説明

ホログラフィックストレージ媒体に記録されたフーリエ・ホログラムの読み出し方法、及びホログラフィックストレージシステム

本発明は、ホログラフィックストレージシステム(1)によりホログラフィックストレージ媒体(6)に記録されたフーリエ・ホログラム(7)の読み出し方法に関する。該方法は、参照ビーム(3)及び上記ストレージ媒体(6)の少なくとも2つの相対位置における再構成されたフーリエ・ホログラムの検出画像からの特性値を計算すること、ここで各特性値はそれぞれの相対位置での参照ビーム(3)と上記ストレージ媒体(6)との位置合わせズレを示し、測定された特性値からサーボ値を計算すること、計算されたサーボ値を用いて所定のサーボ関数によって上記参照ビーム(3)及び上記ストレージ媒体(6)の整列した相対位置を決定すること、参照ビーム(3)及び上記ストレージ媒体(6)の相対位置を上記整列した相対位置に設定すること、及び、上記整列した相対位置で画像を検出することを備える。本発明は、また、ホログラフィックストレージ媒体6)に記録されたフーリエ・ホログラム(7)を読み出すためのホログラフィックストレージシステム(1)に関し、上記システム(1)は、参照ビーム(3)生成手段、ストレージ媒体(6)受取り手段、及び、再構成されたホログラムを検出するための検出器(5)を備える。システム(1)は、さらに、本発明による方法を実行するためのサーボ制御ユニット(14)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フーリエ・ホログラムを読み出すシステムに向けられ、特にホログラフィックストレージ媒体に記録されたフーリエ・ホログラムを読み出す方法、及びホログラフィックストレージシステムに向けられる。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィックデータの保存は、データを搬送するデータ符号化信号ビーム(また物体波と呼ばれる)と、ホログラフィックストレージ媒体での参照ビームとの干渉縞を記録するという概念に基づく。一般的に、空間光変調器(SLM)は物体波を生成するために用いられ、ホログラフィックストレージ媒体は、例えばフォトポリマーあるいは光屈折結晶、又は参照ビームの相対的な振幅、及び物体波と参照ビームとの間の位相差を記録するのに適している他のいずれかの材料であり得る。ホログラムがストレージ媒体に生成された後、ストレージ媒体へ参照ビームを投射することは、元のデータ符号化された物体波と相互に作用し物体波を再構成し、それは、CCDアレイ・カメラ又はその他同種のもののような検出器によって検出することができる。その再構成されたデータ符号化物体波は、一般には技術的にそれ自身、再構成ホログラムと呼ばれる。この用語によれば、ホログラムの再構成は、元のデータ符号化物体波の再構成を意味する。即ち、ホログラムを読み出すことは、再構成されたホログラム、特に再構成されたホログラムの画像を検出することを意味する。この用語は、本明細書に適用される。
【0003】
ホログラムの書き込みは、物体波と参照ビームとの空間的な重なりにより大きく影響を受けるが、一方、ホログラムの読み出しは、ストレージ媒体に格納された再構成参照ビームとホログラムとの相対位置により強く影響される。参照ビーム及び物体波の両方がストレージ媒体の表面の比較的大きなスポットをカバーする場合、ホログラフィックストレージ媒体の読み出しは、比較的容易に達成可能である。ホログラムの中心と参照ビームの中心との間の変位の許容誤差は、ビーム直径のおよそ10%であり、それは、通常、従来システムの機械的な限界内である。しかしながら、ホログラム・サイズを減少することは、媒体を読むとき、参照ビームとホログラムの位置合わせのより高い要求につながる。高精度な位置合わせは、また、例えば、格納されたホログラフィックデータの多重化及び/又は安全な暗号化の場合にも必要になりえる。
【0004】
ホログラムを多重化する及び/又は暗号化する多くの既知の方法がある。このような方法は、実際の及び/又はフーリエ面の両方において物体波及び/又は参照ビームの位相符号化を含むことができる。参照ビームの位相符号化による位相符号多重化及び暗号化の方法及び装置は、WO 02/05270 A1に開示されている。位相符号多重化及び暗号化を適用するとき、ホログラムの再構成の間の、参照ビームの中央とホログラムとの間の変位の許容誤差は、ビーム直径の1%まで落ちる場合がある。ビームとホログラムとの位置合わせのズレは、一般的に、システムの光学部品の位置合わせのズレに関係しており、それは機械的衝撃、温度変化などによるものである。それは、また、ホログラフィックの身分証明証のようなリムーバブルストレージ媒体を受け入れるように設計されたシステムの共通の問題である。
【0005】
米国特許7,116,626 B1は、上に指摘した位置合わせズレの問題を克服するためのマイクロ位置決め方法を教示する。記述された方法の目的は、光源、レンズ、検出器、及びストレージ媒体のような各種の機器によりSLMのようなシステムの様々な構成部品の正確な位置合わせを保証することにより、ホログラフィックストレージシステム、つまり変調された画像の質、の性能を増加させることである。位置合わせ技術は、SLMの各画素が検出器の単一の画素に投影され、より良いデータ回復効率に帰着するように、SLM、格納されたホログラフィック画像、及び検出器の画素を整列する「画素マッチング」に焦点を合わせている。上記方法は、上記構成部品の全てあるいはいくつかを物理的に移動させることを含んでおり、また、サーボ機構は、検出された画像から生じた位置合わせズレに関するフィードバックに基づいて構成部品の位置決めを制御することを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 02/05270 A1
