説明

ホウ素化金属フタロシアニン、その調製方法、これを有する薬学的組成物及びその使用方法

本発明は、ホウ素異性体である11B又は10Bを含む置換基がその核の周辺位置に共有結合されこの置換基を含むメタ−1−フタロシアニン類に係り;さらに、本発明は、その調製方法、これらを有する薬学的組成物及び新生物及び異形成病態の処置への使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属−フタロシアニン核の周辺位置に共有結合されたホウ素異性体11B又は10Bを含む置換基を少なくとも一個有する金属−フタロシアニン類に係り;さらに、本発明は、その調製方法、これらを有する薬学的組成物及び新生物及び異形成病態の処置への使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
光の照射により光活性化される、反磁性金属で複合化され適切な置換基を含むフタロシアニン多環類に由来する有機分子が反応性酸素種(ROS)を発生し得ることは知られている。
【0003】
治療目的で開発されたこのような化合物は、近年、本願出願人により科学論文及び特許文献1乃至3に広く記述されており、これらでは、微生物の感染、腫瘍、及び増殖性病態の光動態的治療とともに光治療(photodiagnosis)並びにex vivoでの滅菌手法への上述の分子の使用が、上述の標的への個々に異なる選択性に従って、特許請求の範囲として記載されている。
【0004】
上述の各特許文献に記載の誘導体は、一重項酸素の高い産生量と、可視スペクトルの赤色領域における高い吸光度と、局所投与に適した水性溶媒又は所望する最適な溶解度とを有する。その側鎖は、光感受性の有効性に必要な物理化学的特性と、その製品の高い生物学的利用能と、誘導体の速い代謝性と、標的部位における活性分子の最適な局在性に関する最終的なクリアランスとを提供し、これにより、これらの毒性を制限する。また、光との相互作用の後に元の誘導体の光分解工程に由来する可能性のある副産物は、毒性を示さず、且つ光動態的処理の後にそれらのクリアランスを促進可能であり、可能性のある遅延した光毒性に起因する皮膚毒性障害を制限することは、留意するに値するものである。
【0005】
さらに、特に、Boron Neutron Capture Therapy (ホウ素中性子捕獲療法;以下、BNCTと称する。)など、活動性新生物及び異形性病態(displastic pathologies)の処理用の治療は、近年述べられており、熱中性子とともに非放射性同位体である10Bの投与に基づく。上述の先行技術で報告されているように、(非放射性の)10B同位体と熱中性子との相互作用により、He(α粒子)及びLiなど、高いエネルギー伝達性の粒子を産生し、細胞レベルでのイオン化工程を介して細胞障害を引き起こす。上述の分裂フラグメントは哺乳細胞の平均径と同等の平均自由行路を有するので、腫瘍や過形成細胞の不活化におけるBNCT治療の成功は、ホウ素原子の細胞内濃度が十分高くなる可能性、つまり、新生物又は異形性組織において、それらに結合するキャリアの局在化の結果、に依存する。
【0006】
腫瘍への標的化の選択性を有するキャリアに結合された10B同位体誘導体は、非特許文献1乃至4に述べられている;これらの文献において、BNCT処置の点でフタロシアニン及びポルフィリン誘導体の有効性が示されている。
【0007】
さらに、非特許文献5では、単一のホウ素クラスター(アンデカ−クロソ−ドデカボロメルカプトカルボニルフェノキシ(undecahydro−closo−dodecaboromercaptocarbonylphenoxy))置換基を有する単置換の亜鉛フタロシアニンの合成について述べられており、この製品の局在化は、フタロシアニン残基と置換基であるホウ素誘導体との最適値に起因して特に有効であることが見出された。この化合物は、顕著な生物学的特性と、光導体的有効性とを示すが、腫瘍細胞に運搬されるホウ素の量はBNCT処置が有効となるのに必要なホウ素の最小投与量、つまり、組織g当たり20μg、よりも少ないことが証明された。
【0008】
上述の記載事項によると、腫瘍細胞組織又は細胞の過形成を特徴とするその他の病態に影響を受ける領域において適切なホウ素濃度を提供するように、光動態的に促進した特性と特定の細胞内及び細胞外取込との両方の特性を有し十分な数のホウ素原子を有する置換基を含む製品の利用能に係る強い要求が存在する;このような化合物により、上述の処置に関連した選択的で活性を有するという全ての利点を有するPDT及びBNCTに係る連続的な適用を可能とする(非特許文献6参照)。この目的に対して、11Bでホウ素化された誘導体に対応する調製物もまた、以下の理由で非常に重要である:つまり、1)10Bの中間体は非常に効果的であり見出し難いので、天然の同位体を豊富に有する製品において、合成方法を最適化する必要があり;2)組織への蓄積や、生物学的障壁の透過性や、代謝経路の同定など多くの生物学的実験は、先だって11Bでホウ素化された誘導体を用いて実行され得るし;3)11Bを有するフタロシアニン類は、それ自体、PDTへの応用に関して有用な光感受性剤である;という点である。
【特許文献1】米国特許第5,965,598号明細書
【特許文献2】欧州特許出願番号第906758号明細書
【特許文献3】欧州特許第1164135号明細書
【非特許文献1】Stephan B. Kahlら著、Inorg.Chem.35巻、3878〜3880頁、1996年
【非特許文献2】M.G.Vicenteら著、Tetrahedron Letters、41巻、7623〜7627頁、2000年
【非特許文献3】Spryshkova R.ら著、Frontiers in Neutron Capture Therapy、1027〜1032頁、2001年
【非特許文献4】Bregadze V.I.著、Journal Porphyrin and Phthalocyanine、5巻、767〜781頁、2001年
【非特許文献5】Fabris C.ら著、J.Photochem.Phobiol.、64巻、1〜7頁、2001年
【非特許文献6】Hill J.S.ら著、Proc.Natl.Acad.Sci. USA、92巻、12126〜12130頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願出願人が驚くべきことに発見したのは、ホウ素の同位体である10Bを有する8つの末端置換基を含む新規のホウ素化された金属フタロシアニン類は、BNCT及びPDTの両方に適用し得る製品として使用され得る点である。これらの製品は、高い光導体的有効性と急速に増殖する細胞における選択的な高い取込性とを示しつつ、腫瘍細胞においてBNCT処理の成功に必要な最小限の投与量よりも大きな量のホウ素を運搬し得る。この発見は、上述の先行技術及びノウハウの観点からは期待し得ないものであって、一つのホウ素クラスター置換基(アンデカ−クロソ−ドデカボロメルカプトカルボニルフェノキシ)のみを有するフタロシアニン誘導体に関して、良好な取込と局在化特性と共に最適な光動態的特性とを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題は、従って、以下の一般式(I)に示す化合物と薬学的に許容可能な塩とからなる化合物である:
【0011】
【化4】

