説明

ホメオスタシスを促進するフラバノールおよびプロシアニジン

本発明は、ヒトまたは家畜動物のサイトカイン応答性を特定するためのスクリーニング方法およびフラバノール、プロシアニジンおよび/またはその誘導体、またはそれらの混合物を有してなる、それに使用するための製品とアッセイ、ヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン表現型を診断する方法;炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクのある被験者を識別する方法;炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態を調節するための食事および/または薬剤の関与を確認する方法、および選択されたフラバノール、プロシアニジンおよび/またはその誘導体、またはそれらの混合物により、ヒトまたは家畜動物の予防または治療処置の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは家畜動物のサイトカイン応答性を特定するためのスクリーニング方法およびフラバノール、プロシアニジン、またはそれらの混合物を有してなる、それに使用するための製品とアッセイ、ヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン表現型を診断する方法;炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクのある被験者を識別する方法;炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態を調節するための食事および/または薬剤の関与を確認する方法、および選択されたフラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物により、ヒトまたは家畜動物の予防または治療処置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラバノールおよびプロシアニジンは、血管の健康に関連する様々な要因を調節する能力を示してきた。この例としては、酸化防止作用(非特許文献1、2および3)、サイトカイン産生の調節(非特許文献4、5および6)、エイコサノイドとNOとペルオキシナイトライトレベルの調節および抗炎症特徴一般(非特許文献7および2)が挙げられる。例えば、抗血小板剤および抗菌剤として、また癌の治療のためのフラバノールおよびプロシアニジンの他の有益な効果も示されてきた(特許文献1および2)。
【0003】
TGF−β1は循環系の有力なモジュレータであり、それゆえ、多大な研究が、治療目的のためにその産生と活性の操作に向けられてきた。TGF−β1の産生を増加させるために様々な試薬が提案されてきた。メトカルフェ(Metcalfe)等は、一部には、高脂肪規定食が与えられたネズミにおけるTGF−β1の循環濃度を上昇させることにより、タモキシフェンが脂質群の形成が減少したことを示しており(非特許文献8)、一方で、これにつじつまが合うが、ジュロビッチ(Djurovic)等は、ホルモン補充療法を受けた閉経後の女性がTGF−β1の増加した血漿濃度を示し、心臓血管疾患のリスクを減少させる潜在的な手段を示したことを報告した(非特許文献9)。TGF−β1の拮抗体の発見は、線維性疾患の治療に有益であるかもしれない。TGF−β1の天然阻害因子の一種であるデコリンを用いて、ラットの肝臓におけるTGF−β1の媒介組織線維症をうまく抑制してきた(非特許文献10)。さらに、食物植物のポリフェノールの一種であるレスベラトロールは、一部には、TGF−β1 mRNAを阻害する能力のために、血管平滑筋細胞における機能障害に対する保護効果を有することが報告された(非特許文献11)。
【特許文献1】米国特許第5554645号明細書
【特許文献2】米国特許第6297273号明細書
【非特許文献1】Lotito LB et al., Biochem Biophys Res Commun 2000; 276:945-951
【非特許文献2】Arteel and Sies, FEBS Lett 1999; 462:167-170
【非特許文献3】Sanbongi et al., Cell Immunol 1997; 177:s129-136
【非特許文献4】Mao et al., J Medicinal Foods 2002; 5:17-22
【非特許文献5】Mao et al., Life Sciences 2000; 66:1377-1386
【非特許文献6】Mao et al., J Medicinal Foods 2000; 3:107-114
【非特許文献7】Osakabe et al., Biosci Biotechnol Biochem 1998; 62:1535-1538
【非特許文献8】Densem et al., J Heart Lung Trans 2000; 19:551-556
【非特許文献9】Grainger et al., Nat Med 1995; 1:1067-1073
【非特許文献10】Isaka et al., Mat Med 1996; 2:418-423
【非特許文献11】Mizutani et al., Biochem Biophys Res Comm 2000; 276:61-67
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TGF−β1の重要性を考えると、ヒトまたは家畜動物の体内のそのレベルを調節するためのさらに別の手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願人は、意外なことに、フラバノールおよびプロシアニジン、並びにそれらの混合物は、TGF−β1のホメオスタシスを含む、サイトカインのホメオスタシスを促進する能力を有し、被験者における、TGF−β1の応答性を含むサイトカインの応答性を特定またはその表現型を決定するスクリーニング手段として使用できることを発見した。これにより、内科医、臨床医、獣医および栄養士が、被験者、ヒトまた家畜動物を、心臓血管疾患、関節炎、および癌などの、炎症および免疫調節経路に関連する健康状態についてのリスクが低いか高いと識別することができ、またその被験者の表現型に応じて適切な食事および/または薬剤の関与を設計することができる。
【0006】
本発明は、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態の診断、予防および/または治療のための、フラバノールおよび/またはプロシアニジン、およびそれらの混合物のスクリーニング、診断、予防、治療および栄養学用途に関する。本発明はさらに、ここに記載されたスクリーニング方法論により特定された健康問題に対処するために、ヒトまたは家畜動物のための個別対応の薬剤および/または食事の処方(すなわち、関与)の設計に関する。
【0007】
ある態様において、フラバノールおよびプロシアニジン、並びにそれらの混合物を用いた、ヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン応答性を特定するためのスクリーニング方法論およびアッセイが提供される。ヒトまたは家畜動物の体サンプルにおける生体外基線サイトカインレベルを測定する診断アッセイも本発明の範囲に含まれる。
【0008】
別の対応において、本発明は、ヒトまたは家畜動物の表現型(すなわち、サイトカイン応答性)に応じてヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方(すなわち、関与)を設計する方法であって、その処方が、スクリーニング方法論およびアッセイにより診断された健康状態を予防するまたは治療するのに効果的である方法に関する。ある実施の形態において、処方は、フラバノールおよび/またはプロシアニジン、またはそれらの任意の混合物の投与を含む。
【0009】
さらに別の態様において、ヒトまたは家畜動物の予防または治療処置の方法であって、ヒトまたは家畜動物の表現型、すなわち、サイトカイン応答性に基づいてヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方を設計する工程を含み、その処方が、スクリーニング方法論およびアッセイにより診断された健康状態を予防するまたは治療するのに効果的である方法に関する。ある実施の形態において、予防/治療は、処方にしたがって、フラバノールおよび/またはプロシアニジン、またはそれらの任意の混合物の投与を含む。
【0010】
本発明は、少なくとも一つの低いサイトカインの産生体および少なくとも一つの高いサイトカインの産生体からの体サンプルを含むアッセイにおいて生体外でポリフェノールを試験し、体サンプルをポリフェノールとインキュベートして、低いおよび高いサイトカインの産生体におけるサイトカインのレベルがポリフェノールの存在により影響を受けるか否かを決定することによって、サイトカイン調節性質を有することが知られていないポリフェノールの治療価値を決定する方法にも関する。
【0011】
本出願において参照した全ての特許、特許出願および文献は、参照によりここに含まれる。矛盾がある場合、この開示が優先される。
【0012】
本発明は、ヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン応答性を特定するためのスクリーニング手段として使用するため、および炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態の診断、予防および/または治療のための、フラバノールおよび/またはプロシアニジン、またはそれらの任意の混合物のスクリーニング、診断、予防、治療および栄養学用途に関する。ここに用いるように、「炎症経路」は、有害な刺激および/または組織の損傷に応答するほ乳類の生きている体に生じる生化学経路である。「免疫調節経路」は、ほ乳類の生きている体における免疫機能を調節または規制することのできる生化学経路である。家畜動物の例としては、ネコ、イヌおよびウマが挙げられる。
【0013】
本発明はさらに、ここに記載したスクリーニング方法論により特定された健康問題に対処するために、ヒトまたは家畜動物のための個別に対応した薬剤および/または食事の処方(すなわち、関与)の設計に関する。一旦、健康問題または状態が特定されたら、その状態を防ぐまたは治療するためのどのような手法を用いてもよい。ある実施の形態において、処方は、フラバノールおよび/またはプロシアニジン、またはそれらの任意の混合物の投与を含んでよい。
【0014】
化合物および組成物
