説明

ホームシステム用オーディオビデオデバイスの近距離登録方法

鍵を格納する近距離通信(NFC)ステッカー(350)が新しいクライアントデバイス(300)に取り付けられる。ホームネットワーク内の遠隔制御装置(100)は、NFCインタフェース(102)を用いて鍵を読み込み、これをホームネットワークサーバ(200)にIR送信する。クライアントがネットワークに接続されると、クライアントは、自己のデバイス情報を鍵で暗号化し、この暗号化された情報をサーバに送信し、該サーバは、遠隔制御装置から送信された鍵でデータを解読する。このようにして、クライアントデバイスの登録が容易且つセキュアに実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、近距離通信(NFC)を用いたオーディオビデオデバイスのホームネットワークへの登録に関する。
【背景技術】
【0002】
新しいデジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ又はデジタルビデオレコーダ(DVR)などの新しいデバイスを家庭用エンターテイメントネットワークなどのネットワークに取り付けることは、これらの製品が対象とする顧客は勿論のこと、技術者にとっても困難な作業となる可能性がある。これは、ネットワーク登録が、IPアドレス、有線同等のプライバシー(WEP)キー、その他に対しての一連の長い英数字の入力を伴う場合があることに起因する。
【0003】
本明細書で認識されるように、上記の面倒な作業からユーザを助けるために、近距離通信(NFC)を用いることができ、ここでは、限定ではないが、無線固体識別(RFID)及び/又はSony製「Felica」NFC技術などのNFC原理を利用して、登録しようとしているデバイスとネットワークとの間で上記の情報交換を自動で実施することができる。更に、本明細書で認識されるように、予めNFC機能が備えられたシステムサーバ(通常はTV(テレビ))はほとんどの場合は存在しないので、このようなサーバを必要とせずにNFC登録を行うことが望ましいことになる。更に、本明細書で理解されるように、比較的大型のデバイスと比較的大型のサーバとの間のNFC登録では、NFCを可能にするために、一方の大型の対象物を他方に十分に近づけることが必要となる。本発明は、これらの認識を考慮して提供されるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
鍵を格納する近距離通信(NFC)ステッカーが新しいクライアントデバイスに取り付けられる。ホームネットワーク内の遠隔制御装置は、NFCインタフェースを用いて鍵を読み込み、これをホームネットワークサーバにIR送信する。クライアントがネットワークに接続されると、クライアントは、自己のデバイス情報を鍵で暗号化し、この暗号化された情報をサーバに送信し、サーバは、遠隔制御装置から送信された鍵でデータを解読する。このようにして、クライアントデバイスの登録が容易且つセキュアに実行される。
【0005】
従って、ホームネットワークは、ハンドヘルドのポータブル遠隔制御装置を含む。遠隔制御装置は、近距離通信(NFC)要素及び非NFC無線送信器を含む。クライアントデバイスはネットワークに登録しようと試み、NFC要素を含むクライアントデバイスは、遠隔制御装置のNFC要素によりNFC原理を用いて読み込み可能な暗号鍵を格納する。NFC機能を持たず、無線受信器を有するネットワークサーバは、遠隔制御装置の非NFC無線送信器から鍵を受け取る。
【0006】
遠隔制御装置のNFC要素は、NFCリーダもしくはNFCリーダ/ライターとすることができ、サーバはデジタルTVとすることができる。非NFC無線送信器はIR送信器とすることができる。何れの場合においても、サーバは、ネットワーク上でクライアントから暗号化された登録情報を受け取り、鍵を用いて登録情報を解読することができる。
【0007】
別の態様において、鍵は、ネットワーク上で登録しようとするクライアントデバイスからNFCを用いて取得される。鍵は、無線、非NFC、非電話通信モードを用いて登録サーバに送信され、該鍵を用いてクライアントデバイスをサーバに登録する。
【0008】
更に別の態様において、無線電話又はTV遠隔制御装置によって実施することができる、ポータブル中間通信デバイスが開示される。デバイスは、クライアントデバイスから鍵を受け取るよう構成されたNFC要素を含む。中間通信デバイスはまた、鍵をサーバに送信するための非NFC非電話無線送信器と、無線送信器を制御するプロセッサとを含む。
【0009】
構造及び動作に関する本発明の詳細は、同じ参照符号が同じ要素を示す添付図面を参照するとより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の原理による非限定的なネットワークのブロック図である。
【図2】本発明の原理による非限定的なクライアントデバイスのブロック図である。
【図3】本発明の原理による非限定的なクライアントデバイスのブロック図である。
