説明

ペレットローダー

【課題】ペレットが、差込管内部でつまることなく輸送されることを可能とする。
【解決手段】エジェクター部1を備える。エジェクター部の噴射ノズルには、圧縮気体発生源8から圧縮気体を供給する気体供給管2が接続される。エジェクター部の吸引口には、差込管4が接続される。この差込管の吸引口40からペレットがエジェクター部へ吸引される。差込管に沿って気体導入管5が設けられ、この気体導入管の一端部が差込管の吸引口近傍から差込管の内部に向けられた開口50を有し、他端から圧縮気体が導入される。エジェクター部の出口部には、輸送管3が接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収納されたペレットを、圧縮気体によって輸送管を通じて所定の場所へ輸送するために使用されるペレットローダーに関する。
【背景技術】
【0002】
容器内に収納されたペレットを所定の場所へ輸送する際、ペレットローダーが用いられる。このペレットローダーとして、圧縮気体を用いるエジェクター方式のものがある(例えば、特許文献1等を参照)。
エジェクター方式のペレットローダーは、図4に示すように、エジェクター部1を備えており、エジェクター部1の噴射ノズル11には、気体供給管2が接続されている。そして、エジェクター部1の吸引口12には、差込管4が設けられ、更にエジェクター部1の出口部14に、輸送管3が接続されるよう構成されている。
このペレットローダーは使用に際して、容器7に収納されたペレット6内に、差込管4が差し込まれる。そして、圧縮気体発生源から圧縮気体が気体供給管2を通じてエジェクター部1内に供給される。それにより、差込管4の吸引口40からペレット6がエジェクター部1へ吸引され、輸送管3を通じて所定の場所へ送り出される。
【特許文献1】特開平10−213100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したエジェクター方式のペレットローダーは構造が簡単であるので、容器内に収納されたペレットを所定の場所へ輸送する際に、従来から多用されている。しかし、小形のペレットローダーは、ペレットを吸引する差込管が細くて長いので、差込管の内部でペレットが絡まってつまることがよくある。
特に、ペレットが、ガラス繊維を含む樹脂体の場合、表面に突き出た繊維先端によって、ペレット状樹脂体同士が絡まってつまり易く、輸送効率を著しく低下させていた。又、差込管は、ペレット状樹脂体と同時に湿った外気も吸引するので、吸引中にペレット状樹脂体が加湿され、加工の際の寸法精度や材質変化に影響を及ぼすという問題もあった。
本発明の課題は、上記の事情に鑑み、差込管内部がつまることなく輸送可能なペレットローダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明に係るペレットローダーは、容器内に収納されたペレットを、圧縮気体によって輸送管を通じて所定の場所へ輸送するために使用されるペレットローダーであって、
エジェクター部と、圧縮気体発生源と、圧縮気体発生源に一端が接続され、他端が前記エジェクター部の噴射ノズルに接続されて、噴射ノズルに圧縮気体を供給する気体供給管と、エジェクター部の吸引口に一端が接続されて吸引口からのび、他端部がペレットをエジェクター部へ吸引するための吸引口を有し、容器内に差し込まれる差込管と、差込管に沿って設けられ、一端部に差込管の吸引口近傍から差込管の内部に向けられた開口を有し、他端から圧縮気体が導入される気体導入管とを備え、エジェクター部の出口部に、輸送管が接続されるよう構成したものである。
ここでペレットは、一般に粒状物、特にペレット状の樹脂、金属等をいい、更に粒状物に紛体を混合したものをいう。そして容器は、堅牢なプラスチック成形品、金属製、柔軟性を有する袋状体等をいう。以下、同様。
【0005】
本発明の好ましい実施例によれば、圧縮気体が、圧縮乾燥気体である。又、差込管が、エジェクター部の噴射ノズルの中心に対して偏心して設けられていることが好ましい。
【0006】
又好ましくは、差込管の吸引口が、差込管の軸方向に対して傾斜して設けられている。更に好ましくは、気体導入管の開口が、気体供給管に設けられた分岐部に接続されている。更に又、容器が、密閉された柔軟性を有する袋状体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ペレットローダーに気体導入管が設けられ、差込管の吸引口から差込管の内部に向けて圧縮気体が導入されるので、ペレットの吸引方向に向かって圧縮気体が供給される。
気体供給管からエジェクターの内部に、圧縮気体が供給されることにより、エジェクター内が負圧になるので、差込管からペレットを吸引する牽引作用が生じる。そして、気体導入管からの圧縮気体によって、差込管内の吸引気流に流体エネルギーが付与されるので、差込管内の略全体にわたって旋回流或いは乱流等の拡散気流が生じる。この拡散気流によって、差込管内のペレットが旋回、分散されながら浮遊して吸引されるので、絡まることなく送り出され、差込管内でつまることがなく、輸送効率、吸引効率をいっそう向上させることができる。
【0008】
又、吸引に伴って容器内から外部へ放出される気体の量に相当する気体が、気体導入管からの圧縮気体で補填される。
