説明

ボディ用洗浄料及びその類似物からケラチン性基質への疎水性の有益剤の送達

本発明は、疎水性の有益剤のためのケラチン性基質への送達系に関する。該送達系は、両親媒性ブロックコポリマーと、両親媒性ブロックコポリマーがシロキサンセグメント及び陽イオン性セグメントを含む疎水性の有益剤とを含む。また、本発明は、該疎水性の有益剤を該ケラチン性基質に送達する方法にも関する。その上、該送達系及び送達方法は、すすぎ後に該ケラチン性基質に有益剤を保持するのに有効である。該送達系は、個人用クレンジング、ボディ用洗浄料、又はすすぎ落としローション組成物に特に適しており、皮膚又は毛髪などのケラチン性基質に該疎水性の有益剤を効果的に沈着するある両親媒性ポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン性基質に対する疎水性の有益剤のための送達系に関する。該送達系は、両親媒性ブロックコポリマーと疎水性の有益剤とを含み、該両親媒性ブロックコポリマーは、シロキサンセグメントと陽イオン性セグメントとを含む。また、本発明は、疎水性の有益剤をケラチン性基質に送達する方法にも関する。さらに、該送達系及び送達方法は、すすぎの後にケラチン性基質に疎水性の有益剤を保持する上で有効である。
【0002】
より特別には、前記送達系は、個人用クレンジング、ボディ用洗浄料、又はすすぎ落としローション組成物において特に適しており、かつ疎水性の有益剤を皮膚又は毛髪などのケラチン性基質に効果的に沈着させるある両親媒性ポリマーを含む。
【背景技術】
【0003】
ボディ用すすぎ落とし組成物は、当技術分野で公知である。ボディ用すすぎ落とし組成物は例えば、皮膚から油及び埃を除去するために主として使用されるボディ用洗浄料であり得る。すすぎ落としローションは、シャワー時又は入浴時に使用され得る。すすぎ落としローションの目的は、皮膚を柔軟にしかつ整えることである。ボディ用洗浄料組成物は伝統的に、洗浄目的のための界面活性剤を含み、この中で、該界面活性剤は、刺激し得、又は皮膚から天然油を除去し得る。ボディ用洗浄料は、皮膚に及ぼす刺激性界面活性剤の効果を緩和し得るワセリンなどの疎水性薬剤を含むことが公知である。しかしながら、ボディ用洗浄料は通常、皮膚からすすがれ、それとともに疎水性の有益剤のほとんどがすすがれる。時にはすすぎ落としローションと呼ばれるボディ用すすぎ落とし組成物もまた、同じ結果になりやすい。ローション又はボディ用洗浄料のすすぎにより、皮膚に残存する疎水性の有益剤の量が減少する。
【0004】
疎水性の有益剤が、皮膚に及ぼす保湿残存効果を提供する試みで、ボディ用すすぎ落とし組成物の一部として組み込まれている特許文献には、非常に多くの例がある。米国特許明細書第5,653,988号は、ボディ用洗浄料における疎水性の有益剤の使用の一例であり、洗浄における使用のための無水ゲル化油組成物を開示している。また、米国特許明細書第4,707,293号は、油及びサッカロースエステル並びに少なくとも1つの他の乳化剤から本質的になるボディ用洗剤を開示しており、効果的に洗浄しかつ皮膚に保護する脂質層を残すことを主張している。
【0005】
ケラチン性表面に疎水性の有益剤を沈着させるための公知の戦略の1つは、陽イオン性ポリマーを沈着助剤として使用することである。例えば、米国特許明細書第6,524,614号は、有機リン脂質少なくとも1つの両性界面活性剤、少なくとも1つの陽イオン性ポリマーを含む水不溶性成分のための送達系を開示している。該陽イオン性ポリマーは、ケラチン性表面に沈着した水不溶性成分の量を制御するよう機能する。該水不溶性成分は、シリコーン、ビタミン、天然油又は日焼け止めなどの親油性成分であってもよい。
【0006】
米国特許明細書第7,226,581号、第6,998,113号、第7,037,513号及び第7,025,952号は、日焼け止め剤を含むボディ用洗浄料を開示している。該日焼け止め剤はしばしば、疎水性又は水不溶性である。引用した特許は、すすぎの後でさえ皮膚に有意な紫外線防御が残ることを断言している。陽イオン性ポリマーの使用は、該日焼け止め剤の沈着を助ける上での助剤として開示されている。
【0007】
その上、両親媒性ブロックコポリマーは、化粧における使用について一般的に公知である。両親媒性ブロックコポリマーは一般的に、少なくとも疎水性及び親水性のポリマーセグメントを含み、米国出願公報第2004/0039101号、第2004/0009136号及び第2004/0202634号並びに米国特許第7,105,579号及び第7,232,561号に記載されている。
【0008】
米国出願公報第2005/0053569号は、ケラチン性表面におけるエマルションの沈着を助けるための使用条件下での、少なくとも1つの非イオン性疎水性ブロックと少なくとも1つの陽イオン性ブロックとを含む両親媒性ブロックコポリマーの使用を開示している。
【0009】
陽イオン性の機能化したポリシロキサンは公知であり、WO99/32539に開示されている。これらの修飾したポリシロキサンは、米国出願公報第2006/0123564号に開示されるものなど、毛髪の退色組成物又は染色組成物における調整剤(conditioning agent)としての使用について公知である。
【0010】
ポリシロキサン及びポリカチオン性セグメントから形成されるブロックコポリマーは公知であり、米国特許明細書第5,760,136号に記載されている。
【0011】
米国特許明細書第5,468,477号は、ビニル-シリコーンをグラフトしたコポリマーを含む化粧用組成物を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、すすいだ後でさえ、ケラチン性基質に疎水性の有益剤を保持するのに効果的に作用する、該基質に対する疎水性の有益剤のための代替的な送達系がなおも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、下記の組成物を包含する。
【0014】
第一の組成物は、ケラチン性基質に対する疎水性の有益剤のための送達系に関し、この中で、該送達系は、
I)両親媒性ブロックコポリマー(この中で、該両親媒性ブロックコポリマーが親水性(A)ブロックと疎水性(B)ブロックとを含み、
この中で該親水性ブロック(A)が使用条件において少なくとも1つの陽イオン性のモノマー単位又は潜在的に陽イオン性のモノマー単位を含み、かつ該単位が式(I)又は(II)
【0015】
【化1】

によって表され、
式中、R1が水素又はメチルであり、
R2が、水素、分岐鎖又は非分岐鎖C1-4アルキルであり、
R3及びR4が独立して、分岐鎖若しくは非分岐鎖C1-22アルキル、C1-C4アルキルヒドロキシオルベンジル(orbenzyl)、又は
R3及びR4が、組み合わさって、窒素を有する5員環又は6員環を形成することができ、該環が、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、
Z-が、酸の共役塩基であり、
Xが、酸素又は-NR5であり、
式中、R5が、上記のR1において定義されるとおりであり、
Aが、1〜4個の炭素のアルキレン基であり、
R6及びR7が、水素、分岐鎖若しくは非分岐鎖C1-22アルキル、ベンジル又はC1-C4アルキルヒドロキシであり、
n及びmが、2、3、4又はそれより大きく;かつ
該疎水性ポリマーブロック(B)がシロキサンモノマー単位を含む。)
と、
II)疎水性の有益剤
とを含む。
【0016】
第二の組成物の実施形態は、下記を含むボディ用すすぎ可能組成物を包含する:
I)先に定義したように少なくとも1つのAブロックと1つのBブロックとを含む両親媒性ブロックコポリマー;及び
II)疎水性の有益剤。
【0017】
該疎水性Bブロックは、例えば式(III)のシロキサンモノマー単位
【0018】
【化2】

