説明

ボンディング装置および半導体集積回路装置の製造方法

【課題】ボンディング時間を短縮しつつキャリアの横ずれを防止する。
【解決手段】テープキャリア2がローラR1〜R6で搬送され、テープキャリア2の指定位置にチップ12がボンディングされるボンディング装置20において、ローラR1〜R6が瞬間的に開閉されてテープキャリア2自体の復元力で横ずれが解消される。ローラR2とローラR3との間、ローラR4とローラR5との間で弛みがテープキャリアの送りで交互に形成され双方の弛みがテープキャリア2の送りで交互に解消される。弛み解消時にテープキャリアを早く送れるため、全搬送時間を短く設定しつつ長いボンディング時間を確保できる。チップ12をテープキャリア2の指定位置にオフセットさせて供給し、チップの電極パッド位置を認識して位置補正しチップ12を正規の位置にセットし直す。チップをキャリアに短時間で正確にボンディングできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(semiconductor integrated circuit device 。以下、ICという。)の製造技術、特に、半導体チップ(chip of semiconductor 。能動素子、受動素子、これらを電気的に接続する回路を含む集積回路が作り込まれたチップ。以下、チップという。)をキャリア(carrier )に機械的接続(bond。原子間力が働く程度に密着していない機械的接続。以下、ボンディングという。)するボンディング技術に関し、例えば、チップのサイズと同等または略同等のサイズのチップ・サイズ・パッケージ(chip size package または、chip scale package以下、CSPという。)を備えているICの製造方法に利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICを使用する電子機器の小型薄形化に伴って、ICのパッケージの縮小が要望されている。この要望に応ずるために各種のCSPが開発されており、その一例として、次のように構成されているマイクロ・ボール・グリッド・アレイパッケージ(micro ball grid array package 。以下、μBGAという。)がある。
すなわち、チップの電極(electrode 。部品の特定の領域から電気的機能を取り出し、他との電気的接続を行う導体的構成部分。以下、電極パッドという。)側の主面にはテープキャリアが絶縁材料(insulating materia)が使用されて形成されたボンド(bond)によってボンディングされているとともに、テープキャリアに敷設された各インナリードがチップの各電極パッドに電気的接続(bond。非導電金属部間の電気的接続を確実にするか、または、電位を等しくするために行う接続)されており、各アウタリードに各外部端子としてのバンプ(bump)がそれぞれ半田付け(sodering) されている。
【0003】
このμBGAにおけるボンディング方法として、テープ状に形成されたキャリアを一方向に走行させてキャリアの指定された位置にチップを順次ボンディングさせて行くボンディング方法の適用が、考えられる。
【0004】
従来のこの種のボンディング方法としては、TCP・IC(tape career package IC)の製造方法におけるインナリードボンディング(inner lead bonding)方法が知られている。
このインナリードボンディング方法においては、キャリアは供給側リールから繰り出され、テンションローラおよびガイドローラを通り、ボンディング位置まで搬送され、このボンディング位置においてキャリアのリードとチップとのインナリードボンディング(TCP・ICの製造方法においては機械的かつ電気的接続となる。)が実施される。
【0005】
なお、インナリードボンディング方法および装置を述べている例としては、特許文献1がある。
【特許文献1】特開平3−58440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記したボンディング方法においては、キャリアの厚さが薄くなると、スプロケットによる搬送やピン挿入による位置決めを行うことは、パーフォレーション(perforation )の変形や破損を発生することになるため、確実な搬送や正確な位置決めが不可能になるという問題点がある。
【0007】
そこで、摩擦ローラによる摩擦駆動力を利用する搬送技術をキャリアの搬送に採用することが提案されている。
ところが、摩擦駆動力を利用する搬送技術においては、キャリアの幅方向への位置ずれ(以下、横ずれという。)、すなわち、偏向や蛇行が発生し易いという問題点がある。
【0008】
このようなキャリアの位置ずれを防止する搬送技術を述べている例としては、日本国特許庁公開特許公報特開平5−241247号がある。
すなわち、ここに述べられたフィルム搬送機構は、フィルムの横ずれが検出された時に搬送ユニットを移動させてフィルムを基準位置に戻すように構成されている。
【0009】
しかしながら、キャリアにおけるチップのボンディング位置のピッチが小さくなる前記したボンディング方法においては、ボンディング時間がきわめて短くなるため、搬送ユニットによってキャリアを基準位置に戻す横ずれ防止技術は採用することができない。
【0010】
本発明の目的は、ボンディング時間の増加を回避しつつキャリアの横ずれを防止することができるボンディング技術を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、ボンディング時間を短縮することができるボンディング技術を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、チップをキャリアの指定された位置に正確にボンディングすることができるボンディング技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、次の通りである。
【0015】
すなわち、テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送されキャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることによって前記キャリアの横ずれが解消されることを特徴とする。
【0016】
また、テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側および下流側に弛みが、前記キャリアの送りによって交互に形成され、双方の弛みが前記キャリアの送りにより交互に解消されることを特徴とする。
【0017】
