説明

ペルフェナジン−GABAのトリメシラート塩の結晶性形態物及びその製法方法

ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの新規の結晶性形態物、及びその製造方法が開示される。新規の結晶形態は、特有のXRPDパターン及び比較的高温(例えば209℃以上)において吸熱ピークを示すDSCによって特徴付けられる。単一工程の合成において、その場での脱保護及び塩化によりペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製する方法、及びそれによって得られる高純度のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートも開示される。記載されたペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの使用も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2010年2月24日に出願した米国仮特許出願第61/307481号及び米国仮特許出願第61/307482号(それらの出願はともに参照として本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、医薬活性薬剤の新規な結晶性形態物に関連し、より具体的には、しかし、限定ではなく、向精神性薬物および有機酸からなる化学的コンジュゲートの新規な結晶性形態物、その製造方法、ならびに、CNS疾患およびCNS障害の処置におけるその使用に関連する。
【背景技術】
【0003】
向精神性薬物と、有機酸との一連のコンンジュゲート、ならびに、精神作用性および/または増殖性の疾患および障害を処置することにおけるそれらの使用が、国際公開WO03/026563および同WO2005/092392として公開された国際特許出願、ならびに、米国特許第7544681号に詳しく記載される(これらはすべて、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって組み込まれる)。これらのコンジュゲートは、それらのそれぞれのコンジュゲート化されていない向精神性薬物よりも大きい治療効力を発揮することができ、かつ/あるいは、それらのそれぞれのコンジュゲート化されていない向精神性薬物よりも少ない副作用および/または重篤でない副作用を生じさせることができる。開示されたコンジュゲートの中には、γ−アミノ酪酸(GABA)に共有結合により連結されるペルフェナジンを含むコンジュゲートが含まれる。
【0004】
有機酸が遊離アミノ基を有するそのようなコンジュゲート(例えば、GABAおよび他のGABAアゴニストなど)の酸付加塩が国際公開WO2006/131923に開示されている。開示された塩の中には、N−保護されたペルフェナジン−GABAコンジュゲートの溶液をメタンスルホン酸と反応させて、メシラート塩をろ過で得ることによって調製されるペルフェナジン−GABAコンジュゲートのメシラート付加塩(これはHPLC測定により約98%の純度を有する)が含まれる。
【0005】
多形体および擬多形体を含める結晶性形態物は、同じ構造式を共に有するが、異なる物理的性質を、結晶の単位格子における分子の立体配置および/または配向が異なるために有する別個の固体である。結晶形が異なる結晶性形態物の物理的特性(例えば、溶解性および安定性など)は異なることが多く、したがって、薬理学の分野ではことのほか関係する。
【0006】
結晶性形態物(すなわち、多形体および擬多形体)および結晶性形態物の薬学適用の一般的な総説については、Wall、Pharm.Manuf.、1986、3、33;Haleblian他、J.Pharm.Sci.、1969、58、911;および、Haleblian、J.Pharm.Sci.、1975、64、1269を参照のこと。
【0007】
医薬品として有用な化合物の、結晶形が異なる結晶性形態物は、医薬用製造物の性能特性を改善する可能性を提供する。結晶形が異なる結晶性形態物により、例えば、所望される放出プロフィル、溶解性特性または他の所望される特性を有する薬物の医薬用投薬形態物を設計するために利用可能な、製剤科学者が有する材料のレパートリーが広がる。有用な既知化合物の新しい結晶性形態物が有益であることが広く知られている。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは今回、ペルフェナジン−GABAコンジュゲート(4−アミノ−酪酸2−{4−[3−2−クロロ−フェノチアジン−10−イルプロピル]−ピペラジン−1−イル}−エチルエステル)のトリメシラート塩を調製するために使用される反応条件に依存して、この塩の様々な結晶性形態物が得られることを発見している。したがって、本発明者らは、他の条件のもとで調製されるトリメシラート塩と比較して、優れた物理化学的性能(例えば、より大きい安定性、低下した吸湿性)を示す、ペルフェナジン−GABAコンジュゲートのトリメシラート塩の結晶性形態物を調製する方法を設計している。本発明者らはさらに、この発見された非常に安定な結晶性形態物を特徴づけている。
【0009】
したがって、本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、下記のうちの少なくとも1つにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される:
(a)図2の1つまたは複数に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターン;および
(b)吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)走査。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記吸熱ピークは約214℃に存在する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、図2に示されるピークの少なくとも6つ、あるいは、図3A〜図3Iの1つまたは複数を示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、図2に示されるピークの少なくとも7つ、あるいは、図3A〜図3Iの1つまたは複数を示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、図2に示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、図3A〜図3Iに示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物が提供される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、図2に示されるピークの少なくとも6つまたは少なくとも7つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0である群から選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2である群から選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0である群から選択される、図2に示されるピークの少なくとも6つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2である群から選択される、図2に示されるピークの少なくとも6つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0である群から選択される、図2に示されるピークの少なくとも7つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0022】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2である群から選択される、図2に示されるピークの少なくとも7つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、図2に示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、図3A〜図3Iに示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物が提供される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、吸熱ピークを約209℃以上において(例えば、約214℃において)示す示差走査熱量測定法(DSC)より特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物が提供される。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、HPLC面積百分率測定によって決定される場合、約95%を超える純度を有する。他の実施形態において、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物の純度は、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超または約99.5%超である(ただし、それらの間のすべての範囲および部分範囲を含む)。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、平均粒子サイズが100ミクロン未満である(例えば、約95ミクロン未満、約90ミクロン未満、約85ミクロン未満、約80ミクロン未満、約75ミクロン未満、約70ミクロン未満、約65ミクロン未満、約60ミクロン未満、約55ミクロン未満、約50ミクロン未満、約45ミクロン未満、約40ミクロン未満、約35ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約20ミクロン未満、約15ミクロン未満または約10ミクロン未満、ただし、それらの間のすべての範囲および部分範囲を含む)。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は一般には、針状物、および、消光を伴う複屈折を示す球晶破砕物として形状化される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は一般には、針状物として形状化される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、2.5m/gよりも大きい表面積により特徴づけられる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、4.5m/g〜5m/gの範囲の表面積により特徴づけられる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物は、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させることによって調製される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、吸熱ピークを約150℃において示す示差走査熱量測定法(DSC)により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物A)が提供される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートのこの結晶性形態物は、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルの存在下で反応させることによって調製される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるような結晶性形態物Bを調製する方法であって、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させ、それにより、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの前記結晶性形態物を生じさせることを含む方法が提供される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートはt−ブトキシカルボニルをN−保護基として含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記反応させることは、
(i)上記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートをアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物に溶解すること、および
(ii)アセトニトリルにおけるメタンスルホン酸の溶液をアセトニトリルおよび酢酸ブチルの前記混合物における上記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの溶液に加えること
によって行われる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの上記混合物における上記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの上記溶液は約40℃に加熱される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法はさらに、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物を反応混合物から単離することを含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法はさらに、上記ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラート塩を、例えば、再結晶(例えば、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物からの再結晶)、磨砕などによって精製することを含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製する方法であって、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させ、それにより、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製することを含む方法が提供される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートは、HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、99%を超える純度を有する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法は、上記ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物を調製するために使用され、吸熱ピークを209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)により特徴づけられる上記ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物を提供する。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、99%を超える純度を有する、本明細書中に記載されるような方法によって調製されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートが提供される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bおよび医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物が提供される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記医薬組成物は包装材で包装され、かつ、CNS疾患またはCNS障害の処置における使用のために前記包装材の中または表面において印刷で特定される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bは、CNS疾患またはCNS障害の処置において使用されるためのものである。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bは、医薬品として使用されるためのものである。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記医薬品は、CNS疾患またはCNS障害を処置するためのものである。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、CNS疾患またはCNS障害を処置するための医薬品の調製における、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bの使用が提供される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、CNS疾患またはCNS障害を処置する方法であって、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bの治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、前記CNS疾患またはCNS障害を処置することを含む方法が提供される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記CNS疾患またはCNS障害は統合失調症である。
