説明

ホイール式作業機械の運転室

【課題】下窓からの視界を広げることができるホイール式作業機械の運転室の提供。
【解決手段】ステアリングホイール装置26を支持する支持手段40が、右ピラー30から前窓21と下窓22の境界部23に沿って延びた第1アーム41と、この第1アーム41の終端から運転席25に向かって延びた第2アーム42とを備えている。第1アーム41は右ピラー30に対して固定されている。第1アーム41と第2アーム42との結合部43では、第1アーム41に対して第2アーム42が前窓21に近づく方向(矢印R1方向)へ所定角度だけ回動できるように支持されている。第2アーム42とステアリングコラム28は、前後方向に広がる鉛直面に沿った矢印T方向へ所定角度だけステアリングホイール装置26を回動させることができるように、結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前窓と下窓が設けられている前面と運転席との間にステアリングホイールが配置されているホイール式作業機械の運転室に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイール式作業機械の運転室としては、特許文献1で開示されている従来技術がある。この従来技術では、前窓と下窓が設けられている前面と運転席との間に、ステアリングホイールが配置されている。このステアリングホイール装置の支持手段は、運転室の床に立設された脚部からなっている。
【0003】
この従来技術では、ステアリングホイール装置を支持する支持手段である脚部が、下窓からの視界の妨げになっていた。
【特許文献1】特許第3464623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、従来技術では、ステアリングホイール装置を支持する支持手段である脚部が下窓からの視界の妨げになっていた。この実状に対して、作業機械近傍において作業を行う場合の作業性および安全性の向上、走行時の安全性の向上させるために下窓からの視界を広げることが要望されていた。
【0005】
本発明は、前述の従来技術の実状を考慮してなされたものであり、その目的は、下窓からの視界を広げることができるホイール式作業機械の運転室を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本発明は、運転席と、この運転席の前方に設けられた前窓と、この前窓の下方に設けられた下窓と、ステアリングホイール、および、このステアリングホイールを回転可能に支持する回転支持機構を含むステアリングホイール装置と、このステアリングホイール装置を支持する支持手段とを備えた作業機械の運転室であって、前記支持手段が、運転室の側部から前記運転席の前方に延びた構造になっていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された本発明は、ステアリングホイール装置を支持する支持手段が運転室の側部から運転席の前方に延びた構造になっているので、下窓からの視界を妨げることがなく、ステアリングホイール装置を支持することができる。これにより、下窓からの視界を広げることができる。
【0008】
〔2〕本発明は、「〔1〕」記載の発明において、前記支持手段が、前記側部から前記前窓と前記下窓の境界部に沿って延びた第1アームと、この第1アームの終端から前記運転席に向かって延びた第2アームとを備えていることによって、前記側部から前記運転席の前方に延びた構造になっていて、前記ステアリングホイール装置が、前記第2アームの終端に結合していることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明では、支持手段の一部(第1アーム)が境界部に沿って延びているので、前窓と下窓とを合わせた運転室の前面の窓全体に対して支持手段が視界を妨げる範囲を、狭くすることができる。
【0010】
〔3〕本発明は、「〔2〕」記載の発明において、前記側部に対して前記第1アームが回動に支持されていること、および、前記第1アームに対して前記第2アームが回動可能に支持されていることの少なくともどちらかによって、前記ステアリングホイール装置を前記運転席から離れる方向へ移動させることができるようになっていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明では、運転室外から運転席に移動するためや、運転席から運転室外に移動するための運転席前方の空間を、運転席からステアリングホイール装置を離すことによって広げることができる。これにより、運転室外から運転席への移動、および、運転席から運転室外への移動を行うやすくすることができる。
【0012】
〔4〕本発明は、「〔3〕」記載の発明において、前記ステアリングホイール装置が前記運転席から離れた所定位置にある状態で、前記ステアリングホイールの径方向を前記前窓の広がっている方向とほぼ平行にすることができるように、前記支持手段が構成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成した本発明では、「〔3〕」記載の発明よりも、運転室外から運転席に移動するためや、運転席から運転室外に移動するための運転席前方の空間を、広くすることができる。
【0014】