ここで、Meは、Zn、AlOR及びSi(OR)からなる群から選択されるものであって、Rは、H及びC1〜15のアルキル基からなる群から選択されるものであり、R、R、R及びRは、互いに同一又は異なって、水素、及び(G)−(X)−(Y−Z)から選択され、Gは、O、S、SO、CH及びNからなる群から選択され;Xは、フェニル、直鎖又は分岐のC1〜10のアルキル、C1〜10のアルケニル及びC1〜10のアルキニルからなる群から選択され;Yは、S、(CH、フェニル、O−(CH、(CH−O−、(CHCHO)、CONH、NHCO、COO、COS、及び3−メルカプト−ピロリジン−2,5−ジオンからなる群から選択され;Zは、11B−(o,m,p−カルボラン)、11B−ウンデカヒドロドデカボロメルカプチル、11B−ウンデカヒドロドデカボレート、10B−(o,m,p−カルボラン)、10B−ウンデカヒドロドデカボロメルカプチル、及び10B−ウンデカヒドロドデカボレートからなる群から選択され;nは、1〜10の整数であり;sは、0又は1であり;tは、0又は1であり;uは、1〜3の整数であり;R、R、R及びRのうち少なくとも1つが水素とは異なり且つR、R、R及びRのうち少なくとも1つが水素である場合、uは1とは異なる。
【0012】
本発明のさらなる主題は、以下の一般式(II)に示す中間体、上述の式(I)の化合物の調製方法、これらを有する薬学的組成物及びPDT及び/又はBNCT治療へのこれらの使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の特徴及び利点を、以下の記述にて詳細に示す。
【0014】
本発明は、上述の一般式(I)に示す化合物により上述の要件を満たすことを可能とする。
【0015】
この化合物の分子構造から期待される事項とは逆で、in vivoでの安定性と、光動態的特性と、腫瘍での局在化の特性とを減弱させることにより、側鎖の数及び/又は嵩高さが上述のフタロシアニンの多環構造の最適な挙動に影響し得る点を考慮すると、本願出願人が驚くべきことに発見したのは、本発明の上述の主体が、光感受性特性、特には波長、蛍光強度、一重項酸素の産生量、及び分子の減衰係数にリンクされた物理化学的特性を保持することである。上述の製品は、また、全身投与後に腫瘍に効果的に局在可能であり、且つPDT及びBNCTの両者に対して、処置の難しい、色素性メラノーマなどの腫瘍を効果的に感受的とし得る。
【0016】
上述の多環構造の末端位置において少なくとも2つ以上の11B又は10B同位体クラスターを含む少なくとも1つの置換基の存在により、最適な特性を提供しつつ、モデル細胞で算定された細胞局在化に影響を及ぼさず、且つ光分解工程にも影響を及ぼさない。
【0017】
上述の製品により、共同作用効果に関し、健常な細胞へ影響を与えることなく、治療標的における特異的な毒性を実質的に向上させることが可能となる。従って、細胞は、上述のフタロシアニンに関連した光動態的機構を介して不活性化されてもよく、且つフタロシアニンキャリアにおける実質的に多数のホウ素原子数の存在と同様に、実験的な腫瘍モデルに関して上述のホウ素化されたフタロシアニンの十分に高い親和性とに起因して、BNCTにより腫瘍細胞を不活性化可能ともなる。
【0018】
PDT/BNCTとを組み合わせた作用の結果として細胞の変異及び/又はトランスフォーメーションに関連した耐性は、期待されない:事実、光動態的工程に起因した細胞の不活性化は、核物質の関与によることなく細胞膜障害の結果である;さらに、BNCTで惹起される上述の不活性化は、放射性に耐性を有する細胞クローンの選択を誘導するには、エネルギーが高すぎる。
【0019】
本発明による好適な化合物は、上述の一般式(I)においてMeがZnである化合物である。
【0020】
本発明の一般式(I)に示す化合物は、フタロシアニン分子のα又はβ位に11B又は10B同位体を含む1〜8の置換基を有していてもよく、好ましくは、1(4)位、8(11)位、15(18)位、22(25)位、2(3)位、9(10)位、16(17)位、23(24)位である。
【0021】
好適な一般式(I)は、R=R=水素であり、R=Rは、水素ではない化合物である。好ましくは、一般式(I)において、Gは、酸素であり、Xは、フェニルであり、Yは、CHである。
【0022】
本発明の化合物は、例えば、以下の一般的な方法の一つを用いて、有機化学において知られた反応スキームに従って調製されてもよい:
a)一般式(II)の機能化されたフタロニトリルの4置換化を有する工程
【化5】

であって、Tは、(G)−(X)−(Y−Z)であり、ここで、G、X、Y、Z、s、t及びuは、上述した通りであり、rは、1又は2であり、単独又はジシアノベンゼン存在下、可能であれば、フタロシアニン核に金属を導入するのに適した反応剤の存在下で行い、これにより、一般式(I)の化合物を得る。以下のスキーム1において、単独又はジシアノベンゼンを用いた、Zn(OAc)存在下での一般式(II)の4置換化を示す。
【0023】
スキーム1
【化6】

【0024】
b)本技術分野で知られたカップリング反応により、1〜8の機能性置換基を含む上述の機能化された金属フタロシアニンに、上述のホウ素化された側鎖を導入する工程を有する方法。
【0025】
上述の一般式(II)のフタロニトリルは、以下のスキーム2により市販で利用可能な材料から出発して調製されてもよい。
【0026】
スキーム2
【化7】

ここで、T及びrは、上述の通りであり、Wは、NO、NH、Cl、Br、I、OH及び(G)−(X)−(P)からなる群から選択され、ここで、G、X、s、t及びuは、上述の通りであり、Pは、Br、Cl、I、C≡CH、CHO、COOH、NH、OH、メタンスルフォニルオキシ、トシルオキシ及びYからなる群から選択され、ここでYは、上述の通りである。
【0027】
WがNO、NH、Cl、Br、I及びOHからなる群から選択された一般式(III)の化合物は、市販で利用可能であるが、残りの一般式(III)は、本技術分野において知られた方法により市販の製品から出発して調製されてもよい。
【0028】
以下のスキームは、本発明による一般式(I)の複数のホウ素化されたフタロシアニン(スキーム4、6、7及び9)及びこれらに対応する中間体(スキーム3、5及び8)の調製に関する合成経路を示す。これらのスキームは、示すために述べるが、上記に定義したように、一般式(I)及び(II)の化合物を得るのに適した合成方法の例であって、限定されるものではない。
【0029】
スキーム3
【化8】