また、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記半導体チップが前記キャリアの指定された位置に対して予め設定された値だけずらされて配置された後に、指定された位置に配置され直してボンディングされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前記した第1の手段によれば、キャリア自体の復元力によってキャリアの横ずれが解消されるため、ボンディング時間の増加を回避しつつキャリアの横ずれを防止することができる。
【0019】
前記した第2の手段によれば、交互に形成される弛みが解消される間にキャリアを早く送ることができるため、全体としてのキャリア搬送時間を短く設定しつつ、長いボンディング時間を確保することができる。
【0020】
前記した第3の手段によれば、半導体チップを認識し易い位置に配置することにより、半導体チップの位置を観測することができるため、半導体チップをキャリアの指定位置に正確にボンディングすることができる。
【0021】
本願において開示される発明のうち代表的なその他の概要を説明すれば、次の通りである。
【0022】
1.テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング工程を備えている半導体集積回路装置の製造方法において、
前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることによって前記キャリアの横ずれが解消されることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0023】
2.前記摩擦ローラの瞬間的な開閉が、前記キャリアに対して区間を分けて実施されることを特徴とする項1に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【0024】
3.前記摩擦ローラの瞬間的な開閉が、前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側と下流側とに分けて実施されることを特徴とする項1または2に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【0025】
4.テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることによって前記キャリアの横ずれが解消されることを特徴とするボンディング装置。
【0026】
5.前記摩擦ローラが複数組、前記キャリアの搬送方向に間隔が置かれて配列されており、前記摩擦ローラの瞬間的な開閉が隣合う摩擦ローラ間にて同時に実施されることを特徴とする項4に記載のボンディング装置。
【0027】
6.前記摩擦ローラが複数組、前記キャリアの搬送方向に間隔が置かれて配列されており、前記摩擦ローラの瞬間的な開閉が前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側と下流側とに分けて実施されることを特徴とする項4または5に記載のボンディング装置。
【0028】
7.テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング工程を備えている半導体集積回路装置の製造方法において、
前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側および下流側に弛みが、前記キャリアの送りによって交互に形成され、双方の弛みが前記キャリアの送りにより交互に解消されることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0029】
8.前記上流側の弛みが形成されている期間に前記キャリアに対して前記チップがボンディングされることを特徴とする項7に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【0030】
9.前記弛みの高さが規制されることを特徴とする項7または8に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【0031】
10.テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側および下流側に弛みが、前記キャリアの送りによって交互に形成され、双方の弛みが前記キャリアの送りにより交互に解消されることを特徴とするボンディング装置。
【0032】
11.前記上流側の弛みが形成されている期間に前記キャリアに対して前記チップがボンディングされることを特徴とする項10に記載のボンディング装置。
【0033】
12.前記弛みの高さが規制されることを特徴とする項10または11に記載のボンディング装置。
【0034】
13.テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング工程を備えている半導体集積回路装置の製造方法において、
前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることによって前記キャリアの横ずれが解消され、前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側および下流側に弛みが、前記キャリアの送りによって交互に形成され、双方の弛みが前記キャリアの送りにより交互に解消されることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0035】
14.前記弛みが形成されている期間に前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることを特徴とする項13に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【0036】
15.テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることによって前記キャリアの横ずれが解消され、
前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側および下流側に弛みが前記キャリアの送りによって交互に形成され、双方の弛みが前記キャリアの送りにより交互に解消されることを特徴とするボンディング装置。
【0037】
16.前記弛みが形成されている期間に前記摩擦ローラが瞬間的に開閉されることを特徴とする項15に記載のボンディング装置。
【0038】
17.キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング工程を備えている半導体集積回路装置の製造方法において、
前記半導体チップが前記キャリアの指定された位置に対して予め設定された値だけずらされて配置された後に、指定された位置に配置され直してボンディングされることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0039】