【図4】登録通信プロセスを示すタイムライン図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に図1を参照すると、全体的に参照符号10で示されたホームネットワークが図示されており、該ホームネットワークは、限定ではないが、DVDプレーヤ、又はPVR、又はビデオカメラなどの少なくとも1つのクライアントデバイス300と、少なくとも1つのポータブルハンドヘルド遠隔制御装置100と、限定ではないがサーバTVなどの少なくとも1つのネットワークサーバ200とを含む。
【0012】
最初に遠隔制御装置100から始めると、図示のように遠隔制御装置100内にはマイクロプロセッサ101が設けられる。以下でより十分に開示されるように、マイクロプロセッサ101は、NFCアンテナ103及び関連のNFCインタフェース102を用いて、クライアントデバイス300から特定の情報を読み込む。次いで、同様に以下で更に説明されるように、マイクロプロセッサ101は、当該技術分野で公知のIR(赤外)通信原理によるIR送信器104(発光ダイオード(LED)により実施することができる)などの非NFC無線送信器を用いて、サーバTV200に情報を送信する。
【0013】
非限定的な実施形態において、NFCインタフェース102/アンテナ103は、Sony製「Felica」チップ(「SUICA」チップとしても知られる)により実施することができ、該チップは、遠隔制御装置100の内部に組み込むか、もしくは遠隔制御装置のケースに取り付けることができ、或いは、ケースとは物理的に分離し、ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどのケーブルを介して遠隔制御装置100に接続することができる。従って、RFIDライター/リーダを用いて、本発明の遠隔制御装置100のNFC構成要素及び/又は以下で更に検討するクライアントデバイス300のNFC構成要素を実装してもよい。
【0014】
図4に示す本発明のロジックの実施において、遠隔制御装置100のマイクロプロセッサ101は、遠隔制御装置100のメモリ105内に格納することができるソフトウェアプログラムを実行する。限定ではないが、半導体メモリとすることができるメモリ105はまた、クライアントデバイス300から読み込まれる情報などのデータを格納することができる。図示のように、遠隔制御装置100上には、キーパッド106も設けられ、例えば、人がコマンドを入力するために操作することができる。遠隔制御装置100はまた、限定ではないが、液晶ディスプレイ(LCD)107などの出力デバイスも備えることができ、マイクロプロセッサ101からデータを受信して、例えば、「キー読み込み」、「キーをサーバに送信」、その他などのメッセージを示すことができる。
【0015】
次に、サーバ200を参照すると、1つの実施形態において、サーバ200は、デジタルTにより実施され、チューナ/フロントエンド207において調整されるオーディオ/ビデオ(AV)信号をアンテナ又はケーブルネットワーク401から受信することができる。信号は、ACデコーダ208でデコードされ、信号のビデオ部分がLCDパネル209などのTVディスプレイに送られる。オーディオ信号は、オーディオ増幅器210で増幅され、図示のようにスピーカ211に送られる。
【0016】
当該技術分野で公知のデジタルTV原理に従って、TVマイクロプロセッサ201は、チューナ/フロントエンド207及びACデコーダ208を制御する。更に、TVマイクロプロセッサ201は、IR受信器204からデータを受け取り、該データは、遠隔制御装置100のIR受信器204から受け取ったコマンド信号(例えば、チャンネルアップ/ダウン、音量制御、その他)を含む信号を表す。同じタイプのコマンド信号もまた、サーバ200上の操作可能なキー206を用いてTVマイクロプロセッサ201に入力することができる。
【0017】
図1に示すような、チューナフロントエンド207及びACデコーダ208に出力を提供することに加えて、TVマイクロプロセッサ201はまた、限定ではないが、Ehternnetインタフェースなどのネットワークインタフェース212と通信することができる。ネットワークインタフェース212は、図示のようにホームネットワーク400に接続される。TVマイクロプロセッサ201はまた、限定ではないが、本発明のロジックを実行してデータを格納するためなど、サーバメモリ205にアクセスすることができる。何れの場合においても、サーバ200はNFC機能を必要としない。
【0018】
幾つかの実施において、ホームネットワーク400は、Ethernet(登録商標)ネットワーク又は送電線ネットワークなどの他の有線ネットワークとして実施することができる。他の実施において、ホームネットワーク400は、IEEE802.11ベースのネットワークなどの無線ネットワークとして実施することができる。何れの場合においても、ホームネットワーク400は、モデム402を用いてインターネット403に接続され、TVマイクロプロセッサ201がインターネットにアクセスできるようにすることができる。