【特許文献2】米国特許第7,116,626号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々な例示的な方法は、検出された画像の位置合わせズレの決定に関して記述されている。一例において、位置合わせズレは、検出された画像に関する経路距離の計測に基づく。経路距離は、一般に画素の位置合わせズレを示すスカラー量であり、例えば平均の画素強度つまりSNRである。経路距離は、位置合わせズレの量又は程度を示し、位置合わせズレの方向を示していない。従って、画素登録ミスを最小限にするために、システムの少なくとも一つの構成部品は、移動する必要があり、経路距離は、構成部品の新しい位置で再計算されなければならない。お互いに関して構成部品の最適位置を見つけるには多数のステップを必要とし、このことは時間を非常に消費する。別の例では、位置合わせズレは、検出された画像に関して、ページ距離の計測に基づく。ページ距離は、一般に、基準画素、つまりユーザーの符号化データ内にある、あるいはユーザーの符号化データの周りの境界領域にある画素ブロックのような既知の画素パターンあるいは登録マーク、を含む。既知の画素パターンは、ホログラフィックストレージシステムの様々な構成部品の位置合わせズレを決定するために検出かつ使用可能である。この解決策の欠点は、ホログラムが基準画素ブロックを設けなければならず、基準画素ブロックが大きすぎる場合には貴重なデータ領域を占領し、小さすぎる場合には画像内に置くことが困難であるということである。基準画素ブロックは、システムの点広がり関数(PSF)の計算に役立ち、システムの構成部品を整列させることに関与する既知のサーボ方法により用いられる重要な情報である。しかしながら、システムのPSFを必要としないサーボ方法を有することは望ましいであろう。
【0008】
本発明は、基準画素ブロックを適用する必要性が無く、又は繰り返し構成部品の再配置をすることなく、ホログラフィックデータストレージシステムの構成部品の位置合わせズレを検出する単純な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の方法、及び請求項25に記載のホログラフィックストレージシステムによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】図1aは、本発明による反射型のホログラフィックストレージシステムの例示的な実施態様の模式図である。
【図1b】図1bは、本発明による透過型のホログラフィックストレージシステムの例示的な実施態様の模式図である。
【図2】図2は、空間光変調器によって生成された例示的な参照ビーム符号パターンを示す。
【図3】図3は、一つのSLM画素によって参照ビーム符号パターンの移動を図示する。
【図4】図4は、空間光変調器によって生成された別の例示的な参照ビーム符号パターンを示す。
【図5】図5は、スパース変調コーディングを用いた例示的なデータ・コード・ブロックを示す。
【図6】図6は、図5に図示したデータ・コード・ブロックの再構成されたデータ・コード・ブロックを示す。
【図7】図7は、SLM画素変位に対してプロットされた例示的なSNR関数の図である。
【図8】図8は、例示的なサーボ関数の図である。
【図9】図9は、図8のサーボ関数がどのように得られるかを図示する図7におけるSNR関数の注釈付きの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の更なる細部は、添付の図及び例示的な実施形態から明白になる。
図1aは、本発明によるホログラフィックストレージシステム1の第1の例示的な実施形態を示す模式図である。システム1は、参照ビーム3を提供する光源2を含む。光源2は、一般にレーザーとビーム拡大器から成る。好ましい実施形態において、光源2の後に、参照ビーム3を符号化する空間光変調器(SLM)4がある。システム1は、さらに検出器5と、ホログラム7を有するホログラフィックストレージ媒体6を受け入れるための手段(図示せず)とを備える。検出器5は、CCDカメラ、CMOS、フォトダイオード・マトリックス、あるいは画素アレイに配列されたセンサ素子を含む他の既知の検出器であることができる。
【0012】
ホログラム7は、画像面ホログラムよりもストレージ媒体の表面欠陥への感度が小さいため、フーリエ・ホログラムである。フーリエ・ホログラムの場合、参照ビーム3を位相符号化するために用いられるSLM4によって表示された位相符号・パターンが、ホログラム7を生成するとき、物体波のフーリエ変換上に画像化される。その良好な回折効率及び低い波長選択性のために、例えば薄い偏光ホログラムがホログラム7として使用可能である。適切なホログラフィックストレージ媒体は、例えばアゾベンゼン型の光異方性ポリマーである。
【0013】
この実施形態は、反射モードにおいてホログラフィックストレージ媒体6の読み出し用に設計されている。即ち、参照ビーム3は、媒体6の後ろのミラー8から反射され、再構成された物体波9は、再構成されたホログラム7の画像を捕らえるための検出器5の結像面上に逆フーリエ変換される。反射されたビーム9及び参照ビーム3は、ビームスプリッター10で互いに分離される。ビームスプリッター10は、中立のビームスプリッターあるいは偏光ホログラムの場合には偏光ビームスプリッターであってもよく、又はEP 1492095A2に開示されるように、中心層不連続性を有するビーム分割キューブのような他の任意のビーム分離素子であってもよい。
【0014】
符号化された参照ビーム3は、SLM4により生成され、画像システムによってホログラム7の面に画像化される。この画像システムは、当該技術分野で知られているように、ビームスプリッター10前後に配置された第1及び第2のフーリエ・レンズ11、12を好ましくは備える。更に、開口13が第1のフーリエ・レンズ11とビームスプリッター10との間に置くことができ、ビームの直径を制限することにより画像品質を改善し、かつ後述するようにSLM4の形状を制限するという更なる利点を提供する。
【0015】