【0030】
スキーム4
【化9】

【0031】
スキーム5
【化10】

【0032】
スキーム6
【化11】

【0033】
スキーム7
【化12】

【0034】
スキーム8
【化13】

【0035】
スキーム9
【化14】

【0036】
以下の実施例は、本発明を限定しない例示として示す。
【0037】
(例1)
3−[4−(メタンスルフォニルメチル)フェノキシフタロニトリルの合成
上述の文献に従って合成した3−[4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ]フタロニトリル(900mg、3.9mmol)とトリエチルアミン(0.75mL、5.8mmol)とを有し、攪拌下、不活性雰囲気下で0℃で保持した無水CHCl(50mL)溶液に、塩化メチルスフォニルを添加した(0.33mL、4.3mmol)。この混合物を0℃で1時間攪拌し、その後、CHCl(50mL)で希釈し、1%のHCl溶液(60mL)で洗浄し、塩水(50mL)で洗浄し、その有機相をNaSO上で乾固し、溶媒を留去した。表題の化合物の1.1g(93%)を、載置して結晶化された粘性を有する流動体として、得た。
【0038】
H−NMR(300MHz、CDCl):7.61(1H,dd,J1=J2=8.4Hz),7.53−7.49(3H,m),7.15−7.11(3H,m),5.26(2H,s),3.01(3H,s)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):160.46,154.98,134.90,131.65,131.43,127.84,121.35,120.79,117.64,115.28,112.80,106.89,70.48,38.52δ
EI−MS:m/z328[(C1510S)],250[(C1510S)−CHSO,233[(C1510S)−CHSO
【0039】
(例2)
4−[4−(メタンスルフォニルメチル)フェノキシ]フタロニトリルの合成
上述の文献に従って合成した4−[4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ]フタロニトリル(1.0g、3.9mmol)とトリエチルアミン(0.8mL、5.8mmol)とを有し、攪拌下、不活性雰囲気下で0℃で保持した無水CHCl(50mL)溶液に、塩化メチルスフォニルを添加した(0.33mL、4.3mmol)。この混合物を0℃で1時間攪拌し、その後、CHCl(50mL)で希釈し、1%のHCl溶液(60mL)で洗浄し、塩水(50mL)で洗浄し、その有機相をNaSO上で乾固し、溶媒を留去した。表題の化合物の1.2g(92%)を、載置して結晶化された粘性を有する流動体として、得た。
【0040】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.75(1H,d,J=8.4Hz), 7.53(2H,d,J=8.7Hz),7.30−7.24(2H,m),7.12 (2H,d,J=8.7Hz),5.26(2H,s),3.03(3H,s)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):161.50,154.66,135.82,131.81,131.52,122.04,121.95,121.17,117.93,115.59,115.16,109.64,70.22,38.46δ
EI−MS:m/z250[(C1510S)−CHSO,233[(C1510S)−CHSO
【0041】
(例3)
3−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリルの合成
上述の例2に従って合成した3−[4−(メタンスルフォニルメチル)フェノキシ]フタロニトリル(1.1g、3.1mmol)を有し、不活性雰囲気下で保持した無水THF(15mL)溶液に、LiBrを添加した(0.4g、4.6mmol)。この溶液を1時間還流し、その間に白色の沈殿物が形成され、その後、室温で冷却した。白色の沈殿物を濾別し、溶媒を留去した。この粗混合物から、シリカゲル(溶媒:クロロホルム)上でフィルタリングすることにより、所望の製品を単離した(900mg、93%)。
【0042】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.59(1H,dd,J1=J2=8.4Hz),7.49−7.63(3H,m),7.14−7.06(3H,m),4.51(2H,s)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):160.67,154.05,136.07,134.93,131.57,127.68,121.20,120.80,117.50,115.36,112.91,106.52,32.59δ
EI−MS:m/z313[C1510OBr],233[(C1510OBr)−Br]
融点:130−132℃
1510OBrの分析結果(%):C(57.53),H(2.90),N (8.95);検出(%):C(57.40),H(2.92),N(8.96)
【0043】
(例4)
4−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリルの合成
上述の例2に従って合成した4−[4−(メタンスルフォニルメチル)フェノキシ]フタロニトリル(1.2g、3.3mmol)を有し、不活性雰囲気下で保持した無水THF(15mL)溶液に、LiBrを添加した(0.4g、4.6mmol)。この溶液を1時間還流し、その間に白色の沈殿物が形成され、その後、室温で冷却した。白色の沈殿物を濾別し、溶媒を留去した。この粗混合物から、シリカゲル(溶媒:クロロホルム)上でフィルタリングすることにより、所望の製品を単離した(1.0g、95%)。
【0044】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.74(1H,d,J=8.4Hz),7.49(2H,d,J=8.6Hz),7.30−7.24(2H,m),7.05 (2H,d,J=8.6),4.52(2H,s)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):161.63,153.80,136.20,135.73,131.68,121.97,121.88,121.08,117.97,115.54,115.11,109.44,32.39δ
EI−MS:m/z233[(C1510OBr)−Br]
融点:100.8−102.2°C
1510OBrの分析結果(%):C(57.53),H(2.90),N (8.95);検出(%):C(57.86),H(2.79),N(8.65)
p.f.:100.8−102.2℃
【0045】
(例5)
3−{4−[(11B−O−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリルの合成
n−ブチルリチウム(1.40mL、ヘキサン中1.6M、2.2mmol)を、1,2−closo−カルボラン(366mg、2.0mmol)を有し、−78℃にて不活性雰囲気下で保持した無水THF(10mL)溶液に、滴下して加えた。この溶液を10分間、−78℃で攪拌し、室温で40分間保持し、再度−78℃に冷却し、例3に従って3−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル(500mg、1.6mmol)を調製した。この混合物を、室温に加温しながら、1時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。この有機相を、塩水(30mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾固した後、溶媒を留去した。この粗製品を、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/酢酸エチル=3/1)で精製し、表題の化合物を333mg(55%)得た。
【0046】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.63(1H,dd,J1=J2=7.9Hz),7.51(1H,d,J=7.9Hz),7.26−7.22(2H,m),7.14−7.08(3H,m),3.54(2H,s),3.35(1H,bs),2.94−1.25(10H,bm)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):160.39,154.40,134.81,132.53,132.24,127.84,121.34,120.82,117.77,115.20,112.67,74.26,59.94,43.10δ(選択データ)。
EI−MS:m/z376[C1720OB10,233[(C1720OB10)−C1011
融点:182−184℃
1720OB10の分析結果(%):C(54.24),H(5.36),N (7.44);検出(%):C(54.10),H(5.30),N(7.18)
【0047】
(例6)
4−{4−[(11B−O−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリルの合成
n−ブチルリチウム(1.40mL、ヘキサン中1.6M、2.2mmol)を、1,2−closo−カルボラン(366mg、2.0mmol)を有し、−78℃にて不活性雰囲気下で保持した無水THF(10mL)溶液に、滴下して加えた。この溶液を10分間、−78℃で攪拌し、室温で40分間保持し、再度−78℃に冷却し、例4に従って3−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル(500mg、1.6mmol)を調製した。この混合物を、室温に加温しながら、1.5時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。この有機相を、塩水(30mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾固した後、溶媒を留去した。この粗製品を、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/酢酸エチル=3/1)で精製し、表題の化合物を287mg(48%)得た。
【0048】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.76(1H,d,J=9.0Hz),7.31−7.23(4H,m),7.07(2H,d,J=8.4Hz),3.55(2H,s),3.37(1H,bs),2.95−1.39(10H,bm)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):161.36,154.05,135.80,132.69,132.40,122.13,121.99,121.16,118.04,115.49,115.08,109.67,74.22,59.92,43.10δ
EI−MS:m/z376[],233[(C1720OB10)−C1011
融点:183.0−185.0°C
1720OB10の分析結果(%):C(54.24),H(5.36),N (7.44);検出(%):C(54.50),H(5.08),N(7.70)
【0049】
(例7)
3−{4−[(10B−O−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリルの合成
1,2−closo−カルボラン(235mg、1.7mmol)と例3の通り調製した3−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル(500mg、1.6mmol)とから開始し、例5に示した方法に従って、所望の化合物300mg(収率47%)を得た。
