説明

ホログラフィックストレージのための、カチオン重合をサポートするシロキサン化合物を含む光重合可能な媒体

構造式(XII)および(XV)で表される化合物、および該化合物を含む重合可能なホログラフィック記録媒体。構造式(XII)、(XIIA)、および(XV)の変数は、本願において定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2005年10月18日付申請の米国仮出願第60/728,941号の利益を主張する。上記出願の教示の全体が、参照することによりここに組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
光重合可能な材料におけるボリュームフェーズホログラム(volume−phase hologram)形成のための従来技術のプロセスでは、少なくとも1つの重合可能なモノマーまたはオリゴマーと、ポリマーまたはオリゴマーの結合剤との均質な混合物を含むホログラフィック記録媒体内に、信号と参照光の干渉により生じるホログラムとしてデータを保存するが、この重合可能なモノマーまたはオリゴマーは、干渉縞を形成するために使用される放射線に対し感受性があるか、あるいは増感される。干渉縞の照射領域では、モノマーまたはオリゴマーは重合を経て、結合剤の屈折率とは異なる屈折率を有するポリマーを形成する。ポリマーは、体積収縮に起因して、モノマーからの屈折率の変化を呈する。モノマーまたはオリゴマーが照射領域へ拡散し、その結果、結合剤がこれらの領域から化学的分離を起こして非照射領域に集中することにより、モノマーまたはオリゴマーから形成されたポリマーと結合剤との間に空間的隔離が生じ、それが、ホログラムを形成するのに必要な屈折率の変調をもたらす。典型的には、モノマーまたはオリゴマーの重合を完了させ、ホログラムを定着させるために、ホログラフィック露光の後、媒体に対し化学線を用いた結像後のブランケット露光を行う必要がある。異なる角度条件で複数のホログラフィック露光を行うなどにより、ホログラムを共通の場所で多重化する場合も、モノマーまたはオリゴマーの重合を完了させ、ホログラムを定着させるために、媒体に対し化学線を用いた結像後のブランケット露光を行う必要がある。記録での化学反応にカチオン重合が含まれる場合、記録のスケジュールによって記録における十分な全体のフルエンスが提供されれば、そのような定着ステップは必要なかった。
【0003】
体積ホログラムの考えられる1つの重要な使用法は、デジタルデータストレージにある。各ビットのストレージが記録媒体の全体積にわたり広がる1つのホログラムに対応する、体積ホログラムの3次元的性質は、体積ホログラムを大容量デジタルデータストレージにおける使用に好適なものとしている。ビットのグループの符号化と復号化がともに、ページと呼ばれるビットの2次元配列として行われる。同じ体積、または部分的に重複した体積内の共通の場所に複数のページを保存するために、角度、空間角度、シフト、波長、位相符号化、およびそれに関連した方法等、様々な多重化技術が使用される。あるいは、マイクロホログラムの配列を、ほぼマイクロホログラムの厚さ分だけ厚さ方向に離れた層として記録することができるが、各層は、反射ホログラム等、DVD光学ストレージで達成されるのと同程度の密度でビットとして保存されたデータを含んでいる。マイクロホログラムはまた、波長等によって、ある場所で多重化されることができる。
【0004】
書き込みは一回限りだが読み取りは何度でもできる(write−once−read−many:WORM)データストレージアプリケーション用の光重合可能なホログラフィック記録媒体は、理想的には、少なくとも1年の記録前製品寿命、良好な記録感度、高度な光学的均質性(つまり低散乱)、一様な記録特性、安定した画像忠実度、そして、高いダイナミックレンジまたは累積したグレーティングの強度とともに低い体積収縮を示すべきものである。安定した画像忠実度は、情報ストレージのためのアーカイブ製品を有することにとって決定的である。将来信頼性をもってデータを検索することができるためには、信号対雑音比(SNR)、ビット誤り率(BER)、およびブラッグ選択性等のホログラフィック記録属性が、媒体の寿命を通して維持されなければならない。さらに、媒体の物理的属性が維持されなければならない。例えば、情報が記録された媒体に亀裂が入ったり剥離が生じる可能性がなく、好ましくは、増加する散乱や吸収に関連した性質等の光学的性質に変化を呈することがあってはならない。
【0005】
高いダイナミックレンジとともに高い記録感度を達成するために、カチオン開環重合に基づいたホログラフィック記録材料に、拡散性結合剤が使用されている(例えば、米国特許第5,759,721号、欧州特許第1 317 498 B1号および米国特許6,784,300号を参照)。そのような場合、平面波および/またはバイナリデータページ記録の所望の性能属性を達成するために、特定の適性を有する結合剤材料にモノマーを組み合わせる。これらの結合剤は、典型的には、フェニル基やメチル基が直接シロキサン骨格に結合して張り出した、低分子量から中分子量の直鎖シロキサンオリゴマー材料である。
【0006】
ホログラフィック記録材料で使用される、拡散性を有し重合には不活性な結合剤の例は、ポリシロキサンであるが、これは、多種多様なポリシロキサンが利用でき、またそれらのオリゴマーやポリマーの性質がよく文書化されていることに一部起因している。ポリシロキサン結合剤の物理的、光学的、および化学的性質は、例えば、ダイナミックレンジ、記録感度、画像忠実度、光散乱レベル、データの寿命等の属性を含む、記録材料における良好なホログラフィック性能を達成するために調整することができる。該材料に記録されたホログラムの効率は、使用される特定の結合剤に著しく依存する。一般に使用されている結合剤には、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、およびそのオリゴマーが含まれる。例えば、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサンや、その他のペンタフェニルトリメチルシロキサンである。それらの例は、Dow Corning Corporationから、DOW Corning 705およびDOW Corning 710の商標名で市販されており、効率的なホログラムを生成することが知られている。
【0007】
前述の材料を用いたホログラフィック記録の間、モノマーまたはオリゴマーは重合を経て、結合剤の屈折率とは異なる屈折率を有するポリマーを形成する。重合反応の間、モノマーおよび/またはオリゴマーが照射領域へ拡散し、その結果結合剤がこれらの領域から化学的分離を起こして非照射領域におけるその濃度が変化することにより、モノマーおよび/またはオリゴマーから形成されたポリマーと結合剤との間に空間的隔離が生じ、それにより、ホログラムを形成するのに必要な屈折率の変調がもたらされる。化学的分離と、結果生じる屈折率の変調は、主として、記録材料成分のマトリクス中の重合における、反応部分の分子量の増加、および形成されたポリマーと結合剤との間の屈折率の違いによるものである。分子量が増加すると、熱力学的な化学ポテンシャルの勾配に一部起因して、拡散性結合剤がその特定の領域から「押し出される」ようになる。同時に、分子量の増加は、記録材料中の他の成分に対する結合剤の溶解パラメータに影響を与える可能性がある。この物理化学的変化は、ホログラフィック材料からの拡散性成分の部分的浸出に作用する可能性があり、これは、ホログラム形成に関与する空間的分離に影響を与える可能性があり、また、基板への接着の強さ等、材料と基板との相互作用を不安定化する場合がある。
【0008】
記録材料からの拡散性結合剤の浸出がわずかであれば、記録されたホログラムの信頼性への影響は小さいが、浸出が著しいと、記録材料の機械的性質や、材料を挟み込む基板との界面の性質に関連して、多くの信頼性の問題につながる。第一に、浸出は、記録材料からの媒体基板の剥離を引き起こす可能性がある。さらに、結合剤が記録材料から浸出すると、元々結合剤により膨潤または吸収された重合領域は脆くなり、亀裂が発生、形成する可能性がある。結合剤が欠損すると、アーカイブを目的とした情報のホログラム記録にとって壊滅的結果となるだろう。
【0009】
高分子量で高粘度の結合剤を使用することにより亀裂を軽減することができるが、結合剤材料はまた、材料が低散乱性を呈するように、記録材料の他の成分と十分な適合性がなければならない。例えば、結合剤としてポリ(フェニルメチルシロキサン)(Dow Corning 710)を使用して作成した記録材料は、亀裂発生の可能性が大幅に低下され、また浸出の発生もごくわずかである。しかし、Dow Corning 710を含む記録材料からのバルク散乱は、Dow Corning 705等のより低分子量の結合剤で作成したものよりも少なくとも一桁大きい。
【0010】
発明の開示
本発明の結合剤を含む記録材料は、実質的に該結合剤の浸出がなく、これらの該結合剤は高い屈折率を有し、拡散性を有し、カチオン開環重合(Cationic Ring Opening Polymerization:CROP)に適合し、CROPホログラフィック記録材料に使用されるモノマーおよび/またはオリゴマーとの混和性を有するため、本発明の結合剤は、これまで知られている結合剤を含むホログラフィック記録材料の前述の制限を克服することが分かった。また、これらの該結合剤は、空間的および化学的分離が主として重合中の分子量の増加によりもたらされるように、また、記録工程の間、および媒体の予想寿命の間、分離されたドメインが熱力学的安定性を維持するように、ホログラフィック記録工程中の混合の有利な熱力学的エンタルピーを維持することが分かった。さらに、本発明の結合剤を含む記録材料は、材料が25℃から110℃の間の温度まで加熱された時に、該結合剤の浸出が実質的にない状態を維持することが分かった。
【0011】
ある実施形態において、本発明は、構造式(XII)で表される化合物である。


式(XII)中、
は、各発生において、独立して、共有結であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−であり、
a1およびRb1は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル、または任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
sは、0、または1から8までの整数である。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、構造式(XV)で表される化合物である。


