説明

ホメオトロピック整列層

【課題】液晶媒体中で改善された垂直またはホメオトロピック整列を誘発できる整列層と、整列層を含む液晶装置、並びに整列層の表面固定エネルギーを変化させることによる、少なくとも1つの整列層を含む液晶ディスプレイの電気光学的急峻度を制御する。
【解決手段】ホメオトロピック配向を有する棒型分子を含む、重合した液晶材料の整列層、特にはホメオトロピックネマティックまたはホメオトロピックスメクティックA液晶重合材料の層を用いることで、液晶媒体のホメオトロピック整列を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホメオトロピック配向を有する重合した液晶材料を含む整列層(alignment layer)、この製造方法、整列層の製造のために用いられる重合可能な液晶組成物および液晶ポリマー、整列層を含む液晶装置、並びに整列層の表面固定エネルギーを変化させることによる、少なくとも1つの整列層を含む液晶ディスプレイの電気光学的急峻度を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)において、通常、ディスプレイセルを形成する基板の内面において、液晶媒体の整列を制御することが必要である。例えば、基板の平面に対する液晶分子の平行な、または傾斜した配向は、ラビングしたポリイミド整列層を基板表面に設けることにより、達成される。均一な整列を誘発する他の一般的な方法は、例えば、無機物質、例えば酸化ケイ素(SiO)の基板表面上への斜方蒸着である。
【0003】
慣用の整列手法の概要は、例えば、I. Sageにより、「サーモトロピック液晶」、G.W. Gray編、John Wiley & Sons, 1987, 75〜77頁並びにT. UchidaおよびH. Sekiにより、「液晶−用途および使用、第3巻」、B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1〜63頁により示されている。整列材料および技術の概要は、J. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, Supplement 1 (1981), 1〜77頁により示されている。
【0004】
多くの用途、例えばVA(垂直整列)またはSSCT(表面安定化コレステリック組織(texture))モードは、液晶媒体の垂直またはいわゆるホメオトロピック整列を必要とし、ここで、液晶分子は、基板の平面に実質的に垂直なこれらの分子の長軸で配向している。従来技術において、ホメオトロピック整列を達成するために、以下の技術が提案されている:
【0005】
1.本質的に極めて低い表面エネルギーを有する材料、例えばフッ素化ポリマー、例えばPTFEの使用。この場合において、この系のエネルギーは、LC分子を、表面とよりもむしろ互いに接触させることにより、最小化される。これにより、ホメオトロピック整列がもたらされるが、いくらか弱い固定エネルギーを伴う。
【0006】
2.基板表面の、所要の整列を「蒔く(seed)」界面活性剤での被覆。ホメオトロピック整列について、これを、一方の端部において表面に結合された炭化水素鎖の層を用いることにより、達成することができる。立体的考慮のみから、表面被覆が十分である場合には、これらの鎖は、平均して表面に垂直に包装されることが予測される。鎖とLC分子との間の相互作用が、十分強力である場合には、この整列は、LC中にホメオトロピック整列を蒔く。これは、ホメオトロピック整列を達成するための慣用の手法であり、ほとんどの有機金属クロム錯体および、研究実験室において一般的に用いられるレシチンの基礎である。この手法は、強力なホメオトロピック整列を発生するが、これは、材料の極めて均一であり、極めて薄い(理想的には単一層)被覆の獲得に依存する。これは、しばしば達成するのが困難である。これらの材料の安定性は、しばしば理想的ではなく、セルは、時々、おそらく整列層が、表面から脱着し、LC中に溶解するために、老化を示す。さらに、これらの材料は、しばしばイオン性であり、従ってLCの導電性の不所望な増大をもたらす。
【0007】
3.基板表面の、ホメオトロピック整列を誘発するポリマー、例えば好適には改変ポリイミド材料での被覆。これらの材料の欠点は、これらが、これらを硬化させるために、高温(典型的には約180℃)での焼成を必要とすることである。プラスチック基板を用いる場合には、これは、望ましくない。
【0008】
4.無機酸化物、例えばSiOは、表面上に制御された角度で蒸着した際に、ホメオトロピック整列を生じ得る。この手法の欠点は、蒸着が、大きい領域にわたり制御するのが困難であり得、真空蒸着を必要とすることである。
【0009】
また、従来技術において、液晶ディスプレイにおいて平面状または傾斜した整列を誘発するための液晶ポリマー層を用いることが、提案されている。US 5,262,882には、低いモル質量の液晶材料を分散させるポリマーネットワークからなる、液晶ディスプレイにおいて平面状配向を誘発するための配向層が記載されている。US 5,155,160には、メソゲン性ジアクリレートおよび低いモル質量の液晶混合物を含む異方性ゲル組成物から形成した、液晶ディスプレイセル中の傾斜した配向を誘発するための液晶補助層が開示されている。JP 2000-212310、WO 00/46634およびWO 00/46635には、傾斜角における光照射または円偏光した光での光照射による光ポリマー(photopolymer)または光ポリマー/モノマー混合物の光整列により得られた、液晶媒体における好ましいプレティルトを誘発するための整列層が開示されている。
【0010】
本発明の目的は、液晶媒体中で改善された垂直またはホメオトロピック整列を誘発し、前に記載した従来技術の整列層の欠点を示さない整列層を提供することにあった。
【0011】
本発明の発明者等は、ホメオトロピック配向を有する棒型分子を含む、重合した液晶材料の整列層、特にホメオトロピックネマティックまたはホメオトロピックスメクティックA液晶重合材料の層を用いることにより、前述の欠点を克服することができ、液晶媒体の満足なホメオトロピック整列を達成することができることを見出した。
【0012】
特に、ホメオトロピック液晶重合材料の整列層は、特に高い表面固定エネルギーを示し、液晶媒体において強力なホメオトロピック整列をもたらすことが見出された。
【0013】
本発明の他の観点は、LCD、特にVAモードLCDの電気光学的曲線の急峻度に対する整列力の影響に関する。従って、本発明者等は、驚異的なことに、ティルト固定パラメーターにより表される、垂直に整列した液晶の表面固定エネルギーと、LCディスプレイ、特にVAモードディスプレイにおける電気光学的曲線の対応する急峻度との間に、相関関係があることを見出した。詳細には、電気光学的曲線の急峻度は、固定エネルギーの減少と共に増大することが見出された。
【0014】
この発見に基づいて、LCD、特にVAモードディスプレイの電気光学的曲線の急峻度を、変化する固定強度の整列層を用いることにより、制御することが可能である。LCDの実際的用途において、しばしば、電気光学的曲線の急峻度を減少させて、一層良好な灰色レベル識別を可能にすることが望ましい。これは、強力な固定エネルギーを示し、従って減少された急峻度をもたらす、本発明の整列層を用いることにより、達成することができる。
発明の要約
【0015】
本発明の1つの観点は、ホメオトロピック配向を有する重合した液晶材料を含む、整列層である。
本発明の他の観点は、ネマティックまたはスメクティック、特にスメクティックA相において重合した、重合した液晶材料を含む、本明細書中に記載した整列層である。
本発明の他の観点は、高い表面固定エネルギーを有するホメオトロピック配向を有する、重合した液晶材料を含む、本明細書中に記載した整列層である。
【0016】
本発明の他の観点は、本明細書中に記載した整列層の製造方法であって、重合可能なメソゲン性または液晶材料の層を、基板上に設け、該材料を、ホメオトロピック配向に整列させ、該材料を重合させ、随意に、重合したフィルムを基板から取り外すことによる、前記方法である。
本発明の他の観点は、本明細書中に記載したホメオトロピック配向を有する整列層の製造のために用いることができる、ネマティックまたはスメクティック相、特にスメクティックA相を有する重合可能な液晶材料である。
【0017】
本発明の他の観点は、本明細書中に記載した整列層の、液晶媒体中でホメオトロピック整列を発生させるための使用である。
本発明の他の観点は、本明細書中に記載した整列層を含む、液晶装置、特に液晶ディスプレイである。
本発明の他の観点は、液晶媒体と接触しており、接触の領域において液晶媒体におけるホメオトロピック整列を誘発する、本明細書中に記載した整列層を含む液晶装置である。
【0018】
本発明の他の観点は、双安定または多安定液晶装置、特にネマティックまたはコレステリック液晶媒体を含む双安定または多安定ディスプレイであり、ここで、液晶媒体は、本明細書中に記載した整列層を含む、少なくとも2種の安定な形状を採用することができる。
【0019】
本発明の他の観点は、VA(垂直整列)、VAN(垂直整列ネマティック)またはVAC(垂直整列コレステリック)、ECB(電気的に制御された複屈折)、DAP(整列相の変形)、CSH(カラー超ホメオトロピック)、ハイブリッド整列、HAN(ハイブリッド整列ネマティック)、SSCT(表面安定化コレステリック組織)、PSCT(ポリマー安定化コレステリック組織)、撓電またはULH(均一位置(lying)らせん)モードであり、透過型、反射型または透過反射(transflective)型であることができ、本明細書中に記載した整列層を含む液晶ディスプレイである。
【0020】
本発明の他の観点は、本明細書中に記載した整列層の、重合可能なLC材料においてホメオトロピック配向を誘発するための、重合可能なLC材料からのホメオトロピック構造を有する異方性または液晶ポリマーフィルムの製造における、基板、または基板上に設けられた整列もしくは補助層としての使用である。
【0021】
本発明の他の観点は、本明細書中に記載したホメオトロピック整列層上の重合可能な液晶材料から製造されている、ホメオトロピック構造を有する異方性または液晶ポリマーフィルムである。
本発明の他の観点は、液晶ディスプレイ、特に少なくとも1つの整列層を含むVAモードのディスプレイの電気光学的急峻度を制御する方法であって、前記整列層の表面固定エネルギーを変化させることによる、前記方法である。
