説明

ホルダ係止構造

【課題】コネクタハウジングの小型化を図ることができるホルダ係止構造を提供する。
【解決手段】相手コネクタが挿入・嵌合する嵌合フード部13内に端子のこじりを防止するこじり防止突起14が突出するとともに端子金具41が収容されるコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11の嵌合フード部13内に挿入されてコネクタハウジング11に係止されて端子金具41の抜けを阻止し、こじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔25とフロントホルダ21をコネクタハウジング11から外す治具51が挿入される治具挿入孔26が設けられたフロントホルダ21とを備え、コネクタハウジング11のホルダ係止部16にフロントホルダ21を係止するホルダ係止構造1であって、こじり防止突起挿入孔25と治具挿入孔26とを連続して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングにフロントホルダを係止するホルダ係止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数に分割したコネクタハウジングを係止するホルダ係止構造として、例えば、特開2004−139758号公報(特許文献1)に記載されたホルダ係止構造が提案されている。このようなホルダ係止構造は、コネクタハウジングがインナハウジングとアウタハウジングとに分割して形成されており、インナハウジングをアウタハウジングに係止して、コネクタハウジングに端子金具を挿入することにより、相手側コネクタの端子と接続する。
【0003】
図10及び図11は、従来のホルダ係止構造を示す図である。図10及び図11に示すように、ホルダ係止構造100は、アウタハウジング101とインナハウジング105とに分割されるコネクタハウジング111と、コネクタハウジング111内に収容される端子金具121とから略構成されている。
【0004】
アウタハウジング101は、インナハウジング105を内部に収容可能な収容部102と、インナハウジング105を抜け止め状態に保持可能なロック受け部103と、アウタハウジング101とインナハウジング105の係止状態を解除する治具によって押圧されるテーパ部104とを備えている。
【0005】
インナハウジング105には、アウタハウジング101のロック受け部103に係止するロック部106と、端子金具121がコネクタハウジング111から抜けるのを防止するための端子抜け止め部107とを備えている。
【0006】
そして、アウタハウジング101のロック受け部103にインナハウジング105のロック部106が係止することにより、インナハウジング105がアウタハウジング101に対して抜け止め不能に保持される。
【0007】
また、メンテナンス等により、アウタハウジング101とインナハウジング105の係止状態を解除する場合には、治具をコネクタハウジング111に挿入してテーパ部104を押圧し、ロック受け部103に係止したロック部106を外すことにより、アウタハウジング101とインナハウジング105の係止状態を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−139758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来のホルダ係止構造100では、アウタハウジング101とインナハウジング105の係止状態を解除する場合、解除する治具を挿入するための挿入孔を設けるためにコネクタハウジング111に一定のスペースを確保しなくてはならず、コネクタハウジング111を小型化することが困難であるという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コネクタハウジングの小型化を図ることができるホルダ係止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、相手コネクタが挿入・嵌合する嵌合フード部内に端子のこじりを防止するこじり防止突起が突出するとともに端子金具が収容されるコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの前記嵌合フード部内に挿入されて該コネクタハウジングに係止されて前記端子金具の抜けを阻止し、前記こじり防止突起が挿入されるリブ挿入孔とフロントホルダをコネクタハウジングから外す治具が挿入される治具挿入孔が設けられたフロントホルダとを備え、前記コネクタハウジングのホルダ係止部に前記フロントホルダを係止するホルダ係止構造であって、前記リブ挿入孔と前記治具挿入孔とを連続して設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のホルダ係止構造であって、前記こじり防止突起が前記嵌合フード部の一内面から連続して設けられ、前記フロントホルダのリブ挿入孔とこれに連続する治具挿入孔は前記嵌合フード部の前記一内面側に開口していることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のホルダ係止構造であって、前記コネクタハウジングは、端子金具が収容される端子収容室と、前記フロントホルダが係止されるホルダ係止部とが設けられたコネクタ本体と、このコネクタ本体と一体に形成されて前記端子収容室内に収容された前記端子金具の接触部が突出する嵌合フード部と、前記コネクタ本体に一体に形成されて嵌合フード部内に突設されて嵌合フード部内に突出した端子金具のこじりを防止するこじり防止突起とを備え、前記フロントホルダは、前記こじり防止突起が挿入される挿入孔と治具挿入孔が形成されたホルダ本体と、前記コネクタハウジングの端子収容室内に収容された端子金具の抜けを阻止する端子抜け止め凸部と、前記コネクタハウジングのホルダ係止部に係止される係止部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、こじり防止突起が挿入されるリブ挿入孔と、フロントホルダをコネクタハウジングから外す治具が挿入される治具挿入孔とを連続して設けたため、別途、治具を挿入するための孔を設ける必要がない。このため、コネクタハウジングに治具を挿入するための孔を設けるためのスペースを確保する必要がなく、コネクタハウジングの小型化を図ることができるホルダ係止構造を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、こじり防止突起が挿入されるリブ挿入孔とこれに連続する治具挿入孔は、嵌合フード部の一内面に開口しているため、治具を挿入するための孔を別途設ける必要がなく、コネクタハウジングの小型化を図ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、フロントホルダのホルダ本体には、こじり防止突起が挿入される挿入孔と治具挿入孔が形成されているため、治具を挿入するための孔を別途設ける必要がなく、コネクタハウジングの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造のコネクタハウジングの正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入される状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入された状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入された状態を示す正面図及び断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のコネクタハウジングの正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの正面図及び断面図である。
【図10】従来におけるホルダ係止構造の断面図である。
【図11】従来におけるホルダ係止構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。はじめに、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造のコネクタハウジングの正面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの正面図である。本発明の実施形態に係るホルダ係止構造は、コネクタハウジングにフロントホルダを係止するホルダ係止構造である。
【0019】
図1に示すように、ホルダ係止構造1は、合成樹脂性のコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11と係止する合成樹脂性のフロントホルダ21と、雌型の端子金具41とから略構成されている。
【0020】
コネクタハウジング11は、フロントホルダ21が係止されるコネクタ本体部(コネクタ本体)12と、相手コネクタ(雄型端子のコネクタ、図示省略)が挿入・嵌合する嵌合フード部13と、嵌合フード部13内に突設して端子のこじり(端子が曲がることにより、雌型の端子と雄型の端子との相互の接続ができなくなる状態)を防止するこじり防止突起14とを備えている。こじり防止突起14は、コネクタ本体部12に一体に形成され嵌合フード部13に突出して設けられている。
【0021】
コネクタ本体部12は、コネクタ本体部12と一体に形成されフロントホルダ21が係止される一側から一側に対向する他側へ貫通して複数の端子金具41が収容される端子収容室15と、フロントホルダ21を係止するホルダ係止部16(図2参照)とを備えている。
【0022】
フロントホルダ21は、コネクタハウジング11に挿入されるホルダ本体22と、コネクタハウジング11の端子収容室15内に収容された端子金具41の抜けを防止する端子抜け止め凸部23(後述する図6(b)参照)と、コネクタハウジング11のホルダ係止部16に係止する係止部24(後述する図6(b)参照)とを備えている。