本発明に使用する化合物は、エピカテキン、カテキンなどのフラバノール、およびエピカテキンガレートおよびカテキンガレートなどのそのガレート型である。本出願の目的のためには、フラバノールのオリゴマーとして定義されるプロシアニジンを用いてもよく、そのプロシアニジンは、少なくとも一つのガレート型モノマーを含有してよい。
【0015】
フラバノールは、モノマー化合物であり、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、およびそれらのそれぞれのエピマー(例えば、(−)−カテキンおよび(+)−エピカテキン)を含み、構造:
【化1】

【0016】
を有する。
【0017】
プロシアニジンオリゴマーは、2から約18までの、好ましくは2から約12までの、最も好ましくは2から約10までのモノマーユニットを有してよい。そのモノマーユニットの少なくともいくつかはガレート型であってよい。例えば、オリゴマーは、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、ヘキサマー、セプタマー、オクタマー、ノナマーおよびデカマーであってよい。Bタイプのオリゴマーにおいて、上記に示されたモノマーは、フラバン間結合(4→6)および/または(4→8)を介して接続されている。単独で(4→8)結合を持つオリゴマーは線状であり、少なくとも一つの(4→6)結合が存在すると、枝分れオリゴマーとなる。
【0018】
線状オリゴマーは以下の化学式により表され、ここで、nは0から16までの整数である:
【化2】

【0019】
枝分かれオリゴマーの例は以下の化学式により表され、ここで、AおよびBは独立して、最終的なオリゴマーにおいて合計で3〜18となる、1から15までのオリゴマーである。
【化3】

【0020】
Aタイプのプロシアニジン、すなわち、結合C2−O−C7およびC4→C8またはC4→C6を含む二重に結合したオリゴマー(先に記載したモノマーを有してなる)も本発明において有用である。
【0021】
本発明に使用する化合物は、天然起源のものであっても、合成により調製されたものであってもよい。天然に生じた化合物は、様々なポリフェノール含有化合物から、例えば、カカオ、ブドウの種、落花生、クランベリー、リンゴおよび他の供給源から単離してもよい。当業者は、入手可能性および/またはコストに基づいて、天然または合成の化合物を選択してよい。
【0022】
カカオから得られる本発明に使用するフラバノールおよびプロシアニジンは、簡単にするために、ここでは、「カカオポリフェノール」(CP)とも称される。CPは、カカオ豆、カカオの実の子葉またはカカオ成分から由来してよい。「カカオ成分」という用語は、チョコレートリカーおよびある程度または完全に脱脂されたカカオ固形分(例えば、塊または粉末)などの殻のないカカオの実の子葉由来のカカオ固形分含有材料を称する。CPは、カカオ成分、抽出物、抽出物分画、またはプールされた抽出物分画の形態で本発明の組成物に含まれてもよい。
【0023】
カカオポリフェノールは、カカオ豆、カカオの実の子葉、またはチョコレートリカー、ある程度脱脂されたカカオ固形分、および/または完全に脱脂されたカカオ固形分などのカカオ成分からの抽出により調製してもよい。その抽出物は、完全にまたはある程度脱脂されたカカオ粉末から調製されることが好ましい。Theobroma(例えば、T.cacaoおよびT.grandiflorum)、Herraniaの任意の種またはそれらの種間交雑および種内交雑からの豆を用いてもよい。抽出物は、発酵した、不十分な発酵の、または未発酵の豆から調製してもよく、発酵した豆は最も少量のカカオポリフェノールを有し、未発酵の豆は最も多量のカカオポリフェノールを有する。豆の選択は、豆の発酵因子(fermentation factor)に基づいて行ってもよく、例えば、抽出物は、275以下の発酵因子を有する豆から製造してもよい。発酵の度合いを調節することにより、カカオ成分およびその抽出物中のポリフェノールのレベルの最適化は、米国特許第6015913号に対応する、国際公開第98/09533号パンフレットとして発行された国際特許出願第PCT/US97/15893号に記載されたように行われた。その関連部分をここに引用する。
【0024】
カカオポリフェノールは、カカオ加工の従来の方法(例えば、Chapters 1, 5 and 6におけるような、Industrial Chocolate manufacture and Use, ed. Beckett, S.T., Blacie Acad. & Professional, New York, 1997に記載されている)を使用して、または従来の加工方法と対照的に、ポリフェノールの破壊を防ぐことによりポリフェノールを保存する、キーリー(Kealey)等の米国特許第6015913号明細書に記載された改良加工方法を用いて加工されたカカオ成分から抽出してもよい。この改良カカオ加工方法は、従来の炒る工程を除外している。それゆえ、(a)カカオの実の子葉を炒らずに、カカオの殻をほぐすのに十分な時間と温度でカカオ豆を加熱し、(b)カカオの殻からカカオの実の子葉を篩にかけ、(c)カカオの実の子葉をネジプレスにかけ、(d)保存レベルのカカオポリフェノールを含有するある程度脱脂されたカカオ固形分およびカカオバターを回収することにより得られるカカオ成分を用いてもよい。この方法は、従来の方法よりも、ずっと高いレベルのプロシアニジンオリゴマーを維持する。この方法により生成されたカカオ固形分は、脱脂固形分1グラム当たり20,000μgより多い、好ましくは25,000μg/gより多い、より好ましくは28,000μg/gより多い、最も好ましくは30,000μg/gより多い総プロシアニジンを含有するであろう。本発明の目的に関して、プロシアニジンの総量は、ここに引用する、ハンマーストーン(Hammerstone)等(J.Agric.Food Chem., 47:2:490-496, 1999)に記載されているように測定される。
【0025】
カカオポリフェノールは、ポリフェノールを溶解させる溶媒を用いて、上述した供給源から抽出してもよい。適切な溶媒の例としては、水や、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコールおよび酢酸エチルなどの有機溶媒が挙げられる。溶媒の混合物を用いてもよい。水を溶媒として用いる場合、例えば、酢酸により、わずかに酸性化されていてもよい。好ましい溶媒は、水と有機溶媒、例えば、水性メタノール、エタノールまたはアセトンの混合物である。水性有機溶媒は、例えば、約50%から約95%の有機溶媒を含有してもよい。それゆえ、水中で50%、60%、70%、80%および90%の有機溶媒を用いてもよい。溶媒は、例えば、約0.5%から約1.0%の量で、酢酸などの酸を少量含有してもよい。抽出物の組成、すなわち、プロシアニジンオリゴマーの表示(すなわち、オリゴマー分布)および量は、溶媒の選択による。例えば、水抽出物は主にモノマーを含有し、酢酸エチル抽出物はモノマーと低級(lower)オリゴマー、主にダイマーおよびトリマーを含有し、水性メタノール、エタノールまたはアセトン抽出物はモノマーと様々な高級(higher)オリゴマーを含有する。モノマー並びに高級プロシアニジンオリゴマーを抽出するための好ましい溶媒の一例は70%のアセトンである。しかしながら、ポリフェノールを含有するどのような抽出物も本発明において有用である。カカオポリフェノール抽出方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、ここに引用する、ロマンチク(Romanczyk)等の特許文献1および国際公開97/36497号パンフレットとして発行された国際特許出願第PCT/US97/05693号に記載されている。それゆえ、ある実施の形態において、カカオ抽出物は、カカオ豆をカカオ粉末に粉砕し、粉末を脱脂し、カカオポリフェノールを抽出し、抽出物を精製することにより調製される。カカオ粉末は、カカオ豆と果肉を凍結乾燥し、凍結乾燥したカカオ豆の皮をむき、果肉を除去し、皮をむいた豆を磨砕することにより調製しても差し支えない。
【0026】
カカオポリフェノール抽出物は、例えば、カフェインおよび/またはテオブロミンの除去により精製し、さらにゲル透過クロマトグラフィーおよび/または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製してもよい。例えば、抽出物に高級プロシアニジンオリゴマーを豊富にするために、ゲル透過クロマトグラフィー(例えば、Sephadex LH−20で)を用いてもよい。例えば、モノマーおよび低級オリゴマーを含有する溶出液は、最適なオリゴマーがカラムから溶出し始めるまで、収集しなくてもよい。そのような抽出物の例は、当該技術分野において公知であり、国際公開第97/36497号パンフレットとして発行され、今では米国特許第6297273号となっている国際出願第PCT/US97/05693号の実施例5に記載されている。その関連部分をここに引用する。予備HPLC、例えば、順相HPLCを使用することにより、抽出物を、例えば、モノマーまたは特定のオリゴマーを少なくとも50重量%含有するモノマー分画およびオリゴマー分画に分画してもよい。それらの分画がモノマーおよび低級オリゴマー(テトラマーまで)を含有する場合、その分画は、特定のオリゴマー分画を約90から95重量%含有する。所望の分画は、例えば、オリゴマー3−10または5−10を含有するように最適なオリゴマーの組合せを得るように分離した後にプールしてもよい。当業者は、この明細書の案内、当該技術分野における一般的な知識および例えば、ロマンチク(Romanczyk)等の特許文献1および国際公開第97/36497号パンフレットとして発行され、今では米国特許第6297273号となっている国際出願第PCT/US97/05693号の教示を鑑みて、所望のプロシアニジン分布を達成するためにクロマトグラフィーの条件を操作することができる。
【0027】
カカオポリフェノールは、ポリフェノールを含有するカカオ成分により、またはミルク、スウィートおよびセミスウィートであってよく、好ましくはダークチョコレートであるチョコレートを含ませることにより、本発明の組成物に提供してもよい。カカオ成分は、従来のカカオ加工方法を用いて調製してもよいが、キーリー等の米国特許第6015913号明細書に記載された方法を用いて調製することが好ましい。あるいは、カカオポリフェノールのレベルを増大させるために、275以下の発酵因子を有するカカオ豆から調製したカカオ固形分およびチョコレートリカーを用いてもよい。これらの成分は、従来のカカオ加工方法(例えば、炒ることによる)および完全に発酵した豆を使用することにより得られるよりも高いカカオポリフェノール含有量を有する。チョコレートは、上述した成分から従来の技法を用いて、または関連部分をここに引用する、国際公開第97/36497号パンフレットとして発行され、今では米国特許第6297273号となっている国際出願第PCT/US97/05693号に記載されたような、チョコレート製造中にカカオポリフェノールを保存する改良プロセスを用いて調製してもよい。以下の従来のものではないプロセスの内の少なくとも一つにより調製されたチョコレートを「保存された量のカカオポリフェノールを有するチョコレート」と称する:(i)不十分に発酵したまたは未発酵のカカオ豆からカカオ成分を調製する、(ii)カカオ成分製造プロセス中にカカオポリフェノールを保存する、(iii)チョコレート製造プロセス中にカカオポリフェノールを保存する。
【0028】
合成プロシアニジンを用いてもよく、これは、当該技術分野において公知であり、例えば、関連部分をここに引用する、国際公開第97/36497号パンフレットとして発行され、今では米国特許第6297273号となっている国際出願第PCT/US97/05693号に記載されたような方法により調製される。
【0029】
フラバノールおよびプロシアニジンの誘導体も本発明において有用であろう。これらには、ガレート型モノマーとオリゴマー、グリコシル化モノマーとオリゴマー、およびそれらの混合物;硫酸型、グルクロン酸型、およびメチル化形態などの前記モノマーとオリゴマーの代謝産物;並びに結腸微生物相代謝またはほ乳類体内の代謝により産生されるプロシアニジンの酵素分解産物が含まれる。誘導体およびその製造方法の例は、例えば、関連部分をここに引用する、米国特許第6469053号明細書および国際公開第01/41775号パンフレットとして発行された国際出願第PCT/US00/335331号に示されているように、当該技術分野においてよく知られている。これらの誘導体は、天然供給源からのものであっても、合成により調製されたものであってもよい。
【0030】
スクリーニングおよび診断アッセイ
本発明のフラバノールおよびプロシアニジンは、フラバノールおよびプロシアニジンによる治療に対する、被験者、ヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン応答性を特定するためのスクリーニング手段として使用してもよい。被験者のサイトカイン応答性を特定することの重要な利点は、個体基準で薬剤および/または食事の関与を設計する能力にある。
【0031】
サイトカインとしては、インターロイキン、リンフォカイン、ケモカイン、TNF、インターフェロンおよびTGFが挙げられる。ある実施の形態において、サイトカインはTGFベータ[ここでは、「TGF−β」]、例えば、TGFベータ1[ここでは、「TGF−β1」]である。サイトカインの例としては、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、およびTNF−α(アルファ)が挙げられる。これらのサイトカインに関連する疾病または健康状態の診断および治療は本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
ヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン応答性を特定するスクリーニングアッセイは、(i)ヒトまたは家畜動物における体サンプル内の、炎症および/または免疫変調経路に関連する生体外基線サイトカインレベルを測定し、(ii)サイトカインレベルの変化を誘発するのに十分な条件下で、一連のフラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物と体サンプルをインキュベートし、その結果生じたサイトカインレベルを測定する各工程を有してなる。このアッセイは、工程(ii)において得られたサイトカインレベルと基線のサイトカインレベルを比較して、フラバノールおよびプロシアニジンに対するヒトまたは家畜動物におけるサイトカイン応答性を決定する工程をさらに含んでもよい。
【0033】
ここで用いているように、「基線のサイトカインレベル」は、ヒトまたは家畜動物が、サイトカインレベルを変調するように、またはその変調を生じるように設計された食事または薬剤治療のどのようなものにも施されていないときに、生体外で測定された、ヒトまたは家畜動物の体内のサイトカインのレベルを意味する。
【0034】
サイトカイン応答性は、実施例2に記載されたアッセイを用いて特定してもよい。それゆえ、血液を被験者、ヒトまたは家畜動物から得て、末梢血単核球(PBMB)を単離し、個々のフラバノールおよびプロシアニジンとインキュベートする。分泌したサイトカイン、例えば、TGF−β1のレベルを、フラバノールおよびプロシアニジンの添加の前、およびその後に培養上清中で測定する。サイトカイン応答性は、一連の別々に試験した個々のフラバノールおよびプロシアニジン、例えば、実施例2に示すような、モノマー、およびダイマーからデカマーを用いて、あるいは、一度の試験サンプル内でフラバノールおよびプロシアニジンの混合物を用いて、特定してもよい。適切な混合物は、フラバノールおよびプロシアニジンオリゴマー2〜18、例えば、モノマーおよびオリゴマー2〜10を有してなるカカオ抽出物である。体サンプル中のサイトカインの分泌および/またはレベルへのフラバノールおよびプロシアニジンの影響を測定するのに適した他のアッセイを用いてもよい。
【0035】
それらの結果を分析して、フラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカインの応答性を決定する。例えば、試験した各フラバノールおよびプロシアニジンについて、または代わりの手法において、フラバノール/プロシアニジンの混合物について、被験者の基線レベルに対するサイトカイン分泌における百分率変化を計算する。それらの結果は、三重に重要である。
【0036】
最初に、被験者を、低い基線のサイトカイン産生体または高い基線のサイトカイン産生体として認識してもよい。サイトカイン応答性は、被験者の基線のサイトカインレベルを観察するだけでは特定できず、フラバノールおよびプロシアニジンとのインキュベーション工程が必要であるのでこのことは重要である。それゆえ、フラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物により基線のサイトカインレベルが増加した場合、被験者は「低い基線の産生体」として認識される。これとは反対に、フラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物により基線のサイトカインレベルが減少した場合、被験者は「高い基線の産生体」として認識される。実施例2に示したように、全てのフラバノールおよびプロシアニジンは、サイトカイン・ホメオスタシス活性、または変調活性を有している、すなわち、被験者のサイトカイン表現型に応じて、サイトカインのレベルを(異なる程度であるが)増加させるか減少させる。言い換えれば、被験者の基線サイトカインレベルに応じて、同じフラバノールまたはプロシアニジンは、サイトカインレベルを減少させるかまたは増加させるであろう。例えば、TGF−β1について示されているように、あるフラバノールおよびプロシアニジンが、あるモデルにおけるほうが他のものにおけるよりも、一層活性であるが、個別の各化合物の一般的な影響は、低い基線の産生体からのTGF−β1放出を刺激し、高い基線の産生体からのTGF−β1の分泌を阻害したという点で類似していた。
【0037】
第二に、被験者を低いまたは高い基線の産生体と特定することは、サイトカインに応じて、被験者においてまだ診断されていない健康状態の診断に役立つであろう。それはまた、個別基準の治療の機会を提供する。それゆえ、低い基線のサイトカイン産生体は、サイトカインのレベルを増加させる必要がありそうであり、高い基線のサイトカイン産生体は、サイトカインのレベルを減少させる必要がありそうであり、両方ともホメオスタシスの促進を目的としている。ここに開示された化合物を用いて、その効果を達成してもよい。当業者には理解されるように、「ホメオスタシス」は、制御機構のシステムにより達成される、生物の正常な体の状態における安定性の傾向を称する。
【0038】
第三に、その必要がある被験者を治療するための最も効果的なフラバノールおよび/またはプロシアニジンは、基線のサイトカインレベルに最も劇的な影響を及ぼすフラバノール/プロシアニジンを選択することにより特定されるであろう。例えば、実施例2において、これらは低い基線の産生体にとってはモノマーとダイマーであり、高い基線の産生体にとっては高級オリゴマーである。
【0039】
フラバノールおよびプロシアニジンに対する応答について多数の被験者(低い、正常な、および高いサイトカインレベルの産生体である被験者を含む)について試験できる、任意のサイトカインに関する一連の基準を作成するために、上述したアッセイを用いてもよい。そのような基準は、被験者の基線のサイトカインレベルに応じて被験者に関する食事および/または薬剤の処方を設計するのに役立つ。このとき、被験者の基線のサイトカインレベルが基準と比較され、適切な個別の処方、例えば、フラバノール/プロシアニジンの処方が設計される。これらの基準は、一連のサイトカインについて得たときに特に有用である。基線のサイトカインレベルに応じて、食事および/または薬剤の処方を設計して、被験者におけるサイトカインレベルを調節、すなわち、ヒトまたは家畜動物の体内のサイトカインレベルのホメオスタシスを促進してもよい。
【0040】
上述したように、上述したスクリーニング方法論およびアッセイは、目に見える兆候がない場合でさえも、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクにある被験者の早期の特定(診断)にさらに有用である。当業者は、スクリーニングアッセイにおいて試験したサイトカインに関連する当該技術分野の知識に基づいてそのような健康状態を特定できる。
【0041】
