説明

ホスフィン化合物およびホスフィン含有有機無機複合材料とその利用

【課題】ホスフィン化合物に脱離性置換基を有するシリル基を導入する事により、無機酸化物との共有結合形成の前駆体として用いる事ができるシランカップリング剤として利用できるホスフィン化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるホスフィン化合物。


(式(1)中、RおよびRは、各々独立に、アリール基またはアルキル基であり、Yはアリール基またはアルキル基であり、Xは、Yがアリール基の時にはハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基、Yがアルキル基の時にはアルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基であり、nは1から3の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なホスフィン化合物およびホスフィンを含有した有機無機複合材料に関し、更に詳細には、当該ホスフィン化合物またはホスフィンを含有した有機無機複合材料と遷移金属からなるクロスカップリングなどの有機合成反応用触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からホスフィン化合物は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等の遷移金属錯体の配位子として用いられ、リン原子上の置換基を様々に変化させる事によって、遷移金属錯体を均一系触媒として用いた際の性能を向上させる試みが広くなされている。例えばパラジウムホスフィン錯体を用いた鈴木―宮浦カップリング反応、Heck反応、Buchwald―Hartig反応などに代表されるクロスカップリング反応においては、リン原子上に立体的に嵩高い置換基を導入する事によって、触媒性能を向上させ得る事が知られている。
一方、ホスフィン化合物あるいはホスフィンを配位子として含有する遷移金属錯体のホスフィン部位に対して、アルキレン鎖あるいはパラフェニレン鎖を介して反応性シリル基部位を導入していわゆるシランカップリング剤とし、これとシリカゲルやゼオライト等の無機酸化物の水酸基とを反応させて共有結合させる事によってホスフィン、あるいは遷移金属錯体が結合した有機無機複合材料を得る試みも行われている。
このようにして得られる有機無機複合材料は、各種吸着剤、カラム充填剤、界面活性剤などの工業材料やドラッグデリバリシステム、生体親和性材料、検査チップなどの医薬用材料、センサー、有機ELや液晶などの電子材料といった用途の他に、触媒成分の分離・回収を容易とする事が可能な不均一系触媒として利用されている。
例えば非特許文献1には、シリカゲル表面にアルキレン鎖を介してジフェニルホスフィノ基を配位子として含有するパラジウム錯体を結合させた有機無機複合材料について、鈴木―宮浦カップリング反応、Heck反応に用いる不均一系触媒への利用が開示されている。
また非特許文献2には、パラフェニレン鎖を介してジフェニルホスフィノ基を配位子とするパラジウム錯体および白金錯体がシリカ表面に結合している有機無機複合材料について、ゾルゲル法による合成が開示されている。
一方、シリル基を有するホスフィン化合物としては、上述のアルキレン鎖を介してシリル基を有するものの他には、非特許文献3により、トリフェニルホスフィン分子内の一つのフェニル基について、リン原子から見てオルト位にジアルキルクロロシリル基を導入したホスフィン化合物の合成例が僅かに知られているのみである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Top.Catal.53(2010),1059.
【非特許文献2】J.Organomet.Chem.643−644(2002) 453.
【非特許文献3】Synthesis(2002) 905.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例の有機無機複合材料に用いられるホスフィン化合物では、シリル基部位はホスフィンに対して、アルキレン鎖あるいはパラフェニレン鎖を介して結合し、分子内の空間的に遠い位置に存在している為に、その機能が分離しており、シリル基は無機酸化物との間で共有結合を形成する結合点としてのみの役割を担っており、シリル基部位がホスフィンのリン原子周りの立体的嵩高さに影響を及ぼすことはなかった。従って、ホスフィン化合物に対して、触媒性能を向上させる為の嵩高さと無機酸化物への共有結合形成能をそれぞれ独立に付与する為の分子設計が必要となり、化合物を合成する上で効率が悪いという欠点があった。
本出願に係る第一の発明の目的は、ホスフィン化合物に脱離性置換基を有するシリル基を導入する事により、ホスフィン周りへの嵩高さの付与と同時に、無機酸化物との共有結合形成の前駆体として用いる事ができるホスフィン化合物を提供し、さらにこのホスフィンを含有する有機無機複合材料を提供する事である。
本出願に係る第二の発明の目的は、上記ホスフィン化合物を配位子として有する遷移金属錯体および上記ホスフィン含有有機無機複合材料に遷移金属を担持した遷移金属含有有機無機複合材料を提供する事である。
本出願に係る第三の発明の目的は、上記遷移金属錯体および上記遷移金属含有有機無機複合材料を利用した各種合成反応、特にクロスカップリング反応に対して有用な、均一系触媒および固定化触媒を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
〈1〉下記一般式(1)で表されるホスフィン化合物。
【化1】