用語の定義
【0022】
本出願において記載された、2枚の基板の間に設けられた液晶媒体または液晶ポリマーフィルムに関して、本出願を通して用いられる用語の以下の定義を提供する。
用語「垂直またはホメオトロピック構造」、「垂直またはホメオトロピック配向」および「垂直またはホメオトロピック整列」は、フィルムまたは媒体の光学軸が、それぞれ、フィルム平面または基板平面にほぼ垂直である、即ち、フィルムまたは基板法線にほぼ平行であることを意味する。この定義はまた、光学軸が、フィルム法線または基板法線に対して、2〜5°までの角度でわずかに傾斜している、フィルムおよび媒体を含む。
【0023】
単純のために、ホメオトロピック配向を有するフィルムを、以下で、短く、「ホメオトロピックフィルム」と呼ぶ。
本出願において用いる用語「フィルム」は、いくらか顕著な機械的安定性および可撓性を示す自立性、即ち独立して立つフィルム、並びに支持基板上または2枚の基板の間の被膜または層を含む。
【0024】
用語「液晶性またはメソゲン性材料」または「液晶性またはメソゲン性化合物」は、1つまたは2つ以上の棒型、板型またはディスク型のメソゲン性基、即ち液晶相挙動を誘発する能力を有する基を含む材料または化合物を示す。メソゲン性基を含む化合物または材料は、必ずしもそれら自体液晶相を示す必要はない。また、これらが、他の化合物との混合物においてのみ、あるいはメソゲン性化合物もしくは材料またはこれらの混合物を重合させた際に、液晶相挙動を示すことが可能である。
【0025】
単純のために、用語「液晶材料」を、以下では、液晶材料およびメソゲン性材料の両方について用い、用語「メソゲン」を、材料のメソゲン性基について用いる。
液晶媒体および整列層を含む本発明の液晶ディスプレイにおいて、整列層の表面における液晶分子の表面固定強度を、ティルト固定パラメーターτにより表す。
【0026】
τ=0の値は、液晶分子が強力に固定されていることを意味する。τ=1の値は、液晶分子が、顕著に固定されずに自由に回転することを意味する。τの値は、Mada et al., Jap. Journ. Appl. Phys. 38, L1118-L1120 (1999)による実験データと相関する。従って、τ=1(固定されていない)の値は、約10−10J/mの表面固定エネルギーに相当し、τ=0(強力に固定されている)の値は、約10−5J/mの表面固定エネルギーに相当する。
【0027】
表面エネルギーを、例えば、接触角測定により、当業者に知られている標準的な装置および方法を用いて決定することができる。表面固定エネルギーの決定はまた、例えば以下の参考文献中に記載されている:
Y. Marinov, N. Shonova, C. Versace, A. G. Petrov, 「弱く固定されたホメオトロピックネマティックのエネルギーおよび表面粘度の表面損失の撓電的分光学測定」、Mol. Cryst. Liq. Cryst. Sci. Technol., Sect. A (1999), 329, 1145-1150.
V. Sergan, G. Durand, 「双安定SiO蒸着表面上のネマティック液晶の固定異方性」、Liq. Cryst. (1995), 18(1), 171-4,
【0028】
M. Vilfan, M. Copic, 「ネマティック液晶における表面固定エネルギーの動的測定と静的測定との比較」、Mol. Cryst. Liq. Cryst. Sci. Technol., Sect. A (2000), 351, 419-426,
J. G. Fonseca, Y. Galerne, 「頂点固定強度の局所的測定」、Phys. Rev. E: Stat. Phys., Plasmas, Fluids, Relat. Interdiscip. Top. (2000), 61(2), 1550-1558,
T. Akahane, H. Kaneko, M. Kimura, 「ネマティック液晶の表面ねじり固定強度を測定する新規な方法」、Jpn. J. Appl. Phys., Part 1 (1996), 35(8), 4434-4437,
【0029】
JP-A-06-265840, 「液晶ディスプレイ装置の境界固定強度を測定するための方法」、
A. Sugimura, T. Miyamoto, M. Tsuji, M. Kuze, Appl. Phys. Lett. (1998), 72(3), 329-331,
F. Yang, J. R. Sambles, J. Appl. Phys. (2000), 87(6), 2726-2735.
発明の詳細な説明
【0030】
本発明の好ましい態様は、
・重合した液晶材料のティルト角が、層の法線に対して0〜5°である、
・重合した液晶材料のティルト角が、層の法線に対して0〜2°、好ましくは0〜1°、極めて好ましくは0°である、
・重合可能な液晶材料が、ネマティック相を示す、
・重合可能な液晶材料が、スメクティック相を示す、
・重合可能な液晶材料が、スメクティックA相を示す、
【0031】
・重合した液晶材料が、ネマティック相を示す、
・重合した液晶材料が、スメクティック相を示す、
・重合した液晶材料が、スメクティックA相を示す、
・重合した液晶材料が、三次元ネットワークを形成する、
・重合可能な液晶材料が、50%より少ない、好ましくは20%より少ない、極めて好ましくは10%より少ない、特に5%より少ない重合可能でない化合物を含む、
・重合した液晶材料が、50%より少ない、好ましくは20%より少ない、極めて好ましくは10%より少ない、特に5%より少ない重合していない材料を含む、
・ティルト固定パラメーターτが、0〜0.6、極めて好ましくは0〜0.4である
整列層に関する。
【0032】
本発明のホメオトロピック整列層を、基板を重合可能なLC材料の薄層で被覆し、これを次に重合させて、固体層を形成することにより、製造することができる。空気または不活性ガス、例えば窒素と接触している開放表面を有する基板上に被覆する際には、重合前の重合可能なLC材料は、LC/空気境界に垂直であり、従って基板に垂直であるLCダイレクターと共に整列する傾向がある。被覆された重合可能なLC材料のホメオトロピック整列を、また、既知の方法、例えば基板の表面処理またはラビングにより誘発するかまたは改善することができる。ホメオトロピック配向を有する重合した液晶フィルムの製造はまた、WO 98/00475中に記載されており、この開示全体およびこれに刊行されているすべての特許明細書を、参照により本出願中に組み込む。
【0033】
次に、この整列を、例えば熱または化学線に暴露することにより、被覆したLC材料を重合させることにより、固定する。好適な方法は、UV光への暴露による光重合である。LC材料、例えばネマティックLC材料と接触させて配置した際には、重合したLC整列材料のホメオトロピック整列は、ネマティックLC材料の整列を蒔いて、これがまた、ホメオトロピック整列である基板表面に垂直に整列する傾向があるようにする。
【0034】
本発明の重合可能なLC整列材料は、特に高い表面固定エネルギーを示し、液晶媒体において強力なホメオトロピック整列をもたらすという利点を有する。さらに、基板に設けることは、比較的容易であり、高温焼成を必要とせず、通常従来技術において用いられている界面活性剤よりも安定である。さらに、材料の化学的性質を改変して、ネマティックLC材料との相互作用を最適化し、従って固定エネルギーの強度を調節する可能性がある。
【0035】
好ましくは棒型メソゲンを有する液晶材料から得られ、スメクティック相、好ましくはスメクティックA相において重合した整列層は、高いティルト固定エネルギーを示し、特に好ましいことが見出された。
重合可能な液晶材料は、好ましくは、少なくとも1つの重合可能な基を有する1種または2種以上の重合可能な化合物を含む。
【0036】
重合可能な材料はまた、2つまたは3つ以上の重合可能な官能基を有する重合可能なメソゲン性化合物(以下でまた、二/多反応性または二/多官能性化合物と呼ぶ)を含むことができる。このような混合物の重合により、三次元ポリマーネットワークが形成する。このようなネットワークを含む整列層は、自立性であり、高い機械的および熱的安定性並びに物理的および光学的特性の低い温度依存性を示す。他方、直線状、即ち架橋していないポリマーまたは低い架橋密度を有するポリマーを含む整列層は、通常、液晶セルの基板への一層良好な接着を示す。
【0037】
多官能性化合物の濃度を変化させることにより、ポリマーフィルムの架橋密度並びに従って、また光学的遅延フィルムの光学的特性の温度依存性に重要であるこの物理的および化学的特性、例えばガラス転移温度、熱的および機械的安定性または溶媒耐性を、容易に調節することができる。
【0038】
本発明の他の観点は、LCD、特にVAモードLCDの電気光学的曲線の急峻度に対する整列力の影響に関する。本発明者等は、ティルト固定パラメーターτにより表される、垂直に整列した液晶の表面固定エネルギーと、LCディスプレイ、特にVAモードディスプレイにおける電気光学的曲線の対応する急峻度との間に、相関関係があることを見出した。電気光学的曲線の急峻度は、固定エネルギーの減少に伴って増大することが見出された。
【0039】
高い固定エネルギーを有する本発明の整列層を用いることにより、LCD、特にVAモードディスプレイの電気光学的曲線の急峻度を減少させることが可能である。
【0040】
さらに、整列層の固定エネルギーを変化させることにより、ディスプレイの電気光学的曲線の急峻度を制御し、これを所望の使用に適合させることが可能である。本発明の整列層の固定エネルギーを、例えば、重合可能な材料および重合した整列層のパラメーターを変化させることにより、制御することができる。重合可能な材料について、このようなパラメーターは、例えば、化学的組成または液晶相挙動である。例えば、スメクティック相を有する重合可能な材料により、特に高い表面固定エネルギーを有する整列層が得られる。重合した整列層について、このようなパラメーターは、例えば、重合条件、重合度、層の厚さまたはポリマーの分子量、架橋密度もしくは鎖の長さである。ポリマーの分子量または鎖の長さを、例えば、連鎖移動剤を用いることにより減少させることができる。
【0041】
特に好ましくは、重合可能な液晶材料は、1種または2種以上の式I
【化4】

