説明

ボックス端子を備えたコンタクタ

本発明は、コンタクタであって、ハウジング上側部分(2)と該ハウジング上側部分内に固定された接続エレメント(8)と前面側のハウジングカバーと端子ハウジング内に収容されたボックス端子(20)とを備えている形式のものに関する。本発明の課題は、コンタクタを接続技術的に完全に組み立てることを簡単化することにある。そのために本発明の構成では、ハウジングカバーがL字形の2つのカバー半部(4,6)から成っていて、両カバー半部(4,6)の前面側のカバー脚(16)が、互いに接近して向かい合っていてハウジング上側部分(2)に固定可能であり、両カバー半部(4,6)の接続側のカバー脚(18)が、端子ハウジングとして形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックス端子を備えたコンタクタであって、ハウジング下側部分とハウジング上側部分と前面側のハウジングカバーとから成るスイッチング装置ハウジングが設けられており、ハウジング上側部分内に接続レールが固定されていて、該接続レールが、ハウジング上側部分の側部から外に進出しており、ハウジング上側部分に接続側から係止手段を用いて係止可能なボックス状の端子ハウジングが設けられていて、該端子ハウジング内に、接続レールを取り囲むボックス端子が保持されている形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許公開第3932502号明細書には、ハウジング下側部分とハウジング上側部分とハウジングカバーとから成るスイッチング装置ハウジングを備えた三極のコンタクタが開示されている。各接続側においてハウジング上側部分からは接続レールが進出しており、これらの接続レールは、端部側においてボックス端子によって取り囲まれている。金属製のボックス端子は、端子ボックスと端子ヨークと端子ねじとから成っている。各接続側においてボックス端子はボックス形の端子ハウジング内に支承されている。端子ハウジングはフック状の付加部を介してハウジング上側部分に固定可能であり、接続側に、接続される導体のための供給開口を有し、かつ前面側に端子ねじを操作するためのドライバのための進入開口を有している。ヨーロッパ特許公開第880198号明細書に開示された構成では、このようなボックス端子はその端子ボックスを介して、端子ハウジングの内壁に設けられた突子によって保持される。
【0003】
Siemens AG 社のカタログ、(Firmenkatalog, Schaltgeraete fuer die Industrie Katalog LV10 2004 vom 26.08.03, 第2/3,5,54,98,229頁)に開示されたTyp 3RT10, S3のコンタクタでは、ボックス端子は前面側とは反対の側から端子ハウジング内に導入され、この端子ハウジングの内壁に形成された突子によって端子ボックスを介して保持され、接続側の側部から、ハウジング上側部分から進出している接続レールを介してシフトされる。端子ハウジングは相応な係止手段を介してハウジング上側部分に係止可能である。両端子ハウジングの間には、ハウジング上側部分に、2つのねじを用いて固定されるハウジングカバーが装着され、この際に端子ハウジングはロックされる。Siemens AG 社の別のコンタクタ(Typ 3RT10, S2:前記カタログ第2/2,5,53,97,229頁)では、ボックス端子は前面側から端子ハウジングに導入される。ハウジング上側部分に係止された端子ハウジングは、端子ねじへの進入開口を備えていてハウジング上側部分に2つのねじで固定されるハウジングカバーによって、前面側において覆われかつ係止される。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許公開第19514842号明細書にはプロセスコネクタ(Prozessstecker)が開示されている。このプロセスコネクタのカプセルはベース部分から成っており、このベース部分には、プリント基板の挿入後にカプセルを完成させるためにフードが装着される。このU字形のフードは多極のプロセスコネクタを受容するように形成されている。このような接続エレメントは、コンタクタの接続端子において生じるような高い電流及び機械的な負荷のためには適していない。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許第69800453号明細書(ヨーロッパ特許第896387号明細書の翻訳文)には、接続側から接続レールが進出しているスイッチング装置ハウジングを備えた多極の電気的なスイッチング装置が開示されている。接続レールを介してシフトされるボックス端子は、ボックス状の端子ハウジングによって受容される。端子ハウジングはスイッチング装置に固定可能であり、接続側において、ケーブル入口開口を備えた取外し可能なカバーによって閉鎖可能である。
