説明

ペット動物によるビタミンEの吸収の改良方法

【課題】最適下限のビタミンEの血清濃度を有するペットに投与したときに脂質および脂質に結合した化合物の消化率を改良し、ビタミンEを一層効果的に吸収しまたは同化することができる栄養生成物を提供する。
【解決手段】脂質を有効に消化するためのペットの能力を維持、促進または向上させるのに有効な量で膵臓、肝臓および腸粘膜機能促進剤を含有している食用組成物を、ペットに、それの規則的な食餌の一部として又はそれに加えて、投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的にはペット動物によるビタミンEの吸収を高める方法に関する。詳細には、本発明は、病気および/または老化の影響を受けている老猫でのビタミンEの吸収の改良に関する。本発明は、食物および/または栄養補給食物、およびペット動物でのビタミンE吸収および/または同化の改良におけるその使用に敷衍される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ビタミンEは、長鎖脂肪酸でのみ吸収される脂溶性ビタミンである。従って、脂質の吸収または消化に欠陥があると、ビタミンEおよび他のビタミンが吸収されない脂肪酸と結合するため、これらが欠損する可能性がある(Simpson,KW and Michel, KE.「消化器疾患の患者の微量栄養素の状態」Proceedings ACVIM, Denver, CO, pp.651-653, 2001)。従って、脂質消化率の低いペットは、様々な潜在的な栄養欠損に罹りやすく、その健康を損なう可能性がある。
【0003】
老猫の栄養補給に関する研究は、9歳より上のような老齢ペットのかなりの数が脂肪の消化率が減少していることを示していた。幾つかの科学公表文献でも、同様に猫での脂質消化率の加齢による減少が報告されている(Burkholder,WJ.「成犬および猫における栄養要求および消化機能の加齢変化」JAVMA, Vol 215, No. 5, September 1, 1999;Nicholson A, Watson ADJ, Mercer JR.「3匹の猫の脂肪同化不良」Australian Veterinary Journal,Vol. 66, No. 4, April, 1989; Peachey SE, Dawson JM, Harper EJ.「牛脂、ヒマワリ油またはオリーブ油の量を高くした食餌を投与した猫による栄養消化率に対する加齢の影響」)。
【0004】
脂質の消化率を不良にする可能性がある多数の疾患のいずれもがあり得る。吸収不良および消化不良が、腸のほとんど総ての広汎性疾患、外分泌性膵臓機能不全または未知の原因によって引き起こされる可能性がある。猫の場合には、膵臓炎は約0.15%-3.5%の罹病率で起こり、脂肪消化率不良の幾つかの症例を説明することができる。腸リンパ腫、小腸での細菌の過剰増殖、炎症性腹部疾患、および肝臓疾患のような広汎性腸疾患も、小腸での栄養吸収を減少させることがある。
【0005】
膵臓機能不全の症例は、家畜での実施では未処理の膵臓を動物の食餌に添加することによって治療されることがある。膵臓は、消化酵素の変性を避けるため加熱すべきではない。この種の処置を定期的に行わなければならないことは、ペット所有者にとって都合のよいことではない。商業的に製造された栄養補給酵素、例えば、Viokase V (バーミンガム、アラバマ州のAxcan Pharma US, Inc.の商標と思われる)の商品名で発売されているものは、膵臓機能不全に冒された動物での脂肪消化率の改良に有効であるが、必要量で投与するときには高価なものとなる。従って、それらはペットの通常の食餌に加えるには適当でない。
【0006】
Nicholson等(上記引用)は、脂肪消化率が不良の猫に食餌療法として膵臓抽出物の栄養補給を行ったところ、脂肪消化率はほぼ二倍になったが、酵素栄養補給は、試験した3匹の猫総てで脂肪消化率を正常濃度まで増加させることはできなかったことが開示されている。これらの知見は、膵臓酵素の補給が部分的な調整を行うことができることを指摘している。
【0007】
Suzuki等(Suzuki A, Mizumoto A,Rerknimitr R, Sarr MG, Dimagno EP.「膵臓機能不全症の犬の栄養吸収に対する細菌性または豚リパーゼと低または高脂肪食餌の効果」Gastroenterology1999; 116:431-437 The American Gastroenterological Association)は、膵臓機能不全の犬の(とりわけ)タンパク質吸収についての細菌性リパーゼ、豚リパーゼおよび食餌の効果を研究した。彼らは、高脂肪および高タンパク質食餌がいずれの酵素でも脂肪吸収を最適にすると結論し、ヒトでの効果を検討することを提案した。
【0008】
国際特許公報WO01/62280号明細書には、耐タンパク質分解性および耐酸分解性が高い架橋リパーゼ結晶を含む組成物が開示されている。これは、脂溶性ビタミン、例えばビタミンE欠損症は脂肪吸収不良のふつうに見られる帰結の一つにすぎないことを認めている。
【0009】
この従来技術では、食餌の枠組みにおけるビタミンE欠損症の問題を記載していない。また、これは、ビタミンE欠損症またはそれに関連した症状の予防のための食餌による解決法を示唆していない。
【0010】
本願明細書の目的について、脂質画分という用語は、水に不溶性の化合物の群を意味すると理解すべきであり、この群は脂肪、油分、ワックス、ホスファチド、セレブロシド、ステロール、テルペンなどを包含し、これらのほとんどはその構造中に脂肪酸を含む。脂質は、栄養分を食物供給源から腸および受容者の体内の細胞のような利用部位へ運搬または輸送する機能を行うことができる。
【0011】
本願明細書で用いられる「消化」とは、複雑な食物マトリックスをその成分部分へ、例えば、脂肪をグリセロールと脂肪酸とに分解する過程を意味する。この分解過程は、主として胃、肝臓および膵臓酵素の作用によるものである。
【0012】
本願明細書で用いられる「吸収」とは、腸壁を通る血流中への分解過程の生成物の経過を意味する。
【0013】
本願明細書で用いられる「消化率」とは、動物によって摂取される栄養の総量に対して消化されて吸収される栄養分の量を百分率で表したものを意味する。
【0014】
