説明

ホスホネートヌクレオシド誘導体

【課題】新規なホスホネート及び5’−H−ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を提供する。
【解決手段】下記一般式(5)で示されるホスホネート(Bは塩基を表し、R3は水素原子、ヒドロキシ基などを表し、R4は担体を表す)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスフィチル化ヌクレオシドモノマー、その製造方法、当該ホスフィチル化ヌクレオシドモノマーを利用して得られる新規なH−ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体及びホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNA合成の最初の技術であるホスホジエステル法は、1960年代にKhoranaらによって開発されたが、反応はすべて液相で行い、各段階で生成物を単離しなくてはならないという煩雑な方法であった。しかしKhoranaは、この方法と酵素法を組み合わせ、1972年に77塩基からなる酵母アラニンtRNA遺伝子を合成した。
【0003】
1980年代初めまでにこれらの困難で手間のかかる液相法は、はるかに速い固相法にとって代わられ、オリゴヌクレオチド合成は自動化された。合成オリゴヌクレオチドの利用の一つに医薬が挙げられるが、それには天然型のDNAではなく、それに化学的修飾を施したDNA類縁体が用いられている。DNA類縁体としては、様々なものが開発されているが、実用化されているのは、ホスホジエステル結合の非架橋酸素原子の一つを硫黄原子に置換したホスホロチオエートDNAのみである。しかし,ホスホロチオエートDNAは,タンパク質との相互作用が強く、高い細胞毒性や副作用がある為、これに代わる新しいDNA類縁体の開発が求められている。
【0004】
DNA類縁体の合成に今日最も広く用いられている方法は、Letsingerが考案し、Caruthersらが発展させた反応で、ホスホロアミダイト法(亜リン酸トリエステル法)といわれている。そのスキームを下記に示す。
【0005】
【化1】

(式中、「Bp」とは、保護基が付加された塩基を意味し、「DMTr」とは、ジメトキシトリチル基を指す。)
【0006】
ホスホロアミダイト法の開発と並行して、GareggとMatteucciは、それぞれ独立にH-ホスホネート法を開発した(Garegg, P. J. et. al, Chemica Scripta, 1985, 25, 280-282、Froehler, B. C. et. al, Tetrahedron Lett., 1986, 27, 469-472)。そのスキームを下記に示す。
【0007】
【化2】


(式中、「DBU」とは、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデカ-1-エンを示す。)
【0008】
DNA類縁体の合成にホスホロアミダイト法を利用すると、リン原子上に修飾を行う際、16族元素である酸素、硫黄、セレン、そして配位結合をするボランによる修飾しか行えない。一方,H-ホスホネート法を利用すると、幅広い修飾が行え、ホスホロアミダイト法では合成することの出来ないDNA類縁体を合成することができる。これは、ホスホロアミダイト法では亜リン酸トリエステルであるホスファイトを経由して修飾を行うが、H-ホスホネート法では亜リン酸ジエステルを経由して酸化的に修飾を行うためである。
【0009】
このように,H-ホスホネート法はDNA類縁体合成法として極めて有用であるが、その合成過程において種々の副反応が起こるため、オリゴヌクレオチドの合成収率がホスホロアミダイト法と比較して低いという欠点が指摘されている。副反応としては、
1) 縮合剤としてピバロイルクロリド(PivCl) を用いるため、塩基部位のアミノ基がアシル化される(Froehler, B. C. et. al, Tetrahedron Lett., 1986, 27, 469-472)。
2) アデノシンの保護基としてベンゾイル基を用いるため、酸性条件下アデニン環の脱離反応であるデプリネーションが起こる(例えば、Hayakawa, Y. et. al, J.Am.Chem.Soc.1998, 120, 12395-12401)。
3) 酸化反応でI2-H2Oを用いるため、主鎖が部分的に切断される(Wada, T. et. al, Tetrahedron Lett., 1999, 40, 915-918)。
4) 脱保護した後、末端の水酸基が近接するリン原子に求核攻撃することによって、オリゴヌクレオチド鎖の切断反応が起こる(Wada, T. et. al, Tetrahedron Lett., 1999, 40, 915-918)。
【0010】
Wadaらは1) - 3) を克服した無保護H-ホスホネート法を開発した(Wada, T. et. al, J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 12710-12721)。この方法ではまず、5'-水酸基をジメトキシトリチル基(DMTr基)で保護したヌクレオシドの3'-水酸基をジフェニルホスホネートで官能基選択的にホスホニル化してモノマー単位を合成する。次いで、縮合剤として2-(ベンゾトリアゾール1-イルオキシ)-1,3-ジメチル-2-ピロリジン-1- イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOMP)(下記式参照)を用いてこのモノマー単位を官能基選択的に縮合する。これをN,O-ビストリメチルシリルアセトアミド(BSA)でシリル化した後,ジクロロメタン中2-(フェニルスルホニル)-3-(3-ニトロフェニル)オキサジリジン(PNO)(下記式参照)で官能基選択的に酸化して,オリゴヌクレオチドを得る。
【0011】
【化3】

しかしながら、当該方法では、モノマー単位合成が多段階にわたり煩雑であり、また、上記問題4)が解決できないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、H-ホスホネート法における問題点の1) - 4) を克服しつつ、モノマー単位合成およびそれを利用した鎖伸張が簡便に行える方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、モノマー単位としてヌクレオシド5'-ホスファイトを用いて、伸長する鎖の末端がホスホニル基とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
即ち、本発明の第1態様では、下記一般式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位が提供される。
【化4】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化5】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表す。]
【0015】
また、本発明の第2態様では、本発明の第1態様にかかるヌクレオチドモノマー単位を製造する方法が提供される。すなわち、本発明の第2態様では、下記一般式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位の製造方法であって、
【化6】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化7】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表す。]活性化剤存在下、下記一般式(2)で示されるヌクレオシドと、
【化8】

[式中、B、R2及びR3は、前記と同義を表す。]下記一般式(3)で示されるホスフィチル化剤とを
【化9】

[式中、R1は前記と同義を表す。A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1〜C6アルキル基を表す。]反応させることを特徴とする、ヌクレオチドモノマー単位の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の第1態様および第2態様において、R1が、少なくとも2級炭素若しくは3級炭素基を含むアルキル基、少なくとも2級炭素若しくは3級炭素基を含むアリールアルキル基、少なくとも2級炭素若しくは3級炭素基を含むジアリールアルキル基、又は、2個以上の環を有する縮合炭化水素環を含む基であることが好ましく、R1が、t-ブチル基、2-フェニル-1,1-ジメチルエチル基、2-(1-ナフチル)-1,1-ジメチルエチル基、ジフェニルメチル基、9-フルオレニルメチル基、2-シアノ-1,1-ジメチルエチル基、9-フルオレニル-ジメチルメチル基、1-シクロヘキシルジメチルメチル基、トリベンジルメチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1−アダマンチル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニルメチル基、2-トリメチルシリル-1,1-ジメチルエチル基、又は、2-トリフェニルシリル-1,1-ジメチルエチル基であるか、又は、R1が互いに架橋して燐原子及び2つの酸素原子と共に下記式で示される環を形成することがより好ましい。
【0017】
【化10】

