説明

ホームネットワークシステム、電子機器コンポーネント、プロトコル変換コンポーネント

【課題】インターネット技術を用いてシンプルなクライアント・サーバーモデルのホームネットワークシステムを構築し、また、レガシーコンポーネントに対しても、未対応の通信プロトコルに対応できるようにする。
【解決手段】ヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネント11と、ホームネットワーク10を介して入力コンポーネント11に接続される電子機器コンポーネント12とを有するホームネットワークシステム1において、自らの機能に対してリンクを張ったメニューを入力コンポーネント11に表示させ、入力コンポーネント11で所望の機能が選択された際、その機能のリンク先の機能を実行する。また、ホームネットワーク上にプロトコル変換コンポーネント16を設け、レガシーコンポーネント17との通信方式の違いを吸収して、リンクを張ったメニューを入力コンポーネント11に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット技術を利用してプラグアンドプレイを簡単に実現できるようにしたホームネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在のホームネットワークでは、デジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス(非特許文献1参照)でも提案されているように、(a)機器の接続後、すぐ使用可能にする仕組みや、(b)他の機器を検知してすぐにサービスを利用する仕組み、(c)コンテンツ管理・コントロールメカニズムに互換性のある仕組み、(d)互換性のあるQoS(Quality of Service)機能などの仕組みが要求されている。
【0003】
これに対応して、IEEE1394を用いた機器が各メーカーから発売されるようになってきているが、各メーカー間の相互接続性は完全には保たれていない。そこでメーカー間の互換性を保ち、ホームネットワークを構成するためのミドルウェアとして、下記の非特許文献に記載されるようなHAViやUPnPなどが提案されている。
【非特許文献1】Digital Living Network Alliance, デジタルホーム概要,http://www.dlna.org/
【非特許文献2】Home Audio/Video Interoperability(HAVi) Organization, White Paper, HAVi, the A/V digital network revolution, http://www.habi.org/
【非特許文献3】Universal Plug and Play(UPnP) Forum, White Paper, Understanding Universal Plug and Play, http://www.upnp.org/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記非特許文献1〜非特許文献3などで提案されているHAViやUPnPは、実際には普及するまでに至っていない。その原因として、次のようなことが考えられる。
【0005】
まず、第一の原因としては、HAViはパーソナルコンピュータとの親和性が低く、また、アドレスが80ビットと長いため負荷が大きいことが考えられる。また、第二の原因として、UPnPは、家電機器に用いるには機構が複雑であり、また、ストリームデータのリアルタイム性が保証されないと要因などが考えられる。このため、実際にはHAViやUPnPが普及するに至っていないと考えられる。
【0006】
一方、現在では、インターネット技術の進歩により、HTTP(ハイパー・テキスト・トランスファー・プロトコル)を用いたクライアント・サーバーモデルのシステムが広く普及するようになっている。このため、現在普及しているインターネット技術を用いれば、パーソナルコンピュータとの親和性を保ちながら、実装の容易なホームネットワークシステムを構築することができるようになる。
【0007】
そこで、本発明の第一の目的は、上記課題に着目してなされたもので、インターネット技術を用いてシンプルなクライアント・サーバーモデルのホームネットワークシステムを構築することを目的とする。
【0008】
また、このようにインターネット技術を用いる場合、一般に、HTTPの通信プロトコルが用いられているが、このような通信プロトコルを用いてシステムを構築すると、この通信プロトコルに未対応の古い製品(レガシーコンポーネント)は、このシステムで使用できなくなる。
【0009】