【0050】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.63(1H,dd,J1=J2=7.8Hz),7.51(1H,d,J=7.8Hz),7.26−7.22(2H,m),7.14−7.08(3H,m),3.54(2H,s),3.38(1H,bs),2.50−1.82(10H,bm)δ
13C−NMR(75MHz,CDCl):160.38,154.37,134.84,132.54,132.24,127.84,121.33,120.84,117.75,115.22,112.71,106.92,74.32,59.98,43.11δ
ESI−MS:m/z367[C1720OB10
p.f.:179−181℃
【0051】
(例8)
3−[3,5−ビス−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリルの合成
N−ブロモサクシニミド(790mg、4.4mmol)をジクロロエタンに溶解し、この混合物を、上述の文献に記載の方法に従って調製した3−[3,5−ビス−(メチル)フェノキシ]フタロニトリル(500mg、2mmol)を還流するように加熱し、触媒量の過酸化ベンゾイルを添加し、この混合物を、1.5時間再還流した。室温に冷却した後、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、NaHCO飽和溶液と水とで洗浄し、NaSO上で乾固した。その溶媒を留去した後、粗生成物を、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/酢酸エチル=4/1)で精製し、表題の化合物350mg(43%)を得た。
【0052】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.63(1H,dd,J1=J2=8 Hz),7.52(1H,d,J=8Hz),7.33(1H,s),7.15(1H,d,J=8Hz),7.08(2H,s),4.45(4H,s)δ
【0053】
(例9)
4−[3,5−ビス−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリルの合成
N−ブロモサクシニミド(394mg、2.2mmol)をジクロロエタンに溶解した。この混合物を、上述の文献に記載の方法に従って調製した4−[3,5−ビス−(メチル)フェノキシ]フタロニトリル(250mg、1mmol)を還流するように加熱し、触媒量の過酸化ベンゾイルを添加し、この混合物を、1時間再還流した。室温に冷却した後、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、NaHCO飽和溶液と水とで洗浄し、NaSO上で乾固した。その溶媒を留去した後、粗生成物を、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/酢酸エチル=4/1)で精製し、表題の化合物150mg(37%)を得た。
【0054】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.76(1H,d J=8 Hz),7.35−7.25(3H,m),7.06(2H,s),4.45(4H,s)δ
【0055】
(例10)
3−{3,5−[ビス−(11B−O−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリルの合成
n−ブチルリチウム(0.97mL、ヘキサン中1.6M、1.54mmol)を、1,2−closo−カルボラン(200mg、1.4mmol)を有し、−78℃にて不活性雰囲気下で保持した無水THF(10mL)溶液に、滴下して加えた。この溶液を10分間、−78℃で攪拌し、室温で40分間保持し、再度−78℃に冷却し、例8に従って3−[3,5−ビス−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル(227mg、0.56mmol)を調製した。この混合物を、室温に加温しながら、1時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。この有機相を、塩水(30mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾固した後、溶媒を留去した。この粗製品を、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/酢酸エチル=4/1〜2/1)で精製し、表題の化合物を58mg(19%)得た。
【0056】
H−NMR(300MHz,CDCl):7.69(1H,dd,J1=J2=8 Hz),7.57(1H,d,J=8Hz),7.12(1H,d,J=8Hz),6.88−6.86(3H,m),3.52(4H,s),3.45(2H,bs),3.00−1.00(10H,bm)δ
ESI−MS:m/z532[C2032OB20
【0057】
(例11)
4−{3,5−[ビス−(11B−O−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリルの合成
n−ブチルリチウム(0.97mL、ヘキサン中1.6M、1.54mmol)を、1,2−closo−カルボラン(200mg、1.4mmol)を有し、−78℃にて不活性雰囲気下で保持した無水THF(10mL)溶液に、滴下して加えた。この溶液を10分間、−78℃で攪拌し、室温で40分間保持し、再度−78℃に冷却し、例9に従って4−[3,5−ビス−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル(227mg、0.56mmol)を調製した。この混合物を、室温に加温しながら、1時間攪拌し、水で急冷し、酢酸エチルで抽出した。この有機相を、塩水(30mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾固した後、溶媒を留去した。この粗製品を、フラッシュクロマトグラフィー(溶媒:軽油/酢酸エチル=1/1)で精製し、表題の化合物を82mg(28%)得た。
【0058】
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.79(1H,d,J=8Hz),7.29−7.21(2H,m),6.87(3H,s),3.52(4H,s),3.45(2H,bs),3.10−1.00(10H,bm)
ESI−MS:m/z532[C2032OB20
【0059】
上記例1乃至11に記載の交互の方法に従って、以下の化合物を得た:
【0060】
(例12)
3−{3,5−[ビス−(10B−O−カロボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.69(1H,dd,J1=J2=8.0Hz),7.57(1H,d,J=8.0Hz),7.12(1H,d,J=8.0Hz),6.88−6.86(3H,m),3.52(4H,s),3.40(2H,bs),2.750−1.20(10H,bm)δ
ESI−MS:m/z516[C2032OB20
【0061】
(例13)
4−{3,5−[ビス−(10B−O−カロボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.79(1H,d,J=8.0Hz),7.29−7.21(2H,m),6.87(3H,s),3.52(4H,s),3.39(2H,bs),2.97−1.13(10H,bm)δ
ESI−MS:m/z516[C2032OB20
【0062】
(例14)
4−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.65(1H,d,J=8.0Hz),7.40(2H,s),7.07−7.05(3H,m),3.61,(4H,s),3.52(2H,s),3.43(2H,bs),3.40(1H,bs),2.84−1.76(30H,bm)δ
ESI−MS:m/z688[C2344OB30
【0063】
(例15)
3−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.67(1H,dd,J1=J2=8.0Hz),7.60(1H,d,J=8.0Hz),7.40(2H,s),7.12(1H,d,J=8.0Hz),3.64,(4H,s),3.54(2H,s),3.41(2H,bs),3.38(1H,bs),2.80−1.77(30H,bm)δ
ESI−MS:m/z688[C2344OB30
【0064】
(例16)
4−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.65(1H,d,J=8.0Hz),7.40(2H,s),7.07−7.05(3H,m),3.61(4H,s),3.52(2H,s),3.40(2H,bs),3.36(1H,bs),2.75−1.79(30H,bm)δ
ESI−MS:m/z664[C2344OB30
【0065】
(例17)
3−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.67(1H,dd, J1=J2=8.0Hz),7.60(1H,d,J=8.0Hz),7.40(2H,s),7.12(1H,d,J=8.0Hz),3.64,(4H,s),3.51(2H,s),3.36(2H,bs),3.38(1H,bs),2.80−1.77(30H,bm)δ
ESI−MS:m/z664[C2344OB30
【0066】
(例18)
4,5−ビス−{4−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.61(2H,s),7.37−7.24(8H,m),3.55(4H,s),3.32(4H,bs),2.91−1.06(20H,bm)δ
ESI−MS:m/z624[C263620
【0067】
(例19)
4,5−ビス−{4−[(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.61(2H,s),7.37−7.25(8H,m),3.55(4H,s),3.37(4H,bs),2.98−1.00(20H,bm)δ
ESI−MS:m/z608[C263620
【0068】
(例20)
4−{4−[(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル
H−NMR(300MHz,CDCl):7.76(1H,d,J=9.0Hz),7.31−7.23(4H,m),7.07(2H,d,J=8.4Hz),3.55(2H,s),3.37(1H,bs),2.95−1.39(10H,bm)δ
ESI−MS:m/z367[C1720OB10
【0069】
(例21)
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−フタロシアニン亜鉛(II)の合成
例5に従って調製した3−{4−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル(120mg、0.3mmol)とZn(OAc)(59mg、0.3mmol)との混合物を微細に研磨し、不活性雰囲気下、5.5時間200℃に加熱した。暗い固形物をその後室温に冷却させ、酢酸エチルで採取した。その懸濁物をセライトで濾過し、溶媒を留去した。この粗混合物から、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/THF=3/1〜1/1)により、表題の化合物を単離した。表題の化合物54mgを得た(収率43%)。
【0070】
H−NMR(300MHz,d6−DMSO):9.07(d,J=7.2Hz),8.90−8.79(m),8.68−8.56(m),8.45(d,J=7.2Hz),8.11−7.77(m),7.65(d,J=7.8Hz),7.52−7.40(m),7.43−7.10(m),5.21−5.17(m),4.89(bs),3.68−3.59(m),3.48(bs),2.71−1.18(bm)d