例えば、TGF−β1は、様々な生理的プロセスに関係すると考えられている多機能タンパク質である(Grainger and Metcalfe, in The Endothelium in Clinical Practice, Rubanyi and Dzau, eds (Marcel Dekker Inc. New York) 1997; 203-243; Kenny et al., Am Heart J 1994; 127:1456-1461)。特に、心臓血管の潜在的な媒介物質として注目を集めた。それは、グレインジャー(Grainger)およびメトカルフェ(Metcalfe)がそれらの保護的サイトカインの仮説を提案したからである(Baxter et al., J Cardiovsc Pharm 2001;38:930-939, Mato et al., Int J Immunotherapy 1999;15:23-29)。この仮説は、TGF−β1は動脈壁内の内皮細胞および平滑筋細胞の正常な生理的表現型を能動的に維持し、それによって、内皮細胞の活性化を阻害し、並びにアテローム発生剤により誘発される平滑筋細胞の移動、脱分化および増殖を抑制するという証拠に基づいている。アテローム発生の阻害剤としてのTGF−β1の支援において、生体内研究により、アテローム性動脈硬化症が進行した被験者におけるTGF−β1の活性形態の減少したレベルが示された(Baxter et al., J Cardiovsc Pharm 2001;38:930-939)。他方で、TGF−β1が過剰に産生されると、損傷した血管壁において望ましくない細胞外基質の蓄積が生じ、その結果、心臓線維症に至ることがある(Pearson et al, Methods Enzymol 2001;335:350-360)。TGF−β1の産生と冠動脈心疾患(CHD)との間の関連を探求する研究により、TGF−β1の活性形態の増加が、CHDの発生と重症度に関連したことが示された(Grainger et al., Hu Mol Gen 1999:8:93-97)。さらに、別の調査により、高産生TGF−β1遺伝子型と心臓移植後の冠動脈血管症の初期の兆候との相関関係が示された(Wang et al., Cardiovasc Res 1997;34:404-410)。最後に、TGF−β1は、肝臓病/肝不全において主役とみなされている。したがって、診断アッセイにおいて、被験者の異常な基線のサイトカインレベルを測定することは、被験者の早期診断と治療に役立つであろう。それゆえ、被験者におけるTGF−β1レベルの測定は、上述した疾患(例えば、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、肝臓病/肝不全)の早期診断と治療につながるであろう。例えば、本発明のスクリーニング方法論を用いて、ヒトまたは家畜動物(例えば、ネコ、イヌ)は、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全のリスクがある、または患っているなどの血管と肝臓の健康問題を有するものと診断されるであろう。
【0042】
同様に、IL−4レベルは、アレルギー、慢性関節リウマチ(Gallagher et al., Curr.Opin.Fheumatol., 11(5):372-6, 1999)、喘息(Pauwels et al., Clin.Exp.Alergy, 28 Suppl. 3:1-5, 1998)、および炎症性免疫病(Rocken et al., Immunol Today 17(5):225-31,1996)の治療に関連がある。IL−4はまた、インスリン依存性糖尿病の兆候を防ぐ役割もあるかもしれない(Cameron et al., Crit Rev Immunol 17(5-6):537-44, 1997)。IL−6のダウン・レギュレーションも、炎症性腸疾患の治療に用いられてきた(Rogler et al., World J Surg 22(4):382-9, 1998)。IL−6は、炎症性皮膚病の皮膚感作に重要な役割を果たし、この状態に関する治療としてのIL−6産生のダウン・レギュレーションを示唆している(Sawamura et al., J Immunol, 161 (10):5633-9, 1998)。IL−5は、喘息および歯周病などの炎症および健康状態における重要な役割とみなされており、TNFαは、炎症性腸疾患(Sandborn et al., Inflamm.Bowel Dis. 5(2),119-33, 1999)および慢性関節リウマチ(Ohsima et al., J Clin Immunol, 19(5):305-13, 1999)に関係付けられてきた。これらと他のサイトカインに関連する健康状態は、本発明のスクリーニング方法論を用いて早期に診断されるであろう。
【0043】
食事および薬剤処方の設計
ここで、特定のヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤処方または関与は、ヒトまたは家畜動物のサイトカインの表現型、すなわち、サイトカインの産生に基づいて個別に設計することができ、予防または治療の処置方法を有利に最適化できる。予防または治療の処置は、例えば、フラバノールおよび/またはプロシアニジンの投与を用いて行ってもよいが、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態を処置することが知られている任意の他の予防法または治療法を用いてもよい。
【0044】
食事および/または薬剤の処方を設計する方法は一般に、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、および(ii)基線のサイトカインレベルに基づいて、被験者の健康状態を(被験者の健康状態に応じて)維持するため、または炎症および/または免疫調節経路に関連する状態の予防および/または治療のために薬剤および/または食事の処方を設計する工程を有してなる。ある実施の形態において、サイトカインはTGFβ、より具体的にはTGF−β1である。
【0045】
個別に設計された処方は、ヒトまたは家畜動物における基線のサイトカインレベルを維持、増加、または減少させてもよく、またはそうでなければ、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態の進行を防ぐ、または治療してもよい。ある実施の形態において、薬剤および/または食事の処方は、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーの投与を考える。しかしながら、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態を防ぐ、その進行を防ぐ、および/または治療することが知られている任意の他の処方を用いてもよい。当該技術分野においてよく知られている治療法でさえ、被験者のサイトカイン表現型および応答性の測定から、有利かつ予期せぬように恩恵を受けることができる。
【0046】
本発明の方法はさらに、フラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性(例えば、TGFβ、より具体的にはTGFβ1応答性)を測定するためのスクリーニングアッセイを含んでもよい。このアッセイは、先行するセクションおよび実施例2に記載されたように行ってもよい。
【0047】
ヒトまたは家畜動物の食事および/または薬剤の処方を設計する方法であって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、(ii)基線のサイトカインレベルに基づいて、ヒトまたは家畜動物が炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクがあるか、または患っているかを診断する工程、および(iii)工程(ii)において診断された健康状態の予防または治療処置に効果的な薬剤および/または食事の処方を設計する工程を有してなる方法が提供される。この処方は、フラバノール、プロシアニジンまたはそれらの混合物の投与を含んでもよいが、当業者に明らかな他の手法を用いてもよい。
【0048】
別の実施の形態において、本発明は、ヒトまたは家畜動物の食事および/または薬剤の処方を設計する方法であって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、(ii)サイトカインレベルの変化を誘発するのに十分な条件下で、体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、その結果生じたサイトカインレベルを測定する工程、(iii)工程(ii)において得られたサイトカインレベルを基線のサイトカインレベルと比較して、ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性を測定する工程、および(iv)サイトカイン応答性に基づいて、ヒトまたは家畜動物の恒常的なサイトカインレベルを促進するための薬剤および/または食事の処方を設計する工程であって、薬剤および/または食事の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマー、またはそれらの混合物を投与することを含むものである工程を有してなる方法を提供する。
【0049】
また、ヒトまたは家畜動物の食事および/または薬剤の処方を設計する方法であって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、(ii)サイトカインレベルの変化を誘発するのに十分な条件下で、体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、その結果生じたサイトカインレベルを測定する工程、(iii)工程(ii)において得られたサイトカインレベルを基線のサイトカインレベルと比較して、ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性を測定する工程、(iv)サイトカイン応答性に基づいて、ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクがあるか、または患っているかを診断する工程、および(v)工程(iv)において診断した健康状態の予防または治療処置に効果的な薬剤および/または食事の処方を設計する工程を有してなる方法も、本発明の範囲に含まれる。薬剤および/または食事の処方はフラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーの投与を含んでもよいが、他の適切な処方を用いてもよい。診断されるであろう健康状態の例としては、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全が挙げられる。
【0050】
ヒトまたは家畜動物がサイトカインレベルを増加、減少または維持させる必要があるか否かに応じて、選択されたフラバノールおよび/またはプロシアニジン、またはそれらの混合物の投与を含む処方を設計する。本発明はまた、ここに記載した化合物の混合物を恒常的なサイトカインレベルを維持する予防法のために投与してもよいので、正常な基線のサイトカインレベルを有する被験者にとっても有用である。例えば、食事および/または薬剤の処方が設計され、基線のサイトカインレベルを維持するより低級および高級のプロシアニジンオリゴマーの混合物の投与を含むであろう。
【0051】
治療方法
ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法も本発明の範囲に含まれる。その方法は、上述したヒトまたは家畜動物のサイトカイン表現型に基づいてヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方を設計し、その処方にしたがってフラバノールおよび/またはプロシアニジンを投与する各工程を有してなる。
