説明

ペットボトル用ポンプ装置

【課題】ペットボトルの貯留部内への気体の導入を停止した際に、その貯留部内の気圧を速やかに降下させる。
【解決手段】ポンプ装置40を収容したケーシング21と、ペットボトルPの貯留部1内に入り込む差込管23と、その差込管23と連通しペットボトルP外へ伸びる排出管25と、前記貯留部1内に気体を導入する給気管57と、前記ケーシング21を前記開口部2へ固定する接続部30とを備え、前記ポンプ装置40は、モータMの駆動力により前記給気管57を通じて前記貯留部1内に気体を導入する機能を有し、前記貯留部1内への気体の導入により、前記差込管23及び前記排出管25を通じて貯留部1内の液体が排出され、前記給気管57には前記ペットボトルP外に通じる通気孔56が設けられて、その通気孔56は、前記ポンプ装置40による前記貯留部1内への気体の導入時には閉鎖され、前記ポンプ装置40による気体の導入が停止した際には開放されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットボトルの開口部に取付けられ、そのペットボトル内の液体を外部へ排出するペットボトル用ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ジュース類やお茶、ミネラルウォーター、アルコール類など各種飲料用の液体を収容する容器として、プラスチック製の容器、いわゆるペットボトルが用いられている。
【0003】
このペットボトルPは、例えば、図7(a)に示すように、液体を収容する中空の貯留部1の上部に開口部2が設けられている。また、この開口部2の外周面には、キャップ5をねじ込み固定するための雄ネジ部3が設けられている。
【0004】
キャップ5の内面には雌ねじ部4が設けられているので、この雄ネジ部3と雌ねじ部4を介してキャップ5を開口部2にねじ込むことにより、ペットボトルPの開口部2が塞がれ、内部が密閉状態に維持される。また、キャップ5を一旦開封した後も、そのキャップ5を適宜脱着することで、飲み残した液体を保管しておいたり、再度、開口部2を開けて飲むこともできる。
【0005】
特に、大型のペットボトルPを対象として、そのペットボトルPの開口部2に、電動や手動で内部の液体を排出できるペットボトル用ポンプ装置を取付けることにより、ペットボトルPを傾けることなく、内部の液体をコップや他の容器に取り出すことができるようにしたものがある。
【0006】
このペットボトル用ポンプ装置10は、例えば、図8に示すように、ペットボトルPの開口部2の雄ネジ部3に着脱可能なケーシング11に、必要な各種装置が備えられている。
【0007】
ケーシング11には、前記ペットボトルPの雄ネジ部3にねじ合う雌ネジ部14を有する接続部12と、その接続部12を前記ペットボトルPの開口部2に取付けた際にその開口部2を通過して貯留部1内に入り込む差込管13と、ペットボトルP外に液体を排出する排出管15、さらに、ペットボトルP内の液体を前記差込管13を通じて吸引し排出管15に圧送するポンプ装置17が収容されている。
【0008】
モータMの回転が、伝達機構16を介してポンプ装置17に伝えられ、そのポンプ装置17の機能によって、ペットボトルP内の液体は、差込管13、排出管15を通じて外部に排出される(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、ペットボトルの貯留部内に入り込む差込管の先端に、モータによって駆動される液体吸引用のポンプを取付け、そのポンプで、貯留部内の液体を吸い上げて排出管に圧送するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
さらに、手動のポンプによって、ペットボトルの貯留部内に気体を導入し、その貯留部内の気圧を高めることにより、内部の液体を排出管を通じて外部へ圧送するようにしたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−320061号公報
【特許文献2】特開2004−359313号公報
【特許文献3】特開2001−261052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図8(特許文献1)に示すペットボトル用ポンプ装置は、貯留部1内から引き出された差込管13に連通するゴム製のチューブ13aが、ケーシング11内において、モータMによって回転運動するロータ17aの周りの円弧状の壁面11aに沿って配設されている。
【0013】
ロータ17aの回転により、チューブ13aは、壁面11aに対して押しつぶされる箇所が周方向に沿って順次移動していき、その移動により、チューブ13a内の液体が押し出されて排出管15に向かって圧送される。このため、液体の排出量は、チューブ13a内の断面積と、ロータ17aの周方向への移動量に応じた体積となり、液体の時間当たりの排出量を大きく確保できないという問題がある。
【0014】
また、特許文献2に示すペットボトル用ポンプ装置では、ポンプの可動部分がペットボトル内の液体の中に浸るので、モータ等の駆動装置の防水性や、衛生面に問題が残る。
【0015】
この点、特許文献3に示すペットボトル用ポンプ装置は、ポンプによる貯留部内への気体の導入量に応じて液体を排出できるので、液体の時間当たりの排出量を大きく確保できる。また、ポンプの可動部分がペットボトル内の液体の中に浸ることもないから、防水性や衛生面での問題は解消し得る。
【0016】
しかし、特許文献3に示すペットボトル用ポンプ装置では、例えば、液体を排出させるために貯留部1内の気圧を高め、ある程度の液体が排出された後、その排出を止めても(気体の導入を止めても)すぐには気圧が下がらないという問題がある。必要量の液体の排出が終われば、ペットボトルPの貯留部1内の気圧は、速やかに降下することが好ましい。気圧が速やかに降下しないと、液体の排出が完全には停止せず、僅かばかりの液体の排出がその後も続く場合があるからである。
【0017】
また、内部の気圧が高まった状態のペットボトルPは、特に、弾性変形を伴っている場合には、その内部が通常の気圧に降下する際に、大きな音をたてて元の状態(弾性変形する前の状態)に戻る場合がある。この点でも、ペットボトルPの貯留部1内の気圧は、タイムラグなく速やかに降下することが好ましい。