式中、
Pは、重合可能な基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
【0042】
Xは、
【化5】

または単結合であり、
MGは、メソゲン性基であり、
【0043】
Rは、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SFH、NOまたは、1〜20個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり、これは、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより一または多置換されていることができ、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることも可能であり、またはP−Sp−X−を示し、
およびR00は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである、
から選択された化合物を含む。
【0044】
本発明の好ましい態様において、MGは、式II
【化6】

式中、
Zは、各々の場合において、独立して、
【化7】

であり、
は、式Iに示した意味の1つを有し、
【0045】
およびAは、各々独立して、さらに1つまたは2つ以上のCH基がNにより置換されていることができる1,4−フェニレン、さらに1つまたは2つの隣接していないCH基がOおよび/またはSにより置換されていることができる1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、インダン−2,5−ジイル、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり、これらのすべての基が、非置換であるか、F、Cl、OH、CNもしくはNOまたは、1個もしくは2個以上のH原子が、FまたはClにより置換されていることができる、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基で一もしくは多置換されていることが可能であり、
mは、0、1、2または3である、
で表される。
【0046】
特に好ましいのは、メソゲン性基
【化8】

が、2つまたは3つの5員環または6員環を含む化合物である。
さらに好ましいのは、少なくとも1つの基Zが−C≡C−を示す化合物である。これらの化合物は、特に、高度に複屈折性の材料が必要である使用に適する。
【0047】
式IIで表される好ましいメソゲン性基の一層小さい群を、以下に列挙する。便宜上、これらの基におけるPheは、1,4−フェニレンであり、PheLは、1〜4個の基Lにより置換されている1,4−フェニレン基であり、Lは、F、Cl、OH、CN、NOまたは1〜7個のC原子を有する、随意にフッ素化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基であり、Cycは、1,4−シクロヘキシレンである。Zは、式IIの意味の1つを有する。このリストは、以下の従属式およびこれらの鏡像を含む。
【化9】

【0048】
特に好ましいのは、従属式II−1、II−2、II−4、II−6、II−7、II−8、II−11、II−13、II−14、II−15およびII−16である。
好ましくは、Zは、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−または単結合である。
【0049】
極めて好ましくは、メソゲン性基MGは、以下の式およびこれらの鏡像から選択される。
【化10】

【0050】
【化11】

式中、Lは、前述の意味を有し、rは、0、1または2である。
【0051】
これらの好ましい式中の基
【化12】

は、極めて好ましくは、
【化13】

さらに
【化14】

を示し、Lは、各々独立して、前に示した意味の1つを有する。
特に好ましいのは、従属式IId、IIg、IIh、IIi、IIkおよびIIo、特に従属式IIdおよびIIkである。
【0052】
Lは、好ましくは、
【化15】

である。
【0053】
式IにおけるRが、アルキルまたはアルコキシ基である、即ちここで、末端CH基が、−O−により置換されている場合には、これは、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは、直鎖状であり、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0054】
特に好ましくは、Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルコキシである。
オキサアルキル、即ちここで、1つのCH基が−O−により置換されているものは、好ましくは、例えば、直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0055】
ハロゲンは、好ましくはFまたはClである。
式IにおけるRは、極性または無極性基であることができる。極性基である場合には、Rは、CN、NO、ハロゲン、OCH、OCN、SCN、COR、COORまたは1〜4個のC原子を有するモノ、オリゴもしくはポリフッ素化アルキルもしくはアルコキシ基から選択されている。Rは、1〜4個、好ましくは1〜3個のC原子を有する随意にフッ素化されているアルキルである。特に好ましい極性基Rは、F、Cl、CN、NO、OCH、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、C、OCF、OCHFおよびOC、特にF、Cl、CN、OCHおよびOCFから選択されている。無極性基である場合には、Rは、好ましくは、15個までのC原子を有するアルキルまたは2〜15個のC原子を有するアルコキシである。
【0056】
アキラルな分枝状基Rを含む、式Iで表される化合物は、時々、例えば、結晶化に対する傾向の減少のために、重要であり得る。このタイプの分枝状基は、一般的に、1つより多い鎖分枝を含まない。好ましいアキラルな分枝状基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
本発明の他の好ましい態様は、RがP−Sp−X−を示す、式Iで表される化合物に関する。
【0057】
重合可能な基Pは、好ましくは、CH=CW−COO−、
【化16】