(式(1)中、RおよびRは、各々独立に、アリール基またはアルキル基であり、Yはアリール基またはアルキル基であり、Xは、Yがアリール基の時にはハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基、Yがアルキル基の時にはアルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基であり、nは1から3の整数である。)
〈2〉〈1〉に記載のホスフィン化合物と無機酸化物とを反応させ、前記ホスフィン化合物のケイ素原子を無機酸化物表面の酸素原子に共有結合させたホスフィン含有有機無機複合材料。
〈3〉〈1〉に記載のホスフィン化合物を配位子として含有する遷移金属錯体。
〈4〉〈2〉に記載のホスフィン含有有機無機複合材料に遷移金属を担持させた遷移金属含有有機無機複合材料。
〈5〉〈3〉に記載の遷移金属錯体と無機酸化物とを反応させ、前記ホスフィン化合物のケイ素原子を無機酸化物表面の酸素原子に共有結合させた遷移金属含有有機無機複合材料。
〈6〉〈3〉に記載の遷移金属錯体からなる均一系触媒。
〈7〉〈4〉または〈5〉に記載の遷移金属含有有機無機複合材料からなる固定化触媒。
〈8〉クロスカップリング反応用均一系触媒である、〈6〉に記載の均一系触媒。
〈9〉クロスカップリング反応用固定化触媒である、〈7〉に記載の固定化触媒。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明によるホスフィン化合物は、リン原子が結合したベンゼン環のオルト位に脱離性置換基を有するシリル基を導入している為、ホスフィンのリン原子周りへ嵩高さが付与されると同時に、無機酸化物との共有結合形成の前駆体として用いる事ができる。
嵩高さの付与によって、本発明のホスフィン化合物を配位子とした遷移金属錯体を用いた触媒反応においては、従来のホスフィン化合物を用いた場合よりも高い活性を有する均一系触媒を提供できる。
また本発明の遷移金属錯体含有有機無機複合材料を固定化触媒として用いた場合においても、ホスフィン周りの嵩高さは有効に作用し、従来型ホスフィンを有する固定化触媒よりも高い活性を有する固定化触媒を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で表されるホスフィン化合物に関する。
【化1】

