説明

ホログラム記録再生装置

【課題】 断面形状によらず情報再生光と参照再生光の一方を再生用フォトディテクタ46に入射させ、他方を遮光し得るホログラム記録再生装置を提供すること。
【解決手段】 再生用フォトディテクタ46の手前に遮光用液晶パネル40を配置する。遮光用液晶パネル40の入射領域に配置された複数の画素の透過率は遮光用信号制御回路208により制御される。遮光用信号制御回路208は、遮光用液晶パネル40に情報再生光が入射するパターン対応領域S1および参照再生光が入射する非遮光対応領域S2を設定し、パターン対応領域S1の画素の透過率を最高値に、非遮光対応領域S2の画素の透過率を最低値に設定する。情報再生光と参照再生光の断面形状がどのように変化しても、その断面形状に応じてパターン対応領域S1および非遮光対応領域S2を設定することで、一方の光を再生用フォトディテクタ46に受光させ、他方の光を遮光することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録媒体に記録されたデータを再生するホログラム記録再生装置に関する。また、本発明は、ホログラム記録媒体にデータを記録し、記録したデータを再生するホログラム記録再生装置、さらには、ホログラム記録媒体に記録したデータと再生したデータとを比較することによりホログラム記録媒体を評価する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの記録容量の増大を図るために、ホログラム記録媒体への多重記録に関する研究が進められている。
【0003】
ホログラム記録媒体にデータを記録する主な方法は、2光束干渉方式による記録とコリニア方式による記録である。コリニア方式は、レーザ光源から出射するレーザ光を空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)で光変調することにより生成した共通の光軸を持つ情報光と参照光とを用いてホログラム記録媒体にデータを記録する方式である。共通の光軸を持った情報光と参照光がホログラム記録媒体の記録層に集光されることにより、情報光と参照光が記録層中で干渉し、干渉の結果生じる干渉縞が記録層に記録される。また、干渉縞の記録領域を記録層に対して平行に重なり合うように移動させるシフト多重方式記録を採用することにより、ホログラム記録媒体への記録容量が格段に増加する。
【0004】
通常、コリニア方式によるデータ記録時には、空間光変調器として液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)が用いられる。液晶パネルを用いる場合、複数の透明電極(画素)によりドットパターンが制御された液晶パネルに1本のレーザ光を通過させることにより、情報光と参照光が生成される。DMDを用いる場合、複数のマイクロミラー(画素)の向きが制御されたDMDに1本のレーザ光を反射させることにより、情報光と参照光が生成される。
【0005】
ホログラム記録媒体に記録されたデータを再生する場合、参照光のみがホログラム記録媒体に照射される。参照光がホログラム記録媒体に記録されている干渉縞で回折することにより再生光(回折光)が発生する。発生した再生光は、CCDやCMOSのような複数の画素からなるフォトディテクタに受光される。そして、フォトディテクタの各画素が出力する受光信号に基づいてデータが再生される。
【0006】
データ再生時にホログラム記録媒体から発生する再生光は、記録データを含む情報再生光と記録データを含まない参照再生光を含む。このうち参照再生光はデータの再生に必要無い。したがって、再生光のうち参照再生光を遮断して情報再生光のみをフォトディテクタに入射させる必要がある。特許文献1は、フォトディテクタの手前にリングマスクを設置し、このリングマスクにより参照再生光を遮断することにより、情報再生光のみをフォトディテクタに入射させるホログラム記録再生装置を開示している(特許文献1の図1および段落0062参照)。
【0007】
ホログラム記録再生装置を例えば特許文献2に示される認証装置に適用する場合、認証時には、複数のデータが記録されたホログラム記録媒体に情報を含む光が照射される。すると、ホログラム記録媒体から情報を含む光と情報を含まない光が発生する。このうち情報を含む光が遮光され、情報を含まない光がフォトディテクタに受光される。受光された情報を含まない光の強度により、情報を含む光により表される元データがホログラム記録媒体に記録されているデータと同一であるか否かが判定される。この一致性の判定によって複数のデータから特定のデータが認証される。認証装置によるこのような一致性の判定が、データの再生に相当する。この認証装置は、ホログラム記録媒体に情報を含む光を照射する点および、ホログラム記録媒体から発生する光のうち情報を含む光を遮光し、情報を含まない光をフォトディテクタに入射させる点で、データを再生するホログラム記録再生装置と異なる。しかし、照射する光の種類および遮光する光の種類がデータ再生時のそれと異なるだけである。したがって、データ再生時にフォトディテクタの手前に設置したリングマスクなどの遮光手段によって情報を含む光を遮光することができる。
【0008】
以下、説明を簡単にするため、ホログラム記録再生装置を認証装置に適用した場合も、データ記録時にホログラム記録媒体に照射する光のうち情報を含む光を情報光、情報を含まない光を参照光と呼び、認証時にホログラム記録媒体から発生する光のうち、情報を含む光を情報再生光、情報を含まない光を参照再生光と呼ぶ。また、本明細書において、データ再生に「認証」が含まれる場合がある。また、混同を避けるため、通常のデータ再生を「データ再現」と呼ぶ場合がある。
【0009】
ホログラム記録媒体から発生する再生光の断面形状は、データ記録時にホログラム記録媒体に照射されるレーザ光の断面形状と同一形状である。しかし、再生光は、フォトディテクタに受光されるまでに経由する光学系により拡大または縮小されるため、フォトディテクタに受光される直前での再生光の断面形状とデータ記録時にホログラム記録媒体に照射されるレーザ光の断面形状とは完全同一ではない。ただし、両者間の相似関係は維持される。したがって、この相似関係に基づいて、フォトディテクタに受光される直前位置での再生光の断面形状が把握され得る。こうして把握された再生光の断面形状から、情報再生光と参照再生光との境界位置が求められる。求めた境界位置を基準にリングマスクを設置することにより、情報再生光のみ、あるいは参照再生光のみがフォトディテクタに入射される。
【0010】
特許文献3は、参照光から得られる不変データ領域中に形成された基準マークを基準として、情報光と参照光の境界位置に対応する情報再生光と参照再生光との境界位置を検出する手段と、こうして検出した境界位置に応じて上記リングマスクに相当する遮光板の位置および開口径を変化させる手段とを備えるホログラム記録再生装置を開示している。これによれば、情報光と参照光の境界位置が変動した場合であっても、基準マークを基準として情報再生光と参照再生光との境界位置を検出することにより、情報再生光のみを確実にフォトディテクタに入射させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−39181号公報
【特許文献2】特開2008−233186号公報
【特許文献3】特開2008−197575号公報
【発明の概要】
【0012】
上述したように、データ再現時または認証時にホログラム記録媒体から発生するレーザ光の断面形状は、データ記録時にホログラム記録媒体に照射されるレーザ光の断面形状と相似である。したがって、データ再現時にフォトディテクタに情報再生光(認証時においては参照再生光)のみを受光させる場合、この相似関係に基づいて得られる情報再生光と参照再生光との境界位置に基づいて開口径が決定された遮光手段をフォトディテクタの手前に設置することで、参照再生光(認証時においては情報再生光)を遮断することができる。
【0013】
ところで、様々なホログラム記録媒体に対してデータの記録および再生を行い、その結果を基にホログラム記録媒体を評価する機能を有するホログラム記録再生装置は、データの記録時に情報光と参照光の断面形状が様々に変化したレーザ光をホログラム記録媒体へ照射する場合がある。こうした場合、情報再生光と参照再生光の断面形状も様々に変化するため、データ再生時に、単一の遮光手段の開口径を変化させるだけでは、それぞれの断面形状に応じて遮光すべき光(データ再現においては参照再生光、認証においては情報再生光)を遮光することができない。それぞれの断面形状に応じた遮光手段を予め作製しておいて、再生時に各断面形状に対応する遮光手段を用いれば、それぞれの断面形状に応じて遮光すべき光を遮光することはできるが、不経済である。また、遮光すべき光が遮光しない光の内側に配置している場合、遮光手段を保持することができず、その結果十分に遮光すべき光を遮光することができない場合も生じる。
【0014】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、情報再生光と参照再生光の断面形状がどのように変化しても、データ再生時に情報再生光と参照再生光のうちいずれか一方の光(データ再現時においては情報再生光、認証時においては参照再生光)をフォトディテクタに受光させ、いずれか他方の光(データ再現時においては参照再生光、認証時においては情報再生光)のみをフォトディテクに受光させないよう遮光し得るホログラム記録再生装置を提供することにある。
【0015】
本発明の特徴は、レーザ光を出射するレーザ光源(10)と、レーザ光を変調し得る複数の画素により前記レーザ光源(10)から出射されたレーザ光を入射する入射面が形成され、入射したレーザ光から情報光および/または参照光を生成する空間光変調器(16)と、前記空間光変調器(16)により生成した情報光または参照光をホログラム記録媒体(HK)に照射することによって発生する情報再生光および参照再生光のいずれか一方の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号を出力する受光器(46)と、前記受光器(46)が出力する信号に基づいて、前記ホログラム記録媒体(HK)に記録されたデータを再生する再生手段(216,220)と、を備えるホログラム記録再生装置において、前記情報再生光および前記参照再生光の光路中に介在され、前記情報再生光および前記参照再生光が入射する入射領域に配置された複数の画素を有する遮光用光学部材(40)と、前記遮光用光学部材(40)の各画素の光学的特性を制御する遮光用光学部材制御手段(208)と、を備え、前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ再生時に、前記入射領域内に、前記いずれか一方の光が前記遮光用光学部材(40)に入射する第1領域および前記いずれか他方の光が前記遮光用光学部材に入射する第2領域を設定するとともに、前記第1領域に入射する光が前記受光器(46)に入射し、前記第2領域に入射する光が前記受光器(46)に入射しないように、前記第1領域に配置された画素の光学的特性と前記第2領域に配置された画素の光学的特性とを制御することを特徴とするホログラム記録再生装置とすることにある。
【0016】
本発明のホログラム記録再生装置によれば、データ再生時に、遮光用光学部材制御手段によって、遮光用光学部材に情報再生光と参照再生光のいずれか一方の光が入射する第1領域と、いずれか他方の光が入射する第2領域が設定される。さらに、第1領域に入射した光が受光器に入射するように、第1領域に配置された画素の光学的特性が制御され、第2領域に入射した光が受光器に入射しないように、第2領域に配置された画素の光学的特性が制御される。このように遮光用光学部材の各画素の光学的特性が制御されるので、第1領域に入射した光(情報再生光と参照再生光のうちいずれか一方の光)は受光器に入射される。一方、第2領域に入射した光(情報再生光と参照再生光のうちいずれか他方の光)は受光器に入射されない。
【0017】
本発明の遮光用光学部材は情報再生光と参照再生光が入射される入射領域に複数の画素が配置されているので、遮光用光学部材制御手段によって各画素の光学的特性を制御することにより、受光器に入射すべき光の入射領域である第1領域の形状と受光器に入射すべきでない光の入射領域である第2領域の形状を任意に設定することができる。よって、情報再生光と参照再生光の断面形状がどのように変化しても、入射する情報再生光と参照再生光の断面形状に応じて第1領域および第2領域を設定することができる。そして、設定した各領域に配置された画素の光学的特性を制御することで、いずれか一方の光のみを受光器に受光させ、いずれか他方の光を受光器に受光させないよう遮光することができる。