CH=CW−O−、CH−CH=CH−O−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−から選択されており、Wは、H、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、kおよびkは、互いに独立して0または1である。
【0058】
Pは、特に好ましくは、アクリレート、メタクリレート、ビニル、ビニルオキシ、エポキシ、スチレンまたはプロペニルエーテル基、特にアクリレート、メタクリレート、ビニルまたはエポキシ基である。
【0059】
スペーサー基Spについて、当業者にこの目的のために知られているすべての基を、用いることができる。スペーサー基Spは、好ましくは、1〜20個のC原子、特に1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキレン基であり、ここで、さらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−C(ハロゲン)、−CH(CN)−、−CH(OH)−、−CD−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−もしくは−C≡C−またはシロキサン基により置換されていることができ、ここで、1個または2個以上のH原子は、ハロゲン、CNまたはOHにより置換されていることができる。
【0060】
代表的なスペーサー基は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−もしくは−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、oは、2〜12の整数であり、pは、1〜3の整数であり、qは、1〜3の整数であり、RおよびR00は、前に示した意味を有する。
【0061】
好ましいスペーサー基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0062】
特に好ましいのは、Spが、2〜8個のC原子を有するアルキレンまたはアルキレン−オキシを示す、式Iで表される化合物である。直鎖状基が、特に好ましい。
Rが、P−Sp−X−を示す場合には、式Iで表される化合物中の2つのスペーサー基Spは、同一であるかまたは異なることができる。
前に記載した好ましい化合物の中で、特に好ましいのは、nが1であるものである。
【0063】
さらに好ましいのは、nが0である、1つまたは2つ以上の基P−Sp−X−を有する化合物である。
それぞれ基P、SpおよびXが多数回出現する場合において、多数回出現する基は、同一であるかまたは異なることができる。
式Iで表される化合物を、それ自体知られており、有機化学の標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Thieme-Verlag, Stuttgartに記載されている方法により、またはこれと同様にして合成することができる。製造のいくつかの特定の方法を、例から採用することができる。
【0064】
重合可能な組成物の成分として用いることができる、好適な重合可能なメソゲン性化合物の例は、例えば、WO 93/22397;EP 0,261,712;DE 195,04,224;WO 95/22586およびWO 97/00600に開示されている。しかし、これらの文献中に開示されている化合物は、単に、本発明の範囲を限定するべきではない例として見なされるべきである。好ましくは、重合可能な混合物は、1つの重合可能な官能基を有する少なくとも1種の重合可能なメソゲン性化合物および、2つまたは3つ以上の重合可能な官能基を有する少なくとも1種の重合可能なメソゲン性化合物を含む。
【0065】
特に有用な重合可能なメソゲン性化合物の例を、以下の化合物のリスト中に示すが、これは、単に例示的と解釈するべきであり、いかなる方法によっても本発明を限定せず、代わりに本発明を説明することを意図する:
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
前述の式において、Pは、式Iの意味およびこの前述の好ましい意味の1つを有し、xおよびyは、1〜12の同一の、または異なる整数であり、Aは、非置換であるか、もしくは2、3および/または5位において、Lにより置換されている1,4−フェニレンであるか、または1,4−シクロヘキシレンを示し、Zは、式IIにおけるZの意味の1つを有し、vは、0または1であり、Yは、前に定義した極性基であり、Rは、無極性アルキルまたはアルコキシ基であり、LおよびLは、各々独立して、H、F、Cl、CN、OH、NOまたは、1〜4個のC原子を有する、随意にハロゲン化されているアルキル、アルコキシもしくはカルボニル基であり、前述の式中の1,4−フェニレン環はまた、2、3および/または5位において、Lにより置換されていることができる。
【0068】
無極性基の用語は、これに関して、好ましくは、1個もしくは2個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有するアルキル基、または2個もしくは3個以上、好ましくは2〜15個のC原子を有するアルコキシ基を示す。
【0069】
メソゲン性材料の配向は、特に、フィルムの厚さ、基板材料のタイプ、および重合可能なメソゲン性材料の組成に依存する。従って、これらのパラメーターを変化させることにより、ポリマーフィルムの構造、特に特定のパラメーター、例えばティルト角およびこの変化の程度を制御することが可能である。
【0070】
従って、ホメオトロピックフィルムの製造のために、整列を、単反応性メソゲン性化合物、即ち1つの重合可能な基を有する化合物と、二反応性メソゲン性化合物、即ち2つの重合可能な基を有する化合物との比率を適切に選択することにより、改善することが可能である。
【0071】
重合可能な材料中の2つまたは3つ以上の重合可能な基を有する重合可能な化合物の量は、好ましくは、合計の混合物の5〜25重量%である。他の好ましい態様において、重合可能な混合物は、1つより多い重合可能な基を有する重合可能な化合物を含まない。
【0072】
特に好ましくは、重合可能な液晶材料は、
a)25〜80%、特に30〜70%、極めて好ましくは40〜60%の、無極性末端基を有する、好ましくは式Iから選択された、1種または2種以上の単反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
b)5〜40%、特に10〜35%、極めて好ましくは15〜30%の、極性末端基を有する、好ましくは式Iから選択された、1種または2種以上の単反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
c)0〜65%、特に2〜45%、極めて好ましくは5〜25%の、2つまたは3つ以上の重合可能な基を有する、好ましくは式Iから選択された、1種または2種以上の重合可能なメソゲン性化合物、
d)0.01〜5%の光開始剤
を含む。
【0073】
極めて好ましいのは、成分a:bの比率が、5:2〜3:2の範囲内である混合物、および単反応性化合物対二反応性化合物の比率が、3:1〜1:1の範囲内である混合物である。さらに好ましいのは、成分a:b:cの比率が、約2:1:1である混合物である。
好ましくは、混合物は、2〜8種、特に2〜6種、最も好ましくは2〜4種の成分aおよびbの化合物、および1〜3種の成分cの化合物を含む。
【0074】
混合物はまた、他の成分、例えば安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、染料、界面活性剤または非メソゲン性架橋剤を含むことができる。
成分a)の化合物は、好ましくは、前述の式Id〜Iiから選択される。成分b)の化合物は、好ましくは、前述の式Ia〜Icから選択される。成分c)の化合物は、好ましくは、前述の式IkおよびImから選択される。
【0075】
式Ia〜Imで表される化合物中のスペーサー基および式Id〜Iiで表される化合物中のアルキル末端基は、好ましくは、プロピレン〜ヘキシレンから選択される。成分のアルキル鎖長(スペーサー基または末端基のいずれか)およびこれらの濃度を最適化して、フィルムの硬化中に発生する温度より高い適切な温度においてスメクティック相を提供する。スメクティック相挙動を増大させるために、ヘキシレンよりも高級のスペーサー基または末端アルキル基、例えばヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレンまたはドデシレンもまた、好適である。
【0076】
特に好ましいのは、以下のものを含む重合可能な混合物である。
a)40〜60%の式Ieで表される1種または2種以上の化合物、特にvが1であり、Aが1,4−シクロヘキシレンである化合物、
b)15〜25%の式Iaで表される1種または2種以上の化合物、特にvが1であり、YがCNである化合物、
c)5〜30%の式Ikで表される1種または2種以上の化合物、特にLがCHであり、LがHである化合物、
d)0.01〜5%の光開始剤。
【0077】
重合可能なメソゲン性材料を、WO 98/12584またはGB 2,315,072に記載されている方法により、基板上に塗布し、均一な配向に整列させ、重合させ、これにより、重合可能なメソゲン性材料の配向を永久に固定する。
基板として、例えば、ガラスもしくは石英シートまたはプラスチックフィルムもしくはシートを用いることができる。好適なプラスチック基板は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)のフィルムである。
【0078】
本発明の整列層を、好ましくは、ディスプレイの液晶セルを形成する基板または電極の内面上に直接製造する。これを、例えば、典型的には導電性材料、例えば酸化スズインジウム(ITO)層の透明な層で被覆したガラス板である基板上に、例えばスピンコートにより、重合可能なメソゲン性材料を塗布し、重合させ、被覆し、整列した材料を重合させることにより、達成する。重合可能な材料を、ITO層上に直接塗布することができるが、基板はまた、ITO層の上に追加の整列層を含むことができ、この上に重合可能な材料を塗布する。また、基板が、他の層、例えばカラーフィルター、保護もしくはパッシベーション(passivation)層または黒色層を、ITO層の最上部上または下に含むことも可能である。
【0079】
また、第2の基板を、被覆した混合物の最上部上に、重合前および/または重合中および/または重合後に配置することも可能であり、これを、重合後に取り外すことができる。化学線に暴露することによる2枚の基板の間での硬化の際には、少なくとも1枚の基板は、重合に用いられる化学線のために、透過性でなければならない。アイソトロピックまたは複屈折性基板を、用いることができる。
【0080】
重合可能なメソゲン性材料を、また、溶媒、好ましくは有機溶媒に溶解することができる。次に、溶液を、基板上に、スピンコートまたは他の既知の手法により塗布し、溶媒を、重合前に蒸発させて除去する。ほとんどの場合において、混合物を加熱して、溶媒の蒸発を容易にするのが好適である。
【0081】
ホメオトロピック配向を有する、重合した液晶フィルムの製造はまた、WO 98/00475に記載されており、この開示全体を、本出願中に参照により組み込む。ホメオトロピック整列を、例えば基板の最上部上に被覆した整列層により、達成することができる。ガラス基板上に用いる好適な整列剤は、例えば、アルキルトリクロロシラン、クロム錯体またはレシチンであり、一方、プラスチック基板のためには、整列剤としてのレシチン、シリカまたは高ティルトポリイミド配向フィルムの薄層を、用いることができる。本発明の好ましい態様において、プラスチックフィルムで被覆したシリカを、基板として用いる。さらに、ホメオトロピック整列を、GB 2,324,382に記載されたように、酸化アルミニウムフィルムを用いることにより、達成することができる。
【0082】
ホメオトロピック整列を達成するためのさらなる好適な方法および剤は、T. UchidaおよびH. Seki, 「液晶−用途および使用、第3巻」、B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1〜63頁並びにJ. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, Supplement 1 (1981), 1〜77頁中に記載されている。好適な材料は、例えば、垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、例えばレシチンまたは第四級アンモニウム界面活性剤、例えばHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)またはN−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド(Uchida et al.)、シランポリマー、例えばポリメトキシシランまたはフッ素化ポリマー、例えばテフロン(登録商標)である。
【0083】
重合可能なメソゲン性材料の重合は、これを、熱または化学線に暴露することにより生じる。化学線は、光、例えばUV光、IR光もしくは可視光線での照射、X線もしくはガンマ線での照射または高エネルギー粒子、例えばイオンもしくは電子での照射を意味する。好ましくは、重合を、UV照射により実施する。化学線の源として、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプ出力を用いる際には、硬化時間を減少させることができる。化学線の他の可能な源は、レーザー、例えばUVレーザー、IRレーザーまたは可視レーザーである。
【0084】
重合を、好ましくは、化学線の波長において吸収を示す開始剤の存在下で実施する。例えば、UV光により重合する際には、UV照射の下で分解されて、重合反応を開始する遊離基またはイオンを生成する光開始剤を用いることができる。アクリレートまたはメタクリレート基を有する重合可能なメソゲンを硬化させる際に、好ましくはラジカル光開始剤を用い、ビニルおよびエポキシド基を有する重合可能なメソゲンを硬化させる際に、好ましくは、陽イオン性光開始剤を用いる。また、加熱した際に分解して、重合を開始する遊離基またはイオンを生成する重合開始剤を用いることが可能である。ラジカル重合のための光開始剤として、例えば、商業的に入手できるイルガキュア(Irgacure)651、イルガキュア184、ダロキュア(Darocure)1173またはダロキュア4205(すべてCiba Geigy AGから)を用いることができ、一方陽イオン性光重合の場合には、商業的に入手できるUVI6974(Union Carbide)を用いることができる。
【0085】
重合可能なメソゲン性材料は、好ましくは、0.01〜10%、極めて好ましくは0.05〜5%、特に0.1〜3%の重合開始剤を含む。UV光開始剤、特に、ラジカル性UV光開始剤が好ましい。
【0086】
硬化時間は、特に、重合可能なメソゲン性材料の反応性、被覆層の厚さ、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力に依存する。本発明における硬化時間は、好ましくは、10分より長くなく、特に好ましくは5分より長くなく、極めて特に好ましくは2分より短い。大量生産のために、3分またはこれ以下、極めて好ましくは1分またはこれ以下、特に30秒またはこれ以下の短い硬化時間が、好ましい。
【0087】
重合開始剤に加えて、重合可能な材料はまた、1種または2種以上の他の好適な成分、例えば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、同時反応モノマー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動改善剤、泡消し剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料を含むことができる。
【0088】
特に、安定剤の添加は、例えば貯蔵中の重合可能な物質の不所望な自発的重合を防止するために、好ましい。安定剤として、原理的に、この目的のために当業者に知られているすべての化合物を、用いることができる。これらの化合物は、広範囲で商業的に入手できる。安定剤の代表例は、4−エトキシフェノールまたはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0089】