【0018】
そこで、この発明は、ペットボトルの貯留部内への気体の導入を停止した際に、その貯留部内の気圧を速やかに降下させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、この発明は、液体を収容する貯留部の上部に開口部が設けられたペットボトルに固定して使用するペットボトル用ポンプ装置において、ポンプ装置を収容したケーシングと、前記貯留部内に入り込む差込管と、その差込管と連通しペットボトル外へ伸びる排出管と、前記貯留部内に気体を導入する給気管と、前記ケーシングを前記開口部へ固定する接続部とを備え、前記ポンプ装置は、モータの駆動力により前記給気管を通じて前記貯留部内に気体を導入する機能を有し、前記貯留部内への気体の導入により、前記差込管及び前記排出管を通じて貯留部内の液体が排出されるようになっており、前記給気管には前記ペットボトル外に通じる通気孔が設けられて、その通気孔は、前記ポンプ装置による前記貯留部内への気体の導入時には閉鎖され、前記ポンプ装置による気体の導入が停止した際には開放されることを特徴とするペットボトル用ポンプ装置を採用した。
【0020】
この構成によれば、通気孔を通じて、ペットボトル内外間の気体の流通を遮断したり、あるいは、開放(許容)したりすることができる。このため、ペットボトル内への気体の導入を停止した際に通気孔を開放すれば、その通気孔を通じて気体がペットボトル外へ排出されるので、ペットボトルの貯留部内の気圧を速やかに降下させることができる。また、ペットボトル内へ気体を導入する際に通気孔を閉鎖すれば、その通気孔を通じて気体がペットボトル外へ漏れ出ないので、ペットボトルの貯留部内の気圧を速やかに高めることができる。
【0021】
また、前記通気孔の開閉は、前記モータを駆動させるための電源回路を入断するためのスイッチの操作に連動して行われる構成を採用することができる。
【0022】
例えば、通気孔に開閉弁を設けて、その開閉弁の弁体の開閉動作を、モータ駆動用の電源回路のスイッチの操作に連動させる構成が挙げられる。
具体的には、前記スイッチは、モータ駆動用の電源回路の一部に設けた対の接触端子を接離させるものであり、そのスイッチを操作して接触端子間を接触あるいは離反させる際に、同時に、開閉弁の弁体に接続された別の部材が動いて、その動きにより弁体を開閉方向へ動かして、通気孔の開閉を行う構成が考えられる。
【0023】
また、例えば、前記ケーシングに、揺動軸の軸周りに揺動可能な揺動部材を設け、前記スイッチは、前記揺動部材が前記揺動軸の軸周り一方向に揺動することにより前記電気回路を閉じて(スイッチ「入」の状態)前記モータが駆動し、前記揺動部材が前記揺動軸の軸周り他方向に揺動することにより前記電気回路を開けて(スイッチ「断」の状態)前記モータの駆動が停止し、前記通気孔の開閉は、前記揺動部材と一体に動く開閉片によって行われる構成を採用することができる。
【0024】
これは、モータ駆動用の電源回路のスイッチを入断するために用いる揺動部材に、その揺動部材と一体に動く開閉片を設け、その開閉片によって通気孔を開閉するものである。開閉片は、その通気孔におけるペットボトル内外へ通じる両開口部間の途中に設けた弁孔や、あるいは、その通気孔におけるペットボトル内外いずれかの側の開口部端縁に対し、接触又は離反する動作を行うことで、その通気孔を通じた気体の流通を遮断したり開放したりする開閉機能を発揮し得る。
【0025】
あるいは、通気孔の開閉弁を電動弁とすることもできる。このとき、例えば、その電動弁の弁体を開閉動作させるための電源回路を、前記モータ駆動用の電源回路とは別に設けておき、前記モータ駆動用の電源回路のスイッチの操作に連動させて、開閉弁用の電源回路に設けたスイッチが入断するようにして、そのスイッチの入断により電動弁を動作させて通気孔を開閉させる構成などが考えられる。
【0026】
ところで、ペットボトルの開口部は、その開口部の外周面の径(外径)や、開口部周囲の雄ネジ部のねじのピッチやねじ山の高さ、さらには、その雄ネジ部の下に位置する鍔部の外径、その鍔部の下面から開口部の上縁までの高さ等の各部寸法が異なるものが存在する(図7(a)(b)に示す、開口部2の外周面の径(外径)D、雄ネジ部3のねじのピッチA、ねじ山の高さB、鍔部6の外径E、鍔部6の下面から開口部2の上縁2aまでの高さH等が異なるペットボトルP、P’参照)。
従来のペットボトル用ポンプ装置は、ペットボトルの開口部周囲の雄ネジ部に、ケーシングに形成された雌ネジ部をねじ込み固定する構造となっていたので、開口部の形状、寸法が異なるペットボトルPに対して共通で使用することができなかった。
【0027】
そこで、開口部の形状、寸法が異なるペットボトルに対して、共通で利用できるペットボトル用ポンプ装置とするために、以下の構成を採用することができる。
【0028】
すなわち、ペットボトル用ポンプ装置のケーシングをペットボトルの開口部に固定するに際し、ペットボトルの開口部周囲の雄ネジ部を使用せず、その雄ネジ部の下に位置する鍔部を利用して、その鍔部の下面に当接するフック部材で、その鍔部とケーシングとを引き寄せて固定するようにしたものである。フック部材は、形状、寸法が異なる少なくとも2種類のペットボトルに対応するべく、第一フック部材と、第一フック部材に揺動可能な第二フック部材を備える。
【0029】
第一フック部材と第二フック部材という複数のフック部材を備えたことにより、開口部の上縁から鍔部の下面までの距離が互いに異なる複数のペットボトルのいずれにも対応できるようになる。
【0030】
