説明

ボリュームを出すための組成物

本発明は、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物、特に化粧品用組成物、並びにこのような組成物を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する、ケラチン物質(毛髪又は睫)用の組成物、例えばマスカラに関する。このような組成物がケラチン物質に適用される場合、ケラチン物質に、相乗的に改善されたボリューム又は厚みを付与することができる。またこのような組成物は、さらに改善された特性及び特徴を有するもので、例えば組成物の耐移り性が改善され、耐水性が改善され、及び/又は長時間にわたる持続性が改善されたものである。
【背景技術】
【0002】
多くのマスカラ及び他の化粧品用組成物は、持続性、耐移り性、及び長さ/ボリューム特性が改善されるよう開発されている。このような特性は、典型的には、適用後に皮膜を形成する成分を使用することにより達成される。このような組成物は、皮膚又は睫と接触して蒸発し、ロウ及び/又は樹脂、顔料、フィラー、及び活性剤を含有する層を後に残す、揮発性溶媒を一般的に含有する。しかしながら、改善された化粧品用組成物、特に睫のボリューム化又は厚密化に関して、かなり改善された化粧品特性を有するマスカラが必要とされている。
【0003】
従って、本発明の一態様は、かなり改善されたボリューム性又は厚密性をケラチン物質に提供可能な、毛髪又は睫等のケラチン物質をメークアップ、手入れ及び/又はトリートメント用の組成物にある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する、マスカラ等のケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)用の組成物に関する。
また本発明は、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物を、ケラチン物質のボリューム-、強度-及び/又は長さを増加させるのに有効な量、ケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)のボリューム(厚み)、強度及び/又は長さを増加させる方法に関する。
【0005】
さらに本発明は、なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物を、メークアップに有効な量、このようなメークアップを必要とするケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質をメークアップする方法に関する。
またさらに本発明は、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーとを、適用前に組合せることを含む、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)に付与される組成物のフレーキングを防止又は低減する方法に関する。
【0006】
また本発明は、ケラチン物質をトリートメント及び/又は手入れするのに十分な量、本発明の組成物をケラチン物質に適用することによる、ケラチン物質をトリートメント又は手入れする方法に関する。
さらに本発明は、ケラチン物質の外観を高めるのに十分な量、本発明の組成物をケラチン物質に適用することによる、ケラチン物質の外観を高める方法に関する。
またさらに本発明は、組成物を形成させるために、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを混合することを含む、組成物を作製する方法に関する。
上述した一般的記載及び以下の詳細な記載の双方とも、例示及び説明のみであり、本発明を制限するものではないと理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な記載
ここで使用される場合、「少なくとも一の」なる表現は一又は複数であることを意味し、よって個々の成分並びに混合物/組合せ物を含む。
ここで使用される場合、「耐移り性」とは、例えば食事又は飲用により、ガラス、衣類又は皮膚等の他の物質と接触することで、容易に除去されない組成物が示す品質を称する。耐移り性は、このような評価のための当該技術で公知の任意の方法により評価されてよい。例えば、組成物の耐移り性は修正「キス」テストにより評価され得る。修正「キス」テストは、ヒトの睫毛に組成物を適用し、適用続いて所定時間の経過後、例えば適用2分後に、ペーパーシート等の物質と睫毛とを擦り合わせる、又は「キスする」ことを含むものであってよい。同様に、組成物の耐移り性は、適用に続いて所定時間の経過後、任意の他の基質に着用者から移動した、例えば個人の睫毛から衣類に移動した製品の量によっても評価され得る。ついで、基質(例えば、衣類又は紙)に移動した組成物の量を評価し、比較してよい。例えば、製品のほとんどが睫毛に残っているならば、組成物は耐移り性があるとされる。さらに、移動した量は、他の組成物、例えば商業的に入手可能な組成物により移動した量と比較されてもよい。
【0008】
ここで使用される場合、「長時間にわたる持続性」を有する組成物とは、コンシステンシー、テクスチャー、及び色調から選択される少なくとも一の特性が、裸眼で見て、長時間、例えば1時間、2時間、さらには8時間後でも、適用時と同様に維持されている組成物を称する。長時間にわたる持続性は、このような特性を評価するための、当該技術で公知の任意の方法により評価され得る。例えば、長時間にわたる持続性は、睫毛に組成物を適用し、長時間経過後の組成物のコンシステンシー、テクスチャー及び色調を評価することを含むテストにより評価され得る。例えば、マスカラ用組成物のコンシステンシー、テクスチャー及び色調を適用直後に評価し、個人が所定時間、マスカラ用組成物を着用した後に、これらの特徴を再評価して比較してもよい。さらにこれらの特徴は、他の組成物、例えば商業的に入手可能な組成物に対して評価してもよい。
【0009】