[式中、Phはフェニル基を示す。]
【0018】
また、本発明の第2態様において、活性化剤が、ピリジン塩酸塩、ピリジンスルホン酸塩、ピリジンホウ酸塩、N-(シアノメチル)アミンスルホン酸塩、N-(シアノメチル)アミンホウ酸塩、N-(シアノメチル)アミンリン酸塩、イミダゾールスルホン酸塩、トリアゾールスルホン酸塩、N-ヒドロキシトリアゾール、ベンズイミダゾールスルホン酸塩、イミダゾール、トリアゾール又はテトラゾールであることが好ましい。
【0019】
また、本発明の第3態様では、本発明の第1態様にかかるヌクレオチドモノマー単位から保護基であるR1を脱離させる方法が提供される。すなわち、本発明の第3態様では、下記一般式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位と、
【化11】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素 を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化12】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表す。]下記一般式(4a)で示される化合物、
【化13】

[式中、A3は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。]
下記一般式(4b)で示される化合物、
【化14】

[式中、A4は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。]
臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンからなる群より選ばれる1種以上の脱保護試薬とを反応させて、R1を脱離させることを特徴とする、保護基除去方法が提供される。
【0020】
また、本発明の第4態様では、下記一般式(5)で示されるホスホネートが提供される。
【化15】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化16】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。]
【0021】
また、本発明の第5態様では、下記一般式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体が提供される。
【化17】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化18】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。nは1以上の整数を表す。]
【0022】
また、本発明の第6態様の一側面では、本発明の第1態様にかかるヌクレオチドモノマー単位の一態様と、本発明の第4態様で提供されるホスホネートとを縮合させて、本発明の第5態様の一態様である二量体を製造する方法が提供される。すなわち、本発明の第6態様の一側面では、下記一般式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位と
【化19】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素 を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化20】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表す。]縮合剤存在下、下記一般式(5)で示されるホスホネートと
【化21】

[式中、B及びR3は、前記と同義を表す。R4は、担体を表す。]を反応させ、下記一般式(6)で示される二量体を製造する方法が提供される。
【化22】

[式中、B、R1、R3及びR4は、前記と同義を表す。]
【0023】
また、本発明の第6態様の他の側面では、本発明の第5態様にかかる5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体から、本発明の第3態様にしたがって保護基を除去し、更に、本発明の第1態様にかかるヌクレオチドモノマー単位の一態様と縮合させて、鎖を伸張させる、5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体を製造する方法が提供される。すなわち、本発明の第6態様の他の側面では、下記一般式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体と、
【化23】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化24】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。nは1以上の整数を表す。]
下記一般式(4a)で示される化合物、
【化25】

[式中、A3は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。]
下記一般式(4b)で示される化合物、
【化26】

[式中、A4は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。]
臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンからなる群より選ばれる1種以上の脱保護試薬とを反応させて、R1を脱離させた後、縮合剤存在下、下記一般式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位と
【化27】

[式中、B、R1及びR3は、前記と同義を表す。]
を反応させることを特徴とする、下記一般式(8)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法が提供される。
【化28】

[式中、B、R1、R3、R4及びnは、前記と同義を表す。]
【0024】
また、本発明の第7態様では、下記式(9)で示される5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体が提供される。
【化29】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化30】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。nは1以上の整数を表す。]
【0025】
また、本発明の第8態様では、本発明の第7態様にかかる5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を製造する方法が提供される。すなわち、本発明の第8態様では、下記一般式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体と、
【化31】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R1は炭化水素を含む保護基を表し、但し、互いに架橋して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化32】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。nは1以上の整数を表す。]
下記一般式(4a)で示される化合物、
【化33】

[式中、A3は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。]
下記一般式(4b)で示される化合物、
【化34】

[式中、A4は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。]
臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンからなる群より選ばれる1種以上の脱保護試薬とを反応させて、R1を脱離させる工程を含む、下記式(9)で示される5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を製造する方法が提供される。
【化35】

[式中、B、R3、R4及びnは、前記と同義を表す。]
【0026】
本発明の第3態様〜第8態様において、Bがシトシン、チミンまたはそれらの誘導体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、従来法であるH-ホスホネート法における問題点を克服でき、かつ、モノマー単位合成のみならずオリゴヌクレオチド誘導体の合成も簡便に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1態様では、下記一般式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位が提供される。
【化36】

[式中、B、R1、R2及びR3は、上記の意味を表す。]
【0029】
本発明の第1態様で提供される上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位は、下記反応式で示される、本発明の第2態様で提供されるヌクレオチドモノマー単位の製造方法によって得ることができる。すなわち、活性化剤存在下、下記一般式(2)で示されるヌクレオシドと、下記一般式(3)で示されるホスフィチル化剤とを反応させることによって製造される。
【化37】

[式中、B、R1、R2、R3、A1及びA2は、上記の意味を表す。]
【0030】
本発明において、モノマーユニットとして上記式(1)で示されるようなヌクレオシド5'-ホスファイトを用いるため、従来法や無保護H-ホスホネート法では二段階であったモノマーユニット合成が、対応するヌクレオシドから一段階で得ることができる。
【0031】
本発明にかかるヌクレオチドモノマー単位の製造方法では、下記一般式(3)で示されるホスフィチル化剤が用いられる。
【化38】

【0032】
上記式(3)で示されるホスフィチル化剤は、上記式(2)で示されるヌクレオシドの5'-位を位置選択的かつ官能基選択的にホスフィチル化するものであることが好ましい。しかも、得られる上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位をオリゴヌクレオチド合成に使用する場合には、保護基であるR1が脱離できるものであることが好ましい。
【0033】
以上の観点から、上記式(3)中、R1は、嵩高い炭化水素基を含むものであることが好ましい。
たとえば、少なくとも2級炭素若しくは3級炭素基を含む炭化水素基(たとえば、少なくとも2級炭素若しくは3級炭素基を含むアルキル基、アリールアルキル基、ジアリールアルキル基等)を挙げることができ、あるいは、2個以上の環を有する縮合炭化水素環を含む基を挙げることができる。
あるいは、2つのR1で示される炭化水素基が互いに架橋して置換基を有していてもよい環(例えば5員〜6員環)を形成してもよい。
【0034】
これらの炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C6〜C10アリール基(例えば、フェニル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
本発明において、R1としては、t-ブチル基、2-フェニル-1,1-ジメチルエチル基、2-(1-ナフチル)-1,1-ジメチルエチル基、ジフェニルメチル基、9-フルオレニルメチル基、2-シアノ-1,1-ジメチルエチル基、9-フルオレニル-ジメチルメチル基、1-シクロヘキシルジメチルメチル基、トリベンジルメチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1−アダマンチル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニルメチル基、2-トリメチルシリル-1,1-ジメチルエチル基、又は、2-トリフェニルシリル-1,1-ジメチルエチル基を好ましく挙げることができる。
【0036】
あるいは、R1が互いに架橋して燐原子及び2つの酸素原子と共に環を形成してもよく、この場合に形成される環としては、下記式で示される環を好ましく挙げることができる。
【化39】