従って、ペレット状樹脂体が、乾燥気体からなる雰囲気状態で密閉された容器で収納されており、気体供給管及び気体導入管から乾燥した圧縮気体を送る場合には、湿った空気が差込管内へ導入されることがなく、略完全に乾燥した状態のペレット状樹脂体がプラスチック加工機へ輸送され、加工の際の寸法精度や材質変化の影響が極めて少ない。
そして、容器が密閉された柔軟性を有する袋状体であっても、容器内が負圧にならず、つぶれることがない。
【0009】
更に、差込管の中心軸が、エジェクター部の噴射ノズルの中心に対して偏心して設けられている場合には、負圧室内の気流が、エジェクター部の出口部に向かって旋回されながら送られ、差込管から吸引されたペレットが拡散、分散されながら輸送管へ送られる。これにより、ペレットは、エジェクター内部でつまることなく輸送される。
【0010】
又、差込管の吸引口が、差込管の軸方向に対して傾斜して設けられている場合には、吸引口が側方側に向けられるので、差込管の吸引口を袋状容器の底部に接触して配置することにより、容器内のペレットの全部を確実に送り出すことができる。
【0011】
更に、気体導入管の他端開口が、気体供給管に設けた分岐部に接続される場合には、一つの圧縮気体発生源で、エジェクター部及び気体導入管に圧縮気体が供給されるので、シンプルな構成が実現でき生産効率がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係るペレットローダーについて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るペレットローダーの使用状態を説明するための図である。図2は、ペレットローダーの構成及び動作を説明するための断面図である。図3は、図2のA−A線における一部断面図である。
図1及び図2において、1はエジェクター部であって、このエジェクター部1内には、負圧室10が設けられている。そして、エジェクター部1は、負圧室10内に噴射ノズル11が備えられており、この噴射ノズル11に、気体供給管2が接続されている。エジェクター部1の吸引口12には、ペレット6をエジェクター部1の負圧室10内へ吸引するための差込管4の一端(上端)が接続されている。さらに、エジェクター部1内に、ディフューザー13が設けられており、このディフューザー13には、エジェクター部1の出口部14が設けられている。本実施例では、ペレット6は、ペレット状の樹脂体であるが、金属体や紛体を混合したものでもよい。
【0014】
そして、エジェクター部1の出口部14に、ペレット状樹脂体6をプラスチック加工機9へ送るための輸送管3が接続されている。このプラスチック加工機9は、ペレット樹脂乾燥機、プラスチック成形機、或いはプラスチック押出し機等をいう。気体供給管2の一端(入口)は、コンプレッサー等からなる圧縮気体発生源8に接続されており、この圧縮気体発生源8から、空気や窒素等からなる圧縮気体が、気体供給管2を通じてエジェクター部1の噴射ノズル11へ供給される。
【0015】
そして、気体導入管5が、差込管4に沿って設けられている。この気体導入管5は、他端(上端)がチューブ状の連結パイプ51を介して、気体供給管2の他端(出口)に設けられた分岐路20に接続されている。分岐部20は、エジェクター部1のノズル部11に接続されている。従って、圧縮気体発生源8からの圧縮気体が気体供給管2を通じ、その後この圧縮気体は、分岐路20によって分配され、エジェクター部1と気体導入管5に導入される。
差込管4の他端(下端)は、差込管4の軸方向に対して約30°傾斜して設けられ吸引口40を有する。そして、気体導入管5の一端(下端)が、差込管4の他端と略同じ位置までのび閉じられている。気体導入管5の一端(下端)近傍の側面には、差込管4の吸引口40に向かい合う開口50が設けられている。従って、気体導入管5からの圧縮気体が、開口50から噴出されることにより、差込管4内の略全体にわたって導入される。
【0016】
このペレットローダーを使用する際、先ず容器7内に収納された多数のペレット状樹脂体6内に、差込管4の吸引口40を差し込む。そして、輸送管3の出口部を、プラスチック加工機9のホッパ等に配置する。その後、圧縮気体発生源8を駆動することにより、圧縮気体を、気体供給管2を通じて、エジェクター部1の噴射ノズル11から負圧室10内へ噴射する。それにより、負圧室10内の圧縮気体が、ディフューザー13へ送られて牽引作用が生じ、この牽引作用によって、容器7内のペレット状樹脂体6が、差込管4の吸引口40から負圧室10内へ吸引される。その後、吸引されたペレット状樹脂体6は、エジェクター部1の出口部14から輸送管3を通じて、プラスチック加工機9のホッパ等へ送られる。
【0017】
前記したように、圧縮気体発生源8からの圧縮気体が、気体導入管5の開口50を通じて差込管4の吸引方向に向かって導入される。これにより、差込管4内の吸引気流に流体エネルギーが付与される。この流体エネルギーによって、差込管4内部の略全体にわたって旋回気流或いは乱気流等からなる拡散気流が派生する。従って、差込管4内のペレット状樹脂体6は、この拡散気流にのって旋回、分散されながら浮遊して吸引されるので、差込管4内で絡まってつまることなく送り出される。
本実施例では、エジェクター部1へ導入される圧縮気体の流量が、気体導入管5へ導入される圧縮気体の流量に対して略同一であるが、1.0〜1.6倍であっても同様の拡散作用、輸送効果を奏することが確認されている。
【0018】
