説明

ホログラム記録媒体及び記録再生システム

【課題】フィルタリング効果を維持しつつ高密度多重記録又は再生を安定的に行うことを可能にするホログラム装置を提供する。
【解決手段】ホログラム装置は、少なくとも第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有するホログラム記録媒体を、装着自在に保持する支持部と第1波長の可干渉性の参照光ビームを発生する光源と、記録情報に応じて参照光ビームを空間的に変調して信号光ビームを生成する空間光変調器を含む信号光生成部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク、光カードなどの光学的に情報記録又は情報再生が行われるホログラム記録媒体に関し、さらに、かかる記録媒体に2次元データを記録/再生できる記録再生システム並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2次元データを高密度記録できる記録媒体としてホログラムが注目されている。ホログラムの特徴は、情報を担持する光の波面を光感応材料からなる記録媒体に体積的に屈折率の変化(光干渉パターンによる回折格子であるホログラム)として記録することにある。ホログラム記録媒体に多重記録を行うことによって記録容量を飛躍的に増大させることができる。例えば、従来のホログラム記録技術として、ポリトピックマルチプレックスホログラフィ再生されたホログラムデータのビームウエストにフィルタが配置することにより、読み出された隣接するホログラムからの余計な光をフィルタリングできることが提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
かかる特許文献1技術においては、図15に示すように、信号光310をビームスプリッタ340を介しFTレンズ342により収束させつつホログラフィック媒体308に照射し、参照光320aをホログラフィック媒体308内部において信号光310と互いに交差するようにして、ホログラム記録している。そして、フィルタブロック330を、信号光310のビームウエスト316がその開口334を通過するように、FTレンズ342と同じ媒体308の側に配置している。ホログラム再生においては、読み出し光を、参照光320aと実質的に全く反対側の方向にホログラム記録部位に伝播させ、信号光310の反対の経路に沿って伝播する出力光311を生成する。かかるフィルタブロック330が出力光311のビームウエストに配置されることにより、出力光311から隣接するホログラムからの余計な光をフィルタリングできる。
【0004】
かかる特許文献1技術においては、フィルタブロック330を光学系の中に設ける代わりに、図16に示すように、矩形のストリップ状のホログラフィック媒体270に複数の正方形の開口272を有する不透明な上面274をフィルタとして設けた構成も提案している。
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、角度多重方式ではホログラフィック媒体内部において互いに交差する信号光及び参照光の交差角度を変更することで、同一単位記録領域に複数のホログラムを記録できる。図15に示すように、参照光320aと交差角度の異なる参照光320Aを信号光310と干渉させることで、ホログラフィック媒体270に角度多重記録が可能となる。
【0006】
しかしながら、従来においては、フィルタブロック330を光学系に設け、その効果を発揮させるためにはそのマスク部分を大きくする必要があるため、角度多重方式における所定角度間隔の参照光の交差角度を得るためには、フィルタブロック330の大きさが障害となっていた。
【0007】
さらに、ホログラフィック媒体270自体にフィルタを設けたとしても、予め決められた間隔で、図16に示すように、複数開口272を設けなければならず、角度多重方式やそれに加えていわゆるシフト多重方式を用いた場合に、開口の間の不透明部分の間隔がフィルタリング効果と高密度多重記録とのトレードオフとなっていた。
【0008】
そこで、本発明の解決しようとする課題には、フィルタリング効果を維持しつつ高密度多重記録又は再生を安定的に行うことを可能にするホログラム記録媒体及び記録再生システム並びに方法を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるホログラム記録媒体は、第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び前記記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によるホログラム装置は、第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び前記記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有するホログラム記録媒体を、装着自在に保持する支持部と、
第1波長の可干渉性の参照光ビームを発生する光源と、
記録情報に応じて前記参照光ビームを空間的に変調して信号光ビームを生成する空間光変調器を含む信号光生成部と、
前記信号光ビーム及び前記参照光ビームを前記ホログラム記録媒体へ向け照射し前記記録層の内部にて交差させて光干渉パターンを形成し、または、前記参照光ビームのみを前記光干渉パターンへ向け照射して前記信号光ビームに対応する再生波を生ぜしめる干渉部と、
第2波長の光透過率制御用光ビームを発生する光源を含み、前記光透過率制御用光ビームを前記記録層の前記光干渉パターンへ向け照射しかつ前記光透過率制御層の光透過率を局所的に上昇させ前記信号光ビーム及び前記参照光ビームを透過させる第1アパーチャ領域を形成する透過エリア発生器と、
前記再生波により結像された記録情報を検出する検出部と、