(式(1)中、RおよびRは、各々独立に、アリール基またはアルキル基であり、Yはアリール基またはアルキル基であり、Xは、Yがアリール基の時にはハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基、Yがアルキル基の時にはアルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基であり、nは1から3の整数である。)
本発明のホスフィン化合物は、リン原子が結合したベンゼン環のオルト位に脱離性置換基を有するシリル基を導入している為、ホスフィンのリン原子周りへの嵩高さの付与により遷移金属触媒の配位子として用いた場合に高活性な均一系触媒が得られると同時に、シリル基部位を無機酸化物と反応させる事により有機無機複合材とし、これに遷移金属を担持する事により、高活性な固定化触媒として利用する事ができる。
【0008】
以下に、一般式(1)について説明する。
式中RおよびRは、各々独立に、アリール基またはアルキル基である。アリール基としては、具体的にはフェニル基、オルトトリル基、パラトリル基、ナフチル基などが挙げられるが、合成の容易性の観点からフェニル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基などが挙げられるが、触媒活性の観点からイソプロピル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基が好ましい。RおよびRは、それぞれ同一であっても異なっても良いが、合成の容易性の観点から同一である事が好ましい。
Yはアリール基またはアルキル基である。アリール基としては、具体的にはフェニル基、オルトトリル基、パラトリル基、ナフチル基などが挙げられるが、合成の容易性の観点からフェニル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基などが挙げられるが、合成の容易性の観点からメチル基、イソプロピル基が好ましい。
Xは、ホスフィン化合物を無機酸化物と反応させて有機無機複合材料を合成する為の脱離能を有する基であり、Yがアリール基の時にはハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基であるが、無機酸化物上の有機基固定化量の向上と化合物の安定性を両立させる観点から塩素原子、メトキシ基が好ましい。
また、Yがアルキル基の時には、ケイ素部分の加水分解性が高く、取り扱い性が困難になる傾向があり、例えば非特許文献3に、ホスフィンのオルト位に導入したケイ素上に、二つのメチル基と塩素原子を有する化合物が、容易に加水分解・縮合してしまう事が開示されているように、Xがハロゲン原子である場合、特に不安定である為、Xとしてはハロゲン原子以外の中程度の脱離能を有するアルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基が好ましく、中でもイソプロポキシ基がより好ましい。
nは1から3の整数である。
【0009】
本発明のホスフィン化合物の合成は、ベンゼン環のオルト位に2つのハロゲン原子を有するオルトジハロゲン化ベンゼンを出発原料として、第1段階としてホスフィンを導入してオルトハロゲン化フェニルホスフィンを合成する。ホスフィンの導入には、パラジウム触媒によるホスフィン化反応あるいは、オルトジハロベンゼンから有機リチウム試薬あるいはグリニヤール試薬を調製し、これとハロゲン化ホスフィンとの反応による方法を用いる事ができる。
第2段階として、残ったもう1つのハロゲン原子部位を用いて有機リチウム試薬あるいはグリニヤール試薬を調製し、これとハロゲン化シランとの反応によって、ホスフィンのオルト位にシリル基を導入する。
また本発明のホスフィン化合物は、上記の順序とは反対に、第1段階としてシリル基を導入し、第2段階においてホスフィンを導入する事によっても合成する事ができる。この場合もそれぞれを導入する反応としては、上記の有機リチウム試薬あるいはグリニヤール試薬の調製、パラジウム触媒によるホスフィン化反応などを使用する事ができる。
【0010】
本発明のホスフィンを含有する有機無機複合材料は、上記のホスフィン化合物を任意の無機酸化物材料と反応させることによって合成する事ができる。
無機酸化物は、特に制限はないが、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム等の単独酸化物またはそれらを含む複合酸化物などを用いることができる。この中でも、表面に水酸基としてシラノール基を多く有しており、固定化する有機基と無機酸化物との間に強固な共有結合を形成できるという観点からケイ素の酸化物であるシリカまたはケイ素を含む複合酸化物を用いることが好ましく、さらに大きな表面積を利用して単位重量あたりの有機基の導入量を多くできることから規則性メソポーラスシリカまたは規則性メソポーラスメタロシリケートを用いることがより好ましい。
具体的にホスフィン含有有機無機複合材料を得る方法としては、例えば、ホスフィン化合物を液体であれば原液のまま、あるいは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル類、アルコール類などに溶解させた溶液に無機酸化物を懸濁させ、加熱しながら撹拌する。その後、ろ過によって固体を集め、洗浄、乾燥を行うことによってホスフィン含有有機無機複合材料を得ることができる。
このようにして得られたホスフィン含有有機無機複合材料では、上記一般式(1)で示したケイ素上のYのうち、少なくとも一つが脱離することで、無機酸化物上の酸素原子とホスフィン化合物のケイ素原子との間に共有結合が形成されている。
【0011】
本発明の遷移金属錯体は、金属として、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などを含む事ができるが、クロスカップリング反応に対する触媒性能の観点からは、白金、パラジウム、ニッケルを含む事が好ましい。
本発明の遷移金属錯体は、トルエン、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中で、ここに任意の遷移金属錯体、例えば酢酸パラジウムやビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリド等と本発明のホスフィン化合物とを混合する事によって調製できる。
このようにして得られる本発明の遷移金属錯体は、嵩高いホスフィン配位子の効果によって均一系触媒として用いた際に、高い触媒性能が実現される。
【0012】
本発明の遷移金属含有有機無機複合材料は、本発明のホスフィン含有有機無機複合材料をトルエン、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒に懸濁し、ここに任意の遷移金属錯体、例えば酢酸パラジウムやビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリドを混合する事によって調製しても良く、また本発明のホスフィンを配位子として有する遷移金属錯体を事前に調製しておき、これと無機酸化物とを反応させて遷移金属錯体と無機酸化物との間に共有結合を形成させることによって調製しても良い。
【0013】
これまで説明した本発明のホスフィン含有有機無機複合材料および遷移金属含有有機無機複合材料は、各種吸着剤、カラム充填剤、界面活性剤などの工業材料やドラッグデリバリシステム、生体親和性材料、検査チップなどの医薬用材料、センサー、有機ELや液晶などの電子材料といった用途に有用であるが、特に遷移金属部位の反応性と無機酸化物の不溶性の利点を活用した、触媒成分の分離・回収を容易とする固定化触媒として利用する事が好ましい。
本発明の遷移金属含有有機無機複合材料を固定化触媒として用いた場合も、本発明のホスフィン化合物の立体的な嵩高さの効果によって、従来型の固定化触媒よりも触媒性能の向上が実現される。
【0014】
なお、本発明の均一系触媒および固定化触媒は、種々の合成反応の触媒として利用することができるが、ホモカップリング、クロスカップリング反応等のカップリング反応用、ヒドロシリル化、カルボニル化、ヒドロホルミル化、マイケル付加、水素化(不斉水素化を含む)等の付加反応用等の触媒として有効なものであり、特にクロスカップリング反応の触媒として有効なものである。
上記反応のうち、クロスカップリング反応とは、二つの同じ化学種を結合させるホモカップリング反応と異なり、二つの異なる化学種を選択的に結合させる反応であり、かつ遷移金属を触媒として用いることで進行することを特徴とする反応である。上記触媒をクロスカップリング反応に用いる場合には、遷移金属またはその化合物が白金、パラジウム、ニッケルが好ましい。
【0015】
上記クロスカップリング反応の代表的なものとしては、下記のものを挙げることができるが、本発明の触媒は、これらクロスカップリング反応のいずれに対しても有効である
(1)鈴木カップリング反応
パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて塩基性条件下、有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化物等をクロスカップリングさせる反応
(2)溝呂木−ヘックカップリング反応
パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて塩基性条件下、末端アルケンとハロゲン化アリール等をクロスカップリングさせアルケニルアリール化合物を合成する反応
(3)根岸カップリング反応
パラジウム、ニッケル等の遷移金属を触媒に用いて、有機亜鉛化合物と有機ハロゲン化物等をクロスカップリングさせる反応
(4)スティレカップリング反応
パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて、有機スズ化合物と有機ハロゲン化物等をクロスカップリングさせる反応
(5)辻−トロストカップリング反応
パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて塩基性条件下、アリルエステル等と有機求核剤をクロスカップリングさせアリル位アルキル化生成物を合成する反応
(6)薗頭カップリング反応
パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて塩基性条件下、末端アルキンとハロゲン化アリール等をクロスカップリングさせアルキニルアリール化合物を合成する反応
(7)熊田−玉尾カップリング反応
ニッケル、パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて、グリニャール試薬と有機ハロゲン化物等をクロスカップリングさせる反応
(8)ブッフバルト−ハートウィックカップリング反応
パラジウム等の遷移金属を触媒に用いて塩基性条件下、ハロゲン化アリールとアミンまたはアルコールをクロスカップリングさせアリールアミンまたはアリールエーテルを合成する反応
【0016】
以下、本発明触媒を用いたクロスカップリング反応の好ましい一態様を、鈴木カップリング反応を例にとり説明する。鈴木カップリング反応によるビアリール化合物の合成に用いる原料としては、ハロゲン化アリールとアリールボロン酸が挙げられる。それぞれの原料はアリール基上を種々の置換基で置換されていても良い。また、本反応で用いられる本発明触媒の遷移金属化合物としては、白金、パラジウム、ニッケルを含むものが好ましく使用される。
クロスカップリング反応系に共存させる塩基としては、有機塩基、無機塩基の両方が挙げられるが、好ましくは無機塩基である。具体的な無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
クロスカップリング反応を実施する場合、溶媒は必ずしも必要ではないが種々の溶媒を単独もしくは混合して用いても良い。溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類等の有機溶媒または水等が挙げられる。
【実施例】
【0017】
以下に本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0018】
実施例1.化合物2の合成:
【化2】