【0006】
公知のコンタクタを接続技術的に完全なものにするために、それぞれ2つの端子ハウジングと、ハウジング上側部分に固定される1つのハウジング部分とが取り付けられる。以上のことから本発明の課題は、コンタクタの接続技術的な完成を簡単化することである。
【0007】
この課題を解決するために本発明の構成では請求項1記載のように、冒頭に述べた形式のコンタクタにおいて、ハウジングカバーが、ほぼL字形の2つのカバー半部から成っていて、両カバー半部の前面側のカバー脚が、互いに接近して向かい合っており、両カバー半部の接続側のカバー脚が、端子ハウジングとして形成されていて、ハウジング上側部分に固定可能であるようにした。
【0008】
本発明の別の有利な構成は、請求項2以下に記載されている。
【0009】
本発明のように2部分から成るハウジングカバーに端子ハウジングが組み込まれていると、接続技術的な完成のために必要なハウジング部分を3分の1減じることができる。そしてボックス端子を備えたカバー半部は、ハウジング上側部分に簡単に固定することができる。
【0010】
カバー半部とハウジング上側部分とをまとめるために有利な構成では、側壁及び端子ハウジングにおいて互いに作用結合する、特にクランプ結合するガイド手段と対応ガイド手段とが設けられ、特に前面側に対して平行に延びているガイド条片が側壁に設けられ、かつガイド溝がカバー半部に設けられている。
【0011】
本発明の別の有利な構成では、ハウジング上側部分の側壁が、端子ハウジングとして形成された接続側のカバー脚の側部を取り囲んでいて、該カバー脚と係止するように共働する、つまりカバー脚と共に係止結合部を形成するようになっている。このような構成において、接続側のカバー脚に設けられた係止手段と共働する対応係止手段が、側壁に設けられていると、有利である。
【0012】
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明によるコンタクタの上側部分を示す分解図であり、
図2は、図1に示されたコンタクタの組み立てられた状態を示す図であり、
図3は、カバー半部と該カバー半部に受容されるボックス端子を、図1及び図2とは異なった方向から見た図であり、
図4は、ボックス端子を装着されたカバー半部を図3と同じ視線方向で見た図であり、
図5は、図3とは異なった方向からカバー半部と該カバー半部に受容されるボックス端子とを見た図である。
【0014】
図1及び図2には、本発明による三極のコンタクタ(Schaltschuetz)のスイッチング装置ハウジング(Schaltgeraetegehaeuse)のうち、ハウジング上側部分2と2つのカバー半部4,6とが示されている。ハウジング上側部分2はハウジング下側部分に装着されるが、このハウジング下側部分は本発明にとっては重要ではないので図示されておらず、コンタクタの電磁式駆動装置を受容している。上側部分2には接続レール8が固定されており、この接続レール8は各接続側10;12において外方に突出している。ハウジング上側部分2の内部において接続レール8は、位置固定の接点で終わっており、これらの接点は極毎に(polweise)、電磁式駆動装置によって操作される同様に図示されていない接点ブリッジを介して、接続・遮断される。
【0015】
カバー半部4,6は、互いに向かい合った立体的なL字形部材として形成されている。カバー半部4,6はそれぞれ、コンタクタの前面側14で終わっている前面側のカバー脚16と、それぞれ接続側10,12で終わっている接続側のカバー脚18とから成っている。
【0016】
さらに各接続側10,12のために、3つのボックス端子(Rahmenklemme)20が設けられている。金属製のボックス端子20は通常の形式で、端子ボックス22と端子ヨーク24と端子ねじ26とから成っている。図3及び図5に示されているように、ボックス状に形成された接続側のカバー脚18は、直方体形状の受容室28を有しており、これらの受容室28内にはボックス端子20が前面側14とは反対の側から導入される。従って接続側のカバー脚18は端子ハウジングとして働く。受容室28の内壁には図5に示されているように、互いに向かい合って尖ったノーズ状の突起30が形成されており、これらの突起30の間においてボックス端子20はその端子ボックス22を介してクランプ保持される。
【0017】