【0023】
ホルダ本体22は、コネクタハウジング11のこじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔(リブ挿入孔)25と、フロントホルダ21をコネクタハウジング11から外す治具51が挿入される治具挿入孔26が設けられている。治具挿入孔26は、係止部24の近傍に設けられている(後述する図6(b)参照)。
【0024】
そして、こじり防止突起挿入孔25と治具挿入孔26は連続して設けられている。こじり防止突起挿入孔25に挿入されるコネクタハウジング11のこじり防止突起14は、嵌合フード部13の一内面(フロントホルダ21を係止する側に対向する側の面)から連続して設けられ、こじり防止突起挿入孔25に連続する治具挿入孔26も嵌合フード部13の一内面側(フロントホルダ21を係止する側に対向する側の面)に開口して設けられている。
【0025】
こじり防止突起挿入孔25は、下端25a(フロントホルダ21の下側)から上端25b(フロントホルダ21の上側)へ向かって直線状に設けられている。また、こじり防止突起挿入孔25と治具挿入孔26が連結している連結部29は、治具挿入孔26の左端26a側に設けられ、左端26aと連続する右端26bは、フロントホルダ21の中央へ向けて直線上に設けられている(図3参照)。
【0026】
このように、こじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔25と、フロントホルダ21をコネクタハウジング11から外す治具51が挿入される治具挿入孔26とを連続して設けている。また、こじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔25とこれに連続する治具挿入孔26は、嵌合フード部13の一内面に開口しているため、別途、治具51を挿入するための孔を設ける必要がない。このため、コネクタハウジング11に治具51を挿入するための孔を設けるためのスペースを確保する必要がなく、コネクタハウジング11の小型化を図ることができるホルダ係止構造1を提供することができる。
【0027】
端子抜け止め凸部23(後述する図6(b)参照)は、可撓性を有しており、端子金具41が挿入されると、こじり防止突起挿入孔25側(フロントホルダ21の下側)に撓み変形し、コネクタハウジング11の端子収容室15に収容された端子金具41がコネクタハウジング11から抜けるのを防止する。
【0028】
端子金具41は、端子収容室15内に収容されると嵌合フード部13へ突出する接触部42と、相手コネクタの端子(図示省略)と電気的に接続する電線接続部(端子金具の接触部)43とを備えている。
【0029】
次に、図4から図6を参照して、本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダの係止及び係止解除について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入される状態を示す斜視図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入された状態を示す側面図である。図6(a)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入された状態を示す正面図である。図6(b)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入された状態を示すA−A断面図である。図6(c)は、本発明の第1実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダに治具が挿入された状態を示す拡大図である。
【0030】
はじめに、コネクタハウジング11にフロントホルダ21を係止する場合について説明する。
【0031】
図4から図6に示すように、コネクタハウジング11にフロントホルダ21を挿入してコネクタハウジング11のホルダ係止部16にフロントホルダ21の係止部24が係止することにより、フロントホルダ21は正規係止位置でコネクタハウジング11と係止する。
【0032】
図6(b)及び図6(c)に示すコネクタハウジング11のホルダ係止部16は、フロントホルダ21が正規係止位置でコネクタハウジング11と係止すると、後述するフロントホルダ21の係止突起27及び解除突起28と当接するホルダ係止鉤部17と、フロントホルダ21の係止部24の係止突起27と当接する係止凸部18とを備えている。
【0033】
また、図6(b)及び図6(c)に示すフロントホルダ21の係止部24は、フロントホルダ21が正規係止位置でコネクタハウジング11と係合すると、ホルダ係止鉤部17及び係止凸部18と当接する係止突起27と、ホルダ係止鉤部17と当接し、かつ、コネクタハウジング11とフロントホルダ21に治具51が挿入された際に、治具51の先端部52が当接する解除突起28とを備えている。
【0034】