具体的な構成は、液体を収容する中空の貯留部の上部に開口部が設けられ、その開口部の外周面に雄ネジ部が設けられ、その雄ネジ部の下方に外径方向に突出する鍔部が設けられたペットボトルに固定して使用するペットボトル用ポンプ装置において、ポンプ装置を収容したケーシングと、前記貯留部内に入り込む差込管と、ペットボトル外へ液体を排出する排出管と、前記差込管及び前記排出管を通じて貯留部内の液体を排出する際に前記貯留部内に気体を導入する給気管と、前記ケーシングを前記開口部へ固定する接続部とを備え、前記接続部は、前記開口部を覆うキャップ部材と、そのキャップ部材に設けられた第一フック部材を備え、前記第一フック部材には、第二フック部材が揺動可能に設けられており、一のペットボトルに対しては、前記第一フック部材をその一のペットボトルの前記鍔部の下面に当接させた状態で前記第一フック部材を引き上げることにより、前記キャップ部材を前記開口部へ固定でき、前記開口部の上縁から前記鍔部の下面までの距離が、前記一のペットボトルよりも短い別のペットボトルに対しては、前記第二フック部材を前記別のペットボトルの前記鍔部の下面に当接させた状態で、前記第二フック部材を引き上げることにより、前記キャップ部材を前記開口部へ固定できることを特徴とするペットボトル用ポンプ装置を採用した。
【0031】
この構成によれば、一のペットボトルに対しては、第一フック部材を用いてキャップ部材を開口部へ固定でき、別のペットボトルに対しては、第二フック部材を用いてキャップ部材を前記開口部へ固定できる。
このとき、一のペットボトルに対して第一フック部材を用いる場合、第二フック部材は第一フック部材に対して揺動可能であり、すなわち、ペットボトルの鍔部へ近づく方向、及び遠ざかる方向へ揺動可能であるから、その使用しない第二フック部材を、開口部や鍔部から遠ざかる方向へ逃がす(回動させる)ことができる。また、別のペットボトルに対して第二フック部材を用いる場合、その第二フック部材を第一フック部材に対して揺動させて(回動させて)、鍔部へ近づけることができる。
【0032】
この構成において、前記キャップ部材はその内面にパッキンを備え、前記キャップ部材は、前記パッキンが前記開口部の上縁に当接した状態に、前記各ペットボトルの前記開口部に固定される構成を採用することができる。
このとき、第一フック部材、第二フック部材のキャップ部材に対する各設置高さは、それぞれ、対応する各ペットボトルの鍔部の下面に当接して引き上げられた後の状態において、キャップ部材のパッキンが各ペットボトルの開口部の上縁に当接するように設定することが望ましい。また、パッキンは、開口部の上縁に当接することで水密性を維持できる素材であることが望ましい。弾性変形可能な素材であればさらに望ましい。
【0033】
これらの構成において、前記第一フック部材は、前記キャップ部材に揺動可能に設けられている構成を採用することができる。
前記第一フック部材が、ペットボトルの鍔部へ近づく方向、及び遠ざかる方向へ揺動可能であれば、ケーシングに設けた接続部を、ペットボトルの開口部に宛がう際に、前記第一フック部材を外径側へ逃がすことができるので、第一フック部材を鍔部に係合させる際に、その第一フック部材を鍔部に対して無理嵌めしたり、あるいは、こじたりする必要がなくなり便利である。
なお、接続部のキャップ部材を開口部へ固定した後は、第一フック部材が揺動しないようにロックする手段を設けることができる。
【0034】
また、前記第二フック部材は、前記第一フック部材に対して前記鍔部側へ付勢されている構成を採用することができる。
前記第二フック部材が前記鍔部側へ付勢されていれば、一のペットボトルの鍔部に対し、第一フック部材を係止する際に、第二フック部材は、鍔部あるいは開口部の外周面に当接して押されるので、その付勢力に抗して外径側に逃げていく。このため、第一フック部材の係止の際に、第二フック部材が支障することがない。また、別のペットボトルの鍔部に対し、第二フック部材を係止する際には、その第二フック部材は、付勢力によって自動的に鍔部に近づいていく。このため、第二フック部材の係止の際に、その第二フック部材を前記揺動方向に引き出したり位置合わせしたりする必要がなく便利である。
【0035】
これらの各構成において、前記第一フック部材や前記第一フック部材を引き上げる手段として、種々の構成を採用し得るが、例えば、前記キャップ部材の外側に回転部材を設けてその回転部材を前記キャップ部材周りに回転自在とし、前記第一フック部材の引き上げは、前記回転部材の内周に設けられた突部が、その回転部材の前記キャップ部材周り一方向への回転により、前記第一フック部材に設けられた突起を押し上げることにより行われる構成を採用することができる。
【0036】
回転部材の突部が第一フック部材に設けられた突起を押し上げる構成とする場合、前記第二フック部材の引き上げも、その第一フック部材を引き上げることにより行われる構成とすることもできる。すなわち、回転部材の突部が第一フック部材を持ち上げれば、それに合わせて第二フック部材も持ち上がる構成である。つまり、回転部材の突部が、第一フック部材を介して間接的に第二フック部材を持ち上げる構成である。
【0037】
なお、回転部材の突部が、第二フック部材を直接持ち上げる構成とすることも可能である。このとき、第二フック部材を直接持ち上げる手段として、第一フック部材を引き上げる手段と同様に種々の構成を採用し得るが、前述の構成と同様に回転部材を用いることもできる。すなわち、前記回転部材の内周に設けられた突部が、その回転部材の前記キャップ部材周り一方向の回転により、前記第二フック部材に設けられた突起を押し上げることにより、その第二フック部材の引き上げを行う構成を採用することができる。
【0038】
これらの構成において、前記回転部材は、弾性部材によって前記キャップ部材に対して上方へ付勢されている構成を採用することができる。
この構成によれば、回転部材が第一フック部材や第二フック部材を持ち上げるに際し、その付勢力を利用することができる。
【0039】
また、これらの構成において、前記第一フック部材が、前記キャップ部材に対して外径側へ付勢されている構成を採用することができる。このとき、前記回転部材の突部が前記第一フック部材の突起を押し上げた際に、前記回転部材の内面が第一フック部材の外面に当接して、その第一フック部材が外径側に回動することを拘束する構成とすれば、キャップ部材を開口部に固定した後、第一フック部材が鍔部に係合した状態に維持できるので好ましい。
【0040】
また、これらの構成において、前記回転部材の内周に設けられた突部は、その回転部材の回転方向に沿って延びる突条である構成を採用することができる。その突条は、前記一方向に向かうにつれて徐々に下方に近づくように傾斜していることが望ましい。回転部材の内周に沿って螺旋状に設けられていてもよい。
【0041】