前記再生波を生ぜしめる際、前記第1アパーチャ領域よりも透過光を制限する第2アパーチャ領域を前記光透過率制御層に形成するように、前記透過エリア発生器を制御する制御回路を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によるホログラム記録再生方法は、第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び前記記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有するホログラム記録媒体を、装着自在に保持する支持部、並びに、可干渉性の参照光と記録すべき情報に応じて2次元データで変調された信号光の両光路を前記記録層内において交差させ、前記参照光及び前記信号光の光学干渉パターンをホログラムとして、前記記録層に記録するホログラム装置におけるホログラム記録再生方法であって、
前記ホログラム装置において、第2波長の光透過率制御用光ビームを生成する透過エリア発生器を設け、前記光透過率制御用光ビームを前記記録層の前記光干渉パターンへ向け照射しかつ前記光透過率制御層の光透過率を局所的に上昇させ前記信号光ビーム及び前記参照光ビームを透過させる第1アパーチャ領域を形成するステップと、
前記再生波を生ぜしめる際、前記第1アパーチャ領域よりも透過光を制限する第2アパーチャ領域を前記光透過率制御層に形成するように、前記透過エリア発生器を制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ホログラム記録再生の光学系中にフィルタを配置する構成に比べて、光透過率制御層を広く設けてあるので、隣接するホログラムからの回折光や反射層からの散乱光を排除する効果が高くなり、さらに、光透過率制御層が記録媒体側に光透過率を制御する膜として成膜されているので、フィルタ間隙からの回折光や散乱光をも排除している。また、再生光学系中にフィルタを配置する構成に比べて光学系が簡素になり、しかも記録媒体表面に成膜するだけであるため、同等の効果をより容易に得ることができる。光透過率制御層及び透過エリア発生器の組み合わせで、再生波以外の光の透過を有効に制限できる。さらに、不透明フィルタに複数開口を設ける必要がなくなり、更に、シフト多重方式においても密度高く記録することができる。
【0013】
本発明によれば、透過エリア発生器により状況に応じて透過率制御層のアパーチャ領域面積を調整できるようになり、例えば、光透過率制御光のビーム径を変化させたり、光透過率制御光を入射する角度を変化させたり、光透過率制御光をレンズで絞って記録媒体に照射し、収束させて焦点位置を変位させたりすることで、調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<ホログラム記録媒体>
図1は、本実施形態の一例である板状のホログラム記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう場合もある)2の断面図を示す。また、ホログラム記録媒体は、回転できる光ディスク形状や回転がないカード型例えば矩形状平行平板の光カード(図示せず)とすることもできる。
【0016】
ホログラム記録媒体2は、互いに積層された、ホログラムが記録される記録層3及びフィルタリング効果を発現可能な光透過率制御層4を含む。図示しないが、記録層3及び光透過率制御層4間に光透過性薄膜や、記録層3及び光透過率制御層4表面に光透過性保護層などを補強や、保護のために設けることもできる。
【0017】
記録層3は、公知のフォトリフラクティブ材料や、ホールバーニング材料、フォトクロミック材料など第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる。記録層3には光学干渉パターンを保存できる光感応材料が用いられる。
【0018】
光透過率制御層4は、第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応特性を有する光感応材料からなる。光透過率制御層4は、光、熱などの外部刺激によってその光透過率が制御され、記録再生時に第2波長の光が照射された特定アパーチャ領域のみ光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる変化をなし、第1波長の光が透過可能となる。
【0019】
光透過率制御層4の光透過率を制御するための外部刺激に光を用いる場合、光透過率制御層4の可逆的光感応材料には、光ヒステリシス物質、ホールバーニング化合物、フォトクロミック化合物を用いることが望ましい。外部刺激に熱を用いる場合、光透過率制御層4材料にサーモクロミック化合物を用いることが望ましい。
【0020】
光ヒステリシス物質には、鉄(II)錯体化合物である〔Fe(ptz)〕(BF結晶(ptz=1−propyltetrazole)が挙げられる。
【0021】
ホールバーニング物質には、キニザリン誘導体、ポルフィリンおよびフタロシアニン誘導体が挙げられる。
【0022】
フォトクロミック化合物には、T型フォトクロミック化合物が挙げられる。
【0023】
T型フォトクロミック化合物には、アゾベンゼン誘導体、スピロピラン誘導体、またはスピロオキサジン誘導体が挙げられる。例えばT型フォトクロミック化合物(光により高透過率状態になるが、室温で放置すると元の低光透過率状態に戻る化合物)であるアゾベンゼン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体などを用いることで、外光に記録層がさらされ、記録情報が劣化してしまうのを抑えることができる遮断層としての効果がある(参照、特開平05−001006)。
【0024】
サーモクロミック化合物には、サリチリデンアニリン誘導体、N,N−ジエチルエチレンジアミン錯体が挙げられる。
【0025】
レーザの光や熱により光透過率制御層4を制御する場合、そのレーザ強度によって光透過率制御層4の光透過率に分布が生じる。これによりアポダイゼーションフィルターと同様の効果が得られ、回折ノイズを減少させS/N比が上昇する(参考文献:ISOM ’06 OptimalOptik poster 7)。また、光透過率制御層4材料としては、特開平11−250493、特開平5−12715に示される材料も使用できる場合がある。
【0026】
記録用レーザすなわち信号光及び参照光は、記録容量の点で短波長(第1波長)のレーザを用いる方が望ましく、たとえば、405nmのレーザを用いる方がより望ましい。光透過率を制御する外部刺激に熱を用いる場合、その熱源にレーザを用いることが望ましい。光透過率制御用光ビームの波長は記録用レーザの波長(第1波長)とは異なる波長(第2波長)でなければならない。