コネクタハウジング11にフロントホルダ21を挿入すると、図6(c)に示すホルダ係止鉤部17の鉤部傾斜面17aが係止突起27の係止突起側面27aと当接する。さらに、フロントホルダ21を挿入すると、係止突起一側面27aが鉤部傾斜面17aを乗り越えて、ホルダ係止鉤部17の鉤部平坦面17bと係止突起27の係止突起平坦面27bが当接する。また同時に、ホルダ係止鉤部17の鉤部側面17cと係止突起側面27aが当接し、ホルダ係止鉤部17の鉤部突起17dと解除突起28の解除突起側面28aが当接又は近接する。
【0035】
また、コネクタハウジング11にフロントホルダ21を挿入すると、図6(c)に示す係止凸部18の凸部平坦面18aと係止突起27凸部27cが当接し、係止凸部18の凸部側面18bと係止突起27の係止突起他側面27dも当接する。このように、係止凸部18の凸部平坦面18aと係止突起27の係止突起凸部27cが当接することにより、フロントホルダ21がコネクタハウジング11の端子収容室15側(図1参照)に挿入されることを規制する。これにより、フロントホルダ21を正規係止位置で係止することができる。
【0036】
コネクタハウジング11のホルダ係止鉤部17は、こじり防止突起14側に撓み変形するように所定の弾性を備えた部材(鉤部傾斜面17aが係止突起側面27aを乗り越えて、ホルダ係止鉤部17の鉤部平坦面17bと係止突起27の係止突起平坦面27bが当接することができる程度の弾性を備えた部材;合成樹脂等の材料)で構成してもよい。
【0037】
また、フロントホルダ21の係止突起27は、こじり防止突起14側に対向する側に撓み変形するように所定の弾性を備えた部材(係止突起側面27aが鉤部傾斜面17aを乗り越えて、ホルダ係止鉤部17の鉤部平坦面17bと係止突起27の係止突起平坦面27bが当接することができる程度の弾性を備えた部材;合成樹脂等の材料)で構成してもよい。
【0038】
次に、コネクタハウジング11に係止したフロントホルダ21を係止解除する場合について説明する。
【0039】
コネクタハウジング11に係止したフロントホルダ21を係止解除する際、図4から図6に示すように、フロントホルダ21の治具挿入孔26に治具51の先端部52を挿入する。
【0040】
治具51は、後述する解除突起28と係止する先端部52と、先端部に対して略直角に設けられた棒状部53と、手で握ることにより治具挿入孔26に治具51を挿入する握り部54とを有している。
【0041】
フロントホルダ21の治具挿入孔26は、図4に示すように、こじり防止突起挿入孔25と連続して設けられている。つまり、こじり防止突起挿入孔25は、フロントホルダ21の下端(フロントホルダ21の下側)26aから上端26b(フロントホルダ21の上側)へ向かって直線状に設けられ、治具挿入孔はこじり防止突起挿入孔25に対して略直角に設けられている。治具挿入孔26は、連結部29に連続する左端26aからフロントホルダ21の中央へ向かって延びている右端26bを有している。
【0042】
このため、治具挿入孔26に治具51の先端部52を挿入する際、治具51の先端部52(後述する先端平坦部52aの先端)をフロントホルダ21の中央へ向けて挿入することにより、容易に治具51を治具挿入孔26に挿入することができる、従って、治具51の先端部52でフロントホルダ21やコネクタハウジング11の端子収容室15に収容した端子金具41等を傷つけることがない。また、治具挿入孔26により、治具51を係止解除位置(図6(b)参照)へ容易に導くことができる。
【0043】
図6(b)に示すように、治具51を係止解除位置へ挿入すると、図6(c)に示すように、フロントホルダ21の係止突起27の近傍に設けられた解除突起28は、解除平坦面28bを有しているため、治具51の先端部52の先端平坦部52aが解除平坦面28bと当接する。また同時に、先端部52の先端側部52bと解除側部28cが当接又は近接することにより、治具51を解除位置に係止する。
【0044】
治具51を解除位置に係止すると、治具51の棒状部53は、こじり防止突起14と当接する。こじり防止突起14は、図4から図6に示す矢印X方向と平行に突出しているため、治具51がこじり防止突起14と当接した状態で握り部54を矢印X方向に引くことにより、コネクタハウジング11に形成したフロントホルダ21を係止解除することが可能となる。
【0045】
このように、治具51を解除位置に係止すると、治具51の棒状部53は、こじり防止突起14と当接するため、治具51の握り部54を図4から図6に示す矢印X方向に引く際に、フロントホルダ21の表面側に対して垂直に治具51を引くことができる。このため、解除位置から外れて治具51を引くこと、又は、フロントホルダ21の表面側に対して所定の角度を有して(図4から図6に示す矢印X方向ではない方向に)治具51を引くことに伴うフロントホルダ21や端子金具41等の破損や傷を付けることを防止することができる。
【0046】