そこで、本発明の第二の目的は、このようなレガシーコンポーネントであっても、異なる通信プロトコルに対応して通信を行うことができるようなホームネットワークシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、ヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネントと、ホームネットワークを介して当該入力コンポーネントに接続される電子機器コンポーネントとを有するホームネットワークシステムにおいて、自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させる表示指示手段と、前記入力コンポーネントに表示された機能に対する所望の選択がなされた場合に、当該選択された機能を実行する機能実行手段を備えるようにしたものである。
【0011】
このように構成すれば、例えば、現在インターネット技術として普及しているHTTPを用いたクライアント・サーバーモデルを利用することができ、パーソナルコンピュータとの親和性を保ちながら実装の容易なシステムを構築することができるようになる。また、電子機器コンポーネントが、自らの機能に対してリンクを張ったメニューを入力コンポーネントに表示させるので、未知の機能を持った電子機器コンポーネントが接続された場合であっても、入力コンポーネント側としても、アプリケーションの制御メッセージをあらかじめすべて規定しておく必要がなく、その未知の機能を持つ電子機器コンポーネントに対しても従来の機器と同じように使用することができるようになる。
【0012】
また、このような発明において、好ましくは、自らの機能を実行するため必要となる他の電子機器コンポーネントの機能と自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させるようにする。
【0013】
このように構成すれば、例えば、テレビの音声をシステムコンポのスピーカーから出力させるような場合、そのテレビの機能を表示させるだけでなく、その音声を出力させるためのシステムコンポの機能に対するメニューも同時に入力コンポーネントに表示させることができるようになる。
【0014】
更に、自らの機能のうち、利用可能な機能に対してのみリンクを張ったメニューを表示させるようにする。
【0015】
このように構成すれば、例えば、故障やメイン電源の入れ忘れなどによって実際に利用できなくなった機能を表示させるようなことがなくなり、ユーザにとって実際に利用できる機能のメニューのみを表示させることができるようになる。
【0016】
加えて、このように利用できる機能のみを表示させる場合、その利用できない理由を入力コンポーネントに表示させるようにする。
【0017】
このように構成すれば、ユーザがその原因を簡単に究明することができ、例えば、メイン電源を入れるなどの処置を迅速に行うことができるようになる。
【0018】
また、このようなホームネットワークシステムにおいて、更に、レガシーコンポーネントと入力コンポーネントとの間でプロトコル変換を行うプロトコル変換コンポーネントを設け、レガシーコンポーネントがホームネットワークに接続された際に、当該レガシーコンポーネントで利用できる機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させるようにする。
【0019】
このように構成すれば、このシステムの通信プロトコルに対応しない電子機器コンポーネントが接続された場合であっても、その通信プロトコルの違いをプロトコル変換コンポーネントが吸収してくれるため、ホームネットワークシステム上でそのレガシーコンポーネントを他の電子機器コンポーネントと同様に使用することができるようになる。
【0020】
また、このようにレガシーコンポーネントをホームネットワークに接続する場合、プロトコル変換コンポーネントが、レガシーコンポーネントに対してそのレガシーコンポーネントで利用できる機能を取得し、当該利用できる機能に対してリンクを張ったメニューを作成して前記入力コンポーネントに表示させるようにする。
【0021】