【0027】
記録層3は、信号光及び参照光ビームの波長(第1波長)にのみ感応し、第1波長とは異なる波長(例えば第2波長)では感応しない材料であることが好ましい。
【0028】
光透過率制御層4は、記録用レーザの波長(第1波長)には感応せず、光透過率制御用光ビーム(第2波長)にのみ感応して第1波長における光透過率上昇を発現する材料でなければならない。なお、ここで「波長」、「波長にのみ」とは、これに限定されず、第1、2波長だけの単一波長を示すだけでなく、第1、2波長のそれぞれを含むある範囲の波長帯を示しかつそれぞれ波長帯が互い重複しないことを意味する。
【0029】
<ホログラム記録再生方法>
上記ホログラム記録再生装置を用いた、ホログラムディスクに光ビームを照射して情報を記録又は再生する記録再生方法を説明する。
【0030】
図1に示すように、ホログラム記録は、信号光ビームSB及び参照光ビームRBを記録層3側から入射し光透過率制御層4(光透過率制御用光ビームCBが局所的照射された第1アパーチャ領域APR1)を通過させて行われる。ここで、光透過率制御層4は光透過率制御用光ビームCBの光作用により少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなるので、ホログラム記録を行うアパーチャ領域のみ信号光ビームSB及び参照光ビームRBが通過する。
【0031】
図2に示すように、ホログラム再生は、参照光ビームRBを記録層3側から入射し光透過率制御層4(第2アパーチャ領域)を通過させて行われる。ここで、光透過率制御層4は参照光ビームRBが入射する側の反対側における記録層2上に積層されているので、光透過率制御層4側から光透過率制御用光ビームCBをピンポイントで局所的照射し、第1アパーチャ領域APR1よりも透過光を制限する、例えば面積を減少させた第2アパーチャ領域APR2を光透過率制御層4に形成する。第2アパーチャ領域APR2により、光透過率制御層4が目的のホログラムからの回折光すなわち再生信号光ReSBを透過させ、隣接するホログラムからの回折光を遮断する。なお、光透過率制御用光ビームCBは記録層2側からでも照射できる。
【0032】
アパーチャ領域面積を変える方法として、光透過率制御用光ビームのビーム径を変えて光透過率制御層4へ入射する方法や、光透過率制御用光ビームの入射角を変化させる方法や、光透過率制御用光ビームを集光させ、その焦点位置を変位する方法や、またはその両方を組み合わせた方法などが望ましい。
【0033】
光透過率制御用光ビームの照射はホログラム記録時とは別過程で行ってもよいが、ホログラム記録時と同時に行ってもよい。また、光透過率制御用光ビームの照射とホログラム記録を同時に行うことによって、記録再生にかかる時間を短縮することができる。
【0034】
さらにまた、図3に示すように、光透過率制御用光ビームCBで第1アパーチャ領域APR1を形成しつつ信号光ビームSB及び参照光ビームRBを光透過率制御層4及び記録層3側からそれぞれ入射しホログラム記録を行うこともできる。さらに、ホログラム再生は、図4に示すように、ホログラム再生は、記録時の参照光ビームRBの反対方向に伝搬するものを光透過率制御層4側からホログラムに照射すれば、光透過率制御用光ビームCBで形成された第2アパーチャ領域APR2を通して再生信号光ReSBを得ることもできる。よって、光透過率制御層は第1波長の参照光ビームRBが再生時に入射される側における前記記録層2上に積層されていてもよい。光透過率制御層4は記録媒体に対して受光部がある側(再生信号光ReSBを得る側)に配置しなくてはならない。
【0035】
さらにまた、図5に示すように、ホログラム再生において、光透過率制御用光ビームCBを記録時の信号光SBの光路と同軸に揃えてホログラム記録媒体2に入射して、第1アパーチャ領域APR1を形成しつつこれを通して再生信号光ReSBを得ることもできる。これにより、光透過率制御用光ビームCBで第1アパーチャ領域APR1を精度高く形成でき、再生信号のS/N比が向上する。なお、図6に示すように、光透過率制御用光ビームCBを記録時の参照光RBの光路と同軸に揃えてホログラム記録媒体2に入射して、第1アパーチャ領域APR1を形成しつつこれを通して再生信号光ReSBを得ることもできる。
【0036】
このように、光透過率制御層4を設けたホログラム記録媒体は、通常時は光を透過しないが、第2波長の光を照射したアパーチャ領域のみ第1波長における光透過率が上昇して透明なアパーチャ領域により、多重された隣接する別のホログラムから回折光の影響を受けることなく、目的のホログラムに対してのみ再生を行うことができる。これによりホログラム記録の多重化を効率よく増やすことができ、高密度、大容量記録ができるようになる。
【0037】
光透過率制御用光ビームの光学系は、記録用参照光または信号光光学系と別の位置に配置してもよい。また、ビーム径を変化させるために、光透過率制御用光ビームの光学系に公知のビームエキスパンダを用い、また、ビーム形状やビーム径を変化させるために、さらにシリンドリカルレンズを導入してもよい。また、光学部品を節約し、光学系を簡素化するためには、参照光または信号光の光学系、特に信号光光学系と同じ位置に配置する方が望ましい。なお、ビームエキスパンダはレーザ光のビーム径を広げるための光学モジュールであり、ビーム径、特にレーザビームでのビーム径はその横断面直径である。
【0038】
以下に本発明の実施形態としてホログラム装置の一例を図面を参照しつつ説明する。
【0039】
<ホログラム装置>
実施形態としてディスク形状の記録媒体の情報を記録及び再生するホログラム装置を説明する。ただし、本実施形態はこのホログラム装置構成に縛られることなく、どのホログラム記録形態においても使用することが可能である。
【0040】
図7はホログラム装置の一例のブロック図である。
【0041】