ここで使用される場合、「耐水性」とは、水をはじく能力、及び水に対する耐性を称する。耐水性は、このような特性を評価する当該技術で公知の任意の方法により評価されてよい。例えば、マスカラ用組成物をつけまつげに適用し、ついで、所定時間、例えば20分水に配してもよい。予め定められた時間の経過後、つけまつげを水から取り出し、例えばペーパーシート等の物質上に渡す。物質上に残った残留物の程度を評価し、他の組成物、例えば商業的に入手可能な組成物と比較してよい。同様に、組成物を皮膚に適用し、所定時間、皮膚を水に浸してもよい。ついで、予め定められた時間後、皮膚に残存する組成物の量を評価し、比較してもよい。例えば、製品のほとんどが着用者、例えば睫毛に残っているならば、組成物は耐水性があるとされる。
【0010】
ここで使用される場合、「粘着性」とは、2つの物質の間の付着性を称する。例えば、2つの物質に間の粘着性が大きければ大きい程、物質の間の付着性は増す。「粘着性」を定量化するために、2つの物質に関し、IUPACに定義される「付着仕事量」を測定することが有用である。一般的に言えば、付着仕事量では2つの物質を分離させるのに必要な仕事量が測定される。よって、2つの物質に関する付着仕事量が大きければ大きい程、物質間にはより大きな付着力が存在し、2つの物質の間の粘着性が大きくなることを意味している。
【0011】
付着仕事量、よって粘着性は、許容可能な技術、及び付着性の測定に一般的に使用される方法を使用して定量することができ、典型的には強制時間単位(例えばグラム秒(「gs」))で報告されている。例えば、ステイブル・マイクロ・システム社(Stable Micro Systems, Ltd.)のTA-XT2は、その全内容が参照としてここに導入される、2000年1月に改訂されたTA-XT2応用研究(参照:MATI/PO.25)に説明されている手順に従い、付着性を測定するのに使用可能である。この方法によれば、実質的に非粘着質な物質の付着仕事量の所望の値は、約0.5gs未満、約0.4gs未満、約0.3gs未満、及び約0.2gs未満を含む。当該技術で公知である他の類似した方法を、付着性を測定するための他の類似した分析装置において使用することができる。
【0012】
本発明の化粧品用組成物及び方法は、ここで記載された本発明の必須要素及び制限、並びにここに記載された付加的な又は任意の成分、要素又は制限、もしくはケラチン物質に適用することを意図した個人用の手入れ用組成物に見出される任意の他の有用な成分を含有する、それらから構成される、又は本質的にそれらから構成され得る。
【0013】
本発明の組成物は、睫への使用に適した任意の形態、例えば非固体状無水物、オイルフリー又はエマルション組成物(例えば油中水型エマルション、水中油型エマルション、多相エマルション(W/O/W又はO/W/O)、ナノエマルション等)であってもよい。本発明の組成物はマスカラとすることができる。一般的に言えば、マスカラは、顔料等の着色剤を含有している。さらに、本発明の組成物は、澄んでいる又は透明であってよく:ほとんど又は全く着色剤を含有していなくてもよい。本発明の組成物、特にほとんど又は全く着色剤を含有していないものは、睫毛に適用される他の製品、及び/又は真下に適用されるベースコート及び/又はトップコートとして使用することができる。
【0014】
ここで記載するように、安定性は、25℃で8週間、制御された環境チャンバーに組成物を配することでテストしたものである。このテストにおいて、サンプルの物質状態を、チャンバーに配した時に検査する。次に、サンプルを24時間、3日、1週間、2週間、4週間及び8週間目に、再度検査する。各検査において、サンプルを、組成物の異常性、例えば組成物がエマルションの形態ならば相分離について調査する。また安定性を、40℃、37℃、45℃、50℃及び/又は凍結解凍状態で、8週間テストを繰り返すことによりさらにテストする。これらのテストのいずれおいても、組成物の機能を妨害する異常性が観察された場合は、組成物は安定性を欠くものとみなされる。当業者であれば、意図する用途に基づき、組成物の機能を妨害する異常性を、容易に認識するであろう。
【0015】
脂溶性又は分散性のレオロジーポリマー
本発明では、少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物が提供される。「レオロジーポリマー」とは、組成物の粘度を増加させるポリマーのことである。「脂溶性又は分散性のレオロジーポリマー」とは、脂肪物質と融和性のあるレオロジーポリマーのことである。しかしながら、ポリマーはロウではない。
許容可能な脂溶性ポリマーの適切な例には、限定されるものではないが、ポリアルキレン類、特にポリブテン、ポリ(メタ)アクリラート類、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のCないしCアルキル基を有するアルキルセルロース類、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロース、脂肪相と融和性のあるシリコーンポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)又はビニルピロリドン(VP)のホモポリマー又はコポリマー、CないしC30、例えばCないしC22アルケンのコポリマー、及びそれらの組合物が含まれる。本発明で使用可能なVPコポリマーの特定の例としては、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン又はVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーを挙げることができる。
【0016】
脂溶性又は分散性のレオロジーポリマー(類)は、好ましくは組成物の全重量に対して約0.5%〜約20%、さらに好ましくは組成物の全重量に対して約0.75%〜約15%、最も好ましくは約1%〜約10%であり、それらの間の全ての範囲及び部分的範囲を含む。
【0017】
極性の変性ロウ
本発明においては、少なくとも一の極性の変性ロウを含有する組成物が提供される。ここで使用される場合、「極性の変性ロウ」は、極性基又は単位を含むように、変性しており、メタロセン触媒を使用して作製されるロウを称する。適切な極性の変性ロウには、その全内容が参照としてここに導入される、米国特許出願公開第20070031361号に開示されているものが含まれる。