【0019】
非限定的な例示の遠隔制御装置100及びサーバ200を説明したが、図1に示すクライアントデバイス300の2つの非限定的な実施形態を理解するために、ここで図2及び3に注目する。本発明の原理によれば、クライアントデバイス300はNFC要素350を含む。図示の実施形態では、要素350は、クライアントデバイス300のハウジングの内側又は外側表面上でクライアントデバイス300に物理的に付着させることができるステッカーとすることができる。NFC要素350は、限定ではないが、RFIDリーダ又はRFIDライターとすることができ、クライアントデバイス300に接着する代わりに、USBケーブルなどのケーブルを用いてクライアントデバイスに接続することができる。
【0020】
図示のように、NFC要素350は、NFCアンテナ351及びNFCモジュール352を含み、該モジュールは、限定ではないが、好ましくはモジュール352内に工場書込みの暗号鍵などのデータを格納する。加えて、クライアントデバイス300は、クライアントメモリ305内に格納されるロジックを実行することができるクライアントマイクロプロセッサ310を含み、クライアントメモリ305はまた、NFCモジュール352内に暗号鍵のコピーを格納することができる。更に尚、クライアントデバイス300は、ホームネットワーク400と、従って、該ネットワーク400を通じてサーバTV200と通信するよう構成されたネットワークインタフェース304を含むことができる。クライアントデバイス300において、非限定的な付加的な機能ブロックを含めることができる。例えば、クライアントデバイス300は、防犯カメラである場合には、CMOS/CCD撮像装置、ADコンバータ、ビデオエンコーダ、その他を含むことができる。
【0021】
図3は、本質的に全ての観点において図2に示すクライアントデバイスに機能及び構造が同一とすることができる代替のクライアントデバイスを示しているが、但し例外として、図3に示すクライアントデバイス300は、ステッカー350の代わりにNFCアンテナ303及びNFCインタフェース302を含むことができ、上述の暗号鍵は、クライアントデバイスのメモリ内に格納され、NFCインタフェース302及びNFCアンテナ303を用いて遠隔制御装置100に送信される。
【0022】
暗号鍵に加えて、クライアントデバイスは、例えば、デバイス名、タイプ、シリアルナンバー、MACアドレス、その他を含むデバイス情報を格納する。デバイス情報は、暗号鍵で暗号化することができ、クライアントデバイス300がネットワーク400に接続されると、該クライアントデバイスが、ネットワーク400上でサーバTV200に暗号化されたデバイス情報を送信することができるようになる。非限定的な実施において、DES又はAES暗号化を用いることができる。比較的好ましい実施において、暗号鍵と、例えば、デバイス名、タイプ、シリアルナンバー、MACアドレス、その他を含むデバイス情報との両方をNFCを用いて遠隔制御装置100に、更に遠隔制御装置100からIRを用いてサーバ200に送信することができる。
【0023】
従って、好ましい実施形態において、TVマイクロプロセッサ201は、遠隔制御装置100からIR送信された暗号鍵を受け取り、これをTVメモリ205内に格納する。TVマイクロプロセッサ201はまた、ネットワーク400上でクライアントデバイス300から暗号化データを受け取る。TVマイクロプロセッサ201は、暗号化データを暗号鍵を用いて解読し、クライアントデバイス300を新しいネットワークデバイスとして登録する。
【0024】
図4は、上記で検討したこれらのデバイス間の通信を示している。最初に、遠隔制御装置100が新しいクライアントデバイス300にタッチし、ステップ(1)で示すように、NFCを介してクライアントデバイス300から遠隔制御装置100に暗号鍵が送信される。次いで、ステップ(2)において、暗号鍵が遠隔制御装置100からサーバTVにIR送信される。相手方は室外のIRメッセージを監視することはできない点に留意されたい。次に、ステップ(3)において、サーバTV200は、例えば、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)メッセージをネットワークを介して同報通信し、クライアントデバイス300に応答を促す。ステップ(4)において、クライアントデバイス300は、適切なUDP応答を返し、ステップ(5)において、上述の暗号化データを、例えば通信制御プロトコル(TCP)を用いてサーバTVに送信する。ステップ(6)で、サーバは、TCP確認応答メッセージをクライアントデバイス300に返し、クライアントデバイスにメッセージを受け取ったことを知らせる。
【0025】
サーバ200及びクライアント300は、通信の最初では互いに認識していないので、上記で検討したUDPメッセージ交換は有利に用いることができるである点に留意されたい。UDP目メッセージが交換された後、サーバ200及びクライアント300は、通信する必要がある相手を認識する。