ボックス端子20を備えたカバー半部4,8は、接続レール8に向かった横方向運動で、ハウジング上側部分2に向かって移動させられる。この際に端子ボックス22は接続レール8を取り囲む。ハウジング上側部分2の、互いに向かい合っている側壁32の内側には、前面側14に対して平行に延びるガイド手段34が、ガイド条片の形で形成されている。前面側のカバー脚18の側部外面には、前面側14に対して平行に延びる対応ガイド手段36が、ガイド溝の形で形成されている。カバー半部4,6の移動時にガイド手段34は対応ガイド手段36に係合する。接続側のカバー脚18には各側部外面に、係止突子の形をした2つの係止手段38が形成されており、これらの係止手段38はカバー半部4,6の移動時に、側壁32に形成された係止開口の形をした各2つの対応係止手段40において係止され、ひいてはカバー半部4,6をハウジング上側部分2に安定的に保持する。
【0018】
コンタクタの組立てが終了した状態において、接続される導電体の端部は、接続側のカバー脚18に切り欠かれた供給開口42を介して、ボックス端子20内に導入される。前面側のカバー脚18に設けられた進入開口44を介して導入されるドライバを用いて端子ねじ26を回すことによって、次いで、導電体端部はしっかりとクランプ固定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるコンタクタの上側部分を示す分解図である。
【図2】図1に示されたコンタクタの組み立てられた状態を示す図である。
【図3】カバー半部と該カバー半部に受容されるボックス端子を、図1及び図2とは異なった方向から見た図である。
【図4】ボックス端子を装着されたカバー半部を図3と同じ視線方向で見た図である。
【図5】図3とは異なった方向からカバー半部と該カバー半部に受容されるボックス端子とを見た図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス端子を備えたコンタクタであって、
ハウジング下側部分とハウジング上側部分(2)と前面側のハウジングカバーとから成るスイッチング装置ハウジングが設けられており、
ハウジング上側部分(2)内に接続レール(8)が固定されていて、該接続レール(8)が、ハウジング上側部分(2)の側部から外に進出しており、
ハウジング上側部分(2)に接続側(10,12)から係止手段を用いて係止可能なボックス状の端子ハウジングが設けられていて、該端子ハウジング内に、接続レール(8)を取り囲むボックス端子(20)が保持されている形式のものにおいて、
ハウジングカバーが、ほぼL字形の2つのカバー半部(4,6)から成っていて、両カバー半部(4,6)の前面側のカバー脚(16)が、互いに接近して向かい合っており、
両カバー半部(4,6)の接続側のカバー脚(18)が、端子ハウジングとして形成されていて、ハウジング上側部分(2)に固定可能であることを特徴とする、ボックス端子を備えたコンタクタ。
【請求項2】
ハウジング上側部分(2)の側壁(32)が、前面側(14)に対して平行にかつ接続側(10,12)に対して垂直に延びているガイド手段(34)を有しており、該ガイド手段(34)が、前面側のカバー脚(16)に形成された対応ガイド手段(36)と共働する、請求項1記載のコンタクタ。
【請求項3】
ガイド手段(36)が、対応ガイド手段(36)とクランプするように共働する、請求項1又は2記載のコンタクタ。
【請求項4】
ガイド手段(34)が、内方に向かって張り出したガイド条片として形成され、かつ対応ガイド手段(36)がガイド溝として形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンタクタ。
【請求項5】
ハウジング上側部分(2)の側壁(32)が、接続側のカバー脚(18)の側部を取り囲んでいて、該カバー脚(18)と係止するように共働する、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンタクタ。
【請求項6】
接続側のカバー脚(18)に設けられた係止手段(38)が、側壁(32)に設けられた対応係止手段(40)と共働する、請求項1から5までのいずれか1項記載のコンタクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−507840(P2007−507840A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530252(P2006−530252)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052321
【国際公開番号】WO2005/038845
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(595016451)メラー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (13)
【氏名又は名称原語表記】Moeller Gmbh
【住所又は居所原語表記】Hein−Moeller−Str.7−11,D−53115Bonn,Germany
【Fターム(参考)】