また、前記第一フック部材に設けられた突起は、前記キャップ部材周り他方向に向かうにつれて徐々に上方へ向かう傾斜面を備える構成を採用することができる。
この構成によれば、第一フック部材に設けられた突起と、回転部材の内周に設けられた突部とが係合する際に、その係合がスムーズであり、その係合の解除もスムーズである。
【発明の効果】
【0042】
この発明は、ペットボトルの貯留部内への気体の導入を停止した際に、その貯留部内の気圧を速やかに降下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一のペットボトルに、ペットボトル用ポンプ装置を固定する場合の説明図で、(a)は固定する前の状態を示す断面図、(b)は(a)の要部拡大側面図、(c)は固定した後の状態を示す断面図、(d)は(c)の要部拡大側面図
【図2】別のペットボトルに、ペットボトル用ポンプ装置を固定する場合の説明図で、(a)は固定する前の状態を示す断面図、(b)は(a)の要部拡大側面図、(c)は固定した後の状態を示す断面図、(d)は(c)の要部拡大側面図
【図3】接続部の分解斜視図
【図4a】一のペットボトル、又は別のペットボトルにペットボトル用ポンプ装置を固定した状態を示す断面図
【図4b】図4aの要部拡大図
【図5】(a)はペットボトル用ポンプ装置の切断平面図、(b)は同切断正面図、(c)は同切断側面図
【図6】(a)は一のペットボトルにペットボトル用ポンプ装置を固定した状態を示す斜視図、(b)は同正面図、(c)は別のペットボトルにペットボトル用ポンプ装置を固定した状態を示す斜視図、(d)は同正面図
【図7】(a)は、一のペットボトルの開口部及びキャップの断面図、(b)は、別のペットボトルの開口部及びキャップの断面図
【図8】従来例のペットボトル用ポンプ装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態のペットボトル用ポンプ装置20は、各種飲料用の液体を収容するペットボトルに固定して用いられるものである。
【0045】
ペットボトルは、図7(a)に示す開口部(注ぎ口)2の外径の寸法Dが大きいタイプの一のペットボトルP(以下、「大口のペットボトルP」と称する)と、図7(b)に示す開口部(注ぎ口)2の外径の寸法Dが小さいタイプの別のペットボトルP’(以下、「小口のペットボトルP’」と称する)の両方を対象とする。
【0046】
各ペットボトルP,P’における貯留部1、開口部2、雄ネジ部3、鍔部6等の構成は、従来例での説明の通りである。
ただし、大口のペットボトルPは、その開口部2の上縁2aから鍔部6の下面6aまでの距離Hが、小口のペットボトルP’の開口部2の上縁2aから鍔部6の下面6aまでの距離Hよりも長くなっている。また、大口のペットボトルPは、その鍔部6の外径Eが、小口のペットボトルP’のそれよりも大きくなっている。雄ネジ部3のねじピッチA,ねじ山高さBも、各ペットボトルP,P’でそれぞれ設定されている。なお、国内では、現在のところ、この2種類のペットボトルP,P’の流通量が多数を占めている。
【0047】
ペットボトル用ポンプ装置20を、大口のペットボトルPの開口部2に取付けた状態を図1(a)〜(d)及び図6(a)(b)に、小口のペットボトルP’の開口部2に取付けた状態を図2(a)〜(d)及び図6(c)(d)に示す。
【0048】
ペットボトル用ポンプ装置20のケーシング21は、図1及び図2に示すように、ポンプ装置40等を載せるベース部21bと、そのベース部21bを覆う蓋部21a、そのベース部21bの下方に突出して設けられる筒状の突出部21cを備える。ベース部21bと蓋部21aとで形成された内部空間に、各種装置が収容されている。
【0049】
また、その筒状の突出部21cに、各ペットボトルP,P’の開口部2にケーシング21を接続するための部材である接続部30が固定されている。
【0050】
ケーシング21には、図4に示すように、各ペットボトルP,P’の開口部2に取付けた際に、その開口部2を通過して貯留部1内に入り込む差込管23と、ペットボトルP,P’外に液体を排出する排出管25が取付けられ、さらに、ペットボトルP,P’内の液体を差込管23を通じて排出管25に圧送するポンプ装置40等が収容されている。また、差込管23及び排出管25を通じて貯留部1内の液体をペットボトルP,P’外に排出する際に、その貯留部1内に外部の気体を導入する給気管57が設けられている。
【0051】
まず、ポンプ装置40等の構成について説明すると、図4a、図4bに示すように、モータMの回転によって、ダイヤフラム58の中央部が弾性変形を伴って上下動するようになっている。ダイヤフラム58は、ゴムや金属等の弾性変形することが可能な部材で薄板状、あるいはシート状に製作され、その周縁部がケース53に固定され、中央部が上下動可能となっている。
このダイヤフラム58の上下動により、給気管57を通じて貯留部1内に外部の気体を導入し、貯留部1内の気圧を高めることで液面を押し下げ、液体を差込管23を通じて排出管25に圧送する。
【0052】
このダイヤフラム58の上下動の動作機構として、周知の機構を採用し得るが、この実施形態では、図4bに示す機構となっている。すなわち、モータMの回転軸41の先端に、その回転軸41の軸心41aと並行な軸心42aを有する伝達軸42が設けられている。回転軸41の軸心41aに対し、伝達軸42の軸心42aは一致しておらず、一定の距離だけ偏心している。また、その伝達軸42は、ダイヤフラム58の上部に設けられた支持部43にゴム等の弾性体を介して接続されている。具体的には、支持部43に設けた孔に、弾性体を介して伝達軸42が差込まれて固定されている状態である。
【0053】
このため、モータMの駆動力により回転軸41が回転すると、伝達軸42は、回転軸41の軸心41a周りに回転移動する。その回転移動により伝達軸42が上下動を繰り返すので、ダイヤフラム58も上下動を繰り返すようになる。
【0054】
ダイヤフラム58が上方へ移動すると、図4a、図4bの矢印aのように、ケーシング21内の気体(空気)が、通気孔55から透孔59aを通って、隔壁59とダイヤフラム58との間に形成された空間に入り込み、ダイヤフラム58が下方へ移動すると、空間内の気体が押し出され、図4a、図4bの矢印bのように、給気管57を通じて貯留部1に送り込まれる。
