置する第1ペダルは音を継続させる長音ペダルとして使用され、左側に位置する第2ペダルは音を弱くする弱音ペダルとして使用され、中央に位置する第3ペダルはソステヌートペダル又は夜間等に極めて小さい音を出すための消音ペダルとして使用される。ソステヌートペダルは、踏んだ時に押していた鍵盤の音だけを長く引き延ばすためのものである。
【0011】
フレーム2は、ペダル装置1の筐体であり、図2(a)に示すように、主に底部(ペダル3の下方に位置する部分)を構成するシャーシ7と、主に上面部(ペダル3の上方に位置する部分)を構成するボード8と、よりなる。このフレーム2の前側におけるシャーシ7とボード8との間には、ペダル3の前部3aを前方に突出させて図1の如く露出させるための開口2aが形成されている。シャーシ7とボード8は、例えば合成樹脂の成型品よりなる。シャーシ7とボード8は、例えば図示省略したねじ部材によるねじ止めによって、相互に固定される。
【0012】
シャーシ7の前側には、ペダル3の前部3aに沿って前方に延びるペダル受部9が、各ペダル3に対してそれぞれ設けられ、これらペダル受部9の前端部には、上方に突出するペダル受凸部10がそれぞれ形成されている。ペダル受凸部10は、その上端面がペダル3の前部3aの下面に当接することによって、ペダル3の動作範囲の下側を制限するストッパーとして機能する。なおペダル受部9は、ペダル3の前部3aの下方に位置しているため、図1の平面図では見えない。
【0013】
シャーシ7の後部には、上方に延びる後面壁11が形成され、この後面側11の上端部後側には軸受孔12を有する軸受部13が形成されている。軸受部13の軸受孔12は、左右方向(図2(a)の紙面に直交する方向)の孔であり、この軸受孔12には回転軸14がはめ込まれている。回転軸14は、各ペダル3をシャーシ7に対して(即ちフレーム2に対して)回転自在に取り付けるための左右方向の軸であり、この回転軸14を中心として各ペダル3は回転可能となっている。なお、軸受部13は左右方向の複数個所に設けられている。また、軸受部13の後部には、ボード8と接合する後端壁15が形成されている。
【0014】
また、シャーシ7における後面壁11よりも前側には、上方に突出する円筒状のガイド部16が各ペダル3に対してそれぞれ形成されている。ガイド部16は、上下方向のコイル軸線(コイルバネ4の中心が位置すべき基準の軸線)を中心とする円筒状の部分であり、このガイド部16の内面が後述するバネ支持部材21(可動部)を上下動自在に案内するガイド面16aとなっている。ガイド面16aは、前記コイル軸線に直交する水平断面形状が軸方向(即ち上下方向)において一定であり、このガイド面16aには、図2(b)に示すように円周上の複数個所(図2(b)の場合、円周を等分割する4カ所の位置)に凸部16bが形成されている。
【0015】
また、ガイド部16の内側の底部は開口しており、この開口16fには、この開口16fを塞ぐように蓋部材16cが接着等によって固定され、この蓋部材16cの上面中央には、後述する操作軸23の下端部が隙間を有して嵌り込む凹部16dが形成されている。また、ガイド部16の上端部には、内側に突出する凸部16eが形成されている。この凸部16eは、例えばガイド部16の上端部の全周に亘って形成され、後述するバネ支持部材21の上面に当接することによって、このバネ支持部材21の上方への移動をその位置で阻止する機能を有する。また、シャーシ7における後面壁11よりも前方であってガイド部16よりも後方には、上方に突出する基板支持部17が形成されている。
【0016】
ボード8は、ペダル3における後部3b(前部3aでない部分)の上面を覆うように配置される上面板部8aと、この上面板部8aの後端から下方に延びるように形成される後面板部8bとを有する。このボード8の後面板部8bは、ペダル3の後方を覆うように下方に延びており、この後面板部8bの下端部は、シャーシ7の前述した後端壁15の下端部に接合している。また、ボード8の上面板部8aの前端部には、下方に突出するペダル受凸部8cが各ペダル3に対してそれぞれ形成されており、このペダル受凸部8cの表面には例えば不織布よりなる緩衝材18が接着等によって貼り付けられている。ペダル受凸部8cは、その下端面がペダル3の上面に当接することによって、ペダル3の動作範囲の上側を制限するストッパーとして機能する。また緩衝材18は、ペダル受凸部8cがペダル3の上面に当接する際の衝撃を緩和して、不用音の発生などの弊害を防止するためのものである。
【0017】
また、ボード8の上面板部8aには、上下方向の貫通孔19が各ペダル3に対してそれぞれ形成されている。この貫通孔19は、前記コイル軸線を中心とする位置に形成され、後述する操作軸23が僅かな隙間を有した状態で挿通される孔であり、操作軸23のすべり軸受として機能する。即ち、この貫通孔19の内径は、後述する操作軸23が前記コイル軸線を中心としてボード8に対して回転可能(即ち自転可能)となるように、操作軸23の外径よりも僅かに大きく設定されている。また、ボード8の上面における貫通孔19の周囲には、後述する操作頭部24の下面が当接する頭部座面8dが形成されている。