ホログラム装置は、記録媒体2のディスクを着脱自在に保持するターンテーブル(装着自在支持部)で回転させるスピンドルモータ22と、光ビームによって記録媒体2から信号を読み出すピックアップ23と、該ピックアップを保持し記録媒体の半径方向Rに移動させるピックアップ駆動部24と、ピックアップ23に搭載されたホログラム記録再生用の第1波長のレーザ光源(図示せず)に接続された光源駆動回路25と、ピックアップ23に搭載された空間光変調器(図示せず)に接続された空間光変調器駆動回路26と、ピックアップ23に搭載されたイメージセンサ(図示せず)に接続された再生光信号検出回路27と、ピックアップ駆動部24に接続されピックアップの位置信号を検出するピックアップ位置検出回路31と、ピックアップ駆動部24に接続されこれに所定信号を供給するスライダサーボ回路32や、公知の光ピックアップ構成を有する記録媒体2の回転角(回転角検知用のマークDM(図8参照))を検出する媒体回転角検知センサ33と、該媒体回転角検知センサに接続され記録媒体2の回転位置信号を生成する回転位置検出回路34と、スピンドルモータ22に接続されこれに所定信号を供給するスピンドルサーボ回路35とを備えている。
【0042】
回転角検知用のマークを付された記録媒体2は、例えば、フォトポリマや、光異方性材料や、フォトリフラクティブ材料や、ホールバーニング材料、フォトクロミック材料など光学干渉パターンを保存できる透光性の光感応材料が用いられ、両面を保護層で覆う構造がとられている。回転角検知用のマークDMは、例えば図8に示すように回転中心孔周りの保護層表面又は界面に例えば印刷されている。
【0043】
さらに、ホログラム装置は、ピックアップ23に搭載された光透過率制御用光ビームの光学系に含まれる透過エリア発生器(図示せず)を制御する回路である透過エリア発生器駆動回路101、並びに、ピックアップ23に搭載された参照光ビームの光学系に含まれる光偏向装置のガルバノミラー(図示せず)を制御する回路である参照光偏向駆動回路MDを備えている。
【0044】
後述するが、透過エリア発生器は第2波長の光透過率制御用光ビームCBを発生する光源を含み、光透過率制御用光ビームCBを記録層の光干渉パターンへ向け照射しかつ光透過率制御層4の光透過率を局所的に上昇できるとともに光透過率制御層4上の光ビームCBの形状及び又はビーム径を変更できるように、構成されている。透過エリア発生器駆動回路101は、図1に示すように、信号光ビームSB及び参照光ビームRBを透過させる第1アパーチャ領域APR1(記録時)を光透過率制御層4に形成するように、さらに、図2に示すように、再生波を生ぜしめる際(再生時)、第1アパーチャ領域よりも透過光を制限する第2アパーチャ領域APR2を光透過率制御層4に形成するように、かかる透過エリア発生器を制御する。
【0045】
参照光偏向駆動回路MDは、光偏向装置のガルバノミラーを制御して、参照光を、記録すべき情報に応じて2次元データで変調された信号光に対して、記録媒体内において交差させるように、参照光の交差角を所定の角度間隔で変化させる制御回路である。
【0046】
また、ホログラム装置は制御回路37を有しており、制御回路37は透過エリア発生器駆動回路101、参照光偏向駆動回路MD、光源駆動回路25、空間光変調器駆動回路26、再生光信号検出回路27、ピックアップ位置検出回路31、スライダサーボ回路32、媒体回転角検知センサ33、回転位置検出回路34、並びにスピンドルサーボ回路35に接続されている。制御回路37はこれら回路からの信号に基づいて、これら駆動回路を介してピックアップに関する半径及び接線方向の位置の制御などを行う。制御回路37は、各種メモリ38を搭載したマイクロコンピュータからなり装置全体の制御をなすものであり、操作部39からの使用者による操作入力及び現在の装置の動作状況に応じて各種の制御信号を生成するとともに、使用者に動作状況などを表示する表示部40に接続されている。また、制御回路37はホログラムの記録再生シーケンスを制御する。
【0047】
記録時、制御回路37は外部から入力されたホログラム記録すべきデータの符号化などの処理を実行し、所定信号を空間光変調器駆動回路26に供給する。光源駆動回路25は、ピックアップ23に搭載されたホログラム記録再生用の第1波長のレーザ光源の光強度をホログラム記録時には強く再生時には弱くするように、その出力調整を行う。
【0048】
制御回路37は、記録すべきホログラムを所定間隔(多重間隔)で記録できるようにホログラム単位記録領域を所定間隔で形成するように制御するとともに、単位記録領域において所定角度間隔(角度多重)で記録できるように、各種要素を制御する。
【0049】
再生時、制御回路37は、ピックアップ23に搭載されたイメージセンサに接続された再生光信号検出回路27からの信号に基づいて復調及び誤り訂正処理をなすことにより、記録媒体に記録されていた2次元データを復元するように、各種要素を制御する。更に、制御回路37は、復元したデータに対して復号処理を施し、再生データを出力する。
【0050】
制御回路37は、操作部又はピックアップ位置検出回路31からの位置信号に基づいてスライダ駆動信号を生成し、これをスライダサーボ回路32に供給する。スライダサーボ回路32はピックアップ駆動部24を介して、そのスライダ駆動信号による駆動電流に応じピックアップ23をディスク半径方向に移送せしめる。
【0051】
記録再生時共通して、媒体回転角検知センサ33は、記録媒体2の内周側に付された検知用マークDM(図8参照)を検出し、その出力を回転位置検出回路34に供給する。回転位置検出回路34は回転位置信号を生成し、それを制御回路37に供給する。制御回路37は回転位置信号からトラック方向における単位記録領域の位置を判別する。制御回路37はスピンドル駆動信号を生成し、それをスピンドルサーボ回路35に供給し、スピンドルモータ22を制御して、記録媒体2を回転駆動する。
【0052】
これらにより、記録時の運動している記録媒体に対する光スポットの相対位置を一定としてホログラムの形成時間を確保でき、再生時の参照光の位置や、角度を確定できる。
【0053】
<光ピックアップ>
図9はピックアップ23の概略構成を示す。ただし本実施形態はこれらのピックアップ構成に限定されることなくどのホログラム記録形態においても使用することが可能である。
【0054】
ピックアップ23筐体内は、信号光及び参照光の光ビームを記録媒体内部にて交差させ光干渉パターンを形成する干渉部であるホログラム記録光学系及びホログラム再生光学系が配置されている。