【0053】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0055】
【図1】図1は、吸熱ピークを214.75℃において示す、BL−1020MSA塩(ロット06−01915−3)の結晶性形態物Bの例示的なDSC曲線を示す。
【0056】
【図2】図2は、BL−2010MSA塩の結晶性形態物Bの例示的ロットについて得られるXRPDパターンを重ねたものを示す(06−01915−3、01BIL02−01−22、01BIL02−02−22、01BIL02−03−22、01BIL02−04−22および01BIL02−05−26の各ロットは、280718、280714、280729、280734、280739および280746の各ファイルにそれぞれ対応する)。
【0057】
【図3A−3B】図3A−3Bは、BL−1020MSA塩の例示的ロットについて得られるXRPDパターンを示す(ロット06−01915−3を図3Aに、ロット01BIL02−01−22を図3Bに示す)。
【0058】
【図3C−3D】図3C−3Dは、BL−1020MSA塩の例示的ロットについて得られるXRPDパターンを示す(ロット01BIL02−02−22を図3Cに、ロット01BIL02−03−22を図3Dに示す)。
【0059】
【図3E−3F】図3E−3Fは、BL−1020MSA塩の例示的ロットについて得られるXRPDパターンを示す(ロット01BIL02−04−22を図3Eに、ロット01BIL02−05−26を図3Fに示す。
【0060】
【図3G−3H】図3G−3Hは、BL−1020MSA塩の例示的ロットについて得られるXRPDパターンを示す(ロット01CYS02−01−37を図3Gに、ロット01BIL02−07−34を図3Hに示す)。
【0061】
【図3I】図3Iは、BL−1020MSA塩の例示的ロットについて得られるXRPDパターンを示す(ロット01BIL02−06−26を図3Iに示す)。
【0062】
【図4】図4は、BL−1020MSA塩(ロット01BIL02−07−34)の重量変化(%)を相対湿度(RH)の関数として示す例示的なDVSグラフを示す。
【0063】
【図5A−5B】図5A−5Bは、BL−1020MSA塩の結晶性形態物Bの例示的ロットの光学顕微鏡観察により得られる像を示す(ロット01BIL02−04−22を図5Aに、ロット01BIL02−05−26を図5Bに示す)。
【0064】
【図6A−6B】図6A−6Bは、BL−1020MSA塩の結晶性形態物B(ロットCYS02−01−37)および参照サンプル06−01890MC4−2のFT−IRスペクトルを示す。
【0065】
発明の具体的実施形態の説明
本発明は、そのいくつかの実施形態において、医薬活性薬剤の新規な結晶性形態物に関連し、より具体的には、しかし、限定ではなく、向精神性薬物および有機酸を含む化学的コンジュゲートの新規な結晶性形態物、その製造方法、ならびに、CNS疾患およびCNS障害の処置におけるその使用に関連する。
【0066】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部、または、実施例によって例示される細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施、または、実行される。
【0067】
これまでの刊行物は、ペルフェナジンおよびγ−アミノ酪酸(GABA)のコンジュゲートが有益な治療効果を示し、したがって、有望な医薬活性薬剤であることを教示する。
【0068】
ペルフェナジン−GABAコンジュゲートのトリメシラート塩、すなわち、ペルフェナジンγ−アミノブチラートトリメシラート(これはまた、本明細書中および当技術分野ではペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートまたはBL−1020MSA塩またはペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩と呼ばれる)をさらに特徴づけている間に、本発明者らは、ペルフェナジン−GABAコンジュゲートのトリメシラート塩を調製するために使用される反応条件に依存して、この塩の様々な結晶性形態物が得られることを発見している。したがって、本発明者らは、他の条件のもとで調製されるトリメシラート塩と比較して、より高い純度および安定性を示す、ペルフェナジン−GABAコンジュゲートのトリメシラート塩の結晶性形態物を調製する方法を設計している。本発明者らはさらに、この発見された非常に安定な結晶性形態物を特徴づけている。
【0069】
ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩が、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、(例えば、国際公開WO2006/131923の方法を使用して)溶媒としてアセトニトリルの存在下で反応させることによって調製された。示差走査熱量測定法(DSC)分析では、鋭い吸熱ピークを約150℃において示すことが明らかにされており、このことは、生成物が結晶性であることを示唆する。この生成物は、本明細書中ではペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Aとして示される。
【0070】
形成されたトリメシラート塩に対する反応条件の影響を調べている間に、本発明者らは、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物を反応溶媒として使用することによって、より高い純度、より高い融解温度、および、より大きい安定性を示す生成物が形成されることを発見している。本明細書中に記載される方法によって得られる生成物がさらに特徴づけられ、単結晶性であること、したがって、他にないXRDパターンおよび他の特徴的な特徴を示すことが見出された。この生成物は、本明細書中ではペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bとして示される。
【0071】
化合物の結晶化のための一般的技術が当業者には知られている。そのような技術には、例えば、溶媒からの結晶化、熱処理および昇華が含まれる。どの手法、方法または様式が所与化合物の良好な結晶化をもたらすかを、先験的に、また、過度な実験を行うことなく知ることはできない。さらに、所与化合物がどのくらい多くの異なる結晶性形態物を有し得るかは分からない。
【0072】
一般に、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラート(この場合、アミノ基がN−保護基によって保護される)を、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの脱保護と、塩化(MSA付加塩の形成)とが実質的に同時に行われる一段階合成で、溶媒(単一溶媒または溶媒混合物)中においてメタンスルホン酸(MSA)と反応させることによってその場で調製される。生じる結晶性形態物のタイプは、反応で使用される溶媒(単一溶媒または溶媒混合物)によって影響され得る。
【0073】
したがって、本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、下記のうちの少なくとも1つにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される:
(a)図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0であるピークから選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)。
【0074】
いくつかの実施形態において、吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0075】
いくつかの実施形態において、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0076】
いくつかの実施形態において、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0であるピークから選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0077】
いくつかの実施形態において、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2であるピークから選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0078】
いくつかの実施形態において、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0であるピークから選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンと、吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)との両方により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0079】
いくつかの実施形態において、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2であるピークから選択される、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンと、吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)との両方により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0080】
いくつかの実施形態において、図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンと、吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)との両方により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物B)が提供される。
【0081】
いくつかの実施形態において、吸熱ピークが約214℃において存在する。
【0082】
「吸熱ピーク」に関連して本明細書中で使用される場合、用語「約」は、±10%または±5%を表す。
【0083】
DSC測定で得られるデータは、使用装置および測定時の環境条件(例えば、湿度)に幾分か依存することに留意しなければならない。本明細書中に記載される吸熱ピークの値は、観測された最大値を示し、一方で、実際には、ピークの開始が10℃〜20℃低温側で生じ得ることにもまた留意しなければならない。
【0084】
したがって、結晶性形態物Bの吸熱ピークは、例えば、190℃〜230℃の範囲である任意の値において可能であり、したがって、例えば、195℃、200℃、205℃、206℃、207℃、208℃、209℃、210℃、211℃、212℃、213℃、214℃、215℃、216℃、217℃、218℃、219℃または220℃が可能である。本明細書中で示される値の範囲に含まれる他の値もまた、これらの値のいずれかの間の範囲および部分範囲と同様に意図される。
【0085】
下記の実施例の節において記載されるように、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの様々なサンプル(これらはすべてが、同じ合成条件のもとで調製された)がXRPD測定に供され、すべてが、類似したXRPDパターンを示し、したがって、これらのXRPDパターンは、単一の結晶性形態物に特徴的であるとして定義された。
【0086】
当技術分野では知られているように、物質のそれぞれの結晶性形態物が特徴的なXRPDパターンを有しており、したがって、様々な物質が、位置ピークの少なくともいくつかおよび対応する相対的強度が実質的に同一であるXRPDパターンを示すならば、同等性を決定することができる。
【0087】
本明細書中に記載されるような結晶性形態物Bの代表的なXRPDパターンが図2および図3A〜図3Iに示される。
【0088】
いくつかの実施形態において、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、図2に示されるピークの少なくとも5つ、6つ、7つまたはそれ以上、例えば、2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、9.4、10.9、11.7、12.8、14、15.3、15.4、15.7、16.0、16.1、16.9、17.4、17.7、18.0、18.4、19.0、19.7、20.0、20.6、21.0、21.2、21.5、22.3、23.1、23.4、23.6、23.9、24.4、24.8および25.0であるピークの5つ、6つ、7つまたはそれ以上を示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0089】
図2に示されるピークに対する参照は、ピーク位置について、すなわち、ピークが観測される屈折角(2θ)についてなされる。場合により、参照はまた、所与の屈折角で観測されるピークの相対的強度についてもなされる。
【0090】
いくつかの実施形態において、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、図2に示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0091】
いくつかの実施形態において、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、図3A〜図3Fに示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる。
【0092】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(例えば、形態物B)は、純度が、HPLC面積百分率測定によって決定される場合、少なくとも約95%、あるいは、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、約99.1%超、約99.2%超、約99.3%超、約99.4%超、約99.5%超、約99.6%超、約99.7%超、約99.8%超もしくは約99.9%超、または、約100%である。
【0093】
