説明

ペット用食品及びその製造方法

【課題】本発明は、ペットの健康増進と糞の悪臭防止を的確に図ることができるペット用食品を提供する。
【解決手段】本発明のペット用食品は、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれる素材を微粉末としたペット嗜好適合品の素材1と、バチルス属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、サッカロミセス属及びカンディダ属に属する土壌細菌、硝化菌及び硫黄細菌を含みこれらをカルシウム含有基材に吸着発酵させた複合微生物製剤3とを含み、前記微粉末を気流式粉砕加工機2を用いた粉砕加工により20μm程度の大きさとしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用食品及びその製造方法に関し、詳しくは犬、猫等のペット用として好適なペット用食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から犬猫等のペットや牛馬等の家畜の発育促進、下痢の予防・治療を目的として土壌微生物入りの飼料が給与されている。一方、特にペットの飼育に関しては、宅内飼育が増加し、これに伴いペットの健康維持と糞の悪臭防止が大きな問題となる。
【0003】
例えば特許文献1には、ペットの糞の脱臭を目的として、鉄塩を食餌に混入し、ペットの排泄物の中和を図るようにしたペットフードが開示されている。この他、多種の商品が市販されているが、これらの効果や安全性についての評価は定まっていないのが実情である。
【特許文献1】特開平11−266794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、特にペットの食欲増進、健康増進と、糞の悪臭防止を的確に図ることができるペット用食品が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のペット用食品は、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれる素材を微粉末としたペット嗜好適合品と、バチルス属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、サッカロミセス属及びカンディダ属に属する土壌細菌、硝化菌及び硫黄細菌を含みこれらをカルシウム含有基材に吸着発酵させた複合微生物製剤とを含むことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等のペット嗜好適合品の素材を粉砕して微粉末状とし、土壌細菌を含む複合微生物製剤と混合したものであるから、素材自体の香りが強調されることになり、ペットに対して適量供与するすることで、複合微生物製剤による胃腸、肝機能の働きの健全化、糞の脱臭作用、前記素材の香りによる食欲増進作用が発揮され、全体としてペットの健康増進、食欲増進を図り、糞の臭気低減による環境良化を図ることができるペット用食品を提供できる。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等のペット嗜好適合品の素材を粉砕して微粉末状としたものであるから、素材自体の香りが強調されることになり、ペットに対して適量供与するすることで、ペットの食欲増進を図ることができる。
【0008】
請求項3記載の発明によれば、前記ペット嗜好適合品の微粉末は、気流式粉砕加工機を用いた粉砕加工により20μm程度の微粉末状に加工したものであることから、素材の変質を招くことなくその香りを維持しペットの食欲増進を図ることができるペット用食品を提供できる。
【0009】
請求項4記載の発明によれば、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等のペット嗜好適合品の素材を粉砕して微粉末状とし、土壌細菌を含む複合微生物製剤と混合してペット用食品とするものであるから、簡略な工程にてペットの健康増進、食欲増進、糞の臭気低減による環境良化を図ることができるという作用、効果を発揮させることができるペット用食品の製造方法を提供することができる。
【0010】
請求項5記載の発明によれば、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等のペット嗜好適合品の素材を粉砕して微粉末状のペット用食品を製造するものであるから、ペットの健康増進を図れるペット用食品の製造方法を提供することができる。
【0011】
請求項6記載の発明によれば、前記ペット嗜好適合品の素材を、気流式粉砕加工機を用いた粉砕加工により20μm程度の微粉末状に加工するものであることから、素材の変質を招くことなくその香りを維持しペットの食欲増進を図ることができるペット用食品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、ペットの健康増進と糞の悪臭防止を的確に図るという目的を、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれる素材を微粉末としたペット嗜好適合品と、バチルス属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、サッカロミセス属及びカンディダ属に属する土壌細菌、硝化菌及び硫黄細菌を含みこれらをカルシウム含有基材に吸着発酵させた複合微生物製剤とを含み、前記微粉末を気流式粉砕加工機を用いた粉砕加工により20μm程度とした構成により実現した。
【実施例】