を含んでいてもよく、式中、
R8及びR9が独立して、C1-4アルキル、フェニルアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアミン、アルキルヒドロキシ、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレンポリアミンであり、又は部分式―R―L―ポリカチオンブロックの基を表し、
式中、
Rが、C1〜C10アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアルコキシアルキレンであり、かつ該ポリカチオンブロックが、先のブロックAとして定義され、
Lが連結基であり、かつ
Xが、2〜10000の整数である。
【0019】
ボディ用すすぎ可能組成物は、皮膚において使用された後にすすがれる任意の組成物である。従って、該組成物は、ボディ用洗浄料、シャワークリーム、シャワージェル、液体石鹸又は固形石鹸であってもよい。
【0020】
また、本発明は、疎水性の有益剤をケラチン性基質に送達する方法を具現化し、該方法は、
先に記載した該疎水性の有益剤と両親媒性ブロックコポリマーとを含む混合物を形成する工程、
該混合物を該ケラチン性基質に塗布する工程、及び
該混合物を該ケラチン性基質からすすぐ工程
を含み、この中で、有効量の該疎水性の有益剤が該ケラチン性基質に保持される。
【発明の効果】
【0021】
本明細書で使用されるケラチン性基質に保持される有効量の疎水性の有益剤とは、基質に塗布される有益剤全体の少なくとも約1.0〜約50.0重量%が保持されることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前記組成物は、シャワー中に使用するよう具体的に指定されたクリーム、ミルク、ジェル、ジェルクリーム、透明な液体又はローションなど、単純な又は複雑な(O/W、W/O、O/W/O又はW/O/W)エマルションの形態であってもよい。
【0023】
すべての重量%、他の%、部分及び割合は、別段の指定がない限り、前記組成物の総重量に基づいている。列挙された成分に関する重量はすべて、活性レベルに基づいており、それゆえ、別段の指定がない限り、市販の材料に含まれるかもしれない担体又は副産物を含まない。
【0024】
送達系
好ましい実施形態によると、本発明は、送達系に関し、この中で、疎水性の有益剤は、有機日焼け止め剤若しくは紫外線吸収剤、ワセリン、エステル油、トリグリセリド及び修飾されたトリグリセリドを主として含むエステル油、植物及び種子の抽出物、疎水性の修飾した色素粒子、及びビタミン又は上記のいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0025】
送達系は、疎水性の有益剤を皮膚又は毛髪に効果的に送達する系を指す。該送達系は、該有益剤との組み合わせで先に記載した両親媒性ブロックコポリマーの存在を必要とし、この中で、有効量の該疎水性の有益剤は、すすいだ後にケラチン性基質に保持される。
【0026】
すすぎ可能組成物とは、水などの液体によってすすぎ落とされるよう設計された組成物を意味する。該組成物がすすぎ落とされた後、該疎水性の有益剤は、ケラチン性基質に少なくとも一部保持される。
【0027】
ケラチン性基質
ケラチン性基質とは、毛髪、皮膚、指の爪又は足指爪である。
【0028】
疎水性の有益剤
疎水性の有益剤とは、ケラチン性基質に利点をもたらす任意の水不溶性物質であり得る。従って、例えば、該有益剤は、皮膚(角質層)又は毛髪からの水含有量における低下を遅延させる任意の材料であり得る。従って、シリコーン油、ワックス、ワセリン、直鎖若しくは分岐鎖油、水不溶性若しくはわずかに可溶性の有機日焼け止め、脂質、エステル油、水不溶性若しくはわずかに可溶性のビタミン若しくはビタミン誘導体、植物抽出物、又は疎水性に修飾した色素であり得る。
【0029】
本明細書で使用される水不溶性とは、前記薬剤が冷水及び熱湯において実質的に不溶性であることを意味する。例えば、米国薬局方は、不溶性を1mLあたり100μg(0.01%)未満として定義している。本発明の目的に対し、実質的に不溶性とは、0.2重量%未満の水における可溶性を意味する。
【0030】
該疎水性の有益剤は、界面活性剤とは異なる。
【0031】
シリコーン油
従って、疎水性の有益剤には、直鎖及び環状ポリジメチルシロキサン、有機機能シリコーン(アルキル及びアルキルアリール)、並びにアミノシリコーンなど、シリコーン油、ゴム及びこれらの修飾物のような物質を含むであろう。
【0032】
ワックス
また、ラノリン及び蜜蝋などのワックスも、本明細書で使用される疎水性の有益剤と考えられる。
【0033】
直鎖及び分岐鎖油
疎水性の有益剤として適切な皮膚適合性油は、液体及び半固体の炭化水素であり得る。これらには、液状パラフィン、スクアレン、スクアラン、ミネラルオイル、PURESYN PAOの商標名の下でExxonMobilによって販売されているポリアルファオレフィン及びPANALANE又はINDOPOLの商標名の下でのポリブテンなどの低粘度合成炭化水素などの分岐鎖及び非分岐鎖油を含む。また、軽量(低粘度)の高度に分岐した炭化水素油も適している。
【0034】
ワセリン
ワセリンは、独特な炭化水素材料であり、本発明の有用な構成要素である。その半固体性質は、製造において及び他の油との配合を通じて調剤機によっての両方で制御することができる。
【0035】
エステル油
他の薬剤は、例えば、C12〜C30の範囲の炭素鎖長を有する飽和及び不飽和の両方のエステル油である、より高級の脂肪酸及びより高級の脂肪アルコールである。エステル油は、その名称が含意するように、該分子において少なくとも1つのエステル基を有する。本発明において有用な普遍的な一種のエステル油は、セチルオクタノアート、オクチルイソナノアナート、ミリスチルラクタート、セチルラクタート、イソプロピルミリスタート、ミリスチルミリスタート、イソプロピルパルミタート、イソプロピルアジパート、ブチルステアラート、デシルオレアート、コレステロールイソステアラート、グリセロールモノステアラート、グリセロールジステアラート、グリセロールトリステアラート、アルキルラクタート、アルキルシトラート及びアルキルタートラートなどの脂肪酸モノエステル及びポリエステル;ショ糖エステル及びポリエステル、ソルビトールエステル、並びにこれらの類似物である。
【0036】
別の種類の有用なエステル油は、トリグリセリドと修飾したトリグリセリドとを主として含む。これらには、ホホバ油、ダイズ油、カノーラ油、ヒマワリ油、サフラワー油、米糠油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、杏仁油、ヒマシ油、ココナッツ油、月見草油などの植物油及びミンク油が含まれる。また、合成トリグリセリドも採用することができる。修飾したトリグリセリドには、エトキシ化した及びマレイン酸化したトリグリセリド誘導体などの材料を含む。エチルヘキサン酸グリセリドが適しているように、FinsolvとしてFinetexによって販売されているものなどの専売エステル配合物も適している。
【0037】
脂質
コレステロール、セラミド、ショ糖エステル及び擬セラミドなどの脂質は、疎水性の有益剤として想定される。
【0038】
ビタミン
ビタミン、フラボノイド及びカロテノイドの水不溶性又はわずかに可溶性のファミリー又は誘導体は、疎水性の有益剤と考えられる。考えられる具体的な例は、ビタミンA又はレチノイドファミリー及び誘導体である。具体的な例には、レチニルパルミタート若しくはレチニルアセタートなどのエステル、レチナール、レチノール、又はレチノイン酸を含むであろう。
【0039】
トコフェロール及びトコトリエノールなど、抗酸化物質特性を有するビタミンE又は脂溶性ビタミンファミリー;
ビタミンD2(又はエルゴカルシフェロール)及びビタミンD3(又はコレカルシフェロール)など、ビタミンD又は脂溶性プロホルモンファミリー;
ビタミンK又は、2-メチル-1,4-ナフトキノン誘導体である親油性、疎水性ビタミンファミリー;
β-カロテン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、リコペン、ルテイン、クロセチン、カプサンチン、シアニジン、キサントフィル及びアスタキサンチンなどのカロテノイド;
ルチン、クエルセチン、ヘスペリジン、ジオスミン、イソクエルシトリン、ヘスペジン、ナリンジン、及びメチルヘスペリジンなどのフラボノイド。
【0040】
カロテノイド及びフラボノイドは低レベルで活性がある。これらは例えば、0.001重量%〜1.0重量%又は0.01〜約0.1重量%と同程度に低いレベルで使用してもよい。低レベルで活性がありかつ着色されているのと同程度にカロテノイド及びフラボノイドで、0.001〜約0.05重量%のレベルで使用することが好ましいかもしれない。
【0041】
ビタミンEなどのビタミンは、より高濃度で使用してもよい。従って、例えば、ビタミン濃度は、0.001〜約5.0重量%のどこでも変動してもよい。
【0042】
植物抽出物及び種子抽出物
水不溶性又はわずかに水溶性の植物(ニーム種子油などの種子抽出物を含む。)抽出物は、例えば、ヤナギラン(willowherb)抽出物;DERMOLECTINE及びCAPILECTINEなどのジャガイモ抽出物;ヤドリギ(mistletoe)抽出物;アボカド抽出物;麦芽抽出物;インゲンマメ抽出物;ニンジン、ダイズ、エンバク、ビート、キュウリ、ブロッコリ、カボチャ、及びトマトの抽出物など、他の野菜抽出物;タバコ抽出物;イノンド(dill)、セイヨウワサビ、シダレヤナギ、ヤクヨウニンジン、ケシ、又はゴマなどの他の草本抽出物;オレンジ、レモン、スイカ、バナナ、及びココナッツなどの他の果実抽出物である。
【0043】
植物抽出物及び種子抽出物は、例えば、すすぎ可能組成物の送達系として塗布される0.01〜約10.0重量%の範囲の量で使用される。
【0044】
有機日焼け止め
水に不溶性又はわずかに可溶性の有機日焼け止めは紫外線吸収剤を含む。該紫外線吸収剤は、UV-B吸収剤若しくはU-A吸収剤又はUV-B吸収剤とUV-A吸収剤との合剤であってもよい。
【0045】
該水に不溶性又はわずかに可溶性の有機日焼け止めは、非微粒子化微粒子化していてもよく、又は微粒子化可能であってもよい。或いは、該日焼け止めは、水に不溶性又はわずかに可溶性の油であってもよい。
【0046】
疎水性の有益剤としての適切な不溶性の又はわずかに水溶性の有機日焼け止め又は紫外線吸収剤は、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ビニル基含有アミド、ケイ皮酸アミド又はスルホン化ベンズイミダゾールの紫外線吸収剤などの化学的クラスから選択してもよい。
【0047】
トリアジン化合物のクラスは例えば、式
【0048】
【化3】

によって表されてもよく、式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素;ヒドロキシ;C1-C3アルコキシ;NH2;NHR4;N(R4)2;OR4;C6-C12アリール;フェノキシ;アニリノ;ピローロであり;この中で、個々のフェニル、フェノキシ、アニリノ又はピローロの部分は、非置換、或いはOH、カルボキシ、CO-NH2、C1-C12アルキル、C1-C12アルコキシ、メチリデンカンファー基、-(CH=CH)mC(=O)-OR4基、
【0049】
【化4】

基、又は対応するアルカリ金属、アンモニウム、モノ-、ジ-若しくはトリ-C1-C4アルキルアンモニウム、モノ-、ジ-若しくはトリ-C2-C4アルカノールアンモニウム塩、或いはこれらのC1-C3アルキルエステルから選択される1個、2個、又は3個の置換基によって、或いは、式(1a)
【0050】
【化5】

のラジカルによって置換され;
R4は、C1-C5アルキルであり;
R5は、ヒドロキシ;非置換又は1個若しくは複数個のOH基によって置換したC1-C5アルキル;C1-C5アルコキシ;アミノ;モノ-又はジ-C1-C5アルキルアミノ;M;式
【0051】
【化6】

であり;
式中、
R’、R”及びR”’はその他のものとは独立して、非置換又は1個若しくは複数個のOH基によって置換したC1-C14アルキルであり;
R6は、水素;M;C1-C5アルキル;又は式
【0052】
【化7】

のラジカルであり;
Mは、金属陽イオンであり;
T1は、水素;又はC1-C8アルキルであり;
mは、0又は1であり;
m1は、1〜5であり;
m2は、1〜4であり;かつ
m3は、2〜14である。
【0053】
式(1)の化合物は、式中、
R1、R2、及びR3が互いに独立して、式
【0054】
【化8】

のラジカルであり、
R7及びR11が互いに独立して、水素;C1-C18アルキル;又はC6-C12アリールであり;
R8、R9、及びR10が互いに独立して、水素;又は式
【0055】
【化9】

のラジカルであり、この中で、式(1f)において、ラジカルR8、R9、及びR10の少なくとも1つは、式(1h)のラジカルであり;
R12、R13、R14、R15、及びR16が互いに独立して、水素;ヒドロキシ;ハロゲン;C1-C18アルキル;C1-C18アルコキシ;C6-C12アリール;ビフェニリル;C6-C12アリールオキシ;C1-C18アルキルチオ;カルボキシ;-COOM;C1-C18アルキルカルボキシル;アミノカルボニル;又はモノ-若しくはジ-C1-C18アルキルアミノ;C1-C10アシルアミノ;-COOHであり;
Mが、アルカリ金属イオンであり;
Xが、1又は2であり;かつ
Yが、2〜10の数である。
【0056】
トリアジン誘導体のより具体的な例は、式
【0057】
【化10】

の化合物であり、式中、
R7、R11、R12、R13、及びR14は、式(1f)、(1g)又は(1h)にあるように定義され、最も好ましくは、式中、
R7及びR11が、水素である、
式(2)の化合物である。
【0058】
さらに、式
【0059】
【化11】

のトリアジン誘導体が好ましく、式中、
R7、R8、R9、R15、及びR16が、式(1g)にあるように定義され、最も好ましくは、式中、
R7、R8、R9、R15、及びR16が水素であり;又は互いに独立してC1-C18アルキルである、
式(3)の化合物である。
【0060】
構成要素(a)として最も好ましいのは、式
【0061】
【化12】

のトリアジン誘導体である。
【0062】
さらなる好ましいトリアジン誘導体は、式
【0063】
【化13】

に相当し、式中、
R17及びR18が互いに独立して、C1-C18アルキル;C2-C18アルケニル;式-CH2-CH(-OH)-CH2-O-T1のラジカル;又は式
【0064】
【化14】

のラジカル;式
【0065】
【化15】

のラジカルであり;
R19が、直接的な結合;直鎖若しくは分岐鎖C1-C4アルキレンラジカル又は式
【0066】
【化16】

のラジカルであり;
R20、R21、及びR22が互いに独立して、C1-C18アルキル;C1-C18アルコキシ、又は式
【0067】
【化17】

のラジカルであり;
R23が、C1-C5アルキルであり;
T1及びT2が互いに独立して、水素;又はC1-C8アルキルであり;
m1、m2、及びm3が互いに独立して、1〜4であり;
p1が0であり;又は1〜5の数であり;
A1が、式
【0068】
【化18】

;又は式
【0069】
【化19】

のラジカルであり;
R24が、水素;C1-C10アルキル、
【0070】
【化20】

;-CH2-CH(-OH)-CH2-O-T1;又は式
【0071】
【化21】

のラジカルであり、
R25が、水素;M;C1-C5アルキル;又は式
【0072】
【化22】

のラジカルであり;
R26が、水素;又はメチルであり;
Q1が、C1-C18アルキルであり;
Mが、金属陽イオンであり;かつ
n1が、1〜16である。
【0073】
トリアジンのさらなる例は、以下に式
【0074】
【化23】

によって与えられ、式中、
R27及びR28が互いに独立して、C3-C18アルキル;又は-CH2-CH(-OH)-CH2-O-T1であり;
R30が、C1-C10アルキル又は式
【0075】
【化24】

のラジカルであり;
R30が、水素;M;C1-C5アルキル;-NH-C1-C5アルキル、好ましくは-NH-tertアルキル;又は式-(CH2)m-O-T2のラジカルであり、
T1及びT2が互いに独立して、水素;又はC1-C5アルキルであり;かつ
mが、1〜4である。
【0076】
式中、R27及びR28が互いに独立して、C3-C18アルキル;又は-CH2-CH(-OH)-CH2-O-T1であり;
R29が、C1-C10アルキルである
式(5e)及び式(5f)の化合物;
並びに、式中、
R27及びR28が互いに独立して、C3-C18アルキル又は-CH2-CH(-OH)-CH2-O-T1であり;かつ
T1が、水素;又はC1-C5アルキルである
式(5g)及び式(5h)の化合物は、関心対象である。
【0077】
さらに、関心対象のトリアジンは、式
【0078】
【化25】

に相当し、式中、
R31が、C1-C30アルキル;C2-C30アルケニル;非置換又はC1-C5アルキル-単置換又は多置換C5-C12シクロアルキル、C1-C5アルコキシ-C1-C12アルキル;アミノ-C1-C12アルキル;C1-C5モノアルキル-アミノ-C1-C12アルキル;C1-C5ジアルキルアミノ-C1-C12アルキル;式
【0079】
【化26】

のラジカルであり;
R32、R33、及びR34が互いに独立して、水素、ヒドロキシル、C1-C30アルキル、又はC2-C30アルケニルであり;
R35が、水素;又はC1-C5アルキルであり;
m1が、0又は1であり;かつ
n1が、1〜5である。
【0080】
好ましい化合物は、式
【0081】
【化27】