式(XV)中、
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルまたは任意に置換されたアリールであり、
は、各発生において、独立して、共有結であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−であり、
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
kは、3から6の整数であり、
sは、0、または1から8までの整数である。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、重合可能な媒体であり、a)化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、b)特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、c)化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、d)式(XII)または(XV)の化合物のいずれかと、を含む。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、ホログラフィック記録媒体であり、a)化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、b)特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、c)化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、d)式(XII)または(XV)の化合物のいずれかの結合剤と、を含む。ホログラフィック記録媒体(HRM)は、典型的には、前記モノマーまたはオリゴマーから形成されたポリマーからの、前記結合剤の化学的分離および空間的隔離を特徴とし、これにより前記ホログラフィック記録媒体内での屈折率が変調される。
他の実施形態において、本発明は、ホログラフィック記録媒体内にホログラムを記録する方法であり、前記ホログラフィック記録媒体は、a)化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、b)特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、c)化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、d)式(XII)または(XV)の化合物のいずれかの結合剤と、を含む。この方法は、化学線に曝されると酸を生成する化合物が感受性のある、コヒーレントな化学線の参照波と、該コヒーレントな化学線の物体波とを前記媒体内に通過させ、それにより前記媒体内に干渉縞を形成し前記媒体内にホログラムを記録するステップを含む。
【0015】
前述の事項は、添付の図面に図示されるように、以下に続く本発明の例示的な実施形態のより具体的な説明から明らかになるが、異なる図全体を通し、同等の参照文字は同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の実施形態を図示することに焦点が置かれている。
【0016】
発明の詳細な説明
以下、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0017】
本発明は、ホログラフィックデータストレージ用の記録媒体に使用されるもの等の、結合剤または拡散性成分を対象とする。本発明の結合剤は、カチオン重合をサポートすること、さらに、該結合剤は、カチオン重合を起こす典型的なエポキシドモノマーに対する値よりも高い屈折率を有することが分かった。さらに、本発明の結合剤は、エポキシドモノマーに加え、該モノマーから重合したエポキシド構造との分子相溶性に有利な、該モノマーとの混合のエンタルピーを呈する分子成分を有することが分かった。本発明の結合剤は、約200g/モルエポキシドといった、官能基当量が低いエポキシドモノマーだけでなく、少なくとも300g/モルエポキシドの官能基当量を持つもの等、多機能性を有するものとの該有利な分子相溶性を示すが、これらは、欧州特許第1 317 498 B1号および米国特許第6,784,300号の対象であり、これらの教示は本願に組み入れられる。
【0018】
さらに、本発明の結合剤は、カチオン重合を起こすエポキシドモノマーを含むホログラフィック記録媒体の成分となることができ、また該材料の体積散乱は、記録前および記録後双方の材料の状態において低いことが分かった。また、ホログラフィック記録材料における成分としての本発明の結合剤は、これらの結合剤が浸出しないような、ホログラフィック記録媒体の信頼性および堅牢性に有利な分子アーキテクチャを有することが分かった。加えて、該結合剤は、モノマーの実質的な重合の後でも、ホログラフィック材料に対する実質的な可溶性および実質的な相溶性を維持する。さらに、本発明の結合剤を含む本発明のホログラフィック記録材料は、材料が高温に曝された場合に、亀裂および/または剥離に対し実質的に耐性であることが分かった。本発明の本実施形態の結合剤は、エポキシドモノマーおよび他の反応基系を有する化合物を含む材料における粘着性を増加させ、それにより該材料の堅牢性および信頼性を向上させる。本発明の結合剤は、好ましくは、エポキシドモノマーおよび/または他の反応基系を有する化合物を含むホログラフィック記録材料中に「拡散性」である。
【0019】
本発明の一実施形態は、カチオン重合をサポートすることができる本発明の結合剤と、化学線に曝されると酸を生成することができる酸発生剤と、カチオン重合を起こすことができ、エポキシ当量が約300(グラム/モルエポキシド)を超える多機能性エポキシドモノマーと、を含むホログラフィック記録媒体である。以下に説明するように、ある酸発生剤はまた、増感剤を必要とする。好ましくは、ホログラフィック記録媒体は、カチオン重合を起こすことができる、二官能性および/または単官能性エポキシドモノマーをさらに含む。任意で、該単官能性および二官能性モノマーは、エポキシ当量が約225(グラム/モルエポキシド)未満である。本発明のホログラフィック媒体は、好ましくは、本質的にフリーラジカル重合を起こすことができる材料を含まない。
【0020】
本発明の他の実施形態は、カチオン重合をサポートすることができる本発明の結合剤と、化学線に曝されると酸を生成することができる酸発生剤と、カチオン重合を起こすことができ、エポキシ当量が約300グラム/モルエポキシドを超える多機能性エポキシドモノマーと、を含む重合可能な混合物である。好ましくは、該混合物は、カチオン重合を起こすことができ、好ましくはエポキシ当量が約300(グラム/モルエポキシド)未満である二官能性および/または単官能性エポキシドモノマーをさらに含む。該混合物は、以下に説明する他の成分を加えることにより、本発明のホログラフィック記録材料の作成に使用することができる。
【0021】
本発明のさらに他の実施形態は、媒体が使用できるようになる前に除去する必要がある揮発性溶媒を用いることなく、本発明のホログラフィック記録媒体を作成する方法である。好ましくは、媒体は、本質的にそのような溶媒を含まず、例えば、99重量%溶媒を含まないか、99.9重量%溶媒を含まないか、または99.00重量%溶媒を含まない。本願において、揮発性溶媒とは、大気圧下で約200℃未満の沸点を有する溶媒である。揮発性溶媒の例には、アセトン、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、メタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエン等が含まれる。従来の技術において、揮発性溶媒は、ホログラフィック媒体の配合物の作成を補助するために使用され、これらの溶媒はその後最終的な媒体から除去される。本願で説明される方法は、本発明の結合剤と、二官能性および/または多機能性エポキシドモノマーおよび酸発生剤を組み合わせるステップを含む。多機能性エポキシドモノマーは、好ましくは、エポキシ当量が約300グラム/モルエポキシドを超え、より好ましくは、エポキシ当量が約300から約700グラム/モルエポキシドの間である。存在する場合、増感剤と二官能性および/または多機能性エポキシドモノマーもまた組み合わされる。好ましくは、結合剤、エポキシ当量が約300グラム/モルエポキシドを超える多機能性エポキシドモノマー、また存在する場合は、単官能性および二官能性モノマーが、他の成分を加える前に最初に組み合わされる。あるいは、結合剤と組み合わせる前に、増感剤をモノマーに溶解させてもよい。
これらの発見に基き、新規な結合剤、新規なホログラフィック記録材料、およびこれらの新規なホログラフィック記録材料を作成する方法を本願で開示する。
【0022】
用語の定義
本願で使用される「脂肪族」という用語は、炭素および水素のみから構成され、任意に、二重結合および/または三重結合等の不飽和部分を1つ以上含む、非芳香族基を意味する。脂肪族基は、直鎖または分岐鎖であってもよい。脂肪族基中の1つ以上の炭素原子は、任意に、Oまたはシリコーン系で置換されていてもよい。
【0023】
本願で使用される「アルキル」という用語は、他に指定されていない限り、直鎖または分岐鎖の飽和一価炭化水素ラジカルを意味し、典型的にはC1〜C12、好ましくはC1〜C6である。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが含まれるが、これらに限定されない。アルキルは、−OH、−SH、ハロゲン、アミノ、シアノ、C1〜C12アルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12ハロアルコキシ、またはC1〜C12アルキルスルファニルで任意に置換されていてもよい。ある実施形態では、アルキルは、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、またはC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されていてもよい。
【0024】
本願で使用される「シクロアルキル」という用語は、飽和環状炭化水素、すなわち、すべての還原子が炭素である化合物を意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、シクロアルキルは、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、またはC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されていてもよい。
【0025】
本願で使用される「ハロアルキル」には、1つ以上のF、Cl、Br、またはIで置換されたアルキル(アルキルは上に定義)が含まれる。
【0026】
本願で使用される「アルコキシ」という用語は、「アルキル−O−」基(アルキルは上に定義)を意味する。アルコキシ基の例には、メトキシまたはエトキシ基が含まれる。
【0027】
本願で使用される「アリール」という用語は、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれるが、これらに限定されない。アリール基の例には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニル等、任意に置換された基が含まれる。アリールに対する好適な置換基の例には、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケンもしくはC2〜C12アルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、アリールオキシ、アリールアミノまたはアリール基が含まれる。
【0028】
本願で使用される「アリールオキシ」という用語は、「アリール−O−」基(アリールは上に定義)を意味する。アリールオキシ基の例には、フェノキシまたはナフトキシが含まれる。
【0029】
本願で使用されるアリールアミンという用語は、「アリール−NH−」、「アリール−N(アルキル)−」、または「(アリール)−N−」基(アリールおよびアルキルは上に定義)を意味する。
【0030】
本願で使用される「ヘテロアリール」という用語は、1つ以上のヘテロ原子(O、S、またはN)を含む芳香族基を指す。ヘテロアリール基は、単環式でも多環式でもよく、例えば、1つ以上の炭素環式芳香族基または単環式のヘテロアリール基に融合した単環式へテロアリール環であってもよい。本発明のヘテロアリール基はまた、1つ以上のオキソ部分で置換された環系を含むことができる。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
前述のヘテロアリール基は、Cに結合したものでもNに結合したものでもよい(そのような結合が可能な場合)。例えば、ピロールから派生した基は、ピロール−1−イル(Nに結合)であっても、ピロール−3−イル(Cに結合)であってもよい。
【0032】
ヘテロアリールの好適な置換基は、アリール基に関して上に定義した通りである。
【0033】
本願で使用される「アルキレン」という用語は、化合物の残りの部分への2つの結合点を有するアルキル基を指す。アルキレン基の制限されない例には、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、n−プロピレン(−CH2CH2CH2−)、イソプロピレン(−CH2CH(CH3)−)等が含まれる。アルキレン基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0034】
本願で使用される「シクロアルキレン」という用語は、化合物の残りの部分への2つの結合点を有する飽和環状炭化水素(すなわちすべての環原子が炭素である)を意味する。
【0035】
本願で使用される「アリールアルキレン」という用語は、アルキレンまたはシクロアルキレン基に結合したアリール基(アリール、アルキレンおよびシクロアルキレンは上に定義)を意味する。アリールアルキレンにおいて炭素原子の数を示す場合、その数字は、その部分のアルキレン部を指す。例えば、C1〜C12アリールアルキレンは、C1〜C12アルキレンまたはシクロアルキレン基に結合したアリール基を意味する。
【0036】
本願で使用される「アルケニル」という用語は、2個から12個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの炭素間二重結合を有する、直鎖または分岐鎖の飽和非環状炭化水素を意味する。アルケニル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0037】
本願で使用される「アルキニル」という用語は、2個から12個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの炭素間三重結合を有する、直鎖または分岐鎖の飽和非環状炭化水素を意味する。アルキニル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0038】
アルキル、アルキレン、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアリールアルキレン基のアルキレン部の好適な置換基には、1)エポキシドのカチオン重合を誘発または開始させる条件下で反応しない、2)酸により開始するエポキシドのカチオン重合に干渉しない、および3)エポキシドのカチオン重合中に形成されたポリマーからの、本発明の結合剤の化学的分離に干渉しない、あらゆる置換基が含まれる。そのような置換基の例には、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシが含まれる。
【0039】
アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルケニル基のアリール部の好適な置換基には、1)エポキシドのカチオン重合を誘発または開始させる条件下で反応しない、2)酸により開始するエポキシドのカチオン重合に干渉しない、および3)エポキシドのカチオン重合中に形成されたポリマーからの、本発明の結合剤の化学的分離に干渉しない、あらゆる置換基が含まれる。アリールまたはヘテロアリールは、同一または異なっていてもよい1つ以上の置換基を有していてもよい。
【0040】
アリール、ヘテロアリール、または非芳香族複素環基の置換可能な炭素原子の好適な置換基のさらなる例には、−OH、ハロゲン(−F、−Cl、−Br、および−I)、−R、−OR、−CHR、−CHOR、−CHCHORが含まれるが、これらに限定されない。Rはそれぞれ、独立して、アルキル基である。
【0041】
ある実施形態では、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルケニルのアリール部の置換可能な炭素原子の好適な置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、アリールオキシ基、アリールアミノ基、およびC1〜C12ハロアルキルを含む。
【0042】
さらに、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルキレン、ヘテロシクリル、ならびに、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキル、およびヘテロアラルキル基のいかなる飽和部分も、=O、=S、=N−Rで置換されていてもよい。
【0043】
本発明の結合剤
現在新しい2つのクラスのホログラム記録材料用拡散性結合剤が発見されている。例として、拡散性結合剤は、結合剤成分の拡散型の挙動により、ホログラフィック記録の間重合するモノマーまたはオリゴマーから分離する。結合剤の1つのタイプは、複数の腕(少なくとも3つの腕)を備えたシロキサンコアの星型構造を有し、それぞれの腕の末端は屈折率が高い部分であり、そのような腕を4つ備えたシロキサンコアの星型構造が構造式(I)に示されている。それぞれの腕の末端の屈折率は、少なくとも1.545であり、より好ましくは1,565であり、さらに好ましくは、1.585となるべきである。このように、一実施形態では、本発明の結合剤は、少なくとも3つの高屈折率部分を備えたシロキサンコアを有する。本願で使用される「高屈折率部分で終端された複数の腕を持つシロキサンコア」という用語は、屈折率が少なくとも1.550、好ましくは少なくとも1.600の物質の組成を指す。好ましい実施形態では、腕の末端としてシロキサンコアに結合する部分の屈折率は、好ましくは少なくとも約1.545、より好ましくは少なくとも1.565、さらに好ましくは少なくとも1.585である。本発明の他の結合剤は、構造式(II)(式中、nは環状構造におけるメチルシロキサン単位の数である)に示されるように、芳香族部分が張り出した環状メチルシロキサンコアを有する。環状シロキサンコアは、少なくとも3つの置換メチルシロキサン単位を含む。本発明の環状シロキサンコアは、好ましくは、少なくとも4つの繰り返し単位から成り、より好ましくは、シロキサンコアは、n=3から約n=6の繰り返し単位の環サイズの混合を含む。