【0018】
次に、ペダル3は、例えば金属材料をプレス加工等してなるもの(或いは合成樹脂の成型品の表面に必要に応じて装飾としての光沢のある皮膜を成形したもの)であり、既述したように、フレーム2の開口2aから前方に突出して露出する前部3aと、フレーム2内に配置される後部3bとを有する。このペダル3の前部3aは、ユーザが足で踏みつけて押し下げる操作をする部分である。そしてペダル3の後端部は、前述した回転軸14によってシャーシ7の軸受部13に連結されており、これによってペダル3は回転軸14を中心として回転可能とされ、このペダル3の回転運動に伴ってペダル3の前部3aが上下動する構成となっている。またペダル3の後部3bには、上下方向の貫通孔20が形成されている。この貫通孔20は、前述した貫通孔19と同様に、前記コイル軸線を中心とする位置に形成され、後述する操作軸23がある程度の隙間を有した状態で挿通される孔である。即ち、この貫通孔20の内径は、後述する操作軸23に対してペダル3が上下方向に回転運動できるように、操作軸23の外径よりも必要程度大きく設定されている。
【0019】
次にコイルバネ4は、各ペダル3に対してそれぞれ設けられ、ペダル3の下側における前記コイル軸線を中心とする位置に配置され、上端がペダル3の下面に当接してペダル3を上向きに付勢する圧縮コイルバネである。このコイルバネ4の外径は、ガイド部16の内径よりも小さく設定され、このコイルバネ4の下端がガイド部16内に収まる構成となっている。なお、本発明の付勢手段は、このようなコイルバネに限られず、例えば板バネであってもよいし、或いは合成ゴムなどの弾性材料を例えば円柱状に成形してなるものであってもよい。なお本実施形態では、コイルバネ4は後述する操作軸23の外周に配置される(即ち、このコイルバネ4の内側に操作軸23が挿通される)。また、ペダル3の前部3aが踏まれていない自然状態では、コイルバネ4の付勢力によってペダル3がスイッチ5から例えば上方に離れた位置(少なくともスイッチ5を作動させない位置)に保持されるように、コイルバネ4等の仕様が設定されている。
【0020】
次にスイッチ5は、上から押されることで潰れるように弾性変形して作動し内部の接点がオン又はオフするスイッチである。このスイッチ5は、コイルバネ4の後方で前述した後面壁11よりも前側に配置されたスイッチ基板5a上に搭載されている。スイッチ基板5aは、前述した基板支持部17上に配置されて、シャーシ7に対して図示省略したねじ部材によるねじ止め等によって固定されている。なおスイッチ5は、各ペダル3に対してそれぞれ設けられている。
【0021】
なお、ペダル3の前部3aが踏まれていない自然状態では、ペダル3が例えばスイッチ5から上方に離れスイッチ5が非作動状態に保持されるが、ペダル3の前部3aが踏み込まれて下方に回転運動すると、ペダル3が前述したペダル受凸部10に当接する前にスイッチ5を押し潰してスイッチ5を作動させる構成となっている。またスイッチ5は、図示省略した配線によって電子鍵盤楽器本体の制御回路に電気的に接続されている。電子鍵盤楽器本体の制御回路は、ペダル3の踏み込み操作の状態をスイッチ5の接点のオンオフ状態から判定し、この判定結果に基づいて所定のペダル効果(例えば、前述した長音ペダルとしての機能)を実現する制御処理を実行する構成となっている。
【0022】
次に、付勢力調整手段6について説明する。
付勢力調整手段6は、各ペダル3に対してそれぞれ設けられ、コイルバネ4(付勢手段)の付勢力を変化させる方向に移動可能なバネ支持部材21(可動部)と、このバネ支持部材21を移動させるための操作ねじ部材22(操作部)とを備えている。ここで、バネ支持部材21は本発明の可動部に相当し、操作ねじ部材22は本発明の操作部に相当する。付勢手段の付勢力を変化させる方向とは、例えば付勢手段に当接する位置が変化して付勢手段の状態を変化させる方向であり、本実施形態では上下方向となっている。即ち、本実施形態の可動部であるバネ支持部材21は、ガイド部16内にコイルバネ4の下端面に当接した状態で配置され、この状態で上下方向に移動することによりコイルバネ4の下端位置を変化させ、これによってペダル3の同じ回転位置に対するコイルバネ4の変形状態を変化させて付勢力を変化させる。以下、この付勢力調整手段6の構成を説明する。
【0023】