に相当し、式中、
R36が、
【0082】
【化28】

である。
【0083】
該疎水性の有益剤としてのさらに好ましいトリアジン誘導体は、式
【0084】
【化29】

【0085】
【化30】

のうちの1つを有する該化合物、並びに2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン及び2,4-ビス(ジイソブチル-4-アミノベンザルマロナート)-6-(4’-アミノベンジリデンカンファー)-s-トリアジンである。
【0086】
式(1)の特に好ましい化合物は、式:
【0087】
【化31】

を有するものであり、式中、
R37、R38、及びR39が互いに独立して、水素;アルカリ金属;又はアンモニウム基N+(R40)4であり;
R40が、水素;又は有機ラジカル;C1-C3アルキル;又は1〜10個の酸化エチレン単位と、C1-C3アルコールによってエーテル化されてもよい末端OH基とを含むポリオキシエチレンラジカルである。
【0088】
式(28)の化合物に関連して、R37、R38、及びR39がアルカリ金属である場合、該R37、R38、及びR39は、好ましくはカリウム又は、特にナトリウムであり;R37、R38、及びR39が、N(R40)4基であり、式中、R30が先の有意性を有する場合、該R37、R38、及びR39は、好ましくはモノ-、ジ-、若しくはトリ-C1-C4アルキルアンモニウム塩、モノ-、ジ-、若しくはトリ-C2-C4アルカノールアンモニウム塩又はこれらのC1-C3アルキルエステルであり;R40がC1-C3アルキル基である場合、該R40は好ましくは、C1-C2アルキル基、より好ましくはメチル基であり;かつR30がポリオキシエチレン基である場合、該R30は好ましくは、2〜6個の酸化エチレン単位を含む。
【0089】
ベンゾトリアゾール有機紫外線吸収剤である疎水性の有益剤は例えば、式
【0090】
【化32】

を有してもよく、式中、
T1が、C1-C3アルキル、又は好ましくは、水素;又は式
【0091】
【化33】

のラジカルであり;かつ
T2及びT3が互いに独立して、C1-C12アルキル、好ましくはi-オクチル;又はフェニル、好ましくはα,α-ジメチルベンジルによって置換したC1-C4アルキルである。
【0092】
以下の式(30)に相当するベンゾトリアゾール有機紫外線吸収剤のクラスは重要である。
【0093】
【化34】

であり、式中、
T2が、先の有意性を有する。
【0094】
関心対象のベンゾトリアゾール有機紫外線吸収剤のなおもさらなるクラスは、式
【0095】
【化35】

に相当し、式中、
T2が、水素;C1-C12アルキル、好ましくはイソ-オクチル、又はフェニル、好ましくはα,α-ジメチルベンジルによって置換したC1-C4アルキルである。
【0096】
ビニル基含有アミド有機紫外線吸収剤のクラスは例えば、式:
(32) R41-(Y)m-CO-C(R42)=C(R43)-N(R44)(R45)
によって表され、式中、
R41が、C1-C3アルキル、好ましくはC1-C2アルキル、又はOH、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ若しくはCO-OR46から選択した1個、2個、若しくは3個の置換基によって任意に置換したフェニルであり、
R46が、C1-C3アルキルであり;
R42、R43、R44、及びR45が、同じか又は異なっており、かつ各々がC1-C3アルキル、好ましくはC1-C2アルキル;又は水素であり;
Yが、-NH-;又は-O-であり;かつ
mが、0;又は1である。
【0097】
式(32)の化合物の具体的な例は、4-メチル-3-ペンテン-2-オン、エチル-3-メチルアミノ-2-ブテノアート、3-メチルアミノ-1-フェニル-2-ブテン-1-オン、又は3-メチルアミノ-1-フェニル-2-ブテン-1-オンである。
【0098】
ケイ皮酸アミド有機紫外線吸収剤のクラスは例えば、式:
【0099】
【化36】

に相当し、式中、
R47が、ヒドロキシ又はC1-C4アルコキシ、好ましくはメトキシ又はエトキシであり;
R48が、水素又はC1-C4アルキル、好ましくはメチル又はエチルであり;かつ
R49が、-(CONH)m-フェニルであり、式中、mが0又は1であり、かつ該フェニル基がOH、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、又はCO-OR50から選択した1個、2個、又は3個の置換基によって任意に置換され;かつ
R50が、C1-C4アルキルである。
【0100】
スルホン化ベンズイミダゾール有機紫外線吸収剤のクラスは例えば、式
【0101】
【化37】