【0044】
一実施形態では、構造式(II)においてArで示される芳香族部分は、Siへの結合を介して、環状シロキサンコアに直接結合されている。好ましい実施形態では、芳香族基は、以下の構造式(III)に示される架橋基Xを介して、環状シロキサンコアに結合されている。架橋基Xは、好ましくは、脂肪族基系−(CH−または置換された脂肪族基系−(CHR)−を含むアルキル基(式中、mは正の整数であり、Rは、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキルまたは芳香族基系(Ar)であり、または、該脂肪族基系−(CH−または置換された脂肪族基系−(CHR)−は、置換もしくは非置換のアルキレンまたはシクロアルキレン基系により置き換えられてもよい)である。さらに、架橋基は、アリールアセチレンまたはアリールアルキルアセチレンと環状または複数腕のコアとの反応により得られるような、アルケニル基であってもよい。
【0045】
脂肪族基は、完全に飽和した、または1つ以上の不飽和部分を含む、直鎖、分岐鎖または環状の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖または分岐鎖の脂肪族基は、1個から約12個、好ましくは、1個から約8個の炭素原子を有し、環状脂肪族基は、3個から約10個、好ましくは、3個から約8個の炭素原子を有する。脂肪族基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチル、または3個から約8個の炭素原子を有するシクロアルキル基である。一実施形態では、脂肪族基(例として、アルキレンもしくはアルケニル基、またはアリール基、炭素環式もしくはヘテロアリール基を含む)に対する好適な置換基は、1)エポキシドのカチオン重合を誘発または開始させる条件下で反応しない、2)酸により開始するエポキシドのカチオン重合に干渉しない、および3)エポキシドのカチオン重合中に形成されたポリマーからの、本発明の結合剤の化学的分離に干渉しない(ただし、置換基が、エポキシド部分、またはエポキシドのカチオン重合に好適な条件下で反応するのに好適な他の官能基系を含む場合を除く)ものである。
【0046】
一実施形態において、構造式(I)の波線で示され、また構造式(XII)および(III)において独立してそれぞれXおよびXで示された架橋基は、「不活性な架橋基」であり、ここで不活性な架橋基とは、1)エポキシドのカチオン重合を誘発または開始させる条件下で反応しない、2)酸により開始するエポキシドのカチオン重合に干渉しない、および3)エポキシドのカチオン重合中に形成されたポリマーからの、本発明の結合剤の化学的分離に干渉しない部分である。
【0047】
好ましくは、本発明の結合剤のアルキレン基系における繰り返しmは、成分の混和性に関し、拡散性化合物の屈折率を大幅に減少させることなく、張り出した芳香族部分の有利な挙動をもたらすのに十分大きい。あるいは、架橋基は、O(エーテル)またはSi等のヘテロ原子を含むことができる。後者の場合、Si原子は、脂肪族基、アリール、またはその両方の基の混合等、多数の基で置換されることができる。例えば、-CH-CHSi(CH−Ar、−CH-CHSi(Ph)−Arまたは−CHCHSi(CH)Ph−Ar(式中Arは芳香族基系、Phはフェニル基である)等である。前者の場合、架橋基は、メチルオキシ−CH−O、エチルオキシ−(CH−O、プロピルオキシ−(CH−O−、ブチルオキシ−(CH−O等、エーテル部分を含むものが可能である。
【0048】

【0049】
好ましくは、環状シロキサンコアの単位に対する1つの置換基、または該コアの単位へのリンカー基は、置換または非置換のアリール基である。アリール基は、置換または非置換の、フェニル、ビフェニル、ナフチル、またはフェナントリル基系、またはそれらの混合であってもよい。これらに限定されないが、アントラセニルまたはピレニル等のより大きなアリール基もまた可能である。
【0050】
これにしたがい、一実施形態では、本発明は式(XII)の結合剤である。


式(XII)中の変数に対する値、および好ましい値は、以下に定義され、さらに後の段落にも記載される。
【0051】
好ましくは、式(XII)において、置換基Ar、XならびにRa1およびRb1は、上述の化合物の屈折率が1.550以上となるように選択され、および/または置換基Ar、XならびにRa1およびRb1は、上述の化合物の粘度が175センチストークス以上となるように選択される。
【0052】
は、各発生において、独立して、共有結であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−である。好ましくは、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である。より好ましくは、Xは−(CHR’)−であり、式中、nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。さらに好ましくは、R’は、各発生において、独立して、水素またはC1〜C12アルキルである。一実施形態では、Xは−(CH−または−(CH−である。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)について説明した通りである。
【0053】
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンである。好ましくは、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンである。より好ましくは、YはC1〜C12アルキレンである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)について説明した通りである。
【0054】
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである。好ましくは、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルで置換された、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)について説明した通りである。
【0055】
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。好ましくは、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される。より好ましくは、Arは、各発生において、独立して、



、または

である。
【0056】
残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)について説明した通りである。
【0057】
a1およびRb1は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル、または任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。好ましくは、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。より好ましくは、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはフェニルである。さらに好ましくは、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3アルコキシ基で任意に置換された、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)について説明した通りである。
sは、0、または1から8までの整数である。
【0058】
式(XII)の一実施形態では、式(XII)の少なくとも1つの−X−Ar基は、他の−X−Ar基と異なる。好ましくは、構造式(XII)において、少なくとも1つのAr基は、他のAr基と異なる。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)について説明した通りである。
本発明の第1の特定の実施形態は、式(XX)の結合剤である。