また、図6(b)に示すように、治具挿入孔26は、係止部24の近傍に設けられているため、係止部24から治具挿入孔26(解除突起28)までの距離を短くすることができる。従って、係止部24から治具挿入孔26(解除突起28)までの距離が長い場合と比較して、治具51を引く力が少なくても容易にコネクタハウジング11に係止したフロントホルダ21を係止解除することができるため、係止解除をする作業性を向上することができる。
【0047】
次に、図7から図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るホルダ構造について説明する。はじめに、図7から図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの構造について説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のコネクタハウジングの正面図である。図8は、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの正面図である。図9(a)は、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダの正面図である。図9(b)は、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダのC−C断面図である。図9(c)は、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダのD−D断面図である。
【0048】
図7から図9に示すように、本発明の第2実施形態に係るホルダ係止構造のフロントホルダ61は、コネクタハウジング11に挿入されるホルダ本体62と、コネクタハウジング11の端子収容室15内に収容された端子金具41(図1参照)の抜けを防止する端子抜け止め凸部23(図9(c)参照)と、コネクタハウジング11のホルダ係止部16に係止する係止部24(図9(b)参照)とを備えている。
【0049】
図7及び図8に示すように、ホルダ本体62は、コネクタハウジング11のこじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔(リブ挿入孔)65と、フロントホルダ61をコネクタハウジング11から外す治具51(図1参照)が挿入される治具挿入孔66が設けられている。
【0050】
図7及び図8に示すように、こじり防止突起挿入孔65と治具挿入孔66は、連続して設けられている。こじり防止突起挿入孔65に挿入されるコネクタハウジング11のこじり防止突起14は、嵌合フード部13(図1参照)の一内面(フロントホルダ61を係止する側に対向する側の面)から連続して設けられ、こじり防止突起挿入孔65とこじり防止突起挿入孔65に連続する治具挿入孔66も嵌合フード部13の一内面側(フロントホルダ61を係止する側に対向する側の面)に開口して設けられている。
【0051】
また、こじり防止突起挿入孔65は、フロントホルダ61の下端65a(フロントホルダ21の下側)から上端65b(フロントホルダ21の上側)へ向かって直線状に設けられている。また、こじり防止突起挿入孔25と治具挿入孔26が連結している連結部29は、治具挿入孔26の左端26a側に設けられ、左端26aと連続する右端26bは、フロントホルダ21の中央へ向けて直線上に設けられている(図8参照)。
【0052】
また、治具挿入孔66は、フロントホルダ61と連結し、治具挿入孔66の左端66aから右端66bは、フロントホルダ61の上側に開口して設けられている。つまり、こじり防止突起挿入孔65と治具挿入孔66は、フロントホルダ61に外周から一体に形成された溝状を有している。そして、こじり防止突起挿入孔25と治具挿入孔26が連結している連結部69は、治具挿入孔66の左端66a側に設けられ、左端66aと連続する右端66bは、フロントホルダ61の中央へ向けて直線上に設けられている(図8参照)。
【0053】
図9(c)に示すように、端子抜け止め凸部23は、可撓性を有しており、端子金具41(図1参照)が挿入されると、こじり防止突起挿入孔65側(フロントホルダ61の下側)に撓み変形し、コネクタハウジング11の端子収容室15に収容された端子金具41がコネクタハウジング11から抜けるのを防止する。
【0054】
次に、図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るコネクタハウジングとフロントホルダの係止解除について説明する。
【0055】
コネクタハウジング11に係止したフロントホルダ61を係止解除する際、図9(a)に示すフロントホルダ61の治具挿入孔66に治具51の先端部52(図6(b)参照)を挿入する。
【0056】
フロントホルダ21の治具挿入孔66は、図9(a)に示すように、こじり防止突起挿入孔65と連続して設けられている。つまり、こじり防止突起挿入孔65は、フロントホルダ61の下端(フロントホルダ21の下側)65aから上端65b(フロントホルダ21の上側)へ向かって直線状に設けられ、治具挿入孔はこじり防止突起挿入孔25に対して略直角に設けられている。治具挿入孔66は、連結部69に連続する左端66aからフロントホルダ61の中央へ向かって延びている右端26bを有している。