に相当し、式中、
Mが、水素;又はアルカリ金属、好ましくはナトリウム、マグネシウム若しくはカルシウムなどのアルカリ土類金属、又は亜鉛である。
【0102】
疎水性の有益剤として使用される水に不溶性又はわずかに可溶性の紫外線吸収剤のさらなるクラスは、例えば、
- p-アミノ安息香酸誘導体、例えば、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾアート;
- サリチル酸誘導体、例えば、サリチル酸2-エチルヘキシル;ホモサラート;及びイソプロピルシリチラート(sylicylate);
- ベンゾフェノン誘導体、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
- ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
- ジフェニルアクリラート、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート及び3-(ベンゾフラニル)-2-シアノアクリラート;
- 3-イミダゾール-4-イル-アクリル酸及び3-イミダゾール-4-イル-アクリラート;
- ベンゾフラン誘導体、好ましくは、EP-A-582 189、米国特許明細書第5,338,539号、米国特許明細書第5,518,713号、及びEP-A-613 893に開示された2-(p-アミノフェニル)ベンゾフラン誘導体;
- とりわけEP-A-709 080に記載されたベンジリデンマロナート誘導体などのポリマー系紫外線吸収剤;
- ケイ皮酸誘導体、例えば、とりわけ米国特許明細書第5 601 811号及びWO 97/00851に開示された2-エチルヘキシル-4-メトキシシナマート又はイソアミラート又はケイ皮酸誘導体;
- カンファー誘導体、例えば、3-(4’-メチル)ベンジリデンボルナン-2-オン、3-ベンジリデン-ボルナン-2-オン、N-[2(及び4)-オキシボルン-3-イリデンメチル)ベンジル]アクリルアミドポリマー、3-(4’-トリメチル-アンモニウム)ベンジリデンボルナン-2-オンメチルスルファート、3,3’-(1,4-フェニレンジメチン)-ビス(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ-[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸)及びその塩、3-(4’-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン及びその塩;
- 2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びその塩;並びに
- メチル-o-アミノベンゾアート
である。
【0103】
上記のクラスの紫外線吸収剤は、微粒子化していない形態、微粒子化した形態、微粒子化可能な形態、又は油の形態であってもよい。
【0104】
前記紫外線吸収剤の物理形態にかかわらず、該紫外線吸収剤は、水不溶性であり、又は水中でわずかに可溶性である。この物理的形態は実際に、水溶性UV-Aを水不溶性UV-Aに変換し得る。例えば、該UV-Aを微粒子化すると、該UV-Aを水不溶性形態に変換し得る。
【0105】
該紫外線吸収剤が微粒子化される場合、好ましくはGB-A-2 303 549に記載される方法によって、すなわち、相当する有機紫外線吸収剤を粗い粒子形態に、粉砕装置において、式CnH2n+1O(C6H10O5)xH(式中、nが、8〜16の範囲の整数であり、及びxが、グルコシド部分(C6H10O5)の平均ポリマー化レベルでありかつ1.4〜1.6の範囲である。)を有するアルカリポリグルコシド又はそのエステル部分の微粒子化した有機紫外線吸収剤に基づいて1.0〜50.0重量%、好ましくは5.〜40.0重量%の存在下で粉砕することを含むプロセスによって製造される。
【0106】
微粒子の製造に適する任意の公知のプロセスは、微粒子化した紫外線吸収剤の製造、例えば湿式製粉、湿式混練、適切な溶媒からのスプレー乾燥のために、RESSプロセス(超臨界溶液の急速膨張)に従った膨張によって、超臨界流体(GASRプロセス=気体抗溶媒再結晶/PCAプロセス=圧縮した抗溶媒を使用した沈殿)を含む適切な溶媒からの再沈殿によって使用することができる。
【0107】
該紫外線吸収剤が微粒子化される場合、該紫外線吸収剤は通常、0.02〜2.0μm、好ましくは0.03〜1.5μm、より特別には0.05〜1.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0108】
また、該微粒子化可能な紫外線吸収剤は、粉末形態の乾燥物質として又は油として使用することもできる。
【0109】
最も好ましい水に不溶性又はわずかに可溶性の有機日焼け止めは、日焼け止め剤として皮膚に使用することについて政府の認可したものである。該日焼け止めは、例えば、アミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキサート、ジオキシベンゾン、ホモサラート、メンチル(menthyl)アントラニラート、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジマートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、又はケイ皮酸誘導体又はビソクトリゾール、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン若しくはベモトリジノールなどのヒドロキシベンゾトリアゾールであるサリチル酸トロラミンであり得る。
【0110】
疎水性に修飾した色素粒子
また、疎水性に修飾した色素粒子も、疎水性の有益剤として想定される。特に、色素粒子は、シリコーンなどの疎水化剤で処理して、ボディ用洗浄料又はすすぎ落とし組成物に組み込んでもよい。例えば、米国特許出願公報第2004/0223929号は、すすぎ可能組成物における疎水性に修飾した色素の使用を開示している。市販の疎水化色素は例えば、US Cosmetics製の商標名TIMIRON及びKobo Product Inc.製の商標名KOBOPERALの下で購入され得る。
【0111】
特に好ましいものとして、疎水化コーティングで処理した色彩色素(effect pigment)などの疎水化色素がある。当技術分野で公知の色彩色素はしばしば、雲母、ガラス、又は反射性材料などの無機小板材料から形成される。該小板は、TiO2などの誘電性材料でコーティングされる。該小板の色は、コーティング層の数、誘電性材料の厚さ、コアの種類(雲母、ガラス、又は反射性材料)によって決定されるであろう。最終的な色彩色素は疎水化される。
【0112】
前記疎水化色素は、先に記載した両親媒性ブロックコポリマーと組み合わされてもよく、該合剤は、皮膚に該色素をより容易に沈着し、すすぎ後に皮膚への該色素の沈着を保持するのに役立つ。
【0113】
香料、日焼け止め(又は紫外線吸収剤)、スキンケア剤、及びヘアケア剤など、ケラチン性基質のための具体的な水不溶性の疎水性の有益剤のより完全だが限定的ではないリストについては、米国特許明細書第6,861,397号を参照されたい。
【0114】
すすぎ可能製剤の総重量に関する疎水性の有益剤の重量%は、沈着すべき有益剤の種類に応じて変動するであろう。例えば、ワセリンは一般的に、約1.0〜約50.0重量%、約1.0〜約25.0重量%、約1.0〜約20.0重量%、約1.0〜約15.0重量%、又は約1.0〜約10.0重量%の量で使用する。
【0115】
該疎水性の有益剤が紫外線遮蔽剤である場合、該有益剤は、すすぎ可能組成物中に約0.01重量%〜約50.0重量%の量で存在する。或いは、該紫外線遮蔽剤は、すすぎ可能組成物中に約0.1重量%〜約30.0重量%の量で存在する。紫外線遮蔽剤は、すすぎ可能組成物中に約1重量%〜約20.0重量%の量で存在する。紫外線遮蔽剤は、すすぎ可能組成物中に約1.0重量%〜約5.0重量%の量で存在する。
【0116】
すすぎ可能製剤における特定の日焼け止め活性剤は例えば、以下のような濃度で変動してもよい:
メトキシケイ皮酸オクチル 約2.0〜約7.0重量%
サリチル酸オクチル 約2.0〜約5.0重量%
アボベンゾン 約1.0〜約3.0重量%
ビソクトリゾール 約1.0〜約10.0重量%。
【0117】
エステル油が該疎水性の有益剤である場合、すすぎ可能製剤の重量%量としての総エステル油は例えば、約1.0〜約20.0重量%又は約1.0〜約15.0重量%で変動するであろう。
【0118】
該疎水性の有益剤は、日焼け止め活性剤及びワセリンなど、いくつかの疎水性の有益剤を含んでもよい。他の疎水性の有益剤混合物は例えば、脂溶性ビタミンと日焼け止めとの合剤、いくつかの異なる日焼け止めの合剤、又は脂溶性ビタミンとエステル油との合剤であってもよい。
【0119】
該疎水性の有益剤が疎水化色素である場合、該色素は、すすぎ可能組成物の約0.01〜約20.0重量%以下を構成する。例えば、該疎水化色素は、約0.1〜約10.0重量%又は約0.2〜約5.0重量%のすすぎ可能組成物を構成してもよい。
【0120】
疎水性の有益剤の好ましいリストは例えば、水不溶性又はわずかに水溶性の有機日焼け止め剤又は紫外線吸収剤、ワセリン、エステル油、トリグリセリドと修飾したトリグリセリドとを主として含むエステル油、植物及び種子の抽出物、疎水化色素、ビタミン、並びに上記の混合物である。
【0121】
先に与えた定義及び例は、絶対的ではなく、説明目的のために使用される。例えば、エステル油と、トリグリセリド及び修飾したトリグリセリドを主として含むエステル油との間には重複があるであろう。植物及び種子の抽出物は通常、混合物を含むであろう。抽出される疎水性混合物には、例えばビタミンとエステル油とのいくつかの合剤を含んでもよい。例として、ニーム種子油(アザディラクタインディカ)は、ニームの果実及び種子から圧搾した植物油である。該ニーム種子油は主として、トリグリセリド及びトリテルペノイド化合物を含む。また、該ニーム種子油はステロイドを含む。
【0122】
該疎水性の有益剤は、該両親媒性ブロックコポリマーとは異なる。
【0123】
両親媒性ブロックコポリマー
両親媒性ブロックコポリマーは通常、疎水性ブロックと親水性ブロックとを含むブロックコポリマーとして定義される。
【0124】
本明細書で使用される「ブロックコポリマー」とは、単一のポリマー分子を形成するよう連結した2個以上の異なるポリマー単位を包含することを意味する。該ブロックコポリマーは、ジ-、トリ-、及びマルチ-ブロックポリマーの形態にある。該ブロックコポリマーは、直鎖の、グラフトした、構造化した、櫛型の、又は星型の構造であり得る。
【0125】
用語構造化した及び構造化していないはしばしば、形成したポリマーの架橋特徴を指すために使用される。
【0126】
本発明の両親媒性ブロックコポリマーは、少なくとも2個のポリマーブロック又はポリマーセグメントを含む。
【0127】
ブロックは、ポリマーを命名することによって、又はそれが由来するモノマーを命名することによって定義される。
【0128】
本発明を定義する目的のために、モノマー単位は、重合後に形成される単位として定義される。
【0129】
用語モノマーは、重合前のモノマーを指す。
【0130】
用語(メト)アクリラートには、アクリラートとメタクリラートの両誘導体を含む。
【0131】
用語(メト)アクリルアミドには、アクリルアミドとメタクリルアミドの両誘導体を含む。
【0132】
ブロックは、いくつかのモノマーに由来する数種類の反復単位又はモノマー単位を含むコポリマーであってもよい。ブロックA及びブロックBは、異なるモノマーに由来する異なるポリマーだが、該ブロックA及びブロックBは、いくつかの共通する反復単位又はモノマー単位を含んでもよい(コポリマー)。
【0133】
本発明を定義する目的のために、用語「ポリマーブロック」は、該ブロックコポリマーのブロックのうちの1つを指す。該ポリマーブロックは、親水性又は疎水性のいずれかである。該ポリマーブロックは、無作為であってもよいか又は複数のブロックで構成されてもよい。
【0134】
例えば、該ブロックコポリマーは、(陽イオン性ポリマーブロック-シロキサンポリマーブロック)二ブロックコポリマー、(陽イオン性ポリマーブロック-シロキサンポリマーブロック-陽イオン性ポリマーブロック)三ブロックコポリマーであってもよい。
【0135】
本発明のブロックコポリマーに適用される場合、用語疎水性及び親水性は、該用語の通常の意味で使用される。該用語がポリマーを指す場合、親水性は、ポリマーが水と結合し又は水を吸収する強い傾向を有し、この結果、ポリマーの溶液或いはゲルの膨張及び/又は形成を生じることができることを意味する。この特性は、極性モノマー又はイオン性モノマーから製造されるポリマーに特有である。同様に、該用語が疎水性ブロックを指す場合、疎水性は、ポリマーが水に対して拮抗的であり、かつ一般的に水によって溶解できず又は膨張できないことを意味する。この特性は、比較的非極性のモノマーから製造されるポリマーに特有である。
【0136】
該両親媒性ブロックコポリマーは、水に可溶性であり、又は水に分散し得る。
【0137】
シロキサンブロックと陽イオン性ブロックとの重量比は変動するであろう。シロキサン:陽イオンについての重量比は、形成した両親媒性ブロックコポリマーの総重量に基づいて、約1:100〜約100:1、例えば、約1:10〜約10:1で変動してもよい。想定されるさらなる重量比は、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、約1:2〜約2:1、又は約1:1であり得る。
【0138】
形成した両親媒性ブロックコポリマーの総分子量は、用途に応じて広範に変動するであろう。例えば、該両親媒性ブロックについての平均分子量は、例えば約500g/モル〜約1.0×106g/モル、約500g/モル〜約5.0×105g/モル、約800g/モル〜約5,0×105g/モル、及びより好ましくは約800g/モル〜1,5×105g/モルの範囲であろう。
【0139】
シロキサン単位:陽イオン性単位の反復単位モル比は、広範に変動してもよい。例えば、約1:100〜約100:1、約1:25〜約25:1、約1:10〜約10:1は、約1:3〜約3:1のうちと想定される。
【0140】
過剰の陽イオン性単位又はシロキサン単位は好ましくあり得る。
【0141】
陽イオン性ブロック
陽イオン性ポリマーブロックは、使用条件において該ブロックが陽イオン性であることを意味する。従って、該陽イオン性ブロックは、第四級塩から、又は使用条件においてプロトン化される対応するアミンから形成されてもよい。
【0142】
該陽イオン性ブロックは、先に記載した式(I)又は(II)のいずれかによって表される少なくともモノマー単位を含むであろう
(式中、R1は、水素又はメチルであり、
R2は、水素、分岐鎖又は非分岐鎖C1-4アルキルであり、
R3及び/又はR4は独立して、分岐鎖又は非分岐鎖のC1-22アルキル、C1-C4アルキルヒドロキシ、又はベンジル、或いは
R3及びR4は、窒素とともに5員環又は6員環を形成するよう組み合わせることができ、該環は、1個若しくは複数個のヘテロ原子を含み、
Z-は、酸の共役塩基であり、
Xは、酸素又は-NR5であり、
式中、R5は、先のR1に定義されるとおりであり、
Aは、1〜4個の炭素原子のアルキレン基であり、
R6及びR7は、水素、分岐鎖又は非分岐鎖のC1-22アルキル、ベンジル、又はC1-C4アルキルヒドロキシであり、
n及びmは、2、3、4、又はそれより大きい。)。
【0143】
本発明の両親媒性ブロックコポリマーの親水性(陽イオン性)ブロックは例えば、ジアリアルキルアミン(diallyalkylamine)、アミノアルキル(メト)アクリラート、(メト)アミノアルキル(メト)アクリルアミドのモノマー、これらのプロトン化した塩又はこれらの第四級アンモニウム塩に由来してもよい。
【0144】
四級化したアミンは、当技術分野で公知である。式(I)及び(II)の対応するアミン(四級化前)は、親水性ポリマーブロック(A)の形成後に第四級アンモニウム塩を形成するためにアルキル化してもよい。
【0145】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの第三級アミノ基を四級化するために使用することのできる四級化剤に関して制限はない。例えば、四級化剤には、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、及びハロゲン化C6-C24アルキルなどのハロゲン化長鎖アルキルなどのハロゲン化アルキル;クロロ酢酸ナトリウム、ブロモ酢酸ナトリウム、及びヨード酢酸ナトリウムなどのカルボキシル酸ハロゲン化アルキル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、及びヨウ化ベンジルなどのハロゲン化ベンジル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、メチルo-トルエンスルホナート、エチルo-トルエンスルホナート、エチルp-トルエンスルホナート、メチルメタンスルホナート、エチレ(ethyle)メタンスルホナート、メチルベンゼンスルホナート、及びエチルベンゼンスルホナートなどのスルホン酸エステル誘導体を含んでもよい。
【0146】
該陽イオン性ブロックは、ジアリルアミンから形成されてもよく、次いで、四級化ブロック又は両親媒性ブロックが、塩化ジアリジアルキルアンモニウム(diallydialkylammonium)から直接形成されてもよい。該陽イオン性ブロックは、アミノアルキル(メト)アクリラート、又は(メト)アミノアルキル(メト)アクリルアミドから形成されてもよく、次いで、四級化ブロック又は両親媒性ブロックが、四級化モノマーから直接形成されてもよい。
【0147】
また、両親媒性ブロックは、さらなるエチレン的に不飽和のモノマーから形成されてもよく、該モノマーは、親水性ポリマーブロックがその親水性特性を維持する限り、イオン性及び/又は非イオン性である。また、該親水性ポリマーブロックは、グラフトされ、無作為であり、或いはさらに機能化され及び/又は架橋されてもよい。
【0148】
ジアリアルキルアミン(diallyalkylamine)このプロトン化した塩又は第四級アンモニウム塩の代表的な例は、下記である:
【0149】
塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジアリルジエチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、リン酸ジアリジメチルアンモニウム(diallydimethylammonium)、塩化ジアリルジ(β-エトキシエチル)アンモニウム、及び塩化ジアリルジ(β-ヒドロキシエチル)アンモニウム。
【0150】
アミノアルキル(メト)アクリラート及び(メト)アミノアルキル(メト)アクリルアミドのモノマー、これらのプロトン化した塩又はそれらの第四級アンモニウム塩の代表的な例は、下記である:
【0151】
ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラートメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルアクリラートメチルスルファート第四級塩、ジメチルアミノエチルアクリラートベンジルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリラートメチルスルファート第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリラートベンジルクロリド第四級塩、ジエチルアミノエチルアクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルアクリラートメチルクロリド第四級塩、ジエチルアミノエチルメタクリラートメチルクロリド第四級塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルジメチルアミン、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及びジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルスルファート第四級塩。
【0152】
Z-の対イオンは、事実上いずれかの対イオンであり得る。Z-は、対イオン、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、置換又は非置換スルホン酸アリール、硫酸、スルホン酸メチル、スルホン酸エチルなどのスルホン酸アルキル、カルボン酸、硝酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、テトラアルキルホウ酸、テトラアリールホウ酸、過塩素酸、及びヘキサフルオロリン酸であってもよい。
【0153】
また、陽イオン性ブロックは、他のエチレン的に不飽和のモノマーを含んでもよい。これらのモノマーは、非イオン性、陰イオン性、又は双性イオン性であり得る。陽イオン性ブロックは、異なる陽イオン性の又は潜在的に陽イオン性のモノマー単位の組み合わせから形成されてもよい。例えば、式(I)及び式(II)の両モノマー単位は、陽イオン性モノマーブロックに存在してもよい。さらにまた、式(I)又は式(II)によって包含されない付加的な陽イオン性モノマー単位も、ブロック(A)に組み込まれてもよい。
【0154】
代表的な非イオン性モノマー又はマクロマーは下記である:
【0155】
重合可能なアリル、ビニル、及びαエチレン的に不飽和の化合物であり、かつ電気的に中性である。適切な非イオン性モノマーには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メト)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メト)アクリルアミド、N-イソプロピル(メト)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メト)アクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)(メト)アクリラート、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノ(メト)アクリラート、メチル(メト)アクリラート、エチル(メト)アクリラートなどの(メト)アクリル酸のC1-4アルキルエステル、N-メチロールアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、フマルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、グリセロールモノ((メト)アクリラート)、2-ヒドロキシエチル(メト)アクリラート、ビニルメチルスルホン、ビニルアセタート、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸、フマル酸、コハク酸及びイタコン酸のジエステルが含まれる。
【0156】
代表的な陰イオン性モノマー又はマクロマーは下記である:
【0157】
リン酸基又はホスホン酸基を含むαエチレン的に不飽和のモノマー、αエチレン的に不飽和のモノカルボン酸、αエチレン的に不飽和のジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン的に不飽和のジカルボン酸のモノアルキルアミド、スルホン酸基を含むαエチレン的に不飽和の化合物、スルホン酸基を含むαエチレン的に不飽和の化合物の塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されるαエチレン的に不飽和のモノマーに由来する。
【0158】
陰イオン性モノマーの代表的な例には、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、2-スルホエチルメタクリラート、2-スルホエチルメタクリラートの塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の塩、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、スチレンスルホン酸及びその塩、又はこれらの混合物が含まれる。
【0159】
双性イオンモノマーは、エチレン的に不飽和のモノマーに由来する。本発明の目的のための双性イオンモノマーは、陰イオン電荷及び陽イオン電荷の両方を含むモノマーとして定義される。
【0160】
代表的な例は、
N,N-ジメチル-N-アクリロイルオキシエチル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン、
N,N-ジメチル-N-アクリロイルオキシエチル-N-(2-カルボキシメチル)-アンモニウムベタイン、
N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン、
N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(2-カルボキシメチル)-アンモニウムベタイン、
2-(メチルチオ)エチルメタクリロイル-S-(スルホプロピル)-スルホニウムベタイン、
2-[(2-アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]エチル2-メチルホスファート、
2-(アクリロイルオキシエチル)-2’(トリメチルアンモニウム)エチルホスファート、
[(2-アクリルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]メチルホスホン酸
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、
2-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]エチル2'-イソプロピルホスファート(AAPI)、
1-ビニル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウムヒドロキシド、
(2-アクリルオキシエチル)カルボキシメチルメチルスルホニウムクロリド、
1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムベタイン、
N-(4-スルホブチル)-N-メチル-N,N-ジアリルアミンアンモニウムベタイン(MDABS)、
N,N-ジアリル-N-メチル-N-(2-スルホエチル)アンモニウムベタイン、又はこれらの混合物
である。
【0161】
陽イオン性ブロックについての平均分子量は例えば、陽イオン性ポリマーブロックが任意の分子量であり得ることから変動するであろう。しかしながら、好ましい平均分子量は、約500g/モル〜約1.0×106g/モル、約500g/モル〜約5.0×105g/モル、約800g/モル〜約5.0×105g/モル、及びより好ましくは約800g/モル〜1,0×105g/モル、例えば約800g/モル〜約10000g/モル、又は約1,000g/モル〜約5000g/モルで変動するであろう。
【0162】
シロキサンブロック
該疎水性ブロックは、水中でわずかに可溶性であり得るシロキサン含有モノマーに由来する。シロキサン疎水性ブロックの重要な特質は、一旦それが形成されると、結果として生じるブロックが水中で不溶性であり又は膨張することができないことである。該疎水性ブロック又はシロキサンポリマーブロックは、さらなるエチレン的に不飽和のモノマーから形成されてもよい。また、該疎水性ブロック又はシロキサンポリマーブロックはグラフトされ、さらに機能化され及び/又は架橋されてもよい。
【0163】
該疎水性ブロックは、先に定義した式(III)のシロキサンモノマー単位を含み、式中、
R8及びR9が独立して、アルキル、フェニルアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアミン、アルキルヒドロキシ、ポリオキシアルキレン、及びポリアルキレンポリアミン又は―R―L―ポリカチオンブロックであり、
この中で、該ポリカチオンブロックは、先にブロックAとして定義されており、
Rは、C1〜C10アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアルコキシアルキレンであり、
Lは、連結基であり、
yは、1〜10000の整数であり、
aは、1〜12の整数であり、
かつ
nは、2〜10000の整数である。
【0164】
本明細書で使用される連結基は、-S-基又は-O-基である。
【0165】
アルキルは、直鎖又は分岐鎖C1-C20として定義される。例えば、アルキルは、C1-C4-、C1-C8-、C1-C12-、又はC1-C14アルキルであってもよい。
【0166】
C1-C20アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アミル、イソアミル又はtert-アミル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、又はエイコシルなどの直鎖又は分岐鎖アルキルラジカルである。
【0167】
例えば、該シロキサンブロックは、ポリジメチルシロキサン又はポリジエチルシロキサンであってもよい。また、ポリジメチルシロキサンは、ジメチコンとして公知である。
【0168】
メチル、エチル、及びプロピル、又はこれらの混合物は、R8及びR9として特に適している。
【0169】
アリールは、フェニル又はアルキル置換したフェニルであってもよい。
【0170】
C1-C10アルキレンは例えば、分岐鎖又は非分岐鎖ラジカル、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、又はデカメチレンである。
【0171】
アリーレンは例えば、置換又は非置換フェニレン又はナフチレンであり、各々非置換であり又はC1-C4アルキルによって置換されているのは例えば、1,2-、1,3-、若しくは1,4-フェニレン、又は1,2-、1,3-、1,4-、1,6-、1,7-、2,6-、若しくは2,7-ナフチレンである。
【0172】
アルカリーレンは例えば、ベンジリデン及び2-フェニルエチリデンである。
【0173】
アルコキシアルキレンは例えば、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-CH2CH2-O-CH2-、-CH2-(O-CH2CH2-)2O-CH2-、-CH2-(O-CH2CH2-)3O-CH2-、又は-CH2-(O-CH2CH2-)4O-CH2-など、酸素によって割り込まれるアルキレンである。
【0174】
アリール化したシリコーンは、約1.46以上、特に約1.52以上の屈折率を有する毛髪の光沢特徴を高めることが公知である。
【0175】
ポリメチルフェニルシロキサンは、アリール化したシロキサンの一例である。
【0176】
アルキルアリールは例えば、メチル、エチル、t-ブチル置換したフェニルであってもよい。
【0177】
ポリオキシアルキレンは例えば、酸化ポリプロピレン及び/又は酸化ポリエチレンである。該ポリオキシアルキレンは、ポリジアルキルシロキサンを修飾し得る。或いは、酸化アルキレンの混合物を使用して、基剤ポリシロキサンを修飾してもよい。例えば、ポリプロピレン又は酸化ポリエチレンを使用して、ポリジメチルシロキサンを修飾してもよい。これらの材料は一般的に、ジメチコンコポリオールとして公知である。従って、ポリシロキサンブロックは、ジメチコンコポリオールを含み得る。
【0178】
アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、並びにn-ブトキシ及びt-ブトキシなど、C1-C4分岐鎖又は直鎖アルコキシであってもよい。
【0179】
アリールオキシは例えば、フェノキシ又はアルキル置換したフェノキシであってもよい。
【0180】
アルキルアミンは例えば、アミンによって置換したC1-C4分岐鎖又は直鎖アルキルラジカルである。該アルキル鎖の1個若しくは複数個のアミン置換は、末端など、該鎖のどこにでも生じ得る。
【0181】
アルキルヒドロキシは、ヒドロキシによって置換したC1-C4分岐鎖又は直鎖アルキルラジカルである。該アルキル鎖のヒドロキシ置換は、末端など、該鎖のどこにでも生じ得る。
【0182】
ポリアルキレンポリアミンは、アミンによって割り込まれたアルキレン鎖である。
【0183】
例えば、式(IV)は、シロキサンにおけるポリアルキレンポリアミン置換の代表である。
【0184】
【化38】