【0018】
本発明において、「データ再生」とは、ホログラム記録媒体に記録されたデータから記録時のデータを作成し、このデータをデコードする通常のデータ再生(データ再現)のみならず、ホログラム記録媒体に記録された複数のデータの内の特定のデータとある一つのデータとの一致性を判断する「認証」を含むものとする。「データ再現」を実行する場合、空間光変調器により再生光のみが生成される。また、受光器には情報再生光が受光される。したがってこの場合、前記いずれか一方の光は情報再生光であり、前記いずれか他方の光は参照再生光である。一方、「認証」を実行する場合、空間光変調器により情報光のみが生成される。また、受光器には参照再生光が受光される。したがってこの場合、前記いずれか一方の光は参照再生光であり、前記いずれか他方の光は情報再生光である。
【0019】
「遮光用光学部材」は、複数の画素から構成され、各画素に入射した光に光学的な変化をもたらし得るものであれば、どのようなものでもよい。例えば液晶パネルやDMDなどが、遮光用光学部材として例示される。また、「光学的特性」は、画素が入射光に与える光学的な影響を表す性質である。例えば、透過率、反射角、屈折率、周波数などが、光学的特性として例示される。また、「画素」とは、2次元のデジタル画像(デジタルデータ)を構成する最小単位を言う。遮光用光学部材が液晶パネルである場合、画素は液晶パネル内に配列された透明電極であり、遮光用光学部材がDMDである場合、画素はマイクロミラーである。
【0020】
本発明のホログラム記録再生装置は、前記空間光変調器(16)により生成した情報光および参照光をホログラム記録媒体(HK)に照射することにより、ホログラム記録媒体(HK)にデータを記録するデータ記録機能を有し、前記データ記録機能を用いてホログラム記録媒体(HK)に記録したデータを前記再生手段(216,220)により再生するものであるのがよい。これによれば、データの記録と再生を一つのホログラム記録再生装置により行うことができる。
【0021】
また、前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ再生時に、前記第2領域に連続して形成され且つ前記第2領域を囲む追加領域を設定するとともに、前記追加領域に入射する光が前記受光器(46)に入射しないように、前記追加領域に配置された画素の光学的特性を制御するものであるとよい。これによれば、第2領域と、その第2領域を囲む追加領域に入射した光は、受光器に入射されない。したがって、レーザ光の光軸ぶれにより受光器に入射すべきでない光が第2領域からはみ出した場合であっても、そのはみ出し領域が追加領域に包含される限り、受光器に入射すべきでない光が受光器に入射されることはない。その結果、受光器に入射すべきでない光の遮断性能が向上する。
【0022】
また、本発明のホログラム記録再生装置は、データ記録時に、前記空間光変調器(16)の前記入射面に情報光を生成する領域であるパターン領域と、参照光を生成する領域である参照光領域と、情報光も参照光も生成しない領域である遮光領域を設定する領域設定手段(206)と、データ記録時に、記録すべき情報を2次元データに変換し、変換した2次元データを出力する記録用データ生成手段(204)と、データ記録時に、前記記録用データ生成手段が出力した2次元データに基づいて前記パターン領域に配置された画素を制御するための信号を生成するとともに、生成した信号を、前記参照光領域に配置された画素を制御するための信号および前記遮光領域に配置された画素を制御するための信号とともに、前記空間光変調器に出力する記録用信号生成手段(206)と、を更に備えるのがよい。そして、前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ再生時に、前記領域設定手段(206)によって設定された前記パターン領域および前記参照光領域に基づいて、前記第1領域および前記第2領域を設定するものであるのがよい。この場合において、遮光用光学部材制御手段が第1領域および第2領域に加え、追加領域を設定するときは、遮光用光学部材制御手段は、パターン領域および参照光領域に基づいて、第1領域,第2領域および追加領域を設定するものであるのがよい。
【0023】
これによれば、遮光用光学部材制御手段は、データ記録時に領域設定手段によって設定された空間光変調器のパターン領域および参照光領域に基づいて、遮光用光学部材に第1領域と第2領域(さらに追加領域)を設定する。情報再生光は空間光変調器のパターン領域から生成される情報光が再生された光であるから、情報再生光の断面形状は、パターン領域の形状と同一または相似である。また、参照再生光は空間光変調器の参照光領域から生成される参照光が再生された光であるから、参照再生光の断面形状は、参照光領域の形状と同一または相似である。したがって、遮光用光学部材制御手段は、空間光変調器に形成されたパターン領域および参照光領域に基づいて、より適切に、遮光用光学部材に第1領域および第2領域を設定することができる。
【0024】
この場合、「データ再現」を実行するときは、遮光用光学部材制御手段は、遮光用光学部材の入射領域のうち、パターン領域に対応する領域(パターン領域にて生成された情報光を再生した情報再生光が遮光用光学部材に入射すると考えられる領域)を第1領域として設定し、参照光領域に対応する領域(参照光領域にて生成された参照光を再生した参照再生光が遮光用光学部材に入射すると考えられる領域)を第2領域として設定すればよい。一方、「認証」を実行するときは、遮光用光学部材制御手段は、パターン領域に対応する領域を第2領域として設定し、参照光領域に対応する領域を第1領域として設定すればよい。なお、遮光領域に対応する領域には、原則的に遮光用光学部材に光が入射されないので、遮光用光学部材制御手段はこれらの領域に配置された画素を制御する必要は無いが、遮光領域に対応する領域に第2領域を囲む領域が存在する場合、その領域を追加領域として設定すればよい。また、遮光領域に対応する領域のうち、追加領域以外の領域であって、パターン領域に対応する領域に接する領域は、パターン領域に対応する領域と同一の光学的特性を持つ領域(データ再現であれば第1領域、認証であれば第2領域と同一の光学的特性を持つ領域)として設定するとよい。さらに、遮光領域に対応する領域のうち、追加領域以外の領域であって、パターン領域に対応する領域に接しない領域は、参照光領域に対応する領域と同一の光学的特性を持つ領域(データ再現であれば第2領域、認証であれば第1領域と同一の光学的特性を持つ領域)として設定するとよい。
【0025】
なお、空間光変調器に形成される各領域に基づいて遮光用光学部材に第1領域や第2領域を設定するためには、空間光変調器の各画素位置と、遮光用光学部材の各画素位置との対応関係が明らかにされていなければならないが、この関係は、予め実験等によって把握しておくことができる。したがって、遮光用光学部材制御手段は、予め把握されている空間光変調器の各画素位置と遮光用光学部材の各画素位置との対応関係と、空間光変調器に設定されるパターン領域および参照光領域とに基づいて、第1領域および第2領域(さらには追加領域)を設定すればよい。
【0026】
また、前記記録用信号生成手段(206)は、データ記録時に、前記パターン領域に入射した光から生成される情報光に、前記パターン領域の位置を表すための位置決めパターン画像が含まれるように、前記パターン領域に配置された画素を制御するための信号を生成するのがよい。また、前記ホログラム記録再生装置は、前記受光器(46)が出力する信号に基づいて、データ再生時に情報再生光に含まれる位置決めパターン画像が前記受光器(46)に入射する実位置を検出し、検出した実位置と、前記位置決めパターン画像が前記受光器(46)に入射する正規の位置として予め定められている正規位置とを比較することにより、前記実位置と前記正規位置との間の変化量を検出する位置変化量検出手段(214)を備えるのがよい。そして、前記遮光用光学部材制御手段(208)は、前記位置変化量検出手段(214)が検出した変化量に基づいて、前記遮光用光学部材(40)に設定する前記第1領域と前記遮光用光学部材(40)に入射する前記いずれか一方の光の入射領域とのずれ、および、前記遮光用光学部材(40)に設定する前記第2領域と前記遮光用光学部材(40)に入射する前記いずれか他方の光の入射領域とのずれが無くなるように、設定すべき前記第1領域および前記第2領域の位置を修正するものであるのがよい。
【0027】
受光器に形成される位置決めパターン画像の実位置と正規位置との間の変化量は、パターン領域と参照光領域の形成位置に基づいて遮光用光学部材に設定される第1領域と第2領域の形成位置と、実際に遮光用光学部材に入射された情報再生光と参照再生光の入射位置とのずれ量を表す。この変化量に基づいて、第1領域と情報再生光と参照再生光のいずれか一方の光(受光器に入射すべき光)の入射領域とのずれ、および、第2領域といずれか他方の光(受光器に入射すべきでない光)の入射領域とのずれが修正される。したがって、例えばホログラム記録媒体(HK)で反射したレーザ光の光軸角度が大きく変化して情報再生光および参照再生光の入射領域が設定した領域と大きく乖離した場合でも、上記の修正によって的確に第1領域および第2領域の設定位置と情報再生光および参照再生光の入射位置を合わせることができる。これにより、確実に受光器に受光すべき光を受光させ、受光すべきでない光を遮光することができる。
【0028】
また、前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ記録時に前記遮光用光学部材(40)に入射する光が前記受光器(46)に入射しないように、前記遮光用光学部材(40)の全ての画素の光学特性を同一の光学的特性に制御するものであるのがよい。これによれば、データ記録時にホログラム記録媒体から反射または透過して遮光用光学部材に入射したレーザ光が受光器に受光されることを防止することができ、受光器の長寿命化を図ることができる。
【0029】
また、前記遮光用光学部材制御手段(208)により制御される前記遮光用光学部材(40)の各画素の光学的特性は、透過率または反射角度であるのがよい。また、遮光用光学部材(40)は液晶パネルまたはDMDであるとよい。遮光用光学部材が液晶パネルである場合、遮光用光学部材制御手段(208)は、液晶パネルの画素の透過率を制御するものであるとよい。遮光用光学部材がDMDである場合、遮光用光学部材制御手段(208)はDMDのマイクロミラーの向き(反射角)を制御するものであるとよい。また、本発明のホログラム記録再生装置は、コリニア方式で記録されたホログラム記録媒体を再生、評価する場合に好適である。コリニア方式で記録されたホログラム記録媒体から生じる情報再生光と参照再生光は共通の光軸を持つため、フォトディテクタの手前で一方の光を遮断する必要性が高いからである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係るコリニア方式のホログラム記録再生装置の全体構成図である。
【図2】条件設定プログラムの流れを示すフローチャートである。
【図3】パターン領域、非遮光領域、遮光領域の指定例を表す図である。
【図4】透過領域と非透過領域の設定例を表す図である。
【図5】パターン領域、非遮光領域、遮光領域の他の指定例を表す図である。
【図6】透過領域と非透過領域の他の設定例を表す図である。
【図7】パターン領域、非遮光領域、遮光領域の他の指定例を表す図である。
【図8】透過領域と非透過領域の他の設定例を表す図である。
【図9】位置決めパターンが形成されたパターン領域の一例を表す図である。
【図10】位置決めパターン画像の実位置と正規位置とのずれに基づいて遮光用液晶に設定される透過領域と非透過領域が修正された状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態に係るホログラム記録再生装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るコリニア方式のホログラム記録再生装置の全体構成図である。このホログラム記録再生装置1は、ホログラム記録媒体HKに共通の光軸を持つ情報光および参照光を照射することにより、ホログラム記録媒体HKにデータを記録するデータ記録機能を有する。また、データが記録されたホログラム記録媒体HKに参照光を照射することによってホログラム記録媒体HKから発生する情報再生光を受光し、受光した光の強度に基づいてデータを再生(再現)するデータ再生機能を有する。さらに、記録データに対する再生データのエラー率を検出することでホログラム記録媒体HKを評価する機能を有する。また、ホログラム記録再生装置1は、ホログラム記録媒体HKに認証に関するデータを記録し、そのホログラム記録媒体HKに情報光を照射したときに発生する参照再生光の強度を検出することで、データの一致性を判定する認証装置に適用することもできる。