【0013】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例1のペット用食品5におけるペット嗜好適合品は以下のようにして調製した。すなわち、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等のから選ばれるペット嗜好適合品の素材1を、例えば図1に示すように気流式ジェットミル等の気流式粉砕加工機2を使用して20μm程度の微粉末状に調整した。
この場合、微粉末の大きさは、ペット嗜好適合品の種類に応じて20μm程度に限らず20μmより大きい又は20μmより小さい適正な大きさとすることができる。また、気流式粉砕加工によれば脂分の高い素材1の粉砕加工も容易であり、粉砕時に発熱を伴うことが無いため、素材1の材質変化を防ぎ、素材1が有する香りが維持される。
【0014】
本実施例1の複合微生物製剤3は以下のようにして調製した。すなわち、複合微生物製剤3の構成微生物はそれぞれ西日本及び北日本地域の褐色森林土壌から単離した。
単離方法は前述の分離培地を用いて以下の方法によって行った。すなわち、バチルス属菌はPEES培地(栄研化学(株)製)を用いて、ラクトバチルス属菌はLBS選択寒天培地(Becton Dickinson Co., Ltd.(BBL)製、米国)及びTOS寒天培地(前述)を用いて、ストレプトコッカス属菌はKFストレプトコッカス寒天培地(前述)を用いて、クロストリジウム属菌はNNクロストリジウム選択寒天培地を用いて、酵母(サッカロミセス属菌及びカンディダ属菌)はポテトデキストロース(PD)寒天培地(前述)を用いて単離した。
【0015】
培養条件は、ストレプトコッカス属細菌、バチルス属細菌、ラクトバチルス属細菌及びサッカロミセス属菌(酵母)、カンディダ属菌は好気的条件下で、クロストリジウム属細菌は嫌気的条件下で、37℃で培養を行った。また、ニトロソモナス属菌及びニトロソバクター属菌は前述の硝化細菌選択分離培地を用いて、好気条件下37℃で培養し単離した。また、硫黄細菌は前述のDSM120変法培地を用いて嫌気条件下40〜45℃で培養し単離した。
【0016】
それぞれ分離培養後、ミニテック細菌同定システム(Becton Dickinson Co., Ltd.(BBL)製、米国)、バージェイズ・マニュアル・オブ・デターミネイティブ・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bactriology)第8版、駒形和男編:微生物分類実験法、学会出版センター刊(1982年)及び中野益男:化学と生物、第18巻、第15〜24頁、学会出版センター発行(1980年)に記載の細胞膜化学構造による化学分類法及び顕微鏡観察により同定した。
【0017】
その結果、以下の細菌を分離同定した。すなわち、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ナットー(bacillus natto)、バチルス・メガテリウム(bacillus megaterium)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、サッカロミセス・セレビシイ(Saccharomyces cerevisiae)、カンディダ・ユティリス(Candida utilis)、ニトロソモナス・オイロパエ(Nitrosomonas europaea),ニトロバクター・ウイノグラディスキー(Nitorobacter winogradskyi)、スルフォロバス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)を同定した。
【0018】
同定した構成微生物のコロニーを分離しそれぞれ液体純粋培養した。ストレプトコッカス属細菌、バチルス属細菌、ラクトバチルス属細菌、サッカロミセス属菌及びカンディダ属菌は好気的条件下で、クロストリジウム属細菌は嫌気的条件下で前述のニュートリエントブロス(Nutrient broth)培地とDSM1ブロス(DSM1 broth)培地を用いて、37℃で対数増殖期まで培養を行った。
また、硝化菌(ニトロソモナス属細菌、ニトロバクター属細菌)は前述の硝化菌培養培地を用いて好気条件下37℃で12〜24時間培養した。硫黄細菌は前述のDSM120変法培地を用いて嫌気条件下40〜45℃で4〜6週間培養した。得られた各微生物の純粋培養物から連続遠心によりそれぞれ集菌した後、リン酸緩衝液で洗浄し凍結乾燥した。
【0019】
次に、凍結乾燥した各菌体5mgを前述のミネラル水1mlにそれぞれ懸濁したものを殺菌した100メッシュの米ヌカ粉体1kgに接種し、これに前述の酵素液2重量%、廃糖蜜5重量%、ミネラル水30重量%を加え、38℃で48時間好気条件下で静置発酵した。
発酵温度が65℃まで上昇した後攪拌し、以後24時間毎に攪拌して5日間培養し、硝化菌と硫黄細菌を含む上記17種の細菌からなる複合微生物の元菌(識別番号:EG)を得た(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託拒否により自己寄託)。
この元菌1kgに対しカルシウム含有基材として貝化石70重量%及び米ヌカ30重量%を含む基材60kgを混合し、前述の酵素液2重量%、廃糖蜜5重量%、ミネラル水30重量%を加え、38℃で24時間静置発酵させる。発酵終了後攪拌し、12時間更に発酵させ、発酵温度が60℃に上昇してから水分12%以下に低温冷風乾燥して本実施例1の複合微生物製剤3を得た。
【0020】
次に、前記ペット嗜好適合品の素材1の微粉末と、複合微生物製剤3とを図1に示すように混合機4にて混合し、本実施例1のペット用食品5を得た。ペット用食品5としては、微粉末状の他、図示しない錠剤加工機にて加工し、錠剤の形態とすることも可能である。
【0021】