他の添加剤、例えば連鎖移動剤もまた、重合可能な材料に加えて、本発明のポリマーフィルムの物理的特性を修正することができる。連鎖移動剤、例えば一官能性チオール化合物、例えばドデカンチオールまたは多官能性チオール化合物、例えばトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)を、重合可能な材料に加える際には、遊離のポリマー鎖の長さおよび/または本発明のポリマーフィルムにおける2つの架橋間のポリマー鎖の長さを、制御することができる。連鎖移動剤の量を増大させる際には、得られたポリマーフィルムにおけるポリマー鎖の長さは、減少している。
【0090】
また、ポリマーの架橋を増加させるために、20%までの2つまたは3つ以上の重合可能な官能基を有する非メソゲン性化合物を、重合可能な材料に、二官能性または多官能性の重合可能なメソゲン性化合物の代わりに、またはこれに加えて添加して、ポリマーの架橋を増加させることも可能である。二官能性非メソゲン性モノマーの代表例は、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルジアクリレートまたはアルキルジメタクリレートである。2つより多い重合可能な基を有する非メソゲン性モノマーの代表例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0091】
他の好ましい態様において、重合可能な材料の混合物は、70%まで、好ましくは3〜50%の、1つの重合可能な官能基を有する非メソゲン性化合物を含む。一官能性非メソゲン性モノマーの代表例は、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートである。
また、例えば、20重量%までの量の重合可能でない液晶化合物を加えて、ポリマーフィルムの光学的特性を適合させることも可能である。
【0092】
いくつかの場合において、第2の基板を適用して、整列を補助し、重合を阻害し得る酸素を排除するのが有利である。あるいはまた、硬化を、不活性ガスの雰囲気下で実施することができる。しかし、好適な光開始剤および高いUVランプ出力を用いる、空気中での硬化もまた、可能である。陽イオン性光開始剤を用いる際には、酸素排除は、最もしばしば必要ではなく、水を排除しなければならない。本発明の好ましい態様において、重合可能なメソゲン性材料の重合を、不活性ガスの雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で実施する。
【0093】
所望の分子配向を有するポリマーフィルムを得るために、重合を、重合可能なメソゲン性材料の液晶相において実施しなければならない。従って、好ましくは、低い融点および広い液晶相範囲を有する重合可能なメソゲン性化合物または混合物を用いる。このような材料を用いることにより、重合温度を低下させることが可能になり、これにより、重合プロセスが一層容易になり、特に大量生産に顕著に有利である。
【0094】
好適な重合温度の選択は、主に、重合可能な材料の透明点および特に基板の軟化点に依存する。好ましくは、重合温度は、重合可能なメソゲン性混合物の透明点より少なくとも30度低い。
【0095】
本発明の電気光学的急峻度を制御するための整列層および方法は、液晶ディスプレイ、特にホメオトロピック表面整列が必要であるディスプレイ、例えばVA(垂直整列)モード、例えばVAN(垂直整列ネマティック)もしくはVAC(垂直整列コレステリック)、ECB(電気的に制御された複屈折)、DAP(整列相の変形)もしくはCSH(カラー超ホメオトロピック)モードのディスプレイ、例えばSSCTもしくはPSCT(表面もしくはポリマー安定化コレステリック組織)モードのコレステリックディスプレイ、または撓電もしくはULH(均一位置らせん)モードのディスプレイに適する。これらを、透過型、反射型または透過反射型のディスプレイに適用することができる。また、これを、LCセルの一方の表面における液晶分子がホメオトロピック整列を示し、他方の面において平面状整列を示すハイブリッド整列を有するディスプレイ、例えばHAN(ハイブリッド整列ネマティック)モードのディスプレイにおいて用いることができる。
【0096】
本発明の液晶ディスプレイは、好ましくは、
−少なくとも1つが光透過性である、第1の電極と第2の電極との間に設けられた液晶媒体を含み、前記媒体中の液晶分子が、外部の場を加えられていない際に、ホメオトロピック的に、即ち電極に垂直に配向している、液晶セル、並びに
−液晶媒体に直接接触し、液晶媒体においてホメオトロピック端部整列を誘発するように、前記第1の電極および第2の電極の少なくとも1つの内面上に設けられた、本発明の整列層
を含み、さらに、
【0097】
−液晶セルの一方の側上に位置する第1の偏光板、
−随意に、液晶セルが、第1の偏光板と第2の偏光板との間にはさまれるように位置する第2の偏光板、
−随意に、液晶セルおよび/または第1のおよび第2の偏光板に隣接して位置する、1つまたは2つ以上の光学的補償または遅延層、
−随意に、背面照射
並びに随意にさらなる成分を含むことができる。
【0098】
さらに好ましいのは、本発明の整列層、特に重合したスメクティックA LC材料を含む整列層を含む、双安定または多安定装置、特にネマティックディスプレイである。これらのディスプレイにおいて、液晶媒体は、少なくとも2種の安定な形態を採用する。整列層を用いてホメオトロピック整列を誘発することができる、好適な双安定または多安定ディスプレイは、例えば、WO 98/50821、EP 0 302 479、Martinot-Lagarde et al., Phys. Rev. Lett. (2000), 84(17), 3871-3874またはG.P. Bryan-Brown, C.V. Brown, J.C. Jones, E.L. Wood, I.C. Sage, P. BrettおよびJ. Rudin, (1997), 「整列した双安定性ネマティック装置のグレーティング」Proceedings of Society for Information Display International Symposium. Digest of Technical Papers, Volume XXVIII, Boston MA, USA, 1997年5月、第5.3章、第37〜40頁に記載されている。
【0099】
さらに好ましいのは、本発明の整列層、特に重合したスメクティックA LC材料を含む整列層を含み、例えば電場を加えることにより、少なくとも2種の異なる安定な状態の間で切り換えることができ、この1種は、ホメオトロピック状態である、キラルなネマティックまたはコレステリック相を有する液晶媒体を含む、双安定または多安定ディスプレイ装置である。好適な例は、例えばWO 92/19695、US 5,384,067、US 5,453,863、US 6,172,720またはUS 5,661,533に記載されているSSCTまたはPSCTディスプレイ、並びに例えばEP 0 971 016、GB 2 356 629またはColes, H.J., Musgrave, B., Coles, M.J., およびWillmott, J., J. Mater. Chem., 11, 第2709〜2716頁(2001)に記載されている撓電またはULHモードのディスプレイである。
【0100】
液晶ディスプレイに加えて、本発明の整列層はまた、他の液晶装置、例えば光学的コンピューティングまたは光学的信号を伝送するための光学的スイッチのための空間的光モジュレーターにおいて用いることができる。
【0101】
さらに、本発明の整列層を、基板として、または基板上に設けられた整列もしくは補助層として、重合可能なLC材料からのホメオトロピック構造を有する異方性または液晶ポリマーフィルムの製造において用いて、重合可能なLC材料におけるホメオトロピック配向を誘発することができる。ホメオトロピック構造を有する異方性フィルムは、例えば、WO 98/00475に記載されており、広範囲の用途のために、例えば補償板または光学的遅延板として用いることができる。
【0102】
以下の例は、本発明を、限定を表さずに例示することを意図する。本明細書中、パーセンテージは、重量%であり;すべての温度は、摂氏度で示す。
【0103】
以下の略語を用いる:
【化19】