【0055】
このとき、通気孔55の上方には、図4bに示すように、その通気孔55を開閉できる開閉片61が設けられている。この開閉片61は、金属板等の弾性変形可能な素材で製作され、図中左側に示す一端がケース53に固定され、他端が上下動自在である。
【0056】
この開閉片61は、ダイヤフラム58が上方へ移動して、空間内の気圧が下がると上方へ跳ね上がり、図中の矢印aに示す気体の流れを許容する。また、ダイヤフラム58が下方へ移動すると下方に押し付けられて、図中の矢印aの反対方向への気体の流れを阻止し、矢印bへの気体の流れを促進する。
すなわち、ケーシング21内の気体(空気)が、通気孔55から透孔59aを通って、隔壁59とダイヤフラム58との間に形成された空間に入り込む際には、開閉片61は通気孔55を開放し、空間内の気体が押し出されて給気管57を通じて貯留部1に送り込まれる際には、開閉片61は通気孔55を閉鎖するものである。
【0057】
また、モータMの回転軸41を回転させたり、あるいはその回転を停止させる動作は、ケーシング21の上部に突出するように設けた操作部材51によって行うようになっている。
【0058】
操作部材51の上端を下方に向かって押すことにより、操作部材51は、図4a、図4bに実線で示す状態から鎖線で示す状態へと移動する。この移動により、前記ダイヤフラム58等を収容したケース53に揺動自在に設けられた揺動部材52が、図中の実線から鎖線で示す状態へと揺動する。揺動部材52は、前記ケース53に設けた揺動軸53a周りに揺動自在である。
【0059】
この揺動部材52の揺動により押圧片54が上下動するので、押圧片54が下がれば、モータMの電源回路に設けたスイッチ60を押し下げて回路を繋ぎ、モータMを作動させ(回転軸41を回転させ)る。また、スイッチ60は図示しない弾性部材によって上方へ付勢されているので、操作部材51、揺動部材52、押圧片54を通じた押圧力が解除されれば、スイッチ60も元の状態へ復帰して回路を切り離し、モータMの作動を停止させ(回転軸41の回転を停止させ)る。スイッチ60は、モータMを駆動するために電気を供給するための電源回路の一部に設けた対の接触端子を接離させるものである。前記押圧片54の動きにより、そのスイッチ60を操作して前記接触端子同士を接触させて電源回路を閉じ(スイッチ「入」の状態)、あるいは、前記接触端子を離反させて電源回路を開ける(スイッチ「断」の状態)ものである。
【0060】
なお、この揺動部材52をスイッチ断側へ付勢する別の弾性部材を設けても良い。すなわち、一定の押圧力が無ければ、自然にスイッチ60が回路を遮断した状態となるよう、揺動部材52をその揺動方向一方(前記押圧時の揺動方向と逆方向)に付勢する弾性部材である。
【0061】
また、この揺動部材52は、その下方に開閉片52aを備えている。
【0062】
この開閉片52aは、スイッチ60を押し下げて回路を繋ぎモータMを作動させた状態では、図4a、図4bに示すように、前記給気管57の途中に設けた通気孔56を閉鎖する(図4の鎖線参照)。このため、図中の矢印eの気体の流れを遮断して矢印bの気体の流れを促進する。
さらに、スイッチ60が回路を切り離してモータMの作動を停止させた状態では、開閉片52aは通気孔56を開放する。このため、図中の矢印eの空気の流れを許容し、貯留部1内の気圧を下げることができる。
【0063】
このように、通気孔56の開閉は、モータMを駆動させるための電源回路を入断する(開閉する)ためのスイッチ60の操作に連動して行われる。
【0064】
すなわち、モータMに電気を供給するための電源回路を入断するスイッチ60は、揺動部材52が揺動軸53aの軸周り一方向に揺動することによりその電気回路を閉じてモータMが駆動し、また、揺動部材52が揺動軸53aの軸周り他方向に揺動することによりその電気回路を開けてモータMの駆動が停止するようになっており、通気孔56の開閉は、その揺動部材52と一体に動く開閉片52aによって行われるようになっている。
開閉片52aは、その通気孔56におけるペットボトルPの内外へ通じる両開口部のうち、ペットボトル外側の開口部端縁に対し、接触又は離反する動作を行うことで、その通気孔56を通じた気体の流通を遮断したり、又は、開放したりする開閉機能を発揮し得る。
【0065】
なお、モータMの電源回路は、図5(a)に示すように、電池収容部N,N(乾電池は図示せず)と、モータMの端子への接触端子a,a、前記スイッチ60への接続端子b,b等によって構成されている。
【0066】
つぎに、接続部30の構成について説明すると、ケーシング21に固定されるキャップ部材31と、そのキャップ部材31の外周に回転自在に設けられる回転部材32を備える。回転部材32は、キャップ部材31の軸心(筒状の後記周壁部31dの軸心)周りに回転可能であり、すなわち、そのキャップ部材31を開口部2に固定した場合に、開口部2の軸心周りに回転可能である。
【0067】
キャップ部材31は、図3に示すように、円形の天板部31aと、その天板部31aの周縁から下方に延びる筒状の周壁部31dとで、開口部2を覆う下向き凹状を成す部分を有している。
【0068】
天板部31aの下面には、各ペットボトルP,P’の開口部2の上縁2aに当接可能なパッキン34が設けられている。パッキン34は、開口部2の上縁2a全周に当接し、貯留部1内の液体が、その開口部2の上縁2aとパッキン34との隙間から漏れ出ないように水密が確保される。パッキン34は、開口部2の上縁2aに当接することで水密性を維持できる素材であることが望ましい。その密着性を高めるために、弾性を有する素材であればさらに望ましい。
【0069】
また、キャップ部材31は、その天板部31aから上方へ突出する筒状の突出部31cを備えている。この筒状の突出部31cが、ケーシング21の前記突出部21cの内側に嵌ることで、キャップ部材31とケーシング21とが固定される。なお、突出部21cの内面に設けた突部が、突出部31cの外面に設けた凹部に嵌ることで抜け止めが成されている。
【0070】