【0018】
好ましくは、極性の変性ロウは、25000g/mol以下、好ましくは1000〜22000g/mol、特に好ましくは2000〜20000g/molの重量平均分子量Mw、15000g/mol以下、好ましくは500〜12000g/mol、特に好ましくは1000〜5000g/molの数平均分子量Mn、1.5〜10、好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.5〜3、さらに好ましくは2〜2.5の範囲のモル質量分布Mw/Mnを有し、メタロセン触媒により得られた、エチレン及び/又はプロピレンモノマーのホモポリマー及び/又はコポリマーロウをベースにしている。コポリマーロウのケースにおいては、コポリマーロウの全重量に基づき、一方のモノマーに由来する0.1〜30.0重量%の構造単位と、他方のモノマーに由来する70.0〜99.9重量%の構造単位を有していることが好ましい。このようなホモポリマー及びコポリマーロウは、例えばここで特定されるメタロセン触媒を使用し、その全内容が参照としてここに導入される欧州特許第571882号に記載された方法により作製することができる。適切な調製方法には、モノマーの重合が可能であると共に、例えば、メタロセン触媒下におけるオレフィンの懸濁重合、溶液重合、及び気相重合が含まれる。
【0019】
極性の変性ロウは、酸素含有ガスを用いて酸化させることにより、又は極性モノマー、例えばマレイン酸又はアクリル酸又はこれらの酸の誘導体とグラフト反応させることにより、上述したホモポリマー及びコポリマーから、公知の方式で生成させることができる。空気を用いた酸化によるメタロセンポリオレフィンロウの極性変性は、例えば欧州特許第0890583A1に記載されており、グラフト化による変性は、例えば米国特許第5,998,547号に記載されており、双方の全内容は、それらの全てが参照としてここに導入される。
【0020】
本発明において、特に好ましい極性の変性ロウは、親水性の変性ロウ(すなわち、親水性の特性を有するロウが提供されるように変性されたロウ)である。適切な例には、限定されるものではないが、無水マレイン酸、アクリラート、メタクリラート、ポリビニルピロリドン(PVP)等、親水性単位で変性されている、例えばC2-C30基、特にエチレン、プロピレン、C18-C30等の疎水性基のホモポリマー又はコポリマーが含まれる。特に好ましくは、親水性の変性ロウは、アクリラート/無水マレイン酸単位で変性した、エチレン及びプロピレンのホモポリマー及びコポリマーである。
【0021】
本発明において、特に好ましい極性の変性ロウには、疎水性の変性ロウ(すなわち、疎水性の特性を有するロウが提供されるように変性されたロウ)が含まれる。適切な例には、限定されるものではないが、例えばC2-C30基、特にエチレン、プロピレン、C18-C30等の疎水性基で変性されている、無水マレイン酸、アクリラート、メタクリラート、ポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性のホモポリマー又はコポリマーが含まれる。
【0022】
本発明で使用される特に好ましい極性の変性ロウは、リコケア(LICOCARE)の商品名でクラリアント社(Clariant)から商業的に入手可能な、ポリプロピレン-無水マレイン酸の変性ロウ(「PPMA」)、C26-C28アルファオレフィン無水マレイン酸コポリマーの変性ロウである。このようなロウは、親水性の無水マレイン酸基と疎水性基との反応に起因してエチレン基(類)が包含されるため、C26-C28アルファオレフィン-エチレン-無水マレイン酸のコポリマー、及びポリプロピレン-エチレン-無水マレイン酸のコポリマーとして公知である。このようなロウの特定の例には、PP207、LP3349、CM401 LP3345、CA301 LP3346、及びCA302 LP3347との命名を有し、リコケアの名称でクラリアント社から市販されている製品が含まれる。
【0023】
好ましくは極性の変性ロウ(類)は、それらの間の全ての範囲及び部分的範囲を含み、好ましくは組成物の全重量に対して約0.1%〜約30%、より好ましくは組成物の全重量に対して約0.5%〜約20%、最も好ましくは約1%〜約15%、例えば約5%〜約15%、及び約10%〜約20%である。
また好ましくは、脂溶性又は分散性のレオロジーポリマー対極性の変性のロウの比率は、約10:1〜約1:10、好ましくは約1:5〜約5:1、より好ましくは約1:3〜約3:1の範囲、最も好ましくは約1:1の比率である。分散性のレオロジーポリマーよりも多くの極性の変性ポリマーが、組成物中に存在していることが好ましい。
【0024】
本発明の特に好ましい実施態様において、脂溶性又は分散性のレオロジーポリマー、及び少なくとも一の極性の変性ロウを含有する組成物は、毛髪又は睫等のケラチン物質のボリューム化(すなわち厚密化)に関して、相乗的に改善された特性を有する。驚くべきことに、脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーと極性の変性ロウを組合せることで、添加剤の量以上、毛髪又は睫等のケラチン物質のボリューム(又は厚み)を増加させる結果となる。
【0025】
増粘剤
本発明は、エラストマー性化合物、例えばシンエツ社からKSG6、ダウ・コーニング社(Dow Corning)からトレフィル(Trefil)E-505C又はトレフィルE-506C、グラント・インダストリー社(Grant Industries)からグランシル(Gransil)(SR-CYC、SR DMF10、SR-DC556)の名称で作製され、販売されているもの、又はシンエツ社から既に構成化されているゲルの形態で市販されているもの(KSG15、KSG17、KSG16、KSG18、KSG21)、ジェネラル・エレクトリック社からのグランシルSR 5CYCゲル、グランシルSR DMF10ゲル、グランシルSR DC556ゲル、SF1204及びJK113、又は乳化エラストマー、例えばシンエツ社からKSG-210、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-40、KSG-41、KSG-42、KSG-43及びKSG-44の名称で販売されているものをさらに含有していてもよい。