18.前記配置し直される際に、ずらされて配置された前記半導体チップの位置が測定されて誤差を求められ、求められた誤差が解消されるように指定された位置に配置され直されることを特徴とする項17に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【0040】
19.キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、
前記半導体チップが前記キャリアの指定された位置に対して予め設定された値だけずらされて配置された後に、指定された位置に配置され直してボンディングされることを特徴とするボンディング装置。
【0041】
20.前記配置し直される際に、ずらされて配置された前記半導体チップの位置が測定されて誤差を求められ、求められた誤差が解消されるように指定された位置に配置され直されることを特徴とする項19に記載のボンディング装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1は本発明の一実施形態であるボンディング装置のボンディング部を示す斜視図である。図2はその一部切断正面図である。図3はその平面図である。図4はその側面断面図である。図5は本発明の一実施形態であるボンディング装置の全体を示す正面図である。図6はその平面図である。図7はボンド付テープキャリアを示す一部省略平面図である。図8の(a)は同じく一部切断正面図、(b)は一部切断側面図である。図9はチップを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図、(c)は拡大した一部切断側面図である。図10はボンディング後を示す一部省略平面図であり、図11は同じくボンディング後を示しており、(a)は一部切断正面図、(b)は一部切断側面図である。図12はローラ群によるボンド付テープキャリアのステージへの供給作動を示す説明図である。図13は被ボンディング部とチップとのアライメントを示す説明図である。図14は製造されたμBGA・ICを示す正面断面図である。
【0043】
本実施形態において、本発明に係るボンディング装置は、μBGA・ICを製造する方法の主要工程であるボンディング工程を実施するものとして構成されており、図1〜図6に示されているように、構成されている。
【0044】
μBGA・ICの製造方法においては、ボンド付テープキャリア1がリールに巻かれた状態で、ボンディング方法が実施されるボンディング装置に供給される。
すなわち、ボンディング装置における一方のワークであるボンド付テープキャリア1は、図7および図8に示されているように構成され、リールに巻かれた状態でボンディング装置に供給される。ボンド付テープキャリア1はテープキャリア2とボンド10とを備えている。テープキャリア2はTCP・ICの製造方法に使用されているTAB(tape automatede bonding)テープに相当するものである。
テープキャリア2は同一パターンが長手方向に繰り返されるように構成されているため、その構成の説明および図示は一単位だけについて行われている。
【0045】
テープキャリア2はキャリア本体3を備えており、キャリア本体3はポリイミド等の絶縁性能(insulation performance)が高い樹脂が用いられて同一パターンが長手方向に連続するテープ形状に一体成形されている。
キャリア本体3の両端辺部には規則的に配列されたパーフォレーション3Aが多数個、長さ方向に等間隔にそれぞれ配列されて開設されており、各パーフォレーション3Aは正方形の孔形状に形成されている。
キャリア本体3にはバンプ形成部4が長手方向に一列横隊に整列されている。バンプ形成部4にはバンプホール5が多数個、4本の平行線上において整列されて穿たれている。各バンプホール5には後の工程においてバンプがアウタリードに電気的に接続するように形成される。
バンプ形成部4の中心線上には長孔形状に形成された窓孔6が、バンプホール5の列と平行に開口されている。また、バンプ形成部4の外周辺部には切断を補助するための長孔6Aが4本、長方形の枠形状に配されて穿たれている。
【0046】
キャリア本体3の片側主面(以下、下面とする。)にはインナリード7が複数本、窓孔6に短手方向に突き出すようにそれぞれ配線されている。
各インナリード7のバンプ形成部4側に位置する一端(以下、外側端とする。)には、各アウタリード8がそれぞれ一連に連設されており、互いに一連になったインナリード7とアウタリード8とは機械的かつ電気的に一体の状態になっている。
各アウタリード8のバンプホール5に対向する部位は、バンプ形成部4から露出した状態になっており、各アウタリード8の外側端は長孔6Aの外側まで伸びた状態になっている。
インナリード7群およびアウタリード8群は、銅や金等の導電性を有する材料が使用されて形成されている。インナリード7群およびアウタリード8群の形成方法としては、キャリア本体3に接着(adhesion。化学的もしくは物理的な力またはその両者によって二つの面が結合した状態)等の手段によって固着させた銅箔や金箔をリソグラフィー処理およびエッチング処理によってパターニングする方法や、キャリア本体3にリソグラフィー処理によって選択的に金めっき処理する方法等がある。
【0047】
インナリード7群は各窓孔6の長手方向に間隔を置かれて互いに平行に配線されている。各インナリード7の窓孔6に突き出た部分は窓孔6の中心線を跨いだ位置で切断された状態になっている。すなわち、インナリード7の窓孔6に突き出た部分の長さは窓孔6の幅よりも短く幅の半分よりも長く設定されている。
【0048】
キャリア本体3の下面にはエラストマやシリコンゴム製のボンド10が接着されており、インナリード7群およびアウタリード8群はボンド10によって被覆されている。
ボンド10におけるキャリア本体3の窓孔6に対向する部位には、長方形孔形状の窓孔11がインナリード7群を外部に露出させるようにキャリア本体3の窓孔6よりも若干大きめに形成されている。したがって、ボンド付テープキャリア1はキャリア本体3、インナリード7群、アウタリード8群およびボンド10によって構成されている。
【0049】
チップ12は図9に示されているように長方形の平板形状に形成されており、その一主面側(以下、アクティブエリア側という。)には、能動素子や受動素子、これらを電気的に接続する回路を含む所望の半導体集積回路が作り込まれている。すなわち、チップ12は多数個がマトリックス状に配列されて、所謂IC製造の前工程において半導体ウエハ(wafer of semiconductor。以下、ウエハという。)の状態でアクティブエリア側に半導体集積回路を作り込まれる。
各チップ12のアクティブエリア側の表面はパッシベーション膜13によって被覆されており、パッシベーション膜(passivation film)13に形成されたスルーホール(through hall)には、電極パッド14が外部に露出する状態に形成されている。