〔5〕本発明は、「〔2〕」〜「〔4〕」のいずれか1項に記載の発明において、前記第1アームと前後方向において重なるように、モニタが設けられていることを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明では、支持手段の一部(第1アーム)とモニタとによって前窓や下窓からの視界が妨げられる範囲を、狭くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のホイール式作業機械の運転室は、前述したように下窓からの視界を広げることができる。これにより、作業機械近傍において作業を行う場合の作業性および安全性の向上、走行時の安全性の向上に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のホイール式作業機械の運転室の実施形態について説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
第1実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明のホイール式作業機械の運転室の第1実施形態を備えたホイール式作業機械の一例であるホイール式ショベルの左側面図である。図2は第1実施形態の内部の様子を示す断面図である。図3は運転席側から見た第1実施形態の要部を示す概略図、図4は上方から見た第1実施形態の要部を示す概略図である。図5は第1実施形態に備えられている支持手段の第2アームを回動させた状態を示す図である。図6は第1実施形態に備えられているステアリングホイール装置の径方向が前窓の広がる方向と平行になるように、ステアリングホイール装置が回動された状態を示す図である。
【0019】
図1において、1は前輪2、後輪3、操舵機構(図示しない)等を備えているホイール式走行体であり、4はホイール式走行体1上に旋回可能に設けられる旋回体である。旋回体4の左前部には運転室20が設けられている。この運転室20の右側方であって旋回体4の前部中央には、フロント作業機5が設けられている。このフロント作業機5は、旋回体4に上下方向へ回動可能に結合したブーム6と、このブーム6に回動可能に結合したアーム7と、このアーム7に回動可能に結合したバケット8とを備えている。ブーム6、アーム7およびバケット8は油圧シリンダ9〜11のそれぞれにより駆動されるようになっている。
【0020】
第1実施形態は前記運転室20である。図2に示すように、運転室20の前面には、前窓21と下窓22が設けられている。運転室20には運転席25が設置されている。運転室20の前方にはステアリングホイール装置26が配置されている。ステアリングホイール装置26は、ステアリングホイール27と、このステアリングホイール27を回転可能に支持する回転支持機構(図示しない)を内蔵したステアリングコラム28とを備えている。
【0021】
運転席25の両側方には、フロント作業機5や旋回体4を操作するための操作レバー29(左側方のもののみ図示してある)が設けられている。
【0022】
運転室20は、ステアリングホイール装置26を支持する支持手段40を備えている。この支持手段40は、図2〜4に示すように、運転室20の側部、例えば乗降ためのドア24(図1参照)が設けられていない右側部における右ピラー30から前窓21と下窓22の境界部23に沿って延びた第1アーム41と、この第1アーム41の終端から運転席25に向かって延びた第2アーム42とを備えていることによって、右ピラー30から運転席25の前方に延びた構造となっている。ステアリングホイール装置26は、第2アーム42の終端に結合している。
【0023】
第1アーム41は右ピラー30に固定されている。第1アーム41と第2アーム42との結合部43では、ステアリングホイール装置26を前方斜め上方へ移動させることができるように、第1アーム41に対して第2アーム42が前後方向に広がる鉛直面に沿って前窓21に近づく方向(図5の矢印R1方向)へ回動可能に支持されている。つまり、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができるようになっている。
【0024】
第2アーム42とステアリングコラム28との結合部44では、図4に示すように、第2アーム42に対してステアリングコラム28が運転室20の前後方向に広がる鉛直面に沿った矢印T方向へ回動可能に支持されている。ステアリングコラム28の矢印T方向への回動角度の限界は、第2アーム42が矢印R1方向へ所定角度だけ回動した状態において、ステアリングホイール27の径方向が前窓21の広がっている方向とほぼ平行になる角度に設定されている。つまり、ステアリングホイール装置26が運転席25から離れた所定位置にある状態で、ステアリングホイール27の径方向を前窓21の広がっている方向とほぼ平行にすることができるように、支持手段40が構成されている。
【0025】
第1アーム41と第2アーム42との結合部43には、運転時の位置として予め決められた位置にステアリングホイール27を配置する運転姿勢(図2〜4に示す姿勢)となった第2アーム42をロックするロック機構(図示しない)と、運転姿勢から矢印R1方向へ所定角度だけ回動した図6に示す退避姿勢(図6に実線で示す姿勢)となった第2アーム42をロックするロック機構(図示しない)とが設けられている。
【0026】
第2アーム42とステアリングコラム28との結合部44には、運転時の位置として予め決められた位置にステアリングホイール27を配置する運転姿勢(図2〜4に示す姿勢)となったステアリングコラム28をロックするロック機構(図示しない)と、ステアリングホイール27の径方向が前窓21の広がっている方向とほぼ平行になる角度まで回動した状態である退避姿勢(図6で実線で示す姿勢)となったステアリングコラム28をロックするロック機構(図示しない)とが設けられている。