[式中、Phはフェニル基を示す。]
【0037】
上記式(3)中、A1及びA2は、同一または異なって、C1〜C6アルキル基である。
本明細書において、「C1〜C6アルキル基」としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等を挙げることができる。
本発明において、A1及びA2は、同一または異なって、エチル、イソプロピルであることが好ましい。
【0038】
本発明において、ホスフィチル化剤としては、
ジ(t-ブチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(t-ブチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(2-フェニル-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(2-フェニル-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(2-(1'-ナフチル)-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(2-(1'-ナフチル)-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(1,2-ジフェニル-1,2-ジメチルプロピル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(1,2-ジフェニル-1,2-ジメチルプロピル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(ジフェニルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(ジフェニルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(9-フルオレニルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(9-フルオレニルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(2-シアノ-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(2-シアノ-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(9-フルオレニル-ジメチルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(9-フルオレニル-ジメチルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(1-シクロヘキシルジメチルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(1-シクロヘキシルジメチルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(トリベンジルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(トリベンジルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(トリシクロヘキシルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(トリシクロヘキシルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(1−アダマンチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(1−アダマンチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(ジ(トリフルオロメチル)フェニルメチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(ジ(トリフルオロメチル)フェニルメチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(2-トリメチルシリル-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、
ジ(2-トリメチルシリル-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイト、
ジ(2-トリフェニルシリル-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジエチルホスホロアミダイト、又は、
ジ(2-トリフェニルシリル-1,1-ジメチルエチル) N, N-ジイソプロピルホスホロアミダイトを好ましく用いることができる。
【0039】
本発明では、上記式(3)で示されるホスフィチル化剤によって、下記一般式(2)で示されるヌクレオシドをホスフィチル化する。
【化40】

上記式(2)中、R2は、水素原子、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいトリアルキルシリル基を表す。
本明細書において、「アシル基」としては、制限するわけではないが、C1-6アルキル−カルボニル(たとえばメチルカルボニル、エチルカルボニル等)、C6-10アリール−カルボニル(たとえばベンゾイル)などが挙げられる。
本明細書において、「トリアルキルシリル基」としては、制限するわけではないが、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などを挙げることができる。
【0040】
本発明において、R2で示される「アシル基」、「アルキル基」、「トリアルキルシリル基」は置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明において、R2は、水素原子、ベンゾイル基、フェノキシアセチル基であることが好ましい。
【0041】
上記式(2)中、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化41】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表す。
【0042】
本明細書において、「アルコキシ基」としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「アルケニルオキシ基」としては、制限するわけではないが、ビニルオキシ、アリルオキシ、1−プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ、2−メチル−1−プロペニルオキシ、2−メチルアリルオキシ、2−ブテニルオキシ等を挙げることができる。
【0043】
本明細書において、「アシルオキシ基」としては、制限するわけではないが、C1-6アルキル−カルボニルオキシ(たとえばメチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ等)、C6-10アリール−カルボニル(たとえばベンゾイルオキシ)などが挙げられる。
本明細書において、「トリアルキルシリルオキシ基」としては、制限するわけではないが、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基などを挙げることができる。
本明細書において、「アルケニル基」としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0044】
本明細書において、「アルキニル基」としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキル基」としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルケニル基」としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0045】
本明細書において、「アリール基」としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「アラルキル基」としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0046】
本明細書において、「アリールオキシ基」としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「アラルキルオキシ基」としては、制限するわけではないが、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ジフェニルメチルオキシ、トリフェニルメチルオキシ、1−ナフチルメチルオキシ、2−ナフチルメチルオキシ、2,2−ジフェニルエチルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、4−フェニルブチルオキシ、5−フェニルペンチルオキシ等を挙げることができる。
【0047】
本明細書において、「アルコキシカルボニル基」としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アリールオキシカルボニル基」としては、制限するわけではないが、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニル等を挙げることができる。
【0048】
本明細書において、「アラルキルオキシカルボニル基」としては、制限するわけではないが、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル、ジフェニルメチルオキシカルボニル、トリフェニルメチルオキシカルボニル、1−ナフチルメチルオキシカルボニル、2−ナフチルメチルオキシカルボニル、2,2−ジフェニルエチルオキシカルボニル、3−フェニルプロピルオキシカルボニル、4−フェニルブチルオキシカルボニル、5−フェニルペンチルオキシカルボニル等を挙げることができる。
【0049】
本明細書において、「アルキルチオカルボニル基」としては、制限するわけではないが、メチルチオカルボニル、エチルチオカルボニル、プロピルチオカルボニル、イソプロピルチオカルボニル、n−ブチルチオカルボニル、sec−ブチルチオカルボニル、tert−ブチルチオカルボニル、ペンチルチオカルボニル、ヘキシルチオカルボニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アルコキシチオカルボニル基」としては、制限するわけではないが、メトキシチオカルボニル、エトキシチオカルボニル、2−メトキシエトキシチオカルボニル、t−ブトキシチオカルボニル等を挙げることができる。
【0050】
本明細書において、「アリールチオカルボニル基」としては、制限するわけではないが、フェニルチオカルボニル、ナフチルチオカルボニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アラルキルチオカルボニル基」としては、制限するわけではないが、ベンジルチオカルボニル、フェネチルチオカルボニル、ジフェニルメチルチオカルボニル、トリフェニルメチルチオカルボニル、1−ナフチルメチルチオカルボニル、2−ナフチルメチルチオカルボニル、2,2−ジフェニルエチルチオカルボニル、3−フェニルプロピルチオカルボニル、4−フェニルブチルチオカルボニル、5−フェニルペンチルチオカルボニル等を挙げることができる。
【0051】
本明細書において、「アリールオキシカルボニル基」としては、制限するわけではないが、フェノキシチオカルボニル、ナフトキシチオカルボニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アラルキルオキシチオカルボニル基」としては、制限するわけではないが、ベンジルオキシチオカルボニル、フェネチルオキシチオカルボニル、ジフェニルメチルオキシチオカルボニル、トリフェニルメチルオキシチオカルボニル、1−ナフチルメチルオキシチオカルボニル、2−ナフチルメチルオキシチオカルボニル、2,2−ジフェニルエチルオキシチオカルボニル、3−フェニルプロピルオキシチオカルボニル、4−フェニルブチルオキシチオカルボニル、5−フェニルペンチルオキシチオカルボニル等を挙げることができる。
【0052】
本明細書において、電子吸引基としては、制限するわけではないが、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、フッ素、塩素等を挙げることができる。
【0053】
本発明において、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、または下記式で表される基
【化42】