【0032】
図1に示されるように、ホログラム記録再生装置1は、ピックアップ装置100と、ホログラム記録再生評価回路200と、テーブル制御回路300と、フォーカス・トラッキング制御回路400と、コントローラ500と、ターンテーブル601と、スピンドルモータ602と、フィードモータ603と、表示装置701と、入力装置702とを備える。コントローラ500は、ホログラム記録再生装置1の全ての動作を制御する制御手段である。
【0033】
ピックアップ装置100は、メインレーザ光源10およびサーボ用レーザ光源48、コリメートレンズ12,50、ミラー14,24,30、DMD(Digital Micromirror Device)16、リレーレンズ18,22、偏光ビームスプリッタ20、ダイクロイックプリズム26、1/4波長板28、対物レンズ32、フォーカスアクチュエータ34、トラッキングアクチュエータ36、ビームスプリッタ52、集光レンズ38,54、遮光用液晶パネル40、リレーレンズ42,44、シリンドリカルレンズ56、再生用フォトディテクタ46およびサーボ用フォトディテクタ58を備える。
【0034】
メインレーザ光源10は、ホログラム記録媒体HKにデータを記録し、また、データを再生(再現)あるいは認証するためのレーザ光を出射する素子である。コリメートレンズ12、ミラー14、DMD16、リレーレンズ18、偏光ビームスプリッタ20、リレーレンズ22、ミラー24、ダイクロイックプリズム26、1/4波長板28、ミラー30、対物レンズ32により、メインレーザ光源10から出射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに照射されるまでの光学系が構成される。
【0035】
メインレーザ光源10から出射したレーザ光は、コリメートレンズ12を通過することにより平行光になり、この平行光がミラー14に反射して、空間光変調器であるDMD16に入射する。DMD16は、入射したレーザ光を変調し得る複数のマイクロミラー(画素)により形成された入射面を持ち、この入射面にメインレーザ光源10から出射されたレーザ光が入射する。入射面内の各マイクロミラーの向きを制御することで、DMD16に入射したレーザ光は空間的に変調される。このDMD16により情報光および/または再生光(データ記録時には情報光および再生光、データ再生(再現)時または認証時には参照光または情報光)が生成される。DMD16で生成された光はリレーレンズ18,偏光ビームスプリッタ20,リレーレンズ22を通過し、さらにミラー24に反射して進行方向を変える。その後ダイクロイックプリズム26に入射する。情報光および/または再生光はダイクロイックプリズム26を透過し、1/4波長板28、ミラー30を経て対物レンズ32に入射し、ホログラム記録媒体HKの記録層上に集光する。
【0036】
また、ホログラム記録媒体HKから発生する情報再生光および参照再生光は、対物レンズ32、ミラー30、1/4波長板28を経由してダイクロイックプリズム26に入射する。このダイクロイックプリズム26を透過した後、ミラー24で反射し、リレーレンズ22を経て偏光ビームスプリッタ20に入射する。リレーレンズ22側から偏光ビームスプリッタ20に入射したレーザ光は、1/4波長板28を2回通過することで偏光方向が90°変わるため、大部分が反射する。偏光ビームスプリッタ20で反射した光は、集光レンズ38を介して遮光用液晶パネル40に入射する。
【0037】
遮光用液晶パネル40は、ホログラム記録媒体HKから発生した情報再生光および参照再生光の光路中に介在されており、情報再生光および参照再生光が入射する入射領域を持つ。この入射領域に複数の画素(例えば透明電極)が配置される。データ再生時には、情報再生光および参照再生光のいずれか一方の光がこの遮光用液晶パネル40を透過し、いずれか他方の光がこの遮光用液晶パネル40を透過しないように、後述する遮光用信号生成回路208により遮光用液晶パネル40の各画素の透過率が制御される。
【0038】
遮光用液晶パネル40を透過した光は、リレーレンズ42,44を経て再生用フォトディテクタ46に受光される。再生用フォトディテクタ46は受光した光の強度に応じた信号を各画素ごとに出力する。
【0039】
サーボ用レーザ光源48はフォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御用のレーザ光を出射する素子である。コリメートレンズ50、ビームスプリッタ52、ダイクロイックプリズム26、1/4波長板28、ミラー30、対物レンズ32により、サーボ用レーザ光源48から出射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに照射されるまでの光学系が構成される。
【0040】
サーボ用レーザ光源48から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ50を通過することにより平行光になり、ビームスプリッタ52を透過した後にダイクロイックプリズム26で反射される。ダイクロイックプリズム26で反射されたレーザ光は1/4波長板28、ミラー30および対物レンズ32を経由してホログラム記録媒体HKに形成されたトラックに集光する。集光位置からの反射光は対物レンズ32により平行光にされ、ミラー30で反射し、さらに1/4波長板28を通過し、ダイクロイックプリズム26で反射された後にビームスプリッタ52に入射する。この入射光の半分程度が反射し、半分程度が透過する。ビームスプリッタ52で反射した反射光は集光レンズ54、シリンドリカルレンズ56を経由してサーボ用フォトディテクタ(例えば4分割フォトディテクタ)58に受光される。
【0041】
サーボ用レーザ光源48から出射されたレーザ光の焦点がホログラム記録媒体HKのトラック位置に合っている場合、サーボ用フォトディテクタ58の受光面に受光される光スポットの断面形状は円形である。一方、レーザ光の焦点がホログラム記録媒体HKのトラック位置から光軸方向にずれている場合、サーボ用フォトディテクタ58の受光面に形成される光スポットの断面形状は、受光面の対角上に長軸を持つ楕円形状である。したがって、サーボ用フォトディテクタ58の受光面を上下左右に4分割した各分割領域に受光された光の強度を比較演算することにより、焦点のずれ量を信号として検出することができる。この焦点ずれがなくなるようにフォーカスサーボ制御が行われる。本実施形態では非点収差法によるフォーカスサーボ制御が行われる。
【0042】
また、サーボ用レーザ光源48から出射されたレーザ光の焦点がホログラム記録媒体HKのトラック位置からレーザ光の光軸方向に垂直な方向であって且つトラックの溝方向に垂直な方向(以下、この方向を径方向と呼ぶ)にずれている場合、すなわち焦点位置の径方向ずれが発生している場合、サーボ用フォトディテクタ58の受光面の左側および右側のいずれか一方の分割領域に受光される光量が、いずれか他方の分割領域に受光される光量よりも少ない。焦点位置の径方向ずれが発生していない場合は、サーボ用フォトディテクタ58の受光面の左側の分割領域に受光される光量と右側の分割領域に受光される光量は等しい。したがって、サーボ用フォトディテクタ58の受光面の各分割領域に受光された光の強度を比較演算することにより、焦点位置の径方向ずれを信号として検出することができる。この径方向ずれがなくなるようにトラッキングサーボ制御が行われる。本実施形態ではプッシュプル法によるトラッキングサーボ制御が行われる。
【0043】
フォーカスアクチュエータ34は、フォーカスサーボ制御実行時に後述するドライブ回路416からの駆動信号にしたがってレーザ光の光軸方向に対物レンズ32を駆動する。トラッキングアクチュエータ36は、トラッキングサーボ制御実行時に後述するドライブ回路410からの駆動信号にしたがって径方向に対物レンズ32を駆動する。
【0044】
ターンテーブル601は、ホログラム記録媒体HKを載置するテーブルである。スピンドルモータ602は、ターンテーブル601を回転させるためのモータである。フィードモータ603は、ターンテーブル601に載置されたホログラム記録媒体HKの径方向にターンテーブル601を移動させるためのモータである。
【0045】
テーブル制御回路300は、スピンドルモータ制御回路302と、半径位置検出回路304と、フィードモータ制御回路306とを備える。スピンドルモータ制御回路302は、スピンドルモータ602内のエンコーダから入力されるパルス信号の単位時間あたりのパルス数がコントローラ500から入力される回転速度に相当するパルス数になるように、スピンドルモータ602の回転を制御する。
【0046】
半径位置検出回路304は、フィードモータ603に内蔵されたエンコーダからパルス信号を入力する。また、半径位置検出回路304は、ホログラム記録再生装置1の電源が投入された直後に開始されるフィードモータ603の初期位置復帰動作中にそのエンコーダからのパルス信号を入力するとともに、その入力が停止した場合に、初期半径位置を設定する。そして、それ以降入力されるパルス信号のパルス数をカウントすることにより、ターンテーブル601の径方向への移動距離を算出するとともにこの移動距離を初期半径位置に加減することにより、ホログラム記録媒体HK上に照射されるレーザ光の径方向位置を表す実半径位置を算出し、算出した実半径位置をコントローラ500およびフィードモータ制御回路306に出力する。なお、コントローラ500は、半径位置検出回路304から入力される実半径位置から、所定の線速度に相当するターンテーブル601の回転速度を演算し、演算した回転速度をスピンドルモータ制御回路302に出力する。
【0047】
フィードモータ制御回路306は、以下の働きをする。
・ホログラム記録再生装置1の電源が投入されると駆動開始し、フィードモータ603を駆動限界位置まで初期駆動させる(初期位置復帰動作)。
・半径位置検出回路304から実半径位置を入力するとともに、データ記録および再生中にコントローラ50から入力される半径位置と実半径位置が一致する径方向にターンテーブル601が移動するようにフィードモータ603を所定の送り速度で駆動する。また、実半径位置が、コントローラ50から入力される照射終了位置に一致した場合にフィードモータ603の駆動を停止する。
・コントローラ500からスレッドサーボ開始の指令を入力するとフィードモータ603に内蔵されたエンコーダから入力されるパルス信号の単位時間あたりのパルス数が後述するスレッドサーボ回路418から入力される送り速度に相当するパルス数になるように、フィードモータ603の回転を制御する。
【0048】
フォーカス・トラッキング制御回路400は、フォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御を実行するための回路であり、サーボ用レーザ駆動回路402、信号増幅回路404、トラッキングエラー信号(TE信号)生成回路406、トラッキングサーボ回路408、ドライブ回路410、フォーカスエラー信号(FE信号)生成回路412、フォーカスサーボ回路414、ドライブ回路416およびスレッドサーボ回路418を備える。
【0049】
サーボ用レーザ駆動回路402は、コントローラ500から作動開始の指令を入力した場合に、サーボ用レーザ光源48から所定の強度のレーザ光が出射するように、サーボ用レーザ光源48に電圧および電流を供給する。
【0050】
信号増幅回路404は、サーボ用フォトディテクタ58の受光面の各分割領域から出力された信号を入力するとともに入力した信号を増幅し、各増幅信号をトラッキングエラー信号(TE信号)生成回路406およびフォーカスエラー信号(FE信号)生成回路412に出力する。
【0051】
トラッキングエラー信号生成回路406は、信号増幅回路404から入力した各増幅信号をプッシュプル法による演算式(a+b)−(c+d)に当てはめることによりトラッキングエラー信号を生成し、生成したトラッキングエラー信号をトラッキングサーボ回路408に出力する。なお、上記演算式中のa,b,c,dは、サーボ用フォトディテクタ58の受光面を上下左右に4分割した場合における各分割領域に配置される各フォトディテクタが出力する受光信号を表す。具体的に言えば、ターンテーブル601上に載置されたホログラム記録媒体HKに形成されているトラックの溝方向に対応する方向を上下方向、径方向に対応する方向を左右方向と定義したサーボ用フォトディテクタ58の受光面の右上に位置する分割領域に配置されたフォトディテクタの出力信号がa、右下に位置する分割領域に配置されたフォトディテクタの出力信号がb、左下に位置する分割領域に配置されたフォトディテクタの出力信号がc、左上に位置する分割領域に配置されたフォトディテクタの出力信号がdである。