本願明細書で用いられる「同化」とは、食物消化によって生成して体内に吸収される単純な分子の生体成分を形成する複雑な化合物への組込みの過程を意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、最適下限のビタミンEの血清濃度を有するペットに投与したときに脂質および脂質に結合した化合物の消化率を改良し、ビタミンEを一層効果的に吸収しまたは同化することができる栄養生成物を提供することである。もう一つの目的は、ペットおよびペット所有者にビタミンEの効果的同化に関連した利益を提供することである。
【0016】
もう一つの目的は、ペット動物がビタミンEを吸収しやすくする栄養手段を提供する完全なペットフードまたは完全なペットフード用の栄養補給食物を提供することである。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、ペット動物、特に老齢ペットでのビタミンE吸収を改良する方法を提供することである。
【0018】
もう一つの目的は、ペットの組織へのビタミンEの輸送を改良する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の概要
本発明は、ペット動物でのビタミンEの吸収を改良しまたは維持するための組成物およびこれを含む生成物を提供する。
【0020】
従って、本発明の第一の態様によれば、ペット動物でのビタミンEの吸収を改良しまたは維持する方法は、ペットに脂質吸収能を促進しまたは維持しまたは改良する食用組成物を投与する段階を含む。
【0021】
本発明の好ましい形態では、組成物は膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、および腸粘膜機能促進剤の1以上を含んでなる。
【0022】
一実施態様では、膵臓機能促進剤は、リパーゼ、腸pH調節剤、または膵臓抽出物を含んでなることがある。
【0023】
腸pH調節剤は、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、プレバイオティックまたはプロバイオティック微生物の1以上を含むことがある。
【0024】
肝機能促進剤は、好ましくはタウリン、乳化剤、ビタミン、ミネラル、グルタチオンおよびグルタチオン促進剤、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0025】
一実施態様では、肝機能促進剤は、摂取後に内在性グルタチオンを増加する栄養物である。
【0026】
腸粘膜機能促進剤が脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーを包含することがある。一実施態様では、この助剤、薬剤またはキャリヤーは、ホエータンパク質、およびリポタンパク質の形成を促進する能力を有するプロテアーゼから選択される。
【0027】
もう一つの実施態様では、腸粘膜機能促進剤は、抗炎症薬、ラクトフェリン、プレバイオティックまたはプロバイオティック微生物を包含する。これは、これらの組み合わせを含むことができる。抗炎症薬は、ω-3-脂肪酸であることがある。
【0028】
好ましい実施態様では、脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーは、腸内吸収を改良する目的で選択した脂肪酸プロフィールを有する。脂肪酸プロフィールは、好ましくはポリ不飽和性である。
【0029】
更にもう一つの実施態様では、脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーがホエータンパク質を含んでなる。
【0030】
本発明の好ましい形態では、組成物は、栄養的にバランスのとれたインスタント粉餌として投与される。この粉餌は、湿っていてもまたは乾燥していてもよい。乾燥しているときには、粉餌は、乾燥したペットフード用粗挽き穀物またはそれらの複数のものを含んでなることができる。粉餌は、好ましくは毎日投与する。しかしながら、組成物は、栄養補給粉餌として投与することがある。栄養補給粉餌は、ごちそうの形態で提供されることがある。
【0031】
本発明の第二の態様によれば、ペット動物の血清ビタミンE濃度を維持または改良する方法は、ペット動物に脂質吸収能を促進しまたは維持しまたは改良する食用組成物を与える段階を含んでなる。
【0032】
本発明の好ましい形態では、組成物は、膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、および腸粘膜機能促進剤の1以上を含んでなる。
【0033】
腸粘膜機能促進剤は、脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーを包含することがある。
【0034】
脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーは、好ましくは腸内吸収を改良する目的で選択した脂肪酸プロフィールを有する。
【0035】
本発明の第三の態様では、ペット動物でのビタミンEの吸収の改良または維持に用いられる組成物は、膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、腸粘膜機能促進剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を上記ペットの脂質吸収能を促進しまたは維持しまたは改良するのに有効な量で含む。
【0036】
一実施態様では、組成物は、栄養的にバランスのとれたインスタント粉餌として投与される。この粉餌は、湿っていてもまたは乾燥していてもよい。
【0037】
本発明の一実施態様では、肝機能促進剤は、膵臓抽出物を含んでなる。好ましい実施態様では、この抽出物は膵臓リパーゼを含む。
【0038】
本発明の一態様では、膵臓抽出物は膵臓以外の供給源由来のリパーゼを含んでなる。一実施態様では、膵臓以外の供給源は真菌である。
【0039】
一実施態様では、組成物は、工業的方法で製造され、インスタント粉餌として包装される。
【0040】
一実施態様では、脂質吸収促進成分は、別個に包装された完全粉餌に添加するためにまたは粉餌とは別に投与するために容器に供給される。一実施態様では、この成分は薬学上許容可能なキャリヤーに供給される。
【0041】
本発明は、もう一つの実施態様では、ペット動物でのビタミンE吸収に有利になるように食餌組成物または栄養補給食餌の製造における脂質消化率亢進成分の使用にも及ぶ。この利点は、上記したもののいずれか一つであることができる。