参照ビーム符号化は、位相符号化、振振幅符号化、偏光符号化、あるいは技術分野内で知られている他の任意の光変調符号化であることができる。好ましい実施形態において、参照ビーム符号化は、振幅符号化で存在する情報損失を回避するため位相符号化である。位相符号は、例えば暗号化されたホログラム7を読むためのセキュリティーの鍵あるいは多重ホログラム7を読むための鍵になりえる。しかしながら、本発明は、また暗号化又は多重化以外の応用にも関するものである。また、機械的隙間が排除できず、これにより挿入されたストレージ媒体6の位置のある不確実性を導き、よって、参照ビーム3及びストレージ媒体6が互いに対して繰り返し再配置する必要があり、特にストレージ媒体6がしばしば除去され、あるいは複数のストレージ媒体6がシステム1により読み出されるような全ての場合にも適用可能である。
【0016】
参照ビーム位相符号化に加えて、SLM4は、円形の参照ビーム3を位置決めするのを容易にする開口を使用することもできる。これは、複数のホログラム7が互いに近づいてストレージ媒体6に書かれている場合に、ホログラム再構成でのホログラム間のクロストークを減じるのに有用である。
【0017】
参照ビーム符号化が適用されない場合、SLM4は、完全に省略することができる、あるいは、円形の参照ビーム3の位置決めを容易にする開口として使用可能である。
【0018】
図1bは、本発明によるホログラフィックストレージシステム1の別の好ましい実施形態を図示し、これは、ホログラフィックのストレージ媒体6の読み出し及び書き込みの両方に適合している。この実施形態では、ストレージ媒体6は透過モードにて読まれる。従って、検出器5は、第3のフーリエ・レンズ111によって検出器5の結像面上に逆フーリエ変換された、再構成された物体波9を検出するストレージ媒体6の反対側に配置される。この場合、ビームスプリッター10は、システム1がストレージ媒体6にホログラム7を記録するために用いられるとき、物体波SLM4’から来る参照ビーム3及び物体波3’を結合するのに使用される。物体波3’は、別の光源(図示せず)によって提供可能であり、あるいは、参照ビーム3を提供する同じ光源2は、当該技術分野で知られているように両方のビームに3’、3を提供するために用いることができる。
【0019】
検出器5は、サーボ制御ユニット14に接続され、それは、参照ビーム3とストレージ媒体6とを互いに相対的に位置決めするのに関与する。サーボ制御ユニット14は、検出器5によって検出された画像を分析し、後述するようにサーボ信号を計算する。第1の実施形態において、参照ビーム3とストレージ媒体6との相対位置は、SLM4の別位置で参照ビーム符号パターンを表示することにより変更することができる。サーボ信号は、SLM4によって表示された符号パターンの位置を制御するために用いられる。サーボ制御ユニット14は、例えばコンピューター、又はデジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)あるいはSLM4を操作するフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含む内蔵システムでありえる。
【0020】
図2は、SLM4に表示された参照ビーム符号パターン15を図示する。参照ビーム符号パターン15は、好ましくは位相符号パターンである。この実施形態で見ることができるように、各参照ビーム符号画素16は、5×5のSLM画素17から構成される。単一の符号画素16を表示するために用いられるSLM画素17の数は、応用例に応じて変更可能である。複数のSLM画素17から成る符号画素16を用いることは、符号パターン15をシフトする単純な方法を可能にする。例えば、1つのSLM画素17による符号パターン15を右へシフトすることは、図3に明示するように、SLM画素17の一つの行によってシフトされる。新しい符号画素16bは、もとの符号画素16aと重なる5×4のSLM画素17と、もとの符号画素16aから右への1×4のSLM画素17とからなる5×5のSLM画素17の新しいブロックによって表示される。符号パターン15は、SLM画素17の行又は列と平行でない方向を含み、上述の概念に従いいずれの方向にもシフトすることができる。
【0021】
特定の参照ビーム符号パターン15を有するホログラム7は、ホログラム7を記録するために用いられるものと同一か、非常に類似している参照ビーム符号パターン15により再構成することができ、よって、参照ビーム3の符号化は、暗号化あるいは多重化セキュリティを可能にする。参照ビーム符号パターン15は、例えば2100のコードの組み合わせを可能にする10×10の符号画素16のサイズを有することができる。しかしながら、暗号化及び多重化のセキュリティの目的で、ホログラム7は、ホログラム7を記録するために用いられたもの以外の参照ビーム符号パターンにより読み出し可能にすべきではない。従って、十分に異なる符号パターン15の1セットのみが可能な符号パターンのうちから用いられるべきであり、それは実際上依然として非常に大きい数であり、例えば約225のコードの組み合わせが使用可能である。別個の符号パターン15を生成する方法は、WO 02/05270に開示されている。
【0022】
開口13を用いることは、SLM4の分解能を限定することにさらなる利益を有し、その結果、個々のSLM画素17は、検出器5により検出された画像上で識別可能ではなく、一方、符号画素16の符号化効果は依然として知覚可能である。SLM4の端近くのケラレの影響を避けるため、開口13は、フーリエ空間における高周波成分をフィルターにかけるために、SLM4(あるいはその近い付近)のフーリエ面に配列され、それにより、生じた画像をぼけさせる。
【0023】
円形ビームの位置決めを容易に生成する開口としてSLM4が用いられる応用例において、参照ビーム符号パターン15は、図4で示されるような不透明な外側縁部19を有する単純な光透過内側円18になりえる。これは、例えば振幅変調器としてSLM4を用いて、透過円18内の光の振幅を維持しながら縁部19の振幅を減少させることにより達成することができ、それにより円形の参照ビーム3の位置決めを容易に生成する。円形の参照ビーム3は、SLM4の別の場所で光透過内側円18を生成するように、個々のSLM画素17の振幅変調を変更することにより容易に位置決めすることができる。