【0052】
ある実施の形態において、この方法は、ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置であって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、(ii)サイトカインレベルの変化を誘発するのに十分な条件下で、体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、その結果生じたサイトカインレベルを測定する工程、(iii)工程(ii)において得られたサイトカインレベルを基線のサイトカインレベルと比較して、ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性を測定する工程、(iv)サイトカイン応答性に基づいて、ヒトまたは家畜動物の恒常的なサイトカインレベルを促進するための薬剤および/または食事の処方を設計する工程であって、薬剤および/または食事の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーを投与することを含むものである工程、および(v)工程(iv)において設計した薬剤および/または食事の処方にしたがってヒトまたは家畜動物にフラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマー、またはそれらの混合物を投与する工程を有してなる処置を提供する。
【0053】
また、ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法であって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、(ii)基線のサイトカインレベルに基づいて、ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクがあるか、または患っているかを診断する工程、(iii)工程(ii)において診断した健康状態の予防または治療の処置に効果的な薬剤および/または食事の処方を設計する工程、および(iv)工程(iii)において設計した薬剤および/または食事の処方にしたがってヒトまたは家畜動物を治療する工程を含む方法が提供される。ある実施の形態において、薬剤および/または食事の処方は、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーの投与を含むが、他の手法を用いてもよい。診断される健康状態の例としては、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全が挙げられる。
【0054】
別の実施の形態は、ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法であって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内の基線のサイトカインレベルを生体外で測定する工程であって、サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、(ii)サイトカインレベルの変化を誘発するのに十分な条件下で、体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、その結果生じたサイトカインレベルを測定する工程、(iii)工程(ii)において得られたサイトカインレベルを基線のサイトカインレベルと比較して、ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性を測定する工程、(iv)サイトカイン応答性に基づいて、ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクがあるか、または患っているかを診断する工程、(v)工程(iv)において診断した健康状態の予防または治療の処置に効果的な薬剤および/または食事の処方を設計する工程、および(vi)工程(v)において設計した薬剤および/または食事にしたがってヒトまたは家畜動物を治療する工程を有してなる方法を含む。薬剤および/または食事の処方は、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーの投与を含むが、当業者に明らかな他の手法を用いてもよい。治療すべき健康状態の例としては、特に、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全が挙げられる。
【0055】
より具体的な実施の形態において、低い基線のTGF−β1の産生体および高い基線のTGF−β1の産生体を治療する方法を考える。それゆえ、二つの以下の方法が本発明の範囲に含まれる:(i)低い基線のTGF−βの産生体である被験者を治療する方法であって、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマー、またはそれらの任意の混合物からなる群より選択される少なくとも一種類のフラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーを被験者におけるTGF−βのレベルを刺激するのに効果的な量で被験者に投与する工程であって、被験者がヒトまたは家畜動物である工程を有してなる方法、および(ii)高い基線のTGF−βの産生体である被験者を治療する方法であって、少なくとも一種類のプロシアニジンオリゴマー6〜10またはそれらの任意の混合物を被験者におけるTGF−βのレベルを刺激するのに効果的な量で被験者に投与する工程であって、被験者がヒトまたは家畜動物である工程を有してなる方法。
【0056】
炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態のリスクのある、または患っている患者を、上述したように表現型決定、診断および/または治療してもよい。そのような状態の例としては、一般に、心疾患、冠動脈心疾患、アテローム性動脈硬化症、心臓線維症、血栓症(例えば、深部静脈血栓症)、および他の血管状態、並びに喘息、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クーロン病、歯肉炎、歯周病、急性水腫、および関節炎(例えば、慢性関節リウマチ)が挙げられる。
【0057】
フラバノール、プロシアニジンおよびそれらの誘導体は効果的な量で投与される。当該技術分野は、本出願におけるガイダンスおよび当該技術分野の一般的な知識を用いて効果的な量を決定できる。例えば、本発明の化合物は、毎日少なくとも約50mgから、毎日約数グラムまでの量で投与してよい。上限の量は決まっていない。ある実施の形態において、効果的な量は、約100mgから約2g、または約100mgから約1.5g、または約200mgから約600mgである。化合物は、被験者の体内の化合物の半減期を考慮して、一度にまたは毎日数回(例えば、2回または3回)投与して差し支えない。化合物は、当業者により設計された処方で投与してよく、毎日、毎週、毎月などで投与してよい。
【0058】
フラバノールおよび/またはプロシアニジンは、食品、食品添加物、栄養補助食品、または薬剤の形態で投与してよい。そのような組成物は、担体、希釈剤、または賦形剤を含有してもよい。意図した用途に応じて、担体、希釈剤、または賦形剤を、ヒトまたは家畜用途、食品、添加物、補助または薬剤用途に適するように選択してよい。
【0059】
ここに用いているように、「食品」は、成長、修復および生命維持に必要なプロセスを維持し、エネルギーを供給するために生物の体内で用いられる、タンパク質、炭水化物および/または脂肪から実質的になる物質である。食品は、ミネラル類、ビタミン類および調味料などの補助物質を含有してもよい。Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照のこと。食品という用語は、ヒトまたは動物が食べるために適合された飲料も含む。ここに用いているように、「食品添加物」は、21 C.F.R. 170.3(e)(1)においてFDAにより定義され、直接および間接添加物を含む。ここに用いているように、「薬剤」は医薬品である。Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照のこと。薬剤は薬物と称してもよい。ここで用いているように、「栄養補助食品」は、以下の栄養成分の一種類以上を生じるまたは含有する食事を補助することを意図した製品(タバコ以外)である:ビタミン、ミネラル、ハーブまたは他の植物、アミノ酸、毎日の総摂取を増加させることにより食事を補助するためにヒトにより用いられる栄養物質、または濃縮物、代謝産物、成分、抽出物またはこれらの成分の組合せ。
【0060】
フラバノール/プロシアニジンのレベルを増加させることにより改善された任意の飲料を含む任意の従来の食品も本発明の範囲に含まれる。
【0061】
カカオポリフェノールの場合、改善は、(i)カカオポリフェノールを含有しない食品にカカオポリフェノールまたはその誘導体を加えることにより、または(ii)例えば、チョコレートなどの、食品が従来からカカオポリフェノールを含有するときには、従来調製された食品に見られるものよりもポリフェノールのレベルを増加させることにより、達成される。その増加は、例えば、抽出物の形態にある、追加のカカオポリフェノールを加えることにより;別のポリフェノール含有成分(例えば、ナッツの皮)と組み合わせてカカオポリフェノールを加えることにより;食品の製造に用いられるカカオ成分中のカカオポリフェノールを保存するために、上述したように、カカオ成分の加工およびカカオ豆の選択を操作することにより;または上述したようにチョコレート製造プロセスを操作することにより達成してよい。それゆえ、これらの食品(飲料を含む)は、比較のための従来の食品(飲料を含む)と比較して「上昇したレベルのポリフェノール」(カカオプロシアニジンを含む)を含有する。チョコレート製造業者が、カカオポリフェノールを含有するカカオ抽出物を以前の市販の製品に加えた場合、上昇したレベルのポリフェノールを有するチョコレートの例が生成される。それらの食品は、「高カカオポリフェノール食品」と称してもよい、すなわち、それらは、従来の対応品よりも高いレベルでポリフェノールを含有する。
【0062】