【0185】
R8、R9、及びnは、先のように定義されており、かつR10は、ヒドロキシ、C1-C4アルコキシ、又はC1-C4アルキルであってもよい。R11は、-(CH2)1-4-NR12-(CH2)-1-4-NR12R13であり、かつyは、1〜10000の整数である。R12及びR13は、同じか又は異なっており、水素又はC1-C4アルキルである。
【0186】
両親媒性ブロックコポリマーのシロキサンブロックは例えば、式(IV)であってもよい。
【0187】
R8及びR9がメチルである場合、先のポリマー(IV)は時には、「アモジメチコン」と呼ばれる。
【0188】
適切なシロキサンを開示している参考文献には、米国特許明細書第2,826,551号;第3,964,500号及び第4,364,837号、並びに英国特許明細書第849,433号を含む。
【0189】
シロキサンブロックにおける反復単位の数(n)は、約2〜約10000、例えば約10〜5000及び約20〜約1000で変動するであろう。
【0190】
シロキサンポリマーブロック又はシロキサンポリマーセグメントは、さらなるモノマーから形成されてもよい。さらなるモノマーは、シリコンを含んでも又は含まなくてもよい。例えば、シロキサンポリマーブロックのモノマー単位を構成するモノマーはすべて、シリコーンを含む。
【0191】
該疎水性ブロックは、シロキサン含有単位以外のさらなるモノマー単位を含んでもよいが、該ブロックは、その特徴的疎水性を保持すべきである。
【0192】
該シロキサンブロックポリマーは、2個以上のシロキサンブロックを含んでもよい。例えば、該シロキサンブロックポリマーは、ポリジメチルシロキサンブロックとポリメチルフェニルシロキサンブロックとを、又はポリジビニルシロキサンブロックとポリジメチルシロキサンブロックとを含んでもよい。
【0193】
該シロキサンブロックは例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物であってもよい。
【0194】
シロキサンブロックにおける反復単位の数(n又はy)は、約2〜約10000、例えば約10〜5000及び約20〜約1000で変動するであろう。
【0195】
シロキサンブロックについての平均分子量は、いずれかの平均分子量であり得る。シロキサンポリマーブロックは例えば、約500g/モル〜約1.0×106g/モル、約500g/モル〜約5.0 105g/モル、約800g/モル〜約5.0×105g/モル、より好ましくは約800g/モル〜1.0×105g/モル、例えば約800g/モル〜約10000g/モル又は約1000g/モル〜約5000g/モルであってもよい。
【0196】
両親媒性ブロックコポリマーの製造
両親媒性ブロックコポリマーは、適切に終止したポリシロキサンの存在下で、陽イオン性のモノマー又は潜在的に陽イオン性のモノマーを重合することによって形成してもよい。
【0197】
本発明の目的のための連鎖転移基を使用して適切に終止したとは、チオール、キサンタート、ジチオエステル、トリチオエステル、ジチオカルバマート、第二級アルコール、又はニトロキシルを使用した終止又は付属終止を意味する。例えば、米国特許明細書第6,858,696号は、キサンタートを使用して誘導体化したポリシロキサンを開示している。
【0198】
チオールで終止した疎水性ブロックは、例えば、末端二重結合又はヒドロキシル基を有するポリシロキサン樹脂を、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸、チオ吉草酸、又は第二級アルコールなどの試薬で処理することによって合成してもよい。該合成は、例えば日本国出願公報第09031145(1995)及びYing Jun Duらの文献(J. Applied Polymer. Sci., 2003, 594)に記載されている。
【0199】
二重結合又はヒドロキシル基を使用して終止した種々の平均分子量のポリシロキサンは市販されている。例えば、Siltech Coporationは、商標名SILMER OH及びSILMER VINの下で、ある範囲の反応性ポリシロキサンを供給している。
【0200】
次に、該ブロックコポリマーは、開始剤及び適切に終止したポリシロキサンブロックの存在下で、陽イオン性のモノマー又は潜在的に陽イオン性のモノマーを重合することによって直接形成されてもよい。
【0201】
また、該ポリシロキサンブロックが、チオールなどの付属連鎖転移基を使用してグラフトされることも可能である。該陽イオン性モノマー、例えば、DADMAC又はジエチルアミノエチルメタクリラートは次に、チオール付属基を有するポリシロキサンポリマーの存在下で重合して、グラフトした陽イオン性ブロックを有するグラフトしたブロックコポリマーを与えるであろう。
【0202】
該重合開始剤は、熱、光、若しくは電磁放射、又は酸化剤若しくは還元剤によって活性化される開始剤など、いずれかの開始剤であることができる。
【0203】
典型的な開始剤は例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス-2-アミジノプロパンヒドロクロリド、ジメチルアゾビスイソブチラート、アゾビスイソブチルアミジンヒドロクロリド、及び4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸などのアゾビス化合物、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイル2,4-ジクロロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、アセチルぺルオキシド、ジイソプロピルジカルボナートペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロぺルオキシド、ジクミルペルオキシド、p-メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、tert-ブチルペルオキシラウラート、ジ-tert-ブチルペルオキシフタラート、ジベンジルオキシド、及び2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシドなどのぺルオキシド開始剤、並びにベンゾイルペルオキシド-N,N-ジメチルアニリン、ペルオキソ二硫酸-亜硫酸水素ナトリウム、及び過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又は過硫酸アンモニウムなどの過硫酸の塩などの酸化還元開始剤である。
【0204】
また、光開始剤も想定される。
【0205】
該反応溶媒には例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、及びテトラデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、及びシクロヘキセンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及び2,4-ジクロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルなどのエステル、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン、並びにジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、並びにメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、及びt-ブタノールなどのアルコールを含む。
【0206】
また、前記溶媒への界面活性剤の添加も想定される。
【0207】
これらは、単独で又はこれらの混合物として使用することができる。溶媒の混合物が好ましくあり得る。
【0208】
送達系又はすすぎ可能組成物の他の成分
該送達系又はすすぎ可能組成物は、両親媒性ブロックコポリマーと少なくとも1つの疎水性の有益剤とを含まなければならない。I)該両親媒性ブロックコポリマーとII)該疎水性の有益剤との重量比は、送達系又はすすぎ可能組成物の製剤全体に関してある程度依存するであろう。しかしながら、I)対II)の重量比は、約1:30〜約30:1で変動するであろう。例えば、約1:20〜約20:1、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1、約1:2〜約2:1が典型的である。
【0209】
該すすぎ可能組成物は、少なくともいくらかの水を含んでもよい。
【0210】
好ましくは、該すすぎ可能組成物はまた、油相も含むであろう。従って、例えば該組成物は、油/水エマルション又は水/油エマルションであってもよい。
【0211】
任意の成分
本発明の組成物は、1個若しくは複数個のさらなるスキンケア構成要素を含んでもよい。好ましい実施形態において、該組成物がヒトケラチン性組織と接触すべきである場合、さらなる構成要素が、ケラチン性組織への塗布に適するべきであり、すなわち、該組成物に組み込まれると、該構成要素は、正しい医学的判断の範囲内で過度の毒性、配合禁忌、不安定性、アレルギー応答、及びそれらの類似事項なしでヒトケラチン性組織と接触して使用するのに適している。
【0212】
CTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Second Edition(1992)は、本発明の組成物における使用に適した個人用ケア産業において普遍的に使用される広範な種類の化粧成分及び医薬成分を記載している。
【0213】
本明細書で有用なさらなる構成要素は、これらの提供する利点によって、又はこれらの仮定した作用様式によって分類することができる。しかしながら、本明細書において有用なさらなる構成要素がいくつかの場合において2つ以上の利点を提供でき、又は2つ以上の作用様式を介して効くことができることは理解されるべきである。それゆえ、本明細書における分類は、簡便性の目的のために実施されており、列挙した特定の1つの出願または複数の出願に対して有効性を制限するよう意図するものではない。
【0214】
構造体(structurants)
本組成物は、油構造体を任意に含んでもよい。該構造体は、当を得た流動特性を有する分散した位相を提供することができる(該組成物は分散した位相を具現化すべきである。)。このことは、皮膚に対する有効な沈着及び保持を提供する上で役に立つことができ、構造化した油又は油相は、1秒-1で測定される100〜約200000ポアズの範囲の粘度を有するべきである。
【0215】
該構造体は、有機構造体又は無機構造体のいずれかであることができる。本発明に適した有機増粘剤の例は、固体脂肪酸エステル、天然の又は修飾した脂肪、脂肪酸、脂肪アミン、脂肪アルコール、天然及び合成ワックス、並びにワセリン、並びにShellによって名称KRATONの下で販売されているブロックコポリマーである。無機構造化剤には、疎水性に修飾したシリカ又は疎水性に修飾した粘土を含む。無機構造体の例は、Rheox製のBENTONE 27V、BENTONE 38V、又はBENTONE GEL MIO V;及びCabot Corporation製のCAB-O-SIL TS720又はCAB-O-SIL M5である。
【0216】
先の必要条件を、選択した皮膚適合性油と合致させている構造体は、3次元ネットワークを形成して、選択した油の粘度を高めることができる。すなわち、該3次元ネットワークを使用して構築されたこのような構造化した油相は、入浴中に使用される濡れた皮膚の処理組成物として使用するのに特に望ましいことが発見されている。これらの構造化した油は、濡れた皮膚に非常に効果的に沈着し及び保持することができ、すすぎ及び乾燥後に保持され、あまりにも油性の/脂肪性の濡れた及び乾燥した感触を生じることなく、洗浄後に長く持続する皮膚の利点を提供することができる。このような構造化油の非常に望ましい使用中及び使用後の特性が、これらの剪断薄片化流動特性及び前記ネットワークの弱い構造に起因すると信じられている。この高い低剪断粘度により、該3次元ネットワーク構造化油は、皮膚コンディショナーの塗布中に皮膚に付着して、十分に保持することができる。皮膚に沈着した後、該ネットワークは、結晶ネットワークの弱い構造化及びそのより低い高剪断粘度に起因して、摩擦中に容易に生じる。
【0217】
界面活性剤
広範な種類の界面活性剤は、分散した相の乳化のため及び許容できる延展を提供するための両方で、並びに非発泡系のための使用特性において、本明細書で有用であり得る。洗浄適用のために、該界面活性剤相はまた、皮膚を洗浄しかつ使用者のための許容可能な量の泡を提供するようにも機能する。該組成物は例えば、約50.0重量%以下の界面活性剤、約30.0重量%以下、約15.0重量%以下、及び約5.0重量%以下の界面活性剤を含む。該組成物は、少なくとも約5.0重量%の界面活性剤、少なくとも約3.0重量%、少なくとも約1.0重量%、及び少なくとも約0.1重量%の界面活性剤を含む。
【0218】
界面活性剤には例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非発泡性界面活性剤、乳化剤及びこれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。本発明の組成物において有用な界面活性剤の制限的でない例は、米国特許明細書第6,280,757号に開示されている。
【0219】
A)陰イオン性界面活性剤
本発明の組成物において有用な陰イオン性界面活性剤の例は、Allured Publishing Corporationによって刊行されたMcCutcheon's, Detergents and Emulsifiers, North American edition (1986);McCutcheon's, Functional Materials, North American Edition (1992);及び米国特許明細書第3,929,678号に開示されている。
【0220】
広範な種類の陰イオン性界面活性剤が本明細書で有用である。陰イオン性界面活性剤の制限的でない例には、サルコシン酸、硫酸、イセチオン酸、タウリン酸、リン酸、ラクチル酸、グルタミン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。
【0221】
本明細書で有用な他の陰イオン性材料は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩など、約8個の炭素原子を有する脂肪酸から約24個の炭素原子までを、好ましくは約10〜約20個の炭素原子を有する脂肪酸石鹸である。石鹸を製造する上で使用するこれらの脂肪酸は、例えば、植物又は動物由来のグリセリド(例えば、ヤシ油、ココナッツ油、ダイズ油、ビーバー油、獣脂、豚脂等)など、天然源から得ることができる。また、該脂肪酸は、合成で製造することもできる。石鹸及びこれらの製造は、米国特許明細書第4,557,853号に記載されている。
【0222】
他の陰イオン性材料には、モノアルキルリン酸塩、ジアルキルリン酸塩、及びトリアルキルリン酸塩などのリン酸塩を含む。本明細書で有用な好ましい陰イオン性発泡性界面活性剤の制限的でない例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、トリデセト硫酸ナトリウム、セチル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルラクチル酸ナトリウム、ラウロイルラクチル酸トリエタノールアミン、カプロイルラクチル酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、及びココイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。
【0223】
典型的な界面活性剤の例は、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルラクチル酸ナトリウム、及びラウロイルラクチル酸トリエタノールアミンである。
【0224】
B)非イオン性界面活性剤
本発明の組成物における使用のための非イオン性界面活性剤の制限的でない例は、引用したMcCutcheon'sのしかるべきところに開示されている。
【0225】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシ化脂肪酸エステル、ショ糖エステル、酸化アミン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。
【0226】
本明細書での使用のための好ましい非イオン性界面活性剤の制限的でない例は、C8-C14グルコースアミド、C8-C14アルキルポリグルコシド、スクロースココアート、スクロースラウラート、酸化ラウラミン、酸化ココアミン、及びこれらの混合物からなる群の選択された形態である。
【0227】
C)両性界面活性剤
また、本明細書で使用されるように、用語両性界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットとして当業者に公知である双性イオン性界面活性剤を包含するよう意図する。
【0228】
広範な種類の両性発泡性界面活性剤は、本発明の組成物において使用することができる。とくに有用なのは、脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広範に記載されているものであり、好ましくはこの中で、窒素は、脂肪族ラジカルが直鎖又は分岐鎖であることのできる陽イオン状態にあり、かつラジカルの1個はイオン化可能な水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホン酸、硫酸、リン酸、又はホスホン酸を含む。
【0229】
本発明の組成物において有用な両性界面活性剤の制限的でない例は、引用したMcCutcheon'sのしかるべきところに開示されている。
【0230】