また、天板部31aには、前記差込管23、給気管57が挿通される開口35a,35bが設けられている。差込管23は開口35aを通って、給気管57は開口35bを通って貯留部1からケーシング21内へと導かれている。なお、その差込管23、給気管57は、前記突出部21cの内側に設けた筒状の保持部22によって、その内側に保持されている。
【0071】
さらに、その天板部31aの下面から下方に向かって突出する筒状のガイド31bが設けられている。この筒状のガイド31bが開口部2内に入り込むことで、ケーシング21とペットボトルP,P’との位置決めが成されるようになっている。
【0072】
回転部材32は、図3に示すように、円形の天板部32aと、その天板部32aの周縁から下方に延びる筒状の周壁部32bとを有している。また、その回転部材32の天板部32aには、その中央に円形の開口32gが設けられている。
【0073】
天板部32aの開口32g内に、キャップ部材31の突出部31cが挿通され、回転部材32は、キャップ部材31に対して、そのキャップ部材31の周方向に沿って回転自在である。このとき、キャップ部材31の突出部31cの外周が、回転部材32の開口32gの内周に摺接する。
【0074】
また、その回転部材32の周壁部32bの内周には、内径方向に突出する突部32dが設けられている。この実施形態では、突部32dは、その回転部材32の回転方向に沿って延びる突条であり、その突条は、その回転方向一方向に向かうにつれて徐々に下方に近づくように傾斜している。
【0075】
この実施形態では、突条は、周方向2箇所に分けて設けて、そのそれぞれが、後述の別々の第一フック部材37の引き上げに対応するようになっている。突部32dは、引き上げる対象となるフック部材と同数、あるいはそれ以上の箇所数設けられることが望ましい。なお、突条を、回転部材の内周に沿って螺旋状に設けてもよい。
【0076】
そのキャップ部材31には、第一フック部材37が横方向へ揺動可能に設けられている。
【0077】
第一フック部材37は、その上端部に外側に向かって突出する突起37aを備えている。また、その突起37aの下方に、内外を貫通する孔部37iが形成されている。
【0078】
キャップ部材31の下端部には、外径方向に突出するフランジ部31fが設けられており、そのフランジ部31fの端部に設けられた対のガイド31g、31g間に、外径方向に突出する突部31eが備えられ(図3参照)、この突部31eが、前記第一フック部材37の孔部37iに入り込む。
【0079】
このとき、孔部37iの幅(キャップ部材31の周方向への幅)は、前記突部31eがぴったりと入り込むことができる幅(同上)、あるいはそれ以上の幅(同上)を有している。
【0080】
また、孔部37iの上下方向幅は、突部31eの上下方向幅よりも大きく設定されており、この突部31eが、孔部37i内で移動可能である範囲において、第一フック部材37は、キャップ部材31に対して、上下方向に相対移動可能となっている。
【0081】
これにより、第一フック部材37の上端部は、キャップ部材31の周壁部31dと、回転部材32の周壁部32bの内面32fとの間の空間に保持され、その第一フック部材37は、その上端部を中心に揺動する。つまり、その第一フック部材37の下端部に設けた係止部37eは、横方向へ、すなわち、ペットボトルP,P’の鍔部6に接近したり、あるいは遠ざかる方向へ揺動可能である。また、その揺動は、前記対のガイド31g、31gによってガイドされる。
【0082】
この実施形態では、第一フック部材37の孔部37iに、キャップ部材31に設けた突部31eが入り込むことで、その第一フック部材37の落下が阻止され、且つ、揺動自在に支持されているが、第一フック部材37がキャップ部材31に対して揺動自在であれば、例えば、ピン支持等、他の支持方法を採用してもよい。ただし、第一フック部材37は、キャップ部材31に対して、上下方向に相対移動可能となっていることが望ましい。
【0083】
また、その第一フック部材37には、第二フック部材38が横方向へ揺動可能に設けられている。
【0084】
第二フック部材38は、図3に示すように、その下端部に設けた支持部38bが、第一フック部材37の下端部に設けた支持部37dに支持され、その支持部38bを揺動中心としている。つまり、第二フック部材38が支持部38bを中心に揺動し、その第二フック部材38の上端部に設けた係止部38aが、横方向へ、すなわち、ペットボトルP,P’の鍔部6に接近したり、あるいは遠ざかる方向へ揺動可能である。
【0085】
この実施形態では、第一フック部材37の下端部に設けた支持部37dは、水平方向に延びる軸状の部材であり、その軸状の部材に、断面C字状を成す第二フック部材38の支持部38bが嵌って揺動自在に支持されているが、第二フック部材38が第一フック部材37に対して揺動自在であれば、他の支持方法を採用してもよい。
【0086】
なお、第二フック部材38と第一フック部材37との間には、その第二フック部材38を第一フック部材37に対して鍔部6側へ付勢する弾性部材39が設けられている。弾性部材39によって、第二フック部材38の上端部が、鍔部6へ近づく側へ付勢されている。
【0087】
この実施形態では、弾性部材39はコイルバネであり、そのコイルバネが、第二フック部材38の外面に設けた凹部38cと第一フック部材37の内面に設けた凹部37cとに入り込んだ状態に固定されている。
【0088】
この弾性部材39としては、コイルバネ以外の弾性体、例えば、板バネやゴム等を用いてもよく、その支持方法も弾性部材39の構成に応じて自由である。
【0089】
また、キャップ部材31の周壁部31dと回転部材32の周壁部32bとの間には、弾性部材33が設けられている。この弾性部材33が、回転部材32をキャップ部材31に対して上方へ付勢する。
【0090】
この実施形態では、弾性部材33はコイルバネであり、そのコイルバネが、キャップ部材31の周壁部31dと回転部材32の周壁部32bとの間の空間に収容され、その下端が環状を成す支持体36の溝部36aに嵌って支持されている。
【0091】
また、支持体36は、第一フック部材37のフラットな上面に当接し、その当接によって、第一フック部材37の下端部が外径方向に回動する方向、すなわち、鍔部6から遠ざかる方向に付勢している。これは、弾性部材33の付勢力によって、支持体36が下方に押さえつけられることにより、第一フック部材37は、その上面が水平になる方向へ押し付けられるから、第一フック部材37は、その下端部が外径方向に張り出す方向に付勢されるものである。