ある実施の形態において、食品は、ダークチョコレート、低脂肪チョコレートおよびチョコレートで覆われたキャンディであってよいキャンディを含む、ミルク、スウィートおよびセミスウィートチョコレートなどの、スタンダード・オブ・アイデンティティー(SOI)チョコレートおよび非SOIチョコレートなどの菓子類である。他の例としては、焼いた製品(例えば、ブラウニー、焼いたスナック、クッキー、ビスケット)、調味料、グラノラ・バー、タフィー・チュー、食事代わりのバー、スプレッド、シロップ、粉末状飲料ミックス、ココアまたはチョコレート風味の飲料、プリン、もち、ライス・ミックス、風味のよいソースなどが挙げられる。所望であれば、食品は、チョコレートまたはココア風味であってもよい。食品は、L−アルギニンおよび/またはコレステロール降下剤を含有してもよい。
【0063】
組成物は、関連するリスク要因を少なくとも一つ有するまたは治療の必要のあるほ乳類に、または予防目的のために健康なほ乳類に投与してよい。血管の健康問題に関連するリスク要因を少なくとも一つ有する任意の個人は、ここに記載した組成物を投与するための被験者である。家系に上昇したコレステロールレベルの病歴を持つ個人、閉経前後の女性、心筋虚血後の損傷を持つ閉経後の女性、手術によりまたは化学的に誘発されたエストロゲン欠乏の女性、老人、高血糖症、糖尿病、高血圧、および肥満のもの、喫煙者は全て、ここに記載した治療の必要性の疑いのある個人である。血液の健康問題を発症する疑いのある、またはここに記載したアッセイを用いて炎症および/または免疫調節経路に関連する健康状態を発症するリスクがあると特定されたほ乳類の他の個体群が、設計された処方にしたがう組成物を受容してもよい。
【0064】
他のポリフェノールのスクリーニング
本発明は、他のポリフェノールがホメオスタシスを促進する能力を有するか否かを評価するために設計された方法にも関する。
【0065】
ほ乳類のサイトカイン産生に応じてほ乳類におけるサイトカインレベルを調節するためにポリフェノールの治療価値を判定する方法は、少なくとも一つの低いおよび少なくとも一つの高いサイトカイン応答者からの体サンプルを有してなるアッセイにおけるポリフェノールを生体外で試験し(ここに記載したスクリーニングアッセイにおけるフラバノールおよびプロシアニジンを用いて判定される)、低いサイトカイン応答者へのポリフェノールの影響を、高いサイトカイン応答者への影響と比較して、もしあれば、ほ乳類のサイトカイン表現型がポリフェノールの存在により影響を受けるか否かを判定することにより行われる。
【0066】
ある実施の形態において、本発明は、ほ乳類におけるサイトカインレベルを調節するためにポリフェノールの治療価値を判定する方法であって、(i)少なくとも一つの低いサイトカイン産生体および少なくとも一つの高いサイトカイン産生体から体サンプルを得て、(ii)体サンプル中の基線のサイトカインレベルを測定し、(iii)体サンプルを、サイトカインレベルの変化を誘発するのに十分な条件下でサイトカイン調節特性を有することが知られていないポリフェノールと共にインキュベートし、(iv)工程(iii)のインキュベーション後にサイトカインレベルを測定し、(v)基線のサイトカインレベルを工程(iv)のサイトカインレベルと比較して、そのポリフェノールがサイトカイン調節特性を有するか否かを判定する各工程を有してなる方法に関する。
【実施例】
【0067】
以下の非限定的実施例において、本発明をさらに説明する。
【0068】
実施例1−抽出および精製
プロシアニジン抽出工程
方法1
ジャラル(Jalal)およびコリン(Collin)により記載された方法の変更方法を用いて、脱脂した未発酵の凍結乾燥したカカオ豆からプロシアニジンを抽出した(Polyphenols of Mature Plants, Seeding and Tissue Culturs of Theobroma Cocoa, Phytochemistry, 6, 1377-1380, 1977)。2×400mLの70%アセトン/脱イオン水と、それに続く400mLの70%メタノール/脱イオン水により、脱脂カカオ塊の50グラムのバッチからプロシアニジンを抽出した。抽出物をプールし、溶媒を、不完全真空下に保持されたロータリー・エバポレータを用い45℃での蒸発により除去した。このように得られた水相を脱イオン水で1Lに希釈し、400mLのCHCl3で2回抽出した。溶媒相は廃棄した。次いで、水相を500mLの酢酸エチルで4回抽出した。その結果生じたどのようなエマルジョンも、10℃で30分間に亘り2,000で動作したSorvall RC28S遠心分離機の遠心分離により壊した。この組み合わされた酢酸エチル抽出物に100〜200mLの脱イオン水を加えた。不完全真空下に保持されたロータリー・エバポレータを用い45℃での蒸発により、溶媒を除去した。このようして得られた水相を液体N2中で凍結させ、次いで、LABCONCO凍結乾燥システムで凍結乾燥させた。異なるカカオ遺伝子型から得た粗製プロシアニジンの収率が表1に列記されている。
【表1】

【0069】
方法2
あるいは、70%のアセトン水溶液により、脱脂した未発酵の凍結乾燥したカカオ豆からプロシアニジンを抽出した。10グラムの脱脂材料を100mLの溶媒により5〜10分間でスラリーにした。このスラリーを3000×gにて4℃で15分間に亘り遠心分離し、上清にグラスウールを通過させた。濾液に不完全真空下での蒸留を行い、これにより得られた水相を液体N2中で凍結し、次いで、LABCONCO凍結乾燥システムで凍結乾燥させた。粗製プロシアニジンの収率は15〜20%に及んだ。
【0070】
任意の特定の理論により拘束することを意図するものではないが、粗製収率の差は、異なる遺伝子型、地理的起源、園芸品種、および調製方法により遭遇する変動を反映したと考えられる。
【0071】
ゲル透過クロマトグラフィーによるカカオプロシアニジンの部分精製
方法1
上述したようにして得たプロシアニジンをセファデックス(登録商標)LH−20(28×2.5cm)を用いた液体クロマトグラフィーにより部分精製した。分離は、脱イオン水からメタノールへの段階勾配により補助した。初期勾配組成は、脱イオン水中15%のメタノールから始まり、これに、30分毎に、脱イオン水中25%のメタノール、脱イオン水中35%のメタノール、脱イオン水中の70%のメタノール、最終的に100%のメタノールへと段階的に続いた。キサンチンアルカロイド(カフェインおよびテオブロミン)の溶出後の溶出液を一つの分画として収集した。この分画は、キサンチンアルカロイドを含まないサブ分画を生じ、これにさらにサブ分画を行って、MM2AからMM2Eと表記する5つのサブ分画を生じた。不完全真空下に保持したロータリー・エバポレータを用い45℃での蒸発により、各サブ分画から溶媒を除去した。このように得られた水相を液体N2中で凍結させ、次いで、LABCONCO凍結乾燥システムで一晩凍結乾燥させた。このようにして、約100mgの材料をサブ分画により得た。
【0072】
クロマトグラフィー条件: カラム;28×2.5cmの「セファデックス」LH−20、移動相;1/2時間の間隔でのメタノール/水段階勾配、15:85、25:75、35:65、70:30、100:0、 流量;1.5mL/分、 検出器;λ1でのUV=254nmおよびλ2=365nm、 紙送り早さ;0.5mm/分、 カラム装填;120mg
方法2
上述したように得たプロシアニジンを、3.5mL/分の流量で、溶出溶媒として100%のメタノールを用い、「セファデックス」LH−20(72.5×2.5cm)で液体クロマトグラフィーにより部分精製した。溶出液の分画を最初の1.5時間後に収集し、それらの分画をロータリー・エバポレータにより濃縮し、水中に再度溶解させ、凍結乾燥した。これらの分画を、ペンタマーが豊富な分画と称した。
【0073】
例えば、ここに関連部分を引用する、特許文献1および2に記載されたようにHPLCを用いて、個々の分画においてフラバノールおよびプロシアニジンを分離してもよい。
【0074】
実施例2−TGF−β1へのフラバノールおよびプロシアニジンの影響
カカオ分画の調製
水溶性フラバノールおよび/またはプロシアニジン(FP)分画を、高プロシアニジン含有量カカオ粉末(ニュージャージー州、ハケッツタウン所在のマーズ社(Mars, Incorporated)のCocoapro(商標))から調製した。この粉末は、ここに引用する、キーリー等の米国特許第6015913号明細書に記載された方法にしたがって調製した。カカオ粉末を実施例1に記載したようにアセトン/水で抽出して、粗製抽出物を得た。アダムソン(Adamson)等(J Agric Food Chem 1999; 47:4184-4188)にしたがう高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて粗製抽出物から分画を精製した。モノマーからデカマーの精製分画を調査した。精製FP分画は、総アルカロイド(テオブロミンおよびカフェイン)を0.5%(w/w)未満しか含有しなかった。HPLCにより推測されたモノマーとプロシアニジン、およびこれらの調製品の分子量が表2に示されている。全てのサンプルは、10%の熱不活化ウシ胎仔血清(ジョージア州、ノークロス所在のアトランタ・バイオロジカルス(Atlanta Biologicals)社)と共にRPMI1640(メリーランド州、ゲーサーズバーグ所在のギブコ社(Gibco BRI))中に懸濁させた。次いで、それらを同じ媒質で25μg/mlの最終濃度まで希釈した。
【0075】
PBMC単離
健康な志願者からの抹消血を、クエン酸ナトリウム含有管中に収集し、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、または硫酸マグネシウムを含まないハンクスの平衡塩類溶液(HBSS;ギブコ社)と1:1で混合した。次いで、希釈血液をHistopaque(登録商標)−1077勾配(ミズーリ州、セントルイス、シグマ(sigma)社)の上に層状にし、室温で30分間に亘り500×gで遠心分離した。PBMCを中間層から採取し、HBSSで二回洗浄し、次いで、計数した。細胞を、10%のウシ胎仔血清を含有するRPMI1640中に再度懸濁させ、0.1%の50mg/mlのゲンタマイシン溶液(ギブコ社)を補給した。トリパンブルー排除アッセイにより生存度を推測した後、PBMC濃度を2×106の生存細胞/mlに調節した。生存度は一貫して96%より大きかった。
【0076】
カカオFP分画によるPBMCの培養
500μlの1.0×106細胞の懸濁液を、等容量の様々なカカオ処理物と共に48ウェルのプレート中5%のCO2と37℃で培養した。安静(resting)PBMCを、25μg/mlの個々のカカオFP分画と共に培養した。全ての処理は二重に行った。72時間のインキュベーション後、上清分画をELISA分析のために採取した。
【0077】
TGF−β1(ELISA)