制限的でない例である双性イオン性界面活性剤は、ベタイン、スルタイン、ヒドロキシスルタイン、アルキルイミノアセタート、イミノジアルカノアート、アミノアルカノアート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。
【0231】
本明細書での使用のための典型的な界面活性剤は下記であり、この中で、該陰イオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸アンモニウム、トリデセト硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウロイルラクチル酸ナトリウム、ラウロイルラクチル酸トリエタノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、該非イオン性界面活性剤は、酸化ラウラミン、酸化ココアミン、デシルポリグルコース、ラウリルポリグルコース、スクロースココアート、C12-14グルコサミド、スクロースラウラート、及びこれらの混合物からなる群から選択され;及び該両性界面活性剤は、ラウロアンフォ二酢酸ナトリウム、ラウロアンフォ酢酸ナトリウム、セチルジメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0232】
D)非発泡性界面活性剤
広範な種類の非発泡性界面活性剤は、本明細書で有用である。本発明の組成物は、(該組成物が分散した相を有する場合、)分散した相を乳化して適切な粒子サイズ及び濡れた皮膚への良好な塗布特性を生じるのに十分な量の1つ若しくは複数の非発泡性界面活性剤を含むことができる。
【0233】
これらの非発泡性組成物の例は下記である:ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウラート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5ダイズステロール、ステアレス-20、セテアレス-20、PPG-2メチルグルコースエーテルジステアラート、セテス-10、ポリソルベート80、リン酸セチル、セチルリン酸カリウム、セチルリン酸ジエタノールアミン、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、PEG-100ステアラート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレアート(ポリソルベート85)、ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテルナトリウムステアラート、ポリグリセリル-4イソステアラート、ヘキシルラウラート、ステアレス-20、セテアレス-20、PPG-2メチルグルコースエーテルジステアラート、セテス-10、セチルリン酸ジエタノールアミン、グリセリルステアラート、PEG-100ステアラート、及びこれらの混合物。
【0234】
E)乳化剤系
すすぎ可能組成物又は送達系は、エマルション、ゲル、安定した分散剤、液体、又は石鹸であってもよい。結果的には、該組成物はエマルションであり、いくつかの実施形態において有用であり得るいくつかの市販の乳化剤混合物がある。例には、ISP製のPROLIPID 141(グリセリルステアラート、ベへニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、レシチン、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びセチルアルコール)及び151(グリセリルステアラート、セテアリールアルコール、ステアリン酸、1-プロパナミウム、3-アミノ-N-(2-(ヒドロキシエチル-)-N,N-ジメチル、N-C(16-18)アシル誘導体、クロリド);Croda製のPOLAWAX NF(乳化剤ワックスNF)、INCROQUAT BEHENYL TMS(硫酸ベヘントリモニウム及びセテアリールアルコール);並びにGattefosse製のEMULLIUM DELTA(セチルアルコール、グリセリルステアラート、ペグ-75ステアラート、セテス-20、及びステアレス-20)を含む。
【0235】
増粘剤/水性相安定剤
いくつかの実施形態において、本発明の組成物にはさらに、1つ若しくは複数の増粘剤/水性相安定剤を含んでもよい。異なる安定剤は、異なる効率で増粘するので、正確な組成物範囲を提供することは困難であるが、存在する場合、該組成物は好ましくは、約10.0重量%以下を含む。
【0236】
本明細書で有用な増粘剤の例には、(B.F.Goodrich製の商標名Carbopol(登録商標)900シリーズの下で市販されているもの、例えば、CARBOPOL 954など)カルボマーなどのカルボン酸ポリマーを含む。他の適切なカルボン酸ポリマー剤には、C10-30アルキルアクリラートとアクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの短鎖(C1-4アルコール)エステルのうちの1つのうちの1つ若しくは複数のモノマーとのコポリマーを含み、この中で、該架橋剤は、ショ糖又はペンタエリトリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリラート/C10-30アルキルアクリラートクロスポリマーとして公知であり、B.F.Goodrich製のCARBOPOL 1342、CARBOPOL 1382、PEMUKEN TR-1、及びPEMULEN TR-2として市販されている。
【0237】
増粘剤の他の例には、陽イオン性及び非イオン性の両ポリマーを含む架橋したポリアクリラートポリマーを含む。
【0238】
増粘剤のなおも他の例には、ポリアクリルアミドポリマー、特に置換した分岐鎖又は非分岐鎖ポリマーを含む非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを含む。これらのポリアクリルアミドポリマーのうちでより好ましいのは、CTFA指定ポリアクリルアミド及びイソパラフィン並びにSeppic Corporation(Fairfield, N.J., USA)製の商標名SEPIGEL 305の下で入手可能なラウレス-7を与えられた非イオン性ポリマーである。本明細書で有用な他のポリアクリルアミドポリマーには、アクリルアミド及び置換アクリルアミドとアクリル酸及び置換アクリル酸との多重ブロックコポリマーを含む。これらの多重ブロックコポリマーの市販の例には、Lipo Chemicals, Inc.(Patterson, N.J., USA)製のHYPAN SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hを含む。
【0239】
本明細書で有用な別のクラスの増粘剤は多糖類である。多糖ゲル化剤の例には、セルロースから選択されるもの及びセルロース誘導体を含む。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルのうちで好ましいのは、Aqualon Corporation(Wilmington, Del., USA)製の商標名Natrosol(登録商標)CS PLUSの下で販売されている、セチルアルコール及びヒドロキシエチルセルロースのエーテルである、CTFA指定セチルヒドロキシエチルセルロースを与えられた材料である。他の有用な多糖類には、3単位ごとに(1-6)連結したグルコースを有する(1-3)連結したグルコース単位の直鎖であるスクレログルカンを含み、この市販の例は、Michel Mericier Products Inc.(Mountainside, N.J., USA)製のClearogel(登録商標)CS11である。
【0240】
本明細書で有用な別のクラスの増粘剤はガム状物である。本明細書で有用なガム状物の例には、ヘクトライト、水和シリカ、キサンタンゴム、及びこれらの混合物を含む。
【0241】
本明細書で有用な別のクラスの増粘剤は、修飾したデンプンである。Grain Processing Corporation製のWaterlock(登録商標)などのアクリラートで修飾したデンプンを使用してもよい。National Starch製の商標名Structure(登録商標)であるリン酸化ヒドロキシプロピルデンプンは、有用な修飾したデンプンの別の例であり、他の有用な例には、Clariant製のAristoflex(登録商標)HMB(アンモニウムアクリロジメチルタルアート(acrylodimethyltaruate)/ベヘネス-25メタクリラートクロスポリマー)及び陽イオン性スタビレンを含む。
【0242】
陽イオン性ポリマー
また、本発明は、有機陽イオン性沈着ポリマーも含んでもよい。陽イオン沈着ポリマーの濃度は、0〜約0.025重量%〜約3.0%、約0.05重量%〜約2.0重量%、及び約0.1重量%〜約1.0重量%で変動してもよい。
【0243】
本発明における使用のための適切な陽イオン沈着ポリマーは、第四級アンモニウム又は陽イオン性プロトン化アミノ分子など、陽イオン性窒素含有成分を含む。陽イオン性プロトン化アミンは、個人用クレンジング組成物の特定の種及び選択したpHに応じて、第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン(好ましくは第二級又は第三級)であることができる。
【0244】
個人用ケア組成物における使用のための陽イオン性沈着ポリマーの例には、陽イオン性セルロース誘導体など、多糖ポリマーを含む。好ましい陽イオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換したエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、産業(CTFA)においては、POLYQUATERNIUM 10と呼ばれ、これらのポリマーKG、JR及びLRシリーズのポリマーにおいてAmerchol Corp.(Edison, N.J., USA)から入手可能であり、最も好ましいのはKG-30Mである。
【0245】
他の適切な陽イオン性沈着ポリマーには、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなど、陽イオン性グアーゴム誘導体を含み、この具体的な例には、Rhodia Inc.から市販されているJaguarシリーズ(好ましくはJAGUAR C-17)、及びAqualonから市販されているN-Hanceポリマーシリーズを含む。
【0246】
他の適切な陽イオン性沈着ポリマーには、合成陽イオン性ポリマーを含む。本明細書のクレンジング組成物における使用に適した陽イオン性ポリマーは、約4ミリ当量/g〜約7ミリ当量/gの陽イオン電荷密度及び約1000〜約1.0×106の平均分子量を有する水溶性又は分散可能な非架橋の陽イオン性ポリマーである。
【0247】
該個人用ケア組成物における陽イオン性ポリマーの濃度は、該組成物の約0.025重量%〜約5.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3.0重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1.0重量%で変動する。
【0248】
クレンジング組成物における使用のための市販の合成陽イオン性ポリマーの制限的でない例は、Rhodia, Cranberry, N.J., U.S.A.製の商標名POLYCARE 133の下で入手可能なポリメチルアクリルアミドプロピルトリアンモニウムクロリドである。
【0249】
他の任意の成分
任意の成分に関する他の制限的でない例には、ビタミン及びその誘導体、例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、酢酸トコフェリル、及びそれらの類似物;日焼け止め;増粘剤、例えばCroda製のCROTHIXとして入手可能なポリオールアルコキシエステル;クレンジング組成物の抗菌完全性を維持するための保存料;抗挫創薬剤、例えば、レゾルシノール、サリチル酸、及びそれらの類似物;抗酸化物質;アロエベラ抽出物、アラントイン、及びそれらの類似物など、皮膚を滑らかにしかつ治癒する薬剤;キレート剤及び金属イオン封鎖剤;並びに香料、精油、皮膚知覚剤(sensate)、色素、光沢剤、例えば雲母及び二酸化チタン、レーキ、着色料、並びにそれらの類似物、例えば、クローブ油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノールなど、審美的目的に適した薬剤、抗菌薬、並びにこれらの混合物からなる群から選択される有益剤を含む。これらの材料は、当業者に明らかであろうように、必要な利点を提供するのに十分な範囲で使用することができる。
【0250】
実施例
下記の実施例は、本発明の範囲内で実施形態をさらに記載しかつ示す。該実施例は、単に説明目的のために与えられており、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。すべての%は、別段の指定がない限り、組成物の総重量に基づいた重量%を表す。
【0251】
略語
SPF 紫外線防御指数を指す。
SILMER(登録商標)VIN 100 約4400〜6000Mnのビニルで終止したジメチルシリコーンプレポリマー。
DADMAC CIBA Corp. Tarrytown, NYによって供給されるジアリジメチルアンモニウム(diallydimethylammonium)クロリド、
FM1 CIBA Corp. Tarrytown, NYによって供給されるジメチルアミノエチルメタクリラート。
VITRO-SKIN(登録商標) ヒトの皮膚の表面特性を模倣している。タンパク質及び脂質の両構成要素を含み、ヒトの皮膚と類似した外形、pH、臨界表面張力、及びイオン強度を有するよう設計されている。該基質は、世界中で155社を超える主要企業によって現在使用されており、数多くの科学的な発表及び特許においてすでに引用されている。紫外線防御指数(SPF)の測定を含む広範な範囲のインビトロ法においての適用が成功している。用語インビトロ皮膚は、本明細書において商標名VITRO-SKIN(登録商標)と相互交換可能に使用される。
TINOSORB(登録商標)M ビソクトリゾール
ONC オクチノキサート
Mn 平均分子量数
【0252】
ブロックコポリマー又はグラフトしたブロックコポリマーの合成
実施例1
直鎖三ブロックコポリマー、ビニル末端官能性ポリシロキサンのチオールへの変換
20.0gのビニル末端官能性ポリジメチルシロキサン(Silmer VIN 100, Siltech)を20.0mLのトルエンに溶解する。これに、550mgのアゾビスイソブチロニトリル及び0.8mLのチオ酢酸を添加する。該混合物に窒素を30分間噴霧し、80℃で6時間加熱する。該混合物を氷/水中で冷却し、メタノールで3回すすぐ。残留溶媒を真空下で除去する。
【0253】
15.0gの生成物を20.0mLのトルエンに溶解し、2.0mLの10%メタノール性水酸化ナトリウムを添加する。該混合物に窒素を噴霧し、8時間撹拌する。該混合物をメタノールで3回すすぐ。残留溶媒を真空下で除去する。
【0254】
実施例2
20.0mLのトルエン中の25.0gのビニル末端官能性ポリジメチルシロキサン(SILMER VIN 200, Siltech)の溶液に、413mgのアゾビスイソブチロニトリル及び0.6mLチオ酢酸を添加する。該混合物に窒素を30分間噴霧し、80℃で7時間加熱する。該混合物を冷却させ、メタノールで3回すすぐ。残留溶媒を真空下で除去する。リチウムアルミニウムヒドリド(LAH)上で維持しておいた2mLのエーテル中の2.0gの該生成物の溶液に、50mgのLAHを添加し、該混合物を室温で48時間撹拌する。次に、該混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去する。
【0255】
実施例3
ヒドロキシル末端官能性ポリジメチルシロキサンのチオールへの変換
20.0gのヒドロキシ末端官能性ポリジメチルシロキサン(SILMER OH100, Siltech)を50mLのジクロロメタンに溶解する。これに、2mLのピリジン及び4.0gのp-トルエンスルホニルクロリドを添加する。該混合物を室温で24時間撹拌する。生成物をメタノールで3回すすぎ、残留溶媒を真空下で除去する。
【0256】
5.0gの生成物を15mLのトルエン中に溶解し、1.5mLのメタノール中の0.45gのチオ酢酸カリウムの溶液を添加する。該混合物に窒素を30分間噴霧し、105℃で24時間撹拌する。該混合物を冷却させ、メタノールで3回すすぎ、残留溶媒を真空下で除去する。生成物を10mLトルエン中に溶解し、1mLの10%メタノール性水酸化ナトリウムを添加する。該混合物に30分間噴霧し、8時間撹拌する。該混合物をメタノールで3回すすぎ、残留溶媒を真空下で除去する。
【0257】
実施例4
ポリジメチルシロキサン及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)のブロックコポリマーの合成
重合フラスコに、実施例1の4.0gのチオール末端官能性ポリジメチルシロキサン、6.0gの無水DADMAC、20mLのn-ブタノール、及び164mgの2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを負荷する。DADMACが溶解した後、該混合物に窒素を30分間噴霧した後、70℃で24時間加熱し及び撹拌する。該混合物を冷却させる。生成物をアセトンで沈殿させて濾過する。白色の固体を一晩真空乾燥させる。該生成物を100mLのTHF中で1時間撹拌した後、濾過し、THFですすぎ、真空乾燥させる。
【0258】
実施例5〜9
ポリシロキサン及びDADMACのいくつかのさらなる両親媒性三ブロックコポリマーを実施例4と同様だが、出発するポリシロキサン及びポリジメチルシロキサン(ビニルで終止)の平均分子量を変動させて合成する。ポリジメチルシロキサン及びポリDADMACの三ブロックコポリマーを以下の表1に示す通り形成した。
【0259】
実施例10
グラフトしたブロックコポリマー
【0260】
【化39】