このようにして得られた本実施例1のペット用食品5によれば、鰹節、乾燥肉、乾燥魚等のペット嗜好適合品の素材1を気流式粉砕加工機2で粉砕して20μm程度の微粉末状としたものと、土壌細菌を含む製剤と混合したものであるから、ペット用食品5の素材1自体の香りが強調されることになり、ペットに対して適量給与することで、複合微生物製剤3の胃腸、肝機能の働きの健全化、糞の脱臭作用が発揮され、ペット用食品5の香りによる食欲増進作用も発揮され、全体としてペットの健康増進、食欲増進を図り、糞の臭気低減による宅内等の環境良化を図ることができる。
【0022】
また、本実施例1のペット用食品5は、ペットの飼料に対するサプリメント(栄養食品補助剤)として給与することもでき、この場合にも製剤の胃腸、肝機能の働きの健全化、糞の脱臭作用が発揮され、ペット用食品5の香りによる食欲増進作用も発揮され、全体としてペットの健康増進、食欲増進を図り、糞の臭気低減による宅内等の環境良化を図ることができる。
【0023】
更に、本実施例1によれば、素材1の粉砕加工、混合機4による複合微生物製剤3との混合という簡略な工程にて、上記作用、効果を奏するペット用食品5を得ることができる製造方法を提供できる。
【0024】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
本実施例2のペット用食品5Aは以下のようにして調製した。すなわち、図2に示すように鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれるペット嗜好適合品の素材1を、実施例1の場合と同様、例えば気流式ジェットミル等の気流式粉砕加工機2を使用して20μm程度の微粉末状に調整しペット用食品5Aとした。
【0025】
この場合、微粉末の大きさは、ペット嗜好適合品の種類に応じて20μm程度に限らず20μmより大きい又は20μmより小さい適正な大きさとすることができる。また、気流式粉砕加工によれば脂分の高い素材1の粉砕加工も容易であり、粉砕時に発熱を伴うことが無いため、素材1の材質変化を防ぎ、素材1が有する香りが維持される。
【0026】
本実施例2のペット用食品5Aは、前記複合微生物製剤3と併用してペットに適量給与することで、やはりペット用食品5の香りによるペットの食欲増進作用が発揮され、複合微生物製剤3の作用効果と相俟って全体としてペットの健康増進、食欲増進を図り、糞の臭気低減による宅内等の環境良化を図ることができる。
また、本実施例2のペット用食品5Aは、ペットの飼料に対するサプリメント(栄養食品補助剤)として給与することもでき、この場合もペットの食欲増進作用を発揮させることができる。
【0027】
本実施例2のペット用食品5Aの製造方法によれば、素材1の粉砕加工という簡略な工程にて上述した作用、効果を奏するペット用食品5Aを得ることができる製造方法を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、主にペット用食品として説明したが、鶏、豚、牛、馬等の家畜に給与する家畜用食品及びその製造方法としても幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のペット用食品の製造工程図である。
【図2】本発明の実施例2のペット用食品の製造工程図である。
【符号の説明】
【0030】
1 素材
2 気流式粉砕加工機
3 複合微生物製剤
4 混合機
5 ペット用食品
5A ペット用食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれる素材を微粉末としたペット嗜好適合品と、
バチルス属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、サッカロミセス属及びカンディダ属に属する土壌細菌、硝化菌及び硫黄細菌を含みこれらをカルシウム含有基材に吸着発酵させた複合微生物製剤と、
を含むことを特徴とするペット用食品。
【請求項2】
鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれるペット嗜好適合品の素材を微粉末としたことを特徴とするペット用食品。
【請求項3】
前記ペット嗜好適合品の微粉末は、気流式粉砕加工機を用いた粉砕加工により20μm程度の粉末状に加工したものである請求項1又は2記載のペット用食品。
【請求項4】
鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれるペット嗜好適合品の素材を微粉末加工する工程と、
バチルス属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、サッカロミセス属及びカンディダ属に属する土壌細菌、硝化菌及び硫黄細菌を含みこれらをカルシウム含有基材に吸着発酵させ複合微生物製剤とする工程と
前記ペット嗜好適合品の微粉末と前記複合微生物製剤とを混合する工程と、
を含むことを特徴とするペット用食品の製造方法。
【請求項5】
鰹節、乾燥肉、乾燥魚等から選ばれるペット嗜好適合品の素材を微粉末加工する工程を含むことを特徴とするペット用食品の製造方法。
【請求項6】
前記ペット嗜好適合品の微粉末加工は、気流式粉砕加工機を用いた粉砕加工により20μm程度の粉末状にするものである請求項4又は5記載のペット用食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−20581(P2006−20581A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202189(P2004−202189)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504264562)株式会社シーダム (1)
【Fターム(参考)】