【0024】
振幅変調モードを実現する既知の方法は、SLM4の前に偏光子を、SLM4の後にアナライザーを設けることである。内側円18内に収まる参照ビーム3の偏光は、SLM4により不変とすることができ、一方、外側縁部19内で90度、回転することができる。不変の偏光のみがアナライザーを通過し、円形の参照ビーム3の位置決めを容易に生成する。
【0025】
円形の参照ビーム3の位置決めの容易さは、参照ビーム3の光学通路に沿って配置された、同一のあるいはさらなる参照ビーム符号化SLM4を使用して、さらに位相符号化と一緒に提供されることが可能である。同じSLMは、同時の位相及び振幅変調、例えば特別のSLMの三重変調(ternary modulation)モードにおいて使用可能である。位相及び振幅変調を分離するために2つのSLMを用いることは、お互い上に2つのSLMを画像化するために追加の光学素子を必要とする。
【0026】
第2実施形態において、サーボ制御ユニット14は、システム1の一若しくは複数の構成部品(ストレージ媒体6、SLM4、及び光源2のそれぞれ)を互いに関して機械的に移動するための移動手段20、21、22(図1a)に作用する。移動手段20、21、22は、マイクロアクチュエータ、あるいはシステム1の構成部品を物理的に移動するための他の装置を含むことができる。上述の実施形態に類似して、サーボ制御ユニット14は、検出器5によって検出された画像を分析し、サーボ信号を計算する。これは、ストレージ媒体6、SLM4、及び光源2をそれぞれ移動して配置する移動手段20、21、22を制御するのに使用される。3つの移動手段20、21、22の全てを設けることができ、あるいはそれらのいくつかのみを設けることが可能である。また、ストレージ媒体6に対する入射参照ビーム3の位置に影響を及ぼす更なる光学的あるいは機械的素子を設けることも可能である。これらもまたサーボ制御ユニット14によって制御することができる。更に、第1と第2の実施形態を組み合わせることも可能である。
【0027】
ホログラム7は、多重ホログラムの場合には1データ・ページあるいはより多くのデータ・ページを含むことができる。これらのデータ・ページは、好ましくは複数のデータ・コード・ブロック24からなる。例示的なデータ・コード・ブロック24が図5に示されている。データ・コード・ブロック24は、4×4のデータ・符号画素25からなり、それらのそれぞれは2値変数(「オン」又は「オフ」)を表わす。216の可能なパターンがあるが、それらのごく少量のみがホログラム7に蓄えられる情報ユニット(例えば文字、数、シンボルなど)の符号化のために用いられる。通常、情報を符号化するために数百の異なるデータ・コード・ブロック24を用いることで十分である。例えば、1セットの256データ・コード・ブロック24は、ASCIIコード表のシンボルを符号化するために用いることができる。
【0028】
データ・コード・ブロック24は、例えば、一定重み変調符号化(「オン」及び「オフ」のデータ符号画素25の比が約1:1である)、あるいはスパース変調コーディング(図5に図示するように、「オン」データ符号画素25の実質的に低い比率、つまり3つの「オン」データ符号画素25と13の「オフ」データ符号画素25)を用いて生成可能である。データ・コード・ブロック24のセットは、好ましくはスパース変調コーディングにより生成され、セットのデータ・コード・ブロック24は、できるだけ互いから異なるように選択される。そのようなデータ・コード・ブロック24のセットを生成する方法は、当該技術分野において知られている。例えば、参照テーブルを用いて変調符号により生成したデータ・コード・ブロックを用いたデータ符号化及び復号化は、A.Suto等により記述されている(“Optimisation of data density in Fourier holographic system using spatial light filtering and sparse modulation coding”, Optik, International Journal for Light and Electron Optics, 115巻、12、541−546ページ、2004年)。
【0029】
ホログラム7を読み出すとき、サーボ制御ユニット14は、どの特定データ・コード・ブロック24が読まれるべきかを決定するために、ホログラム7が有するデータ・ページを書くために用いられるデータ・コード・ブロック24のセットの要素により、検出器によって検出された、再構成されたデータ・コード・ブロック26(図6に図示された)のうちのいくつかあるいはすべてを比較する。参照ビーム3及びストレージ媒体6の相対位置、及び参照ビーム符号化(もしあれば)が、ホログラム7が記録されたときのと同じであれば、それぞれの再構成されたコード・ブロック26は、データ・コード・ブロック24のセットの一つの要素のみに一致する。しかしながら、参照ビーム3及びストレージ媒体6が正しく整列されていない、あるいは読み取り参照ビーム3の符号化が記録参照ビーム3の符号化と異なる場合には、データ・ページの再構成されたデータ・コード・ブロック26は、データ・コード・ブロック26のセットの要素のどれとも正確には一致しないが、それらの複数に似ることができる。
【0030】
サーボ制御ユニット14は、参照ビーム3とストレージ媒体6との所定の相対位置で検出器5により検出された画像の特性値を計算する。特性値は、参照ビーム3とストレージ媒体6との位置合わせズレを示す画像の適切な数値化された特性になりえる。
【0031】
好ましい実施形態において、特性値は、多くの再構成されたデータ・コード・ブロック26の信号対雑音比(SNR)である。
【0032】
【数1】

【0033】
ここで、Eは、期待値関数であり、SNRblockは、再構成されたデータ・コード・ブロック26の信号対雑音比を表わす。
【0034】