【0026】
また組成物は、変性クレー類、例えばC10ないしC22脂肪酸の塩化アンモニウムで変性したヘクトライト類、特にクアテルニウム(quaternium)-18ベントナイト(bentonite)として公知のジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性したヘクトライト、中でもレオックス社(Rheox)からベントーン(Bentone)34の名称で作製又は販売されている製品、サザンクレイ社(Southern Clay)で製造又は販売されているクレイトーン(Claytone)XL、クレイトーン34及びクレイトーン40、サザンクレイ社からクレイトーンHT、クレイトーンGR及びクレイトーンPSの名称で製造又は販売され、クアテルニウム-18ベンザルコニウムベントナイト類の名称で公知の変性クレー類、ステラルコニウム(steralkonium)ベントナイト類として公知の、ステアリルジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性したクレー類、例えばサザンクレイ社からクレイトーンAPA及びクレイトーンAFの名称で製造又は販売されている製品、及びレオックス社で製造又は販売されているバラゲル(Baragel)24をさらに含有していてもよい。
【0027】
また組成物は、シリカ、例えばヒュームドシリカをさらに含有していてもよい。ヒュームドシリカは、例えば約5nm〜200nmの範囲のナノメートル又はマイクロメートルであってよい粒子径を有する。
ヒュームドシリカは、水素-酸素炎において、揮発性ケイ素化合物を高温で加水分解することにより得られ、微細に分割されたシリカが生成される。このプロセスにより、それらの表面に多数のシラノール基を有する親水性シリカを得ることができる。このような親水性シリカは、例えばデガッサ社(Degussa)から「エアロシル(Aerosil)130(登録商標)」、「エアロシル200(登録商標)」、「エアロシル255(登録商標)」、「エアロシル300(登録商標)」及び「エアロシル380(登録商標)」、及びカボット社(Cabot)から「CAB-O-SIL HS-55(登録商標)」、「CAB-O-SIL EH-5(登録商標)」、「CAB-O-SIL LM-130(登録商標)」、「CAB-O-SIL MS-55(登録商標)」及び「CAB-O-SIL M-5(登録商標)」の名称で製造又は販売されている。
【0028】
よって化学反応により、親水性シリカの表面を化学的に変性させ、シラノール基の数を減少させることもできる。シラノール基は、例えば疎水性基で置き換えることもでき;これにより疎水性シリカが付与される。疎水性基は以下のものであってよい:(a)トリメチルシロキシル基、特にヘキサメチルジシラザンの存在下で、ヒュームドシリカを処理することにより得られるもの。このように処理されたシリカは、CFTA(第6版、1995年)に従い、「シリル化シリカ」として公知である。それらは、例えばデガッサ社から「エアロシルR812(登録商標)」、及びカボット社から「CAB-O-SIL TS-530(登録商標)」の参照名で製造又は販売されている;(b)ジメチルシリルオキシル又はポリジメチルシロキサン基、特にポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で、ヒュームドシリカを処理することにより得られるもの。このように処理されたシリカは、CFTA(第6版、1995年)に従い、「シリル化ジメチルシリカ」として公知である。それらは、例えばデガッサ社から「エアロシルR972(登録商標)」及び「エアロシルR974(登録商標)」、及びカボット社から「CAB-O-SIL TS-610(登録商標)」及び「CAB-O-SIL TS-720(登録商標)」の参照名で製造又は販売されている;(c)シランアルコキシド類又はシロキサン類とヒュームドシリカを反応させることから誘導される基。これらの処理されたシリカは、例えばデガッサ社から「エアロシルR805(登録商標)」の参照名で製造又は販売されている製品である。
【0029】
疎水性シリカ、例えばヒュームドシリカを使用することにより、例えばロウ、フィラー及び顔料(真珠母を含む)等の不透明粒子の不在下、にじみ出ることのない、スティックの形態をした半透明又は透明な組成物を得ることができる。
【0030】
また組成物は、少なくとも一の典型的なロウをさらに含有してもよい。本発明の目的において、典型的なロウは、室温(25℃)、大気圧(760mmHg、すなわち101KPa)で固体状であり、可逆的な固体/液体の状態変化を受け、40℃を超える、さらには55℃を越え、200℃までの高い融点を有する脂質親和性脂肪化合物である。ロウをその融点にすることにより、油と混和し、顕微鏡的に均質な混合物を形成させることができるが、混合物の温度を室温まで戻すと、混合物の油中のロウが再結晶化する。混合物におけるこの再結晶化は、混合物の光沢低下の原因である。
【0031】
本発明の目的において、ロウは、化粧品及び皮膚科学において一般的に使用されているものであり;それらは、例えば天然由来のもの、特にミツロウ、オゾケライト、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、モクロウ、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、パラフィンロウ、亜炭ロウ、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンロウ、モンタンロウ、オゾケライト類及び水素化油、例えば水素化ホホバ油、並びに合成由来のロウ、例えばエチレンの重合から誘導されたポリエチレンロウ、フィッシャー-トロプシュ合成法により得られたロウ、脂肪酸エステル及びグリセリド類で、40℃、例えば55℃以上でも固体状のもの、脂肪アルコールロウ、例えばC30-C50アルコールを含み、ペルホルマコール(Performacol)の名称(ペルホルマコール350、425及び550)で、ベイカー・ペトロライト社(Baker Petrolite)から販売されているもの、シリコーンロウ、例えばアルキル-及びアルコキシ-ポリ(ジ)メチルシロキサン類及び/又はポリ(ジ)メチル-シロキサンエステルで、40℃、例えば55℃以上でも固体状のものである。