13C−NMR(75MHz,d6−DMSO):159.80,159.53,159.40,157.50,157.43,157.13,156.97,154.66,154.48,154.11,153.97,153.55,153.36,153.05,152.82,152.63,151.75,151.60,151.42,151.25,150.42,150.26,141.47,141.41,141.34,141.10,140.93,132.95,132.24,132.13,132.07,132.00,131.65,131.47,131.25,129.93,129.84,129.76,129.10,129.02,128.79,127.64,127.53,127.33,123.79,123.43,123.21,121.03,120.67,120.52,120.21,119.88,119.66,119.37,119.11,118.67,118.09,116.77,116.69,116.55,77.45,77.33,63.59,63.08,42.18,41.94δ(選択データ)
ESI−MS:m/z1571[C688040Zn]
UV−vis.(DMF):nm(%)690(100),622(16),329(18)e690=230000M−1cm−1
【0071】
(例22)
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−フタロシアニン亜鉛(II)の合成
例6に従って調製した4−{4−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル(70mg、0.2mmol)とZn(OAc)(34mg、0.2mmol)との混合物を微細に研磨し、不活性雰囲気下、5時間200℃に加熱した。暗い固形物をその後室温に冷却させ、酢酸エチルで採取した。その懸濁物をセライトで濾過し、溶媒を留去した。この粗混合物から、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/THF=3/1〜1/1)により、表題の化合物を単離した。表題の化合物30mgを得た(収率40%)。
【0072】
H−NMR(300MHz,d6−DMSO)8.98−8.91(2H,m),8.68−8.69(2H,m),8.45−8.41(2H,m),8.27−8.23(2H,m),7.79−7.40(2H,m),5.31及び5.18(4H,2bs),3.76及び3.68(8H,2bs),2.90−1.18(40H,bm)δ
13C−NMR(75MHz,d6−DMSO)159.70,158.71,158.57,157.34,156.53,156.41,151.80,140.03,139.92,132.99,132.90,132.68,132.11,124.40,121.17,119.98,111.73,77.45,77.26,63.76,63.51,42.15δ(選択データ)
ESI−MS:m/z1571[C688040Zn]
UV−vis.(DMF):nm(%)677(100),609(17),357(34)e677=240000M−1cm−1
【0073】
(例23)
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−フタロシアニン亜鉛(II)の合成
例7に従って調製した3−{4−[(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル(200mg、0.5mmol)とZn(OAc)(100mg、0.5mmol)との混合物を微細に研磨し、不活性雰囲気下、4.5時間210℃に加熱した。暗い固形物をその後室温に冷却させ、酢酸エチルで採取した。その懸濁物をセライトで濾過し、溶媒を留去した。この粗混合物から、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/THF=3/1〜1/1)により、表題の化合物を単離した。表題の化合物83mgを得た(収率40%)。
【0074】
H−NMR(300MHz,d6−DMSO):9.13(d,J=7.2Hz),9.01−8.98(m),8.68−8.56(m),8.75(d,J=7.2Hz),8.65(dd,J1=J2=7.2Hz),8.52(d,J=7.2Hz),8.15−7.82(m),7.73(d,J=7.5Hz),7.47−7.22(m),5.24−5.18(m),4.92(bs),3.68−3.64(m),3.50(bs),2.71−1.18(bm)δ
13C−NMR(75MHz,d6−DMSO):159.81,159.51,159.39,157.46,157.39,157.08,154.46,154.09,153.94,153.55,153.07,152.81,150.38,141.46,141.39,136.86,132.95,132.29,132.06,131.86,131.67,131.49,129.95,129.11,128.78,127.62,127.50,127.27,121.07,120.68,120.52,120.19,116.65,116.50,77.50,77.38,63.65,63.14,42.17,41.93δ(選択データ)
ESI−MS:m/z1540[C688040Zn]
UV−vis.(DMF):nm(%)690(100),622(16),326(17)e690=250000M−1cm−1
【0075】
(例24)
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[3,5−ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−フタロシアニン亜鉛(II)の合成
例11に従って調製した4−{3,5−ビス−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル(83mg、0.15mmol)とZn(OAc)(28mg、0.15mmol)との混合物を微細に研磨し、不活性雰囲気下、4時間260℃に加熱した。暗い固形物をその後室温に冷却させ、酢酸エチルで採取した。その懸濁物をセライトで濾過し、溶媒を留去した。この粗混合物から、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/THF=1/1)により、表題の化合物を単離した。表題の化合物54mgを得た(収率43%)。
【0076】
H−NMR(300MHz,d6−DMSO)9.11−9.02(4H,m),8.55−8.48(4H,m),7.85−7.60(4H,m),7.36−7.06(12H,m),5.18及び5.12(8H,2bs),3.73及び3.68(16H,2bs),2.90−1.00(80H,bm)δ
UV−vis.(DMF):nm(%)677(100),610(18),355(30)
ESI−MS:m/z2197[C8012980Zn]
【0077】
(例25)
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[3,5−ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−フタロシアニン亜鉛(II)の合成
例10に従って調製した3−{3,5−ビス−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル(53mg、0.1mmol)とZn(OAc)(19mg、0.1mmol)との混合物を微細に研磨し、不活性雰囲気下、4時間260℃に加熱した。暗い固形物をその後室温に冷却させ、酢酸エチルで採取した。その懸濁物をセライトで濾過し、溶媒を留去した。この粗混合物から、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/THF=1/1)により、表題の化合物を単離した。表題の化合物54mgを得た(収率43%)。
【0078】
UV−vis(DMF):nm(%)690(100),624(15),332(27)
ESI−MS:m/z 2197[C8012980Zn]
【0079】
例21乃至25に示した方法により、以下の化合物を得た:
【0080】
(例26)
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[3,5−ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z2136[C8012980Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)691(100),623(17),332(21)
【0081】
(例27)
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[3,5−ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z2136[C8012980Zn]
UV−vis (DMF):nm(%)685(100),611(16),354(40)
【0082】
(例28)
2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z2564[C10414480Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)680(100),613(16),361(33)
【0083】
(例29)
2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z2503[C10414480Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)680(100),615(15),360(34)
【0084】
(例30)
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1540[C688040Zn]
UV−vis.(DMF):nm(%)677(100),609(20),357(33)
【0085】
(例31)
2−{3,5−[ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)の合成
例11に従って調製した4−{3,5−ビス−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル(70mg、0.2mmol)と、ジシアノベンゼン(77mg、0.6mmol)と、Zn(OAc)(34mg、0.2mmol)とを微細に研磨し、不活性雰囲気下、5時間200℃に加熱した。暗い固形物をその後室温に冷却させ、THFで採取した。その懸濁物をセライトで濾過し、溶媒を留去した。この粗混合物から、フラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒:軽油/THF=5/1〜1/1)により、表題の化合物を単離した。表題の化合物15mgを得た(収率7.6%)。
【0086】
ESI−MS:m/z983[C4445OB20Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)672(100),609(16),344(24)
UV−vis(DMF):nm(%)680(100),613(16),361(33)
【0087】
例31に従って以下の化合物を得た。
【0088】
(例32)
2−{3,5−[ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z968[C4445OB20Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)672(100),606(16),344(25)
【0089】
(例33)
1−{3,5−[ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z983[C4445OB20Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)677(100),335(21),609(15)