第一段階
100mlの二口ナス型フラスコにPd(PPh) (0.463g、0.400mmol)を入れ、窒素雰囲気下後、アセトニトリル60ml、ジフェニルホスフィン(7.11g、38.2mmol)、トリエチルアミン(4.69g、46.4mmol)、2−ブロモヨードベンゼン(12.0g、42.3mmol)を順次加え、加熱還流条件下で6時間反応させた。反応液に水を加え、有機相をジクロロメタンで抽出後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下で有機溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより化合物1を単離した。収量12.3g、収率97%。
第二段階
続いて100mlの二口ナス型フラスコに化合物1(0.500g、1.47mmol)を入れ、窒素雰囲気下、ジエチルエーテル7.5mlを加え、−50℃に冷却した。さらに、n−BuLiヘキサン溶液1.0ml(1.55M、1.55mmol)を滴下し、3時間撹拌した。その後、ジフェニルジクロロシラン(4.51g、17.8mmol)を加え、撹拌しながら室温へと昇温した。反応後、溶液をヘキサンで希釈し、副生した塩をろ過によって取り除いた。
減圧下で溶媒を留去した後、ヘキサン溶媒から再結晶し、化合物2を単離した。収量0.204g、収率29%。
化合物2のNMRデータ:
H NMR(CD2Cl2,δ) 7.51〜6.92(m,24H).
13C NMR(CD2Cl2,δ) 137.62(d, J = 16.4 Hz), 137.11(d, J = 10.4 Hz), 136.17, 135.41(d, J = 2.55 Hz), 135.13, 134.76(d, J = 3.71 Hz), 133.19(d, J = 18.31 Hz), 131.39, 130.39, 129.33, 128.40(2C), 128.33(d, J = 6.65 Hz), 128.00.
31P NMR(CD2Cl2,δ) -12.31.
29Si NMR(CD2Cl2,δ) -0.22(d, J = 14.7 Hz),
【0019】
実施例2.化合物3の合成:
【化3】