【0057】
また、こじり防止突起挿入孔65と治具挿入孔66は、フロントホルダ61に外周から一体に形成された溝状を有している。このため、こじり防止突起挿入孔65と治具挿入孔66の連結部69は、治具51を挿入する際のガイドとして利用することができる。
【0058】
また、治具挿入孔66に治具51の先端部52を挿入する際、連結部69はガイドとして利用することができるため、容易に治具51を治具挿入孔26に挿入することができる、従って、治具51の先端部52でフロントホルダ21やコネクタハウジング11の端子収容室15に収容した端子金具41等を傷つけることがない。また、連結部69により、治具51を係止解除位置(図6(b)参照)へ容易に導くことができる。
【0059】
治具51を治具挿入孔66に挿入して解除位置に係止すると(図6(b)参照)、治具51の握り部54を所定の方向(図6(b)の矢印X方向)に引くことにより、コネクタハウジング11に形成したフロントホルダ21を係止解除することが可能となる。
【0060】
このように、治具51を解除位置に係止すると、治具51の棒状部53は、こじり防止突起14と当接するため、治具51を図4から図6に示す矢印X方向に引く際に、フロントホルダ61の表面側に対して垂直に治具51を引くことができる。このため、解除位置から外れて治具51を引くこと、又は、フロントホルダ61の表面側に対して所定の角度を有して(図4から図6に示す矢印X方向ではない方向に)治具51を引くことに伴うフロントホルダ61や端子金具41等の破損や傷を付けることを防止することができる。
【0061】
また、図9(a)及び図9(b)に示すように、治具挿入孔66は、係止部24の近傍に設けられているため、係止部24から治具挿入孔66(解除突起28)までの距離を短くすることができる。従って、係止部24から治具挿入孔66(解除突起28)までの距離が長い場合と比較して、治具51を引く力が少なくても容易にコネクタハウジング11に係止したフロントホルダ61を係止解除することができるため、係止解除をする作業性を向上することができる。
【0062】
このようにして、本発明の実施形態に係るホルダ係止構造1、100は、相手コネクタが挿入・嵌合する嵌合フード部13内に端子のこじりを防止するこじり防止突起14が突出するとともに端子金具41が収容されるコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11の嵌合フード部13内に挿入されてコネクタハウジング11に係止されて端子金具41の抜けを阻止し、こじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔25、65とフロントホルダ21、61をコネクタハウジング11から外す治具51が挿入される治具挿入孔26、66が設けられたフロントホルダ21、61とを備え、コネクタハウジング11のホルダ係止部16にフロントホルダ21、61を係止するホルダ係止構造1であって、こじり防止突起挿入孔25、65と治具挿入孔26、66とを連続して設けた。
【0063】
また、本発明の実施形態に係るホルダ係止構造1、100は、こじり防止突起14が嵌合フード部13の一内面から連続して設けられ、フロントホルダ21、61のこじり防止突起挿入孔25、65とこれに連続する治具挿入孔26、66は嵌合フード部13の一内面側に開口している。
【0064】
さらに、本発明の実施形態に係るホルダ係止構造1、100は、コネクタハウジング11は、端子金具41が収容される端子収容室15と、フロントホルダ21、61が係止されるホルダ係止部16とが設けられたコネクタ本体部12と、このコネクタ本体部12と一体に形成されて端子収容室15内に収容された端子金具41の電線接続部43が突出する嵌合フード部13と、コネクタ本体部12に一体に形成されて嵌合フード部13内に突設されて嵌合フード部13内に突出した端子金具41のこじりを防止するこじり防止突起14とを備え、フロントホルダ21、61は、こじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔25、65と治具挿入孔26、66が形成されたホルダ本体22、62
と、コネクタハウジング11の端子収容室15内に収容された端子金具41の抜けを阻止する端子抜け止め凸部23と、コネクタハウジング11のホルダ係止部16に係止される係止部24とを備えている。
【0065】
そして、本発明の実施形態に係るホルダ係止構造1、100によれば、こじり防止突起が挿入されるこじり防止突起挿入孔25、65と、フロントホルダ21、61をコネクタハウジング11から外す治具51が挿入される治具挿入孔26、66とを連続して設けたため、別途、治具51を挿入するための孔を設ける必要がない。このため、コネクタハウジング11に治具51を挿入するための孔を設けるためのスペースを確保する必要がなく、コネクタハウジング11の小型化を図ることができるホルダ係止構造1、100を提供することができる。