【0052】
トラッキングサーボ回路408は、入力したトラッキングエラー信号を0にするために必要な対物レンズ32の径方向への移動量を表すトラッキングサーボ信号を作成し、作成したトラッキングサーボ信号をドライブ回路410に出力する。ドライブ回路410は、入力したトラッキングサーボ信号に基づいて対物レンズ32を径方向に駆動するための信号をトラッキングアクチュエータ36に供給する。供給された信号に基づいてトラッキングアクチュエータ36が駆動することにより、トラッキングサーボ制御が実行される。
【0053】
フォーカスエラー信号生成回路412は、信号増幅回路404から入力した各増幅信号を非点収差法による演算式(a+c)−(b+d)に当てはめることによりフォーカスエラー信号を生成し、生成したフォーカスエラー信号をフォーカスサーボ回路414に出力する。
【0054】
フォーカスサーボ回路414はフォーカスエラー信号を入力し、入力したフォーカスエラー信号を0にするために必要な対物レンズ32の光軸方向への移動量を表すフォーカスサーボ信号を作成し、作成したフォーカスサーボ信号をドライブ回路416に出力する。ドライブ回路416は入力したフォーカスサーボ信号に基づいて、対物レンズ32をレーザ光の光軸方向に駆動するための信号をフォーカスアクチュエータ34に供給する。供給された信号に基づいてフォーカスアクチュエータ34が駆動することにより、フォーカスサーボ制御が実行される。
【0055】
スレッドサーボ回路418は、トラッキングサーボ回路408からトラッキングサーボ信号を入力し、信号の直流成分を検出して、この直流成分を0にするために必要なフィードモータ603の送り速度を表す信号を作成し、作成した信号をフィードモータ制御回路306に出力する。トラッキングサーボ信号の直流成分は対物レンズ32の中立位置からのずれに相当する。このずれがなくなるようにフィードモータ603を駆動することで、サーボ用レーザ光の焦点がホログラム記録媒体HKのトラックの溝を追従して半径方向に移動する。
【0056】
ホログラム記録再生評価回路200は、ピックアップ装置100を用いてホログラム記録媒体HKにデータを記録するとともに、ホログラム記録媒体HKの記録データを再生(再現または認証)し、再生結果を基にホログラム記録媒体HKを評価するための回路である。ホログラム記録再生評価回路200は、メインレーザ駆動回路202と、記録用2値化データ生成回路204と、DMD制御信号生成回路206と、遮光用信号生成回路208と、輝度データ生成回路210と、再生用2値化データ生成回路212と、位置変化量検出回路214と、再生データ生成回路216と、エラー率検出回路218と、光量検出回路220とを備える。
【0057】
メインレーザ駆動回路202は、コントローラ500から作動開始指令を入力した場合に駆動を開始し、メインレーザ光源10から所定の強度のレーザ光が出射するように、メインレーザ光源10に電圧および電流を供給する。
【0058】
記録用2値化データ生成回路204は、コントローラ500からの指令により記録用データ(元データ)の単位数(2次元の2値化データに変換するごとのデータ量)を設定する。また、コントローラ500から記録用データ(元データ)を入力し、設定した単位数ごとに記録用データ(元データ)を2次元の2値化データ(2次元平面に「0」,「1」を並べたデータで、そのデータ数は後述するパターン領域のマイクロミラーの数に相当する)に変換(エンコード)する。そして、変換した2値化データをDMD制御信号生成回路206に出力する。
【0059】
DMD制御信号生成回路206はメモリを持つ。そして、コントローラ500からの指令により、DMD16の入射面に形成されるべきパターン領域、非遮光領域および遮光領域を設定するとともに、メモリ領域の一部を、パターン領域、非遮光領域および遮光領域にそれぞれデータを出力するメモリ領域に割り当てる。また、DMD制御信号生成回路206は、記録用2値化データ生成回路204から入力した2次元の2値化データに基づいて、パターン領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するための信号を作成する。そして、作成したデータを、パターン領域にデータを出力するメモリ領域に記憶する。
【0060】
パターン領域、非遮光領域、遮光領域は、いずれもDMD16の入射面上に形成される領域である。各領域に配置されるマイクロミラーの向きはDMD制御信号生成回路206のメモリから出力されるデータによって制御される。データ記録時には、パターン領域に配置されるマイクロミラーの向きは、この領域に配置されたマイクロミラーで反射されたレーザ光により記録用2値化データ生成回路204で生成された2次元の2値化データを表すパターン画像を含む情報光が形成され、且つその情報光がホログラム記録媒体HKに入射するように、DMD制御信号生成回路206から出力されるデータにより制御される。また、非遮光領域に配置されたマイクロミラーの向きは、その領域で反射されたレーザ光により参照光が形成され、且つその参照光がホログラム記録媒体HKに入射するように、DMD制御信号生成回路206から出力されるデータにより制御される。遮光領域に配置されたマイクロミラーの向きは、その領域で反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射しないように、つまり情報光も参照光も生成しないように、DMD制御信号生成回路206から出力されるデータにより制御される。なお、本実施形態においては、DMD16のパターン領域にて生成された情報光に、パターン領域の位置を表すための位置決めパターン画像が含まれるように、パターン領域に配置されたマイクロミラーの向きが制御される。この位置決めパターン画像は、データ再生時に情報再生光に含まれる。
【0061】
遮光用信号生成回路208はメモリを持つ。そして、コントローラ500からの指令に基づき、遮光用液晶パネル40の入射領域に透過領域と非透過領域とを設定するとともに、メモリ領域の一部を、透過領域に配置された画素の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域と、非透過領域に配置された画素の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域に割り当てる。透過領域の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域には、透過率を最高値に設定するためのデータが記憶され、非透過領域の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域には、透過率を最低値に設定するためのデータが記憶される。記憶されたデータはデータ再生時に遮光用液晶パネル40に出力される。また、遮光用信号生成回路208のメモリには、遮光用液晶パネル40の全ての画素の透過率を最低値に設定するためのデータも記憶されている。このデータは、ホログラム記録媒体HKへのデータ記録時に遮光用液晶パネル40に出力される。
【0062】
また、遮光用信号生成回路208には、コントローラ500から、遮光用液晶パネル40の各画素の位置と再生用フォトディテクタ46の各画素の位置との対応関係を表す情報又は、遮光用液晶パネル40の方向,距離と、再生用フォトディテクタ46の方向,距離との関係を表す情報が入力される。遮光用信号生成回路208はこれらの情報をメモリに記憶する。
【0063】
輝度データ生成回路210は、コントローラ500から作動指令を入力した場合に作動を開始し、再生用フォトディテクタ46が出力する画素ごとの信号の強度値を輝度に関するデジタルデータ(輝度データ)に変換し、輝度データとその輝度データに対応する画素の位置データとを対応付けて出力する。
【0064】
光量検出回路220は、コントローラ500から作動指令を入力した場合に作動を開始し、輝度データ生成回路210が出力した各画素の輝度データに基づいて、ホログラム記録媒体HKの記録データごとの再生光強度を演算してコントローラ500に出力する。コントローラ500は、入力した再生光強度を記憶し、再生光強度が閾値以上のときの記録データと認証対象データとの一致性を判定し、データ処理により認証対象のデータが記録データと一致したときの再生光強度と認証対象のデータが記録データと一致しないときの再生光強度の平均値または最大値との比較結果を取得する。
【0065】
再生用2値化データ生成回路212は、コントローラ500から作動指令を入力した場合に作動を開始し、輝度データ生成回路210が出力した再生用フォトディテクタ46の各画素の位置データとその画素の位置に対応する輝度データに基づいて、2次元の2値化データを生成し、出力する。この2次元の2値化データは、記録用2値化データ生成回路204が出力するデータに相当するデータである。
【0066】
再生データ生成回路216は、コントローラ500から作動指令を入力した場合に作動を開始し、再生用2値化データ生成回路212が出力した2次元の2値化データを、記録用データ(元データ)に相当するデータに変換(デコード)し、変換したデータを出力する。
【0067】
エラー率検出回路218は、コントローラ500から作動指令を入力した場合に作動を開始し、再生データ生成回路216が出力したデータと、コントローラ500から入力されメモリに記憶されている記録用データ(元データ)とを比較し、誤り数をデータ数で除算したエラー率を算出する。算出したエラー率はコントローラ500に出力される。
【0068】
位置変化量検出回路214は、情報再生光に含まれる位置決めパターン画像が再生用フォトディテクタ46に受光されるべき正規の位置として予め求められている位置(正規位置)をコントローラ500から入力するとともにこの位置を記録する。そして、コントローラ500から作動指令を入力した場合に作動を開始し、輝度データ生成回路210が出力する位置データとその位置データに対応する輝度データから、実際に位置決めパターン画像が再生用フォトディテクタ46に受光された位置(実位置)を検出する。さらに、位置変化量検出回路214は、再生用フォトディテクタ46の受光面をX方向(X軸)およびY方向(Y軸)により定義した平面に表される正規位置と実位置とのX方向へのずれ量およびY方向へのずれ量を算出する。X方向へのずれ量はX方向位置変化データとして、Y方向へのずれ量はY方向位置変化データとして、それぞれ遮光用信号生成回路208に出力される。遮光用信号生成回路208は、入力したX方向位置変化データおよびY方向位置変化データと、記憶されている遮光用液晶パネル40の各画素の位置と再生用フォトディテクタ46の各画素の位置との対応関係などを参照して、X方向位置変化データおよびY方向位置変化データを遮光用液晶パネル40の入射領域におけるX方向位置変化データおよびY方向位置変化データに換算する。そして、換算したX方向位置変化データとY方向位置変化データにより表される変化量分だけ透過領域と非透過領域が移動するように、設定した透過領域と非透過領域とを修正する。
【0069】
このように構成されたホログラム記録再生装置1において、作業者がホログラム記録媒体HKを評価するときは、まずホログラム記録媒体HKをターンテーブル601にセットし、入力装置702に条件設定を行う旨の指令を入力する。これによりコントローラ500は、図2に示す条件設定プログラムを開始する。条件設定プログラムが開始されると、まずコントローラ500は、図2のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)102にて、「データ再生」の評価を行うか「認証」の評価を行うかの質問を表示装置701に表示させ、いずれかを選択するように作業者による入力を促す。その後、入力が完了するまで表示を繰り返す(S104)。作業者は、「データ再生」の評価を行う場合は「データ再生」を選択し、「認証」の評価を行う場合は「認証」を選択する。
【0070】
「データ再生」または「認証」のいずれか一方が選択された後に、コントローラ500は、S106にて、パターン領域、非遮光領域、遮光領域の領域指定画面を表示装置701に表示させ、作業者による領域指定を促す。その後、作業者による領域指定が完了するまで表示を繰り返す(S108)。作業者は、表示装置701により各領域を指定する。各領域の指定方式は、「図形」,「位置」,「直径」等を言語や数値で指定する方式でも良いし、表示装置701にDMD16を表示させておいて、表示されたDMD16に各領域を指定する方式でも良い。
【0071】