SNRblockは、全ての再構成されたデータ・コード・ブロック26、あるいは幾らかの再構成されたデータ・コード・ブロック26の計算をすることができる。およそ2000のデータ・コード・ブロック24から成るデータ・ページの場合、上記SNR値を計算するために、例えば、少なくとも100、好ましくは少なくとも300、さらにより好ましくは、少なくとも600の再構成されたデータ・コード・ブロック26を選択することができる。検査された、再構成されたデータ・コード・ブロック26は、検出された画像中で同じ領域から取ることができ、あるいは、当業者には明白であろうように、データ・ページの重要な領域を表わすように選択することができる。
【0035】
再構成されたデータ・コード・ブロック26の信号対雑音比は、種々の方法で計算することができる。SNRblockを得る好ましい方法は、再構成されたデータ・コード・ブロック26とデータ・コード・ブロック24のセットのすべての可能な要素との間の最大及び平均相関値の比率を計算することである。
【0036】
【数2】

【0037】
ここで、max(.)は、余分な指数を取った独立変数の最大を表わし、average(.)は、余分な指数を取った独立変数の平均を表わし、*記号はスカラー積を表わし、bは、再構成されたデータ・コード・ブロック26のj番目の構成部品を表わし、これは一般的にはn×m次元ベクトルで、データ・コード・ブロック24が4×4画素アレイである場合の上述の特別なケースにおける16次元ベクトルであり、また、vは、データ・コード・ブロック24のセットのi番目のデータ・コード・ブロック24のj番目の構成部品を表わし、これは、bと同様に、この特別なケースにおける16次元ベクトルである。
【0038】
例えば、図5に示されるデータ・コード・ブロック24を表わすi番目のvベクトルは、[0000101000000100]であり、その5番目の構成部品は、v=1である。
【0039】
別の例において、SNRblockは、再構成されたデータ・コード・ブロック26とデータ・コード・ブロック24のセットのすべての可能なデータ・コード・ブロック24との間の2番目に高い相関値と最大値との間の差として計算される。
【0040】
【数3】

【0041】
ここで、max(.)は、指数iを取った独立変数の2番目に高い最大値を表わし、max(.)関数の最大を与えるために見つけられたk指数を省略することにより得られる。
【0042】
SNR及びSNRblockを計算するための他の多くの可能性は、当業者に明らかなように手近にある。
【0043】
参照ビーム3とストレージ媒体6との所定の相対位置に関して、一旦、SNR値が得られたならば、サーボ制御ユニット14は、参照ビーム3及びストレージ媒体6の互いに関し、このSNR値が参照ビーム3及びストレージ媒体6の整列状態あるいは位置合わせされていない状態かを決定し、位置合わせされていない状態の場合には、サーボ制御ユニット14は、参照ビーム3及びストレージ媒体6の整列された、満足な画質を与える相対位置を決定する。一旦、整列した相対位置が決定されれば、サーボ制御ユニット14は、上述したように構成部品のすべてあるいは一部を物理的に及び/又は光学的に移動することにより、参照ビーム3及びストレージ媒体の相対位置を整列した相対位置にセットするために、システム1の構成部品のすべてあるいは一部分に作用するサーボ信号を生成する。一旦、参照ビーム3及びストレージ媒体6がそれらの整列した相対位置に存在すれば、満足な画質を有する画像は、更なる使用のため検出され、あるいは捕らえることができる。
【0044】
整列状態と位置合わせされていない状態との間を識別するため、並びに位置合わせされていない程度を決定するために、システム1は、特定のアプリケーションに関して予め調整される。該調整は、参照ビーム3及びストレージ媒体6に記録されたキャリブレーション・ホログラムを用いて実行することができ、それにより、キャリブレーション・ホログラムを有するストレージ媒体6は、ホログラム7を有するストレージ媒体6があとで読まれることになっているのと同じ場所へ差し込まれる。好ましくは、参照ビーム3は、ホログラム7を記録するために使用される参照ビーム符号パターン15のセットの代表である一般的な参照ビーム符号パターン15にて符号化され、及び、好ましくは、キャリブレーション・ホログラムは、ホログラム7上の情報を符号化するのに使用されるデータ・コード・ブロック24のセットの要素の代表であるデータ・ページにて符号化された物体波3’を使用して記録されたホログラムである。ある応用例において、読まれるべきストレージ媒体6のセットの一つは、キャリブレーション・ホログラムを提供するために用いることができ、あるいは、各ストレージ媒体6は、将来、ストレージ媒体6のより速い読み出しを容易にするためとともに、キャリブレーション目的のために用いられる。このことは、例えば図1bに図示されたシステム1と同じシステムがホログラム7の書き込み及び読み出しの両方に使用されるときに、特に有利である。この場合、キャリブレーションは、ホログラム7を書いた後に、及びシステム1から最初にそれを取り除く前に行なうことができる。
【0045】
更に、少数の参照ビーム符号パターン15のみが用いられる応用例において、キャリブレーションは、すべての適用可能性のある参照ビーム符号パターン15に関して行なうことができる。これは、少数のデータ・ページのみが同じホログラムに蓄えられるところの多重化ホログラムに関する場合で可能である。同様に、少数のデータ・ページのみが可能である応用例において、キャリブレーションは、これらのデータ・ページを有するすべての可能なキャリブレーション・ホログラムに関して実行することができる。
【0046】
システム1により再構成される一若しくは複数のホログラム7に、一若しくは複数のキャリブレーション・ホログラムが一致可能であることが理解される。
【0047】
キャリブレーションの第1ステップにおいて、特有の関数は、参照ビーム3及びキャリブレーション・ホログラムの多数の相対位置に対して計算された多数の特性値をプロットすることにより得られる。キャリブレーション値は、後に読み出されるときに、参照ビーム3及びストレージ媒体6の位置合わせズレを確認するために計算されるであろう方法と同じ若しくは実質的に同じ方法にて計算される。