【0032】
本発明において、融点値は、5又は10℃/分の温度上昇を伴う、「示差走査熱量測定」法により測定された、融解ピークに相当する。
【0033】
組成物は、ポリシリコーン-ポリアミドのコポリマー、例えば米国特許出願公開第2004/0170586号に開示されたもの、粘着付与剤(例えば、レガライト(Regalite)の名称で販売されているもの)、及び/又はブロックコポリマー(例えば、クレイトン(Kraton)の名称で販売されているもの)をさらに含有していてもよい。
しかしながら、特に好ましい実施態様において、組成物は、上述にて論議した増粘剤の存在が組成物の化粧品的特性に影響を与えない程度に少ない増粘剤しか含有しない。好ましくは、組成物は、このような増粘剤を実質的に含有しない(すなわち、約1%未満の増粘剤を含有)、このような増粘剤を本質的に含有しない(すなわち、約0.5%未満の増粘剤を含有)、又はこのような増粘剤を含有しない(すなわち、約0.1%未満の増粘剤を含有)。
【0034】
特に好ましい実施態様において、組成物は、このようなエラストマー及び/又はロウの存在が組成物の化粧品的特性に影響を与えない程度に少ないエラストマー及び/又はロウしか含有しない。好ましくは、組成物は、このようなエラストマー及び/又はロウを実質的に含有しない(すなわち、約0.5%未満のエラストマー及び/又はロウを含有)、このようなエラストマー及び/又はロウを本質的に含有しない(すなわち、約0.25%未満のエラストマー及び/又はロウを含有)、又はこのようなエラストマー及び/又はロウを含有しない(すなわち、約0.1%未満のエラストマー及び/又はロウの増粘剤を含有)。
【0035】
揮発性油
本発明の特に好ましい実施態様においては、場合によっては少なくとも一の揮発性油をさらに含有する組成物が提供される。好ましくは、少なくとも一の揮発性油は揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油、又はそれらの混合物である。
好ましい実施態様において、組成物は、一又は複数の揮発性シリコーン油を含有していてよい。このような揮発性シリコーン油の例には、室温で6cSt以下の粘度を有し、2〜7のケイ素原子を有する直鎖状又は環状のシリコーン油が含まれ、これらのシリコーン類は場合によっては1〜10の炭素原子のアルキル又はアルコキシ基で置換されていてもよい。本発明で使用され得る特定の油には、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物が含まれる。使用され得る他の揮発性油には、6cStの粘度のKF96Aで、94℃の引火点を有する、シンエツ社の市販品が含まれる。好ましくは、揮発性シリコーン油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【0036】
揮発性シリコーン油の非限定的例を、次の表1に列挙する。
表1

【0037】
さらに、直鎖状の揮発性シリコーン油を、本発明の組成物に使用してもよい。適切な直鎖状の揮発性シリコーン油には、その内容が参照としてここに導入される米国特許第6,338,839号及び国際公開第03/042221号に記載されているものが含まれる。一実施態様において、直鎖状の揮発性シリコーン油はデカメチルテトラシロキサンである。他の実施態様において、デカメチルテトラシロキサンは、デカメチルテトラシロキサンよりもさらに揮発性である他の溶媒と組合せてもよい。
【0038】
他の好ましい実施態様において、組成物は一又は複数の揮発性非シリコーン油を含有していてよく、揮発性炭化水素油、揮発性エステル及び揮発性エーテルから選択され得る。このような揮発性非シリコーン油の例には、限定されるものではないが、8〜16の炭素原子を有する揮発性炭化水素油、及びそれらの混合物、特に分枝状のCないしC16アルカン類、例えばCないしC16イソアルカン類(イソパラフィン類としても公知)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、例えばイソパー(Isopar)又はペルメチル(Permethyl)の商品名で販売されている油、分枝状のCないしC16エステル、例えばイソヘキシル又はイソデシルのネオペンタノアート、及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、揮発性非シリコーン油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【0039】
揮発性非シリコーン油の非限定的例を、次の表2に付与する。
表2

【0040】
溶媒/油の揮発度は、米国特許第6,338,839号に説明されているように、蒸発速度を使用して測定することができる。
【0041】
揮発性油(類)が存在する場合、それらは、好ましくは組成物の全重量に対して約5%〜約90%、さらに好ましくは組成物の全重量に対して約10%〜約80%、最も好ましくは約20%〜約75%であり、それらの間の全ての範囲及び部分的範囲を含む。
【0042】
着色剤
本発明の組成物は、場合によっては少なくとも一の着色剤(着色料)を含有していてよい。適切な着色剤には、限定されるものではないが、顔料、染料、例えば脂溶性染料、真珠光沢顔料、及びパール剤が含まれる。典型的には、組成物が着色料を含有する場合、それはメークアップ組成物、例えばマスカラ組成物である。組成物が着色料を含有しない場合、それはメークアップ組成物の適用、例えばマスカラの睫への適用前(又は後)のベースコート(又はトップコート)として使用可能な澄んでいる又は透明な組成物であり、又は毛髪のトリートメント用組成物、例えば毛髪用コンディショナー又はムースとして使用することもできる。しかしながら、トップコート、ベースコート、毛髪用トリートメント製品等が着色料を含有していてもよく、及び/又はマスカラ又はメークアップ組成物が着色剤を全く又はほとんど含有していなくてもよい。