であって、式中、Z1がメチル基であり、Z2,Z3及びZ4が、水素原子であり、Z5が、シアノ基又はニトロ基であることが好ましい。
【0054】
上記式(2)中、Bは、互いに異なっていてもよい、チミン、シトシン、ウラシル等のピリミジン塩基;アデニン、グアニン等のプリン塩基;または5-メチルシトシン、5-フルオロウラシル、5−ヒドロキシメチルシトシン等のそれらの誘導体を表す。
【0055】
溶媒への溶解度を向上させるために、塩基部位に、ジメトキシトリチル基(DMTr)、ベンゾイル(Bz)、イソプロピルカルボニル(iBu)、フェノキシアセチル(PAC)、4-(t-ブチル)フェノキシアセチル(BPA)、アリルオキシカルボニル(AOC)、2-[(t-ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル]ベンゾイル(SiOMB)、2-(アセチルメチル)ベンゾイル(AMB)、2-アジドベンゾイル(AZMB)等の保護基を導入してもよい。
【0056】
本発明において、Bは、シトシン、チミン、アデニン、グアニンまたはそれらの誘導体、あるいはそれらに保護基が導入されたものであることが好ましい。
【0057】
本発明の第2態様において、上記式(3)で示されるホスフィチル化剤は、5'水酸基に対して選択的に反応させるために、上記式(2)で示されるヌクレオシド1モルに対して0.1モル〜1.5モル用いることが好ましく、0.3モル〜1.2モル用いることが更に好ましく、0.5モル〜1.0モル用いることが更になお好ましい。
【0058】
本発明の第2態様では、活性化剤を用いる。活性化剤としては、ピリジン塩酸塩;ピリジウムトリフラート等のピリジンスルホン酸塩;ピリジウムテトラフルオロボレート等のピリジンホウ酸塩;4,5-ジシアノイミダゾール、4,5-ジクロロイミダゾール等のイミダゾール;5-ベンジルテトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、1H-テトラゾール等のテトラゾール;イミダゾリウムトリフラート等のイミダゾールスルホン酸塩;5-ニトロベンズイミダゾリウムトリフラート等のベンズイミダゾールスルホン酸塩;トリアゾリウムトリフラート等のトリアゾールスルホン酸塩;1-ヒドロキシベンズトリアゾール等のN-ヒドロキシトリアゾール;トリアゾール;N-(シアノメチル)ピロリジニウムテトラフルオロボレート等のN-(シアノメチル)アミンホウ酸塩;N-(シアノメチル)ピロリジニウムトリフラート等のN-(シアノメチル)アミンスルホン酸塩;N-(シアノメチル)ピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート等のN-(シアノメチル)アミンリン酸塩等を挙げることができ、ピリジン塩酸塩、ピリジンスルホン酸塩、ピリジンホウ酸塩、イミダゾール、又はテトラゾールを好ましく挙げることができる。
【0059】
本発明の第2態様において、活性化剤は、反応を完結させるために、上記式(3)で示されるホスフィチル化剤1モルに対して1モル〜10モル用いることが好ましく、2モル〜5モル用いることが更に好ましく、2モル〜3モル用いることが更になお好ましい。
【0060】
本発明の第2態様において、典型的には、上記式(2)で示されるヌクレオシドの溶液に、活性化剤を添加して攪拌し、次いでホスフィチル化剤を添加し攪拌して、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位を得る。ヌクレオシド(2)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製されたヌクレオシドをそのまま用いても良い。
【0061】
本発明の第2態様において、上記式(2)で示されるヌクレオシドをホスフィチル化する際の位置選択性・官能基選択性は、ヌクレオシドの溶媒に対する溶解度に依存する。したがって、溶媒としては上記式(2)で示されるヌクレオシドが溶解できるものが好ましい。たとえば、ピリジン、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒、ピリジンとN,N-ジメチルホルムアミドとの混合溶媒を挙げることができ、ピリジン、又は、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒であることが好ましい。
【0062】
本発明の第2態様において、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒を用いる場合は、その体積割合が、2〜0.5:1であることが好ましく、約1:1であることがより好ましい。
反応温度としては、-78℃〜30℃が好ましく、0℃〜30℃がさらに好ましく、15℃〜25℃が更になお好ましい。所望により、光を遮断して反応を進行させてもよい。
圧力は、大気圧であることが好ましい。
【0063】
本発明の第3態様では、本発明の第1態様で提供されたヌクレオチドモノマー単位から、保護基であるR1を除去する方法が提供される。すなわち、上記一般式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位と、下記一般式(4a)で示される化合物、下記一般式(4b)で示される化合物、臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンからなる群より選ばれる1種以上の脱保護試薬とを反応させて、R1を脱離させることを特徴とする、保護基除去方法が提供される。
【化43】