このように構成すれば、レガシーコンポーネントにリンクを張ったメニューのファイルをそのレガシーコンポーネント内に持たせておかなくても、プロトコル変換コンポーネントがレガシーコンポーネントに代わってメニューのファイルを作成してくれるので、他の電子機器コンポーネントを接続するのと同じ感覚でホームネットワークに接続することができるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、ヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネントと、ホームネットワークを介して当該入力コンポーネントに接続される電子機器コンポーネントとを有するホームネットワークシステムにおいて、自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させる表示指示手段と、前記入力コンポーネントに表示された機能に対する所望の選択がなされた場合に、当該選択された機能を実行する機能実行手段を備えるようにしたので、例えば、現在インターネット技術として普及しているHTTPを用いたクライアント・サーバーモデルを利用することができ、パーソナルコンピュータとの親和性を保ちながら実装の容易なシステムを構築することができるようになる。また、電子機器コンポーネントが、自らの機能に対してリンクを張ったメニューを入力コンポーネントに表示させるので、未知の機能を持った電子機器コンポーネントが接続された場合であっても、入力コンポーネント側としても、アプリケーションの制御メッセージをあらかじめすべて規定しておく必要がなく、その未知の機能を持つ電子機器コンポーネントに対しても従来の機器と同じように使用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態におけるホームネットワークシステム1のプロトコルスタックを示す図であり、図2は、各コンポーネントの構成図を示したものである。また、図3は、コントロールメカニズムを示したものであり、図4は、プロトコル変換コンポーネント16を組み込んでレガシーコンポーネント17をサポートする図である。
【0025】
この実施の形態におけるホームネットワークシステム1は、図2に示すように、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)などのヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネント11と、ホームネットワーク10を介してこの入力コンポーネント11に接続される電子機器コンポーネント12を具備してなるもので、広くインターネットで使用されている通信プロトコルであるHTTPを用いるようにしたものである。なお、この通信プロトコルとしては、本実施の形態ではHTTPを用いるようにしているが、これに限らず、時代に対応して広くインターネットで使用されるプロトコルを使用しても良い。
【0026】
この実施の形態における入力コンポーネント11や電子機器コンポーネント12は、例えば、家庭内に存在するパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビ、ビデオ、システムコンポ、電話、ファックス、冷蔵庫、冷暖房機、照明器具などのような電子機器によって構成される。また、これ以外にも、自動車に装備される音楽再生装置や、ラジオ、エアコン、カーナビゲーションシステムなどのような電子機器も含むようにしても良い。すなわち、これらの入力コンポーネント11や電子機器コンポーネント12は、少なくともホームネットワーク10に接続しうる機能を有するものであれば良い。
【0027】
これらの入力コンポーネント11や電子機器コンポーネント12は、ホームネットワークを構築するIEEE1394に接続される。このIEEE1394は、プラグアンドプレイに対応しており、電子機器をオフにすることなく取り外しが可能であるほか、最大伝送速度が現在の所1600Mbpsと映像や画像の通信にも適している。また、接続方式もデイジーチェーンのほか、ハブを使ったツリー状の接続も可能であるため、家電製品などを接続するのに非常に有効的である。このため、本実施の形態では、IEEE1394を用いるようにしているが、必ずしもこの通信方式に限定されるものではなく、各時代に応じた最適な通信方式を用いることができる。
【0028】
このホームネットワークシステム1のプロトコルスタックを図1に示す。物理層(PHY)は上述のIEEE1394を用いており、データリンク層はトランザクション層及びリンク層から構成される。また、ネットワーク層はIP over 1394、トランスポート層はTCPを用いている。図1において、右側は映像などのストリームデータに対するプロトコルスタック、中央部分はデータやコマンドに対するプロトコルスタック、左側部分は後述するレガシーコンポーネント17に対するプロトコルスタックである。
【0029】