【0043】
本発明で使用され得る代表的な脂溶性染料には、スーダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、β−カロテン、大豆油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5、アナトー及びキノリンイエローが含まれる。脂溶性染料が存在する場合、それらは組成物の全重量に対して、一般的に20重量%まで、例えば0.0001重量%〜6重量%の範囲の濃度を有する。
【0044】
本発明で使用され得る真珠光沢顔料は、白色の真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有するチタンマイカ、フェリックブルー又は酸化クロムを有するチタンマイカ、上述したものから選択される有機顔料を有するチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスをベースとした真珠光沢顔料から選択され得る。また真珠光沢顔料が存在するならば、それらは、組成物の全重量に対して50重量%まで、例えば0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%の範囲の濃度で組成物に存在する。
【0045】
本発明で使用され得る顔料は、白色、有色、無機、有機、ポリマー性、非ポリマー性で、被覆された又は被覆されていない顔料から選択され得る。無機顔料の代表的な例には、表面処理されていてもよい二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルーが含まれる。有機顔料の代表的な例には、カーボンブラック、D&C型の顔料、及びアルミニウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、コチニールカルミンをベースとしたレーキ類が含まれる。
【0046】
顔料が存在するならば、それらは、組成物の全重量に対して50重量%まで、例えば0.5重量%〜40重量%、さらには2重量%〜30重量%の範囲の濃度で、組成物に存在してよい。ある種の製品のケースにおいては、真珠光沢顔料を含む顔料は、例えば組成物の50重量%までであってよい。
【0047】
皮膜形成剤
本発明の特に好ましい実施態様においては、場合によっては少なくとも一の皮膜形成剤(皮膜形成体)をさらに含有していてもよい組成物が提供される。許容可能な皮膜形成剤は当該分野で公知であり、限定されるものではないが、その全内容が参照としてここに導入される、米国特許出願公開第2004/0170586号に開示されているものが含まれる。このような皮膜形成剤の非限定的代表例には、シリコーン樹脂、例えばMQ樹脂(例えばトリメチルシロキシシリカート)、T-プロピルシルセスキオキサン、及びMK樹脂(例えばポリメチルシルセスキオキサン)、シリコーンエステル、例えばその開示が参照としてここに導入される、米国特許第6,045,782号、同5,334,737号及び同4,725,658号に開示されているもの、ビニルポリマー、メタクリルポリマー、及びアクリルポリマーから選択される骨格と、ペンダントシロキサン基及びペンダントフルオロ化学基から選択される少なくとも一の鎖を含有するポリマー、例えばその開示が参照としてここに導入される、米国特許第5,209,924号、同4,693,935号、同4,981,903号、同4,981,902号、及び同4,972,037号、及び国際公開第01/32737号に開示されているもの、ポリマー、例えばその開示が参照としてここに導入される、米国特許第5,468,477号に開示されているもの(このようなポリマーの非限定的例は、VS70IBMの商品名で3M社から商業的に入手可能なポリ(ジメチルシロキサン)-g-ポリ(メタクリル酸イソブチル)である)が含まれる。
【0048】
好ましい実施態様において、皮膜形成体が存在する場合、それらは、組成物の全重量に対して0.1重量%〜30重量%の範囲の量で組成物に存在する。皮膜形成体は、組成物の全重量に対して、好ましくは0.5重量%〜20重量%、さらに好ましくは2重量%〜15重量%の範囲で、それらの間の全ての範囲及び部分的範囲を含む量で存在する。当業者であれば、本発明の皮膜形成体が商業的に入手可能であり、希釈液の形態で供給者から入荷されることを認識しているであろう。よって、ここに開示された皮膜形成体の量は、活性物質の重量パーセントで表される。
【0049】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の組成物は水をさらに含有する。この実施態様において、水は組成物の全重量に対して、好ましくは約0.6〜約70%、より好ましくは約3.0〜60%、さらに好ましくは約5〜約50%の範囲の量で存在する。好ましくは、このような水分含有化粧品用組成物は、マスカラ、エマルション又は分散液である。
特に好ましい実施態様において、本発明の組成物はエマルションの形態である。適切なエマルションの形態には、限定されるものではないが、水中油型、油中水型、油中水中油型、水中油中水型及びナノエマルション(その油球が非常に微細な粒子経である、すなわち約100ナノメートル(nm)未満の数平均径を有するエマルション)が含まれる。エマルションは、少なくとも一の油相と少なくとも一の水相を含有する。典型的に述べれば、エマルションは、エマルションを安定化させ、エマルションの相分離を阻害するために、界面活性剤又は界面活性剤様物質を含有する。
【0050】
付加的な添加剤