【0104】
さらに:
Δnは、20℃および589nmにおいて測定した光学異方性を示し、
は、20℃および589nmにおける異常屈折率を示し、
Δεは、20℃における誘電異方性を示し、
ε‖は、分子軸に平行な方向における誘電定数を示し、
cp.は、透明点[℃]を示す。
【0105】
例1
以下の重合可能な混合物を配合した。
【表1】

【0106】
【化20】

化合物(1)は、WO 98/00428に記載されている。化合物(2)は、DE 195,04,224に記載されている方法と同様にして製造することができる。化合物(3)および(4)は、WO 93/22397に記載されている方法と同様にして製造することができる。イルガキュア907(登録商標)は、Ciba Geigyから商業的に入手できる光開始剤である。BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)は、商業的に入手できる安定剤である。
【0107】
混合物を、薄層として、シリカで被覆したPET基板上に塗布し、UV光での照射により60℃で硬化させて、ホメオトロピック配向を有する、厚さが0.1μmのポリマーフィルムを得た。
【0108】
例2
以下の重合可能な混合物を配合した。
【表2】

【0109】
ホメオトロピック配向を有するポリマーフィルムを、例1に記載したように製造し、液晶ディスプレイにおけるホメオトロピック整列として適する。
【0110】
例3
本発明の整列層の表面固定エネルギーの、液晶ディスプレイの電気光学的特性に対する影響を例証するために、コンピューターシミュレーションを、Autronic Melchers DIMOSシステムを用いて、垂直整列(VAモード)の標準的なディスプレイセルについて実施した。
【0111】
VAセルは、以下のパラメーターを有する:2枚の平面平行な板が、4μmの距離で離間しており、板の内側上に、電極層が、前述のようにして製造することができる本発明のホメオトロピック整列層で被覆されている。セルは、以下のネマティック液晶媒体
【表3】