【0092】
この付勢により、第一フック部材37は、その上面が水平な状態、すなわち、図1(a)に示す外側に張り出した状態に維持されるから、その第一フック部材37は、開口部2への着脱時にその開口部2や鍔部6に支障しない(当たらない)ようになっている。
【0093】
この弾性部材33としても、コイルバネ以外の弾性体、例えば、板バネやゴム等を用いてもよく、その支持方法も弾性部材33の構成に応じて自由である。
【0094】
まず、この接続部30を、前記大口のペットボトルPの開口部2に固定する際には、図1(a)から図1(c)に示すように、第一フック部材37の下端部を内側へ揺動させることにより、第一フック部材37の係止部37eを、大口のペットボトルPの鍔部6に接近させる。
【0095】
これにより、係止部37eの上面37fが、大口のペットボトルPの鍔部6の下面6aに当接する。このとき、第一フック部材37の下端が外側に起き上がらないように、適宜手で押さえておくことが望ましい。
【0096】
また、このとき、第二フック部材38は、鍔部6あるいは開口部2の外周面に当接し、弾性部材39の付勢力に抗して外径側に逃げていく。このため、第一フック部材37の係止の際に、第二フック部材38が支障することがない。
【0097】
また、その係止部37eの下面に設けた傾斜した当接部37gが、大口のペットボトルPの肩部7に当接することで、ケーシング21及び接続部30が、その大口のペットボトルPに対して安定的に支持される。当接部37gは、図3に示すように、第一フック部材37の幅方向両側にそれぞれ設けられているが、これを、幅方向全長に亘って連速的に設けることもできる。
【0098】
この状態で、第一フック部材37を引き上げることにより、キャップ部材31の内面に設けたパッキン34が前記開口部2の上縁2aに当接した状態に、そのキャップ部材31を開口部2へ固定できる。
【0099】
この実施形態では、第一フック部材37の引き上げは、回転部材32をキャップ部材31周り一方向に回転させることにより行う。
【0100】
すなわち、回転部材32を弾性部材33の付勢力に抗して下方に押し下げ、突部32d(突条)の端部の位置を、第一フック部材37の突起37aの高さに近づける。
【0101】
このとき、キャップ部材31は、その天板部31aの上面が、回転部材32の天板部32aの下面に当接しており、回転部材32を押し下げたことにより、その回転部材32から下方に向かって押圧力を受けている。この段階で、キャップ部材31の内側のパッキン34は、開口部2の上縁2aに当接しているか、あるいは、それに近い程度に相互に接近している状態である。
【0102】
そして、図1(b)から図1(d)に示すように、回転部材32を回転させることにより、その回転部材32の内周に設けられた突部32dが、第一フック部材37に設けられた前記突起37aを押し上げる。
【0103】
つまり、図1(d)に示す矢印xの方向に回転部材32の突部32dが移動することで、その突部32dが、突起37aの傾斜面37bに当たり、さらに回転部材32の突部32dが同方向に移動することで、第一フック部材37が図1(d)に示す矢印yの方向に引き上げられる。
これにより、第一フック部材37は鍔部6に係合し、さらに、上方へ向かって引き上げられるから、その係合力が強化される。また、弾性部材33の付勢力によって、その引き上げた状態が維持される。
【0104】
このとき、回転部材32の下端部32cの内面32eが、第一フック部材37の外面37hに当接して、その第一フック部材37が外径側に(鍔部6から離れる側に)回動することを拘束している。このため、第一フック部材37は鍔部6から外れることなく、その鍔部6に係合した状態が維持される。
【0105】
このように、第一フック部材37の前記引き上げ及び前記拘束により、その第一フック部材37の係止部37eが鍔部6に係合し、その状態が維持されるから、キャップ部材31、すなわちケーシング21を開口部2から外れないように固定できる。
【0106】
なお、第一フック部材37の前記傾斜面37bは、キャップ部材31周り他方向、すなわち、回転部材32の回転方向と逆方向(図1(d)に示す右方向)に向かうにつれて徐々に上方へ向かうようになっており、回転部材32の突部32dが、突起37aの傾斜面37bに当たることから、その係合がスムーズであり、その係合の解除もスムーズである。
【0107】
また、その傾斜面37bは最も他方向よりに(図1(d)に示す右端に)、水平方向に対する仰角がより大きい導入傾斜面37b’を備えているので、突部32dの突起37aに対する係合が、特にその係合の初期においてさらにスムーズである。
【0108】
つぎに、小口のペットボトルP’に対しては、図2(a)から図2(c)に示すように、第一フック部材37を揺動させることにより、第一フック部材37の係止部37を、大口のペットボトルPの鍔部6に接近させる。
【0109】
同時に、第二フック部材38は、第一フック部材37に対して内側へ付勢されているので、その第二フック部材38は、図2(c)に示すように、上端の係止部38aが内径側へ傾いた状態となる。これにより、係止部38aの上面が、小口のペットボトルP’の鍔部6の下面6aに当接する。このとき、第一フック部材37が外径側に起き上がらないように、適宜手で押さえておくことが望ましい点は同様である。
【0110】
このとき、第一フック部材37は、前記係止部37eの下面に設けた傾斜した当接部37gが、小口のペットボトルP’の肩部7に当接することで、ケーシング21及び接続部30が、その小口のペットボトルP’に対して安定的に支持される点は、大口のペットボトルPの場合と同様である。
【0111】
この状態で、第一フック部材37を引き上げることにより、同時に、第二フック部材38も引き上げられる。第二フック部材38は、支持部37b、38bを介して第一フック部材37に接続されているからである。第二フック部材38が引き上げられるから、その第二フック部材38を介して、キャップ部材31を開口部2へ固定できる。
【0112】