培養上清分画を72時間後に採取し、ELISAによる分析まで−20℃で貯蔵した。96ウェルのCostar EIAプレート(カタログ番号2592)を、DuoSet Human TGF−β1 ELISA展開キット(ミネソタ州、ミネアポリス所在のアール・アンド・ディー・システムズ(R&D Systems)社)において供給されたマウス抗TGF−β1で被覆した。TGF−β1の潜在形態を含有する細胞培養上清を酸性雰囲気(0.5mlのサンプル+0.1mlの1NのHCl)内で活性化し、0.1mlの1.2NのNaOH/0.5MのHEPESにより中和した。その後、活性化した上清を、製造業者の推奨にしたがってTGF−β1濃度について測定した。ELISAシステムの最低のTGF−β1基準は、31.3pg/mlであった。
【0078】
統計データ
異なるココアFP分画のTGF−β1の分泌への影響を、未刺激の安静PBMCにおいて試験した。結果を、両側p値と共に一対のスチューデントのt検定により比較した(すなわち、カカオフラボノイドを含まない対照細胞対個々のFP分画により処理した細胞)。有意は、p<0.05としてとらえた。
【0079】
結果
未刺激の安静PBMCを調製し、25μg/mlの個々のカカオFP分画とインキュベートした。TGF−β1産生を、72時間のインキュベーション後に上清分画において評価した。
【0080】
ELISA分析は、試験した13の検体の中で個々の間で変動性が高かったことを示した。図1は、各検体に関する媒質基線に対する変化の百分率の形態にあるカカオFP分画に対するこれらの個々の変動応答を示している。しかしながら、個々をTGF−β1の基線産生に基づいて分類したら、TGF−β1の分泌がカカオFP分画により影響を受ける様式で明白な傾向を観察できた。基線のTGF−β1濃度が6000pg/ml未満(3604±568pg/ml)である低い基線の産生体(LBP)が7つあり、一方で、残りは、高い基線の産生群(HBP;7910±695pg/ml)に指定された。個々のカカオFP分画は、低LBP群におけるTGF−β1の放出について刺激要因であった(図2)。一般に、低分子量のFP分画(≦ペンタマー)は、増加においてより大きなオリゴマーよりも効果的であり、基線を超えて30%から68%に及ぶ上昇を誘発し(表3)、一方で、より大きなオリゴマー(≧ヘキサマー)だけが、基線に対してTGF−β1の分泌を穏やかに増加させた(15%から20%;表3)。モノマーとダイマーのFP分画が、LPB群においてTGF−β1の分泌を著しく向上させ、それぞれ、5981±666(p=0.0035)および6062±667(p=0.0027)pg/mlの濃度を生じた。LBP群とは対照的に、HBPにおいては、個々のカカオFP分画はTGF−β1の分泌について阻害因子であった(図3)。トリマーからデカマーまでのFP分画は、基線に対して28%から42%、TGF−β1レベルを著しく抑制したが(表3)、モノマーとダイマーは穏やかな減少を示した(それぞれ、17%および23%)。
【0081】
これらの結果は、カカオFP分画は、TGF−β1の個々の基線のレベルに応じて、TGF−β1の放出を増加させるか、または抑制することにより、TGF−β1の恒常的レベルを促進することができることを立証している。
【0082】
この研究において、TGF−β1の産生体の基線分泌の評価は、試験した検体の中でも大きな個体間の変動性を示した。グレインジャー(Grainger)等は、TGF−β1の循環濃度は、個々の遺伝的背景に基づいて、著しく変動し得ることを示した(Hu Mol Gen 1999; 8:93-97)。TGF−β1遺伝子における多形性がその産生に影響し得ることを考えれば、TGF−β1のそのようなバラバラな基線レベルがここでも観察されることは理解できる。残念ながら、この研究において、試験した検体の遺伝子型分析は行わなかった。それでも、TGF−β1の基線レベルが低い検体(3604±568pg/ml)からのPBMC中のTGF−β1タンパク質分泌について、カカオFP分画は刺激要因であったことは明らかである。低い基線の産生体とは対照的に、高い基線の産生個体(7910±695pg/ml)からのPBMCは、FP分画とのインキュベーション後に抑圧されたTGF−β1の産生を示した。低いおよび高いTGF−β1の産生個体の遺伝子型分析は行わなかったので、これらの検体から血液を収集する前に、HBPを、TGF−β1を産生するように準備することも可能である。それでも、カカオFP分画は、HBPおよびLBPそれぞれにおいて、TGF−β1の分泌を効果的な減少または増加させた。
【0083】
二相タイプの影響であるサイトカイン産生へのカカオFPの影響が、大きなおよび小さなプロシアニジン分画に以前に観察され、サイトカイン産生に差のある影響を示した。安静PBMCにおいて、大きなFPオリゴマー(ヘキサマー以上)はIL−1βおよびIL−4の放出を著しく刺激し、一方で、小さな分画はそれらの分泌を阻害した(Mao et al., Life Sciences 2000;66:1377-1386; Mao et al., J Medicinal Foods 2000;3:107-114)。しかしながら、本調査において、意外なことに、TGF−β1放出へのFPの影響が、FP分画の分子サイズだけでなく、PBMCがTGF−β1を分泌する能力にも依存することが発見された。ある分画はより活性であり、LBPからのTGF−β1の放出を刺激し、HBPからのTGF−β1の分泌を阻害したという点で、各個体におけるカカオ分画の一般的な影響は同じである。上述したことを考えると、カカオFPは、血小板反応性、エイコサノイド産生、および血管反応性への影響に合わせて、恒常的なTGF−β1レベルの維持を促進することにより、心臓血管系への保護効果を有する。
【表2】

【表3】

【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は試験した全ての個体(n=13)に関する、それらの各カカオフラバノール/プロシアニジン(FLO)分画に対する応答の散布図を示す。各白丸は、個体からの百分率変化(基線対照に対する)の形式の値を表す。
【図2】図2は、低い基線サイトカインの産生体におけるTGF−β1の分泌へのカカオフラバノールおよびプロシアニジン(FLO)の影響を示す。ELISA分析(平均±SEM;n=7)のために上清を抽出する前に、PBMCを個々のカカオ分画(25μg/ml)の存在下で72時間に亘りインキュベートした。カカオ処理から誘発された値を、両側p値と共に一対のスチューデントのt検定を用いて、対照値(すなわち、カカオを含まない媒質の基線)と比較した(*p<0.05として有意ととらえた)。
【図3】図3は、高い基線サイトカインの産生体におけるTGF−β1の分泌へのカカオフラバノールおよびプロシアニジン(FLO)の影響を示す。ELISA分析(平均±SEM;n=7)のために上清を抽出する前に、PBMCを個々のカカオ分画(25μg/ml)の存在下で72時間に亘りインキュベートした。カカオ処理から誘発された値を、両側p値と共に一対のスチューデントのt検定を用いて、対照値(すなわち、カカオを含まない媒質の基線)と比較した(*p<0.05として有意ととらえた)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方を設計する方法において、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、および
(ii) 前記サイトカインの基線レベルに基づいて、前記ヒトまたは家畜動物におけるサイトカインレベルのホメオスタシスを促進するように食事および/または薬剤の処方を設計する工程であって、前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むものである工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
ヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方を設計する方法において、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) 前記サイトカインの基線レベルに基づいて、前記ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連健康状態のリスクがあるか、または患っているか否かを診断する工程、および
(iii) 工程(ii)において診断された健康状態の予防または治療の処置に効果的な食事および/または薬剤の処方を設計する工程、
を有してなる方法。
【請求項3】
前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記健康状態が、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
ヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方を設計する方法において、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) サイトカインのレベルに変化を誘発するのに十分な条件下で、前記体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、および/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、このようにして得られたサイトカインのレベルを測定する工程、
(iii) 前記サイトカインの基線のレベルを、工程(ii)において得た前記サイトカインのレベルと比較して、前記ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性を判定する工程、および
(iv) 前記サイトカイン応答性に基づいて、前記ヒトまたは家畜動物におけるサイトカインレベルのホメオスタシスを促進するように食事および/または薬剤の処方を設計する工程であって、前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物の投与を含むものである工程、
を有してなる方法。
【請求項6】
ヒトまたは家畜動物のための食事および/または薬剤の処方を設計する方法において、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) サイトカインのレベルに変化を誘発するのに十分な条件下で、前記体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、および/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、このようにして得られたサイトカインのレベルを測定する工程、
(iii) 前記サイトカインの基線のレベルを、工程(ii)において得た前記サイトカインのレベルと比較して、前記ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンに対するサイトカイン応答性を判定する工程、