「HPLC面積百分率測定」によって、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートに対応するとして特定されるピークの面積百分率が意味される。この用語は、HPLC測定を使用して定量分析を行うときに得られる値を必然的に示す。
【0094】
下記の実施例の節において詳しく記載されるように、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物のいくつかのサンプルは、それらの水分吸収/脱離(DVS)、BET表面積、粒子サイズについてもまた分析されており、また、光学顕微鏡観察によって特徴づけされている。試験サンプルのほとんどが、類似した特徴づける物理化学的特徴を示すことが見出された。
【0095】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物の平均粒子サイズは100ミクロン未満であり、場合により、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、20ミクロン未満および10ミクロン未満が可能である。特定の実施形態において、平均粒子サイズは約1ミクロン〜約100ミクロンの間である。他の実施形態において、粒子サイズ分布の最頻値が約1ミクロン〜約50ミクロンの間であり、例えば、約1ミクロン、約5ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約30ミクロン、約35ミクロン、約40ミクロン、約45ミクロンまたは約50ミクロンである(ただし、それらの間のすべての範囲および部分範囲を含む)。
【0096】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物の平均粒子サイズは4ミクロン〜10ミクロンの範囲である。
【0097】
いくつかの実施形態において、粒子サイズ分布は実質的に単峰型である。
【0098】
いくつかの実施形態において、粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、下記の実施例の節において記載されるように求められる。
【0099】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は一般に、光学顕微鏡観察によって求められる場合、針状物および球晶破砕物として形状化される。
【0100】
いくつかの実施形態において、これらの破砕物は、消光を伴う複屈折を示す。
【0101】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は一般には、針状物として形状化される。
【0102】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの表面積は約2.5m/gよりも大きい。
【0103】
いくつかの実施形態において、表面積は4.5m/g〜5m/gの範囲である。他の実施形態において、表面積は2.5m/g〜5m/gの範囲である。
【0104】
いくつかの実施形態において、表面積はBET測定によって、例えば、下記の実施例の節において記載されるBET測定などによって求められる。
【0105】
いくつかの実施形態において、これらの実施形態に関連して記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの密度は、(嵩密度が)約0.1g/mL〜約0.2g/mLの範囲であるか、または、(タップ密度が)約0.2g/mL〜約0.3g/mLの範囲である。密度は、当技術分野では広く知られている方法によって測定することができる。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bは、本明細書中でさらに詳しく記載されるように、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させることによって調製される。
【0107】
本明細書中に示されるように、ペルフェナジン4−アミノ酪酸トリメシラートは多形であり、したがって、2つ以上の結晶性形態物(同形体)を示し得ることが発見されている。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、吸熱ピークを約150℃において示す示差走査熱量測定法(DSC)により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(結晶性形態物A)が提供される。したがって、結晶性形態物Aは、本明細書中に記載されるような結晶性形態物Bと比較して、より低い吸熱ピークを有するDSCによって特徴づけられる。
【0109】
本発明の他の実施形態によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの上記結晶性形態物(結晶性形態物B)は、図6Aに示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴づけられる。スペクトルが、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bの少量をATR結晶に置き、同時に、サンプルと、ATR結晶との接触を維持するために十分な圧力を加えることによって得られる。FT−IRスペクトルが従来の方法によって得られ、これにより、図6に示されるスペクトルがもたらされた。スペクトルは、強い吸収を、約1209cm−1、1151cm−1および1036cm−1において示し、中程度の吸収を、1736cm−1、1459cm−1、802cm−1および771cm−1において示し、弱い吸収を、3012cm−1、2696〜2492cm−1(広い)、1590cm−1、1564cm−1、1541cm−1、969cm−1、945cm−1、918cm−1、906cm−1および851cm−1において示す。
【0110】
いくつかの実施形態において、結晶性形態物Aは、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルの存在下で反応させることによって調製される。
【0111】
本明細書中に開示されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートのこれらの結晶性形態物(これらは本明細書中では結晶性形態物Aおよび結晶性形態物Bとして示される)は場合により、自然に存在しない割合の原子同位体を、そのような化合物を構成する原子の1つまたは複数において含有することがある。例えば、本明細書中に記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、放射性同位体(例えば、トリチウム(H)または炭素−14(14C)など)により放射性標識されることがある。本発明の化合物の同位体変化体はすべて、放射性または非放射性であろうとも、本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0112】
いくつかの実施形態において、結晶性形態物Bは、吸熱ピークを、結晶性形態物Aと比較して、より高い温度において示すことに加えて、より大きい安定性および低下した吸湿性を示すことがさらに見出された。加えて、本明細書中に記載されるような、結晶性形態物Bを得るために使用される方法は、結晶性形態物Aを得るために使用される方法で得られる純度よりも高い純度のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートをもたらした。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるような、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bを調製する方法が提供される。この方法は、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒(ただし、溶媒はアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物である)の存在下で反応させることによって行われる。
【0114】
「N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラート」によって、GABAに由来する遊離アミノ基がN−保護基(例えば、アミノ保護基)によって保護されることが意味される。好適なN−保護基を選択することが、方法に関与する合成工程、使用試薬および反応条件を考慮しながら行われ、そのような選択は十分に当業者の知識の範囲内である。
【0115】
いくつかの実施形態において、N−保護基はt−ブトキシカルボニル(t−BOC)であり、その結果、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートはt−ブトキシカルボニルをN−保護基として含む。
【0116】
N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートは、ペルフェナジンと、N−保護されたGABAとを、エステル化を促進させるための条件のもと、カップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)の存在下で反応させることによって容易に調製することができる。例示的な手順が下記の実施例の節において詳しく記載される。
【0117】
いくつかの実施形態において、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを反応させることが、
(i)N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートをアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物に溶解すること、および
(ii)アセトニトリルにおけるメタンスルホン酸の溶液を、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物におけるN−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの溶液に加えること
によって行われる。
【0118】
いくつかの実施形態において、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物は体積比で40%〜60%のアセトニトリルを含み、例えば、約40体積%のアセトニトリル、約45体積%のアセトニトリル、約50体積%のアセトニトリル、約55体積%のアセトニトリルまたは約60体積%のアセトニトリルを含む(ただし、それらの間のすべての範囲および部分範囲を含む)。いくつかの実施形態において、混合物は、1:1のアセトニトリル:酢酸ブチルの混合物(体積比)である。
【0119】
いくつかの実施形態において、1:1のアセトニトリル:酢酸ブチルの混合物(体積比)が、アセトニトリルにおけるMSAの溶液を加えたときに得られる。
【0120】
いくつかの実施形態において、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートをアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物に溶解することが、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートを酢酸ブチルに混合し、その後、必要に応じて、混合物を(例えば、約40℃に)加熱しながら、アセトニトリルを加えることによって行われる。
【0121】
いくつかの実施形態において、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物におけるN−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの溶液は、MSAの添加期間中、約40℃に加熱される。必要に応じて、MSAを添加したときに得られる反応混合物はさらに、数時間(例えば、10時間〜30時間)、約40℃に加熱される。
【0122】
本明細書中に示されるように、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートを記載の条件のもとでMSAと反応させることにより、ペルフェナジン4−アミノブチラートの遊離塩基形態を生じさせるようなN−保護基の脱保護と、塩化、すなわち、トリメシラート酸付加塩生成物の形成との両方がもたらされる。
【0123】
いくつかの実施形態において、反応が完了すると、形成されたペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートが反応混合物から単離される。
【0124】
いくつかの実施形態において、単離することが、反応混合物を冷却し、固体生成物をろ過することによって行われる。場合により、固体生成物はその後、乾燥手順に供される。
【0125】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bが、本明細書中に記載されるように、HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、約99%を超える純度で、本明細書中に記載されるような方法によって得られる。
【0126】
したがって、上記方法は、高純度のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製するために使用することができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製する方法が提供され、この場合、この方法は、本明細書中に記載されるように、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下、本明細書中に記載されるように反応させることを含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明のこの局面の実施形態による方法は、高純度のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製するために使用される。
【0129】
いくつかの実施形態において、上記方法は、吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)により特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(これは、例えば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bである)を調製するためのものである。
【0130】
いくつかの実施形態において、得られた固体生成物はさらに、精製に供される。
【0131】
いくつかの実施形態において、精製が、固体生成物をアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物(これは、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートと、MSAとを反応させている間に使用される混合物と実質的に同一である)において再結晶することによって行われる。
【0132】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法のいずれかによって得られるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートは、純度が、HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、約99%を超える。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中上記に記載される方法によって調製される高純度のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートが提供される。
【0134】
いくつかの実施形態において、この方法によって得ることができるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートは、純度が、HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、約99%を超える。