【0064】
上記式(4a)中、A3は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。また、上記式(4b)中、A4は、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基を表す。
【0065】
本明細書において、「C6〜C10アリール基」としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0066】
本発明において、A3及びA4で示される「C1〜C10アルキル基」、「C6〜C10アリール基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、メシチル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0067】
本発明において、A3は、トリフルオロメチル、フェニル、p-メチルフェニル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであることが好ましい。
また、本発明において、A4は、メチル、エチル、又はイソプロピルであることが好ましい。
【0068】
本発明の保護基除去方法において、脱保護試薬は、脱離すべき上記式(1)中の保護基R1によって適宜選択される。たとえば、R1が、t-ブチル基、2-フェニル-1,1-ジメチルエチル基、2-(1-ナフチル)-1,1-ジメチルエチル基、ジフェニルメチル基、1-シクロヘキシルジメチルメチル基、トリベンジルメチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1−アダマンチル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニルメチル基、2-トリメチルシリル-1,1-ジメチルエチル基、2-トリフェニルシリル-1,1-ジメチルエチル基など、あるいは、R1が互いに架橋して燐原子及び2つの酸素原子と共に環を形成する場合には、上記式(4a)、上記式(4b)で示される脱保護試薬あるいは臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸を用いることが好ましい。上記式(4a)、上記式(4b)で示される脱保護試薬としては、たとえば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)、トリメチルシリルベンゼンスルホネート、ジメチル塩化アルミニウム、ジエチル塩化アルミニウム、ジイソプロピル塩化アルミニウムを好ましく挙げることができる。
【0069】
また、R1が、9-フルオレニルメチル基、9-フルオレニル-ジメチルメチル、2-シアノ-1,1-ジメチルエチル基などである場合には、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンを脱保護試薬として用いることが好ましい。
【0070】
本発明の第3態様において、脱保護試薬は、反応を完結させるために、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位1モルに対して2モル〜20モル用いることが好ましく、3モル〜10モル用いることが更に好ましく、5モル〜8モル用いることが更になお好ましい。
【0071】
本発明の第3態様において、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位中、3'位を保護する観点から、R2は、ベンゾイル基、フェノキシアセチル基等の置換基を有していてもよいアシル基であることが好ましい。
【0072】
本発明の第3態様において、典型的には、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位の溶液に、脱保護試薬を添加し、攪拌して保護基R1を除去する。ヌクレオチドモノマー単位(1)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製されたヌクレオチドモノマー単位をそのまま用いても良い。
【0073】
脱保護試薬が、例えばTMSOTfといった上記式(4a)で示される化合物である場合には、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位に脱保護試薬を作用させると、保護基が脱離し、トリメチルシリルエステルになり、トリフルオロメタンスルホン酸が生成する。従って、任意に、メタノール等を用いてトリメチルシリル基を除去し、更に、トリエチルアミン(TEA)等を用いてトリフルオロメタンスルホン酸を中和し、H-ホスホネートモノエステルのトリエチルアミン塩とすることができる。この場合、メタノールは、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位1モルに対して、6モル〜20モル用いることが好ましく、10モル〜16モル用いることが更に好ましい。反応機構を下記に示す。
【0074】
【化44】

[式中、B、R1、R2及びR3は、上記の意味を表す。]
【0075】
なお、上記反応機構は仮説であり、本発明はこの反応機構に限定されるものではない。
上記反応機構のように、ヌクレオチドモノマー単位の保護基を脱離させた後に5'-H-ホスホネートとすることで、後述するように、新たなヌクレオチドモノマー単位(1a)と縮重合することができるため鎖の伸張が容易となる。
本発明の第3態様において、溶媒としては、上記式(1)で示されるヌクレオチドモノマー単位が溶解できるものが好ましい。たとえば、コリジン、ピリジン、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒、ピリジンとN,N-ジメチルホルムアミドとの混合溶媒を挙げることができ、ピリジン、又は、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒であることが好ましい。
【0076】
本発明の第3態様において、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒を用いる場合は、その体積割合が、2〜0.5:1であることが好ましく、約1:1であることがより好ましい。
反応温度としては、-30℃〜30℃が好ましく、0℃〜30℃がさらに好ましく、15℃〜25℃が更になお好ましい。所望により、光を遮断して反応を進行させてもよい。
圧力は、大気圧であることが好ましい。
【0077】
本発明の第4態様では、下記一般式(5)で示されるホスホネートが提供される。
【化45】

上記式中、B及びR3についての説明は、本発明の第1態様〜第2態様においてしたのと同様である。
【0078】
上記式中、R4は、担体を表す。担体としては、たとえば、調節多孔性ガラス(controlled pore glass:CPG)、高架橋性ポリスチレン(HCP)といった固相法に用いられる公知の高分子支持体であって、できるだけ膨潤性がなく、過剰に用いた試薬を洗浄によって簡単に除去できるものや、フェノキシアセチル基やベンゾイル基のような保護基などを、特に制限なく挙げることができる。
本発明において、R4は、好ましくは、フェノキシアセチル基である。
【0079】
上記式(5)で示されるホスホネートは、例えば、第2態様にしたがって合成したヌクレオチドモノマー単位の3'-位に担体R4を導入した後に、第3態様にしたがって5'-ホスファイトの保護基を除去することによって得ることができる。
【0080】
本発明の第5態様では、下記一般式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体が提供される。
【化46】

【0081】
上記式中、B、R1及びR3についての説明は、本発明の第1態様〜第2態様においてしたのと同様である。また、上記式中、R4についての説明は、本発明の第4態様においてしたのと同様である。
上記式中、nは1以上の整数を表す。nは、1〜100の整数であることが好ましく、10〜30の整数であることがより好ましい。
【0082】
本発明の第6態様では、一側面として、本発明の第1態様にかかるヌクレオチドモノマー単位の一態様と、本発明の第4態様で提供されるホスホネートとを縮合させて、本発明の第5態様の一態様であるヌクレオチド二量体を製造する方法が提供される。すなわち、縮合剤存在下、下記一般式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位と、下記一般式(5)で示されるホスホネートとを反応させ、下記一般式(6)で示される二量体を製造する。
【0083】
【化47】

【0084】
上記式中、B、R1及びR3についての説明は、本発明の第1態様〜第2態様においてしたのと同様である。また、上記式中、R4についての説明は、本発明の第4態様においてしたのと同様である。
【0085】
本発明の第6態様では、伸長鎖の末端として上記式(5)で示されるホスホネート(H-ホスホネートモノエステル)を用いる。したがって、従来法で確認されていた副反応である分子内,分子間の鎖切断反応が抑制される。
【0086】
本発明の第6態様において、二量体(6)を製造するためには、上記式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位は、縮合反応を定量的に進行させるために、上記式(5)で示されるホスホネート1モルに対して液相法では1モル〜10モル用いることが好ましく、1モル〜5モル用いることが更に好ましく、1モル〜1.5モル用いることが更になお好ましい。また、固相法では、上記式(5)で示される固相担体に結合したホスホネート1モルに対して1モル〜100モル用いることが好ましく、10モル〜50モル用いることが更に好ましく、20モル〜30モル用いることが更になお好ましい。
【0087】
本発明にかかるオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法では、縮合剤を用いる。縮合剤としては、2-(ベンゾトリアゾール1-イルオキシ)-1,3-ジメチル-2-ピロリジン-1- イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOMP)、N,N-ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスホニッククロリド(BopCl)等を挙げることができ、BOMPを好ましく用いることができる。
【0088】
本発明の第6態様において、縮合剤は、反応を定量的に進行させるために、上記式(5)で示されるホスホネート1モルに、液相法では1モル〜20モル用いることが好ましく、1モル〜10モル用いることが更に好ましく、1モル〜5モル用いることが更になお好ましい。また、固相法では、上記式(5)で示される固相担体に結合したホスホネート1モルに対して1モル〜200モル用いることが好ましく、20モル〜100モル用いることが更に好ましく、40モル〜60モル用いることが更になお好ましい。
【0089】
本発明の第6態様において、典型的には、ホスホネート(5)の溶液に、上記式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位を溶解して加え、縮合剤を添加し、攪拌して二量体(6)を得る。ホスホネート(5)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製されたヌクレオチドモノマー単位をそのまま用いても良い。
【0090】
本発明の第6態様において、溶媒としては、上記式(5)で示されるホスホネートが溶解できるものが好ましい。たとえば、ピリジン、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒、ピリジンとN,N-ジメチルホルムアミドとの混合溶媒を挙げることができ、ピリジン、又は、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒であることが好ましい。
【0091】
本発明の第6態様において、ピリジンとアセトニトリルとの混合溶媒を用いる場合は、その体積割合が、2〜0.5:1であることが好ましく、約1:1であることがより好ましい。
反応温度としては、0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃がさらに好ましく、15℃〜25℃が更になお好ましい。所望により、光を遮断して反応を進行させてもよい。
圧力は、大気圧であることが好ましい。
【0092】
本発明の第6態様の他の側面では、本発明の第5態様にかかる5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体から、本発明の第3態様にしたがって保護基を除去し、更に、前述した本発明の第6態様の一側面にかかる縮合方法と同様の手順で、本発明の第1態様にかかるヌクレオチドモノマー単位の一態様と縮合させて、鎖を伸張させる、5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体を製造する方法が提供される。
【0093】
すなわち、本発明の第6態様の他の側面では、下記一般式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体と、例えば、TMSOTfといった上記一般式(4a)で示される化合物、上記一般式(4b)で示される化合物、臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンからなる群より選ばれる1種以上の脱保護試薬とを反応させて、R1を脱離させた後、縮合剤存在下、下記一般式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位とを反応させることを特徴とする、下記一般式(8)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法が提供される。
【0094】
【化48】