式(XX)中、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケンもしくはC2〜C12アルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、aおよびbは、独立して、a+b=4となるような1から3までの正の整数である。変数Ar、X、ならびにRa1およびRb1に対する値、および好ましい値は、式(XII)について上に定義した通りである。
【0059】
式(XII)および(XX)中の変数に対する特定の値の組は、以下の段落に記載される。
【0060】
式(XII)および(XX)中の変数に対する特定の値の第1の組において、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である。一実施形態では、Yは、式(XII)に関して上に定義した通りである。他の実施形態では、Yは、共有結合、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XX)について上に定義した通りである。
【0061】
式(XII)および(XX)中の変数に対する特定の値の第2の組において、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XX)について上に定義した通りである。
【0062】
式(XII)および(XX)中の変数に対する特定の値の第3の組において、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XX)について上に定義した通りである。
【0063】
式(XII)および(XX)中の変数に対する特定の値の第4の組において、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択され、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XX)について上に定義した通りである。
【0064】
式(XII)および(XX)中の変数に対する特定の値の第5の組において、Xは−(CHR’)−であり、式中、nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択され、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XX)について上に定義した通りである。
【0065】
本発明の第2の特定の実施形態は、式(XXII)の結合剤である。


式中、yは2から6の正の整数である。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XX)について説明した通りである。
【0066】
式(XII)および(XXII)中の変数に対する特定の値の第1の組において、Xは−(CHR’)−であり、式中、nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択され、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XXII)について上に定義した通りである。
【0067】
式(XII)および(XXII)中の変数に対する特定の値の第2の組において、Xは−(CHR’)−であり、式中、nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Arは、各発生において、独立して、



、または

である。
【0068】
残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XII)および(XXII)について上に定義した通りである。
【0069】
式(XII)および(XXII)中の変数に対する特定の値の第3の組において、Xは−(CH−または−(CH−であり、yは2または3であり、Ra1およびb1は、各発生において、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはフェニルであり、Arは、各発生において、独立して、



、または

である。
【0070】
さらに他の実施形態において、本発明の結合剤は、構造式(XIIA)で表される化合物である。

【0071】
式(XIIA)において、Xは、Xまたは

であり、X、Ra1、Rb1、およびArに対する値、および好ましい値は、式(XII)、(XX)および(XXII)について上に定義した通りである。式(XIIA)の一実施形態では、式(XIIA)の少なくとも3つの−X−Ar基は、他の−X−Ar基と異なる。好ましくは、構造式(XIIA)において、少なくとも1つのAr基は、他のAr基と異なる。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XIIA)、(XII)、(XX)および(XXII)について説明した通りである。
【0072】
式(XII)の化合物の例は、構造式(XI)で表される。

【0073】
他の実施形態において、本発明は、構造式(XV)で表される化合物である。

【0074】
式(XV)中の変数に対する値、および好ましい値は、以下に定義され、さらに下の段落にも記載される。
【0075】
好ましくは、式(XV)において、置換基Ar、およびX、および変数kの値は、上述の化合物の屈折率が1.550以上となるように、および/または上述の化合物の粘度が175センチストークス以上となるように選択される。
【0076】
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルまたは任意に置換されたアリールである。好ましくは、Rは、各発生において、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで置換されたフェニルである。より好ましくは、Rは、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、またはC1〜C3アルコキシ基で任意に置換された、メチル、エチル、またはフェニルである。
【0077】
は、各発生において、独立して、共有結であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−である。好ましくは、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である。より好ましくは、Xは−(CHR’)−であり、式中、nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。さらに好ましくは、Xは、−(CH−または−(CH−である。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)について説明した通りである。
【0078】
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。より好ましくは、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換される、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される。一実施形態では、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルである。より好ましくは、Arは、各発生において、独立して、



、または

である。
【0079】
さらに好ましくは、Arは、フェニルまたは2−ナフチルまたは3−クロロフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)について説明した通りである。
【0080】
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである。好ましくは、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルで置換された、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)について説明した通りである。
【0081】
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンである。好ましくは、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンである。より好ましくは、YはC1〜C12アルキレンである。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)について説明した通りである。
【0082】
kは、3から6の整数であり、sは、0、または1から8までの整数である。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)について説明した通りである。
【0083】
式(XV)の一実施形態では、式(XV)の少なくとも1つの−X−Ar基は、他の−X−Ar−基と異なる。好ましくは、構造式(XV)において、少なくとも1つのAr基は、他のAr基と異なる。残りの変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)について説明した通りである。
【0084】
本発明の第1の特定の実施形態は、式(XVI)の結合剤である。

【0085】
式(XVI)中、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数である。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義した通りである。
【0086】
式(XV)および(XVI)中の変数に対する特定の値の組は、以下の段落に記載される。
【0087】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第1の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義されている。
【0088】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第2の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンである。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義されている。
【0089】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第3の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、R独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義されている。
【0090】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第4の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義した通りである。
【0091】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第5の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−であり、Yは、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択され、Rは、各発生において、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義されている。
【0092】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第6の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは−(CHR’)−であり、式中nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)2つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)2つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Rは、各発生において、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される。残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義されている。
【0093】
式(XV)および(XVI)の変数に対する値の第7の組において、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数であり、Xは(CHR’)−であり、式中nは1から12であり、R’は、各発生において、独立して、(i)水素、または(ii)2つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または(iii)2つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Rは、各発生において、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルであり、Arは、各発生において、独立して、



、または

である。
【0094】
残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)について上に定義されている。
【0095】
式(XV)の第二の特定の実施形態は、構造式(XVII)で表される結合剤である。

【0096】
式(XVII)の残りの値に対する値、および好ましい値は、式(XV)および(XVI)について上に定義されている。好ましくは、式(XVII)において、yは2から6の正の整数である。
【0097】
本発明の第3の特定の実施形態は、構造式(X)で表される結合剤である。

【0098】
式(X)中の変数に対する値、および好ましい値は、式(XV)、(XVI)および(XVII)について上に定義した通りである。好ましくは、式(X)中、Xは−(CH−である。
【0099】
式(XV)、(XVI)、(XVII)および(X)の変数に対する値の特定の組において、Xは−(CH−または−(CH−であり、Arはフェニルまたは2−ナフチルまたは3−クロロフェニルであり、yは2から6の正の整数である。
【0100】
一実施形態では、本発明はまた、本願で開示される環状結合剤の混合であり、kはそれぞれの結合剤ごとに異なる。例えば、本発明は、式(XV)、(XVI)および(XVII)の化合物の混合であり、変数kの値は、それぞれの化合物ごとに異なる。
【0101】
式(XV)の化合物の例を以下に示す。
【0102】
構造式(I)、(II)および(III)に示されるような本発明の結合剤の芳香族部分は、同一であってもよく(テトラフェニルテトラメティルシクロテトラシロキサン基系またはとトラナフチルプロピル‐テトラメチルシクロテトラシロキサン基系(構造式(IV)参照)等)、あるいは異なっていてもよい(例として、テトラシクロ(d4)シロキサンコア(構造式(V)参照)、または3もしくは5等の他の繰り返し単位数、または異なる繰り返し単位数の組み合わせからなる環状シロキサンコアへの、ナフチル基およびフェニル基の混合等)。

【0103】
好ましい実施形態の拡散性結合剤は、多くの反応経路により得ることができる。ヒドロシリル化反応が、これらの材料を作成するのに便利である。例えば、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンをジフェニルメチルシラン等のアリール置換ヒドロシランと反応させて、構造式(VI)の化合物を作成することができる。

【0104】
あるいは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを1−アリルナフタレン等のアリールアルケンと反応させて、構造式(VII)の結合剤を作成することができる。