(iv) 前記サイトカイン応答性に基づいて、前記ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連健康状態のリスクがあるか、または患っているか否かを診断する工程、および
(v) 工程(iv)において診断された健康状態の予防または治療の処置に効果的な食事および/または薬剤の処方を設計する工程、
を有してなる方法。
【請求項7】
前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記健康状態が、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法であって、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) 前記サイトカインの基線レベルに基づいて、前記ヒトまたは家畜動物におけるサイトカインレベルのホメオスタシスを促進するように食事および/または薬剤の処方を設計する工程であって、前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むものである工程、および
(iii) 工程(ii)において設計した食事および/または薬剤の処方にしたがって、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体を前記ヒトまたは家畜動物に投与する工程、
を有してなる方法。
【請求項10】
ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法であって、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) 前記サイトカインの基線レベルに基づいて、前記ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連健康状態のリスクがあるか、または患っているか否かを診断する工程、
(iii) 工程(ii)において診断された健康状態の予防または治療の処置に効果的な食事および/または薬剤の処方を設計する工程、および
(iv) 工程(iii)において設計した食事および/または薬剤の処方にしたがって、前記ヒトまたは家畜動物を治療する工程、
を有してなる方法。
【請求項11】
前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記健康状態が、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法であって、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) サイトカインのレベルに変化を誘発するのに十分な条件下で、前記体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、および/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、このようにして得られたサイトカインのレベルを測定する工程、
(iii) 前記サイトカインの基線のレベルを、工程(ii)において得た前記サイトカインのレベルと比較して、前記ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンおよび/またはそれらの誘導体に対するサイトカイン応答性を判定する工程、
(iv) 前記サイトカイン応答性に基づいて、前記ヒトまたは家畜動物におけるサイトカインレベルのホメオスタシスを促進するように食事および/または薬剤の処方を設計する工程であって、前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むものである工程、および
(v) 工程(iv)において設計した食事および/または薬剤の処方にしたがって、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物を前記ヒトまたは家畜動物に投与する工程、
を有してなる方法。
【請求項14】
ヒトまたは家畜動物の予防または治療の処置の方法であって、
(i) ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、
(ii) サイトカインのレベルに変化を誘発するのに十分な条件下で、前記体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、および/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、このようにして得られたサイトカインのレベルを測定する工程、
(iii) 前記サイトカインの基線のレベルを、工程(ii)において得た前記サイトカインのレベルと比較して、前記ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンおよび/またはそれらの誘導体に対するサイトカイン応答性を判定する工程、
(iv) 前記サイトカインの基線レベルに基づいて、前記ヒトまたは家畜動物が、炎症および/または免疫調節経路に関連健康状態のリスクがあるか、または患っているか否かを診断する工程、
(v) 工程(iv)において診断された健康状態の予防または治療の処置に効果的な食事および/または薬剤の処方を設計する工程、および
(vi) 工程(v)において設計した食事および/または薬剤の処方にしたがって、前記ヒトまたは家畜動物を治療する工程、
を有してなる方法。
【請求項15】
前記食事および/または薬剤の処方が、フラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーおよび/またはそれらの誘導体の投与を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記健康状態が、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、および/または肝臓病/肝不全であることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記サイトカインがTGF−βであることを特徴とする請求項1、2、5、6、9、10、13または14記載の方法。
【請求項18】
前記サイトカインがTGF−β1であることを特徴とする請求項1、2、5、6、9、10、13または14記載の方法。
【請求項19】
ヒトまたは家畜動物のサイトカイン応答性を特定するためのスクリーニングアッセイであって、(i)ヒトまたは家畜動物の体サンプル内のサイトカインの基線のレベルを生体外で測定する工程であって、前記サイトカインが炎症および/または免疫調節経路に関連するものである工程、および(ii)サイトカインのレベルに変化を誘発するのに十分な条件下で、前記体サンプルを一連のフラバノールおよびプロシアニジン、および/またはそれらの誘導体、またはそれらの混合物と共にインキュベートし、このようにして得られたサイトカインのレベルを測定する工程を有してなるスクリーニングアッセイ。
【請求項20】
前記サイトカインの基線のレベルを、工程(ii)において得た前記サイトカインのレベルと比較して、前記ヒトまたは家畜動物のフラバノールおよびプロシアニジンおよび/またはそれらの誘導体に対するサイトカイン応答性を判定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19記載のスクリーニングアッセイ。
【請求項21】
前記ヒトまたは家畜動物を、心疾患、冠動脈心疾患、心臓線維症、アテローム性動脈硬化症、または肝臓病/肝不全のリスクがあると診断する工程をさらに含むことを特徴とする請求項20記載のスクリーニングアッセイ。
【請求項22】
ほ乳類におけるサイトカインのレベルを調節するためのポリフェノールの治療価値を判定する方法であって、
(i) 少なくとも一つの低いサイトカイン産生体および少なくとも一つの高いサイトカイン産生体から体サンプルを得る工程、
(ii) 前記体サンプル中のサイトカインの基線のレベルを測定する工程、
(iii) サイトカインのレベルにおいて変化を誘発するのに十分な条件下でサイトカイン調節特性を有することが知られていないポリフェノールと共に前記体サンプルをインキュベートする工程、
(iv) 工程(iii)のインキュベーション後に前記サイトカインのレベルを測定する工程、および
(v) 前記サイトカインの基線のレベルを工程(iv)の前記サイトカインのレベルと比較して、前記ポリフェノールがサイトカイン調節特性を有するか否かを判定する工程、
を有してなる方法。
【請求項23】
前記ほ乳類がヒトであることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記ほ乳類が家畜動物であることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
低い基線のTGF−βの産生体である被験者を治療する方法であって、前記被験者に、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマー、またはそれらの任意の混合物または誘導体からなる群より選択される少なくとも一種類のフラバノールおよび/またはプロシアニジンオリゴマーを、該被験者におけるTGF−βのレベルを刺激するのに効果的な量投与する工程を含み、前記被験者がヒトまたは家畜動物であることを特徴とする方法。
【請求項26】
TGF−βがTGF−β1であることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
高い基線のTGF−βの産生体である被験者を治療する方法であって、前記被験者に、少なくとも一種類のプロシアニジンオリゴマー6〜10、またはそれらの任意の混合物または誘導体を、該被験者におけるTGF−βのレベルを刺激するのに効果的な量投与する工程を含み、前記被験者がヒトまたは家畜動物であることを特徴とする方法。
【請求項28】
TGF−βがTGF−β1であることを特徴とする請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−516540(P2006−516540A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557507(P2004−557507)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/038331
【国際公開番号】WO2004/050614
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(390037914)マーズ インコーポレイテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【Fターム(参考)】