電極パッド14は複数形成されており、テープキャリア2における各インナリード7に対応されている。
【0050】
図1に示されているように、ウエハ15のアクティブエリア側と反対側の主面にはウエハシート16が貼付され、ウエハシート16の外周辺部にはウエハリング17が貼付される。ウエハシート16が貼付された状態で、ウエハ15はダイシング工程においてスクライビイングラインに沿って長方形の平板形状に分断され、多数個のチップ12が製造された状態になる。分断されたチップ12はウエハ15にウエハシート16が貼付されているため、ばらばらになることはない。
そして、チップ12群はウエハシート16およびウエハリング17に保持された状態で、ボンディング装置20のピックアップ装置50に供給される。
【0051】
ちなみに、図10および図11に示されているように、ボンディング作業が実施された後において、チップ12はテープキャリア2に機械的接続(ボンディング)されている。すなわち、チップ12はテープキャリア2に各電極パッド14が各インナリード7にそれぞれ向かい合うように配された状態で、パッシベーション膜13とボンド10との境界で接着されている。
この状態において、インナリード7は電極パッド14にボンド10の厚さ分だけ上方に離れた位置で対向した状態になっており、インナリード7の先端部は電極パッド14の真上に位置した状態になっている。
【0052】
図5および図6に示されているように、ボンディング装置20はボンド付テープキャリア1を搬送するためのローディングリール21およびアンローディングリール22を左右の両端部に備えており、ボンド付テープキャリア1はローディングリール21とアンローディングリール22との間に張られている。
ローディングリール21の下側にはスペーサテープ巻取りリール23が支持されており、スペーサテープ巻取りリール23はローディングリール21がボンド付テープキャリア1を繰り出した後のスペーサテープ24を巻き取るように構成されている。
アンローディングリール22の下側にはスペーサテープ繰出しリール25が支持されており、スペーサテープ繰出しリール25は、アンローディングリール22がボンド付テープキャリア1を巻き取る際に、スペーサテープ26を繰り出して行くように構成されている。
【0053】
ローディングリール21の下流側には複数個のローラ28を有するプリベーク炉27が設備されており、ボンド付テープキャリア1はプリベーク炉27を通過してボンディング装置20の中央部に設定されたボンディングステージ(以下、ステージという。)31に供給されるようになっている。プリベーク炉27を通過する際に、ボンド付テープキャリア1の絶縁層10は所定の温度(約150℃)に加熱されることによって水分を蒸発される。
アンローディングリール22の上流側には複数個のローラ30を有するアフタベーク炉29が設備されており、ステージ31を通過したボンド付テープキャリア1はアフタベーク炉29を通過してアンローディングリール22に巻き取られるようになっている。アフタベーク炉29を通過する際に、ボンド付テープキャリア1のチップ12を接着したボンド10の接着層は所定の温度(約250℃)に加熱されることによって硬化される。
【0054】
図1〜図4に詳しく図示されているように、ボンディング装置20の中央部に設定されたステージ31におけるボンド付テープキャリア1の両側(以下、前側および後側とする。)端部には、前後で一対のガイドレール32、32が左右方向に平行で水平にそれぞれ敷設されている。
ボンド付テープキャリア1はパーフォレーション3A群が配列されたキャリア本体3の両端部を両ガイドレール32、32によって滑ることができるように挟まれた状態で水平に案内されて、ローディングリール21側からアンローディングリール22の方向に送られるようになっている。
【0055】
ステージ31の左右両脇には第1ローラR1、第2ローラR2、第3ローラR3、第4ローラR4、第5ローラR5および第6ローラR6がステージ31を中心にして略左右対称形に配置されている。但し、図6に示されているように、第1ローラR1はプリベーク炉27の上流側に配置されており、第6ローラR6はアフタベーク炉29の下流側に配置されている。
これらローラR1〜R6は上下で一対のローラによって構成されており、上下で一対のローラがボンド付テープキャリア1を上下から挟んで摩擦駆動力によって搬送する摩擦ローラとして構成されている。
また、各ローラは前後に分割されて前後のガイドレール32、32にそれぞれ配置され、ボンド付テープキャリア1の両端部に接触して搬送するようになっている。
された前後のローラはボンド付テープキャリア1の中央部に配置されたボンド10やチップ12等に干渉しない状態で、ボンド付テープキャリア1を搬送し得るように構成されている。
【0056】
図2に示されているように、ステージ31の左脇に配置された第3ローラR3の下側ローラR3aは、キャリア本体3の両端部下面に接する状態で回転することができるように支持されており、モータR3bに駆動されるベルトR3cが巻き掛けられている。
第3ローラR3の上側ローラR3dは下側ローラR3aと協働してキャリア本体3を挟むように配設されており、上側ローラR3dは他端部をピンR3eによって上下方向に揺動することができるように支持されたアームR3fの一端部に回転することができるように支持されている。
アームR3fのピンR3e寄りの位置にはスプリングR3gがアームR3fを下方に押し下げるように取り付けられており、アームR3fのスプリングR3gよりも上側ローラR3d寄りの位置には電磁プランジャR3hがアームR3fを上下動させるように取り付けられている。
【0057】
ステージ31の右脇の第4ローラR4の右方に配置された第5ローラR5の下側ローラR5aは、キャリア本体3の両端部下面に接する状態で回転することができるように支持されており、モータR5bに駆動されるベルトR5cが巻き掛けられている。
第5ローラR5の上側ローラR5dは下側ローラR5aと協働してキャリア本体3を挟むように配設されており、上側ローラR5dは他端部をピンR5eによって上下方向に揺動することができるように支持されたアームR5fの一端部に回転することができるように支持されている。
アームR5fのピンR5e寄りの位置にはスプリングR5gがアームR5fを下方に押し下げるように取り付けられており、アームR5fのスプリングR5gよりも上側ローラR5d寄りの位置には電磁プランジャR5hがアームR5fを上下動させるように取り付けられている。
【0058】
第2ローラR2と第3ローラR3との間には、第2ローラR2と第3ローラR3との間に形成される弛みを検出する第1センサS1が配置されており、第4ローラR4と第5ローラR5との間には第4ローラR4と第5ローラR5との間に形成される弛みを検出する第2センサS2が配置されている。