なお、ホームネットワーク10のベースとなるIPネットワークでは、ARPなどを用いるため、ブロードキャストやマルチキャストの機構が重要である。IEEE1394では、宛先のアドレスを「0xFFFF」とすることでブロードキャストが可能だが、送信対象ではない他のノードに負荷がかかるので好ましくない。そこで、IP over 1394ではIEEE1394aで規定されたアシンクロナス・ストリーム(Asynchronous Streams)を用いることになっているが、IEEE1394ではチャンネル番号が6ビットなので、チャンネルのマッピングを行うIRM(Isochronous Resource Manager)が必要となる。RFC(Request For Comments)2734では、IP CapableなノードはIEEE1394aで規定されるように、IRM Capableでなければならないとされていることから、以下で述べるコンポーネントは、IRM Capableであるとする。また、ホームネットワーク10では、音声や映像の再生品質の保証が重要であるが、IPネットワーク上でのリアルタイムはプロトコルオーバーヘッドが大きく困難である。そのため、ストリームデータの送信はQoSが保証され、ハードウェアでサポートが可能なIEEE1394ネイティブのIsochronous伝送モードを用いる。
【0030】
本フレームワークにおける各コンポーネントの構成を図2に示す。これらのコンポーネントは機能単位で分類したもので、ひとつの機器に複数のコンポーネントを搭載することも可能である。
【0031】
まず、入力コンポーネント11は、ヒューマンマシンインタフェースを有する装置によって構成され、例えば、ディスプレイ装置を有するテレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話などによって構成される。なお、これらのテレビやパーソナルコンピュータ、携帯電話などは入力コンポーネント11としても機能する一方、独自のサービスの提供する場合は電子機器コンポーネント12として機能しうる。この実施の形態におけるヒューマンマシンインタフェースは、各電子機器コンポーネント12に対してのリクエストメッセージを送出するXMLファイルなどによって実現される。このXMLファイルは、入力コンポーネント11のXMLブラウザを利用してディスプレイ装置にGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を提供し、マウスやリモコン、タッチパネルなどによってユーザの操作を可能とする。
【0032】
電子機器コンポーネント12は、XMLサーバーとして機能し、各入力コンポーネント11や他の電子機器コンポーネント12にサービスを提供する。例えば、この電子機器コンポーネント12が、テレビ、ビデオ、オーディオコンポ、照明器具である場合は、それぞれ、テレビ番組の提供、番組の録画・再生、音楽やラジオの音声出力、照明のオン・オフ制御などの機能を実行する。これらの電子機器コンポーネント12は、それぞれ、自らが行うサービスの機能に関する情報として、例えば、その電子機器コンポーネント12がビデオである場合は、録画・再生・停止・早送・巻戻・一時停止などの機能の種類の一覧のほか、それぞれの機能を実行するための機能実行手段たるプログラムを格納している。これらの情報はあらかじめ記憶手段であるメモリに格納されている。
【0033】
電子機器コンポーネント12はこれらの機能を実行するために、まず、ホームネットワーク10に接続された際に、自ら行うサービスの機能に対してリンクを張ったメニューファイルであるXMLファイルを作成する。このXMLファイルは、各電子機器コンポーネント12内に格納されているファイル作成手段であるプログラムによって自動的に作成される。例えば、電子機器コンポーネント12がビデオである場合は、このファイル作成手段によって、録画・再生・停止・早送・巻戻・一時停止の各機能の実行に対してリンクを張ったメニューを作成する。そして、電子機器コンポーネント12がホームネットワーク10に接続された際、このXMLファイルを入力コンポーネント11側に送出し、その入力コンポーネント11のブラウザ機能を利用してディスプレイ装置に表示させる。なお、本発明との関係において、この作成されたXMLファイルを入力コンポーネント11に送出する手段が表示指示手段を構成する。
【0034】
更に、この実施の形態では、電子機器コンポーネント12は、自らの機能の実行に際して必要となる他の電子機器コンポーネント12を検索し、他の電子機器コンポーネント12の機能に対してもリンクを張ったXMLファイルを作成する。このXMLファイルの作成はファイル生成手段によって行われる。例えば、ビデオの再生に注目した場合、それに関連する機能としてテレビのビデオ画面設定、システムコンポのスピーカー出力の設定、照明装置の照度設定などが存在するが、これらの関連する電子機器コンポーネント12の機能は、あらかじめメモリの中に各機能に対応づけて格納されている。もちろん、これらのテレビやシステムコンポ、照明装置などの電子機器コンポーネント12は、それぞれ独立してXMLファイルを作成し、入力コンポーネント11側で独立してその設定を行うことができる。