THF中の(メルカプトプロピル)メチルシロキサン-ジメンチルシロキサンコポリマー(SMS-022、2〜3モル%SH、Gelest, Inc.1当量)及びジメチルアミノエチルメタクリラート(FM1、Ciba、100当量)の混合物に、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、1.2当量)を添加する。該溶液に窒素を0.5時間パージし、70℃で一晩反応させる。該ポリマーを溶媒の蒸発によって回収する。
【0261】
【表1】

【0262】
適用実施例
日焼け止め又はワセリンのVITRO-SKIN(登録商標)への送達及びすすぎ後に保持される残留物
実施例11
2重量%の日焼け止め活性物に相当する4重量%の濃度で(となるように)、日焼け止めを市販のボディ用洗浄料に後で添加する。また、(使用条件にある)シロキサン/陽イオン性ブロックコポリマーを異なる濃度でボディ用洗浄料に後で添加する。ヒトの皮膚の表面特性を効果的に模倣するケラチン性基質として、VITRO-SKIN(登録商標)を利用する。
【0263】
実施例12
典型的なボディ用洗浄料製剤:
ラウレス硫酸ナトリウム(Standapol(登録商標)Es-3) 20〜30重量%
コカミドプロピルベタイン 2〜5%
ペグ-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド 3〜6%
グリセロール 3〜5%
ラウリルグルコシド及びラウレス硫酸ナトリウム 8〜12%
ミネラルオイル 2〜10%
ワセリン 2〜10%
保存料 0.05〜1%
水 100%にする十分量
【0264】
該両親媒性ブロックコポリマーを約1〜5重量%で、先のボディ用洗浄料製剤に添加してもよい。
【0265】
VITRO-SKIN(登録商標)に残っている日焼け止め残留物の決定
下記の実験室装備を使用する:
VITRO-SKIN(登録商標)N-19、発泡ブロック、水和チャンバー、粉末を含まないゴム製指サック及び無ガラススライドマウントを、IMS,Inc(70 Robinson Blvd., Orange, CT, USA)から得;
水槽(#05-719-7F)、Corningホットプレート撹拌機(#11-497-8A)、Calfamoコンパクトデジタル撹拌機(#14-500-7)、グリセロール水溶液(#AC277366-0010)をFisher Scientificカタログから得;及び
Optometrics SPF 290をOptometrics LLC(8 Nemco Way, Stony Brook Industrial Park, Ayer, Ma, USA)から得る。
【0266】
基質(VITRO-SKIN(登録商標))の製造
VITRO-SKIN(登録商標)(N-19、ロット6243)を4.1×4.1cm片にあらかじめ切断し、閉鎖し湿度制御したチャンバー中に16〜22時間配置した後に検査する。チャンバー中の湿度は、チャンバーの下部に配置したグリセリンの14.7%水溶液によって調節する。該基質を棚の液体の上に配置する。この工程は、製品の塗布前の基質の再生可能な水和を保証する。水和した基質の一片を無ガラススライドマウントに配置し、15分間乾燥させた後、検査製品の塗布及びすすぎ落とし手法を実施する。製品の塗布は、パラフィルムで覆われた発泡ブロックに配置した基質の「皮膚トポグラフ」側において実施される。類似の様式で処理したが、検査製剤の塗布及びすすぎで処理していない基質の個別片を、インビトロでのSPF測定のための基準として使用する。
【0267】
Optometrics SPF 290Sをオンにした後、製造元の説明書に従って、機器の較正、ブランク及び試料の測定を実施する。
【0268】
インビトロ皮膚への検査製剤の塗布
基質の各片に、転移ピペット及び天秤を使用して、0.18gの検査製剤(実施例11由来)を分注する。指サックを使用して環状動作を約20秒間使用して、検査製剤を該基質に塗布する。塗布後、基質を無ガラススライドに即時配置し、水差しを使用して水ですすぐ。すすぎ時間は15秒である。すすぎ落とし後、基質を約15分間空気乾燥させた後、以下に簡潔に記載するように、インビトロでSPF測定を実施する。各検査製剤について少なくとも3つのスライドを使用する。
【0269】
Optometrics Group製のOptometrics SPF-290を使用して、SPF測定を実施する。検査製剤に使用しかつ同様の様式であらかじめ水和しておいた同一シートのフィルム由来の未処理のVITRO-SKIN(登録商標)について基準走査を実行する。VITRO-SKINの「皮膚トポグラフ」側は上であるべきである。各検査製剤スライドを完全な球の上に配置する。最低5回の連続した測定を、各検査スライドの5個の別個の領域に関して実施する。基準走査は、検査したさらなる各スライドについて反復する。
【0270】
VITRO-SKIN(登録商標)に関する残留ワセリンの決定
現に記載されている方法は、VITRO-SKIN(登録商標)(N-19)からの経表皮水分損失(TEWL)を追跡することによって、インビトロ皮膚に沈着したワセリンの量を決定する。ワセリン製剤との合剤における両親媒性ブロックコポリマーをVITRO-SKIN(登録商標)基質に塗布する。水分損失の測定は、放置製剤又はすすぎ落とし製剤からインビトロ皮膚へのワセリンの沈着の有効性を示す。また、すすぎ後に皮膚に残っている残留ワセリンを保証する組成物の能力の有効性も同一の方法で決定することができる。
【0271】
VITRO-SKIN(登録商標)(N-19)を6.3×6.3cm片にあらかじめ切断し、閉鎖し湿度制御したチャンバー中に16〜22時間配置した後、検査する。チャンバー中の湿度は、チャンバーの下部に配置したグリセリンの14.7%水溶液によって調節する。該基質を棚の液体の上に配置する。この工程は、製品塗布前のVITRO-SKIN(登録商標)の再生可能な水和を保証する。
【0272】
Delfin VapoMeterプローブ又はcyberDERM RG1 Evaporimeterプローブを使用して、TEWL測定を実施する。VITRO-SKIN(登録商標)基質を、先に記載した手法に従って製造する。水和した基質一片を無ガラススライドにマウントし、15分間空気乾燥させる。TEWL測定の間、未処理のVITRO-SKINについての基準として該片を使用する。ワセリンとともに両親媒性ブロックコポリマーを含む検査製剤を、同一検査試料塗布用量でプラスチックで覆われた発泡ブロックに配置したVITRO-SKINの「皮膚トポグラフィー」側に塗布する。また、公知の閉塞剤であるワセリンは、2mg/cm2又は実際には0.07938gを基質に塗布することによって、基準点として各試行について使用する。検査製剤の塗布直後に、指サックで覆った指で該製剤をフィルムへと擦る。
【0273】
その後、前記フィルムを、マウントしたスライドに配置し、約15分間空気乾燥させる。粗い側を上にして該フィルムを平らにするのを確実にするよう格別の注意を払う。未処理の基質及びワセリン処理した基質に加えて、マウントした基質を検査チャンバーに配置する。次に、塗布後の最初の15分、30分、1時間の後に、Cyberdermプローブ又はDelfinプローブのいずれかを使用して、各基質を測定する。各プローブについて標準的な操作手法に従う。気温が20〜22℃でありかつ相対湿度が20%〜30%で変動する場合にのみ測定を実施する。
【0274】
ワセリンと両親媒性ブロックコポリマーとを含むが、処理したインビトロ皮膚試料をすすぎ、結果として得られるTEWLを決定する洗い落とし(すすぎ落とし)検査製剤を使用して処理したVITRO-SKIN(登録商標)に先の同一の手法を適用してもよい。標準試料は、既知量のワセリンで処理した基質であるインビトロ皮膚である。これを使用して、すすぎ落とし後に表面にどれだけ多くのワセリンが残っているかに関する半定量的仮定を決定する。
【0275】
【表2】