【0042】
本発明のもう一つの実施態様によれば、ペットの外観を改良する方法は、
脂肪乳化剤/脂肪乳化系、
酸性化剤、
脂肪輸送剤(リコペンのキャリヤーとしてのホエータンパク質)、および
それらの組み合わせ
から選択される薬剤を含む食餌をペットに投与することによって、ペットの血清ビタミンE濃度を増加させる段階を含んでなる。
【0043】
本発明の利点は、虚弱な老猫のような老齢ペットの体調が目に見えて改良されることである。
【0044】
もう一つの利点は、ペットの栄養状態が改良されることである。これによって、生活の質が改良され、ペットの寿命が延び、所有者の満足度が大きくなるなど他の利益も予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
態様の詳細な説明
ペット動物では、脂質の吸収は他の本質的栄養分、例えばビタミンEの吸収と高い相関を有することが見いだされた。従って、脂質消化率の低いペットは栄養状態の欠損または最適下限になりやすく、その健康を損なう可能性がある。
【0046】
本発明は、ビタミンE欠損症に罹りやすいまたは既に罹っているペットを予防し且つ軽減する手段の提供並びにビタミンEの血清濃度を増加させる手段の提供を探求する。本発明は、脂質吸収を栄養管理によって増加させ、これによって腸でのビタミンE摂取を増加させる手段を提供する。このような管理は、ペット所有者、治療奉仕者または飼い主が行うことができる。ビタミンE同化を維持し、改良し、促進しあるいは亢進する養生法としてこれを行うことによって、様々な健康および健康推進の利益を確保することができる。これらを、下記において一層詳細に説明する。
【0047】
例えば、ペット動物でのビタミンEの吸収を維持し、改良し、促進しあるいは亢進する栄養管理法は、あらかじめ決定された指示に従って脂質吸収促進成分を必要とするペット動物に定期的に投与する成分を含んでなる。脂質吸収促進成分は、膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、腸粘膜機能促進剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の栄養分を含んでなる。これは、栄養的にバランスのとれたペットフードの中間物における通常の食餌の一部として、または粉餌またはごちそうの栄養補給物として投与することができる。粉餌は、好ましくは毎日の投与に対して湿りのある粉餌であってもまたは乾燥した粉餌であってもよい。
【0048】
ペットは、猫または犬であることができる。本発明は、初老または老齢ペットにとって特に有利である。一般的には、これらは9歳以上の年齢のペットである。
【0049】
本発明で用いることができる膵臓機能促進剤としては、天然および人工リパーゼ、腸pH調節剤、膵臓抽出物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
有利には、膵臓機能促進剤がリパーゼ酵素である場合には、これは、約1,000-80,000IUのリパーゼ酵素を毎日この投与を受ける動物に供給するのに十分な量を食用組成物でペットに投与する目的で存在する。好ましくは、この組成物は、所定の処方計画に従って投与を行うときには、約9,000-60,000IUのリパーゼ酵素を毎日供給するのに十分な量のプロモーターを含む。
【0051】
膵臓機能促進剤が腸pH調節剤である場合には、これは、酸性化剤、アルキル化剤、緩衝剤、プレバイオティックまたはプロバイオティック微生物の1以上を含む系を含んでなることができる。好ましい腸pH調節剤は、予想可能で制御可能なやり方で発酵を促進し且つ腸pHを調節するものである。適当な酸性化剤の例は、クエン酸および乳酸である。適当な塩基の一例は、水酸化ナトリウムである。塩基は炭酸塩または重炭酸塩でもよく、またはその組み合わせも挙げられる。
【0052】
腸pH調節剤が酸性化剤である実施態様では、腸pHを14点のpH尺度で約1点だけ減少させるのに十分な量で存在するように供給すべきである。
【0053】
腸pH調節剤がアルカリ化剤である実施態様では、腸pHを14点のpH尺度で約1点だけ増加するのに十分な量で存在するように供給すべきである。
【0054】
腸pH調節剤が緩衝剤である態様では、消化の初期段階中に腸pHを約4より低く維持するのに十分な量で存在するように供給すべきである。
【0055】
膵臓機能促進剤が膵臓抽出物である場合には、この抽出物は好ましくは膵臓リパーゼを含む。しかしながら、膵臓以外の供給源由来のリパーゼを追加してまたは代わりに用いることもできる。
【0056】
本発明の好ましい実施態様では、腸pH調節剤はプレバイオティックまたはプロバイオティック微生物、またはそれらの組合せである。プレバイオティック微生物は任意の適当な天然または精製した供給源、例えばチコリーから得ることができ、イヌリンまたはオリゴ糖を含んでなることができる。プロバイオティック微生物を選択するときには、これは腸での発酵過程を介して腸pHを調節するものであることが必要である。一般に、プロバイオティック微生物は、ClostridiumperfringensおよびHelicobacter pyloriのような病原菌の増殖を阻害する乳酸および酢酸のような有機酸を生産する。適当なプロバイオティック微生物としては、Saccharomyces、Debaromyces、Candida、PichiaおよびTorulopsisのような酵母、Aspergillus、Rhizopus、MucorおよびPenicilliumのようなカビ、およびTorulopsis、Bifidobacterium、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、OenococcusおよびLactobacillus属のような細菌が挙げられる。