【0035】
加えて、このファイル作成手段は、独自のサービスのうち何らかの理由で利用できない機能が存在する場合、その利用できない機能に関するメニューを入力させないようにしている。具体的には、電子機器コンポーネント12がホームネットワーク10に接続された場合、メモリ内に格納されているプログラムが各機能に対してテスト信号を送出し、所定の応答メッセージが返信されてこなかった場合にこれを「利用できない機能」とみなし、その機能をメニューに表示させないようにしている。また、ユーザが、何故その機能を利用できないかを知る必要があるため、その応答メッセージに対応した内容を入力コンポーネント11に表示させる。この場合、例えば、すべての機能に対して応答メッセージが返信されない場合は、「メイン電源がオフの可能性があります」などの表示を行い、また、応答メッセージの種類によっては「プロテクトがかかっているために録画できません」「ヘッドが汚れているために録画・再生できません」などの表示を行う。
【0036】
DHCPコンポーネント13は、DHCPサーバー機能を備え、各コンポーネントにIPアドレスの割り当てを行う。ホームネットワーク10上にDHCPコンポーネント13が存在しない場合は、各コンポーネントが重複しないようにIPアドレスを設定する。
【0037】
IRMコンポーネント14は、アシンクロナス・ストリーム用チャンネルの確保と、確保したチャンネル番号とマルチキャストアドレスの対応を通知する。
【0038】
ゲートウェイコンポーネント15は、ファイアーウォールとしての機能を持ち、プライベートアドレスとグローバルアドレスの変換を行うNAT、または、プロキシによりインターネット接続サービスを提供するコンポーネントである。各コンポーネントが、インターネットと充分な接続機能を持たない場合も考えられるので、プロキシ機能をホームネットワーク10上に搭載しておくことが好ましい。
【0039】
次に、このように構成されたシステムにおけるアプリケーションフレームワークを説明する。
【0040】
入力コンポーネント11から電子機器コンポーネント12をコントロールするメカニズムを図3に示す。電子機器コンポーネント12Aがホームネットワーク10に接続されると、電子機器コンポーネント12Aは、自らがサービスの機能に対するXMLファイルを作成した後、入力コンポーネント11にそのXMLファイルを送出して、利用できる機能へリンクを張ったメニューを表示させる。また、その際、利用できない機能が存在する場合は、その機能の種類とその理由も表示する。
【0041】
更に、電子機器コンポーネント12Aの機能に関連して、他の電子機器コンポーネント12が必要となる場合は、その電子機器コンポーネント12が存在するかを検索し、存在している場合は、電子機器コンポーネント12Aのメモリに格納されている当該他の電子機器コンポーネント12の機能を呼び出して、その電子機器コンポーネント12の機能へリンクを張ったメニューも作成する。
【0042】
そして、このように入力コンポーネント11に表示されたメニューに従い、ユーザが所望の電子機器コンポーネント12の機能を選択すると、入力コンポーネント11のXMLブラウザは、電子機器コンポーネント12Aにそのリンク先に対応した機能にリクエストメッセージを送出し、電子機器コンポーネント12Aの機能実行手段を用いて、そのリクエストに対応した機能のサービスを提供する。
【0043】
次に、ホームネットワーク10に全く未知の新機能を持った電子機器コンポーネント12Bが接続された場合について説明する。電子機器コンポーネント12Bは、電子機器コンポーネント12Aのように、自らの機能に対するメニューの作成を行った後に、入力コンポーネント11に対してその機能のメニュー(XMLファイル)を送出する。入力コンポーネント11に送出されたXMLファイルは、電子機器コンポーネント12Bの各機能を実行させるためのリンクであり、そのサービスがどのプロセスを用いて、どういう仕組みで提供されているのかを入力コンポーネント11は知る必要がない。これにより、ホームネットワーク10上のアプリケーションの制御メッセージをあらかじめすべて規定しておく必要がなくなり、未知の機能を持った新しい機器を従来の機器と同じように使用することができるようになる。
【0044】
なお、図3において、入力コンポーネント11と電子機器コンポーネント12は、XMLベースのコントロールメッセージを用いて通信を行っている。今回提案するフレームワークの特徴は、クライアント・サーバーモデルに基づいたコントロールメカニズムを用いている点である。クライアント・サーバーモデルを用いることで、入力コンポーネント11は最低XMLブラウザを搭載していればよく、ハードウェアの機能が限定されている機器や従来の携帯電話など多くの機器が入力コンポーネント11として利用することができる。