バネ支持部材21は、図2(c)及び(d)に示すように、下側の大径部21aと上側の小径部21bとを有する円板状の剛体(例えば金属材料よりなるもの)であり、中心軸線上にはねじ孔21cが形成されている。このバネ支持部材21の大径部21aの外周の径寸法及び形状は、前述したガイド部16のガイド面16a内にこの大径部21aが僅かな隙間で上下動可能に嵌り込むものとなっている。また、この大径部21aの外周には、前述したガイド面16aの凸部16bが嵌り込む凹部21dが、対応する位置(図2(c)の場合には、外周を等分割する4カ所の位置)に形成されている。これにより、バネ支持部材21は、ガイド部16のガイド面16aにガイドされて上下方向にのみ移動可能となっており、回転はできない構成となっている。なお、バネ支持部材21の小径部21bはコイルバネ4の下端内側に嵌り込む形状寸法となっている。
【0024】
操作ねじ部材22(操作部)は、操作軸23と、この操作軸23の上端に形成された操作頭部24とを有する部材(例えば金属製の部材)であり、操作軸23が前述した貫通孔19,20を貫通し、操作頭部24の下面が前述の頭部座面8dに当接した状態で、前記コイル軸線上に配置される。この操作ねじ部材22の操作頭部24の外周面には、図示省略しているが、滑り止めのため多数の溝又は凹凸(いわゆるローレット)が例えば全周に亘って形成されている。また、この操作ねじ部材22の操作軸23の外周には、ねじ部25が形成されている。ねじ部25は、操作ねじ部材22を組付けた状態で、操作軸23の下端からガイド部16よりも上方の位置まで形成されている。そして組付け状態において、この操作ねじ部材22の操作軸23は、コイルバネ4の内側を貫通し、下端側がバネ支持部材21のねじ孔21cにねじ込まれている。即ち、操作軸21のねじ部25はバネ支持部材21のねじ孔21cに螺合している。
【0025】
一方、バネ支持部材21は、前述したようにガイド部16によって上下方向の移動のみを許容され回転はできない。また、操作ねじ部材22の操作頭部24の下面はボード8の前述した頭部座面8dに当接しているので、操作ねじ部材22は回転することは可能であるが下方に移動することはできない。また、後述するEリング27による抜け止め作用によって、組付け状態の操作ねじ部材22は上方に移動することもできない。これにより、操作頭部22を回転操作して操作ねじ部材22の全体をその中心軸まわりに回転(即ち、コイル軸線を中心として自転)させれば、これによる操作軸23の回転に伴ってバネ支持部材21が上下動することになる。
【0026】
なお、図2(a)において符号27で示すものは、操作軸23に装着されたいわゆるEリングである。このEリング27は、操作ねじ部材22を組付けた状態においてボード8の上面板部8aの下面に隣接する所定位置において操作軸23の外周に取り付けられる部材である。このEリング27は、操作軸23の外周における前記所定位置に形成された溝(符号省略)に、その一部が係合して取り付けられるものであり、組立途中や後述する付勢力の調整作業等において操作ねじ部材22がボード8から上方に抜け出さないように保持するための部品である。
【0027】
次に、このペダル装置1を組み立てる場合について説明する。
ペダル装置1は、例えば以下のようにして組み立てることができる。まず、ボード8の上面板部8aの各貫通孔19に各操作ねじ部材22の操作軸23をそれぞれ挿通した後、各操作軸23にEリング27をそれぞれ取り付けて、各操作ねじ部材22をボード8の上面板部8aに取り付ける。一方、シャーシ7には、各スイッチ5を搭載したスイッチ基板5aを固定した後、各ペダル3を回転軸14により連結して取り付けておく。次いで、各操作ねじ部材22の操作軸23を各ペダル3の貫通孔20に貫通させつつ、ボード8をシャーシ7に対して取り付けて固定する。
【0028】
次いで、シャーシ7の各ガイド部16の底部開口16fからコイルバネ4をそれぞれ挿入し、各コイルバネ4を各操作軸23の外周にそれぞれ嵌める。次いで、バネ支持部材21をガイド部16の底部開口16fから挿入し、バネ支持部材21をガイド部16内に嵌め込みつつ操作ねじ部材22の操作頭部24を回転させて、バネ支持部材21のねじ孔21cを操作軸23のねじ部25に螺合させる作業を、各ペダル3の各操作ねじ部材22に対してそれぞれ実行する。そして最後に、ガイド部16の底部開口16fを塞ぐように蓋部材16cを固定する作業を、各ガイド部16について実行することによって組み立てられる。なお、バネ支持部材21を取り付ける際には、バネ支持部材21の小径部21bの側をコイルバネ4に向けてガイド部16内に嵌め込むようにし、この小径部21bがコイルバネ4内に嵌り込むようにする。
【0029】
次に、付勢力調整手段6を含むペダル装置1の動作について説明する。