【0105】
あるいは、任意に、結合剤材料中の環サイズの分布を得るために、メチルヒドロシクロシロキサン等、比較的明確性の低い開始材料を利用することもまた可能である。所望の物理的性質を与えるために、結合剤の作成にアリール‐アルケン混合物を使用するのもまた望ましい場合がある。例えば、配合における混和性、結合剤の粘度、および結合剤のモル屈折率等の性質を、その時の用途に合わせて調整することができる。
【0106】
あるいは、本発明の拡散性結合剤は、アリールジクロロメチルシランまたはアリールアルキルジクロロメチルシランの加水分解反応によっても作成することができる。加水分解は、直鎖および環状生成物両方の熱力学的な混合を生み出す傾向があり、そのような混合物は、ホログラフィック記録媒体の配合に使用されると、Dow Corning(登録商標) 710および705のシリコーン溶液を使用した場合に比べ、堅牢性が向上することを示している。
【0107】
本発明の本媒体の工程および作成に使用される結合剤は、好ましくは、使用されるモノマーのカチオン重合を阻害せず(例えば、カチオン重合を「サポート」する)、使用されるモノマーとの混和性を有し、形成される重合構造との混和性を有し、重合したモノマーまたはオリゴマーの屈折率とは著しく異なる屈折率を有する(例えば、結合剤の屈折率は、重合したモノマーの屈折率とは、少なくとも0.04、好ましくは少なくとも0.09異なる)。本実施形態の結合剤は、一般の場合のように前述の媒体における粘着性を増加させるために必要であり、また好ましくは「拡散性」である。例として、拡散性結合剤は、結合剤成分の拡散型の挙動により、ホログラフィック記録の間重合するモノマーまたはオリゴマーから分離する。一般に、結合剤は本願で説明される重合工程に不活性でもよく、または任意に、(カチオン重合、フリーラジカル重合または他の好適な重合により)1つ以上の重合事象の間重合してもよい。好ましくは、結合剤は、本願で定義される重合工程に不活性であり、より好ましくは、拡散性である。
【0108】
本発明における使用に好ましいモノマーは、エポキシ官能基を有するシロキサンであり、これは、長期間の保存には一般に安定であるが、急速なカチオン重合を起こすことができる化合物である。例えば、US6,784,300およびEP1 317 498 B1(これらの教示はここに組み入れられる)を参照されたい。
【0109】
本発明の記録媒体に使用される酸発生剤は、化学線に曝されると酸を生成する。本願において、「酸発生剤」またはPAGという用語は、放射線で誘発される酸形成に関与する、媒体の1つまたは複数の成分を指すよう使用される。このように、酸発生剤は、酸を直接生成する単一の化合物のみを含んでもよい。あるいは、酸発生剤は、酸を生成する酸生成成分と、該酸生成成分を特定波長の化学線に感受性を持たせる、一つ以上の増感剤とを含んでもよいが、これについては以下でより詳細に説明する。酸発生剤から生成される酸は、ブレンステッド酸でもルイス酸でもよいが、もちろんこれはモノマーのカチオン重合を誘発するタイプと強さの酸であることを条件とする。酸がブレンステッド酸を生成する場合、この酸は、好ましくはpKが約0より小さい。本媒体において、ジアゾニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウムの塩等の既知の超酸前駆物質を使用することができるが、ヨードニウム塩が一般に好ましい。本媒体においては、ジアリールヨードニウム塩が良好な効果を示すことが分かっており、特定の好ましいジアリールヨードニウム塩は、(5−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートおよびジトリルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0110】
増感剤が全く存在しない場合、ヨードニウム塩は、典型的に、約300nmより下の遠紫外域の放射線に対してのみ感受性があるが、現在、遠紫外線の使用は、ある特定の出力レベルのためには、可視レーザよりも大幅に高価であるため、ホログラムの生成には不都合である。しかし、増感剤がない場合にはヨードニウム塩がほぼ感受性ではない様々な波長の化学線に対しても、様々な増感剤の添加により、該塩が感受性となることができることがよく知られている。特に、ある芳香族炭化水素を使用すると、ヨードニウム塩は可視光線に感受性となることができ、そのタイプの特定の好ましい増感剤は、5,12−ビス(フェニルエチニル)ナフタセンもしくはルブレン、または、例として、WO 2004/059389 A2(その教示はここに組み入れられる)に記載のこれらの増感剤であり、これはさらにスルホニウム塩の増感剤でもある。上記の増感剤により、ヨードニウム塩は、これに限定されないが、アルゴンイオンレーザからの514.5および488nmの放射線、および、ダイオード励起周波数2倍YAGレーザからの532nmの放射線(VOを含む結晶の場合、波長は一般にやや短く、約524〜532nmの間となる)等の可視化学線に感受性となり、これらはともにホログラム生成のための便利な光源となる。好ましくは、ホログラフィック媒体の可視吸収が露光の間大幅に減少するように、増感剤は光退色性である。
【0111】
本発明のホログラフィック記録媒体における酸発生剤、増感剤、結合剤、およびモノマーの割合は、やや幅広く変化することがあり、熟練者は、特定の成分の最適な割合、および使用方法を、経験的に即座に決定することができる。好適な割合の選択における指針は、米国特許第5,759,721号および第6,784,300号に記載されており、これらの教示は、参照することにより本願に組み入れられる。しかし、一般的に、本媒体は、エポキシ当量が好ましくは約300(g/モルエポキシ)を超える多官能性エポキシドモノマーの重量部に対し、約0.25〜約5重量部の単官能性または二官能性のエポキシドを含むことが好ましい。本発明の結合剤とモノマーの溶液は、広範の組成比を有することができ、好ましくは、結合剤約90部に対しモノマーまたはオリゴマー10部(重量比)から、結合剤約10部に対しモノマーまたはオリゴマー90部(重量比)にわたる。媒体は、モノマーの総重量に対し、結合剤約0.167〜約5重量部を含むことが好ましい。
【0112】
本発明の結合剤を含むホログラフィック記録媒体
一実施形態において、本発明は、重合可能な媒体であり、化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、上記の本発明の結合剤とを含む。
【0113】
好ましくは、媒体を化学線に曝し、続いてモノマーまたはオリゴマーが重合した後、モノマーまたはオリゴマーから形成されたポリマーから結合剤が化学的分離および空間的隔離を起こすことで、ホログラフィック記録媒体内での屈折率が調整されるように、結合剤が選択される。本実施形態では、重合可能な媒体は、ホログラフィック記録媒体として用いることができる。
【0114】
混合物を含む、いずれの本発明の結合剤の1つ以上も、本発明の重合可能なホログラフィック記録媒体に使用することができる。
【0115】
好ましくは、本発明の重合可能なホログラフィック記録媒体では、前記結合剤のモル屈折率が1.55より大きい。一実施形態では、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーは、PAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、エポキシドモノマーまたはオリゴマーである。好ましくは、少なくとも1つのエポキシドモノマーまたはオリゴマーは、多官能性エポキシドモノマーまたはオリゴマーである。例えば、少なくとも1つのエポキシドモノマーまたはオリゴマーは、シクロアルケンオキサイドを含む。
【0116】
少なくとも1つの多官能エポキシドモノマーまたはオリゴマーは、約300g/モルエポキシを超えるエポキシ当量のシロキサンを含むことが好ましい。
【0117】
典型的には、本発明の結合剤を含む記録材料のモノマーおよびオリゴマーは、エポキシ官能基を有するシロキサンである。エポキシ基の好ましいタイプは、シクロアルケンオキサイド基、特にシクロヘキセンオキサイド基である。本願では、「多官能性」モノマーまたはオリゴマーは、特定の官能性の少なくとも3つの基、この場合では少なくとも3つのエポキシ基有する化合物と定義される。本願では「多官能性」および「多機能性」は、互いに交換可能に使用される。「二官能性」モノマーまたはオリゴマーは、特定の官能性の2つの基を有する化合物であり、「単官能性」モノマーまたはオリゴマーは、特定の官能性の1つの基を有する化合物である。
【0118】
好適なモノマーおよびオリゴマーは、例えば、米国特許第5,759,721号、米国特許第6,489,065号、米国特許第6,784,300号、米国特許第7,070,886号、および米国特許出願第11/385,979号に記載されている。これらの特許および特許出願の全ての教示が、参照することによりここに組み入れられる。
【0119】
好ましくは、モノマーまたはオリゴマーは、PAGにより生成される酸により開始されるカチオン重合を起こすことができるエポキシドモノマーまたはオリゴマーである。より好ましくは、モノマーまたはオリゴマーは、多官能性エポキシドモノマーまたはオリゴマーである。さらに好ましくは、エポキシドモノマーまたはオリゴマーは、シクロアルケンオキサイドを含む。さらに好ましくは、少なくとも1つの多官能エポキシドモノマーまたはオリゴマーは、約300g/モルエポキシを超えるエポキシ当量のシロキサンを含む。
一般に、本発明での使用に好適なモノマーまたはオリゴマーは、構造式(XXX)で表される。


式(XXX)中、Rは、置換もしくは非置換の脂肪族基、置換もしくは非置換のアリール基、または下記構造式

、および


で表される基である。
【0120】
他の実施形態では、本発明での使用に好適なモノマーまたはオリゴマーは、構造式(XXXII)で表される。


式(XXX)および(XXXII)中、
およびXは、それぞれ独立して、各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
各Rは、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族基、または置換もしくは非置換のアリール基であり、
各Rは、エポキシドで置換された脂肪族基であり、
は、H、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、置換アリール基、置換シロキサン基、非置換シロキサン基、置換ポリシロキサン基、または非置換ポリシロキサン基であり、
各R基は、独立して、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、または置換アリール基であり、
各Rは、R、水素、アルケニル、置換もしくは非置換のC1〜12アルキル、C1〜12シクロアルキル、アリール置換C1〜12アルキルもしくはアリール、または、R−(O−Y−、(R−Si−(O−Si(R−Y−、または(RSi−(O−Si(R−O−であり、
各Rは、独立して、下記構造式で表され、



mは、1、2、3または4であり、
rは、1から10の整数であり、
sは、0、または1から8までの整数である。
【0121】
好適なモノマーおよびオリゴマーの例には、下記構造式で表される化合物が含まれる。



(式中、RはC1〜C6アルキル、好ましくはメチルである。)



(式中、Rは下記式で表される。






(例えば、


および





(例えば、



【0122】
他の実施形態において、本発明は、本発明のホログラフィック記録媒体内にホログラムを記録する方法である。この方法は、化学線に曝されると酸を生成する化合物が感受性のある、コヒーレントな化学線の参照波と、該コヒーレントな化学線の物体波とを前記媒体内に通過させ、それにより前記媒体内に干渉縞を形成し前記媒体内にホログラムを記録するステップを含む。
【0123】
(実施例)
例証としてではあるが、特に好ましい結合剤およびモノマー、ならびに本発明の好ましい媒体において使用される条件および技術の詳細を示すために以下の例を挙げる。
【0124】
実施例1A:アリールアルケンで完全に置換された環状四量体を使用してアリールアルキル‐シクロテトラシロキサンを生成した、本発明の結合剤
2,4,6,8−テトラキス[3−(1−ナフチル)プロピル]−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン

【0125】
オイルバス、マグネチックスターラ、温度計、および窒素バブリング器に連結された25ml滴下ロートを備えた50mlの3NRBフラスコに、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(2.4g、GCにより99.5面積%、IRスペクトルでは2171cm−1にSiHが示された)を添加した。次に1−アリルナフタレン(8.4g)を滴下ロートに添加した。フラスコを窒素でパージし、オイルバス中で〜70℃に加熱した後、TPPP触媒溶液(140μl)をニートのシランに添加し、次に1−アリルナフタレンを滴下により添加した。添加は、〜20分で完了し、その後、容器の温度を100℃まで上げるためにバスの温度をゆっくりと110℃まで上げ、窒素雰囲気下で一晩撹拌を続けた。TLC分析(K5Fシリカ)では、R=0.60のアリルナフタレン、R=0.33の生成物、R=0.22の非常に弱いスポット、そして原点のスポットだけが示された。IRスペクトルでは、2100〜2200cm−1領域にSiHピークが見られず、完全な反応が確認された。
【0126】
〜110℃のオイルバス中で、窒素の噴きつけにより揮発性物質を除去した。次に、粘凋性の油をヘキサン(〜50ml)と混合すると、濁った混合物を形成した。混合物をシリカゲル(Baker 7024、40μ Flash Chromatography Packing)2.0gで処理した。一晩撹拌した後、真空ろ過により混合物をろ過すると、無色透明の溶液を得た。ヘキサンを留去した後、120℃で窒素を噴きつけ微量の揮発性物質を除去した。
【0127】
室温で粘凋性の高い無色透明の油の収率は8.245g(90%)、n20=1.6016(z=30.5)であった。TLC分析は、純粋のものと一致した。
【0128】
この試料に対するGPC分析では、9.349分の保持時間で主要な狭いピーク(98.5面積%)が示され、また、8.924分の保持時間で少量(1.5%)の環状五量体による小さなピークが示された。
【0129】
実施例1Aの結合剤:

【0130】
実施例1b
上で概説した手順に従い、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの代わりに1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンと、テトラキストリフェニルホスフィン白金触媒の代わりに5%Pt担持炭素を使用して、本発明の環状結合剤を作成した。構造式(VIIb)で示される生成物質シクロペンタシロキサンは、屈折率n20=1.6010(z=30)の無色透明の粘凋性の油であった。


【0131】
実施例1C:
上で概説した手順に従い、1−アリルナフタレンの代わりに1−イソプロペニルナフタレンと、テトラキストリフェニルホスフィン白金触媒の代わりに5%Pt担持炭素を使用して、本発明の結合剤を作成した。構造式(VIII)で示される生成物質シクロテトラシロキサンは、屈折率1.6070、z=30.5の無色透明の粘凋性の油であった。

【0132】
実施例2A:
アリールアルケンの混合で置換された環状メチルシロキサン環の混合を含み、アリールアルキル置換基の混合を有するアリールアルキルシクロメチルシロキサンを生成する、本発明の結合剤(下記の例示的な構造式(IX)を参照)。

【0133】
オイルバス、マグネチックスターラ、温度計、および窒素バブリング器に連結された25ml滴下ロートを備えた50mlの3NRBフラスコに、Dow Corning CorporationのMH1109シクロメチルシロキサン(GPCにより、テトラ、ペンタ、およびヘキサ環状物質の混合と同定、IRスペクトルは2171cm−1にSiHを示す)、およびPt/C40mg(Pt含量5%)を添加した。撹拌しながら、反応容器を〜75℃まで加熱した。1−アリルナフタレン(7.00g)および2−ビニルナフタレン(6.42g)からなる溶液を滴下ロートに入れた後、反応容器に少量ずつ添加していった。最初の20%、〜2グラムの後、オイルバスの温度を100℃に上げ、反応温度を95℃とした。ナフタレン混合物の第2の分量を添加すると、若干の発熱反応が生じた。〜30分にわたり溶液の残りを添加しながら、オイルバスの温度を〜120℃に上げた。120℃で3時間後、赤外分析により示されたように、いくらかのSi−Hが変換されずに残った。さらに1.0gの1−アリルナフタレンを反応混合物に添加し、さらに3時間撹拌を続けた。赤外分析およびTLCでは、完全反応が示された。
【0134】
実施例1で述べたように、比例的にヘキサンおよびシリカゲルを増やして反応を進めていくと、屈折率1.6082、z=31.0の無色透明の粘凋性の油を得た。
【0135】
さらに上記で概説した手順に従い、以下の一般構造を有する構造式(X)で示される一連の本発明の「結合剤」を作成した。


式中、nおよびmは、反応に投入するのに使用される正規化されたモル当量であり、Yは、環状メチルシロキサン中の繰り返し単位数である。このタイプの本発明の様々な結合剤を、実例として、異なるAr基系、n/m比およびYの値に対して、また対応する屈折率n20とともに、以下の表に列挙する。
【0136】

【0137】
実施例3:代替の星型形態を用いた、比較のための結合剤
テトラキス[3−(1−ナフチル)プロピルジメチルシロキシ]シラン


オイルバス、マグネチックスターラ、温度計、および窒素バブリング器に連結された25ml滴下ロートを備えた50mlの3NRBフラスコに、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン(3.3g、GCにより97.8面積%、IRスペクトルは2136cm−1にSiHを示す)を添加した。次に1−アリルナフタレン(8.4g)を滴下ロートに添加した。フラスコを窒素でパージし、オイルバス中で〜60℃に加熱した後、TPPP触媒溶液(140μl)をニートのシランに添加し、次に1−アリルナフタレンを滴下により添加した。〜45分で添加を完了し、淡黄色の透明な粘凋性の液体を得た。容器の温度を100℃まで上げるためにバスの温度を110℃に上げ、窒素雰囲気下で一晩撹拌を続けた。
【0138】
翌日測定した試料のIRスペクトルは、SiHピークが極端に弱いかあるいは存在しないことを示している。1639cm−1のIRスペクトルの極めて弱いピークは、C=C伸縮バンドによるものであり、過剰のアリルナフタレンの存在に帰属される。
【0139】
TLC分析は、完全な反応を示しており、生成物のR=0.37(ヘキサン中20%MeCl2)であった。
【0140】
生成物の油をヘキサン(〜100ml、室温で混和)に溶解させ、活性炭(〜1g)とともに〜4時間撹拌した。次に、焼結ガラスロートのセリット充填層でろ過し、固体をヘキサン(〜50ml)で十分に洗浄した。ヘキサンを留去して、ろ液を濃縮し、窒素気流下で過剰のアリルナフタレンを〜120℃の液温で蒸発させた。
【0141】
過剰のアリルナフタレンを除去した後、得られた淡黄色の油をさらにフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製した。これは、溶離液としてヘキサン、固相としてシリカゲル(Baker 7024、40μ Flash Chromatography Packing)を使用し、窒素圧力下(〜5psi)で達成された。カラムにさらに〜150mlのヘキサンを流し、250ml 1NRBフラスコで透明溶液を蒸留してヘキサンを回収した。
【0142】
ヘキサンを留去することにより生成物を再構成した後、オイルバス中〜135℃で窒素を流した。次に、〜135℃で撹拌を続けながら、フラスコ内を慎重に70mTorr未満の圧力まで真空にした。〜2時間後、バスの温度を100℃まで下げ、高真空下で一晩撹拌を続けた。
【0143】
生成した油(構造式(XI)で示されるTNPSS星型結合剤)は、無色透明である。収率:9.145g(91.3%)、n20=1.5768(z=28.5)。ニートのテトラキス[3−(1−ナフチル)プロピル−ジメチルシロキシ]シランの粘度(Brookfield LVDV−II+CPコーン/プレート粘度計(CPE−51 コーン))は、25.1℃で1880cPであった。例えば、Dow Corning 710溶液(ポリメチルフェニルシロキサン)の値は、25.1℃で533.9cPであった。

【0144】
実施例4:本発明の結合剤を用いたホログラフィック記録媒体の作成
本発明の結合剤を、磁気撹拌棒を備えた容器に入れた。結合剤に、構造式(XII)で表される二官能性エポキシドモノマーを添加した。