100mlの二口ナス型フラスコに実施例1のようにして合成した化合物2(2.18g、4.56mmol)を入れ、窒素雰囲気下、ジエチルエーテル40ml加え、氷冷した。その後、メタノール(2.37g、74.0mmol)、トリエチルアミン
(0.653g、6.46mmol)を加え、撹拌しながら室温へ昇温した。反応後、桐山ロートを用いて吸引ろ過により副生した塩を取り除いた。ろ過後、減圧下で溶媒を留去したのちに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより化合物3を単離した。収量0.773g、収率36%。
化合物3のNMRデータ:
H NMR(CD2Cl2,δ) 7.92〜6.93(m, 24H), 3.50(s, 3H).
13C NMR(CD2Cl2,δ) 144.03(d, J = 12.5 Hz), 142.6, 137.96(d, J = 11.8 Hz), 137.06(d, J = 16.5 Hz), 135.83(d, J = 2.95 Hz), 135.75(d, J = 1.47 Hz), 135.13(d, J = 2.99 Hz), 133.24(d, J = 18.39 Hz), 130.45, 129.77, 128.82, 128.25(d, J = 6.61 Hz), 128.17, 127.75, 51.61(d, J = 2.19 Hz).
31P NMR(CD2Cl2,δ) -11.19.
29Si NMR(CD2Cl2,δ) -13.10(d, J = 11.0 Hz).
【0020】
実施例3.化合物5の合成:
【化4】

100mlの二口ナス型フラスコに化合物1(1.02g、2.98mmol)を入れ、窒素雰囲気下、ジエチルエーテル30mlを加え、−78℃に冷却した。ここに、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液2ml(1.55M、3.10mmol)を滴下し、3時間撹拌した。その後、ジメチルジクロロシラン(4.26g、33.0mmol)を加え、室温まで昇温した。反応終了後、減圧下で溶媒および過剰のジメチルジクロロシランを留去した。
同反応系中にジエチルエーテル30ml加え、0℃に冷却した。2−プロパノール(1.56g、26.0mmol)、トリエチルアミン(0.426g、4.31mmol)を加え、30分撹拌した後、室温まで昇温した。副生した塩をろ過によって取り除いた後、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより化合物Xを単離した。収量0.784g、収率70%。
化合物5のNMRデータ:
H NMR(CD2Cl2,δ) 7.40〜7.15(m, 14H), 4.12(sept, J = 5.99 Hz, 1H), 1.12(d, J = 6.04 Hz, 6H), 0.47(d, J = 2.03 Hz, 6H).
13C NMR(CD2Cl2,δ) 147.22(d, J = 46.9 Hz), 142.49(d, J = 12.5 Hz), 138.47(d, J = 11.7 Hz), 135.43, 135.27, 133.44(d, J = 18.8 Hz), 129.63(s, 2C), 128.51(d, J = 6.59 Hz), 128.38, 65.48, 25.72, 1.74(d, J = 10.4 Hz).
31P NMR(CD2Cl2,δ) -10.33.
29Si NMR(CD2Cl2,δ) 3.24(d, J = 8.81 Hz).
【0021】
実施例4.有機無機複合材料1の合成:
【化5】