なお、パターン領域からは情報光が生成され、非遮光領域からは参照光が生成されるのであるから、パターン領域と非遮光領域はDMD16に入射するレーザ光の入射範囲の外側に指定することはできない。したがって、DMD16に入射するレーザ光の断面の大きさと位置を、「直径」,「位置」等の数値か、図形表示等で表示装置701に表示して作業者にレーザ光の入射範囲を認識させておくことにより、レーザ光の入射範囲の外側にパターン領域や非遮光領域が指定されることを防止することができる。
【0072】
図3は、指定されるパターン領域、非遮光領域、遮光領域の一例を示す図である。図において斜線で示される領域が遮光領域(内側遮光領域および外側遮光領域)、ドットにより示される領域がパターン領域、無模様の領域が非遮光領域である。また、点線で囲まれた領域によりレーザ光の入射範囲が表される。この例によれば、パターン領域R1がレーザ光の入射範囲のほぼ中央に形成されていて、その周りを取り囲むようにリング状の非遮光領域R2が形成される。リング状の非遮光領域R2とパターン領域R1との間には、内側遮光領域R3が形成される。非遮光領域R2の外周側に外側遮光領域R4が形成される。非遮光領域R2が、本発明の参照光領域に相当する。
【0073】
また、パターン領域R1には、その領域の位置を表すための位置決めパターンが形成されている。図9は、パターン領域R1に位置決めパターンが形成された様子を表す図である。図9に示されるように、単純形状を呈する位置決めパターンが暗部分(その部分で反射したレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射しない部分)となるように、パターン領域R1に位置決めパターンが形成される。この位置決めパターンの形状や形成位置は、作業者が指定してもよいし、予め設定されていてコントローラ500のメモリに記憶されていてもよい。
【0074】
作業者による各領域の指定が完了すると(S108:Yes)、コントローラ500は、S110にて、DMD制御信号生成回路206に領域設定指令を出力する。これによりDMD制御信号生成回路206は、作業者が指定したパターン領域、非遮光領域、遮光領域に基づいて、DMD16の入射面内でのパターン領域、非遮光領域、遮光領域の位置を演算し、DMD16の入射面に形成されるべきパターン領域、非遮光領域、遮光領域を設定する。また、DMD制御信号生成回路206は、メモリ領域の一部を各領域にデータを出力するメモリ領域に割り当てる。さらに、DMD制御信号生成回路206は、パターン領域にデータを出力するメモリ領域を空状態にする。また、非遮光領域にデータを出力メモリ領域は、この領域に配置されたマイクロミラーに反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに参照光として照射するように、この領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するための一定のデータで埋められる。遮光領域にデータを出力するメモリ領域は、この領域に配置されたマイクロミラーで反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに照射されないように、この領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するための一定のデータで埋められる。
【0075】
次いで、コントローラ500は、S112にて、記録用2値化データ生成回路204に単位数の設定指令を出力する。これにより、記録用2値化データ生成回路204は、コントローラ500から入力されるパターン領域に配置されるマイクロミラーの個数に基づき、記録用データ(元データ)を2次元の2値化データに変換する単位数を設定する。
【0076】
続いて、コントローラ500は、S114にて、遮光用信号生成回路208に透過・非透過領域設定指令を出力する。これにより、遮光用信号生成回路208は、遮光用液晶パネル40の入射領域に形成すべき透過領域および非透過領域を設定する。具体的には、遮光用液晶パネル40の各画素を透過領域に配置される画素と非透過領域に配置される画素とに区別する。これとともに、遮光用信号生成回路208は、メモリ領域の一部を、透過領域に配置された画素の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域と、非透過領域に配置された画素の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域とに割り当てる。さらに、遮光用信号生成回路208は、透過領域に配置された画素の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域を画素の透過率を最高値に設定するためのデータで埋め、非透過領域に配置された画素の透過率を表すデータを出力するためのメモリ領域を画素の透過率を最低値に設定するためのデータで埋める。
【0077】
透過領域および非透過領域は、DMD16に設定されたパターン領域、非遮光領域、遮光領域に基づいて定められる。DMD16の各マイクロミラーの位置と遮光用液晶パネル40の各画素の位置との対応関係は、予めコントローラ500に記憶されている。したがって、遮光用信号生成回路208は、コントローラ500からこれらの対応関係および、パターン領域、非遮光領域、遮光領域の位置情報を入力し、これらの入力情報に基づいて、透過領域および非透過領域を設定することができる。
【0078】
図4(a)および図4(b)は、S102にて「データ再生」が選択され、且つパターン領域、非遮光領域および遮光領域が図3のように設定された場合に、遮光用信号生成回路208により遮光用液晶パネル40の入射領域に設定される透過領域および非透過領域を表した図である。図4(a),(b)において斜線で示される領域が非透過領域、それ以外の領域(無模様の領域)が透過領域である。また、点線で示される2つの円で囲まれた領域は、DMD16に形成される非遮光領域R2に対応する領域(非遮光対応領域)であり、この非遮光対応領域S2には、データ再生時にホログラム記録媒体HKにて発生する参照再生光が入射する。さらに、図の中央付近に形成される点線で囲まれた領域は、DMD16に形成されるパターン領域R1に対応する領域(パターン対応領域)であり、このパターン対応領域S1には、データ再生時にホログラム記録媒体HKにて生じる情報再生光が入射する。
【0079】
図4(a)および(b)からわかるように、非透過領域は、非遮光対応領域S2と、追加非透過領域S4とからなる。非遮光対応領域S2は上述のように参照再生光が入射する領域である。追加非透過領域S4は、非遮光対応領域S2に連続して形成され且つ非遮光対応領域S2を囲む領域である。具体的には、追加非透過領域S4は、DMD16に形成される外側遮光領域R4に対応する領域(外側遮光対応領域)と、DMD16に形成される内側遮光領域R3に対応する領域の一部であって、非遮光対応領域S2の内側境界から連続した所定の領域である。したがって、図に示されるように非遮光対応領域S2がリング状に形成される場合、追加非透過領域S4は、非遮光対応領域S2の内側境界から連続する領域と、外側境界から連続する領域とに分けられる。図4では、非遮光対応領域S2の外側境界から連続する追加非透過領域S4は、非遮光対応領域S2の外側に設けられる外側遮光対応領域の全域に設定されている。しかし、参照再生光が入射する領域の外側には光は入射しないので、このように全域に追加非透過領域S4を設定する必要はなく、非遮光対応領域S2の外側境界から連続する所定の領域に追加非透過領域S4を設定してもよい。
【0080】
また、非透過領域以外の領域は透過領域に設定される。したがって、透過領域は、パターン対応領域S1と、パターン対応領域S1に連続し、且つパターン対応領域S1の全域を囲む領域である追加透過領域S3からなる。
【0081】
遮光用信号生成回路208は、コントローラ500から透過・非透過領域設定指令を入力した場合、まず、遮光用液晶パネル40の入射領域中、データ再生時に情報再生光が入射する領域であるパターン対応領域S1と、データ再生時に参照再生光が入射する領域である非遮光対応領域S2とを設定する。次に、パターン対応領域S1を囲む追加透過領域S3および非遮光対応領域S2を囲む追加非透過領域S4を設定する。そして、パターン対応領域S1および追加透過領域S3を透過領域に設定し、非遮光対応領域S2および追加非透過領域S4を非透過領域に設定する。
【0082】
ちなみに、追加非透過領域S4を非透過領域として設定する理由は以下による。ホログラム記録媒体HKのデータを再生する際にホログラム記録媒体HKが回転するが、回転時の面ぶれにより、ホログラム記録媒体HKの回転周面の法線方向が変化する。法線方向が変化すると、ホログラム記録媒体HKから発生する再生光の光軸位置が変化する。再生光の光軸位置が変化した場合、余分な光が再生用フォトディテクタ46に入射するおそれがある。このため、このような光軸位置の変化があっても余分な光が再生用フォトディテクタ46に入射しないように、追加非透過領域S4が設定される。
【0083】
追加非透過領域S4は、DMD16に形成される遮光領域に対応する領域の一部であって、非遮光対応領域S2と連続的な領域であり、非遮光対応領域S2の全域を外側および/または内側から囲む領域であれば、どのような形状でもよい。追加非透過領域S4と透過領域(追加透過領域S3)との境界は、例えば図4(a)に示されるように、非遮光対応領域S2の内側の境界を表す円に沿って設定されてもよいし、図4(b)のように、パターン対応領域S1の境界を表す線に沿って設定されてもよい。
【0084】
本例において、透過領域であるパターン対応領域S1が本発明の第1領域に相当し、非透過領域である非遮光対応領域S2が本発明の第2領域に相当する。また、非透過領域である追加非透過領域S4が本発明の追加領域に相当する。
【0085】
なお、S102にて「認証」が選択されている場合、遮光用信号生成回路208は、図4に示されている透過領域(パターン対応領域S1および追加透過領域S3)を非透過領域に、非透過領域(非遮光対応領域S2および追加非透過領域S4)を透過領域に設定する。したがってこの場合、透過領域である非遮光対応領域S2が本発明の第1領域に相当し、非透過領域であるパターン対応領域S1が本発明の第2領域に相当し、非透過領域である追加透過領域S3が本発明の追加領域に相当する。
【0086】
DMD16の入射面に配置されたマイクロミラーの位置と、遮光用液晶パネル40の入射領域に配置された画素の位置との対応関係は、以下のようにして予め定めておくことができる。まず、DMD16を反射したレーザ光がホログラム記録媒体HK上で特定の模様を形成するように、DMD16の各マイクロミラーが制御される。そのように制御されたDMD16にレーザ光を照射することにより、ホログラム記録媒体HKにその模様が干渉縞として記憶される。さらに、そのホログラム記録媒体HKから発生する再生光(参照再生光と情報再生光)を遮光用液晶パネル40のある一点を非透過状態にして再生用フォトディテクタ46に受光させる。すると、受光された光により形成される模様には、遮光用液晶パネル40のある一点が非透過状態にされたことにより生じる暗点が形成される。この暗点に対応するDMD16の入射面内の特定位置と、遮光用液晶パネル40の入射領域内で遮光状態とされた位置とを対応付けることにより、DMD16のマイクロミラーの位置と遮光用液晶パネル40の画素位置とが対応付けられる。また、再生用フォトディテクタ46に形成される特定の模様の特定の位置と、その特定の位置に対応するDMD16の入射面内の位置とを対応付けることにより、DMD16のマイクロミラーの位置と再生用フォトディテクタ46の受光面に配置された画素の各位置とが対応付けられる。DMD16の各マイクロミラーの位置と遮光用液晶パネル40の各画素位置との対応関係、DMD16の各マイクロミラーの位置と再生用フォトディテクタ46の各画素位置との対応関係は、予めコントローラ500に記憶されている。
【0087】
なお、図3に示した領域指定の例はあくまで一例であり、DMD16により生成される情報光と参照光がホログラム記録媒体HKにて干渉することによりデータが干渉縞として記録され得る限り、どのように各領域を指定してもよい。例えば、図5のように各領域を指定してもよい。これによれば、矩形状のパターン領域R1が入射面のほぼ中央に形成されていて、その周りを取り囲むように外形四角形状の非遮光領域R2が形成される。遮光領域は内側遮光領域R3と外側遮光領域R4とからなり、パターン領域R1と非遮光領域R2との間に内側遮光領域R3が、非遮光領域R2の外側に外側遮光領域R4が、それぞれ形成される。図6は、DMD16の各領域が図5のように指定および設定された場合に遮光用液晶パネル40に設定される非透過領域(斜線部分)と透過領域(斜線部分以外の部分)を示す図である。