【0027】
運転室20は、ホイール式ショベルの各種設定内容を表示するためのモニタ31を備えている。このモニタ31は第1アーム41と運転室20の前後方向において重なるように設けられている。
【0028】
図7はステアリングホイール装置によりステアリングシリンダを操作するためのシステムを示す油圧回路図である。
【0029】
図7において、50は前記操舵機構の駆動源であるステアリングシリンダであり、51はステアリングシリンダ50に供給する圧油を吐出する油圧ポンプであり、52は油圧ポンプ51からステアリングシリンダ50へ供給される圧油の流れを制御する電気制御可能なステアリングバルブである。また、53は、ステアリングホイール27の回転角度に相応する検出信号(電気信号)を出力するポテンショメータであり、54はステアリングバルブ52を制御するコントローラ54である。
【0030】
ポテンショメータ53は、ステアリングコラム28内に格納されている。ポテンショメータ53から導出される信号線および電力線は、図示しないが支持手段40の表面に沿って配線されている。なお、支持手段40を構成する第1,第2アーム41,42および結合部43、44を中空に形成して、これら第1,第2アーム41,42および結合部43、44の内部に信号線および電力線を通して配線してもよい。
【0031】
コントローラ54は、ポテンショメータ53からの検出信号に応じてステアリングバルブ52の電磁駆動部52a,52bに制御信号(電気信号)を与えるように設定されている。このコントローラ54は、図示しないが運転席25の下部後方に設置されている。
【0032】
このように構成された第1実施形態は次のように使用される。
【0033】
<運転時>
ホイール式ショベルを運転する際、オペレータは第2アーム42、ステアリングコラム28をそれぞれ運転姿勢にして、その状態の第2アーム42およびステアリングコラム28をロック機構によりロックする(図2参照)。
【0034】
ホイール式ショベルの始動後、オペレータがステアリングホイール27を左回りや右回りに回転させると、そのときのステアリングホイール27の回転角度がポテンショメータ53により検出され、このポテンショメータ53がその回転角度に相応する検出信号を出力する。
【0035】
コントローラ54は、ポテンショメータ53により出力された検出信号に応じた制御信号を、ステアリングバルブ52の電磁駆動部52aまたは52bに与える。これにより、油圧ポンプ51からステアリングバルブ52を介してステアリングシリンダ50に導かれる圧油の流れが制御され、ステアリングシリンダ50のピストンロッド50aの変位方向および変位量が制御される。この結果、ステアリングホイール27の回転角度に応じてホイール式走行体1が操舵される。
【0036】
<非運転時>
運転室20から出る際、オペレータは、運転姿勢になっている第2アーム42およびステアリングコラム28のそれぞれのロックを解除し、第2アーム42およびステアリングコラム28を、それぞれが退避姿勢になるように動かす。つまり、第2アーム42を矢印R1方向に限界角度まで回動させ、また、ステアリングコラム28を矢印T方向へ限界角度まで回動させて、それぞれをロック機構によりロックする(図5,6参照)。
【0037】
第1実施形態によれば次の効果を得られる。
【0038】
第1実施形態では、ステアリングホイール装置26を支持する支持手段40が運転室20の側部から運転席の前方に延びた構造となっているので、下窓22からの視界を広げることができる。これにより、ホイール式ショベルの近傍において作業を行う場合の作業性および安全性の向上、走行時の安全性の向上に貢献できる。
【0039】
第1実施形態では、支持手段40が運転室20の側部から前窓21と下窓22の境界部に沿って延びた第1アーム41と、この第1アーム41の終端から運転席25に向かって延びた第2アーム42とを備えていて、ステアリングホイール装置26が、第2アーム42の終端に結合している。つまり、支持手段40の一部(第1アーム41)が境界部に沿って延びているので、前窓21と下窓22とを合わせた運転室20の前面の窓全体に対して支持手段40が視界を妨げる範囲を、狭くすることができる。
【0040】
第1実施形態では、第2アーム42を前後方向に広がる鉛直面に沿って前窓21に近づく方向(矢印R1方向)へ回動させることによって、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができる。これにより、運転室20外から運転席25に移動するためや、運転席25から運転室20外に移動するための運転席25前方の空間を、運転席25からステアリングホイール装置26を離すことによって広げることができる。この結果、運転室20外から運転席25への移動、および、運転席25から運転室20外への移動を行うやすくすることができる。
【0041】
第1実施形態では、第2アーム42が退避姿勢となった状態におけるステアリングコラム28の姿勢を、ステアリングホイール27の径方向が前窓21の広がっている方向とほぼ平行になる退避姿勢にすることができる。これによっても、運転室20外から運転席25に移動するためや、運転席25から運転室20外に移動するための運転席25前方の空間を、広くすることができる。