【0055】
ピックアップ23は、光源駆動回路25に接続され可干渉性光(第1波長の)を生成するレーザ光源LD、コリメータレンズCL、ハーフミラープリズムHP、偏光ビームスプリッタPBS、空間光変調器駆動回路26に接続された反射型の空間光変調器SLM、第1対物レンズOBA、第2対物レンズOBB、再生光信号検出回路27に接続されたイメージセンサIS、参照光基準開口マスクRAP、並びに参照光偏向駆動回路MDに接続された光偏向装置201(ガルバノミラーGM、1対の同軸の照射レンズからなる4f光学系4f)から構成されている。
【0056】
ホログラム記録光学系の信号光用のものは、レーザ光源LD、コリメータレンズCL、ハーフミラープリズムHP、偏光ビームスプリッタPBS、反射型の空間光変調器SLM、及び第1対物レンズOBAである。
【0057】
ホログラム記録光学系の参照光用のものは、レーザ光源LD、コリメータレンズCL、ハーフミラープリズムHP、参照光基準開口マスクRAP、及び光偏向装置201である。
【0058】
ホログラム再生光学系は、ホログラム記録光学系と共通の参照光学系(レーザ光源LD、コリメータレンズCL、ハーフミラープリズムHP、参照光基準開口マスクRAP、及び光偏向装置201)と第2対物レンズOBB、イメージセンサISを含む。イメージセンサISは荷結合装置(CCD)や相補型金属酸化膜半導体装置(CMOS)などのアレイからなる。
【0059】
信号光及び参照光用光学系に用いるレーザ光源LDの第1波長は、記録媒体2の光学干渉パターンを保存できる透光性の光感応材料が反応する波長である。コリメータレンズCLはレーザ光源LDからの発散する可干渉光を平行光に変換するエキスパンダ機能を有する。ハーフミラープリズムHPは平行光から二方向に分離して、参照光及び信号光用の光束を生成する。
【0060】
信号光及び参照光用光学系に用いる一対の第1対物レンズOBA及び第2対物レンズOBBは互いの焦点が一致するように直線上に配置されている。一対の対物レンズOBA、OBBの共通焦点を外して、その近傍の第1対物レンズOBA側に記録媒体2が配置される。
【0061】
信号光及び参照光用光学系に用いる反射型空間光変調器SLMは、マトリクス状に分割された複数の画素電極を有する反射型の液晶パネルなどで電気的に入射光を画素ごとに透過又は反射状態とする機能を有する。この空間光変調器SLMは空間光変調器駆動回路26からの記録すべきページデータ(平面上の明暗ドットパターンなどの2次元データの情報パターン)に基づいた分布を有するように光ビームを変調して、信号光を生成する。また空間光変調器駆動回路26からの信号に応じて再生時の信号光をすべて反射させないシャッタ機能も有する。なお、反射型の空間光変調器の代わりに、透過型液晶パネルの空間光変調器を用いる場合は、偏光ビームスプリッタPBSの位置に鏡を配置して当該鏡と第1対物レンズOBの間に透過型空間光変調器を配置することもできる。
【0062】
参照光用光学系として、図9に示すように、参照光基準開口マスクRAPは光軸上開口を備え、軸上開口は入力光束を基準となる開口制限して適度なビーム径に変換し参照光RBを生成する。角度多重記録をなすために参照光は光偏向装置(ガルバノミラー)へ供給される。
【0063】
<光偏向装置>
光偏向装置は、図9に示すように、ガルバノミラーGMと4f光学系4fからなる。ガルバノミラーGMは、その回転軸を駆動するアクチュエータを制御する参照光偏向駆動回路MDによって、駆動される。参照光偏向駆動回路MDにより例えばスッッテピングモータ駆動のガルバノミラーGMを一定角度間隔で回動される。本実施例では、参照光偏向駆動回路MDによりガルバノミラーGMで参照光入射角を微小角度間隔だけ変化させる微調整を行うことができる。
【0064】
4f光学系4fは共焦点のレンズ構成であり両端の焦点面が互いに物体と像の結像関係にあるテレセントリック光学系であり、一方端のレンズ焦点(共役点)にガルバノミラーGMの回転軸が配置され他方端のレンズ焦点(共役点)に記録媒体2が配置される。よって、4f光学系では、ガルバノミラーGM(共役点)から、どの方向に反射した光も、記録媒体上の特定の点(光軸上の共役点)へと導かれる。このように、光偏向装置は、ホログラムの角度多重記録を行う際に、参照光の照射角度を、ホログラムの記録位置(記録層)を中心として変更する機構である。
【0065】
図は一例として焦点距離の等しい場合の4f光学系を示したが、これには限定されず、記録媒体へ照射する参照光の角度を変更する機構であれば他の光偏向装置も用い得る。
【0066】
<透過エリア発生器>
光透過率制御用光ビームCBの光学系として、図9に示すように、透過エリア発生器102がピックアップ23に搭載されている。透過エリア発生器102は、透過エリア発生器駆動回路101で制御される第2波長の光透過率制御用光ビームCBを発生する第2レーザ光源LD2を含み、その光軸上に、第2コリメータレンズCL2、第1エキスパンダレンズExp1、第2エキスパンダレンズExp2が配置され構成されている。例えば第2レーザ光源LD2は第1波長より長い波長の半導体レーザである。透過エリア発生器は、第2レーザ光源LD2の光軸が信号光及び参照光ビームSB、RBの交差点又はその近傍を通過するように、構成されている。第1エキスパンダレンズExp1の凹レンズは透過エリア発生器駆動回路101で制御されるアクチュエータ(図示せず)により光軸上で可動とされ、固定されている凸レンズの第2エキスパンダレンズExp2との間隔を変更できる、エキスパンダ構成となっている。よって、過エリア発生器駆動回路101の制御により、第2波長の光透過率制御用光ビームCBを平行ビーム又は適切な拡がり角を有する拡散光或いは収束光とされるので、図2に示すように、再生波を生ぜしめる際(再生時)、第1アパーチャ領域よりも透過光を制限する第2アパーチャ領域APR2を光透過率制御層4に形成する。透過エリア発生器102は、光透過率制御用光ビームCBの焦点位置を変えることで光透過率制御層4の上記の第1及び2アパーチャ領域(ピンホール機能をなす)の面積の変更を実行することができる。
【0067】
<ホログラム装置動作>
図9によりホログラム装置の概略動作を説明する。
【0068】