式中、各R’基は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基系であり、各R基はメチル基であり、Polyset Corporation,Inc.(ニューヨーク州メカニックスビル)からPC−1000という商標名で入手可能である。結合剤の二官能性モノマーに対する比率は、1.:46:1.0であった。結合剤と二官能性モノマーの混合物は、一様な均質混合物を形成するまで撹拌された。この混合物に、ここではC8四量体(US 6,784,300(参照することによりその全体がここに組み入れられる)、化合物No.XXII参照)と呼ばれる多官能性モノマーを、二官能性モノマーに対する多機能性エポキシの比が1.12:1となるように添加し、その内容物を室温で、一様な混合物を形成するまで撹拌した。結合剤とモノマーの一様な混合物に増感剤(ルブレン)を添加すると、最終記録媒体が約0.035重量%濃度で所望の光学密度が得られた。増感剤を溶解させるために、混合物を撹拌して60℃まで加熱した。増感剤が完全に溶解したら、均質混合物を室温まで冷却した。この混合物に、6重量%のクミルトリヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの最終記録媒体を添加した。PAGが溶解するまで混合物を急速に撹拌した。次に、適切なサイズの保存容器に、Acrodisc(登録商標)CR25mmシリンジフィルタと0.2μPTFEメンブレンを用いて調合物をろ過した。
【0145】
まず2つの平面ガラス基板を、上と下の基板の内面の間に〜300ミクロンの空間またはギャップを持つように、平行に、同一平面上に配置して固定することにより、カードタイプの媒体を作成した。媒体の組み立て方法の例は、US 6,881,464に見出すことができ、その全体の教示がここに組み入れられる。毛管力により、2つの基板の間に配合物を被覆した。「ギャップ」を完全に満たしたら、媒体はさらなる分析に使用できるようになった。
【0146】
実施例5:本発明の結合剤を用いて作成されたホログラフィック媒体の促進エージング。
本発明の結合剤を用いて、一連のホログラフィック配合物を作成した。比較のために、従来技術の結合剤、Dow Corning(登録商標) 705を用いてさらにホログラフィック配合物を作成した。それぞれの配合物およびその後のホログラフィック媒体は、実施例4で概説した手順に従い作成された。作成後、実質的に完全な記録状態をもたらすために、媒体を完全に露光した。媒体はその後73℃の炉に入れ、促進エージング条件を達成した。媒体を定期的に取り出し、物理的、機械的、光学的、または他の欠陥がないかどうか検査した。例えば、そのような目に見える欠陥とは、(1)亀裂(本願では、基板間に挟まれた配合物の連続性における分離として定義され、ヘアラインクラックから大きなひびまで、そのタイプおよびサイズに幅がある)、(2)剥離(本願では、硬化した、あるいは部分的に硬化した配合物からの基板の分離として定義される)、および(3)浸出(本願では、硬化した配合物から周辺端部および/または媒体と基板の界面への、移動成分の移行として定義される)である。
【0147】
実施例5A:Dow Corning 705を移動成分として使用した従来技術の媒体
結合剤としてDow Corning 705を使用して作成した媒体を、可視光線で完全に露光した。本例の媒体を、事前に73℃±1℃の等温に設定され維持された炉に入れた。
【0148】
3時間以内に、この媒体の全ての例が上記の不具合の欠陥のうち少なくとも1つを示した。典型的には、媒体はまず浸出の兆候を見せ、次にヘアラインクラックが形成してサイズまたは数が増えていき、その後硬化した配合物からの移動相の著しい浸出により剥離が生じた。
【0149】
比較例5B:構造式(IX)または(Xa)〜(Xd)の結合剤を使用して、本発明の媒体を実施例4で概説したように作成した。
本発明の、構造式(IX)、(Xa)、(Xb)、(Xc)および(Xd)の結合剤を使用して作成された一連の媒体を、可視光を用いて完全に露光した。この比較例のための様々な媒体片を、事前に73℃±1℃の等温に設定され維持された炉に入れた。3時間後、剥離または亀裂、あるいは結合剤の浸出の証拠は見られなかった。30時間後、剥離または亀裂、あるいは結合剤の浸出の証拠は見られなかった。73℃±1℃で300時間後、剥離または亀裂、あるいは結合剤の浸出の証拠は見られなかった。
【0150】
比較例5C:構造式XIの結合剤を使用して、本発明の媒体を実施例4で概説したように作成した。
本発明の結合剤XIを使用して作成された媒体を、上述のように可視光を用いて完全に露光した。この比較例のための様々な媒体片を、事前に73℃±1℃の等温に設定され維持された炉に入れた。3時間後、剥離または亀裂、あるいは結合剤の浸出の証拠は見られなかった。30時間後、剥離または亀裂、あるいは結合剤の浸出の証拠は見られなかった。結合剤XIを使用した媒体は、30時間を超え48時間に満たない時間、73℃±1℃で維持すると剥離を示し始めた。
【0151】
実施例6:ホログラフィック媒体に結合剤を使用したバルク光散乱
本発明の結合剤を用いて、一連のホログラフィック配合物を作成した。比較のために、従来技術の結合剤、Dow Corning(登録商標) 705を用いてさらにホログラフィック配合物を作成した。それぞれの配合物は、実施例4で述べた手順に従い作成された。次にそれぞれの配合物を、基板内面間のギャップが400ミクロンの50mm×50mmのカードタイプ媒体の作成に使用した。
【0152】
次に、Xeストロボランプ(バルブは可視スペクトルへの露光を制限するためのUVカットオフフィルタを備える)を使用して、媒体に光前処理を行った。その前処理工程の後、媒体を完全に漂白するために、媒体をさらに白色光で露光した。そのような露光条件の後、以下に詳細の説明する光散乱測定を用いて媒体を検査した。
【0153】
HeNeレーザ、積分球およびA/Dエレクトロニクスを備えた特別設計の散乱計を用いて、前方散乱測定を行った。試料は、積分球の直前に、レーザ光に対し垂直となるように配置した。3つの異なるz方向(垂直方向)の場所における、y軸方向(水平方向)に1mm間隔での散乱で測定した。重合した媒体の光散乱性を比較するために、得られたデータの平均を使用した。媒体の平均散乱データからバックグラウンド信号を差し引くことにより散乱データを正規化するのに使用するために、空気のバックグラウンドの値を測定した。本発明の結合剤を用いて作成した媒体と、結合剤としてDow Corning(登録商標) 705を用いて作成した媒体との比較を示す下の添付図面に、散乱測定結果を示す。グラフは、それぞれの媒体試料に対し、空気からのバックグラウンド光散乱を考慮して正規化された、デジタル化平均前方光散乱を示している。
【0154】
その結果は、従来技術の結合剤と比較して、ホログラフィック記録材料の配合に本発明の結合剤を使用することにより、前方光散乱の50%を超える削減が有利に達成されることを示している。削減された散乱は、雑音に対する散乱の寄与に有利となるもので、したがって記録されるデータページホログラムの信頼性を損なうものであり、さらに、散乱は、データ密度D∝1/εscatter0.5(式中、εscatterは、検出器の方向へのステラジアンあたりの散乱)という依存性に起因して、達成可能なデータ密度Dを減少させる(Applied Optics,Vol.43,No.25,2004,pp4902−4914を参照)。
【0155】
例示的な実施形態を参照しながら、本発明を具体的に示し説明してきたが、添付の請求項により包含される本発明の範囲から逸脱しない限り、形態や詳細に対する様々な変更がなされてもよいことが、当業者には理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、結合剤としてDow Corning(登録商標) 705液を含む比較例に対する、本発明の結合剤を含む重合化媒体の正規化された前方光散乱を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(XII)で表される化合物であって、


式中、
は、各発生において、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−であり、
a1およびRb1は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル、または任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
sは、0、または1から8までの整数である、化合物。
【請求項2】
前記化合物の屈折率は、1.550以上である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物の粘度は、175センチストークスより大きい、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(XII)において、少なくとも1つのX−Ar基は、他のX−Ar基と異なる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
構造式(XII)において、少なくとも1つのAr基は、他のAr基と異なる、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
構造式(XX)で表され、


式中、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケンもしくはC2〜C12アルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、任意に置換されたC1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、aおよびbは、独立して、a+b=4となるような1から3までの正の整数である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
は、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換された、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
a1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
は−(CHR’)であり、
nは1から12であり、
R’は、各発生において、独立して、
(i)水素、または
(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、
(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、アリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
構造式(XXII)で表され、


式中、yは2から6の正の整数である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Arは、各発生において、独立して、



、または

である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
は−(CH−または−(CH−であり、yは2または3であり、Ra1およびRb1は、各発生において、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはフェニルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
は、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換される、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
a1およびRb1は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
は−(CHR’)−であり、
nは1から12であり、
R’は、各発生において、独立して、
(i)水素、または
(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、
(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Arは、各発生において、独立して、



、または

である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
は−(CH−または−(CH−であり、yは2または3であり、Ra1およびRb1は、各発生において、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはフェニルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
構造式(XI)


で表される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Arは、Si−O基を介して中心のSi原子に結合した、またはSi−O基を介してリンカーにより中心のSi原子に結合した、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、前記SiO基における前記Si原子は、脂肪族基、アリール、またはその両方の基の混合で置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項24】
前記リンカーは、脂肪族基系である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Arは、Si−O基を介して中心のSi原子に結合されているときは、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、またはピレニル、またはそれらの混合であり、Si−O基を介して脂肪族基系により中心のSi原子に結合されているときは、アルキル−ナフチル、アルキル−フェナントリル、アルキル−フルオレニル、またはアルキル−ピレニル、またはそれらの混合である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
構造式(XV)で表される化合物であって、


式中、
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルまたは任意に置換されたアリールであり、
は、各発生において、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−であり、
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
kは、3から6の整数であり、
sは、0、または1から8までの整数である、化合物。
【請求項27】
前記化合物の屈折率は、1.550以上である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物の粘度は、175センチストークス以上である、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
式(XV)において、少なくとも1つの−X−Ar基は、他の−X−Ar基と異なる、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
構造式(XV)において、少なくとも1つのAr基は、他のAr基と異なる、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
構造式(XVI)で表され、


式中、ナフトは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアミノまたは任意に置換されたアリール基で任意に置換されたナフチルであり、vおよびwは、vおよびwの和が3、4、5、または6となるような正の整数である、請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
は、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
Arは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択され、それぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基で任意に置換される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
は、各発生において、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで置換されたフェニルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
は−(CHR’)−であり、
nは1から12であり、
R’は、各発生において、独立して、
(i)水素、または
(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、
(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Arは、各発生において、独立して、



、または

である、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
構造式(XVII)で表され、


式中、yは2から6の正の整数である、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
構造式(X)で表され、


式中、Xは、−(CH−または−(CH−である、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
Arは、フェニルまたは2−ナフチルまたは3−クロロフェニルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン、または−Y−Si(R−Y−である、請求項26に記載の化合物。
【請求項42】
は、任意に置換されたC1〜C12アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル基、または、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールである、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
Arは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、アルケンもしくはアルキン基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ、C1〜C12ハロアルキル、または任意に置換されたアリールアミノから選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意に置換される、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フルオランチルまたはフルオレニルから選択される、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
は、各発生において、独立して、(i)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、およびC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
は、−Y−Si(R−Y−または−(CHR’)−であり、
nは1から12であり、
R’は、各発生において、独立して、
(i)水素、または
(ii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、もしくはC1〜C12ハロアルキルでそれぞれ任意に置換された、C1〜C12アルキルもしくはC3〜C12シクロアルキル、または、
(iii)1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシ、任意に置換されたアリールオキシ基、任意に置換されたアリールアミノ基およびC1〜C12ハロアルキルで任意に置換されたフェニルである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
Arは、各発生において、独立して、