【0276】
1)市販のDoveフレッシュモイスチャーボディ用洗浄料。
該ボディ用洗浄料は、下記を含む:ヒマワリ(helianthus annuus)(ヒマワリ(Sunflower))、種子油、又はグリシンダイズ(soja)(ダイズ(soybean))油、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウロアンフォ酢酸ナトリウム、又はコカミドプロピルベタイン、グリセリン、ワセリン、ラウリン酸、コカミドMEA、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ラノリンアルコール、クエン酸、DMDMヒダントイン、及びEDTA四ナトリウム。
2),3)Bootの星による格付けは、Bootsの星による格付けシステム(5つ星カテゴリー)に従った星による格付け(UV-A/UV-B比)である。星による格付けは、Bootsの星による格付けシステムに従ったUV-A:UV-B比の実測値に対する改訂したガイドラインに記載されているように、UV-Bに対する日焼け止め製剤のUV-A吸光度特性の指標として算出される。UV-A:UV-B吸光度比の算出は、0(UV-A吸光度なしに等しい)から1.0(UV-Bと等しいUV-A吸光度)までの値を生じるであろう。
4)日焼け止めの吸光度スペクトルは、1つの指数、すなわち、スペクトルの吸光度曲線の積分が290nm〜400nmの積分の90%に到達する波長である臨界波長(CW)によって特徴づけられる。この値(CW)は、紫外線防御の幅を決定するのに使用され、日焼け止め製剤の長波の有効性の評価のために推奨される方法である。さらなる詳細についてはDiffey, BL, (1994), Intl J. Cosmet. Sci., 16:47-52を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン性基質に対する疎水性の有益剤のための送達系であって、
I)両親媒性ブロックコポリマー(この中で、該両親媒性ブロックコポリマーが親水性(A)ブロックと疎水性(B)ブロックとを含み、この中で該親水性ブロック(A)が使用条件において少なくとも1つの陽イオン性のモノマー単位又は潜在的に陽イオン性のモノマー単位を含み、かつ該単位が式(I)又は(II)
【化1】

によって表され、
式中、R1が、水素又はメチルであり、
R2が、水素、分岐鎖又は非分岐鎖C1-4アルキルであり、
R3及びR4が独立して、分岐鎖若しくは非分岐鎖C1-22アルキル、C1-C4アルキルヒドロキシオルベンジル(orbenzyl)、又は
R3及びR4が、組み合わさって、窒素を有する5員環又は6員環を形成することができ、該環が、1つ若しくは複数ヘテロ原子を含み、
Z-が、酸の共役塩基であり、
Xが、酸素又は-NR5であり、
式中、R5が、先のR1において定義されるとおりであり、
Aが、1〜4個の炭素のアルキレン基であり、
R6及びR7が、水素、分岐鎖若しくは非分岐鎖C1-22アルキル、ベンジル又はC1-C4アルキルヒドロキシであり、
n及びmが、2、3、4又はそれより大きく;及び
該疎水性ポリマーブロック(B)がシロキサンモノマー単位を含む。)
と、
II)疎水性の有益剤
とを含む、前記送達系。
【請求項2】
請求項1記載の送達系であって、この中で、疎水性ブロック(B)が
【化2】

を含み、
式中、
R8及びR9が独立して、C1-4アルキル、フェニルアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアミン、アルキルヒドロキシ、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレンポリアミンであり、又は―R―L―ポリカチオンブロックを表し、
式中、
Rが、C1〜C10アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアルコキシアルキレンであり、かつ該ポリカチオンブロックが、先のブロックAとして定義され、
Lが連結基であり、かつ
Xが、2〜10000の整数である、
前記送達系。
【請求項3】
請求項1記載の送達系であって、前記疎水性の有益剤が、有機日焼け止め剤若しくは紫外線吸収剤、ワセリン、エステル油、トリグリセリド及び修飾したトリグリセリドを主として含むエステル油、植物及び種子の抽出物、疎水性の修飾した色素粒子、及びビタミン又は先のいずれかの混合物からなる群から選択される、前記送達系。
【請求項4】
下記を含むボディ用すすぎ可能組成物:
I)両親媒性ブロックコポリマー
(この中で、該両親媒性ブロックコポリマーは、親水性(A)ブロックと疎水性(B)ブロックとを含み、この中で、該親水性ブロック(A)は、使用条件において少なくとも1つの陽イオン性のモノマー単位又は潜在的に陽イオン性のモノマー単位を含み、かつ該単位は式(I)又は(II)
【化3】

によって表され、
式中、R1が、水素又はメチルであり、
R2が、水素、分岐鎖又は非分岐鎖C1-4アルキルであり、
R3及びR4が独立して、分岐鎖若しくは非分岐鎖C1-22アルキル、C1-C4アルキルヒドロキシオルベンジル(orbenzyl)、又は
R3及びR4が、組み合わさって、窒素を有する5員環又は6員環を形成することができ、該環は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含み、
Z-が、酸の共役塩基であり、
Xが、酸素又は-NR5であり、
式中、R5が先のR1において定義されるとおりであり、
Aが、1〜4個の炭素のアルキレン基であり、
R6及びR7が、水素、分岐鎖又は非分岐鎖C1-22アルキル、ベンジル、又はC1-C4アルキルヒドロキシであり、
n及びmが、2、3、4、又はそれより大きく;かつ
該疎水性ポリマーブロック(B)が、シロキサンモノマー単位を含む。)
及び
II)疎水性の有益剤。
【請求項5】
請求項4記載のボディ用すすぎ可能組成物であって、前記疎水性の有益剤が、有機日焼け止め剤若しくは紫外線吸収剤、ワセリン、エステル油、トリグリセリドと修飾したトリグリセリドとを主として含むエステル油、植物及び種子の抽出物、疎水性の修飾した色素粒子、及びビタミン又は先のいずれかの混合物からなる群から選択される、前記ボディ用すすぎ可能組成物。
【請求項6】
請求項1記載の送達系又は請求項5記載のボディ用すすぎ可能組成物であって、この中で該送達系又はボディ用すすぎ可能組成物が、ボディ用洗浄料、シャワークリーム、シャワージェル、液体石鹸、又は固形石鹸である、前記送達系又はボディ用すすぎ可能組成物。
【請求項7】
疎水性の有益剤をケラチン性基質に送達する方法であって、該疎水性の有益剤と請求項1に定義される両親媒性ブロックコポリマーを含む両親媒性ブロックコポリマーとを含む混合物を形成する工程、該混合物を該ケラチン性基質に塗布する工程、及び該混合物を該ケラチン性基質からすすぐ工程を含み、有効量の該疎水性の有益剤が該ケラチン性基質に保持される、前記方法。
【請求項8】
前記ケラチン性基質が皮膚である、請求項7記載の方法。

【公表番号】特表2011−518798(P2011−518798A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505463(P2011−505463)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054427
【国際公開番号】WO2009/130144
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】