【0135】
本明細書中に記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bの物理化学的性質は、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bを医薬活性薬剤としての使用について非常に好適にする。
【0136】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bは、医薬品としての使用のために特定される。
【0137】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bは、本明細書中でさらに記載されるように、CNS(中枢神経系)の疾患または障害の処置における使用のために特定される。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bの、医薬品の製造における使用が提供される。
【0139】
いくつかの実施形態において、上記医薬品は、本明細書中でさらに記載されるように、CNS疾患またはCNS障害を処置するためのものである。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、CNS疾患またはCNS障害をその必要性のある対象において処置する方法であって、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bの治療効果的な量を前記対象に投与することを含む方法が提供される。
【0141】
本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bはそれ自体で使用することができ、または、医薬組成物の一部として使用することができる。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bと、医薬的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物が提供される。
【0143】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される(有効成分としての)ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートと、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリア、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、抗菌剤、充填剤(例えばマンニトール)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム)、抗炎症剤、抗ウイルス剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤などを含むが、これらに限定されない)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、対象に対する化合物の投与を容易にすることである。用語「活性(有効)成分」は、生物学的効果の役割を有する化合物を示す。
【0144】
用語「生理学的に許容されるキャリア」および用語「医薬的に許容されるキャリア」は、交換可能に使用され得るが、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げない担体または希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に包含される。
【0145】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、医薬の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0146】
薬物の配合および投与のための技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、第21版)に見出されることができ、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0147】
従って、本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用されることができる調製物への化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の医薬的に許容されるキャリアを使用して従来の様式で配合されることできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化しうる。正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(例えば、Finglら、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0148】
医薬組成物は、局所または全身の処置または投与の選択、および処置されるべき領域に依存して1つまたは複数のいずれかの経路での投与のために配合されることができる。投与は、吸入によって経口的に行われるか、または例えば、点滴、または腹膜内注射、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射によって非経口的に行われるか、または局所的(眼内投与、膣内投与、直腸投与、鼻内投与を含む)に行われる。
【0149】
局所投与用の処方物としては、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、座剤、ドロップ、液体、スプレー、および粉末を挙げることができるが、これらに限定されない。従来の医薬的担体、水溶液、粉末、または油性基剤、および増粘剤などが必要である場合があり、またそれらが望ましい場合もある。
【0150】
経口投与用の組成物としては、粉末、顆粒、懸濁液、または水溶液または非水性媒体の溶液、サシェ、ピル、キャップレッツ、カプセル、または錠剤が挙げられる。増粘剤、希釈剤、香料、分散助剤、乳化剤、または結合剤が望ましい場合もある。
【0151】
非経口投与用の処方物としては、滅菌溶液を挙げることができるが、これらに限定されない。これには、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加物を含めることもできる。徐放組成物は、治療のために予想される。
【0152】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている患者、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。
【0153】
医薬組成物はさらに、抗菌剤、酸化防止剤、緩衝剤、充填剤、界面活性剤、炎症防止剤、抗ウイルス剤、化学療法薬、および抗ヒスタミン剤からなる群から選択されるがこれらに限定されない医薬的に活性な又は不活性な追加の薬剤も含んでいる。
【0154】
本発明の実施形態によれば、上述の医薬組成物は包装材で包装されて、本明細書で記載されるようにCNS疾患またはCNS障害の治療で使用するために、包装材料中にまたは包装材料上に印刷されて特定される。
【0155】
本発明の組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴うことがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。
【0156】
本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、ペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその塩によって処置可能であるどのようなCNS疾患またはCNS障害の処置においても使用することができる。
【0157】
かかる疾患および障害は、国際公開WO03/026563、同WO2005/092392、同WO2006/131923および米国特許第7544681号に記載される(これらは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって本明細書中に組み込まれる)ものを含むが、これらに限定されない。
【0158】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、統合失調症の処置においても使用することができる。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、例えばPCT/IL/2010/001041及び米国特許出願公開第12/963959号(これらは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるように、認知機能をその必要性のある対象において改善するために使用することができる。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、認知障害または認知機能障害を有する対象の処置に使用することができる。いくつかの例示的実施形態において、対象は、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、認知症、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、パーキンソン病、卒中、てんかん、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、学習欠乏、統合失調症に伴う認知障害、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、気分障害および情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、脳腫瘍に伴う行動問題および認知問題、AIDS認知症複合、ダウン症候群に伴う認知症、レヴィ小体に関連する認知症、うつ病、全般性不安障害、トゥレット症候群、TNF−αに関連付けられる状態、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、筋変性、パジェット病、痛風関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候分、組織遅滞および精神遅滞からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる。
【0161】
いくつかの他の例示的実施形態によれば、対象は、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、卒中、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、および、学習欠乏からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる。
【0162】
いくつかの他の実施形態によれば、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、CNS作用薬物により処置され、かつ、前記CNS作用薬物による処置の後、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される対象を処置するために使用することができる。
【0163】
いくつかの他の実施形態において、本明細書中に記載されるようなペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物は、認知障害または認知機能不全の発症防止または進行阻害のために使用することができ、例えば、この結晶性形態物は、認知障害または認知機能不全を発症させる素因を有する対象、あるいは、特定の症状、例えば、認知障害または認知機能不全の初期徴候を発症したことがある対象に投与することができる。
【0164】
本発明の実施形態はさらに、本明細書中に記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物(例えば、結晶性形態物Aおよび結晶性形態物B)のいずれかの、医薬品としての使用に関連する。
【0165】
本発明の実施形態はさらに、国際公開WO03/026563、同WO2005/092392、同WO2006/131923および米国特許第7544681号に記載されるような増殖性疾患または増殖性障害の処置における、本明細書中に記載されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートのいずれかの使用に関連する。
【0166】
数値または数値範囲に関して本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0167】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0168】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0169】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0170】
用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
【0171】
用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。
【0172】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0173】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0174】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0175】
本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
【0176】
本明細書で使用される場合、用語「治療する/処置する」およびそのいかなる文法的変形には、状態の進行を取り消すこと、実質的に阻害すること、遅くすること、または、逆向きにすること、状態の臨床的症状または審美的症状を実質的に改善すること、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状の出現を実質的に防止することが含まれる。
【0177】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0178】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0179】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0180】
実施例1
アセトニトリルを溶媒として使用するペルフェナジン−γ−ブチラートのトリメシラート塩の合成
ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩を、国際公開WO2006/131923に記載されるように調製した。DSC測定は吸熱ピークを150.2℃において示した。このことは、生成物が結晶性であることを示唆する。生成物は、HPLC面積百分率測定によって決定される場合、97.91%の純度を示した。この生成物は、本明細書中では交換可能に、BL1020MSA塩結晶性形態物A、および、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Aとして示される。
【0181】
実施例2
アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物を溶媒として使用するペルフェナジン−γ−ブチラートのトリメシラート塩の合成
下記のスキーム1は、ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩(BL−1020)を製造するために本発明のいくつかの実施形態に従って使用される合成経路を示す。