前述したように組み立てられたペダル装置1において、各コイルバネ4は、図2(a)に示すように、上端がペダル3の下面に当接し、下端がバネ支持部材21の上面に当接し、これらペダル3の下面とバネ支持部材21の上面との間に押し縮められた状態で配置される。このため、何れかの操作ねじ部材22が回転操作されときには、対応するバネ支持部材21が当接しているコイルバネ4の下端部と一体に上下動することになり、このバネ支持部材21の上下方向位置が当該コイルバネ4の下端位置を決定する。そして、各コイルバネ4はその下端に当接しているバネ支持部材21の位置に応じた長さに押し縮められている分だけフックの法則に従った付勢力でペダル3を上向きに付勢する。このため各ペダル3は、当該ペダル3の前部3aが例えばユーザの足で踏まれていない自然状態(外力が加わっていない状態)にあっては、ペダル受部8cの緩衝材18に上面が当接しないで当該ペダル3の自重とコイルバネ4の付勢力が釣り合う位置で停止するか、或いは、緩衝材18を介してペダル受部8cに当接した位置(即ち、ペダル3の動作範囲の上限位置)で停止し、外力が加わらない限りこの状態に保持される。
【0030】
そして、何れかのペダル3の前部3aが例えばユーザの足で踏み込まれて下方に回転運動すると、当該ペダル3が前述したペダル受凸部10に当接する前に対応するスイッチ5を押し潰してこのスイッチ5を作動させ、これにより前述した制御回路の処理によって所定のペダル効果が実現される。この際、ユーザが例えば踏み込む足で感じるペダル3からの反力は、対応するコイルバネ4の変形状態(即ち、コイルバネ4の長さ)、言い換えると、ペダル3の下面とバネ支持部材21の上面との間の距離によって決まる。即ち、コイルバネ4が短く縮んでいる状態の方(ペダル3の下面とバネ支持部材21の上面との間の距離が短い方)が、コイルバネ4の付勢力は大きく前記反力も大きい。したがって、ペダル3の回転位置が同じなら、コイルバネ4の下端位置を決めるバネ支持部材21が上方に位置すればする程、コイルバネ4の付勢力は大きく前記反力も大きくなり、逆に、バネ支持部材21が下方に位置すればする程、コイルバネ4の付勢力は小さくなり前記反力も小さくなる。
【0031】
このためユーザは、付勢力調整手段6の操作ねじ部材22の操作頭部24を例えば手で操作し、操作ねじ部材22を回転させてバネ支持部材21を上下方向に移動させ、バネ支持部材21の上下方向位置を変更することによって、コイルバネ4の付勢力を調整し、前記反力を所望の値に調整することができる。なお本実施形態の場合、バネ支持部材21の移動範囲は、バネ支持部材21の下面が蓋部材16cに当接する最下位置から、バネ支持部材21の上面がガイド部16上端の凸部16eに当接する最上位置までに制限されており、これにより、コイルバネ4の付勢力が過度に強く調整されたり、過度に弱く調整されたりすることが防止されている。また本実施形態では、操作ねじ部材22の操作頭部24の下面とボード8の頭部座面8dとの間の摩擦によって、操作ねじ部材22がユーザの操作によらずに勝手に回転してしまって付勢力が変化してしまう不具合が防止される構成となっている。
【0032】
また本実施形態の場合、コイルバネ4がバネ支持部材21を押し下げる力(コイルバネ4がペダル3を押し上げる付勢力の反力)は、操作軸23を介して操作頭部24に伝わり、さらに操作頭部24からボード8の上面板部8aに伝わる。つまり、コイルバネ4の付勢力の反力は、ボード8の上面板部8aで受け止められる構成となっている。このため、ボード8の上面板部8a自体に十分な剛性が確保できない場合、例えばシャーシ7の適宜箇所(各ペダル3等と干渉しない位置)から上方に延びてボード8の上面板部8aの下面に当接する補強用の突起を形成するなどして、ボード8の上面板部8aが前記反力によって過度に撓まない構成とすることが望ましい。
【0033】
以上説明した第1実施形態のペダル装置1によれば、以下のような効果が奏される。
即ち、付勢力調整手段6によって付勢手段であるコイルバネ4の付勢力を調整することができるから、ペダル装置1を分解しなくても、ユーザの性別、年齢、体格などに応じてユーザが容易にペダル3の反力を調整可能となる。しかもこのペダル装置1では、付勢力調整手段6が、コイルバネ4(付勢手段)の付勢力を変化させる所定方向(この場合、上下方向)に移動可能なバネ支持部材21(可動部)と、このバネ支持部材21を移動させるための操作ねじ部材22(操作部)とを備え、操作ねじ部材22を操作してバネ支持部材21を移動させることによりコイルバネ4の付勢力を調整することができる。このため、付勢力調整手段6が2要素よりなる簡素な構成となる。
【0034】
また、フレーム2を構成するシャーシ7には、バネ支持部材21を前記所定方向に移動可能にガイドするガイド部16が設けられている。このため、バネ支持部材21を円滑かつ確実に前記所定方向に移動させることができ、前記付勢力の調整を円滑かつ確実に行うことができる。
【0035】
また本実施形態では、操作ねじ部材22(操作部)は、フレーム2に回転可能に保持された操作軸23を有し、この操作軸23にはねじ部25が設けられており、バネ支持部材21(可動部)には、前記ねじ部25が螺合するねじ孔21cが設けられ、これらねじ部25とねじ孔21cが螺合していることにより、操作ねじ部材22の回転操作に応じてバネ支持部材21が上下動してコイルバネ4の付勢力が調整される。このため、回転操作という容易な操作により前記付勢力を調整可能であるとともに、操作ねじ部材22の回転に伴ってバネ支持部材21を連続的に変位させて前記付勢力を連続的に変化させることが可能であり、前記付勢力をユーザの好み等に応じて微妙に調整することができる。