【0088】
また、DMD16に形成するパターン領域、遮光領域、非遮光領域は、図7のように指定することもできる。図7によれば、矩形状に形成されたパターン領域R1の横に、円形状の非遮光領域R2が形成されている。つまり、非遮光領域R2がパターン領域R1を取り囲んでいない。このため遮光領域R5は非遮光領域R2によって分断されることなく、一つのまとまった領域として表される。図8は、DMD16の各領域指定および設定が図7のようになされた場合に遮光用液晶パネル40に設定される非透過領域(斜線部分)と透過領域(斜線部分以外の部分)を示す図である。図8からわかるように、非透過領域は、円形状の非遮光対応領域S2および、その非遮光対応領域S2に連続し、且つ非遮光対応領域を囲むリング状の追加非透過領域S4により形成される。なお、図8においては、パターン対応領域S1を除いた非透過領域外の領域の全てを追加透過領域S3にしているが、追加透過領域S3と追加非透過領域S4の境界は、パターン対応領域S1と非遮光対応領域S2の間のどの位置に設定してもよく、例えば図4(b)と同様に、パターン対応領域S1の近傍に設定してもよい。
【0089】
コントローラ500は、S114にて透過・非透過領域設定指令を出力した後に、S116に進み、他の条件を入力するように表示装置701に条件入力画面を表示させる。作業者は、条件入力画面にしたがって必要な条件を入力する。入力する条件として、例えば以下に示す条件が挙げられる。
(1)記録するデータの種類
(2)照射開始半径位置
(3)照射終了半径位置
(4)ターンテーブル601上に載置されたホログラム記録媒体HKの回転速度
(5)DMD16に形成されるパターンの変化速度
(6)「認証」を行う場合における、認証対象のデータ
【0090】
上記した条件の入力が完了すると(S118:Yes)、コントローラ500は条件設定プログラムを終了する。なお、このプログラムは、S102,S106およびS116にて入力すべき条件を設定する必要がある場合に実行される。これらの条件がすでにコントローラ500のメモリ内に記憶されているのであれば、その記憶されている条件を使用することで、このプログラムの実行を省略することができる。
【0091】
上述の条件設定プログラムの実行後に、作業者は、入力装置702から「データ記録」を表す指令をコントローラ500に入力する。すると、コントローラ500は、記録用2値化データ生成回路204に記録データを出力する。これにより、記録用2値化データ生成回路204は入力した記録データを2次元の2値化データに変換(エンコード)し、DMD制御信号生成回路206に2次元の2値化データを出力する。DMD制御信号生成回路206は入力した2次元の2値化データに基づいて、DMD16のパターン領域R1に配置されるマイクロミラーの向きを制御するデータを作成する。この場合において、DMD制御信号生成回路206は、パターン領域内の2値化データに影響を及ぼさない部分に位置決めパターンが形成されるようにデータを作成する。こうして作成したデータをパターン領域にデータを出力するメモリ領域に記憶する。
【0092】
なお、上述のように、DMD制御信号生成回路206のメモリのうち非遮光領域にデータを出力するメモリ領域は一定のデータ(非遮光領域に配置されたマイクロミラーで反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに参照光として照射するようにマイクロミラーの向きが制御されるデータ)で埋められ、遮光領域にデータを出力するメモリ領域も一定のデータ(遮光領域に配置されたマイクロミラーで反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに照射しないようにマイクロミラーの向きが制御されるデータ)で埋められる。
【0093】
次いで、コントローラ500は、遮光用信号生成回路208に「データ記録」を表す指令を出力する。遮光用信号生成回路208は、「データ記録」を表す指令を入力した場合は、遮光用液晶パネル40の各画素に、透過率を最低値にするためのデータを出力する。これにより、遮光用液晶パネル40の入射領域が全て非透過領域に設定される。したがってデータ記録時には、偏光ビームスプリッタ20側から遮光用液晶パネル40に入射した光は遮光用液晶パネル40に遮られ、再生用フォトディテクタ46に入射しない。
【0094】
次に、コントローラ500は、DMD制御信号生成回路206に記録データを出力する時間間隔を設定する。この時間間隔は、条件設定プログラムの実行時に入力されたDMD16のパターン変化速度に基づいて演算される。その後、コントローラ500はスピンドルモータ制御回路302に回転指令を、フィードモータ制御回路306に駆動指令を出力する。これにより、レーザ光の照射位置が照射開始半径位置から照射終了半径位置まで移動するようにフィードモータ603の駆動が制御されるとともに、ターンテーブル601上に載置されたホログラム記録媒体HKが所定の回転速度で回転するように、スピンドルモータ602の回転駆動が制御される。さらに、コントローラ500はサーボ用レーザ駆動回路402に作動開始の指令を出力する。これによりサーボ用レーザ光源48からサーボ用のレーザ光が出射する。サーボ用レーザ光は光学系を経てホログラム記録媒体HKに照射され、その反射光がサーボ用フォトディテクタ58に受光される。サーボ用フォトディテクタ58に受光される光の強度に基づいて、フォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御が行われる。
【0095】
また、コントローラ500は、メインレーザ駆動回路202に駆動指令を出力する。これによりメインレーザ光源10からレーザ光が出射する。また、DMD制御信号生成回路206に「データ記録」を表す指令を出力する。これにより、DMD制御信号生成回路206は、DMD16のパターン領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するデータを単位ごとに、非遮光領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するデータおよび遮光領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するデータとともに、設定された時間間隔でDMD16に出力する。DMD16は、入力したデータに基づいて各マイクロミラーの向きが制御されることにより、その入射面にパターン領域、非遮光領域および遮光領域を形成する。
【0096】
メインレーザ光源10を出射したレーザ光は、コリメートレンズ12、ミラー14を経てDMD16に入射する。DMD16のパターン領域に入射した光により、記録データを表す情報光が生成され、DMD16の非遮光領域に入射した光により参照光が生成される。情報光には位置決めパターン画像が含まれる。DMD16により生成された情報光および参照光は光学系を経由して、ターンテーブル601に載置されたホログラム記録媒体HKに入射する。ホログラム記録媒体HKの記録層上で情報光と参照光が干渉する。干渉時に発生する干渉縞がホログラム記録媒体HKの記録層に記録される。DMD制御信号生成回路206からは、設定時間間隔ごとに2値化された記録用のデータがDMD16に順次出力されるので、ホログラム記録媒体HKには、順次、記録データを表す情報光と参照光との干渉により生じる干渉縞がシフト多重記録される。また、データ記録時にフィードモータ603が駆動することにより、ターンテーブル601上でのレーザ光の照射半径位置が照射開始半径位置から照射終了半径位置に近づく。そして、レーザ光の照射半径位置が照射終了半径位置に達したときに、データ記録が完了する。データ記録が完了すると、記録用のレーザ光の出射が停止される。
【0097】
ホログラム記録媒体HKへのデータの記録が完了した場合、表示装置701に「記録完了」という表示がなされる。その後、作業者は「再生」を表す指令を入力装置702からコントローラ500に入力する。このとき条件設定プログラムで「データ再生」が選択されている場合には、コントローラ500はDMD制御信号生成回路206に「データ再生」を表す指令を出力する。DMD制御信号生成回路206は、「データ再生」を表す指令を入力すると、データ記録時にDMD16に形成された各領域のうち非遮光領域に配置されたマイクロミラーに反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射し、それ以外の領域に配置されたマイクロミラーに反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射しないように、DMD16の各マイクロミラーを制御するデータを出力する。この場合、データは1度だけ出力される。
【0098】
また、コントローラ500は、遮光用信号生成回路208に、「データ再生」を表す指令を出力する。遮光用信号生成回路208は、「データ再生」を表す信号を入力すると、メモリに記憶されたデータを遮光用液晶パネル40に出力する。これにより、遮光用液晶パネル40の入射領域に配置された画素のうち、条件設定プログラムのS114にて設定された透過領域に配置された画素の透過率が最高値に設定され、非透過領域に配置された画素の透過率が最低値に設定される。
【0099】
また、コントローラ500は、輝度データ生成回路210、位置変化量検出回路214、再生データ生成回路216、エラー率検出回路218に作動指令を出力する。そして、メインレーザ光の照射位置を照射開始半径位置に戻し、メインレーザ光源10からレーザ光を出射させてデータの再生を開始する。
【0100】
再生時にメインレーザ光源10から出射されたレーザ光は、DMD16に入射する。このときDMD16の非遮光領域に配置されたマイクロミラーにより反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射し、それ以外の領域に配置されたマイクロミラーにより反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射しないように、各領域に配置されたマイクロミラーの向きが制御されている。したがって、DMD16に入射したレーザ光のうち、非遮光領域で反射した参照光のみが、光学系を経由してホログラム記録媒体HKに入射する。
【0101】
データ記録済みのホログラム記録媒体HKに参照光が照射されると、この参照光がホログラム記録媒体HKの記録層中に形成された干渉縞で回折することにより、情報再生光および参照再生光が生成される。情報再生光の断面形状は情報光の断面形状と同一または相似であり、参照再生光の断面形状は参照光の断面形状と同一または相似である。生成された情報再生光および参照再生光は、対物レンズ32、ミラー30、1/4波長板28、ダイクロイックプリズム26、ミラー24、リレーレンズ22、偏光ビームスプリッタ20、集光レンズ38を経由して遮光用液晶パネル40に入射する。
【0102】
遮光用液晶パネル40は、遮光用信号生成回路208から入力したデータに基づいて、透過領域および非透過領域を形成している。したがって、透過領域に入射したレーザ光は遮光用液晶パネル40を透過するが、非透過領域に入射したレーザ光は遮光用液晶パネル40を透過しない。参照再生光は遮光用液晶パネル40の非遮光対応領域S2に入射するが、非遮光対応領域S2は非透過領域であるので、参照再生光は遮光用液晶パネル40を透過しない。一方、情報再生光は遮光用液晶パネル40のパターン対応領域S1に入射する。パターン対応領域S1は透過領域であるので、情報再生光は遮光用液晶パネル40を透過する。つまり、遮光用液晶パネル40により参照再生光が遮光され、情報再生光のみが遮光用液晶パネル40を通過する。この場合において、遮光用液晶パネル40の非遮光対応領域S2の周りを囲むように連続して設けられる追加非透過領域S4も非透過領域に設定されているので、遮光用液晶パネル40に入射するレーザ光の光軸位置の変化により参照再生光が遮光用液晶パネル40に入射する位置が多少変化した場合でも、その光は追加非透過領域S4に入射することにより遮光される。
【0103】
遮光用液晶パネル40を通過した情報再生光は、再生用フォトディテクタ46に受光される。再生用フォトディテクタ46は、受光強度に応じた信号を輝度データ生成回路210に出力する。輝度データ生成回路210は、入力した信号を輝度データに変換し、輝度データとその輝度データに対応する位置データとを対応付けて2値化データ生成回路212に出力する。
【0104】