【0059】
第3ローラR3および第5ローラR5に限らず、第1ローラR1、第2ローラR2、第4ローラR4および第6ローラR6もモータによって正逆回転駆動されるように構成されている。
そして、第1ローラR1〜第6ローラR6のモータや電磁プランジャの制御部および第1センサS1、第2センサS2は、メインコントローラ47に交信するように接続されており、後述する通り、メインコントローラ47は第1ローラR1〜第6ローラR6を図12に示されているように制御する。
【0060】
ボンディング装置20のステージ31が設定された場所には、下側押さえ33が昇降装置によって昇降されるように設備されており、下側押さえ33はキャリア本体3におけるボンド10の外側領域を押さえる長方形の枠形状に形成されている。
下側押さえ33の真上には下側押さえ33と同形の長方形枠形状に形成された上側押さえ34が設備されており、上側押さえ34はロータリーアクチュエータ35によって上下方向に往復揺動されるように支持されている。上側押さえ34は下側に移動してボンド付テープキャリア1におけるチップ12の周囲を下側押さえ33に押さえ付けることにより、ボンド付テープキャリア1をステージ31に固定するようになっている。
【0061】
図4に示されているように、ステージ31の後脇にはXYテーブル36が設けられており、XYテーブル36はその上に搭載されたボンディングヘッド37 をXY方向に移動させるように構成されている。
ボンディングヘッド37には先端にボンディング工具39を取り付けられたボンディングアーム38の一端部が支持されており、ボンディングヘッド37はボンディングアーム38を操作することによりボンディング工具39を上下動させるように構成されている。ボンディング工具39にはヒータが内蔵されている。
【0062】
XYテーブル36には位置認識装置40を構成するための画像取り込み装置としての工業用テレビカメラ(以下、カメラという。)41が、スタンド42によって設けられており、カメラ41はステージ31上のボンド付テープキャリア1を撮映するようになっている。
カメラ41にはインナリード認識用測定線を設定するインナリード認識用測定線設定部(以下、設定部という。)43が接続されており、設定部43には輝度測定部44が接続されている。輝度測定部44には加算輝度分布波形を形成する形成部45が接続され、形成部45にはインナリードの中心線を判定する判定部46が接続されている。判定部46はメインコントローラ47に接続されており、判定結果をメインコントローラ47に送信するようになっている。
ちなみに、メインコントローラ47の一入力端には、XYテーブル36のコントローラ48が接続されており、メインコントローラ47の出力端にはモニタ49が接続されている。
【0063】
ステージ31の前脇にはウエハシート16からチップ12を1個ずつピックアップするピックアップ装置50が設けられている。ピックアップ装置50はウエハリング17を保持してウエハ15をXY方向に移動させるXYテーブル51を備えている。
XYテーブル51の真下にはウエハシート16に粘着(水や溶剤、熱等を使用せずに常温でわずかな圧力を加えるだけで接着)されたチップ12を1個ずつ突き上げる突き棒52が設けられている。XYテーブル51の真上にはチップ10の良否を検出する視覚観測系53が設けられている。
【0064】
ピックアップ装置50の片脇にはアライメント装置54が設けられており、アライメント装置54はXテーブル55、Yテーブル56、Zテーブル57およびΘテーブル58を備えており、Θテーブル58がアライメントステーション59とステージ31との間を往復移動し得るように構成されている。
アライメントステーション59の真上には視覚観測系60が設けられており、視覚観測系60はメインコントローラ47に交信するように接続されている。メインコントローラ47は視覚観測系60からの観測データに基づいて後述する作動を制御するようになっている。
Θテーブル58の上面はチップ12を真空力によって吸着して保持することができるように構成されており、保持したチップ12を加熱し得るように構成されている。
【0065】
ピックアップ装置50とアライメントステーション59との間にはハンドリング装置61が設けられている。
ハンドリング装置61はガイドレール62を備えており、ガイドレール62にはX軸モータ63によって往復移動される移動ブロック64が跨がるように設けられており、移動ブロック64にはアーム65が支持されている。アーム65の先端部にはZ軸モータ67によって上下動されるコレット66が取り付けられている。コレット66はチップ12を真空力によって吸着して保持することができるように構成されている。
【0066】
次に、前記構成に係るボンディング装置によるμBGA・ICの製造方法のボンディング方法を説明する。
【0067】
図12は第1ローラR1〜第6ローラR6によるボンド付テープキャリア1のステージ31への供給作動を示している。
【0068】
図12(a)において、ボンド付テープキャリア1の中間部が上側押さえ34と下側押さえ33とにより拘束された状態で、第1ローラR1および第2ローラR2がボンド付テープキャリア1の送り方向に対して正方向に回転(以下、正回転という。)されると、第3ローラR3は停止しているため、図12(b)に示されているように、ボンド付テープキャリア1の第2ローラR2と第3ローラR3との間には弛み部が形成される。
【0069】
図12(c)において、上側押さえ34と下側押さえ33とによる拘束および第3ローラR3による拘束が解除され、続いて、図12(d)に示されているように、第4ローラR4が正回転されると、図12(e)に示されているように、ボンド付テープキャリア1の第2ローラR2と第3ローラR3との間の弛みが減少されるとともに、第4ローラR4と第5ローラR5との間に弛みが形成される。
【0070】
図12(f)において、上側押さえ34と下側押さえ33との拘束が解除された状態で第3ローラR3が閉じられ、第5ローラR5および第6ローラR6が瞬間的に開閉される。例えば、図2において、メインコントローラ47は第5ローラR5の電磁プランジャR5hを短時間のうちに伸長させた後に短縮させる。
【0071】
この瞬間的な開閉により、ボンド付テープキャリア1は自由状態になるため、ボンド付テープキャリア1に発生している偏向や蛇行等の横ずれはボンド付テープキャリア1自体の復元力によって解消される。
このようにして、ボンド付テープキャリア1におけるステージ31よりも下流側区間の横ずれは第5ローラR5および第6ローラR6の瞬間的な開閉に伴うボンド付テープキャリア1自体の自己制御機能によって解消されるため、ボンド付テープキャリア1を強制的に横移動させて横ずれを解消させる場合に必要な高精度の制御は必要がなく、しかも、横ずれの解消に時間が浪費されることはない。