【0045】
また、入力コンポーネント11がスイッチベースなど単純なユーザインタフェースで、XMLブラウザを搭載していない場合は、機能上の制限はあるものの、XML形式のデータを所定の方法で変換すれば入力コンポーネント11として利用することができる。
【0046】
次に、このアプリケーションフレームワークに未対応のレガシーコンポーネント17を接続する場合について説明する。図4に示すようにTCP/IPとAV/Cのプロトコル変換機能を持つプロトコル変換コンポーネント16をホームネットワーク10上に設ける。そして、レガシーコンポーネント17がホームネットワーク10上に接続された場合、このプロトコル変換コンポーネント16が、そのレガシーコンポーネント17に対し、そのレガシーコンポーネント17で通信可能な方式、例えば、サービス検索プロトコルの実行などによってそのコンポーネントの利用可能な機能を検索し、その機能へリンクを張ったXMLファイルを作成し、入力コンポーネント11側に送出してXMLブラウザで表示させる。この場合も同様に、利用できない機能が存在する場合は、その機能の種類及びその理由なども表示させる。また、レガシーコンポーネント17の機能を実現するために他の電子機器コンポーネント12が必要となる場合は、その電子機器コンポーネント12の必要となる機能のメニューなども表示する。なお、本発明との関係において、この作成されたXMLファイルを入力コンポーネント11に送出する手段が第二の表示指示手段を構成する。
【0047】
そして、ユーザが入力コンポーネント11で所望のレガシーコンポーネント17の機能へのリンクを選択すると、入力コンポーネント11のXMLブラウザは、プロトコル変換コンポーネント16に対してその機能に対するリクエストメッセージを送出し、そこで、プロトコル変換を行って、レガシーコンポーネント17にそのリクエストメッセージを送出する。これによりレガシーコンポーネント17側で、そのリクエストに対応したサービスを提供する。
【0048】
このように上記実施の形態によれば、GUIを提供するXMLブラウザを有する入力コンポーネント11と、ホームネットワーク10を介してこの入力コンポーネント11に接続される電子機器コンポーネント12とを有するホームネットワークシステム1において、電子機器コンポーネント12に、ホームネットワーク10に接続された際、自らの機能に対してリンクを張ったXMLファイルを前記入力コンポーネント11に表示させる表示指示手段と、前記入力コンポーネント11に表示された機能に対する所望の選択がなされた場合に、当該選択された機能を実行する機能実行手段を備えるようにしたので、例えば、現在インターネット技術として普及しているHTTPを用いたクライアント・サーバーモデルを利用することができ、パーソナルコンピュータとの親和性を保ちながら実装の容易なシステムを構築することができるようになる。また、電子機器コンポーネント12が、自らの機能に対してリンクを張ったメニューを入力コンポーネント11に表示させるので、未知の機能を持つ電子機器コンポーネント12が接続された場合であっても、入力コンポーネント11側としても、ホームネットワーク10上のアプリケーションの制御メッセージをあらかじめすべて規定しておく必要がないため、その未知の機能を持つ電子機器コンポーネント12に対しても従来の機器と同じように使用することができるようになる。
【0049】
また、この電子機器コンポーネント12がホームネットワーク10に接続された際、自らの機能を実行する際に必要となる他の電子機器コンポーネント12を検索し、当該他の電子機器コンポーネント12の機能と自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネント11に表示させるようにしたので、例えば、テレビの音声をシステムコンポのスピーカーから出力させるような場合、そのテレビの機能をメニュー表示させるだけでなく、そのシステムコンポの音声出力機能に対するメニューも入力コンポーネント11に表示させることができるようになる。
【0050】
更に、電子機器コンポーネント12が、自らの利用できる機能に対してのみリンクを張ったメニューを表示させるようにしたので、例えば、故障やメイン電源の入れ忘れなどによって実際に利用できなくなった機能を入力可能に表示させるようなことがなくなり、ユーザにとって実際に利用できる機能のメニューのみを表示させることができるようになる。
【0051】