適当なプロバイオティック微生物の具体例は、Saccharomycescereviseae、Bacillus coagulans、Bacillus licheniformis、Bacillus subtilis、Bifidobacteriumbifidum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium longum、Enterococcus faecium、Enterococcusfaecalis、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus alimentarius、Lactobacilluscasei subsp. Casei、Lactobacillus casei Shirota、Lactobacillus curvatus、Lactobacillusdelbruckii subsp. Lactis、Lactobacillus farciminus、Lactobacillus gasseri、Lactobacillushelveticus、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillusrhamnosus (Lactobacillus GG) 、Lactobacillus sake、Lactobacillus lactis、Micrococcusvarians、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceus、Pediococcus acidilactici、Pediococcushalophilus、Streptococcus faecalis、Streptococcus thermophilus、Staphylococcuscamosus、およびStaphylococcus xylosusである。プロバイオティック微生物は、粉末状の乾燥形態、特に胞子を形成する微生物については胞子形態であってもよい。更に、所望するならば、プロバイオティック微生物は、例えば糖マトリックス、脂肪マトリックスまたは多糖類マトリックスでカプセル化して生存率を更に増加することができる。あるいは、微生物は、主食物組成物に対する別個に包含された補給栄養として供給されることもある。
【0057】
本発明の実施態様では、上記の2以上の膵臓機能促進剤のいずれかの組合せを用いることもある。
【0058】
本発明で用いるのに適する肝機能促進剤は、食用乳化剤、タウリン、グルタチオンまたはグルタチオン促進剤、ミネラルおよびビタミンから選択することができる。用いられるタウリンは天然物であってもまたは精製した供給源からのものであってもよく、または両者の混合物であってもよい。本発明の組成物を乾燥ペットフードの形態で利用可能にする本発明の態様では、タウリンは乾燥分(DM)で約0.5重量%までの量で包含される。好ましい態様では、タウリン濃度はDMで約0.1-約0.4重量%の範囲である。湿りのある(缶詰の)ペットフードの場合には、タウリン濃度は乾燥分で1重量%までとすることができるが、好ましくはDMで約0.8重量%に過ぎない。好ましい態様では、タウリン濃度は、約0.2重量%-0.8重量%である。
【0059】
グルタチオン促進剤の非制限的例は、セレンおよびビタミンEである。好ましい態様では、セレンはアメリカン・フィード・コントロール・オフィシャルス(AAFCO)の最小量の約2-3倍の量で含まれる。例えば、DM基準で食餌1kg当たり約0.3mgのセレンがあってもよい。ビタミンE濃度は、AAFCO最小量の約20倍までであることができ、例えば現在はDM基準で約600IUまでであることができる。これらの薬剤は天然物であってもまたは精製した供給源からのものであってもよく、または両者の混合物からなってもよい。
【0060】
一態様では、肝機能促進剤は、摂取後に内在性グルタチオンを増加することができる栄養物である。
【0061】
肝機能促進剤は、食用乳化剤であることもある。好ましい例はレシチンであり、これは大豆、ヒマワリ油、麦芽、卵、アボカドおよびそれらの組合せから得ることができる。好ましい態様では、この組合せは、ペットフード形態で投与するときにはDM基準でレシチンを約1重量%まで含み、またはDM基準で測定するときには、食事中にレシチンを約1%まで供給する。
【0062】
肝機能促進剤がビタミンである場合には、これは、例えば酵母のような天然供給源、または精製供給源、またはそれらの組合せから得ることができる。好ましい態様では、本発明の組成物は、選択されたビタミンをAAFCOによって時々設定された最小濃度を約2-5倍だけ超過するのに十分な量で含んでなる(換言すれば、AAFCO最小量の200-500%)。
【0063】
同様に、肝機能の促進に用いられるミネラルは、天然物または精製した供給源およびそれらの混合物から得ることができる。好ましい態様では、本発明の組成物は、選択されたミネラルをアメリカン・フィード・コントロール・オフィシャルス(AAFCO)によって時々設定される最小濃度を約3−5倍だけ超過するのに十分な量で含んでなる(換言すれば、AAFCO最小濃度の約300%-500%)。
【0064】
有利には、肝機能促進剤は、所定の投薬計画に準じて投与するときに、ペットに有効量の食用組成物で投与され、下記の利益の少なくとも1つを得るように含まれる。
【0065】
本発明の腸粘膜機能促進剤としては、一態様では、リポタンパク質の形成を補助するホエータンパク質またはプロテーゼのような脂肪輸送助剤またはキャリヤーが挙げられる。適当なプロテーゼの一例は、パパインである。食餌または食餌組成物は、好ましくはDM基準でパパインを約0.1重量%-1重量%含んでなることができる。ホエータンパク質がリポタンパク質形成促進剤として含まれるときには、DM基準で食餌の約2重量%-10重量%、好ましくは5重量%-7重量%の濃度で含まれるのが好ましい。
【0066】
しかしながら、腸粘膜機能促進剤は、代わりにまたは更に抗炎症薬を含むことがある。これらの適当な例は、ω-3-脂肪酸、ラクトフェリン、プレバイオティック、プロバイオティック微生物、または特に吸収を改良する目的で選択されたプロフィールを有する脂肪酸である。例えば、適当な吸収増進プロフィールを有する脂肪酸グループは、ポリ不飽和化合物である。好ましい態様では、これらは、DM基準で食餌の約2重量%-25重量%、好ましくは約7重量%-19重量%で食餌に含まれる。好ましくは、それらは、魚油から誘導される。
【0067】
有利には、腸粘膜機能促進剤は、所定の投薬計画に準じて投与するときに、ペットに有効量の食用組成物で投与され、下記の利益の少なくとも1つを得るように含まれる。
【0068】
腸粘膜機能促進剤がω-3油を含んでなる場合には、これは、DM基準で約1重量%-20重量%、好ましくは3重量%-16重量%で食餌に含まれる。食餌または組成物がラクトフェリンを含んでなる場合には、これは、好ましくは1日当たり約100mg-200mg含まれる。チコリーの場合には、好ましい態様では、これは乾燥分で食餌または食餌組成物約0.5重量%-2重量%を含んでなる。プレバイオティック、例えばイヌリンおよび/またはオリゴ糖は、好ましくはDMで食餌を約0.1重量%-1重量%含む。プロバイオティックを含むときには、好ましくは、食餌中で少なくとも約105CFUの数値濃度である。