【0042】
第1実施形態では、第1アーム41と運転室の前後方向において重なるように、モニタ31が設けられている。これにより、支持手段40の一部(第1アーム41)とモニタ31とによって前窓21や下窓22からの視界が妨げられる範囲を、狭くすることができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について図を用いて説明する。図8は運転席側から見た第2実施形態の要部を示す概略図である。図8において、図3に示したものと同等のものに対しては、図3に付した符号と同じ符号を付してある。
【0044】
図8に示すように、第2実施形態は、第1実施形態における支持手段40の替わりに、支持手段60を備えている。この支持手段60は、第1実施形態と同様に配置される第1,第2アーム61,62を備えている。この支持手段60では、第1実施形態における支持手段60と異なり、第2アーム62が第1アーム61に対して回動不能に結合している。ステアリングコラム28が第2アーム62に対して回動不能に結合している。
【0045】
支持手段60では、第1実施形態おける支持手段40と異なり、第1アーム61が右ピラー30に対して、左右方向に広がる鉛直面に沿って右斜め上方(矢印R2方向)へ回動可能に支持されている。さらに、支持手段60では、運転時の位置として予め決められた位置にステアリングホイール27を配置する運転姿勢(図8に実線で示す姿勢)となった第1アーム61をロックするロック機構(図示しない)と、運転姿勢から矢印R2方向へ所定角度だけ回動して退避姿勢(図8に2点鎖線で示す姿勢)となった第1アーム61をロックするロック機構(図示しない)とが、第1アーム61と右ピラー30との結合部63に設けられている。
【0046】
このように構成された第2実施形態によれば次の効果を得られる。
【0047】
第2実施形態では、第1実施形態と同様の理由で、下窓22からの視界を広げることができる。これにより、ホイール式ショベルの近傍において作業を行う場合の作業性および安全性の向上、走行時の安全性の向上に貢献できる。
【0048】
第2実施形態では、第1実施形態と同様の理由で、前窓21と下窓22とを合わせた運転室20の前面の窓全体に対して支持手段60が視界を妨げる範囲を、狭くすることができる。
【0049】
特に第2実施形態では、第1アーム61を左右方向に広がる鉛直面に沿って右斜め上方(矢印R2方向)へ回動させることによって、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができる。これにより、運転室20外から運転席25に移動するためや、運転席25から運転室20外に移動するための運転席25前方の空間を、運転席25からステアリングホイール装置26を離すことによって広げることができる。この結果、運転室20外から運転席25への移動、および、運転席25から運転室20外への移動を行うやすくすることができる。
【0050】
〔第3実施形態〕
第3実施形態について図を用いて説明する。図9は運転席側から見た第3実施形態の要部を示す概略図である。図9において、図4に示したものと同等のものに対しては、図4に付した符号と同じ符号を付してある。
【0051】
図9に示すように、第3実施形態は、第1実施形態における支持手段40の替わりに、支持手段70を備えている。この支持手段70は、第1実施形態と同様に配置される第1,第2アーム71,72を備えている。この支持手段70では、第1実施形態における支持手段40と異なり、第2アーム72に対してステアリングコラム28が回動不能に結合している。
【0052】
支持手段70では、第1実施形態における支持手段40と異なり、第2アーム72が第1アーム71に対して、水平面に沿って斜め前方(矢印R3方向)へ回動可能に支持されている。さらに、支持手段70では、運転時の位置として予め決められた位置にステアリングホイール27を配置する運転姿勢(図9に実線で示す姿勢)となった第2アーム72をロックするロック機構(図示しない)と、運転姿勢から矢印R3方向へ所定角度だけ回動して退避姿勢(図9に2点鎖線で示す姿勢)となった第2アーム72をロックするロック機構(図示しない)とが、第1アーム71と第2アーム72との結合部73に設けられている。
【0053】
第3実施形態では、第1実施形態と同様の理由で、下窓22からの視界を広げることができる。これにより、ホイール式ショベルの近傍において作業を行う場合の作業性および安全性の向上、走行時の安全性の向上に貢献できる。
【0054】
第3実施形態では、第1実施形態と同様の理由で、前窓21と下窓22とを合わせた運転室20の前面の窓全体に対して支持手段70が視界を妨げる範囲を、狭くすることができる。
【0055】
特に第3実施形態では、第2アーム72を水平面に沿って斜め前方(矢印R3方向)へ回動させることによって、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができる。これにより、運転室20外から運転席25に移動するためや、運転席25から運転室20外に移動するための運転席25前方の空間を、運転席25からステアリングホイール装置26を離すことによって広げることができる。この結果、運転室20外から運転席25への移動、および、運転席25から運転室20外への移動を行うやすくすることができる。
【0056】