[式中、B、R1、R3、R4及びn、上記の意味を表す。]
【0095】
たとえば、第6態様で得られた二量体を出発物質として、(a)脱保護工程、(b)新たなモノマーとの縮重合工程を経ることでヌクレオチド三量体を得ることができる。更に鎖を伸ばす場合には、以上の(a)工程、(b)工程を繰り返すことで容易に鎖を伸張させることができる。
【0096】
本発明の第6態様において、上記式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体からR1を脱離除去する際の脱保護試薬、反応条件は、本発明の第3態様で説明したのと同様である。保護基を脱離させた後、任意に、メタノールやTEA等を用いて、5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチドにしてもよい。
【0097】
また、本発明の第6態様において、保護基を脱離させた後、縮合剤存在下、上記式(1a)で示されるヌクレオチドモノマー単位と反応させる際の縮合剤、反応条件は、前述した本発明の第6態様の一側面において説明したのと同様である。
【0098】
本発明の第7態様では、下記式(9)で示される5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体が提供される。
【化49】

[式中、B、R3、R4及びn、上記の意味を表す。]
【0099】
上記式中、B及びR3についての説明は、本発明の第1態様〜第2態様においてしたのと同様である。また、上記式中、R4についての説明は、本発明の第4態様においてしたのと同様である。
【0100】
本発明の第8態様では、本発明の第7態様にかかる5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を製造する方法が提供される。すなわち、本発明の第8態様では、下記一般式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体と、例えば、TMSOTfといった上記一般式(4a)で示される化合物、上記一般式(4b)で示される化合物、臭化亜鉛(ZnBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2-t-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,3,2-ジアザホスホリナン、(t-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンからなる群より選ばれる1種以上の脱保護試薬とを反応させて、R1を脱離させる工程を含む、下記式(9)で示される5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を製造する方法が提供される。
【0101】
【化50】

[式中、B、R1、R3、R4及びnは、上記の意味を表す。]
【0102】
本発明の第8態様において、上記式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体からR1を脱離除去する際の脱保護試薬、反応条件は、本発明の第3態様で説明したのと同様である。保護基を脱離させた後、メタノールやTEA等を用いて処理することで、上記式(9)で示される5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。
【0103】
保護基除去後、5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体を得る手順については、本発明の第3態様において説明したのと同様である。ただし、メタノールは、上記式(7)で示される5'-ホスファイトオリゴヌクレオチド誘導体中のヌクレオチド1モルに対して、6モル〜20モル用いることが好ましく、10モル〜16モル用いることが更に好ましい。
【0104】
こうして得られたオリゴヌクレオチド誘導体(9)は、幅広い修飾が行え、有用なDNA類縁体を合成することができる。たとえば、縮合剤存在下で、R5OHと反応させて、官能基R5が導入された下記式(10)のオリゴヌクレオチド誘導体を得る。
【化51】

[式中、B、R3、R4及びnは、上記の意味を表す。]
【0105】
R5としては、水素、ヌクレオシド、アルキル、アリール、各種蛍光発色団、ビオチン等の機能性残基を挙げることができる。
縮合剤としては、BOMPおよびBopClを挙げることができ、BOMPを好ましく用いることができる。
【0106】
次いで、得られた上記式(10)で示されるオリゴヌクレオチド誘導体を酸化又は化学変換することにより各種DNA類縁体を得ることができる。たとえば、下記のような(1)〜(7)の試薬/溶媒を用いることで、対応する各種DNA類縁体を得ることができる。
【0107】
【化52】

[式中、B、R3、R4、R5及びnは、上記の意味を表す。Rとは、アルキル基を示す。]
【実施例】
【0108】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
反応に用いた溶媒は、市販のものを蒸留した後ナトリウムまたはモレキュラーシーブ4Aで乾燥したものを用いた。テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルについては、用いる直前にナトリウムベンゾフェノンケチル存在下で蒸留したものを用いた。
また、ジ-tert-ブチル N,N-ジエチルホスホロアミダイト、3'-O-ベンゾイルチミジン、3'-O-tert-ブチルジメチルシリルチミジンについては、既知の方法で合成した。
【0109】
各種分析機器は、以下に示した機種を用いた。
1H-核磁気共鳴スペクトル(1H -NMR) : バリアン Mercury 300 (300MHz)
31P-核磁気共鳴スペクトル(31P -NMR) : バリアン Mercury 300 (121.5MHz)
カラムクロマトグラフィーに充填するシリカゲルには、KANTO CHEMICALのSilica Gel 60 Nを用いた。
【0110】
実施例1(3'-末端の合成)
3'-O-ベンゾイル-5'-O-(ジt-ブチル)-ホスフィチルチミジン
【化53】