まず、J. Chem. Soc., Chem. Commun.(1993)680.に記載の方法に従って
メソポーラスシリカFSM−22(BET表面積:1039m/g、BJH法による平均細孔径:4nm)を作製した。
100 mlの二口ナス型フラスコにFSM−22(0.506 g) を入れ、減圧下80℃で3時間乾燥した。減圧乾燥後、室温に戻し、化合物2(98.1 mg、0.205mmol)を加え、窒素雰囲気下、ヘプタン12mlを加え、還流条件下20 時間反応させた。その後、桐山ロートを用いて、ホスフィンを固定化したシリカをろ過によって回収した。ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンで洗浄したのちに、80℃で減圧乾燥3時間行い、目的物である有機無機複合材料1を得た。
炭素の元素分析によって、有機基の含有量を0.265mmol/gと決定した。
有機無機複合材料1の固体NMR(CP/MAS法)データ:
13C
NMR(δ) 136.5〜129.3.
31P
NMR(δ) -8.0.
29Si
NMR(δ) -16.9 (Ph2Si-O), -89.5〜-115.0 (SiO2).
【0022】
実施例5.有機無機複合材料2の合成:
【化6】

実施例4における化合物2を化合物3(94.9mg、0.205mmol)に変更した他は、実施例4と同様の操作により、有機無機複合材料2を得た。
炭素の元素分析によって、有機基の含有量を0.161mmol/gと決定した。
有機無機複合材料2の固体NMR(CP/MAS法)データ:
13C
NMR(δ) 136.5〜129.3.
31P
NMR(δ) -8.0.
29Si NMR(δ) -16.9 (Ph2Si-O), -89.5〜-115.0 (SiO2).
【0023】
実施例6.有機無機複合材料3の合成:
【化7】