なお、前述したように、第1実施形態では、第1アーム41に対して第2アーム42が矢印R1方向へ回動可能に支持されていることよって、第2実施形態では、第1アーム61が右ピラー30に対して矢印R2方向へ回動可能に支持されていることによって、第3実施形態では、第1アーム71に対して第2アーム72が矢印R2方向へ回動可能に支持されていることによって、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができるようになっている。つまり、第1アームが右ピラー30に回動可能に支持されていること、および、第1アームに対して第2アームが回動可能に支持されていることのいずれか一方のみによって、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができるようになっている。本発明はこれに限るものではなく、第1アームが右ピラー30に回動可能に支持されていること、および、第1アームに対して第2アームが回動可能に支持されていることの両方によって、ステアリングホイール装置26を運転席25から離れる方向へ移動させることができるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のホイール式作業機械の運転室の第1実施形態を備えたホイール式作業機械の一例であるホイール式ショベルの左側面図である。
【図2】第1実施形態の内部の様子を示す断面図である。
【図3】運転席側から見た第1実施形態の要部を示す概略図である。
【図4】上方から見た第1実施形態の要部を示す概略図である。
【図5】第1実施形態に備えられている支持手段の第2アームを回動させた状態を示す図である。
【図6】第1実施形態に備えられているステアリングホイール装置の径方向が前窓の広がる方向と平行になるように、ステアリングホイール装置が回動された状態を示す図である。
【図7】ステアリングホイール装置によりステアリングシリンダを操作するためのシステムを示す油圧回路図である。
【図8】運転席側から見た第2実施形態の要部を示す概略図である。
【図9】上方から見た第3実施形態の要部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ホイール式走行体
2 前輪
3 後輪
4 旋回体
5 フロント作業機
6 ブーム
7 アーム
8 バケット
9〜11 油圧シリンダ
20 運転室
21 前窓
22 下窓
23 境界部
24 ドア
25 運転席
26 ステアリングホイール装置
27 ステアリングホイール
28 ステアリングコラム
29 操作レバー
30 右ピラー
31 モニタ
40 支持手段
41 第1アーム
42 第2アーム
43 結合部
44 結合部
50 ステアリングシリンダ
50a ピストンロッド
51 油圧ポンプ
52 ステアリングバルブ
52a,52b 電磁駆動部
53 ポテンショメータ
54 コントローラ
60 支持手段
61 第1アーム
62 第2アーム
63 結合部
70 支持手段
71 第1アーム
72 第2アーム
73 結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席と、この運転席の前方に設けられた前窓と、この前窓の下方に設けられた下窓と、ステアリングホイール、および、このステアリングホイールを回転可能に支持する回転支持機構を含むステアリングホイール装置と、このステアリングホイール装置を支持する支持手段とを備えた作業機械の運転室であって、
前記支持手段が、運転室の側部から前記運転席の前方に延びた構造となっていることを特徴とするホイール式作業機械の運転室。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、
前記支持手段が、前記側部から前記前窓と前記下窓の境界部に沿って延びた第1アームと、この第1アームの終端から前記運転席に向かって延びた第2アームとを備えていることによって、前記側部から前記運転席の前方に延びた構造になっていて、
前記ステアリングホイール装置が、前記第2アームの終端に結合していることを特徴とするホイール式作業機械の運転室。
【請求項3】
請求項2記載の発明において、
前記側部に対して前記第1アームが回動可能に支持されていること、および、前記第1アームに対して前記第2アームが回動可能に支持されていることの少なくともどちらかによって、前記ステアリングホイール装置を前記運転席から離れる方向へ移動させることができるようになっていることを特徴とするホイール式作業機械の運転室。
【請求項4】
請求項3記載の発明において、
前記ステアリングホイール装置が前記運転席から離れた所定位置にある状態で、前記ステアリングホイールの径方向を前記前窓の広がっている方向とほぼ平行にすることができるように、前記支持手段が構成されていることを特徴とする作業機械の運転室。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の発明において、
前記第1アームと前後方向において重なるように、モニタが設けられていることを特徴とするホイール式作業機械の運転室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−144524(P2008−144524A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335013(P2006−335013)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】