【0036】
また本実施形態では、操作ねじ部材22を回転操作するための操作頭部24がペダル3の上方(この場合、ボード8の上面)に突出して露出しているため、操作性が良い。
【0037】
次に、図3〜図5を参照して、この発明の第2実施形態であるペダル装置31ついて説明する。なお、第1実施形態と同じ構成要素については同符号を用いて説明を省略する。また、図3におけるA−A断面は、第1実施形態の図1のA−A断面(即ち、図2(a))と同じ内容の図になるので、図示省略している。
本実施形態のペダル装置31は、各コイルバネ4(複数の付勢手段)の付勢力を一括して調整するための連動機構32を有する付勢力調整手段33(図4(a)に示す)を備えている。ここで、連動機構とは、例えば複数の付勢手段の変形状態を連動させて変更し、それによって複数の付勢手段の各付勢力を一括して変更する機構である。この連動機構は、例えば付勢手段毎に別個に設けられた可動部(例えば第1実施形態におけるバネ支持部材21)を連動させる機構であってもよいし、共通一体の可動部で複数の付勢手段の変形状態を一斉に変更する構成でもよい。本実施形態は、共通一体の可動部で複数の付勢手段の変形状態を一斉に変更する態様である。以下、本実施形態を具体的に説明する。
【0038】
本実施形態における付勢力調整手段33は、図3に示すように、中央のペダル3については、第1実施形態の付勢力調整手段6(図2(a)に示す)と同様の構成を備える。但し、可動部としては各ペダル3に対して共通一体のバネ支持部材34が設けられ、このバネ支持部材34をガイドするガイド部35は図4(b)に示す前壁36と後壁37とからなる。また、ガイド部35の底部開口を塞ぐ蓋部材38も、各ペダル3やコイルバネ4に対して共通の部材となっている。本実施形態では、各コイルバネ4に対して共通一体のバネ支持部材34が、連動機構32を構成している。
【0039】
ガイド部35を構成する前壁36と後壁37は、図3に半線で示すように、各ペダル3の下方位置を横断するように左右に延びており、これら前壁36と後壁37の内面はそれぞれ、バネ支持部材34を上下動自在に案内するガイド面36a,37a(図4(b)に示す)となっている。ガイド面36a,37aは、各コイル軸線に直交する水平断面形状が軸方向(即ち上下方向)において一定であり、図4(b)に示すように各コイル軸線の両側位置に凸部36b,37bが形成されている。また、ガイド部35を構成する前壁36と後壁37の上端部には、内側に突出する凸部36c,37cが形成されている。これら凸部36c,37cは、第1実施形態における凸部16eと同様にバネ支持部材34の上面に当接してバネ支持部材34の上限を設定するストッパーである。
【0040】
また、ガイド部35の底部開口35aは、後述するバネ支持部材34の形状に対応して、各ペダル3の下方位置を横断するように左右方向(図4(a)の紙面に直交する方向)に延びる長方形状となっており、この底部開口35aを塞ぐ蓋部材38もそれに対応した帯板状の部材となっている。そして、この蓋部材38における左右両側のペダル3のコイル軸線に対応する位置には、図4(a)に示すように、上方に延びるコイル軸部39が一体に形成されている。コイル軸部39は、左右両側のペダル3の貫通孔20やコイルバネ4内に挿通される軸である。また、図示省略しているが、蓋部材38における中央のペダル3のコイル軸線に対応する位置には、操作ねじ部材22の操作軸23の下端部が隙間を有して嵌り込む凹部(第1実施形態の図2(a)に示す凹部16dと同じもの)が形成されている。
【0041】
バネ支持部材34は、図5(a)の平面図及び図5(b)の側面図に示すように、帯板状部34aと、この帯板状部34aの上面3カ所の位置に形成された円柱状部34bと、を有する剛体(例えば金属材料よりなるもの)である。ここで、円柱状部34bは、各ペダル3の前記コイル軸線に対応する位置を中心に形成されている。このバネ支持部材34の中央の前記コイル軸線に対応する位置(即ち、中央の円柱状部34bの中心位置)には、第1実施形態のねじ孔21cと同じねじ孔34cが、図5(c)に示すように、帯板状部34aと円柱状部34bを貫通した状態に形成されている。また、バネ支持部材34の左右両側の前記コイル軸線に対応する位置(即ち、左右両側の円柱状部34bの中心位置)には、ねじ孔ではない単なる貫通孔34dが、帯板状部34aと円柱状部34bを貫通した状態に形成されている。この貫通孔34dには、前述した蓋部材38から突出するコイル軸部39が挿通される。
【0042】