実施例4における化合物2を化合物5(138 mg、0.366mmol)に変更した他は、実施例4と同様の操作により、有機無機複合材料3を得た。
炭素の元素分析によって、有機基の含有量を0.172mmol/gと決定した。
有機無機複合材料3の固体NMR(CP/MAS法)データ:
13C
NMR(δ) 135.2〜129.7.
31P
NMR(δ) -7.5.
29Si NMR(δ) 6.3(Me2Si-O), -89.5〜-115.0 (SiO2).
【0024】
実施例7.遷移金属錯体1の調製:
50mlの二口ナス型フラスコに化合物3(7.12mg、0.015 mmol)と(PhCN)2PdCl2 (5.75mg、0.015mmol)を入れ、窒素雰囲気下、トルエン5.0mlを加え、室温で4時間撹拌し、化合物3を配位子として有する遷移金属錯体1を調製した。
遷移金属錯体1のNMRデータ:
H NMR(toluene-d8,δ) 8.13〜6.70(m, 29H), 3.31(s, 3H).
31P NMR(toluene-d8,δ) 18.30.
【0025】
実施例8.遷移金属錯体2の合成:
実施例7における化合物3を、化合物5(5.68 mg、0.015mmol)に変更した他は、実施例7と同様の操作により、化合物5を配位子として有する遷移金属錯体2を調製した。
遷移金属錯体2のNMRデータ:
H NMR(toluene-d8,δ) 8.02〜6.71(m, 19H), 3.72(sept, J = 5.99 Hz, 1H), 0.99(d, J = 6.04 Hz, 6H), 0.35.
31P NMR(toluene-d8,δ) 22.20.
29Si NMR(CD2Cl2,δ) 0.31(d, J = 3.01 Hz).
【0026】
実施例9.遷移金属含有有機無機複合材料1の合成:
50mlのシュレンクフラスコに有機無機複合材料1(200mg)を入れ、80℃で減圧乾燥3時間したのち、室温に戻し、Pd(OAc)2 (2.20mg)を加え、窒素雰囲気下、THF溶媒4.0ml加え、20時間撹拌した。その後、ろ過によってパラジウムを担持した有機無機複合材料を回収した。ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンで洗浄したのちに、80℃で減圧乾燥3時間行い、遷移金属含有有機無機複合材料1を得た。
遷移金属含有有機無機複合材料1の固体NMR(CP/MAS法)データ:
13C
NMR(δ) 136.5〜129.3.
31P
NMR(δ) 28.2 (Pd-P), -8.0 .
29Si NMR(δ) -16.9 (Ph2Si-O), -89.5〜-115.0 (SiO2).
【0027】
実施例10.遷移金属含有有機無機複合材料2の合成:
実施例9における有機無機複合材料1を有機無機複合材料2(100mg)に、Pd(OAc)を(PhCN)PdCl(3.39mg)に変更した他は、実施例9と同様の操作により、遷移金属含有有機無機複合材料2を得た。
遷移金属含有有機無機複合材料2の固体NMR(CP/MAS法)データ:
13C
NMR(δ) 136.5〜129.3.
31P
NMR(δ) 28.2 (Pd-P), -8.0 .
29Si NMR(δ) -16.9 (Ph2Si-O), -89.5〜-115.0 (SiO2).
【0028】
実施例11.遷移金属含有有機無機複合材料3の合成:
実施例9における有機無機複合材料1を有機無機複合材料3(634mg)に、Pd(OAc)を(PhCN)PdCl(13.9mg)に変更した他は、実施例9と同様の操作により、遷移金属含有有機無機複合材料3を得た。
遷移金属含有有機無機複合材料3の固体NMR(CP/MAS法)データ:
13C
NMR(δ) 135.2〜129.7.
31P
NMR(δ) 28.0 (Pd-P),-7.5.
29Si NMR(δ) 6.3(Me2Si-O), -89.5〜-115.0 (SiO2).
【0029】
実施例12.均一系触媒での鈴木カップリング反応1:
100 mlのシュレンクフラスコに炭酸カリウム(1.66g、12mmol)、フェニルボロン酸(768mg、6.3mmol)を入れ,窒素雰囲気下、トルエン5.0ml、ガスクロマトグラフ分析の内部標準としてp-t-ブチルトルエン1.0ml、遷移金属錯体1(1.2μmol)のトルエン溶液(1.0ml)、p-ブロモアニソール(1.12g、6.0mmol)を順次加えた。100℃で加熱撹拌し、反応させた。カップリング生成物である4−メトキシビフェニルの収率はガスクロマトグラフ分析(島津製作所製GC14−B)によって算出した。結果を表1にしめす。
【0030】
実施例13.均一系触媒での鈴木カップリング反応2:
実施例12における遷移金属錯体1を遷移金属錯体2(1.2μmol)に変更した他は、実施例12と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表1に示す。
【0031】
実施例14.固定化触媒での鈴木カップリング反応1:
100mlのシュレンクフラスコに遷移金属含有有機無機複合材料1(パラジウム量として1.2μmol)、炭酸カリウム(1.66g、12mmol)、フェニルボロン酸(768mg、6.3mmol)を入れ、窒素雰囲気下、トルエン5.0ml、ガスクロマトグラフ分析の内部標準としてp-t-ブチルトルエン1.0ml、p-ブロモアニソール(1.12g、6.0mmol)を順次加えた。100℃で加熱撹拌し、反応させた。カップリング生成物である4−メトキシビフェニルの収率はガスクロマトグラフ分析(島津製作所製GC14−B)によって算出した。結果を表2に示す。
【0032】
実施例15.固定化触媒での鈴木カップリング反応2:
実施例14における遷移金属含有有機無機複合材料1を遷移金属含有有機無機複合材料2(パラジウム量として1.2μmol)に変更した他は、実施例14と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表2に示す。
【0033】
実施例16.固定化触媒での鈴木カップリング反応3:
実施例14における遷移金属含有有機無機複合材料1を遷移金属含有有機無機複合材料3(パラジウム量として1.2μmol)に変更した他は、実施例14と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表2に示す。
【0034】
比較例1.
【化8】

50mlの二口ナス型フラスコに上記の化合物6(5.68mg、0.015mmol)と(PhCN)PdCl(5.75mg、0.015mmol)を入れ、窒素雰囲気下、トルエン5.0mlを加え、室温で4時間撹拌し、化合物6を配位子として有する遷移金属錯体3を調製した。その後、実施例12における遷移金属錯体1を遷移金属錯体3に変更した以外は、実施例12と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表1に示す。
【0035】
比較例2.
【化9】