2値化データ生成回路212は、輝度データ生成回路210から入力した再生用フォトディテクタ46の各画素の位置データとその画素の位置に対応する輝度データに基づいて、2次元の2値化データを作成し、作成した2値化データを位置変化量検出回路214および再生データ生成回路216に出力する。再生データ生成回路216は、2値化データ生成回路212から入力した2次元の2値化データをデコードし、デコードしたデータをコントローラ500およびエラー率検出回路218に出力する。エラー率検出回路218は、再生データ生成回路216から入力したデータと、コントローラ500から入力されている元データとを比較し、誤り数をデータ数で除算したエラー率を算出する。算出したエラー率がコントローラ500に出力される。コントローラ500は、エラー率に基づいて再生の評価結果を算出し、評価結果を表示装置701に出力する。これによりデータ再生の評価が完了する。
【0105】
また、ホログラム記録媒体HKへのデータ記録が終了し、作業者が「再生」を表す指令を入力装置702からコントローラ500に入力した場合において、条件設定プログラムで「認証」が選択されている場合、コントローラ500はDMD制御信号生成回路206に「認証」を表す指令を出力する。これによりDMD制御信号生成回路206は、データ記録時にDMD16に形成された各領域のうちパターン領域に配置されたマイクロミラーで反射されたレーザ光が認証対象のデータによる情報光となってホログラム記録媒体HKに入射し、それ以外の領域に配置されたマイクロミラーで反射されたレーザ光がホログラム記録媒体HKに入射しないように、DMD16の各マイクロミラーを制御するデータを出力する。
【0106】
また、コントローラ500は、遮光用信号生成回路208に、「認証」を表す指令を出力する。遮光用信号生成回路208は、「認証」を表す信号を入力すると、遮光用液晶パネル40の各画素の透過率を制御するためのデータを遮光用液晶パネル40に出力する。この場合において、遮光用信号生成回路208は、遮光用液晶パネル40の非遮光対応領域S2および追加非透過領域S4を透過領域に設定し、それ以外の領域(パターン対応領域S1および追加透過領域S3)を非透過領域に設定するとともに、透過領域に配置された画素の透過率が最高値となり、非透過領域に配置された画素の透過率が最低値となるように、各画素の透過率を制御するためのデータを遮光用液晶パネル40に出力する。
【0107】
また、コントローラ500は、輝度データ生成回路210、光量検出回路220に作動指令を出力する。そして、メインレーザ光の照射位置を照射開始半径位置に戻し、メインレーザ光源10からレーザ光を出射させて認証を開始する。
【0108】
認証時にメインレーザ光源10から出射されたレーザ光は、DMD16に入射する。DMD16のパターン領域に配置されたマイクロミラーに反射された光により情報光のみが生成される。生成された情報光は光学系を経由してデータ記録済みのホログラム記録媒体HKに照射される。情報光がホログラム記録媒体HKの記録層中に形成された干渉縞で回折することにより、情報再生光および参照再生光が生成される。生成された情報再生光および参照再生光は、遮光用液晶パネル40に入射する。
【0109】
遮光用液晶パネル40には上述のように透過領域および非透過領域が形成されている。透過領域は非遮光対応領域S2および追加非透過領域S4からなり、非透過領域はパターン対応領域S1および追加透過領域S3からなる。したがって、非遮光対応領域S2に入射する参照再生光が遮光用液晶パネル40を透過し、パターン対応領域S1に入射する情報再生光は遮光用液晶パネル40を透過しない。すなわち、参照再生光のみが遮光用液晶パネル40を通過する。遮光用液晶パネル40を通過した参照再生光は、再生用フォトディテクタ46に受光される。
【0110】
参照再生光を受光した再生用フォトディテクタ46は、受光強度に応じた信号を輝度データ生成回路210に出力する。輝度データ生成回路210は、入力した信号を輝度データに変換し、輝度データとその輝度データに対応する位置データとを対応付けて光量検出回路220に出力する。光量検出回路220は入力した信号に基づいてホログラム記録媒体HKの記録データごとの再生光強度を演算してコントローラ500に出力する。コントローラ500は、入力した再生光強度を記憶し、再生光強度が閾値以上のときの記録データと認証対象データとの一致性を判定し、データ処理により認証対象データが記録データと一致したときの再生光強度と認証対象のデータが記録データと一致しないときの再生光強度の平均値または最大値との比較結果を取得する。そしてコントローラ500は取得した一致性の判定結果と比較結果に基づいて、ホログラム記録媒体HKの評価結果を表示装置701に出力する。これにより認証の評価が完了する。このように、認証時には、光量検出回路220およびコントローラ500が、認証手段(再生手段)に相当する。
【0111】
データ記録時にホログラム記録媒体HKに照射される情報光には、パターン領域の位置を表す位置決めパターン画像が含まれているので、データ再生時に発生する情報再生光にも位置決めパターン画像が含まれる。よって、「データ再生」が選択されている場合に再生用フォトディテクタ46の受光面には位置決めパターン画像が形成される。この位置決めパターン画像の形成位置に基づいて、遮光用液晶パネル40に形成される透過領域と非透過領域の位置が、以下のように修正される。
【0112】
「データ再生」が行われるとき、位置変化量検出回路214は、再生用2値化データ生成回路212から入力した2値化データに基づいて、再生用フォトディテクタ46の受光面に位置決めパターン画像が形成される位置(実位置)を演算する。そして、この実位置と、位置決めパターン画像が再生用フォトディテクタ46の受光面に形成されるべき正規の位置(正規位置)とのずれ量を演算する。このずれ量は、再生用フォトディテクタ46の受光面をX方向とY方向とで定義した場合におけるX方向位置変化データおよびY方向位置変化データとして表される。そして、位置変化量検出回路214は、演算したX方向位置変化データとY方向位置変化データを遮光用信号生成回路208に出力する。
【0113】
遮光用信号生成回路208は、遮光用液晶パネル40の各画素位置と再生用フォトディテクタ46の各画素位置との対応関係、又は、遮光用液晶パネル40の方向、距離と再生用フォトディテクタ46の方向、距離との関係に基づいて、位置変化量検出回路214から入力したX方向位置変化データおよびY方向位置変化データを、遮光用液晶パネル40の入射領域をX方向とY方向とで定義した場合における、遮光用液晶パネル40の入射領域内でのX方向位置変化データおよびY方向位置変化データに換算する。換算した位置変化データにより表される位置変化量は、遮光用液晶パネル40に設定されたパターン対応領域S1と実際に遮光用液晶パネル40に入射する情報再生光の入射領域とのずれ量、および、遮光用液晶パネル40に設定された非遮光対応領域S2と実際に遮光用液晶パネル40に入射する参照再生光の入射領域とのずれ量を表す。よって、遮光用信号生成回路208は、換算した位置変化量だけ、透過領域(パターン対応領域S1および追加透過領域S3)および非透過領域(非遮光対応領域S2および追加非透過領域S4)の位置が移動するように、メモリに記憶したデータを修正する。こうして修正されたデータが遮光用液晶パネル40に出力されることにより、遮光用液晶パネル40への参照再生光の入射領域と非遮光対応領域S2とのずれ、および、遮光用液晶パネル40への情報再生光の入射領域とパターン対応領域S1とのずれが修正される。
【0114】
図10は、上記のずれが修正された透過領域および非透過領域が遮光用液晶パネル40に設定された状態を表す図である。図において、G1は、ずれを修正する前に遮光用液晶パネル40に実際に位置決めパターン画像が形成される位置(実位置に対応する位置)を表し、G2は、位置決めパターン画像の正規位置に対応する遮光用液晶パネル40上でのパターン画像の正規位置を表す。図からわかるようにG1とG2は、X方向およびY方向にずれている。したがって、パターン対応領域のG1に該当する位置がG2になるように、つまりずれ量が無くなるように、パターン対応領域S1および非遮光対応領域S2の形成位置が修正され、これに伴い追加透過領域S3および追加非透過領域S4の形成位置も修正される。このようにして各領域の位置を修正することにより、ホログラム記録媒体HKから発生する再生光の光軸位置が所定の範囲以上変化した場合(つまり、参照再生光が追加非透過領域をはみ出す程度に光軸位置が変化した場合)でも、的確に情報再生光のみを再生用フォトディテクタ46に入射させることができる。
【0115】
本実施形態によれば、再生用フォトディテクタ46の手前に遮光用光学部材としての遮光用液晶パネル40が配置される。この遮光用液晶パネル40は情報再生光と参照再生光が入射される入射領域を持ち、入射領域には複数の画素が配置される。また、各画素の光学的特性の一つである透過率は、遮光用信号制御回路208によって制御される。遮光用信号制御回路208は、遮光用液晶パネル40の入射領域内に情報再生光が入射するパターン対応領域S1および参照再生光が入射する非遮光対応領域S2を設定するとともに、データ再現時にパターン対応領域S1に入射する情報再生光が再生用フォトディテクタ46に入射するように(認証時は入射しないように)パターン対応領域S1に配置された画素の透過率を最高値(認証時は最低値)に設定し、非遮光対応領域S2に入射する参照再生光が再生用フォトディテクタ46に入射しないように(認証時は入射するように)非遮光対応領域S2に配置された画素の透過率を最低値(認証時は最高値)に設定する。したがって、情報再生光と参照再生光の断面形状がどのように変化しても、入射する情報再生光と参照再生光の断面形状に応じてパターン対応領域S1および非遮光対応領域S2を設定することで、いずれか一方の光(データ再現時であれば情報再生光、認証時であれば参照再生光)のみを再生用フォトディテクタ46に受光させ、いずれか他方の光(データ再現時であれば参照再生光、認証時であれば情報再生光)を再生用フォトディテクタ46に受光させないよう遮光することができる。
【0116】
また、ホログラム記録再生装置1は、DMD16により生成した情報光および参照光をホログラム記録媒体HKに照射することにより、ホログラム記録媒体HKにデータを記録するデータ記録機能を有し、このデータ記録機能を用いてホログラム記録媒体HKに記録したデータを再生することができる。このためデータの記録と再生を一つのホログラム記録再生装置により行うことができる。
【0117】
また、遮光用信号制御回路208は、データ再生時に、非遮光対応領域S2に連続して形成され且つ非遮光対応領域S2を囲む追加非透過領域S4および、パターン対応領域S1に連続して形成され且つパターン対応領域S1を囲む追加透過領域S3を設定する。そして、データ再現時であれば、追加非透過領域S4に入射する光が再生用フォトディテクタ46に入射しないように、追加非透過領域S4に配置された画素の透過率を最低値に設定し、認証時であれば、追加透過領域S3に入射する光が再生用フォトディテクタ46に入射しないように、追加透過領域S3に配置された画素の透過率を最低値に設定する。このため、レーザ光の光軸ぶれにより再生用フォトディテクタ46に入射すべきでない光が非遮光対応領域S2(あるいはパターン対応領域S1)からはみ出した場合であっても、そのはみ出し領域が追加非透過領域S4(あるいは追加透過領域S3)に包含される限り、再生用フォトディテクタ46に入射すべきでない光が入射されることはない。その結果、再生用フォトディテクタ46に入射すべきでない光の遮断性能が向上する。
【0118】
また、データ記録時には、DMD制御信号生成回路206によって、DMD16の入射面に情報光を生成する領域であるパターン領域と、参照光を生成する領域である非遮光領域と、情報光も参照光も生成しない領域である遮光領域が設定される。また、データ記録時に、2値化データ生成回路204により、記録すべき情報が2次元の2値化データに変換され、変換された2次元の2値化データがDMD制御信号生成回路206に出力される。そして、DMD制御信号生成回路206は、入力した2次元の2値化データに基づいて、DMD16のパターン領域に配置されたマイクロミラーを制御するための信号を生成するとともに、生成した信号を、非遮光領域に配置されたマイクロミラーを制御するための信号および遮光領域に配置されたマイクロミラーを制御するための信号とともに、DMD16に出力する。これにより、データ記録時に、DMD16のパターン領域から情報光が、非遮光領域から参照光が生成される。
【0119】