また、バネ支持部材34の帯板状部34aの幅寸法及び側面形状は、前述したガイド部35のガイド面36a,37a内にこの帯板状部34aが僅かな隙間で嵌り込むものとなっている。また、この帯板状部34aの両側面には、前述したガイド面36a,37aの凸部36b,37bがそれぞれ嵌り込む凹部34e,34fが、対応位置に形成されている。これにより、バネ支持部材34は、ガイド部35のガイド面36a,37aに帯板状部34bの側面を案内されて上下方向にのみ移動可能となっており、回転はできない構成となっている。なお、バネ支持部材34の各円柱状部34bはコイルバネ4の下端内側に嵌り込む形状寸法となっている。
【0043】
なお、本実施形態におけるフレーム2(シャーシ7やボード8)やスイッチ5の構成は、上記ガイド部35の構成を除いて第1実施形態と同じである。但し、ボード8の上面板部8aの貫通孔19(図2(a)に示す)は、中央のペダル3のコイル軸線上にのみ形成され、図4(a)に示すように左右両側のペダル3のコイル軸線上には形成されていない。本実施形態は、各コイルバネ4の付勢力を一括して調整する態様であり、操作ねじ部材22が中央にしか設けられていないからである。
【0044】
次に、このペダル装置31を組み立てる場合について説明する。
ペダル装置1は、例えば以下のようにして組み立てることができる。まず、ボード8の上面板部8aの中央の貫通孔19に操作ねじ部材22の操作軸23を挿通した後、その操作軸23にEリング27を取り付けて、操作ねじ部材22をボード8の上面板部8aに取り付ける。一方、シャーシ7には、各スイッチ5を搭載したスイッチ基板5aを固定した後、各ペダル3を回転軸14により連結して取り付けておく。次いで、操作ねじ部材22の操作軸23を中央のペダル3の貫通孔20に貫通させつつ、ボード8をシャーシ7に対して取り付けて固定する。
【0045】
次いで、シャーシ7のガイド部35の底部開口35aから各コイルバネ4をそれぞれ対応する位置(各コイル軸線を中心とする位置)に挿入し、中央のコイルバネ4を中央にある操作ねじ部材22の操作軸23の外周に嵌める。次いで、バネ支持部材34をガイド部35の底部開口35aから挿入し、バネ支持部材34をガイド部35内(前壁36と後壁37の間)に嵌め込みつつ操作ねじ部材22の操作頭部24を回転させて、バネ支持部材34のねじ孔34cを操作軸23のねじ部25に螺合させるとともに、バネ支持部材34の各円柱状部34bを各コイルバネ4の下端内側に嵌め込む。そして最後に、蓋部材38のコイル軸部39をバネ支持部材34の貫通孔34dや各ペダル3のコイルバネ4や貫通孔20に挿通しつつ、ガイド部35の底部開口35aを塞ぐように蓋部材38を固定することによって組み立てられる。
【0046】
次に、付勢力調整手段33を含むペダル装置31の動作について説明する。
前述したように組み立てられたペダル装置31において、各コイルバネ4は、図4(a)に示すように、上端が各ペダル3の下面に当接し、下端がバネ支持部材34の上面に当接し、これらペダル3の下面とバネ支持部材34の上面との間に押し縮められた状態で配置される。そしてバネ支持部材34は、各ペダルにたいして共通一体のものであり、ガイド部35やコイル軸部39があることによって水平状態を保ったまま上下に移動することだけが許容されている。このため、中央の操作ねじ部材22が回転操作されときには、バネ支持部材34の上下動と一体に各コイルバネ4の下端部も同時に同距離だけ上下動することになり、バネ支持部材34の上下方向位置が各コイルバネ4の下端位置を一括して決定する。そして、各コイルバネ4はこのバネ支持部材34の位置に応じた長さに押し縮められている分だけフックの法則に従った付勢力でペダル3を上向きに付勢する。このため各ペダル3は、当該ペダル3の前部3aが例えばユーザの足で踏まれていない自然状態(外力が加わっていない状態)にあっては、ペダル受部8cの緩衝材18に上面が当接しないで当該ペダル3の自重とコイルバネ4の付勢力が釣り合う位置で停止するか、或いは、緩衝材18を介してペダル受部8cに当接した位置(即ち、ペダル3の動作範囲の上限位置)で停止し、外力が加わらない限りこの状態に保持される。
【0047】
そして、何れかのペダル3の前部3aが例えばユーザの足で踏み込まれて下方に回転運動すると、当該ペダル3が前述したペダル受凸部10に当接する前に対応するスイッチ5を押し潰してこのスイッチ5を作動させ、これにより前述した制御回路の処理によって所定のペダル効果が実現される。そしてこの際、ユーザが例えば踏み込む足で感じるペダル3からの反力(コイルバネ4の付勢力)は、第1実施形態と同様に、コイルバネ4の下端位置を決めるバネ支持部材34が上方に位置すればする程大きくなり、逆に、バネ支持部材34が下方に位置すればする程小さくなる。
【0048】
このためユーザは、付勢力調整手段33の操作ねじ部材22の操作頭部24を操作し、操作ねじ部材22を回転させてバネ支持部材34を上下方向に移動させ、バネ支持部材34の上下方向位置を変更することによって、各コイルバネ4の付勢力を一斉に調整し、全てのペダル3について前記反力を所望の値に調整することができる。なお本実施形態例の場合も、バネ支持部材34の移動範囲は、バネ支持部材34の下面が蓋部材38に当接する最下位置から、バネ支持部材34の上面がガイド部35上端の凸部36c,37cに当接する最上位置までに制限されており、これにより、各コイルバネ4の付勢力が過度に強く調整されたり、過度に弱く調整されたりすることが防止されている。