【0072】
図12(g)において、第3ローラR3がボンド付テープキャリア1の送り方向に対して逆方向に回転(以下、逆回転という。)されると、第4ローラR4は停止されているため、ボンド付テープキャリア1の第3ローラR3と第4ローラR4との間は一直線状態に緊張された状態になる。
また、第5ローラR5および第6ローラR6が正回転されると、第4ローラR4と第5ローラR5との間の弛みは減少される。
【0073】
図12(h)において、第3ローラR3が逆回転されると、上側押さえ34と下側押さえ33とが閉じられボンド付テープキャリア1が拘束される。
この際、第3ローラR3によってボンド付テープキャリア1にバックテンションが付与されるため、ボンド付テープキャリア1は一直線状に緊張した状態で、上側押さえ34と下側押さえ33とによって押さえられた状態になる。
【0074】
図12(i)において、第3ローラR3が閉じられて回転が停止された状態で、第1ローラR1および第2ローラR2が瞬間的に開閉される。例えば、図2において、メインコントローラ47は第2ローラR2の電磁プランジャR2hを短時間のうちに伸長させた後に短縮させる。
【0075】
この瞬間的な開閉により、ボンド付テープキャリア1は自由状態になるため、ボンド付テープキャリア1に発生している偏向や蛇行等の横ずれはボンド付テープキャリア1自体の復元力によって解消される。
このようにして、ボンド付テープキャリア1におけるステージ31よりも上流側区間の横ずれは第1ローラR1および第2ローラR2の瞬間的な開閉に伴うボンド付テープキャリア1自体の自己制御機能によって解消されるため、ボンド付テープキャリア1を強制的に横移動させて横ずれを解消させる場合に必要な厳格な精度の制御は必要がなく、しかも、横ずれの解消に時間が浪費されることはない。
【0076】
図12(j)において、ボンド付テープキャリア1が上側押さえ34と下側押さえ33とにより拘束された状態で、第1ローラR1および第2ローラR2が正回転されると、第3ローラR3は停止しているため、図12(k)に示されているように、ボンド付テープキャリア1の第2ローラR2と第3ローラR3との間には弛み部が形成される。
【0077】
図12(l)において、上側押さえ34と下側押さえ33とによる拘束および第3ローラR3による拘束が解除され、続いて、図12(m)に示されているように、第4ローラR4が正回転されると、ボンド付テープキャリア1の第2ローラR2と第3ローラR3との間の弛みは減少されるとともに、図12(e)に示されているように、第4ローラR4と第5ローラR5との間に弛みが形成される。
【0078】
以降、図12(e)からの作動が繰り返される。
そして、図12(h)から図12(k)の間における上側押さえ34と下側押さえ33とによるボンド付テープキャリア1の拘束期間において、チップ12のボンド付テープキャリア1へのボンディング作業が実施される。
【0079】
以上のように、本実施形態においては、チップ12のボンド付テープキャリア1へのボンディング作業中に、左右両脇においてボンド付テープキャリア1に弛みを形成させることより、ボンド付テープキャリア1を予め送っておくことができるため、ボンド付テープキャリア1の全体としての搬送時間を短縮することができる。
すなわち、ボンド付テープキャリア1を予め送っておかない場合には、全体としての搬送時間はチップ12のボンド付テープキャリア1へのボンディング作業時間によって規定されてしまうが、ボンド付テープキャリア1を予め送って弛みを形成しておけば、その弛みを高速度で搬送することができるため、その分、全体としての搬送時間を短縮することができる。
【0080】
なお、第2ローラR2と第3ローラR3との間に形成される弛みの高さは、第1センサS1によって監視されることより、所定の範囲内に規制される。
また、第4ローラR4と第5ローラR5との間に形成される弛みの高さは、第2センサS2によって監視されることより、所定の範囲内に規制される。過度の弛みが形成されることによる種々の弊害が、この高さ規制によって防止される。また、弛みが形成されない状態でボンド付テープキャリア1が高速度で送られてしまうことによるボンド付テープキャリア1の切断が防止される。
【0081】
以上のようにしてステージ31に供給されたボンド付テープキャリア1に対するチップ12のボンディング作業について説明する。
【0082】
前述した供給作業によってステージ31に供給されたボンド付テープキャリア1がステージ31において上側押さえ34と下側押さえ33とによって拘束されると、ボンド付テープキャリア1におけるインナリード7の位置が位置認識装置40によって図13(a)に示されているように測定される。
【0083】
図13(a)において、位置認識装置40のカメラ41の中心はボンド付テープキャリア1のこれからボンディングする領域(以下、被ボンディング部という。)9の座標の原点Oであると仮定すると、被ボンディング部9内の各インナリード7をカメラ41によって認識して座標位置を観測することにより、各インナリード7の座標位置と座標原点との位置関係、すなわち、実際のインナリード7の位置と予め登録されたインナリード7の基準位置との誤差値を求めることができる。
【0084】
チップ12はダイシングされてウエハシート16およびウエハリング17に保持されたウエハ15の状態で、ボンディング装置20におけるピックアップ装置50に供給されることは、前述した通りである。
【0085】
ピックアップ装置50において、視覚観測系53の観測に基づいて、XYテーブル51はウエハシート16の上における良品のチップ12を突き棒52の真上に位置させる。突き棒52はウエハシート16を下から突いて良品のチップ12を突き上げる。ウエハシート16から突き上げられたチップ12はハンドリング装置61のコレット66に真空力によって吸着されてピックアップされる。
【0086】
コレット66に保持されたチップ12はハンドリング装置61によってアライメント装置54のアライメントステーション59に搬送され、チップ保持台を兼用するΘテーブル58に移載される。
アライメント装置54のアライメントステーション59において、チップ12は視覚観測系60によって観測される。視覚観測系60はその観測データをメインコントローラ47に送信する。
メインコントローラ47は送信されて来たチップ12の電極パッド14の位置に関するデータを基準データと比較して、その誤差値を解消する補正値を図13(b)に示されているように求める。
メインコントローラ47はその補正値に基づいてテーブル55、Yテーブル56およびΘテーブル57を制御することにより、チップ12のXY方向およびΘ方向の位置ずれを補正してアライメントする。
【0087】