更に、圧縮気体が気体導入管5を通じて差込管4内へ導入されるので、差込管4の吸引に伴って容器7内から外部に放出する気体を補うことができ、容器7が気密蓋70で完全な密閉状態であっても負圧にならず、吸引効果は劣らない。
従って、容器7を乾燥気体からなる雰囲気状態で密閉し、乾燥した圧縮気体のみでペレット状樹脂体6をエジェクター部1に吸引して送り出すことにより、略完全に乾燥したペレット状樹脂体6がプラスチック加工機9へ供給され、寸法精度等の悪影響を極めて少なくすることができる。
又、圧縮気体が差込管4内へ導入されることにより、容器7が密閉された柔軟性を有する袋状体であっても、容器7内が負圧にならず、つぶれることがない。
【0019】
さらに、差込管4の吸引口40は、差込管4の軸方向に対して傾斜して設けられており、これにより、吸引口40が側方側に向くので、容器7が柔軟性を有する袋状体であっても、袋が吸引されることなく、ペレット状樹脂体6のみが吸引される。従って、差込管4の吸引口40を、袋状からなる容器7の底に接触させながら吸引することができるので、容器7内のペレット状樹脂体6の全部を確実に輸送することができる。
【0020】
そして、図3の如く、差込管4の中心軸4aは、エジェクター部1の噴射ノズル11の中心11aに対して偏心して設けられている。これによって、負圧室10内の気流が、エジェクター部1の出口部14に向かって旋回されながら送られるので、差込管4から吸引されたペレット状樹脂体6は拡散、分散されながら輸送管3へ送られる。これにより、ペレット状樹脂体6が、エジェクター部1内部でつまることなく輸送される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るペレットローダーの使用状態を説明するための図である。
【図2】ペレットローダーの構成及び動作を説明するための断面図である。
【図3】図2のA−A線における一部断面図である。
【図4】従来のペレットローダーを示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・エジェクター部
11・・・噴射ノズル
12・・・エジェクター部の吸引口
14・・・エジェクター部の出口部
11a・・・噴射ノズルの中心
2・・・気体供給管
20・・・分岐部
3・・・輸送管
4・・・差込管
40・・・吸引口
4a・・・差込管の中心軸
5・・・気体導入管
50・・・気体導入管の開口
6・・・ペレット状樹脂体
7・・・容器
8・・・圧縮気体発生源
9・・・プラスチック加工機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(7)内に収納されたペレット(6)を、圧縮気体によって輸送管(3)を通じて所定の場所(9)へ輸送するために使用されるペレットローダーにおいて、
エジェクター部(1)と、
圧縮気体発生源(8)と、
前記圧縮気体発生源(8)に一端が接続され、他端が前記エジェクター部(1)の噴射ノズル(11)に接続されて、前記噴射ノズル(11)に圧縮気体を供給する気体供給管(2)と、
前記エジェクター部(1)の吸引口(12)に一端が接続されて前記吸引口(12)からのび、他端部が前記ペレット(6)を前記エジェクター部(1)へ吸引するための吸引口(40)を有し、前記容器(7)内に差し込まれる差込管(4)と、
前記差込管(4)に沿って設けられ、一端部が前記差込管(4)の吸引口(40)近傍から前記差込管(4)の内部に向けられた開口(50)を有し、他端から圧縮気体が導入される気体導入管(5)とを備え、
前記エジェクター部(1)の出口部(14)に、前記輸送管(3)が接続されるようになっていることを特徴とするペレットローダー。
【請求項2】
前記圧縮気体が、乾燥された圧縮気体であることを特徴とする請求項1に記載のペレットローダー。
【請求項3】
前記差込管(4)が、前記エジェクター部(1)の噴射ノズル(11)の中心(11a)に対して偏心して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のペレットローダー。
【請求項4】
前記差込管(4)の吸引口(40)が、前記差込管(4)の軸方向に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペレットローダー。
【請求項5】
前記気体導入管(5)の他端が、前記気体供給管(2)に設けられた分岐部(20)に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペレットローダー。
【請求項6】
前記容器(7)が、密閉された柔軟性を有する袋状体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のペレットローダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−1685(P2006−1685A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178607(P2004−178607)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(503021102)五和工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】