加えて、このように利用できる機能のみを表示させる場合、その利用できない機能の種類とその利用できない理由を表示させるようにしたので、その原因を迅速に究明することができるようになる。
【0052】
また、このようなホームネットワークシステム1において、更に、レガシーコンポーネント17と入力コンポーネント11との間でプロトコル変換を行うプロトコル変換コンポーネント16を設け、レガシーコンポーネント17がホームネットワーク10に接続された際に、このレガシーコンポーネント17で実行できる機能に関する情報を入力コンポーネント11に表示させるようにしたので、この通信プロトコルに対応しない電子機器コンポーネント12が接続された場合であっても、その通信プロトコルの違いをプロトコル変換コンポーネント16が吸収してくれるため、ホームネットワークシステム1上でそのレガシーコンポーネント17を他の電子機器コンポーネント12と同様に使用することができるようになる。
【0053】
また、このようにレガシーコンポーネント17をホームネットワーク10に接続する場合、プロトコル変換コンポーネント16がこのレガシーコンポーネント17に代わって、そのレガシーコンポーネント17で利用できる機能に対するリンクを張ったメニューを作成し、このメニューを入力コンポーネント11側に送出して表示させるようにしたので、レガシーコンポーネント17にリンクを張ったメニューのファイルを持たせておかなくても、プロトコル変換コンポーネント16がレガシーコンポーネント17に代わってメニューのファイルを作成してくれるので、他の電子機器コンポーネント12を接続するのと同じ感覚でホームネットワーク10に接続することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の態様で実施することができる。
【0055】
例えば、上記実施の形態では、電子機器コンポーネント12がXMLファイルを作成するようにしているが、このようなファイル形式に限定されるものではなく、HTMLファイルを作成するようにしても良い。すなわち、入力コンポーネント11に備えられているブラウザに対応した方式でファイルを作成するようにすれば良い。
【0056】
また、図2などでは、ホームネットワーク10上に独立した一台のDHCPコンポーネント13やプロトコル変換コンポーネント16を設置しているように示しているが、これらのコンポーネントは、いずれかのコンポーネント内に組み込まれていれば良い。
【0057】
更に、上記実施の形態では、IEEE1394を用いてホームネットワーク10を構築しているが、これに限らず、他の方式の有線や無線のネットワークによって同様のシステムを構築することもできる。
【0058】
加えて、図4では、入力コンポーネント11、プロトコル変換コンポーネント16、レガシーコンポーネント17は1つのネットワークとして構成されているが、TCP/IPのネットワークと、レガシーコンポーネント用の通信プロトコルのネットワークを切り離し、2つのネットワーク構成で、それぞれのネットワークをプロトコル変換コンポーネントで中継させるような形態を採用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態におけるホームネットワークシステムのプロトコルスタックを示す図
【図2】同形態における各コンポーネントの構成図
【図3】同形態におけるコントロールメカニズムを示した図
【図4】同形態におけるプロトコル変換コンポーネントを組み込んでレガシーコンポーネントをサポートする図
【符号の説明】
【0060】
1・・・ホームネットワークシステム
10・・・ホームネットワーク
11・・・入力コンポーネント
12、12A、12B・・・電子機器コンポーネント
13・・・DHCPコンポーネント
14・・・IRMコンポーネント
15・・・ゲートウェイコンポーネント
16・・・プロトコル変換コンポーネント
17・・・レガシーコンポーネント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネントと、ホームネットワークを介して当該入力コンポーネントに接続される電子機器コンポーネントとを有するホームネットワークシステムにおいて、前記電子機器コンポーネントに、
自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させる表示指示手段と、前記入力コンポーネントに表示された機能に対する所望の選択がなされた場合に、当該選択された機能を実行する機能実行手段を備えるようにしたことを特徴とするホームネットワークシステム。
【請求項2】