【0111】
アルゴン雰囲気下、3'-O-ベンゾイルチミジン (693.3 mg, 2.0 mmol) をドライピリジン (5 ml) で3回共沸した。これに、ドライピリジンで共沸してから0.25 Mに調製し、モレキュラーシーブス3Aで乾燥したピリジン塩酸塩のドライピリジン溶液を16 ml加えた (A) 。これに、ジ-tert-ブチル N,N-ジエチルホスホロアミダイトを室温で2分かけて滴下した。滴下終了後、室温で1.5時間撹拌した後、クロロホルム (50 ml) で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (40 ml) で洗浄した。水層をクロロホルム(50 ml)で逆抽出し、すべての有機層を集めて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー (ヘキサン-酢酸エチル-トリエチルアミン(75:25:2, v/v/v)で分離精製した。トリエチルアミンを減圧して除去した後、ドライトルエン (2 ml) で3回、ドライジクロロメタン (2 ml) で3回共沸することにより、目的化合物を収率91%で得た。白色泡状固体。
1H NMR (CDCl3) δ1.4, 1.44 (2s, 18H),δ1.960, 1.964 (2s, 3H),δ2.31-2.41 (m, 1H),δ2.49-2.56 (m, 1H),δ3.98-4.04 (m, 1H),δ4.27-4.36 (m, 2H),δ5.56-5.60 (m, 1H),δ6.53 (dd, 1H),δ7.44-7.50 (m, 2H),δ7.57-7.63 (m, 1H),δ7.800, 7.804 (2s, 1H),δ8.04-8.08 (m, 2H),δ8.54 (brs, 1H)
31P NMR (CDCl3) δ134.4
【0112】
実施例2(3'-末端の合成)
トリエチルアンモニウム 3'-O-ベンゾイルチミジン-5'-イル ホスホネート
【化54】

【0113】
アルゴン雰囲気下、実施例1で得られた3'-O-ベンゾイル-5'-O-ビス(t-ブチル)-ホスフィチルチミジン (156.8 mg, 0.3 mmol) をドライピリジン (1 ml) で3 回、ドライトルエン (1 ml) で3回共沸乾燥した。これを3 mlのドライアセトニトリル溶液にして、トリメチルシリルトリフラート (110 μl, 0.6 mmol) を30秒かけて滴下した。滴下終了後、室温で10分間撹拌した後、メタノール (49 μl, 1.2 mmol) で脱保護し、トリエチルアミン (170 μl, 1.2 mmol) で中和した。これをカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン - トリエチルアミン (98:2, v/v)-ジクロロメタン-メタノールートリエチルアミン (96:4:2, v/v/v)) で分離精製し,トルエン (3 ml) で3回、クロロホルム (3 ml) で3回共沸した。その後、ジクロロメタン (2 ml) で希釈し、1 M 炭酸トリエチルアンモニウム水溶液 - ピリジン (1:1, v/v) (2 ml) で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥し,溶媒を留去した後,トルエン (1 ml) で3回、ジクロロメタン (1 ml) で3回共沸し、目的化合物を収率25%で得た。白色泡状固体。
1H-NMR (CDCl3)δ1.35 (t, 9H, -CH2- of Et3N, 3JHH = 7.2 Hz), δ1.97 (s, 3H, -CH3 of thymine), δ2.47-2.50 (m, 2H, 2'-H), δ3.11 (q, 6H, -CH3 of Et3N, 3JHH = 7.2 Hz), δ3.52-3.65 (ddd, 1H, 5'-H), δ4.12-4.30 (ddd, 1H, 5''-H), δ4.34 (m, 1H, 4'-H), δ5.64 (m, 1H, 3'-H), δ6.53 (t, 1H, 1'-H), 6.91 (d, 1H, H of P-H, 1JPH = 583 Hz), δ7.43-7.49 (m, 2H, o-of Bz), δ7.57-7.62 (m, 1H, p- of Bz), 7.99-8.05 (m, 2 H, m-of Bz)
31P-NMR (CDCl3)δ4.53 (1JPH=618 Hz
【0114】
実施例3(モノマーユニットの合成)
チミジン 5'-O-ビス(tert-ブチル)ホスファイト
【化55】

【0115】
チミジン (74.5 mg, 0.3 mmol) をドライピリジン (1 ml) で3 回共沸乾燥した。これに、ドライピリジン(3.6 ml) と、モレキュラーシーブス3A 10粒を加えた。その後、ドライピリジンで共沸してから0.25 Mに調製して、モレキュラーシーブス3Aで乾燥したピリジン塩酸塩のドライピリジン溶液を2.4 ml加えた。終夜で撹拌した後、これに、ビス-tert-ブチル N,N-ジエチルホスホロアミダイトを3分かけて滴下した。滴下終了後、室温で1.5時間撹拌した後、濾過によりMS3Aを除去して、クロロホルム (10 ml) で希釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (10 ml) で洗浄した後にクロロホルム (10 ml) で3回逆抽出した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー (ヘキサン - 酢酸エチル - トリエチルアミン (80:20:2, v/v/v) - ヘキサン - 酢酸エチル - トリエチルアミン (50:50:2, v/v/v)) で分離精製した。トリエチルアミンを減圧して除去した後、ドライトルエン (2 ml) で3回、クロロホルム (2 ml) で3回共沸することにより、目的化合物を収率58%で得た。白色泡状固体。
【0116】
実施例4(3'-末端の合成)
3'-O-(t-ブチルジメチルシリル)-5'-O-ビス(t-ブチル)-ホスフィチルチミジン
【化56】

【0117】
アルゴン雰囲気下、3'-O-(tert-ブチルジメチルシリル)チミジン (107.1 mg, 0.3 mmol) をドライピリジン (2 ml) で3回共沸した。これに、ドライピリジン(0.12 ml) と、MS3A 15粒を加えた。その後、ドライピリジンで共沸してから0.25 Mに調製して、モレキュラーシーブス3Aで乾燥したピリジン塩酸塩のドライピリジン溶液を2.88 ml加えた。これに、ビス-tert-ブチル N,N-ジエチルホスホロアミダイトを2分かけて滴下した。滴下終了後、室温で15分間撹拌した後、濾過によりMS3Aを除去して、クロロホルム (30 ml) で希釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (30 ml) で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー (ヘキサン - 酢酸エチル - トリエチルアミン (96:16:2, v/v/v) - ヘキサン - 酢酸エチル - トリエチルアミン (80:20:2, v/v/v)) で分離精製した。トリエチルアミンを減圧して除去した後、ドライトルエン (2 ml) で3回、クロロホルム (2 ml) で3回共沸することにより、目的化合物を収率79%で得た。白色泡状固体。
1H-NMR (CDCl3)δ0.08 (s, 6H), δ0.87 (s, 9H), δ1.41 (s, 18H), δ1.93 (s, 3H), δ2.00-2.28 (m, 2H), δ4.01-4.02 (m, 3H), δ4.40-4.41 (m, 1H), δ6.33-6.38 (dd, 1H), δ7.69 (s, 1H), δ8.26 (s, 1H)
31P NMR (CDCl3) δ133.2
【0118】
実施例5(3'-末端の合成)
トリエチルアンモニウム 3'-O-(t-ブチルジメチルシリル)チミジン-5'-イル ホスホネート
【化57】