【0182】
この方法で得られる生成物は、本明細書中では交換可能に、BL−1020MSA塩結晶性形態物B、および、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物Bとして示される。
【0183】
分析測定:
HPLC測定を、Phenomenex Luna C18(2)カラム、40℃のカラム温度、0.1%FA/HO(A)およびアセトニトリル(B)からなる移動相、0.5ml/分の流速、254nmの検出器波長、20分の総運転時間を使用して行った。
【0184】
示差走査熱量測定法(DSC)を、Shimadzu DSC−50装置を使用してUSP<891>に従って行った。DSCを、1mg〜5mgのサンプルを10℃/分の加熱速度で280℃まで加熱することによって窒素流のもとで行った。
【0185】
ROI(強熱残渣)の測定:約1mLの硫酸をるつぼ内の試験サンプルに加えた。サンプルを、白煙がもはや生じなくなるまで焼いた。るつぼを、一晩、または、すべての炭素が消費されるまで600℃のオーブンに入れ、その後、デシケーター内で冷却した。
【0186】
重金属含有量を、USP29の補足2<231>の方法IIを使用して求めた。
【0187】
残留溶媒量を、校正曲線を使用してGC分析によって求めた。
【0188】
メタンスルホン酸および塩化物のイオン含有量をイオンクロマトグラフィー−サプレッサー使用電気伝導率によって求めた。
【0189】
N−保護されたペルフェナジン−γ−アミノブチラート(AN−197)の調製:
ペルフェナジンを、下記の一般的手順を使用してBoc保護GABAと反応させる:
サーマルウエル、機械式撹拌装置および窒素バブラーを備える3つ口丸底フラスコに、ペルフェナジンおよび無水ジクロロメタン(DCM)を装荷し、混合物を撹拌する。その後、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え、続いてBoc−GABAを加え、反応混合物を、氷/水/塩の混合物を冷却浴として使用して、0±10℃に冷却する。その後、DCMにおける溶液としてのDCCを5分かけて加え、冷却浴を除き、得られる濁った黄色溶液を、一晩撹拌しながら、かつ、反応の完了をHPLCによってモニターしながら室温で維持する。反応が完了すると、反応混合物を0±5℃に冷却し、少なくとも3時間撹拌して、ジシクロヘキシルウレア(DCU)を沈殿させる。その後、固体をろ過し、DCMにより2回洗浄し、ろ液を一緒にして、減圧下において(ロタバップで)濃縮する。その後、残渣を酢酸エチル(EtOAc)に溶解し、溶液を5±5℃に冷却し、少なくとも1時間撹拌し、その後、ろ過し、EtOAcにより洗浄する。ろ液を分液ロートに移し、5%クエン酸(2回)、1M重炭酸ナトリウム(2回)およびブライン(2回)により洗浄する。有機層を真空濃縮し、アセトニトリル(ACN)を加え、続いて、50℃以下での撹拌を、均一な溶液が得られるまで行う。溶液を、機械式撹拌装置、サーマルウエルおよび窒素バブラーを備える3つ口丸底フラスコに、ACNを使用して移す。溶液を20±5℃に冷却し(このとき、固体が形成し始める)、1時間撹拌する。その後、溶液を10±5℃に冷却し、1.5±0.5時間にわたって撹拌する。その後、得られた固体をろ過し、冷ACNにより洗浄し、少なくとも30分間風乾する。その後、固体を乾燥用トレーに移し、一定の重量になるまで真空下において35±5℃で乾燥して、AN−197を黄色固体として得る。
【0190】
1つの例示的手順において、サーマルウエル、機械式撹拌装置および窒素バブラーを備える12Lの3つ口丸底フラスコに、ペルフェナジン(1.15Kg、2.80mol、1.0当量)および無水DCM(5.4L)を装荷し、混合物を撹拌した。透明な淡黄色溶液を得た。その後、DMAP(0.10Kg、0.82mol、0.3当量)を加え、続いてBoc−GABA(0.70Kg、3.3mol、1.2当量)を加え、反応混合物を、氷/水/塩の混合物を冷却浴として使用して、0±10℃に冷却した。
【0191】
その後、DCM(0.23L)における溶液としてのDCC(0.75Kg、0.82mol、1.26当量)を5分かけて加え、冷却浴を除き、得られる濁った黄色溶液を、一晩撹拌しながら、かつ、反応の完了をHPLCによってモニターしながら室温で維持した。反応が完了すると、反応混合物を0±5℃に冷却し、少なくとも3時間撹拌して、DCUを沈殿させた。その後、固体をろ過し、DCMにより洗浄し(1.2L、2回)、ろ液を一緒にして、減圧下において(ロタバップで)濃縮した。その後、残渣をEtOAc(5.8L)に溶解し、12Lの丸底フラスコに戻し、1.1LのEtOACを使用して、ロタバップをすすぎ、得られた溶液を5±5℃に冷却し、少なくとも1時間撹拌し、その後、ろ過し、EtOAcにより洗浄した(0.58L、2回)。ろ液を分液ロートに移し、5%クエン酸(1.2L、2回)、1M重炭酸ナトリウム(1.2L、2回)およびブライン(1.2L、2回)により洗浄した。有機層を真空濃縮し、ACN(4.6L)を加え、続いて、50℃以下での撹拌を、均一な溶液が得られるまで行った。溶液を、機械式撹拌装置、サーマルウエルおよび窒素バブラーを備える12Lの3つ口丸底フラスコに、ACN(1.2L)を使用して移した。その後、溶液を20±5℃に冷却し(このとき、固体が形成し始めた)、1時間撹拌した。その後、溶液を10±5℃に冷却し、1.5±0.5時間にわたって撹拌した。その後、得られた固体をろ過し、冷ACNにより洗浄し(1.2L、2回)、少なくとも30分間風乾した。その後、固体を乾燥用トレーに移し、一定の重量になるまで真空下において35±5℃で乾燥して、1.62Kg(98%の収率)のAN−197を黄色固体として得た。
【0192】
化合物の純度が99.1%としてHPLCの面積百分率によって求められた。
化合物の構造がH−NMRによって確認された。
カールフィッシャー(KF)滴定分析により、水分含有量が0.011%であると求められた。
ROIが0.09%として求められた。
残留溶媒量は、DCM、EtOAcおよびACNについてのICH指針を満たしていると判断された:
DCM<165ppm;EtOAc<162ppm;ACN:254ppm。
さらなる例示的な回分反応では、上記と同じ一般的手順を使用して、下記の試薬が使用された:

これにより、下記の生成物データを得た:

【0193】
さらなる回分反応(ロット01BIL01−02−64)では、1.127Kgのペルフェナジンが、下記の試薬:

を用いて、上記と同じ一般的手順を使用して1.75KgのAN−197に変換され、下記の生成物データが得られた。
化合物の純度が98.4%としてHPLCの面積百分率によって求められた。
化合物の構造がH−NMRによって確認された。
カールフィッシャー(KF)滴定分析により、水分含有量が0.008%であると求められた。
ROIが0.02%として求められた。
残留溶媒量は、DCM、EtOAcおよびACNについてのICH指針を満たしていると判断された:
DCM<106ppm;EtOAc<99ppm;ACN:563ppm。
【0194】
AN−197のさらなる回分反応物の調製に関するデータが米国仮特許出願第61/307482号(2010年2月24日出願)に示される(これは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって組み込まれる)。
【0195】
BL1020のトリメシラート塩の調製:
AN−197を、アセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物を使用してメタンスルホン酸(MSA)と反応させ、この間に、N−保護された化学的コンジュゲートのその場での脱保護および塩化(塩形成)を一工程合成で行い、それにより、ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩を得た。この場合、下記の一般的手順を使用した。
機械式撹拌装置、滴下ロート、サーマルウエルおよび窒素導入管を備える3つ口丸底フラスコに、AN−197および酢酸ブチル(BAc)を装荷し、反応混合物を撹拌し、40±5℃に加熱する。加熱期間中に、ACNを加え、固体のほとんどを溶解させる。MSAおよびACNの溶液を調製し、滴下ロートに装荷し、内部温度を40℃以下に保つような速度で滴下して加える。反応液を40℃で維持し、イオンペアクロマトグラフィー(IPC;AP−378)によって完了についてモニターする。完了を1%未満のAN−197で決定する。その後、溶液を15±5℃に冷却し、Bブッフナーロートでろ過する。固体を1:1のBAc/ACNの冷(0±5℃)混合物により洗浄し、その後、BAcにより洗浄する。得られた固体を、固体を定期的に砕き、ひっくり返しながら90時間、窒素パージとともに、35±5℃で真空乾燥する。生成物を白色〜薄ピンク色の固体として得る。
【0196】
1つの例示的手順(ロット06−01915−3)において、機械式撹拌装置、滴下ロート、サーマルウエルおよび窒素導入管を備える22Lの3つ口丸底フラスコに、AN−197(0.832Kg、1.41mol、1.0当量)およびBAc(6.65L)を装荷し、反応混合物を撹拌し、40±5℃に加熱した。加熱期間中に、ACN(6L)を加え、固体のほとんどを溶解させた。
【0197】
MSA(0.385L、5.93mol、4.2当量)およびACN(0.5L)の溶液を調製し、滴下ロートに装荷し、内部温度を40℃以下に保つような速度で滴下して加えた。反応液を40℃で維持し、イオンクロマトグラフィー(IPC;AP−378)によって完了についてモニターした。完了を、24時間後、1%未満のAN−197で決定した。その後、溶液を15±5℃に冷却し、Bブッフナーロートでろ過した。固体を1:1のBAc/ACNの冷(0±5℃)混合物により洗浄し(1.7L、2回)、その後、BAcにより洗浄した(1.7L、2回)。得られた固体を、固体を定期的に砕き、ひっくり返しながら90時間、窒素パージとともに、35±5℃で真空乾燥した。生成物を白色固体として得た(1.045Kg;95%の収率)。
【0198】
生成物のHPLC分析は、面積百分率(AP)による99.4の純度、0.20APのペルフェナジン、0.40APのAN−197および0.50AP未満の他の不純物の存在を明らかにした。
【0199】
H−NMR、13C−NMRおよびIRの各スペクトルは、製造物の構造と一致していた。
カールフィッシャー(KF)滴定分析により、水分含有量が0.5%であると求められた。
ROIが0.23%として求められた。
DSCは吸熱ピークを214.8℃において示した(図1を参照のこと)。
イオンクロマトグラフィーでは、MSAが38.4ppmと求められ、Clが0.074ppmと求められた。
残留溶媒量が、124ppm未満のDCM、87ppm未満のEtOAc、410ppm未満のACN、および、96ppm未満のBAcとして求められた。
重金属含有量は0.0002%未満であった。
イオン含有量は、MSAが38.4%と求められ、Clが741ppmと求められた。

【0200】
さらなる例示的な回分反応(ロット01BIL02−03−22)において、下記の試薬が、本明細書中上記の手順を使用してAN−197をBL1020MSA塩に変換するために使用された:

【0201】
50Lの3つ口丸底フラスコを使用し、反応混合物を40±2℃で19時間(完了したことが明らかになったとき)加熱した。得られた固体をろ過し、洗浄した後、乾燥を、一定の重量になるまで本明細書中上記のように窒素パージとともに行った。残留溶媒をIPCによってモニターした。ACN、BAc、DCMおよびEtOAcについてのICH指針が満たされたとき、物質は、乾燥していると見なされた。生成物を白色固体として得た(1.95Kg;95.1%の収率)。
【0202】
IRおよびNMRの各スペクトルは、製造物の構造と一致していた。
【0203】
生成物のHPLC分析は、面積百分率(AP)による99.2の純度、0.12APのペルフェナジン、0.41APのAN−197、0.09APのBis(GABA)−BL1020および0.15AP未満の他の不純物の存在を明らかにした。
【0204】
カールフィッシャー(KF)滴定分析により、水分含有量が0.36%であると求められた。
ROIが0.07%として求められた。
残留溶媒量が、158ppm未満のDCM、149ppm未満のEtOAc、153ppm未満のACN、および、333ppmのBAcとして求められた。
【0205】
さらなる例示的な回分反応(ロット01BIL02−07−34)において、0.95KgのAN−197が、本明細書中上記の手順および下記の試薬を使用して1.25KgのBL1020MSA塩に変換された:

【0206】
50Lの3つ口丸底フラスコを使用し、反応混合物を40±2℃で19時間(完了したことが明らかになったとき)加熱した。得られた固体をろ過し、洗浄した後、乾燥を、一定の重量になるまで本明細書中上記のように窒素パージとともに行った。残留溶媒を乾燥IPCによってモニターした。ACN、BAc、DCMおよびEtOAcについてのICH指針が満たされたとき、物質は、乾燥していると見なされた。生成物を白色固体として得た(1.25Kg;100%の収率)。
【0207】
IRおよびNMRの各スペクトルは、製造物の構造と一致していた。
【0208】
生成物のHPLC分析は、面積百分率(AP)による99.3の純度、0.11APのペルフェナジン、0.22APのAN−197、0.11APのBis(GABA)−BL1020および0.10AP未満の他の不純物の存在を明らかにした。
【0209】
DSCは吸熱ピークを212.6℃において示した。
カールフィッシャー(KF)滴定分析により、水分含有量が0.36%であると求められた。
ROIが0.01%として求められた。
残留溶媒量が、153ppm未満のDCM、156ppm未満のEtOAc、151ppm未満のACN、および、200ppmのBAcとして求められた。
イオン含有量は、MSAが37.3%と求められ、Clが120ppmと求められた。
【0210】
さらなる例示的な回分反応(ロット01BIL02−02−22)において、1.70KgのAN−197が、本明細書中上記の手順および下記の試薬を使用して2.10KgのBL1020MSA塩に変換された:


【0211】
50Lの3つ口丸底フラスコを使用し、反応混合物を40±2℃で19時間(完了したことが明らかになったとき)加熱した。得られた固体をろ過し、洗浄した後、乾燥を、一定の重量になるまで本明細書中上記のように窒素パージとともに行った。残留溶媒を乾燥IPCによってモニターした。ACN、BAc、DCMおよびEtOAcについてのICH指針が満たされたとき、物質は、乾燥していると見なされた。生成物を白色固体として得た(2.10Kg;93.8%の収率)。
【0212】
IRおよびNMRの各スペクトルは、製造物の構造と一致していた。
【0213】
生成物のHPLC分析は、面積百分率(AP)による99.3の純度、0.13APのペルフェナジン、0.37APのAN−197、0.06APのBis(GABA)−BL1020および0.15AP未満の他の不純物の存在を明らかにした。
【0214】
カールフィッシャー(KF)滴定分析により、水分含有量が0.44%であると求められた。
ROIが0.03%として求められた。
残留溶媒量が、153ppm未満のDCM、151ppm未満のEtOAc、154ppm未満のACN、および、353ppmのBAcとして求められた。
【0215】
BL1020MSA塩のさらなる回分反応物の調製に関するデータが、米国仮特許出願第61/307481号および同第61/307482号(2010年2月24日に同時出願)に示される(これらは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって組み込まれる)。
【0216】
実施例3
ペルフェナジン−γ−ブチラートのトリメシラート塩の結晶性形態物の特徴づけ
本明細書中上記の実施例2に記載されるように調製されたBL−1020MSA塩の数ロットをさらに、X線粉末回折(XRPD)分析、水分吸収/脱離(DVS)分析、光学顕微鏡観察による分析、BET表面積分析、Malvern粒子サイズ分析、ならびに、嵩密度およびタップ密度の分析に供した。
【0217】
結果の簡単な概要
XRPDパターンは、BL−1020MSA塩のすべての試験ロットが同じ結晶性形態物を含有することを示唆する;
DVSデータは、サンプルが約5%の水分保持を有することを示す;
光学顕微鏡観察での評価、表面積、密度試験および粒子サイズの分析は、類似する値が試験ロットのほとんどについて得られたことを明らかにした:物質は、針状物、および、消光を伴う複屈折を示す球晶破砕物からなった;表面積は4.57m/g〜4.93m/gの範囲であった;嵩密度およびタップ密度の結果は、(嵩密度が)0.13g/ml〜0.18g/mlの範囲であり、(タップ密度が)0.22g/ml〜0.26g/mlの範囲であった;粒子は、1μm未満の微細物のテール部分およびおよそ100μmまでの粒子サイズを伴う主として単峰型の分布を示した。
【0218】
試験ロットのいくつかについては、得られたデータが、おそらくは凝集物の形成のために、上記で示された値の1つまたは複数から外れたことには留意される。
【0219】
装置データ
XRPD:
XRPDパターンを、PANalytical XPert Pro回折計を使用して集めた。試料を、Optixロングファインフォーカス光源を使用して生じたCuKα線を使用して分析した。楕円型段階化多層ミラーが、光源のCuKαX線を試料経由で検出器上に収束させるために使用された。試料は厚さ3ミクロンのフィルムに挟まれ、透過の幾何学的配置で分析され、配向統計学を最適化するために回転させられた。ビーム−ストップが、空気散乱によって生じるバックグラウンドを最小限に抑えるために使用された。ヘリウムおよび散乱防止拡張は使用されなかった。ソーラースリットが、軸方向の発散を最小限に抑えるために入射ビームおよび回折ビームのために使用された。回折パターンを、試料から240mmに位置する走査型位置感応検出器(XCelerator)を使用して集めた。分析前に、ケイ素試料(NIST標準参照材料640c)を分析して、ケイ素の111−ピークの位置を確認した。
【0220】
DVS:
水分吸収/脱離(DVS)のデータを、VTI SGA−100 Vapor Sorption Analyzerで集めた。吸収および脱離のデータを、窒素パージ下、5%〜95%の相対湿度(RH)の範囲にわたって10%のRH間隔で集めた。サンプルを分析前に乾燥させなかった。分析のために使用された平衡判定基準は5分における0.0100%未満の重量変化であった:この重量判定基準が満たされなかったならば、最大平衡時間が3時間であった。データは、サンプルの最初の水分含有量について補正されなかった。NaClおよびPVPを較正標準物として使用した。
【0221】
偏光顕微鏡観察:
偏光顕微鏡観察を、Spot Insightカラーカメラ(モデル3.2.0)を備えるLeica DM LP顕微鏡を使用して行った。20xまたは40xの対物レンズを、サンプルを調べるために直交偏光子および一次赤色補償器を所定位置に置いて使用した。サンプルをガラス製スライドガラスに置き、その後、カバーガラスをサンプルの上に置き、1滴の鉱油を加えた。加えて、ヘキサンにおける0.1%(w/v)SPAN85に事前に分散されたサンプルをガラス製スライドガラスに置き、カバーガラスで覆った。像を、Spotソフトウエア(Windows(登録商標)用のv.4.5.9)を使用して周囲温度で取得した。ミクロンバーを粒子サイズのための参照として像の上に加えた。
【0222】
BET表面積:
表面積のデータを、窒素吸収をBET Micrometics Gemini V(11点BET分析)分析計で使用して集めた。サンプルを、少なくとも2時間、真空下で40℃で脱ガスした。SRM1899およびSRM1900を較正標準物として使用した。
【0223】
屈折率測定:
屈折率の測定を、Leica DM LP顕微鏡を使用して行った。サブステージの偏光子を1つだけ使用して、サンプルを調べた。サンプルをガラス製スライドガラスに置き、カバースリップをサンプルの上に置き、1滴の認定されたCargille屈折率油を加えた。ベッケ線の動きを、焦点をサンプルから外しながら観察した。
【0224】
粒子サイズ:
粒子サイズのデータを、Hydro2000μP分散装置を備えるMalvern Instruments MS2000を使用して取得した。データを、体積に基づく測定を使用して、Mastersizer2000v.5.1ソフトウエアにより集め、分析した。NISTの由来追跡可能なガラスビーズを参照標準物として使用した。
【0225】
BL−1020MSA塩の粒子サイズを求めるために選択された最終的な方法条件は下記の通りであった:
サンプル屈折率:1.56;
サンプル吸収:0.1;
分散剤:ヘキサンにおける0.1%(w/v)SPAN85;
分散剤の屈折率:1.39;
ポンプ速度:1000rpm;
再循環時間:10秒;
サンプル測定時間:10秒;
バックグラウンド測定時間:10秒;
超音波処理:10秒(100%の出力);
型式:汎用;
感度:通常
【0226】
嵩密度およびタップ密度:
サンプルを、嵩密度およびタップ密度の分析のためにParticle Technology Labs(PTL)(Downers Grove、IL)に送付した。
【0227】
結果
XRPD:
図2および図3A〜図3Iに示されるように、BL−1020MSA塩のすべての試験ロット(これらは本明細書中では、ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22、同01BIL02−04−22、同01BIL02−05−26、同01CYS02−01−37、同01BIL02−07−34および同01BIL02−06−26として示される)のXRPDパターンは、これらのロット物が結晶性物質を含有することを示す反射の分離を示す。パターンはすべてがピーク位置および相対的ピーク強度に関して互いに類似しており、このことは、これらのサンプルが同じ結晶形であることを示している。
【0228】
代表的なXRPDパターン(ロット06−01915−3について)が、ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22、同01BIL02−04−22および同01BIL02−05−26について図3A〜図3Fにそれぞれ示され、また、ロット01CYS02−01−37、同01BIL02−07−34および同01BIL02−06−26についてのXRPDパターンが図3G〜図3Iに示される。
【0229】
様々なXRPDパターンにおいて認められる観測ピークおよび主立ったピークの表が下記に示される:








【0230】
DVS:
すべてのロットが、5%のRHに平衡化されたとき、1%未満の重量減少を示した(表9を参照のこと)。吸着相の期間中、これらのロットについてのデータは、5%〜55%のRHからのおよそ0.3%〜1.6%の重量増大を示し、その後、55%〜95%のRHからの少なくとも69.9%の重量増大を示した。サンプルは、55%のRHから95%のRHまで平衡に達しなかった。また、サンプルは吸着相の期間中に潮解した。サンプルは、吸着相の期間中に得たすべての重量が失われなかったので(約5%)、脱離相の期間中に著しいヒステリスを示した。これは、ガラス物質または油状物質が潮解後に形成されたためであるかもしれない。代表的なDVSグラフが図4に示される。

【0231】
光学顕微鏡観察での評価:
一般的な光学顕微鏡観察での観察に基づいて、ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22、同01BIL02−04−22、同01BIL02−05−26についての物質は、針状物、および、消光を伴う複屈折を示す球晶破砕物からなった。ロット01BIL02−05−26の物質は、ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22および同01BIL02−04−22よりも大きい集塊化を示した。
【0232】
代表的な顕微鏡写真が図5A(ロット01BIL02−04−22について)および図5B(ロットBIL02−05−26について)に示される。
【0233】
BET表面積:
ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22および同01BIL02−04−22についての表面積の結果は4.57m/g〜4.93m/gの範囲であった。それらの結果が下記の表8にまとめられる。ロットBIL02−05−26についての結果は、(光学顕微鏡観察で認められるように)おそらくは増大した集塊化のために、より低く、2.67m/gであった(図5Bを参照のこと)。