図13(b)において、視覚観測系60の中心はチップ12の座標の原点であると仮定すると、電極パッド14を視覚観測系60によって認識して座標位置を観測することにより、各電極パッド14の座標位置と座標原点との位置関係、すなわち、各電極パッド14の実際の位置と各電極パッド14の予め登録された基準位置との誤差値を求めることができるため、チップ12の中心の座標原点に対する誤差値は求めることができる。
【0088】
以上のようにしてアライメントステーション59において基準位置に対する誤差値を補正されたチップ12はステージ31に、アライメント装置54のXテーブル55およびYテーブル56によって予め設定された基準量だけ平行移動される。
この平行移動により、チップ12はステージ31の被ボンディング部9の真下に配置されるが、図13(c)に示されているように、チップ12の電極パッド14が被ボンディング部9のインナリード7に重ならないように予め設定された値だけオフセットされた状態に配置される。
【0089】
ステージ31に被ボンディング部9にオフセットされた状態で配置されたチップ12の電極パッド14が、位置認識装置40によって被ボンディング部9の窓孔6を通して測定される。
この際、図13(c)に示されているように、電極パッド14はインナリード7に重ならないようにオフセットされているため、位置認識装置40はインナリード7の影響を受けずに電極パッド14の中心を正確に求めることができる。
【0090】
ところで、電極パッド14がインナリード7に対してオフセットされずに配置された場合において、例えば電極パッド14が上側に位置するインナリード7と図13(d)に示されているように重なり合っていると、位置認識装置40は電極パッド14の中心がO’であると、誤判定してしまう。
このように電極パッド14の中心が誤判定されると、電極パッド14とインナリード7との位置が補正によって合わせ込まれる際に、誤差が発生してしまうために、電極パッド14に対するインナリード7のシングルポイントボンディングに誤差が発生してしまうことになる。
【0091】
しかし、本実施形態においては、電極パッド14がインナリード7に対して図13(c)に示されているようにオフセットされて配置されることにより、電極パッド14が上側に位置するインナリード7と重なり合わないため、位置認識装置40は電極パッド14の中心を正確に判定することができる。
また、位置認識をするためのカメラ41の視野を電極パッド14の領域に絞り込むことも可能であるため、認識精度をより一層高めることができる。
このように、電極パッド14の中心Oが正確に判定されると、電極パッド14とインナリード7との位置を補正によって正確に合わせ込むことができるため、電極パッド14に対してインナリード7を精密にシングルポイントボンディングすることができる。
【0092】
ステージ31におけるチップ12の電極パッド14の実際の位置が認識されると、メインコントローラ47は前述した実際のインナリード7の位置と照合することにより、誤差値を算出してその補正値を求める。
そして、メインコントローラ47はアライメント装置54のXテーブル55、Yテーブル56およびΘテーブル57を制御することにより、この補正値によってチップ12の位置を補正するとともに、チップ12をオフセット位置から正規の位置へ配置する。すなわち、チップ12は予め設定されたオフセット値および補正値分だけオフセット位置から配置し直される。
【0093】
以上のようにして、チップ12がボンド付テープキャリア1の被ボンディング部9に正確にアライメントされると、チップ12がZテーブル57によって上昇されるとともに、ボンディング工具39がボンディングヘッド37によって下降される。
これにより、チップ12が被ボンディング部9のボンド10の下面に押し付けられるとともに、チップ12およびボンド10が加熱されるため、チップ12はボンド10に熱圧着され、チップ12はボンド付テープキャリア1の被ボンディング部9にボンド10の接着層によってボンディングされた状態になる。
【0094】
チップ12がボンド付テープキャリア1の被ボンディング部9にボンディングされると、ボンド付テープキャリア1が前述したボンド付テープキャリア1のステージへの供給および位置決め方法によって1ピッチp分だけ送られる。
以降、前述した作動が繰り返し実行されることによって、ローディングリール21から繰り出されるボンド付テープキャリア1についてボンディング方法が順次に実行されて行く。
【0095】
その後、μBGA・ICの製造方法におけるインナリードボンディング工程において、図14に示されているように、チップ12の電極パッド14にボンド付テープキャリア1のインナリード7がインナリードボンディングされ、同じく樹脂封止体成形工程において、テープキャリア2の各窓孔6の内部にエラストマやシリコンゴム等の絶縁材料がポッティングされることによって、インナリード7群および電極パッド14群が樹脂封止部によって樹脂封止される。
【0096】
また、μBGA・ICの製造方法におけるバンプ形成工程において、テープキャリア2の各アウタリード8における各バンプホール5の底で露出した部位に半田ボールが半田付けされることにより、バンプ形成部4の上面から突出したバンプがテープキャリア2に形成される。
【0097】
以上、説明した製造方法により、図14に示されているμBGA・IC19が製造されたことになる。
【0098】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0099】
例えば、ステージの上流側および下流側に弛みをボンド付テープキャリアの送りによって交互に形成させ、双方の弛みをボンド付テープキャリアの送りにより交互に解消させる方法および構成は、ボンディング時間に余裕を設定することができる場合等においては省略してもよい。
【0100】
また、ローラを瞬間的に開閉させることによってボンド付テープキャリアの横ずれを解消させる方法および構成は、ボンド付テープキャリアをスプロケットによって搬送することができる場合等においては省略してもよい。
【0101】
チップをキャリアの指定された位置に対して予め設定された値だけずらされて配置した後に、指定された位置に配置し直してボンディングする方法および構成は、チップをキャリアにボンドを介してボンディングする場合に限らず、TCP・ICのインナリードボンディング方法のように、チップをキャリアのインナリードに機械的かつ電気的に接続(インナリードボンディング)する場合等に適用することができる。
【0102】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるμBGA・ICの製造技術に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、その他のCSP・ICやTCP・IC等の半導体集積回路装置の製造技術全般に適用することができる。
【0103】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0104】