【0048】
上述の好ましい実施形態において、特性値は、再構成されたデータ・コード・ブロック26の全てあるいはある数のSNRblockから計算されたSNRである。参照ビーム3とホログラム/キャリブレーション・ホログラムとの相対位置がSLM2により表示される参照ビーム符号パターンを光学的にシフトすることにより設定されるという実施形態を取ることで、異なった相対位置で得られたSNR値は、SLM画素16において測定された符号パターン15の変位に対してプロットすることができる。図7は、SLM画素変位に対してプロットされた例示的なSNR関数を示す。SNR関数は、一般的に個々のSNRblock値及び使用される再構成されたデータ・コード・ブロック26の正確な数を計算する正確な方法に関わらず実質的に対称的なガウス曲線であり、提供されたこの数は、データ・ページのデータ・コード・ブロック24に関する代表的な例を与えるのに十分に高い。図7で示されたSNR関数は、すべての再構成されたデータ・コード・ブロック26に関して式(2)を用いて得られた。
【0049】
座標の原点は、最大SNR値に対応するように設定可能であるが、これは相対位置として強制されたものではなく、相対位置における変化がオフセットを用いて記述することもできるということに注意すべきである。
【0050】
図7にプロットされたSNR関数は、1次元の位置決め問題に関する。例えば、ストレージ媒体6は、クレジットカード又は身分証明証に組み込むことができ、どのホログラフィックストレージシステム1に、いつ挿入されたかは、2つの垂直の軸の方向に沿ってしっかりと保持され、一方、それは、挿入のラインに対応する第3の垂直軸の線に沿って変位することができる。この場合、ストレージ媒体6と参照ビーム3との相対位置は、第3軸のみに沿って変化可能であり、1次元の位置決め問題を導く。挿入されたストレージ媒体6の位置が第1及び第2の軸に沿っても変化可能な場合、位置決めは、2次元及び3次元のそれぞれにおいて行われる必要がある。複数の軸に沿った参照ビーム3に対するストレージ媒体6の位置決めは、各軸に沿って整列した相対位置を後で見つけるために、すべての線に沿ってストレージ媒体6と参照ビーム3との相対位置を後に変更することにより実行可能である。ストレージ媒体6と参照ビーム3との相対位置は、SLM4の参照ビーム符号パターン15をシフトすることにより2つの軸のみに沿って変更することができる。3次元の位置決めに関し、符号パターン15のシフトは、光学的軸に沿ったストレージ媒体の物理的移動と結合することができ、又はシステム1の焦点を変えることにより結合することができる。あるいは、2又は3の可変のSNR関数を得ることができる。1次元の位置決めのみが、さらに詳しく述べられ、2次元及び3次元のケースは1次元の位置決めの単なる延長である。
【0051】
SNR関数を得た後に、キャリブレーションの第2の工程は、そこからサーボ関数を導き出すことである。それはまたサーボ制御ユニット14によって行なわれる。
【0052】
好ましいサーボ関数は、参照ビーム3の2つの相対位置x1、x2でのSNR値の対、及びストレージ媒体6に格納されたキャリブレーション・ホログラムをとることにより得られる。相対位置x1及びx2は、相対位置x1及びx2における参照ビーム3及びキャリブレーション・ホログラムの距離間の差がdであるようなものである。例えば、参照ビーム符号パターン15をシフトすることにより位置決めが実行される場合、相対位置x1及びx2はSLM4上の符号パターン15の2つの位置に対応し、dは2つの位置間の距離(好ましくはSLM画素17の数において測定した)である。そして、より小さなSNR値は、高い方のもので割られる。よって、各相対位置の対の結果は、0と1との間になる。結果は、原点に対する相対位置x1とx2との間の中間点の変位sに対してプロットされる。上述の例において、変位sは、第1及び第2の符号パターン位置(つまり相対位置x1及びx2)間の半分の符号パターン位置になるであろう。
【0053】
サーボ関数は図8に図示され、また、図9は、それがどのように得られるかを図示する。単純化のため、参照ビーム7とキャリブレーション・ホログラム(つまり原点)との相対位置がゼロの位置は、最大SNRに対応する整列状態と一致すると仮定される。しかしながら、当業者に明白であろうように、サーボ関数は、オフセットによっても計算することができる。
【0054】
図8及び図9に図示された例において、SNR関数は、横座標に中心があるガウス分布であり、一方、サーボ関数は、s=0変位でその最大値1(SNR(x1)=SNR(x2)に対応する)を有する減少関数である。
【0055】
サーボ関数は可逆であるという唯一の条件の多数の異なる方法にてサーボ関数が構築可能であることは注目すべきである。本発明の内容において、可逆なサーボ関数は、いずれかの関数値からの変位sの大きさ及び方向(つまり算術符号)を導き出すことを可能にする関数である。例えば、可逆なサーボ関数は、第1の相対位置x1と第2の相対位置x2との間のSNR関数を統合し、参照ビーム3とキャリブレーション・ホログラムとの間の距離の差が2つの相対位置x1及びx2に関してdであり、得られたサーボ値をx1(sの代わりに)に対してプロットすることにより、得ることができる。
【0056】
ストレージ媒体6に格納されたホログラム7を読み出す目的のためにストレージ媒体6に対する参照ビーム3の位置決めは、上で説明した好ましいサーボ関数を使用した場合、以下のように実行される。
【0057】