【0049】
以上説明した第2実施形態のペダル装置31によれば、以下のような効果が奏される。
即ち、付勢力調整手段33によって付勢手段であるコイルバネ4の付勢力を調整することができるから、ペダル装置31を分解しなくても、ユーザの性別、年齢、体格などに応じてユーザが容易にペダル3の反力を調整可能となり、第1実施形態と同様の効果が得られる。しかも本実施形態の場合には、複数のコイルバネ4(付勢手段)の付勢力を一括して調整できるため、各付勢手段の付勢力をそれぞれ調整するめんどうが無く、調整が容易である。
【0050】
次に、図6を参照して、この発明の第3実施形態であるペダル装置41ついて説明する。なお、本実施形態は第1実施形態の変形例であり、第1実施形態と同じ構成要素については同符号を用いて説明を省略する。本実施形態は、操作部の操作頭部に、半径方向に突出するレバー部が形成されたものである。
【0051】
本実施形態のペダル装置41では、操作ねじ部材22の頭部24aの形状が、例えば図6(a)に示すように軸直角断面6角形の形状とされている。そして、この操作ねじ部材22の頭部24aに一体に取り付けられる操作レバー部材42を備え、この操作レバー部材42によって本発明の操作頭部が構成されている。操作レバー部材42は、ソケット部43と、このソケット部43から半径方向に突出するレバー部44とを有する。ソケット部43には、図6(b)に示すように、下面に開口する嵌合凹部43aが形成されている。この嵌合凹部43aは、頭部24aと同じ断面6角形の形状とされ、この嵌合凹部43a内に頭部24aが嵌り込む構成となっている。
【0052】
即ち、操作レバー部材42は、操作ねじ部材22の頭部24aがソケット部43の嵌合凹部43a内に嵌り込んだ状態で当該頭部24aに一体に取り付けられ、図6(b)に示すように、この取付状態においてレバー部44は水平方向に延びた状態となる。このためユーザは、図6(a)に矢印で示すように、この操作レバー部材42のレバー部44を押し引きすることにより、操作ねじ部材22(操作部)の操作軸23を小さな力で容易に操作できて、前記付勢力の調整がさらに容易になる。なお、このような構成であると、ユーザは例えば足の指でレバー部44を操作して前記付勢力の調整をすることも比較的容易となり、便利である。この種のペダル装置は通常の場合ユーザの足元にあり、手で操作するためには身体をかがめる必要があるのが通常であるが、足で操作できれば、そのような不便が無くなる。また、レバー部44の回転位置を見れば、前記付勢力の調整の具合をある程度知ることも可能となり、この点でも便利である。
【0053】
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。まず、本発明のガイド部(即ち例えば第1実施形態におけるガイド部16のような可動部を案内する要素)は、削除することもできる。例えば、図2(a)の構成において、バネ支持部材21をコイルバネ4の下端に溶接又はろう付け等によって固定すれば、ガイド部16を削除することができる。バネ支持部材21をコイルバネ4の下端に固定すれば、バネ支持部材21は回転運動を抑制されコイルバネ4の下端部と一体に動く。このため、この場合も、操作ねじ部材22を回転操作すれば操作軸23の回転に伴ってバネ支持部材21(即ち、コイルバネ4の下端)が上下動して付勢力を調整することができ、しかも、ガイド部16を削除した分だけコスト低減等が図れる。但し、この場合には、バネ支持部材21の回転が完全に阻止されるわけではなく、コイルバネ4のねじれ変形を伴ってある程度バネ支持部材21が回転してしまうので、より円滑かつ確実にバネ支持部材21を上下動させるにはガイド部16のような案内手段を設けることが望ましい。
【0054】
また、本発明の可動部の移動範囲を制限するストッパーは必ずしも必要ない。例えば第1実施形態において、ガイド部16の上端の凸部16eや蓋部材16cが無い構成であっても原理的には問題ない。また、上記ストッパーは別の態様で設けることもできる。例えば、図6に示す第3実施形態において、ボード8上に操作レバー部材42のレバー部44に当接する突起を設け、この突起によって操作ねじ部材22(即ち操作軸23)の回転範囲を制限し、その結果として可動部であるバネ支持部材21の移動範囲を制限する構成でもよい。また本発明は、ペダルを1個だけ有する装置であってもよい。また、楽器以外の機器に使用されるペダル装置であってもよいし、ペダルの動作によって作動するスイッチが無い態様(ペダルの動作を機械的に利用する楽器或いは機械等の場合)も当然あり得る。また、本発明の操作頭部は、前記実施形態のように手などで直接操作するものに限られず、例えば六角レンチやスパナなどの工具を使用して回転操作する構成であってもよい。