本発明の組成物は、考慮される分野で通常使用される任意の添加剤をさらに含有可能である。例えば、分散剤、特にポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、酸化防止剤、精油、サンスクリーン剤、防腐剤、香料、フィラー、中和剤、化粧品用及び皮膚用の活性剤、例えばエモリエント、保湿剤、ビタミン類、必須脂肪酸、界面活性剤、ペースト状の化合物及びそれらの混合物を添加することができる。このような成分の非包括的列挙は、その全内容が参照としてここに導入される、米国特許出願公開第2004/0170586号に見出すことができる。適切な付加的成分のさらなる例は、この出願に参照されて導入されている他の参考文献に見出すことができる。このような付加的成分のまたさらなる例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第9版、2002年)に見出される。
【0051】
当業者であれば、考慮される添加により、本発明の組成物の有利な特性が悪影響を受けないか、実質的に受けないように留意して、任意の付加的な添加剤及び/又はその量を選択するであろう。
これらの物質は、所望する特性、例えばコンシステンシー又はテクスチャーを有する組成物を調製するために、当業者により様々に選択され得る。
これらの添加剤は、(存在するならば)組成物の全重量に対して0%〜99%(例えば0.01%〜90%)、さらには0.1%〜50%で、それらの間の全ての範囲及び部分的範囲を含む割合で、組成物に存在していてよい。
言うまでもなく、本発明の組成物は、化粧品的又は皮膚科学的に許容可能、すなわち無毒性の生理学的に許容可能な媒体を含有し、ヒトの睫毛に適用可能なものであるべきである。
【0052】
このような付加的な成分の非限定的例には、非揮発性油、例えばシリコーン油(例えばジメチコーン、フェニルトリメチコーン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等)、又は炭化水素油(例えばエステル)が含まれる。本発明の一実施態様において、本発明の組成物は、シリコーン油を実質的に含有しない(すなわち、約0.5%未満のシリコーン油を含有)。他の実施態様において、組成物は非シリコーン油を実質的に含有しない(すなわち、約0.5%未満の非シリコーン油を含有)。他の実施態様において、組成物は非揮発性油を実質的に含有しない(すなわち、約0.5%未満の非揮発性油を含有)。
【0053】
本発明の好ましい実施態様においては、少なくとも一の極性の変性ロウと、少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物を、ケラチン物質のボリューム-、強度-及び/又は長さを増加させるのに有効な量、該ケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)のボリューム、強度及び/又は長さを増大させる方法が提供される。組成物は、必要であれば、ケラチン物質に、好ましくは1日1回又は2回、より好ましくは1日1回適用され、ついで好ましくは、衣類又は他の物体等と接触する前に乾燥させる。
【0054】
特に好ましい実施態様においては、組成物の性能特性が、個々の成分をそれぞれ含有する組成物の性能特性よりも大きくなる(すなわち、少なくとも一の極性の変性ロウ、及び少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーに関して、相乗効果が存在する)よう、十分な極性の変性ロウを、十分な脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーと組合せる。
【0055】
好ましい実施態様においては、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを、適用前に組合せることを含む、ケラチン物質への適用後又は適用時に、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)のボリューム、強度又は長さを増加させる方法が提供される。ケラチン物質に組成物を適用する前の任意の時間に、単一の組成物において、必要とされる成分をこのように組合せることで、ケラチン物質に適用した後に、ケラチン物質のボリューム、強度及び/又は長さを増加させることになる。
【0056】
本発明のさらなる実施態様においては、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物を、ケラチン物質をメークアップするのに十分な量、このようなメークアップを必要とするケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)をメークアップする方法が提供される。好ましくは、ケラチン物質の「メークアップ」には、ケラチン物質に色調を付与するのに十分な量、ケラチン物質に少なくとも一の着色剤を適用することを含む。
【0057】
本発明の好ましい実施態様においては、ケラチン物質をトリートメント及び/又は手入れするのに十分な量、本発明の組成物をケラチン物質に適用することによる、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)をトリートメント又は手入れする方法が提供される。
他の好ましい実施態様においては、ケラチン物質の外観を高めるのに十分な量、本発明の組成物をケラチン物質に適用することによる、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)の外観を高める方法が提供される。
【0058】
上述した好ましい実施態様において、本発明の組成物は、ケラチン物質をトリートメント、手入れ及び/又はメークアップするのに、又はケラチン物質の外観を高めるのに十分な量、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)に局所的に適用される。組成物は、必要であれば、好ましくは1日1回又は2回、より好ましくは1日1回適用され、ついで好ましくは、衣類又は他の物体等と接触する前に乾燥させる。
本発明の好ましい実施態様においては、改善された化粧品特性、例えば適用時の改善された感触(例えば、付着性)、フレーキング耐性、長時間にわたる持続性、耐移り性又は耐水性を有する組成物が提供される。また、改善された特性は、改善された可撓性、帯着感、乾燥時間又は保持力、並びに経時的に低下した粘着性又は移動性から選択されてもよい。
【0059】