【0090】
(例34)
1−{3,5−[ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z968[C4445OB20Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)678(100),610(16),336(23)
【0091】
(例35)
2,3−ビス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1074[C504820Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)672(100),606(15),342(23)
【0092】
(例36)
2,3−ビス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1059[C504820Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)671(100),608(13),344(23)
【0093】
(例37)
2−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1140[C4757OB30Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)672(100),606(16),344(24)
【0094】
(例38)
2−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1117[C4757OB30Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)672(100),606(16.0),344(25.1)
【0095】
(例39)
1−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1117[C4757OB30Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)677(100),336(23),611(15)
【0096】
(例40)
1−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアネート(II)
ESI−MS:m/z1117[C4757OB30Zn]
UV−vis(DMF):nm(%)677(100),608(14),335(22)
【0097】
(光動態的有効性の検討)
励起した三重項状態のフタロシアニンから分子状酸素への電子エネルギー移行を介して一重項酸素が産生される。高い反応性及び(減衰の前に比較的大きい距離内で連続的に拡散する可能性のあるμ秒単位での)比較的長い半減期のため、一重項酸素は、光感受性工程における主要な光毒性中間体を代表する。従って、一重項酸素の産生の効率を測定することによる上述の化合物の光動態的有効性を定義することは、特に有用である。一重項酸素の測定は、9,10−ジメチルアントラセン(DMA)の光酸化動態に続いて行った;図1に示すように、例21に述べたホウ素化されたフタロシアニンによる一重項酸素の産生は、未置換のフタロシアニンと同様である。この結果により結論づけられるのは、ホウ素化置換体の存在により、本発明の主要な製品におけるフタロシアニンの光動態的有効性は影響されない、ということである。
【0098】
(光安定性の検討)
多くのフタロシアニンが可視光照射下で多かれ少なかれ光分解を行うことは知られている。従って、この工程の速度定数が大きすぎる場合、この活性本体が細胞又はその他の基質の光感受性を負に影響を与える可能性のある高い率で光分解されるように定義することは重要である。例21に従って調製された4置換のホウ素化フタロシアニンの光安定性を分光光度的に検討し、図2Bに示す結果を得た。参考として、未置換のフタロシアニンで得た結果を図2Aに示す。図2Aと図2Bとに示すプロットに比較から、以下のことが結論付けられる。
【0099】
1−本発明に従って調製したホウ素置換分子は、未置換体と比較して赤色の可視光を吸収し得る有用な光感受性剤である。
【0100】
2−上述のフタロシアニン構造がホウ素置換基の導入により改変される際、その光分解動態は、限定された変化のみ起こす。事実、上述のホウ素化化合物に関して見出された、より程度の高い光分解性は、過剰な薬物のより速い消失を誘導する利点を有し、これにより、ホウ素化されていない化合物により示されたコントロールと比較すると、遅延された光感受性の開始を阻止する。
【0101】
(生物学的物質における活性の検討)
例21に従って調製した4置換のホウ素化フタロシアニンは、マウス色素性メラノーマであるB16−F1に由来するメラノサイトの光感受性に使用された。DPCC又はDOPCリポソームフタロシアニン調製物(7μM)で、メラノサイトをインキュベートした(24時間)。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、赤色の可視光(600〜750nm、50mW/cm)で照射した。光処理後(18〜24時間)、トリパンブルー排除試験により、生存率を同定した。これらのフタロシアニンに関する結果を図3A(DPPCリポソーム)及び図3B(DOPCリポソーム)にまとめた。10分という短時間で、ほぼ完全に細胞が死滅した。
【0102】
マウスを支持するB16−F1色素性メラノーマにおける薬物動態実験により、例21に述べた化合物を用いて、組織親和性、種々の組織における取込動態、身体からのクリアランス及び腫瘍組織における選択性等の複数の検討を行った。この目的に関して、ひとたび腫瘍が0.8〜1cmの容積に達した後、DPPCリポソーム調製物(0.75mg/kg)又はDOPCリポソーム調製物(3mg/kg)としてのホウ素化フタロシアニンを全身に投与した。動物を屠殺し(3、24、48時間後)、フタロシアニンの濃度を血清及び選択した臓器において分光光度的に同定した。これらの結果を図4(DPPCリポソーム)及び図5(DOPCリポソーム)に示す。この結果が示すのは、血清からのこれらの化合物のクリアランスは速く、投与後24時間後において化合物の残存物は見出されなかった。肝臓や脾臓などの網内系の成分からのフタロシアニンの大量の回収は、リポソームを介して送達された化合物に関して期待される。
【0103】
さらに、図6に示すように、ホウ素化フタロシアニンは、皮下に移植された色素性メラノーマを有するマウスが赤色光に曝露される際、腫瘍の成長率の有意な遅延を誘導し得る。この腫瘍の反応性は、上述の照射が、光感受性剤の注入後3時間において行われた際、もっとも顕著である。
【0104】
また、DOPCリポソームに導入された例23に示したホウ素化フタロシアニンを静脈内に注入した後24時間において、熱中性子で照射したマウスにおいても、腫瘍成長における有意な遅延が観察された。このことが示すのは、本願に開示の実験条件下で、腫瘍に蓄積するフタロシアニンの量が、BNCT効果を達成するのに十分である、ということである。その結果、広範な腫瘍のネクローシスが起こる。
【0105】
本発明のホウ素で置換したフタロシアニンは、相当濃度で、メラノーマに局在化可能であって、光活性化の結果として腫瘍の減弱が達成される。
【0106】
例21に示した4置換のフタロシアニンは、大量に、肝臓及び脾臓の両者に蓄積され、少なくともDOPCリポソームを介して調製されたフタロシアニンは、注入後、1週間後で、肝臓及び脾臓からほぼ除去される。このことが示すのは、上述のフタロシアニンの投与後、1週間を越えて、永続的に光感受性が期待され得ないことである。非常に限定されたフタロシアニンは、腎臓から回収され、これが示唆するのは、光感受性剤は、胆汁−胃腸経路を介してほぼ排他的に臓器から除去される点である。
【0107】
腫瘍における上述の4置換のフタロシアニン(例21)の局在化に係る選択性は、全体的に許容可能である。なぜなら、上述の動物モデルにおいて、少量の光感受性剤が、腫瘍組織周辺に示す皮膚において見出されるためである。この環境は、本願の実験結果で示したように、腫瘍組織の広範な障害が周囲の健常な組織のレベルにおいて最小限の障害で達成され得るため、PDT又はBNCTのいずれかの適用処置を明確に好む。
【0108】
本発明に述べた一般式(I)の化合物は、従って、PDTとBNCT手法とを組み合わせて、腫瘍、前癌状態及び過形成状態の処置に有用であって、さらに、蛍光放射特性に由来して、治療的処置の前及びその間で病態領域の同定が可能となる。
【0109】
本発明の製品は、本技術分野において公知の薬学的処方を用い且つ局在化が達成された後にBNCT/PDTで処置することにより、非経口的に投与されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】DMFにおいて例21の通りに調製した、フタロシアニンをホウ素で四置換した9,10−ジメチルアントラセン(DMA)の、100mW/cm、600〜700nm光で照射後の、光酸化動態を示すグラフである。
【図2A】図1で述べた実験条件に従って照射した、分解された未置換亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトル及び同定を示すグラフである。
【図2B】例21の通り調製し、図1で述べた実験条件で照射した、分解されたホウ素化フタロシアニンの吸収スペクトル及び同定を示すグラフである。
【図3A】例21に従って調製したホウ素化フタロシアニンを24時間インキュベートした後の放射時間に対するトランスフォームしたB16F1マウスメラノサイトの生存率を示すグラフであって、DLα−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)リポソーム調製したものである。
【図3B】例21に従って調製したホウ素化フタロシアニンを24時間インキュベートした後の放射時間に対するトランスフォームしたB16F1マウスメラノサイトの生存率を示すグラフであって、DOPCリポソーム調製したものである。
【図4A】DPPCリポソーム調製した例21によるホウ素化フタロシアニンを0.75mg/kg静脈内投与した後の、C57/BL6マウスの有するB16−F1色素性メラノーマの選択された組織及びプラズマからのホウ素化フタロシアニン(BPc)の回収に係る時間依存性である。
【図4B】DPPCリポソーム調製した例21によるホウ素化フタロシアニンを0.75mg/kg静脈内投与した後の、腫瘍及び皮膚からのホウ素化フタロシアニン(BPc)の回収に係る時間依存性である。
【図5A】DOPCリポソーム調製した例21によるホウ素化フタロシアニンを3.0mg/kg静脈内投与した後の、C57/BL6マウスの有するB16−F1色素性メラノーマの選択された組織及びプラズマからのホウ素化フタロシアニン(BPc)の回収に係る時間依存性である。
【図5B】DOPCリポソーム調製した例21によるホウ素化フタロシアニンを3.0mg/kg静脈内投与した後の、腫瘍及び皮膚からのホウ素化フタロシアニン(BPc)の回収に係る時間依存性である。
【図6】DOPCリポソーム調製した例21によるホウ素化フタロシアニンを6.0mg/kg静脈内投与し全光照射量250J/cm、200mW/cmの蛍光率で、赤色の可視光(ダイオードレーザー由来の670nm)で照射したB16F1を移植した色素性メラノーマを有するC57/BL6マウスにおける照射時間に対する腫瘍の成長率を示すグラフである。
【図7】DOPCリポソーム調製した例23によるホウ素化フタロシアニンを6.0mg/kg静脈内投与し投与後24時間で20〜30分間熱中性子で照射した照射したB16F1を移植した色素性メラノーマを有するC57/BL6マウスにおける照射時間に対する腫瘍の成長率を示すグラフである。放射線感受性色素性メラノーマの成長特性を未処理のコントロールマウスと比較した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の化合物において、
【化1】