前記表示指示手段は、自らの機能を実行するために必要となる他の電子機器コンポーネントと自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させるものである請求項1に記載のホームネットワークシステム。
【請求項3】
前記表示指示手段は、自らの機能のうち、利用できる機能に対してのみリンクを張ったメニューを表示させるものである請求項1又は2に記載のホームネットワークシステム。
【請求項4】
前記表示指示手段は、利用できない機能が存在した場合、その利用できない理由を入力コンポーネントに表示させるものである請求項3に記載のホームネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のホームネットワークシステムにおいて、更に、レガシーコンポーネントと入力コンポーネントとの間でプロトコル変換を行うプロトコル変換コンポーネントを設け、レガシーコンポーネントがホームネットワークに接続された際に、当該レガシーコンポーネントで利用できる機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させるようにしたホームネットワークシステム。
【請求項6】
前記プロトコル変換コンポーネントが、レガシーコンポーネントに対してそのレガシーコンポーネントで利用できる機能を取得し、当該利用できる機能に対してリンクを張ったメニューを作成して前記入力コンポーネントに表示させる第二の表示指示手段を備えてなるものである請求項4に記載のホームネットワークシステム。
【請求項7】
ヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネントにホームネットワークを介して接続される電子機器コンポーネントにおいて、
自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させる表示指示手段と、前記入力コンポーネントに表示された機能に対する所望の選択がなされた場合に、当該選択された機能を実行する機能実行手段を備えたことを特徴とする電子機器コンポーネント。
【請求項8】
前記表示指示手段が、自らの機能を実行するために必要となる他の電子機器コンポーネントと自らの機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させるものである請求項7に記載の電子機器コンポーネント。
【請求項9】
前記表示指示手段は、自らの機能のうち、利用できる機能に対してのみリンクを張ったメニューを表示させるものである請求項7又は8に記載の電子機器コンポーネント。
【請求項10】
前記表示指示手段は、利用できない機能が存在した場合、その利用できない理由を入力コンポーネントに表示させるものである請求項9に記載の電子機器コンポーネント。
【請求項11】
ヒューマンマシンインタフェースを有する入力コンポーネントと、所定の通信プロトコルを用いて通信を行うホームネットワークと、前記通信プロトコルを用いて前記入力コンポーネントと通信を行う電子機器コンポーネントとを具備してなるホームネットワークシステムに対して組み込まれるプロトコル変換コンポーネントであって、
前記通信プロトコルに対応していないレガシーコンポーネントがホームネットワークに接続された場合、当該レガシーコンポーネントで利用できる機能に対してリンクを張ったメニューを前記入力コンポーネントに表示させ、入力コンポーネントに表示されたメニューのうち所望の機能が選択された場合に、当該機能の選択に基づくリクエストメッセージをプロトコル変換し、当該プロトコル変換されたリクエストメッセージをレガシーコンポーネントに送出してリンク先の機能を実行させるようにしたプロトコル変換コンポーネント。
【請求項12】
前記プロトコル変換コンポーネントが、レガシーコンポーネントに対してそのレガシーコンポーネントで利用できる機能を取得し、当該利用できる機能に対してリンクを張ったメニューを作成して前記入力コンポーネントに表示させるものである請求項11に記載のプロトコル変換コンポーネント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−139429(P2006−139429A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327131(P2004−327131)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年8月20日 社団法人電子情報通信学会発行の「第3回 情報科学技術フォーラム 一般講演論文集 第4分冊」に発表
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【Fターム(参考)】