本発明の他の実施態様においては、少なくとも一の極性の変性ロウと、少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを、組成物を形成させるために混合することを含む、組成物の作製方法が提供される。特に好ましい実施態様において、極性の変性ロウは油相に存在し、脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーは水相に存在し、脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーと極性の変性ロウは、水相と油相が組合せられる際に組合せられる。このような好ましい手順により、所望するならば、とりわけ、実質的又は本質的に界面活性剤を含有しないエマルションの調製が可能となる。
【0060】
本発明の他の好ましい実施態様においては、少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーとを、適用前に、組成物において組合せることを含む、ケラチン物質(例えば、毛髪又は睫)に適用される組成物のフレーキングを防止又は低減する方法が提供される。ケラチン物質に組成物を適用する前の任意の時間に、単一の組成物において、必要とされる成分をこのように組合せることで、ケラチン物質に適用した後に、ケラチン物質からのフレーキングが防止又は低減する。
【0061】
特に示さない限りは、明細書及び特許請求の範囲に使用されている成分の量、反応条件、及びその他色々を表す全ての数値は、いずれの場合においても、「約」なる用語により加減されると理解される。従って、それとは対照的に示されていない場合、以下の明細書及び附随する特許請求の範囲に説明されている数的パラメータは、本発明により得られると思われる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0062】
本発明の広範囲において説明された数的範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例で説明されている数値は、可能な限り正確に報告している。しかしながら、任意の数値は、それらそれぞれの測定において見出される標準偏差から必然的に生じる誤差を本質的に含む。以下の実施例は本発明を例証することを意図しており、結果としてその範囲を限定するものではない。パーセンテージは重量に基づいて付与される。
【実施例】
【0063】
実施例1−6−マスカラ

【0064】
これらの実施例においては、種々の濃度での、極性の変性ロウと脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーの、睫のボリューム化効果を測定した。実施例1-6において同定されたように、種々の濃度で、同様の基本組成物に添加した。ついで組成物を睫に適用し、組成物の睫におけるボリューム化効果を測定した。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有し、該脂溶性又は分散性のレオロジーポリマー及び極性の変性ロウが、睫のボリューム化において相乗的に有効な量で存在している組成物。
【請求項2】
組成物がエマルションである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一の着色剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも一の極性の変性ロウが、本質的にポリプロピレンと無水マレイン酸単位からなるロウ、本質的にC26-C28アルファオレフィンと無水マレイン酸単位からなるロウ、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも一の極性の変性ロウが、本質的にポリプロピレンと無水マレイン酸単位からなるロウである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも一の極性の変性ロウが、本質的にC26-C28アルファオレフィンと無水マレイン酸単位からなるロウである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
睫に請求項1に記載の組成物を適用することを含む、睫をメークアップする方法。
【請求項13】
睫に請求項2に記載の組成物を適用することを含む、睫をメークアップする方法。
【請求項14】
睫に請求項5に記載の組成物を適用することを含む、睫をメークアップする方法。
【請求項15】
睫に請求項6に記載の組成物を適用することを含む、睫をメークアップする方法。
【請求項16】
睫に請求項10に記載の組成物を適用することを含む、睫をメークアップする方法。
【請求項17】
睫に請求項11に記載の組成物を適用することを含む、睫をメークアップする方法。
【請求項18】
少なくとも一の極性の変性ロウと少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する組成物を、ケラチン物質のボリュームを増加させるのに有効な量、ケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質のボリュームを増加させる方法。
【請求項19】
組成物がエマルションである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一の極性の変性ロウを含有する水相と、少なくとも一の脂溶性又は分散性のレオロジーポリマーを含有する油相とを、エマルションを形成させるために組合せることを含む、エマルションの作製方法。

【公表番号】特表2011−508741(P2011−508741A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540784(P2010−540784)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087062
【国際公開番号】WO2009/085783
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】