SNR値は、参照ビーム3及びストレージ媒体6の第1の相対位置x1でサーボ制御ユニット14によって計算される。そして、第2の相対位置x2は、参照ビーム3とストレージ媒体6との間に設定され、第1及び第2の相対位置x1及びx2は、上述で導入されるような差dを定義する。従って、第2のSNR値は、第2の相対位置x2で計算される。より小さなSNR値は、より高いSNR値で割られる。従って、結果は、最も高いSNR値、つまり参照ビーム3とストレージ媒体6とが整列した位置、を与える整列した相対位置を決定するために用いられる。参照ビーム3及びホログラム7を位置決めするとき、図9における点線の横座標が予期される原点、つまり予期された整列した相対位置(2つの相対位置x1及びx2の中間点であるように予期された整列した相対位置を考える)であろう。予期された整列した相対位置が実際の整列した相対位置に対応する場合、上で説明したようにSNR(x1)=SNR(x2)となる。もし、予期された整列した相対位置と実際のものとの間に変位sがあるならば、2つのSNR値の商は1と異なる。変位sは、図8に示されるように、SNR(x1)/SNR(x2)でサーボ関数の逆数をとることにより、あらかじめ記録されたサーボ関数から得ることができる。2つのSNR値のどちらが除数として用いられたかを考えることで、変位sの算術符号も容易に決定することができる。そして、参照ビーム3とストレージ媒体6との相対位置は、得られた変位sを用いることにより、整列した相対位置に対応するように設定される。
【0058】
特に、上述の位置決めは、以下の工程を行なうことにより実行することができる。
1)第1の相対位置x1に対応するSLM4の参照ビームパターン14の第1位置でのSNR値を計算すること、
2)第2の相対位置x2を得るために、SLM4のSLM画素17のdの数値によって符号パターン14をシフトすること、
3)第2の相対位置x2でSNR値を計算すること、
4)より小さなSNR値(SNR(x1))を、より高いSNR値(SNR(x2))で割ること、
5)サーボ関数値SNR(x1)/SNR(x2)から変位sを導き出すこと、
6)整列した相対位置を得るため、下記のものにより符号パターン14をシフトすること:
・SNR(x1)<SNR(x2)の場合、SLM画素17の(d/2+s)数値は第1の相対位置x1から出発する、
・SNR(x1)>SNR(x2)の場合、SLM画素17の(d/2−s)数値は第1の相対位置x1から出発する
7)整列した相対位置でホログラム7を読むこと。
【0059】
位置決めの精度を改善するために、上述の工程は、互いからSLM画素17のd数値で表示された符号パターン14に対応する第1及び第2の相対位置の他の対に関して繰り返すことができ、また、平均は、各対に関して得られた、整列した相対位置から計算することができる。それにより、ありえるエラーを排除することができる。
【0060】
上述の実施形態は、単に実施例を図示したものであり、発明を制限するように考えられるべきではない。様々な変更は、添付の請求範囲によって決定される保護の範囲から逸脱せずに、当業者に明白になるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックストレージ媒体に記録されたフーリエ・ホログラムをホログラフィックストレージシステムにより読み出す方法であって、該方法は、
a.参照ビームとストレージ媒体との少なくとも2つの相対位置において、再構成されたフーリエ・ホログラムの検出された画像から特性値を計算し、ここで、それぞれの相対位置は、それぞれの相対位置での参照ビームとストレージ媒体との位置合わせズレを示しており、
b.測定された特性値からサーボ値を計算し、
c.計算されたサーボ値を用いて、予め決定されたサーボ関数によって参照ビーム及びストレージ媒体の整列した相対位置を決定し、
d.参照ビーム及び上記ストレージ媒体の相対位置を整列した相対位置へ設定し、
e.整列した相対位置で画像を検出する、
工程を備える、読み出し方法。
【請求項2】
上記予め決定されたサーボ関数は、キャリブレーション手順により生成され、該キャリブレーション手順は下記の工程を備える、
−互いに関して参照ビームとキャリブレーション・ホログラムとの相対位置を変更することにより特有の関数を得て、ここで上記キャリブレーション・ホログラムは、フーリエ・ホログラムであり、また、それぞれの相対位置での参照ビームとキャリブレーション・ホログラムとの位置合わせズレを示す各相対位置での再構成されたキャリブレーション・ホログラムの検出された画像の特性値を計算し、
−予め決定されたサーボ関数として用いられるべき上記特有の関数から可逆なサーボ関数を計算する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記フーリエ・ホログラムは、複数のデータ・コード・ブロックを備え、各データ・コード・ブロックは、データ・コード・ブロックのセットの一つである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
データ・コード・ブロックの上記セットの各データ・コード・ブロックは、独特のパターンを有するn×m、好ましくはn×n、さらに好ましくは4×4の画素アレイである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
データ・コード・ブロックの上記セットは、参照テーブルを用いて変調符号化により得られる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
上記キャリブレーション・ホログラムは、複数のデータ・コード・ブロックを備え、各データ・コード・ブロックは、データ・コード・ブロックの上記セットの一つであり、好ましくは複数のデータ・コード・ブロックは、データ・コード・ブロックの上記セットの代表である、請求項3から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
読み出される上記フーリエ・ホログラム及び上記キャリブレーション・ホログラムは、位相符号化物体波を生成する空間光変調器(SLM)を用いて記録された位相符号化ホログラムである、請求項3から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
特有の関数は、
【数1】

として計算された信号対雑音比(SNR)関数であり、
ここで、Eは期待値関数であり、SNRblockは、データ・コード・ブロックの信号対雑音比を表わす、請求項3から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