【0119】
アルゴン雰囲気下、実施例4で得られた3'-O-(t-ブチルジメチルシリル)-5'-O-ビス(t-ブチル)-ホスフィチルチミジン (4.26 mg, 8 mmol) を5 mlのドライジクロロメタン溶液にして、トリフルオロ酢酸 (8.0 ml, 103 mmol) を3分かけて滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した後、トリエチルアミン (17.3 ml, 40 mmol) で中和した。これを1 M 炭酸トリエチルアンモニウム水溶液 (80 ml) で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、トルエン (10 ml) で共沸した。カラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン - トリエチルアミン (100:0.5, v/v) - ジクロロメタン - メタノール - トリエチルアミン (97:3:0.5, v/v/v)) で分離精製し、トルエン (10 ml) で3回、ジクロロメタン (10 ml) で3回共沸し、目的化合物を収率98%で得た。白色泡状固体。
1H-NMR (CDCl3)δ0.08 (s, 6H), δ0.89 (s, 9H), δ1.31-1.36 (t, 9H), δ1.96 (s, 3H), δ2.14-2.19 (m, 2H), δ3.06-3.08 (m, 6H), δ4.01-4.01 (m, 3H), δ4.48 (m, 1H), δ6.35-6.40 (dd, 1H), δ6.90 (s, 1H, J=618.0 Hz), δ7.76 (s, 1H), δ8.76 (s, 1H)
31P-NMR (CDCl3)δ5.24 (s, J=620.4 Hz)
【0120】
実施例6(二量体の合成)
3'-O-(t-ブチルジメチルシリル)チミジン-5'-イル-[5'-O-(ビスtert-ブチルホスフィチル) チミジン-3'-イル]]ホスホネート
【化58】

【0121】
実施例3で得られたチミジン 5'-O-(ジtert-ブチル)ホスファイト (418.2 mg, 1 mmol) をドライトルエン (1 ml) で3 回共沸乾燥し、3 mlのドライピリジン溶液にした。これに実施例5で得られたトリエチルアンモニウム 3'-O-tert-ブチルジメチルシリルチミジン-5'-イル ホスホネート (897.3 mg, 1.72 mmol) をドライピリジン (7 ml)に溶解して加え、BopCl (0.509 g, 2.00 mmol) を加えた後、室温で1.5時間撹拌した。ピリジンを減圧下で留去した後、クロロホルム (100 ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (100 ml) で3回洗浄した、クロロホルム (100 ml) で1回逆抽出をした。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去して、目的化合物を定量的に得た。白色泡状固体。
1H-NMR (CDCl3)δ0.09 (m, 6H), δ0.89 (s, 9H), δ1.40 (s, 3H), δ1.89-1.93 (m, 3H), δ2.14-2.35 (m, 2H),δ2.43-2.61 (m, 2H), δ3.36-3.55 (m, 2H), δ3.80 (s, 6H), δ3.98-4.03 (m, 2H),δ4.05-4.42 (m, 4H), δ5.25 (m, 2H),δ4.05-4.42 (dd, 1H), δ6.10-6.14 (t, 1H),δ6.19-6.23 (t, 1H), δ6.43-6.46 (m, 2H),δ6.892(d, 1H, 717 Hz), δ6.933(d, 1H, 716 Hz), δ7.16-7.37 (m, 13H), δ8.50-8.75(m, 2H)
31P-NMR (CDCl3) δ133.53, 133.46, δ9.16 (s, J=704.8 Hz), 7.72 (s, J=708.2 Hz)
【0122】
実施例7(二量体の脱保護)
【化59】

【0123】
実施例6で得られた3'-O-(t-ブチルジメチルシリル)チミジン-5'-イル-[5'-O-(ビスtert-ブチルホスフィチル) チミジン-3'-イル]]ホスホネート(41.0 mg, 0.05 mmol) をドライトルエン (1 ml) で3 回共沸乾燥し、5 mlのドライジクロロメタン溶液にした。これにトリフルオロ酢酸 (50 μl, 0.649 mmol) を加え、室温で25時間撹拌した。クロロホルム (30 ml)で希釈し、1 M 炭酸トリエチルアンモニウム水溶液 (30 ml) で3回洗浄した、クロロホルム (30 ml) で5回逆抽出をした。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去して、目的化合物を得た。黄色油状物質。
31P-NMR (CDCl3) δ8.97 (m, 1JPH=708.3 Hz), 8.85(m, 1JPH=708.3 Hz), δ4.90 (m, 1JPH=619.4 Hz), 4.781 (m, 1JPH=619.4 Hz)
【0124】
実施例8(三量体の合成)
【化60】

【0125】
実施例6と同様の手順で行った。但し、実施例5で得られたトリエチルアンモニウム 3'-O-tert-ブチルジメチルシリルチミジン-5'-イル ホスホネートの代わりに、実施例7で得られたホスホネートを用いた。黄色油状物質。
31P-NMR (CDCl3) δ133.72 (t), δ133.69 (t), δ133.34 (t), δ133.31 (t), δ9.91 (m), δ9.73(m), δ9.26 (m), δ9.07 (m), δ8.19 (m), δ8.07 (m), δ7.83 (m), δ7.77 (m)
【0126】
実施例9(塩基性条件下での脱保護)
1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]1-ウンデセニウム 3'-O-(t-フェノキシアセチル)チミジン-5'-イル ホスホネート
【化61】

アルゴン雰囲気下、3'-O-(フェノキシアセチル)-5'-O-ビスジメチルシアノエチルホスフィチルチミジン (36.2 mg, 0.06 mmol) をドライピリジン (1 ml) で3回、ドライトルエン (1 ml) で3回共沸した。これをドライ重アセトニトリル-アセトニトリル (1:4, v/v) (0.6 ml) 溶液にして、DBUを添加した。22時間後、クロロホルム (3 ml) で希釈し、DBU 重炭酸塩(3 ml) で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して目的化合物を得た。
31P NMR (CDCl3) δ0.15 (1JPH=584.1 Hz)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(5)で示されるホスホネート。
【化1】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化2】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。]
【請求項2】
下記式(9)で示される5'-H-ホスホネートオリゴヌクレオチド誘導体。
【化3】

[式中、Bは、ピリミジン塩基、プリン塩基またはそれらの誘導体を表し、R3は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、または下記式で表される基
【化4】

(式中、Z1はメチル基を示す。Z2,Z3及びZ4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、Z5は、電子吸引基を表す。)を表し、R4は、担体を表す。nは1以上の整数を表す。]

【公開番号】特開2010−241836(P2010−241836A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165124(P2010−165124)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2005−513991(P2005−513991)の分割
【原出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【出願人】(508337972)株式会社キラルジェン (4)
【Fターム(参考)】