この第二フック部材38の引き上げは、図2(b)から図2(d)に示すように、回転部材32を用いて第一フック部材37を引き上げることにより行い、これにより、第二フック部材38を、図2(a)から図2(c)に示す状態へと移行できる。この操作手順は、前述の大口のペットボトルPの場合と同様であるので説明を省略する。
【0113】
なお、これらの実施形態では、第一フック部材37や第二フック部材38を引き上げることにより、キャップ部材31の内面に設けたパッキン34が、開口部2の上縁2aに当接するようにしたが、例えば、ペットボトルP,P’を傾けたり、運搬したりすることがなく、止水性が厳格に要求されない場合等は、パッキン34が開口部2の上縁2aに当接しない構成とすることもできる。このとき、パッキン34を省略することもできる。
【0114】
また、この実施形態では、突部32dは、その回転部材32の回転方向に沿って延びる突条であり、その突条を、その回転方向一方向に向かうにつれて徐々に下方に近づくように傾斜させて設けたが、突部32dの形態は自由であり、第一フック部材37や第二フック部材38を引き上ることができる形状、位置を適宜設定できる。
【0115】
また、これらの第一フック部材37、第二フック部材38の引き上げに関しては、この実施形態の回転部材32による手法のほか、例えば、キャップ部材31に、周知のリンク機構やねじ機構等を用いた締め付け手段等を備えることにより、その第一フック部材37や第二フック部材38の引き上げが可能である。
【0116】
また、第一フック部材37や第二フック部材38を引き上げる手段として、前記回転部材32以外の手法を用いる場合、キャップ部材31を開口部2へ固定した後、第一フック部材37が外径側へ回動しないようにロックする手段を、別途設けることができる。
【0117】
なお、この実施形態では、ポンプ装置40として上記の構成を採用しているが、他の周知のポンプ装置を採用してよい。例えば、差込管23と排出管25との間に設けられ、貯留部1内の液体を吸い上げて排出管25側に圧送するポンプ装置としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 貯留部
2 開口部
2a 上縁
3 雄ネジ部
4 雌ネジ部
5 キャップ
6 鍔部
6a 下面
7 肩部
8 キャップリング
10 ペットボトル用ポンプ装置
11 ケーシング
12 接続部
13 差込管
14 雌ネジ部
15 排出管
16 伝達機構
17 ポンプ装置
10,20 ペットボトル用ポンプ装置
21 ケーシング
21a 蓋部
21b ベース部
21c 突出部
22 保持部
23 差込管
24 開口
25 排出管
30 接続部
31 キャップ部材
31a 天板部
31b ガイド
31c 突出部
31d 周壁部
31e 突部
31f フランジ部
31g ガイド
32 回転部材
32a 天板部
32b 周壁部
32c 下端部
32d 突部
32e 内面
32f 内面
32g 開口
33,39 弾性部材(コイルバネ)
34 パッキン
35a,35b 開口
36 支持体
36a 溝部
37 第一フック部材
37a 突起
37b 傾斜面
37b’ 導入傾斜面
37c 凹部
37d 支持部
37e 係止部
37f 上面
37g 当接部
37h 外面
37i 孔部
38 第二フック部材
38a 係止部
38b 支持部
38c 凹部
40 ポンプ装置
41 回転軸
42 伝達軸
41a,42a 軸心
43 支持部
50 動作手段
51 操作部材
52 揺動部材
53 ケース
53a 揺動軸
54 押圧片
55 第一通気孔
56 第二通気孔
57 給気管
58 ダイヤフラム
59 隔壁
59a 透孔
60 スイッチ
61 開閉片
M モータ
P,P’ ペットボトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する貯留部(1)の上部に開口部(2)が設けられたペットボトル(P)に固定して使用するペットボトル用ポンプ装置において、
ポンプ装置(40)を収容したケーシング(21)と、前記貯留部(1)内に入り込む差込管(23)と、その差込管(23)と連通しペットボトル(P)外へ伸びる排出管(25)と、前記貯留部(1)内に気体を導入する給気管(57)と、前記ケーシング(21)を前記開口部(2)へ固定する接続部(30)とを備え、前記ポンプ装置(40)は、モータ(M)の駆動力により前記給気管(57)を通じて前記貯留部(1)内に気体を導入する機能を有し、前記貯留部(1)内への気体の導入により、前記差込管(23)及び前記排出管(25)を通じて貯留部(1)内の液体が排出されるようになっており、前記給気管(57)には前記ペットボトル(P)外に通じる通気孔(56)が設けられて、その通気孔(56)は、前記ポンプ装置(40)による前記貯留部(1)内への気体の導入時には閉鎖され、前記ポンプ装置(40)による気体の導入が停止した際には開放されることを特徴とするペットボトル用ポンプ装置。
【請求項2】
前記通気孔(56)の開閉は、前記モータ(M)を駆動させるための電源回路を入断するためのスイッチ(60)の操作に連動して行われることを特徴とする請求項1に記載のペットボトル用ポンプ装置。
【請求項3】
前記ケーシング(21)に、揺動軸(53a)の軸周りに揺動可能な揺動部材(52)を設け、前記スイッチ(60)は、前記揺動部材(52)が前記揺動軸(53a)の軸周り一方向に揺動することにより前記電気回路を閉じて前記モータ(M)が駆動し、前記揺動部材(52)が前記揺動軸(53a)の軸周り他方向に揺動することにより前記電気回路を開けて前記モータ(M)の駆動が停止し、前記通気孔(56)の開閉は、前記揺動部材(52)と一体に動く開閉片(52a)によって行われることを特徴とする請求項2に記載のペットボトル用ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−12106(P2012−12106A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152996(P2010−152996)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(392006639)株式会社アイナック (7)
【Fターム(参考)】