【0026】
上記で検討したIR通信は、64ビット又はそれよりも長い暗号鍵を送信するのに十分高速で安定していることが好ましい。
【0027】
遠隔制御装置100とサーバTV200との間の非NFC通信方法は、IR通信に限定されない。例えば、通称「ZigBee」通信などの無線通信を用いることができる。非NFC無線通信の場合、遠隔制御装置とサーバTVは、相手方が無線通信を監視するのを防止するために、別の共通鍵を共有することが有利である。例えば、サーバTVは、画面上にかぎ番号を示すことができる。ユーザは、キーパッド106を用いてこの鍵番号を遠隔制御装置に入力することができる。次いで、クライアントデバイスの元の鍵をこの共通鍵で暗号化し、サーバTVに送信することができる。
【0028】
任意選択的に、遠隔制御装置100は、電子決済機能を有することができる。この場合、遠隔制御装置は、ユーザが提示するプリペイドNFCカードを読み込むことができる。支払いの引き落としに成功した場合、遠隔制御装置は、購入IDをサーバTVにIR送信する。次いで、サーバTVは、購入IDを用いてペイパービュー番組にアクセスし、デコーディング許可を得ることができる。
【0029】
幾つかの実施において、遠隔制御装置ハードウェアは無線電話に組み込むことができ、一部の無線電話には、既にNFCインタフェース及び電子決済アプリケーションを有することが認識されている。無線電話には、無線電話送信器に加えて非NFC無線送信器(例えば、上述のIR LED)が提供され、上述の遠隔制御装置として修正携帯電話を用いることができる。
【0030】
上述のシステム及び方法は使い勝手がよいことは理解することができる。ユーザは、新しいデバイスの登録を行うのに、遠隔制御装置を用いてデバイスにタッチすれば十分である。本明細書で提示されるシステム及び方法は、大型で、重量のある、ポータブルでないデバイスを容易に登録することができ、デバイス情報が暗号化されてネットワーク上を送信されるのでセキュアである。不正なデバイスをネットワークに接続することは極めて困難である。また、本明細書のシステム及び方法は、例えば、サーバTVがNFCインタフェースを必要としないので、低コストの解決策である。また、携帯電話を使用する場合、IR LEDと小さなソフトウェア追加だけが必要となる。
【0031】
本明細書において特定の「ホームシステム用オーディオビデオデバイスの近距離登録方法」を図示し詳細に説明したが、本発明が包含する発明の対象は請求項によってのみ限定される点は理解されたい。
【符号の説明】
【0032】
100 遠隔制御装置
101 マイクロプロセッサ
102 NFCインタフェース
103 アンテナ
104 IRダイオード
105 メモリ
106 キーパッド
107 LCD(液晶ディスプレイ)
200 Server TV サーバTV
201 マイクロプロセッサ
204 IR受信器
205 メモリ
206 鍵
207 チューナフロントエンド
208 ACデコーダ
209 LCD(液晶ディスプレイ)
210 増幅器
211 スピーカ
212 ネットワークインタフェース
300 クライアントデバイス
400 ホームネットワーク
401 アンテナ又はケーブル
402 モデム
403 ADSL又はケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル中間通信デバイス(100)において、
クライアントデバイス(300)から少なくとも1つの鍵を受け取るように構成された少なくとも1つのNFC要素(102)と、
前記鍵をサーバ(200)に伝送するための少なくとも1つの非NFC非電話の無線送信器(104)と、
前記無線送信器を制御するためのプロセッサ(101)と、
を備えるポータブル中間通信デバイス(100)。
【請求項2】
前記デバイス(100)がTV遠隔制御装置である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイス(100)が無線電話である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記サーバ(200)がTVである、
請求項2に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−537560(P2010−537560A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521917(P2010−521917)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/072451
【国際公開番号】WO2009/026000
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(593181638)ソニー エレクトロニクス インク (371)
【Fターム(参考)】