【0069】
本発明の方法による組成物の給餌をペットで行うことができることの利益は、腸機能、外観、老化または更に一般的には健康の側面に関係することがある。腸機能に関する利益としては、
栄養およびエネルギー消化性の増加、
小腸における細菌の過剰増殖(「SIBO」)の減少で明らかなように腸微生物叢の改良、
糞の柔らかさの改良および不快臭が少ないこと、
糞の容積が最適であること、
膨満感の減少、
腸の解毒の改良、および
食物通過時間の規則性の向上
が挙げられる。
【0070】
外観に関連した利益としては、
体調および筋の弾力性の改良、
脂肪酸やビタミンのような必要な栄養のバイオアベイラビリティーを改良することによってもたらされる皮膚および皮の状態の改良、
年齢より若く見せることによる老齢ペットの全般的外観の改良
が挙げられる。
【0071】
老化に関連した利益としては、
老化の徴候の開始が遅くなること、
老化の影響の減少または改善、
老化ペットでの消化系の機能回復、および
寿命の増加
が挙げられる。
【0072】
老化の徴候は、例えば皮が灰色になるといった外観に関するもの、または活動レベルが低くなるといった活動に関するものがある。老化の影響は、見かけ上の関節の動きが鈍くなるといった運動に関するもの、または消化に関連したもの、または感覚能力などの減少であることがある。
【0073】
所有者の交流の利益としては、
身体的活動の改良、
陽気さのレベルの向上、
警戒態勢、知的能力および認識能力の向上、および
ペットの活動および陽気さが増すことによるペット所有者の交流および結びつきの向上
が挙げられる。
【0074】
本発明によって提供される更に一般的な健康上の利益としては、
水ターンオーバーの改良、
栄養および全般的健康状態の改良、
ビタミンE吸収の増加による酸化防止剤状態の改良、
窒素バランスの改良、
総ての脂溶性栄養分、例えば脂肪酸、ビタミンA、D、EおよびKの吸収の改良、
タンパク質分解の減少による腎過負荷の減少、および
脂肪または酸化防止剤の吸収の改良に直接または間接的に関連する機能の改良
が挙げられる。
【0075】
従って、本発明は、ペットでのビタミンE欠損症の影響を減少させる方法も提供する。この方法の段階は、脂質を効率的に消化するペットの能力を維持し、促進しまたは増進する成分を有効量で含んでなる食餌をペットに投与することを含むことがある。この成分は、上記および膵臓機能促進剤、肝機能促進剤および腸粘膜機能促進剤の一般的範疇に属するものから選択することができる。
【0076】
必須栄養のキャリヤーである脂質または脂質画分を吸収するペット動物の能力を改良することによって、ビタミンE並びに他の必須栄養を吸収する動物の能力も改良される。このような必須栄養は、典型的にはビタミンA、DまたはKのようなビタミン、およびアラキドン酸(ARA)である。これらの栄養分、例えばビタミンEの吸収効率を向上させることによって、その血清濃度を維持しおよび/または改良することができる。図1に、百分率(%)で表した消化率と血清ビタミンE(μg/ml)との間に存在することが見出されている関係を示す。
【0077】
消化率増進成分または薬剤を、ペット動物での最適脂質吸収に関連した利益を提供するために、または脂質吸収が不良で且つ消化率が低いことに関連した症状を予防するため、食餌組成物または補給栄養または医薬組成物の製造方法で用いることができる。このような方法を、以下の段落で更に説明する。
【0078】
脂質同化または消化促進成分は、単独または成分の組み合わせまたは相乗成分の系のいずれで提供されても、多数の様々な形態のいずれかでこれを必要とするペット動物に投与することができる。例えば、これは、インスタント粉餌の一部としてまたは御馳走の一部として投与することができる。ペットフード用粉餌として供給される場合には、本発明のペットフードは適当な方法を用いて湿りのあるまたは乾燥懈怠で製造することができる。これらは、通常の粉餌の他に投与される御馳走として、または粉餌またはスナックまたは御馳走と共に投与することができる食事用補給栄養または補足物として提供することもできる。成分または複数の成分を医薬形態で投与し、この成分は薬学上許容可能なキャリヤーに含まれているようにすることもできる。このような形態としては、錠剤、カプセル、シロップ、飲料およびゲルなどが挙げられ、この中で成分は使用時期まで適当に保管される。
【0079】
非制限的例において、成分が湿った形態でのペットフードの形態で提供される場合には、それをエマルジョンゲルとしてまたは流動性グレービーまたはゲル中の固形断片として送達することができる。
【0080】
従って、熱によってゲル化したエマルジョンであって、冷却すると硬化するものを製造するために、適当な肉材料を粉砕して肉バターを生成する。適当なゲル化剤、例えば澱粉、およびκ−カラゲナン、イナゴマメガム、グーアガム、およびキサンタンガムのようなガムを、肉バターに加えることができる。通常は、たった約1重量%に過ぎないガムが必要である。
【0081】
水を肉バターに加えて、水分約70重量%-約85重量%を供給することもできる。十分水分が肉材料に存在するときには、水を加える必要がない。
【0082】
次に、肉バターを混合物の熱ゲル化を開始するのに適した温度、例えばミキサー−加熱調理器で約40℃-約65℃の温度まで加熱する。所望ならば、水蒸気を肉バターに注入することができる。加熱した肉バターは、所望ならば、乳化することができる。次に、肉バターを、必要となるまで約40℃-約65℃の温度に維持する。滅菌して室温まで冷却した後、肉バターは、実質的に固形物であるかまたは少なくともその形態を保持する熱的にゲル化したエマルジョンを形成する。
【0083】
グレービーまたはゲル中で固形食物細片を生成するため、肉または他の材料または両方の固形細片をグレービーと混合することができる。米粒、パスタまたはヌードル、野菜細片などのような他の材料の固形細片を用いることもできる。
【0084】
固形食物細片は、熱によりゲル化したマトリックスの細片の形態であることができる。熱によりゲル化したマトリックスの細片は、任意の適当な処置、例えば米国特許第4,781,939号明細書、第5,132,137号明細書および第5,567,466号明細書、およびPCT出願WO 97/02760号明細書のいずれかに記載の処置によって製造することができる。