記録ステップにおいて、図9に示すように、レーザ光源LD及び第2レーザ光源LD2を点灯する。レーザ光源LDから放射された可干渉性光束はコリメータレンズCLで平行光となりハーフミラープリズムHPで参照光及び信号光用に分離される。
【0069】
信号光用光束はハーフミラープリズムHP反射後、偏光ビームスプリッタPBSを経て、空間光変調器駆動回路26からの信号により変調パターンを表示している空間光変調器SLMに入射する。空間光変調器SLMで、入射光が空間的に変調され信号光SBが生成されて反射され、偏光ビームスプリッタPBSに戻り、信号光SBが第1対物レンズOBAへ反射される。信号光SBは第1対物レンズOBAにより集光され記録媒体2に入射する。
【0070】
参照光用光束はハーフミラープリズムHP通過後、参照光基準開口マスクRAPで開口制限され参照光RBとなり、ガルバノミラーGMに入射する。ガルバノミラーGMで偏向された参照光RBは、4f光学系4fを経て、第1対物レンズOBAにより集光された信号光SBと記録媒体2の記録層内のある一点(単位記録領域)で交差する。
【0071】
光透過率制御層4は第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応特性を有するので、信号光SB及び参照光RBが記録層に届くように、第2レーザ光源LDの光透過率制御用光ビームCB照射により第1アパーチャ領域を光透過率制御層4に形成する。当該照射によってその光透過率が上昇し、第1波長の信号光SB及び参照光RBが透過可能となる。
【0072】
この操作により記録媒体2内に信号光SB及び参照光RBによる光学干渉パターンが生じホログラムが記録される。
【0073】
再生ステップにおいて、図10に示すように、レーザ光源LD及び第2レーザ光源LD2を点灯する。空間光変調器SLMを全て透過状態とし信号光が第1対物レンズOBAへ反射されずに、記録媒体2に入射しないようにする。参照光RBのみは記録時同様にガルバノミラーGM及び4f光学系4fに入射し、参照光RBのみ偏向角度を選択し記録媒体2に入射させる。参照光RBの照射位置において光透過率制御用光ビームCBも照射される。光透過率制御用光ビームCBを光透過率制御層4へピンポイントで局所的照射し、透過エリア発生器駆動回路101の制御により、第1アパーチャ領域APR1よりも照射面積を減少させた第2アパーチャ領域APR2を光透過率制御層4に形成する。これにより、第2アパーチャ領域APR2により、光透過率制御層4が目的のホログラムからの回折光すなわち再生信号光ReSBを透過させ、隣接するホログラムからの回折光を遮断する。
【0074】
参照光RB照射で選択された交差角度に対応したホログラムのみが再生される。再生されたホログラムからの再生信号光ReSBは、第2対物レンズOBBによりイメージセンサIS上に結像する。この再生像を再生光信号検出回路27で読み取り、記録した信号が再生される。
【0075】
ホログラム装置は、記録及び再生ステップそれぞれにおいて、記録すべき単位記録領域の複数を所定間隔(トラック方向(図8における記録媒体2上の破線でしめす同心円)にてシフト多重間隔)で逐次記録及び再生できるように、記録媒体を回転制御するとともに、単位記録領域の各々においてページ単位で所定角度間隔で角度多重記録できるように、制御される。
【0076】
<シフト移動&角度多重>
実施形態のホログラム装置において単位記録領域ごとの角度多重記録の前後に、シフト移動動作が行われるので、これを先に簡単に説明する。
【0077】
例えば、シフト移動ステップは図11に示すフローチャートに従って行われる。
【0078】
まず、図9及び図11に示すように記録媒体2をホログラム装置のスピンドルに挿入固定する。その後、制御回路37からのデータ記録(又は再生)指令による目標アドレス指示に応じて、参照光の目標入射角度を固定(光偏向装置停止)し(ステップS1)、そして、媒体回転角検知センサ33を起動して(ステップS2)、目標のアドレス情報の記録媒体2における目標角度位置まで記録媒体2を回転し、そこで停止する(ステップS3)。つぎに、ピックアップ位置検出回路31及びスライダサーボ回路32を起動して、目標のアドレス情報の記録媒体2における目標半径位置までピックアップ23を半径方向Rにて移動し(ステップS4)、そこで停止する(シフト移動)。なお、ここで、目標のアドレス情報がページに既に記録されている場合は、シフト移動の後に、参照光のみ強度を低下させて照射し現在のページからアドレス情報が読み取れればアドレス情報の照合を行い、読み取れない場合は記録媒体の回転及び又はピックアップの移動のそれぞれについて微調整を行って再度参照光の照射による再度読み取りと再度アドレス情報照合を行うステップを繰り返しアドレス情報照合を完了するシフト移動の検査を行うこともできる(検査ステップ)。
【0079】
シフト移動の後に、目標位置における単位記録領域にて角度多重の記録又は再生のステップを実行する(ステップS5)。そして、角度多重の記録又は再生のステップの継続又は終了を判別して(ステップS6)、継続であればステップS2へ戻り、他の目標アドレス指示を行い、記録終了であれば終了する。
【0080】
これらシフト移動と角度多重のステップを順次行い、記録すべき単位記録領域を所定間隔で重なるように繰り返し、トラック方向に複数の単位記録領域(シフト多重記録)を形成する。
【0081】
例えば、図8に示すように、記録媒体2のトラック(破線)上に所定間隔で複数の単位記録領域いわゆるブック(○で示す部分)がシフト多重記録され整列される。ブックごとには角度多重がなされる。
【0082】
<他の実施形態>
光透過率制御用光ビームの光学系に関して上記実施形態では、透過エリア発生器をイメージセンサ側(記録媒体2の記録層3に対して光透過率制御層4側)に配置した場合を説明したが、図12に示すように、透過エリア発生器102をイメージセンサ反対側(記録媒体2の記録層3側)に配置することも可能である。
【0083】