情報再生光はDMD16のパターン領域から生成される情報光が再生された光であるから、情報再生光の断面形状は、パターン領域の形状と同一または相似である。また、参照再生光はDMD16の非遮光領域から生成される参照光が再生された光であるから、参照再生光の断面形状は、非遮光領域の形状と同一または相似である。したがって、遮光用信号生成回路208は、DMD16に形成されたパターン領域および非遮光領域に基づいて、データ再生時に遮光用液晶パネル40に設定すべきパターン対応領域および非遮光対応領域を、より適切に設定することができる。
【0120】
また、DMD制御信号生成回路206は、データ記録時に、DMD16のパターン領域に入射した光から生成される情報光に、パターン領域の位置を表すための位置決めパターン画像が含まれるように、パターン領域に配置されたマイクロミラーを制御するための信号を生成する。また、位置変化量検出回路214は、再生用フォトディテクタ46が出力する信号に基づいて、データ再生時(再現時)に情報再生光に含まれる位置決めパターン画像が再生用フォトディテクタ46に形成される実位置を検出し、検出した実位置と、位置決めパターン画像が再生用フォトディテクタ46に形成されるべき正規の位置として予め定められている正規位置とを比較することにより、再生用フォトディテクタ46に形成された位置決めパターン画像の実位置と正規位置との間の変化量を検出する。遮光用信号生成回路208は、位置変化量検出回路214が検出した変化量に基づいて、遮光用液晶パネル40に設定するパターン対応領域S1と遮光用液晶パネル40に入射する情報再生光の入射領域とのずれ、および、遮光用液晶パネル40に設定する非遮光対応領域S2と遮光用液晶パネル40に入射する参照再生光の入射領域とのずれが無くなるように、設定すべきパターン対応領域S1および非遮光対応領域S2の位置を修正する。このため、ホログラム記録媒体HKで反射したレーザ光の光軸角度が大きく変化して情報再生光および参照再生光の入射領域が設定した領域と大きく乖離した場合でも、上記の修正によって的確にパターン対応領域S1の形成位置と情報再生光の入射位置、および、非遮光対応領域S2の形成位置と参照再生光の入射位置を合わせることができる。これにより、確実に再生用フォトディテクタ46が受光すべきでない光を遮光することができる。
【0121】
また、遮光用信号生成回路208は、データ記録時に遮光用液晶パネル40に入射する光が再生用フォトディテクタ46に入射しないように、遮光用液晶パネル40の全ての画素の透過率を最低値に設定する。このため、データ記録時にホログラム記録媒体HKから反射または透過して遮光用液晶パネル40に入射したレーザ光が再生用フォトディテクタ46に受光されることを防止することができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施形態では、空間光変調器としてDMDを用いたが、これに換えてレーザ光を透過させる液晶パネルを用いても良い。液晶パネルの場合は、各画素の透過率を最高値または最低値に設定することによって、パターン領域、非遮光領域、遮光領域が形成される。また、上記実施形態では、パターン領域中に位置決めパターンが形成され、この位置決めパターンの位置変化を再生用フォトディテクタ46に形成されるパターン画像の実位置と正規位置とのずれにより検出することで、遮光用液晶パネル40へのレーザ光の入射位置のずれに応じて遮光用液晶パネル40に形成すべきパターン対応領域、非遮光対応領域の位置を修正しているが、ホログラム記録媒体HKからの再生光の光軸変化が所定の範囲内になるように、ホログラム記録媒体HKをターンテーブル601にセットするような機構が設けられていれば、このような修正は必要はない。この場合、遮光用液晶パネル40に追加非透過領域を形成するのみで、レーザ光の光軸ずれによる余分な光が再生用フォトディテクタ46に入射することを防止することができる。これによれば、装置のコストを抑制することができる。
【0123】
また、上記実施形態によれば、ホログラム記録媒体HKから発生する再生光のうち、不要な光を遮光するために遮光用液晶パネル40が用いられているが、複数の画素を持ち、各画素の光学的特性を制御することにより再生用フォトディテクタ46に入射すべき光の入射領域と入射すべきでない光の入射領域とを設定できるものであればどのような手段を用いても良い。例えばDMDを用いても良い。
【0124】
また、上記実施形態では、DMD16に形成された非遮光領域に配置されたマイクロミラーの向きが同一のデータにより制御されるため、この領域に配置されたマイクロミラーの向きが同じ向きとなり、この領域から発生する参照光の光量分布はレーザ光源から出射されたレーザ光と同一のままとなる。つまり参照光は通常のレーザ光である。しかし、DMD制御信号生成回路206は、非遮光領域に所定のパターン(参照光を表すパターン)が形成されるように、この領域に配置されたマイクロミラーの向きを制御するデータをDMD16に出力するものでもよい。また、上記実施形態では、スピンドルモータ602およびターンテーブル601をフィードモータ603により移動することによって、ホログラム記録媒体HKにおけるレーザ光の光スポットが半径方向に移動される構成であるが、ピックアップ装置100をフィードモータ603により移動させる構成にしてもよい。これによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1…ホログラム記録再生装置、10…メインレーザ光源、16…DMD(空間光変調器)、40…遮光用液晶パネル(遮光用光学部材)、46…再生用フォトディテクタ(受光器)、100…ピックアップ装置、200…ホログラム記録再生評価回路、202…メインレーザ駆動回路、204…記録用2値化データ生成回路(記録用データ生成手段)、206…DMD制御信号生成回路(領域設定手段、記録用信号生成手段)、208…遮光用信号生成回路(遮光用光学部材制御手段)、210…輝度データ生成回路、212…再生用2値化データ生成回路、214…位置変化量検出回路(位置変化量検出手段)、216…再生データ生成回路(再生手段)、218…エラー率検出回路、220…光量検出回路(再生手段)、300…テーブル制御回路、400…フォーカス・トラッキング制御回路、500…コントローラ、601…ターンテーブル、602…スピンドルモータ、603…フィードモータ、701…表示装置、702…入力装置、R1…パターン領域、R2…非遮光領域、R3…内側遮光領域、R4…外側遮光領域、R5…遮光領域、S1…パターン対応領域、S2…非遮光対応領域、S3…追加透過領域、S4…追加非透過領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源(10)と、
レーザ光を変調し得る複数の画素により前記レーザ光源(10)から出射されたレーザ光を入射する入射面が形成され、入射したレーザ光から情報光および/または参照光を生成する空間光変調器(16)と、
前記空間光変調器(16)により生成した情報光または参照光をホログラム記録媒体(HK)に照射することによって発生する情報再生光および参照再生光のいずれか一方の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号を出力する受光器(46)と、
前記受光器(46)が出力する信号に基づいて、前記ホログラム記録媒体(HK)に記録されたデータを再生する再生手段(216,220)と、を備えるホログラム記録再生装置において、
前記情報再生光および前記参照再生光の光路中に介在され、前記情報再生光および前記参照再生光が入射する入射領域に配置された複数の画素を有する遮光用光学部材(40)と、
前記遮光用光学部材(40)の各画素の光学的特性を制御する遮光用光学部材制御手段(208)と、を備え、
前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ再生時に、前記入射領域内に、前記いずれか一方の光が前記遮光用光学部材(40)に入射する第1領域および前記いずれか他方の光が前記遮光用光学部材に入射する第2領域を設定するとともに、前記第1領域に入射する光が前記受光器(46)に入射し、前記第2領域に入射する光が前記受光器(46)に入射しないように、前記第1領域に配置された画素の光学的特性と前記第2領域に配置された画素の光学的特性とを制御することを特徴とする、ホログラム記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のホログラム記録再生装置において、
前記空間光変調器(16)により生成した情報光および参照光をホログラム記録媒体(HK)に照射することにより、ホログラム記録媒体(HK)にデータを記録するデータ記録機能を有し、前記データ記録機能を用いてホログラム記録媒体(HK)に記録したデータを前記再生手段(216,220)により再生することを特徴とする、ホログラム記録再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のホログラム記録再生装置において、
前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ再生時に、前記第2領域に連続して形成され且つ前記第2領域を囲む追加領域を設定するとともに、前記追加領域に入射する光が前記受光器(46)に入射しないように、前記追加領域に配置された画素の光学的特性を制御することを特徴とする、ホログラム記録再生装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のホログラム記録再生装置において、
データ記録時に、前記空間光変調器(16)の前記入射面に情報光を生成する領域であるパターン領域と、参照光を生成する領域である参照光領域と、情報光も参照光も生成しない領域である遮光領域を設定する領域設定手段(206)と、
データ記録時に、記録すべき情報を2次元データに変換し、変換した2次元データを出力する記録用データ生成手段(204)と、
データ記録時に、前記記録用データ生成手段が出力した2次元データに基づいて前記パターン領域に配置された画素を制御するための信号を生成するとともに、生成した信号を、前記参照光領域に配置された画素を制御するための信号および前記遮光領域に配置された画素を制御するための信号とともに、前記空間光変調器に出力する記録用信号生成手段(206)と、を更に備え、
前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ再生時に、前記領域設定手段(206)によって設定された前記パターン領域および前記参照光領域に基づいて、前記第1領域および前記第2領域を設定することを特徴とする、ホログラム記録再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載のホログラム記録再生装置において、
前記記録用信号生成手段(206)は、データ記録時に、前記パターン領域に入射した光から生成される情報光に、前記パターン領域の位置を表すための位置決めパターン画像が含まれるように、前記パターン領域に配置された画素を制御するための信号を生成し、
前記ホログラム記録再生装置は、前記受光器(46)が出力する信号に基づいて、データ再生時に情報再生光に含まれる位置決めパターン画像が前記受光器(46)に入射する実位置を検出し、検出した実位置と、前記位置決めパターン画像が前記受光器(46)に入射する正規の位置として予め定められている正規位置とを比較することにより、前記実位置と前記正規位置との間の変化量を検出する位置変化量検出手段(214)を備え、
前記遮光用光学部材制御手段(208)は、前記位置変化量検出手段(214)が検出した変化量に基づいて、前記遮光用光学部材(40)に設定する前記第1領域と前記遮光用光学部材(40)に入射する前記いずれか一方の光の入射領域とのずれ、および、前記遮光用光学部材(40)に設定する前記第2領域と前記遮光用光学部材(40)に入射する前記いずれか他方の光の入射領域とのずれが無くなるように、設定すべき前記第1領域および前記第2領域の位置を修正することを特徴とする、ホログラム記録再生装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載のホログラム記録再生装置において、
前記遮光用光学部材制御手段(208)は、データ記録時に前記遮光用光学部材(40)に入射する光が前記受光器(46)に入射しないように、前記遮光用光学部材(40)の全ての画素の光学特性を同一の光学的特性に制御することを特徴とする、ホログラム記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−146098(P2011−146098A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6478(P2010−6478)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】