【0085】
熱によってゲル化したマトリックスは、細片または塊を作るためのエマルジョンミルまたは押出機のような適当な装置で形成させることができる。押出機を用いるときには、エマルジョンをオリフィス中に押し込み、所望な形状、例えば卵形、正方形または長方形の断面を有するエマルジョンを提供することができる。次に、押出成型物を、適当な連続加熱装置、例えばトンネルオーブン中で高温空気、水蒸気、高温空気と水蒸気の混合物、またはマイクロ波を加熱媒体として用いて加熱することができる。押出成型物のコア温度を上昇させて、押出成型物が熱的にゲル化するようにする。例えば、コア温度は、少なくとも約80℃、例えば85℃-95℃に上昇させることができる。次に、ゲル化した押出成型物を切断して細片とし、細片を冷却して熱によってゲル化したマトリックスの細片を提供することができる。細片は、所望ならば、フレーキングを行うことができる。冷却は、細片に水を噴霧することによって行うことができる。あるいは、他の冷却媒体を用いることもできる。
【0086】
グレービーを固形状の食物細片と共に用いるときには、これは、水、1以上の澱粉またはガム、および適当なフレーバー剤から製造することができる。グレービーは、好ましくは固形状細片およびグレービーの混合物の約20重量%−約80重量%を含む。適当なガムは、κ-カラゲナン、イナゴマメガム、グーアガムおよび キサンタンガムである。
【0087】
ゲルを固形状食物細片と共に用いるときには、これは、適当なゲル化剤、水および適当なフレーバー剤から製造することができる。ゲルは、好ましくは固形状細片とグレービーの混合物の約20重量%-約80重量%である。適当なゲル化剤は、ゼラチンのようなタンパク質、アルギン酸塩、κ−カラゲナン、イナゴマメガム、グーアガムおよびキサンタンガムなどのようなガムである。ゲルまたはアスピックは、常法通りに調製することができる。
【0088】
上記の方法の組合せを用いることもできる。例えば、熱によってゲル化したエマルジョンは、上記の方法で調製することができる。次に、熱的にゲル化したマトリックスの細片、肉細片、野菜細片、これらの細片の組合せなどでよい固形状食物細片を、熱的にゲル化したエマルジョンと組み合わせる。もう一つの代替法として、熱的にゲル化したエマルジョンと固形状食物細片をグレービーまたはゲル中で組み合わせたものを用いることができる。適当な組合せは、WO 98/05218号明細書およびWO 98/05219号明細書に記載されており、それらの開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0089】
次に、ペットフードを、缶または他の容器に充填し、容器を密閉し、生成物を通常の方法で滅菌する。適当な装置は、商業的に利用可能である。
【0090】
乾燥ペットフードを製造するための適当な方法は、様々な成分の食餌混合物を加熱し、加熱混合物をペレットに成形し、乾燥した後、ペレットをフレーバーでコーティングすることを含む。加熱および成形段階は、好ましくは当該技術分野で周知の通りに、押出機を用いて行う。しかしながら、ペレットは、選択した成分を、好ましくは栄養的にバランスのとれた比率で含んでなる前成形した食物体の加熱調理のような他の加熱処置によって製造することができる。
【0091】
どのような方法を用いても、脂質同化促進成分を、適当な段階で加えることができる。どちらの段階に決定しても、成分の性質によって変化することがある。これは、主成分に加えた後に、加熱調理、加熱または押出段階を行うことができ、または熱感受性成分の場合には、細片が湿っているかまたは乾燥しているかに関わらず、細片が既に生成した後に添加することができる。成分を食物体に吸収させ、その中に含ませ、または注入し、またはコーティングして、大半が表面上に留まるようにすることができる。これは、ゲル化または押出した塊を伴うことがあるグレービーに包含させることができ、または補給栄養粉餌として提供することができる。
【0092】
一般的には、粗挽き穀物形成段階後の機能的成分の応用は、押出、乾燥および冷却工程段階の後に行われる。ペットフード粗挽き穀物は、例えばコーティングドラムを備えるコーティングステーションにはいる。ここでは、1または数個のコーティング系を液体および/または粉末形態で適用して、生理学的および法律上の要件に対する栄養プロフィールを必要なビタミン、脂肪、ミネラルおよび微量元素のような成分を包含させまたは添加することによって、生成物の嗜好性を高め且つ生成物コスメティックスを改良する。
【0093】
有利な効果を得るためにペットが消費するペットフードの量は、ペットの大きさ、ペットの種類、活動レベル、およびペットの年齢のような因子によって変化する。しかしながら、乾燥分でのペットの体重当たりの約10g/kg-25g/kgの1日量を提供するための栄養組成物の量を投与すべきである。好ましくは、この量は、食餌中のDM基準で体重当たり12.5g/kg-20g/kgの範囲であるべきである。
【0094】
従って、次に、成分の適当な量を、ペットの食餌要件に準じて食餌または御馳走に包含させることができる。この成分を、基礎処方物と混合した後、加工し、またはグレービーまたは他のキャリヤーに混合し、食物または御馳走と包含させまたはこれに加える。
【0095】
上記で提供したようなペットフード組成物を提供することによって、これを老齢ペットの世話をする者または所有者にとって利用できるようにし且つ組成物をこれらのペットに定期的に給餌することによって、ペットの実質的同化不良を示す症状が少なくとも一時的にでも緩和することができるという予想に注目することによって、ペットの世話をする者はペットにこの組成物を定期的に投与することに自信を得ることになると思われる。世話をする者を組成物の利益に注目させる適当な方法は、食物組成物の包装に注目させることによるか、またはそれを別途宣伝することによる。
【0096】
多くの変更を、本発明の範囲から離反することなく上記の態様に行うことができる。例えば、本発明の生成物の試験を更に例示のために記載するが、制限のためではない。
【実施例】
【0097】
一連の消化率試験を用いて、コントロール用の猫食餌に加えるときに、多数の可能性の中のどの栄養的介入が低脂肪消化率(すなわち、80%を下回る)について予め選択した猫の脂肪消化率を改良することができるかを検討する。
【0098】