式(I)中、Meは、Zn、AlOR、及びSi(OR)からなる群から選択され、Rは、水素、及びC1〜15のアルキルからなる群から選択され;
R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、及び置換基(G)−(X)−(Y−Z)からなる群から選択され:ここで
Gは、O、S、SO、CH、及びNからなる群から選択され;
Xは、フェニル、直鎖又は分岐のC1〜10のアルキル、C1〜10のアルケニル、及びC1〜10のアルキニルからなる群から選択され;
Yは、S、(CH、フェニル、O−(CH、(CH−O−、(CHCHO)、CONH、NHCO、COO、COS、及び3−メルカプトピロリジン−2,5−ジオンからなる群から選択され;
Zは、11B−(o,m,p−カルボラン)、11B−ウンデカヒドロドデカルボロメルカプチル、11B−ウンデカヒドロドデカボレート、10B−(o,m,p−カルボラン)、10B−ウンデカヒドロドデカボロメルカプチル、及び10B−ウンデカヒドロドデカボレートからなる群から選択され;
nは、1〜10の整数であり;
sは、0又は1であり;
tは、0又は1であり;
uは、1〜3の整数であり;但し、
R、R、R及びRの少なくとも1つが水素と異なり、またR、R、R及びRの1つのみが水素と異なる場合、uは、1と異なる;
ことを特徴とする、上記化合物及び
その薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
前記R及びRは、水素であり、
前記R及びRは、水素ではなく、且つ互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記Meは、Znであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記Gは、Oであり、
前記Xは、フェニルであり、
前記Yは、CHであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[3,5−ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[3,5−ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−{[3,5−ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[3,5−ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,9(10),16(17),23(24)−テトラキス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2−{3,5−[ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2−{3,5−[ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
1−{3,5−[ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
1−{3,5−[ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,3−ビス−{[4−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2,3−ビス−{[4−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
2−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
1−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);及び
1−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}−亜鉛フタロシアニネート(II);
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(II)
【化2】