を含み、これは、電場が加えられていない際には、ホメオトロピック的に整列しており、さらに、90°のねじれ角が、電場が加えられた際に媒体中で誘発されるようなねじれおよび濃度を有するキラルなドーパントを含む。
【0112】
整列層により誘発される、セル壁における液晶分子の表面固定強度は、ティルト固定パラメーターτにより表される。τ=0の値は、液晶分子が強力に固定されていることを意味する。τ=1の値は、液晶分子が、顕著に固定されずに自由に回転することを意味する。τの値は、Mada et al., Jap. Journ. Appl. Phys. 38, L1118-L1120 (1999)による実験データと相関し得る。従って、τ=1(固定されていない)の値は、約10−10J/mの表面固定エネルギーに相当し、τ=0(強力に固定されている)の値は、約10−5J/mの表面固定エネルギーに相当する。
【0113】
図1〜4は、前述のVAセルの電気光学的曲線(透過率対印加電圧)および完全な急峻度曲線(電気光学的曲線の数値的勾配)を示し、ここで、LC媒体は、所定のティルト固定パラメーターτを有する整列層と接触している。急峻度は、V90/V10として定義され、ここで、V90およびV10は、それぞれ最大透過率の90%および10%における電気光学的曲線の電圧である。
【0114】
図1.1および1.2は、0のティルト固定パラメーターを有する整列層を含むVAセルについての、それぞれ電気光学的曲線および完全な急峻度曲線を示す。
図2.1および2.2は、0.4のティルト固定パラメーターを有する整列層を含むVAセルについての、それぞれ電気光学的曲線および完全な急峻度曲線を示す。
図3.1および3.2は、1のティルト固定パラメーターを有する整列層を含むVAセルについての、それぞれ電気光学的曲線および完全な急峻度曲線を示す。
図4.1および4.2は、それぞれ(左から右へ)1、0.8、0.6、0.4および0のティルト固定パラメーターを有する整列層を含むVAセルについての、それぞれ電気光学的曲線および完全な急峻度曲線を示す。
【0115】
結果は、垂直に整列した液晶分子の表面固定エネルギーと電気光学的曲線の対応する急峻度との間に強力な相関関係があることを、明確に例証する。電気光学的曲線の急峻度は、表面固定エネルギーの減少、即ちτの値の増大に伴って増大する。
【0116】
前述の例を、本発明の一般的または特定的に記載した反応物質および/または動作条件を、前述の例中で用いたもので置き換えることにより、同様の成功で繰り返すことができる。
前述の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の種々の変更および修正を実施して、本発明を、種々の使用および条件に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1.1】0のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、電気光学的曲線(透過率対印加電圧)を示す図である。
【図1.2】0のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、完全な急峻度曲線(電気光学的曲線の数値的勾配)を示す図である。
【図2.1】0.4のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、電気光学的曲線を示す図である。
【図2.2】0.4のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、完全な急峻度曲線を示す図である。
【図3.1】1のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、電気光学的曲線を示す図である。
【図3.2】1のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、完全な急峻度曲線を示す図である。
【図4.1】それぞれ(左から右へ)1、0.8、0.6、0.4および0のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、電気光学的曲線を示す図である。
【図4.2】それぞれ(左から右へ)1、0.8、0.6、0.4および0のティルト固定パラメーターを有する整列層を含む、本発明の例3におけるVAセルの、完全な急峻度曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホメオトロピック配向を有する重合した液晶材料を含む、整列層。
【請求項2】
重合した液晶材料中のティルト角が、層の法線に対して、0〜5°であることを特徴とする、請求項1に記載の整列層。
【請求項3】
液晶材料が、このネマティック相において重合することを特徴とする、請求項1または2に記載の整列層。
【請求項4】
液晶材料を、このスメクティック相において重合させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の整列層。
【請求項5】
液晶材料を、このスメクティックA相において重合させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の整列層。
【請求項6】
重合した液晶材料が、三次元ネットワークを形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の整列層。
【請求項7】
高い表面固定エネルギーを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の整列層。
【請求項8】
ティルト固定パラメーターτが、0〜0.6であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の整列層。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の整列層の製造方法であって、重合可能なメソゲン性または液晶材料の層を、基板上に設け、該材料を、ホメオトロピック配向に整列させ、該材料を重合させ、随意に、重合したフィルムを基板から取り外すことによる、前記方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の整列層の製造において用いるための、ネマティックまたはスメクティック相を有する重合可能な液晶材料。
【請求項11】
スメクティックA相を示すことを特徴とする、請求項10に記載の重合可能な液晶材料。
【請求項12】
1種または2種以上の式I
【化1】

式中、
Pは、重合可能な基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
Xは、
【化2】

または単結合であり、
MGは、メソゲン性基であり、
Rは、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SFH、NOまたは、1〜20個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり、これは、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより一または多置換されていることができ、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることも可能であり、またはP−Sp−X−を示し、
およびR00は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである、
で表される重合可能なメソゲン性化合物を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の重合可能な液晶材料。
【請求項13】
a)25〜80%の、無極性末端基を有する1種または2種以上の単反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
b)5〜40%の、極性末端基を有する1種または2種以上の単反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
c)0〜65%の、2つまたは3つ以上の重合可能な基を有する1種または2種以上の重合可能なメソゲン性化合物、
d)0.01〜5%の光開始剤
を含むことを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の重合可能な液晶材料。
【請求項14】
40〜60重量%の1種または2種以上の式I−1で表される化合物、15〜25重量%の1種または2種以上の式I−2で表される化合物および15〜60重量%の1種または2種以上の式I−3で表される化合物
【化3】

式中、
Wは、HまたはCHであり、
nは、3〜6の整数であり、
およびZは、各々独立して、−COO−または−OCO−であり、
およびXは、各々独立して、HまたはCHであり、
は、1〜20個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシである、
を含むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の重合可能な液晶材料。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載の整列層の、液晶媒体中でホメオトロピック整列を発生させるための使用。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1つの整列層を含む、液晶装置。
【請求項17】
液晶媒体と接触しており、接触の領域において液晶媒体中にホメオトロピック整列を誘発する、請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1つの整列層を含む、液晶装置。
【請求項18】
ネマティック、スメクティックまたはコレステリック液晶媒体を含むことを特徴とする、請求項16または17に記載の液晶装置。
【請求項19】
双安定または多安定液晶ディスプレイ装置であることを特徴とする、請求項16〜18のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項20】
VA(垂直整列)、VAN(垂直整列ネマティック)、VAC(垂直整列コレステリック)、ECB(電気的に制御された複屈折)、DAP(整列相の変形)、CSH(カラー超ホメオトロピック)、ハイブリッド整列、HAN(ハイブリッド整列ネマティック)、SSCT(表面安定化コレステリック組織)、PSCT(ポリマー安定化コレステリック組織)、撓電またはULH(均一位置らせん)モードであり、透過型、反射型または透過反射型であることができることを特徴とする、請求項16〜19のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項21】
−少なくとも1つが光透過性である、第1の電極と第2の電極との間に設けられた液晶媒体を含み、該媒体中の液晶分子が、外部の場を加えられていない際に、ホメオトロピック的に配向している、液晶セル、並びに
−液晶媒体に直接接触し、液晶媒体においてホメオトロピック端部整列を誘発するように、前記第1の電極および第2の電極の少なくとも1つの内面上に設けられた、請求項1〜8のいずれかに記載の整列層
を含む、液晶ディスプレイ。
【請求項22】
請求項1〜8のいずれかに記載の整列層の、重合可能なLC材料においてホメオトロピック配向を誘発するための、重合可能なLC材料からのホメオトロピック構造を有する異方性または液晶ポリマーフィルムの製造における、基板、または基板上に設けられた整列もしくは補助層としての使用。
【請求項23】
請求項1〜8のいずれかに記載のホメオトロピック整列層上の重合可能な液晶材料から製造されることを特徴とする、ホメオトロピック構造を有する異方性または液晶ポリマーフィルム。
【請求項24】
請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1つの整列層を含むVAモードの液晶ディスプレイの電気光学的急峻度を制御する方法であって、前記整列層の表面固定エネルギーを変化させることによる、前記方法。

【図1.1】
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【図1.2】
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【図2.1】
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【図2.2】
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【図3.1】
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【図3.2】
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【図4.1】
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【図4.2】
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【公開番号】特開2009−145896(P2009−145896A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321162(P2008−321162)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【分割の表示】特願2002−546904(P2002−546904)の分割
【原出願日】平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】