【0055】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0056】
(付記)
請求項1に記載の発明は、フレームと、このフレームに上下方向に回転可能に設けられたペダルと、このペダルを上向きに付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力を調整する付勢力調整手段とを備えていることを特徴とするペダル装置である。
【0057】
請求項2に記載の発明は、前記付勢力調整手段は、前記付勢手段の付勢力を変化させる方向に移動可能な可動部と、この可動部を移動させるための操作部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のペダル装置である。
【0058】
請求項3に記載の発明は、前記フレームには、前記可動部を前記付勢手段の付勢力を変化させる方向に移動可能にガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のペダル装置である。
【0059】
請求項4に記載の発明は、前記操作部は、前記フレームに回転可能に保持された操作軸を有し、この操作軸にはねじ部が設けられており、前記可動部には、前記操作軸の前記ねじ部が螺合するねじ孔が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のペダル装置である。
【0060】
請求項5に記載の発明は、前記操作部は、前記ペダルの上方に突出して露出する操作頭部を備えていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のペダル装置である。
【0061】
請求項6に記載の発明は、前記フレームには前記ペダルが複数設けられており、前記付勢手段は前記複数のペダルにそれぞれ対応して設けられており、前記付勢力調整手段は前記複数の付勢手段の付勢力を一括して調整するための連動機構を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のペダル装置である。
【符号の説明】
【0062】
1,31,41 ペダル装置
2 フレーム
3 ペダル
4 コイルバネ(付勢手段)
6,33 付勢力調整手段
7 シャーシ(フレーム)
8 ボード(フレーム)
16,35 ガイド部
21,34 バネ支持部材(可動部)
21c,34c ねじ孔
22 操作ねじ部材(操作部)
23 操作軸
24 操作頭部
25 ねじ部
32 連動機構
42 操作レバー部材(操作頭部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、このフレームに上下方向に回転可能に設けられたペダルと、このペダルを上向きに付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力を調整する付勢力調整手段とを備えていることを特徴とするペダル装置。
【請求項2】
前記付勢力調整手段は、前記付勢手段の付勢力を変化させる方向に移動可能な可動部と、この可動部を移動させるための操作部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記フレームには、前記可動部を前記付勢手段の付勢力を変化させる方向に移動可能にガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記フレームに回転可能に保持された操作軸を有し、この操作軸にはねじ部が設けられており、前記可動部には、前記操作軸の前記ねじ部が螺合するねじ孔が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記ペダルの上方に突出して露出する操作頭部を備えていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のペダル装置。
【請求項6】
前記フレームには前記ペダルが複数設けられており、前記付勢手段は前記複数のペダルにそれぞれ対応して設けられており、前記付勢力調整手段は前記複数の付勢手段の付勢力を一括して調整するための連動機構を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のペダル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189743(P2012−189743A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52429(P2011−52429)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】