図12に示すように、透過エリア発生器102は、光透過率制御用光ビームCBと信号光光軸SBAXが同軸となるように、配置できる。ダイクロックプリズムDPを信号光光軸SBAX上の偏光ビームスプリッタPBSと第1対物レンズOBAの間に配置して、光透過率制御用光ビームCBと信号光が同軸となるようにすることにより、光透過率制御用光ビームCBで第1アパーチャ領域APR1及び第2アパーチャ領域APR2を精度高く形成でき、正確にホログラムが記録再生できるようになる。記録時においては、光透過率制御用光ビームCBと信号光を同時に記録媒体2に照射してホログラム記録を実行する。再生時には、図12に示すように、レーザ光源LD及び第2レーザ光源LD2を点灯するが、空間光変調器SLMを全て透過状態とし信号光が記録媒体2に入射しないようにして、参照光RBのみは記録時同様にガルバノミラーGM及び4f光学系4fにより記録媒体2に入射させる。これにより、記録時のホログラム位置に光透過率制御用光ビームCBをピンポイントで局所的照射でき、再生信号のS/N比が向上する。光透過率制御用光ビームCBの第1波長を赤外線帯域の光を用いた場合、信号光光軸SBAX上の第2対物レンズOBBとイメージセンサISの間に赤外線遮断フィルタIRFを配置して、第1波長の光透過率制御用光ビームCBのイメージセンサISへの入射を防ぐ。第1波長の光透過率制御用光ビーム遮断用にはダイクロックプリズムなどの光学素子を用いることが好ましい。
【0084】
なお、この実施形態では赤外線遮断フィルタIRF、透過エリア発生器102の位置及びダイクロックプリズムDP以外、上記実施形態と同一構成である。
【0085】
さらにまた、信号光光軸上でなく参照光RB光軸上の参照光基準開口マスクRAPとガルバノミラーGMの間にダイクロックプリズムを配置して光透過率制御用光ビームCBと参照光RBが同軸となるように、透過エリア発生器を配置することもできる。
【0086】
また、他の変形例では、図13に示すように、透過エリア発生器102の光透過率制御用光ビームCB光軸にシリンドリカルレンズCyLを設け、非点収差を利用してビーム径を変化させるとともにビーム断面形状をも変化させる構成とすることもできる。
【0087】
さらにまた、図示しないが、透過エリア発生器102内部のレンズ群の構成を変更して出力光を平行光線の光透過率制御用光ビームCBとするレーザビームを任意の倍率の平行光束に広げることが可能なビームエキスパンダを用いることもできる。かかるビームエキスパンダには例えばズームタイプの公知のレーザビームエキスパンダを用いることもできる。
【0088】
さらにまた、更なる他の変形例では、図14に示すように、透過エリア発生器102において、透過エリア発生器駆動回路101で制御される第2波長の光透過率制御用光ビームCBを発生する第2レーザ光源LD2と、第2レーザ光源LD2からの光を所定回転角度で反射するガルバノミラーGM2と、かかる反射光を参照光RB位置は照射する1対の同軸の照射レンズからなるテレセントリック光学系の4f光学系4f2と、を設けて、光透過率制御用光ビームCBのビーム断面形状を光透過率制御層4上において記録時と再生時とで変化させる構成とすることもできる。これにより、光透過率制御用光ビームCBの入射角度を変えることで光透過率制御層4上の第1及び2アパーチャ領域の面積及び形状の変更を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明による実施形態の記録媒体の概略部分断面図である。
【図2】本発明による実施形態の記録媒体の概略部分断面図である。
【図3】本発明による実施形態の記録媒体の概略部分断面図である。
【図4】本発明による実施形態の記録媒体の概略部分断面図である。
【図5】本発明による実施形態の記録媒体の概略部分断面図である。
【図6】本発明による実施形態の記録媒体の概略部分断面図である。
【図7】本発明による実施形態のホログラム装置の概略を示す構成図である。
【図8】本発明による実施形態の記録媒体の平面図である。
【図9】本発明による実施形態のホログラム装置の光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図10】本発明による実施形態のホログラム装置の光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図11】本発明による実施形態の方法におけるシフト移動ステップを示すフローチャートである。
【図12】本発明による他の実施形態のホログラム装置の光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図13】本発明による他の実施形態のホログラム装置の光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図14】本発明による他の実施形態のホログラム装置の光ピックアップの概略を示す構成図である。
【図15】従来のホログラム記録を説明する概略構成断面図である。
【図16】従来のホログラム記録における記録媒体を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
2 記録媒体
22 スピンドルモータ
23 ピックアップ
24 ピックアップ駆動部
25 光源駆動回路
26 空間光変調器駆動回路
27 再生光信号検出回路
31 ピックアップ位置検出回路
32 スライダサーボ回路
33 媒体回転角検知センサ
34 回転位置検出回路
35 スピンドルサーボ回路
37 制御回路
101 透過エリア発生器駆動回路
102 透過エリア発生器
201 光偏向装置
MD 参照光偏向駆動回路
4f 4f光学系
GM ガルバノミラー
CL コリメータレンズ
IS イメージセンサ
LD レーザ光源
LD2 第2レーザ光源
OBA 第1対物レンズ
OBB 第2対物レンズ
PBS 偏光ビームスプリッタ
RB 参照光
SB 信号光
SLM 空間光変調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び前記記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有することを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
前記光透過率制御層は、光ヒステリシス物質からなることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