、または

である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
下記構造式






のいずれかで表される、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
構造式(IX)で表され、


式中、p+q=k−2である、請求項46に記載の化合物。
【請求項49】
構造式(II)で表され、


式中、k=3、4、5、または6である、1.55より大きいモル屈折率を有する請求項26に記載の化合物。
【請求項50】
構造式(III)で表され、


式中、Xは、共有結合であるか、または、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、および任意に置換されたアルケニルから選択される部分であり、
さらに、前記部分は、任意に、OおよびSiから選択されるヘテロ原子を含み、Si原子は、脂肪族基およびアリール、またはその両方の基の混合から選択される、1つ以上の基で置換される、請求項26に記載の化合物。
【請求項51】
構造式(III)で表され、


式中、k=3、4、5、または6である、1.55より大きいモル屈折率を有する請求項26に記載の化合物。
【請求項52】
Arは、繰り返し単位のSiに結合された、またはリンカーを介して繰り返し単位のSiに結合された、芳香族置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、前記リンカー基は脂肪族基系である、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
Ar基系は、繰り返し単位のSiに結合されているときは、フェニル、ナフチル、フェナントリルまたはそれらの混合であり、リンカーを介して繰り返し単位のSiに結合されているときは、アルキル−ナフチル、またはアルキルl−フェナントリル、アルキル−フルオレニル、またはアルキル−ピレニル、またはそれらの混合であり、前記リンカー基は脂肪族基系である、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
重合可能な媒体であって、
a) 化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、
b) 特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、
c) 化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、
d) 請求項1から53に記載の化合物のいずれかと、を含む、重合可能な媒体。
【請求項55】
前記少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーは、構造式(XXX)により表され、


式中、Rは、置換もしくは非置換の脂肪族基、置換もしくは非置換のアリール基、または下記構造式、

、および


または構造式(XXXII)で表される基であり、


式中、
およびXは、それぞれ独立して、各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
各Rは、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族基、または置換もしくは非置換のアリール基であり、
各Rは、エポキシドで置換された脂肪族基であり、
は、H、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、置換アリール基、置換シロキサン基、非置換シロキサン基、置換ポリシロキサン基、または非置換ポリシロキサン基であり、
各R基は、独立して、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、または置換アリール基であり、
各Rは、R、水素、アルケニル、置換もしくは非置換のC1〜12アルキル、C1〜12シクロアルキル、アリール置換C1〜12アルキルもしくはアリール、または、R−(O−Y−、(R−Si−(O−Si(R−Y−、または(RSi−(O−Si(R−O−であり、
各Rは、独立して、下記構造式で表され、



mは、1、2、3または4であり、
rは、1から10の整数であり、
sは、0、または1から8までの整数である、請求項54に記載の重合可能な媒体。
【請求項56】
ホログラフィック記録媒体であって、
a) 化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、
b) 特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、
c) 化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、
d) 請求項1から53に記載の化合物のいずれかの結合剤と、を含み、前記モノマーまたはオリゴマーからの前記結合剤からの化学的分離および空間的隔離によって、前記ホログラフィック記録媒体内での屈折率が調節される、ホログラフィック記録媒体。
【請求項57】
前記結合剤のモル屈折率は、1.55より大きい、請求項56に記載のホログラフィック記録媒体。
【請求項58】
前記少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーは、PAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、エポキシドモノマーまたはオリゴマーである、請求項56に記載のホログラフィック記録媒体。
【請求項59】
前記少なくとも1つのエポキシドモノマーまたはオリゴマーは、多官能エポキシドモノマーまたはオリゴマーである、請求項58に記載のホログラフィック記録媒体。
【請求項60】
前記少なくとも1つのエポキシドモノマーまたはオリゴマーは、シクロアルケンオキシドを含む、請求項59に記載のホログラフィック記録媒体。
【請求項61】
前記少なくとも1つの多官能エポキシドモノマーまたはオリゴマーは、約300g/モルエポキシのエポキシ当量のシロキサンを含む、請求項60に記載のホログラフィック記録媒体。
【請求項62】
前記少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーは、構造式(XXX)で表され、


式中、Rは、置換もしくは非置換の脂肪族基、置換もしくは非置換のアリール基、または下記構造式、

、および


または構造式(XXXII)で表される基であり、


式中、
およびXは、それぞれ独立して、各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
各Rは、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族基、または置換もしくは非置換のアリール基であり、
各Rは、エポキシドで置換された脂肪族基であり、
は、H、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、置換アリール基、置換シロキサン基、非置換シロキサン基、置換ポリシロキサン基、または非置換ポリシロキサン基であり、
各R基は、独立して、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、または置換アリール基であり、
各Rは、R、水素、アルケニル、置換もしくは非置換のC1〜12アルキル、C1〜12シクロアルキル、アリール置換C1〜12アルキルもしくはアリール、または、R−(O−Y−、(R−Si−(O−Si(R−Y−、または(RSi−(O−Si(R−O−であり、
各Rは、独立して、下記構造式で表され、



mは、1、2、3または4であり、
rは、1から10の整数であり、
sは、0、または1から8までの整数である、請求項56に記載のホログラフィック記録媒体。
【請求項63】
ホログラフィック記録媒体内にホログラムを記録する方法であって、前記ホログラフィック記録媒体は、
a) 化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、
b) 特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、
c) 化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、
d) 請求項1から53に記載の化合物のいずれかの結合剤と、を含み、
前記方法は、化学線に曝されると酸を生成する化合物が感受性のある、コヒーレントな化学線の参照波と、該コヒーレントな化学線の物体波とを前記媒体内に通過させ、それにより前記媒体内に干渉パターンを形成し前記媒体内にホログラムを記録するステップを含む、ホログラフィック記録媒体内にホログラムを記録する方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーは、構造式(XXX)により表され、


式中、Rは、置換もしくは非置換の脂肪族基、置換もしくは非置換のアリール基、または下記構造式、

、および


または構造式(XXXII)で表される基であり、


式中、
およびXは、それぞれ独立して、各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
各Rは、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族基、または置換もしくは非置換のアリール基であり、
各Rは、エポキシドで置換された脂肪族基であり、
は、H、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、置換アリール基、置換シロキサン基、非置換シロキサン基、置換ポリシロキサン基、または非置換ポリシロキサン基であり、
各R基は、独立して、非置換脂肪族基、置換脂肪族基、非置換アリール基、または置換アリール基であり、
各Rは、R、水素、アルケニル、置換もしくは非置換のC1〜12アルキル、C1〜12シクロアルキル、アリール置換C1〜12アルキルもしくはアリール、または、R−(O−Y−、(R−Si−(O−Si(R−Y−、または(RSi−(O−Si(R−O−であり、
各Rは、独立して、下記構造式で表され、



mは、1、2、3または4であり、
rは、1から10の整数であり、
sは、0、または1から8までの整数である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ホログラフィック記録媒体であって、
a) 化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、
b) 特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、
c) 化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、
d) 下記式で表される結合剤と、を含み、



式中、
はXまたは

であり、
は、各発生において、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−であり、
a1およびRb1は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキル、または任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
sは、0、または1から8までの整数である、ホログラフィック記録媒体。
【請求項66】
ホログラフィック記録媒体内にホログラムを記録する方法であって、前記ホログラフィック記録媒体は、
a) 化学線に曝されると酸を生成する、光酸発生剤化合物(PAG)と、
b) 特定波長の光に反応して酸を生成するPAGを増感する染料と、
c) 化学線に曝されたときにPAGにより生成された前記酸により開始されるカチオン重合を起こすことができる、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーと、
d) 請求項76に記載の結合剤と、を含み、
前記方法は、化学線に曝されると酸を生成する化合物が感受性のある、コヒーレントな化学線の参照波と、該コヒーレントな化学線の物体波とを前記媒体内に通過させ、それにより前記媒体内に形成するステップを含む、ホログラフィック記録媒体内にホログラムを記録する方法。
【請求項67】
構造式(XV)で表される化合物の2つ以上の混合物を含む組成物であって、


式中、
は、各発生において、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルまたは任意に置換されたアリールであり、
は、各発生において、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜C12アルキレン、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレン、任意に置換されたアリーレン基、−Y−[O−Y−、−Y−Si(R−Y−、−Y−Si(R−Y−O−Y−Si(R−Y−、または−Y−Si(R−Y−Si(R−Y−であり、
Arは、各発生において、独立して、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、任意に置換されたC1〜C12アルキル基、任意に置換されたC3〜C12シクロアルキルアルキル基、または、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケンもしくはC1〜C12アルキン基、C1〜C12ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C12アルコキシ基、任意に置換されたアリールオキシ基または任意に置換されたジアリールアミノ基で任意に置換されたアリールであり、
各Yは、独立して、共有結合であるか、または任意に置換されたC1〜12アルキレン基、または任意に置換されたC3〜C12シクロアルキレン、または任意に置換されたアリーレン基、または任意に置換されたC1〜C12アリールアルキレンであり、
kは、3、4、5または6であり、
sは、0、または1から8までの整数であり、
さらに、混合物中の式(XV)の少なくとも2つの化合物は、変数kの値が異なる、組成物。
【請求項68】
請求項26から53に記載の化合物の2つ以上の混合物を含む組成物であって、前記混合物中の少なくとも2つの化合物は、変数kの値が異なる、組成物。


【図1】
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【公表番号】特表2009−511638(P2009−511638A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536798(P2008−536798)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/040887
【国際公開番号】WO2007/047840
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508117732)ディーシーイー アプリリス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】