SNRblockは、すべてのデータ・コード・ブロックに関して計算される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
SNRblockは、すべてのデータ・コード・ブロックの最小5%、好ましくは少なくとも15%、さらに好ましくは少なくとも30%に関して計算される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
SNRblockは、再構成されたデータ・コード・ブロック及びデータ・コード・ブロックのセットのすべてのデータ・コード・ブロックの最大と平均相関値との比率として計算される、請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
SNRblockは、再構成されたデータ・コード・ブロック及びデータ・コード・ブロックの予め決定されたセットのすべての可能なデータ・コード・ブロックの、最高値と2番目の高値との相関値間の差異として計算される、請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
−上記予め決定されたサーボ関数を生成するとき、複数のサーボ値が特有の関数から計算され、計算された各サーボ値は、第1参照ビームの距離とキャリブレーション・ホログラムとの間の予め与えられた差を有する、2つの相対位置の2つの特性値の比を示すものであり、サーボ関数の変数は、2つの相対位置間の中間点であり、
−上記フーリエ・ホログラムを読み出すとき、サーボ値は、読まれるべき参照ビームとホログラムとの距離間の上記予め与えられた差を有する2つの相対位置で計算された2つの特性値の比から計算される、
請求項2から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
上記参照ビームは、参照ビーム符号によって符号化される、請求項2から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
上記参照ビーム符号は、参照ビーム符号のセットの一つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
キャリブレーション用に使用される参照ビーム符号は、参照ビーム符号のセットの要素であり、好ましくは参照ビーム符号の予め決定されたセットの代表要素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フーリエ・ホログラムを読み出すために使用される参照ビーム符号は、キャリブレーション用に使用される参照ビーム符号と同一である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
キャリブレーションは、参照ビーム符号の上記セットのすべての参照ビーム符号、及び上記フーリエ・ホログラムを読み出すとき与えられた参照ビーム符号に関して得られた予め決定されたサーボ関数を選択することに関して実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
上記システムにより供給された追加情報から上記フーリエ・ホログラムを読み出すとき、参照ビーム符号を生成することをさらに含む、請求項14から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
上記追加情報は、ユーザーにより供給された符号、好ましくはピンコードである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
参照ビームは空間光変調器(SLM)によって符号化される、請求項14から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
上記参照ビームと上記フーリエ・ホログラムとの相対位置の変更は、SLMの異なる場所での参照ビーム符号を表示することにより実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
参照ビームは、位相、振幅、及び/又は偏光変調符号パターンによって符号化される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
上記システムにより上記ホログラフィックストレージ媒体で読まれるフーリエ・ホログラムを記録する工程と、次に、上記ストレージ媒体を除去する前にキャリブレーションを行なう工程とをさらに備える、請求項2から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
ホログラフィックストレージ媒体(6)に記録されたフーリエ・ホログラム(7)を読むためのホログラフィックストレージシステム(1)であって、該システム(1)は、参照ビーム(3)生成手段と、ストレージ媒体(6)受取り手段と、再構成されたホログラムを検出する検出器(5)とを備え、さらに、請求項1から24のいずれかに記載の方法を実行するためのサーボ制御ユニット(14)を備える、ホログラフィックストレージシステム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−518539(P2010−518539A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548600(P2009−548600)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000517
【国際公開番号】WO2008/095608
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504142961)バイエル・イノヴェイション・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Innovation GmbH
【Fターム(参考)】