下記のような材料および方法を用いて、猫の群について脂質消化率を評価する。
総ての参加する猫は成熟しており、健康良好であり、妊娠していない。
それぞれの試験食餌は、猫にとって唯一の栄養の供給源である。
猫は、水をいつでも摂ることができる。
それぞれの猫の体重を記録した後、試験を開始する。
それぞれの猫に、その代謝可能なエネルギー要件を満たすのに必要な量の食物を供給する。
猫に同一のコントロール食餌を投与して、糞を5日間予備採取する。
それぞれの猫の体重を6日目に記録する。
糞の収集を6日目から15日まで行う。この期間に消費した食物を、記録する。
6日目に、食餌に、マーカーとしての赤色酸化鉄を缶詰食餌については1.0g/kgおよび乾燥食餌については2.5g/kgの濃度で投与する。
赤色に着色した糞を、最初に収集する。赤色に着色した糞が最初に出現する前の6および7日目の未着色の(通常の色の)糞は、廃棄する。総ての赤色に着色した糞を収集し、最初の赤色の糞を観察した後の総ての未着色の糞は飛ばす。
それぞれの猫について収集した糞を、-20℃で冷凍保存する。
15日目の朝に、赤色酸化鉄を再度 (6日目と同様に) 食餌に加えて今回は試験灸治期間の終了を示し、それぞれの猫の体重を記録する。赤色のマーカーが再度出現するまで、糞の収集を継続する。
食餌の2試料およびそれぞれの個々の猫の糞試料を凍結乾燥し、タンパク質、脂肪、乾燥分、および灰分の分析のために送る。
【0099】
商業的ペットフード製品への脂肪吸収を改良する栄養介入の実施を示す例を記載する。
【0100】
実施例1
缶詰食餌を用いる試験
この実施例では、試験に参加する猫に、約9%脂肪、2.2%灰分、8.4%タンパク質、および76%水分の組成を有するエマルジョン肉食餌を投与する。これを、食餌Aと呼ぶ。
【0101】
Bと呼ばれるもう一つの食餌は、下記の追加成分を含むことを除き、同様の処方から構成されている。
膵臓機能促進剤: 0.1%酸性化剤(クエン酸)
肝機能促進剤: 湿った猫用食餌については約4 x AAFCO最小タウリン濃度(乾燥分で0.8重量%)
腸粘膜機能促進剤: 魚油(3%)。
【0102】
低脂肪消化率(すなわち、80%未満)の20匹の猫の群に、2つの消化率試験のクロスオーバーデザインで食餌AおよびBを両方とも投与する。15日間の消化率試験であって、最初の5日間は適合期間であり且つ残りの10日間が糞収集期間としての期間、それぞれの食餌を投与する。食餌Bを投与したときには、食餌Aを投与したときと比較して、猫は有意に高い消化率の脂肪を消化することが分かる。結果として、総エネルギー消化率および有機物消化率は、食餌Bで改良される。猫は、食餌Aよりもそのエネルギー要件を満たすのにより少量の食餌Bを必要とすることが分かる。総体的に、食餌Bを投与したときには、食餌Aを投与したときと比較して、猫はその体重を一層良好に維持していると思われる。
【0103】
実施例2
乾燥食餌を用いる試験
この実施例では、組成が約31%のタンパク質、15%の脂肪、4.5%の繊維、12%の水分、および5%の灰分である食餌Cと呼ばれる従来の乾燥猫食餌を用いる。
【0104】
Dと呼ばれるもう一つの食餌は、下記の追加成分を含むことを除き、同様な処方から構成されていた。
膵臓機能促進剤: タウリン(0.27%)
肝機能促進剤: 大豆由来のレシチン(1%)
腸粘膜機能促進剤: チコリー(1%)。
【0105】
この試験では、既知の低脂肪消化率(すなわち、80%未満)の20匹の猫の群に、2つの消化率試験のクロスオーバーデザインで食餌CおよびDを投与する。15日間の消化率試験であって、最初の5日間は適合期間であり且つ残りの10日間が糞収集期間としての期間、それぞれの食餌を投与する。食餌Cと比較して、食餌Dでの猫は一層高い割合の脂質を消化することが分かる。総エネルギー消化率および有機物消化率も、食餌Cと比較して食餌Dで改良される。食餌Cの代わりに食餌Dを猫に投与したときに、糞の容積および臭気の減少が見られた。
【0106】
本願明細書に記載の現在好ましい態様の様々な変更および修正は、当業者には明らかであることを理解すべきである。このような変更および修正は、本発明の精神および範囲から離反することなく且つその目的とする利点を少なくすることなく行うことができる。従って、このような変更および修正は、特許請求の範囲に包含されると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】ペットの猫での脂質消化率と血清ビタミンE濃度の関係をグラフに表したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット動物でのビタミンEの吸収を改良しまたは維持する方法であって、ペットに脂質吸収能を促進しまたは維持しまたは改良する食用組成物を与える段階を含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
組成物が膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、および腸粘膜機能促進剤の1以上を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
膵臓機能促進剤がリパーゼ、腸pH調節剤、または膵臓抽出物を含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
腸pH調節剤が酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、プレバイオティックまたはプロバイオティック微生物の1以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
肝機能促進剤がタウリン、乳化剤、ビタミン、ミネラル、グルタチオンおよびグルタチオン促進剤、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項2-4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
肝機能促進剤が、摂取後に内在性グルタチオンを増加する栄養物である、請求項2-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
腸粘膜機能促進剤が脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーを包含する、請求項2-6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