摩擦ローラを瞬間的に開閉させることにより、キャリアの横ずれを解消させることができるため、ボンディング時間の増加を回避しつつキャリアの横ずれを防止することができる。
【0105】
ステージの上流側および下流側に弛みをキャリアの送りによって交互に形成させ、双方の弛みをキャリアの送りにより交互に解消させることにより、交互に形成される弛みを解消される間にキャリアを早く送ることができるため、キャリアの全体としての搬送時間を短く設定しつつ、長いボンディング時間を確保することができる。
【0106】
半導体チップをキャリアの指定された位置に対して予め設定された値だけずらされて配置した後に、指定された位置に配置し直してボンディングすることにより、半導体チップを認識し易い位置に配置して半導体チップの位置を観測することができるため、半導体チップをキャリアの指定位置に正確にボンディングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施形態であるボンディング装置のボンディング部を示す斜視図である。
【図2】その一部切断正面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】その側面断面図である。
【図5】本発明の一実施形態であるボンディング装置の全体を示す正面図である。
【図6】その平面図である。
【図7】ボンド付テープキャリアを示す一部省略平面図である。
【図8】(a)は同じく一部切断正面図、(b)は一部切断側面図である。
【図9】チップを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図、(c)は拡大した一部切断側面図である。
【図10】ボンディング後を示す一部省略平面図である。
【図11】同じくボンディング後を示しており、(a)は一部切断正面図、(b)は一部切断側面図である。
【図12】ローラ群によるボンド付テープキャリアのステージへの供給作動を示す説明図である。
【図13】被ボンディング部とチップとのアライメントを示す説明図である。
【図14】製造されたμBGA・ICを示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1…ボンド付テープキャリア、2…テープキャリア、3…キャリア本体、3A…パーフォレーション、4…バンプ形成部、5…バンプホール、6…窓孔、7…インナリード、8…アウタリード、9…被ボンディング部、10…絶縁膜、11…窓孔、12…チップ、13…パッシベーション膜、14…電極パッド、15…ウエハ、16…ウエハシート、17…ウエハリング、19…μBGA・IC、20…ボンディング装置、21…ローディングリール、22…アンローディングリール、23…スペーサテープ巻取りリール、24…スペーサテープ、25…スペーサテープ繰出しリール、26…スペーサテープ、27…プリベーク炉、28…ローラ、29…アフタベーク炉、30…ローラ、31…ボンディングステージ、32…ガイドレール、R1…第1ローラ、R2…第2ローラ、R3…第3ローラ、R4…第4ローラ、R5…第5ローラ、R6…第6ローラ、33…下側押さえ、34…上側押さえ、35…ロータリーアクチュエータ、36…XYテーブル、37…ボンディングヘッド、38…ボンディングアーム、39…ボンディング工具、40…位置認識装置、41…カメラ、42…スタンド、43…インナリード認識用測定線設定部、44…輝度測定部、45…加算輝度分布波形成部、46…判定部、47…メインコントローラ、48…コントローラ、49…モニタ、50…ピックアップ装置、51…XYテーブル、52…突き棒、53…視覚観測系、54…アライメント装置、55…Xテーブル、56…Yテーブル、57…Zテーブル、58…Θテーブル、59…アライメントステーション、60…視覚観測系、61…ハンドリング装置、62…ガイドレール、63…X軸モータ、64…移動ブロック、65…アーム、66…コレット、67…Z軸モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状に形成されたキャリアが摩擦ローラによって搬送され、前記キャリアの指定された位置に半導体チップがボンディングされるボンディング装置において、 前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされるステージの上流側および下流側に弛みが、前記キャリアの送りによって交互に形成され、双方の弛みが前記半導体チップをボンディングするステージを介して前記キャリアの送りにより交互に解消されることを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
前記上流側の弛みが形成されている期間に前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされることを特徴とする請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
前記弛みの高さがセンサにより規制され前記キャリアの過度の弛みあるいは弛みなしの状態を防止することを特徴とする請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項4】
テープ状に形成されたキャリアを摩擦ローラによって搬送し、前記キャリアの指定された位置に半導体チップをボンディングする半導体装置の製造方法において、
前記キャリアに対して前記半導体チップをボンディングするステージの上流側および下流側に弛みを形成し、前記キャリアの送りによって前記弛みは交互に形成され、前記交互に形成された弛みが前記半導体チップをボンディングするステージを介して前記キャリアの送りによりそれぞれ交互に解消されることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項5】
前記ステージの上流側のキャリアの弛みが形成されている期間に前記キャリアに対して前記半導体チップがボンディングされることを特徴とする請求項4に記載の半導体集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−32987(P2006−32987A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279744(P2005−279744)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【分割の表示】特願平9−343956の分割
【原出願日】平成9年11月28日(1997.11.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(000233527)株式会社ルネサス東日本セミコンダクタ (40)
【Fターム(参考)】