の化合物であって、
Tは、置換基(G)−(X)−(Y−Z)であり、G、X、Y、Z、s、t及びuは、請求項1に記載の通りであり、rは、1又は2であることを特徴とする化合物。
【請求項7】
3−{4−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4−{4−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
3−{4−[(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
3−{3,5−[ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4−{3,5−[ビス−(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
3−{3,5−[ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4−{3,5−[ビス−(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
3−{2,4,6−[トリス(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
3−{2,4,6−[トリス(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4,5−ビス−{4−[(11B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
4,5−ビス−{4−[(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;及び
4−{4−[(10B−o−カルボラン−1−イル)メチル]フェノキシ}フタロニトリル;
から選択されることを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物の調製方法であって、
単独又はジシアノベンゼン存在下で、可能であれば、フタロシアニン核に金属を導入するのに適した反応剤の存在下、一般式(I)の化合物を得るように、請求項6に記載の一般式(II)の機能化された化合物の4置換化を行う工程を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物の調製方法であって、
カップリング反応により、1乃至8の機能性置換基を含む前もって機能化された金属−フタロシアニンに、ホウ素鎖を導入する工程を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に記載の一般式(II)の化合物の調製方法であって、下記一般式(III)
【化3】

の化合物を適切なホウ素クラスター誘導体と反応させて前記置換基(W)を前記置換基(T)で置き換える工程を有し、
T及びrは、請求項6に定義した通りであり、
Wは、NO、NH、Cl、Br、I、OH、及び(G)−(X)−(P)からなる群から選択され、G、X、s、t及びuは、請求項1に定義した通りであり、Pは、Br、Cl、I、C≡CH、CHO、COOH、NH、OH、メタンスルフォニルオキシ、トシルオキシ、及びYからなる群から選択され、Yは、請求項1に定義した通りであることを特徴とする方法。
【請求項11】
3−[4−(メタンスルフォニルメチル)フェノキシ]フタロニトリル;
4−[4−(メタンスルフォニルメチル)フェノキシ]フタロニトリル;
3−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル;
4−[4−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル;
3−[3,5−ビス−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル;及び
4−[3,5−ビス−(ブロモメチル)フェノキシ]フタロニトリル;
から選択されることを特徴とする請求項10に記載の一般式(III)の化合物。
【請求項12】
腫瘍、前癌状態及び細胞の過剰増殖を特徴とする病態の処置用の薬学的組成物であって、
活性本体として請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を少なくとも有し、或いは、その混合物であり、可能であれば、薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は希釈剤を有することを特徴とする薬学的組成物。
【請求項13】
光動態的治療を行う薬学的組成物の調製のための、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
ホウ素中性子捕獲療法を行う薬学的組成物の調製のための、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
光動態的治療とホウ素中性子捕獲療法とを連続して行う薬学的組成物の調製のための、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
腫瘍、前癌状態及び細胞の過剰増殖を特徴とする病態の処置用の薬学的組成物の調製のための、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項17】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を活性本体として有し、可能であれば、薬学的許容可能なキャリアと組み合わせたことを特徴とする診断剤。
【請求項18】
in vivo/in vitroでの診断用の、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−519810(P2006−519810A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504641(P2006−504641)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002505
【国際公開番号】WO2004/081014
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(504394102)エル.モルテニ アンド シー.デイ フラテッリ アリッチ ソシエタ’ディ エセルチヅィオ ソシエタ ペル アチオニ (7)
【Fターム(参考)】