【0066】
また、本発明の実施形態に係るホルダ係止構造1、100によれば、こじり防止突起14が挿入されるこじり防止突起挿入孔25、65とこれに連続する治具挿入孔26、66は、嵌合フード部13の一内面に開口しているため、治具51を挿入するための孔を別途設ける必要がなく、コネクタハウジング11の小型化を図ることができる。
【0067】
さらに、本発明の実施形態に係るホルダ係止構造1、100によれば、フロントホルダ21、66のホルダ本体22には、こじり防止突起14が挿入される挿入孔25、65と治具挿入孔26、66が形成されているため、治具51を挿入するための孔を別途設ける必要がなく、コネクタハウジング11の小型化を図ることができる。
【0068】
以上、本発明のホルダ係止構造を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0069】
例えば、上述した本発明の実施形態では、こじり防止突起挿入孔25、65は下端25a、65a(フロントホルダ21、61の下側)から上端25b、65b(フロントホルダ21、61の上側)へ向かって直線状に設けられている場合について説明したが、こじり防止突起14の形状に対応する形状に変更することが可能である。
【0070】
また、上述した本発明の実施形態では、連結部29、69は、治具挿入孔26、66の左端26a、66a側に設けられ、左端26a、66aと連続する右端26b、66bは、フロントホルダ21の中央へ向けて設けられている場合について説明したが、こじり防止突起挿入孔25と治具挿入孔26、66は連続して設けられていれば、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、車両用のワイヤーハーネス等の接続に用いられるコネクタハウジングに関し、コネクタハウジングに係止したフロントホルダを係止解除する作業性を向上すると共に、コネクタハウジングの小型化を図る上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 ホルダ係止構造
11 コネクタハウジング
12 コネクタ本体部
13 嵌合フード部
14 こじり防止突起
15 端子収容室
16 ホルダ係止部
21 フロントホルダ
22 ホルダ本体
23 端子抜け止め凸部
24 係止部
25 こじり防止突起挿入孔
26 治具挿入孔
27 係止突起
28 解除突起
41 端子金具
42 接触部
43 電線接続部
51 治具
52 先端部
53 棒状部
54 握り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタが挿入・嵌合する嵌合フード部内に端子のこじりを防止するこじり防止突起が突出するとともに端子金具が収容されるコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの前記嵌合フード部内に挿入されて該コネクタハウジングに係止されて前記端子金具の抜けを阻止し、前記こじり防止突起が挿入されるリブ挿入孔とフロントホルダをコネクタハウジングから外す治具が挿入される治具挿入孔が設けられたフロントホルダとを備え、前記コネクタハウジングのホルダ係止部に前記フロントホルダを係止するホルダ係止構造であって、
前記リブ挿入孔と前記治具挿入孔とを連続して設けたことを特徴とするホルダ係止構造。
【請求項2】
請求項1に記載のホルダ係止構造であって、
前記こじり防止突起が前記嵌合フード部の一内面から連続して設けられ、前記フロントホルダのリブ挿入孔とこれに連続する治具挿入孔は前記嵌合フード部の前記一内面側に開口していることを特徴とするホルダ係止構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のホルダ係止構造であって、
前記コネクタハウジングは、端子金具が収容される端子収容室と、前記フロントホルダが係止されるホルダ係止部とが設けられたコネクタ本体部と、このコネクタ本体部と一体に形成されて前記端子収容室内に収容された前記端子金具の接触部が突出する嵌合フード部と、前記コネクタ本体部に一体に形成されて嵌合フード部内に突設されて嵌合フード部内に突出した端子金具のこじりを防止するこじり防止突起とを備え、
前記フロントホルダは、前記こじり防止突起が挿入される挿入孔と治具挿入孔が形成されたホルダ本体と、前記コネクタハウジングの端子収容室内に収容された端子金具の抜けを阻止する端子抜け止め凸部と、前記コネクタハウジングのホルダ係止部に係止される係止部とを備えていることを特徴とするホルダ係止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−104436(P2012−104436A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253720(P2010−253720)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】