【0234】
嵩密度およびタップ密度:
ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22および同01BIL02−04−22についての嵩密度およびタップ密度の結果が下記の表11に示され、(嵩密度が)0.13g/ml〜0.18g/mlの範囲であり、(タップ密度が)0.22g/ml〜0.26g/mlの範囲であった。ロット01BIL02−05−26、同01BIL02−06−26および同01BIL02−07−23についての結果はより大きく、(嵩密度が)0.22g/ml〜0.28g/mlの範囲であり、(タップ密度が)0.32g/ml〜0.37g/mlの範囲であった。これらのロットについてのより大きい密度は、光学顕微鏡写真に示される増大した集塊化/異なる粒子形状のためである可能性が高い。

【0235】
粒子サイズサンプル分析:
BL−1020MSA塩の屈折率を、ベッケ線法を使用して微視的に測定し、粒子サイズ分析の目的のために1.56であることが明らかにされた。
【0236】
すべてのロットの粒子サイズの測定を、同じ方法条件(分散媒体としてヘキサンにおける0.1%のSPAN85において、10秒間の超音波処理、1000rpmのポンプ速度および90秒間の再循環時間)を使用して行った。d10値、d50値およびd90値に関しての粒子サイズ分布分析の結果が下記の表12にまとめられる。
【0237】
ロット06−01915−3、同01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22、同01BIL02−04−22についてのデータは、1μm未満の微細物のテール部分およびおよそ100μmまでの粒子サイズを伴う主として単峰型の分布を示した。しかしながら、ロット06−01915−3についてのデータは、ロット01BIL02−01−22、同01BIL02−02−22、同01BIL02−03−22、同01BIL02−04−22よりも大きい粒子サイズ(d10、d50およびd90)の傾向を示した。
【0238】
ロット01BIL02−05−26についてのデータは、それ以外のロットと比較して多分散型であり、0.4μm〜1000μm超の全体的粒子サイズ範囲を有した。このことは、集塊物がより硬く(縮合し)、破砕していないことを示唆する。

【0239】
試験されたBL1020MSA塩についてのさらなる特徴づけるデータが米国仮特許出願第61/307481号(2010年2月24日出願)に示される(これは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって組み込まれる)。
【0240】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0241】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のうちの少なくとも1つにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物:
(a)図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターン;および
(b)吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)。
【請求項2】
前記吸熱ピークは約214℃に存在する、請求項1に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項3】
図2に示されるピークの少なくとも6つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項1又は2に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項4】
図2に示されるピークの少なくとも7つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項1〜3のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項5】
図2に示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項1〜4のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項6】
図3A〜図3Fに示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項1〜5のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項7】
図2に示されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項8】
図2に示されるピークの少なくとも6つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項7に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項9】
図2に示されるピークの少なくとも7つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項7に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項10】
図2に示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項7に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項11】
2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2である群から選択されるピークの少なくとも5つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項12】
2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2である群から選択されるピークの少なくとも6つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項11に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項13】
2Θ値(度の単位で)が、約4.7、5.4、6.4、7.8、12.8、14.0、15.3、15.7、16.0、16.1、16.9、17.7、18.0、19.7、20.0、20.6、21.0および21.2である群から選択されるピークの少なくとも7つを示すX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、請求項11に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項14】
図3A〜図3Iに示されるXRPDパターンの1つまたは複数と実質的に同一であるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項15】
吸熱ピークを約209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)より特徴づけられるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項16】
前記吸熱ピークは約214℃に存在する、請求項15に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項17】
HPLC面積百分率測定によって決定される場合、99%を超える純度を有する、請求項1〜16のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項18】
平均粒子サイズが100ミクロン未満である、請求項1〜16のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項19】
前記平均粒子サイズが10ミクロン未満である、請求項18に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項20】
一般には、針状物、および、消光を伴う複屈折を示す球晶破砕物として形状化される、請求項1〜16のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項21】
一般には、針状物として形状化される、請求項1〜16のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項22】
2.5m/gよりも大きい表面積により特徴づけられる、請求項1〜16のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項23】
4.5m/g〜5m/gの範囲の表面積により特徴づけられる、請求項22に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項24】
N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させることによって調製される、請求項1〜23のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれかに記載の結晶性形態物を調製する方法であって、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させ、それにより、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物を生じさせることを含む方法。
【請求項26】
前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートはt−ブトキシカルボニルをN−保護基として含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記反応させることは、
(i)前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートをアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物に溶解すること、および
(ii)アセトニトリルにおけるメタンスルホン酸の溶液をアセトニトリルおよび酢酸ブチルの前記混合物における前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの溶液に加えること
によって行われる、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
アセトニトリルおよび酢酸ブチルの前記混合物における前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの溶液は約40℃に加熱される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物を反応混合物から単離することをさらに含む、請求項25〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラート塩を精製することをさらに含む、請求項25〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製する方法であって、N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートと、メタンスルホン酸とを、溶媒としてアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物の存在下で反応させ、それにより、ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを調製することを含む方法。
【請求項32】
前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートはt−ブトキシカルボニルをN−保護基として含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記反応させることは、
(i)前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートをアセトニトリルおよび酢酸ブチルの混合物に溶解すること、および
(ii)アセトニトリルにおけるメタンスルホン酸の溶液をアセトニトリルおよび酢酸ブチルの前記混合物における前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの溶液に加えること
によって行われる、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
アセトニトリルおよび酢酸ブチルの前記混合物における前記N−保護されたペルフェナジン4−アミノブチラートの前記溶液は約40℃に加熱される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを反応混合物から単離することをさらに含む、請求項31〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートを精製することをさらに含む、請求項31〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートは、HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、99%を超える純度を有する、請求項31〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
ペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物を調製するための請求項31〜36のいずれかに記載の方法であって、前記結晶性形態物が、吸熱ピークを209℃以上において示す示差走査熱量測定法(DSC)により特徴づけられる、方法。
【請求項39】
HPLC測定における面積百分率によって決定される場合、99%を超える純度を有する、請求項31〜35に記載の方法によって調製されるペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラート。
【請求項40】
請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物および医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
【請求項41】
包装材で包装され、かつ、CNS疾患またはCNS障害の処置における使用のために前記包装材の中または表面において印刷で特定される、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
CNS疾患またはCNS障害の処置において使用されるためのものである、請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項43】
医薬品として使用されるためのものである、請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項44】
前記医薬品は、CNS疾患またはCNS障害を処置するためのものである、請求項43に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物。
【請求項45】
CNS疾患またはCNS障害を処置するための医薬品の調製における、請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物の使用。
【請求項46】
CNS疾患またはCNS障害を処置する方法であって、請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、CNS疾患またはCNS障害を処置することを含む方法。
【請求項47】
前記CNS疾患またはCNS障害は統合失調症である、請求項44もしくは46に記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物、請求項43に記載の医薬組成物、請求項47に記載の使用、又は請求項48に記載の方法。
【請求項48】
認知機能の改善のための医薬品の調製における、請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物の使用。
【請求項49】
認知機能を改善する方法であって、請求項1〜24のいずれかに記載のペルフェナジン4−アミノブチラートトリメシラートの結晶性形態物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、認知機能を改善することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A−3B】
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【図3C−3D】
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【図3E−3F】
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【図3G−3H】
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【図3I】
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【図4】
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【図5A−5B】
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【図6A−6B】
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【公表番号】特表2013−520488(P2013−520488A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554446(P2012−554446)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000915
【国際公開番号】WO2011/104637
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(501177609)ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.
【出願人】(503437093)バル−イラン ユニバーシティ (6)
【出願人】(507402749)バイオラインアールエックス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】