前記光透過率制御層は、ホールバーニング物質からなることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
前記前記光透過率制御層は、サーモクロミック化合物からなることを特徴とする請求項1記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】
前記光透過率制御層にフォトクロミック化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項6】
前記光透過率制御層は前記第1波長の光の受光部がある側における前記記録層上に積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び前記記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有するホログラム記録媒体を、装着自在に保持する支持部と、
第1波長の可干渉性の参照光ビームを発生する光源と、
記録情報に応じて前記参照光ビームを空間的に変調して信号光ビームを生成する空間光変調器を含む信号光生成部と、
前記信号光ビーム及び前記参照光ビームを前記ホログラム記録媒体へ向け照射し前記記録層の内部にて交差させて光干渉パターンを形成し、または、前記参照光ビームのみを前記光干渉パターンへ向け照射して前記信号光ビームに対応する再生波を生ぜしめる干渉部と、
第2波長の光透過率制御用光ビームを発生する光源を含み、前記光透過率制御用光ビームを前記記録層の前記光干渉パターンへ向け照射しかつ前記光透過率制御層の光透過率を局所的に上昇させ前記信号光ビーム及び前記参照光ビームを透過させる第1アパーチャ領域を形成する透過エリア発生器と、
前記再生波により結像された記録情報を検出する検出部と、
前記再生波を生ぜしめる際、前記第1アパーチャ領域よりも透過光を制限する第2アパーチャ領域を前記光透過率制御層に形成するように、前記透過エリア発生器を制御する制御回路を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項8】
前記透過エリア発生器は、前記光透過率制御用光ビームのビーム径を変えることで前記光透過率制御層の前記第1及び2アパーチャ領域の面積の変更を実行することを特徴とする請求項7に記載のホログラム装置。
【請求項9】
前記透過エリア発生器は、前記光透過率制御用光ビームの入射角度を変えることで前記光透過率制御層の前記第1及び2アパーチャ領域の面積及び形状の変更を実行することを特徴とする請求項7に記載のホログラム装置。
【請求項10】
前記透過エリア発生器は、前記光透過率制御用光ビームの焦点位置を変えることで前記光透過率制御層の前記第1及び2アパーチャ領域の面積の変更を実行することを特徴とする請求項7に記載のホログラム装置。
【請求項11】
前記信号光ビームに対する前記参照光の交差角を所定の角度間隔で変化させる光偏向装置を含み、前記角度間隔ごとにページ単位で前記記録層の単位記録領域に多重記録することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のホログラム装置。
【請求項12】
第1波長の光に感応して光学干渉パターンを保存できる光感応材料からなる記録層及び前記記録層上に積層されかつ第1波長と異なる第2波長の光に感応して少なくとも第1波長における光透過率が上昇しかつ第2波長の光の非照射で下降する可逆的光感応材料からなる光透過率制御層を有するホログラム記録媒体を、装着自在に保持する支持部、並びに、可干渉性の参照光と記録すべき情報に応じて2次元データで変調された信号光の両光路を前記記録層内において交差させ、前記参照光及び前記信号光の光学干渉パターンをホログラムとして、前記記録層に記録するホログラム装置におけるホログラム記録再生方法であって、
前記ホログラム装置において、第2波長の光透過率制御用光ビームを生成する透過エリア発生器を設け、前記光透過率制御用光ビームを前記記録層の前記光干渉パターンへ向け照射しかつ前記光透過率制御層の光透過率を局所的に上昇させ前記信号光ビーム及び前記参照光ビームを透過させる第1アパーチャ領域を形成するステップと、
前記再生波を生ぜしめる際、前記第1アパーチャ領域よりも透過光を制限する第2アパーチャ領域を前記光透過率制御層に形成するように、前記透過エリア発生器を制御するステップと、を含むことを特徴とするホログラム記録再生方法。
【請求項13】
前記透過エリア発生器は、前記光透過率制御用光ビームのビーム径を変えることで前記光透過率制御層の前記第1及び2アパーチャ領域の面積の変更を実行することを特徴とする請求項12に記載の光記録再生方法。
【請求項14】
前記透過エリア発生器は、前記光透過率制御用光ビームの入射角度を変えることで前記光透過率制御層の前記第1及び2アパーチャ領域の面積の変更を実行することを特徴とする請求項12に記載のホログラム記録再生方法。
【請求項15】
前記透過エリア発生器は、前記光透過率制御用光ビームの焦点位置を変えることで前記光透過率制御層の前記第1及び2アパーチャ領域の面積の変更を実行することを特徴とする請求項12に記載のホログラム記録再生方法。
【請求項16】
前記ホログラム装置において、前記信号光ビームに対する前記参照光の交差角を所定の角度間隔で変化させる光偏向装置を設け、前記角度間隔ごとにページ単位で前記記録層の単位記録領域に多重記録するステップと、を含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載のホログラム記録再生方法。
【請求項17】
前記光透過率制御用光ビームを前記参照光の光路と同軸に揃えて前記ホログラム記録媒体に入射することを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載のホログラム記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−85582(P2010−85582A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252850(P2008−252850)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】