50mlの二口ナス型フラスコに上記の化合物7(4.75mg、0.015mmol)と(PhCN)PdCl(5.75mg、0.015mmol)を入れ、窒素雰囲気下、トルエン5.0mlを加え、室温で4時間撹拌し、化合物7を配位子として有する遷移金属錯体4を調製した。その後、実施例12における遷移金属錯体1を遷移金属錯体4に変更した以外は、実施例12と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表1に示す。
【0036】
比較例3.
50mlの二口ナス型フラスコにトリフェニルホスフィン(3.93mg、0.015mmol)と(PhCN)PdCl(5.75mg、0.015mmol)を入れ、窒素雰囲気下、トルエン5.0mlを加え、室温で4時間撹拌し、トリフェニルホスフィンを配位子として有する遷移金属錯体5を調製した。その後、実施例12における遷移金属錯体1を遷移金属錯体5に変更した以外は、実施例12と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表1に示す。
【0037】
比較例4.
【化10】

50mlのシュレンクフラスコに、FSM−22に表面に有機基0.147mmol/gを固定化した上記の有機無機複合材料4(200mg)を入れ、80℃で減圧乾燥3時間したのち、室温に戻し、(PhCN)PdCl(4.10mg、0.0105mmol)を加え、窒素雰囲気下、THF溶媒4.0ml加え、20時間撹拌した。その後、ろ過によってパラジウムを担持した有機無機複合材料を回収した。ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンで洗浄したのちに、80℃で減圧乾燥3時間行い、遷移金属含有有機無機複合材料4を得た。実施例14における遷移金属含有有機無機複合材料1を遷移金属含有有機無機複合材料4(パラジウム量として1.2μmol)に変更した他は、実施例14と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表2に示す。
【0038】
比較例5.
【化11】

50mlのシュレンクフラスコに、FSM−22に表面に有機基0.313mmol/gを固定化した上記の有機無機複合材料5(200mg)を入れ、80℃で減圧乾燥3時間したのち、室温に戻し、(PhCN)PdCl(8.72mg、0.0224mmol)を加え、窒素雰囲気下、THF溶媒4.0ml加え、20時間撹拌した。その後、ろ過によってパラジウムを担持した有機無機複合材料を回収した。ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンで洗浄したのちに、80℃で減圧乾燥3時間行い、遷移金属含有有機無機複合材料5を得た。実施例14における遷移金属含有有機無機複合材料1を遷移金属含有有機無機複合材料5(パラジウム量として1.2μmol)に変更した他は、実施例14と同様の操作により、鈴木カップリング反応を行った。結果を表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のホスフィン化合物は均一系触媒に用いられる金属錯体の配位子および有機無機複合材料の前駆体となるシランカップリング剤として有用である。また本発明のホスフィン含有有機無機複合材料および遷移金属含有有機無機複合材料は、固定化触媒および各種吸着剤、カラム充填剤、界面活性剤などの工業材料やドラッグデリバリシステム、生体親和性材料、検査チップなどの医薬用材料、センサー、有機ELや液晶などの電子材料といった用途に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるホスフィン化合物。
【化1】

(式(1)中、RおよびRは、各々独立に、アリール基またはアルキル基であり、Yはアリール基またはアルキル基であり、Xは、Yがアリール基の時にはハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基、Yがアルキル基の時にはアルコキシ基、水酸基、アミノ基の群より選ばれるいずれかの基であり、nは1から3の整数である。)
【請求項2】
請求項1に記載のホスフィン化合物と無機酸化物とを反応させ、前記ホスフィン化合物のケイ素原子を無機酸化物表面の酸素原子に共有結合させたホスフィン含有有機無機複合材料。
【請求項3】
請求項1に記載のホスフィン化合物を配位子として含有する遷移金属錯体。
【請求項4】
請求項2に記載のホスフィン含有有機無機複合材料に遷移金属を担持させた遷移金属含有有機無機複合材料。
【請求項5】
請求項3に記載の遷移金属錯体と無機酸化物とを反応させ、前記ホスフィン化合物のケイ素原子を無機酸化物表面の酸素原子に共有結合させた遷移金属含有有機無機複合材料。
【請求項6】
請求項3に記載の遷移金属錯体からなる均一系触媒。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の遷移金属含有有機無機複合材料からなる固定化触媒。
【請求項8】
クロスカップリング反応用均一系触媒である、請求項6に記載の均一系触媒。
【請求項9】
クロスカップリング反応用固定化触媒である、請求項7に記載の固定化触媒。

【公開番号】特開2012−188370(P2012−188370A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51651(P2011−51651)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「革新的マイクロ反応場利用部材技術開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】