助剤、薬剤またはキャリヤーが、ホエータンパク質、およびリポタンパク質の形成を促進する能力を有するプロテアーゼから選択される、請求項7に記載の方法
【請求項9】
腸粘膜機能促進剤が抗炎症薬、ラクトフェリン、プレバイオティックまたはプロバイオティック微生物を包含する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
抗炎症薬がω-3-脂肪酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーが腸内吸収を改良する目的で選択した脂肪酸プロフィールを有する、請求項7-10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
脂肪酸プロフィールが中鎖トリグリセリドのものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーがホエータンパク質を含んでなる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
組成物を栄養的にバランスのとれたインスタント粉餌として投与する、請求項1-13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
粉餌が乾燥したペットフード用の粗挽き穀物を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物を栄養補給粉餌として投与する、請求項1-13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
栄養補給粉餌がごちそうの形態をしている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ペット動物の血清ビタミンE濃度を維持または改良する方法であって、ペット動物に脂質吸収能を促進しまたは維持しまたは改良する食用組成物を与える段階を含んでなる、上記方法。
【請求項19】
組成物が膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、および腸粘膜機能促進剤の1以上を含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
膵臓機能促進剤がリパーゼ、腸pH調節剤、または膵臓抽出物を含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
肝機能促進剤がタウリン、乳化剤、ビタミン、無機物、グルタチオンおよびグルタチオン促進剤、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
腸粘膜機能促進剤が脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーを包含する、請求項19-21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
脂肪輸送助剤、薬剤またはキャリヤーが腸内吸収を改良する目的で選択した脂肪酸プロフィールを有する、請求項19-22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
組成物を栄養的にバランスのとれたインスタント粉餌として投与する、請求項18-23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
粉餌が乾燥したペットフード用の粗挽き穀物を含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
粉餌を毎日投与する、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
膵臓機能促進剤、肝機能促進剤、腸粘膜機能促進剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を、ペット動物の脂質吸収能を促進しまたは維持しまたは改良するのに有効な量で含む、上記ペットでのビタミンEの吸収を改良しまたは維持するのに用いる組成物。
【請求項28】
ペット動物でのビタミンEの吸収を改良しまたは維持する方法であって、組成物を栄養的にバランスのとれたインスタント粉餌として投与することを含んでなる上記方法に用いる、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
粉餌が湿りのあるペットフードである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
粉餌が乾燥したペットフードである、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
肝機能促進剤がレシチンである、請求項27-30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
レシチンが大豆、ヒマワリ油、麦芽、卵、アボカド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される供給源から得られる、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
脂肪乳化剤または脂肪乳化系から選択される薬剤、脂肪輸送剤、酸性化剤、およびそれらの組み合わせを含む食餌をペットに投与することによって、ペットの血清ビタミンE濃度を増加する段階を含んでなる、ペットの外観を改良する方法。
【請求項34】
脂肪輸送剤がホエータンパク質を含んでなる、請求項33に記載の方法。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−82142(P2009−82142A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313520(P2008−313520)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【分割の表示】特願2003−581601(P2003−581601)の分割
【原出願日】平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】